(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156300
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】眼鏡レンズ設計、眼鏡レンズキット及び眼鏡レンズを製造する方法
(51)【国際特許分類】
G02C 7/06 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
G02C7/06
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023116592
(22)【出願日】2023-07-18
(62)【分割の表示】P 2023532219の分割
【原出願日】2021-11-26
(31)【優先権主張番号】20211634.9
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
(71)【出願人】
【識別番号】507062222
【氏名又は名称】カール ツァイス ヴィジョン インターナショナル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ブラウンガー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】リーディング作業に特に適し、好ましくは各眼鏡レンズの装用者に高い快適性も提供する、眼鏡レンズキット及び眼鏡レンズ設計を提供する。
【解決手段】眼鏡レンズ12が装用時位置に従って配置されるとき、中心窩上に結像を提供する焦点屈折力を有する第1のゾーン14であって、所与の高さ(d
v)及び所与の幅(d
h)を有する第1のゾーン14と、第1のゾーン14を少なくとも部分的に囲む少なくとも1つの第2のゾーン15であって、(i)眼鏡レンズ設計に従って製造された眼鏡レンズ12が装用時位置に従って配置されるとき、近視デフォーカスをもたらす焦点屈折力を提供する集束構造体、又は(ii)少なくとも1つの第2のゾーン15を通る光を拡散させる散乱中心16等の拡散構造体の少なくとも1つを含む、少なくとも1つの第2のゾーン15とを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して配置される眼鏡レンズ(2、12、22
、32、42、52)の眼鏡レンズ設計と、前記装用者の眼に対する前記眼鏡レンズ設計
の前記装用時位置及び所定の物体距離モデルを含む指示とを含む眼鏡レンズキットであっ
て、前記眼鏡レンズ設計は、
- 前記眼鏡レンズ設計に従って製造された眼鏡レンズ(2、12、22、32、42
、52)が前記装用時位置に従って配置されるとき、中心窩上に結像を提供する焦点屈折
力を有する第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)と、
- 前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)を少なくとも部分的に囲
む少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、
45b、55a、55b)であって、(i)前記眼鏡レンズ設計に従って製造された眼鏡
レンズ(2、12、22、32、42、52)が前記装用時位置に従って配置されるとき
、近視デフォーカスをもたらす焦点屈折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(
ii)前記少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、
45a、45b、55a、55b)を通る光を拡散させる拡散構造体(6、16、36、
56)の少なくとも1つを含む、少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、2
5、35a、35b、45a、45b、55a、55b)と
を含む、眼鏡レンズキットにおいて、前記第1のゾーン(54)は、リーディング時、前
記装用者の収束視線を辿るように湾曲されることを特徴とする眼鏡レンズキット。
【請求項2】
所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して配置される眼鏡レンズ(2、12、22
、32、42、52)の眼鏡レンズ設計と、前記装用者の眼に対する前記眼鏡レンズ設計
の前記装用時位置及び所定の物体距離モデルを含む指示とを含む眼鏡レンズキットであっ
て、前記眼鏡レンズ設計は、
- 第1の焦点屈折力を有する第1のクリアゾーン(4、14、24、34、44、5
4)と、
- 前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)を少なくとも部分的に囲
む少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、
45b、55a、55b)であって、(i)前記第1の焦点屈折力よりも大きい第2の焦
点屈折力を有する焦点屈折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)前記少
なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45
b、55a、55b)を通る光を拡散させる拡散構造体(6、16、36、56)の少な
くとも1つを含む、少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、
35b、45a、45b、55a、55b)と
を含む、眼鏡レンズキットにおいて、前記第1のゾーン(54)は、リーディング時、前
記装用者の収束視線を辿るように湾曲されることを特徴とする眼鏡レンズキット。
【請求項3】
所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して配置される眼鏡レンズ(2、12、22
、32、42、52)の眼鏡レンズ設計と、前記装用者の眼に対する前記眼鏡レンズ設計
の前記装用時位置及び所定の物体距離モデルを含む指示とを含む眼鏡レンズキットであっ
て、前記眼鏡レンズ設計は、
- 第1の焦点屈折力を有する第1のクリアゾーン(4、14、24、34、44、5
4)であって、所与の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有する第1のクリアゾーン(
4、14、24、34、44、54)と、
- 前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)を少なくとも部分的に囲
む少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、
45b、55a、55b)であって、(i)前記第1の焦点屈折力よりも大きい第2の焦
点屈折力を有する焦点屈折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)前記少
なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45
b、55a、55b)を通る光を拡散させる拡散構造体(6、16、36、56)の少な
くとも1つを含む、少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、
35b、45a、45b、55a、55b)と
を含む、眼鏡レンズキットにおいて、前記第1のゾーン(54)は、リーディング時、前
記装用者の収束視線を辿るように湾曲され、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)
及び前記高さ(dv)は、以下の群:
d)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
e)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
f)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも5倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とする眼鏡レンズキット。
【請求項4】
所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して配置される眼鏡レンズ(2、12、22
、32、42、52)の眼鏡レンズ設計と、前記装用者の眼に対する前記眼鏡レンズ設計
の前記装用時位置及び所定の物体距離モデルを含む指示とを含む眼鏡レンズキットであっ
て、前記眼鏡レンズ設計は、
- 第1の焦点屈折力を有する第1のクリアゾーン(4、14、24、34、44、5
4)であって、所与の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有する第1のクリアゾーン(
4、14、24、34、44、54)と、
- 前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)を少なくとも部分的に囲
む少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、
45b、55a、55b)であって、(i)前記第1の焦点屈折力よりも大きい第2の焦
点屈折力を有する焦点屈折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)前記少
なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45
b、55a、55b)を通る光を拡散させる拡散構造体(6、16、36、56)の少な
くとも1つを含む、少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、
35b、45a、45b、55a、55b)と
を含む、眼鏡レンズキットにおいて、前記第1のゾーン(54)は、リーディング時、前
記装用者の収束視線を辿るように湾曲され、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)
及び前記高さ(dv)は、以下の群:
a)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
b)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
c)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
d)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とする眼鏡レンズキット。
【請求項5】
前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記高さは、前記眼鏡レン
ズ設計に従って製造された眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)が前記装用
時位置に従って配置されるとき、それが0.8~1.5度の垂直視角をカバーするような
ものであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼鏡レンズキット。
【請求項6】
前記第1のゾーン(4、34、44、54)の前記幅(dh)は、前記眼鏡レンズ設計
の幅に一致することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の眼鏡レンズキッ
ト。
【請求項7】
前記第1のゾーン(24)の幾何中心は、リーディング時、リーディングターゲットを
まっすぐ見ている間、前記眼鏡レンズ設計に進入する光線束の中心光線の進入点に対して
少なくとも垂直にオフセンターに配置され、及び前記眼鏡レンズ設計が、右眼又は左眼に
使用される眼鏡レンズのためのものである場合、こめかみの方にシフトされ、且つ前記眼
鏡レンズ設計が、それぞれの他方の眼に使用される眼鏡レンズのためのものである場合、
鼻の方にシフトされることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の眼鏡レン
ズキット。
【請求項8】
以下の種類のデータ:(i)請求項1~7のいずれか一項に記載の眼鏡レンズキットに
よる前記眼鏡レンズ設計の数値表現、及び(ii)請求項1~7のいずれか一項に記載の
眼鏡レンズキットに従って眼鏡レンズを生成するように1つ又は複数の製造機械を制御す
るためのコンピュータ可読命令を含むデータの少なくとも1つの種類を含むデータセット
。
【請求項9】
所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して配置される眼鏡レンズを設計するコンピ
ュータ実施方法であって、
- 眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)が前記装用時位置に従って配置
されるとき、中心窩上に結像を提供する焦点屈折力を有する前記眼鏡レンズ(2、12、
22、32、42、52)の数値表現を提供するステップと、
- 眼鏡レンズの前記数値表現において、(i)前記眼鏡レンズ(2、12、22、3
2、42、52)が前記装用時位置に従って配置されるとき、近視デフォーカスをもたら
す焦点屈折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)光を拡散させる拡散構
造体(6、16、36、56)の少なくとも1つを有するゾーン(5a、5b、15、2
5、35a、35b、45a、45b、55a、55b)を設計するステップであって、
前記ゾーンは、前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)が装用時位置に従
って配置されるとき、中心窩上に結像を提供する焦点屈折力を有する第1のゾーン(4、
14、24、34、44、54)を、それを少なくとも部分的に囲むことによって画定す
る第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、
55b)を形成するように設計される、ステップと
を含むコンピュータ実施方法において、前記第2のゾーン(55a、55b)は、前記少
なくとも部分的に囲む第2のゾーン(55a、55b)によって画定される前記第1のゾ
ーン(54)が、リーディング時、前記装用者の収束視線を辿るように湾曲されるように
設計されることを特徴とするコンピュータ実施方法。
【請求項10】
前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55
a、55b)は、前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(5a、5b、15、25、
35a、35b、45a、45b、55a、55b)によって画定される前記第1のゾー
ン(4、14、24、34、44、54)が、前記設計された眼鏡レンズ(2、12、2
2、32、42、52)が前記装用時位置に従って配置されるとき、0.8~1.5度の
垂直視角をカバーするような寸法を有するように設計されることを特徴とする、請求項9
に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項11】
前記第2のゾーン(55a、55b)は、前記第1のゾーン(4、34、44、54)
の幅(dh)が前記眼鏡レンズ設計の幅に一致するように設計されることを特徴とする、
請求項9又は10に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項12】
前記第2のゾーン(55a、55b)は、前記第1のゾーン(24)の幾何中心が、リ
ーディング時、リーディングターゲットをまっすぐ見ている間、前記眼鏡レンズに進入す
る光線束の中心光線の進入点に対して少なくとも垂直にオフセンターに配置され、及び前
記設計された眼鏡レンズが右眼又は左眼に使用される場合、こめかみの方にシフトされ、
且つ前記設計された眼鏡レンズがそれぞれの他方の眼に使用される場合、鼻の方にシフト
されるように設計されることを特徴とする、請求項9又は10に記載のコンピュータ実施
方法。
【請求項13】
所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して配置される眼鏡レンズを製造する方法で
あって、
- 眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)が装用時位置に従って配置され
るとき、中心窩上に結像を提供する焦点屈折力を有する前記眼鏡レンズ(2、12、22
、32、42、52)を提供するステップと、
- 前記眼鏡レンズのゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、4
5b、55a、55b)において、(i)前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42
、52)が前記装用時位置に従って配置されるとき、近視デフォーカスをもたらす焦点屈
折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)光を拡散させる拡散構造体(6
、16、36、56)の少なくとも1つを形成するステップであって、前記ゾーンは、前
記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)が装用時位置に従って配置されると
き、中心窩上に結像を提供する前記焦点屈折力を有する第1のゾーン(4、14、24、
34、44、54)を、それを少なくとも部分的に囲むことによって画定する第2のゾー
ン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)とし
て形成される、ステップと
を含む方法において、前記第2のゾーン(55a、55b)は、前記少なくとも部分的に
囲む第2のゾーン(55a、55b)によって画定される前記第1のゾーン(54)が、
リーディング時、前記装用者の収束視線を辿るように湾曲されるように形成されることを
特徴とする方法。
【請求項14】
前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55
a、55b)は、前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(5a、5b、15、25、
35a、35b、45a、45b、55a、55b)によって画定される前記第1のゾー
ン(4、14、24、34、44、54)が、前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、
42、52)が前記装用時位置に従って配置されるとき、0.8~1.5度の垂直視角を
カバーするような寸法を有するように形成されることを特徴とする、請求項13に記載の
方法。
【請求項15】
前記第2のゾーン(5a、5b、35a、35b、45a、45b、55a、55b)
は、前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(5a、5b、35a、35b、45a、
45b、55a、55b)によって画定される前記第1のゾーン(5、34、44、54
)が、前記眼鏡レンズ(2、32、42、52)の幅に一致する幅を有するように形成さ
れることを特徴とする、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記第2のゾーン(25)は、前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(25)によ
って画定される前記第1のゾーン(24)の幾何中心が、リーディング時、リーディング
ターゲットをまっすぐ見ている間、前記眼鏡レンズに進入する光線束の中心光線の進入点
に対して少なくとも垂直にオフセンターに配置され、及び前記眼鏡レンズが右眼又は左眼
に使用される場合、こめかみの方にシフトされ、且つ前記眼鏡レンズがそれぞれの他方の
眼に使用される場合、鼻の方にシフトされるように形成されることを特徴とする、請求項
13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の眼鏡レンズ設計であって、
- 単焦点屈折力を提供する第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)と、
- 前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)を少なくとも部分的に囲
む少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、
45b、55a、55b)であって、(i)前記第1のゾーンの前記焦点屈折力よりも大
きい焦点屈折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)前記少なくとも1つ
の第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、
55b)を通る光を拡散させる拡散構造体(6、16、36、56)の少なくとも1つを
含む、少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45
a、45b、55a、55b)と
を含む眼鏡レンズ設計において、
- 前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)は、鼻セグメント(4a
、14a、24a、34a、44a、54a)、こめかみセグメント(4b、14b、2
4b、34b、44b、54b)及び前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a
、44a、54a)と前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b
、54b)との間に配置された中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c
、54c)を含み、前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a
)及び前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)の少
なくとも1つは、前記中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54c
)に対して下方にシフトされることを特徴とする眼鏡レンズ設計。
【請求項18】
眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の眼鏡レンズ設計であって、
- 単焦点屈折力を提供する第1のクリアゾーン(4、14、24、34、44、54
)であって、所与の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有する第1のクリアゾーン(4
、14、24、34、44、54)と、
- 前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)を少なくとも部分的に囲
む少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、
45b、55a、55b)であって、(i)前記第1のゾーンの前記焦点屈折力よりも大
きい焦点屈折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)前記少なくとも1つ
の第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、
55b)を通る光を拡散させる拡散構造体(6、16、36、56)の少なくとも1つを
含む、少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45
a、45b、55a、55b)と
を含む眼鏡レンズ設計において、
- 前記第1のクリアゾーン(4、14、24、34、44、54)は、鼻セグメント
(4a、14a、24a、34a、44a、54a)、こめかみセグメント(4b、14
b、24b、34b、44b、54b)及び前記鼻セグメント(4a、14a、24a、
34a、44a、54a)と前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、
44b、54b)との間に配置された中央セグメント(4c、14c、24c、34c、
44c、54c)を含み、前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、
54a)及び前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b
)の少なくとも1つは、前記中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、
54c)に対して下方にシフトされ、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、
54)の前記幅(dh)及び前記高さ(dv)は、以下の群:
a)前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記幅(dh)は、前
記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
b)前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記幅(dh)は、前
記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記高さ(dv)の少なくとも
4倍であること、
c)前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記幅(dh)は、前
記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記高さ(dv)の少なくとも
5倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とする眼鏡レンズ設計。
【請求項19】
眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の眼鏡レンズ設計であって、
- 単焦点屈折力を提供する第1のクリアゾーン(4、14、24、34、44、54
)であって、所与の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有する第1のクリアゾーン(4
、14、24、34、44、54)と、
- 前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)を少なくとも部分的に囲
む少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、
45b、55a、55b)であって、(i)前記第1のゾーンの前記焦点屈折力よりも大
きい焦点屈折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)前記少なくとも1つ
の第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、
55b)を通る光を拡散させる拡散構造体(6、16、36、56)の少なくとも1つを
含む、少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45
a、45b、55a、55b)と
を含む眼鏡レンズ設計において、
- 前記第1のクリアゾーン(4、14、24、34、44、54)は、鼻セグメント
(4a、14a、24a、34a、44a、54a)、こめかみセグメント(4b、14
b、24b、34b、44b、54b)及び前記鼻セグメント(4a、14a、24a、
34a、44a、54a)と前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、
44b、54b)との間に配置された中央セグメント(4c、14c、24c、34c、
44c、54c)を含み、前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、
54a)及び前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b
)の少なくとも1つは、前記中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、
54c)に対して下方にシフトされ、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)及び前
記高さ(dv)は、以下の群:
a)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
b)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
c)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
d)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とする眼鏡レンズ設計。
【請求項20】
前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記鼻セグメント(4a、
14a、24a、34a、44a、54a)及び前記こめかみセグメント(4b、14b
、24b、34b、44b、54b)の両方は、前記第1のゾーン(4、14、24、3
4、44、54)の前記中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54
c)に対して下方にシフトされることを特徴とする、請求項17~19のいずれか一項に
記載の眼鏡レンズ設計。
【請求項21】
前記第1のゾーン(4、34、44、54)の前記幅(dh)は、前記眼鏡レンズ設計
の幅に一致することを特徴とする、請求項17~20のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ
設計。
【請求項22】
以下の種類のデータ:(i)請求項17~21のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ設計
の数値表現、及び(ii)請求項17~21のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ設計に従
って眼鏡レンズを生成するように1つ又は複数の製造機械を制御するためのコンピュータ
可読命令を含むデータの少なくとも1つの種類を含むデータセット。
【請求項23】
眼鏡レンズを設計するコンピュータ実施方法であって、
- 単焦点屈折力を有する眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の数値表
現を提供するステップと、
- 眼鏡レンズの前記数値表現において、(i)第1のゾーンの焦点屈折力よりも大き
い焦点屈折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)光を拡散させる拡散構
造体(6、16、36、56)の少なくとも1つを有するゾーン(5a、5b、15、2
5、35a、35b、45a、45b、55a、55b)を設計するステップであって、
前記ゾーンは、眼鏡レンズの前記提供された数値表現の前記焦点屈折力を有する第1のゾ
ーン(4、14、24、34、44、54)を、それを少なくとも部分的に囲むことによ
って画定する第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b
、55a、55b)を形成するように設計される、ステップと
を含むコンピュータ実施方法において、前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、3
5a、35b、45a、45b、55a、55b)は、前記第1のゾーン(4、14、2
4、34、44、54)が鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54
a)、こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)及び前記
鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)と前記こめかみセグメ
ントとの間に配置された中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54
c)を含むように設計され、前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a
、54a)及び前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54
b)の少なくとも1つは、前記中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c
、54c)に対して下方にシフトされることを特徴とするコンピュータ実施方法。
【請求項24】
前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55
a、55b)は、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記鼻セグ
メント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)及び前記こめかみセグメント
(4b、14b、24b、34b、44b、54b)の両方が前記第1のゾーン(4、1
4、24、34、44、54)の前記中央セグメント(4c、14c、24c、34c、
44c、54c)に対して下方にシフトされるように設計されることを特徴とする、請求
項23に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項25】
前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55
a、55b)は、前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(5a、5b、15、25、
35a、35b、45a、45b、55a、55b)によって画定される前記第1のゾー
ン(4、14、24、34、44、54)が、前記設計された眼鏡レンズ(2、12、2
2、32、42、52)が装用時位置に従って配置されるとき、0.8~1.5度の垂直
視角をカバーするような寸法を有するように設計されることを特徴とする、請求項23又
は19に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項26】
前記第2のゾーン(5a、5b、35a、35b、45a、45b、55a、55b)
は、前記第1のゾーン(4、34、44、54)の幅(dh)が眼鏡レンズ設計の幅と一
致するように設計されることを特徴とする、請求項23~25のいずれか一項に記載のコ
ンピュータ実施方法。
【請求項27】
前記第2のゾーン(25)は、前記第1のゾーン(24)の幾何中心が、リーディング
時、リーディングターゲットをまっすぐ見ている間、前記眼鏡レンズに進入する光線束の
中心光線の進入点に対して少なくとも垂直にオフセンターに配置され、及び前記設計され
た眼鏡レンズが右眼又は左眼に使用される場合、こめかみの方にシフトされ、且つ前記設
計された眼鏡レンズがそれぞれの他方の眼に使用される場合、鼻の方にシフトされるよう
に設計されることを特徴とする、請求項23~25のいずれか一項に記載のコンピュータ
実施方法。
【請求項28】
眼鏡レンズを製造する方法であって、
- 単焦点屈折力を有する眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)を提供す
るステップと、
- 前記眼鏡レンズのゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、4
5b、55a、55b)において、(i)第1のゾーンの焦点屈折力よりも大きい焦点屈
折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)光を拡散させる拡散構造体(6
、16、36、56)の少なくとも1つを形成するステップであって、前記ゾーンは、前
記提供された眼鏡レンズの前記焦点屈折力を有する第1のゾーン(4、14、24、34
、44、54)を、それを少なくとも部分的に囲むことによって画定する第2のゾーン(
55a、55b)として形成される、ステップと
を含む方法において、前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、4
5a、45b、55a、55b)は、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、
54)が鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)、こめかみセ
グメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)及び前記鼻セグメント(4
a、14a、24a、34a、44a、54a)と前記こめかみセグメントとの間に配置
された中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54c)を含むように
形成され、前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)及び前
記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)の少なくとも
1つは、前記中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54c)に対し
て下方にシフトされることを特徴とする方法。
【請求項29】
前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55
a、55b)は、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記鼻セグ
メント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)及び前記こめかみセグメント
(4b、14b、24b、34b、44b、54b)の両方が前記第1のゾーン(4、1
4、24、34、44、54)の前記中央セグメント(4c、14c、24c、34c、
44c、54c)に対して下方にシフトされるように形成されることを特徴とする、請求
項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55
a、55b)は、前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(5a、5b、15、25、
35a、35b、45a、45b、55a、55b)によって画定される前記第1のゾー
ン(4、14、24、34、44、54)が、前記眼鏡レンズ(52)が装用時位置に従
って配置されるとき、0.8~1.5度の垂直視角をカバーするような寸法を有するよう
に形成されることを特徴とする、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2のゾーン(5a、5b、35a、35b、45a、45b、55a、55b)
は、前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(5a、5b、35a、35b、45a、
45b、55a、55b)によって画定される前記第1のゾーン(4、34、44、54
)が、前記眼鏡レンズ(2、32、42、52)の幅に一致する幅を有するように形成さ
れることを特徴とする、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第2のゾーン(25)は、前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(25)によ
って画定される前記第1のゾーン(24)の幾何中心が、リーディング時、リーディング
ターゲットをまっすぐ見ている間、前記眼鏡レンズに進入する光線束の中心光線の進入点
に対して少なくとも垂直にオフセンターに配置され、及び前記眼鏡レンズが右眼又は左眼
に使用される場合、こめかみの方にシフトされ、且つ前記眼鏡レンズがそれぞれの他方の
眼に使用される場合、鼻の方にシフトされるように形成されることを特徴とする、請求項
28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
以下の種類のデータ:
(i)請求項1~7のいずれか一項に記載の眼鏡レンズキットによる前記眼鏡レンズ設
計の数値表現;
(ii)請求項1~7のいずれか一項に記載の眼鏡レンズキットに従って眼鏡レンズを
生成するように1つ又は複数の製造機械を制御するためのコンピュータ可読命令を含むデ
ータ;
(iii)請求項17~21のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ設計の数値表現;及び
(iv)請求項17~21のいずれか一項に記載の眼鏡レンズ設計に従って眼鏡レンズ
を生成するように1つ又は複数の製造機械を制御するためのコンピュータ可読命令を含む
データ
の少なくとも1つの種類を搬送するデータ搬送信号。
【請求項34】
所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して配置される眼鏡レンズを設計するコンピ
ュータ実施方法であって、
- 第1の焦点屈折力を有する眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の数
値表現を提供するステップと、
- 眼鏡レンズの前記数値表現において、(i)前記第1の焦点屈折力よりも大きい第
2の焦点屈折力を有する集束構造体(26、46)、又は(ii)光を拡散させる拡散構
造体(6、16、36、56)の少なくとも1つを有するゾーン(5a、5b、15、2
5、35a、35b、45a、45b、55a、55b)を設計するステップであって、
前記ゾーンは、前記第1の焦点屈折力を有し、且つ所与の高さ(dv)及び所与の幅(d
h)を有する第1のクリアゾーン(4、14、24、34、44、54)を、それを少な
くとも部分的に囲むことによって画定する第2のゾーン(5a、5b、15、25、35
a、35b、45a、45b、55a、55b)を形成するように設計される、ステップ
と
を含むコンピュータ実施方法において、前記第2のゾーン(55a、55b)は、前記第
1のゾーン(54)が、リーディング時、前記装用者の収束視線を辿るように湾曲される
ように設計され、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)及び前記高さ(dv)は、
以下の群:
g)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
h)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
i)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも5倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とするコンピュータ実施方法。
【請求項35】
所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して配置される眼鏡レンズを設計するコンピ
ュータ実施方法であって、
- 第1の焦点屈折力を有する眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の数
値表現を提供するステップと、
- 眼鏡レンズの前記数値表現において、(i)前記第1の焦点屈折力よりも大きい第
2の焦点屈折力を有する集束構造体(26、46)、又は(ii)光を拡散させる拡散構
造体(6、16、36、56)の少なくとも1つを有するゾーン(5a、5b、15、2
5、35a、35b、45a、45b、55a、55b)を設計するステップであって、
前記ゾーンは、前記第1の焦点屈折力を有し、且つ所与の高さ(dv)及び所与の幅(d
h)を有する第1のクリアゾーン(4、14、24、34、44、54)を、それを少な
くとも部分的に囲むことによって画定する第2のゾーン(5a、5b、15、25、35
a、35b、45a、45b、55a、55b)を形成するように設計される、ステップ
と
を含むコンピュータ実施方法において、前記第2のゾーン(55a、55b)は、前記第
1のゾーン(54)が、リーディング時、前記装用者の収束視線を辿るように湾曲される
ように設計され、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)及び前記高さ(dv)は、
以下の群:
e)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
f)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
g)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
h)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とするコンピュータ実施方法。
【請求項36】
所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して配置される眼鏡レンズを製造する方法で
あって、
- 第1の焦点屈折力を有する眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)を提
供するステップと、
- 前記眼鏡レンズのゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、4
5b、55a、55b)において、(i)前記第1の焦点屈折力よりも大きい第2の焦点
屈折力を有する集束構造体(26、46)、又は(ii)光を拡散させる拡散構造体(6
、16、36、56)の少なくとも1つを形成するステップであって、前記ゾーンは、前
記第1の焦点屈折力を有し、且つ所与の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有する第1
のゾーン(4、14、24、34、44、54)を、それを少なくとも部分的に囲むこと
によって画定する第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、4
5b、55a、55b)として形成される、ステップと
を含む方法において、前記第2のゾーン(55a、55b)は、前記第1のゾーン(54
)が、リーディング時、前記装用者の収束視線を辿るように湾曲されるように形成され、
前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)及び前記高さ(dv)は、以下の群:
a)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
b)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
c)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも5倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項37】
所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して配置される眼鏡レンズを製造する方法で
あって、
- 第1の焦点屈折力を有する眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)を提
供するステップと、
- 前記眼鏡レンズのゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、4
5b、55a、55b)において、(i)前記第1の焦点屈折力よりも大きい第2の焦点
屈折力を有する集束構造体(26、46)、又は(ii)光を拡散させる拡散構造体(6
、16、36、56)の少なくとも1つを形成するステップであって、前記ゾーンは、前
記第1の焦点屈折力を有し、且つ所与の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有する第1
のゾーン(4、14、24、34、44、54)を、それを少なくとも部分的に囲むこと
によって画定する第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、4
5b、55a、55b)として形成される、ステップと
を含む方法において、前記第2のゾーン(55a、55b)は、前記第1のゾーン(54
)が、リーディング時、前記装用者の収束視線を辿るように湾曲されるように設計され、
前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)及び前記高さ(dv)は、以下の群:
a)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
b)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
c)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
d)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項38】
眼鏡レンズを設計するコンピュータ実施方法であって、
- 単焦点屈折力を有する眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の数値表
現を提供するステップと、
- 眼鏡レンズの前記数値表現において、(i)第1のゾーンの焦点屈折力よりも大き
い焦点屈折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)光を拡散させる拡散構
造体(6、16、36、56)の少なくとも1つを有するゾーン(5a、5b、15、2
5、35a、35b、45a、45b、55a、55b)を設計するステップであって、
前記ゾーンは、眼鏡レンズの前記提供された数値表現の前記焦点屈折力を有し、且つ所与
の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有する第1のゾーン(4、14、24、34、4
4、54)を、それを少なくとも部分的に囲むことによって画定する第2のゾーン(5a
、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)を形成するよ
うに設計される、ステップと
を含むコンピュータ実施方法において、前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、3
5a、35b、45a、45b、55a、55b)は、前記第1のゾーン(4、14、2
4、34、44、54)が鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54
a)、こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)及び前記
鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)と前記こめかみセグメ
ントとの間に配置された中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54
c)を含むように設計され、前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a
、54a)及び前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54
b)の少なくとも1つは、下方にシフトされ、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh
)及び前記高さ(dv)は、以下の群:
a)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
b)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
c)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも5倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とするコンピュータ実施方法。
【請求項39】
眼鏡レンズを設計するコンピュータ実施方法であって、
- 単焦点屈折力を有する眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の数値表
現を提供するステップと、
- 眼鏡レンズの前記数値表現において、(i)第1のゾーンの焦点屈折力よりも大き
い焦点屈折力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)光を拡散させる拡散構
造体(6、16、36、56)の少なくとも1つを有するゾーン(5a、5b、15、2
5、35a、35b、45a、45b、55a、55b)を設計するステップであって、
前記ゾーンは、眼鏡レンズの前記提供された数値表現の前記焦点屈折力を有し、且つ所与
の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有する第1のゾーン(4、14、24、34、4
4、54)を、それを少なくとも部分的に囲むことによって画定する第2のゾーン(5a
、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)を形成するよ
うに設計される、ステップと
を含むコンピュータ実施方法において、前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、3
5a、35b、45a、45b、55a、55b)は、前記第1のゾーン(4、14、2
4、34、44、54)が鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54
a)、こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)及び前記
鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)と前記こめかみセグメ
ントとの間に配置された中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54
c)を含むように設計され、前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a
、54a)及び前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54
b)の少なくとも1つは、下方にシフトされ、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh
)及び前記高さ(dv)は、以下の群:
a)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
b)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
c)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
d)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とするコンピュータ実施方法。
【請求項40】
眼鏡レンズを製造する方法であって、
- 単焦点屈折力を有する眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)を提供す
るステップと、
- 前記眼鏡レンズにおいて、(i)第1のゾーンの焦点屈折力よりも大きい焦点屈折
力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)光を拡散させる拡散構造体(6、
16、36、56)の少なくとも1つを有するゾーン(5a、5b、15、25、35a
、35b、45a、45b、55a、55b)を形成するステップであって、前記ゾーン
は、前記提供された眼鏡レンズの前記焦点屈折力を有し、且つ所与の高さ(dv)及び所
与の幅(dh)を有する第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)を、それを
少なくとも部分的に囲むことによって画定する第2のゾーン(5a、5b、15、25、
35a、35b、45a、45b、55a、55b)を形成するように形成される、ステ
ップと
を含む方法において、前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、4
5a、45b、55a、55b)は、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、
54)が鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)、こめかみセ
グメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)及び前記鼻セグメント(4
a、14a、24a、34a、44a、54a)と前記こめかみセグメントとの間に配置
された中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54c)を含むように
形成され、前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)及び前
記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)の少なくとも
1つは、下方にシフトされ、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)及び前記高さ(
dv)は、以下の群:
d)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
e)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
f)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記
高さ(dv)の少なくとも5倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【請求項41】
眼鏡レンズを製造する方法であって、
- 単焦点屈折力を有する眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)を提供す
るステップと、
- 前記眼鏡レンズにおいて、(i)第1のゾーンの焦点屈折力よりも大きい焦点屈折
力を提供する集束構造体(26、46)、又は(ii)光を拡散させる拡散構造体(6、
16、36、56)の少なくとも1つを有するゾーン(5a、5b、15、25、35a
、35b、45a、45b、55a、55b)を形成するステップであって、前記ゾーン
は、前記提供された眼鏡レンズの前記焦点屈折力を有し、且つ所与の高さ(dv)及び所
与の幅(dh)を有する第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)を、それを
少なくとも部分的に囲むことによって画定する第2のゾーン(5a、5b、15、25、
35a、35b、45a、45b、55a、55b)を形成するように形成される、ステ
ップと
を含む方法において、前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、4
5a、45b、55a、55b)は、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、
54)が鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)、こめかみセ
グメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)及び前記鼻セグメント(4
a、14a、24a、34a、44a、54a)と前記こめかみセグメントとの間に配置
された中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54c)を含むように
形成され、前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)及び前
記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)の少なくとも
1つは、下方にシフトされ、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)及び前記高さ(
dv)は、以下の群:
e)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
f)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
g)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
h)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前
記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン
(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲の値であり、前記幅(dh
)の前記一部分は、前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、近視制御のための眼鏡レンズ設計及び眼鏡レンズキットに関する。加えて、
本発明は、眼鏡レンズを設計するコンピュータ実施方法及び眼鏡レンズを製造する方法に
関する。
【背景技術】
【0002】
近視(近眼)の罹患率は、急増している。近視は、網膜剥離(近視のレベルに応じて)
、後極白内障及び緑内障のリスクを大幅に高める。近視の光学的、視覚的及び潜在的な病
理学的影響並びに個人及びコミュニティに対するその結果としての不便さ及びコストのた
め、進行を遅らせるか、近視の発症を阻止するか若しくは遅延させるか、又は子供及び若
年成人の両方で生じる近視の度合いを制限する有効な戦略を有することが望ましい。
【0003】
国際公開第2010/075319A2号パンフレットは、近視眼の罹患を決める周辺
網膜像の重要性にも言及している。この文献は、眼軸長関連障害を防止、改善又は回復さ
せる治療処置法を提案しており、治療処置法は、患者において、眼軸長関連障害を識別す
ることと、閾値空間周波数を超える眼の網膜への像入力の平均空間周波数を低減して、患
者の眼の更なる眼軸長の伸びを阻止するために、患者の周辺視の人工ブラーリングを誘導
することとを含む。特に、この文献は、(i)眼鏡レンズの表面上のバンプ、(ii)眼
鏡レンズの表面上の窪み、(iii)眼鏡レンズ材料内の第1の半透明内包物、及び(i
v)眼鏡レンズ材料内の第1の透明内包物であって、眼鏡レンズ材料と異なる屈折率を有
する第1の透明内包物からなる群から選択される複数の要素を含むゾーンを有する眼鏡レ
ンズを患者に提供することを提案している。要素は、一般に、1mm2当たりドット0~
8個の範囲の非ゼロ点密度を有する点形要素である。眼鏡レンズは、前記複数の要素を含
むゾーンで囲まれ、クリアな視覚を提供する別のゾーンを有する。
【0004】
この種の眼鏡レンズの改良は、国際公開第2018/026697A1号パンフレット
、国際公開第2019/152438A1号パンフレット及び国際公開第2020/01
4613A1号パンフレットにそれぞれ開示されている。
【0005】
特に、国際公開第2018/026697A1号パンフレットは、眼鏡であって、フレ
ームと、フレームに搭載された眼鏡レンズの対とを備え、眼鏡レンズは、各眼鏡レンズに
わたり点パターンで分布し、点パターンは、1mm以下の距離で離間されたドットの配列
を含み、各点は、最大直径0.3mm以下を有する、眼鏡を開示している。
【0006】
国際公開第2019/152438A1号パンフレットには、眼鏡レンズであって、2
枚の逆に湾曲した表面を有するレンズ材料と、クリアアパーチャを囲む散乱領域とを備え
、散乱領域は、入射光を散乱させるようなサイズ及び形状の複数の離間された散乱中心を
有し、散乱中心は、隣接する散乱中心の間隔の不規則な変動及び/又は散乱中心サイズの
不規則な変動を含むパターンに配置される、眼鏡レンズが開示されている。
【0007】
例えば、国際公開第2019/152438A1号パンフレットに開示されているよう
な近視改善眼鏡は、眼鏡フレームと、眼鏡フレームに搭載された眼鏡レンズとで構成され
る。一般に、眼鏡レンズは、平面レンズ、単焦点レンズ(例えば、正若しくは負の屈折力
)又は多焦点レンズ(例えば、二焦点若しくは累進レンズ)であり得る。眼鏡レンズは、
コントラスト低減を提供するゾーンで囲まれたクリアゾーンをそれぞれ有する。クリアゾ
ーンは、装用者の軸上視位置と一致するように位置決めされる一方、コントラスト低減を
提供するゾーンは、装用者の周辺視に対応する。コントラスト低減を提供するゾーンは、
それらのゾーンを通して装用者の眼に届く光を散乱させることにより、装用者の周辺視に
おける物体のコントラストを低減するドットの配列で構成される。一般に、ドットは、眼
鏡レンズの片面又は両面に凸部及び/又は凹部を形成し、且つ/又はこれらのゾーンのレ
ンズ材料自体内に散乱内包物を形成することにより提供することができる。
【0008】
香港理工大学及びHoyaは、近年、米国特許出願公開第2017131567A1号
明細書において、同様の構造の眼鏡レンズ、即ち眼鏡レンズの表面上のバンプを有する眼
鏡レンズを開示した。これらの眼鏡レンズは、MSMD(マルチセグメント近視デフォー
カス)レンズとして知られている。各技術概念は、D.I.M.S.(デフォーカス内蔵
マルチセグメント)技術として知られている。詳細は、例えば、https://www
.hoyavision.com/en-hk/discover-products/
for-spectacle-wearers/special-lenses/myo
smart/に開示されている。各眼鏡レンズは、米国特許出願公開第2017/131
567A1号明細書に開示されている。これらの眼鏡レンズの実施形態は、近視を矯正し
ながら、近視の進行を抑制する。そのような実施形態の眼鏡レンズは、メニスカス凹レン
ズであり、前面は、物体側に向かって湾曲した凸曲面として形成され、後面は、前面の曲
率よりも大きい曲率の凹面に形成される。加えて、眼鏡レンズは、眼鏡レンズの中央にお
ける、近視矯正のための処方に基づく第1の屈折力を有する第1のゾーンと、第1のゾー
ンを囲み、複数のそれぞれ独立した島形エリアを含む第2のゾーンとを有する。
【0009】
第2のゾーンにおける各島形エリアの前面は、第1のゾーンの前面の曲率よりも大きい
曲率の、物体側に向かう凸球面形状に形成される。したがって、第2のゾーンにおける独
立した島形エリアの屈折力は、第1のゾーンの屈折力よりも2.00dpt~5.00d
pt大きい。したがって、像は、第1のゾーンにより眼の網膜上に結ばれ、第2のゾーン
における島形エリアにより網膜の前方の点で結ばれる。
【0010】
各島形エリアは、眼鏡レンズの約0.50~3.14mm2をカバーし、直径約0.8
~2.0mmを有する円形を有する。複数の島形エリアは、島形エリアの半径の値に略等
しい距離だけ互いから離間されるように第1のゾーンの近傍に概ね均等に配置される。
【0011】
同様の手法は、欧州特許出願公開第3 553 594A1号明細書、欧州特許出願公
開第3 561 578A1号明細書、国際公開第2019/166653A1号パンフ
レット、国際公開第2019/166654A1号パンフレット、国際公開第2019/
166655A1号パンフレット、国際公開第2019166657A1号パンフレット
、国際公開第2019/166659A1号パンフレット及び国際公開第2019/20
6569A1号パンフレットにそれぞれ詳述されているEssilorのStelles
t眼鏡レンズで使用されている。それらに記載の眼鏡レンズは、非球面であり、絶対値で
2.0dpt~7.0dptの範囲内の屈折力を幾何中心に有し、絶対値で1.5dpt
~6.0dptの範囲内の屈折力を幾何中心の周辺に有するマイクロレンズ/レンズレッ
トを備える。非球面マイクロレンズ/レンズレットにより提供される屈折力は、眼鏡レン
ズのクリア中央ゾーンの屈折力を0.5dpt以上超える。
【0012】
Sightglass Vision Inc.に譲渡された国際公開第2020/0
14613A1号パンフレットも、1つ又は複数のデフォーカス要素を含み得る近視制御
眼鏡レンズを近年開示しており、即ち、近視制御眼鏡レンズは、近視制御レンズを有する
眼鏡を小児に装用させることにより、近視であるか又は近視が疑われる小児を治療する、
前記デフォーカス要素のないクリア中央ゾーンを含み得、若年者の近視の進行を低減する
安全で効率的且つ非侵襲的な方法を提供している。典型的には、この文献は、島形レンズ
を含む領域に言及している。
【0013】
国際公開第2019/152438A1号パンフレットに開示されるコントラスト低減
を提供するゾーンで囲まれるか、又は国際公開第2019/206569A1号パンフレ
ットに開示されるマイクロレンズ/レンズレットを有するゾーンで囲まれた中央クリアゾ
ーンを有する眼鏡レンズの装用者によっては、使用に際して何らかの類いの不快さを報告
する者がいる。特に、そのような眼鏡レンズのゾーンは、汚く見えることがある。
【0014】
国際公開第2018/076057A1号パンフレットには、近視デフォーカスを生成
する集束構造体を有するゾーンで囲まれる、中心窩上に結像を提供するゾーンを含む眼鏡
レンズ設計が開示されている。結像を提供するゾーンの幅は、高さよりもはるかに大きい
。
【0015】
最も近い技術的現状と見なされる国際公開第2020/113212A1号パンフレッ
トには、近視デフォーカスを生成する集束構造体を有するゾーン又は拡散ゾーンで囲まれ
る、中心窩上に結像を提供するゾーンを含む眼鏡レンズ設計が開示されている。結像を提
供するゾーンの幅は、高さの5倍までであり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
国際公開第2020/113212A1号パンフレットに関して、本発明の第1の目的
は、リーディング作業に特に適し、好ましくは各眼鏡レンズの装用者に高い快適性も提供
する、上記のレンズ設計と同様の眼鏡レンズ設計を有する眼鏡レンズキット及び眼鏡レン
ズ設計を提供することである。
【0017】
本発明の第2の目的は、リーディング作業に特に適する、国際公開第2020/113
212A1号パンフレットに記載のレンズと同様の眼鏡レンズを設計するコンピュータ実
施方法及びリーディング作業に特に適し、好ましくは各眼鏡レンズの装用者に高い快適性
も提供する、国際公開第2020/113212A1号パンフレットに記載のレンズと同
様の眼鏡レンズの(特に設計に従った)製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の目的は、請求項1、2及び3に記載の眼鏡レンズキット並びに請求項17、18
及び19に記載の眼鏡レンズ設計により達成され、第2の目的は、請求項8、23、34
、35、38及び39に記載の眼鏡レンズを設計するコンピュータ実施方法並びに請求項
13、28、36、37、40及び41に記載の眼鏡レンズの製造方法によりそれぞれ達
成される。従属請求項は、本発明の更なる発展形態を含む。
【0019】
以下の定義が本説明の範囲内で使用される。
【0020】
追加度数
本明細書に関して、「追加度数」という用語は、眼鏡レンズの焦点屈折力に追加される
焦点屈折力に該当し、眼鏡レンズの焦点屈折力は、順応により支援されて中心窩上に結像
を提供し、追加度数は、眼鏡レンズの焦点屈折力に加えられた場合、近視デフォーカスを
提供する。追加度数は、累進多焦点レンズの加入度数と混同されてはならない。他方、累
進多焦点レンズの加入度数は、眼鏡レンズの近用部の頂点屈折力と眼鏡レンズの遠用部の
頂点屈折力との間の差を指定する。
【0021】
アパーチャ
本明細書に関して、「アパーチャ」という用語は、(i)散乱中心等の拡散構造体を含
むゾーン、又は(ii)1つ若しくは複数の追加度数を提供する構造を含むゾーンで囲ま
れる眼鏡レンズのゾーンに該当する。
【0022】
装用時位置
装用時位置とは、装用中の両眼及び顔に対する眼鏡レンズの、向きを含む位置である(
DIN ISO13666:2019,セクション3.2.36)。装用時位置は、装用
時前傾角、装用時フロント角及び頂点間距離によって決まる。装用時前傾角は、水平と、
主方向を含む垂直面においてフレームの上リム及び下リムの溝の頂点を通る基準線への垂
直線との間の垂直角であり(DIN ISO13666:2019,セクション3.2.
37)、主方向とは、裸眼でまっすぐ前を見ているときの習慣的な頭部及び体位で測定さ
れる、無限遠の物体への、通常は水平で測定される視線の方向であり(DIN ISO1
3666:2019,セクション3.2.25)、視線とは、物体空間における関心のあ
る点(即ち固視点)から眼の入射瞳の中心までの光線経路及び射出瞳の中心から網膜固視
点(一般に小窩)までの像空間におけるその続きである(DIN ISO13666:2
019,セクション3.2.24)。装用時前傾角の典型的な値は-20~+30度の範
囲である。装用時フロント角は、主方向と、主方向を含む水平面におけるフレームの鼻側
リム及びこめかみ側リムの溝の頂点を通る基準線への垂直線との間の水平角である(DI
N ISO13666:2019,セクション3.2.38)。装用時フロント角の典型
的な値は-5~+30度の範囲である。頂点間距離は、両眼が主位置にある状態で測定さ
れる、眼鏡レンズの後面と角膜の頂点との間の水平距離であり(DIN ISO1366
6:2019,セクション3.2.40)、主位置とは、主方向を見ているときの眼の位
置である(DIN ISO13666:2019,セクション3.2.26)。頂点間距
離の典型的な値は5mm~30mmの範囲である。装用時位置は、特定の個人で特定され
る個々の装用時位置又は定義された装用者群で特定される一般装用時位置であり得る。
【0023】
装用時位置を参照しなければ、眼鏡レンズ設計を用いて達成すべき屈折力は不適切に定
義される。更に、装用時位置についての情報は、眼鏡レンズ設計を用いて達成すべき屈折
力を定義し、ひいては眼鏡レンズ設計により達成すべき技術的効果を定義するために必要
であるため、装用時位置についての情報は、眼鏡レンズ設計に技術的に寄与する。
【0024】
クリアゾーン
本明細書に関して、「クリアゾーン」という用語は、眼鏡レンズが指定された装用時位
置に従って位置する状態で装用者がクリアゾーンを見るとき、中心視に近視デフォーカス
も拡散も提供しない眼鏡レンズ設計又は眼鏡レンズのゾーンに該当する。更に、クリアゾ
ーンの少なくとも1つのセクションは、必要であれば順応により支援されて、中心窩上で
結像を達成できるようにする。例えば、装用者が各ゾーンを通して見るとき、中心視に近
視デフォーカスも拡散も提供しないが、像のぼやけに繋がる残留非点収差誤差を示す眼鏡
レンズ設計又は眼鏡レンズのゾーンがあり得る。そのようなゾーンは、本明細書で使用さ
れる意味でクリアゾーンと見なすことができる。この例では、クリアゾーンの一セクショ
ンのみが、中心窩上の結像を達成できるようにする。クリアゾーンの他の例では、中心窩
上の結像を達成できるようにする領域は、全クリアゾーンに及び得る。
【0025】
データ搬送信号
データ搬送信号とは、有線又は無線ネットワークを経由して移動するとき、データを表
す電気又は光のパルス又は一連のパルスである。
【0026】
少なくとも部分的にゾーンを囲むことによるゾーンの画定
本発明に関して、「少なくとも部分的にゾーンを囲むことによるゾーンの画定」とは、
眼鏡レンズ又は眼鏡レンズ設計のゾーンの限界が、ゾーンの限界が眼鏡レンズ又は眼鏡レ
ンズ設計のリムにより与えられない限り、そのゾーンを囲む別のゾーンへの境界により与
えられることを意味する。
【0027】
拡散器
光学系では、拡散器(光拡散器又は光学拡散器も呼ばれる)とは、柔らかい光を伝達す
るように何らかの方法で光を拡散又は散乱する任意の材料で作られた光学要素である。拡
散光は、白色表面から光を反射することによって容易に得ることができるが、よりコンパ
クトな拡散器は、すりガラス、Teflon、ホログラフ、乳白ガラス及びグレーガラス
を含め、半透明材料を使用し得る。散乱は点形状であり得る散乱中心により達成し得、そ
の例は、例えば、国際公開第2010/075319A2号パンフレット、国際公開第2
018/026697A1号パンフレット、国際公開第2019/152438A1号パ
ンフレット及び国際公開第2020/014613A1号パンフレットにそれぞれ開示さ
れている。散乱中心は、線形状であり得る。以下では、「拡散」という用語は、特殊な場
合として「散乱」という用語を包含する。
【0028】
拡散構造体
「拡散構造体」という用語は、眼鏡レンズの各エリアに拡散性を提供する任意の構造を
意味する。
【0029】
焦点屈折力
「焦点屈折力」という用語は、平行光の近軸光束を1つの焦点にもっていき、(通常、
処方において「球面度数」値と見なされるか、又は「sph」と略称される球面頂点屈折
力と、平行光の近軸光束を、相互に直角の2つの別個の線焦点にもっていき(DIN I
SO13666:2019,セクション3.10.2)、通常、処方において「円柱度数
」値と見なされるか、又は「cyl」と略称される眼鏡レンズの円柱頂点屈折力との集合
的な用語である。「頂点屈折力」とは、近軸頂点焦点距離の逆数である(DIN ISO
13666:2019,セクション3.10.7)。本説明の範囲内で、ビームは、その
直径が0.05mm、特に0.01mmを超えない場合、光線の近軸光束であると見なさ
れるべきである。
【0030】
集束構造体
本明細書に関して、「集束構造体」という用語は、1つ又は複数の焦点を提供する構造
に該当する。特に、そのような集束構造体は、先行技術を参照して上述したように、マイ
クロレンズ、レンズレット、バンプ等を含み得る。
【0031】
中心窩
「中心窩」という用語は、本説明において、高密度の感光細胞を有する網膜の中心窩で
ある中心窩を称するために使用される。
【0032】
高さ
「高さ」という用語は、構造の最大垂直寸法を指し、特に所定の装用時位置での眼鏡レ
ンズ又は眼鏡レンズ設計のゾーンの最大垂直寸法を指す。これは特に、湾曲構造において
、構造の最高点と構造の最低点との差を意味する。
【0033】
近視デフォーカス及び周辺近視デフォーカス
「近視デフォーカス」という用語は、順応による支援がある場合でも、中心窩上の結像
を達成することができないような距離により光が中心窩の前方で集束する状況を指す。周
辺近視デフォーカスとは、中心窩外の視野外に存在する近視デフォーカスである。
【0034】
鼻セグメント
本説明では、「鼻セグメント」という用語は、眼鏡レンズのこめかみ側リムよりも鼻側
リムの近くに配置された眼鏡レンズのセグメント若しくは眼鏡レンズのゾーンのセグメン
ト又は眼鏡レンズ設計に従って製造された眼鏡レンズの鼻セグメントに対応する眼鏡レン
ズ設計のセグメント若しくは眼鏡レンズのゾーンのセグメントを表す。
【0035】
オフセンター
「オフセンター」という用語は、例えばアパーチャ等の眼鏡レンズ又は眼鏡レンズ設計
の構造体の幾何中心が、眼鏡レンズ又は眼鏡レンズ設計を通る画定された可視光線の進入
点に一致しないことを記述するのに使用される。画定された可視光線とは、特に、リーデ
ィング時、リーディングターゲットをまっすぐ見ている間、眼鏡レンズ又は眼鏡レンズ設
計に進入する光線束の中心光線であり得る。「オフセンターシフト」という用語は、構造
体の幾何中心が、画定された可視光線の進入点とずれる寸法を示す。
【0036】
処方
「処方」という用語は、診断された屈折誤差を矯正するために必要なジオプトリ度数が
適した値の形態で指定されるサマリを示す。球面度数の場合、処方は、球面度数の値「s
ph」を含み得る。乱視度数の場合、処方は円柱度数の値「cyl」及び軸の値「axi
s」を含むことができ、プリズム度数の場合、処方はプリズム及びベース値を含むことが
できる。更に、処方は更なる値、例えば多焦点眼鏡レンズの場合には「add」値を含み
得、前記「add」値は、眼鏡レンズの近用部における頂点屈折力と眼鏡レンズの遠用部
における頂点屈折力との差を指定する。瞳孔間距離の値「PD」が処方に含まれることも
ある。
【0037】
主方向
「主方向」という用語は、裸眼でまっすぐ前を見ているときの習慣的な頭部及び体位で
測定される、無限遠の物体への、通常は水平で測定される視線の方向を意味する(DIN
ISO13666:2019,セクション3.2.25)。
【0038】
眼鏡レンズ設計の表現
本発明に関して、「眼鏡レンズ設計の表現」という表現は、各設計特徴(眼鏡レンズ設
計の物理的表現)を有する眼鏡レンズの実装形態又は設計特徴を記述する数値データセッ
ト(眼鏡レンズ設計の数値表現)を指す。例えば、そのようなデータセットは、コンピュ
ータのメモリ又はコンピュータ可読(特に非一時的)記憶媒体に記憶し得る。加えて、デ
ータセットは、例えばインターネット又はローカルエリアネットワーク(LAN)のよう
なデータネットワークから検索可能であり得る。累進眼鏡レンズ設計の表現に類似するデ
ータセットは、特に、幾何学的形状の記述及び累進眼鏡レンズの媒体の記述を含み得る。
そのような記述は、例えば、前面、後面、互いに関連してのこれらの表面の配置(厚さを
含む)及び累進眼鏡レンズのエッジ限界の数学的記述並びに累進レンズが作られるべきで
ある媒体の屈折率分布を含むことができる。表現は、符号化された形態又は暗号化された
形態であり得る。本明細書での媒体という用語は、眼鏡レンズが作られる元の材料又は物
質を意味する。
【0039】
累進眼鏡レンズ設計の表現は、追加又は代替として、各設計特徴を有する眼鏡レンズを
生産するように1つ又は複数の製造機械(例えば、鋳造機、研削機、フライス盤、ラップ
盤及び/又は研磨機)を制御するためのコンピュータ可読命令を含み得る。
【0040】
半完成ブランク
「半完成ブランク」という用語は、眼鏡レンズの作製に向けて光学的に仕上げられた一
表面を有する光学材料の個片を指す(DIN ISO13666:2019,セクション
3.8.1)。
【0041】
ゾーンのセグメント
本明細書では、「セグメント」という用語は、前記ゾーンの総エリアよりも小さい前記
ゾーンのエリアを表す前記ゾーンの一部分を称するために、眼鏡レンズ又は眼鏡レンズ設
計のゾーンに関して使用される。
【0042】
眼鏡レンズ
眼鏡レンズとは、眼球の前方で装用されるが、眼球と接触しない眼科レンズであり(D
IN ISO13666:2019,セクション3.5.2)、眼科レンズとは、眼の測
定、矯正及び/又は保護を目的として又は外観を変えるために使用されることが意図され
るレンズである(DIN ISO13666:2019,セクション3.5.1)。
【0043】
「アンカット眼鏡レンズ」という用語(DIN ISO13666:2019,セクシ
ョン3.8.8)は、エッジング(3.8.10)前の完成レンズ(3.8.7)である
。したがって、「カット眼鏡レンズ」とはエッジング後の完成レンズである。
【0044】
装用位置は、前記規格のセクション3.15.25(測定目的については、DIN I
SO13666:2019,セクション3.9を参照されたい)に定義されるように各マ
ークに基づいて決定し得るため、本発明は、「アンカット」及び「カット両方の眼鏡レン
ズ」並びに各設計を参照する。しかしながら、装用位置は、「カット眼鏡レンズ」のリム
輪郭から導出することもできる。
【0045】
眼鏡レンズ設計
光学眼鏡レンズ設計という用語は、眼鏡レンズの装用者の眼のモデルに相対する眼鏡レ
ンズの位置/配置、眼鏡レンズの特定の使用状況で眼鏡レンズの装用者が見る物体のモデ
ル及び眼鏡レンズの装用者の生理学的視覚特性のモデルの位置/配置を考慮に入れて、典
型的には所定の特定の装用者に向けた眼鏡レンズの計算された/所定の又は定義された光
学特性を称するのに使用される。
【0046】
特に、光学眼鏡レンズ設計は、装用者(モデル)の眼に対する所定の装用時位置及び所
定の物体距離モデルで眼鏡レンズの所定の装用者により知覚される眼鏡レンズの有効エリ
アにわたる屈折力の分布を含み得る。屈折力の分布の計算は、モデル眼に対する眼鏡レン
ズの距離及び向き、モデル物体に対する眼鏡レンズの距離及び向き並びに眼鏡装用者の生
理学的パラメータ、例えば装用者の視覚欠陥、即ち例えば装用者の屈折異常、装用者の順
応能力及び装用者の瞳孔間距離に基づく。
【0047】
幾何学的眼鏡レンズ設計という用語は、眼鏡装用者について上述した眼鏡レンズの計算
された光学特性を提供する眼鏡レンズのジオメトリを意味する。
【0048】
目標光学眼鏡レンズ設計という用語は、目標光学特性に対応するか又はそれに等しい光
学特性を有するドラフト光学眼鏡レンズ設計を意味する。実際の光学眼鏡レンズ設計とい
う用語は、可能な限り目標光学眼鏡レンズ設計を達成することを目的とした最適化プロセ
ス/計算の結果として受け取られる計算された光学特性の眼鏡レンズを意味する。特に累
進眼鏡レンズ又はカスタマイズされた単焦点レンズにおけるそのような最適化プロセス/
計算は、例えば、Werner Koeppen:Konzeption und En
twicklung von Progressivglaesern,in Deut
sche Optiker Zeitung DOZ 10/95,S.42-46に開
示されている。
【0049】
そのような光学又は幾何学的眼鏡レンズ設計は、コンピュータ可読(例えば非一時的、
電子及び/又は光学)データキャリアに記憶し得る。更に、眼鏡レンズ設計に従って製造
された眼鏡レンズは、眼鏡レンズ設計の物理的表現と見なすことができる。
【0050】
眼鏡レンズを設計する方法例の基本ステップについて以下で概説する:
第1のステップにおいて、眼鏡装用者の個々のユーザデータ又はアプリケーションデー
タが記録される。これは、眼鏡装用者に割り当てることができる(生理学的)データの取
得と、眼鏡装用者が、設計された眼鏡を装用することになる使用条件の取得とを含む。
【0051】
眼鏡装用者の生理学的データは、例えば、装用者の屈折異常及び装用者の順応能力を含
み得、これらは、屈折測定手段により特定され、通常、球面度数、円柱度数、軸、プリズ
ム、ベース及び加入度数の処方値の形態で処方に含まれる。更に、例えば瞳孔間距離及び
瞳孔サイズが様々な照明条件下で特定された。装用者の年齢は、順応能力及び瞳孔サイズ
に影響し、したがって装用者の年齢も考慮することができる。眼の集束挙動は、様々な視
方向及び物体距離での瞳孔間距離から生じる。
【0052】
使用条件は、眼の前方での眼鏡レンズの装用時位置(通常、眼の枢動点に関連する)と
、眼鏡装用者がクリアに見るべき様々な視方向での物体距離とを含む。眼の前方での眼鏡
レンズのシートは、例えば、角膜頂点距離並びに前方及び側方傾斜を記録することによっ
て特定することができる。これらのデータは、レイトレーシング法を適用することができ
る物体距離モデルに含められる。
【0053】
続くステップにおいて、多数の評価点を有する眼鏡レンズのドラフト設計が、この記録
されたデータに基づいて決定される。ドラフト設計は、各評価点における眼鏡レンズの目
標光学特性を含む。目標特性は、例えば、眼の前方のレンズの配置及び基本となる距離モ
デルによって指定されるように、加入度数を考慮に入れて、眼鏡レンズ全体にわたって分
布する処方された球面度数及び乱視度数からの許容されるずれを含む。
【0054】
更に、前面及び後面の表面ジオメトリの設計並びに眼鏡レンズ全体にわたる屈折率分布
の設計が指定される。例えば、前面は球面として選択することができ、後面は可変焦点面
として選択することができる。両面とも、最初に球面として選択することもできる。第1
のドラフトの表面ジオメトリの選択は、一般に、使用される最適化法の収束(速度及び成
功)のみを決める。例えば、前面は球面形を保持すべきであり、後面には可変焦点面の形
状が与えられると仮定すべきである。
【0055】
更なるステップにおいて、主光線のコースが多数の評価点を通して特定される。可能な
場合、局部波面は、各主光線の近傍の各主光線について確立することができる。Wern
er Koeppen:Design and Development of Pro
gressive Lenses,Deutsche Optiker Zeitung
DOZ 10/95,pp.42-46によれば、評価点の数は、通常、1000~1
500の範囲である。欧州特許第2 115 527B1号明細書では、8000を超え
る評価点数が示唆されている。屈折率は、通常、波長に依存するが、分散は、一般に、考
慮されず、計算は、いわゆる設計波長で行われる。しかしながら、最適化プロセスが様々
な設計波長を考慮に入れることを排除することはできず、例えば欧州特許第2 383
603B1号明細書に記載される。
【0056】
続くステップにおいて、評価点における眼鏡レンズの上記の光学特性が、主光線のビー
ム路及び必要であれば各評価点の近傍の局部波面に対する眼鏡レンズの影響を特定するこ
とによって特定される。
【0057】
更なるステップにおいて、眼鏡レンズの設計は、特定された光学特性及び個々のユーザ
データに応じて評価される。背面ジオメトリ及び場合によっては眼鏡レンズの設計の屈折
率分布は、例えば、
【数1】
等の目的関数を最小化することによって変更し得、式中、P
mは評価点mにおける重みを
表し、W
nは光学特性nの重みを表し、T
nは各評価点mにおける光学特性nの目標値を
表し、A
nは評価点mにおける光学特性nの実際の値を示す。
【0058】
換言すれば、後面の局部表面ジオメトリ及び場合によっては各視覚ビーム路における眼
鏡レンズの局部屈折率は、終了基準が満たされるまで、評価点によって変更される。
【0059】
ゾーンを囲む
本発明に関して、眼鏡レンズ又は眼鏡レンズ設計の「ゾーンを囲む」とは、眼鏡レンズ
又は眼鏡レンズ設計のリムに達しない眼鏡レンズ又は眼鏡レンズ設計のゾーンの全辺が囲
まれることを意味する。
【0060】
こめかみセグメント
本説明では、「こめかみセグメント」という用語は、眼鏡レンズの鼻側リムよりもこめ
かみ側リムの近くに配置された眼鏡レンズのセグメント若しくは眼鏡レンズのゾーンのセ
グメント又は眼鏡レンズ設計に従って製造された眼鏡レンズのこめかみセグメントに対応
する眼鏡レンズ設計のセグメント若しくは眼鏡レンズ設計のゾーンのセグメントを表す。
【0061】
視角
「視角」という用語は、視野内の2点間の角距離を指す。
【0062】
幅
「幅」という用語は、構造の水平寸法、特に所定の装用時位置での眼鏡レンズ又は眼鏡
レンズ設計のゾーンの水平寸法を指す。これは特に、湾曲構造の場合、最も鼻の方に位置
する構造の点と最もこめかみの方に位置する構造の点との間の差の絶対値を意味する。
【0063】
眼鏡レンズのゾーン
本明細書では、「ゾーン」という用語は、眼鏡レンズ又は眼鏡レンズ設計に関して、眼
鏡レンズ又は眼鏡レンズ設計の総エリアよりも小さい眼鏡レンズ又は眼鏡レンズ設計のエ
リアを表す眼鏡レンズ又は眼鏡レンズ設計の一部分を称するために使用される。
【0064】
本発明の第1の態様によれば、所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して配置され
る眼鏡レンズの眼鏡レンズ設計と、装用者の眼に対する眼鏡レンズ設計の装用時位置及び
所定の物体距離モデルを含む指示とを含む眼鏡レンズキットが提供される。本眼鏡レンズ
設計は、
- 眼鏡レンズ設計に従って製造された眼鏡レンズが装用時位置に従って配置されると
き、中心窩上に結像を提供する焦点屈折力を有する第1のゾーンと、
- 第1のゾーンを少なくとも部分的に囲む少なくとも1つの第2のゾーンであって、
(i)眼鏡レンズ設計に従って製造された眼鏡レンズが装用時位置に従って配置される、
即ち第1のゾーンの焦点屈折力が中心窩上に結像を提供するように配置される場合、近視
デフォーカスをもたらす焦点屈折力を提供する集束構造体、又は(ii)少なくとも1つ
の第2のゾーンを通る光を拡散させる拡散構造体、例えば散乱中心の少なくとも1つを含
む、少なくとも1つの第2のゾーンと
を含む。
【0065】
第1のゾーンは、好ましくは、眼の異常屈折を矯正する処方に基づく第1の屈折力を有
するクリアエリアを表す。第2のゾーンは、拡散器、即ち正の追加度数を第1のゾーンに
存在する焦点屈折力に追加することによって得られる焦点屈折力を各々有する集束構造体
に起因して、近視デフォーカスを提供するゾーンを表す。第1のゾーンの幅は、第1のゾ
ーンの高さの少なくとも4倍であり得、特に第1のゾーンの高さの少なくとも6倍であり
得る。
【0066】
本発明の眼鏡レンズキットでは、第1のゾーンは、リーディング時、装用者の収束視線
を辿るように湾曲される。これは、例えば、第1のゾーンが鼻セグメント、即ち眼鏡レン
ズ設計に従って製造された眼鏡レンズのこめかみ側リムよりも鼻側リムに近いセグメント
と、こめがみセグメント、即ち眼鏡レンズ設計に従って製造された眼鏡レンズの鼻側リム
よりもこめかみ側リムに近いセグメントと、鼻セグメントとこめかみセグメントとの間に
配置された中央セグメントとを含むという点で達成することができる。この場合、第1の
ゾーンの曲率は、中央セグメントに対して鼻セグメントを下方にシフトすることによって
達成し得る。そのような曲率は、テキストを読んでいる間、視方向が垂直に変化する場合
、眼の上下移動及び収束に対応する。その結果、本発明の第1のゾーンの形状は、テキス
トを読む場合、眼の移動に良好に適合する。
【0067】
鼻セグメントを中央セグメントに対して下方にシフトすることへの追加又は代替として
、こめかみセグメントは、中央セグメントに対して下方にシフトされ得る。そのような曲
率は、テキストを読んでいる間、視方向が垂直に変化する場合、眼の上下移動に更に対応
する。その結果、有利な本発展形態の第1のゾーンの形状は、テキストを読む場合、眼の
移動に良好に適合する。
【0068】
本発明の上記の態様の一選択肢において、第1のゾーンの幅と高さとの比率は、以下の
条件の少なくとも1つが満たされるように予め決定される:
a)第1のゾーンの幅は、第1のゾーンの高さの少なくとも3倍であり、
b)第1のゾーンの幅は、第1のゾーンの高さの少なくとも4倍であり、
c)第1のゾーンの幅は、第1のゾーンの高さの少なくとも5倍である。
【0069】
第1のゾーンの幅が高さを超える度合いが大きくなるほど、眼のより大きい「妨げのな
い」移動が可能になるとともに、眼に対して眼鏡レンズを装用することができる近さが増
す。
【0070】
本発明のこの態様の別の選択肢において、第1のゾーンの幅と高さとの比率は、以下の
条件の少なくとも1つが満たされるように更に指定され予め決定される:
a)第1のゾーンの高さは、第1のゾーンの幅の少なくとも一部分に沿って均一であり
、前記一部分内の第1のゾーンの均一な高さは、3mm~5mmの範囲の値であり、幅の
一部分は、均一な高さの少なくとも3倍であること、
b)第1のゾーンの高さは、第1のゾーンの幅の少なくとも一部分に沿って均一であり
、前記一部分内の第1のゾーンの均一な高さは、3mm~5mmの範囲の値であり、幅の
一部分は、均一な高さの少なくとも4倍であること、
c)第1のゾーンの高さは、第1のゾーンの幅の少なくとも一部分に沿って均一であり
、前記一部分内の第1のゾーンの均一な高さは4mm~5mmの範囲の値であり、幅の一
部分は、均一な高さの少なくとも3倍であること、
d)第1のゾーンの高さは、第1のゾーンの幅の少なくとも一部分に沿って均一であり
、前記一部分内の第1のゾーンの均一な高さは4mm~5mmの範囲の値であり、幅の一
部分は、均一な高さの少なくとも4倍であること。
【0071】
第1のゾーンの幅が第1のゾーンの高さの少なくとも4倍である場合、装用者は、第1
のゾーンの高さが低い場合でも、本発明による眼鏡レンズ設計に基づく眼鏡レンズを用い
て読む場合、行中の複数の文字をクリアに見ることができる。特に、幅が高さの少なくと
も6倍である場合、更に長い言葉を全体としてクリアに見ることができる。本発明による
眼鏡レンズ設計を用いれば、前記眼鏡レンズ設計に基づく眼鏡レンズの装用者が、汚く見
える眼鏡レンズのゾーンによって邪魔されることがないか、又は邪魔があったとしてもそ
の程度が少なくとも低い。したがって、本発明による眼鏡レンズ設計に基づく近視低減眼
鏡レンズの装用の不快さは、近視進行制御機能が維持されながら、技術的現状による近視
低減眼鏡レンズよりも低い。
【0072】
本発明の眼鏡レンズ設計の有利な発展形態では、第1のゾーンの高さは、本発明の眼鏡
レンズ設計に従って製造された眼鏡レンズが装用時位置に従って配置される、即ち第1の
ゾーンの焦点屈折力が中心窩上に結像を提供するように配置される場合、垂直視角0.8
~1.5度、好ましくは1.0~1.2度、特に1.0度又は1.2度をカバーするよう
に選択される。12ptのサイズの文字を有する典型的な文字は、概ね1.0度の垂直視
角に対応するため、この発展形態により、本発明の眼鏡レンズ設計に基づく眼鏡レンズの
装用者は、文字行の幾つかの文字をクリアに見ることができ、それと同時に、大きい拡散
器ゾーン又は近視デフォーカスを提供する大きいゾーンを近視進行制御機能のために維持
することができる。
【0073】
したがって、第1のゾーンの高さは、概ね3mm~8mmの範囲であり得、一方、第1
のゾーンの幅は、概ね12mm~水平方向での眼鏡レンズの全体寸法までの範囲であり得
る。
【0074】
本発明の眼鏡レンズキットの眼鏡レンズ設計において、第1のゾーンの幅は眼鏡レンズ
設計の幅に一致し得る。この場合、第2のゾーンは、第1のゾーンを上方及び下方におい
て制限するが、鼻の方及びこめかみの方では制限しない。したがって、第1のゾーンは、
第2のゾーンによって部分的にのみ囲まれ、第1のゾーンは第2のゾーンを2つの別個の
サブゾーンに分割する。第1のゾーンの幅が眼鏡レンズ設計の幅に一致する場合、第1の
ゾーンの所与の各高さについて本発明によるレンズ設計に従って製造された眼鏡レンズの
装用者に最大のリーディング快適性を提供することができる。
【0075】
本発明の眼鏡レンズキットの眼鏡レンズ設計の第1のゾーンは、リーディング時、リー
ディングターゲットをまっすぐ見ている間、眼鏡レンズ設計に進入する光線束の中心光線
の進入点に関してオフセンターに配置され得、及び眼鏡レンズ設計が右眼又は左眼に使用
される眼鏡レンズのためのものである場合、こめかみの方にシフトされ得、且つ眼鏡レン
ズ設計がそれぞれの他方の眼に使用される眼鏡レンズのためのものである場合、鼻の方に
シフトされ得る。眼鏡レンズ設計が右眼に使用される眼鏡レンズのためのものである場合
、第1のゾーンがこめかみの方にシフトされるとき、眼鏡レンズは、左から右に読むとき
の眼の移動に適合される。他方、眼鏡レンズ設計が左眼に使用される眼鏡レンズのための
ものである場合、第1のゾーンがこめかみの方にシフトされるとき、眼鏡レンズは右から
左に読む方向に適合される。リーディング時の眼の移動にこのように適合される眼鏡レン
ズ設計は、リーディング時の快適性の向上に繋がる。
【0076】
オフセンターシフト(例えば左から右へのリーディング作業では右方向への)は、0.
5cmを超え、好ましくは0.6cmを超え、より好ましくは0.7cmを超え、更に0
.8cmを超え得る。しかしながら、オフセンターシフトは好ましくは1.5cmを超え
ない。好ましくは、オフセンターシフトは0.5~1.2cmであり得る。
【0077】
本発明の第1の態様によれば、以下の種類のデータの少なくとも1つの種類を含むデー
タセットも提供される:(i)本発明の第1の態様による眼鏡レンズ設計の数値表現、及
び(ii)本発明の第1の態様による眼鏡レンズ設計に従って眼鏡レンズを生成するよう
に1つ又は複数の製造機械を制御するためのコンピュータ可読命令を含むデータ。そのよ
うなデータセットは、眼鏡レンズ設計に基づいて眼鏡レンズを製造するためにコンピュー
タ数値制御製造プロセスで使用することができる。
【0078】
本発明の第1の態様によれば、以下の種類の少なくとも1つの種類のデータを搬送する
データ搬送信号も提供される:(i)本発明の第1の態様による眼鏡レンズキットによる
眼鏡レンズ設計の数値表現、及び(ii)本発明の第1の態様による眼鏡レンズ設計に従
って眼鏡レンズを生成するように1つ又は複数の製造機械を制御するためのコンピュータ
可読命令を含むデータ。そのようなデータ搬送信号は、例えば、ネットワークを介してク
ラウドサーバにより提供し得、眼鏡レンズ設計に基づいて眼鏡レンズを製造するためにコ
ンピュータ数値制御製造プロセスで使用することができる。
【0079】
本発明の第2の態様によれば、所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して配置され
る眼鏡レンズを設計するコンピュータ実施方法及び眼鏡レンズを製造する方法が提供され
る。本方法は、
- 眼鏡レンズが装用時位置に従って配置されるとき、中心窩上に結像を提供する焦点
屈折力を有する眼鏡レンズ又は眼鏡レンズの数値表現を提供するステップと、
- 眼鏡レンズの前記数値表現において、(i)眼鏡レンズが装用時位置に従って配置
されるとき、近視デフォーカスをもたらす焦点屈折力を提供する集束構造体、若しくは(
ii)光を拡散させる拡散構造体、例えば散乱中心の少なくとも1つを有するゾーンを設
計するか、又は前記眼鏡レンズのゾーンにおいて、(i)眼鏡レンズが装用時位置に従っ
て配置されるとき、近視デフォーカスをもたらす焦点屈折力を提供する集束構造体、若し
くは(ii)光を拡散させる拡散構造体、例えば散乱中心の少なくとも1つを形成するス
テップであって、前記ゾーンは、眼鏡レンズが装用時位置に従って配置されるとき、中心
窩上に結像を提供する焦点屈折力を有する第1のゾーンを、それを少なくとも部分的に囲
むことによって画定する第2のゾーンとして形成される、ステップと
を含む。
【0080】
本発明によれば、第2のゾーンは、少なくとも部分的に囲む第2のゾーンによって画定
される第1のゾーンが、リーディング時、装用者の収束視線を辿るように湾曲されるよう
に、眼鏡レンズの前記数値表現において設計されるか、又は前記眼鏡レンズにおいて形成
される。これは、第1のゾーンが鼻セグメント、即ち製造される眼鏡レンズのこめかみ側
リムよりも鼻側リムの近くにあるセグメントと、こめかみセグメント、即ち製造される眼
鏡レンズの鼻側リムよりもこめかみ側リムの近くにあるセグメントと、鼻セグメントとこ
めかみセグメントとの間に配置された中央セグメントとを含むように第2のゾーンを設計
又は形成することにより達成し得る。この場合、第1のゾーンの曲率は、中央セグメント
に対する鼻セグメント及び/又はこめかみセグメントの下方シフトにより達成し得る。そ
のような曲率は、テキストを読んでいる間、視方向が垂直に変化する場合の眼の上下移動
に対応する。その結果、本発明の第1のゾーンの形状は、テキストを読んでいるとき、眼
の移動に良好に適合する。
【0081】
本発明の方法により設計又は製造された本発明による眼鏡レンズにおいて、第1のゾー
ンは、好ましくは、眼の異常屈折を矯正する処方に基づく第1の屈折力を有するクリアエ
リアを表す。第2のゾーンは、拡散器、即ち正の追加度数を第1のゾーンに存在する焦点
屈折力に追加することによって得られる焦点屈折力を各々有する集束構造体に起因して、
近視デフォーカスを提供するゾーンを表す。本発明の方法により設計又は製造された眼鏡
レンズにおいて、第1のゾーンの幅が第1のゾーンの高さの少なくとも4倍である場合、
装用者は、第1のゾーンの高さが低い場合でも、眼鏡レンズを用いて読む場合、行中の複
数の文字をクリアに見ることができる。特に、幅が高さの少なくとも6倍である場合、更
に長い言葉を全体としてクリアに見ることができる。このように設計された眼鏡レンズを
用いれば、そのような眼鏡レンズの装用者は、上記の眼鏡レンズ設計に基づく眼鏡レンズ
の装用者が、汚く見える眼鏡レンズのゾーンによって邪魔されることがないか、又は邪魔
があったとしてもその程度が少なくとも低い。したがって、本発明による方法により製造
された近視低減眼鏡レンズの装用の不快さは、近視進行制御機能が維持されながら、技術
的現状による近視低減眼鏡レンズよりも低い。
【0082】
第2のゾーンは、少なくとも部分的に囲む第2のゾーンによって画定される第1のゾー
ンが、眼鏡レンズが装用時位置に従って配置されるとき、0.8~1.5度の垂直視角を
カバーするような寸法を有するように設計又は形成し得る。特に、第2のゾーンは、少な
くとも部分的に囲む第2のゾーンによって画定される第1のゾーンが1.0~1.2度、
例えば1.0度又は1.2度の垂直視角をカバーするような寸法を有するように設計又は
形成し得る。12ptのサイズの文字を有する典型的な文字は、概ね1.0度の垂直視角
に対応するため、そのような第1のゾーンにより、本発明による方法により製造された眼
鏡レンズの装用者は、テキストの行の幾つかの文字をクリアに見ることができ、それと同
時に、大きい拡散器ゾーン又は近視デフォーカスを提供する大きいゾーンを近視進行制御
機能のために維持することができる。
【0083】
本発明による方法の有利な発展形態において、第2のゾーンは、少なくとも部分的に囲
む第2のゾーンによって画定される第1のゾーンが眼鏡レンズの幅に一致するように設計
又は形成される。この場合、第2のゾーンは、第1のゾーンを上方及び下方において制限
するが、鼻の方及びこめかみの方では制限しない。したがって、第1のゾーンは、第2の
ゾーンによって部分的にのみ囲まれ、第1のゾーンは第2のゾーンを2つの別個のサブゾ
ーンに分割する。第1のゾーンの幅が眼鏡レンズの幅に一致する場合、第1のゾーンの所
与の各高さについて前記眼鏡レンズの装用者に最大のリーディング快適性を提供すること
ができる。この発展形態では、第1のゾーンを囲む第2のゾーンは別個のサブゾーンを有
する。
【0084】
本発明による方法の更なる有利な発展形態において、第2のゾーンは、少なくとも部分
的に囲む第2のゾーンによって画定される第1のゾーンの幾何中心が、リーディング時、
リーディングターゲットをまっすぐ見ている間、眼鏡レンズに進入する光線束の中心光線
の進入点に対して少なくとも垂直のオフセンターに配置されるように設計又は形成される
。第1のゾーンは、眼鏡レンズが右眼又は左眼に使用される場合、こめかみの方にシフト
され得、且つ眼鏡レンズがそれぞれの他方の眼に使用される場合、鼻の方にシフトされ得
る。眼鏡レンズが右眼に使用される場合、第1のゾーンがこめかみの方にシフトされると
き、眼鏡レンズは、左から右に読むときの眼の移動に適合される。他方、眼鏡レンズ設計
が、左眼に使用される眼鏡レンズのためのものである場合、第1のゾーンがこめかみの方
にシフトされるとき、眼鏡レンズは右から左に読む方向に適合される。このようにリーデ
ィング時の眼の移動に適合された眼鏡レンズ設計は、リーディング時の快適性の向上に繋
がる。
【0085】
本発明の第3の態様によれば、眼鏡レンズの眼鏡レンズ設計が提供され、眼鏡レンズ設
計は、
- 単焦点屈折力を提供する第1のゾーンと、
- 第1のゾーンを少なくとも部分的に囲む少なくとも1つの第2のゾーンであって、
(i)第1のゾーンの焦点屈折力よりも大きい焦点屈折力を提供する集束構造体、又は(
ii)少なくとも1つの第2のゾーンを通る光を拡散させる拡散構造体の少なくとも1つ
を含む、少なくとも1つの第2のゾーンと
を含む。集束構造体の焦点屈折力は、第1のゾーンの焦点屈折力よりも少なくとも0.5
dpt高い値であり得る。
【0086】
本発明の第3の態様によれば、第1のゾーンは、鼻セグメント、こめかみセグメント及
び鼻セグメントとこめかみセグメントとの間に配置された中央セグメントを含み、鼻セグ
メント及びこめかみセグメントの少なくとも1つは、中央セグメントに対して下方にシフ
トされ得る。特に、鼻セグメント及びこめかみセグメントの両方は、中央セグメントに対
して下方にシフトされ得る。シフトは、テキストを読んでいる間、視方向が垂直に変化す
るとき、眼の上下移動及び収束に対応する第1のゾーンの曲率を提供する。その結果、本
発明の第1のゾーンの形状は、テキストを読む場合、眼の移動に良好に適合する。この効
果は、鼻セグメント及びこめかみセグメントの両方が中央セグメントに対して下方にシフ
トされる場合に特に顕著である。
【0087】
本発明の第3の態様の一選択肢において、第1のゾーンの幅と高さとの比率は、以下の
条件:
a)第1のゾーンの幅は、第1のゾーンの高さの少なくとも3倍であること、
b)第1のゾーンの幅は、第1のゾーンの高さの少なくとも4倍であること、
c)第1のゾーンの幅は、第1のゾーンの高さの少なくとも5倍であること
の少なくとも1つが満たされるように予め決定される。
【0088】
第1のゾーンの幅が高さを超える度合いが大きくなるほど、眼のより大きい「妨げのな
い」移動が可能になるとともに、眼に対して眼鏡レンズを装用することができる近さが増
す。
【0089】
本発明の第3の態様の別の選択肢において、第1のゾーンの幅と高さとの比率は、以下
の条件:
a)第1のゾーンの高さは、第1のゾーンの幅の少なくとも一部分に沿って均一であり
、前記一部分内の第1のゾーンの均一な高さは、3mm~5mmの範囲の値であり、幅の
一部分は、均一な高さの少なくとも3倍であること、
b)第1のゾーンの高さは、第1のゾーンの幅の少なくとも一部分に沿って均一であり
、前記一部分内の第1のゾーンの均一な高さは、3mm~5mmの範囲の値であり、幅の
一部分は、均一な高さの少なくとも4倍であること、
c)第1のゾーンの高さは、第1のゾーンの幅の少なくとも一部分に沿って均一であり
、前記一部分内の第1のゾーンの均一な高さは4mm~5mmの範囲の値であり、幅の一
部分は、均一な高さの少なくとも3倍であること、
d)第1のゾーンの高さは、第1のゾーンの幅の少なくとも一部分に沿って均一であり
、前記一部分内の第1のゾーンの均一な高さは4mm~5mmの範囲の値であり、幅の一
部分は、均一な高さの少なくとも4倍であること
の少なくとも1つが満たされるように更に指定され予め決定される。
【0090】
第1のゾーンの幅は、例えば、第1のゾーンの高さの少なくとも4倍であり得、特に第
1のゾーンの高さの少なくとも6倍であり得る。更に、第1のゾーンの幅は眼鏡レンズ設
計の幅に一致し得る。本発明の方法の第3の態様により設計又は製造された眼鏡レンズに
おいて、第1のゾーンの幅が第1のゾーンの高さの少なくとも4倍である場合、装用者は
、第1のゾーンの高さが低い場合でも、本眼鏡レンズを用いて読む場合、行中の複数の文
字をクリアに見ることができる。特に、幅が高さの少なくとも6倍であるか、又は眼鏡レ
ンズ設計の幅に一致さえする場合、更に長い言葉を全体としてクリアに見ることもできる
。このように設計された眼鏡レンズを用いれば、そのような眼鏡レンズの装用者は、汚く
見える眼鏡レンズのゾーンによって邪魔されることがないか、又は邪魔があったとしても
その程度が少なくとも低い。したがって、本発明による方法により製造された近視低減眼
鏡レンズの装用の不快さは、近視進行制御機能が維持されながら、技術的現状による近視
低減眼鏡レンズよりも低い。
【0091】
本発明の第3の態様によれば、以下の種類のデータの少なくとも1つの種類を含むデー
タセットも提供される:(i)本発明の第3の態様による眼鏡レンズ設計の数値表現、及
び(ii)本発明の第3の態様による眼鏡レンズ設計に従って眼鏡レンズを生成するよう
に1つ又は複数の製造機械を制御するためのコンピュータ可読命令を含むデータ。そのよ
うなデータセットは、眼鏡レンズ設計に基づいて眼鏡レンズを製造するコンピュータ数値
制御製造プロセスに使用することができる。
【0092】
本発明の第3の態様によれば、以下の種類のデータの少なくとも1つの種類を搬送する
データ搬送信号も提供される:(i)本発明の第3の態様による眼鏡レンズ設計の数値表
現、及び(ii)本発明の第3の態様による眼鏡レンズ設計に従って眼鏡レンズを生成す
るように1つ又は複数の製造機械を制御するためのコンピュータ可読命令を含むデータ。
そのようなデータ搬送信号は、例えば、ネットワークを介してクラウドサーバにより提供
し得、眼鏡レンズ設計に基づいて眼鏡レンズを製造するコンピュータ数値制御製造プロセ
スで使用することができる。
【0093】
本発明の第4の態様によれば、眼鏡レンズを設計するコンピュータ実施方法及び眼鏡レ
ンズを製造する方法が提供される。
【0094】
眼鏡レンズを設計するコンピュータ実施方法は、単焦点屈折力を有する眼鏡レンズの数
値表現を提供するステップと、眼鏡レンズの前記数値表現において、(i)第1のゾーン
の焦点屈折力よりも大きい焦点屈折力を提供する集束構造体、又は(ii)光を拡散させ
る拡散構造体の少なくとも1つを有するゾーンを設計するステップであって、前記ゾーン
は、眼鏡レンズの提供された数値表現の焦点屈折力を有する第1のゾーンを、それを少な
くとも部分的に囲むことによって画定する第2のゾーンを形成するように設計される、ス
テップとを含む。第2のゾーンは、第1のゾーンが鼻セグメント、こめかみセグメント及
び鼻セグメントとこめかみセグメントとの間に配置された中央セグメントを含むように設
計され、鼻セグメント及びこめかみセグメントの少なくとも1つは、中央セグメントに対
して下方にシフトされる。特に、第2のゾーンは、鼻セグメント及びこめかみセグメント
の両方が中央セグメントに対して下方にシフトされるように設計し得る。
【0095】
眼鏡レンズを製造する方法は、単焦点屈折力を有する眼鏡レンズのステップと、前記眼
鏡レンズのゾーンにおいて、(i)第1のゾーンの焦点屈折力よりも大きい焦点屈折力を
提供する集束構造体、又は(ii)光を拡散させる拡散構造体の少なくとも1つを形成す
るステップであって、前記ゾーンは、提供された眼鏡レンズの焦点屈折力を有する第1の
ゾーンを、それを少なくとも部分的に囲むことによって画定する第2のゾーンとして形成
される、ステップとを含む。第2のゾーンは、第1のゾーンが鼻セグメント、こめかみセ
グメント及び鼻セグメントとこめかみセグメントとの間に配置された中央セグメントを含
むように形成され、鼻セグメント及びこめかみセグメントの少なくとも1つは、中央セグ
メントに対して下方にシフトされる。特に、第2のゾーンは、鼻セグメント及びこめかみ
セグメントの両方が中央セグメントに対して下方にシフトされるように形成し得る。
【0096】
鼻セグメント及び/又はこめかみセグメントのシフトは、テキストを読んでいる間、視
方向が垂直に変化する場合、眼の上下移動及び収束に対応する第1のゾーンの曲率を提供
する。その結果、本発明の第1のゾーンの形状は、テキストを読む場合、眼の移動に良好
に適合する。この効果は、鼻セグメント及びこめかみセグメントの両方が中央セグメント
に対して下方にシフトされる場合に特に顕著である。
【0097】
眼鏡レンズを設計するコンピュータ実施方法及び眼鏡レンズを製造する方法において、
第2のゾーンは、少なくとも部分的に囲む第2のゾーンによって画定される第1のゾーン
が、設計された眼鏡レンズが装用時位置に従って配置されるとき、0.8~1.5度の垂
直視角をカバーするような寸法を有するように設計又は形成し得る。特に、第2のゾーン
は、少なくとも部分的に囲む第2のゾーンによって画定される第1のゾーンが1.0~1
.2度、例えば1.0度又は1.2度の垂直視角をカバーするような寸法を有するように
設計又は形成し得る。12ptのサイズの文字を有する典型的な文字は、概ね1.0度の
垂直視角に対応するため、そのような第1のゾーンにより、装用者は、テキストの行の幾
つかの文字をクリアに見ることができ、それと同時に、大きい拡散器ゾーン又は近視デフ
ォーカスを提供する大きいゾーンを近視進行制御機能のために維持することができる。
【0098】
更に、眼鏡レンズを設計するコンピュータ実施方法及び眼鏡レンズを製造する方法にお
いて、第2のゾーンは、第1のゾーンの幅が眼鏡レンズ設計の幅に一致するように設計又
は形成し得る。第1のゾーンの幅が眼鏡レンズの幅に一致する場合、第1のゾーンの所与
の各高さについて前記眼鏡レンズの装用者に最大のリーディング快適性を提供することが
できる。
【0099】
更に、眼鏡レンズを設計するコンピュータ実施方法及び眼鏡レンズを製造する方法にお
いて、第2のゾーンは、第1のゾーンの幾何中心が、リーディング時、リーディングター
ゲットをまっすぐ見ている間、眼鏡レンズに進入する光線束の中心光線の進入点に対して
少なくとも垂直のオフセンターに配置され、及び設計された眼鏡レンズが右眼又は左眼に
使用される場合、こめかみの方にシフトされ、且つ設計された眼鏡レンズがそれぞれの他
方の眼に使用される場合、鼻の方にシフトされるように設計し得る。眼鏡レンズが右眼に
使用される場合、第1のゾーンがこめかみの方にシフトされるとき、眼鏡レンズは、左か
ら右に読むときの眼の移動に適合される。他方、眼鏡レンズ設計が、左眼に使用される眼
鏡レンズのためのものである場合、第1のゾーンがこめかみの方にシフトされるとき、眼
鏡レンズは右から左に読む方向に適合される。このようにリーディング時の眼の移動に適
合された眼鏡レンズ設計は、リーディング時の快適性の向上に繋がる。
【0100】
第3の態様による眼鏡レンズ設計の更なる発展形態は、本発明の第1の態様による眼鏡
レンズ設計の更なる発展形態と同じであり得る。
【0101】
本発明の更なる特徴、特性及び利点は、添付図面と併せて本発明の例示的な実施形態の
以下の説明から明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【
図1】眼鏡レンズの幅に一致する幅を有する第1のゾーンを有する眼鏡の例示的な一実施形態を示す。
【
図2】楕円形であり、第1のゾーンの高さの少なくとも4倍である幅を有する第1のゾーンを有する眼鏡の例示的な一実施形態を示す。
【
図3】楕円形であり、第1のゾーンの高さの少なくとも4倍である幅を有する第1のゾーンを有する眼鏡の別の例示的な一実施形態を示す。
【
図4】眼鏡レンズの幅に一致する幅を有する第1のゾーンを有する眼鏡の別の例示的な実施形態を示す。
【
図5】眼鏡レンズの幅に一致する幅を有する第1のゾーンを有する眼鏡の更に別の例示的な実施形態を示す。
【
図6】眼鏡レンズの幅に一致する幅を有する第1のゾーンを有する眼鏡の更に別の例示的な実施形態を示す。
【
図7】眼鏡レンズを製造する方法の例示的な一実施形態を表すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0103】
本発明によるレンズ設計に基づく眼鏡レンズの例示的な実施形態について
図1~
図6に
関連して説明する。例示的な実施形態の眼鏡レンズは、第1のゾーンと、第1のゾーンを
少なくとも部分的に囲む第2のゾーンとをそれぞれ含む。第1のゾーンは、リーディング
時、装用者の収束視線を辿るように湾曲される。
【0104】
代替の実施形態では、第1のゾーンの幅は、第1のゾーンの高さの少なくとも4倍であ
るが、幾つかの例示的な実施形態では、第1のゾーンは眼鏡レンズの全幅に及び、即ち眼
鏡レンズのこめかみ側リムから眼鏡レンズの鼻側リムに及ぶ。第1のゾーンが眼鏡レンズ
の全幅に及ぶこれらの例示的な実施形態では、第2のゾーンは、第1のゾーンを部分的に
のみ囲み、第1のゾーンにより2つの別個のサブゾーンに分割される。例示的な実施形態
は、第1のゾーンがオフセンターに配置されるような眼鏡レンズ及び第1のゾーンが湾曲
されるような眼鏡レンズも含む。しかしながら、例示的な実施形態に記載の第1のゾーン
の場所及びジオメトリは排他的ではない。各第1のゾーンの高さの少なくとも4倍の幅を
有する第1のゾーンに可能な更なる場所及びジオメトリを当業者ならば考案するであろう
。
【0105】
本発明による眼鏡レンズ設計の第1の例示的な実施形態について
図1に関連して説明し
、
図1は、本発明による眼鏡レンズ設計の第1の例示的な実施形態により製造された眼鏡
レンズ2を有する眼鏡1を平面図で示す。眼鏡レンズ2は、第1の例示的な実施形態の眼
鏡レンズ設計の代表と見なすことができる。
【0106】
例示的な本実施形態では、眼鏡1は、装用者の右眼に1枚、左眼に1枚という2枚の単
視眼鏡レンズ2を備える。2枚の眼鏡レンズ2は眼鏡フレーム3に取り付けられ、眼鏡フ
レーム3のブリッジ7によって隔てられる。近視装用者に起因して、眼鏡レンズ2は装用
者の処方に従って完全矯正を提供するように設計される。したがって、眼鏡レンズ2はマ
イナスレンズである。
【0107】
各眼鏡レンズ2は、物体を見るためのクリアゾーンに類似する第1のゾーン4を含む。
換言すれば、第1のゾーン4は、装用者の眼の網膜の中心窩ゾーンにクリアな像を提供す
る。
【0108】
この第1のゾーン4は、眼鏡レンズ2の全幅に及び、即ち垂直方向において全寸法dv
に及び、垂直方向において第2のゾーンによって囲まれ、第2のゾーンは、例示的な本実
施形態では、第1のゾーン4により互いから隔てられた2つのサブゾーンであるゾーン5
a、5bからなる。サブゾーンであるゾーン5a、5bは散乱光学特性を提供する。した
がって、例示的な本実施形態の第2のゾーン、即ちそのサブゾーン5a、5bは、2つの
拡散器サブゾーンを有する拡散器ゾーンを形成する。第2のゾーンのサブゾーン5a、5
bはストライブ形であり、複数のドット形散乱中心6を備える。物理学における散乱は、
一般に、別の局部物体、即ち散乱中心との相互作用を通した物体の偏向を意味するものと
理解される。本事例では、散乱は、所定の集束又は複数の所定の集束に繋がらないが、ク
リアな第1のゾーン4を通して見る場合と比較してコントラスト低減を装用者に提供する
入力光の非指向性の任意の偏向を意味するものとする。
【0109】
例示的な本実施形態では、第1のゾーン4の高さは、第2のゾーンのサブゾーン5aと
5bとの間の垂直距離により与えられ、眼鏡レンズ2が専用装用時位置に従って装用され
る場合、約1.2度の垂直視角を可能にするように選択される。そのような視角は、12
ptの文字をクリアに見られるようにする。第1のゾーン4は眼鏡レンズ2の全幅に及ぶ
ことに起因して、行中の文字のクリアな視覚は第2のゾーンによって妨げられず、リーデ
ィング時、例えば、国際公開第2010/075319A2号パンフレット、国際公開第
2018/026697A1号パンフレット、国際公開第2019/152438A1号
パンフレット及び国際公開第2020/014613A1号パンフレットにそれぞれ記載
のように円形ゾーンのクリア視覚を有する技術的現況の眼鏡レンズと比較して快適性を上
げる。
【0110】
第1のゾーン4は、鼻セグメント4a、即ち眼鏡レンズの鼻側リム8に向かって配置さ
れるセグメント、こめかみセグメント4b、即ち眼鏡レンズのこめかみ側リム9に向かっ
て配置されるセグメント、鼻セグメント4aとこめかみセグメント4bとの間に配置され
た中央セグメント4cを含む。第1のゾーン4は、鼻セグメント4a及びこめかみセグメ
ント4bが中央セグメント4cに対して下方にシフトされるように湾曲される。第1のゾ
ーン4の曲率は、装用者が装用者の網膜からリーディング距離における、装用者の前方の
平面に本を保持し、本の行を読むときに眼を左から右に動かす場合、近距離で本を読むと
きの装用者の視線に適合される。湾曲した第1のゾーン4を用いることで、第1のゾーン
の高さが、12ptのサイズの文字を読めるようにするだけの垂直視角のみを可能にする
場合でも、第2のゾーン5aにより誘導される拡散に起因して、行を読むとき、眼の移動
中、現在読んでいる行の一部分のコントラストが低下することを回避することができる。
【0111】
本発明による眼鏡レンズ設計の第2の例示的な実施形態について
図2に関連して説明し
、
図2は、本発明による眼鏡レンズ設計の第2の例示的な実施形態により製造された眼鏡
レンズ12を有する眼鏡11を平面図で示す。眼鏡レンズ12は、第2の例示的な実施形
態の眼鏡レンズ設計の代表と見なすことができる。
【0112】
例示的な本実施形態では、眼鏡11は、装用者の右眼に1枚、左眼に1枚という2枚の
単視眼鏡レンズ12を備える。2枚の眼鏡レンズ12は眼鏡フレーム13に取り付けられ
、眼鏡フレーム13のブリッジ17によって隔てられる。近視装用者に起因して、眼鏡レ
ンズ12は装用者の処方と比較して矯正不足を提供するように設計される。したがって、
眼鏡レンズ12はゼロ又はマイナスレンズであり得る。
【0113】
各眼鏡レンズ12は、物体を見るためのクリアゾーンに類似する第1のゾーン14を含
む。換言すれば、第1のゾーン14は、装用者の眼の網膜の中心窩ゾーンにクリアな像を
提供する。この第1のゾーンは第2のゾーン15によって囲まれ、第2のゾーン15は、
第1の例示的な実施形態における第2のゾーンのサブゾーン5a、5bのように、散乱光
学特性を提供し、したがって拡散器ゾーンとして見ることができる。第2のゾーン5は、
複数のドット形散乱中心16を備え、第1のゾーン14を完全に囲み、したがって、第1
のゾーン14は、第2のゾーン15におけるアパーチャとして見ることができる。
【0114】
第1のゾーン14を囲むことにより、第2のゾーン15は、第1のゾーン14の形状及
び広がりを画定する。例示的な本実施形態では、第1のゾーン14は、楕円形を有し、幅
、即ち水平方向における寸法dhは、高さを超える、即ち垂直方向における寸法dvの4
倍である。第1のゾーン14の高さは、眼鏡レンズ12が専用装用時位置に従って装用さ
れる場合、約1.2度の垂直視角、即ち12ptのサイズの文字のクリアな視覚を可能に
する視角を可能にするように選択される。第1のゾーンの幅は、眼を動かさずに、第1の
ゾーン14を通して短い長さから中程度の長さの言葉をクリアに見られるようにする約4
.8度の水平視角を提供し、それにより、例えば、国際公開第2010/075319A
2号パンフレット、国際公開第2018/026697A1号パンフレット、国際公開第
2019/152438A1号パンフレット及び国際公開第2020/014613A1
号パンフレットにそれぞれ記載のように円形クリアゾーンを有する技術的現況の眼鏡レン
ズと比較してリーディング時の快適性を上げる。
【0115】
第1のゾーン14は、鼻セグメント14a、即ち眼鏡レンズの鼻側リム18に向かって
配置されるセグメント、こめかみセグメント14b、即ち眼鏡レンズのこめかみ側リム1
9に向かって配置されるセグメント、鼻セグメント14aとこめかみセグメント14bと
の間に配置された中央セグメント14cを含む。第1のゾーン14は、鼻セグメント14
a及びこめかみセグメント14bが中央セグメント14cに対して下方にシフトされるよ
うに湾曲される。第1のゾーン14の曲率は、装用者が装用者の網膜からリーディング距
離における、装用者の前方の平面に本を保持し、本の行を読むときに眼を左から右に動か
す場合、近距離で本を読むときの装用者の視線に適合される。湾曲した第1のゾーン14
を用いることで、第1のゾーンの高さが、12ptのサイズの文字を読めるようにするだ
けの垂直視角のみを可能にする場合でも、第2のゾーン15aにより誘導される拡散に起
因して、行を読むとき、眼の移動中、現在読んでいる行の一部分のコントラストが低下す
ることを回避することができる。
【0116】
本発明による眼鏡レンズ設計の第3の例示的な実施形態について
図3に関連して説明し
、
図3は、本発明による眼鏡レンズ設計の第3の例示的な実施形態により製造された眼鏡
レンズ22を有する眼鏡21を平面図で示す。眼鏡レンズ22は、第3の例示的な実施形
態の眼鏡レンズ設計の代表と見なすことができる。
【0117】
例示的な本実施形態では、眼鏡21は、装用者の右眼に1枚、左眼に1枚という2枚の
単視眼鏡レンズ22を備える。2枚の眼鏡レンズ22は眼鏡フレーム23に取り付けられ
、眼鏡フレーム23のブリッジ27によって隔てられる。近視装用者に起因して、眼鏡レ
ンズ22は装用者の処方に従って完全矯正を提供するように設計される。したがって、眼
鏡レンズ22はマイナスレンズであり得る。
【0118】
各眼鏡レンズ22は、物体を見るためのクリアゾーンに類似する第1のゾーン24を含
む。換言すれば、第1のゾーン24は、装用者の眼の網膜の中心窩ゾーンにクリアな像を
提供する。この第1のゾーンは第2のゾーン25によって完全に囲まれ、第2のゾーン2
5は、第1のゾーン24を通してまっすぐ前を見ている人に周辺近視デフォーカスを提供
する。周辺近視デフォーカスは、各々が追加の焦点屈折力を眼鏡レンズ22の焦点屈折力
に追加する複数のマイクロレンズ26を使用することによって達成される。追加度数は、
眼鏡レンズ22が専用装用時位置に従って使用される場合、装用者の中心窩の前方に鮮鋭
像が形成されるように選択される。
【0119】
例示的な本実施形態では、マイクロレンズ26は2本の概念的な同心楕円形線に沿って
分布する。最小寸法を有する楕円形線に沿って分布するマイクロレンズ26は、第1のゾ
ーン24を形成する楕円形のクリアアパーチャを囲む。したがって、第1のゾーン、特に
その形状及びサイズは第2のゾーンによって画定される。なお、
図3では、楕円形線は、
楕円形線に沿ったマイクロレンズ26の分布を示すためにのみ示されており、楕円形線は
眼鏡レンズ22に物理的に存在しない。
【0120】
例示的な本実施形態では、楕円形の第1のゾーン24は、その高さを超える、即ち垂直
方向における寸法dvの4倍の幅、即ち水平方向における寸法dhを有する。第1のゾー
ン24の高さは、約1.0度の垂直視角を可能にするように選択される。眼鏡レンズ2が
専用装用時位置に従って装用される場合、そのような視角はなお、12ptのサイズの文
字のクリアな視覚を可能にする。第1のゾーンの幅は、眼を動かさずに、第1のゾーン2
4を通して少なくとも短い言葉をクリアに見られるようにする約4度の水平視角を提供し
、それにより、例えば、国際公開第2010/075319A2号パンフレット、国際公
開第2018/026697A1号パンフレット、国際公開第2019/152438A
1号パンフレット及び国際公開第2020/014613A1号パンフレットにそれぞれ
記載のように円形クリアゾーンを有する技術的現況の眼鏡レンズと比較してリーディング
時の快適性を上げる。
【0121】
更に、例示的な本実施形態では、第1及び第2のゾーン24、25は、右眼鏡レンズ、
即ち右眼のための眼鏡レンズでは眼鏡レンズ22のこめかみ側リムに向かってシフトされ
、左眼鏡レンズ22、即ち左眼のための眼鏡レンズでは眼鏡レンズ22の鼻側リムに向か
ってシフトされる。なお、図は、装用者が眼鏡レンズを通して見るような眼鏡レンズを示
す。したがって、全図で右眼の眼鏡レンズは右側に示されており、左眼の眼鏡レンズは左
側に示されている。上述したように第1のゾーン24をシフトすることにより、第1のゾ
ーン24は、テキストを左から右に読むためにリーディング方向にシフトする。眼鏡レン
ズが、リーディング方向が右から左である国々に向けて設計される場合、第1及び第2の
ゾーン24、25は、右眼鏡レンズでは眼鏡レンズ22の鼻側リムに向かってシフトされ
、左眼鏡レンズ22では眼鏡レンズ22のこめかみ側リムに向かってシフトされることに
なる。第1及び第2のゾーン24、25のシフトはリーディングの快適さを改善する。第
1及び第2のゾーンは例示的な本実施形態ではシフトされているが、特に第2のゾーンが
第1のゾーン外の眼鏡レンズの相当量又は全体に及ぶ場合、第1のゾーンのみをシフトさ
せることが可能であることに留意されたい。
【0122】
第1のゾーン24は、鼻セグメント24a、即ち眼鏡レンズの鼻側リム28に向かって
配置されるセグメント、こめかみセグメント24b、即ち眼鏡レンズのこめかみ側リム2
9に向かって配置されるセグメント、鼻セグメント24aとこめかみセグメント24bと
の間に配置された中央セグメント24cを含む。第1のゾーン24は、鼻セグメント24
a及びこめかみセグメント24bが中央セグメント24cに対して下方にシフトされるよ
うに湾曲される。第1のゾーン24の曲率は、装用者が装用者の網膜からリーディング距
離における、装用者の前方の平面に本を保持し、本の行を読むときに眼を左から右に動か
す場合、近距離で本を読むときの装用者の視線に適合される。湾曲した第1のゾーン24
を用いることで、第1のゾーンの高さが、12ptのサイズの文字を読めるようにするだ
けの垂直視角のみを可能にする場合でも、第2のゾーン25aにより誘導される拡散に起
因して、行を読むとき、眼の移動中、現在読んでいる行の一部分のコントラストが低下す
ることを回避することができる。
【0123】
本発明による眼鏡レンズ設計の第4の例示的な実施形態について
図4に関連して説明し
、
図4は、本発明による眼鏡レンズ設計の第4の例示的な実施形態により製造された眼鏡
レンズ32を有する眼鏡31を平面図で示す。眼鏡レンズ32は、第4の例示的な実施形
態の眼鏡レンズ設計の代表と見なすことができる。
【0124】
例示的な本実施形態では、眼鏡31は、装用者の右眼に1枚、左眼に1枚という2枚の
単視眼鏡レンズ32を備える。2枚の眼鏡レンズ32は眼鏡フレーム33に取り付けられ
、眼鏡フレーム33のブリッジ37によって隔てられる。近視装用者に起因して、眼鏡レ
ンズ32は装用者の処方と比較して矯正不足を提供するように設計される。したがって、
眼鏡レンズ32は、マイナスレンズである。
【0125】
本実施形態例は第1の例示的な実施形態と同様である。各眼鏡レンズ32は、物体を見
るためのクリアゾーンに類似する第1のゾーン34を含む。換言すれば、第1のゾーン3
4は、装用者の眼の網膜の中心窩ゾーンにクリアな像を提供する。第1の例示的な実施形
態でのように、例示的な本実施形態の第1のゾーン34は眼鏡レンズ32の全幅に及び、
即ち垂直方向における全寸法dvに及び、垂直方向において第2のゾーンによって囲まれ
、第2のゾーンは、第1のゾーン34により互いから隔てられる2つのサブゾーンである
ゾーン35a、35bからなる。サブゾーンであるゾーン35a、35bは散乱光学特性
を提供する。したがって、例示的な本実施形態の第2のゾーン、即ちサブゾーン5a、5
bは、2つの拡散器サブゾーンを有する拡散器ゾーンを形成する。第1の例示的な実施形
態でのように、第2のゾーンのサブゾーン35a、35bはストライブ形である。しかし
ながら、第1の例示的な実施形態と異なり、サブゾーン35a、35bは複数のドット形
散乱中心を含まず、複数の線形散乱中心36を含む。
【0126】
例示的な本実施形態では、第1のゾーン34の高さは、第2のゾーンのサブゾーン35
aと35bとの間の垂直距離により与えられ、眼鏡レンズ2が専用装用時位置に従って装
用される場合、約1.2度の垂直視角を可能にするように選択される。そのような視角は
、12ptの文字をクリアに見られるようにする。第1のゾーン14は眼鏡レンズ2の全
幅に及ぶことに起因して、行中の文字のクリアな視覚は第2のゾーンによって妨げられず
、リーディング時、例えば、国際公開第2010/075319A2号パンフレット、国
際公開第2018/026697A1号パンフレット、国際公開第2019/15243
8A1号パンフレット及び国際公開第2020/014613A1号パンフレットにそれ
ぞれ記載のように円形ゾーンのクリア視覚を有する技術的現況の眼鏡レンズと比較して快
適性を上げる。
【0127】
第1のゾーン34は、鼻セグメント34a、即ち眼鏡レンズの鼻側リム38に向かって
配置されるセグメント、こめかみセグメント34b、即ち眼鏡レンズのこめかみ側リム3
9に向かって配置されるセグメント、鼻セグメント34aとこめかみセグメント34bと
の間に配置された中央セグメント34cを含む。第1のゾーン34は、鼻セグメント34
a及びこめかみセグメント34bが中央セグメント34cに対して下方にシフトされるよ
うに湾曲される。第1のゾーン34の曲率は、装用者が装用者の網膜からリーディング距
離における、装用者の前方の平面に本を保持し、本の行を読むときに眼を左から右に動か
す場合、近距離で本を読むときの装用者の視線に適合される。湾曲した第1のゾーン34
を用いることで、第1のゾーンの高さが、12ptのサイズの文字を読めるようにするだ
けの垂直視角のみを可能にする場合でも、第2のゾーン35aにより誘導される拡散に起
因して、行を読むとき、眼の移動中、現在読んでいる行の一部分のコントラストが低下す
ることを回避することができる。
【0128】
本発明による眼鏡レンズ設計の第5の例示的な実施形態について
図5に関連して説明し
、
図5は、本発明による眼鏡レンズ設計の第5の例示的な実施形態により製造された眼鏡
レンズ42を有する眼鏡41を平面図で示す。眼鏡レンズ42は、第5の例示的な実施形
態の眼鏡レンズ設計の代表と見なすことができる。
【0129】
例示的な本実施形態では、眼鏡41は、装用者の右眼に1枚、左眼に1枚という2枚の
単視眼鏡レンズ42を備える。2枚の眼鏡レンズ42は眼鏡フレーム43に取り付けられ
、眼鏡フレーム43のブリッジ47によって隔てられる。近視装用者に起因して、眼鏡レ
ンズ42は装用者の処方に従った近視完全矯正を提供するように設計される。眼鏡レンズ
42は、本事例では、装用者の非理想的な形の角膜に起因して幾らかの乱視矯正を含み得
る。
【0130】
各眼鏡レンズ42は、物体を見るためのクリアゾーンに類似する第1のゾーン44を含
む。換言すれば、第1のゾーン44は、装用者の眼の網膜の中心窩ゾーンにクリアな像を
提供する。この第1のゾーン44は眼鏡レンズ42の全幅に及び、即ち垂直方向における
全寸法dvに及び、垂直方向において第2のゾーンによって囲まれ、第2のゾーンは、例
示的な本実施形態では、第1のゾーン44により互いから隔てられる2つのサブゾーンで
あるゾーン45a、45bからなる。サブゾーンであるゾーン45a、45bは、第1の
ゾーン44を通してまっすぐ前を見ている人に周辺近視デフォーカスを提供する。周辺近
視デフォーカスは、各々が追加の焦点屈折力を眼鏡レンズ42の焦点屈折力に追加する複
数の線形シリンダーレンズ46を使用することによって達成される。追加度数は、眼鏡レ
ンズ42が専用装用時位置に従って使用される場合、装用者の中心窩の前方に鮮鋭像が形
成されるように選択される。
【0131】
例示的な本実施形態では、第1のゾーン44の高さは第2のゾーンのサブゾーン45a
と45bとの間の垂直距離により与えられ、眼鏡レンズ42が専用装用時位置に従って装
用される場合、約1.2度の垂直視角を可能にするように選択される。そのような視角は
、12ptの文字をクリアに見られるようにする。第1のゾーン44は眼鏡レンズ42の
全幅に及ぶことに起因して、行中の文字のクリアな視覚は第2のゾーンによって妨げられ
ず、リーディング時、例えば、国際公開第2010/075319A2号パンフレット、
国際公開第2018/026697A1号パンフレット、国際公開第2019/1524
38A1号パンフレット及び国際公開第2020/014613A1号パンフレットにそ
れぞれ記載のように円形ゾーンのクリア視覚を有する技術的現況の眼鏡レンズと比較して
快適性を上げる。
【0132】
第1のゾーン44は、鼻セグメント44a、即ち眼鏡レンズの鼻側リム48に向かって
配置されるセグメント、こめかみセグメント44b、即ち眼鏡レンズのこめかみ側リム4
9に向かって配置されるセグメント、鼻セグメント44aとこめかみセグメント44bと
の間に配置された中央セグメント44cを含む。第1のゾーン44は、鼻セグメント44
a及びこめかみセグメント44bが中央セグメント44cに対して下方にシフトされるよ
うに湾曲される。第1のゾーン44の曲率は、装用者が装用者の網膜からリーディング距
離における、装用者の前方の平面に本を保持し、本の行を読むときに眼を左から右に動か
す場合、近距離で本を読むときの装用者の視線に適合される。湾曲した第1のゾーン44
を用いることで、第1のゾーンの高さが、12ptのサイズの文字を読めるようにするだ
けの垂直視角のみを可能にする場合でも、第2のゾーン45aにより誘導される拡散に起
因して、行を読むとき、眼の移動中、現在読んでいる行の一部分のコントラストが低下す
ることを回避することができる。
【0133】
本発明による眼鏡レンズ設計の第6の例示的な実施形態について
図6に関連して説明し
、
図6は、本発明による眼鏡レンズ設計の第6の例示的な実施形態により製造された眼鏡
レンズ52を有する眼鏡51を平面図で示す。眼鏡レンズ52は、第6の例示的な実施形
態の眼鏡レンズ設計の代表と見なすことができる。
【0134】
例示的な本実施形態では、眼鏡51は、装用者の右眼に1枚、左眼に1枚という2枚の
単視眼鏡レンズ52を備える。2枚の眼鏡レンズ52は眼鏡フレーム53に取り付けられ
、眼鏡フレーム53のブリッジ57によって隔てられる。近視装用者に起因して、眼鏡レ
ンズ52は装用者の処方に従って完全矯正を提供するように設計される。したがって、眼
鏡レンズ52はマイナスレンズであり得る。
【0135】
各眼鏡レンズ52は、物体を見るためのクリアゾーンに類似する第1のゾーン54を含
む。換言すれば、第1のゾーン54は、装用者の眼の網膜の中心窩ゾーンにクリアな像を
提供する。この第1のゾーン54は眼鏡レンズ52の全幅に及び、即ち垂直方向における
全寸法dvに及び、垂直方向において第2のゾーンによって囲まれ、第2のゾーンは、例
示的な本実施形態では、第1のゾーン54により互いから隔てられる2つのサブゾーンで
あるゾーン55a、55bからなる。サブゾーンであるゾーン55a、55bは、散乱中
心56を含み、散乱光学特性を提供する。したがって、例示的な本実施形態の第2のゾー
ン、即ちそのサブゾーン55a、55bは、2つの拡散器サブゾーンを有する拡散器ゾー
ンを形成する。第2のゾーンのサブゾーン55a、55bはストライブ形であり、複数の
ドット形散乱中心56を含む。
【0136】
例示的な本実施形態では、第1のゾーン54の高さは第2のゾーンのサブゾーン55a
と55bとの間の垂直距離により与えられ、眼鏡レンズ52が専用装用時位置に従って装
用される場合、約1.0度の垂直視角を可能にするように選択される。そのような視角は
、12ptの文字をクリアに見られるようにする。第1のゾーン54は眼鏡レンズ52の
全幅に及ぶことに起因して、行中の文字のクリアな視覚は第2のゾーンによって妨げられ
ず、リーディング時、例えば、国際公開第2010/075319A2号パンフレット、
国際公開第2018/026697A1号パンフレット、国際公開第2019/1524
38A1号パンフレット及び国際公開第2020/014613A1号パンフレットにそ
れぞれ記載のように円形ゾーンのクリア視覚を有する技術的現況の眼鏡レンズと比較して
快適性を上げる。
【0137】
第6の例示的な実施形態では、第1のゾーン54は、鼻セグメント54a、即ち眼鏡レ
ンズの鼻側リム58に向かって配置されるセグメント、こめかみセグメント54b、即ち
眼鏡レンズのこめかみ側リム59に向かって配置されるセグメント、鼻セグメント54a
とこめかみセグメント54bとの間に配置された中央セグメント54cを含む。第1のゾ
ーン54は、鼻セグメント54a及びこめかみセグメント54bが中央セグメント54c
に対して下方にシフトされるように湾曲される。第1のゾーン54の曲率は、装用者が装
用者の網膜からリーディング距離における、装用者の前方の平面に本を保持し、本の行を
読むときに眼を左から右に動かす場合、近距離で本を読むときの装用者の視線に適合され
る。湾曲した第1のゾーン54を用いることで、第1のゾーンの高さが、12ptのサイ
ズの文字を読めるようにするだけの垂直視角のみを可能にする場合でも、第2のゾーン5
5aにより誘導される拡散に起因して、行を読むとき、眼の移動中、現在読んでいる行の
一部分のコントラストが低下することを回避することができる。第2のゾーン55におけ
る散乱中心に起因してコントラスト低減を提供する湾曲した第1のゾーン54が第2のゾ
ーン55と併せて記載されたが、周辺近視デフォーカスを提供する第2のゾーンと併せて
使用することも同様に可能である。次に、本発明によるレンズ設計を有する眼鏡レンズを
製造する方法の例示的な一実施形態について
図7に関連して説明する。
【0138】
第1のステップS1において、処方からのデータが受信され、処方は、診断された屈折
誤差を矯正するために必要なジオプトリ度数のサマリを含む。近視眼の場合、処方は少な
くとも1つの球面度数の値「sph」を含む。加えて、乱視が追加される場合、円柱度数
の値「cyl」及び円柱軸の値「axis」を含むこともできる。例えばプリズム値のよ
うな更なる値が処方に存在することもある。第2のゾーンが周辺近視デフォーカスを提供
するものである場合、処方は、周辺近視デフォーカスの提供に使用される追加度数の値も
含む。しかしながら、例示的な本実施形態では、拡散器ゾーンが第2のゾーンに提供され
る。
【0139】
例示的な本実施形態では、処方に含まれる値は、患者に対して検眼士によって実行され
る測定に基づき、測定は患者の眼に関連する屈折データを提供する。屈折データは、客観
的な屈折データ、即ち屈折計等により客観的に測定される屈折データ又は主観的屈折デー
タの何れかを含み得る。主観的屈折データの場合、このデータは、患者が満足のいく視力
を経験するまで、種々のテストレンズを試しながら、異なるサイズのテキスト又は視力表
を患者に見させることによって収集し得る。
【0140】
しかしながら、処方の値の代わりに、他の適した値の形態、例えばゼルニケ係数の形態
で測定データを提供することが可能でもある。加えて、屈折計又は任意の他の適した測定
装置から直接、客観的な屈折データを表す値を受信することが可能でもある。
【0141】
ステップS1において受信された測定データに基づいて、装用者が装用時位置に従って
装用された眼鏡レンズを通して見た場合、結像を中心窩上に提供する(順応により支援さ
れて)焦点屈折力を有する単視眼鏡レンズが、ステップS2において、適したプロセスに
より生成される。適したプロセスは、例えば、成形プロセス又は機械加工プロセスであり
得る。機械加工プロセスが使用される場合、単視レンズは、例えば、半完成ブランクから
製造することができ、半完成ブランクは既に完成した前面を含む。次いで、半完成ブラン
クの後面は、半完成ブランクが、要求される焦点屈折力を有する単視眼鏡レンズになるよ
うに機械加工される。
【0142】
ステップS3において、散乱中心が単視眼鏡レンズの拡散器ゾーンになるゾーン、即ち
第2のゾーンに導入される。これは、適した方法により、例えば単視眼鏡レンズの後面に
おけるレーザ生成の点形若しくは線形窪みにより又はドーピングプロセスにより行うこと
ができる。散乱中心は、第2のゾーンが少なくとも部分的に、散乱中心のないゾーンを囲
むように単視眼鏡レンズに導入される。したがって、散乱中心のないゾーンは、中心窩上
に結像を提供する焦点屈折力を有するクリア視覚を可能にし、第1のゾーンを形成する。
換言すれば、第1のゾーンの形状及びサイズは、幾つかの場合、眼鏡レンズのリムと併せ
て、第2のゾーンによって画定される。第2のゾーンが第1のゾーンを完全に囲む場合、
第1のゾーンの高さ及び幅は第2のゾーンによって画定される。他方、第2のゾーンが第
1のゾーンを垂直にのみ囲む場合、第1のゾーンの高さは、第2のゾーンによって画定さ
れ、一方、その幅は眼鏡レンズの幅によって与えられる。更に、第1のゾーンが3方向に
おいて第2のゾーンにより制限され、第4の方向において眼鏡レンズのリムによって制限
されるように、第2のゾーンが第1のゾーンの上方、下方及び鼻側又は上方、下方及びこ
めかみ側を囲む場合もあり得る。しかしながら、全ての場合において、第1のゾーンは、
第2のゾーンが第1のゾーンを完全に囲むか、それとも部分的に囲むかに関係なく、眼鏡
レンズの限界内で第2のゾーンによって画定されるものとして見ることができる。
【0143】
散乱中心は、眼鏡レンズが専用装用位置に従って配置される場合、アパーチャが、0.
8~1.5度の垂直視角、特に1.0~1.2度、例えば1.0度又は1.2度の垂直視
角をカバーするような高さを有するように導入される。更に、散乱中心は、アパーチャが
高さの少なくとも4倍の幅を有するように導入される。散乱中心は、アパーチャを360
度囲むか、又はアパーチャが眼鏡レンズの鼻側リム及びこめかみ側リムの少なくとも一方
に延びるように導入され得る。
【0144】
第2のゾーンが散乱中心の代わりに集束構造を備え、装用者が第1のゾーンを通して見
る場合、集束構造が周辺近視デフォーカスを提供する場合、代替のステップS3が使用さ
れる。この代替のステップS3において、金型が単視眼鏡レンズの後面にセットされ、金
型の成形面は、製造すべき集束構造体のネガ形を表す。金型が単視眼鏡レンズの後面にセ
ットされて、集束構造は、射出成形又は任意の他の適した成形プロセスにより後面に形成
される。成形プロセス後、成形プロセスから残っているあらゆるリッジを除去する研磨プ
ロセスが続き得る。しかしながら、集束構造体を単視眼鏡レンズの後面に適用することは
、成形プロセスによって行われる必要はない。例えば、オレイン酸膨張又はインクジェッ
トプリントのような付加製造プロセス等の他のプロセスを使用し得る。例示的な本実施形
態では、集束構造体は、後面に形成されるが、同様に単視眼鏡レンズの前面に形成され得
る。
【0145】
ステップS3において第2のゾーンを形成した後、即ち散乱中心又は集束構造体を提供
した後、眼鏡レンズが完成する。
【0146】
本発明を示すために、本発明の概念を例示的な実施形態に関連して説明した。しかしな
がら、本発明の概念が例示的な実施形態の変形形態により実施可能なことを当業者であれ
ば認識する。例えば、集束構造体の数及び形状は、例示的な実施形態で記載されるものと
異なり得る。更に、当業者であれば、集束得構造体を提供するために他の製造技法を考案
することができる。例えば、集束構造体を眼鏡レンズの前面又は後面に形成する代わりに
、眼鏡レンズの残りの部分の屈折率と異なる屈折率を有するゾーンを眼鏡レンズに提供す
ることも同様に可能である。そのようなゾーンの提供は、例えば、ドーピングプロセスに
より行うことができる。その結果、集束構造体は、眼鏡レンズの表面上ではなく、眼鏡レ
ンズ内に存在する。したがって、本発明は、例示的な実施形態によって限定されるもので
はなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)を含む眼鏡レンズキットであって、前記眼鏡レンズは、
-第1の焦点屈折力を有する第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)と、
-前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)を少なくとも部分的に囲む少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)であって、前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)は以下:(i)前記第1の焦点屈折力よりも高い第2の焦点屈折力を有する集束構造体(26、46)又は(ii)前記少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)を通る光を拡散させる拡散構造体(6、16、36、56)の少なくとも1つを含む、少なくとも1つの第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)と、
を含む、眼鏡レンズキットであって、
前記キットは、装用者の眼に対する前記眼鏡レンズの装用時位置と、前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)が前記装用時位置に従って装用されているとき前記装用者がはっきりと見るべき様々な閲覧方向での物体距離を含む所定の物体距離モデルとを含む指示を含み、
前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)は、前記所与の装用時位置及び前記所定の物体距離モデルに従った物体の配置に従って前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)が装用者の前記眼に対して位置しているとき、リーディング時に前記装用者の収束視線を辿るように湾曲することを特徴とする眼鏡レンズキット。
【請求項2】
前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)は所与の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有し、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記幅(dh)及び前記高さ(dv)は、以下の群:
a)前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
b)前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
c)前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記高さ(dv)の少なくとも5倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の眼鏡レンズキット。
【請求項3】
前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)は所与の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有し、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記幅(dh)及び前記高さ(dv)は、以下の群:
a)前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲内の値であり、前記幅(dh)の前記一部分は前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
b)前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲内の値であり、前記幅(dh)の前記一部分は前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
c)前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲内の値であり、前記幅(dh)の前記一部分は前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
d)前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲内の値であり、前記幅(dh)の前記一部分は前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の眼鏡レンズキット。
【請求項4】
以下の選択肢:
-前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)の前記高さは、眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)が前記装用時位置に従って位置するとき、0.8~1.5度の垂直視角をカバーするようなものであること、
-前記第1のゾーン(4、34、44、54)の前記幅(dh)は前記眼鏡レンズ(2、32、42、52)の幅に一致すること
の少なくとも1つが該当することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の眼鏡レンズキット。
【請求項5】
前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)は鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)、こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)、及び前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)と前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)との間にある中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54c)を有し、前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)及び前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)の少なくとも1つは、前記中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54c)に対して下方にシフトすることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の眼鏡レンズキット。
【請求項6】
眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の製造設計で使用するために前記眼鏡レンズを設計するコンピュータ実施方法であって、
-(i)第1の焦点屈折力よりも高い第2の焦点屈折力を有する集束構造体(26、46)又は(ii)ゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)を通る光を拡散させる拡散構造体(6、16、36、56)の少なくとも1つを有する前記ゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)を含むように前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)を設計するステップを含み、前記ゾーンは、少なくとも部分的に囲むことにより、前記第1の焦点屈折力を有する第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)を画定する第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)を形成するように設計される、コンピュータ実施方法であって、
前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)が所与の装用時位置及び所定の物体距離モデルに従った物体の配置に従って装用者の眼に対して位置するとき、前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(55a、55b)により画定される前記第1のゾーン(54)が、リーディング時、前記装用者の収束視線を辿るように湾曲するよう前記第2のゾーン(55a、55b)を設計することを特徴とするコンピュータ実施方法。
【請求項7】
前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)は所与の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有するように設計され、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)及び前記高さ(dv)は、以下の群:
a)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
b)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
c)前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)の少なくとも5倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とする、請求項6に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項8】
前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)は所与の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有するように設計され、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)及び前記高さ(dv)は、以下の群:
a)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲内の値であり、前記幅(dh)の前記一部分は前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
b)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン(54)の前記均一な高さ(dv)は、3mm~5mmの範囲内の値であり、前記幅(dh)の前記一部分は前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること、
c)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲内の値であり、前記幅(dh)の前記一部分は前記均一な高さ(dv)の少なくとも3倍であること、
d)前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)は、前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)の少なくとも一部分に沿って均一であり、前記一部分内の前記第1のゾーン(54)の前記均一な高さ(dv)は、4mm~5mmの範囲内の値であり、前記幅(dh)の前記一部分は前記均一な高さ(dv)の少なくとも4倍であること
の少なくとも1つであることを特徴とする、請求項6又は7に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項9】
以下の選択肢:
-前記第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)は、前記設計された眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)が前記装用時位置に従って位置するとき、前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)により画定される前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)が0.8~1.5度の垂直視角をカバーするような寸法を有するように設計されること、
-前記第2のゾーン(55a、55b)は、前記第1のゾーン(4、34、44、54)の前記幅(dh)が前記眼鏡レンズ設計の前記幅に一致するように設計されること
の少なくとも1つが該当することを特徴とする、請求項6~8のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項10】
眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の製造設計で使用するために前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)を設計するコンピュータプログラムであって、前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)は、所与の装用時位置と、前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)が前記装用時位置に従って装用されるとき、眼鏡装用者がはっきりと見るべき様々な閲覧方向での物体距離を含む所定の物体距離モデルとに従って、前記装用者の眼に対して位置すべきであり、前記コンピュータプログラムは、コンピュータで実行されると、前記コンピュータに請求項6~9のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項11】
眼鏡レンズ(52)であって、
-焦点屈折力を有する第1のゾーン(54)であって、所与の高さ(dv)及び所与の幅(dh)を有する、第1のゾーン(54)と、
-前記第1のゾーン(54)を少なくとも部分的に囲む少なくとも1つの第2のゾーン(55a、55b)であって、前記第2のゾーン(55a、55b)は以下:(i)前記第1のゾーン(54)に存在する焦点屈折力に関して正の追加の屈折力を有する集束構造体(26、46)又は(ii)前記少なくとも1つの第2のゾーン(55a、55b)を通る光を拡散させる拡散構造体(56)の少なくとも1つを含む、少なくとも1つの第2のゾーン(55a、55b)と、
を含み、
前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は、前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)の少なくとも4倍である、眼鏡レンズ(52)であって、
前記第1のゾーン(54)は鼻セグメント(54a)、こめかみセグメント(54b)、及び前記鼻セグメント(54a)と前記こめかみセグメント(54b)との間にある中央セグメント(54c)を含み、前記第1のゾーン(54)は、前記鼻セグメント(54a)及び/又は前記こめかみセグメント(54b)が前記中央セグメント(54c)に対して下方にシフトするように湾曲することを特徴とする眼鏡レンズ(52)。
【請求項12】
前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は前記眼鏡レンズ(52)の幅に一致し、又は前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)の少なくとも6倍であることを特徴とする、請求項11に記載の眼鏡レンズ。
【請求項13】
a)コンピュータ可読媒体に記憶され、又はb)データ搬送波信号により搬送されるデータセットであって、以下の種類のデータ:(i)前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の製造に使用されるように構成された、請求項1~5のいずれか1項に記載の眼鏡レンズキットに係る前記指示を含む眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の数値表現、或いは請求項11又は12に記載の眼鏡レンズ(52)の数値表現、(ii)前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)を製造するために1つ又は複数の製造機械により使用されるように構成された、請求項1~5のいずれか1項に記載の眼鏡レンズキットに係る眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)の数値表現、或いは請求項11又は12に記載の眼鏡レンズ(52)の数値表現、及び(iii)請求項1~5のいずれか1項に記載の眼鏡レンズキットに係る眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)或いは請求項11又は12に記載の眼鏡レンズ(52)を生成するように1つ又は複数の製造機械を制御するためのコンピュータ可読命令を含むデータの少なくとも1種類を含むデータセット。
【請求項14】
請求項11又は12に記載の眼鏡レンズ(52)と、前記眼鏡レンズ(52)の装用時位置を含む指示とを含む眼鏡レンズキットであって、前記第1のゾーン(54)の前記高さは、前記眼鏡レンズ(52)が前記装用時位置に従って位置するとき、0.8~1.5度の垂直視角をカバーするようなものであり、それにより、前記装用時位置は、装用中、DIN ISO13666:2019セクション3.2.36に規定されるような眼及び顔に対する前記眼鏡レンズの向きを含む位置であることを特徴とする眼鏡レンズキット。
【請求項15】
前記第1のゾーン(54)の幾何中心は、リーディング時、まっすぐ前のリーディング標的を見ている間、前記眼鏡レンズ(52)を透過する光束の中心光線の透過点に対して少なくとも垂直において中心からずれて配置され、前記眼鏡レンズ(52)が右眼又は左眼に使用されるべきである場合、こめかみの方にシフトし、前記眼鏡レンズ(52)が他方の眼に使用されるべき場合、鼻の方にシフトすることを特徴とする、請求項1~4、14のいずれか1項に記載の眼鏡レンズキット。
【請求項16】
コンピュータ可読媒体に記憶され、以下の種類のデータ:(i)前記眼鏡レンズ(52)の数値表現と、前記眼鏡レンズ(52)の前記装用時位置を含む前記指示の数値表現とを含む、請求項1~4、14、又は15のいずれか1項に記載の眼鏡レンズキットの数値表現、(ii)前記眼鏡レンズ(52)を製造するために1つ又は複数の製造機械により使用されるように構成された前記眼鏡レンズ(52)の数値表現と、前記眼鏡レンズ(52)の前記装用時位置を含む前記指示の数値表現とを含む、請求項1~4、14、又は15のいずれか1項に記載の眼鏡レンズキットの数値表現、及び(iii)前記眼鏡レンズ(52)の数値表現と、前記眼鏡レンズ(52)の前記装用時位置及び前記眼鏡レンズ(52)を生成するように1つ又は複数の製造機械を制御するためのコンピュータ可読命令を含むデータを含む前記指示の数値表現とを含む、請求項1~4、14、又は15のいずれか1項に記載の眼鏡レンズキットの数値表現の少なくとも1種類を含むデータセット。
【請求項17】
眼鏡レンズ(52)の製造設計で使用するために前記眼鏡レンズ(52)を設計するコンピュータ実施方法であって、
-高さ(dv)及び幅(dh)を有する第1のゾーン(54)を少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(55a、55b)を設計するステップであって、前記第2のゾーン(55a、55b)は、(i)前記第1のゾーン(54)に存在する焦点屈折力に関して正の追加の屈折力を提供する集束構造体(26、46)又は(ii)光を拡散させる拡散構造体(56)であって、前記第2のゾーン(55a、55b)の少なくとも1つを含み、前記第1のゾーン(54)の前記幅は前記第1のゾーン(54)の前記高さの少なくとも4倍である、設計するステップを含む、コンピュータ実施方法であって、
-リーディング時、前記眼鏡レンズ(52)を装用位置で装用している装用者の収束視線を辿るように前記第1のゾーン(54)が湾曲するよう前記第2のゾーン(55a、55b)を設計することを特徴とするコンピュータ実施方法。
【請求項18】
前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(5a、5b、15、25、35a、35b、45a、45b、55a、55b)により画定される前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)は、鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)、こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)、及び前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)と前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)との間にある中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54c)を有し、前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)は、前記鼻セグメント(4a、14a、24a、34a、44a、54a)及び/又は前記こめかみセグメント(4b、14b、24b、34b、44b、54b)が前記中央セグメント(4c、14c、24c、34c、44c、54c)に対して下方にシフトするように湾曲することを特徴とする、請求項6~9、17のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項19】
以下の選択肢:
-前記第1のゾーン(4、14、24、34、44、54)は、設計された前記眼鏡レンズ(2、12、22、32、42、52)が前記装用時位置に従って位置するとき、0.8~1.5度の垂直視角をカバーするような寸法を有すること、
-前記第1のゾーン(4、34、44、54)の前記幅(dh)は前記眼鏡レンズ設計の前記幅に一致すること、
-前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)は前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)の少なくとも6倍であること
の少なくとも1つが該当することを特徴とする、請求項6~9、17、又は18のいずれか1項に記載のコンピュータ実施方法。
【請求項20】
前記第1のゾーン(54)の幾何中心は、リーディング時、まっすぐ前のリーディング標的を見ている間、前記眼鏡レンズ(52)を透過する光束の中心光線の透過点に対して少なくとも垂直において中心からずれて配置され、前記設計された眼鏡レンズ(52)が右眼又は左眼に使用されるべきである場合、こめかみの方にシフトし、前記設計された眼鏡レンズ(52)が他方の眼に使用されるべき場合、鼻の方にシフトすることを特徴とする、請求項6~9、17~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記設計に従って前記眼鏡レンズを製造するステップを特徴とする、請求項6~9、17~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
コンピュータにより実行されると、前記コンピュータに請求項17~21のいずれか1項に記載の方法を実行させる命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項23】
所与の装用時位置に従って装用者の眼に対して位置する眼鏡レンズ(52)を製造する方法であって、
-焦点屈折力を有する前記眼鏡レンズ(52)を提供するステップと、
-前記眼鏡レンズ(52)のゾーン(55a、55b)に、
(i)前記焦点屈折力に関して正の追加の屈折力を提供する集束構造体(26、46)又は(ii)光を拡散させる拡散構造体(56)の少なくとも1つを形成するステップであって、前記ゾーンは、高さ(dv)及び幅(dh)を有する第1のゾーン(54)を少なくとも部分的に囲むことにより画定する第2のゾーン(55a、55b)として形成され、前記第2のゾーン(55a、55b)は、前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(55a、55b)により画定される前記第1のゾーン(54)の前記幅(dh)が前記第1のゾーン(54)の前記高さ(dv)の少なくとも4倍であるような寸法で形成される、形成するステップと、
を含む方法であって、
前記第2のゾーン(55a、55b)は、前記少なくとも部分的に囲む第2のゾーン(55a、55b)により画定される前記第1のゾーン(54)が鼻セグメント(54a)、こめかみセグメント(54b)、及び前記鼻セグメント(54a)と前記こめかみセグメント(54b)との間にある中央セグメント(54c)を含み、前記第1のゾーン(54)が、前記鼻セグメント(54a)及び/又は前記こめかみセグメント(54b)が前記中央セグメント(54c)に対して下方にシフトするように湾曲するよう形成されることを特徴とする方法。
【外国語明細書】