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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156252
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】表面処理装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 11/14 20060101AFI20231017BHJP
   A47L 11/282 20060101ALI20231017BHJP
   A47L 11/24 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
A47L11/14
A47L11/282
A47L11/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063853
(22)【出願日】2023-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2022065552
(32)【優先日】2022-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】722003978
【氏名又は名称】佐藤 完資
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 完資
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 明佳子
(57)【要約】
【課題】使用者による表面処理部の交換作業が容易に行うと共に、壁際の拭き掃除が行える表面処理装置を提供する。
【解決手段】表面処理装置は、被処理面上55を自走し、被処理面55上の塵埃を取り除く処理をする表面処理装置である。表面処理装置は、本体部2を備え、本体部2は、本体部2の底面側に配置される車輪6、7と、本体部2の底面側に配置され被処理面55上の塵埃を取り除く処理をする表面処理部29と、車輪6、7が回転中止中に表面処理部29の接触に代わって被処理面55に接触するスタンド57とを有する。また、表面処理部29は、回転可能に保持される片端側の保持部41eと、保持部41eとは反対側にある他端側の非保持部41fと、保持部41eと前記非保持部41fの間にあり外周に巻かれたシートを被処理面55に押し付ける外周面41dと、を有するローラーからなり、外周面41dは本体部2の側面へ突出するように配置している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理面上を自走し、前記被処理面の塵埃を取り除く処理をする表面処理装置であって、
本体部を備え、前記本体部は、
前記本体部の底面側に配置され該本体部が前記被処理面上を走行するように回転する車輪と、
前記本体部の底面側に配置され前記被処理面に接触して該被処理面上の塵埃を取り除く処理をする表面処理部と、
前記車輪が回転中止中に前記表面処理部の接触に代わって前記被処理面に接触するスタンドと、
を有することを特徴とする表面処理装置。
【請求項2】
前記表面処理部は、前記本体部に装着されるシートを前記被処理面へ押し付けて接触させ前記車輪の回転によって前記本体部を走行させて該被処理面を拭き処理することを特徴とする請求項1に記載の表面処理装置。
【請求項3】
前記スタンドの長さは、前記本体部の底面から前記被処理面までの距離より長くしたことを特徴とする請求項1に記載の表面処理装置。
【請求項4】
前記本体部は、
前記スタンドが前記被処理面に接触した状態で前記本体部の側方へ前記表面処理部を露見させる露見部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理装置。
【請求項5】
前記表面処理部は、回転可能なローラーであって該ローラーに巻かれたシートの巻き始めから巻き終わりまでの間の一部を該ローラーが回転及び停止しているときに前記被処理面に押し付けて該被処理面に接触させ、
前記本体部は、
前記被処理面に押し付けられる前の前記シートを前記被処理面に押付けられる位置への移動または前記被処理面に押付けられた前記シートを前記被処理面に押付けられた位置から前記被処理面への押し付けが解消する位置までの移動の少なくとも何れか一方の移動をさせるシート移動用駆動源と、
前記車輪を回転させる車輪用駆動源と、
前記スタンドを移動させるスタンド移動用駆動源と、
制御部と、をさらに有し、
前記制御部は、前記本体部の移動または前記シートの移動の少なくとも何れか一方の移動を行わせているときには前記スタンドを前記被処理面から離遠させたままにし、前記本体部と前記シートを共に停止させているときに前記スタンドの移動を行わせるように、前記車輪用駆動源の駆動の制御と前記シート移動用駆動源の駆動の制御と前記スタンド移動用駆動源の駆動の制御とを行うことを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理装置。
【請求項6】
前記表面処理部は、
回転可能に保持される片端側の保持部と、
前記保持部とは反対側にある他端側の非保持部と、
前記保持部と前記非保持部の間にあり外周に巻かれたシートを前記被処理面に押し付ける外周面と、を有するローラーからなり、
前記外周面は前記本体部の側面へ突出するように配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理装置。
【請求項7】
前記表面処理部は、回転可能な第1のローラーと回転可能な第2のローラーと、を含み、前記第1のローラーまたは前記第2のローラーの何れか一方のローラーはシートを前記被処理面に対してばね力で付勢し、前記何れか他方のローラーは前記本体部の重さにより前記シートを前記被処理面に対して押圧するように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面処理装置に関し、例えば、掃き掃除や磨き掃除、拭き掃除によって床などの表面から塵埃を取り除く処理などを行う表面処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
床清掃作業を行うために、清掃表面上を自律走行して清掃を行う表面処理装置は、本発明人が出願した特許文献1に記載されている。この表面処理装置は、被処理面上を移動して該被処理面を処理する本体部を備えた表面処理装置であって、長尺シートを被処理面に押しつけるシート接触体と被処理面を走行する車輪とが本体部の底面側に配置されている。
【0003】
すなわち、本体部に装着される長尺シートがシート接触体によって被処理面に接触させられながら本体部が走行移動すると、被処理面の拭き掃除が行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-187368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
長尺シートを交換しようとした場合、シート接触体により長尺シートは床に押し付けられているため、長尺シートを外そうとしても外せない構造である。そのため、長尺シートを交換する場合には、装置を持ち上げたり反転させて底面を露呈させなければならないなどの方法が考えられるが、この方法では交換作業が重労働になったり、複数人での作業になると想定されるので、特別な装置が必要になり、長い作業時間を要してしまうという課題を有していた。また、長尺シートを床に押し付けるシート接触体は、その両端から長尺シートをはみ出させ、はみ出た長尺シートが壁際を拭き掃除をするように構成しているが、シート接触体を保持する保持部は多数の部品で構成しているため、コストアップを招きやすいといった複数の課題を有していた。
【0006】
本開示の一態様は、上記少なくとも一つの課題を解決するために、底面側に配置させた表面処理部で床清掃ができ、その後の表面処理部の交換も簡単に行える表面処理装置や、簡単な構造で壁の近くでも拭き掃除等の表面処理ができる表面処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
被処理面上を自走し、被処理面上を自走し、前記被処理面の塵埃を取り除く処理をする表面処理装置であって、本体部を備え、前記本体部は、前記本体部の底面側に配置され該本体部が前記被処理面上を走行するように回転する車輪と、前記本体部の底面側に配置され前記被処理面に接触して該被処理面上の塵埃を取り除く処理をする表面処理部と、前記車輪が回転中止中に前記表面処理部の接触に代わって前記被処理面に接触するスタンドと、を有することを特徴とする。または、被処理面上を自走し、前記被処理面の塵埃を取り除く処理をする表面処理装置であって、本体部を備え、前記本体部は、前記本体部の底面側に配置され該本体部が前記被処理面上を走行するように回転する車輪と、前記本体部の底面側に配置され前記被処理面に接触して該被処理面上の塵埃を取り除く処理をする表面処理部と、を有し、前記表面処理部は、回転可能に保持される片端側の保持部と、前記保持部とは反対側にある他端側の非保持部と、前記保持部と前記非保持部の間にある外周に巻かれたシートを前記被処理面に押し付ける外周面と、を有するローラーからなり、前記外周面は前記本体部の側面へ突出するように配置したことを特徴とする。本体部は、一体物である必要はない。本体部の一部分がその他の部分に対して着脱自在に構成されていてもよい。前記表面処理装置は、被処理面にシートを接触させながら移動して被処理面を拭き処理するものであったり、被処理面にブラシを接触させながら回転させて、被処理面への接触により被処理面を磨いたり、回転により発生した風により被処理面上の塵埃を掃いて取り除くものなど、被処理面に何らかの変化をもたらすものも含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、本体部を移動させる際、表面処理部を被処理面に接触させることができるので、床や壁際の床等の被処理面の清掃等の表面処理が行える。被処理面から塵埃を取り除いたシートや摩擦による損傷したブラシ、毛髪や糸くずなどが絡んだブラシなどを交換する際には、スタンドを被処理面に接触させると表面処理部による被処理面に対しての接触が解消させられるので、交換作業を簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態1における床拭き機の平面図
図2図1のZ-Z断面図
図3図2の床拭き機が床上で傾いて停止している状態を示す図
図4図1に示す床拭き機が床上で傾いて停止しシートが取り除かれたときの正面図
図5図1に示す床拭き機が壁から離遠した状態を示す図
図6図1に示す床拭き機が壁に近接した状態を示す図
図7図1に示す床拭き機の移動距離、及び床拭き機に装着されたシートの移動距離と経過時間の関係を表わす図
図8図1に示す床拭き機がシートの移動を停止させながら床面上を清掃している状態を示す図
図9図1に示す床拭き機がシートを移動させながら床面上を清掃している状態を示す図
図10図1に示す床拭き機のブロック図
図11】本発明の実施の形態2における床拭き機が壁から離遠した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
いくつかの具体例を説明する。
【0011】
具体例に係る表面処理装置は、被処理面上を自走し、前記被処理面の塵埃を取り除く処理をする表面処理装置であって、本体部を備え、前記本体部は、前記本体部の底面側に配置され該本体部が前記被処理面上を走行するように回転する車輪と、前記本体部の底面側に配置され前記被処理面に接触して該被処理面上の塵埃を取り除く処理をする表面処理部と、前記車輪が回転中止中に前記表面処理部の接触に代わって前記被処理面に接触するスタンドとを有することを特徴とする。
【0012】
また、具体例に係る表面処理装置では、前記表面処理部は、前記本体部に装着されるシートを前記被処理面へ押し付けて接触させ前記車輪の回転によって前記本体部を走行させて該被処理面を拭き処理することを特徴としてもよい。
【0013】
また、具体例に係る表面処理装置では、前記スタンドの長さは、前記本体部の底面から前記被処理面までの距離より長くしたことを特徴としてもよい。
【0014】
また、具体例に係る表面処理装置では、前記本体部は、前記スタンドが前記被処理面に接触した状態で前記本体部の側方へ前記表面処理部を露見させる露見部を有することを特徴としてもよい。
【0015】
また、具体例に係る表面処理装置では、前記表面処理部は、回転可能なローラーであって該ローラーに巻かれたシートの巻き始めから巻き終わりまでの間の一部を該ローラーが回転及び停止しているときに前記被処理面に押し付けて該被処理面に接触させ、前記本体部は、前記被処理面に押し付けられる前の前記シートを前記被処理面に押付けられる位置への移動または前記被処理面に押付けられた前記シートを前記被処理面に押付けられた位置から前記被処理面への押し付けが解消する位置までの移動の少なくとも何れか一方の移動をさせるシート移動用駆動源と、前記車輪を回転させる車輪用駆動源と、前記スタンドを移動させるスタンド移動用駆動源と、制御部と、をさらに有し、前記制御部は、前記本体部の移動または前記シートの移動の少なくとも何れか一方の移動を行わせているときには前記スタンドを前記被処理面から離遠させたままにし、前記本体部と前記シートを共に停止させているときに前記スタンドの移動を行わせるように、前記車輪用駆動源の駆動の制御と前記シート移動用駆動源の駆動の制御と前記スタンド移動用駆動源の駆動の制御とを行うことを特徴としてもよい。
【0016】
また、具体例に係る表面処理装置では、前記表面処理部は、回転可能に保持される片端側の保持部と、前記保持部とは反対側にある他端側の非保持部と、前記保持部と前記非保持部の間にあり外周に巻かれたシートを前記被処理面に押し付ける外周面と、を有するローラーからなり、前記外周面は前記本体部の側面へ突出するように配置したことを特徴としてもよい。
【0017】
また、具体例に係る表面処理装置では、前記表面処理部は、回転可能な第1のローラーと回転可能な第2のローラーと、を含み、前記第1のローラーまたは前記第2のローラーの何れか一方のローラーはシートを前記被処理面に対してばね力で付勢し、前記何れか他方のローラーは前記本体部の重さにより前記シートを前記被処理面に対して押圧するように構成したことを特徴としてもよい。
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本実施形態における床拭き機の平面図を示す。図1において、本発明の表面処理装置の一実施の形態である床拭き機1は、平面視では略四角形の筐体2aを有する本体部2を備えている。筐体2aの上面には、開閉蓋3と、操作部4と、表示部5が設けられ、筐体2aの中には、第1車輪6(破線で図示)と、第2車輪7(破線で図示)と、電気回路部8と、電池9とが設けられている。電気回路部8は制御部10(図10に図示)を有する。第1車輪6と第2車輪7は車輪部の一例である。なお、本体部2については、上、下、左、右を図1および図2の矢印C1、C2、C3で示す方向として説明する。
【0020】
図2について説明する。図2に示すものが図1にも示されているときには図1にも符号を付す。本体部2は、さらに、容器15と、チューブ16と、液体射出器17と、第1モータ(車輪用駆動源)20と、第2モータ(車輪用駆動源)21(図10に図示)と、第1シート収容部27と、表面処理部29と、第2シート収容部31と、離接体32と、を有する。第1シート収容部27は、第1ローラー33と、第2ローラー34と、第3ローラー35と、第1ばね36と、を有する。また、表面処理部29は、表面処理部の一例である第4ローラー40と第5ローラー41(図1では、図中上側を41a、図中下側を41bとする)と、を有する。第2シート収容部31は、第7ローラー50と、第8ローラー51と、第9ローラー52と、第2ばね53と、を有する。第3ばね54(図5図6図11に図示)は、第5ローラー41を筐体2a側から下側に向けて付勢する圧縮ばねである。離接体32は、外周を形成するフレーム56と、フレーム56に対して内部に摺動可能に保持されたスタンド57と、スタンド57を摺動させる第4モータ(スタンド移動用駆動源)58と、を有する。また車輪部6、7の近傍にはストッパー59を有する。また、筐体2aの側面2bには凹部2c(図1では破線で図示し図2では2点鎖線で示す)が設けられ、この凹部2cにはレバー62(図1では破線で図示し図2では2点鎖線で示す)が矢印V方向へ回転可能に設けられており、回転前は先端が2時方向を向き、回転後は10時方向を向く。図2に示す床拭き機1は、平坦な被処理面の一例である床面(木床やタイル、ラミネートフロアなどの表面)55上に移動可能に置かれている状態である。なお、本体部2の筐体2a以外の構成要素、即ち車輪部(第1車輪6、第2車輪7)、第1シート収容部27、表面処理部29、第2シート収容部31、離接体32、後述するシート駆動部60(制御部10、第3モータ(シート移動用駆動源)22、第8ローラー51)等は、いずれも直接的にあるいは間接的に筐体2aに保持されている。なお、本明細書において保持とは、直接的あるいは間接的に保持することを意味する。
【0021】
本実施形態1の床拭き機1は、本体部2と、本体部2に装着される消費材(後述する)と、から構成される。本実施形態1では、本体部2にシート23と、シート23の端部と一体的に構成された第1円筒部材24および第2円筒部材25が着脱可能な構成として説明する。
【0022】
図1図2の両方を用いて詳述する。開閉蓋3は、使用者によって自由自在に開けられる。開閉蓋3を矢印A方向(図2に図示)へ開くと容器15が露見する。図2に、開閉蓋3が開いた状態を2点鎖線で示す。容器15は、洗浄液等の液体(水や油剤、アルコールを含んだ混合液など)を収容するものである。チューブ(液体供給部)16は、中空状であって、一端は容器15の底部に接続され、他端は液体射出器17に接続されており、容器15に収容された液体を液体射出器17へと供給する。液体射出器17が動作すると、液体射出器17は供給された液体をシート23に向けて適量射出する。射出量が多過ぎると、シートから液体が垂れ落ち、液体の跡が床に残ってしまう。少な過ぎると、汚れを溶かしたり浮き上がらせる効果が低減してしまう。液体射出器17には、容器15に蓄えられた液体がチューブ16の中を通って供給される。また、液体射出器17には液体を射出する第1射出口17a、第2射出口17b、第3射出口17c、第4射出口17d(いずれも図1に図示)を有し、容器15から供給された液体を各々の射出口17a、17b、17c、17dから射出して、シート23の全幅(矢印C方向に直交する方向の全幅)に液体を均一に含浸させることができるようになっている。液体射出器17から射出された液体は17e(図2参照)で示す。各々の射出口17a、17b、17c、17dから液体を連続射出すると、シート23に付与される液体は多過ぎてしまうため、時には、シート23から垂れ落ちてしまう。本実施形態1では、液体を断続射出することにより、液体の射出量が適量になるようにしている。
【0023】
第1車輪6は第1モータ20に接続されている。第1車輪6に平行で、且つ第1車輪6と同径な第2車輪7は第2モータ21に接続されている。第1車輪6と第2車輪7は、ともに床面55上を走行するときに、床面55に接触しながら回転動作をする車輪である。第1車輪6の軸心6a(図1に図示)と第2車輪7の軸心7a(図1に図示)は一致させている(同軸である)ので、例えば、本体部2が床面55上に置かれているとき、第1車輪6と第2車輪7が同じ回転数で、且つ、ともに同方向へ回転するように第1モータ20と第2モータが動作すると、第1車輪6と第2車輪7が正回転(図2に示す矢印B方向の回転)であれば、本体部2は矢印C方向(図1及び図2に図示)即ち前方へ移動する(この移動を直前進と称する)。第1車輪6と第2車輪7が同じ回転数で、ともに逆回転(矢印Bの反対方向の回転)であれば、本体部2は矢印Cの反対方向即ち後方へ移動する(この移動を直後進と称する)。第1車輪6より第2車輪7の回転数が高く、ともに正回転であれば、本体部2は矢印D方向へ移動する(図1に示し、この移動を右折前進と称する)。第1車輪6より第2車輪7の回転数が低く、ともに正回転であれば、本体部2は矢印E方向へ移動する(図1に示し、この移動を左折前進と称する)。第1車輪6より第2車輪7の回転数が高く、ともに逆回転であれば、本体部2は矢印Dの反対方向へ移動する(この移動を右折後進と称する)。第1車輪6より第2車輪7の回転数が低く、ともに逆回転であれば、本体部2が矢印Eの反対方向へ移動する(この移動を左折後進と称する)。本明細書で単に前進というときは、基本的に直前進、右折前進および左折前進を含み、単に後進というときは、基本的に直後進、右折後進および左折後進を含む。
【0024】
消費材であるシート(雑巾とも呼ぶ)23は、所定の長さを有し、ポリエステルやナイロン、レーヨン、綿などの材質からなり、繊維を織ったり編んだりした織物や編み物、或いは、紙やフェルトなど織ったり編んでいない不織布から細長い帯状に形成されたものである。このシート23は、一端がシート23の一端を保持する第1保持部材の一例である第1円筒部材24に保持されて固定されているとともに、図2では反時計方向に複数回巻かれている状態を示している。第1円筒部材24の上側から延出し第5ローラー41a、41bと第4ローラー40の表面を経由したシート23の他端はシート23の他端を保持する第2保持部材の一例である第2円筒部材25に保持されて固定されているとともに、図2では時計方向に複数回巻かれている状態を示している。第1円筒部材24、第4ローラー40および第2円筒部材25は、いずれもその軸心は、前後方向に直交する左右方向に平行となる(或いは、車輪6、7が回転して本体部2が走行する方向と直交する方向に交差する)ように配設され、シート23は第1円筒部材24から第5ローラー41a、41bの外周、第4ローラー40の外周を経て第2円筒部材25に向けて本体部2内で前後方向に移動する。本体部2にシート23が装着されているとき、平面視(図1の状態)において、筐体2aに対して第4ローラー40は、その右端部40aおよび左端部40bが、右側および左側にともにP1だけ凹んでおり、第5ローラー41a、41bは筐体2aに対してWだけ突出している。さらに、筐体2aに対してシート23はQだけ突出するように取り付けられている。QはWに対して大きい関係にある。
【0025】
すなわち、突出量Wの第5ローラー41a、41bに対して、筐体2aの外形である側面2bから外側へ向けて突出する方向(軸心6aや7aの延長方向)に突出する構成部品はない。この理由は、本体部2が清掃のために部屋の中を移動する際、壁に平行して前進をすると、第5ローラー41a、41bより先に壁に接触して、壁際の清掃が行えなくなる事態を回避するためである。
【0026】
また、第5ローラー41より第4ローラー40が矢印C方向へX3だけ先行する。
【0027】
第1ローラー33と第2ローラー34は離間して配置されるとともに、回転自在に筐体2aに保持されている。第1ばね36の一端は筐体2aに回転自在に保持された第3ローラー35の軸受に当接もしくは固定されている。第1ばね36の他端は筐体2aに当接もしくは固定されている。第1ローラー33と第2ローラー34と第3ローラー35は、第1円筒部材24の外周に巻かれたシート23に当接する。第1円筒部材24に巻かれたシート23の巻き数が多ければ太径となるため、第1ばね36は圧縮し、第3ローラー35が第1円筒部材24に巻かれたシート23を第1ローラー33および第2ローラー34に向けて付勢するので、シート23は弱い力を加えただけでは移動せず不動に保持される。第1円筒部材24に巻かれたシート23の巻き数が少なければ細径となるため、第1ばね36は徐々に伸長し、第3ローラー35が第1円筒部材24に巻かれたシート23を第1ローラー33および第2ローラー34に向けて付勢するようになっている。この付勢により、第1円筒部材24は弱い力では回り難くし、シート23を引き出そうとしても容易には引き出せないようになっているので、それらのローラー間から簡単に抜け出さないように収容される。
【0028】
従って、第1円筒部材24に巻かれたシート23の多少に関わらず、第1円筒部材24に巻かれたシート23は、第1ローラー33と第2ローラー34と第3ローラー35との間で3点支持されているので、安定して保持されつつそれらのローラー間から簡単に抜け出さないように収容される。
【0029】
第7ローラー50は、筐体2aに回転自在に保持されている。第7ローラー50とは離間して配設され第3モータ22に接続された第8ローラー51は、表面に凹凸を有し、第3モータ22に回転駆動されるようになっている。第2ばね53の一端は回転自在の第9ローラー52の軸受に当接もしくは固定されている。第2ばね53の他端は筐体2aに当接もしくは固定されている。第7ローラー50と第8ローラー51と第9ローラー52は、第2円筒部材25の外周に巻かれたシート23に当接する。第2円筒部材25に巻かれたシート23の巻き数が多ければ太径となるため、第2ばね53は圧縮されつつ、第9ローラー52が第2円筒部材25に巻かれたシート23を第7ローラー50および第8ローラー51に向けて付勢するようになっている。第2円筒部材25に巻かれたシート23の巻き数が少なければ細径となるため、第2ばね53は伸長しつつ、第9ローラー52が第2円筒部材25に巻かれたシート23を第7ローラー50および第8ローラー51に向けて付勢するようになっている。図2では、第1円筒部材24にはシート23が多く巻かれて太径になっており、第2円筒部材25にはシート23が少なく巻かれて細径になっている。
【0030】
従って、第2円筒部材25に巻かれたシート23の多少に関わらず、第1円筒部材25に巻かれたシート23は、第7ローラー50と第8ローラー51と第9ローラー52との間で3点支持されているので、安定して保持されつつそれらのローラー間から簡単に抜け出さないように収容される。
【0031】
すなわち、第1円筒部材24に巻かれたシート23は、第1ばね36の力が第3ローラー35からシート23の表面に作用し、第1ローラー33と第2ローラー34に反作用が働いて、第1円筒部材24はシート23が引き出されたり駆動されて回転しなければ静止を維持する。第2円筒部材25に巻かれたシート23は、第2ばね53の力が第9ローラー52からシート23の表面に作用し、第7ローラー50と第8ローラー51に反作用が働いて、第2円筒部材25はシート23が引き出されたり駆動されて回転しなければ静止を維持する。
【0032】
第3モータ22が駆動動作してシート23を移動させるようになっている。第3モータ22が動作すると、第8ローラー51は矢印F方向へ回転する。第8ローラー51は第2円筒部材25に巻かれたシート23に当接しており、しかも、表面に凹凸を有するため、第8ローラー51の回転動作に連動して第2円筒部材25は矢印G方向へ回転し、これに連動して第9ローラー52と第7ローラー50も回転し、第2円筒部材25にはシート23が矢印H方向から引き込まれ、第2円筒部材25に巻かれて太径化しながら、第2円筒部材25の周囲にシート23が巻かれて回収される。第4ローラー40は、シート23が矢印H方向へ送り出されることに連動して矢印J方向へ従動回転し、第5ローラー41は矢印K方向へ従動回転する。これらの動作より、第1円筒部材24側から第4ローラー40側へシート23が矢印L方向に移動し、第1円筒部材24は矢印M方向へ周りながら細径化する。第1円筒部材24に巻かれたシート23の減少量は、第2円筒部材25に巻かれるシート23の増加量と等しい。
【0033】
第3モータ22にはウォームを設け、第8ローラー51または第8ローラー51の回転軸(図示せず)にウォームホイールを設けているので、第3モータ22が回転すると第8ローラー51は回転するが、第8ローラー51を故意に回そうとしても、第3モータ22は回らない。すなわち、本体部2にシート23を装着すれば、故意に第2円筒部材25を回そうとしても、順方向(矢印G方向)または逆方向の何れにも回らないようになっている。第3モータ22の回転を、第8ローラー51が矢印F方向にだけ回るように制御部10が制御すれば、シート23は第2円筒部材25に一方向だけに巻かれ、第2円筒部材25が逆回転しないので、第4ローラー40と第2円筒部材25の間のシート23および第4ローラー40と第1円筒部材24の間のシート23にはたるみが発生しない。
【0034】
表面処理部29である第4ローラー40および第5ローラー41は弾性材料からなる弾性体で形成されている。シート23が約5時方向から約9時方向まで巻かれた第4ローラー40は、本体部2の重さによりYだけ圧縮される。同時に、第4ローラー40の巻き始めから巻き終わりまでの間の一部である6時方向を床面55に押し付けることにより、シート23は床面55に対して接触幅X1を形成する。仮に、第4ローラー40が剛体であれば、Yがほぼ零になりX1は限りなく狭くなる(線になる)。第4ローラー40がYだけ潰れると、第4ローラー40を介してシート23が床面55に押し付けられる。この状態で本体部2が移動すると、第4ローラー40によって床面55に押し付けられたシート23は、床面55と擦れることにより床面55上の汚れを取得する。シート23が約4時方向から約7時方向まで巻かれた第5ローラー41は、第4ローラー40の巻き始めから巻き終わりまでの間の一部である6時方向を第3ばね54の反力によりYだけ圧縮される。同時に、シート23は床面55に対して接触幅X2を形成する。なお、第4ローラー40および第5ローラー41は、全体が弾性体で形成されている必要はなく、その外周部分のみが弾性体で形成されていても良い。その場合の外周部分の弾性体層の厚さは、本体部2の重さや第3ばね54の反力により所望量Yの潰れが生じる厚さ以上とすることができる。また、上記弾性材料としては、例えばゴムやスポンジを用いることができ、それらの材料としてはウレタンやシリコンを用いることができる。上述の実施の形態では本体部2の重さを車輪部6、7と第4ローラー40と第5ローラー41とで支える構成とすることで第4ローラー40と第5ローラー41に本体部2の重さを作用させて弾性体を圧縮させている。なお、接触幅X1やX2は、汚れの目標取得量や第4ローラー40や第5ローラー41の硬さ、直径など、他の設計パラメータを考慮して、適宜設定すればよい。適宜設定してもよい。
【0035】
また、第4ローラー40は、筐体2aの最先端位置よりNだけ前方に突出している。本体部2が矢印C方向へ前進したとき、進行方向の前方に壁があれば、第4ローラー40に巻かれたシート23が筐体2aより先に壁に追突する。筐体2aと壁との間には隙間Nを確保することで、筐体2aが壁に追突してしまって第4ローラー40に巻かれたシート23が隅まで届かない事態が発生することを回避する。すなわち、壁と床が接する隅(角)までシート23が届いて清掃を行えるようになっている。また、前述したように、第4ローラー40が弾性体で形成されているので、第4ローラー40が弾性変形し、より床面55と壁から形成される隅までシート23が届くようになっている。
【0036】
第1円筒部材24側から第2円筒部材25側へシート23を送り出すと、シート23の巻き数が減少する第1円筒部材24は太径状態から細径化し、シート23の巻数が増加する第2円筒部材25は細径状態から太径化する。シート23が多く巻かれた第1円筒部材24からシート23が送出された後の、シート23が巻かれた第1円筒部材24の外径を2点鎖線60aで示す。また、シート23が少し巻かれた第2円筒部材25にシート23が多く巻かれた後の、シート23が巻かれた第2円筒部材25の外径を2点鎖線60bで示す。
【0037】
また、第1円筒部材24が太径状態のとき、第1円筒部材24と第5ローラー41の間のシート23を23aとする。第1円筒部材24が細径状態のとき、第1円筒部材24と第5ローラー41の間のシート23を23bとする。第1円筒部材24が太径状態から細径化すると、液体射出器17からシート23まではシート23aからシート23bへと変化するが、変化の程度は微小なので、液体射出器17から射出された液体がシート23に届かない事態が生じないようになっている。
【0038】
液体射出器17による液体射出は、液体が含浸されたシート23を床面55に供給するためである。この目的を達成するためには、第1円筒部材24に巻かれたシート23に射出してもよい。または、第4ローラー40や第5ローラー41の表面に射出し、これに接触するシート23に転写させてもよい。液体射出器17を用いない場合は、予め、液体を含んだシート23を用いてもよい。この場合、シート23に含浸した液体が気化する場合もあるので、第1円筒部材24に巻かれたシート23の周囲を密閉構造にすれば、なおよい。
【0039】
シート23は、液体射出器17から射出された液体を含んでいれば、床面55上を湿式掃除することができ、液体射出器17から射出された液体を含んでいなければ、床面55上を乾式掃除することができる。
【0040】
フレーム56とスタンド57からなる離接体32は筐体2の先頭中央に配置されている。離接体32の外周を形成するフレーム56の中に摺動可能に保持されたスタンド57は、第4モータ58を駆動するとラックアンドピニオン機構によりフレーム56の中を摺動移動する。フレーム56に収容されているスタンド57は第4モータ58の駆動により突出する移動をし、本体部2が所定の角度だけ傾くまでスタンド57の先端が床面55を押し付けるように当接させる。すなわち、スタンド57が本体部2の底面2f側からスタンド57が本体部2から突出して先端が当たる床面55までの距離La(図2、3に図示)よりスタンド57が突出する長さLb(図2、3に図示)を大きくすれば、スタンド57を床面55に当てると、本体部2を傾けて表面処理部29近傍を浮き上がらせることができる。
【0041】
レバー62は、スタンド57の先端が床面55に接触しながら本体部2が傾いた状態(図3の状態)で矢印V方向へ回転可能になる。スタンド57の先端が床面55に接触させた状態で、レバー62を図2の破線の状態から2点鎖線で示す位置へ回転させると、歯車やベルトなどの機械的動力伝達機構によって第1ばね36を強制的に圧縮させることで第3ローラー35がシート23表面から離れ、および第8ローラー51が矢印U方向へ回転して、第2ばね53が伸び切っても第8ローラー51にシート23が当たらない位置へ第8ローラー51が移動するので、第3ローラー35および第8ローラー51によるシート23への付勢が解消させる。すなわち、第1シート収容部27内ではシート23は第1ローラー33と第2ローラー34の上の載ったままになり、第2シート収容部31内では、第7ローラー50と第9ローラー52の上の載ったままになる。
【0042】
ストッパー59は、本体部2の底面2f側であって、本体部2が前進するときに車輪部6、7に対して後行する位置に配設してある。所定の操作を行うと、制御部10に接続されたモータ(図示せず)に駆動されて、本体部2に収容された状態から突出する。後述する、スタンド57を突出させて本体部2を傾けているとき、本体部2の傾きをさらに大きくさせる力が本体部2に作用したときでも本体部2が転倒しないための転倒防止手段である。なお、このストッパー59は必ずしも設ける必要はなく、例えば、本体部2を傾けたときに床面55に当接する当接部を本体部2の外形の一部で構成してもよい。また、本体部2を傾かせた状態でストッパー59は必ずしも床面55に接触していなくてもよく、本体部2に外力が作用して本体部2の傾きが大きく変化したときに床面55に接触する位置まで突出させるように構成してもよい。また、本体部2の底面2fに配置したが、本体部2の側面2b側や後面2d側に配置して床面55に接触する位置が車輪部6、7より後進する位置で、かつ車輪部6、7より遠ざければ、ストッパー59に作用する力が小さくさせることができるので、高い強度を求めずに済み、構造を簡素化できコストアップの回避がしやすくなる。このストッパー59は、シート23を交換するときに、スタンド57を突出させているときに、自動で床面55に接近させられるようになっている。
【0043】
図3は、図2の床拭き機が床上で傾いて停止している状態を示す図であり、図2に示すスタンド57が突出して床面55に接触している状態である。また、本体部2内から突出したストッパー59が床面55に接触している。スタンド57の先端は、第4ローラー40よりさらに本体2の先頭側(本体部2が前進するときに車輪部6、7より先行する方向)を通過して床面55に当接する。当接するとスタンド57に本体部2の重さが加わり、表面処理部29に加わる力が軽減する。言い換えると、表面処理部29によるシート23の床面55への押し付け力が減少する。さらに、Yがゼロになるようにスタンド57を突出させると、車輪部6、7を着地させながら車輪6、7の軸心を中心に本体部2が回転して傾き、第4ローラー40および第5ローラー41と床面55との間にクリアランスが生じる。他の構成部品を示す符号は図2と同じなので、説明は省く。
【0044】
図4は、図1に示す床拭き機からシートを取り除いたときの正面図である。スタンド57は図3に示す状態と同じであり、さらに、レバー62は矢印V方向へ回転させてあるので、第1ばね36は圧縮しており、第8ローラー51は矢印U方向へ回転しているので、第1シート収容部27および第2シート収容部31では、第3ローラー35および第8ローラー51とシート23との間にクリアランスを生成してシート23への付勢を解消する位置にある。筐体2aには、シート23を装着するための露見部2e(斜線で示す)を有する。この露見部2eは、シート23を本体部2に装着したときにシート23の厚み方向を本体部2の側面2b(図4の手前方向)側へ露見させるものなので、シート23は、図4の手前方向から奥側へ向けて挿入すると、本体部2と干渉すること無く本体部2に装着できる。その後、レバー62を回転前の状態にすれば、第1ローラー33、第2ローラー34、第3ローラー35および第7ローラー50、第8ローラー51、第9ローラー52とシート23との間にクリアランスが解消されて、再びシート23への付勢が維持される。そして、第4モータ58を駆動させると、突出していたスタンド57は本体部2内に埋没して本体部2の傾きが解除され、再び第4ローラー40と第5ローラー41によるシート23の床面55への押し付けが再開される。第1ばね36による付勢を解消させると第1円筒部材24の保持が解除されるが、第1円筒部材24の下側に配置された第1ローラー33と第2ローラー34に第1円筒部材24が載っているので、第1円筒部材24は落下しないようになっている。第2ばね53による付勢を解消させると第2円筒部材25の保持が解除されるが、第2円筒部材25の下側に配置された第7ローラー50と第9ローラー52に第2円筒部材25が載っているので、第2円筒部材25は落下しないようになっている。このように、シート23の保持を解消させても床面55に落下させないように、他機能のために用いたローラーを活用するのが好ましいが、落下防止のためにローラー以外の部材を配置してもよい。
【0045】
図5は、図2に示す本体部の一部を前方から見た図であり、且つ第5ローラーの中心で断面にした図である。従って、図の手前方向が矢印C方向と一致する。この図5および後述の図6を用いて、壁際付近の床面55上を清掃する場合について説明する。まず図5において、第5ローラー41bの手前にある第4ローラー40は2点鎖線で図示してある。筐体2a外形である側面2bに対して第4ローラー40の左端部40bはP1だけ凹んでいる。図示しないが、このP1の領域内で第4ローラー40は回転可能に支持される。反対端側も同様である。第5ローラー41bは、筐体2aの側面2bに対して第3ばね54によって床面55に対して付勢されており、回転可能に保持される保持部41e(詳細の保持構造は図示せず)と、床面55に対して回転軸心41cは角度αだけ傾きながら、外周がシート23を床面55に押し付ける外周面(押し付け面)41dと、保持部41eの反対面である非保持部41fと、を有する。
【0046】
回転軸心41cは、筐体2の側面2bから外側に向かって、かつ床面55から離れる方向へ傾いている。第5ローラー41aも同様の保持構造である。第4ローラー40と第5ローラー41bは、本体部2が前進走行するときに、床面55では距離P2だけ重複する領域をシート23が押付けられて拭き掃除を行う。図示しないが、第4ローラー40と第5ローラー41aも床面55では距離P2だけ重複する。第5ローラー41bは側面2bから距離Wだけ突出している。さらに、側面2bからシート23の端面まではQだけ突出しており、シート23は第5ローラー41bの床面に接している先端からも突出している。すなわち、WよりQが大きい。筐体2aの側壁2bから壁65までの距離をR1とし、図5の状態は、QよりR1が大きい関係にある。シート23は第5ローラー41bによって床面55へ押し付けられ、シート23は床面55と接触して床面55を清掃することができる。同時に、シート23は第4ローラー40によって床面55へ押し付けられているが、第4ローラー41と第5ローラー41bとはP2だけ重複させているので、第5ローラー41bの先端から第4ローラー40の間ではシート23は床面55に押し付けられるので、第5ローラー41bと第4ローラー40の間では拭き残しを生じさせずに床面55を清掃することができる。壁65に近いシート23の端から第5ローラー41bまでの範囲は、シート23は第5ローラー41によって床面55側に押し付けられないため拭き清掃は行われない。なお、床面55にシート23が軽く触れて塵埃を捕捉する場合もある。シート23の端から壁65までの範囲は、シート23が全く触れないので、床面55の清掃ができない。なお、第5ローラー41aも筐体2aからWだけ突出し、さらに、筐体2aの側壁2bからシート23はQだけ突出させるなど、第5ローラー41a側においても、上述の第5ローラー41b側と同様である。したがって、第5ローラー41aの先端から第4ローラー40を介して第5ローラー41bの先端までの間を、拭き残し無く床面55の拭き掃除を行えるようになっている。
【0047】
次に、図6を用いて説明する。図6は、図5に示すR1がR2(R2<Qの関係がある)になった場合を示す。この図6を用いて、壁際の床面を清掃する場合について説明する。筐体2aの外形である側面2bから第5ローラー41bはWだけ突出している。また、筐体2aの外形である側面2bからシート23はQだけ突出している。側面2bから壁65までの距離をR2とする。シート23は第4ローラー40および第5ローラー41bによって床面55側に押し付けられると、シート23は床面55と接触しながら床面55を清掃することができる。R2はQより小さいのでシート23の端が壁65に当たるが、シート23は柔らかいので、第5ローラー41bから壁65側に突出しているシートは上方向へ曲がることにより、R2がWと等しくなるまで本体部2を壁65まで近づけて走行させることができる。R2がWと等しくなっても、筐体2aが壁65に当接すること無く、壁65際にシート23を接触させることができる。その結果、シート23は第5ローラー41bによって壁65近傍の床面55側に押し付けることができるので、シート23は壁65近傍の床面55を清掃することができる。第5ローラー41aにおいても、上述の第5ローラー41b側と同様である。
【0048】
このように、本実施形態1では、筐体2aの側面2b(筐体2aの外形)より外側へ第5ローラー41を本体部2の幅方向即ち左右方向(第1円筒部材24や第2円筒部材25や第4ローラー40の軸心が延長する方向、或いは第1車輪6に対して第2車輪7が離遠する方向、或いは第1車輪6の軸心6aまたは第2車輪7の軸心7bの延長方向)へ第5ローラー41bの押し付け面41dと非保持部41fを突出させ、さらに、第5ローラー41よりシート23を本体部2の幅方向へ突出させたので、筐体2aが壁65に当たることによる壁際の清掃を妨げない。
【0049】
次に、本体部2が移動するときの移動距離とシート23の移動距離について説明する。
【0050】
乾式清掃の場合について説明する。本体部2が前進開始から第1の所定時間だけ前進(直前進に限らず、右折前進および左折前進も含む)を継続していれば、本体部2が前進開始から第1の所定時間経過後に第3モータ22が始動してシート23の移動を開始させる。第3モータ22が始動してから第2の所定時間だけ本体部2の前進が継続していれば、第3モータ22は第2の所定時間だけ動作後に停止する。第3モータ22が始動してから第2の所定時間以内に本体部2が後進(直後進に限らず、右折後進および左折後進も含む)または停止をすれば、本体部2の前進の終了からΔtだけ遅れて第3モータ22は停止する。
【0051】
湿式清掃の場合、本体部2の移動が開始される前に、液体射出器17から液体をシート23に供給し、その後、シート23のうち液体を含有した部分が第4ローラー40と床面55との間および第5ローラー41と床面55との間に位置するまで第3モータ22が動作してから停止する。その後本体部2の移動が開始される。本体部2が移動しているときは、シート23を移動させる直前に液体射出器17から液体をシート23に含まれるように供給し、液体を含有したシート23が床面55に接触する位置へ供給される。
【0052】
以下、前述の内容を含めて、図7を用いて、乾式清掃の場合における、本体部2の移動量とシート23の移動量について説明する。図7において、第3モータ22が停止しているということは、シート23の移動は生じず、第3モータ22が動作しているということは、シート23の移動が発生していることを表わす。
【0053】
図7は、床拭き機1が平らな床面の上を前進および後進して乾式清掃をする場合の、時間と移動距離(本体部2とシート23の移動距離)を示している。横軸は時間を表わし、縦軸は移動距離を示す。本体部2が前進と後進をした場合について説明する。本体部2の始動地点をS0とする。S0から第1地点までの距離をS1とする。S0から第2地点までの距離をS2とする。S0から第3地点までの距離をS3とする。S3はS2より長く、S2はS1より長い関係にある。また、前進および後進時の単位時間当たりの本体部2の移動距離はθ1、単位時間当たりのシート23の移動距離はθ2とする。θ1はθ2より大きい関係にある。
【0054】
本体部2が時刻t0から時刻t1の間S0に停止中であり、第3モータ22も停止中である。時刻がt1になってから本体部2が第1地点に向けて前進を開始し、本体部2が始動してから時刻がt2になる(t1からt2までの時間をT1とする)とき、本体部2の前進は継続しているので、第3モータ22が始動してシート23の移動が開始する。即ち、時刻t2では、本体部2が所定時間T1移動してシート23に所定量の塵埃が捕捉されたと考えられるので、シート23を移動させて第5ローラー41に未使用のシート部分を供給し、床面55に未だ押し付けられていないシートが押し付けられる位置へ移動する。第4ローラー40には、第5ローラー41a、41bの間であって床面55には押し付けられていない未使用のシート部分を供給する。
【0055】
時刻t3(第3モータ22が始動してからt3までに経過した時間をT2とする)では本体部2の前進が継続しているが、時刻がt3のときに時刻t2から時間T2だけ経過しているので第3モータ22が停止してシート23の移動が停止する。T2は、シート23の表面処理部29に接している部分が完全に未使用のシート部分に置き換わらせるために必要な時間もしくはそれ以上の時間とすることが望ましい。その後、本体部2は第1地点を通過し、第3モータ22が停止後から時間T1が経過しても本体部2の前進は継続しているので、第3モータ22が停止後から時間T1経過後(時刻t4)に、再び第3モータ22が始動してシート23の移動が開始する。その後、時刻t5で本体部2が第2地点に到着して停止した場合、第3モータ22は、動作開始からT2以下しか経っていないが、本体部2が停止してからΔt後に停止する。シート23が移動中であるということはシート23に所定量の塵埃が捕捉されているということであり、所定量の塵埃を捕捉している使用済みシート部分の未使用シート部分への置き換えを十分に行うためΔtだけシート23の移動を継続するようにしている。なお、シート23の移動中に本体部23が移動停止したときは、シート23の移動をΔtだけ継続すると共に、その間、つまりシート23の移動が完了するまでは、本体部2の移動停止を継続するようにしている。シート23の移動が完了する前に例えば後進移動を開始すると、塵埃を床面55上に残したままになる恐れが生じるからである。
【0056】
本体部2が第2地点に停止後、時刻がt6になってから本体部2は後進し、時刻がt7になると本体部2が第1地点に到着して停止する。後進中に第3モータ22は動作しないようになっている。時刻がt8になると、本体部2は第2地点の先にある第3地点に向けて、再び前進する。
【0057】
本体部2が時刻t8から前進を開始し、時刻がt9になると、本体部2が前進し始めてから時間がT1経過するので第3モータ22が始動し、シート23が移動開始する。本体部2が第2地点を通過し、時刻がt10になると本体部2は第3地点に到着して停止する。時刻がt10のとき、第3モータ22が始動し始めてからT2以下しか時間が経過していないので、本体部2が停止してからΔt経過後の時刻t11に第3モータ22が停止する。時刻t11で第3モータ22が停止したのち時刻t12で本体部2が前進を再開し時刻t13で停止する。この場合、本体部2が前進を再開してから停止するまでの時間(時刻t12から時刻t13までの時間)がT1以下であるので、第3モータ22は停止したままであり、シート23は時刻t11以降移動を停止したままである。t13では本体部2の前進移動時間がT1以下であるのでシート23には所定量以下の塵埃しか未だ捕捉されておらず、従って、t13以降、シート23の移動を停止したままで本体部2の移動を再開することができる。なお、シート23の移動中に本体部2が前進から停止に変わった場合、本体部2の停止後時間Δt経過するまではシート23の移動を継続するが、その間は本体部2は停止を継続し、前進も後進もしない。また、図6中には記載されていないが、本体部2が前進から停止に変わった時点でシート23が移動していなければ、シート23の移動停止を継続することができる。
【0058】
まとめると、本体部2はシート23を停止させたまま前進または後進を開始する。本体部2の前進移動の累計時間が所定時間T1になるまで、シート23の移動は開始しない。シート23の移動を停止させたまま本体部2は前進移動したときに、前進移動の累計時間が所定時間T1経過した場合には、シート23が床面55の塵埃を取得したと想定し、本体部2が移動中にシート23の移動を開始する。シート23の移動が完了した時点で前進移動の累計時間の計測が再開する。シート23の移動が未完了で本体部2の前進移動が中断すれば、シート23の移動が完了するまでは本体部2の停止が継続されるようになっている。シート23の移動とは、表面処理部29によってシート23が押し付けられていた部分が、シート23が移動開始前に表面処理部29によって押し付けられていない部分に切り替わることである。このように、制御部10は本体部2の移動と停止、及びシート23の移動と停止が行わるように制御することにより、床面55に塵埃を残したりせず、シート23の切り替えのために本体部2を停止させずに床面55の清掃を継続して行うことができる。
【0059】
ここで、シート23の移動開始から移動停止までのシート移動量について説明する。第4ローラー40は第5ローラー41に対して、本体部2が前進移動する前進方向へX3だけ先行する位置に配置してある。シート23を停止させたまま本体部2が所定時間T1だけ前進移動後にシート23の移動を開始させるようになっている。第4ローラー40と第5ローラー41は、床面55をP2の範囲を重複して拭き清掃を行う。本実施形態1では、シート23の移動を開始させたとき、第5ローラー41によって床面55に押し付けられて接触していた接触部分が、第4ローラー40にも床面55に押し付けられて接触した後に、第4ローラー40に巻かれながら床面55に押し付けられない位置まで移動させてから、シート23の移動を停止させている。ゆえに、X3が小さいほどシート23を移動させる量を少なくすることができるので、未使用のシートの減少量を少なくさせる。同時に、第4ローラー40や第5ローラー41に押し付けられて塵埃を取得したシート23の接触部分の増加量を低減する。なお、シート23の移動量は、第4ローラー40または第5ローラー41の何れか一方のローラーによって押し付けられて床面55に接触している接触部分を、床面55に押し付けられない位置まで移動させるなど、重複する範囲P2が取得する塵埃の量などに応じて適宜選択すればよい。少なくとも、何れか一方の接触部分が床面55に対して押し付けられない位置まで移動させればよい。
【0060】
湿式掃除をする場合、図7において、液体射出器17は第3モータ22が始動する直前に所定時間動作してシート23を湿らせ、第3モータ22が動作することにより、湿ったシート23が表面処理部29に接触して床面55にも接触することにより、湿式掃除を行うことができるようになっている。液体射出器17による射出は、本体部2が前進移動を開始した後に第3モータ22の始動直前から、第3モータ22が停止するまで行われるようになっている。
【0061】
図8について説明する。図8は、図7における時刻がt1からt2の間の状態であり、(a)は第4ローラーが床面にシートを押し当てている状態、(b)は第5ローラーが床面にシートを押し当てている状態である。すなわち、時刻がt1からt2の間の状態とは、本体部2が移動しシートは停止している状態である。図8(a)において、本体部2が矢印C方向へ前進し、第4ローラー40の表面に密着したシート23と床面55との境に、床面55上にあった埃が集積して埃80aが溜まっている状態となる。埃80aは複数の埃が集積した状態なので、床面55であって、未だシート23に未接触の埃80b、80c、80d、80eは、集積した埃80aより十分小さい状態である。また、第4ローラー40には未到達で第4ローラー40と第5ローラー41との間のシート23cはいずれの表面処理部29にも床面55に押し付けられていないので、床面55には密着しない。
【0062】
図8(b)において、本体部2が矢印C方向へ前進し、第5ローラー41の表面に密着したシート23と床面55との境に、床面55上にあった埃が集積して埃80fが溜まっている状態である。埃80fは複数の埃が集積した状態なので、床面55であって、未だシート23に未接触の埃80g、80hは、集積した埃80fより十分小さい状態である。また、第4ローラー40の両端から外側を通過中および通過済のシート23dは床面55に押し付けられ後だが床面55には密着していないので、床面55の塵埃がシート23dに接触すると、シート23dに取得される。取得されない塵埃は埃80fと一体となる。
【0063】
図9について説明する。図9は、図7における時刻がt2からt3の間の状態であり、(a)は第4ローラーが床面にシートを押し当てている状態、(b)は第5ローラーが床面にシートを押し当てている状態である。すなわち、時刻がt2からt3の間の状態とは、本体部2が移動しシートも移動している状態である。図9(a)において、本体部2が矢印C方向へ前進しつつ第3モータ22の作動により第4ローラー40の矢印J方向への回転をしてシート23が移動しているので、床面55の拭き処理を終えた、第4ローラー40によって押し付けられていた部分が、第4ローラー40に巻かれつつ床面55に接触しない位置へ移動し、及びシート23に接触していた埃80aはシート23によって捕捉され、第4ローラー40の矢印J方向への回転と共に行われたシート23の移動により床面55から離れる。第4ローラー40の表面に密着したシート23と床面55との境には、新たに埃80bと埃80cが集積して一体となり始めており、図8に示す埃80bと埃80cより大きくなる。本体部2の前進とシート23の移動により、これら埃80bと埃80cはシート23によって順次捕捉されることで、床面55が清掃される。
【0064】
図9(b)において、本体部2が矢印C方向へ前進しつつシート23が第3モータ22の作動により第4ローラー40の矢印J方向への回転を伴い、さらに、第5ローラー41の矢印K方向への回転を伴うので、埃80fが床面55から離れた位置までシート23が移動し、第5ローラー41は供給された未使用なシート23を床面55に押し付けている。
【0065】
なお、図示していないが、第4ローラー40や第5ローラー41によって床面55に押し付けられている、シート23の床面55への接触部分も床面55上の塵埃を取得する。第5ローラー41によって押し付けられながら本体部2が走行し、この走行中にシート23の移動が行われたとき、第5ローラー41によって押し付けられていた部分は第5ローラー41と第4ローラー40との間にあるが、第5ローラー41による拭き掃除が行われているので、第5ローラー41によって押し付けられていた部分が塵埃を床面55に落下させてしまっても第5ローラー41によって取得される。
【0066】
ここで、図2について補足する。第4ローラー40および第5ローラー41に接触したシート23の一面(これを裏面という)には塵埃が付着しておらず、シート23の裏面とは反対側の面である他面(これを表面という)には取得された塵埃が付着する。第4ローラー40や第5ローラー41を通過したシート23は第2円筒部材25に巻かれるが、塵埃が付着した表面は第2円筒部材25の軸心に向くように、即ち内側に向くように巻かれる。言い換えれば、塵埃が付着している表面には第7ローラー50と第8ローラー51と第9ローラー52が接触しないので、これら第7ローラー50と第8ローラー51と第9ローラー52の表面に塵埃が移行することにより、スムーズな回転を妨げる事態の発生を回避できるようになっている。また、第2円筒部材25に巻かれたシート23は、取得された塵埃が付着している表面が第2円筒部材25の軸心に向くように巻かれているので、塵埃がシート23から床面55に落下してしまうことも防止する。
【0067】
図10について説明する。制御部10は、操作部4と、表示部5と、電池9と、液体射出器17と、第1モータ20と、第2モータ21と、第3モータ22と、第4モータ58と、水位検知部70と、シート検知部73と、情報処理部74と、カメラ部75と、に接続されている。制御部10と、第3モータ22と、第8ローラー51とでシート駆動部60が構成される。図7に示すシート23の移動はこのシート駆動部60により制御される。シート駆動部60は、あらかじめ上記のT1,T2、Δt、θ2(シート23の移動速度)およびシート移動の規則を記憶しておき、タイマーを用いて第1モータ20の回転開始からの経過時間および回転停止からの経過時間を計測し、第3モータ22の回転開始からの経過時間および回転停止からの経過時間を計測し、それらに基づいて第3モータの回転(回転開始、回転停止、回転速度)を制御することにより、上述のシート移動制御を実現する。なお、制御部10は、典型的な集積回路であるLSIとして実現される。集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Feild Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0068】
操作部4は、本体部2の電源をオン・オフするスイッチを有する。また、本体部2の動作の開始機能と停止機能やスタンド57の移動開始の指示機能も有する。本体部2の動作を開始する操作を行うと、本体部2は前進や後進により、部屋の中を移動しながら床拭き清掃を開始するように制御部10より制御される。清掃動作終了の操作を行ったり所定範囲の拭き掃除が完了したり、シート23の残量が所定量以下になったりすると、本体部2の移動は停止するようになっている。また、シートの交換を行うために本体部2が停止中に、スタンド57の移動を開始させる操作を行うと、スタンド57を突出させる。またシート23の交換が完了したあとにスタンド57の移動を突出させる前の位置へ戻すための操作を行うと、スタンド57を引き込んで突出させる前の状態に戻すように制御部10により第4モータ58が制御される。なお、制御部10は、本体部2が停止した状態でなければスタンド57の移動を許可せず、スタンド57が突出した状態で本体部2およびシート23の移動が行われないよう制御する。また、制御部10は、スタンド57が突出した状態では本体部2とシート23の移動を許可しないように、第1モータ20や第2モータ21、第3モータ22を停止させたままになるよう制御する。表示部5は、本体部2の電源がオンされているとき、容器15に収容された液体の容量や電池9の残容量情報を表示するように制御部10によって制御される。電池9は、制御部10による制御により、操作部4と、表示部5と、液体射出器17と、水位検知部70と、第1モータ20と、第2モータ21と、第3モータ22、第4モータ58と、シート検知部73と、情報処理部74と、カメラ75へ電源を供給する。水位検知部70は容器15の外に設けられ、容器15の中にある液体の容量を検知するものである。液体が所定量以下になれば、液体の残存量が少ないことを使用者に報知するために、表示部5に残存量が所定量以下であることを示す表示がされる。
【0069】
なお、操作部4の操作によって、液体を含まずに清掃を行う乾式清掃や少量の液体を含有して清掃を行う湿式清掃を選択することができるようになっており、湿式清掃を選択したときのみ、液体射出器17は前述の射出動作を行う。水位検知部70が所定量以下の水位であることを検知すれば、使用者が湿式清掃を選択したときには、表示部には液体の残量が不足していることを使用者に報知する表示がなされる。
【0070】
シート検知部73は、第1シート収容部27に設けられ、第1円筒部材24の表面にシート23が巻かれているか否か或いは巻かれているシート23の厚みが所定量を有しているか否かを検出する。シート23が巻かれているか否かは、例えば第1円筒部材24の表面が露出しているか否かを検出して判断することができる。シート検知部73によって第1円筒部材24の表面にシート23が無い或いは巻かれているシート23の厚みが所定量以下と判断されれば、第3モータ22が動作しないように制御されるとともに、表示部5には、第1円筒部材24上にシート23が無いことを使用者に報知する表示がなされる。
【0071】
情報処理部74は、カメラ部75が撮影した撮影情報から得られる本体部2の位置情報を処理し、部屋の中の未清掃領域を無くすために、第1モータ20や第2モータ21や第3モータ22に指示する情報の処理を行う。これにより、部屋の中の全域を清掃することができる。カメラ部75は、本体部2内に設けられている。本体部2が前進や後進を組み合わせて部屋中を隅々まで移動する際、制御部10に制御されたカメラ部75が周囲を撮影し、撮影した撮影情報から本体部2が始動した位置からどの方向へどのくらいの距離を移動したかを検出できるようになっている。また、カメラ部75は、床面55の異物や汚れを撮影し、無線部(図示せず)から他の装置(例えば、情報端末)に撮影画像とその位置情報、撮影時刻等画像情報を送信する。例えば、この画像情報を受け取った人は、どこに、どのような汚れが付着しているのかという汚れの存在情報を認識することができる。また、無線部は床拭き機1が通過した位置情報も送信するので、この情報を受け取った側は拭き清掃の進捗を把握しやすくなっている。この機能は、例えば、公共施設等広いエリアを拭き掃除をするときに有用である。
【0072】
次に、部屋の中の床面55を清掃するときの動作について説明する。
【0073】
使用者が操作部4を操作して本体部2の電源をオンにすると、本体部2は移動可能になる。さらに、使用者が操作部4を操作して、湿式清掃モードか乾式清掃モードかを選択すると、使用者が操作部4を操作して始動操作を行うと、シート23が本体部2に装着されていて、かつ第1円筒部材24の表面にシート23が巻かれていることを検出すれば、本体部2は移動開始ができる。カメラ部75が撮影した撮影情報を処理しながら、第1モータ20と第2モータ21を制御することにより、本体部2は部屋の中を自走移動する。本体部2が移動すると、第4ローラー40および第5ローラー41によって55に押し付けられたシート23が床面を清掃する。清掃に当たっては、図1に示されているように、シート23は本体部2の前後方向に移動し、即ちシート23の幅方向が本体部2の左右方向となっており、かつ、本体部2の前方から見たとき、第1車輪6と第2車輪7とはシート23の幅領域内に位置するように配設されているので、本体部2が前進して清掃を行っているとき、第1車輪6と第2車輪7はシート23で清掃済みの床面55上を走行することとなり、第1車輪6および第2車輪7に床面55上の塵埃が付着することが防止される。清掃中は、始動前の操作で乾式清掃モードを選択していれば、液体射出器17からは液体が射出されず、湿式清掃モードを選択していれば、液体射出器17から液体が射出される。
【0074】
シート23の動作について説明する。第3モータ22が動作して、シート23が巻かれた第2円筒部材25が矢印G方向へ回転すると、第1円筒部材24に巻かれたシート23が第1円筒部材24から引き出され、第4ローラー40および第5ローラー41によって床面に押し付けられて床面55を清掃する。この動作を繰り返すことで、床面とは未接触なシート23が順次供給され、この供給されたシート23を床面に接触させて清掃できるので、広い床面55であっても拭き掃除を中断することなく清潔に清掃することができる。汚れたシート23を床面に接触させ続けることで、シート23が床面の汚れを取得できなくなってしまうことを回避できるようになっている。湿式清掃の場合、床面55とは未接触で、且つ液体射出器17から噴射された液体を含有したシート23が床面55と接触して床面55上の清掃が行われる。乾式清掃と湿式清掃の相違点は、液体射出器17からの液体射出の有無だけである。
【0075】
また本実施形態1では、長い第4ローラー40と短い第5ローラー41を併用したので、一度の走行で幅広くかつ壁際の拭き掃除をすることができる。しかも、第4ローラー40と第5ローラーとは、本体部が走行する方向とは直交する幅方向で、シート23が押し付けられる領域(図5図6、後述する図11のP2を指す)を重複させたので、第4ローラー40と第5ローラー41の間に拭き残しの領域を生じさせずに拭き清掃を行えるようになっている。
【0076】
次に、シート23の交換動作について説明する。図2のように、本体部2にシート23が取り付けられた状態から説明する。操作部4を所定操作するとスタンド57がフレーム56から突出してスタンド57の先端が床面55に接触し、さらに突出させると図3および図4のように車輪6、7を着地させながら本体部2を傾かせる。その後、レバー62を矢印V方向へ回転させると第1ばね36は圧縮し、第8ローラー51は矢印Uの方向へ回転して第3ローラー35と第8ローラー51によるシート23への付勢が解消される。次いで、第1シート収容部27および第2シート収容部31からシート23を図1の矢印C3方向(図3では手前方向)に引き抜くと、本体部2からシート23を取り外すことができる。逆の手順を行うと新品のシート23を装着することができる。新品のシート23と取り換えた後は、レバー62を元に戻し操作部4を操作してスタンド57を引き込ませれば、本体部2の床面55に対する傾きが解消され、再び表面処理部29による床面55への押し付けが回復するので、拭き掃除を再開することができる。
【0077】
すなわち、スタンド57を床面55から離遠させているときに本体部2を移動させた場合、床面55に押し付けられたシート23で拭き清掃を行うことができるとともにスタンド57による床面55への傷付きを防止できる。さらに、この状態で、床面55に押し付けられていないシート23を床面55に接触する位置へ供給し、同時に押し付けられていたシート23を押付けられない位置へ移動させると、押し付けられる位置へ供給されたシートは本体部2の重みや第3ばね54により、シート23が第4ローラー40及び第5ローラー41を介して床面55上に向けて押し付けられることにより、比較的取り除きづらい汚れが床面上に付着していても、強く擦り付けることによる汚れ取得清掃を無人で行うことができる。次に、本体部2の移動を停止させて第4ローラー40及び第5ローラー41による床面55へのシート23の押し付けに代わってスタンド57を床面57に接触させたので、車輪6、7を床面55に着地させたまま床面55に対して本体部2を傾けることができる。すなわち、第4ローラー40及び第5ローラー41による押し付けを解消させることができる。その結果、シート23を破いたり破損させずに本体部2から容易に取り外すことができ、また新品のシートを破いたり破損させずに本体部2に容易に装着できるなど、使用済のシートを新品のシートに交換する際、シートを破損させずに使用者によるシート交換作業の短時間化、容易化を図ることができる。なお、図3の状態では、本体部2の左側も開放されているので、この左側の領域であって本体部2の底面側にブラシ等を配置すれば、手前側以外に左側へ向けて取り外して交換することができるなど、メンテナンス性を向上させることができる。
【0078】
また、本実施形態1では、両端側が保持された第4ローラー50と片端側が保持された第5ローラー41とを設けた構成である。両端側が保持された第4ローラー40には片端が保持された第5ローラー41に対して床面55に押し付ける力を大きくしても支持する部位の応力は大きくならないので、第5ローラー41に対して第4ローラー40を長くすることができる。よって、本体部2を走行させるとき、第4ローラーを長くすることで、一度の走行で広い面積の拭き掃除をすることができる。第4ローラーより短くした第5ローラー41は片端支持構造なので、本体部を壁際に近寄らせることができる。第4ローラー40が床面55に押し付ける圧力と第5ローラー41が床面55に押し付ける圧力を同じくするために、第4ローラー40が床面55に押し付ける力より第5ローラー41が床面55に押し付ける力を小さくし、第4ローラー40に対して第5ローラー41の長さも短くしている。言い換えれば、第4ローラー40がシート23を床面55に押し付けるときの領域の面積を、第5ローラー41がシート23を床面55に押し付けるときの領域の面積より小さくしている。なお、第4ローラー40や第5ローラー41が床面55を押付ける荷重は、汚れの取得量や第4ローラー40や第5ローラー41の硬さ、直径など、他の設計パラメータを考慮して、適宜設定すればよい。
【0079】
シート23の着脱操作をより簡単にするためには、複数の部品の集合化、集約化をすることが望ましい。第1円筒部材24と、第1シート収容部27と、表面処理部29と、第2シート収容部31と、第2円筒部材25と、シート23と、を集約し、一体的に構成した一体構成品(クリーニングカートリッジと呼ぶ)を本体部2に着脱可能にすれば、使用者による交換作業の短時間化を図ることができる。或いは、シート23の裏面側に配置される構成部材とシート23の表面側に配置される構成部材とで分離させるなど、クリーニングカートリッジの構成要素は適宜組み合わせればよい。また、第3モータ22から第8ローラー51に動力を伝達する構成は、例えば、第3モータ22にウォームを設け、第8ローラー51の回転軸と同軸にウォームホイールを設けるとよい。クリーニングカートリッジを取り外す際は、ウォームとウォームホイールの噛みあいが解消され、クリーニングカートリッジを本体部2に取り付ける際は、ウォームとウォームホイールを噛みあわせることができる。なお、クリーニングカートリッジは、少なくとも、シート23の一端23aを保持する第1円筒部材24と他端を保持する第2円筒部材25と、を備えていれば良く、適宜、構成部品を追加したり態様を変えてもよい。
【0080】
または、本体部2に対して引き出し可能な引き出しユニットを設け、本体部2から引き出しユニットを引き出してシート23を装着してもよい。または、本体部2に対して開閉可能な開閉ユニットを設け、本体部2に対して開閉ユニットを開いてこの開閉ユニットの中にシート23を装着してもよい。引き出しユニットまたは開閉ユニットは、少なくともシートを保持するように構成して、引き出しユニットまたは開閉ユニットを本体部2に対して収容させたあとに、床面55に対してシート23が押し付けられ、および第1シート収容部27と第2シート収容部31とでシート23の表面を付勢するようにすればよい。すなわち、本体部2は各構成要素が一体化された一体物である必要はなく、本体部2の一部をユニット化し、このユニットを本体部2の残りの部分に対して着脱あるいは開閉自在に構成しても良い。
【0081】
また、第2円筒部材25を回転させてシート23を移動させるために、第2円筒部材25に巻かれたシート23の表面に、第3モータ22が発生する駆動力が伝達される第8ローラー51を当ててシート23を移動させるように構成したが、この第8ローラー51によりシート23に移動させる力を付与する方法の代替として、シート23表面から離間した第8ローラーと、この第8ローラーとは別に新たなローラーを設け、この新たなローラーと第8ローラーとにベルト部材を架け渡し、このベルト部材を第2円筒部材25に巻かれたシート23の表面に当てて回動させれば、シート23とベルト部材との間で大きな接触面積を確保することができ、スリップ(第8ローラー51が回っても第2円筒部材25に巻かれたシート23が移動しない状態)の発生を回避しやすくなり、より確実にシート23に移動する力(或いは、第2円筒部材25に回転する力)を付与することができる。なお、シート23の移動は、第2円筒部材25を駆動回転させることにより行っても良い。
【0082】
または、第4ローラー40と第5ローラー41は、シート23の移動に伴って従動回転する構成として述べたが、これらを駆動回転させる第5のモータや第6のモータを設けたり、第3モータの駆動力を伝達して駆動回転させてシート23を移動させてもよい。
【0083】
または、シート23の両端は、第1円筒部材24及び第2円筒部材25によって保持されたが、他の態様であってもよい。これに伴い、シートを移動させるモータは、第2円筒部材25を回転させたが、シート23に直接力を加えて移動させたり、第4ローラー40や第5ローラー51を回転駆動させて移動させてもよい。
【0084】
なお、本実施形態1で説明した湿式掃除とは、シート23を水で濡らして絞ってから清掃対象面を拭く動作ではなく、絞る必要が無い程度の液体が供給されたシート23を清掃対象面上に接触させながら移動させて、清掃対象面上の塵埃を捕捉、取得することである。
【0085】
(実施形態2)
実施形態2は、実施形態1に対して第5ローラーの形態を変えたものであり、図11を用いて説明する。図11は、本発明の実施の形態2における床拭き機が壁から離遠した状態を示す図であり、図5に示す第5ローラーの形状と第5ローラーの保持構造が異なる。図11において、第5ローラー71は本体部2の右側に71a(図示せず)、左側に71bが配設され、筐体2aの側面2bに回転可能に保持された保持部71eが支軸72に対して回転するように保持され、回転軸心71cは床面55と略平行である。第5ローラー71の外周には床面55にシート23を押し付ける外周面(押し付け面)71dと、保持部71eの反対面である非保持部71fと、を有する。実施形態1で述べたように、第5ローラー71はシート23を移動させると支軸72とともに矢印K方向(図2に図示)に回転するようになっている。また、第4ローラー40と第5ローラー71は床面55では距離P2だけ重複する。また、その他の符号は図5と同じなので、説明を省く。
【0086】
実施形態1では、第5ローラー41の回転軸心41cを傾けて、本体部2の外形から第5ローラー41を突出させるように配置したが、本実施形態2では、支軸72はその軸心を傾けず床面55と平行になるようにしながら、本体部2の側面2bから外側へ第5ローラー71を突出させて、第5ローラー71が本体部2の最外形を形成するようにしたので、第5ローラー71で壁65際の拭き清掃が行えるなど、実施形態1で述べた第5ローラー41と同じ効果を有する。回転軸心41cのように傾けたり支軸72の軸心を床面55に平行になるようにするなど、製造コストを考慮して適宜選択すればよい。
【0087】
ここで、第4ローラー40と第5ローラー41、71の長さと保持構造について補足説明する。第4ローラー40は両端が保持された、所謂、両端支持の梁と考えてよい。第5ローラー41、71は片端が保持された、所謂、片端支持の梁と考えてよい。第4ローラー40と第5ローラー41、71が同じ材質、同じ長さ、同じ断面係数、同じ荷重が作用すると仮定した場合、これらを支持する部位に生じる応力は、両端支持の第4ローラー40に対して片端支持の第5ローラー41、71が大きくなることは材料力学的に既知である。よって、両端支持をすることができる第4ローラーを長くし、第4ローラーに対して第5ローラー41を短く構成すれば、応力が大きくなることを回避できる。従って、長いローラーとした第4ローラー40を両端支持の構成にし、第4ローラー41に対して短くした第5ローラー41、71を片端支持の構成にすることで、それぞれの保持部の強度を確保しながら、広い領域と壁際の両方を1回の走行で同時に清掃することができるなど、作業効率を向上させることができる。なお、本実施形態1、2では、第4ローラー40と第5ローラー41、71を併用した構造として説明したが、広い領域に特化したした清掃をするために第4ローラー40だけを設けたり、壁際に特化した清掃をするために第5ローラー41、71だけを設けた表面処理装置であってもよい。それぞれに特化させた表面処理装置は、例えば、広い床より壁際のほうに塵埃が多い場合には、壁際を丁寧に掃除したいユーザもいるので、本体部の走行速度やシートの移動量、シートの移動速度、シートの移動開始の間隔などを清掃対象に合わせた制御方法で行いたいユーザの要望に対応しやすくなるので、より清掃効率の向上、ユーザの満足度が得られる。
【0088】
実施形態1と実施形態2について、補足する。
【0089】
第1円筒部材24と第4ローラー40の間に、シート23の進路を変更するために、シート23が一部に接触するローラー部材を適宜設けてもよい。また、第2円筒部材25と第4ローラー40の間に、シート23の進路を変更するために、シート23が一部に接触するローラー部材を適宜設けてもよい。
【0090】
また、本実施形態1、2では、一つのシートを複数の表面処理部、すなわち第4ローラー40、第5ローラー41a、41b、(または71a、71b)で床面55に押し付ける構成として述べたが、第4ローラー40、第5ローラー41a、41b(または71a、71b)毎にシートを設け、各々のシートがそれぞれ第4ローラー40、第5ローラー41a、41b(または71a、71b)によって床面55に押し付けられる構成にしてもよい。
【0091】
また、本実施形態1、2では、第5ローラー41a、41b、(または71a、71b)に対して第4ローラー40を先行させたが、何れを先行させても構わない。
【0092】
また、本実施形態1では、第1ばね36を強制的に圧縮させ、および第8ローラー51が矢印Uの方向へ回転させて、第3ローラー35および第8ローラー51によるシート23への付勢が解消させたが、レバー62を用いずともモータやソレノイドなどの駆動源からの動力を伝達して第1ばね36を圧縮させたり、および第8ローラー51を回転させたり、或いは第1ローラー33、第2ローラー34、第3ローラー35および第7ローラー50、第8ローラー51、第9ローラー52とシート23との間にクリアランスが生じる程度までこれら第1ローラー33、第2ローラー32、第3ローラー35および第7ローラー50、第8ローラー51、第9ローラー52のいずれかの位置を移動させてシート23への付勢を解消させるなどしてもよい。
【0093】
また、本実施形態1では、本体部に収容された直状のスタンドを並進移動によって床面に接触させるように突出させたが、必ずしも形状は直状、移動方法は並進でなくてもよく、例えば、回転可能に支持された片端側を中心に回転移動させて他端側を床面に接触させて本体部を傾けるようにしてもよい。
【0094】
また、スタンド移動用駆動源によってスタンドを移動させたが、コストや構造の簡素化を優先するために、手動による移動をさせてもよい。
【0095】
また、本実施形態1では、スタンド57は本体部2の最先端に配設した構成として説明した。この目的は、本体部2を傾けるために要する力の大きさを小さくするためである。本体部2全体を梁として考えた場合、本体部2の重さをW1、表面処理部29のうち本体部2の重さで床面55に押圧する第4ローラー40が床面55に与える力をRa、車輪6、7から重心(本体部2の重さがこの重心位置に作用する集中荷重とした場合)までの距離をL1、車輪6、7から第4ローラー40までの距離をL2とすると、L1とW1の積とL2とRaの積は等しくなる。次に、車輪6、7からスタンド57が床面55に接触している位置までの距離をL3、スタンド57が床面55に与える力をRbとすると、L1とW1の積とL3とRbの積は等しくなる。よって、L2よりL3が大きいので、RbはRaより小さくなる。Rbを小さくするということは、本体部2を傾かせる力が小さくて済むということである。Rbを小さくさせることで第4モータのパワーが小さくて済み、第4モータの小型化が可能になるので、コストアップの回避や本体部の小型化、省電力化を図ることができる。従って、スタンド57は、装着されるシートを回避しながら床面55に接触させれば小さな力で本体部2を傾かせることができ、より好ましくは、車輪6、7からできる限り遠ざけたほうがもっと小さな力で済む。
【0096】
また、第4ローラー40と第5ローラー41は共に回転可能と説明したが、必ずしもこの限りではない。第4ローラー40と第5ローラー41は共に回転可能であれば、シートを移動させる際、回転も伴うのでスムーズに移動させることができる。また、床面55に対して常に同じ部位ではなく周囲全体を均一に、一様に押し当てることで、局部的な摩耗を回避できるようにしている。ここで、摩耗し難くし、スムーズなシート移動を妨げない材料を選定するなどの対応により、回転しない構成であってもよい。少なくとも、本実施形態1で述べたように、表面処理部は外周も凹凸の無いローラーなので、引っ張っても破れにくいシートを用いれば、回転させなくてもスムーズにシートの移動を行わせることができる。
【0097】
なお、実施形態1、2では、消費材がシートであることを前提に説明した。この他の消費材としては、床面に接触しながら回転して発生した風により床面の塵埃を取り除くブラシであったり、床面に摩擦して掃いたりするブラシであったり、床面を磨いたり研磨するするブラシなど、床面に何らかの変化をもたらすものでもよい。このような消費材が本体部の底面側に配置された表面処理装置においては、消費材を交換する際に、スタンドによって床面への押し付けを解消させることで、交換作業の短時間化、容易化をさせるなど、メンテナンス性を向上させることができる。
【0098】
以上の実施形態1と2についてまとめる。なお、以下においては、本発明の表面処理装置は床面を清掃する床拭き機として構成した場合を想定して作用効果を説明する。
【0099】
第1の発明は、被処理面上を自走し、前記被処理面の塵埃を取り除く処理をする表面処理装置であって、本体部を備え、前記本体部は、車輪と、被処理面に接触する表面処理部と、表面処理部の接触に代わって被処理面に接触するスタンドと、を有することを特徴とする。
【0100】
この構成によれば、表面処理部に代わってスタンドを被処理面に接触させたので、本体部を傾かせることで表面処理部の接触を解消させることができる。その結果、シートやブラシ等表面処理を行う消費材を容易に取り外すことができるなど、使用者による消費材の交換作業の短時間化、容易化を図ることができる。
【0101】
第2の発明は、第1の発明において、前記表面処理部は、前記本体部に装着されるシートを前記被処理面へ押し付けて接触させ前記車輪の回転によって前記本体部を走行させて該被処理面を拭き処理することを特徴とする。
【0102】
この構成によれば、スタンドを被処理面から離遠させているときに本体部を移動させた場合、スタンドによる被処理面への傷付きを防止できる。また、被処理面に接触して押し付けられたシートにより、比較的取り除きづらい汚れが被処理面上に付着していても、強く擦り付けることによる汚れ取得清掃を無人で清掃を行わせることができる。次に、本体部の移動を停止させ、表面処理部に代わってスタンドを被処理面に接触させたので、表面処理部の接触を解消させることができる。その結果、シートやブラシ等表面処理を行う消費材を容易に取り外すことができるなど、使用者による消費材の交換作業の短時間化、容易化を図ることができる。
【0103】
第3の発明は、第1の発明において、前記スタンドの長さは、前記本体部の底面から前記被処理面までの距離より長くしたことを特徴とする。
ことを特徴とする。
【0104】
この構成によれば、車輪を被処理面に着地させたまま被処理面に対して本体部を傾けられる。すなわち、表面処理部付近を被処理面から浮かすことができるので、表面処理部によりシートの被処理面への押し付けの解消ができ、シートを破いたり破損させずに本体部から容易に取り外すことができたり、また新品のシートを破いたり破損させずに本体部に容易に装着できるなど、使用済のシートを新品のシートに交換する際、シートを破損させずに使用者によるシート交換作業の短時間化、容易化を図ることができる。
【0105】
第4の発明は、第1または第2の発明において、記スタンドが前記被処理面に接触した状態で前記本体部の側方へ前記表面処理部を露見させる露見部を有することを特徴とする。
【0106】
この構成によれば、特別な装置で本体部を持ち上げたり反転させたりして筐体の底面を露見させずとも、シートは露見部を通過させる、すなわち表面処理部やシートを車輪の回転軸心の方向への着脱によってシート交換を行うことができる。
【0107】
第5の発明は、第1または第2の発明において、前記表面処理部は、回転可能なローラーであって該ローラーに巻かれたシートの巻き始めから巻き終わりまでの間の一部を該ローラーが回転及び停止しているときに前記被処理面に押し付けて前記被処理面に接触させ、前記本体部は、シート移動用駆動源と、車輪用駆動源と、スタンド移動用駆動源と、制御部と、をさらに有し、前記制御部は、前記本体部の移動または前記シートの移動の少なくとも何れか一方の移動を行わせているときには前記スタンドを前記被処理面から離遠させたままにし、前記本体部と前記シートを共に停止させているときに前記スタンドの移動を行わせるように、前記車輪用駆動源の駆動の制御と前記シート移動用駆動源の駆動の制御と前記スタンド移動用駆動源の駆動の制御とを行うことを特徴とする。
【0108】
この構成によれば、拭き掃除をするときには、本体部の移動をさせているときに被処理面に接触いているシートの接触部分を被処理面に接触させたままにしたり、被処理面に接触しているシートの接触部分が被処理面に非接触になる位置へ移動をさせることができるので、シートの接触部分を移動させるために本体部を停止させずに済むので、連続的に拭き掃除を行うことができる。また、拭き掃除を中止しスタンドを被処理面に接触させているときには、シートを破損させずに使用者によるシート交換作業の短時間化、容易化を図ることができる。
【0109】
第6の発明は、第1または第2の発明において、前記表面処理部は、回転可能に保持される片端側の保持部と、前記保持部とは反対側にある他端側の非保持部と、前記保持部と前記非保持部の間にあり外周に巻かれたシートを前記被処理面に押し付ける外周面と、を有するローラーからなり、前記外周面は前記本体部の側面へ突出するように配置したことを特徴とする。
【0110】
この構成によれば、簡単な構成で支持ができるローラーを壁際に近寄せることができ、このローラーの外周に巻かれたシートはローラーに接触しながら移動するので、壁際であってもシートを移動させる時にシートと回転するローラーとの間にすべりは生じない。ゆえに、ローラーに接触するシートにおける使用済み部分(床面に押し付けられた部分)を被処理面に押し付けられていない位置へスムーズに移動させることができる。また、被処理面に押し付けられていない部分(未使用部分)を被処理面に押し付けられる位置へ移動させることができる。これにより、順次未使用のシートを用いて壁際の被処理面の拭き清掃を行うことができる。しかも、本体部が移動または停止のいずれであっても、シートの移動とともに被処理面に接触しているシートの接触部分を被処理面に押し付けられない位置へスムーズに移動させることができる。また被処理面に接触しているシートの接触部分を被処理面に非接触になる位置へスムーズに移動させることができるので、シートを移動させるために本体部の移動を停止させずに済むので、連続的に壁際の拭き清掃を行うことができる。
【0111】
第7の発明は、第1または第2の発明において、前記表面処理部は、回転可能な第1のローラーと回転可能な第2のローラーと、を含み、前記第1のローラーまたは前記第2のローラーの何れか一方のローラーはシートを前記被処理面に対してばね力で付勢し、前記何れか他方のローラーは前記本体部の重さにより前記シートを前記被処理面に対して押圧するように構成したことを特徴とする。
【0112】
この構成によれば、例えば車輪に対して何れか一方のローラーが先行して配置され、さらに、この何れか一方のローラーに対して何れか他方のローラーが先行して配置されている場合、後方の車輪と何れか他方のローラーとが被処理面に接触しているとき、何れか一方のローラーの部品精度や組付け精度を極めて高精度に作製したり組付けないと、車輪と何れか他方のローラーとが被処理面に着地して何れか一方のローラーが浮き上がってしまったり、車輪と何れか一方のローラーとが被処理面に着地して何れか他方のローラーが浮き上がってしまう。そこで、何れかのローラーをばね力で被処理面に押し付けることで、両方とも被処理面に押し付けることができる。なお、両方ともばね力で被処理面に押し付けることもできるが、部品点数を増加させてしまうので、好ましくは、本実施形態のように一方はばね力を利用して被処理面に押し付けるのが望ましい。
【0113】
第8の発明は、被処理面上を自走し、前記被処理面の塵埃を取り除く処理をする表面処理装置であって、本体部を備え、前記本体部は、車輪と、被処理面に接触する表面処理部と、を有し、前記表面処理部は、回転可能に保持される片端側の保持部と、前記保持部とは反対側にある他端側の非保持部と、前記保持部と前記非保持部の間にあり外周に巻かれたシートを前記被処理面に押し付ける外周面と、を有するローラーからなり、前記外周面は前記本体部の側面へ突出するように配置したことを特徴とする。
【0114】
この構成によれば、簡単な構成で支持ができるローラーを壁際に近寄せることができ、このローラーの外周に巻かれたシートはローラーに接触しながら移動するので、壁際であってもシートを移動させる時にシートと回転するローラーとの間にすべりは生じない。ゆえに、ローラーに接触するシートにおける使用済み部分(床面に押し付けられた部分)を被処理面に押し付けられていない位置へスムーズに移動させることができる。また、被処理面に押し付けられていない部分(未使用部分)を被処理面に押し付けられる位置へ移動させることができる。これにより、順次未使用のシートを用いて壁際の被処理面の拭き清掃を行うことができる。しかも、本体部が移動または停止のいずれであっても、シートの移動とともに被処理面に接触しているシートの接触部分を被処理面に押し付けられない位置へスムーズに移動させることができる。また被処理面に接触しているシートの接触部分を被処理面に非接触になる位置へスムーズに移動させることができるので、シートを移動させるために本体部の移動を停止させずに済むので、連続的に壁際の拭き清掃を行うことができる。
【0115】
第9の発明は、第8の発明において、前記表面処理部は、回転可能な第1のローラーと回転可能な第2のローラーと、を含み、前記第1のローラーまたは前記第2のローラーの何れか一方のローラーは前記シートを前記被処理面に対してばね力で付勢し、前記何れか他方のローラーは前記本体部の重さにより前記シートを前記被処理面に対して押圧するように構成したことを特徴とする。
【0116】
この構成によれば、例えば車輪に対して何れか一方のローラーが先行して配置され、さらに、この何れか一方のローラーに対して何れか他方のローラーが先行して配置されている場合、後方の車輪と何れか他方のローラーとが被処理面に接触しているとき、何れか一方のローラーの部品精度や組付け精度を極めて高精度に作製したり組付けないと、車輪と何れか他方のローラーとが被処理面に着地して何れか一方のローラーが浮き上がってしまったり、車輪と何れか一方のローラーとが被処理面に着地して何れか他方のローラーが浮き上がってしまう。そこで、何れかのローラーをばね力で被処理面に押し付けることで、両方とも被処理面に押し付けて接触させることができる。
【符号の説明】
【0117】
1 表面処理装置
2 本体部
2a 筐体
2b 側面
2c 凹部
6、7 車輪部
23 シート
24 第1保持部材(第1円筒部材)
25 第2保持部材(第2円筒部材)
29 表面処理部
40 第4ローラー(表面処理部)
41、41a、41b、71 第5ローラー(表面処理部)
41e、71e 保持部
41d、71d 外周面(押し付け面)
41f、71f 非保持部
54 第3ばね
55 被処理面(床面)
57 スタンド
62 レバー
65 壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11