(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156319
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】電池パック及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
H01M 50/209 20210101AFI20231017BHJP
H01M 50/131 20210101ALI20231017BHJP
H01M 50/242 20210101ALI20231017BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20231017BHJP
H01M 50/233 20210101ALI20231017BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20231017BHJP
【FI】
H01M50/209
H01M50/131
H01M50/242
H01M50/244 A
H01M50/233
H01M50/249
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023117989
(22)【出願日】2023-07-20
(62)【分割の表示】P 2021540055の分割
【原出願日】2019-06-21
(31)【優先権主張番号】201910021244.0
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910020967.9
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910021246.X
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910021248.9
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910021247.4
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910020925.5
(32)【優先日】2019-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】510177809
【氏名又は名称】ビーワイディー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【弁理士】
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】何▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼▲華▼▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】江文▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】▲魯▼志佩
(72)【発明者】
【氏名】▲鄭▼▲衛▼▲しん▼
(72)【発明者】
【氏名】唐江▲龍▼
(72)【発明者】
【氏名】朱燕
(72)【発明者】
【氏名】王信月
(72)【発明者】
【氏名】何科峰
(57)【要約】 (修正有)
【課題】空間利用率が高く、エネルギー密度が大きく、航続能力が強く、信頼性が高く、コストが低く、品質が高いなどの利点を有する電池パックを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、電池パック10及び電気自動車に関し、前記電池パックは、パック本体200と、前記パック本体内に設けられた複数の単電池100と、を含み、前記複数の単電池の体積の和V1と前記電池パックの体積V2は、V1/V2≧55%を満たし、前記電池パックは、互いに垂直な第1の方向及び第2の方向を有し、前記単電池は、長手方向が前記電池パックの第1の方向に沿うように配置され、前記複数の単電池は、前記電池パックの第2の方向に沿って配列され、前記単電池は、長さが400~2500mmである電池本体を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パック本体と、
前記パック本体内に設けられた複数の単電池と、を含み、
前記複数の単電池の体積の和V1と前記電池パックの体積V2は、V1/V2≧55%
を満たし、
前記電池パックは、互いに垂直な第1の方向及び第2の方向を有し、単電池の長手方向
は、前記電池パックの第1の方向に沿うように配置され、複数の前記単電池は、前記電池
パックの第2の方向に沿って配列され、前記パック本体は、前記第1の方向に沿って1つ
の単電池のみを収容し、前記単電池は、長さが600~2500mmである電池本体を含
む、ことを特徴とする電池パック。
【請求項2】
V1/V2≧60%であることを特徴とする、請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
V1/V2≧62%であることを特徴とする、請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
V1/V2≧65%であることを特徴とする、請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第1の方向は、前記電池パックの幅方向であり、前記第2の方向は、前記電池パッ
クの長手方向であり、前記単電池の長手方向は前記電池パックの幅方向に沿うように配置
され、複数の前記単電池は、前記電池パックの長手方向に沿って配列される、ことを特徴
とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項6】
前記パック本体は、前記電池パックの幅方向に1つの前記単電池のみを収容することを
特徴とする、請求項5に記載の電池パック。
【請求項7】
前記電池パックの幅方向に、前記単電池の一端とそれに隣接するパック本体のサイドビ
ームとの間の最近接距離は、L1であり、前記単電池の他端とそれに隣接するパック本体
のサイドビームとの間の最近接距離は、L2であり、前記単電池の長さLは、L1+L2
<Lを満たす、ことを特徴とする請求項5に記載の電池パック。
【請求項8】
前記単電池は、前記電池パックの幅方向に沿って、前記パック本体の一側から他側まで
延びることを特徴とする、請求項5に記載の電池パック。
【請求項9】
前記パック本体内に前記電池パックの幅方向に沿って延びる少なくとも1つの幅方向ク
ロスビームが設けられ、複数の前記単電池は、前記電池パックの長手方向に沿って配列さ
れて電池アレイを形成し、前記幅方向クロスビームは、前記電池アレイを前記電池パック
の長手方向に沿って少なくとも二分割し、前記電池アレイの各部分は、少なくとも1つの
単電池を含む、ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項10】
前記単電池の長手方向は、前記電池パックの幅方向に沿うように配置され、複数の前記
単電池は、前記電池パックの長手方向に沿って配列されて電池アレイを形成し、前記パッ
ク本体内に前記電池パックの幅方向に沿って少なくとも2列の電池アレイが配置され、前
記パック本体内に前記電池パックの長手方向に沿って延びる少なくとも1つの長手方向ク
ロスビームが設けられ、前記長手方向クロスビームは、隣接する2列の電池アレイの間に
位置する、ことを特徴とする請求項5に記載の電池パック。
【請求項11】
前記パック本体は、前記電池パックの幅方向の両側に位置するサイドビームを含み、前
記単電池の長手方向の両端は、前記サイドビームに支持され、
前記パック本体は、前記電池パックの長手方向の両端に位置するエンドビームを含み、
前記エンドビームは、それに隣接する単電池に対して内向きの押圧力を提供する、ことを
特徴とする請求項6~8及び10のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項12】
前記第1の方向は、電池パックの幅方向であり、前記第2の方向は、電池パックの長手
方向であり、前記単電池の長手方向が前記電池パックの幅方向に沿うように配置され、複
数の前記単電池は、前記電池パックの長手方向に沿って配列されて電池アレイを形成し、
前記パック本体内に前記電池パックの高さ方向に沿って少なくとも2層の電池アレイを含
む、ことを特徴とする請求項1~8及び10のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項13】
前記第1の方向は、電池パックの幅方向であり、前記第2の方向は、電池パックの長手
方向であり、前記単電池は、長手方向が前記電池パックの長手方向に沿うように配置され
、複数の前記単電池は、前記電池パックの幅方向に沿って配列される、ことを特徴とする
請求項1に記載の電池パック。
【請求項14】
前記パック本体は、前記電池パックの長手方向に1つの前記単電池のみを収容すること
を特徴とする、請求項13に記載の電池パック。
【請求項15】
前記電池パックの長手方向に、前記単電池の一端とそれに隣接するパック本体のエンド
ビームとの間の最近接距離は、L3であり、前記単電池の他端とそれに隣接するパック本
体のエンドビームとの間の最近接距離は、L4であり、前記単電池の長さLは、L3+L
4<Lを満たす、ことを特徴とする請求項13に記載の電池パック。
【請求項16】
前記単電池は、前記電池パックの長手方向に沿って、前記パック本体の一端から他端ま
で延びることを特徴とする、請求項13に記載の電池パック。
【請求項17】
前記パック本体内に前記電池パックの長手方向に沿って延びる少なくとも1つの長手方
向クロスビームが設けられ、複数の前記単電池は、前記電池パックの幅方向に沿って配列
されて電池アレイを形成し、前記長手方向クロスビームは、前記電池アレイを前記動力電
池の幅方向に沿って少なくとも二分割し、前記電池アレイの各部分は、少なくとも1つの
単電池を含む、ことを特徴とする請求項14~16のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項18】
前記単電池の長手方向は、前記電池パックの長手方向に沿うように配置され、複数の前
記単電池は、前記電池パックの幅方向に沿って配列されて電池アレイを形成し、前記パッ
ク本体内に前記電池パックの長手方向に沿って少なくとも2列の電池アレイが配置され、
前記パック本体内に前記電池パックの幅方向に沿って延びる少なくとも1つの幅方向クロ
スビームが設けられ、前記幅方向クロスビームは、隣接する2列の電池アレイの間に位置
する、ことを特徴とする請求項13に記載の電池パック。
【請求項19】
前記パック本体は、前記電池パックの長手方向の両端に位置するエンドビームを含み、
前記単電池の長手方向の両端は、前記エンドビームに支持され、
前記パック本体は、前記電池パックの幅方向の両側に位置するサイドビームを含み、前
記サイドビームは、それに隣接する単電池に対して内向きの押圧力を提供する、ことを特
徴とする請求項14~16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項20】
前記単電池の長手方向は、前記電池パックの長手方向に沿うように配置され、複数の前
記単電池は、前記電池パックの幅方向に沿って配列されて電池アレイを形成し、前記パッ
ク本体内に前記電池パックの高さ方向に沿って少なくとも2層の電池アレイを含む、こと
を特徴とする請求項14~16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項21】
前記パック本体は、車体と嵌合接続された車両用トレイを含むことを特徴とする、請求
項1~8、10、14~16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項22】
前記電池パックの幅方向での前記パック本体の幅Fは、500mm~1500mmであ
ることを特徴とする、請求項1~8、10、14~16及び18のいずれか一項に記載の
電池パック。
【請求項23】
電池管理システム及び/又は電池熱管理システムをさらに含むことを特徴とする、請求
項1~8、10、14~16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項24】
前記パック本体は、電気自動車に形成されることを特徴とする、請求項1~8、10、
14~16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項25】
前記電池パックの幅方向は車体の幅方向に沿うとともに、前記電池パックの長手方向は
車体の長手方向に沿うように配置され、或いは、
前記電池パックの幅方向が車体の長手方向に沿うとともに、前記電池パックの長手方向
は車体の幅方向に沿うように配置される、ことを特徴とする請求項1~8、10、14~
16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項26】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体は、長さL、幅H及び厚さDを有し、前
記電池本体の長さLは、幅Hより大きく、前記電池本体の幅Hは、厚さDより大きく、前
記電池本体の長さLと幅Hは、L/H=4~21を満たす、ことを特徴とする請求項1~
8、10、14~16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項27】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLと前記電池本体の厚さDは、L
/D=23~208を満たす、ことを特徴とする請求項1~8、10、14~16及び1
8のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項28】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLと前記電池本体の体積Vは、L
/V=0.0005mm-2~0.002mm-2を満たす、ことを特徴とする請求項1
~8、10、14~16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項29】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の幅Hと前記電池本体の体積Vは、H/
V=0.0001mm-2~0.00015mm-2を満たす、ことを特徴とする請求項
1~8、10、14~16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項30】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の厚さDと前記電池本体の体積Vは、D
/V=0.0000065mm-2~0.00002mm-2を満たす、ことを特徴とす
る請求項1~8、10、14~16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項31】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長さLと前記電池本体の表面積Sは、
L/S=0.002mm-1~0.005mm-1を満たす、ことを特徴とする請求項1
~8、10、14~16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項32】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の表面積Sと前記電池本体の体積Vは、
S/V=0.1mm-1~0.35mm-1を満たす、ことを特徴とする請求項1~8、
10、14~16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項33】
前記電池本体の長さLは、700mm~2500mmであることを特徴とする、請求項
1に記載の電池パック。
【請求項34】
前記単電池は、長さLが800mm~1500mmである電池本体を含むことを特徴と
する、請求項33に記載の電池パック。
【請求項35】
前記単電池は、アルミニウムシェル角形電池であることを特徴とする、請求項1~8、
10、14~16及び18のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項36】
前記単電池は、電池本体及び防爆弁を含み、前記防爆弁は、前記電池本体の長手方向の
少なくとも一端に設けられる、ことを特徴とする請求項35に記載の電池パック。
【請求項37】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池本体の長手方向の両端に防爆弁がそれぞれ設
けられることを特徴とする、請求項35に記載の電池パック。
【請求項38】
請求項1~37のいずれか一項に記載の電池パックを含むことを特徴とする、電気自動
車。
【請求項39】
前記電池パックは、前記電気自動車の底部に設けられ、前記パック本体は、前記電気自
動車のシャーシに固定接続されることを特徴とする、請求項38に記載の電気自動車。
【請求項40】
前記電気自動車は、前記電気自動車の底部に設けられた1つの電池パックを含み、前記
電池パックは、幅方向が前記電気自動車の車体幅方向に沿うとともに長手方向が前記電気
自動車の車体長手方向に沿うように配置される、ことを特徴とする請求項38又は39に
記載の電気自動車。
【請求項41】
前記パック本体の幅Fと車体の幅Wは、50%≦F/W≦80%を満たすことを特徴と
する、請求項40に記載の電気自動車。
【請求項42】
前記単電池は、電池本体を含み、前記電池パックの幅方向での前記電池本体の長さLと
車体の幅Wは、46%≦L/W≦76%を満たす、ことを特徴とする請求項41に記載の
電気自動車。
【請求項43】
前記車体の幅Wは、500mm~2000mmであることを特徴とする、請求項41又
は42に記載の電気自動車。
【請求項44】
請求項1~20及び22~37のいずれか一項に記載の電池パックを含むことを特徴と
する、エネルギー蓄積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、ビーワイディー カンパニー リミテッドが2019年1月9日に提出した、
中国特許出願第「201910021244.0」、「201910020967.9」
、「201910021246.X」、「201910021248.9」、「2019
10021247.4」及び「201910020925.5」号の優先権を主張するも
のであり、その全ての内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、電池の技術分野に関し、具体的には、電池パック及び前記電池パックを有する
電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術において、例えば、電気自動車に適用される電池パックは、主に、パック本体
と、パック本体内に取り付けられ、それぞれが複数の単電池からなる複数の電池モジュー
ルとを含む。
【0004】
電気自動車の航続能力に対するユーザーの要件が徐々に高まっているにつれて、車体の
底部の空間が限られている場合、従来技術における動力電池パックを採用すれば、内部空
間の利用率が低くなり、動力電池パックのエネルギー密度が需要を満たすことができず、
これも電気自動車の発展を制限する重要な要因となってきている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
関連する従来技術において、
図1に示すように、電池パック10’のパック本体200
’’は、幅方向クロスビーム500’及び長手方向クロスビーム600’によって、複数
の電池モジュール400’の取付領域に分割されることが多く、例えば、CN10792
5028Aに開示された組電池の電池モジュール400’は、ねじなどにより、幅方向ク
ロスビーム500’又は長手方向クロスビーム600’に固定される。電池モジュール4
00’は、順に配列された複数の単電池を含み、複数の単電池は、配列して電池アレイを
形成し、電池アレイの外部にエンドビーム及び/又はサイドビームが設けられ、一般的に
は、エンドビームとサイドビームを同時に含み、エンドビームとサイドビームは、固定さ
れて電池アレイを収容する空間を囲む。また、エンドビームとサイドビームは、電池アレ
イの固定を実現するために、ねじにより接続されてもよく、タイロッドなどの他の接続部
材により接続されてもよい。
【0006】
出願人は、試験及び分析により、電池モジュール400’がねじなどの構造により幅方
向クロスビーム500’又は長手方向クロスビーム600’に固定されるため、空間が無
駄になり、また、ねじなどの接続部材を増加させるため、重量が増加し、エネルギー密度
が低くなり、なお、電池モジュール400’がエンドビームとサイドビームの組み合わせ
により設計され、エンドビームとサイドビームがいずれも一定の厚さ及び高さを有するた
め、パック本体200’’の内部の空間が無駄になり、パック本体200’’の体積利用
率が低くなることを見出した。一般的な場合には、上記従来技術における電池パック10
’は、パック本体200’’内の単電池の体積の和とパック本体200’’の体積との比
がいずれも50%程度であり、さらに40%まで低い。
【0007】
上記従来技術に係る電池パック10’によれば、それが採用した電池モジュール400
’のエンドビーム、サイドビーム、及び電池パックの内部の接続取付方式などは、いずれ
もパック本体200’’の内部空間の利用率を低下させ、その結果、電池パック10’で
は、単電池の体積の和とパック本体200’’の体積との比が低すぎて、そのエネルギー
密度が電気自動車の航続能力に対するユーザの需要を満たすことができず、これは、電気
自動車の発展を制限する重要な要因となってきている。なお、煩雑な組立過程があり、組
立工程が複雑であり、先に電池モジュールに組み立て、次に電池モジュールをパック本体
内に取り付ける必要があるため、手間や物資などのコストを増加させ、また、複数回の組
立工程が必要であるため、電池パックの組立過程において、不良品発生の確率が高まり、
複数回の組立により、電池パックが緩み、取付が強固にならない可能性が大きくなり、電
池パックの品質に悪影響を及ぼし、電池パックの安定性及び信頼性を低下させる。
【0008】
本願は、少なくとも従来技術における技術的課題の1つを解決しようとする。したがっ
て、本願は、空間利用率が高く、エネルギー密度が大きく、航続能力が強く、信頼性が高
く、コストが低く、品質が高いなどの利点を有する電池パックを提供することを1つの目
的とする。
【0009】
本願はさらに、前記電池パックを有する電気自動車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願の第1の態様の実施例に係る電池パックは、パック本体と、前記パック本体内に設
けられた複数の単電池と、を含み、前記複数の単電池の体積の和V1と前記電池パックの
体積V2は、V1/V2≧55%を満たし、前記電池パックは、互いに垂直な第1の方向
及び第2の方向を有し、前記単電池は、長手方向が前記電池パックの第1の方向に沿うよ
うに配置され、前記複数の単電池は、前記電池パックの第2の方向に沿って配列され、前
記パック本体は、前記第1の方向に沿って1つの単電池のみを収容し、前記単電池は、長
さが600~2500mmである電池本体を含む。
【0011】
本願の実施例に係る動力電池は、単電池の体積の和と電池パックの体積との割合、すな
わちV1/V2≧55%を限定することにより、電池パックの空間利用率を向上させるこ
とができ、電池パック内により多くの単電池を配置し、すなわち単位空間内により多くの
エネルギー供給構造を配置することにより、エネルギー密度を向上させて、占有空間を拡
大することなく航続能力を向上させることができる。同時に電池パックを組み立てる過程
において、コストを低減し、品質及び電池パックの信頼性を向上させる。
【0012】
本願の第2の態様の実施例に係る電気自動車は、本願の第1の態様の実施例に記載の電
池パックを含む。
【0013】
本願の実施例に係る電気自動車は、本願の第1の態様の実施例に記載の電池パックを利
用することにより、電池の占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができ
る。
【0014】
本願の第3の態様の実施例に係るエネルギー蓄積装置は、本願の第1の態様の実施例に
記載の電池パックを含む。
【0015】
本願の追加の態様及び利点は、一部が以下の説明において示され、一部が以下の説明に
おいて明らかになるか又は本願の実施により把握される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】従来技術における電池パックの分解図である。
【
図2】本願の実施例に係る電池パックの断面図である。
【
図3】本願の実施例に係る電池パックの斜視図である。
【
図4】本願の実施例に係る電池パックの分解図である。
【
図5】本願の実施例に係る単電池の概略構成図である。
【
図6】本願の実施例に係る電池パックの電池モジュールの配列方式概略図である。
【
図7】本願の別の実施例に係る電池パックの電池モジュールの配列方式概略図である。
【
図8】本願の実施例に係る電池パックのパック本体が電気自動車に形成された概略構成図である。
【
図9】本願の実施例に係る電気自動車の概略構成図である。
【
図10】本願の実施例に係る電気自動車の分解図である。
【
図12】本願の第1の代替的な実施例に係る電池パックの斜視図である。
【
図13】本願の第2の代替的な実施例に係る電池パックの斜視図である。
【
図14】本願の第3の代替的な実施例に係る電池パックの斜視図である。
【
図15】本願の第4の代替的な実施例に係る電池パックの斜視図である。
【
図16】本願の第5の代替的な実施例に係る電池パックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願の実施例を詳細に説明し、上記実施例の例は図面に示され、全体を通して同
一又は類似する符号は、同一又は類似する部品、若しくは同一又は類似する機能を有する
部品を示す。以下、図面を参照して説明される実施例は、例示的なものであり、本願を解
釈するものに過ぎず、本願を限定するものであると理解すべきではない。
【0018】
なお、本願の説明において、用語「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ
」、「内」、「外」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づ
くものであり、本願を容易に説明し説明を簡略化するためのものに過ぎず、示された装置
又は部品が特定の方位を有するとともに、特定の方位で構成されて動作しなければならな
いことを示すか又は示唆するものではないため、本願を限定するものであると理解すべき
ではない。
【0019】
また、本願の説明において、「複数」とは、2つ以上を意味する。
【0020】
従来技術における電池パックの現状を考慮して、本願は、空間利用率が高く、エネルギ
ー密度が大きく、航続能力が高いなどの利点を有する電池パック及びそれを有する電気自
動車を提供する。
【0021】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係る電池パック10を説明する。
【0022】
図2~
図16に示すように、本願の実施例に係る電池パック10は、パック本体200
と、複数の単電池100とを含む。
【0023】
複数の単電池100はパック本体200内に設けられ、パック本体200は、複数の単
電池100を収容するケースとして理解することができ、例えば、トレイ210及び上部
カバー220を含んでよく、トレイ210及び上部カバー220は共に複数の単電池10
0の収容空間を画定し、複数の単電池100はトレイ210に設けられ、かつ上部カバー
220によりカバーされる。複数の単電池100の体積の和V1と電池パック10の体積
V2は、V1/V2≧55%を満たす。
【0024】
当業者であれば理解できるように、V1は、各単電池100の体積と単電池100の数
との積であり、すなわち、V1は、複数の単電池100の総体積であり、V2は、電池パ
ック10の外郭によって規定される立体形状の全体積である。
【0025】
本願の実施例に係る電池パック10によれば、単電池100の体積V1の和と電池パッ
ク10の体積V2との割合、すなわちV1/V2≧55%を限定することにより、電池パ
ック10の空間利用率を向上させることができ、電池パック10内により多くの単電池1
00を配置し、すなわち単位空間内により多くのエネルギー供給構造を配置することによ
り、エネルギー密度を向上させて、占有空間を拡大することなく航続能力を向上させるこ
とができる。同時に電池パックを組み立てる過程において、コストを低減し、品質及び電
池パックの信頼性を向上させ、本願に係る電池パックにおいて、上記パック本体は、上記
第1の方向に沿って1つの単電池のみを収容し、上記単電池は、長さが600-2500
mmである電池本体を含み、かつ電池パック内に第1の方向に沿って配置され、第2の方
向に沿って配列され、単電池を配列して電池パックに配置し、体積利用率が55%以上の
電池パックを形成することにより、空間利用率を向上させ、エネルギー密度及び該電池パ
ックを使用する電気自動車の航続能力を向上させる。
【0026】
本願のいくつかの具体的な実施例において、単電池100の体積の和V1と電池パック
10の体積V2との割合は、V1/V2≧60%を満たす。
【0027】
本願の他の具体的な実施例において、単電池100の体積の和V1と電池パック10の
体積V2との割合は、V1/V2≧62%を満たす。
【0028】
本願の他の具体的な実施例において、単電池100の体積の和V1と電池パック10の
体積V2との割合は、V1/V2≧65%を満たす。
【0029】
理解できるように、V2は、電池パック10の外郭によって規定される立体形状の全体
積であり、すなわち、電池パック10の内部空間を含む体積であり、すなわち、電池パッ
ク10の外郭によって空間上で囲まれた立体領域の体積である。電気自動車において、V
1/V2は、空間利用率と理解することができる。
【0030】
当業者であれば理解できるように、いくつかの要因の影響により、例えば、周辺部品が
、トレイの底部の衝突防止空間、液冷システム、保温材料、絶縁保護材、熱安全補助部品
、排火排気通路、高圧配電モジュールなどを含むパック本体200の内部空間を占有する
ため、V1/V2のピーク値は、一般的に80%であり、すなわちV1/V2≦80%で
ある。
【0031】
以下、図面を参照して、本願の具体的な実施例に係る電池パック10を説明し、電池パ
ック10は、長手方向が矢印Aで示され、幅方向が矢印Bで示され、高さ方向が矢印Cで
示される。
【0032】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図2~
図4に示すように、単電池100は
、長手方向が電池パック10の幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100は電
池パック10の長手A方向に沿って配列されることにより、電池パック10のV1/V2
を55%、60%、62%、65%又はそれ以上に達することに役立ち、同時に、他の電
子部品(例えば電池管理システムBMS)を取り付けるための十分な空間を予約するため
に、一般的に電池パック10の空間利用率を85%以下に設定する。
【0033】
本願のいくつかの具体例において、
図3及び
図4に示すように、電池パック10の幅方
向Bに、単電池100とパック本体200の側壁との間の距離は単電池100の長さより
小さく、具体的には、電池パック10の幅方向Bに、単電池100の一端とそれ(単電池
100の上記一端)に隣接するパック本体200のサイドビームとの間の最近接距離はL
1であり、単電池100の他端とそれ(単電池100の上記他端)に隣接するパック本体
200のサイドビームとの間の最近接距離はL2であり、単電池100の長さLは、L1
+L2<Lを満たす。このように、電池パック10の幅方向Bに、追加の別の単電池10
0を収容することができない。
【0034】
換言すれば、パック本体200は、電池パック10の幅方向Bに、1つの単電池100
のみを収容する。すなわち、電池パック10の幅方向Bに、単電池100は、2つ又は2
つ以上の数で該方向に配置することができない。電池パック10において、単電池100
が電池パック10の高さ方向Cに沿って少なくとも2層設けられる場合、少なくとも1層
の単電池100は、電池パック10の幅方向Bに1つだけ収容することができる。上記単
電池100を1つだけ収容することは、電池パック10の幅方向Bに、1つだけの単電池
100を並列に設けることができることを指し、電池パック10の高さ方向Cに、2層設
けることができるが、電池パック10の幅方向Bに1つ以上の単電池100を配列するこ
とではない。
【0035】
理解できるように、電池パック10の幅方向Bに、パック本体200の両側は、サイド
ビームであり、電池パック10の長手方向Aに、パック本体200の両端は、エンドビー
ムである。
【0036】
本願のいくつかの具体例において、
図3及び
図4に示すように、単電池100の長さは
電池パック10の幅方向B全体に延び、すなわち電池パック10の幅方向Bに沿って、単
電池100はパック本体200の一側から他側まで延び、単電池100の長さは電池パッ
ク10の幅方向Bに充填され、パック本体200には電池パック10の幅方向Bに2つ又
は2つ以上の単電池100を配置することができず、単電池100の長手方向の両端はパ
ック本体200の幅方向Bに対向する両側壁に嵌合し、例えば、パック本体200に固定
することができる。これにより、パック本体200の内部に幅方向クロスビーム及び長手
方向クロスビームを必要とせず、直接的に、接続された単電池100により中間ビームの
役割を担い、パック本体200の構造を大幅に簡略化し、中間ビームの占有する空間及び
単電池100の取付構造の占有する空間を減少させることにより、空間利用率を向上させ
、航続能力を向上させる。
【0037】
当然のことながら、本願の実施例は、幅方向クロスビーム及び長手方向クロスビームを
設けないことに限定されず、本願のいくつかの実施例において、
図13に示すように、パ
ック本体200内に幅方向クロスビーム500を設けることができ、幅方向クロスビーム
500は電池パック10の幅方向Bに沿って延び、複数の単電池100は電池パック10
の長手方向Aに沿って配列されて電池アレイを形成し、幅方向クロスビーム500は上記
電池アレイを電池パック10の長手方向Aに沿って少なくとも二分割し、上記電池アレイ
の各部分は、少なくとも1つの単電池100を含み、かつ1つの電池モジュール400を
構成する。
【0038】
当然のことながら、本願の他のいくつかの実施例において、
図12に示すように、パッ
ク本体200内に長手方向クロスビーム600が設けられてもよく、長手方向クロスビー
ム600は電池パック10の長手方向Aに沿って延び、単電池100は、長手方向が電池
パック10の幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100は電池パック10の長
手方向Aに沿って配列されて電池アレイを形成し、上記パック本体200内に電池パック
10の幅方向Bに沿って少なくとも2列の電池アレイが配置され、各列の電池アレイは電
池パック10の長手方向Aに沿って配列された複数の単電池100を含み、長手方向クロ
スビーム600は隣接する2列の電池アレイの間に位置する。
【0039】
本願のいくつかの具体例において、パック本体200は、電池パック10の幅方向Bの
両側に位置するサイドビームを含み、単電池100の長手方向の両端は、上記サイドビー
ムに支持され、パック本体200は、電池パック10の長手方向Aの両端に位置するエン
ドビームを含み、上記エンドビームは、それに隣接する単電池100に対して内向きの押
圧力を提供する。
【0040】
図3及び
図4に示すように、パック本体200は、第1のサイドビーム201、第2の
サイドビーム202、第1のエンドビーム203及び第2のエンドビーム204を有し、
第1のサイドビーム201、第2のサイドビーム202、第1のエンドビーム203、第
2のエンドビーム204は順に首尾接続され、第1のサイドビーム201と第2のサイド
ビーム202は電池パック10の幅方向Bに対向し、第1のエンドビーム203と第2の
エンドビーム204は電池パック10の長手方向Aに対向する。第1のサイドビーム20
1及び第2のサイドビーム202は単電池100の長手方向の両端に支持力を提供し、す
なわち単電池100の一端が第1のサイドビーム201に支持され、かつ他端が第2のサ
イドビーム202に支持される。第1のエンドビーム203及び第2のエンドビーム20
4は単電池100の厚さ方向の両側に押圧力を提供し、すなわち第1のエンドビーム20
3は第1のエンドビーム203に隣接して設けられた単電池100に第2のエンドビーム
204に向かう作用力を印加し、第2のエンドビーム204は第2のエンドビーム204
に隣接して設けられた単電池100に第1のエンドビーム203に向かう作用力を印加す
ることにより、複数の単電池100は、電池パック10の長手方向Aに沿って第1のエン
ドビーム203と第2のエンドビーム204との間に緊密に配列し、互いに貼り合わせる
ことができる。また、第1のエンドビーム203及び第2のエンドビーム204は、電池
パック10の長手方向Aに複数の単電池100を位置規制することができ、特に、単電池
100が僅かに膨張すると、単電池100に対して緩衝し内向きの圧力を提供するという
作用を果たし、単電池100の膨張量及び変形量が大きすぎることを防止することができ
る。
【0041】
本願のいくつかの具体例において、
図7に示すように、単電池100は、長手方向が電
池パック10の幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100は電池パック10の
長手方向Aに沿って配列されて電池アレイを形成し、パック本体200内に電池パック1
0の高さ方向Cに沿って少なくとも2層の電池アレイを含む。これにより、単電池100
の数を最適化することにより、空間利用率を向上させてエネルギー密度を向上させ、かつ
BIC、低電圧サンプラーの集積化を実現しやすい。
【0042】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図15及び
図16に示すように、単電池1
00は、長手方向が電池パック10の長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電池1
00は電池パック10の幅方向Bに沿って配列されることにより、電池パック10の空間
利用率を55%、60%、62%、65%又はそれ以上に設定することに役立つ。
【0043】
本願のいくつかの具体例において、
図15及び
図16に示すように、電池パック10の
長手方向Aに、単電池100とパック本体200の端壁との間の距離は単電池100の長
さよりも小さい。具体的には、電池パック10の長手方向Aに、単電池100の一端とそ
れ(単電池100の上記一端)に隣接するパック本体200のエンドビームとの間の最近
接距離は、L3であり、単電池100の他端とそれ(単電池100の上記他端)に隣接す
るパック本体200のエンドビームとの間の最近接距離は、L4であり、単電池100の
長さLは、L3+L4<Lを満たす。このように、電池パック10の長手方向Aに、追加
の別の単電池100を収容することができない。
【0044】
換言すれば、パック本体200は、電池パック10の長手方向Aに、1つの単電池10
0のみを収容する。すなわち、電池パック10の長手方向Aに、単電池100は、2つ又
は2つ以上の数で該方向に配置することができない。
【0045】
理解できるように、電池パック10の幅方向Bに、パック本体200の両側は、サイド
ビームであり、電池パック10の長手方向Aに、パック本体200の両端は、エンドビー
ムである。
【0046】
本願のいくつかの具体例において、
図15及び
図16に示すように、単電池100の長
さは電池パック10の長手方向A全体に延び、すなわち電池パック10の長手方向Aに沿
って、単電池100はパック本体200の一端から他端まで延び、単電池100の長さは
電池パック10の長手方向Aに充填され、パック本体200には電池パック10の長手方
向Aに2つ又は2つ以上の単電池100を配置することができず、単電池100の長手方
向の両端はパック本体200の長手方向Aに対向する両端壁に嵌合し、例えば、パック本
体200に固定することができる。これにより、パック本体200の内部に幅方向クロス
ビーム及び長手方向クロスビームを必要とせず、直接的に、接続された単電池100によ
り中間ビームの役割を担い、パック本体200の構造を大幅に簡略化し、中間ビームの占
有する空間及び単電池100の取付構造の占有する空間を減少させることにより、空間利
用率を向上させ、航続能力を向上させる。
【0047】
当然のことながら、本願の実施例は、横方向及び幅方向クロスビームを設けないことに
限定されず、本願のいくつかの実施例において、
図15に示すように、パック本体200
内に長手方向クロスビーム600を設けることができ、長手方向クロスビーム600は電
池パック10の長手方向Aに沿って延び、複数の単電池100は電池パック10の幅方向
Bに沿って配列されて電池アレイを形成し、長手方向クロスビーム600は上記電池アレ
イを電池パック10の幅方向Bに沿って少なくとも二分割し、上記電池アレイの各部分は
、少なくとも1つの単電池100を含み、かつ1つの電池モジュール400を構成する。
【0048】
当然のことながら、本願の他のいくつかの実施例において、パック本体200内に幅方
向クロスビーム500が設けられてもよく、幅方向クロスビーム500は電池パック10
の幅方向Bに沿って延び、単電池100は、長手方向が電池パック10の長手方向Aに沿
うように配置され、複数の単電池100は電池パック10の幅方向Bに沿って配列されて
電池アレイを形成し、パック本体200内に電池パック10の長手方向Aに沿って少なく
とも2列の電池アレイが配置され、各列の電池アレイは電池パック10の幅方向Bに沿っ
て配列された複数の単電池100を含み、幅方向クロスビーム500は隣接する2列の電
池アレイの間に位置する。
【0049】
本願のいくつかの具体例において、パック本体200は、電池パック10の長手方向A
の両端に位置するエンドビームを含み、単電池100の長手方向の両端は、上記エンドビ
ームに支持され、パック本体200は、電池パック10の幅方向Bの両側に位置するサイ
ドビームを含み、上記サイドビームは、それに隣接する単電池100に対して内向きの押
圧力を提供する。
【0050】
図16に示すように、パック本体200は、第1のサイドビーム201、第2のサイド
ビーム202、第1のエンドビーム203及び第2のエンドビーム204を有し、第1の
サイドビーム201、第2のサイドビーム202、第1のエンドビーム203、第2のエ
ンドビーム204は順に首尾接続され、第1のサイドビーム201と第2のサイドビーム
202は電池パック10の幅方向Bに対向し、第1のエンドビーム203と第2のエンド
ビーム204は電池パック10の長手方向Aに対向する。第1のエンドビーム203及び
第2のエンドビーム204は単電池100の長手方向の両端に支持力を提供し、すなわち
単電池100の一端が第1のエンドビーム203に支持され、かつ他端が第2のエンドビ
ーム204に支持される。第1のサイドビーム201及び第2のサイドビーム202は単
電池100の厚さ方向の両側に押圧力を提供し、すなわち第1のサイドビーム201は第
1のサイドビーム201に隣接して設けられた単電池100に第2のサイドビーム202
に向かう作用力を印加し、第2のサイドビーム202は第2のサイドビーム202に隣接
して設けられた単電池100に第1のサイドビーム201に向かう作用力を印加すること
により、複数の単電池100は、電池パック10の幅方向Bに沿って第1のサイドビーム
201と第2のサイドビーム202との間に緊密に配列し、互いに貼り合わせることがで
きる。また、第1のサイドビーム201及び第2のサイドビーム202は、電池パック1
0の幅方向Bに複数の単電池100を位置規制することができ、特に、単電池100が僅
かに膨張すると、単電池100に対して緩衝し内向きの圧力を提供するという作用を果た
し、単電池100の膨張量及び変形量が大きすぎることを防止することができる。
【0051】
本願のいくつかの具体例において、
図15に示すように、単電池100は、長手方向が
電池パック10の長手方向Aに沿うように配置され、複数の単電池100は電池パック1
0の幅方向Bに沿って配列されて電池アレイを形成し、パック本体200内に電池パック
10の高さ方向Cに沿って少なくとも1層の電池アレイを含む。これにより、単電池10
0の数を最適化することにより、空間利用率を向上させてエネルギー密度を向上させ、か
つBIC、低電圧サンプラーの集積化を実現しやすい。
【0052】
本願のいくつかの具体的な実施例において、複数の単電池100は複数の電池モジュー
ル400に組み立てることができ、複数の電池モジュール400は、電池パック10の長
手方向Aに沿って配列されてもよく(
図6に示す)、電池パック10の幅方向Bに沿って
配列されてもよく(
図15に示す)、電池パック10の高さ方向Cに沿って配列されて多
層構造を形成してもよく(
図7に示す)、換言すれば、単電池100が電池パック10の
幅方向Bに沿って延びるか又は長手方向Aに沿って延びるかにかかわらず、複数の単電池
100は、いずれも電池パック10の高さ方向Cに沿って多層に配列することができる。
当然のことながら、複数の電池モジュール400は、電池パック10の長手方向A及び高
さ方向Cに沿って同時に配列されてもよいか、又は電池パック10の幅方向B及び高さ方
向Cに沿って同時に配列されてもよい。これにより、電池モジュール400の数が最適化
されることにより、空間利用率を向上させてエネルギー密度を向上させ、かつBIC、低
電圧サンプラーの集積化を実現しやすい。理解すべきことは、本願の実施例における電池
モジュール400にエンドビーム及びサイドビームなどの構造が設けられないことである
。
【0053】
従来技術において、単電池の寸法が小さく、長さが短く、単電池の対向する両端が、パ
ック本体200’’に対向して設けられた2つの側壁に嵌合することができないため、パ
ック本体200’’内に長手方向クロスビーム600’及び/又は幅方向クロスビーム5
00’(
図1に示す)を設ける必要があり、このように、単電池の組立が容易になる。単
電池が電池モジュール400’によりパック本体200’’内に取り付けられると、電池
パック10’の幅方向に沿って複数の単電池が存在し、すなわち、単電池が対向して設け
られた2つの側壁の間に延びず、対向して設けられた2つの長手方向クロスビーム600
’又は幅方向クロスビーム500’の間に延び、電池モジュールが締結具により隣接する
長手方向クロスビーム600’及び/又は幅方向クロスビーム500’に固定される。
【0054】
従来技術におけるパック本体200’’内に長手方向クロスビーム600’及び/又は
幅方向クロスビーム500’が設けられ、長手方向クロスビーム600’及び/又は幅方
向クロスビーム500’がパック本体200’’内の単電池を収容するための大量の取付
空間を占めるため、パック本体200’’の空間利用率が低く、一般的に、単電池の体積
の和とパック本体200’’の体積との比は約40%であり、さらにより低く、すなわち
、従来技術におけるパック本体200’’内に単電池を取り付ける約40%の空間のみが
あるため、パック本体200’’に収容可能な単電池の数が限られ、電池パック10’全
体の容量、電圧が制限され、電池パック10’の航続能力が低い。
【0055】
本願の実施例に係る電池パック10は、パック本体200内の長手方向クロスビーム及
び/又は幅方向クロスビームの使用を減少させ、さらにパック本体200内に長手方向ク
ロスビーム及び/又は幅方向クロスビームを設置しなくてもよく、このように、長手方向
クロスビーム及び/又は幅方向クロスビームがパック本体200内に占める空間を減少さ
せ、パック本体200の空間利用率を向上させる一方、電池モジュール400内のエンド
ビーム及びサイドビームの使用を減少させ、エンドビーム及びサイドビームがパック本体
200に占める空間を減少させ、パック本体200の空間利用率を向上させることができ
る。できるだけ多くの単電池100をパック本体200に配置することができ、さらに電
池パック全体の容量、電圧及び航続能力を向上させる。
【0056】
また、パック本体200内に長手方向クロスビーム及び/又は幅方向クロスビームを配
置する必要がないため、パック本体200の製造プロセスを簡略化し、単電池100の組
立の複雑度を低減し、生産コストを低減する一方、パック本体200及び電池パック10
全体の重量を軽減し、電池パック10の軽量化を実現する。特に、電池パック10が電気
自動車に取り付けられる場合、電気自動車の航続能力を向上させ、電気自動車の軽量化を
実現することもできる。
【0057】
また、単電池100自体は、パック本体200の構造強度を補強するために用いられ、
すなわち、パック本体200内にその構造強度を補強する補強構造をさらに設ける必要が
なく、補強構造に代えて単電池100自体でパック本体200の構造強度を確保し、パッ
ク本体200が外力の作用下で変形しにくいことを確保することができる。中国特許文献
CN107925028Aに開示された組電池に比べて、パック本体200は、単電池1
00を収容し保護する作用を果たすだけでなく、単電池100を支持し、電池パック10
全体の耐荷重能力を向上させることができ、単電池100の長さは、電池パック10の強
度に補強作用を果たす。また、単一の単電池100の表面積が増加することにより、単電
池100の放熱面積を増大させ、単電池100の放熱速度を向上させ、さらに電池パック
10全体の安全性を向上させることができ、電池パック10がより安全で確実である。
【0058】
本願のいくつかの具体例において、単電池100は、電池本体110(タブなどの小さ
な寸法の突出構造を除いた本体部分として理解できる)を含み、電池本体110の体積V
と電池本体110のエネルギーEは、V/E≦2000mm3・Wh-1を満たす。これ
により、十分な放熱面積を保証して放熱効果を保証するだけでなく、単電池100の体積
割合を低減することができ、複数の単電池100の電池パック10での配置のコンパクト
化に役立つ。
【0059】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図9及び
図10に示すように、上記パック
本体200は、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池のケースと異
なり、特に寸法及び荷重支持の態様において、パック本体200は、車両本体/車体と係
合する、単電池100を収容し担持する構造を形成するように、車体と係合して接続され
た車両用トレイ210を含んでよく、該車両用トレイ210は、独立して製造される、単
電池100を収容し取り付けるトレイである。単電池100を車両用トレイ210内に取
り付けた後、該車両用トレイ210を締結具により車体に取り付けることができ、例えば
、電気自動車のシャーシに吊り下げて、収容及び荷重支持の作用を果たす。
【0060】
電池パック10を、車両に使用されて電気エネルギーを供給する電池パックとして使用
する場合、単電池100を、長手方向が車体の長手方向、すなわち、車両の前後方向に沿
うように配置することができ、この場合で、単電池100の電池本体110の長さLは4
00mm~2500mmであってもよく、いくつかの実施例において、単電池100の長
さが車両の長さに合わせるように、Lは400~1500であってもよい。電池パック1
0を、車両に使用されて電気エネルギーを供給する電池パックとして使用する場合、単電
池100を、長手方向が車体の幅方向、すなわち、車両の左右方向に沿うように配置する
ことができ、この場合で、単電池100の長さが車両の幅に合わせるように、単電池10
0の電池本体110の長さLは400~1500であってもよい。本願のいくつかの実施
例において、電池本体の長さLは、700mm~2500mmであり、さらに、800m
m~1500mmであってもよい。
【0061】
本願のいくつかの具体例において、
図8に示すように、パック本体200は、電気自動
車に直接形成されてもよく、すなわち、パック本体200は、電気自動車の任意の適切な
位置に形成され、単電池100を取り付ける装置である。例えば、パック本体200は、
電気自動車のシャーシに形成されてよい。
【0062】
本願のいくつかの具体的な実施例において、電池パック10が電気自動車に配置される
場合、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池と異なり、電池パック
10はさらに、電池管理システム(BMS)、電池コネクタ、電池サンプラー及び電池熱
管理システムのうちの少なくとも1つなどの車両用電池に必要な部品を含み、電池パック
10は、幅方向Bが車体の幅方向、すなわち、車両の左右方向に沿うとともに長手方向が
車体の長手方向、すなわち車両の前後方向に沿うように配置される。当然のことながら、
本願は、これに限定されず、電池パック10は、幅方向Bが車体の長手方向に沿うととも
に長手方向Aが車体の幅方向に沿うように配置されてもよい。本願のいくつかの実施例に
おいて、第1の方向及び第2の方向は、電池パックを基準として互いに垂直な2つの方向
であり、第1の方向は、電池パックの幅方向であってもよく、第2の方向は、電池パック
の長手方向であってもよい。
【0063】
当業者であれば理解できるように、単電池100の電池パック10内での方向配置及び
電池パック10の電気自動車での方向配置は、異なる形式で組み合わせられてよく、例え
ば、単電池100は、長手方向が電池パック10の幅方向Bに沿うように配置されてもよ
く、長手方向が電池パック10の長手方向Aに沿うように配置されてもよく、電池パック
10は、幅方向Bが車体の幅方向に沿うように配置されてもよく、幅方向Bが車体の長手
方向に沿うように配置されてもよく、さらに、例えば、電池パック10は、幅方向Bが車
体の幅方向に沿うか、又は車体の長手方向に沿うように配置されるにかかわらず、単電池
100は、長手方向がいずれも車体の幅方向に沿うように配置される。単電池100、電
池パック10及び車体の相対的な配置方向は、実際の応用に応じて設定することにより、
異なる要件を満たすことができる。
【0064】
以下、図面を参照して、本願の実施例に係る単電池100を説明する。
【0065】
以下の具体的な実施例において、長さL、幅H及び厚さDの単位は、いずれもミリメー
トル(mm)であり、表面積Sの単位は、平方ミリメートル(mm2)であり、体積Vの
単位は、立方ミリメートル(mm3)であり、エネルギーEの単位は、ワット時(Wh)
である。
【0066】
図5に示すように、本願の実施例に係る単電池100は、電池本体110を含み、電池
本体110は、タブなどの小さな寸法の突出構造を除いた本体部分として理解できる。電
池本体110は、長さL、幅H及び厚さDを有する。
【0067】
電池本体110の長さLは、電池本体110の幅Hより大きく、電池本体110の幅H
は、電池本体110の厚さDより大きく、電池本体110の長さLと電池本体110の幅
Hは、L/H=4~21を満たし、本願のいくつかの具体的な実施例において、電池本体
110の長さLと電池本体110の幅Hは、L/H=9~13を満たす。
【0068】
電気自動車の開発において、単電池の電圧プラトーに対する要求が所定であることによ
り、単電池の体積は一定値になり、すなわち、ある電圧プラットフォームに達する場合、
同じ化学系材料を使用する上で、その単電池に収容された材料の量が一定であるため、体
積は一定である。本願の実施例に係る単電池100は、電池本体110の長さLと幅Hと
の比を設計することにより、一定の体積で電池本体110を合理的に扁平化することがで
き、電池パック内の全体的な配列(例えば、本願の上記実施例に係る電池パック10の配
列を実現する)に役立つことにより、電池パックの空間利用率を向上させ、電池パックの
エネルギー密度を拡大し、さらに電池パックの航続能力を向上させる一方、単電池100
が十分に大きな放熱面積を有することを保証し、内部の熱量をタイムリーに外部に伝導し
て、熱量が内部に集まることを防止することにより、高いエネルギー密度に適合し、航続
能力の向上をサポートすることができる。
【0069】
本願のいくつかの具体的な実施例において、単電池100の電池パック内での配列を最
適化し、単電池100の放熱能力を向上させるために、電池本体110の長さLと厚さD
は、L/D=23~208を満たし、いくつかの実施例において、L/D=23~200
であり、本願の他の具体的な実施例において、電池本体110の長さLと厚さDは、L/
D=50~120を満たす。
【0070】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図5に示すように、電池本体110は、一
定の構造強度を有するように、外面が平滑な直方体形状に構成され、例えば、電池用電極
体を角形電池ケース内に入れ、蓋板で電池ケースの開口部分を密封し、電解液を注入する
。アルミプラスチック複合膜の電池と比較して、本願の実施例に係る単電池100は、熱
伝導性能が高く、従来の電池熱管理構造と組み合わせて、大きな寸法の構造による放熱問
題を効果的に回避することができる。円柱状電池と比較して、空間利用率がより高く、製
造組立プロセスがより簡単である。
【0071】
本願の実施例に係る単電池100が電池パック10のパック本体200内に配置される
場合、電池本体110の長手方向及び厚さ方向は水平方向に沿って延びることができ、電
池本体110の幅方向は垂直方向に沿って延びることができ、すなわち、単電池100が
縦に立てて配置され、該水平方向及び垂直方向はいずれも電池パック10を使用する場合
(例えば、電気自動車に適用する場合)の方向を基準とする。
【0072】
本願のいくつかの具体例において、単電池100の電池パック10内での配列を最適化
することにより、エネルギー密度を向上させて航続能力を向上させ、パック本体200の
限られた空間内に、電池本体110の配列をコンパクトにし、エネルギーをより集中させ
るために、単電池100の他のパラメータを設計する。
【0073】
本願のいくつかの実施例において、電池本体110の長さLと電池本体110の体積V
は、L/V=0.0005mm-2~0.002mm-2を満たし、本願のいくつかの実
施例において、電池本体110の幅Hと電池本体110の体積Vは、H/V=0.000
1mm-2~0.00015mm-2を満たし、本願のいくつかの実施例において、電池
本体110の厚さDと電池本体110の体積Vは、D/V=0.0000065mm-2
~0.00002mm-2を満たす。一定の体積の電池本体110に対して、長さL、幅
H及び厚さDのうちの各項と体積Vとの割合を設計することにより、単位数量のエネルギ
ーの空間での分布を最適化することができ、このように、パック本体200内での配置に
役立つ。
【0074】
本願のいくつかの実施例において、電池本体110の長さLと電池本体110の表面積
Sは、L/S=0.002mm-1~0.005mm-1を満たし、本願のいくつかの実
施例において、電池本体110の長さLと電池本体110のエネルギーEは、L/E=0
.8mm・Wh-1~2.45mm・Wh-1を満たし、本願のいくつかの実施例におい
て、電池本体110の長さLと電池本体110のエネルギーEは、L/E=1.65mm
・Wh-1~2.45mm・Wh-1を満たす。これにより、単電池100がその長手方
向にパック本体200の対向する両辺を横断することに役立ち、このように、電池パック
10の航続能力を向上させ、かつ単電池100の構造強度及び放熱効果を両立させる。
【0075】
本願のいくつかの他の例において、電池本体110の表面積Sと電池本体110の体積
Vは、S/V=0.1~0.35mm-1を満たす。これにより、十分な放熱面積を保証
して放熱効果を保証するだけでなく、単電池100の体積割合を低減することができ、複
数の単電池100の電池パック10での配置のコンパクト化に役立つ。
【0076】
電池本体110の表面積Sと電池本体110のエネルギーEは、S/E≦1000mm
2・Wh-1を満たす。このように、単電池100の表面の放熱が十分であり、特に動力
電池が三元系又は高ニッケル三元系正極材料を採用する場合、電池内部の熱量をタイムリ
ーに伝導することを保証することができ、電池の安全に役立つ。また、本願の実施例にお
ける単電池100は、外面が平滑な角形電池であり、一定の構造強度を有し、金属熱伝導
性が良好であり、波形により表面積を増加させる電池と比較して、プロセス及び後期の組
立の難度が小さい。
【0077】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図5に示すように、単電池100はさらに
、第1のタブ101及び第2のタブ102を含む。
【0078】
第1のタブ101は、電池本体110の長手方向の一端に設けられ、第2のタブ102
は、電池本体110の長手方向の他端に設けられる。換言すれば、単電池100の長手方
向は、単電池100の内部の電流方向であってよく、すなわち、単電池100の内部の電
流方向は、矢印Bにより示すとおりである。このように、電流方向が単電池100の長手
方向と同じであるため、単電池100の有効放熱面積がより大きく、放熱効率がより高い
。ここで、第1のタブ101は、単電池100の正極タブであり、第2のタブ102は、
単電池100の負極タブであってよく、或いは、第1のタブ101は、単電池100の負
極タブであり、第2のタブ102は、単電池100の正極タブである。
【0079】
本願のいくつかの具体例において、
図5に示すように、単電池100は、防爆弁103
をさらに含む。
【0080】
防爆弁103は、電池本体110の長手方向での少なくとも1端に設けられる。単電池
100が故障して膨張すると、その内部は、防爆弁103内の反転シートを突き破るのに
十分な気圧を有することにより、単電池100を短絡させ、単電池100の安全を保証し
、単電池100が爆発することを防止することができる。
【0081】
当業者であれば理解できるように、防爆弁103を設けることは、アルミニウムケース
電池だけでなく、パウチ電池にも適用することができ、また、防爆弁103は、電池本体
100の端部以外の他の位置に設けられてよい。
【0082】
本願のいくつかの具体的な実施例において、電池本体110の長手方向での両端にぞれ
ぞれ防爆弁103が設けられ、電池本体110の両端の防爆弁103は、異なる排気通路
222により排気する。
【0083】
例えば、
図2、
図5及び
図11に示すように、単電池100の第1のサイドビーム20
1に向かう第1の端に防爆弁103が設けられ、第1のサイドビーム201の内部に排気
通路222が設けられ、第1のサイドビーム201の各単電池100の防爆弁103に対
応する位置のそれぞれに吸気口221が設けられ、吸気口221が排気通路222に連通
し、パック本体200に排気通路222に連通する排気孔が設けられ、及び/又は、単電
池100の第2のサイドビーム202に向かう第2の端に防爆弁103が設けられ、第2
のサイドビーム202の内部に排気通路222が設けられ、第2のサイドビーム202の
各単電池100の防爆弁103に対応する位置のそれぞれに吸気口221が設けられ、吸
気口221が排気通路222に連通し、パック本体200に排気通路222に連通する排
気孔が設けられる。
【0084】
従来技術において、単電池の使用中に、その内部の気圧がある程度まで上昇すれば、防
爆弁が開き、単電池の内部の火炎、煙又はガスが防爆弁を通って排出されて、電池パック
の内部に集まり、タイムリーに排出できなければ、単電池に対して二次的なダメージを与
える。本願の実施例において、第1のサイドビーム201及び/又は第2のサイドビーム
202に、単電池100の防爆弁103に対応する吸気口221が設けられ、かつ第1の
サイドビーム201及び/又は第2のサイドビーム202の内部に排気通路222が設け
られるため、単電池100の内部の気圧が上昇すると、その防爆弁103が開き、その内
部の火炎、煙又はガスなどが直接的に吸気口221を通って第1のサイドビーム201及
び/又は第2のサイドビーム202内の排気通路222に入り、かつ排気孔を通って第1
のサイドビーム201及び又は第2のサイドビーム202から排出され、例えば、排気孔
を通って大気中に排出され、このように、該火炎、煙又はガスがパック本体200の内部
に集まらず、該火炎、煙又はガスが単電池100に対して二次的なダメージを与えること
を回避する。
【0085】
また、複数の単電池100における各単電池100は、一端が第1のサイドビーム20
1内の排気通路222により排気され、他端が第2のサイドビーム202内の排気通路2
22により排気され、このように、単電池100の両端は異なる通路により排気され、排
気距離を増加させ、交差排気を形成することにより、温度を低下させることができる。
【0086】
以下、図面を参照して本願の実施例に係る電気自動車1を説明し、該電気自動車は、電
池パックを用いて電気エネルギーを提供して、走行を駆動する必要がある商用車、特種車
、電動自転車、電動バイク、電動スクーターなどの電気自動車を含んでよい。
【0087】
図9及び
図10に示すように、本願の実施例に係る電気自動車1は、本願の上記実施例
に係る電池パック10を含み、パック本体200は、電気自動車に一体成形されてもよく
、独立して製造された、単電池100を収容しかつ取り付ける車両用トレイであってもよ
い。
【0088】
本願の実施例に係る電気自動車1は、本願の上記実施例に係る電池パック10を利用す
ることにより、電池の占有空間を拡大することなく航続能力を向上させることができる。
【0089】
本願のいくつかの具体的な実施例において、
図9及び
図10に示すように、電池パック
10は電気自動車1の底部に設けられ、パック本体200は電気自動車1のシャーシに固
定接続される。電気自動車1のシャーシでの取付空間が大きいため、電池パック10を電
気自動車1のシャーシに設けることにより、単電池100の数を可能な限り大きくして、
電気自動車1の航続能力を向上させることができる。
【0090】
本願のいくつかの具体例において、
図9及び
図10に示すように、電気自動車1は、電
気自動車1の底部に設けられた電池パック10を含み、パック本体200は、電気自動車
1のシャーシに固定接続され、電池パック10は、幅方向が電気自動車1の車体の幅方向
、すなわち、電気自動車1の左右方向に沿うとともに長手方向が電気自動車1の車体の長
手方向、すなわち、電気自動車1の前後方向に沿うように配置される。他の実施例におい
て、電気自動車1は、電気自動車1の底部に設けられた複数の電池パック10を含んでよ
く、該複数の電池パック10の形状及び寸法は、同じであっても異なってもよく、各電池
パック10は、電気自動車1のシャーシの形状及び寸法に応じて調整可能であり、複数の
電池パック10は、車体の長手方向、すなわち前後方向に配列される。
【0091】
本願のいくつかの具体例において、パック本体200の幅Fと車体の幅Wとの比は、5
0%≦F/W≦80%を満たす。本願の他の実施例において、上記電池パックの幅方向で
の上記電池本体の長さLと車体の幅Wは、46%≦L/W≦76%を満たす。上記実施例
において、車体の幅方向に沿って1つのパック本体200のみを設けることで実現するこ
とができ、パック本体200が複数である場合、複数のパック本体200は、車体の長手
方向に沿って配列される。一般的には、複数の車両にとって、車体の幅Wが500mm~
2000mm、例えば500mm、1600mm、1800mm、2000mmであり、
車体の長さが500mm~5000mmであり、乗用車にとって、乗用車の幅が一般的に
500mm~1800mmであり、車体の長さが500mm~4000mmである。
【0092】
本願のいくつかの他の実施例において、パック本体200の幅Fは、500mm~15
00mmであり、中国特許文献CN107925028Aに開示された組電池のケースよ
りはるかに大きく、CN107925028Aのような組電池の電池モジュール400を
収容することに役立ち、航続能力を保証し、車体の寸法に合わせる。
【0093】
本願のいくつかの具体例において、単電池100は、電池本体110を含み、電池本体
110の長さLと車体の幅Wとの比は、46%≦L/W≦76%を満たす。本実施例にお
いて、車体の幅方向に沿って1つの単電池100のみを設けることで実現することができ
る。他の可能な実施形態において、このような寸法要求を満たす場合、長手方向に複数の
電池モジュール400又は複数の単電池100を設けることで実現することができる。い
くつかの実施例において、電池本体110の長さLは、400mm~1500mmである
。
【0094】
本願の実施例に係る単電池100、電池パック10及び電気自動車1の他の構成及び操
作は、当業者にとって既知であるため、ここで詳細に説明しない。
【0095】
本願の第3の態様の実施例に係るエネルギー蓄積装置は、本願の第1の態様の実施例に
記載の電池パックを含む。
【0096】
以下、比較例1及び実施例1~3、比較例2及び実施例4~5により説明し、本願の実
施例に係る電池パック10は、単電池100の配列及び寸法パラメータなどを設計するこ
とにより、エネルギー密度などの面で向上する。
【0097】
以下の実施例及び比較例は、いずれもリン酸鉄リチウム電池を例とする。
【0098】
比較例1、実施例1、実施例2及び実施例3において、電池パック10’は、総体積が
213Lであり、そのパック本体200’と内部電池管理システム及び他の配電モジュー
ルの占める体積の合計が58Lであり、電池パック10’の実際に残される、単電池及び
幅方向クロスビーム及び長手方向クロスビームを収容できる体積が155Lであり、電気
ボックスの体積が22.5Lであり、パック本体200は、長さが1380mmであり、
幅が1005mmであり、厚さが137mmである。電池パックの総体積が213L=1
380×1005×137×0.000001+22.5である。
(比較例1)
【0099】
従来技術における電池パック10’において、
図1に示すように、パック本体200’
’内に2つの幅方向クロスビーム500’及び1つの長手方向クロスビーム600’が設
けられ、2つの幅方向クロスビーム500’及び1つの長手方向クロスビーム600’は
、単電池を6つの組電池400’に分割し、各組電池400’はいずれも組電池のケース
を有する。
【実施例0100】
本願の実施例に係る電池パック10において、
図12に示すように、単電池100は、
長手方向が電池パックの幅方向Bに沿うように配置され、複数の単電池100は、電池パ
ック10の長手方向Aに沿って配列され、パック本体200は、電池パックの幅方向Bに
2つの単電池100を収容する。パック本体200内に1つの幅方向クロスビーム500
及び1つの長手方向クロスビーム600が設けられ、幅方向クロスビーム500は、電池
パック10の幅方向Bに沿って延び、複数の単電池100は、電池パック10の長手方向
Aに沿って配列されて電池アレイを形成し、幅方向クロスビーム500は、電池アレイを
電池パック10の長手方向Aに沿って二分割している。また、複数の単電池100に2列
の電池アレイが電池パックの幅方向Bに沿って配置され、長手方向クロスビーム600は
、隣接する2列の電池アレイの間に位置する。パック本体200の電池パック10の幅方
向Bの両側に位置する第1のサイドビーム201及び第2のサイドビーム202は、単電
池100に支持力を提供し、パック本体200の電池パック10の長手方向Aの両端に位
置する第1のエンドビーム203及び第2のエンドビーム204は、隣接する単電池10
0に内向きの押圧力を提供する。パック本体200内に電池パック10の高さ方向Cに沿
って1層の電池アレイが含まれる。該電池パック10の電池アレイ(電池モジュールとも
理解される)にエンドビーム及びサイドビームが設けられていない。