(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156277
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】指運動練習補助装置および指運動練習補助方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/30 20180101AFI20231017BHJP
A61H 1/02 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
G16H20/30
A61H1/02 K
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023109804
(22)【出願日】2023-07-04
(62)【分割の表示】P 2021573919の分割
【原出願日】2020-06-15
(31)【優先権主張番号】201910520894.X
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】イン イン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】被験者に大きな負担をかけない指運動練習補助装置および指運動練習補助方法を提供する。
【解決手段】指運動練習補助装置10は、外部装置から入力情報を受信する操作入力受信部130と、指運動を実行するための提示指令を被験者に示すための提示部140と、被験者の指運動データを取得するために使用される指運動捕捉部110と、データ処理部1220及びストレージ1250を備える指運動解析部120と、を備える。データ処理部において、練習項目生成部1221は、入力情報に基づいて、1つ以上の提示指令が含まる1つ又は複数の練習項目を生成し、練習項目の配列順序を決定する。運動パラメータ計算部1222は、指運動データに基づいて、各練習項目の指運動を特徴付ける運動パラメータを計算する。指機能評価部1223は、入力情報に基づいて、運動パラメータを運動パラメータデータベースと比較し、比較結果を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指運動練習において被験者を補助するために使用される指運動練習補助装置であって、
練習目的を含む操作者の入力情報を外部から受信する操作入力受信部と、
指の運動練習を実行するための提示指令を被験者に示す提示部と、
前記提示指令に従って実行された被験者の指運動の指運動データを取得するために使用される指運動捕捉部と、
練習項目生成部と運動パラメータ計算部と指機能評価部とを有するデータ処理部、およびストレージを含む指運動解析部と、
を備え、
前記練習項目生成部は、前記入力情報に基づいて、1つ以上の練習項目を生成し、前記練習項目の配列順序を決定し、
各前記練習項目には、1つ以上の前記提示指令と、項目内容の難易度が互いに異なる複数のケースとが含まれ、
前記運動パラメータ計算部は、前記指運動データに基づいて、前記練習項目生成部によって生成された各前記練習項目に関して、指の動きを特徴付ける前記ケースに対応する運動パラメータを計算し、
前記指機能評価部は、前記運動パラメータを、前記ストレージに格納されている前記入力情報に対応する運動パラメータデータベースと比較し、比較結果として包括的な評価スコアを提供することを特徴とする指運動練習補助装置。
【請求項2】
前記練習項目生成部は、前記入力情報に基づいて前記ケースの配列順序を決定することを特徴とする請求項1に記載の指運動練習補助装置。
【請求項3】
被験者の指の長さに基づいて被験者の指運動データを補正する指補正部をさらに備え、
前記運動パラメータ計算部は、前記指補正部によって補正された前記指運動データに基づいて前記運動パラメータを計算し、
練習項目生成モードとして自動生成または手動生成のいずれかを操作者に選択させ、その選択された練習項目生成モードが前記入力情報に含まれ、
前記練習項目生成モードが自動生成であった場合、前記練習項目生成部は、1つまたは複数の前記練習項目を自動的に生成し、前記練習項目の配列順序を決定し、
前記練習項目生成モードが手動生成であった場合、前記練習項目生成部は、操作者の選択に基づいて1つまたは複数の前記練習項目を生成し、前記練習項目の配列順序を決定することを特徴とする請求項1に記載の指運動練習補助装置。
【請求項4】
前記練習目的は、リハビリ訓練または柔軟性評価であり、
前記練習目的がリハビリ訓練であった場合、前記指機能評価部は、前記運動パラメータデータベース内の被験者の過去の運動パラメータデータベースを使用して比較を実行し、
前記練習目的が柔軟性評価であった場合、前記指機能評価部は、前記運動パラメータデータベース内の標準的な運動パラメータデータベースを使用して比較を実行することを特徴とする請求項1に記載の指運動練習補助装置。
【請求項5】
前記練習項目は、片手運動と両手運動のうちの少なくとも1つを含み、片手運動は、一本指運動と複数指運動のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の指運動練習補助装置。
【請求項6】
前記提示指令は、片手順序提示、片手ランダム提示、片手番号提示、両手同期順序提示、両手順序提示、両手同期ランダム提示、両手完全ランダム提示、両手同番号提示、両手異番号提示、および説明性の提示のうちの少なくも1つを含むことを特徴とする請求項5に記載の指運動練習補助装置。
【請求項7】
前記入力情報には、被験者の情報が含まれ、
前記被験者の情報には、被験者の病名、年齢、性別の少なくとも1つが含まれていることを特徴とする請求項1に記載の指運動練習補助装置。
【請求項8】
指運動練習において被験者を補助するために使用される指運動練習補助方法であって、
練習目的を含む入力情報を受信する入力情報受信ステップと、
前記入力情報に基づいて、1つまたは複数の練習項目を生成し、前記練習項目の配列順序を決定する練習項目生成ステップと、
を含み、
各前記練習項目は、被験者が指運動を実行するための1つまたは複数の提示指令と、項目内容の難易度が互いに異なる複数のケースとを含み、
さらに、
前記練習項目生成ステップで生成された前記練習項目および配列順序に基づいて、被験者に前記提示指令を示し、この提示指令に従って指運動を行った被験者の指運動データを取得する練習実行ステップと、
前記指運動データに基づいて、前記練習項目生成ステップで生成された各前記練習項目に関して、指の動きを特徴付ける前記ケースに対応する運動パラメータを計算する運動パラメータ計算ステップと、
前記運動パラメータを、前記入力情報に対応する運動パラメータデータベースと比較し、比較結果として包括的な評価スコアを提供する指機能評価ステップと、
を含むことを特徴とする指運動練習補助方法。
【請求項9】
前記練習項目生成ステップは、前記入力情報に基づいて前記ケースの配列順序を決定することを特徴とする請求項8に記載の指運動練習補助方法。
【請求項10】
練習項目生成モードとして自動生成または手動生成のいずれかを操作者に選択させるステップと、
被験者の指の長さに基づいて被験者の指運動データを補正する指補正ステップと、
をさらに含み、
前記入力情報が前記練習項目生成モードを含み、
前記運動パラメータ計算ステップは、前記指補正ステップによって補正された前記指運動データに基づいて前記運動パラメータを計算し、
前記練習項目生成モードが自動生成であった場合、前記練習項目生成ステップは、1つまたは複数の前記練習項目を自動的に生成し、前記練習項目の配列順序を決定し、
前記練習項目生成モードが手動生成であった場合、前記練習項目生成ステップは、操作者の選択に基づいて1つまたは複数の前記練習項目を生成し、前記練習項目の配列順序を決定することを特徴とする請求項8に記載の指運動練習補助方法。
【請求項11】
前記練習目的は、リハビリ訓練または柔軟性評価であり、
前記指機能評価ステップでは、
前記練習目的がリハビリ訓練であった場合、前記運動パラメータデータベース内の被験者の過去の運動パラメータデータベースが比較に使用され、
前記練習目的が柔軟性評価であった場合、前記運動パラメータデータベースの標準的な運動パラメータデータベースが比較に使用されることを特徴とする請求項8に記載の指運動練習補助方法。
【請求項12】
前記練習項目は、片手運動と両手運動のうちの少なくとも1つを含み、
前記片手運動は、一本指運動と複数指運動のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項8に記載の指運動練習補助方法。
【請求項13】
前記提示指令は、片手順序提示、片手ランダム提示、片手番号提示、両手同期順序提示、両手順序提示、両手同期ランダム提示、両手完全ランダム提示、両手同番号提示、両手異番号提示、および説明性の提示のうちの少なくも1つを含むことを特徴とする請求項12に記載の指運動練習補助方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指運動練習補助装置および指運動練習補助方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの病気や外傷の後遺症は、患者の手足の麻痺を引き起こす可能性がある。病気のリハビリテーションを検討する際には、患者の指運動機能を評価することが求められている。一方、一部の疾患には、知的障害および/または精神的行動障害も伴っている。したがって、患者の指運動機能を評価する際には、指示に対する患者の反応も考慮する必要がある。
【0003】
そのため、人間の指の動きを測定・分析することで、人の認知機能や運動機能を簡単に評価できるシステムが開発されている。例えば、特許文献1は、人の認知機能および運動機能を維持または改善するための適切な運動メニューを生成および提示するための技術を開示し、それにより、人の運動を支援する。この技術では、被験者の指にセンサーを装着している場合、人に指をタップする動作をさせるか、タッチパッド端末を使用して人の指動作を測定および評価する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】日本特許出願公開:JP2017-217244
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、被験者の親指が怪我をしたり、失われたりすると、指の動きが困難になり、指同士のつながりが不十分になってしまう。一方、高齢の被験者については、タッチパッド端末の使い方に慣れていないため、スムーズにデータを収集することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題に鑑み、本発明は、指運動練習において被験者を補助するために使用される指運動練習補助装置に関する。本発明の指運動練習補助装置は、練習目的を含む操作者の入力情報を外部から受信する操作入力受信部と、指の運動練習を実行するための提示指令を被験者に示す提示部と、前記提示指令に従って実行された被験者の指運動の指運動データを取得するために使用される指運動捕捉部と、練習項目生成部と運動パラメータ計算部と指機能評価部とを有するデータ処理部、およびストレージを含む指運動解析部と、を備え、前記練習項目生成部は、前記入力情報に基づいて、1つ以上の練習項目を生成し、前記練習項目の配列順序を決定し、各前記練習項目には1つ以上の前記提示指令が含まれ、前記運動パラメータ計算部は、前記指運動データに基づいて、前記練習項目生成部によって生成された各前記練習項目に関して、指の動きを特徴付ける運動パラメータを計算し、前記指機能評価部は、前記入力情報に応じて、前記運動パラメータを前記ストレージに格納されている運動パラメータデータベースと比較し、比較結果を出力する。
【0007】
本態様によれば、被験者に大きな負担をかけない指運動練習補助装置を提供することが可能となる。
【0008】
前記指運動練習補助装置は、以下のように構成されてもよい。すなわち、前記練習目的は、リハビリ訓練または柔軟性評価であり、前記練習目的がリハビリ訓練であった場合、前記指機能評価部は、前記運動パラメータデータベース内の被験者の過去の運動パラメータデータベースを使用して比較を実行し、前記練習目的が柔軟性評価であった場合、前記指機能評価部は、前記運動パラメータデータベース内の標準的な運動パラメータデータベースを使用して比較を実行する。
【0009】
本態様によれば、異なる練習目的に応じて異なる練習項目を提供し、データを目的に絞って処理することが可能となり、その結果、操作者の実際のニーズに対して、より正確に対応し、被験者の指運動機能を評価することができる。
【0010】
前記指運動練習補助装置は、以下のように構成されてもよい。すなわち、前記練習項目は、片手運動と両手運動のうちの少なくとも1つを含み、片手運動は、一本指運動と複数指運動のうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
本態様によれば、単一指と複数指の間のリンクを含む練習項目を提供することが可能となり、それにより、被験者の指運動機能をより包括的に評価することができる。
【0012】
前記指運動練習補助装置は、以下のように構成されてもよい。すなわち、前記提示指令は、片手順序提示、片手ランダム提示、片手番号提示、両手同期順序提示、両手順序提示、両手同期ランダム提示、両手完全ランダム提示、両手同番号提示、両手異番号提示、および説明性の提示のうちの少なくも1つを含む。
【0013】
本態様によれば、片手、両手、一本の指、および複数の指を含む様々な提示指令を提供することが可能である。したがって、被験者の指運動機能を複数の方向でより包括的な方式で評価することが可能となる。
【0014】
前記指運動練習補助装置は、以下のように構成されてもよい。すなわち、前記入力情報には、被験者の情報が含まれ、前記被験者の情報には、被験者の病名、年齢、性別の少なくとも1つが含まれている。
【0015】
本態様によれば、各被験者に適した練習項目を用意し、最適な評価基準を採用して様々な状況で被験者の評価を行うことが可能であり、被験者の指運動機能をより正確に評価することができる。
【0016】
さらに、データ処理部は、被験者の指運動データを補正する指補正部を含み、一方、運動パラメータ計算部は、補正された指運動データに基づいて運動パラメータを計算する。
【0017】
このようにして、各被験者の指の長さの違いによって引き起これるデータの偏差を解消することができる。したがって、被験者の指運動機能をより正確に評価することが可能となる。
【0018】
前記指運動練習補助装置は、以下のように構成されてもよい。すなわち、前記入力情報には、練習項目生成モードが含まれ、前記練習項目生成モードが自動生成であった場合、前記練習項目生成部は、1つまたは複数の前記練習項目を自動的に生成し、前記練習項目の配列順序を決定し、前記練習項目生成モードが手動生成であった場合、前記練習項目生成部は、操作者の選択に基づいて1つまたは複数の前記練習項目を生成し、前記練習項目の配列順序を決定する。
【0019】
本態様によれば、操作者の必要に応じて練習項目生成モードを柔軟に変更することも可能であり、それにより、格納された練習項目が操作者の期待を満たせずに指の運動が不可能となる事態を回避することができる。
【0020】
また、本発明は、指運動練習において被験者を補助するために使用される指運動練習補助方法に関する。指運動練習補助方法は、練習目的を含む入力情報を受信する入力情報受信ステップと、前記入力情報に基づいて、1つまたは複数の練習項目を生成し、前記練習項目の配列順序を決定する練習項目生成ステップと、を含み、各前記練習項目は、被験者が指運動を実行するための1つまたは複数の提示指令を含み、さらに、前記練習項目生成ステップで生成された前記練習項目および配列順序に基づいて、被験者に前記提示指令を示し、この提示指令に従って指運動を行った被験者の指運動データを取得する練習実行ステップと、前記指運動データに基づいて、前記練習項目生成ステップで生成された各前記練習項目に関して、指の動きを特徴付ける運動パラメータを計算する運動パラメータ計算ステップと、前記入力情報に基づいて、前記運動パラメータを運動パラメータデータベースと比較し、比較結果を出力する指機能評価ステップと、を含む。
【0021】
本態様によれば、被験者に大きな負担をかけない指運動練習補助方法を提供することが可能となる。
【0022】
前記指運動練習補助方法は、以下のように構成されてもよい。すなわち、前記練習目的は、リハビリ訓練または柔軟性評価であり、前記指機能評価ステップでは、前記練習目的がリハビリ訓練であった場合、前記運動パラメータデータベース内の被験者の過去の運動パラメータデータベースが比較に使用され、前記練習目的が柔軟性評価であった場合、前記運動パラメータデータベースの標準的な運動パラメータデータベースが比較に使用される。
【0023】
本態様によれば、異なる練習目的に応じて異なる練習項目を提供し、ターゲットを絞った方法でデータ処理を実行することが可能である。したがって、操作者の実際のニーズに対してより正確に対応することが可能となり、被験者の指運動機能を適切に評価することができる。
【0024】
前記指運動練習補助方法は、以下のように構成されてもよい。すなわち、前記練習項目は、片手運動と両手運動のうちの少なくとも1つを含み、前記片手運動は、一本指運動と複数指運動のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
本態様によれば、単一の指と複数の指の間のリンクを含む練習項目を提供することが可能であり、それにより、被験者の運動機能をより包括的に評価することが可能となる。
【0026】
前記指運動練習補助方法は、以下のように構成されてもよい。すなわち、前記提示指令は、片手順序提示、片手ランダム提示、片手番号提示、両手同期順序提示、両手順序提示、両手同期ランダム提示、両手完全ランダム提示、両手同番号提示、両手異番号提示、および説明性の提示のうちの少なくも1つを含む。
【0027】
本態様によれば、片手、両手、単一指、および複数指を含む様々な提示指令を提供することができるので、被験者の指運動機能を複数方向およびより包括的な方法で評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第1実施形態を示す全体構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る指運動練習補助方法を示す処理フローチャートである。
【
図6】「リハビリ訓練」に対応する時系列変化グラフである。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る指運動練習補助方法を示す処理フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1実施形態)
以下では、
図1~7を参照しながら、本発明の第1実施形態を説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の指運動練習補助装置10には、以下のものが含まれる。つまり、被験者の指運動データを取得するために使用される指運動捕捉部110、指運動解析部120、外部から操作者の入力情報を受信する操作入力受信部130、および提示部140である。
【0031】
操作入力受信部130は、キーボード、マウス、タッチスクリーンなどによって構成されている。提示部140は、被験者に提示された指運動の実行を促すように使用され、視覚的な提示、音声的な提示、アニメーション的な提示、および波形的な提示を採用することができる。指運動捕捉部110は、上記の提示指令に基づいて実行された被験者の指運動のデータを捕捉する。
【0032】
この実施形態では、練習目的は、上記の入力情報とみなされ、このような練習目的は、例えば、リハビリ訓練または柔軟性評価である。操作者が選択した練習目的に応じて、その後に生成される練習項目、提示指令、および指機能評価部1223によって実行される評価方法も異なる場合がある。
【0033】
指運動捕捉部110は、被験者の指に取り付けられた磁気センサーなどの装置を用いて、被験者の指の開状態または閉状態(例えば、
図3)を認識することができるが、本発明は、これに限定されるべきではない。実際、カメラと画像分析モジュールを含むデバイスを使用して、画像分析技術を使用して被験者の指動きを捉えることも可能である。ここで、被験者とは、指運動練習補助装置10の試験対象物を指し、操作者であっても、操作者とは別の人であってもよい。
【0034】
指運動解析部120は、制御部1210、データ処理部1220、信号制御部1230、出力部1240、およびストレージ1250を含む。
【0035】
データ処理部1220は、練習項目生成部1221、運動パラメータ計算部1222、および指機能評価部1223を含む。制御部1210は、CPU、ROM、RAMなどで構成され、信号制御部1230を介して各信号を送信および制御する。
【0036】
制御部1210は、操作入力受信部130から入力情報を受信し、この情報を練習項目生成部1221に送信する。練習項目生成部1221は、入力情報に基づいて1つまたは複数の練習項目を生成し、練習項目の配列順序を決定する。配列順序は、ストレージ1250に格納される。ここで、各練習項目は、1つまたは複数の提示指令を含み、このような提示指令は、被験者に指運動の実行を促すために使用される。次に、提示指令は、提示部140によって被験者に示される。
【0037】
本実施形態では、単一指と複数指の間のリンクを含む練習項目を提供する。各練習項目には、次のケース1~ケース4の少なくとも1つが含まれている。
【0038】
ケース1:指能力の簡単な評価。
【0039】
ケース2:指をすばやく開閉することが求められ、つまり、指定された指は、開閉動作(
図3)をなるべく速く繰り返す必要がある。指定された指は、1本の指または複数の指であり、開閉動作は、片手、両手同時、または両手交互で行うことができる。
【0040】
ケース3:指示に従って指の開閉動作を行うことが求められる。すなわち、提示部140により、指の開閉動作を行う順序が被験者に示され、被験者は、指定された指をN秒間にわたり開いてから指を閉じ、続いて次の指を開けるように促される。(Nは実際のニーズに応じて設定可能であり、被験者は時間を感じることができ、また、タイマーを使用して音声を報知することも可能である)。ここで、提示モードは、各指の画像と名前(
図4の左列)、または各指の番号(
図4の右列)を使うことも可能である。
【0041】
ケース1の提示指令は、例えば、左手の人差し指、右手の小指などの片手ランダム提示である。
【0042】
ケース2の提示指令は、例えば、片手ランダム提示または両手同期ランダム提示である。例えば、左手の人差し指は10秒間すばやく開閉し、2本の親指は5秒間すばやく開閉する。
【0043】
ケース3の提示指令は、次のa~gの少なくとも1つを含んでもよい。
【0044】
a. 片手順序提示。つまり、左から右または右から左への順序提示が実行される。ここで、片手だけが開閉動作に指定され、例えば、小指、薬指、...親指である。
【0045】
b. 両手同期順序提示。つまり、順序提示は左から右または右から左に実行される。ここで、両手を同期して動かす必要があり、例えば、小指、薬指、...親指などである。
【0046】
c. 両手順序提示。つまり、両手で、左から右、右から左の順に提示が実行される。例えば:左小指、左薬指、...右小指である。
【0047】
d. 片手ランダム提示。つまり、1本または複数の指がランダムに提示され、片方の手だけが運動用に指定される。例えば:人差し指、親指、小指、...である。
【0048】
e. 両手同期ランダム提示。つまり、1本または複数の指がランダムに提示され、両手を同期して動かす必要がある。例えば:薬指、人差し指、親指、...である。
【0049】
f. 両手完全ランダム提示。つまり、10本の指の中から1本または複数の指がランダムに提示され、指定された指だけを開いてから、次に指定される指を開閉する必要がある。例えば:左中指と右小指、右中指、人差し指、薬指、...である。
【0050】
g. 説明性の提示のみ。例えば:「左から右の順序で右の人差し指まで左の薬指から指を開く」という提示。
【0051】
ケース4:指示下の複雑な運動が実行される。すなわち、提示部140により、被験者は複雑な動作をするように促され、被験者は提示に従って動作を実行することができる。
【0052】
ケース4の提示指令は、次のh~jの少なくとも1つを含んでもよい。
【0053】
h. 片手番号提示。つまり、5以内の任意の番号が提示され、片手で対応する番号を提示する。
【0054】
i. 両手同番号提示。つまり、5以内の任意の番号が提示され、両手で同時に対応する番号を提示する。
【0055】
j. 両手異番号提示。つまり、異なる手に対して異なる番号を提示し、両方の手で同時に対応する異なる番号を提示する。
【0056】
以上から分かるように、上記の練習項目は、片手運動と両手運動の少なくとも1つを含み、片手運動は、一本指運動と複数指運動の少なくとも1つを含む。
【0057】
また、上記のケース1~ケース4の練習項目および、それに対応する提示指令は、例示的な説明に過ぎない。もちろん、必要に応じて他の練習項目および提示指令を定義することも可能である。
【0058】
制御部1210は、ストレージ1250から、練習項目生成部1221によって生成された練習項目とその配列順序、および提示指令を取得するとともに、提示部140に対して、配列順序に基づく対応の提示指令を被験者に示すように提示させる。その後、被験者は、提示指令に基づいて、対応する指の動きを行う。その結果、制御部1210は、指運動捕捉部110から被験者の指運動データを取得し、そのデータをストレージ1250に格納する。
【0059】
運動パラメータ計算部1222は、練習項目生成部1221によって生成された各練習項目を考慮して、ストレージ1250に格納された指運動データに基づいて、指の動きを特徴付ける運動パラメータを計算する。
【0060】
本実施形態では、それぞれの練習項目の運動パラメータは、例えば、以下の通りである。
【0061】
ケース1の項目の場合、運動パラメータは次のようになる。つまり、提示の終了から指運動の開始までの反応時間、指運動の開始から練習項目の完了までの実行時間、各指が開く最大幅、各指が開く最大速度、完了率などである。
【0062】
ケース2の項目の場合、運動パラメータは次のようになる。指定された時間内に行われる指開閉の回数、各指を開ける時間の間隔、指開け時の指の最大高さ、平均高さ、それぞれの指開けの平均高さ、標準偏差、総移動距離、静的状態の最大値に対する比率、指開けの最大速度、最大加速度、指を開けるたびの最大速度/加速度の平均値、標準偏差値、各指閉じ時の最大速度/加速度の評価値、および変動係数などである。複数の指を動かすと、運動パラメータには、各指が最高点に達したときの偏差時間と位相差なども含まれる。
【0063】
ケース3とケース4の場合、運動パラメータは次のようになる。つまり、提示の終了から指運動の開始までの反応時間、指運動の開始から練習項目の完了までの実行時間、各指開けの最大幅、最高速度、指運動の正確さ、指を切り替えるための時間間隔(提示指令が単一の動きを指している場合)である。提示指令が複数の運動を指している場合、運動パラメータは、指定された時間内の指の開閉運動の回数、各指開けの時間間隔、指開けの最大指高さ、それぞれの高さの平均値、標準偏差値などである。ここで、運動パラメータは、さらに、次のようになり、つまり、総移動距離、静止状態の最高値に対する比率、指を開けるときの最大速度、最大加速度、各指を開けるときの最大速度/加速度の平均値、標準偏差値、指を閉じるときの最高速度/加速度の評価値、標準偏差値、変動係数などである。複数の指を動かすと、運動パラメータには、各指が最高点に達したときの偏差時間と位相差なども含まれる。
【0064】
ストレージ1250は、様々なデータを含む運動パラメータデータベースを事前に格納している。指機能評価部1223は、運動パラメータ計算部1222によって計算された上記の運動パラメータを、ストレージ1250に格納された運動パラメータデータベースと比較し、出力部1240を介して比較結果を出力する。
【0065】
指機能評価部1223は、入力情報(この実施形態において練習目的)に基づいて、異なる比較を実行する。
【0066】
例えば、外傷により指のリハビリ訓練が必要な状況については、「リハビリ訓練」と呼ばれる練習目的を入力情報として入力し、指機能評価部1223は、運動パラメータデータベースにある被験者の過去の運動パラメータデータベースを使用して比較を行う。これにより、被験者の指リハビリの進捗状況を知ることが可能となる。
【0067】
被験者の指の柔軟性を簡単に評価したい場合は、「柔軟性評価」と呼ばれる練習目的を入力情報として入力する。指機能評価部1223は、運動パラメータデータベース内の標準的な動作パラメータデータベースを使用して比較を実行する。標準的な運動パラメータデータベースは、例えば、健康な人の指の運動パラメータを含み得る。
【0068】
上記の比較を行った後、制御部1210は、表示のために出力部1240を介して比較結果をディスプレイ(図示せず)に出力する。なお、本発明はこのように限定されるべきではない。例えば、比較結果は、提示部140に直接表示することも可能である。
【0069】
図には示されていないが、本実施形態の指運動練習補助装置10は、被験者の指運動データを補正する指補正部をさらに含む。これは、人それぞれの指の長さが人によって異なるため、指の長さデータを調整することで、異なる被験者の指の運動データを比較することによって生じる、被験者の指の長さの違いによるデータのずれをなくすことができるからである。したがって、被験者の指の運動機能をより正確に評価することが可能となる。特定の補正方法は、例えば、
図3に示される方法で実行されてもよい。その結果、各指が開かれ(例えば、人差し指が開かれ)、そして被験者の実際の指の長さおよび他の計算データを取得することができる。一方、被験者の手を自由に制御できない場合は、他の人の助けを借りて実際の人差し指の長さを取得することが可能である。事実上、提示部140によって、(指データの補正を実行するための)提示指令が被験者に示されることになる。
【0070】
上記の補正を行った後、運動パラメータ計算部1222は、補正された指の運動データに基づいて運動パラメータを計算する。
【0071】
図2は、本発明による指運動練習補助方法を示す処理フローチャートである。
【0072】
まず、ステップS1(指補正ステップ)において、提示部140は、指運動データの補正を実行するように被験者に促す。
【0073】
次に、ステップS2(入力情報受信ステップ)において、操作者は、練習目的を入力情報として操作入力受信部130に入力する。これは、リハビリ訓練または柔軟性評価であり得る。
【0074】
練習目的を選択した後、ステップS3(練習項目生成ステップ)に進み、1つまたは複数の練習項目を生成し、これらの練習項目の配列順序は、操作者が選択した練習目的に基づいて決定される。各練習項目には、指の運動練習を実行するように被験者に促すための1つ以上の提示指令が含まれている。次に、練習項目および提示指令は、ストレージ1250に格納される。
【0075】
次に、ステップS4(練習実行ステップ)において、ステップS3で生成された練習項目の配列順序に基づいて、被験者は、対応する練習項目に関する提示指令を受け、この提示指令に従って指の動きを実行する被験者の指運動データを取得する。これによって、指の運動練習を実行することができる。
【0076】
得られた指運動データに基づいて、ステップS5(運動パラメータ計算ステップ)において、生成された練習項目ごとに、指運動を特徴付ける運動パラメータを計算し、このパラメータをストレージ1250に格納する。
【0077】
続いて、プロセスはステップS6に進み、S3で生成されたすべての練習項目が完了したかどうかを判明する。そうでない場合、プロセスはステップS4に戻り、すべての練習項目が完了するまで次の練習項目を続行する。次に、プロセスはステップS7に進む。
【0078】
ステップS7(指機能評価ステップ)において、上記の運動パラメータは、ストレージ1250から取得され、取得された運動パラメータは、ステップS2における異なる練習目的に基づいて、ストレージに格納された運動パラメータのデータベースと比較される。
【0079】
前述のように、「リハビリ訓練」と呼ばれる目的については、例えば、現在のデータをストレージ1250に格納された以前のデータと比較し、
図5に示す評価チャートを描く。あるいは、ストレージ1250から、運動パラメータデータベース内の被験者の過去の運動パラメータデータべースを読み取り、それぞれの運動パラメータを
図6に示す時系列変化図に描画し、さまざまな運動パラメータの改善度に応じて、包括的な改善スコアを比較結果として提供する。続いて、出力部1240を介して比較結果を出力することにより、被験者の指のリハビリテーションの進捗状況を把握する。
【0080】
「柔軟性評価」と呼ばれる練習目的については、運動パラメータデータベースの標準的な運動パラメータデータベースを使用して比較を行い、被験者の運動パラメータと健常者のデータとの偏差を計算し、包括的な情報を提供する。そして、比較結果として評価スコアを提供し、出力部1240を介して比較結果を操作者に出力する。
【0081】
上記の指運動練習補助方法では、最初に指補正ステップを実行するが、特定位置での制限を設定せず運動パラメータ計算ステップの前に指補正を実施することとしていれば、本発明はこれに限定されるべきではない。これにより、運動パラメータ計算ステップにおいて補正された指の運動データに基づいて、運動パラメータを計算することが可能となる。
【0082】
また、上記の練習項目の実行順序は、決まった順序に限らず、判断・選択のステップも含まれ得る。例えば、被験者の指が重傷を負っている場合、運動を行うには、ケース1の項目を選択する。計算された運動パラメータが事前に設定された制限値よりも小さい場合、上記の選択が後続のテストに適していないものと判断される。このとき、出力部1240を使用して、操作者に通知(情報を示す)を出力すると同時に、フロー手順を直接終了する。この通知は、ディスプレイ(図示せず)に表示してもよいし、提示部140に直接表示してもよい。
【0083】
上記の説明は、練習目的として「リハビリ訓練」および「柔軟性評価」を列挙しているが、本発明はそのように限定されるべきではない。実際、他の練習目的を考慮して指の運動を行うことも可能である。
【0084】
(実施例)
以下の説明は、本発明の実施形態における練習項目の構成およびそれらの提示指令を列挙する。
【0085】
(実施例1)
例えば、指運動練習補助装置10を初めて使用する被験者の指柔軟性を評価したい場合は、練習目的として「最初の柔軟性の評価」を入力する。練習項目生成部1221は、例えば、難易度に応じて配列された次の練習項目を生成する:片手、両手同時、両手交互(またはランダム):ケース1→ケース2(片手)→ケース3のa→ケース3のb→ケース3のc→ケース2(両手同時)→ケース3のd→ケース3のe→ケース2(両手交互)→ケース3のf→ケース3のg→ケース4のh→ケース4のi→ケース4のj。
【0086】
(実施例2)
骨折により負傷した指のリハビリ訓練を実施したい場合は、指の回復能力の基礎評価を行う。リハビリ後に関連指標が一定値に達すると、負傷した指にケース2の開閉動作をすばやくさせ、各動作パラメータの改善効果図を出力する。
【0087】
(実施例3)
被験者の左右の脳の相互作用が認知症の影響を受けている場合は、ケース1を用いて、実行時間や完了率などに応じて、理解力や指制御能力の基礎評価を行う。関連指数が一定の値に達した後、次の順序で後続の練習項目を実行する:ケース2(両手同時)→ケース3のa~e→ケース2(両手交互)→ケース3のf~g。
【0088】
(実施例4)
健康な高齢者が認知症を予防するために指のトレーニングをしたい場合、被験者の興味を維持するために、次の難しい項目を実行することができる:ケース2(両手同時)、ケース3のcとe、ケース2(両手交互)、ケース3のf~g、ケース4のh~j。
【0089】
上記の実施形態のそれぞれにおいて、実施された練習項目および練習結果をストレージ1250に記憶する。次に指練習を実行するとき、最初からまたは最後に記憶した位置から開始することができる。また、病気やけがなどで後続の練習項目を継続できない場合は、完了した項目のデータ処理を行うこともできる。
【0090】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を以下に説明する。第2実施形態による指運動練習補助装置10の全体構成は、第1実施形態と基本的に同じであり、以下の説明では、主にその違いに焦点を当てる。
【0091】
第1実施形態では、操作者が操作入力受信部130に入力した入力情報を練習目的として使用する。さまざまな練習目的に応じて、さまざまな練習項目とさまざまな提示指令を生成し、さまざまなデータ処理を実行することができる。この実施形態では、入力情報は、被験者の情報であり得るが、被験者の情報は、例えば、被験者の名前、ID、性別、年齢、身長、および体重のうちの少なくとも1つを含み得る。病気の人や回復した人に指の運動練習を行う必要があるとき、被験者の情報には病名も含まれ得る。
【0092】
被験者の情報を入力する行動は、「ログインアクション」とみなすことができる。本実施形態によれば、練習の内容(練習項目および提示指令を含む)を具体的に作成し、これらをストレージ1250に格納する。
【0093】
もちろん、入力情報には、練習目的と被験者情報の両方を含めることも可能である。
【0094】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を以下に説明する。第3実施形態による指運動練習補助装置10の全体構成は、第1実施形態とほぼ同じであり、以下の説明では、主にその違いに焦点を当てる。
【0095】
第1実施形態では、操作者が操作入力受信部130に入力する入力情報は、練習目的であり、第2実施形態では、操作者が操作入力受信部130に入力する入力情報は、被験者の情報である。本実施形態では、入力情報は練習項目の生成モードである。
【0096】
練習項目生成モードには、「自動生成」と「手動生成」がある。操作者が練習項目の生成モードとして「自動生成」を選択した場合、指運動練習補助装置10の練習項目生成部1221は、1つまたは複数の練習項目を自動的に生成し、練習項目の配列順序も決定する。操作者が練習項目生成モードとして「手動生成」を選択した場合、練習項目生成部1221は、1つまたは複数の練習項目を生成し、操作入力受信部130に対する操作者のさらなる選択に基づいて、練習項目の配列順序を決定する。その結果、保存されている練習項目が操作者の期待に沿わず、指の動きが不可能になるという事態を回避することができる。
【0097】
もちろん、入力情報には、練習目的、被験者の情報、および練習項目生成モードのいずれか1つ以上を含めることもできる。
【0098】
次に、本実施形態による指運動練習補助方法の処理フローチャートについて、例示的に示す
図7を参照しながら説明をする。
【0099】
まず、入力情報受信ステップを実行する。ステップS101において、被験者情報が登録され、ステップS103において、練習目的が選択され、ステップS104において、練習項目生成モードが選択される。ここで、上記と同じ指補正ステップを、入力情報受信ステップ間、または入力情報受信ステップの前後に設定することができる。指補正ステップS102において、提示部140は、指運動データ補正を実行するように被験者に促す。
【0100】
ステップS104で自動生成が選択されると、プロセスはステップS105に進み、指運動練習補助装置10の練習項目生成部1221は、1つまたは複数の練習項目を自動的に生成し、練習項目の配列順序を決定する。このような決定は、操作者が入力する練習目的、被験者の年齢、性別、病名等に基づいて行われる。例えば、健康な人の指の器用さを評価する際、指の動きは、被験者のさまざまな年齢に応じてさまざまなポイントから開始される。例えば、60歳未満の人はケース4から開始され、60~70歳の人はケース3のdから開始され、70~80歳の人はケース3のcから開始され、80歳以上の人はケース3のaから指の運動が開始される。
【0101】
ステップS104で手動生成が選択されると、プロセスはステップS106に進み、練習項目生成部1221は、操作入力受信部130での操作者の選択に基づいて、1つまたは複数の練習項目を生成し、これらの練習項目の配列順序を決定する。
【0102】
次に、第1実施形態と同様に、ステップS105またはS106で生成された練習項目の配列順序に基づいて、練習実行ステップS107において、対応する練習項目の提示指令が被験者へ出され、提示部の指示に従って実行された被験者の指運動のデータを取得する。これにより、指の運動練習を実行することができる。
【0103】
得られた指運動データに基づき、ステップS108(運動パラメータ計算ステップ)において、生成された各練習項目に関し、指の運動を特徴付ける運動パラメータが計算され、ストレージ1250に記憶される。
【0104】
続いて、プロセスはステップS109に進み、ステップS105またはS106で生成されたすべての練習項目が完了したかどうかを判別する。そうでない場合、プロセスはステップS107に戻り、すべての練習項目が完了するまで次の練習項目を続行する。次に、プロセスはステップS110に進む。
【0105】
ステップS110(指機能評価ステップ)において、上記運動パラメータがストレージ1250から取得され、ステップS101で登録された被験者の情報およびステップS103で選択された練習目的に基づいて、得られた運動パラメータがそれぞれ、ストレージ1250に格納された運動パラメータデータベースと比較される。
【0106】
例えば、入力した被験者情報のIDが「AA」、年齢が65歳、性別が「男性」、病名が「アルツハイマー病」であった場合、「リハビリ訓練」と呼ばれる練習目的に関し、取得した被験者の運動パラメータを、最後に取得したIDが「AA」であった被験者の運動パラメータ(ストレージ1250に格納)と比較し、
図5のような評価チャートを作成して提示部140に出力する。一方、「柔軟性評価」と呼ばれる練習目的に関し、得られた被験者の運動パラメータを健常者(60~70歳、性別「男性」)の運動パラメータベース(ストレージ1250に格納)と比較する。後に、被験者の様々な運動パラメータと健常者データとの間の偏差値を計算し、比較結果として包括的な評価スコアを提供し、それを提示部140に出力する。
【0107】
別の例では、被験者の入力情報のIDが「BB」、年齢が23歳、性別が「女性」、病名が「人差し指骨折」の場合、「リハビリ訓練」を練習目的として扱うことができ、得られた被験者の運動パラメータを、IDが「BB」(ストレージ1250に格納されている)である被験者の以前の運動パラメータと比較し、
図6に示すような時系列変化図を描き、ディスプレイ(図示せず)に出力する。「柔軟性評価」と呼ばれる練習目的については、得られた被験者の運動パラメータを、20~30歳で性別が「女性」の健康な人の運動パラメータデータベース(ストレージ1250に格納)と比較する。その後、個別の運動パラメータと健康な人のデータとの間の偏差値を計算し、比較結果として包括的な評価スコアを提供し、それをディスプレイ(図示せず)に出力する。
【0108】
さらに、第1実施形態に記載されているように、「指補正ステップ」はステップS102の位置に配置されているが、本発明はそのように限定されるべきではない。運動パラメータ計算ステップの前に指補正ステップを実行する限り、補正された指運動データに基づいて、運動パラメータ計算ステップで運動パラメータを計算することが可能である。
【0109】
本発明の実施形態および実施例は、以上のように説明されてきたが、これらの実施形態および実施例は、単に例示的なものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。これらの実施形態は、他の様々な形態で実施することもでき、様々な省略、置換、変更、および組み合わせを、本発明の要旨から逸脱しない範囲内で行うことが可能である。本発明の実施形態およびその変形例は、本発明の範囲および思想に含まれ、以下に添付される特許請求の範囲、およびそれらの同等の範囲にも網羅されている。