(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156271
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】少なくとも1つの光学的に切り替え可能な窓を制御するための装置、および少なくとも1つの光学的に切り替え可能な窓を制御するための方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/163 20060101AFI20231017BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20231017BHJP
E06B 9/24 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G02F1/163
G02F1/15 502
E06B9/24 C
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023101154
(22)【出願日】2023-06-20
(62)【分割の表示】P 2021207119の分割
【原出願日】2016-10-26
(31)【優先権主張番号】62/248,181
(32)【優先日】2015-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509335373
【氏名又は名称】ビュー, インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】195 S. Milpitas Blvd., Milpitas, CA 95035 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン、ステファン クラーク
(72)【発明者】
【氏名】シュリヴァスタヴァ、ダイリャ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は、一般に、光学的に切り替え可能なデバイスに関する。
【解決手段】いくつかの実施態様においては、1つまたは複数の光学的に切り替え可能なデバイスを制御するための装置は、処理ユニット、電圧レギュレータ、及び極性スイッチを含む。処理ユニットは、光学的に切り替え可能なデバイスの目標光学状態に基づくコマンド電圧信号と、極性制御信号とを生成することができる。電圧レギュレータは、第1の電圧で電力を受け取り、コマンド電圧信号に基づいて第1の電圧の大きさを増加させる、または減少させて、調整された電圧で直流電圧信号を供給することができる。極性スイッチは、調整された電圧で直流電圧信号を受け取って、極性制御信号に基づいて直流電圧信号の極性を維持、または反転することができ、調整された電圧で、及び極性制御信号に基づく極性で直流電圧信号を出力して、光学的に切り替え可能なデバイスに電力供給することができる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光学的に切り替え可能な窓を制御するための装置であって、前記装置は、
アナログ/デジタルコンバータ(ADC)と、
プロセッサと、前記プロセッサに動作可能に結合されたメモリとを有する処理ユニットと、
第1の電圧で電力を受け取るように構成され、前記処理ユニットに動作可能に結合された電圧レギュレータと、
を備え、
前記メモリは、
前記少なくとも1つの光学的に切り替え可能な窓の目標光学状態に基づいて、コマンド電圧信号を生成し、
前記処理ユニットの機能をディスエーブルし、これにより、前記処理ユニットをスリープモードに入らせ、
内部覚醒コマンドおよび/または別の構成要素からの割込み信号に少なくとも部分的に応答して、前記処理ユニットを前記スリープモードから覚醒させ、
前記スリープモードから覚醒した後、信号を受信および/またはコマンドを送信する
ように構成された命令を格納する、装置。
【請求項2】
機能をディスエーブルする前記命令は、前記処理ユニットを低減機能モードで構成することを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
機能をディスエーブルする前記命令は、前記処理ユニットを低電力モードで構成することを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記低電力モードは、完全機能モードよりも少ない電力を消費する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記スリープモードから覚醒させる前記命令は、前記内部覚醒コマンドに少なくとも部分的に応答し、
前記内部覚醒コマンドは、間隔をあけて定期的に発行される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記スリープモードから覚醒させる前記命令は、前記内部覚醒コマンドに少なくとも部分的に応答し、
前記内部覚醒コマンドは、時間に基づいて発行される、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記時間は、タイマに基づく、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記スリープモードから覚醒させる前記命令は、別の構成要素からの前記割込み信号に少なくとも部分的に応答している、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記割込み信号は、コントローラからのものである、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記命令は、
前記信号を受信および/または前記コマンドを送信した後、前記処理ユニットの機能をディスエーブルし、前記スリープモードに入らせる
ようにさらに構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記命令は、反復的に、
前記内部覚醒コマンドおよび/または別の構成要素からの前記割込み信号に少なくとも部分的に応答して、前記処理ユニットを前記スリープモードから覚醒させ、前記信号を受信および/または前記コマンドを送信した後、前記処理ユニットの機能をディスエーブルし、前記スリープモードに入らせる
ようにさらに構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記処理ユニットが覚醒している場合、
前記受信した信号は前記ADCからのものである、および/または
前記送信したコマンドは前記ADCに送信される、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記コマンドは、前記少なくとも1つの光学的に切り替え可能な窓の色合い状態を制御するために、1または複数の構成要素に送信される、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
通信構成要素をさらに備え、前記通信構成要素は、前記スリープモードの間に電力を受け取るように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記割込み信号は、前記通信構成要素からのものである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも1つの光学的に切り替え可能な窓を制御するための方法であって、前記方法は、
装置の処理ユニットによって、前記少なくとも1つの光学的に切り替え可能な窓の目標光学状態に基づいて、コマンド電圧信号を生成する段階であって、前記処理ユニットは、プロセッサと、前記プロセッサに通信可能に結合されたメモリとを有し、前記装置は、第1の電圧で電力を受け取るように構成され、前記処理ユニットに動作可能に結合された電圧レギュレータをさらに有する、段階と、
前記処理ユニットによって、前記処理ユニットの機能をディスエーブルし、これにより、前記処理ユニットをスリープモードに入らせる段階と、
前記処理ユニットによって、内部覚醒コマンドおよび/または別の構成要素からの割込み信号に少なくとも部分的に応答して、前記処理ユニットを前記スリープモードから覚醒させる段階と、
前記スリープモードから覚醒した後、信号を受信および/またはコマンドを送信する段階と
を備える方法。
【請求項17】
機能をディスエーブルする段階は、前記処理ユニットを低電力モードで構成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記スリープモードから覚醒させる段階は、前記内部覚醒コマンドに少なくとも部分的に応答し、
前記内部覚醒コマンドは、間隔をあけて定期的に発行される、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記スリープモードから覚醒させる段階は、別の構成要素からの前記割込み信号に少なくとも部分的に応答している、請求項16から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記信号を受信および/または前記コマンドを送信した後、前記処理ユニットの機能をディスエーブルし、これにより、前記処理ユニットを前記スリープモードに入らせる段階をさらに備える、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権データ
本特許文献は、2015年10月29日出願のBrownらによる「CONTROLLERS FOR OPTICALLY-SWITCHABLE DEVICES」と題された同時係属中の同一出願人による米国特許仮出願第62/248,181号(代理人整理番号VIEWP083P)に対する優先権を主張するものであり、その内容全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、光学的に切り替え可能なデバイスに関し、より詳細には、光学的に切り替え可能なデバイス用のコントローラに関する。
【背景技術】
【0003】
光学的に切り替え可能な窓の開発や展開は、エネルギー効率とシステム統合の検討が勢いを増すにつれて増加してきている。エレクトロクロミック窓は、光学的に切り替え可能な窓の有望な種類である。エレクトロクロミズムは、材料が、異なる電子状態へと刺激されたときに1つまたは複数の光学特性に可逆的な電気化学的媒介性変化を示す現象である。エレクトロクロミック材料及びそれらから作製されるデバイスは、たとえば、住宅用、商業用、または他の用途向けの窓に組み込むことができる。エレクトロクロミック材料に変化を起こさせることによって、たとえばエレクトロクロミック材料にわたって電圧を印加することによって、エレクトロクロミック窓の色、色合い、透過度、吸光度、または反射度は、変化させることができる。そのような性能は、窓を通り抜けることができる光の様々な波長の強度に対する制御を可能にし得る。比較的最近の1つの関心領域は、望ましい明色化条件を提供しながら、そのようなデバイスの電力消費を低減し、これらのデバイスに統合されているシステムの効率性を改善するように、光学的に切り替え可能な窓に光学遷移を促すためのインテリジェント制御システム及びアルゴリズムにある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】いくつかの実施態様による例示的なエレクトロクロミック窓100の断面側面図を示す。
【
図2】いくつかの実施態様による例示的な制御プロファイルを示す。
【
図3】いくつかの実施態様による複数のIGUを制御するように動作可能な例示的なネットワークシステムのブロック図を示す。
【
図4】いくつかの実施態様による例示的なマスタコントローラ(master controller:MC)のブロック図を示す。
【
図5】いくつかの実施態様による例示的なネットワークコントローラ(network controller:NC)のブロック図を示す。
【
図6】いくつかの実施態様による例示的な窓コントローラ(window controller:WC)の回路概略図を示す。
【
図7】いくつかの実施態様によるIGUに窓コントローラを結合するための例示的な接続アーキテクチャの図を示す。
【
図8】いくつかの実施態様によるネットワークコントローラの例示的なモジュールのブロック図を示す。
【0005】
様々な図面における同様の参照符号及び呼称は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
次の詳細な説明は、主題の開示目的上、特定の例示的な実施態様を対象とする。開示された実施態様は、当業者が、開示された主題を実施することができるように十分に詳細に記載されているが、本開示は、本明細書に記載されている特定の例示的な実施態様の具体的な特徴に限定するものではない。それどころか、本明細書に開示される概念及び教示は、それらの精神及び範囲から逸脱することなく、多数の異なる形態及びやり方で実施ならびに適用され得る。たとえば、開示された実施態様は、エレクトロクロミック窓(スマート窓とも呼ばれる)に焦点を当てているが、本明細書において開示されるシステム、デバイス、及び方法のうちの一部は、他のタイプの光学的に切り替え可能なデバイスを組み込むために、または組み込みながら、過度の実験なしに、作製、適用、または使用され得る。いくつかの他のタイプの光学的に切り替え可能なデバイスには、とりわけ、液晶デバイス、懸濁粒子デバイス、さらにはマイクロブラインドが含まれる。たとえば、そのような他の光学的に切り替え可能なデバイスのうちの一部または全部は、本明細書において記載されているコントローラの開示された実施態様のうちの1つまたは複数により、電力供給され、ドライブされ、または別の形で制御され、もしくは統合され得る。加えて、次の説明においては、「~するように動作可能な」、「~するように適合された」、「~するように構成された」、「~するように設計された」、「~するようにプログラムされた」、または「~することが可能な」という語句は、適宜、交換可能に使用され得る。
【0007】
例示的なエレクトロクロミック窓アーキテクチャ
図1は、いくつかの実施態様による例示的なエレクトロクロミック窓100の断面側面図を示している。エレクトロクロミック窓は、色付けまたは着色を行うために使用されるエレクトロクロミックデバイス(electrochromic device:ECD)を含む1つのタイプの光学的に切り替え可能な窓である。例示的なエレクトロクロミック窓100は、絶縁ガラスユニット(insulated glass unit:IGU)として製造され、構成され、または別の形で提供され得、本明細書においては以降、IGU100とも呼ばれることになる。この慣例が一般に使用されるのは、たとえばビル内に設置が行われるときにエレクトロクロミックパネル(「ライト」とも呼ばれる)を保持するための基礎構造体として働くIGUを有することが一般的であり、望ましい場合があるからである。IGUライトまたはパネルは、単一の基板でも、または2つの基板の積層などの多基板構造体でもよい。IGU、特には二重または三重のパネル構成を有するIGUは、単一のパネル構成に対していくつかの利点を提供することができ、たとえば、多パネル構成は、単一のパネル構成と比較した場合、遮熱、遮音、環境保護、及び/または耐久性の促進を可能にし得る。多パネル構成は、たとえばエレクトロクロミック膜ならびに関連する層及び導電性相互接続部が、多パネルIGUの内部表面に形成され、IGUの内部容積部108への不活性ガス充填によって保護され得るので、ECDの保護を高めることも可能にすることができる。
【0008】
図1は、第1の表面S1及び第2の表面S2を有する第1のパネル104を含むIGU100の例示的な実施態様をより具体的に示している。いくつかの実施態様においては、第1のパネル104の第1の表面S1は、屋外または外側環境など、外部環境に面している。IGU100はまた、第1の表面S3及び第2の表面S4を有する第2のパネル106を含む。いくつかの実施態様においては、第2のパネル106の第2の表面S4は、住宅、ビル、または車両の内側環境、あるいは住宅、ビル、または車両内の部屋もしくは仕切りなど、内部環境に面している。
【0009】
いくつかの実施態様においては、第1のパネル104及び第2のパネル106はそれぞれ、少なくとも可視スペクトルの光に対しては、透明または半透明である。たとえば、パネル104及び106はそれぞれ、ガラス材料、特に建築用ガラス、またはたとえばシリコン酸化物(SOx)ベースのガラス材料などの他の耐破砕性ガラス材料から形成され得る。より具体的な例として、第1のパネル104及び第2のパネル106のそれぞれは、ソーダ石灰ガラス基板、またはフロートガラス基板とすることができる。そのようなガラス基板は、たとえば、およそ75%のシリカ(SiO2)、ならびにNa2O、CaO、及びいくつかの少量の添加剤から構成され得る。しかしながら、第1のパネル104及び第2のパネル106はそれぞれ、適切な光学的、電気的、熱的、及び機械的特性を有する任意の材料から形成され得る。たとえば、第1のパネル104及び第2のパネル106のうちの一方または両方として使用され得る他の適切な基板は、他のガラス材料、ならびに可塑性、半可塑性、及び熱可塑性材料(たとえば、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリスチレン、ポリカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、SAN(スチレンアクリロニトリルコポリマー)、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、ポリエステル、ポリアミド)、またはミラー材料を含むことができる。いくつかの実施態様においては、第1のパネル104及び第2のパネル106はそれぞれ、たとえば焼戻し、加熱、または化学的強化によって強化され得る。
【0010】
一般に、第1のパネル104及び第2のパネル106、ならびにIGU100は、全体として直方体である。しかしながら、いくつかの他の実施態様においては、他の形状(たとえば、円形状、楕円形状、三角形状、曲線状、凸状または凹状の形状)が可能であり、所望である場合がある。いくつかの具体的な実施態様においては、第1のパネル104及び第2のパネル106のそれぞれの長さ「L」は、およそ20インチ(in.)からおよそ10フィート(ft.)の範囲に、第1のパネル104及び第2のパネル106のそれぞれの幅「W」は、およそ20in.からおよそ10ft.の範囲に、ならびに第1のパネル104及び第2のパネル106のそれぞれの厚さ「T」は、およそ0.3ミリメートル(mm)からおよそ10mmの範囲にあり得る(特定のユーザ、管理担当者、管理者、建築業者、建築士、または所有者のニーズに基づいて、より小さくもありより大きくもある他の長さ、幅、または厚さも可能であり、望ましい場合もあるが)。基板104の厚さTが3mm未満の例においては、通常、基板は、より厚く、したがって、薄い基板104を保護する追加の基板に積層される。加えて、IGU100は、2つのパネル(104及び106)を含むが、いくつかの他の実施態様においては、IGUは、3つ以上のパネルを含む場合がある。その上、いくつかの実施態様においては、パネルのうちの1つまたは複数がそれ自体、2つ、3つ、またはそれ以上の層もしくはサブパネルの積層構造である場合もある。
【0011】
第1のパネル104及び第2のパネル106は、通常、フレーム構造であるスペーサ118によって互いに離間されて、内部容積部108を形成する。いくつかの他の実施態様においては、内部容積部108は、アルゴン(Ar)が充填されているが、いくつかの他の実施態様においては、内部容積部は、別の希ガス(たとえば、クリプトン(Kr)またはキセノン(Xn))、別の(非希)ガス、またはガスの混合物(たとえば、空気)など、別のガスが充填されることもある。内部容積部108にAr、Kr、またはXnなどのガスを充填すると、これらのガスの熱伝導率は低いのでIGU100を通る伝導性熱伝達を低減させるだけでなく、それらの原子量の増加に起因する音響絶縁を向上させることができる。いくつかの他の実施態様においては、内部容積部108から空気または他のガスを抜くこともある。スペーサ118は、一般に、内部容積部108の高さ「C」、つまり、第1のパネル104と第2のパネル106との間の間隔を確定する。
図1においては、ECD、シーラント120/122、及び母線126/128の厚さは、縮尺通りではなく、これらの構成要素は、一般に非常に薄いが、ここでは例示を単に簡単にするために誇張している。いくつかの実施態様においては、第1のパネル104と第2のパネル106との間の間隔「C」は、およそ6mmからおよそ30mmの範囲にある。スペーサ118の幅「D」は、(他の幅も可能であり、望ましい場合もあるが)およそ5mmからおよそ15mmの範囲にあり得る。
【0012】
断面図には示されていないが、スペーサ118は、一般に、IGU100の全ての側面(たとえば、IGU100の上面、底面、左側面、及び右側面)の周囲に形成されたフレーム構造である。たとえば、スペーサ118は、発泡体または可塑性材料から形成され得る。しかしながら、いくつかの他の実施態様においては、スペーサは、金属または他の導電性材料、たとえば、基板のそれぞれに対して封止するための2つの側面と、ライトを支持し分離するための、シーラント124を塗布する表面としての1つの側面との少なくとも3つの側面を有する金属管またはチャネル構造から形成され得る。第1の一次シール120は、スペーサ118と第1のパネル104の第2の表面S2とを接着し、密封する。第2の一次シール122は、スペーサ118と第2のパネル106の第1の表面S3とを接着し、密封する。いくつかの実施態様においては、一次シール120及び122はそれぞれ、たとえばポリイソブチレン(PIB)などの接着性シーラントから形成され得る。いくつかの実施態様においては、IGU100は、スペーサ118の外側のIGU100全体の周囲の境界を密封する二次シール124をさらに含む。この目的のために、スペーサ118は、第1のパネル104及び第2のパネル106の縁部から距離「E」だけ差し込まれていてよい。距離「E」は、(他の距離も可能であり、望ましい場合もあるが)およそ4mmからおよそ8mmの範囲にあり得る。いくつかの実施態様においては、二次シール124は、水密封止を形成するシリコーン、ポリウレタン、及び類似の構造シーラントなど、耐水性であり、構造支持を組立体に追加する、たとえばポリマー材料などの接着性シーラントから形成され得る。
【0013】
図1に示されている特定の構成及び形状因子においては、基板104の表面S2上のECDコーティングは、大体その外周全体にスペーサ118へとスペーサ118の下に延びる。この構成は、一次シーラント120内のECDの縁部を保護するので機能的に望ましく、スペーサ118の内周内では、母線もまたはスクライブ線もないモノリシックECDが存在するので審美的に望ましい。そのような構成については、2012年4月24日に発行され「ELECTROCHROMIC WINDOW FABRICATION METHODS」と題された米国特許第8,164,818号(代理人整理番号VIEWP006)、2012年4月25日に出願され「ELECTROCHROMIC WINDOW FABRICATION METHODS」と題された米国特許出願第13/456,056号(代理人整理番号VIEWP006X1)、2012年12月10日に出願され「THIN-FILM DEVICES AND FABRICATION」と題されたPCT特許出願第PCT/US2012/068817号(代理人整理番号VIEWP036WO)、2014年6月4日に出願され「THIN-FILM DEVICES AND FABRICATION」と題された米国特許出願第14/362,863号(代理人整理番号VIEWP036US)、及び2014年12月13日に出願され「THIN-FILM DEVICES AND FABRICATION」と題されたPCT特許出願第PCT/US2014/073081号(代理人整理番号VIEWP036X1WO)により詳細に記載されており、これらは全て、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
図1に示されている実施態様においては、ECD110は、第1のパネル104の第2の表面S2上に形成される。いくつかの他の実施態様においては、ECD110は、別の適切な表面、たとえば、第1のパネル104の第1の表面S1、第2のパネル106の第1の表面S3、または第2のパネル106の第2の表面S4上に形成され得る。ECD110は、エレクトロクロミック(「EC」)スタック112を含み、このECスタック112はそれ自体、1つまたは複数の層を含むことができる。たとえば、ECスタック112は、エレクトロクロミック層、イオン伝導層、及び対向電極層を含むことができる。いくつかの実施態様においては、エレクトロクロミック層は、1つまたは複数の無機固体材料から形成される。エレクトロクロミック層は、電気化学的にカソードまたは電気化学的にアノードの材料を含むいくつかのエレクトロクロミック材料のうちの1つまたは複数を含むことができる、あるいは1つまたは複数から形成され得る。たとえば、エレクトロクロミック層として使用するのに適している金属酸化物は、タングステン酸化物(WO
3)と、そのドープされた配合物とを含むことができる。いくつかの実施態様においては、エレクトロクロミック層は、およそ0.05μmからおよそ1μmの範囲の厚さを有することができる。
【0015】
いくつかの実施態様においては、対向電極層は、無機固体材料から形成される。対向電極層は、一般に、ECデバイス110が、たとえば透明状態にあるときに、イオンのリザーバとして機能することができるいくつかの材料または材料層のうちの1つあるいは複数を含むことができる。特定の実施態様においては、対向電極は、イオン貯蔵層として機能するだけでなく、アノード着色する。たとえば、対向電極層に適している材料は、ニッケル酸化物(NiO)及びニッケルタングステン酸化物(NiWO)、ならびにそれらのドープされた形態、たとえば、限定しない例として、ニッケルタングステンタンタル酸化物、ニッケルタングステンスズ酸化物、ニッケルバナジウム酸化物、ニッケルクロム酸化物、ニッケルアルミニウム酸化物、ニッケルマンガン酸化物、ニッケルマグネシウム酸化物、ニッケルタンタル酸化物、ニッケルスズ酸化物が挙げられる。いくつかの実施態様においては、対向電極層は、およそ0.05μmからおよそ1μmの範囲の厚さを有することができる。
【0016】
イオン伝導層は、ECスタック112が光学状態間を遷移するとき、イオンが輸送される媒体として(たとえば、電解質の形で)働く。いくつかの実施態様においては、イオン伝導層は、エレクトロクロミック層と対向電極層との関連イオンに対しては高伝導性であるが、通常の動作中にごくわずかな電子伝達(電気的短絡)が生じるように十分に低い電子伝導性も有する。高いイオン伝導率を有する薄いイオン伝導層は、高性能ECデバイス110の高速イオン伝導を、その結果として、高速切替えを可能にする。いくつかの実施態様においては、イオン伝導層は、およそ1nmからおよそ500nmの範囲、より概括的には、約5nmから約100nmの範囲の厚さを有することができる。いくつかの実施態様においては、イオン伝導層はまた、無機固体である。たとえば、イオン伝導層は、1つまたは複数のシリケート、シリコン酸化物(シリコン/アルミニウム/酸化物を含む)、タングステン酸化物(タングステン酸リチウムを含む)、タンタル酸化物、ニオブ酸化物、リチウム酸化物、及びホウ酸塩から形成され得る。これらの材料にもまた、リチウムを含む異なるドーパントがドープされ得、たとえば、リチウムをドープしたシリコン酸化物は、リチウムシリコン/アルミニウム/酸化物、及びリチウムリン酸窒化物(LiPON)などを含む。
【0017】
いくつかの他の実施態様においては、エレクトロクロミック層と対向電極層とは、間にイオン伝導層を含まずに、互いにすぐ隣接して、時には直接、接触して形成され、次いで、イオン導体材料が、エレクトロクロミック層と対向電極層との間のその場に形成される。適切なデバイスのさらなる記載については、2014年7月1日に発行されたWangらによる「ELECTROCHROMIC DEVICES」と題された米国特許第8,764,950号、及び2016年2月16日に発行されたPradhanらによる「ELECTROCHROMIC DEVICES」と題された米国特許第9,261,751号に見出され、これらはそれぞれ、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施態様においては、ECスタック112はまた、1つまたは複数のパッシブ層などの1つまたは複数の追加の層を含むことができる。たとえば、パッシブ層を使用して、特定の光学特性を改善し、水分を提供し、または耐擦傷性を提供することができる。これらのまたは他のパッシブ層もまた、ECスタック112を密封するように機能することができる。加えて、(後述する第1のTCO層114及び第2のTCO層116などの)伝導層を含む様々な層が、反射防止性または保護性の酸化物層もしくは窒化物層とともに処理され得る。
【0018】
エレクトロクロミック材料及び対向電極材料の選択または設計は、一般に、可能な光学遷移を支配する。動作中、ECスタック112の厚さにわたって(たとえば、第1のTCO層114と第2のTCO層116との間に)生成される電圧に応答して、エレクトロクロミック層は、対向電極層との間でイオンを伝達または交換して、エレクトロクロミック層を所望の光学状態にさせる。いくつかの実施態様においては、ECスタック112を透明状態に遷移させるために、正の電圧がECスタック112にわたって(たとえば、エレクトロクロミック層が、対向電極層よりも正になるように)印加される。いくつかのそのような実施態様においては、正の電圧の印加に応答して、スタック内の利用可能なイオンは、主に、対向電極層内に存在する。ECスタック112にわたる電位の大きさが低減されたとき、または電位の極性が反転されたとき、イオンは、イオン伝導層を横切ってエレクトロクロミック層へと輸送されて、エレクトロクロミック材料が不透明状態に(または「より色付けされた」、「より暗い」、もしくは「あまり透明でない」状態に)遷移することになる。反対に、異なる特性を有するエレクトロクロミック層を使用するいくつかの他の実施態様においては、ECスタック112を不透明状態に遷移させるために、負電圧が、対向電極層に対してエレクトロクロミック層に印加され得る。そのような実施態様においては、ECスタック112にわたる電位の大きさが低減され、またはその極性が反転されたとき、イオンは、イオン伝導層を横切ってエレクトロクロミック層へと輸送されて、エレクトロクロミック材料が透明あるいは「漂白された」状態に(または「あまり色付けされない」、「より明るい」、もしくは「より透明な」状態に)遷移することになる。
【0019】
いくつかの実施態様においては、対向電極層との間のイオンの伝達または交換はまた、結果的に、対向電極層に光学遷移をもたらす。たとえば、いくつかの実施態様においては、エレクトロクロミック層及び対向電極層は、相補的な着色層である。より具体的には、いくつかのそのような実施態様においては、イオンが対向電極層へと伝達されたとき、または伝達された後、対向電極層は、より透明になり、同様にイオンがエレクトロクロミック層から伝達されたとき、または伝達された後、エレクトロクロミック層は、より透明になる。反対に、極性が切り替えられ、または電位が低減され、イオンが対向電極層からエレクトロクロミック層に伝達されたとき、対向電極層とエレクトロクロミック層は両方とも、それほど透明にはならない。
【0020】
1つのより具体的な例においては、ECスタック112の厚さにわたる適切な電位の印加に応答して、対向電極層は、保持しているイオンの全部または一部分をエレクトロクロミック層に伝達して、それにより、エレクトロクロミック層に光学遷移が生じる。いくつかのそのような実施態様においては、たとえば、対向電極層がNiWOから形成される場合、対向電極層はまた、対向電極層がエレクトロクロミック層に伝達したイオンの損失により光学的に遷移する。電荷がNiWOから作製される対向電極層から除去される(つまり、イオンが、対向電極層からエレクトロクロミック層に輸送される)と、対向電極層は、反対方向に遷移することになる。
【0021】
一般に、ある光学状態から別の光学状態へのエレクトロクロミック層の遷移は、エレクトロクロミック材料に可逆的にイオンが挿入されること(たとえば、インターカレーションによる)、及び電荷平衡化電子の対応する注入によって引き起こされることがある。いくつかの例においては、光学遷移を担うイオンの一部は、エレクトロクロミック材料中に不可逆的に結合される。不可逆的に結合されたイオンの一部または全部は、材料中の「隠れ電荷」を補償するために使用され得る。いくつかの実施態様においては、適切なイオンには、リチウムイオン(Li+)及び水素イオン(H+)(すなわち、プロトン)が含まれる。いくつかの他の実施態様においては、他のイオンが適している場合がある。たとえば、タングステン酸化物(WO3-y(0<y≦約0.3))へのリチウムイオンのインターカレーションにより、タングステン酸化物の透明状態から青状態への変化が生じる。
【0022】
一般に、以下の説明は、色付け遷移に焦点を当てている。色付け遷移の1つの例は、透明(または「半透明」、「漂白された」、もしくは「最小限色付けされた」)状態から、不透明(または「完全に暗色化された」、もしくは「完全に色付けされた」)状態への遷移である。色付け遷移の別の例は、その逆、すなわち、不透明状態から透明状態への遷移である。色付け遷移の他の例には、様々な中間的な色合い状態への及び様々な中間的な色合い状態からの遷移、たとえば、あまり色付けされていない、より明るい、またはより透明な状態から、より色付けされた、より暗い、またはあまり透明ではない状態への遷移、及びその逆を含む。そのような色合い状態のそれぞれ、及びそのような色合い状態間の色付け遷移は、透過率に関して特徴付けられ、または説明され得る。たとえば、色付け遷移は、現在の透過率(%T)から目標%Tまでであると説明することができる。逆に、いくつかの他の例においては、色合い状態のそれぞれ、及びこれらの色合い状態間の色付け遷移は、色付け率、たとえば、現在の色付け率から目標色付け率までの遷移に関して特徴付けられ、または説明され得る。
【0023】
しかしながら、次の説明は、概して、色合い状態、及び色合い状態間の色付け遷移に焦点を当てているが、他の光学状態及び光学遷移もまた、様々な実施態様においては達成可能である。したがって、適宜、別段の指示がない限り、色合い状態または色付け遷移について言うときにも、他の光学状態及び光学遷移を包含するように意図されている。言い換えれば、光学状態及び光学状態遷移はまた、本明細書においては、それぞれ色合い状態及び色合い状態遷移と呼ばれることになるが、これは、IGU302によって達成可能な光学状態及び状態遷移を限定することを意図するものではない。たとえば、そのような他の光学状態及び状態遷移は、とりわけ、様々な色、色の強度(たとえば、より明るい青からより暗い青への、及びその逆)、反射率(たとえば、より少ない反射性からより多い反射性への、及びその逆)、偏光度(たとえば、より少ない偏光度からより多い偏光度への、及びその逆)、ならびに散乱密度(たとえば、より少ない散乱度からより多い散乱度への、及びその逆)に関連付けられた状態及び状態遷移を含むことができる。同様に、色付け遷移を引き起こし、色合い状態を維持することを含む、色合い状態を制御するためのデバイス、制御アルゴリズムまたはプロセスについて言うときにも、そのような他の光学遷移及び光学状態を包含することが意図される。加えて、光学的に切り替え可能なデバイスに供給される電圧、電流、または他の電気的特徴を制御すること、及びそのような制御に関連付けられる機能または動作を制御することを、本明細書においては以降、デバイスまたは各IGUを「ドライブすること」と記載することもあるが、ドライブすることが、色合い状態遷移または現在の色合い状態の維持を含むか否かは問わない。
【0024】
ECD110は、一般に、第1の及び第2の伝導(または「導電性」)層を含む。たとえば、ECD110は、ECスタック112の第1の表面に隣接する第1の透明導電性酸化物(transparent conductive oxide:TCO)層114と、ECスタック112の第2の表面に隣接する第2のTCO層116とを含むことができる。いくつかの実施態様においては、第1のTCO層114は第2の表面S2上に形成され得、ECスタック112は第1のTCO層114上に形成され得、第2のTCO層116はECスタック112上に形成され得る。いくつかの実施態様においては、第1のTCO層114及び第2のTCO層116は、それぞれ、1つまたは複数の金属によりドープされた金属酸化物を含む1つまたは複数の金属酸化物から形成され得る。たとえば、いくつかの適切な金属酸化物及びドープされた金属酸化物には、とりわけ、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、ドープされたインジウム酸化物、スズ酸化物、ドープされたスズ酸化物、フッ素化スズ酸化物、亜鉛酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、ドープされた亜鉛酸化物、ルテニウム酸化物、及びドープされたルテニウム酸化物を挙げることができる。そのような材料は、本明細書においてはTCOと呼ばれているが、この用語は、他の適切な材料の中でもとりわけ、非酸化物、ならびに導電性金属窒化物及び複合導体などのある種の薄膜金属及びある種の非金属材料などの透明な導電性である酸化物を包含する。いくつかの実施態様においては、第1のTCO層114及び第2のTCO層116は、エレクトロクロミズムがECスタック112によって示される波長の範囲において少なくとも実質的に透明である。いくつかの実施態様においては、第1のTCO層114及び第2のTCO層116はそれぞれ、たとえばスパッタリングを含む物理蒸着(PVD)法によって堆積させることができる。いくつかの実施態様においては、第1のTCO層114及び第2のTCO層116はそれぞれ、およそ0.01ミクロン(μm)からおよそ1μmの範囲の厚さを有することができる。透明な導電性材料は、通常、エレクトロクロミック材料または対向電極材料よりも電子伝導率が著しく大きい。
【0025】
第1のTCO層114及び第2のTCO層116は、ECスタック112の厚さにわたって電位(電圧)を印加するために、ECスタック112の第1及び第2の各表面にわたって電荷を分散させるように働く。たとえば、第1の印加電圧は、TCO層の第1の層に印加され得、第2の印加電圧は、TCO層の第2の層に印加され得る。いくつかの実施態様においては、第1の母線126は、第1の印加電圧を第1のTCO層114に分散し、第2の母線128は、第2の印加電圧を第2のTCO層116に分散する。いくつかの他の実施態様においては、第1の母線126及び第2の母線128のうちの1つは、第1のTCO層114及び第2のTCO層116のそれぞれを接地することができる。他の実施態様においては、負荷は、2つのTCOに関して浮動され得る。様々な実施態様においては、ECスタック112の1つまたは複数の光学特性を修正し、したがって、光学遷移を引き起こすために、コントローラは、第1の及び第2の印加電圧のうちの一方または両方を変更して、ECスタック112にわたって印加される実効電圧の大きさ及び極性のうちの一方または両方に変化をもたらすことができる。望ましくは、第1のTCO層114及び第2のTCO層116は、ECスタック112の各表面の上に電荷を均一に分散させるように働き、各表面の外側領域からこれらの表面の内側領域へのオーム電位降下は、比較的小さい。したがって、一般に、第1のTCO層114及び第2のTCO層116のシート抵抗を最小限に抑えることが望ましい。言い換えれば、一般に、第1のTCO層114及び第2のTCO層116はそれぞれ、各層の全ての部分にわたって実質的に等電位の層として振る舞うことが望ましい。このようにして、第1のTCO層114及び第2のTCO層116は、ECスタック112の厚さにわたって均一に電位を印加して、ECスタック112の均一な光学遷移をもたらすことができる。
【0026】
いくつかの実施態様においては、第1の母線126及び第2の母線128はそれぞれ、ECスタック112の少なくとも1つの境界に沿って第1のパネル104の長さに沿って配向されるように、プリント、パターニング、または別の形で形成される。たとえば、第1の母線126及び第2の母線128はそれぞれ、銀インクなど、導電性インクを線の形で堆積させることによって形成され得る。いくつかの実施態様においては、第1の母線126及び第2の母線128はそれぞれ、第1のパネル104の全長(またはほぼ全長)に沿って、いくつかの実施態様においては、ECスタック112の複数の縁部に沿って延びる。
【0027】
いくつかの実施態様においては、第1のTCO層114、ECスタック112、及び第2のTCO層116は、第1のパネル104の縁部まで延びていない。たとえば、第1のTCO層114、ECスタック112、及び第2のTCO層116の一部分を除去するために、レーザエッジ削除(laser edge delete:LED)または他の操作が使用可能であり、それにより、これらの層は、(他の距離も可能であり、望ましい場合もあるが)およそ8mmからおよそ10mmの範囲にあり得る距離「G」だけ第1のパネル104の各縁部から分離される、または差し込まれる。加えて、いくつかの実施態様においては、第1のパネル104の一方の側に沿ったECスタック112及び第2のTCO層116の縁部分が、第1の母線126を第1のTCO層114上に形成することを可能にするように除去されて、第1の母線126と第1のTCO層114との間の導電性結合を可能にする。第2の母線128は、第2のTCO層116上に形成されて、第2の母線128と第2のTCO層116との間の導電性結合を可能にする。いくつかの実施態様においては、第1の母線126及び第2の母線128は、
図1に示されているように、スペーサ118と第1のパネル104との間の領域に形成される。たとえば、第1の母線126及び第2の母線128はそれぞれ、スペーサ118の内縁から、(他の距離も可能であり、望ましい場合もあるが)およそ2mmからおよそ3mmの範囲にあり得る少なくとも距離「F」だけ差し込まれていてよい。この配置は、たとえば、母線を視界から隠すことを含むいくつかの理由で有利であり得る。
【0028】
上記のように、IGU従来技法の使用法は、単なる便宜上にすぎない。実際、いくつかの実施態様においては、エレクトロクロミック窓の基本ユニットは、ECDがその上に形成される、または別の形で構成される、及び関連する電気的接続が(ECDをドライブするために)結合される透明材料のパネルまたは基板として規定され得る。したがって、次の説明においてIGUについて言うときには、必ずしも
図1のIGU100を参照して説明した構成要素の全てを含むとは限らない。
【0029】
光学遷移をドライブするための例示的な制御プロファイル
図2は、いくつかの実施態様による例示的な制御プロファイル200を示している。制御プロファイル200は、上述したECD110など、光学的に切り替え可能なデバイスにおける遷移をドライブするために使用され得る。いくつかの実施態様においては、第1の光学状態(たとえば、透明状態、または第1の中間の状態)から第2の光学状態(たとえば、完全に色付けされた状態、またはより色付けされた中間の状態)にECDをドライブするために、制御プロファイル200を生成し適用するのに窓コントローラが使用され得る。ECDを反転方向、すなわち、より色付けされた状態からあまり色付けされていない状態にドライブするためには、窓コントローラは、類似しているが逆のプロファイルを適用することができる。たとえば、ECDを第2の光学状態から第1の光学状態にドライブするための制御プロファイルは、
図2に示されている電圧制御プロファイルの鏡像とすることができる。いくつかの他の実施態様においては、色付け及び明色化のための制御プロファイルは、非対称であってもよい。たとえば、第1のより色付けされた状態から第2のあまり色付けされていない状態への遷移は、いくつかの例においては、その反転、つまり、第2のあまり色付けされていない状態から第1のより色付けされた状態への遷移よりも多くの時間を必要とする場合がある。いくつかの他の例においては、その反転が、真実であってもよく、つまり、第2のあまり色付けされていない状態から第1のより色付けされた状態への遷移には、より多くの時間を必要とする場合がある。言い換えれば、デバイスのアーキテクチャ及び材料のおかげで、漂白または明色化は、必ずしも単なる着色または色付けの反転であるとは限らない。実際、ECDは、エレクトロクロミック材料との間のイオンインターカレーション及びデインターカレーションのドライビング力の差に起因して、遷移ごとに異なる振舞いをすることが多い。
【0030】
いくつかの実施態様においては、制御プロファイル200は、ECDに供給される電圧を変化させることによって実施される電圧制御プロファイルである。たとえば、
図2における実線は、色付け遷移の経過及びその後の維持期間にECDにわたって印加される実効電圧V
Effを表している。言い換えれば、実線は、ECDの2つの伝導層(たとえば、ECD110の第1のTCO層114及び第2のTCO層116)に印加される電圧V
App1及びV
App2の相対的な差を表すことができる。
図2における点線は、デバイスを通る対応する電流(I)を表している。図示の例においては、電圧制御プロファイル200は、遷移を開始するランプからドライブへの段階202、遷移のドライブを継続するドライブ段階、ランプからホールドへの段階、及びその後のホールド段階の4つの段階を含む。
【0031】
ランプからドライブへの段階202は、時間t0における初期値から時間t1における最大ドライブ値VDriveまで大きさが増加する電圧ランプの適用によって特徴付けられる。いくつかの実施態様においては、ランプからドライブへの段階202は、知られている、または窓コントローラによって設定される3つのドライブパラメータ:t0での初期電圧(遷移の開始におけるECDにわたる電流電圧)、VDriveの大きさ(終了光学状態を支配する)、及びランプが適用される間の時間期間(遷移の速度を指示する)によって規定され得る。追加としてまたは代替として、窓コントローラはまた、目標ランプレート、最大ランプレート、またはランプのタイプ(たとえば、直線ランプ、第2度のランプ、または第n度のランプ)を設定することもできる。一部の適用例においては、ECDを損傷しないようにランプレートを制限することができる。
【0032】
ドライブ段階204は、時間t1で開始し、終了光学状態に達する(またはほぼ達する)時間t2で終了する定電圧VDriveの適用によって特徴付けられる。ランプからホールドへの段階206は、時間t2のドライブ値VDriveから時間t3の最小ホールド値VHoldまで大きさが減少する電圧ランプの適用によって特徴付けられる。いくつかの実施態様においては、ランプからホールドへの段階206は、知られている、または窓コントローラによって設定される3つのドライブパラメータ:ドライブ電圧VDrive、ホールド電圧VHold、及びランプが適用される間の時間期間によって規定され得る。追加としてまたは代替として、窓コントローラはまた、ランプレートまたはランプのタイプ(たとえば、直線ランプ、第2度のランプ、または第n度のランプ)を設定することもできる。
【0033】
ホールド段階208は、時間t3で開始する定電圧VHoldの適用によって特徴付けられる。ホールド電圧VHoldは、ECDを終了光学状態に維持するために使用される。したがって、ホールド電圧VHoldの印加の持続時間は、ECDが終了光学状態にホールドされることになる時間期間に付随し得る。たとえば、ECDに関連する非理想性のために、漏れ電流ILeakは、ECDから電荷がゆっくりと排出することをもたらす可能性がある。そのような電荷排出は、ECDにわたるイオンの対応する反転、その結果として、光学遷移の遅い反転をもたらす可能性がある。そのような適用例においては、ホールド電圧VHoldを継続的に印加して、リーク電流を阻止または防止することができる。いくつかの他の実施態様においては、ホールド電圧VHoldを定期的に印加して、所望の光学状態を「リフレッシュ」する、または言い換えれば、ECDを所望の光学状態に戻すことができる。
【0034】
図2を参照して図示され説明した電圧制御プロファイル200は、いくつかの実施態様に適した電圧制御プロファイルのほんの一例にすぎない。しかしながら、多くの他のプロファイルが、そのような実施態様、または様々な他の実施態様または適用例に望ましい、または適している場合がある。これらの他のプロファイルはまた、本明細書において開示されたコントローラ及び光学的に切り替え可能なデバイスを使用して容易に達成することができる。たとえば、いくつかの実施態様においては、電圧プロファイルではなく、電流プロファイルが適用されてもよい。いくつかのそのような例においては、
図2に示されている電流密度のものと同様の電流制御プロファイルが適用され得る。いくつかの他の実施態様においては、制御プロファイルは、4つよりも多い段階を有してもよい。たとえば、電圧制御プロファイルは、1つまたは複数のオーバードライブ段階を含むことができる。1つの例示的な実施態様においては、第1の段階202の間に印加される電圧ランプは、ドライブ電圧V
Driveを超えてオーバードライブ電圧V
ODまで、大きさが増加し得る。いくつかのそのような実施態様においては、第1の段階202の後に、ランプ段階203が続く場合があり、その間、印加電圧が、オーバードライブ電圧V
ODからドライブ電圧V
Driveまで減少する。いくつかの他のそのような実施態様においては、オーバードライブ電圧V
ODは、ランプがドライブ電圧V
Driveへと降下する前に、比較的短い時間期間、印加され得る。
【0035】
加えて、いくつかの実施態様においては、印加された電圧または電流プロファイルは、デバイスにわたって開路状態を提供するために、比較的短い時間期間、割り込みされ得る。そのような開路状態が有効である間、実電圧または他の電気的特徴が、測定、検出、または別の形で確定されて、光学遷移がどのくらい進行したかを監視し、いくつかの例においては、プロファイルの変化が望ましいかどうかを判断することができる。そのような開路状態はまた、ホールド電圧VHoldが印加されるべきであるか、またはホールド電圧VHoldの大きさが変更されるべきであるかを判断するためにホールド段階中に提供され得る。光学遷移のドライブ及び監視に関する追加の情報については、2014年6月20日に出願され「CONTROLLING TRANSITIONS IN OPTICALLY SWITCHABLE DEVICES」と題されたPCT特許出願第PCT/US14/43514号に提供されており、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0036】
例示的なコントローラネットワークアーキテクチャ
多くの例においては、光学的に切り替え可能な窓は、ビルエンベロープのかなりの部分を形成し、または占める場合がある。たとえば、光学的に切り替え可能な窓は、企業のオフィスビル、他の商業用ビル、または住宅用ビルの壁面、ファサード、及びさらに屋根のかなりの部分を形成し得る。様々な実施態様においては、コントローラの分散型ネットワークが、光学的に切り替え可能な窓を制御するために使用され得る。
図3は、いくつかの実施態様による複数のIGU302を制御するように動作可能な例示的なネットワークシステム300のブロック図を示している。たとえば、IGU302はそれぞれ、
図1を参照して上述したIGU100と同じであっても、または類似していてもよい。ネットワークシステム300の1つの主要な機能は、IGU302内のECD(または他の光学的に切り替え可能なデバイス)の光学状態を制御することである。いくつかの実施態様においては、窓302のうちの1つまたは複数は、たとえば、それぞれの窓が、2つ以上の独立に制御可能なECDまたは区画を含む、多区画化窓とすることができる。様々な実施態様においては、ネットワークシステム300は、IGU302に供給される電力信号の電気的特徴を制御するように動作可能である。たとえば、ネットワークシステム300は、IGU302内のECDに印加される電圧を制御するための色付け命令(本明細書では「色合いコマンド」とも呼ばれる)を生成し、伝達することができる。
【0037】
いくつかの実施態様においては、ネットワークシステム300の別の機能は、IGU302からステータス情報を取得することである(本明細書においては以降、「情報」は、「データ」と交換可能に使用される)。たとえば、所与のIGUのステータス情報は、IGU内のECD(複数可)の現在の色合い状態の識別情報、またはこの色合い状態に関する情報を含むことができる。ネットワークシステム300はまた、IGU302上またはIGU302内に統合されているかどうか、またはビル内、上、もしくは周囲の様々な他の位置に配置されているのかどうかに関わらず、温度センサ、フォトセンサ(本明細書においては以降、光センサとも呼ばれる)、湿度センサ、空気流量センサ、または占有センサなどの様々なセンサからデータを取得するように動作可能とすることができる。
【0038】
ネットワークシステム300は、様々な性能または機能を有する任意の適切な数の分散型コントローラを含むことができる。いくつかの実施態様においては、様々なコントローラの機能及び構成が、階層的に規定される。たとえば、ネットワークシステム300は、複数の分散型窓コントローラ(WC)304、複数のネットワークコントローラ(NC)306、及びマスタコントローラ(MC)308を含む。いくつかの実施態様においては、MC308は、数十または数百のNC306と通信し、これらを制御することができる。様々な実施態様においては、MC308は、1つまたは複数のワイヤードもしくはワイヤレスのリンク316(本明細書においては以降まとめて「リンク316」と呼ばれる)を介してNC306に高レベルの命令を発行する。命令は、たとえば、各NC306によって制御されるIGU302の光学状態の遷移を引き起こすための色合いコマンドを含むことができる。ひいては、それぞれのNC306は、1つまたは複数のワイヤードもしくはワイヤレスのリンク314(本明細書においては以降まとめて「リンク314」と呼ばれる)を介していくつかのWC304と通信し、これらを制御することができる。たとえば、それぞれのNC306は、数十または数百のWC304を制御することができる。ひいては、それぞれのWC304は、1つまたは複数のワイヤードもしくはワイヤレスのリンク312(本明細書においては以降まとめて「リンク312」と呼ばれる)を介して、1つまたは複数の各IGU302と通信し、これらをドライブし、または別の形で制御することができる。
【0039】
MC308は、色合いコマンド、ステータス要求コマンド、データ(たとえば、センサデータ)要求コマンド、または他の命令を含む情報を発行することができる。いくつかの実施態様においては、MC308は、(曜日、もしくは日付に基づいて変化し得る)一日のある所定の時間に、あるいは特定の事象、条件、または事象もしくは条件の組合せの検出に基づいて(たとえば、取得したセンサデータによって、またはユーザもしくはアプリケーションによって開始された要求の受信に基づいて、あるいはそのようなセンサデータとそのような要求との組合せによって確定される)、定期的にそのような情報を発行することができる。いくつかの実施態様においては、MC308が、1つまたは複数のIGU302のセットに色合い状態の変化を引き起こすと確定した場合、MC308は、所望の色合い状態に対応する色合い値を生成し、または選択する。いくつかの実施態様においては、IGU302のセットは、第1のプロトコル識別子(ID)(たとえば、BACnetID)に関連付けられる。次いで、MC308は、第1の通信プロトコル(たとえば、BACnet互換プロトコル)によってリンク316を介して、色合い値及び第1のプロトコルIDを含んだ本明細書においては「一次色合いコマンド」と呼ばれる情報を生成し、送信する。いくつかの実施態様においては、MC308は、特定の1つまたは複数のWC304を制御する特定のNC306に一次色合いコマンドをアドレス指定し、ひいては、この1つまたは複数のWC304は、遷移されるべきIGU302のセットを制御する。
【0040】
NC306は、色合い値及び第1のプロトコルIDを含む一次色合いコマンドを受信し、第1のプロトコルIDを1つまたは複数の第2のプロトコルIDにマッピングする。いくつかの実施態様においては、第2のプロトコルIDはそれぞれ、WC304のうちの対応するWC304を識別する。その後、NC306は、第2の通信プロトコルによってリンク314を介して、識別されたWC304のそれぞれに、色合い値を含む二次色合いコマンドを送信する。いくつかの実施態様においては、二次色合いコマンドを受信するWC304のそれぞれは、次いで、色合い値に基づいて内部メモリから電圧または電流プロファイルを選択して、そのそれぞれ接続されたIGU302を色合い値と一致する色合い状態にドライブする。次いで、WC304はそれぞれ、そのそれぞれの接続されたIGU302にリンク312を介して電圧または電流信号を生成及び供給して、電圧または電流プロファイルを適用する。
【0041】
いくつかの実施態様においては、様々なIGU302は、EC窓の区画にグループ分けすることができると有利であることがあり、その区画はそれぞれ、IGU302のサブセットを含む。いくつかの実施態様においては、IGU302のそれぞれの区画は、1つまたは複数の各NC306、及びこれらのNC306によって制御される1つまたは複数の各WC304によって制御される。いくつかのより具体的な実施態様においては、各区画は、単一のNC306、及び単一のNC306によって制御される2つ以上のWC304によって制御され得る。別の言い方をすれば、区画は、IGU302の論理的グループ分けを表すことができる。たとえば、それぞれの区画は、その場所に基づいて一緒にドライブされるビルの特定の場所またはエリア内のIGU302のセットに対応することができる。より具体的な例として、4つの面または側面:北面、南面、東面、及び西面を有するビルについて考える。ビルが10階建てであることも考慮する。そのような教示的な例においては、それぞれの区画は、特定の階の、4つの面のうちの特定の面のエレクトロクロミック窓100のセットに対応することができる。追加としてまたは代替として、それぞれの区画は、1つまたは複数の物理的特徴(たとえば、サイズまたは年数などのデバイスパラメータ)を共有するIGU302のセットに対応することができる。いくつかの他の実施態様においては、IGU302の区画は、たとえば、セキュリティ指定またはビジネス階層などの1つまたは複数の非物理的特徴に基づいてグループ分けすることができる(たとえば、管理担当者のオフィスを境界付けするIGU302は、1つまたは複数の区画にグループ分けされ得、非管理担当者のオフィスを境界付けするIGU302は、1つまたは複数の異なる区画にグループ分けされ得る)。
【0042】
いくつかのそのような実施態様においては、それぞれのNC306は、1つまたは複数の各区画のそれぞれの中のIGU302の全てをアドレス指定することができる。たとえば、MC308は、目標区画を制御するNC306に一次色合いコマンドを発行することができる。一次色合いコマンドは、目標区画の抽象的な識別情報(本明細書においては以降、「区画ID」とも呼ばれる)を含むことができる。いくつかのそのような実施態様においては、区画IDは、上記の例で説明したばかりのものなど、第1のプロトコルIDとすることができる。そのような場合においては、NC306は、色合い値及び区画IDを含む一次色合いコマンドを受信し、区画IDを、区画内のWC304に関連付けられた第2のプロトコルIDにマッピングする。いくつかの他の実施態様においては、区画IDは、第1のプロトコルIDよりも高いレベルの抽象度とすることができる。そのような場合においては、NC306は、まず、区画IDを1つまたは複数の第1のプロトコルIDにマッピングし、その後、第1のプロトコルIDを第2のプロトコルIDにマッピングすることができる。
【0043】
ユーザまたはサードパーティのネットワークとの相互作用
いくつかの実施態様においては、MC308は、1つまたは複数のワイヤードもしくはワイヤレスのリンク318(本明細書においては以降、「リンク318」)を介して、1つまたは複数の外向きネットワーク310(本明細書においては以降まとめて「外向きネットワーク310」と呼ばれる)に結合されている。いくつかのそのような実施態様においては、MC308は、取得したステータス情報またはセンサデータを、外向きネットワーク310内の、または外向きネットワーク310によってアクセス可能なリモートコンピュータ、モバイルデバイス、サーバ、データベースに伝達することができる。いくつかの実施態様においては、そのようなリモートデバイス内で実行するサードパーティアプリケーションまたはクラウドベースのアプリケーションを含む様々なアプリケーションが、MC308からのデータにアクセスし、またはMC308にデータを提供することができる。いくつかの実施態様においては、認可されたユーザまたはアプリケーションは、ネットワーク310を介してMCU308に様々なIGU302の色合い状態を変更する要求を伝達することができる。いくつかの実施態様においては、MC308は、まず、色合いコマンドを発行する前に(たとえば、電力の考慮事項に基づいて、またはユーザが適切な認可を与えられているかどうかに基づいて)要求を承諾すべきであるかどうかを判定することができる。次いで、MC308は、色合い値を計算、確定、選択、または別の形で生成して、関連するIGU302に色合い状態遷移を引き起こすための一次色合いコマンドにおいてこの色合い値を送信することができる。
【0044】
たとえば、ユーザは、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、またはモバイルデバイス(たとえば、スマートフォン)などのコンピューティングデバイスからそのような要求を提出することができる。いくつかのそのような実施態様においては、ユーザのコンピューティングデバイスは、MC308と、いくつかの例においては、MC308内で実行するマスタコントローラアプリケーションと通信することができるクライアント側アプリケーションを実行することができる。いくつかの他の実施態様においては、クライアント側アプリケーションは、MC308と同じまたは異なる物理デバイスもしくはシステム内の別個のアプリケーションと通信することができ、次いで、このMC308は、所望の色合い状態修正を達成するように、マスタコントローラアプリケーションと通信する。いくつかの実施態様においては、マスタコントローラアプリケーションまたは他の別個のアプリケーションを使用して、ユーザを認証して、ユーザによって提出された要求を認可することができる。いくつかの実施態様においては、ユーザは、色付けされるべきIGU302を選択し、その選択を、クライアント側アプリケーションを介して部屋番号を入力することによってMC308に伝えることができる。
【0045】
追加としてまたは代替として、いくつかの実施態様においては、ユーザのモバイルデバイスまたは他のコンピューティングデバイスは、様々なWC304とワイヤレスで通信することができる。たとえば、ユーザのモバイルデバイス内で実行するクライアント側アプリケーションは、色合い状態制御信号を含むワイヤレス通信をWC304に送信して、WC304に接続された各IGU302の色合い状態を制御することができる。たとえば、ユーザは、クライアント側アプリケーションを使用して、ユーザが占有している(またはユーザもしくはその他の人が、いずれ占有する予定の)部屋に隣接しているIGU302の色合い状態を維持または修正することができる。そのようなワイヤレス通信は、様々なワイヤレスネットワークトポロジ及びプロトコル(
図6のWC600を参照してより詳細に後述する)を使用して生成、フォーマット、または送信され得る。
【0046】
いくつかのそのような実施態様においては、ユーザのモバイルデバイス(または他のコンピューティングデバイス)から各WC304に送信される制御信号は、各NC306からWC304によって以前に受信された色合い値を無効にすることができる。言い換えれば、WC304は、色合い値に基づいてではなく、ユーザのコンピューティングデバイスからの制御信号に基づいて、印加電圧をIGU302に供給することができる。たとえば、WC304に記憶され、WC304によって実行される制御アルゴリズムまたはルールセットは、認可されたユーザのコンピューティングデバイスからの1つまたは複数の制御信号がNC306から受信した色合い値に優先することを指示することができる。需要が高い場合などのいくつかの他の例においては、NC306からの色合い値などの制御信号は、ユーザのコンピューティングデバイスからWC304によって受信されるいずれの制御信号にも優先することができる。いくつかの他の例においては、制御アルゴリズムまたはルールセットは、特定のユーザ、またはユーザのグループもしくはクラスのみからの色合い無効化が、そのようなユーザに付与された許可、いくつかの例においては、時刻、またはIGU302の場所を含む他の因子に基づいて優先し得ることを指示することができる。
【0047】
いくつかの実施態様においては、認可されたユーザのコンピューティングデバイスからの制御信号の受信に基づいて、MC308は、知られているパラメータの組合せに関する情報を使用して、典型的なユーザに望ましく、いくつかの例においては、電力を効率的にも使用する明色化条件を提供する色合い値を計算、確定、選択、または別の形で生成することができる。いくつかの他の実施態様においては、MC308は、コンピューティングデバイスを介して色合い状態変更を要求した特定のユーザによって、またはそのユーザに対して規定された予め設定された選好に基づいて、色合い値を確定することができる。たとえば、ユーザは、色合い状態変更を要求するために、パスワードを入力する、または別の形でログインする、もしくは認可を得ることを要求されることがある。そのような例においては、MC308は、パスワード、セキュリティトークンに基づいて、または特定のモバイルデバイスもしくは他のコンピューティングデバイスの識別子に基づいて、ユーザの身元を確定することができる。ユーザの身元を確定した後には、MC308は、ユーザのために予め設定された選好を読み出し、予め設定された選好を単独で、または他のパラメータ(電力の考慮事項または様々なセンサからの情報など)と組み合わせて使用して、各IGU302を色付けする際に使用するための色合い値を生成し、送信することができる。
【0048】
壁面デバイス
いくつかの実施態様においては、ネットワークシステム300はまた、壁面スイッチ、調光器、または他の色合い状態制御デバイスを含むことができる。壁面スイッチは、概して、WCに接続された電気機械的インターフェースを示す。壁面スイッチは、WCに色合いコマンドを伝えることができ、次いで、WCは、色合いコマンドをNCに伝えることができる。そのようなデバイスは、本明細書においては以降まとめて「壁面デバイス」とも呼ばれるが、そのようなデバイスを壁面に取り付けた実施態様に限定する必要はない(たとえば、そのようなデバイスはまた、天井または床に置かれてもよく、あるいは机もしくは会議テーブルの上または中に統合されてもよい)。たとえば、ビルのオフィス、会議室、もしくは他の部屋のうちのいくつかまたは全ては、隣接するIGU302の色合い状態を制御する際に使用するためにそのような壁面デバイスを含むことができる。たとえば、特定の部屋に隣接するIGU302は、区画にグループ分けされ得る。壁面デバイスはそれぞれ、部屋に隣接するIGU302の色合い状態、または他の機能もしくはパラメータを制御するために、エンドユーザ(たとえば、各部屋の占有者)によって操作され得る。たとえば、一日のある時刻に、隣接するIGU302は、暗い状態に色付けされて、外側から室内に入る光エネルギーの量を低減させる(たとえば、AC冷房要件を低減させる)ことができる。次に、ユーザがその部屋を使用したいと仮定する。様々な実施態様において、ユーザは、暗い状態からより明るい色合い状態に色合い状態遷移をさせるように制御信号を伝達するために壁面デバイスを操作することができる。
【0049】
いくつかの実施態様においては、それぞれの壁面デバイスは、ユーザが特定の色合い状態を選択する、または部屋に隣接するIGU302の現在の色付けレベルを増加させる、もしくは減少させることを可能にするために1つまたは複数のスイッチ、ボタン、調光器、ダイヤル、あるいは他の物理的ユーザインターフェース制御部を含むことができる。追加としてまたは代替として、壁面デバイスは、ユーザが特定の色合い状態を選択すること(たとえば、仮想ボタンを選択し、ドロップダウンメニューから選択し、または色合いレベルもしくは色付け率を入力することによって)、あるいは色合い状態を修正すること(たとえば、「暗化」仮想ボタン、「明色化」仮想ボタンを選択することによって、または仮想ダイヤルを回す、もしくは仮想バーをスライドさせることによって)を可能にするタッチ画面インターフェースを有するディスプレイを含むことができることができる。いくつかの他の実施態様においては、壁面デバイスは、ユーザが、スマートフォン、マルチメディアデバイス、タブレットコンピュータ、または他のポータブルコンピューティングデバイス(たとえば、Apple(登録商標),Inc.,Cupertino,CAによって製造されているIPHONE(登録商標)、IPOD(登録商標)、またはIPAD(登録商標))などのポータブルデバイスを物理的及び通信可能にドッキングすることを可能にするドッキングインターフェースを含むことができる。そのような実施態様においては、ユーザは、ポータブルデバイスへの入力を介して色付けレベルを制御することができ、この入力は、次いで、ドッキングインターフェースを介して壁面デバイスによって受信され、その後、MC308、NC306、またはWC304に伝達される。そのような実施態様においては、ポータブルデバイスは、壁面デバイスによって提示されるAPIと通信するためのアプリケーションを含むことができる。
【0050】
たとえば、壁面デバイスは、色合い状態変化の要求をMC308に送信することができる。いくつかの実施態様においては、MC308は、まず、(たとえば、電力の考慮に基づいて、またはユーザが適切な認可/許可を与えられているかどうかに基づいて)要求を承諾すべきかどうかを判定することができる。次いで、MC308は、色合い値を計算、確定、選択、または別の形で生成し、一次色合いコマンドにおいてこの色合い値を送信して、隣接するIGU302に色合い遷移を引き起こすことができる。いくつかのそのような実施態様においては、それぞれの壁面デバイスは、1つまたは複数のワイヤードのリンクを介して(たとえば、CAN(登録商標)またはEthernet(登録商標)の準拠線などの通信回線を介して、または電力線通信技法を使用する電力線を介して)MC308に接続され得る。いくつかの他の実施態様においては、それぞれの壁面デバイスは、1つまたは複数のワイヤレスリンクを介してMC308に接続され得る。いくつかの他の実施態様においては、壁面デバイスは、(1つまたは複数のワイヤードもしくはワイヤレスの接続を介して)顧客に向くネットワークなどの外向きネットワーク310に接続され得、次いで、この外向きネットワーク310は、リンク318を介してMC308と通信する。
【0051】
いくつかの実施態様においては、MC308は、壁面デバイスをIGU302に関連付ける、以前にプログラムされた、または発見された情報に基づいて、壁面デバイスに関連付けられたIGU302を識別することができる。いくつかの実施態様においては、MC308に記憶され、MC308によって実行される制御アルゴリズムまたはルールセットは、壁面デバイスからの1つまたは複数の制御信号が、MC308によって以前に生成された色合い値に優先することを指示することができる。高い需要(たとえば、高電力需要)のときなどのいくつかの他の場合においては、MC308に記憶され、MC308によって実行される制御アルゴリズムまたはルールセットは、MC308によって以前に生成された色合い値が、壁面デバイスから受信したいずれの制御信号にも優先することを指示することができる。
【0052】
いくつかの他の実施態様または例においては、壁面デバイスからの色合い状態変更要求または制御信号の受信に基づいて、MC308は、知られているパラメータの組合せに関する情報を使用して、典型的なユーザに望ましく、いくつかの例においては、電力を効率的にも使用する明色化条件を提供する色合い値を生成することができる。いくつかの他の実施態様においては、MC308は、壁面デバイスを介して色合い状態変更を要求した特定のユーザによって、またはそのユーザに対して規定された予め設定された選好に基づいて、色合い値を生成することができる。たとえば、ユーザは、壁面デバイスにアクセスするために、壁面デバイスにパスワードを入力する、あるいはIBUTTON(登録商標)もしくは他の1-Wire(登録商標)デバイスなどのセキュリティトークンまたはセキュリティフォブを使用することが要求されることがある。そのような例においては、MC308は、パスワード、セキュリティトークン、またはセキュリティフォブに基づいて、ユーザの身元を確定し、ユーザの予め設定された選好を読み出し、予め設定された選好を単独で、または他のパラメータ(電力の考慮事項または様々なセンサからの情報など)と組み合わせて使用して、各IGU302の色合い値を計算、確定、選択、または別の形で生成することができる。
【0053】
いくつかの他の実施態様においては、壁面デバイスは、色合い状態変更要求を適切なNC306に送信することができ、次いで、この適切なNC306は、要求、または要求に基づく通信をMC308に伝達する。たとえば、それぞれの壁面デバイスは、MC308について説明したばかりものなどの1つまたは複数のワイヤードのリンクを介して、あるいは(後述するものなどの)ワイヤレスリンクを介して、対応するNC306と接続され得る。いくつかの他の実施態様においては、壁面デバイスは、適切なNC306に要求を送信することができ、次いで、このNC306はそれ自体、以前にMC308から受信した一次色合いコマンド、またはNC306によって以前に生成された一次もしくは二次色合いコマンドを無効化にすべきであるかどうかを判定する(後述するように、NC306は、いくつかの実施態様においては、MC308から色合いコマンドを最初に受信せずに色合いコマンドを生成することができる)。いくつかの他の実施態様においては、壁面デバイスは、隣接するIGU302を制御するWC304に要求または制御信号を直接、伝達することができる。たとえば、それぞれの壁面デバイスは、MC308について説明したばかりのものなど、1つまたは複数のワイヤードリンクを介して、または(
図6のWC600を参照して後述するものなどの)ワイヤレスリンクを介して、対応するWC304と接続され得る。
【0054】
いくつかの具体的な実施態様においては、NC306またはMC308は、壁面デバイスからの制御信号が、NC306またはMC308によって以前に生成された色合い値に優先すべきかどうかを判定する。上述のように、いくつかの実施態様においては、壁面デバイスは、NC306と直接、通信することができる。しかしながら、いくつかの他の実施態様においては、壁面デバイスは、MC308に直接またはWC304に直接、要求を伝達することができ、次いで、このMC308またはWC304は要求をNC306に伝達する。さらなる他の実施態様においては、壁面デバイスは、(ビルの所有者または運営者によって管理されるネットワークなどの)顧客に向くネットワークに要求を伝達することができ、次いで、この顧客に向くネットワークは、要求(またはそれに基づく要求)をNC306に直接的にか、またはMC308を介しての間接的にかのいずれかで渡す。いくつかの実施態様においては、NC306またはMC308に記憶され、NC306またはMC308によって実行される制御アルゴリズムまたはルールセットは、壁面デバイスからの1つまたは複数の制御信号が、NC306またはMC308によって以前に生成された色合い値に優先することを指示することができる。高い需要(たとえば、高電力需要)のときなどのいくつかの他の場合においては、NC306またはMC308に記憶され、NC306またはMC308によって実行される制御アルゴリズムまたはルールセットは、NC306またはMC308によって以前に生成された色合い値が、壁面デバイスから受信されたいずれの制御信号にも優先することを指示することができる。
【0055】
MC308を参照して上述したように、いくつかの他の実施態様においては、壁面デバイスからの色合い状態変更要求または制御信号の受信に基づいて、NC306は、知られているパラメータの組合せに関する情報を使用して、典型的なユーザに望ましく、いくつかの例においては電力を効率的にも使用する明色化条件を提供する色合い値を生成することができる。いくつかの他の実施態様においては、NC306またはMC308は、壁面デバイスを介して色合い状態変更を要求した特定のユーザによって、またはそのユーザに対して規定された予め設定された選好に基づいて、色合い値を生成することができる。MC308を参照して上述したように、ユーザは、壁面デバイスにアクセスするために、壁面デバイスにパスワードを入力する、またはIBUTTON(登録商標)もしくは他の1-Wire(登録商標)デバイスなどのセキュリティトークンまたはセキュリティフォブを使用することが要求されることがある。そのような例においては、NC306は、MC308と通信してユーザの身元を確定することができ、またはMC308は単独で、パスワード、セキュリティトークン、もしくはセキュリティフォブに基づいてユーザの身元を確定し、ユーザについての予め設定された選好を読み出し、予め設定された選好を単独でもしくは他のパラメータ(電力考慮事項、または様々なセンサからの情報など)と組み合わせて使用して、各IGU302の色合い値を計算、確定、選択、または別の形で生成することができる。
【0056】
いくつかの実施態様においては、MC308は、外部データベース(または「データストア」もしくは「データウェアハウス」)320に結合されている。いくつかの実施態様においては、データベース320は、ワイヤードのハードウェアリンク322を介してMC308に結合されたローカルデータベースであってもよい。いくつかの他の実施態様においては、データベース320は、内部プライベートネットワークを介してまたは外向きネットワーク310を介して、MC308によってアクセス可能なリモートデータベースまたはクラウドベースのデータベースであってもよい。いくつかの実施態様においては、他のコンピューティングデバイス、システム、またはサーバもまた、たとえば外向きネットワーク310を介して、データベース320に記憶されたデータを読み取るためにアクセスすることができる。加えて、いくつかの実施態様においては、1つまたは複数の制御アプリケーションもしくはサードパーティアプリケーションもまた、外向きネットワーク310を介してデータベースに記憶されたデータを読み取るためにアクセスすることができる。いくつかの場合においては、MC308は、MC308によって発行された対応する色合い値を含む全ての色合いコマンドの記録をデータベース320に記憶する。MC308はまた、ステータス及びセンサデータを収集し、それをデータベース320に記憶することもできる。そのような例においては、WC304は、IGU302からセンサデータ及びステータスデータを収集し、このセンサデータ及びステータスデータを、リンク314を介して各NC306に伝達して、リンク316を介してMC308に伝達することができる。追加としてまたは代替として、NC306またはMC308はそれら自体もまた、ビル内の光センサ、温度センサまたは占有センサ、ならびにビルの上、周囲、または別の形で外部に(たとえば、ビルの屋根の上に)位置決めされた光センサまたは温度センサなどの様々なセンサに接続されてもよい。いくつかの実施態様においては、NC306またはWC304はまた、ステータスまたはセンサデータを直接、データベース320に送信して記憶することができる。
【0057】
他のシステムまたはサービスとの統合
いくつかの実施態様においては、ネットワークシステム300はまた、ビル全体またはビルの構内の統合された効率的なエネルギー制御システムとして、最新の暖房/換気/空調(heating,ventilation, and air conditioning:HVAC)システム、室内照明システム、セキュリティシステムまたは電力システムと連動して機能するように設計され得る。ネットワークシステム300のいくつかの実施態様は、ビル管理システム(building management system:BMS)324との統合に適している。BMSは、広範には、HVACシステム(暖房炉または他のヒーター、空調機、送風機、及び通気口を含む)、照明システム、電力システム、エレベータ、火災システム、セキュリティシステムなどのビルの機械的及び電気的機器を監視し制御するために、ビル内に設置され得るコンピュータベースの制御システムである。BMSは、占有者によって、またはビル管理担当者もしくは他の管理者によって設定された選好に従って、ビル内の条件を維持するためのハードウェア、ならびに関連するファームウェア及びソフトウェアを含むことができる。ソフトウェアは、たとえば、インターネットプロトコルまたはオープン標準に基づくことができる。BMSは、典型的には、BMSがビル内の環境を制御するように機能する大きなビル内で使用され得る。たとえば、BMSは、ビル内の照明、温度、二酸化炭素レベル、及び湿度を制御することができる。ビルの環境を制御するために、BMSは、ルールに従って、または条件に応答して、様々な機械的及び電気的デバイスをオン/オフすることができる。そのようなルール及び条件は、たとえば、ビルの管理担当者または管理者によって選択または指定され得る。BMSの1つの機能は、ビルの占有者にとって快適な環境を維持しながら、暖房及び冷房のエネルギー損失ならびにコストを最小限に抑えることとすることができる。いくつかの実施態様においては、BMSは、監視及び制御だけでなく、たとえばエネルギーを節約し、ビル運用コストを引き下げるために、様々なシステム間の相乗効果を最適化するように構成され得る。
【0058】
追加としてまたは代替として、ネットワークシステム300のいくつかの実施態様は、スマートサーモスタットサービス、アラートサービス(たとえば、火災検出)、セキュリティサービス、または他の電化製品自動化サービスとの統合に適している。住宅用自動化サービスの1つの例は、Nest Labs,Palo Alto,Californiaによって製作されたNEST(登録商標)(NEST(登録商標)は、Google,Inc.,Mountain View,Californiaの登録商標)である。本明細書において使用されるとき、BMSについて言うときには、いくつかの実施態様においては、そのような他の自動化サービスを包含することも、またはそのような他の自動化サービスに置き換えることもできる。
【0059】
いくつかの実施態様においては、MC308と、BMS324などの別個の自動化サービスとは、アプリケーションプログラミングインターフェース(application programming interface:API)を介して通信することができる。たとえば、APIは、MC308内のマスタコントローラアプリケーション(もしくはプラットフォーム)と連動して、またはBMS324内のビル管理アプリケーション(もしくはプラットフォーム)と連動して実行することができる。MC308とBMS324とは、1つまたは複数のワイヤードのリンク326を介して、あるいは外向きネットワーク310を介して通信することができる。いくつかの例においては、BMS324は、IGU302を制御するための命令をMC308に伝達することができ、次いで、MCU308は、一次色合いコマンドを生成して適切なNC306に送信する。いくつかの実施態様においては、NC306またはWC304はまた、(ワイヤード/ハードウェアリンクを介してか、またはワイヤレスデータリンクを介してワイヤレスでかに関わらず)BMS324と直接、通信することもできる。いくつかの実施態様においては、BMS324はまた、MC308、NC306、及びWC304のうちの1つまたは複数によって収集されたセンサデータ、ステータスデータ、及び関連するタイムスタンプデータなどのデータも受信することもできる。たとえば、MC308は、ネットワーク310を介してそのようなデータを公開することができる。そのようなデータがデータベース320に記憶されるいくつかの他の実施態様においては、BMS324は、データベース320に記憶されたデータの一部または全部にアクセスすることができる。
【0060】
例示的なマスタコントローラ
図4は、いくつかの実施態様による例示的なマスタコントローラ(MC)400のブロック図を示している。たとえば、
図4のMC400は、
図3のネットワークシステム300を参照して上述したMC308を実装するために使用され得る。本明細書において使用されるとき、「MC400」について言うときには、MC308も包含し、逆も同様であり、言い換えれば、この2つについて言うときには、交換可能に使用されてもよい。MC400は、1つまたは複数のコンピュータ、コンピューティングデバイス、もしくはコンピュータシステム(本明細書においては、別段の指示がない限り、適宜、交換可能に使用される)において、またはこれらとして実装され得る。加えて、「MC400」について言うときには、記載されている機能、動作、プロセス、または性能を実装するためのハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアの任意の適切な組合せをまとめて示す。たとえば、MC400は、マスタコントローラアプリケーション(本明細書においては、「プログラム」または「タスク」とも呼ばれる)を実装するコンピュータを示すことができる。
【0061】
図4に示されているように、MC400は、概して、1つまたは複数のプロセッサ402(本明細書においては以降まとめて「プロセッサ402」とも呼ばれる)を含む。プロセッサ402は、単一コアまたはマルチコアプロセッサなど中央処理ユニット(CPU)とすることも、あるいは中央処理ユニット(CPU)を含むこともできる。プロセッサ402は、いくつかの実施態様においては、デジタル信号プロセッサ(DSP)またはネットワークプロセッサをさらに含むことができる。いくつかの実施態様においては、プロセッサ402はまた、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)を含むこともできる。プロセッサ402は、一次メモリ404、二次メモリ406、内向きネットワークインターフェース408、及び外向きネットワークインターフェース410と結合されている。一次メモリ404は、たとえば、ダイナミックRAM(DRAM)デバイスを含む1つまたは複数のランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなどの1つあるいは複数の高速メモリデバイスを含むことができる。そのようなDRAMデバイスには、他の適切なメモリデバイスの中でもとりわけ、たとえば、同期DRAM(SDRAM)デバイス、及び(DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、及びDDR4 SDRAMを含む)ダブルデータレートSDRAM(DDR SDRAM)デバイス、サイリスタRAM(T-RAM)、及びゼロキャパシタ(Z-RAM)を含めることができる。
【0062】
二次メモリ406は、1つまたは複数のハードディスクドライブ(HDD)、あるいは1つまたは複数のソリッドステートドライブ(SSD)を含むことができる。いくつかの実施態様においては、メモリ406は、たとえばLinux(登録商標)カーネルに基づくオペレーティングシステムなどのマルチタスクオペレーティングシステムを実装するためのプロセッサ実行可能コード(または「プログラミング命令」)を記憶することができる。いくつかの他の実施態様においては、オペレーティングシステムは、UNIX(登録商標)またはUnix(登録商標)様ベースのオペレーティングシステム、Microsoft(登録商標) Windows(登録商標)ベースのオペレーティングシステム、または別の適切なオペレーティングシステムであってもよい。メモリ406はまた、上述のマスタコントローラアプリケーション実装するようにプロセッサ402によって実行可能なコード、ならびに他のアプリケーションまたはプログラムを実装するためのコードを記憶することができる。メモリ406はまた、ネットワークコントローラ、窓コントローラ、及び様々なセンサから収集されたステータス情報、センサデータ、または他のデータを記憶することができる。
【0063】
いくつかの実施態様においては、MC400は「ヘッドレス」システム、つまり、ディスプレイモニタまたは他のユーザ入力デバイスを含まないコンピュータである。いくつかのそのような実施態様においては、管理者または他の認可されたユーザは、MC400に記憶された情報にアクセスし、この情報を読み出すために、ネットワーク(たとえば、ネットワーク310)を介してリモートコンピュータまたはモバイルコンピューティングデバイスからMC400にログイン、あるいは別の形でMC400にアクセスして、MC400にデータを書き込む、または別の形で記憶し、MC400によって実装もしくは使用される様々な機能、動作、プロセスまたはパラメータを制御することができる。いくつかの他の実施態様においては、MC400はまた、ディスプレイモニタ及び直接的なユーザ入力デバイス(たとえば、マウス、キーボード、及びタッチ画面のうちの1つまたは複数)を含むことができる。
【0064】
様々な実施態様においては、内向きネットワークインターフェース408は、MC400が様々な分散型コントローラと、いくつかの実施態様においては、様々なセンサとも通信することを可能にする。内向きネットワークインターフェース408は、1つまたは複数のワイヤードネットワークインターフェース、あるいは(1つまたは複数の無線送受信機を含む)1つまたは複数のワイヤレスネットワークインターフェースをまとめて示すことができる。
図3のネットワークシステム300の文脈においては、MC400はMC308を実装することができ、内向きネットワークインターフェース408は、リンク316を介する下流NC306との通信を可能にすることができる。
【0065】
外向きネットワークインターフェース410は、MC400が1つまたは複数のネットワークを介して、様々なコンピュータ、モバイルデバイス、サーバ、データベース、またはクラウドベースのデータベースシステムと通信することを可能にする。外向きネットワークインターフェース410はまた、1つまたは複数のワイヤードネットワークインターフェース、あるいは(1つまたは複数の無線送受信機を含む)1つまたは複数のワイヤレスネットワークインターフェースをまとめて示すこともできる。
図3のネットワークシステム300の文脈においては、外向きネットワークインターフェース410は、リンク318を経由して外向きネットワーク310を介してアクセス可能な様々なコンピュータ、モバイルデバイス、サーバ、データベース、またはクラウドベースのデータベースシステムとの通信を可能にすることができる。上述したように、いくつかの実施態様においては、そのようなリモートデバイス内で実行するサードパーティアプリケーションまたはクラウドベースのアプリケーションを含む様々なアプリケーションが、MC400からのデータにアクセスし、またはMC400もしくはデータベース320に提供することができる。いくつかの実施態様においては、MC400は、MC400と様々なサードパーティアプリケーションとの間の通信を容易にするための1つまたは複数のAPIを含む。MC400がイネーブルすることができるAPIのいくつかの例示的な実施態様については、2015年12月8日に出願され「MULTIPLE INTERACTING SYSTEMS AT A SITE」と題されたPCT特許出願第PCT/US15/64555号(代理人整理番号VIEWP073WO)に記載されており、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。たとえば、そのようなサードパーティアプリケーションには、サーモスタットサービス、警報サービス(たとえば、火災検出)、セキュリティサービス、または他の電化製品自動化サービスを含む様々な監視サービスを挙げることができる。監視サービス及びシステムの追加の例は、2015年3月5日に出願され「MONITORING SITES CONTAINING SWITCHABLE OPTICAL DEVICES AND CONTROLLERS」と題されたPCT特許出願第PCT/US2015/019031号(代理人整理番号VIEWP061WO)に見出すことができ、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0066】
いくつかの実施態様においては、内向きネットワークインターフェース408及び外向きネットワークインターフェース410のうちの一方または両方は、BACnet互換インターフェースを含むことができる。BACnetは、通常、ビル自動化及び制御ネットワークにおいて使用され、ASHRAE/ANSI135及びISO16484-5標準で規定されている通信プロトコルである。BACnetプロトコルは、それらが実行する特定のサービスに関係なく、情報を交換するためのコンピュータ化されたビル自動化システム及びデバイスのための機構を広範に提供する。たとえば、BACnetは、従来、暖房/換気/空調制御(HVAC)システム、照明制御システム、アクセスまたはセキュリティ制御システム、及び火災検出システム、ならびにそれらの関連機器間の通信を可能にするために使用されている。いくつかの他の実施態様においては、内向きネットワークインターフェース408及び外向きネットワークインターフェース410のうちの一方または両方は、oBIX(Open Building Information Exchange)互換インターフェース、または別のRESTful Web Serviceベースのインターフェースを含むことができる。したがって、次の説明は、場合によっては、BACnet実施態様に焦点が当てられているが、他の実施態様においては、oBIXまたは他のRESTful Web Serviceと互換性のある他のプロトコルが使用されることもある。
【0067】
BACnetプロトコルは、一般には、サーバ/クライアントアーキテクチャに基づいている。いくつかの実施態様においては、外向きネットワーク310から見ると、MC400は、BACnetサーバとして機能する。たとえば、MC400は、ネットワーク310を経由して外向きネットワークインターフェース410を介して様々な情報を様々な認可されたコンピュータ、モバイルデバイス、サーバ、もしくはデータベース、またはそのようなデバイスにおいて実行する様々な認可されたアプリケーションに公開することができる。残りのネットワークシステム300から見た場合、MC400は、クライアントとして機能することができる。いくつかのそのような実施態様においては、NC306は、WC304から取得したステータスデータ、センサデータ、または他のデータを収集及び記憶し、MC400にアクセス可能になるようにこの取得したデータを公開するBACnetサーバとして機能する。
【0068】
MC400は、クライアントとして、BACnet標準データタイプを使用してNC306のそれぞれに通信することができる。そのようなBACnetデータタイプは、アナログ値(analog value:AV)を含むことができる。いくつかのそのような実施態様においては、それぞれのNC306は、AVのアレイを記憶する。AVのアレイは、BACnet IDによって編成され得る。たとえば、それぞれのBACnetのIDは、少なくとも2つのAVと関連付けられ得る:AVのうちの第1のAVは、MC400によって設定された色合い値と関連付けられ、AVのうちの第2のAVは、各WC304から設定された(または受信した)ステータス指示値と関連付けられ得る。いくつかの実施態様においては、それぞれのBACnetのIDは、1つまたは複数のWC304に関連付けられ得る。たとえば、WC304はそれぞれ、コントローラエリアネットワーク(Controller Area Network:CAN)(登録商標)車両バス標準ID(本明細書においては以降、「CAN(登録商標) ID」と呼ばれる)などの第2のプロトコルIDによって識別され得る。そのような実施態様においては、それぞれのBACnetのIDは、NC306における1つまたは複数のCAN(登録商標) IDに関連付けられ得る。
【0069】
いくつかの実施態様においては、MC400が1つまたは複数のIGU302を色付けるように確定すると、MC400は、目標IGU302を制御する1つまたは複数の各WC304に関連付けられたNC306におけるAVに対して特定の色合い値を書き込む。いくつかのより具体的な実施態様においては、MC400は、目標IGU302を制御するWC304に関連付けられたBACnet IDを含む一次色合いコマンドを生成する。一次色合いコマンドはまた、目標IGU302の色合い値を含むことができる。MC400は、NC306のネットワークアドレスを使用して、内向きインターフェース408を介して、特定のNC306に、一次色合いコマンドの送信を指図することができる。たとえば、NC306のネットワークアドレスは、(たとえば、Ethernet(登録商標)リンク316を介して通信するとき)インターネットプロトコル(IP)アドレス(たとえば、IPv4またはIPv6アドレス)、または媒体アクセス制御(MAC)アドレスを含むことができる。
【0070】
MC400は、パラメータの組合せに基づいて、1つまたは複数のIGU302の色合い値を計算、確定、選択、または別の形で生成することができる。たとえば、パラメータの組合せは、一日の時刻、日付、もしくは季節の時期などの時または暦情報を含むことができる。追加としてまたは代替として、パラメータの組合せは、たとえば、IGU302に対する太陽の方向などの太陽暦情報を含むことができる。いくつかの例においては、IGU302に対する太陽の方向は、地球上のビルの地理的位置及びIGUが向いている方向について(たとえば、北/東/下座標系で)知られている情報とともに時及び暦情報に基づいて、MC400によって確定され得る。パラメータの組合せはまた、(ビルの外の)外部温度、(目標IGU302に隣接する室内の)内部温度、またはIGU302の内部容積部内の温度を含むことができる。パラメータの組合せはまた、天候に関する情報(たとえば、晴天か、晴れか、曇りか、曇天か、雨か、または雪かどうか)も含むことができる。一日の時刻、日付、または太陽の方向などのパラメータは、MC308にプログラムされ、MC308によって追跡され得る。外部温度、内部温度、またはIGU温度などのパラメータは、ビルの中、上もしくはその周囲のセンサ、またはIGU302の上もしくはその中に統合されたセンサから取得され得る。天候に関する一部の情報も、そのようなセンサから得ることができる。追加としてまたは代替として、一日の時刻、時期、太陽の方向、または天候などのパラメータは、ネットワーク310を介してサードパーティアプリケーションを含む様々なアプリケーションによって提供され得、または提供される情報に基づいて確定され得る。色合い値を生成するためのアルゴリズム、ルーチン、モジュール、または他の手段の追加の例については、2013年2月21日に出願され「CONTROL METHOD FOR TINTABLE WINDOWS」と題された米国特許出願第13/722,969号(代理人整理番号VIEWP049)、及び2015年5月7日に出願され「CONTROL METHOD FOR TINTABLE WINDOWS」と題されたPCT特許出願第PCT/2015/029675号(代理人整理番号VIEWP049X1WO)に記載されており、この両出願は、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0071】
概して、それぞれのIGU302内のそれぞれのECDは、ECスタックの材料特性によって規定される連続色合いスペクトル内の事実上あらゆる色合いの状態に、ECスタックにわたって印加される適切なドライブ電圧に応答して色付け可能である。しかしながら、いくつかの実施態様においては、MC400は、有限数の別々の色合い値から1つの色合い値を選択するようにプログラムされている。たとえば、色合いの値は、整数値として指定され得る。いくつかのそのような実施態様においては、利用可能な別々の色合い値の数は、4、8、16、32、64、128、または256以上とすることができる。たとえば、2ビットの2進数を使用して4つの可能な整数の色合い値のうちのいずれか1つを指定することができ、3ビットの2進数を使用して8つの可能な整数の色合い値のうちのいずれか1つを指定することができ、4ビットの2進数を使用して16個の可能な整数の色合い値のうちのいずれか1つを指定することができ、5ビットの2進数を使用して32個の可能な整数の色合い値のうちのいずれか1つを指定することができる、等々である。それぞれの色合い値は、目標色合いレベルに関連付けること(たとえば、最大色合い、最大安全色合い、または最大所望もしくは利用可能な色合いのパーセンテージとして表すこと)ができる。教示上、MC400が、4つの利用可能な色合い値:0、5、10、及び15(4ビット以上の2進数を使用する)の中から選択する例について考える。色合い値0、5、10、及び15は、60%、40%、20%、及び4%、もしくは60%、30%、10%、及び1%の目標色合いレベル、または別の所望の、有利な、もしくは適切な目標色合いレベルのセットにそれぞれ関連付けられ得る。
【0072】
例示的なネットワークコントローラ
図5は、いくつかの実施態様による例示的なネットワークコントローラ(NC)500のブロック図を示している。たとえば、
図5のNC500は、
図3のネットワークシステム300を参照して上述したNC306を実装するために使用され得る。本明細書において使用されるとき、「NC500」について言うときにはまた、NC306も包含し、逆も同様であり、言い換えれば、この2つについて言うときには、交換可能に使用されてもよい。NC500は、1つまたは複数のネットワーク構成要素、ネットワーキングデバイス、コンピュータ、コンピューティングデバイス、またはコンピュータシステム(本明細書においては、別段の指示がない限り、適宜、交換可能に使用される)において、またはこれらとして実装され得る。加えて、「NC500」について言うときには、記載されている機能、動作、プロセス、または性能を実装するためのハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアの任意の適切な組合せをまとめて示す。たとえば、NC500は、ネットワークコントローラアプリケーション(本明細書においては、「プログラム」または「タスク」とも呼ばれる)を実装するコンピュータを示すことができる。
【0073】
図5に示されているように、NC500は、概して、1つまたは複数のプロセッサ502(本明細書においては以降まとめて「プロセッサ502」とも呼ばれる)を含む。いくつかの実施態様においては、プロセッサ502は、マイクロコントローラとして、またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)もしくは複雑なプログラマブル論理デバイス(CPLD)など、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)またはプログラマブルロジックデバイス(PLD)を含む1つまたは複数の論理デバイスとして実装され得る。PLDに実装される場合、プロセッサは、IP(intellectual property)ブロックとしてPLD内にプログラムされ、または組込み型プロセッサコアとしてPLD内に恒久的に形成され得る。いくつかの他の実施態様においては、プロセッサ502は、単一コアまたはマルチコアプロセッサなど、中央処理ユニット(CPU)とすることも、またはそれを含んでもよい。プロセッサ502は、一次メモリ504、二次メモリ506、下流ネットワークインターフェース508、及び上流ネットワークインターフェース510に結合される。いくつかの実施態様においては、一次メモリ504は、たとえばシステムオンチップ(system-on-chip:SOC)パッケージとしてプロセッサ502と統合されても、またはPLDそれ自体の中の埋込み型メモリ内に統合されてもよい。いくつかの他の実施態様においては、追加としてまたは代替として、NC500は、たとえば1つまたは複数のRAMデバイスなど、1つまたは複数の高速メモリデバイスを含むことができる。
【0074】
二次メモリ506は、1つまたは複数のルックアップテーブルもしくは値のアレイを記憶する1つあるいは複数のソリッドステートドライブ(SSD)を含むことができる。いくつかの実施態様においては、二次メモリ506は、MC400から受信した第1のプロトコルID(たとえば、BACnet ID)を、WC304のうちの各WC304をそれぞれが識別する第2のプロトコルID(たとえば、CAN(登録商標) ID)にマッピングするルックアップテーブルを記憶することができ、逆も同様である。いくつかの実施態様においては、追加としてまたは代替として、二次メモリ506は、1つまたは複数のアレイもしくはテーブルを記憶することができる。いくつかの実施態様においては、そのようなアレイまたはテーブルは、カンマ区切り値(comma-separated value:CSV)ファイルとして、または別のテーブル構造のファイルフォーマットを介して記憶され得る。たとえば、ファイルのそれぞれの行は、WC304とのトランザクションに対応するタイムスタンプによって識別され得る。それぞれの行は、WC304によって制御される(たとえば、一次色合いコマンドでMC400によって設定される)IGU302の色合い値(C);WC304によって制御されるIGU302のステータス値(S);設定点電圧(たとえば、実効印加電圧VEff);IGU302内のECDにわたって測定、検出、または別の形で確定される実電圧レベルVAct;IGU302内のECDを介して測定、検出、または別の形で確定される実電流レベルIAct:及び様々なセンサデータを含み得る。いくつかの実施態様においては、CSVファイルのそれぞれの行は、NC500によって制御されるWC304のそれぞれ及び全てのそのようなステータス情報を含むことができる。いくつかのそのような実施態様においては、それぞれの行はまた、各WC304のそれぞれに関連付けられたCAN(登録商標) IDまたは他のIDを含む。
【0075】
NCコントローラ500が、ネットワークコントローラアプリケーションを実行するコンピュータ内に実装されているいくつかの実施態様においては、二次メモリ506はまた、たとえば、Linux(登録商標)カーネルに基づくオペレーティングシステムなどのマルチタスキングオペレーティングシステムを実装するためのプロセッサ実行可能コード(または「プログラミング命令」)を記憶することができる。いくつかの他の実施態様においては、オペレーティングシステムは、UNIX(登録商標)ベース、またはUnix(登録商標)様ベースのオペレーティングシステム、Microsoft(登録商標) Windows(登録商標)ベースのオペレーティングシステム、または別の適切なオペレーティングシステムであってもよい。メモリ506はまた、上述のネットワークコントローラアプリケーションを実装するようにプロセッサ502によって実行可能なコード、ならびに他のアプリケーションまたはプログラムを実装するためのコードを記憶することができる。
【0076】
様々な実施態様において、下流ネットワークインターフェース508は、NC500が分散型WC304と通信すること、いくつかの実施態様においては、様々なセンサとも通信することを可能にする。
図3のネットワークシステム300の文脈においては、NC500は、NC306を実装することができ、下流ネットワークインターフェース508は、リンク314を介したWC304との通信を可能にすることができる。下流ネットワークインターフェース508は、1つまたは複数のワイヤードネットワークインターフェース、あるいは1つまたは複数のワイヤレスネットワークインターフェース(1つまたは複数の無線送受信機を含む)をまとめて示すことができる。いくつかの実施態様においては、下流インターフェース508は、NC500が、コマンド、要求、または他の命令を様々なWC304に配信し、CANBusプロトコルに従って(たとえば、CANopen通信プロトコルを介して)WC304からステータス情報を含む応答を受信することを可能にするCANbusインターフェースを含むことができる。いくつかの実施態様においては、単一のCANbusインターフェースが、NC500と数十、数百、または数千のWC304との間の通信を可能にすることができる。追加としてまたは代替として、下流インターフェース508は、1つまたは複数のユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェース(または「ポート」)を含むことができる。いくつかのそのような実施態様においては、CANbus通信プロトコルを介した通信を可能にするために、USB/CAN(登録商標)アダプタを使用して、下流インターフェース508のUSBポートをCANbus互換ケーブルと結合することができる。いくつかのそのような実施態様においては、NC500がさらに多くのWC304を制御できるようにするために、(たとえば2、3、4、5、または10以上のハブポートを有する)USBハブが、下流インターフェース508のUSBポートにプラグ接続され得る。次いで、USB/CAN(登録商標)アダプタは、USBハブのそれぞれのハブポートにプラグ接続され得る。
【0077】
上流ネットワークインターフェース510は、NC500が、MC400と通信することを、いくつかの実施態様においては、様々な他のコンピュータ、サーバ、またはデータベース(データベース320を含む)とも通信することを可能にする。上流ネットワークインターフェース510はまた、1つまたは複数のワイヤードネットワークインターフェース、あるいは(1つまたは複数の無線送受信機を含む)1つまたは複数のワイヤレスネットワークインターフェースをまとめて示すこともできる。
図3のネットワークシステム300の文脈においては、上流ネットワークインターフェース510は、リンク318を介したMC308との通信を可能にすることができる。いくつかの実施態様においては、上流ネットワークインターフェース510はまた、外向きネットワーク310を介して、サードパーティアプリケーション及びクラウドベースのアプリケーションを含むアプリケーションと通信するように結合され得る。たとえば、NC500が、コンピュータ内のタスクとして実行するネットワークコントローラアプリケーションとして実施される実施態様においては、ネットワークコントローラアプリケーションは、オペレーティングシステム及び上流ネットワークインターフェース510を介して、外向きネットワーク310と直接、通信することができる。いくつかの他の実施態様においては、NC500は、MC308上で動作し、CANbusインターフェースを介してCANbusデバイスを管理するタスクとして実装され得る。そのような実施態様においては、MCとのTCP/IPまたはUDP/IP通信に追加としてまたは代替として、通信は、UNIX(登録商標)ドメインソケット(UNIX Domain Socket:UDS)もしくは共有メモリなどの他の通信方法、または他の非IP通信方法を介する場合もあり得る。
【0078】
いくつかの実施態様においては、上流インターフェース510は、BACnet互換インターフェース、oBIX互換インターフェース、または別のRESTful Web Serviceベースのインターフェースを含むことができる。
図4を参照して上述したように、いくつかの実施態様においては、NC500は、WC304から取得したステータスデータ、センサデータ、または他のデータを収集及び記憶し、MC400にアクセス可能になるようにこの取得したデータを公開するBACnetサーバとして機能する。いくつかの実施態様においては、NC500はまた、ネットワーク310を介してこの取得したデータを直接、つまり、MC400に最初にデータを渡すことなく、公開することもできる。NC500はまた、いくつかの点でルータに類似して機能する。たとえば、NC500は、BACnetプロトコルに従ってMC400から送信された通信を受信し、BACnetプロトコルからのコマンドまたはメッセージをCANBusプロトコル(たとえばCANopen通信プロトコル)に変換し、CANBusプロトコルに従ってコマンドまたは他の命令を様々なWC304に配信するBACnet/CANBusゲートウェイとして機能することができる。
【0079】
BACnetは、ユーザデータグラムプロトコル(user datagram protocol:UDP)を介して構築される。いくつかの他の実施態様においては、非同報通信ベースの通信プロトコルが、MC400とNC500との間の通信に使用され得る。たとえば、伝送制御プロトコル(transmission control protocol:TCP)は、UDPとは対照的にトランスポート層として機能することができる。いくつかのそのような実施態様においては、MC400は、oBIX互換通信プロトコルを介してNC500と通信することができる。いくつかの他の実施態様においては、MC400は、WebSocket互換通信プロトコルを介してNC500と通信することができる。そのようなTCPプロトコルはまた、NC500が互いに直接、通信することを可能にし得る。
【0080】
様々な実施態様において、NC500は、1つまたは複数の上流プロトコルと1つまたは複数の下流プロトコルとの間のプロトコル翻訳(または「変換」)を実行するように構成され得る。上述のように、NC500は、BACnetからCANopenへの翻訳を実行することができ、その逆も同様である。別の例として、NC500は、oBIXプロトコルを介してMC400からアップストリーム通信を受信し、その通信をCANopenまたは他のCAN(登録商標)互換プロトコルに翻訳して下流WC304に送信することができ、その逆も同様である。いくつかのワイヤレス実施態様においては、NC500またはMC400はまた、たとえば、IEEE802.11標準(たとえば、WiFi(登録商標))に基づくプロトコル、IEEE802.15.4標準(たとえば、ZigBee(登録商標)、6LoWPAN、ISA100.11a、WirelessHARTまたはMiWi)に基づくプロトコル、Bluetooth(登録商標)標準(Classic Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)高速及びBluetooth(登録商標)低エネルギープロトコルを含み、Bluetooth(登録商標)のv4.0、v4.1及びv4.2バージョンを含む)に基づくプロトコル、あるいはEnOcean(登録商標)標準(ISO/IEC14543-3-10)に基づくプロトコルを含む様々なワイヤレスプロトコルを翻訳することができる。たとえば、NC500は、oBIXプロトコルを介してMC400からのアップストリーム通信を受信し、その通信をWiFi(登録商標)または6LowPANに翻訳して、下流WC304に送信することができ、その逆も同様である。別の例として、NC500は、WiFi(登録商標)または6LowPANを介してMC400からアップストリーム通信を受信し、その通信をCANopenに翻訳して、下流WC304に送信することができ、その逆も同様である。いくつかの他の例においては、NC500ではなくMC400が、そのような翻訳をハンドリングして、下流WC304に送信する。
【0081】
図4を参照して上述したように、MC400が1つまたは複数のIGU302を色付けることを確定すると、MC400は、目標IGU302を制御する1つまたは複数の各WC304に関連付けられたNC500におけるAVに対して特定の色合い値を書き込むことができる。いくつかの実施態様においては、そうするために、MC400は、目標IGU302を制御するWC304に関連付けられたBACnet IDを含む一次色合いコマンド通信を生成する。一次色合いコマンドはまた、目標IGU302の色合い値を含むことができる。MC400は、たとえば、IPアドレスまたはMACアドレスなどのネットワークアドレスを使用して、NC500に、一次色合いコマンドの送信を指図することができる。NC500は、MC400から上流インターフェース510を介したそのような一次色合いコマンドの受信に応答して、通信をアンパッケージし、一次色合いコマンドのBACnet ID(または他の第1のプロトコルID)を1つまたは複数のCAN(登録商標) ID(または他の第2のプロトコルID)にマッピングし、一次色合いコマンドからの色合い値をCAN(登録商標) IDのそれぞれに関連付けられた各AVのうちの第1のAVに書き込むことができる。
【0082】
いくつかの実施態様においては、NC500は、次いで、CAN(登録商標) IDによって識別されるWC304のそれぞれについて二次色合いコマンドを生成する。それぞれの二次色合いコマンドは、各CAN(登録商標) IDによってWC304のそれぞれにアドレス指定され得る。それぞれの二次色合いコマンドはまた、一次色合いコマンドから抽出された色合い値も含むことができる。NC500は、第2の通信プロトコルを介して(たとえば、CANOpenプロトコルを介して)下流インターフェース508を経由して二次色合いコマンドを目標WC304に送信する。いくつかの実施態様においては、WC304がそのような二次色合いコマンドを受信すると、WC304は、WC304のステータスを示すステータス値をNC500に送り返す。たとえば、色合いステータス値は、WCが目標IGU302を色付け過程にあることを示す「色付けステータス」もしくは「遷移ステータス」、目標IGU302が目標色合い状態であること、または遷移が終了したことを示す「アクティブ」もしくは「完了」ステータス、あるいはエラーを示す「エラーステータス」を表すことができる。ステータス値がNC500に記憶された後、NC500は、ステータス情報を公開する、または別の形でこのステータス情報をMC400または様々な他の認可されたコンピュータもしくはアプリケーションにアクセス可能にすることができる。いくつかの他の実施態様においては、MC400は、インテリジェンス、スケジューリングポリシー、またはユーザ無効化に基づいて、特定のWC304のステータス情報をNC500に要求することができる。たとえば、インテリジェンスは、MC400内またはBMS内にあり得る。スケジューリングポリシーは、MC400の中に、ネットワークシステム300内の別の記憶場所の中に、またはクラウドベースのシステム内に記憶され得る。
【0083】
マスタコントローラとネットワークコントローラとの統合
上述したように、いくつかの実施態様においては、MC400及びNC500は、各物理コンピュータまたは他のハードウェアデバイス内でそれぞれ実行するマスタコントローラアプリケーション及びネットワークコントローラアプリケーションとして実装され得る。いくつかの代替の実施態様においては、マスタコントローラアプリケーション及びネットワークコントローラアプリケーションはそれぞれ、同じ物理ハードウェア内に実装され得る。たとえば、マスタコントローラアプリケーション及びネットワークコントローラアプリケーションはそれぞれ、たとえば、Linux(登録商標)カーネルに基づくオペレーティングシステムなどのマルチタスキングオペレーティングシステム、または別の適切なオペレーティングシステムを含む単一のコンピュータデバイス内で実行する別個のタスクとして実装され得る。
【0084】
いくつかのそのような統合された実施態様においては、マスタコントローラアプリケーション及びネットワークコントローラアプリケーションは、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を介して通信することができる。いくつかの具体的な実施態様においては、マスタコントローラ及びネットワークコントローラアプリケーションは、ループバックインターフェースを介して通信することができる。参照として、ループバックインターフェースは、同じデバイス内で実行するアプリケーション間の通信を可能にするオペレーティングシステムを介して実装される仮想ネットワークインターフェースである。ループバックインターフェースは、通常、(IPv4においては127.0.0.0/8アドレスブロック、またはIPv6においては0:0:0:0:0:0:0:1アドレス(::1とも表される)にあることが多い)IPアドレスによって識別される。たとえば、マスタコントローラアプリケーション及びネットワークコントローラアプリケーションは、ループバックインターフェースのIPアドレスに互いに目標とする情報を送信するようにそれぞれプログラムされ得る。このようにして、マスタコントローラアプリケーションがネットワークコントローラアプリケーションに情報を送信する場合、またはその逆の場合、情報は、コンピュータから離れる必要はない。
【0085】
MC400及びNC500が、マスタコントローラ及びネットワークコントローラアプリケーションとしてそれぞれ実装される実施態様においては、概して、2つのアプリケーション間の通信に使用に適切な利用可能なプロトコルを制限する制約は存在しない。これは、概して、マスタコントローラアプリケーション及びネットワークコントローラアプリケーションが、同じ物理コンピュータ内でタスクとして実行しているのか、または異なる物理コンピュータ内でタスクとして実行しているのかに関わらず、当てはまる。たとえば、スイッチまたはルータ境界によって規定された1つのネットワークセグメントへの通信を制限する、BACnetなど、同報通信の通信プロトコルを使用する必要は存在しない。たとえば、oBIX通信プロトコルは、MC400とNC500との間の通信のためのいくつかの実施態様において使用され得る。
【0086】
ネットワークシステム300の文脈においては、NC500はそれぞれ、各物理コンピュータ内でタスクとして実行するネットワークコントローラアプリケーションのインスタンスとして実装され得る。いくつかの実施態様においては、ネットワークコントローラアプリケーションのインスタンスを実行するコンピュータのうちの少なくとも1つは、MC400を実装するようにマスタコントローラアプリケーションのインスタンスも実行する。たとえば、マスタコントローラアプリケーションの1つのインスタンスのみが、ネットワークシステム300において任意の所与のときにアクティブに実行していることができるが、ネットワークコントローラアプリケーションのインスタンスを実行するコンピュータのうちの2つ以上は、マスタコントローラアプリケーションのインスタンスをインストールさせることができる。このようにして、マスタコントローラアプリケーションを現在、実行しているコンピュータがもはやシステム300全体の単一の障害点ではなくなるように、冗長性が追加される。たとえば、マスタコントローラアプリケーションを実行しているコンピュータが故障した場合、またはそうでなければマスタコントローラアプリケーションのその特定のインスタンスが機能を停止した場合、マスタネットワークアプリケーションのインスタンスをインストールしたコンピュータのうちの別のコンピュータは、マスタコントローラアプリケーションの実行を開始して、他の障害インスタンスを引き継ぐことができる。いくつかの他のアプリケーションにおいては、マスタコントローラアプリケーションの複数のインスタンスが、同時に実行され得る。たとえば、マスタコントローラアプリケーションの機能、プロセス、または動作は、マスタコントローラアプリケーションの2つの(またはそれを超える)インスタンスに分散され得る。
【0087】
例示的な窓コントローラ
図6は、いくつかの実施態様による例示的な窓コントローラ(WC)600の回路概略図を示している。たとえば、
図6のWC600は、
図3のネットワークシステム300を参照して上述したWC304のそれぞれを実装するために使用され得る。本明細書において使用されるとき、「WC600」について言うときにはまた、WC304も包含し、逆も同様であり、言い換えれば、この2つについて言うときには、交換可能に使用されてもよい。上述したように、WC600は、概して、
図1を参照して上述したECD110などの1つまたは複数の結合された光学的に切り替え可能なデバイスにおける光学状態遷移をドライブする、またはこのデバイスの光学状態を維持するように動作可能であり、適合されている。いくつかの実施態様においては、WC600と結合された1つまたは複数のECDは、(
図1を参照して上述したIGU100などの)各IGU602内で構成されている。WC600はまた、たとえばIGU602との間でデータを読み取り、またはIGU602との間でデータを転送するために、結合されたIGU602と通信するように動作可能である。
【0088】
WC600は、広範には、処理ユニット604を含む。WC600はまた、広範には、電力回路606、ドライブ回路608、及びフィードバック回路610を含む(これらの回路はそれぞれ、太い破線及び灰色の陰影で描出されている)。例示の実施態様においては、WC600は、追加として、通信回路612を含む。ドライブ回路608、電力回路606、フィードバック回路610、及び通信回路612はそれぞれ、集積回路(IC)を含むいくつかの個々の回路構成要素を含むことができる。より詳細に後述する様々な構成要素はそれぞれ、前述の回路606、608、610、及び612のうちの各回路の「一部」であると説明され得る。しかしながら、回路606、608、610、及び612のうちの各回路への構成要素のグループ分けは、名目上にすぎず、記載の実施態様の開示を容易にする便宜上にすぎない。したがって、記載の様々な構成要素の機能、性能、及び制限は、各グループ分けによって規定されることを意図するものではなく、むしろ、個々の構成要素のそれぞれの機能、性能、及び制限は、構成要素自体のものによって、ならびにそれらが電気的に接続または結合される他の構成要素とのそれらの統合によってのみ規定される。
【0089】
WC600は、上流ケーブルセット616に結合するための第1の上流インターフェース(またはインターフェースセット)614を含む。たとえば、上流ケーブルセット616は、
図3のネットワークシステム300を参照して上述したリンク314を実装することができる。いくつかの実施態様においては、上流ケーブルセット616は、少なくとも4本の線、すなわち、2本の配電線と2本の通信回線とを含む。いくつかの5線の実施態様においては、上流ケーブルセット616は、追加として、ビルの接地またはアース接地などのシステム接地線(実際上は、ビルの全ての他の電圧が測定され得る絶対的接地)を含む。上流インターフェース614は、対応する数のピン(図示せず)、すなわち、上流ケーブルセット616内の線のそれぞれをWC600に結合するのに1つずつピンを含むことができる。たとえば、ピンのうちの第1のピンは、上流ケーブルセット616からの配電線のうちの第1の配電線をWC600内の第1の電源線622に結合することができる。ピンのうちの第2のピンは、上流ケーブルセット616からの配電線のうちの第2の配電線(たとえば、電源リターン)をWC600内の第2の電源線624に結合することができる。ピンのうちの第3のピンは、上流ケーブルセット616からの通信回線のうちの第1の通信回線をWC600内の第1の通信回線626に結合することができる。ピンのうちの第4のピンは、上流ケーブルセット616からの通信回線のうちの第2の通信回線をWC600内の第2の通信回線628に結合することができる。システム接地線を含む実施態様においては、ピンのうちの第5のピンは、上流ケーブルセット616からのシステム接地線をWC600内のシステム接地線630に結合することができる。
【0090】
上流ケーブルセット616内の2本の配電線は、2本の別個のケーブルとして実装されても、またはたとえばツイストペアケーブルとして一緒に構成されてもよい。第1の電力線622は第1の供給電圧VSup1を運び、第2の電力線624は電源リターンである。いくつかの実施態様においては、第1の供給電圧VSup1は、およそ5ボルト(V)から42ボルトの範囲の値、1つの例示的な適用例においては(他の実施態様においては、より高い電圧が望ましい場合もあり、可能であるが)24Vの値を有する直流電圧である。いくつかの他の実施態様においては、第1の供給電圧VSup1は、パルス電圧電力信号とすることができる。上述したように、電力線のうちの第2の電力線624は、信号接地(または「コモン接地」)とも呼ばれる電源リターンとすることができる。言い換えれば、電力線のうちの第2の電力線上の電圧VSup2は、基準電圧、たとえば接地とすることができる。そのような実施態様においては、システム接地に対する個々の電圧VSup1及びVSup2の実値とは対照的に、対象の電圧は、第1の供給電圧VSup1と第2の供給電圧VSup2との間の電圧差である。たとえば、VSup1とVSup2との間の差の値は、およそ5Vから42Vの範囲に、1つの例示的な適用例においては、24Vであってよい。システム接地線を含む実施態様においては、システム接地線は、単一のケーブルとして実装されても、または3ワイヤケーブルとして上述した2本の配電線とともに構成されていてもよい。
【0091】
上流ケーブルセット616内の2本の通信回線はまた、2本の別個のケーブルとして実装されても、またはツイストペアケーブルとして一緒に構成されていてもよい。いくつかの他の実施態様においては、2本の通信回線は、4ワイヤケーブルとして説明したばかりの2本の配電線とともに、または5ワイヤケーブルとして2本の配電線とシステム接地線とともに束ねられてもよい。上述したように、上流インターフェース614内のピンまたは他の相互接続部は、上流ケーブルセット616内の第1の通信回線及び第2の通信回線をWC600内の第1の通信回線626及び第2の通信回線628とそれぞれ電気的に接続する。本明細書においてはまとめて通信バス632とも呼ばれる第1の通信回線626及び第2の通信回線628は、それぞれ第1のデータ信号Data1及び第2のデータ信号Data2を運ぶことができる。
【0092】
光学遷移サイクル全体を通じた異なるときもしくは段階には、またはその他のときには、データ信号Data1及びData2は、上流ネットワークコントローラ(NC306またはNC400など)からWC600に情報を伝達していることができ、またはWC600からネットワークコントローラに情報を伝えていることができる。ダウンストリーム通信の一例として、データ信号Data1及びData2は、ネットワークコントローラからWC600に送信される色合いコマンドまたは他の命令(たとえば、上述の二次色合いコマンドなど)を含むことができる。アップストリーム通信の例として、データ信号Data1及びData2は、ネットワークコントローラに送信されるべきステータス情報(現在の色合いステータスなど)またはセンサデータを含むことができる。いくつかの実施態様においては、信号Data1及びData2は、たとえば差動信号対(本明細書においてはまとめて差動信号とも呼ばれる)を形成する相補信号である。
【0093】
いくつかの実施態様においては、通信バス632は、コントローラエリアネットワーク(CAN)(登録商標)車両バス標準に従って設計、配置、及び別の形で構成されている。オープンシステム相互接続(Open Systems Interconnection:OSI)モデルの観点では、物理(PHY)層はISO 11898-2 CAN(登録商標)標準に従って実装され得、データリンク層はISO 11898-1 CAN(登録商標)標準に従って実装され得る。いくつかのそのような実施態様においては、第1のデータ信号Data1は、高CAN(登録商標)信号(典型的には、CAN(登録商標)プロトコルにおいて示されるとき「CANH信号」)を示すことができ、一方、第2のデータ信号Data2は、低CAN(登録商標)信号「CANL信号」)を示すことができる。いくつかの実施態様においては、WC600は、CANopen通信プロトコルに従って、通信バス632(及び上流ケーブルセット616内の結合された通信回線)を介して上流ネットワークコントローラと通信する。OSIモデルの観点では、CANopen通信プロトコルは、ネットワーク層、及びネットワーク層の上の他の層(たとえば、トランスポート層、セッション層、プレゼンテーション層、及びアプリケーション層)を実装する。CAN(登録商標)プロトコルによれば、差動対によって伝達されるビットの値を確定するのは、CANH信号値とCANL信号値との間の差である。
【0094】
いくつかの実施態様においては、上流ケーブルセット616は、上流ネットワークコントローラと直接、接続される。いくつかの他の実施態様においては、上流ケーブルセット616は、対応する配電線及び通信回線を含んでいる幹線に接続された(たとえば、タップオフされた)ドロップ線のセットを含む。いくつかのそのような後者の実施態様においては、複数のWC600はそれぞれ、対応するドロップ線のセットを介して同じ幹線に接続され得る。そのような実施態様においては、同じ幹線に結合された複数のWC600はそれぞれ、幹線内の通信回線を介して同じネットワークコントローラと通信することができる。いくつかの実施態様においては、WC600に電力供給する配電線も、同じネットワークコントローラに結合して、このネットワークコントローラに電力供給することができる。いくつかの他の実施態様においては、異なる配電線セットがネットワークコントローラに電力供給することができる。いずれの場合においても、WC600に電力供給する配電線は、電力制御パネルまたは他の電力挿入点において終端することができる。
【0095】
WC600はまた、下流ケーブルセット620に結合するための第2の下流インターフェース(またはインターフェースセット)618を含む。たとえば、下流ケーブルセット620は、
図3のネットワークシステム300を参照して上述したリンク312を実装することができる。いくつかの実施態様においては、下流ケーブルセット620はまた、少なくとも4本の線、すなわち、2本の配電線と2本の通信回線とを含む。下流インターフェース618はまた、対応する数のピン(図示せず)、すなわち、下流ケーブルセット620内の線のそれぞれをWC600に結合するのに1つずつピンを含むことができる。たとえば、ピンのうちの第1のピンは、下流ケーブルセット620からの配電線のうちの第1の配電線633をWC600内の第1の電力ドライブ線634に結合することができる。ピンのうちの第2のピンは、下流ケーブルセット620からの配電線のうちの第2の配電線635をWC600内の第2の電力ドライブ線636に結合することができる。ピンのうちの第3のピンは、下流ケーブルセット620からの通信回線のうちの第1の通信回線637をWC600内の第1の通信回路638に結合することができる。ピンのうちの第4のピンは、下流ケーブルセット620からの通信回路のうちの第2の通信回路639をWC600内の第2の通信回路640に結合することができる。第5の線を含む実施態様においては、ピンのうちの第5のピンは、下流ケーブルセット620からの第5の線641をWC600内の第5の線642に結合することができる。
【0096】
下流ケーブルセット620内の2本の配電線633及び635は、2本の別個のケーブルとして実装することも、またはたとえばツイストペアケーブルとして一緒に構成されていてもよい。いくつかの実施態様においては、第1の配電線633は第1の印加電圧VApp1を運び、第2の配電線635は第2の印加電圧VApp2を運ぶ。いくつかの実施態様においては、第1の印加電圧VApp1及び第2の印加電圧VApp2は、どの点から見ても全ての点で、直流電圧信号である。いくつかの他の実施態様においては、第1の印加電圧VApp1及び第2の印加電圧VApp2は、パルス電圧信号(たとえば、パルス幅変調(pulse-width modulated:PWM)信号)であり得る。いくつかの実施態様においては、第1の印加電圧VApp1は、およそ0Vから10Vの範囲、いくつかの特定の適用例においてはおよそ0Vから5Vの範囲の値を有することができる。いくつかの実施態様においては、第2の印加電圧VApp2は、およそ0Vから-10Vの範囲、いくつかの特定の適用例においては、およそ0Vから-5Vの範囲の値を有することができる。いくつかの他の実施態様においては、下流ケーブルセット620内の第2の配電線635は、信号接地またはコモン接地とも呼ばれる電源リターンとすることができる。言い換えれば、第2の配電線上の電圧VApp2は、基準電圧、たとえば、浮動接地とすることができる。
【0097】
下流ケーブルセット620内の第1の配電線633及び第2の配電線635は、WC600によって制御される1つまたは複数のIGU602のそれぞれに提供される。より具体的には、第1の配電線633及び第2配電線635は、各ECDのエレクトロクロミック状態及び状態遷移に電力供給する母線ならびに導電性層(たとえば、
図1のIGU100における第1の母線126及び第2の母線128ならびに第1のTCO層114及び第2のTCO層116など)に電気的に接続される(または結合される)。いくつかの実施態様においては、システム接地に対する個々の電圧V
App1及びV
App2の実値とは対照的に、対象の電圧は、第1の印加電圧V
App1と第2の印加電圧V
App2との間の電圧差である。たとえば、本明細書においては「実効印加電圧」V
Effまたは単に印加電圧V
Effと呼ばれるV
App1とV
App2との間の差の値は、いくつかの適用例においてはおよそ-10Vから10Vの範囲に、いくつかの特定の適用例においては様々なデバイスパラメータ及びドライブパラメータに応じておよそ-5Vから5Vの範囲にあり得る。
【0098】
下流ケーブルセット620内の2本の通信回線637及び639は、2本の別個のケーブルとして実装することも、またはたとえばツイストペアケーブルとして一緒に構成されていてもよい。いくつかの他の実施態様においては、2本の通信回線637及び639は、4ワイヤケーブルとして説明したばかりの2本の配電線633及び635とともに束ねられても、または5ワイヤケーブルとして2本の配電線と第5の線とともに束ねられてもよい。上述したように、下流インターフェース618内のピンまたは他の相互接続部は、下流ケーブルセット620内の第1の通信回線637及び第2の通信回線639をWC600内の第1の通信回線638及び第2の通信回線640と電気的に接続する。本明細書においてはまとめて通信バス644とも呼ばれる第1の通信回線638及び第2の通信回線640は、それぞれデータ信号Data3及びData4を運ぶことができる。
【0099】
遷移サイクル全体を通じた異なるときもしくは段階には、またはその他のときには、データ信号Data3及びData4は、WC600から1つまたは複数の接続されたIGU602に情報を伝達している、あるいはIGU602のうちの1つまたは複数からWC600に情報を伝達していることができる。ダウンストリーム通信の一例として、データ信号Data3及びData4は、IGU602のうちの1つまたは複数に送信されるべきステータス要求コマンドあるいは他の命令を含むことができる。アップストリーム通信の例として、データ信号Data3及びData4は、IGU602のうちの1つまたは複数からWC600に送信されるステータス情報(現在の色合いステータスなど)またはセンサデータを含むことができる。いくつかの実施態様においては、通信バス644は、1-Wire(登録商標)デバイス通信バスシステムプロトコルに従って設計、配置、及び別の形で構成されている。そのような1-Wire(登録商標)実施態様においては、通信回線638はデータ線であり、データ信号Data3は、通信されるべきデータを伝え、通信回線640は信号接地線であり、データ信号Data4は、対象のデータを回復するためにデータ信号Data3が測定または比較されるのに対して、信号接地などの基準電圧を提供する。
【0100】
例示的な接続アーキテクチャ
いくつかの実施態様においては、下流ケーブルセット620は、単一のIGU602と直接、接続される。いくつかの他の実施態様においては、下流ケーブルセット620は、下流ケーブルセット620を対応するケーブルセットを介して2つ以上のIGU602に接続する接点を含む。
図7は、いくつかの実施態様による、IGUに窓コントローラを結合するための例示的な接続アーキテクチャ700の図を示している。例示の実施態様においては、接続アーキテクチャ700は、ECD746を含むIGU602にWC600を結合する(IGU602及びECD746の端部分のみが示されている)。上述したように、1つのIGU602のみが示されているが、接続アーキテクチャ700は、WC600を複数のIGU602に結合することができる。そのような複数のIGUの実施態様を容易にするために、下流ケーブルセット620は、WC600を接点748に接続することができる。いくつかの実施態様においては、接点748は、下流ケーブルセット620内の線633、635、637、639及び641のそれぞれを、複数の二次ケーブルセット750
1~750
Nのそれぞれの中の対応する線734、736、738、740及び742に電気的に結合する。このようにして、単一のWC600が、複数のIGU602に電力を供給することができる。
【0101】
例示の概略的な実施態様においては、IGU602は、下流ケーブルセット620、またはより具体的には二次ケーブルセット7501の、IGU602及びその内部のECD746との接続を容易にするプラグイン構成要素752を含む。いくつかの実施態様においては、プラグイン構成要素752は、(たとえば、製造、保守、または交換を容易にするために)IGU602と容易に挿脱可能である。示されているように、プラグイン構成要素752は、配電線734及び736、通信回線738及び740、ならびに(第5の線を含む実施態様においては)第5の線742を受けるためのインターフェース754(WC600のインターフェース618と類似していてよい)を含む。いくつかの実施態様においては、線734、736、738、740及び742の端部は、インターフェース754内の対応する接続受け部内に挿入されるように適合されているコネクタを含むことができる。プラグイン構成要素752は、配電線734及び736をそれぞれ母線758及び760に電気的に結合するように働く。母線758及び760は、ひいては、ECD746のECスタックのいずれかの側の各伝導層に電気的に接続される。
【0102】
プラグイン構成要素752は、通信回線738及び740を介してWC600との間でデータを送受信するように接続されている通信モジュール756を含む。いくつかの実施態様においては、通信モジュール756は単一のチップとして実装され得る。いくつかのそのような実施態様においては、通信モジュール756は、たとえばEEPROM(登録商標)(E2PROM)、フラッシュまたは他の適切なソリッドステートメモリなどの不揮発性メモリを含む1-Wire(登録商標)チップとして実装され得る。それぞれの通信モジュール756はまた、様々な処理、コントローラ及び論理機能、認証性能、または他の機能もしくは性能を含むことができる。1-Wire(登録商標)チップとして実装される場合、それぞれの通信モジュール756は、固有の1-Wire(登録商標) ID(たとえば、48ビットシリアル番号)を用いて識別され得る。いくつかの実施態様の使用に適しているそのような1-Wire(登録商標)チップの1つの例は、Maxim Integrated Products,Inc.,San Jose,CAによって提供されるDS28EC20、20Kb 1-Wire(登録商標) EPROMチップである。いくつかの他の実施態様においては、通信モジュール756は、メモリチップ(不揮発性メモリ及びメモリコントローラ機能を含む)、ならびに固有のID(たとえば1-Wire(登録商標) ID)を記憶する別個のIDチップを含むことができる。そのような1-Wire(登録商標)チップに関連し得る機能及びハードウェアのいくつかの例については、2011年3月16日に出願され「MULTIPURPOSE CONTROLLER FOR MULTISTATE WINDOWS」と題された米国特許出願第13/049,756号(代理人整理番号VIEWP007)に記載されており、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
いくつかの実施態様においては、特定のECD746のための様々なデバイスまたはドライブパラメータが、(たとえば、ECDもしくはIGUの製造中もしくは製作中または終了時に、あるいは設置中もしくは設置後しばらくして)通信モジュール756内のメモリ構成要素の中にプログラムされ、記憶される。たとえば、ECD746のそのような予めプログラムされたデバイスパラメータには、各ECD746の以前の光学遷移の、あるいは各ECD746に関連付けられる(またはECDが形成される、もしくは別の形で配置されるパネルの)長さ、幅、厚さ、断面積、形状、年数、モデル番号、バージョン番号、または数を挙げることができる。予めプログラムされたドライブパラメータは、たとえば、現在の色合い状態と目標色合い状態とのそれぞれの可能な組合せについてのランプからドライブへのレート、ドライブ電圧、ドライブ電圧持続時間、ランプからホールドへのレート、及びホールド電圧を含むことができる。いくつかの実施態様においては、処理ユニット604は、それぞれの色合い状態遷移の開始前に、デバイスパラメータ及びドライブパラメータを読み取る。追加としてまたは代替として、いくつかの実施態様においては、処理ユニット604は、各IGU602が電源投入され、試運転されると、デバイスパラメータ及びドライブパラメータを読み取る。追加としてまたは代替として、処理ユニット604は、毎日など、定期的にデバイスパラメータ及びドライブパラメータを読み取ることもできる。
【0104】
いくつかの他の実施態様においては、追加としてまたは代替として、通信モジュール756の表面は、この表面上に識別子(ID)をスクライビングまたはエッチングさせてもよい。たとえば、IDは、ECDの製造中または製造後に、通信モジュール756においてスクライビングまたはエッチングされてもよい。いくつかの実施態様においては、IDは、ECDが形成されるライト(パネル)のライトIDである。追加としてまたは代替として、IDは、関連するIGU302のIGU IDを含むことができる。いくつかの実施態様においては、次いで、WC304は、ECDに接続された後、この情報を光学的または電子的に読み取ることになる。いくつかのそのような実施態様においては、WC304は、MC308から、長さ、幅、厚さ、断面積、形状、年数、モデル番号、バージョン番号などのパラメータを読み出すことができる。たとえば、MC400は、そのようなパラメータを記憶するように予めプログラムされ得る。いくつかの他の実施態様においては、MC400は、前もってか、またはWC304もしくはNC306によるそのようなパラメータまたは関連する情報の要求に応答してかのいずれかで、外部通信インターフェース(たとえば、インターフェース410)を介して、そのようなパラメータをECD/IGUのプロデューサから読み出すことができる。
【0105】
それぞれのWC600がドライブすることができるIGU602の数及びサイズは、概ね、WC600上の負荷によって制限される。負荷は、典型的には、所望の時間枠内でWC600によってIGU602に所望の光学遷移をドライブさせるために必要な電圧、電流、または電力要件によって規定される。所与のWC600がドライブすることができる最大負荷は、概ね、WC600内の電気的構成要素の性能及び安全動作範囲、または電力ドライブ線634及び636もしくは配電線633及び635の電力搬送制限によって制限されるので、許容可能な遷移時間と、それぞれのWC600によってドライブされるECDの数及びサイズとの間にトレードオフが存在し得る。
【0106】
所望の時間枠内で所与のWC600によってIGU602に所望の光学遷移をドライブさせるために必要な電力要件は、ひいては、接続されたIGU602の表面積、より具体的には、IGU602内のECDの表面積の関数である。この関係性は、非線形とすることができ、つまり、電力要件は、ECDの表面積と非線形に増加し得る。印加電圧をECDのエレクトロクロミックスタックに引き渡すために使用される導電性層(IGU100の第1のTCO層114及び第2のTCO層116など)のシート抵抗は各導電性層の長さ及び幅にわたる距離と非線形に増加するので、非線形の関係性は、少なくとも一部、存在し得る。たとえば、2つの25ft2のECDをドライブするよりも、単一の50ft2のECDをドライブするためにより多くの電力を要する場合がある。システムまたはビル全体に及ぶ電力の考慮事項にはまた、WC600がハンドリングでき、接続されたIGU602に提供できる電力よりも、それぞれのWC600に利用可能な電力を小さく制限することが必要である場合もある。
【0107】
図7の接続アーキテクチャ700を参照して説明した実施態様など、いくつかの実施態様においては、WC600に接続されたIGU602はそれぞれ、それ自体の各プラグイン構成要素752及び通信モジュール756を含むことができる。それぞれの通信モジュール756は、各ECDのためのデバイスパラメータを記憶する各1-Wire(登録商標)チップを含むことができる。いくつかの実施態様においては、並列接続されたIGU602はそれぞれ、同じ電圧V
App1及びV
App2を受け取る。いくつかのそのような実施態様においては、概して、各ECDがそれぞれ、電圧V
App1及びV
App2に応答して同じまたは類似の振舞いをするように、単一のWC600に接続されたIGU602のそれぞれが、同じまたは類似のデバイスパラメータ(表面積など)を有することは望ましく、あるいは好ましい場合がある。たとえば、概して、所与のWC600に接続されたIGU602のそれぞれが、遷移中であるか、または遷移間のホールド周期中であるかに関わらず、同じ色合いを有することは望ましい。しかしながら、IGU602が異なるデバイスパラメータを有する実施態様においては、処理ユニット604は、接続されたIGU602のそれぞれからのデバイスパラメータを比較する、または別の形で統合して、最良の、または最も有害でない実効印加電圧V
Eff、たとえば、接続されたIGU602全てにとって安全ではあるが効果的な範囲内に維持される電圧をもたらすコマンド信号V
Driveを生成し得る。
【0108】
いくつかの他の実施態様においては、WC600とIGU602との数間に1対1の関係性が存在し得、つまり、それぞれのIGU602は、各専用WC600によってドライブされ、別の形で制御され得る。いくつかのそのような統合された実施態様においては、WC600は、IGU602内に、たとえば、IGUの内部容積部内に薄い形状因子を有するハウジング内に位置決めされ得る。いくつかの他の実施態様においては、WC600は、たとえば、IGU602を支持するフレームまたはマリオンによって隠されて、IGU602に隣接して位置決めされ得る。いくつかの他の実施態様においては、WC600は、目に見えにくい、または目立つが設置業者もしくは技術者には依然としてアクセス可能である、IGU602の内部下側境界あるいは内部隅部に位置決めされてもよい。たとえば、そのような後者の実施態様は、(たとえば、WC600を交換する、修理する、または配置決めするために)WC600へのより簡単なアクセスが望ましい適用例に有用であり得る。
【0109】
加えて、そのような実施態様はまた、WC600が、技術者によって容易に交換可能でもあるエネルギー貯蔵デバイス(たとえば、再充電可能バッテリ、バッテリパックまたはスーパーキャパシタ)を含むことができる場合にも望ましい場合がある。たとえば、IGUは、バッテリがプラグ接続し得るドッキングモジュールを含むことができる。そのような場合においては、ドッキングモジュールは、バッテリではなく、直接、WC600に電気的に接続され得る。WC600がIGU602と統合されている実施態様においては、WC600自体、電池がプラグ接続し得るドッキングモジュールを含むことができる。WC600がIGU602と統合されている実施態様においては、IGU602は、WC600に接続するプラグイン構成要素752を依然として含み得る。いくつかの他の統合された実施態様においては、WC600は、関連するECDの母線に直接、接続され得る。そのような後者の統合された実施態様においては、ECDのデバイスパラメータを記憶する通信モジュールは、WC600内、たとえばWC600内の不揮発性メモリの中に位置決めされてもよい。統合された窓コントローラとエネルギー貯蔵デバイスとの使用法のより多くの例については、2015年11月24日に出願され「SELF-CONTAINED EC IGU」と題された米国特許出願第14/951,410号(代理人整理番号VIEWP008X1US)、及び2016年7月6日に出願され「POWER MANAGEMENT FOR ELECTROCHROMIC WINDOW NETWORKS」と題されたPCT特許出願第PCT/US16/41176号(代理人整理番号VIEWP080WO)に記載されており、この両出願は、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
処理ユニット604
高いレベルにおいては、処理ユニット604は、上流ネットワークコントローラと通信し、WC600に接続されたIGU602の色合い状態を制御するように機能する。処理ユニット604の1つの主要な機能は、コマンド信号VDCmndを生成することである。より詳細に後述するように、コマンド信号VDCmndは、WC600から出力されてWC600によって制御される1つまたは複数のIGU602をドライブする印加電圧信号VApp1及びVApp2を生成するためにドライブ回路608に供給される。様々な実施態様において、処理ユニット604は、いくつかの異なるデバイスパラメータ、ドライブパラメータ、入力値、アルゴリズムまたは命令に基づいて、コマンド信号VDCmndを生成することができる。たとえば、処理ユニット604は、上流ネットワークコントローラから受信した色合いコマンドに基づいてコマンド信号VDCmndを生成することができる。上述したように、色合いコマンドは、WC600によって制御されるIGU602の目標色合い状態に対応する色合い値を含むことができる。
【0111】
いくつかの実施態様においては、色合いコマンドの受信に応答して、処理ユニット604は、WC600によって制御されるIGU602のうちの1つまたは複数の色付け遷移を開始する。いくつかの実施態様においては、処理ユニット604は、遷移されることになるIGU602の現在の色合い状態及びIGU602の目標色合い状態(色合いコマンドの色合い値に基づく)を含むドライブパラメータに基づいて、コマンド信号V
DCmndを計算、選択、確定、または別の形で生成する。処理ユニット604はまた、他のドライブパラメータ、たとえば、現在の色合い状態と目標色合い状態とのそれぞれの可能な組合せについてのランプからドライブへのレート、ドライブ電圧、ドライブ電圧持続時間、ランプからホールドへのレート、及びホールド電圧に基づいて、コマンド信号V
DCmndを生成することができる。他のドライブパラメータには、現在または最近のセンサデータに基づくパラメータ、たとえば、他の適切なまたは望ましいパラメータ内の中でもとりわけ、室内温度、屋外温度、IGU602の(あるいはパネルのうちの1つまたは複数の)内部容積部内の温度、IGU602に隣接する部屋の光強度、及びIGU602の外側の光強度を挙げることができる。いくつかの実施態様においては、そのようなセンサデータは、通信回線626及び628を経由して上流ネットワークコントローラを介してWC600に供給され得る。追加としてまたは代替として、センサデータは、IGU602の様々な部分の中または上に位置決めされたセンサから受信され得る。いくつかのそのような実施態様においては、センサは、(通信モジュール756などの)IGU602内の通信モジュール内にあっても、または別の形でこの通信モジュールに結合されてもよい。たとえば、フォトセンサ、温度センサまたは透過率センサを含む複数のセンサは、1-Wire(登録商標)通信プロトコルに従って
図7に示されている同じ通信回線739及び741を介して結合され得る。
【0112】
いくつかの実施態様においては、処理ユニット604はまた、IGU602内のECDに関連付けられたデバイスパラメータに基づいてコマンド信号VDCmndを生成することができる。上述したように、ECDのデバイスパラメータには、各ECDの以前の光学遷移の、あるいは各ECDに関連付けられる(またはECDが形成される、もしくは別の形で配置されるパネルの)長さ、幅、厚さ、断面積、形状、年数、モデル番号、バージョン番号、または数を挙げることができる。いくつかの実施態様においては、処理ユニット604は、接続されたIGU602のそれぞれについての色付け遷移の数を追跡するように構成されている。
【0113】
いくつかの実施態様においては、処理ユニット604は、たとえば
図2を参照して上述した電圧制御プロファイルなどの電圧制御プロファイルに基づくコマンド信号V
DCmndを生成する。たとえば、処理ユニット604は、ドライブパラメータ及びデバイスパラメータを使用して、処理ユニット604内のまたは処理ユニット604によってアクセス可能なメモリに記憶された電圧制御プロファイルの所定のセットから電圧制御プロファイルを選択することができる。いくつかの実施態様においては、電圧制御プロファイルのそれぞれのセットは、デバイスパラメータの特定のセットに対して規定される。いくつかの実施態様においては、電圧制御プロファイル所与のセットにおけるそれぞれの電圧制御プロファイルは、ドライブパラメータの特定の組合せに対して規定される。処理ユニット604は、ドライブ回路608が、選択された電圧制御プロファイルを実施するように、コマンド信号V
DCmndを生成する。たとえば、処理ユニット604は、ドライブ回路608に印加電圧信号V
App1及びV
App2を調節させるようにコマンド信号V
DCmndを調節する。より具体的には、ドライブ回路608は、ECDにわたって印加される実効電圧V
Effが、プロファイルを介する進行全体を通じて、電圧制御プロファイルによって示される電圧レベルを追跡するように、印加電圧信号V
App1及びV
App2を調節する。
【0114】
いくつかの実施態様においては、処理ユニット604はまた、センサデータに基づいて、動的に(遷移中であるか、または遷移後のホールド周期中であるかに関わらず)コマンド信号VDCmndを修正することができる。上述したように、そのようなセンサデータは、接続されたIGU602内の、もしくは別の形でこの接続されたIGU602と統合された様々なセンサ、または他の外部センサから受信され得る。いくつかのそのような実施態様においては、処理ユニット604は、処理ユニット604がセンサデータに基づいてコマンド信号VDCmndをどのように修正すべきかを確定することを可能にするインテリジェンス(たとえば、ルールまたはアルゴリズムを含むプログラミング命令の形態で)を含むことができる。いくつかの他の実施態様においては、そのようなセンサからWC600によって受信されたセンサデータは、ネットワークコントローラに、いくつかの例においてはネットワークコントローラからマスタコントローラに伝達され得る。そのような実施態様においては、ネットワークコントローラまたはマスタコントローラは、センサデータに基づいてIGU602の色合い値を訂正し、訂正された色合いコマンドをWC600に送信することができる。追加としてまたは代替として、ネットワークコントローラまたはマスタコントローラは、ビルの外部の1つまたは複数の他のセンサ、たとえばビルの屋上またはファサードの上に位置付けられた1つまたは複数の光センサからセンサデータを受信することができる。いくつかのそのような実施態様においては、マスタコントローラまたはネットワークコントローラは、そのようなセンサデータに基づいて色合い値を生成または訂正することができる。
【0115】
いくつかの実施態様においては、処理ユニット604はまた、フィードバック回路610から受信した1つまたは複数のフィードバック信号VFeedに基づいて、動的にドライブ信号VDriveを生成または修正することができる。たとえば、より詳細に後述するように、フィードバック回路610は、ECDにわたって検出される(たとえば、定期的な開路インスタンス中に測定される)実電圧レベルに基づいて1つまたは複数の電圧フィードバック信号VOCを供給し、ECDを介して検出される実電流レベルに基づいて、あるいは印加電圧信号VApp1及びVApp2をIGU602に供給する電力伝送線に沿って検出または確定される電圧降下に関連する1つまたは複数の電圧補償信号VCompに基づいて1つまたは複数の電流フィードバック信号VCurを供給することができる。
【0116】
概して、処理ユニット604は、本明細書に記載の機能またはプロセスを実行することができる、そのようなデバイスの組合せを含む、任意の適切なプロセッサまたは論理デバイスとともに実装され得る。いくつかの実施態様においては、処理ユニット604はマイクロコントローラ(マイクロコントローラユニット(Microcontroller unit:MCU)とも呼ばれる)である。いくつかのより具体的な適用例においては、処理ユニット604は、特に埋込みアプリケーション向けに設計されたマイクロコントローラとすることができる。いくつかの実施態様においては、処理ユニット604は、プロセッサコア(たとえば、200MHzプロセッサコアまたは他の適切なプロセッサコア)、ならびにプログラムメモリ(たとえば、2018KBまたは他の適切な不揮発性メモリ)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(たとえば、512KBまたは他の適切なRAM)、及び様々なI/Oインターフェースを含む。プログラムメモリは、処理ユニット604の機能、動作、またはプロセスを実装するように、たとえば、プロセッサコアによって実行可能なコードを含むことができる。
【0117】
いくつかの実施態様においては、RAMは、WC600によって制御されるIGU602のステータス情報を記憶することができる。RAMはまた、ECDのためのデバイスパラメータをIGU602内に記憶することができる。いくつかの他の実施態様においては、処理ユニット604は、処理ユニット604の外部であるがやはりWC600内の別のメモリデバイス(たとえばフラッシュメモリデバイス)にそのようなステータス情報またはデバイスパラメータを記憶することができる。いくつかの具体的な実施態様においては、処理ユニット604のI/Oインターフェースは、1つまたは複数のCAN(登録商標)インターフェース、1つまたは複数の同期シリアルインターフェース(たとえば、4ワイヤシリアル周辺インターフェース(Serial Peripheral Interface:SPI)のインターフェース)、及び1つまたは複数の集積回路間(Inter-Integrated Circuit:I2C)インターフェースを含む。いくつかの実施態様の使用に適しているそのようなコントローラの1つの例は、Microchip Technology Inc.,Chandler,AZによって提供されるPIC32MZ2048ECH064コントローラである。
【0118】
図6に例示される実施態様においては、WC600は、加えて、データバス送受信機664を含む。データバス送受信機664は、通信バス632を介して上流インターフェース614に結合される。データバス送受信機664はまた、通信バス666を介して処理ユニット604に結合される。上述したように、いくつかの実施態様においては、通信バス632は、差動バス標準であるCAN(登録商標)バス標準に従って設計、配置、及び別の形で構成されている。いくつかの実施態様においては、通信バス666もまた、CAN(登録商標)バス標準に準拠し、信号の差動対を転送するための線の差動対を含む。したがって、データバス送受信機664は、2つの差動ポートセット、すなわち、通信バス632に結合するための第1のセット及び通信バス666に結合するための第2のセットを含むことができ、この通信バス666は、ひいては、処理ユニット604のCAN(登録商標)インターフェースに結合される。
【0119】
様々な実施態様において、データバス送受信機664は、通信バス632を介してネットワークコントローラ(NC500など)からデータを受信し、このデータを処理し、処理されたデータを、通信バス666を介して処理ユニット604に送信するように構成されている。同様に、データバス送受信機664は、通信バス666を介して処理ユニット604からデータを受信し、このデータを処理し、処理されたデータを、通信バス632を介してインターフェース614に、最終的には上流ケーブルセット616を介してネットワークコントローラに送信するように構成されている。いくつかのそのような実施態様においては、データの処理は、第1のプロトコルから第2のプロトコルへ(たとえばCAN(登録商標)プロトコル(CANopenなど)から処理ユニット604によって読み取り可能なプロトコルへ、及びその逆も同様)のデータの変換または翻訳を含む。いくつかの実施態様の使用に適しているそのようなデータバス送受信機の1つの例は、Texas Instruments Inc.,Dallas,TXによって提供されるSN65HVD1050データバス送受信機である。いくつかの他の実施態様においては、処理ユニット604は、統合されたデータバス送受信機を含む、または別の形でデータバス送受信機664の機能を含み、外部データバス送受信機664の包含を不要にすることができる。
【0120】
電力回路
高いレベルにおいては、電力回路606は、電源線622及び624から電力を受け取るように、ならびに処理ユニット604、ドライブ回路608、フィードバック回路610、及び通信回路612を含むWC600の様々な構成要素に電力供給するように動作可能である。上述したように、第1の電源線622は、供給電圧VSup1、たとえば(供給電圧VSup2に対して)およそ5Vから42Vの範囲の値、1つの例示的な適用例においては(他の実施態様においては、より高い電圧が望ましい場合もあり、可能であるが)24Vの値を有する直流電圧を受け取る。やはり上述したように、第2の電源線624は電源リターンとすることができる。たとえば、第2の電源線624上の電圧VSup2は、基準電圧、たとえば、浮動接地とすることができる。
【0121】
電力回路606は、供給電圧VSup1を逓降するための少なくとも1つのダウンコンバータ(本明細書では「バックコンバータ」とも呼ばれる)を含む。例示の実施態様においては、電力回路606は、第1の相対的に低い電力(LP)ダウンコンバータ668と第2の相対的に高い電力(HP)ダウンコンバータ670の2つのダウンコンバータを含む。LPダウンコンバータ668は、供給電圧VSup1を第1のダウンコンバートされた電圧VDwn1に逓降するように機能する。いくつかの実施態様においては、ダウンコンバートされた電圧VDwn1は、およそ0から5Vの範囲の値、1つの例示的な適用例においてはおよそ3.3Vの値を有することができる。ダウンコンバートされた電圧VDwn1は、処理ユニット604に電力供給するために、処理ユニット604に供給される。いくつかの実施態様の使用に適しているLPダウンコンバータの1つの例は、Texas Instruments Inc.,Dallas,TXによって提供されるTPS54240 2.5アンペア(amp)直流/直流逓降コンバータである。
【0122】
HPダウンコンバータ670は、供給電圧VSup1を第2のダウンコンバートされた電圧VDwn2に逓降するように機能する。いくつかの実施態様の使用に適しているHPダウンコンバータの1つの例は、Texas Instruments Inc.,Dallas,TXによって提供されるTPS54561 5amp直流/直流逓降コンバータである。いくつかの実施態様においては、ダウンコンバートされた電圧VDwn2は、およそ6Vから24Vの範囲の値、1つの例示的な適用例においてはおよそ6Vの値を有することができる。ダウンコンバートされた電圧VDwn2は、ドライブ回路608を参照して後述する電圧レギュレータ680に供給される。いくつかの実施態様においては、ダウンコンバートされた電圧VDwn2も、その各機能を実行するために電力を必要とするWC600内の残りの構成要素に提供される(これらの接続部は、図を複雑にしないようにするために、ならびに他の構成要素及び接続部を曖昧にしないようにするために示されていない)。
【0123】
いくつかの実施態様においては、HPダウンコンバータ670は、たとえば、処理ユニット604がイネーブル信号Enをアサートしているとき、またはアサートしている間、ダウンコンバートされた電圧VDwn2を供給するようにイネーブルされた(または命令された)場合のみ、そうする。いくつかの実施態様においては、イネーブル信号Enは、シリアル周辺インターフェース(SPI)のインターフェースバス686を介してHPダウンコンバータ670に供給される。SPIインターフェースバス686は、本明細書においては単数形で説明され得るが、SPIバス686は、WC600の各構成要素と通信するためにそれぞれが使用され得る2つ以上のSPIバスをまとめて示すことができる。いくつかの実施態様においては、処理ユニットは、「スリープモード」とは対照的に、WC600が「アクティブモード」にある場合にのみイネーブル信号Enをアサートする。
【0124】
いくつかの実施態様においては、電力回路606は、たとえば、再充電可能バッテリ(もしくはバッテリセット)、またはスーパーキャパシタなどの容量性蓄電デバイスなどのエネルギー貯蔵デバイス(または「エネルギー井戸」)672をさらに含む、あるいはこのエネルギー貯蔵デバイス672に結合される。たとえば、いくつかの実施態様の使用に適しているスーパーキャパシタの1つの例は、0.4ワット時(Wh)で少なくとも400ファラッドのキャパシタンスCSを有することができる。いくつかの実施態様においては、エネルギー貯蔵デバイス672は、充電器674によって充電され得る。いくつかのそのような実施態様においては、充電器674は、供給電圧VSup1によって電力供給され得る。いくつかの実施態様の使用に適しているそのような充電器の1つの例は、Linear Technology Corp.,Milpitas,CAによって提供されるLT3741定電流、定電圧、逓降コントローラである。いくつかの実施態様においては、充電器674はまた、エネルギー貯蔵デバイス672に蓄えられた電力を電源線622に供給するように構成されている。
【0125】
いくつかの実施態様においては、追加としてまたは代替として、充電器674は、1つまたは複数の光起電(または「太陽」)セルによって電力供給され得る。たとえば、そのような光起電(PV)セルは、WC600によって制御される、IGUの1つまたは複数のパネルなど、IGU602の上または中に統合され得る。いくつかのそのような実施態様においては、PVセルを介して受け取った電力は、電圧レギュレータ676によって調整されてから、充電器674に、最終的にはエネルギー貯蔵デバイス672に供給され得る。たとえば、電圧レギュレータ676は、PVセルから受け取った電力の電圧を逓昇または逓降するように働くことができる。電圧レギュレータ676はまた、概して、たとえば、電力の電圧を固定レベルに維持するために、そのような電力が1日全体を通して変動するとき、PVセルによって供給される電力を調整するために使用され得る。いくつかの実施態様においては、エネルギー貯蔵デバイス672に貯蔵された電力が所望される、または必要とされるとき、電力は、充電器674を介して放出される。いくつかの実施態様においては、バックドライブを防止するために(つまり、エネルギー貯蔵デバイス672またはPVセルからの電力が、確実に上流ケーブルセット616を介して上流に流れないようにするために)、電力回路606は、非対称導体678、たとえば、ショットキー接合ダイオードまたはpn接合ダイオードなどの低損失半導体ダイオードをさらに含むことができる。そのようなダイオード678の使用は、供給電圧VSup1及びVSup2のうちの1つまたは複数がパルス化される実施態様においては特に有利であり得る。統合されたPVセルの使用のより多くの例については、2015年11月24日に出願され「SELF-CONTAINED EC IGU」と題された米国特許出願第14/951,410号(代理人整理番号VIEWP008X1)に記載されており、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0126】
エネルギー貯蔵デバイスの統合は、そのようなデバイスが、(エネルギー貯蔵デバイス672と同様に)各WC600内に含まれているのか、または別の形で(ネットワークシステム300などの)ネットワークシステム全体に分散されているのかどうかに関わらず、いくつかの理由により有利であり得る。たとえば、それぞれのWC600内の電力回路606は、エネルギー貯蔵デバイス672から引き出された電力により、各電源線622及び624によって供給される電力を補充または増強することができる。追加としてまたは代替として、WC600の外部のエネルギー貯蔵デバイスは、WC600に電力供給するためにネットワークシステム全体に電力を分配する配電線に直接、電力供給することができる。そのような実施態様は、多くのIGU602が同時に遷移されることになる高い需要例においては特に有利であり得る。より低い需要のときには、通常の電源(たとえば、ビルの供給源によって提供される電源)が、エネルギー貯蔵デバイスを再充電し得る。エネルギー貯蔵デバイスの使用のより多くの例については、2015年11月24日に出願され「SELF-CONTAINED EC IGU」と題された米国特許出願第14/951,410号(代理人整理番号VIEWP008X1)、及び2016年7月6日に出願され「POWER MANAGEMENT FOR ELECTROCHROMIC WINDOW NETWORKS」と題されたPCT特許出願第PCT/US16/41176号(代理人整理番号VIEWP080WO)に記載されており、この両出願は、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0127】
追加としてまたは代替として、いくつかの実施態様においては、IGU602の遷移は、時間差付けされ得る。たとえば、MC400またはNC500は、異なる時間にWC600のサブセットについて色合いコマンドを発行して、望ましい、安全な、許可された、または最大限度の下に任意の所与の時間にネットワークシステム(またはネットワークシステムの一部分)によって消費される総電力を維持することができる。いくつかの他の実施態様においては、WC304は、それらの遷移を遅延させるために、MC400またはNC500から受け取った様々なパラメータを介してプログラムされ得る。たとえば、NC500によって発行された二次色合いコマンドはまた、遅延値に関連付けられた時間が経過した後、色合い変更を開始することをWC400に知らせる遅延値を含むこともできる。別の例として、NC500によって発行される二次色合いコマンドはまた、時間値に関連付けられた時間に達したとき、色合い変更を開始することをWC400に知らせる時間値を含むこともできる。これらの後者の2つの例においては、NC500は、およそ同時にまたは同時期にWC304に色合いコマンドを発行する一方、依然として確実に遷移の時間差付けが達成されるようにする。
【0128】
ドライブ回路
高いレベルにおいては、ドライブ回路608は、概して、処理ユニット604からコマンド信号VDCmndを受け取り、コマンド信号VDCmndに基づいて、接続されたIGU602をドライブするための印加電圧信号VApp1及びVApp2を供給するように動作可能である。ドライブ回路608は、電力回路606内のHPダウンコンバータ670からのダウンコンバートされた電圧VDwn2を受け取る電圧レギュレータ680を含む。電圧レギュレータ680は、電圧VDwn2を調整、調節、または別の形で変圧して、コマンド信号VDCmndに基づいて第1の調整された電圧信号VP1及び第2の調整された電圧信号VP2を提供する(または「生成する」)。いくつかの実施態様においては、電圧レギュレータ680はバックブーストコンバータであり、つまり、電圧レギュレータ680は、電圧VDwn2を逓降するためのダウンコンバータとして、ならびに入力電圧VDwn2を逓昇するためのアップコンバータとして機能することができ得る。電圧レギュレータ680が、ダウンコンバータとして振る舞うのか、またはアップコンバータとして振る舞うのかは、それぞれダウン変換またはアップ変換の大きさであるコマンド信号VDCmndに依存する。いくつかのより具体的な実施態様においては、電圧レギュレータ680は、同期バックブースト直流/直流コンバータである。いくつかのそのような実施態様においては、調整された電圧信号VP1及びVP2は、IGU602、具体的には、IGU602内のECDの観点から、効果的に固定された振幅の直流信号である。
【0129】
より詳細に上述したように、処理ユニット604は、いくつかの異なるパラメータ、入力値、アルゴリズムまたは命令に基づいてコマンド信号VDCmndを生成することができる。いくつかの実施態様においては、処理ユニット604は、デジタル電圧信号の形態でコマンド信号VDCmndを生成する。いくつかのそのような実施態様においては、ドライブ回路608は、加えて、デジタルコマンド信号VDCmndをアナログコマンド電圧信号VACmndに変換するためのデジタル/アナログコンバータ(DAC)682を含むことができる。いくつかの実施態様においては、DAC682は、処理ユニット604の外部にあってもよく、いくつかの他の実施態様においては、DAC682は、処理ユニット604の内部にある。そのような実施態様においては、電圧レギュレータ680は、より具体的には、コマンド電圧信号VACmndに基づいて、調整された電圧信号VP1及びVP2を生成する。いくつかの実施態様の使用に適しているDACの1つの例は、Analog Devices Inc.,Norwood,MAによるAD5683R DACである。
【0130】
いくつかの具体的な実施態様においては、調整された電圧信号VP1及びVP2は、矩形波(または「パルスされた」)直流信号、たとえばパルス幅変調(PWM)電圧信号である。いくつかのそのような実施態様においては、電圧レギュレータ680は、調整された電圧信号VP1及びVP2を生成するためのHブリッジ回路を含む。いくつかのそのような実施態様においては、調整された電圧信号VP1及びVP2はそれぞれ、同じ周波数を有する。言い換えれば、調整された電圧信号VP1及びVP2のそれぞれにおける電流パルスの開始から次のパルスの開始までの周期は、同じ時間期間を有する。いくつかの実施態様においては、電圧レギュレータ680は、各デューティサイクルが等しくならないように、各電圧信号VP1及びVP2のデューティサイクルを修正するように動作可能である。このようにして、第1の調整された電圧信号VP1のパルス(もしくは「オン」持続時間)の振幅(または「大きさ」)は、第2の調整された電圧信号VP2のパルスの大きさと等しくすることができるが、第1の調整された電圧信号VP1及び第2の調整された電圧信号VP2はそれぞれ、IGU602内のECDの対応する母線及び伝導層の観点から異なる実効直流電圧大きさを有することができる。しかしながら、いくつかの他の実施態様においては、追加としてまたは代替として、電圧レギュレータ680は、電圧信号VP1及びVP2のパルスの各大きさを修正することができる。
【0131】
たとえば、調整された電圧信号VP1及びVP2のそれぞれのパルスのそれぞれが5Vの振幅を有するが、第1の電圧信号VP1が60%のデューティサイクルを有し、第2の電圧信号VP2が40%のデューティサイクルを有する適用例について考える。そのような適用例においては、調整された電圧信号VP1及びVP2のそれぞれによって供給される実効直流電圧は、各パルス振幅と、各パルスに占められるデューティサイクルの割合との積として近似され得る。たとえば、第1の電圧信号VP1によって与えられる実効直流電圧は、3V(5Vと0.6との積)と近似され得るが、第2の電圧信号VP2によって与えられる実効電圧は、2V(5Vと0.4との積)と近似され得る。いくつかの実施態様においては、第1の電圧信号VP1のデューティサイクルは、第2の電圧信号VP2のデューティサイクルと相補的である。たとえば、与えられたばかりの例の場合のように、第1の電圧信号VP1がX%のデューティサイクルを有する場合、第2の電圧信号VP2のデューティサイクルはY%とすることができ、ただし、Y%=100%-X%である。いくつかのそのような実施態様においては、第1の電圧信号VP1の「オン」持続時間は、第2の電圧信号VP2の「オフ」持続時間と一致することができ、同様に、第1の電圧信号VP1の「オフ」持続時間は、第2の電圧信号VP2の「オン」持続時間と一致することができる。いくつかの他の実施態様においては、デューティサイクルは必ずしも相補的である必要はなく、たとえば、第1の電圧信号VP1は50%のデューティサイクルを、第2の電圧信号VP2は15%のデューティサイクルを有することができる。
【0132】
上述のように、いくつかの実施態様においては、調整された電圧信号VP1及びVP2は、IGU602、具体的には、IGU602内のECDの観点から効果的に固定された振幅の直流信号である。さらなるそのような実施態様においては、電圧レギュレータ680はまた、1つまたは複数の電子フィルタ、具体的には、1つまたは複数のインダクタなどの1つまたは複数のパッシブフィルタ構成要素を含むことができる。そのようなフィルタまたはフィルタ構成要素は、調整された電圧信号VP1及びVP2をそれらの供給前に平準化して、確実にこの調整された電圧信号VP1及びVP2が効果的に固定された振幅の直流信号であるようにすることができる。調整された電圧信号VP1及びVP2の平準化をさらに容易にするために、電圧信号VP1及びVP2におけるパルスの周波数は、いくつかの実施態様においては、1キロヘルツ(kHz)以上とすることができる。たとえば、当業者は認識するように、導体に印加される電圧振動の周波数が大きいほど、導体内の電荷が電圧振動に反応する可能性は低くなる。加えて、インダクタのインダクタンスが大きいほど、インダクタを介して提供される電圧振動はより平準化される。
【0133】
いくつかの実施態様においては、電圧レギュレータ680は、有利には、経時的にWC600の電力消費を低減するようにバーストモードで動作することができ得る。バースト動作モードにおいては、電圧レギュレータ680は自動的にバーストモードに出入りして、電圧レギュレータ680の電力消費を最小限に抑える。いくつかの実施態様の使用に適しているそのような電圧レギュレータの1つの例は、Linear Technology Corp.,Milpitas,CAによって提供されるLTC3112 15V、2.5amp同期バックブースト直流/直流コンバータである。
【0134】
いくつかの実施態様においては、調整された電圧信号VP1及びVP2は、それぞれ印加電圧信号VApp1及びVApp2である。いくつかのそのような実施態様においては、調整された電圧信号VP1とVP2との差が実効電圧VEffである。いくつかの実施態様においては、明色化色付け遷移を行うために、処理ユニット604は、電圧レギュレータ680が正の実効電圧VEffを提供するようにコマンド信号VDCmndを生成し、暗色化色付け遷移を行うために、処理ユニット604は、電圧レギュレータ680が負の実効電圧VEffを提供するようにコマンド信号VDCmndを生成する。反対に、異なるエレクトロクロミック層または対向電極層に関わるいくつかの他の実施態様においては、暗色化色付け遷移が正の実効電圧VEffを提供することによって達成され、明色化色付け遷移が負の実効電圧VEffを提供することによって達成される。
【0135】
いずれにしても、電圧レギュレータ680は、第1の電圧信号VP1のデューティサイクルを増加させる、または第2の電圧信号VP2のデューティサイクルを減少させることによって、正の実効電圧VEffを供給することができ、それにより、第1の電圧信号VP1のデューティサイクルが第2の電圧信号VP2のデューティサイクルよりも大きくなり、結果として、第1の印加電圧信号Vapp1の実効直流電圧が第2の印加電圧信号Vapp2の実効直流電圧よりも大きくなる。同様に、電圧レギュレータ680は、第1の電圧信号VP1のデューティサイクルを減少させる、または第2の電圧信号VP2のデューティサイクルを増加させることによって、負の実効電圧VEffを供給することができ、それにより、第1の電圧信号VP1のデューティサイクルが第2の電圧信号VP2のデューティサイクルよりも小さくなり、結果として、第1の印加電圧信号VApp1の実効直流電圧が第2の印加電圧信号VApp2の実効直流電圧よりも小さくなる。
【0136】
図6に示されているものを含むいくつかの他の実施態様においては、ドライブ回路608は、加えて、極性スイッチ682を含む。極性スイッチ682は、電圧レギュレータ680からの2つの調整電圧信号V
P1及びV
P2を受け取り、電力線634及び636にそれぞれ供給される印加電圧信号V
App1及びV
App2を出力する。極性スイッチ482を使用して、実効電圧V
Effの極性を正から負へ切り替えることができ、その逆も同様である。やはり、いくつかの実施態様においては、電圧レギュレータ680は、第1の電圧信号V
P1のデューティサイクルを増加させる、または第2の電圧信号V
P2のデューティサイクルを減少させることによって、V
P2に対するV
P1の大きさを増加させ、したがって、V
Effの大きさを増加させることができる。同様に、電圧レギュレータ680は、第1の電圧信号V
P1のデューティサイクルを減少させる、または第2の電圧信号V
P2のデューティサイクルを増加させることによって、V
P2に対するV
P1の大きさを減少させ、したがって、V
Effの大きさを減少させることができる。
【0137】
いくつかの他の実施態様においては、第2の電圧VP2は信号接地とすることができる。そのような実施態様においては、第2の電圧VP2は、遷移中ならびに遷移間の時間中、固定または浮動状態を維持することができる。そのような実施態様においては、電圧レギュレータ680は、第1の電圧信号VP1のデューティサイクルを増加または減少させることによって、VP1の大きさ、したがってVEffの大きさを増加または減少させることができる。いくつかの他のそのような実施態様においては、電圧レギュレータ680は、第1の電圧信号VP1のデューティサイクルを調節して、または調節しなくても、第1の電圧信号VP1の振幅を直接、増加または減少させることによって、VP1の大きさ、したがって、VEffの大きさを増加または減少させることができる。実際には、そのような後者の実施態様においては、第1の電圧信号VP1は、パルス信号ではなく実固定直流信号とすることができる。
【0138】
極性スイッチ682を含む実施態様においては、第2の電圧信号VP2は信号接地とすることができ、第1の電圧信号VP1は、常に第2の電圧信号VP2に対して正の電圧とすることができる。そのような実施態様においては、極性スイッチ682は、2つの構成(たとえば、2つの電気的構成または2つの機械的構成)を含むことができる。処理ユニット604は、たとえばSPIバス686を経由して供給される制御信号VPolarを介して、極性スイッチ682がどの構成にあるのかを制御することができる。たとえば、処理ユニット604は、明色化遷移を実施する場合には第1の構成を選択し、暗色化遷移を実施する場合には第2の構成を選択することができる。たとえば、極性スイッチ682が第1の構成にある間、極性スイッチは、第2の印加電圧信号VApp2に対して正の第1の印加電圧信号VApp1を出力することができる。反対に、極性スイッチ682が第2の構成にある間、極性スイッチは、第2の印加電圧信号VApp2に対して負の第1の印加電圧信号VApp1を出力することができる。
【0139】
いくつかの実施態様においては、第1の構成にある間、極性スイッチ682は、第1の電圧信号VP1(またはそのバッファされたバージョン)を第1の印加電圧信号VApp1として渡し、第2の電圧信号VP2(またはその接地されたバージョン)を第2の印加電圧信号VApp2として渡し、結果として、正の実効電圧VEffがもたらされる。いくつかの実施態様においては、第2の構成においては、第2の構成にある間、極性スイッチ682は、第1の電圧信号VP1(またはそのバッファされたバージョン)を第2の印加電圧信号VApp2として渡し、第2の電圧信号VP2(またはその接地されたバージョン)を第1の印加電圧信号VApp2として渡し、結果として、負の実効電圧VEffがもたらされる。いくつかの実施態様においては、極性スイッチ682は、Hブリッジ回路を含むことができる。VPolarの値に応じて、Hブリッジ回路は、第1の構成または第2の構成で機能することができる。いくつかの実施態様の使用に適している極性スイッチの1つの例は、International Rectifier Corp.,San Jose,CAによって提供されるIRF7301 HEXFETパワーMOSFETである。
【0140】
いくつかの実施態様においては、正の電圧VEffから負の電圧VEffに、またはその逆に切り替えるとき、極性スイッチ682は、第1の伝導モードから高インピーダンスモードに、次いで、第2の伝導モードへと、またはその逆に切り替わるように構成され得る。教示上、第1の調整された電圧VP1が正のホールド値にあり、極性スイッチ682が第1の構成にある例について考える。上述したように、いくつかの実施態様においては、極性スイッチ682は、VP1(またはそのバッファされたバージョン)を第1の印加電圧VApp1として渡し、やはり正のホールド値にある第1の印加電圧VApp1がもたらされる。図を簡単にするために、VP2とVApp2が両方とも信号接地であるとやはり仮定する。結果は、正のホールド値での実効印加電圧VEffになる。次に、実効印加電圧VEffが負のホールド値にある終了状態をもたらすことになる色付け遷移を処理ユニット604が開始していることについて考える。いくつかの実施態様においては、色付け遷移を生じさせるために、処理ユニット604は、電圧レギュレータ680が負のランプからドライブへのプロファイルに基づいて電圧VP1の大きさを低下させるようにコマンド信号VDCmndを調節する。いくつかの実施態様においては、電圧VP1の大きさがゼロに近い閾値(たとえば、10ミリボルト(mV))に達すると、処理ユニット604は、極性切り替え信号VPolarを第1の値から第2の値に変更し、それにより、極性スイッチ682は、正の伝導モード(上述した第1の構成)から高インピーダンスモードに切り替わることになる。
【0141】
高インピーダンスモードにある間、極性スイッチ682はVP1を渡さない。代わりに、極性スイッチ682は、所定の計算または推定に基づいてVApp1(またはVApp2)の値を出力することができる。一方、電圧レギュレータ680は、VP1の大きさをゼロまで減少させ続ける。VP1の大きさがゼロに達したとき、電圧レギュレータ680は、VP1の大きさを最大で負のドライブ値の大きさまで増加させることを開始する。VP1の大きさが閾値(たとえば、10mV)に達したときには、処理ユニット604は、極性切り替え信号VPolarを第2の値から第3の値に変更して、それにより、極性スイッチ682は高インピーダンスモードから負の伝導モード(上述した第2の構成)に切り替わることになる。上述したように、いくつかのそのような実施態様においては、極性スイッチ682は、VP1を第2の印加電圧VApp2として渡し、第1の印加電圧VApp1は信号接地である。要約すると、VP1の大きさが閾値電圧(たとえば、10mV)以上である間、極性スイッチ682は、極性スイッチ682が正の伝導モード(第1の構成)にあるのか、または負の伝導モード(第2の構成)にあるのかにそれぞれ応じて、調整された電圧VP1を、第1の印加電圧VApp1または第2の印加電圧VApp2のいずれかとして渡す。したがって、実効印加電圧VEffは、VP1の大きさ及び極性スイッチ682の極性構成によって指示され、VEffの値は、-10mV以下または+10mV以上である。しかし、極性スイッチ682が高インピーダンスモードにある間、-10mV <VEff<10mVの範囲においては、VEffの値、より概括的には、VApp1及びVApp2の値は、所定の計算または推定に基づいて確定される。
【0142】
フィードバック回路
上述したように、いくつかの実施態様においては、処理ユニット604は、1つまたは複数のフィードバック信号VFeedに基づいて、動作中(たとえば、色付け遷移中、または色付け遷移間の時間中)、コマンド信号VDCmndを変更することができる。いくつかの実施態様においては、フィードバック信号VFeedは、1つまたは複数の電圧フィードバック信号VOCに基づき、この電圧フィードバック信号VOCは、ひいては、接続されたIGUのECDにわたって検出される実電圧レベルに基づいている。そのような電圧フィードバック信号VOCは、(遷移中または遷移間の)定期的な開路状態中に測定され得、印加電圧VApp1及びVApp2は、短時間周期にオフされる。たとえば、開路電圧フィードバック信号VOCは、電力線634に接続された第1の入力部、電力線636に接続された第2の入力部、及びアナログ/デジタルコンバータ(ADC)692に接続された出力部を有する差動増幅器688を使用して測定され得る。ADC692は、処理ユニット604に対して内部であっても、または外部であってもよい。いくつかの実施態様の使用に適している差動増幅器の1つの例は、Linear Technology Corp.,Milpitas,CAによって提供される低電力、調節可能な利得、高精度のLT1991である。
【0143】
追加としてまたは代替として、第2のフィードバック信号VFeedは、1つまたは複数の電流フィードバック信号VCurに基づくことができ、この電流フィードバック信号VCurは、ひいてはECDを介して検出される実電流レベルに基づく。そのような電流フィードバック信号VCurは、極性スイッチ682の出力部にやはり接続されている抵抗691の第1入力端子に接続された第1入力部を有する演算増幅器690を使用して測定され得る。演算増幅器690の第2の入力部は、抵抗691の第2の端子に接続され得、抵抗691はまた、第2の供給電圧VSup2のノードに接続されている。演算増幅器690の出力部は、ADC692と接続され得る。いくつかの実施態様の使用に適している演算増幅器の1つの例は、Analog Devices Inc.,Norwood,MAによって提供される低ノイズ、CMOS、高精度のAD8605である。抵抗691の抵抗RFは知られているので、極性スイッチ682から流出する実電流は、電圧差信号VCurに基づいて処理ユニット604によって確定され得る。
【0144】
いくつかの実施態様においては、処理ユニット604はまた、電圧信号VApp1及びVApp2が伝導配電線633及び635を通過することから生じる伝送損失を補償するようにも構成されている。より具体的には、所与のIGU602の母線に供給される実電圧は、WC600の出力部における電圧VApp1及びVApp2未満とすることができる。したがって、IGU402内のECDにわたって印加される実電圧VActは、WC600の出力部における電圧VApp1とVApp2との間の差未満とすることができる。たとえば、抵抗RTをそれぞれが有する抵抗として図式的に表されている配電線634及び636の抵抗は、配電線634及び636に沿って著しい電圧降下をもたらし得る。それぞれの配電線の抵抗は、もちろん、配電線の長さに正比例し、配電線の断面積に反比例する。したがって、期待される電圧降下は、配電線の長さについての知識に基づいて計算され得る。しかしながら、この長さ情報は必ずしも利用可能とは限らない。たとえば、設置業者は、IGUの設置中、そのような長さの情報を記録しない場合も、またはそのような情報を正確に、精密に、もしくは正しく記録しない場合もある。加えて、既存のワイヤが利用される一部の旧来の設置においては、そのような長さ情報が利用できない場合もある。
【0145】
配電線の長さに関する情報が利用可能である場合、この情報を使用して、ルックアップテーブルを作成することができ、このルックアップテーブルは、たとえば、プラグイン構成要素内のメモリチップに記憶される。次いで、この長さ情報は、WC600の電源投入時にWC600が読み取ることができる。そのような実施態様においては、電圧VApp1及びVApp2は、各配電線634及び636に沿った推定された電圧降下を補償するために(たとえば、ファームウェアまたはソフトウェアを使用して)増加させることができる。そのような補償スキーム及びアルゴリズムは、ある程度は効果的であり得るが、そのようなスキーム及びアルゴリズムは、配電線の使用に基づく、地球が自転する際の太陽の位置に基づく、天候に基づく、及び季節に基づく、所与の日に大きく変化し得る配電線の温度の変化から生じる配電線の抵抗の動的変化を精密に明らかにすることはできない。
【0146】
追加としてまたは代替として、第3のフィードバック信号V
Feedは、1つまたは複数の電圧補償信号V
Compに基づくことができ、この電圧補償信号V
Compは、ひいては電源配電線のうちの少なくとも1つに沿って検出された実電圧降下に基づく。たとえば、そのような電圧補償信号V
Compは、WC600内の配電線634または634のうちの一方に接続された第1の入力部、WC600内の第5の線642に接続された第2の入力部、及びADC692に接続された出力部を有する差動増幅器694を使用して測定され得る。
図7を参照して示し説明したもの実施態様など、いくつかのそのような実施態様においては、プラグイン構成要素752は、電圧補償回路762を含む。1つの例示的な実施態様においては、電圧補償回路762は、プラグイン構成要素752内の第5の線742と第1の配電線734または第2の配電線736との間にそれぞれ短絡を与える導体を含む。そのような実施態様においては、差動増幅器694は、WC600とIGU602との間の配電線を通る電流Iに比例するオフセット電圧V
Comp、ならびにWC600とIGU602との間の配電線長さ及び断面積を検出する。電流Iは、演算増幅器690から出力される信号V
Curに基づいて処理ユニット604によって確定される。このようにして、処理ユニットは、配電線の長さまたは断面積を直接的に知ることなく、配電線に沿った静的及び動的な電圧降下を補償するために、コマンド電圧信号V
DCmndを増加または減少させることができる。
【0147】
1つの実施態様においては、WC600とIGU602との間のそれぞれの配電線の抵抗RTは、VCompをIで除算することによって計算される。この抵抗情報は、次いで、WC600内のパラメータテーブルに記憶される。次いで、VCompは、2*RT
*VCurとして動的に計算される。電圧信号VApp1及びVApp2は、続いて、計算されたVComp量を自動的に用いて動的に調節されて、線633及び635の電圧降下を補償することができる。別のシナリオにおいては、電圧信号VApp1及びVApp2は、線633及び635の電圧降下を明らかにするために、2*VCompによって動的に調節される。
【0148】
電圧補償についてもまた、2012年4月17日に出願され「CONTROLLER FOR OPTICALLY SWITCHABLE WINDOWS」と題された米国特許出願第13/449,248号(代理人整理番号VIEWP041)、及び2012年4月17日に出願され「CONTROLLER FOR OPTICALLY SWITCHABLE WINDOWS」と題された米国特許出願第13/449,251号(代理人整理番号VIEWP042)により詳細に記載されており、この両出願は、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの他の実施態様においては、電圧補償回路762は、チップ756に接続する通信回線739及び741に接続され得る。いくつかの他の実施態様においては、電圧補償回路762は、インターフェース754ならびに通信回線738及び740を介して、通信回線637及び639に直接、結合され得る。
【0149】
開路電圧フィードバック信号VOC、電流フィードバック信号VCur、及び電圧補償フィードバック信号VCompはそれぞれ、ADC692によってデジタル化され、フィードバック信号VFeedとして処理ユニット604に供給され得る。いくつかの実施態様の使用に適しているADCの1つの例は、Analog Devices Inc.,Norwood,MAによる低電力AD7902である。上記のいくつかの例においては、フィードバック信号VFeedは単数形で参照されているが、フィードバック信号VFeedは、デジタル化された開路電圧信号VOCのための第1のフィードバック信号と、デジタル化された電流信号VCurのための第2のフィードバック信号と、デジタル化された電圧補償信号VCompのための第3のフィードバック信号との3つ(または3つ以上もしくは3つ以下)の個々のフィードバック信号をまとめて示すことができる。フィードバック信号VFeedは、SPIバス686を介して処理ユニット604に供給され得る。処理ユニット604は、次いで、フィードバック信号VFeedを使用して、IGU602のECDスタックにわたって印加される電圧の実値VActが所望の実効電圧VEffにおよそ等しくなるように、したがって、目標色合い状態に到達するように、コマンド信号VDCmndを動的に修正することができる。
【0150】
たとえば、外部環境がより明るくなるにつれて、WC600は、IGU602を暗色化するようにNC500から色合いコマンドを受け取ることができる。しかしながら、いくつかの実施態様または例においては、各ECDが、ますますさらに色付けされるようになると、ECDの温度は、光子吸収の増加の結果として著しく上昇し得る。ECDの色付けはECDの温度に依存し得るので、温度変化を補償するようにコマンド信号VDCmndが調節されない場合、色合い状態は変化し得る。いくつかの実施態様においては、処理ユニット604は、直接、温度変動を検出するのではなく、フィードバック信号VOC及びVCurを介して確定される、ECDを介して検出される実電圧またはECDを介して検出される実電流に基づいて、コマンド信号VDCmndを調節することができる。
【0151】
加えて、上述したように、それぞれのWC600は、複数のIGU602に接続され、これらのIGU602に電力供給することができる。所与のWC600を複数の接続されたIGU602のうちのそれぞれに接続する配電線セットの断面積は概ね同じであるが、それぞれの配電線セットの長さは、WC600に対する各IGU602の位置に基づいて異なってもよい。したがって、WC600は、(たとえば、
図7を参照して上述した結合用コネクタ748を介して)共通ノードを介して複数の接続されたIGU602に電圧V
App1及びV
App2を供給するが、複数のIGU602のそれぞれによって実際に受け取った電圧V
App1及びV
App2の値は、WC600に対するIGU402のそれぞれの位置に基づいて異なってもよい。いくつかの実施態様においては、IGU602のそれぞれを所与のWC600に接続する配電線は、IGU602によって受け取った実印加電圧間の不均衡を低減するために同じまたは類似の長さを有することが望ましい場合がある。
【0152】
通信回路
通信回路612は、概して、処理ユニット604とWC600の内部または外部の様々な他の構成要素との間の通信を可能にするように構成されている。たとえば、通信回路612はブリッジデバイス696を含むことができる。いくつかの実施態様においては、ブリッジデバイス696は、処理ユニット696が通信回線638及び640(まとめてデータバス644と呼ばれる)、ならびに対応する通信回線637及び639を介してデータ信号Data3及びData4を伝達し受信することを可能にする。いくつかの実施態様においては、ブリッジデバイス696は、1-Wire(登録商標)通信プロトコルに従って通信するように構成された1-Wire(登録商標)ブリッジデバイスとすることができる。いくつかのそのような実施態様においては、通信回線639及び640は信号接地とすることができ、一方、データ信号Data3を運ぶ通信回線637及び639は、データと電力の両方をチップ756に、ならびにIGU602内の任意の数の1-Wire(登録商標)互換型センサに供給することができる。いくつかの実施態様においては、IGU602内のチップ756は、処理ユニット604とIGU602内のセンサとの間のデータ通信のための仲介とすることができる。たとえば、センサは、チップ756に接続する通信回線739及び741に接続され得る。いくつかの他の実施態様においては、センサは、インターフェース754、ならびに通信回線738及び740を介して、通信回線637及び639と直接、結合され得る。その他のときには、データ信号Data3は、センサデータを処理ユニット604に戻すように伝達することができる。
【0153】
ブリッジデバイス696は、1-Wire(登録商標)デバイスとの間、及び1-Wire(登録商標)デバイス間の通信を管理するように構成されている。処理ユニット604は、I2Cバス697を介して、ブリッジデバイス696に命令を伝達し、またはブリッジデバイスからデータを受信することができる。I2Cバス697は本明細書においては単数形で説明され得るが、I2Cバス697は、2つ以上のI2Cバスをまとめて示すことができ、それらはそれぞれ、WC600の各構成要素と通信するために使用され得る。したがって、いくつかの実施態様においては、ブリッジデバイス696は、I2Cマスタ(処理ユニット604)のI2Cホストポートに直接インターフェースするI2C対1-Wire(登録商標)ブリッジとして機能して、処理ユニット604と、IGU602の上または中にチップ756または任意のセンサを含む下流1-Wire(登録商標)スレーブデバイスとの間の双方向プロトコル変換を実行する。いくつかの実施態様の使用に適している1つのそのようなブリッジデバイスは、Maxim Integrated Products,Inc.,San Jose,CAによって提供されるDS2482 1-Wire(登録商標)マスタデバイスである。いくつかの他の実施態様においては、ブリッジデバイス696の機能は、処理ユニット604に統合されてもよい。
【0154】
いくつかの実施態様においては、処理ユニット604の電源投入または別の形でのアクティブ化に応答して、処理ユニット604は、デバイス及びドライブパラメータをRAMまたは処理ユニット604内の他のメモリデバイスに転送するように、ブリッジデバイス696を介してプラグイン構成要素752内の通信モジュール756に命令する。追加としてまたは代替として、処理ユニット604は、ブリッジデバイス696を介して通信モジュール756を定期的にポーリングすることができる。次いで、通信モジュール756は、ドライブパラメータを、ブリッジデバイス696を介してRAMまたはWC600内の他のメモリデバイスに転送することによって、ポーリングに応答することができる。
【0155】
いくつかの実施態様においては、通信回路612はまた、無線送受信機698も含む。たとえば、無線送受信機698は、I2Cバス697を介して処理ユニット604と通信することができる。無線送受信機698は、処理ユニット604と、たとえば、他のWC600、NC500、IGU602、ならびにモバイルデバイスまたは他のコンピューティングデバイスを含むそのような無線送受信機を有する他のデバイスとの間のワイヤレス通信を可能にすることができる。本明細書においては単数形で示されているが、無線送受信機698は、異なる各プロトコルに従ってワイヤレス通信するようにそれぞれが構成された1つまたは複数の無線送受信機をまとめて示すことができる。たとえば、いくつかの実施態様の使用に適しているいくつかのワイヤレスネットワークプロトコルは、Wi-Fi(登録商標)(または「WiFi(登録商標)」)など、IEEE802.11標準に基づくことができる。追加としてまたは代替として、無線送受信機698は、低レートワイヤレスパーソナルエリアネットワーク(low-rate wireless personal area network:LR-WPAN)の物理層及び媒体アクセス制御を規定するIEEE802.15.4標準に基づいて通信するように構成され得る。たとえば、IEEE802.15.4標準と互換性のあるより高いレベルのプロトコルは、ZigBee(登録商標)、6LoWPAN、ISA100.11A、WirelessHARTまたはMiWi仕様及び標準に基づくことができる。追加としてまたは代替として、無線送受信機698は、Bluetooth(登録商標)標準(Classic Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)高速及びBluetooth(登録商標)低エネルギープロトコルを含み、Bluetooth(登録商標)のv4.0、v4.1及びv4.2バージョンを含む)に基づいて通信するように構成され得る。追加としてまたは代替として、無線送受信機698は、EnOcean(登録商標)標準(ISO/IEC14543-3-10)に基づいて通信するように構成され得る。
【0156】
上述したように、ワイヤレス通信は、WC600とNC500との間の物理的ケーブルを介した通信に取って代わることができる。いくつかの他の実施態様においては、WC600とNC500との間でワイヤード通信とワイヤレス通信の両方が確立され得る。言い換えれば、WCとMCとの間でデータを送信するために、異なるタイプの少なくとも2つの通信リンクが同時に維持され得る。例として、WCは、WC電圧データ、電流データ及びセンサデータなどの何らかのあまりデータ集約的でないメッセージングのために、CANbusを使用してNCとワイヤード通信することができる。同時に、WCは、ビデオカメラフィード及び/または音声フィードなどのよりデータ集約的通信のために、WiFi(登録商標)または本明細書で開示される他の任意のワイヤレス通信技法を介してNCとワイヤレス通信することができる。2つ以上の通信リンクが維持される場合、一方の通信リンクは、中断または他のエラー条件の場合に、他方の通信リンクのバックアップとして働くことができる。いくつかの実施態様においては、センサ及び他のデバイスは、ワイヤレスリンク、ワイヤードリンク、またはその両方を使用してWCと通信することができる。いくつかの実施態様においては、分散型WC600は、互いに、またはMC400、NC500もしくは他のデバイスに様々な情報を伝達するためのメッシュネットワークを形成して、ネットワークシステム300などのネットワークシステムの様々なコントローラ間の物理的な通信回線を不要にすることができる。また上記のように、WC600は、WC600が制御するIGU602とワイヤレスで通信することができる。たとえば、それぞれのIGU602内の通信モジュール756はまた、WC600の無線送受信機698及び処理ユニット604と通信するための無線送受信機を含むこともできる。いくつかの実施態様においては、ワイヤレス通信は、WC600とIGU602との間の物理的ケーブルを介した通信に取って代わることができる。たとえば、ワイヤレス通信は、1-Wire(登録商標)通信バス644、通信回線637及び639、ならびに通信回線738及び740に取って代わることができる。そのようなワイヤレス実施態様は、自己完結型IGU、たとえば、物理的ケーブルの取付けを必要としないIGUの製造及び設置を容易にすることができる。いくつかのそのような自己完結的な実施態様においては、それぞれのIGUは、エネルギー貯蔵デバイスと、エネルギー貯蔵デバイスを充電するための統合された光起電セルとを含むことができる。エネルギー貯蔵デバイスは、ひいては、IGU内のECDの色合い状態及び色合い状態遷移に電力供給することができる。
【0157】
いくつかの実施態様においては、追加としてまたは代替として、通信回路612は、電力線通信モジュール699を含むことができる。電力線通信モジュール699は、データが通信回線622及び624を経由するのではなくもしくはそれに加えて電源電圧信号VSup1(及びいくつかの場合においては、VSup2)を介して、またはワイヤレスで通信される実施態様または例において使用され得る。示されているように、電力線通信モジュール699はまた、I2Cバス697を介して処理ユニット604と通信することができる。
【0158】
自動/半自動試運転/自己発見
いくつかの実施態様においては、設置後及びWCがオンにされた後、WCはIGU602内の1-Wire(登録商標) IDを要求またはポーリングすることができる。次いで、これらの1-Wire(登録商標) IDは、MCがWCのCANbus IDをMCが制御するIGUの1-Wire(登録商標) IDに関連付けることができるように、WCからNC、最終的にはMCに送信される。いくつかの他の実施態様においては、IGUはまた、ワイヤレス送受信機を含むこともできる。たとえば、それぞれのIGU内のBluetooth(登録商標)送受信機は、IGCのIDを含んでいるビーコンを同報通信することができ、次いで、WCはそれをピックアップすることができる。一旦、WCに接続されているIGUのIDがわかると、モバイルデバイス(電話機、IPad、または専用デバイス)を用いてビルの中を進んで、IGUのそれぞれを物理的な場所に関連付けることが可能になる。
【0159】
スリープモード
いくつかの実施態様においては、WC600は、通常(または「アクティブ」)動作モードに加えて、1つまたは複数のスリープモードに入る、及び1つまたは複数のスリープモードから出るように構成されている。たとえば、目標色合い状態に達し、ホールド電圧が、ある時間期間、印加された後、処理ユニット604は、イネーブル信号ENをアサートするのを停止(または「アサート解除」)して、したがって、HPダウンコンバータ670をディスエーブルすることができる。HPダウンコンバータ670は、WC600内の構成要素のほとんどに電力を供給するので、イネーブル信号ENがアサート解除されると、WC600は、第1のスリープモードに入る。あるいは、HPダウンコンバータ670をオフする、またはディスエーブルする代わりに、処理ユニットは、他のイネーブル信号(図示せず)をそのような個々の構成要素またはグループに対してアサート解除することによって、WC600内の構成要素のそれぞれを個々にまたは選択的にグループでディスエーブルすることができる。いくつかの実施態様においては、HPダウンコンバータ670をディスエーブルする前に、または別の形でWC600内の所望の構成要素をディスエーブルする前に、処理ユニット604は、たとえば、他の構成要素がオフにされると、接続されたIGU602のECスタック内に蓄えられている電荷がIGUからWC600へと逆流しないように電圧レギュレータ680を高インピーダンスモードに入れる制御信号Cntrlをアサートする。いくつかの実施態様においては、LPダウンコンバータ668は、処理ユニット604に全電力を供給するように、第1のスリープモードの間、オンのままである。いくつかの実施態様においては、処理ユニット604は、VOCが閾値レベルを下回った(または上回った)かどうかを判定するため、たとえば、IGUの色合い状態が許容可能なレベルを超えて変化したかどうかを判定するために、定期的に差動増幅器688及びADC692をイネーブルすることができる。VOCが閾値を下回った(または上回った)とき、処理ユニット604は、HPダウンコンバータ670をオンすることによって、または別の形でIGUのECスタックを許容可能レベルまでドライブするのに必要な構成要素をオンすることによって、WC600を「覚醒させる」(たとえば、スリープモードを終了し、通常のアクティブ動作モードに戻る)ことができる。いくつかの実施態様においては、スリープモードを終了すると同時に、処理ユニット604により、ECスタックに電圧ランプが印加され、その後にホールド電圧が続くことができる。
【0160】
いくつかの実施態様においては、処理ユニット604は、WC600が、第1の(または「軽い」)スリープモードとは異なる第2の(または「深い」)スリープモードに入るように構成され得る。たとえば、WC600が、ある時間期間、第1のスリープモードにあった後、処理ユニット604は、電力をさらに節約するために、その機能の一部をディスエーブルすることができる。事実上、処理ユニット604自体、スリープモードに入る。処理ユニット604は、依然としてLPダウンコンバータから3.3Vを得るが、通常の完全機能モードよりも著しく少ない電力を消費する低減機能低電力モードで構成されている。そのような第2のスリープモードにある間、処理ユニット604は、いくつかのやり方のうちの1つまたは複数で覚醒することができる。たとえば、処理ユニット604は、定期的に(毎分、数分ごと、10分ごとなど)それ自体を覚醒させることができる。上述したように、処理ユニット604は、次いで、VOCが閾値レベルを下回った(または上回った)かどうかを判定するため、たとえば、IGUの色合い状態が許容可能レベルを超えて変化したかどうかを判定するために、差動増幅器688及びADC692をイネーブルすることができる。VOCが閾値を下回った(または上回った)とき、処理ユニット604は、HPダウンコンバータ670をオンする、または別の形でIGUのECスタックを許容可能レベルまでドライブするのに必要な構成要素をオンすることによって、WC600を覚醒させることができる。いくつかの実施態様においては、スリープモードを終了すると同時に、処理ユニット604により、電圧ランプがECスタックに印加され、その後にホールド電圧が続くことができる。
【0161】
追加としてまたは代替として、処理ユニット604は、NC500からのコマンドなどの割込みに基づいて、または処理ユニット604と通信可能に結合された占有センサからの信号に基づいて、そのような深いスリープモードから覚醒し得る。そのような占有センサが占有者を検出したとき、占有センサは、処理ユニットを覚醒させWC600をアクティブモードに戻させる信号を処理ユニット604に提供することができる(いくつかの他の実施態様においては、占有センサは、占有センサからの信号に基づいて覚醒コマンドをWC500に送信するNC500に結合され得る)。いくつかの実施態様においては、たとえば、ユーザが、Bluetooth(登録商標)、またはペアリングのためにビーコンを定期的にポーリングもしくは送信する他の適切なタイプの送受信機を含むデバイスを携帯するシナリオにおいては、処理ユニット604は、何らかのそのようなデバイスが近くにあるかどうかを判定するために、定期的に覚醒して、無線送受信機698をイネーブルすることができる。
【0162】
加えて、そのようなスリープモード中に電力をさらに節約するために、処理ユニット604は、制御信号Cntrlを介して電圧レギュレータ680をイネーブルして、IGU602のECスタック内に蓄えられている電荷から処理ユニット604及び無線送受信機698に電力供給するのに必要な電力を引き出すことができる。電力節約及びインテリジェントで効率的な配電の使用のより多くの例については、2016年7月6日に出願され「POWER MANAGEMENT FOR ELECTROCHROMIC WINDOW NETWORKS」と題されたPCT特許出願第PCT/US16/41176号(代理人整理番号VIEWP080WO)に記載されており、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。加えて、VOCの取得に関連する主題については、2013年6月28日に出願され「CONTROLLING TRANSITIONS IN OPTICALLY SWITCHABLE DEVICES」と題された米国特許出願第13/931,459号(代理人整理番号VIEWP052)に記載されており、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0163】
スマートネットワークコントローラ
いくつかの実施態様においては、
図5を参照して説明したNC500は、
図4のMC400の役割であると上述している機能、プロセスまたは動作の一部を引き継ぐことができる。追加としてまたは代替として、NC500は、MC400に関して説明していない追加の機能または性能を含むことができる。
図8は、いくつかの実施態様によるネットワークコントローラの例示的なモジュールのブロック図を示している。たとえば、
図8のモジュールは、ハードウェア、ファームウェア及びソフトウェアの任意の適切な組合せでNC500に実装され得る。NC500がコンピュータ内で実行するネットワークコントローラアプリケーションとして実施されるいくつかの実施態様においては、
図8のモジュールもそれぞれ、ネットワークコントローラアプリケーション内で実行するアプリケーション、タスク、またはサブタスクとして実装され得る。
【0164】
いくつかの実施態様においては、NC500は、NC500が制御するWC600にステータス情報を定期的に要求する。たとえば、NC500は、数秒ごと、数十秒ごと、毎分、数分ごと、または任意の望ましい時間周期の後、NC500が制御するWC600のそれぞれにステータス要求を伝達することができる。いくつかの実施態様においては、それぞれのステータス要求は、CAN(登録商標) IDまたは各WC600の他の識別子を使用してWC600のそれぞれに向けられる。いくつかの実施態様においては、NC500は、ステータス取得のそれぞれのラウンド中、NC500が制御するWC600の全てを順次、進む。言い換えれば、NC500は、ステータス要求がステータス取得のそれぞれのラウンドにおいて、順次、WC600のそれぞれに送信されるように、NC500が制御するWC600の全てをループする。ステータス要求が所与のWC600に送信された後に、NC500は、ステータス取得のラウンドにおいて、ステータス要求をWCのうちの次のWCに送信する前に、各WC600からステータス情報を受信するのを待つ。
【0165】
いくつかの実施態様においては、NC500が制御するWC600の全てからステータス情報が受信された後に、NC500は、色合いコマンド配信のラウンドを実行する。たとえば、いくつかの実施態様においては、ステータス取得のそれぞれのラウンドの後に、色合いコマンド配信のラウンドが続き、次いで、ステータス取得の次のラウンド及び色合いコマンド配信の次のラウンドが続く、等々である。いくつかの実施態様においては、色合いコマンド配信のそれぞれのラウンド中、NC500は、NC500が制御するWC600のそれぞれに色合いコマンドを送信するように進む。いくつかのそのような実施態様のいくつかにおいては、NC500はまた、色合いコマンド配信のラウンド中、NC500が制御するWC600の全てを順次、進む。言い換えれば、NC500は、NC500が制御するWC600の全てをループして、色合いコマンドが、色合いコマンド配信のそれぞれのラウンドにおいて、順次、WC600の各々に送信される。
【0166】
いくつかの実施態様においては、それぞれのステータス要求は、何のステータス情報がそれぞれのWC600に要求されているかを示す命令を含む。いくつかの実施態様においては、そのような要求の受信に応答して、各WC600は、要求されたステータス情報を(たとえば、上流ケーブルセット616内の通信回線を介して)NC500に送信することによって応答する。いくつかの他の実施態様においては、デフォルトによるそれぞれのステータス要求により、WC600は、WC600が制御するIGU602のセットについての所定の情報セットを送信する。いずれにしても、それぞれのステータス要求に応答してWC600がNC500に伝達するステータス情報は、たとえば、IGU602が色付け遷移を起こしている最中か、または色付け遷移を完了したかを示す、IGU602の色合いステータス値(S)を含むことができる。追加としてまたは代替として、色合いステータス値Sまたは別の値は、色付け遷移(たとえば、電圧制御プロファイルの特定の段階)における特定の段階を示すことができる。いくつかの実施態様においては、ステータス値Sまたは別の値はまた、WC600がスリープモードにあるかどうかを示すこともできる。ステータス要求に応答して伝達されるステータス情報はまた、たとえば、MC400またはNC500によって設定されたIGU602の色合い値(C)を含むこともできる。この応答はまた、色合い値(たとえば、実効印加VEffの値)に基づいてWC600によって設定された設定点電圧を含むことができる。いくつかの実施態様においては、応答はまた、(たとえば、増幅器688及びフィードバック回路610を介して)IGU602内のECDにわたって測定、検出または別の形で確定されたほぼリアルタイムの実電圧レベルVActを含むことができる。いくつかの実施態様においては、応答はまた、(たとえば、増幅器690及びフィードバック回路610を介して)IGU602内のECDを介して測定、検出または別の形で確定されたほぼリアルタイムの実電流レベルIActを含むことができる。応答はまた、たとえば、IGU602上またはIGU602内に組み込まれたフォトセンサまたは温度センサから収集された、様々なほぼリアルタイムのセンサデータを含むことができる。
【0167】
CANOpenなどのいくつかのプロトコルは、WC600からNC500に送信されるデータのそれぞれのフレームのサイズを制限し、逆もまた同様である。いくつかの例においては、それぞれのステータス要求の送信及びそのような要求に応答するステータス情報の受信は、実際には、複数の双方向通信、したがって複数のフレームを含む。たとえば、上述したそれぞれのステータス要求は、上述したステータス値のそれぞれに対して別個のサブ要求を含むことができる。より具体的な例として、NC500から特定のWC600へのそれぞれのステータス要求は、ステータス値Sを要求する第1のサブ要求を含むことができる。第1のサブ要求に応答して、WC600は、確認応答と、ステータス値Sを含むフレームとをNC500に送信することができる。次いで、NC500は、色合い値Cを要求する第2のサブ要求をWC600に送信することができる。第2のサブ要求に応答して、WC600は、確認応答と、色合い値Cを含むフレームとをNC500に送信することができる。同様に、VEff、VAct及びIActの値ならびにセンサデータは、別個の各サブ要求及び応答を用いて得ることができる。
【0168】
いくつかの他の実施態様においては、順次方式でステータス要求をWC600のそれぞれにポーリングまたは送信するのではなく、NC500は、非同期的にステータス要求を特定のWC600に送信することができる。たとえば、WC600の全てからステータス情報(C、S、VEff、VAct及びIActを含む)を定期的に受信することは有用ではない場合がある。たとえば、最近、色合いコマンドを受信もしくは実施したWC600、現在、色付け遷移を起こしている最中であるWC600、最近、色付け遷移を完了したWC600、またはステータス情報が、比較的長い時間期間、収集されていなかったWC600の中の特定のWCのみにそのような情報を非同期的に要求することが望ましい場合がある。
【0169】
いくつかの他の実施態様においては、個々にステータス要求をWC600のそれぞれにポーリングまたは送信するのではなく、順次方式であるか、または非同期的であるかに関わらず、WC600はそれぞれ、そのステータス情報(C、S、VEff、VAct及びIActを含む)を定期的に同報通信することができる。いくつかのそのような実施態様においては、WC600はそれぞれ、ステータス情報をワイヤレスで同報通信することができる。たとえば、それぞれのWC600は、数秒、数十秒、数分または数十分ごとにステータス情報を同報通信することができる。いくつかの実施態様においては、WC600は、大量の総帯域幅を占有することを避けるために、それらの各ステータス情報をある時間に同報通信するように同期し得る。加えて、同報通信周期は、たとえば、ビル内及び太陽に対する各IGUの位置に基づいて、またはIGUに隣接する部屋が占有されているかどうかに基づいて、(上述の区画などの)異なるWC600セット、及び異なる時間に異なっていてもよい。
【0170】
いくつかの他の実施態様においては、WC600はそれぞれ、たとえば、色付け遷移を開始したとき、色付け遷移を完了したとき、VActが閾値だけ変化したとき、IActが閾値だけ変化したとき、センサデータ(たとえば、光の強度または温度)が閾値だけ変化したとき、隣接する部屋が占有されていることを占有センサが示したとき、またはスリープモードに入ったときもしくはスリープモードを終了したときなど、特定の条件に応答してそのステータス情報を同報通信することができる。NC500は、そのような同報通信されたステータス情報を待つことができ、それがあるのがわかったとき、ステータス情報を記録することができる。有利には、同報通信の実施態様においては、WC600にステータス情報を要求する必要がなく、したがって、それぞれのWC600に関連するラウンドトリップ遅延がないので、WC600のセットからステータス情報を受信するのに必要な時間は、およそ半分に削減される。その代わり、それぞれのWC600からNC500へステータス情報を送信するのに必要な時間に関連した一方向レイテンシだけが存在する。
【0171】
いくつかの他の実施態様においては、電源投入時またはその後、WC600のそれぞれは、接続されたIGUのデバイスパラメータ、ドライブパラメータ及びライトIDまたは他のECD IDを読み取るように構成され得る。次いで、WCは、それらのCAN(登録商標) IDならびにライトID及び関連するデバイスパラメータとドライブパラメータとを同報通信する。つまり、いくつかの実施態様においては、そのような同報通信は、NCまたは他のコントローラによるそのようなデータについての任意の要求なしで、またはそれに関係なく、WC内の1つまたは複数のプロセッサによって開始される。ID及びパラメータが同報通信されたとき、NC500は、ID及びパラメータを受信し処理することができる。いくつかの実施態様においては、WCによって同報通信されたメッセージからのライトID及びパラメータは、次いで、NCからMCに伝達され、このMCは、それらを、たとえば知られているCAN(登録商標) IDのリストを含むテーブルに記憶する。たとえば、テーブルのそれぞれの行は、CAN(登録商標) ID、CAN(登録商標) IDに関連付けられたWC位置ID、接続されたライトID、ライトIDに関連付けられた各窓の位置、ならびに各ECDのデバイスパラメータ及びドライブパラメータを含むことができる。いくつかの実施態様においては、MCは、クラウドベースのデータベースシステムにテーブルを記憶することができ、したがって、MCが故障しても、別のMCが、インスタンス化され、クラウド内のテーブルにアクセスすることができる。
【0172】
いくつかの例においては、試運転中、フィールドサービス技術者は、2つ以上の隣接窓の色合いの知覚される差に基づいて、アドホックなライトからライトのマッチングを行うように、介入し試みる場合がある。そのような場合においては、技術者は、1つまたは複数のECDのドライブパラメータが修正すべきであることを確定する場合があり、次いで、これらの修正が実施される。いくつかの実施態様においては、WCは、修正されたパラメータを対応するNCに同報通信するように構成され、そこからパラメータはMCに伝達され得る。次いで、WCが故障する、またはエラーを経験する状況においては、例として、WCがWCのCAN(登録商標) ID及び/またはWC位置IDなどのデータを定期的に同報通信するように構成されている状況においては、WCはもはや同報通信していないので、NCまたはMCは、WCが故障したことを確定することができる。故障したWCが新規WCに交換され、次いで、この新規WCに電源投入されると、新規WCは、対応するライトIDを読み取り、前述したように、新規WCのCAN(登録商標) ID及び接続されたライトIDを同報通信することになる。NCまたはMCがこの情報を受け取ると、NCまたはMCは、ライトIDを使用してテーブルルックアップを実行することによって、データベーステーブルから故障したWCの修正されたドライブパラメータを読み出すように構成され得る。そのような例においては、NCまたはMCはまた、新規CAN(登録商標) IDをWC位置ID及び関連するライトIDに割り当てることによってテーブルを自動的に更新するように構成されている。NCまたはMCは、次いで、修正されたドライブパラメータを新規WCに自動的に伝達することになる。このようにして、各WCが交換された場合であっても、ドライブパラメータが試運転中に修正されたECDは、修正されたドライブパラメータによって依然としてドライブされ得る。ドライブパラメータを自動的に修正、更新、及び適用するための他の技法は、2016年3月9日に出願された、Shrivastavaらによる「METHOD OF COMMISSIONING ELECTROCHROMIC WINDOWS」と題された米国特許仮出願第62/305,892号(代理人整理番号VIEWP008X2P)にさらに記載されているいくつかの実施態様において実行され得、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0173】
いくつかのそのような実施態様においては、順次方式でWC600のそれぞれに色合いコマンドを送信するのではなく、NC500は、ワイヤード接続を介してか、またはワイヤレス接続を介してかに関わらず、非同期的に特定のWC600に色合いコマンドを送信することができる。たとえば、定期的にWC600の全てに色合いコマンドを送信することは有用ではない場合がある。たとえば、ステータス情報が受信されたばかりである(または最近、受信された)、または色合いコマンドが、比較的長い時間期間、送信されていなかった、異なる色合い状態に遷移されるべきであるWC600のうちの特定のWC600のみに色合いコマンドを非同期的に送信することが望ましい場合がある。
【0174】
データロガー
いくつかの実施態様においては、NC500はまた、NC500によって制御されるIGUに関連付けられたデータを記録するためのデータロギングモジュール(または「データロガー」)802も含む。いくつかの実施態様においては、データロガー802は、ステータス要求に対する応答の一部または全部のそれぞれに含まれるステータス情報を記録する。上述したように、WC600がそれぞれのステータス要求に応答してNC500に伝達するステータス情報には、IGU602のための色合いステータス値(S)、色付け遷移の特定の段階を示す値(たとえば、電圧制御プロファイルの特定の段階)、WC600がスリープモードにあるかどうかを示す値、色合い値(C)、色合い値に基づいてWC600によって設定された設定点電圧(たとえば、実効印加VEffの値)、IGU602内のECDにわたって測定、検出、または別の形で確定された実電圧レベルVAct、IGU602内のECDを介して測定、検出、または別の形で確定された実電流レベルIAct、及びたとえばIGU602上またはIGU602内に統合されたフォトセンサまたは温度センサから収集され様々なセンサデータが含められ得る。いくつかの他の実施態様においては、本明細書においてさらに述べるように、データ削減/圧縮、事象検出などの後続の処理のために、NC500は、RabbitMC、ActiveMQ、またはKafkaのようなメッセージキューにステータス情報を収集しキューイングし、ステータス情報をMCにストリーミングすることができる。
【0175】
いくつかの実施態様においては、NC500内のデータロガー802は、カンマ区切り値(CSV)ファイルなどのログファイルの形態で、または別のテーブル構造化ファイルフォーマットを介してWC600から受信した様々な情報を収集及び記憶する。たとえば、CSVファイルのそれぞれの行は、各ステータス要求に関連付け可能であり、C、S、VEff、VAct及びIActの値、ならびにステータス要求に応じて受信したセンサデータ(または他のデータ)を含むことができる。いくつかの実施態様においては、それぞれの行は、各ステータス要求に対応するタイムスタンプによって(たとえば、ステータス要求がNC500によって送信されたとき、データがWC600によって収集されたとき、データを含む応答がWC600によって送信されたとき、または応答がNC500によって受信されたとき)識別される。いくつかの実施態様においては、それぞれの行はまた、各WC600に関連付けられたCAN(登録商標) IDまたは他のIDも含む。
【0176】
いくつかの他の実施態様においては、CSVファイルのそれぞれの行は、NC500によって制御されるWC600の全てのための要求されたデータを含むことができる。上述したように、NC500は、ステータス要求のそれぞれのラウンド中にNC500が制御するWC600の全てを、順次、ループすることができる。いくつかのそのような実施態様においては、CSVファイルのそれぞれの行は、(たとえば、第1の列内の)タイムスタンプによって依然として識別されるが、タイムスタンプは、それぞれの個々の要求ではなく、ステータス要求のそれぞれのラウンドの開始に関連付けられ得る。1つの具体的な例においては、列2~6は、NC500によって制御されるWC600のうちの第1のWC600についての値C、S、VEFF、VAct及びIActをそれぞれ含むことができ、列7~11は、WC600のうちの第2のWC600についての値C、S、VEff、VAct及びIActをそれぞれ含むことができ、列12~16は、WC600のうちの第3のWC600についての値C、S、VEff、VAct及びIActをそれぞれ含むことができ、NC500によって制御されるWC600の全てにわたって以下同様である。CSVファイル内の後続の行には、ステータス要求の次のラウンドについての各値を含めることができる。いくつかの実施態様においては、それぞれの行はまた、それぞれのWC600によって制御される各IGUと統合されたフォトセンサ、温度センサまたは他のセンサから得られたセンサデータを含むことができる。たとえば、そのようなセンサデータ値は、WC600のうちの第1のWC600についてのC、S、VEff、VAct及びIActの値の間、ただし行内のWC600のうちの次のWC600についてのC、S、VEff、VAct及びIActの値の前の各列に入力され得る。追加としてまたは代替として、それぞれの行は、たとえば、ビルの1つまたは複数のファサードもしくは屋上に位置付けられた1つまたは複数の外部センサからのセンサデータ値を含むことができる。いくつかのそのような実施態様においては、NC500は、ステータス要求のそれぞれのラウンドの終了時に、外部センサにステータス要求を送信することができる。
【0177】
コンパクトステータス
上述したように、CANopenなどのいくつかのプロトコルは、WC600からNC500に送信されるそれぞれのフレームのサイズを制限し、逆も同様である。いくつかの例においては、それぞれのステータス要求の送信及びそのような要求に応答するステータス情報の受信は、実際には複数の双方向通信及びフレームを含む。たとえば、上述したそれぞれのステータス要求は、上述したステータス値のそれぞれに対して別個のサブ要求を含むことができる。いくつかの実施態様においては、要求された値C、S、VEff、VAct及びIActのうちの2つ以上のそれぞれが、単一の応答内、すなわち、コンパクトステータス応答内で一緒に送信可能である。たとえば、いくつかの実施態様においては、C、S、VEff、VAct及びIActのうちの2つ以上の値は、1つのフレームに収まるようにフォーマットされる。たとえば、CANopenプロトコルは、それぞれのフレームで送信できるデータペイロードのサイズを8バイトに制限する(ただし、それぞれのバイトには8ビットが含まれる)。さらにはCANopenのサービスデータオブジェクト(Service Data Object:SDO)サブプロトコルが使用される実施態様においては、CANopenフレームのデータペイロード部分の最大サイズは4バイト(32ビット)である。いくつかの実施態様においては、値VEff、VAct及びIActのそれぞれのサイズは10ビットである。したがって、VEff、VAct及びIActの値はそれぞれ、単一のSDOフレーム内にパッケージ化され得る。これには、2ビットの余りが残っている。いくつかの実施態様においては、C及びSの値はそれぞれ、各1つのビットで指定され得る。そのような場合においては、C、S、VEff、VAct、IActの値は全て、32ビットのみを使用して指定され得、したがって、1つのSDO CANopenフレーム内にパッケージ化される。
【0178】
いくつかの実施態様においては、同報通信ステータス要求を使用して、追加の時間節約が達成し得る。たとえば、個々(または「ユニキャスト」方式)でWC600のそれぞれにステータス要求を送信するのではなく、NC500は、NC500が制御するWC600の全てに単一のステータス要求を同報通信することができる。上述したように、ステータス要求の受信に応答して、それぞれのWC600は、値C、S、VEff、VAct及びIActなどのステータス情報を1つまたは複数のコンパクトステータス応答で伝達することによって応答するようにプログラム可能である。
【0179】
プロトコル変換モジュール
上述したように、NC500の1つの機能は、たとえば、WC600とMC400の間、またはWCと外向きネットワーク310との間の情報の配信を可能にするために、様々な上流プロトコルと下流プロトコルとの間の翻訳とすることができる。いくつかの実施態様においては、プロトコル変換モジュール804が、そのような翻訳または変換サービスを担っている。様々な実施態様においては、プロトコル変換モジュール804は、いくつかの上流プロトコルのうちのいずれかといくつかの下流プロトコルのうちのいずれかとの間の翻訳を実行するようにプログラム可能である。上述したように、そのような上流プロトコルには、BACnetなどのUDPプロトコル、oBixなどのTCPプロトコル、これらのプロトコルを介して構築された他のプロトコルならびに様々なワイヤレスプロトコルを含めることができる。下流プロトコルには、たとえば、CANopen、他のCAN(登録商標)互換プロトコル、ならびにたとえば、IEEE802.11標準(たとえばWiFi(登録商標))に基づくプロトコル、IEEE802.15.4標準(たとえば、ZigBee(登録商標)、6LoWPAN、ISA100.11a、WirelessHARTまたはMiWi)に基づくプロトコル、Bluetooth(登録商標)標準(Classic Bluetooth(登録商標)、Bluetooth(登録商標)高速及びBluetooth(登録商標)低エネルギープロトコルを含み、Bluetooth(登録商標)のv4.0、v4.1及びv4.2バージョンを含む)に基づくプロトコル、あるいはEnOcean(登録商標)導準(ISO/IEC14543-3-10)に基づくプロトコルを含む様々なワイヤレスプロトコルを含めることができる。
【0180】
統合分析
いくつかの実施態様においては、NC500は、データロガー802によって(たとえば、CSVファイルとして)ログされた情報を定期的に、たとえば24時間ごとにMC400にアップロードする。たとえば、NC500は、Ethernet(登録商標)データリンク316を経由して、ファイル転送プロトコル(File Transfer Protocol:FTP)または別の適切なプロトコルを介してCSVファイルをMC400に送信することができる。いくつかのそのような実施態様においては、ステータス情報は、次いで、データベース320に記憶され、または外向きネットワーク310を介してアプリケーションにアクセス可能にされ得る。
【0181】
いくつかの実施態様においては、NC500はまた、データロガー802によってログされた情報を分析する機能を含むこともできる。たとえば、分析モジュール906が、リアルタイムでデータロガー802によってログされた生の情報を受信及び分析することができる。様々な実施態様においては、分析モジュール806は、データロガー802からの生の情報に基づいて決定を行うようにプログラム可能である。いくつかの他の実施態様においては、分析モジュール806は、データベース320と通信して、データベース320に記憶された後にデータロガー802によってログされたステータス情報を分析することができる。たとえば、解析モジュール806は、VEff、VAct及びIActなどの電気的特徴の生の値を期待値または期待値域と比較し、その比較に基づいて特別条件をフラグ付けすることができる。たとえば、そのようなフラグ付けされた条件には、短絡、エラー、またはECDの損傷などの障害を示す電力スパイクを含めることができる。いくつかの実施態様においては、分析モジュール806は、そのようなデータを色合い確定モジュール810または電力管理モジュール812に伝達する。
【0182】
いくつかの実施態様においては、分析モジュール806はまた、データロガー802から受信した生データをフィルタリングして、データベース320に情報をよりインテリジェントにまたは効率的に記憶することができる。たとえば、分析モジュール806は、「興味深い」情報のみをデータベースマネージャ808に渡してデータベース320に記憶するようにプログラム可能である。たとえば、興味深い情報には、異常値、それ以外で期待値から逸脱する値(たとえば、経験値もしくは履歴値に基づく)、または遷移が発生している特定の期間の間逸脱する値を含めることができる。生データがどのようにフィルタリングされ、解析され、一時的に記憶され、データベースに長期に効率的に記憶され得るかに関するより詳細な例については、2015年5月7日に出願され「CONTROL METHOD FOR TINTABLE WINDOWS」と題されたPCT特許出願第PCT/2015/029675号(代理人整理番号VIEWP049X1WO)に記載されており、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0183】
データベースマネージャ
いくつかの実施態様においては、NC500は、データロガー804によってログされた情報を定期的に、たとえば1時間ごと、数時間ごと、または24時間ごとにデータベースに記憶するように構成されたデータベースマネージャモジュール(または「データベースマネージャ」)808を含む。いくつかの実施態様においては、データベースは、上述したデータベース320などの外部データベースとすることができる。いくつかの他の実施態様においては、データベースはNC500の内部にあってもよい。たとえば、データベースは、NC500の二次メモリ506内、またはNC500内の別の長期メモリ内のGraphiteデータベースなどの時系列データベースとして実装され得る。いくつかの例示的な実施態様においては、データベースマネージャ808は、NC500のマルチタスクオペレーティングシステム内のバックグラウンドプロセス、タスク、サブタスク、またはアプリケーションとして実行するGraphite Daemonとして実装され得る。経時的に分析されるデータにとって、時系列データベースはより効率的であるので、SQLなどのリレーショナルデータベースよりも時系列データベースは有利である場合がある。
【0184】
いくつかの実施態様においては、データベース320は、まとめて2つ以上のデータベースを示すことができ、そのそれぞれは、ネットワークシステム300内のNC500のうちの一部または全部によって得られた情報のうちの一部または全部を記憶することができる。たとえば、冗長性において、複数のデータベースに情報のコピーを記憶することが望ましい場合がある。いくつかの実施態様においては、データベース320は、(Graphiteまたは他の時系列データベースなど)各NC500の内部にそれぞれがある多数のデータベースをまとめて示すことができる。サードパーティアプリケーションを含むアプリケーションからの情報の要求がデータベース間で分散され、より効率的にハンドリングされ得るように、複数のデータベースに情報のコピーを記憶することが望ましい場合もある。いくつかのそのような実施態様においては、データベースは、一貫性を維持するために、定期的にまたは別の形で同期し得る。
【0185】
いくつかの実施態様においては、データベースマネージャ808はまた、分析モジュール806から受信したデータをフィルタリングして、内部または外部のデータベースに情報をよりインテリジェントにまたは効率的に記憶することができる。たとえば、データベースマネージャ808は、追加としてまたは代替として、「興味深い」情報のみをデータベースに記憶するようにプログラム可能である。やはり、興味深い情報には、異常値、それ以外で期待値から逸脱する値(たとえば、経験値もしくは履歴値に基づく)、または遷移が発生している特定の期間の間逸脱する値を含めることができる。生データがどのようにフィルタリングされ、解析され、一時的に記憶され、データベースに長期に効率的に記憶され得るかに関するより詳細な例については、2015年5月7日に出願され「CONTROL METHOD FOR TINTABLE WINDOWS」と題されたPCT特許出願第PCT/2015/029675号(代理人整理番号VIEWP049X1WO)に記載されており、その全体が、本明細書においては、全ての目的において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0186】
色合い確定
いくつかの実施態様においては、NC500またはMC400は、IGU602のための色合い値を計算、確定、選択、または別の形で生成するためのインテリジェンスを含む。たとえば、
図4のMC400を参照して上述したのと同様に、色合い確定モジュール810が、様々なアルゴリズム、タスクまたはサブタスクを実行して、パラメータの組合せに基づいて色合い値を生成することができる。パラメータの組合せには、たとえば、データロガー802によって収集され記憶されたステータス情報を含めることができる。パラメータの組合せにはまた、一日の時刻、日付、もしくは季節の時期などの時または暦情報も含めることができる。追加としてまたは代替として、パラメータの組合せは、たとえば、IGU602に対する太陽の方向などの太陽暦情報を含むことができる。パラメータの組合せはまた、(ビルの外の)外部温度、(目標IGU602に隣接する室内の)内部温度、またはIGU602の内部容積部内の温度を含むことができる。パラメータの組合せはまた、天候に関する情報(たとえば、晴天か、晴れか、曇りか、曇天か、雨か、または雪かどうか)も含むことができる。一日の時刻、日付、または太陽の方向などのパラメータは、NC500にプログラムされ、NC500によって追跡され得る。外部温度、内部温度、またはIGU温度などのパラメータは、ビルの中、上もしくはその周囲のセンサ、またはIGU602上もしくはその中に統合されたセンサから取得され得る。いくつかの実施態様においては、様々なパラメータは、APIを介してNC500と通信することができるサードパーティアプリケーションを含む様々なアプリケーションによって提供され得、またはそれらにより提供される情報に基づいて確定され得る。たとえば、ネットワークコントローラアプリケーションまたはそれが動作するオペレーティングシステムは、APIを提供するようにプログラム可能である。
【0187】
いくつかの実施態様においては、色合い確定モジュール810はまた、様々なモバイルデバイスアプリケーション、壁面デバイスまたは他のデバイスを介して受信したユーザ無効化に基づいて色合い値を確定することもできる。いくつかの実施態様においては、色合い確定モジュール810はまた、サードパーティアプリケーション及びクラウドベースのアプリケーションを含む様々なアプリケーションによって受信されたコマンドまたは命令に基づいて、色合い値を確定することができる。たとえば、そのようなサードパーティアプリケーションは、サーモスタットサービス、警報サービス(たとえば、火災検出)、セキュリティサービス、または他の電化製品自動化サービスを含む様々な監視サービスを含むことができる。監視サービス及びシステムの追加の例については、2015年3月5日に出願され「MONITORING SITES CONTAINING SWITCHABLE OPTICAL DEVICES AND CONTROLLERS」と題されたPCT/US2015/019031(代理人整理番号VIEWP061WO)に見出すことができる。そのようなアプリケーションは、1つまたは複数のAPIを介して、色合い確定モジュール810及びNC500内の他のモジュールと通信することができる。NC500が可能にすることができるAPIのいくつかの例については、2014年12月8日に出願され「MULTIPLE INTERFACING SYSTEMS AT A SITE」と題された米国特許仮出願第62/088,943号(代理人整理番号VIEWP073P)に記載されている。
【0188】
電力管理
上述したように、解析モジュール806は、VEff、VAct及びIActの値、ならびにリアルタイムで取得されたか、またはデータベース320内に以前に記憶されたかのいずれかのセンサデータを期待値または期待値域と比較し、比較に基づいて特別条件をフラグ付けすることができる。分析モジュール806は、そのようなフラグ付けされたデータ、フラグ付けされた条件、または関連情報を電力管理部812に渡すことができる。たとえば、そのようなフラグ付けされた条件には、短絡、エラー、またはECDの損傷を示す電力スパイクを含めることができる。電力管理モジュール812は、次いで、フラグ付けされたデータまたは条件に基づいて動作を修正することができる。たとえば、電力管理モジュール812は、電力需要が低下するまで色合いコマンドを遅延させ、問題を抱えたWCへのコマンドを停止し(これらのWCをアイドル状態にし)、WCへのコマンドの時間差付けを開始し、ピーク電力を管理し、またはヘルプを求める信号伝達をすることができる。
【0189】
結論
1つまたは複数の態様においては、説明された機能のうちの1つまたは複数は、本明細書に開示される構造体及びその構造的均等物を含むハードウェア、デジタル電子回路、アナログ電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せで実装され得る。本明細書において説明される主題の特定の実施態様はまた、1つまたは複数のコントローラ、コンピュータプログラム、あるいは物理的構造体、たとえば窓コントローラ、ネットワークコントローラ、及び/またはアンテナコントローラの動作による実行のための、または動作を制御するためのコンピュータストレージ媒体において符号化されるコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして実装され得る。エレクトロクロミック窓として、またはエレクトロクロミック窓のために提示される任意の開示された実施態様は、より概括的には、切り替え可能な光学デバイス(窓、鏡などを含む)として、または切り替え可能な光学デバイスのために実装され得る。
【0190】
本開示に記載された実施形態に対する様々な修正形態は、当業者には容易に明らかである可能性があり、本明細書において規定される概括的な原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく他の実施態様に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示されている実施態様に限定されることを意図するものではなく、本開示、本明細書に開示された原理及び新規な特徴に一致する最も広い範囲が受けるべきである。加えて、図を容易に説明するために時には「上方」及び「下方」という用語が、使用され、適正な方向のページ上の図の向きに対応する相対位置を示すことになること、ならびに実装されるデバイスの適正な方向を反映していない場合があることは、当業者なら容易に認識するであろう。
【0191】
別個の実施態様の文脈で本明細書において説明される特定の機能もまた、単一の実施態様において組合せで実装され得る。逆に、単一実施態様の文脈で説明されている様々な特徴もまた、複数の実施態様において別個にまたは任意の適切なサブ組合せで実装され得る。その上、特徴は、特定の組合せで作用するものとして上述され得、そのようなものとして最初は請求され得るとしても、請求された組合せからの1つまたは複数の特徴は、いくつかの場合においては、組合せから削除されてもよく、請求された組合せは、サブ組合せまたはサブ組合せの変形形態を対象としてもよい。
【0192】
同様に、動作は、特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、動作が、示されている特定の順序もしくは順番で行われることが要求されること、または図示の動作が全て、行われるべきであることが要求されることを必ずしも意味するものではない。さらに、図面は、流れ図の形態で1つまたは複数の例示的なプロセスを概略的に示すことができる。しかしながら、図示されていない他の動作を、概略的に示されている例示的なプロセスに組み込むことができる。たとえば、図示の動作の前、後、動作と同時、または動作のいずれかの間に、1つまたは複数の追加の動作が行われてもよい。特定の状況においては、マルチタスキング及び並列処理が有利である場合がある。その上、上述の実施態様における様々なシステム構成要素の分離は、全ての実施態様においてそのような分離を必要とするものとして理解すべきではなく、記載されたプログラム構成要素及びシステムは、概して、単一のソフトウェア製品に一体化されても、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化されてもよいことを理解すべきである。加えて、他の実施態様は、次の特許請求の範囲内にある。いくつかの場合においては、特許請求の範囲に列挙された行為は、異なる順序で実行され得、依然として望ましい結果を達成することができる。
【外国語明細書】