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特開2023-156322弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法
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  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図1A
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図1B
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図1C
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図2
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図3-1
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図3-2
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図4
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図5
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図6
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図7
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図8
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図9
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図10
  • 特開-弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156322
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】弾性表面波フィルタ組付体、無線周波数モジュール、及び弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/25 20060101AFI20231017BHJP
   H03H 3/10 20060101ALI20231017BHJP
   H03H 9/145 20060101ALI20231017BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
H03H9/25 A
H03H3/10
H03H9/145 C
H01L23/36 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023118221
(22)【出願日】2023-07-20
(62)【分割の表示】P 2022007539の分割
【原出願日】2018-06-19
(31)【優先権主張番号】62/522,588
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/522,603
(32)【優先日】2017-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503031330
【氏名又は名称】スカイワークス ソリューションズ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYWORKS SOLUTIONS,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】後藤 令
(72)【発明者】
【氏名】山路 徹
(57)【要約】      (修正有)
【課題】弾性表面波デバイスの熱を散逸するべく構成された熱伝導層を含む弾性表面波デバイス、無線周波数モジュール及び無線通信デバイスを提供する。
【解決手段】弾性表面波デバイス19は、熱伝導層12と、圧電層14と、当該圧電層上のインターデジタルトランスデューサ電極16と、を含む。熱伝導層は、圧電層よりも薄くてよい。弾性表面波フィルタチップは、第1の弾性表面波フィルタと、第2の弾性表面波フィルタと、第1の弾性表面波フィルタ組付体からの熱を第2の弾性表面波フィルタ組付体に対応する一領域において散逸させるべく構成された熱伝導シートを含む。熱伝導シートは、第1の弾性表面波フィルタ組付体の圧電層よりも薄くてよい。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性表面波デバイスであって、
圧電層と、
前記圧電層上のインターデジタルトランスデューサ電極と、
前記弾性表面波デバイスの熱を散逸させるべく構成された熱伝導層と
を含み、
前記熱伝導層は前記圧電層よりも薄く、
前記弾性表面波デバイスは弾性表面波を生成するように構成される弾性表面波デバイス。
【請求項2】
前記熱伝導層と前記インターデジタルトランスデューサ電極とは前記圧電基板の対向側に
存在する請求項1の弾性表面波デバイス。
【請求項3】
前記熱伝導層は前記圧電層に物理的に接触する請求項2の弾性表面波デバイス。
【請求項4】
前記熱伝導層は電気絶縁層である請求項1の弾性表面波デバイス。
【請求項5】
前記熱伝導層の熱伝導率は、前記圧電層の熱伝導率の少なくとも5倍である請求項1の弾
性表面波デバイス。
【請求項6】
前記熱伝導層の熱伝導率は23W/mKから300W/mKの範囲にある請求項1の弾性
表面波デバイス。
【請求項7】
前記熱伝導層の厚さは、前記圧電層の厚さの半分未満である請求項1の弾性表面波デバイ
ス。
【請求項8】
前記熱伝導層の厚さは、6.3マイクロメートルよりも大きい請求項1の弾性表面波デバ
イス。
【請求項9】
前記熱伝導層は窒化アルミニウムを含む請求項1の弾性表面波デバイス。
【請求項10】
前記圧電層はニオブ酸リチウムを含む請求項1の弾性表面波デバイス。
【請求項11】
前記圧電層の厚さは、300マイクロメートル未満である請求項1の弾性表面波デバイス
【請求項12】
前記インターデジタルトランスデューサ電極を覆う二酸化シリコンをさらに含む請求項1
の弾性表面波デバイス。
【請求項13】
無線周波数モジュールであって、
無線周波数信号を与えるべく構成された電力増幅器と、
前記無線周波数信号をフィルタリングするべく構成された弾性表面波フィルタと
を含み、
前記弾性表面波フィルタは、
圧電層と、
前記圧電層上のインターデジタルトランスデューサ電極と、
前記弾性表面波デバイスの熱を散逸させるべく構成された熱伝導層と
を含み、
前記熱伝導層は前記圧電層よりも薄い無線周波数モジュール。
【請求項14】
前記弾性表面波フィルタと第2の弾性表面波フィルタとが単一ダイ上に実装され、
前記熱伝導層は、前記第1の弾性波フィルタからの熱を前記第2の弾性表面波フィルタの
一領域にわたって散逸させるように構成される請求項13の無線周波数モジュール。
【請求項15】
前記電力増幅器と前記弾性表面波フィルタとの間の信号経路に無線周波数スイッチをさら
に含む請求項13の無線周波数モジュール。
【請求項16】
前記熱伝導層の熱伝導率は、前記圧電層の熱伝導率の少なくとも25倍である請求項13
の無線周波数モジュール。
【請求項17】
前記熱伝導層の熱伝導率は140W/mKから300W/mKの範囲にある請求項13の
無線周波数モジュール。
【請求項18】
前記熱伝導層の厚さは、6.3マイクロメートルよりも大きく、
前記圧電層の厚さは、300マイクロメートル未満である請求項13の無線周波数モジュ
ール。
【請求項19】
無線通信デバイスであって、
フィルタリングされた無線周波数信号を与えるべく構成された弾性表面波フィルタと、
前記フィルタリングされた無線周波数信号を送信するべく構成されたアンテナと
を含み、
前記弾性表面波フィルタは、
圧電層と、
前記圧電層上のインターデジタルトランスデューサ電極と、
前記弾性表面波デバイスの熱を散逸させるべく構成された熱伝導層と
を含み、
前記熱伝導層は前記圧電層よりも薄い無線通信デバイス。
【請求項20】
前記弾性表面波フィルタを含む無線周波数フロントエンドと通信する送受信器をさらに含
む請求項19の無線通信デバイス。
【請求項21】
弾性表面波フィルタ組付体であって、
圧電層を含む第1の弾性表面波フィルタと、
第2の弾性表面波フィルタと、
前記第1の弾性表面波フィルタからの熱を、前記第2の弾性表面波フィルタに対応する一
領域において散逸させるべく構成された熱伝導シートと
を含み、
前記熱伝導シートは前記圧電層よりも薄い弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項22】
前記第1の弾性表面波フィルタは送信フィルタであり、
前記第2の弾性表面波フィルタは受信フィルタである請求項21の弾性表面波フィルタ組
付体。
【請求項23】
前記第1の弾性表面波フィルタはデュプレクサの送信フィルタであり、
前記第2の弾性表面波フィルタは前記デュプレクサの受信フィルタである請求項21の弾
性表面波フィルタ組付体。
【請求項24】
前記第1の弾性表面波フィルタは第1の送信フィルタであり、
前記第2の弾性表面波フィルタは第2の送信フィルタであり、
前記第1の送信フィルタと前記第2の送信フィルタとは、異なる時刻にアクティブになる
ように配列される請求項21の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項25】
前記第1の弾性表面波フィルタと前記第2の弾性表面波フィルタとは単一チップ上に含め
られる請求項21の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項26】
前記熱伝導シートと前記第1の弾性表面波フィルタのインターデジタルトランスデューサ
電極とは前記圧電層の対向側に存在する請求項21の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項27】
前記熱伝導層は、前記第2の弾性表面波フィルタの第2のインターデジタルトランスデュ
ーサ電極、及び前記第1のインターデジタルトランスデューサ電極の下において延びる請
求項26の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項28】
前記熱伝導シートは前記圧電層に物理的に接触する請求項21の弾性表面波フィルタ組付
体。
【請求項29】
前記熱伝導シートは電気絶縁層である請求項21の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項30】
前記熱伝導シートの厚さは、6.3マイクロメートルよりも大きい請求項21の弾性表面
波フィルタ組付体。
【請求項31】
前記熱伝導層は窒化アルミニウムを含む請求項21の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項32】
前記圧電層はニオブ酸リチウムを含む請求項31の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項33】
前記第1の弾性表面波フィルタのインターデジタルトランスデューサ電極を覆う二酸化シ
リコンをさらに含む請求項21の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項34】
無線周波数モジュールであって、
無線周波数信号を与えるべく構成された電力増幅器と、
前記無線周波数信号をフィルタリングするべく構成された弾性表面波フィルタであって、
圧電層を含む弾性表面波デバイスと、
他の弾性波フィルタと、
前記電力増幅器、前記弾性表面波フィルタ及び前記他の弾性波フィルタを包囲するパッケ
ージと、
前記弾性表面波フィルタからの熱を、前記他の弾性波フィルタに対応する一領域において
散逸させるべく構成された熱伝導シートであって、前記圧電層よりも薄い熱伝導シートと
を含む無線周波数モジュール。
【請求項35】
一のデュプレクサが前記弾性表面波フィルタ及び前記他の弾性波フィルタを含む請求項3
4の無線周波数モジュール。
【請求項36】
前記電力増幅器と前記弾性表面波フィルタとの間の信号経路に無線周波数スイッチをさら
に含む請求項34の無線周波数モジュール。
【請求項37】
前記熱伝導層の熱伝導率は、前記圧電層の熱伝導率の少なくとも5倍である請求項34の
無線周波数モジュール。
【請求項38】
弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法であって、
電力増幅器を使用して無線周波数信号を増幅することにより、増幅された無線周波数信号
を生成することと、
前記増幅された無線周波数信号を、圧電層を含む弾性表面波フィルタを使用してフィルタ
リングすることと、
前記フィルタリングに関連付けられた熱を、前記圧電層よりも薄い熱伝導シートを使用し
て散逸させることにより、前記熱が、他の弾性波フィルタに対応する一領域において散逸
されることと
を含む方法。
【請求項39】
前記弾性表面波フィルタ及び前記他のフィルタは単一チップ上に含められる請求項38の
方法。
【請求項40】
前記弾性表面波フィルタはデュプレクサの送信フィルタであり、前記他のフィルタは前記
デュプレクサの受信フィルタである請求項38の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の複数の実施形態は、弾性表面波デバイスに関する。
【0002】
優先権出願の相互参照
本願とともに提出された出願データシートにおいて外国又は国内の優先権主張が特定さ
れている任意かつすべての出願は、米国特許法セクション1.57のとおり、ここに参照
により組み入れられる。本願は、2017年6月20日に出願された「熱伝導層を備えた
弾性表面波デバイス」との名称の米国仮特許出願第62/522,603号の、米国特許
法セクション119(e)による優先権の利益を主張し、その開示は全体がここに参照に
より組み入れられる。本願は、2017年6月20日に出願された「熱伝導層を備えた弾
性表面波フィルタ」との名称の米国仮特許出願第62/522,588号の、米国特許法
セクション119(e)による優先権の利益を主張し、その開示は全体がここに参照によ
り組み入れられる。
【背景技術】
【0003】
弾性表面波フィルタは、無線周波数信号をフィルタリングするべく配列された複数の共
振器を含み得る。各共振器は弾性表面波デバイスを含み得る。弾性表面波フィルタは、無
線周波数電子システムに実装することができる。例えば、携帯電話機の無線周波数フロン
トエンドにおけるフィルタは、弾性表面波フィルタを含み得る。2つの弾性表面波フィル
タはデュプレクサとして配列することができる。電力レベルが相対的に高い信号をフィル
タリングすることにより熱が生じ得る。
【発明の概要】
【0004】
特許請求の範囲に記載のイノベーションはそれぞれが、いくつかの側面を有し、その単
独の一つのみが、その所望の属性に対して関与するわけではない。特許請求の範囲を制限
することなく、本開示のいくつかの卓越した特徴の概要が以下に記載される。
【0005】
本開示の一側面は、弾性表面波デバイスであって、圧電層と、当該圧電層上のインター
デジタルトランスデューサ電極と、当該弾性表面波デバイスの熱を散逸させるべく構成さ
れた熱伝導層とを含む弾性表面波デバイスである。熱伝導層は圧電層よりも薄い。
【0006】
熱伝導層とインターデジタルトランスデューサ電極とは、圧電基板の対向側に存在し得
る。熱伝導層はまた、圧電層に物理的に接触し得る。
【0007】
熱伝導層は電気絶縁層としてよい。熱伝導層は無毒性としてよい。熱伝導層の熱伝導率
は、圧電層の熱伝導率の少なくとも5倍としてよい。熱伝導層の熱伝導率は、少なくとも
23W/mKとしてよい。例えば、熱伝導層の熱伝導率は、23W/mKから300W/
mKの範囲としてよい。
【0008】
熱伝導層の厚さは、圧電層の厚さの半分未満としてよい。熱伝導層の厚さは、6.3マ
イクロメートルよりも大きくてよい。
【0009】
熱伝導層は窒化アルミニウムを含み得る。熱伝導層は窒化シリコンを含み得る。熱伝導
層は、シリコン又は窒化物の少なくとも一方を含み得る。
【0010】
圧電層はタンタル酸リチウムを含み得る。圧電層はニオブ酸リチウムを含み得る。圧電
層の厚さは300マイクロメートル未満としてよい。
【0011】
弾性表面波デバイスはさらに、インターデジタルトランスデューサ電極を覆うように二
酸化シリコンを含み得る。
【0012】
本開示の一側面は、ニオブ酸リチウム層と、当該ニオブ酸リチウム層上のインターデジ
タルトランスデューサ電極と、当該インターデジタルトランスデューサ電極の当該ニオブ
酸リチウム層を挟んで反対側にある窒化アルミニウム層とを含む弾性表面波デバイスであ
る。窒化アルミニウム層は、弾性表面波デバイスの熱を散逸させるように構成される。窒
化アルミニウム層はニオブ酸リチウム層よりも薄い。
【0013】
ニオブ酸リチウム層の厚さは、窒化アルミニウム層の厚さの少なくとも2倍としてよい
。窒化アルミニウム層の厚さは、少なくとも6.3マイクロメートルとしてよい。
【0014】
窒化アルミニウム層は、ニオブ酸リチウム層に物理的に接触し得る。
【0015】
弾性表面波デバイスはさらに、インターデジタルトランスデューサ電極を覆うように二
酸化シリコン層を含み得る。
【0016】
本開示の他側面は、圧電層と、当該圧電層上のインターデジタルトランスデューサ電極
と、弾性表面波デバイスの熱を散逸させるべく構成された熱伝導層とを含む弾性表面波フ
ィルタである。熱伝導層は圧電層よりも薄い。弾性表面波フィルタは、無線周波数信号を
フィルタリングするように構成される。
【0017】
弾性表面波フィルタは、ここに説明される複数の弾性表面波デバイスのいずれかの一以
上の適切な特徴を含み得る。
【0018】
本開示の他側面は、無線周波数信号を与えるべく構成された電力増幅器と、当該無線周
波数信号をフィルタリングするべく構成された弾性表面波フィルタとを含む無線周波数モ
ジュールである。弾性表面波フィルタは、圧電層と、当該圧電層上のインターデジタルト
ランスデューサ電極と、当該弾性表面波デバイスの熱を散逸させるべく構成された熱伝導
層とを含む。熱伝導層は圧電層よりも薄い。
【0019】
弾性表面波フィルタは、第2の弾性表面波フィルタとともに単一のダイに実装すること
ができる。熱伝導層は、第2の弾性表面波フィルタの一領域の第1の弾性波フィルタから
の熱を散逸させるように構成することができる。
【0020】
無線周波数モジュールは、ここに説明される複数の弾性表面波デバイス及び/又は複数
の弾性表面波フィルタのいずれかの一以上の適切な特徴を含み得る。
【0021】
本開示の他側面は、フィルタリングされた無線周波数信号を与えるべく構成された弾性
表面波フィルタと、当該フィルタリングされた無線周波数信号を送信するべく構成された
アンテナとを含む携帯デバイスである。弾性表面波フィルタは、圧電層と、当該圧電層上
のインターデジタルトランスデューサ電極と、当該弾性表面波デバイスの熱を散逸させる
べく構成された熱伝導層とを含む。熱伝導層は圧電層よりも薄い。
【0022】
携帯デバイスは、ここに説明される複数の弾性表面波デバイス、複数の弾性表面波フィ
ルタ、及び/又は複数の無線周波数モジュールのいずれかの一以上の適切な特徴を含み得
る。
【0023】
本開示の他側面は、圧電層を含む第1の弾性表面波フィルタと、第2の弾性表面波フィ
ルタと、第2の弾性表面波フィルタに対応する一領域において第1の弾性表面波フィルタ
からの熱を散逸させるべく構成された熱伝導シートとを含む弾性表面波フィルタチップで
ある。熱伝導シートは圧電層よりも薄い。
【0024】
第1の弾性表面波フィルタを送信フィルタとし、第2の弾性表面波フィルタを受信フィ
ルタとしてよい。第1の弾性表面波フィルタをデュプレクサの送信フィルタとし、第2の
弾性表面波フィルタをデュプレクサの受信フィルタとしてよい。第1の弾性表面波フィル
タを第1の送信フィルタとし、第2の弾性表面波フィルタを第2の送信フィルタとしてよ
い。ここで、第1の送信フィルタと第2の送信フィルタとは、異なる時刻にアクティブに
なるように配列される。
【0025】
第1の弾性表面波フィルタは、圧電層上の第1のインターデジタルトランスデューサ電
極を含み、第2の弾性波フィルタは第2のインターデジタルトランスデューサ電極を含み
得る。熱伝導層は、第1のインターデジタルトランスデューサ電極の、圧電層を挟んで対
向側にあり、第1のインターデジタルトランスデューサ電極及び第2のインターデジタル
トランスデューサ電極の下において延びる。熱伝導シートは窒化アルミニウム層としてよ
い。弾性表面波フィルタチップはさらに、第1のインターデジタルトランスデューサ電極
及び第2のインターデジタルトランスデューサ電極を覆う二酸化シリコン層を含み得る。
【0026】
熱伝導シートは、第1の弾性表面波フィルタのインターデジタルトランスデューサ電極
とともに、圧電層の対向側に存在し得る。熱伝導シートは、圧電層に物理的に接触し得る
【0027】
熱伝導シートは無毒性電気絶縁層としてよい。
【0028】
熱伝導シートの厚さは、圧電層の厚さの半分未満としてよい。熱伝導シートの厚さは、
6.3マイクロメートルよりも大きくてよい。
【0029】
熱伝導層は窒化アルミニウムを含み得る。圧電層はニオブ酸リチウムを含み得る。圧電
層の厚さは、300マイクロメートル未満としてよい。
【0030】
弾性表面波フィルタチップはさらに、第1の弾性表面波フィルタのインターデジタルト
ランスデューサ電極を覆う二酸化シリコンを含み得る。
【0031】
本開示の他側面は、ニオブ酸リチウム層を含む第1の弾性表面波フィルタと、第2の弾
性表面波フィルタと、第2の弾性表面波フィルタに対応する一領域において第1の弾性表
面波フィルタからの熱を散逸させるべく構成された窒化アルミニウム層とを含む弾性表面
波フィルタチップである。窒化アルミニウム層はニオブ酸リチウム層よりも薄い。
【0032】
第1の弾性表面波フィルタを送信フィルタとし、第2の弾性表面波フィルタを受信フィ
ルタとしてよい。第1の弾性表面波フィルタをデュプレクサの送信フィルタとし、第2の
弾性表面波フィルタをデュプレクサの受信フィルタとしてよい。第1の弾性表面波フィル
タを第1の送信フィルタとし、第2の弾性表面波フィルタを第2の送信フィルタとしてよ
い。ここで、第1の送信フィルタと第2の送信フィルタとは、異なる時刻にアクティブに
なるように配列される。
【0033】
第1の弾性表面波フィルタは、圧電層上の第1のインターデジタルトランスデューサ電
極を含み、第2の弾性波フィルタは第2のインターデジタルトランスデューサ電極を含み
得る。窒化アルミニウム層は、第1のインターデジタルトランスデューサ電極の、圧電層
を挟んで対向側にあり、第1のインターデジタルトランスデューサ電極及び第2のインタ
ーデジタルトランスデューサ電極の下において延びる。
【0034】
ニオブ酸リチウム層の厚さは、窒化アルミニウム層の厚さの少なくとも2倍としてよい
。窒化アルミニウム層の厚さは、少なくとも6.3マイクロメートルとしてよい。
【0035】
窒化アルミニウム層は、ニオブ酸リチウム層に物理的に接触し得る。
【0036】
弾性表面波チップはさらに、第1の弾性表面波フィルタのインターデジタルトランスデ
ューサ電極を覆う二酸化シリコン層を含み得る。
【0037】
本開示の他側面は、圧電層と、第2の弾性表面波フィルタと、第1の弾性波フィルタに
対する第1の領域及び第2の弾性波フィルタに対応する第2の領域を覆うように延びる熱
伝導シートとを含む第1の弾性表面波フィルタを含む弾性表面波フィルタ組付体である。
熱伝導シートは、第2の領域を覆う第1の弾性表面波フィルタから熱を散逸させるように
構成される。熱伝導シートは圧電層よりも薄い。
【0038】
弾性表面波フィルタ組付体は、ここに説明される弾性表面波チップの一以上の適切な特
徴を含み得る。
【0039】
本開示の他側面は、無線周波数信号を与えるべく構成された電力増幅器と、ここに説明
される弾性表面波フィルタの一以上の適切な特徴を含む弾性表面波フィルタ組付体とを含
む無線周波数モジュールである。
【0040】
本開示の他側面は、ここに説明される弾性表面波デバイスの一以上の適切な特徴を含む
弾性表面波フィルタ組付体と、当該弾性表面波フィルタ組付体から無線周波数信号を送信
するべく構成されたアンテナとを含む携帯デバイスである。
【0041】
本開示を要約する目的で、本イノベーションの所定の側面、利点、及び新規な特徴がこ
こに記載されている。理解すべきことだが、そのような利点のすべてが、任意の特定の実
施形態により必ずしも達成されるわけではない。すなわち、本イノベーションは、ここに
教示される一つの利点又は利点群を達成又は最適化する態様で、ここに教示又は示唆され
る他の利点を必ずしも達成することはなく具体化又は実行することができる。
【0042】
本開示は、同日付の「熱伝導シートを備えた弾性波フィルタ」との名称の米国特許出願
第______号[代理人整理番号SKYWRKS.819A2]に関連し、その開示全
体がここに参照により組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本開示の複数の実施形態が、添付図面を参照する非限定的な例を介して以下に記載され
る。
【0044】
図1A】一実施形態に係る、インターデジタルトランスデューサ電極側に熱伝導層を備えた弾性表面波デバイスの断面を例示する。
図1B】一実施形態に係る、裏側に熱伝導層を備えた弾性表面波デバイスの断面を例示する。
図1C図1Aの弾性表面波デバイス及び図1Bの弾性表面波デバイスの複数の実施形態に対する、シミュレーションされた最大チップ温度と、窒化アルミニウム熱伝導層の厚さとの関係を例示するグラフである。
図2図1Bの弾性表面波デバイスの一実施形態に対する、異なる圧電層厚さの窒化アルミニウム熱伝導層の、温度と厚さとの関係を例示するグラフである。
図3-1】図3Aは、熱伝導層を備えない弾性表面波チップのシミュレーションされたヒートマップである。図3Bは、一実施形態に係る、インターデジタルトランスデューサ電極側に窒化アルミニウム層を備えた弾性表面波チップのシミュレーションされたヒートマップである。
図3-2】図3Cは、一実施形態に係る、裏側に窒化アルミニウム層を備えた弾性表面波チップのシミュレーションされたヒートマップである。
図4図4Aは、熱伝導層を備えた別個のチップ上に実装されたフィルタのブロック図である。図4Bは、図4Aの断面図である。図4Cは、図4Aのチップの、位置に対する温度を例示する。
図5図5Aは、共通熱伝導層を備えた別個のチップに実装されたフィルタのブロック図である。図5Bは、図5Aの断面図である。図5Cは、図5Aのチップの、位置に対する温度を例示する。
図6図6Aは、熱伝導層を備えた単一チップ上に実装された送信フィルタ及び受信フィルタのブロック図である。図6Bは、図6Aの断面図である。図6Cは、図6Aのチップの、位置に対する温度を例示する。
図7図7Aは、熱伝導層を備えた単一チップ上に実装された送信フィルタのブロック図である。図7Bは、図7Aの断面図である。図7Cは、図7Aのチップの、位置に対する温度を例示する。
図8】一の電力増幅器と、一のスイッチと、一以上の実施形態に係る複数のフィルタとを含むモジュールの模式的なブロック図である。
図9】複数の電力増幅器と、複数のスイッチと、一以上の実施形態に係る複数のフィルタとを含むモジュールの模式的なブロック図である。
図10】複数の電力増幅器と、複数のスイッチと、一以上の実施形態に係る複数のフィルタと、一のアンテナスイッチとを含むモジュールの模式的なブロック図である。
図11】一以上の実施形態に係るフィルタを含む無線通信デバイスの模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
所定の実施形態の以下の記載は、特定の実施形態の様々な記載を表す。しかしながら、
ここに記載の新機軸は、例えば特許請求の範囲によって画定され及びカバーされる多数の
異なる態様で具体化することができる。本記載において参照される図面では、同じ参照番
号が同一の又は機能的に類似の要素を示し得る。理解されることだが、図面に例示される
要素は必ずしも縮尺どおりではない。さらに理解されることだが、所定の実施形態は、図
面に例示されるよりも多くの要素を含んでよく、及び/又は図面に例示される要素の部分
集合を含んでよい。さらに、いくつかの実施形態は、2以上の図面からの特徴の任意の適
切な組み合わせを組み入れてよい。
【0046】
所定のアプリケーションにおいて、弾性表面波(SAW)フィルタデバイスの耐電力性
が著しく増大している。本開示は、SAWフィルタデバイスの耐電力性を改善し得る技術
的な解決策を与える。SAWフィルタを、直列弾性表面波デバイス共振器及びシャント弾
性表面波デバイス共振器を含むラダー型フィルタとして配列することができる。
【0047】
熱伝導層を備えたSAWデバイスが開示される。熱伝導層は、相対的に高い熱伝導率を
有し得る。熱伝導層の伝導性は、SAWデバイスの圧電層よりも高い。例えば、熱伝導層
の熱伝導率は、SAWデバイスの圧電層の熱伝導率よりも少なくとも5倍高い。この例で
は、圧電層を、熱伝導率が4.6W/mKのニオブ酸リチウム層、又は熱伝導率が4.2
4W/mKのタンタル酸リチウム層とするとともに、熱伝導層の熱伝導率を少なくとも2
3W/mKとすることができる。熱伝導層の熱伝導率は、例えば140W/mKから30
0W/mKの範囲のような、23W/mKから300W/mKの範囲とすることができる
。一定の例では、熱伝導層の熱伝導率は、SAWデバイスの圧電層の熱伝導率よりも少な
くとも25倍高くてよい。熱伝導層は、窒化物及び/又はシリコンを含む熱伝導層のよう
な、窒化アルミニウム(AlN)層、窒化シリコン(SiN)層又は任意の他の適切な熱
伝導層としてよい。
【0048】
熱伝導層は圧電層に結合することができる。熱伝導層は、SAWデバイスのインターデ
ジタルトランスデューサ(IDT)電極の対向側において圧電基板と物理的に接触し得る
【0049】
熱伝導層は圧電層よりも薄く、少なくとも6.3マイクロメートル(μm)の厚さを有
し得る。熱伝導シートの厚さは、圧電層の厚さ未満としてよい。熱伝導層は、熱伝導シー
トと称してもよい。圧電層は300μmよりも薄い。圧電層は、タンタル酸リチウム(L
iTaO)層又はニオブ酸リチウム(LiNbO)層としてよい。
【0050】
単一チップは、ここに説明される原理及び利点に係る熱伝導層を含む2以上のSAWフ
ィルタを含み得る。
【0051】
図1Aは、一実施形態に係る、インターデジタルトランスデューサ電極側に熱伝導層を
備えた弾性表面波デバイス10の断面を例示する。例示の弾性表面波デバイス10は、窒
化アルミニウム層12、ニオブ酸リチウム層14、インターデジタルトランスデューサ(
IDT)電極16、及び二酸化シリコン層18を含む。窒化アルミニウム層12は熱伝導
層である。窒化アルミニウム層12はヒートシンクとして機能することができる。窒化ア
ルミニウム層12は、多結晶窒化アルミニウムセラミックとしてよい。
【0052】
図1Aにおいて、窒化アルミニウム層12は、ニオブ酸リチウム層14のIDT側に形
成される。例示のように、窒化アルミニウム層12は、IDT電極16の上方の一領域を
除いてニオブ酸リチウム層14を覆うように形成される。これにより、弾性表面波デバイ
ス10の機能に対する窒化アルミニウム層12の音響効果を、回避及び/又は実質的に低
減することができる。図1Aにおいて、二酸化シリコン層18は、IDT電極16を覆い
、ニオブ酸リチウム層14と窒化アルミニウム層12との間に存在する。IDT電極16
は、アルミニウムIDT電極としてよい。IDT電極の材料は、チタン(Ti)、金(A
u)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、タングステン(W)、モリブデン(Mo
)、ルテニウム(Ru)、又はこれらの任意の適切な組み合わせが含み得る。例えば、I
DT電極16は、所定のアプリケーションにおいて、アルミニウム及びモリブデンを含み
得る。
【0053】
図1Bは、一実施形態に係る、裏側に熱伝導層を備えた弾性表面波デバイス19の断面
を例示する。例示の弾性表面波デバイス19は、窒化アルミニウム層12、ニオブ酸リチ
ウム層14、IDT電極16、及び二酸化シリコン層18を含む。図1Bにおいて、窒化
アルミニウム層12は、ニオブ酸リチウム層14の、IDT電極16に対向する側に形成
される。ニオブ酸リチウム層14の、IDT電極16に対向する側は、弾性表面波デバイ
ス19の裏側と称してもよい。例示のように、窒化アルミニウム層12は、ニオブ酸リチ
ウム層14に物理的に接触する。窒化アルミニウム層12は、ニオブ酸リチウム層14に
接合され得る。図1Aにおいて、二酸化シリコン層18は、ニオブ酸リチウム層14の、
窒化アルミニウム層14に対向する側においてIDTトランスデューサ電極16を覆う。
【0054】
図1Bにおいて、窒化アルミニウム層12の厚さはhとして標識され、ニオブ酸リチウ
ム層14の厚さはHとして標識される。図1A及び図1B双方に示されるように、窒化ア
ルミニウム層12は相対的に薄くしてよい。窒化アルミニウム層12の厚さhは、ニオブ
酸リチウム層14の厚さHよりも小さい。窒化アルミニウム層12の厚さhは、例示のよ
うに、ニオブ酸リチウム層14の厚さHの半分未満である。
【0055】
窒化アルミニウム層12は、熱伝導層を実装するのに望ましい特性を有する。窒化アル
ミニウムは電気絶縁性である。窒化アルミニウムは無毒性である。窒化アルミニウムは相
対的に高い熱伝導率を有する。例えば、窒化アルミニウムの熱伝導率は、約140W/(
m・K)(ワット毎メートル毎ケルビン)から260W/(m・K)の範囲としてよい。
そのような熱伝導率は、絶縁性セラミックに対して相対的に高い。窒化アルミニウムの熱
伝導率は、ニオブ酸リチウムの熱伝導率の25倍を超える大きさである。ニオブ酸リチウ
ムの熱伝導率は約4.6W/(m・K)となり、タンタル酸リチウムは、約4.24W/
(m・K)の熱伝導率を有し得る。窒化アルミニウムの粒界に存在する不純物を減少させ
ることは、窒化アルミニウムの熱伝導率を増加させる一つの方法と考えられる。
【0056】
図1Aの弾性表面波デバイス10、及び図1Bの弾性表面波デバイス19は、弾性表面
波デバイスの例である。これらの表面波デバイスは、弾性表面波を生成するべく配列され
た複数の共振器である。これらの弾性表面波デバイスにおいて、ニオブ酸リチウム層は圧
電層であり、窒化アルミニウム層は熱伝導層である。いくつかの他の実施形態において、
タンタル酸リチウムのような、異なる圧電層を使用してよい。代替的又は付加的に、窒化
物及び/又はシリコンを含む熱伝導層のような任意の他の適切な熱伝導層のような、例え
ば窒化シリコンのような他の適切な熱伝導層を実装することもできる。熱伝導層は、電気
伝導性又は半導体というよりはむしろ電気絶縁性である。熱伝導層は無毒性としてよい。
【0057】
図1A及び1Bのこれらの弾性表面波デバイスにおいて、二酸化シリコン層は、弾性表
面波デバイスの周波数温度係数(TCF)をゼロ近くにすることができる温度補償層であ
る。いくつかの他の実施形態において、異なる温度補償層を実装することができる。温度
補償層は、正のTCFを有してよい。いくつかの温度補償層の例には、二酸化テルル(T
eO)層又はシリコンオキシフルオライド(SiOF)層が含まれる。図1Aの弾性表
面波デバイス10及び図1Bの弾性表面波デバイス19が二酸化シリコン層を含むにもか
かわらず、ここに説明される原理及び利点のいずれかに係る弾性表面波デバイスは、所定
の実施形態においてIDT電極を覆う二酸化シリコン層なしで実装することができる。
【0058】
図1Cは、図1Aの弾性表面波デバイス10及び図1B弾性表面波デバイス19の実施
形態に対する、シミュレーションされた最大チップ温度と窒化アルミニウム層の厚さとの
関係を例示するグラフである。窒化アルミニウム層の厚さは、図1Bにおいてhとして示
される。これらのシミュレーションにおいて、窒化アルミニウムの0.71×10J/
(kg・K)の比熱が使用され、窒化アルミニウムの3.26×10kg/mの密度
が使用され、窒化アルミニウムの150W/(m・K)の熱伝導率が使用された。図1C
に示されるように、窒化アルミニウムの厚さは、最大チップ温度に著しい影響を与え得る
【0059】
図2は、図1Bの弾性表面波デバイス19の複数の実施形態の異なる圧電層厚さに対す
る、窒化アルミニウム熱伝導層の、温度と厚さとの関係を例示するグラフである。図2
曲線は、ニオブ酸リチウム層14の異なる厚さH対最大チップ温度に対応する。これらの
曲線が示すのは、弾性表面波デバイス19における、厚さが少なくとも6.3マイクロメ
ートル(μm)の窒化アルミニウム層12が、熱性能を著しく改善することができ、厚さ
が20μmから300μmの範囲のニオブ酸リチウム層の望ましい熱性能をもたらし得る
ということである。したがって、相対的に薄い窒化アルミニウム層が、熱的改善をもたら
し得る。図2における曲線は、望ましい熱的改善が、ニオブ酸リチウム層の厚さの半分未
満となる厚さを有する窒化アルミニウム層によって達成可能なことを示す。所定のニオブ
酸リチウム厚さに対し、窒化アルミニウム層の厚さが当該ニオブ酸リチウム層の厚さの1
0分の1以下となると、望ましい熱的改善が達成することができる。窒化アルミニウム層
の厚さが6.3μmから100μmの範囲にあると、図2に示されるような望ましい熱的
改善がもたらされる。
【0060】
相対的に薄い熱伝導層は、様々なアプリケーションにおいて有利である。相対的に厚い
熱伝導層と比べ、相対的に薄い熱伝導層によれば、薄い部品が得られ、使用する材料が少
なくて済み、安価に実装でき、及び/又は少ない時間で製造できる。熱伝導層の堆積は、
ウェハに内部応力及び/又は反りを引き起こし得る。相対的に厚い熱伝導層と比べて相対
的に薄い熱伝導層によれば、割れ及び/又は反りが少なくなり得る。
【0061】
図3Aは、熱伝導層なしの弾性表面波チップのシミュレーションされたヒートマップで
ある。シミュレーションされたチップは、図1Aの弾性表面波デバイス10及び図1B
弾性表面波デバイス19と同様の弾性表面波デバイスを含むが、窒化アルミニウム層が含
まれない点で異なる。図3Aのヒートマップに示されるように、このシミュレーションに
おいて最大チップ温度は93℃であった。図3A~3Cにおけるシミュレーションは、1
785MHzの周波数において30dBmの入力電力に対応する。
【0062】
図3B及び3Cは、熱を散逸させるべく配列された窒化アルミニウム層を備えた弾性表
面波デバイスのシミュレーションのヒートマップを示す。図3B及び3Cのシミュレーシ
ョンにおいて、窒化アルミニウムの0.71×10J/(kg・K)の比熱が使用され
、窒化アルミニウムの3.26×10kg/mの密度が使用され、窒化アルミニウム
の150W/(m・K)の熱伝導率が使用された。
【0063】
図3Bは、一実施形態に係る、インターデジタルトランスデューサ電極側に窒化アルミ
ニウム層を備えた弾性表面波チップのシミュレーションされたヒートマップである。図3
Bのヒートマップは、3μm窒化アルミニウム層12を備えた図1Aの弾性表面波デバイ
ス10に対応する。図3Bのヒートマップに示されるように、シミュレーションにおいて
最大チップ温度は83℃であった。したがって、このシミュレーションは、図3に対応す
るシミュレーションと比べて10℃の最大チップ温度改善を代表する。
【0064】
図3Cは、一実施形態に係る、裏側に窒化アルミニウム層を備えた弾性表面波チップの
シミュレーションされたヒートマップである。図3Bのヒートマップは、5μm窒化アル
ミニウム層12を備えた図1Bの弾性表面波デバイス19に対応する。図3Cのヒートマ
ップに示されるように、このシミュレーションにおいて最大チップ温度は73℃であった
。したがって、このシミュレーションは、図3Aに対応するシミュレーションと比べて2
0℃の最大チップ温度改善を代表する。
【0065】
ここに説明される熱伝導層は、様々なフィルタ組付体に実装することができる。弾性表
面波フィルタ組付体は弾性表面波フィルタを含む。図4A~7Cは、複数のフィルタ組付
体の例及びそれに関連するグラフを例示する。これらのフィルタ組付体の任意の適切な原
理及び利点は、互いに実装し合い及び/又はここに説明される他の特徴とともに実装する
ことができる。複数の実施形態が弾性表面波フィルタを参照して説明されてよいが、熱伝
導層に関する任意の適切な原理及び利点は、弾性表面波フィルタ及び他の弾性波フィルタ
を含む弾性波フィルタ組付体に実装することができる。例えば、一の弾性波フィルタ組付
体が、弾性表面波フィルタと、バルク弾性波フィルタと、当該フィルタの一方からの熱を
他方のフィルタに対応する一領域へと散逸させるべく配列された共通熱伝導層とを含み得
る。他例として、一の弾性波フィルタ組付体が、弾性表面波フィルタと、ラム波フィルタ
と、当該フィルタの一方からの熱を他方のフィルタに対応する一領域へと散逸させるべく
配列された共通熱伝導層とを含み得る。もう一つの例として、一の弾性波フィルタ組付体
が、弾性表面波フィルタと、弾性境界波フィルタと、当該フィルタの一方から他方のフィ
ルタに対応する一領域へと熱を散逸させるべく配列された共通熱伝導層とを含み得る。
【0066】
図4Aは、別個の熱伝導層を備えた別個のチップに実装されたフィルタを含むフィルタ
組付体40のブロック図である。図4Aは、送信フィルタ43を含む第1のチップ42、
及び受信フィルタ45を含む第2のチップ44を例示する。送信フィルタ43及び受信フ
ィルタ45は、デュプレクサ又は他のマルチプレクサ(例えばクワッドプレクサ、ヘキサ
プレクサ、オクトプレクサ等)に含まれ得る。送信フィルタ43及び受信フィルタ45は
それぞれが、図1Bの弾性表面波フィルタ19の原理及び利点に従って実装された弾性表
面波デバイスを含み得る。いくつかの例において、送信フィルタ43及び/又は受信フィ
ルタ45はまた、図1Aの弾性表面波フィルタ10の任意の適切な原理及び利点、ここに
説明される任意の適切な原理及び利点に従う任意の適切な熱伝導層、任意の適切な圧電層
、又はこれらの任意の適切な組み合わせに従って実装されてよい。
【0067】
図4Bは、図4Aの断面図である。送信フィルタ43は、相対的に高い電力信号をフィ
ルタリングするので、発熱が相対的に大きい。相対的に高い電力信号は、電力増幅器によ
り与えられる無線周波数信号としてよい。受信フィルタ45は、相対的に低い電力信号を
フィルタリングするので、送信フィルタ43と比べて発熱が相対的に小さい。図4Bは、
熱の流れ及び大きさを例示する矢印を含む。図4Bに示されるように、相対的に大量の熱
が、送信フィルタ43のIDT電極16Aから、ニオブ酸リチウム層14Aを経由して窒
化アルミニウム層12Aへと流れ、相対的に少量の熱が、受信フィルタ45のIDT電極
16Bから、ニオブ酸リチウム層14Bを経由して窒化アルミニウム層12Bへと流れる
【0068】
図4Cは、図4Aのチップの、位置に対する温度を例示する。図4Cは、チップ42及
び44の熱の流れの大部分が第1のチップ42に存在することを例示する。これは、この
例において送信信号が受信信号よりも高い電力を有することに起因する。窒化アルミニウ
ム層12Aは、第1のチップ42の最大温度を、窒化アルミニウム層なしの対応チップよ
りも低下させる熱拡散を実行する。
【0069】
図5Aは、共通熱伝導層を備えた別個のチップに実装されたフィルタを含むフィルタ組
付体50のブロック図である。フィルタ組付体50は、図4Aのフィルタ組付体40と同
様であるが、フィルタ組付体50においてチップ42及び44の下に共通窒化アルミニウ
ム層12が実装される点が異なる。
【0070】
図5Bは、図5Aの断面図である。図5Bは、熱の流れ及び大きさを例示する矢印を含
む。図5Bに示されるように、窒化アルミニウム層12は、送信フィルタ43からの熱を
拡散させることができるので、この熱を、受信フィルタ45に対応する一領域において散
逸させることができる。送信フィルタ43からの熱は、窒化アルミニウム層12全体に、
さらには受信フィルタ45のニオブ酸リチウム層14Bへと拡散され得る。
【0071】
図5Cは、図5Aのチップの、位置に対する温度を例示する。図5Cに示されるように
、窒化アルミニウム層は、送信フィルタ43からの熱を受信フィルタ領域に分配すること
ができる。これにより、送信フィルタ領域における熱が、図4Aのフィルタ組付体40よ
りも低減され得るので、最大チップ温度が低下し得る。
【0072】
図6Aは、熱伝導層を備えた単一チップ62に送信フィルタ43及び受信フィルタ45
が実装されたフィルタ組付体60のブロック図である。上述したように、送信フィルタ4
3及び受信フィルタ45は、デュプレクサ又は他のマルチプレクサ(例えばクワッドプレ
クサ、ヘキサプレクサ、オクトプレクサ等)に含まれ得る。フィルタ組付体60において
、そのようなデュプレクサ又は他のマルチプレクサが単一チップに実装される。フィルタ
組付体60は、図5Aのフィルタ組付体50と同様であるが、フィルタ43及び45が単
一チップ62に実装される点が異なる。送信フィルタ43及び受信フィルタ45は単一チ
ップ62上において、例えば図5Aのフィルタ組付体50において別個のチップに存在す
る場合よりも、互いに近くに実装することができる。これにより、所定のアプリケーショ
ンにおける熱の散逸がさらに改善され得る。
【0073】
図6Bは、図6Aの断面図である。図6Bは、熱の流れ及び大きさを例示する矢印を含
む。図6Bに例示のように、窒化アルミニウム層12は、送信フィルタ43からの熱を、
単一チップ62の受信フィルタ領域に有効に拡散させることができる。
【0074】
図6Cは、図6Aのチップの、位置に対する温度を例示する。図6Cは、図4Aのフィ
ルタ組付体40と比べ、窒化アルミニウム層を備えた単一チップ上に送信フィルタ43及
び受信フィルタ45を含むことによる最大チップ温度の著しい改善を示す。
【0075】
図7Aは、熱伝導層を備えた単一チップ72上に実装された送信フィルタ43A及び4
3Bを含むフィルタ組付体70のブロック図である。フィルタ組付体70は、図6Aのフ
ィルタ組付体60と同様であるが、図6Aの受信フィルタ45の代わりに第2の送信フィ
ルタ43Bが実装される点が異なる。図7A~7Cは、図6A~6Cを参照して説明され
た原理及び利点が、単一チップ上に複数のフィルタを備えて一つのフィルタが相対的に大
量の熱を生成している一方で他のフィルタが相対的に少量の熱を生成している任意の適切
なマルチフィルタチップに適用できることを例示する。例えば、フィルタ組付体70にお
いて、一方の送信フィルタがアクティブであるが、他方の送信フィルタは非アクティブで
ある。アクティブな送信フィルタからの熱を、非アクティブな送信フィルタの一領域に拡
散及び散逸させることができる。
【0076】
図7B図7Aの断面図である。図7Bは、熱の流れ及び大きさを例示する矢印を含む
図7Bに示されるように、窒化アルミニウム層12は、チップ72のアクティブな送信
フィルタ43Aから非アクティブな送信フィルタ領域へと熱を拡散させることができる。
図7Cは、図7Aのチップ72の、位置に対する温度を例示する。図7Cは、図4Aのフ
ィルタ組付体40と比べ、窒化アルミニウム層を備えた単一チップ上に送信フィルタ43
A及び43Bを含むことによる最大チップ温度の著しい改善を示す。チップ72の最大温
度は、同様の電力を有する送信信号に対し、図6Aのチップ62の最大温度に匹敵し得る
【0077】
シミュレーション結果は、弾性表面波デバイス19の窒化アルミニウム層12のような
相対的に高い熱伝導率を備えた熱伝導層が、最大チップ温度を低下させ得ることを示す。
シミュレーション結果はまた、そのような熱伝導層を備えた(例えば図6A~6C又は7
A~7Cに従う)単一チップ上の複数の弾性表面波フィルタが、さらに最大チップ温度を
低下させ得ることを示す。そのような最大チップ温度改善は、例えば、上に説明された任
意の適切な原理及び利点に従う相対的に薄い熱伝導層によって実現することができる。
【0078】
図5A~7Cは、相対的に高い電力の無線周波数信号のフィルタリングによる熱を散逸
させ得るフィルタ組付体を例示する。弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法は、これ
らのフィルタ組付体のいずれかを使用して行うことができる。電力増幅器は、無線周波数
信号を増幅することにより、増幅された無線周波数信号を生成することができる。弾性表
面波デバイスは、増幅された無線周波数信号をフィルタリングすることができる。フィル
タリングに関連する熱は、他の弾性波フィルタに対応する一領域において散逸されるよう
に、熱伝導シートを使用して散逸させることができる。熱伝導シートは相対的に薄くして
よい。例えば、熱伝導シートは、弾性表面波フィルタの圧電層よりも薄くしてよい。
【0079】
複数の弾性表面波デバイスを一のフィルタに含めることができる。一以上の弾性表面波
デバイスを含むフィルタを、弾性表面波フィルタと称してもよい。複数の弾性表面波デバ
イスが、直列共振器及びシャント共振器として配列されて一のラダー型フィルタを形成す
る。いくつかの例において、フィルタは、弾性表面波共振器と、一以上の他の共振器(例
えば一以上の他のバルク弾性波共振器)とを含み得る。
【0080】
ここに説明されるフィルタは、様々なパッケージモジュールに実装することができる。
ここに説明されるフィルタの任意の適切な原理及び利点が実装可能ないくつかのパッケー
ジモジュールの例が、ここで説明される。図8、9及び10は、所定の実施形態に係るパ
ッケージモジュールを例示する模式的なブロック図である。無線周波数信号を処理するべ
く配列されたモジュールは、無線周波数モジュールと称してもよい。
【0081】
図8は、電力増幅器82と、スイッチ84と、一以上の実施形態に係るフィルタ86と
を含むモジュール80の模式的なブロック図である。モジュール80は、例示の要素を包
囲するパッケージを含み得る。電力増幅器82と、スイッチ84と、フィルタ86とは、
共通のパッケージ基板に配置することができる。パッケージ基板は、例えば積層基板とし
てよい。電力増幅器82は、無線周波数信号を増幅することができる。電力増幅器82は
、所定のアプリケーションにおいて、ガリウムヒ素バイポーラトランジスタを含み得る。
スイッチ84は多投無線周波数スイッチとしてよい。スイッチ84は、電力増幅器82の
出力を、フィルタ86の選択されたフィルタに電気的に結合することができる。フィルタ
86は、任意の適切な数の弾性表面波フィルタ及び/又は他の弾性波フィルタを含み得る
。フィルタ86の弾性表面波フィルタの一以上を、ここに説明される弾性表面波デバイス
の任意の適切な原理及び利点に従って実装することができる。
【0082】
図9は、電力増幅器82A及び82Bと、スイッチ84A及び84Bと、一以上の実施
形態に係るフィルタ86’とを含むモジュール90の模式的なブロック図である。モジュ
ール90は、図8のモジュール80と同様であるが、モジュール90が付加電力増幅器8
2B及び付加スイッチ84Bを含み、フィルタ86’が、複数の電力増幅器82A及び8
2Bに関連付けられた信号経路のための信号をフィルタリングする点で異なる。異なる信
号経路は、異なる周波数帯域及び/又は異なる動作モード(例えば異なる電力モード、異
なる信号伝達モード等)に関連付けてよい。
【0083】
図10は、電力増幅器82A及び82Bと、スイッチ84A及び84Bと、一以上の実
施形態に係るフィルタ86A及び86Bと、アンテナスイッチ102とを含むモジュール
100の模式的なブロック図である。モジュール100は、図9のモジュール90と同様
であるが、モジュール100が、フィルタ86A又はフィルタ86Bからアンテナノード
への信号を選択的に結合するべく配列されたアンテナスイッチ102を含む点で異なる。
フィルタ86A及び86Bは、図9のフィルタ86’に対応し得る。
【0084】
図11は、一以上の実施形態に係るフィルタ86を含む無線通信デバイス110の模式
的なブロック図である。無線通信デバイス110は、任意の適切な無線通信デバイスとし
てよい。例えば、無線通信デバイス110は、スマートフォンのような携帯電話機として
よい。例示のように、無線通信デバイス110は、アンテナ111、RFフロントエンド
112、RF送受信器114、プロセッサ115及びメモリ116を含む。アンテナ11
1は、RFフロントエンド112により与えられたRF信号を送信することができる。ア
ンテナ111は、受信したRF信号を、処理を目的としてRFフロントエンド112に与
え得る。
【0085】
RFフロントエンド112は、一以上の電力増幅器、一以上の低ノイズ増幅器、一以上
のRFスイッチ、一以上の受信フィルタ、一以上の送信フィルタ、一以上のデュプレクサ
、又はこれらの任意の適切な組み合わせを含み得る。RFフロントエンド112は、任意
の適切な通信規格に関連付けられたRF信号を送信及び受信することができる。ここに説
明される弾性表面波デバイス及び/又はフィルタ組付体及び/又は無線周波数モジュール
のいずれも、RFフロントエンド112に実装することができる。
【0086】
RF送受信器114は、増幅及び/又は他の処理を目的としてRF信号をRFフロント
エンド112に与えることができる。RF送受信器114はまた、RFフロントエンド1
12の低ノイズ増幅器が与えるRF信号を処理することができる。RF送受信器114は
プロセッサ115と通信する。プロセッサ115はベース帯域プロセッサとしてよい。プ
ロセッサ115は、無線通信デバイス110のための任意の適切なベース帯域処理機能を
与えることができる。メモリ116には、プロセッサ115がアクセス可能である。メモ
リ116は、無線通信デバイス110のための任意の適切なデータを記憶することができ
る。
【0087】
ここに説明される原理及び利点のいずれも、上に説明されたシステム、モジュール、フ
ィルタ、マルチプレクサ、無線通信デバイス及び方法に限られない他のシステム、モジュ
ール、チップ、弾性表面波デバイス、フィルタ、デュプレクサ、マルチプレクサ、無線通
信デバイス及び方法に適用することができる。上述した様々な実施形態の要素及び動作は
、さらなる実施形態を与えるように組み合わせることができる。ここに説明される原理及
び利点のいずれも、周波数の範囲が約30kHz~300GHz、例えば約450MHz
~6GHzの範囲の信号を処理するべく構成された無線周波数回路に関連付けて実装する
ことができる。例えば、ここに説明されるフィルタのいずれも、周波数の範囲が約30k
Hz~300GHz、例えば約450MHz~6GHzの範囲の信号をフィルタリングす
ることができる。
【0088】
本開示の複数の側面は、様々な電子デバイスに実装することができる。電子デバイスの
例は、消費者用電子製品、チップ及び/又はパッケージ無線周波数モジュールのような消
費者用電子製品の部品、電子試験機器、アップリンク無線通信デバイス、パーソナルエリ
アネットワーク通信デバイス等を含むがこれらに限られない。消費者用電子製品の例は、
スマートフォンのような携帯電話機、スマートウォッチ又はイヤーピースのような装着可
能コンピューティングデバイス、電話機、テレビ、コンピュータモニタ、コンピュータ、
ルータ、モデム、ハンドヘルドコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコ
ンピュータ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、自動車電子システムのような
車両電子システム、電子レンジ、冷蔵庫、ステレオシステム、デジタル音楽プレーヤ、デ
ジタルカメラのようなカメラ、携帯型メモリチップ、家電製品等を含んでよいがこれらに
限られない。さらに、電子デバイスは、未完成の製品を含んでよい。
【0089】
さらに、とりわけ「できる」、「し得る」、「してよい」、「かもしれない」、「例え
ば」、「のような」等のようなここに記載の条件付き言語は一般に、特にそうでないこと
が述べられ、又は使用の文脈上そうでないことが理解される場合を除き、所定の実施形態
が所定の特徴、要素及び/又は状態を含む一方で他の実施形態がこれらを含まないことを
伝えるように意図される。ここで一般に使用される用語「結合」は、互いに直接結合され
るか又は一以上の中間要素を介して結合されるかのいずれかとなり得る2以上の要素を言
及する。同様に、ここで一般に使用される用語「接続」は、直接接続されるか又は一以上
の中間要素を介して接続されるかのいずれかとなり得る2以上の要素を言及する。加えて
、用語「ここ」、「上」、「下」及び同様の趣旨の用語は、本願において使用される場合
、本願全体を言及し、本願の任意の固有部分を言及するわけではない。
【0090】
所定の実施形態が記載されてきたが、これらの実施形態は、例示により提示されたにす
ぎないので、本開示の範囲を制限することを意図しない。実際のところ、ここに記載の新
規なデバイス、チップ、方法、装置及びシステムは、様々な他の形態で具体化することが
できる。さらに、ここに記載の方法、装置及びシステムの形態における様々な省略及び変
更が、本開示の要旨から逸脱することなくなし得る。例えば、ここに記載される回路ブロ
ックは、削除、移動、追加、細分化、結合、及び/又は修正することができる。これらの
回路ブロックはそれぞれが、様々な異なる態様で実装することができる。添付の特許請求
の範囲及びその均等物が、本開示の範囲及び要旨に収まる任意のそのような形態又は修正
をカバーすることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-08-16
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性表面波フィルタ組付体であって、
圧電層の上に第1のインターデジタルトランスデューサ電極を含む第1の弾性表面波フィルタと、
第2のインターデジタルトランスデューサ電極を含む第2の弾性表面波フィルタと、
前記第1の弾性表面波フィルタからの熱を、前記第2の弾性表面波フィルタに対応する一領域において散逸させるべく構成された熱伝導シートと
を含み
記第1の弾性表面波フィルタは送信フィルタであり、
前記熱伝導シートは前記圧電層よりも薄く、
前記熱伝導シートと前記第1のインターデジタルトランスデューサ電極とは前記圧電層を介して互いに対向するように存在し、
前記熱伝導シートは、前記第1のインターデジタルトランスデューサ電極及び前記第2のインターデジタルトランスデューサ電極の双方に対向して延びるように一定厚さで堆積される、弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項2】
前記第2の弾性表面波フィルタは受信フィルタである、請求項1の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項3】
前記第2の弾性表面波フィルタはデュプレクサの受信フィルタであり、
前記デュプレクサは前記第1の弾性表面波フィルタを含む、請求項1の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項4】
前記第2の弾性表面波フィルタは第2の送信フィルタであり、
前記送信フィルタと前記第2の送信フィルタとは、異なる時刻にアクティブになるように配列される、請求項1の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項5】
前記第1の弾性表面波フィルタ及び前記第2の弾性表面波フィルタは単一のチップに含まれる、請求項1の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項6】
前記圧電層の表面が前記熱伝導シートの表面と物理的に接触する、請求項1の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項7】
前記熱伝導シートは電気絶縁層である、請求項1の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項8】
前記熱伝導シートの前記一定厚さは6.3マイクロメートルよりも大きい、請求項1の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項9】
前記熱伝導シートは窒化アルミニウムを含む、請求項1の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項10】
前記圧電層はニオブ酸リチウムを含む、請求項の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項11】
前記第1のインターデジタルトランスデューサ電極の上に二酸化シリコンをさらに含む、請求項1の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項12】
前記第1のインターデジタルトランスデューサ電極の上に温度補償層をさらに含み、
前記温度補償層は正の周波数温度係数を有する、請求項1の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項13】
前記熱伝導シートは窒化物を含む、請求項1の弾性表面波フィルタ組付体。
【請求項14】
無線周波数モジュールであって、
無線周波数信号を与えるべく構成された電力増幅器と、
前記無線周波数信号をフィルタリングするべく構成された一の弾性表面波フィルタであって、圧電層の上にインターデジタルトランスデューサ電極を含む一の弾性表面波フィルタと、
他の弾性波フィルタと、
前記電力増幅器、前記一の弾性表面波フィルタ、及び前記他の弾性波フィルタを包囲するパッケージと、
前記一の弾性表面波フィルタからの熱を、前記他の弾性波フィルタに対応する一領域において散逸させるべく構成された熱伝導シートと
を含み
記一の弾性表面波フィルタは送信フィルタであり、
前記熱伝導シートは前記圧電層よりも薄く、
前記熱伝導シートと前記インターデジタルトランスデューサ電極とは前記圧電層を介して互いに対向するように存在し、
前記熱伝導シートは、前記インターデジタルトランスデューサ電極及び前記他の弾性波フィルタの双方に対向して延びるように一定厚さで堆積される、無線周波数モジュール。
【請求項15】
デュプレクサが前記弾性表面波フィルタ及び前記他の弾性波フィルタを含む、請求項14の無線周波数モジュール。
【請求項16】
前記電力増幅器と前記一の弾性表面波フィルタとの間の信号経路に無線周波数スイッチをさらに含む、請求項14の無線周波数モジュール。
【請求項17】
前記熱伝導シートの熱伝導率は、前記圧電層の熱伝導率の少なくとも5倍である、請求項14の無線周波数モジュール。
【請求項18】
弾性表面波フィルタの熱を散逸させる方法であって、
電力増幅器を使用して無線周波数信号を増幅することにより、増幅された無線周波数信号を生成することと、
前記増幅された無線周波数信号を、圧電層の上にインターデジタルトランスデューサ電極を含む一の弾性表面波フィルタを使用してフィルタリングすることと、
前記フィルタリングに関連付けられた熱を、熱伝導シートを使用して散逸させることにより、前記熱が、他の弾性波フィルタに対応する一領域において散逸されることと
を含み
記一の弾性表面波フィルタは送信フィルタであり、
前記熱伝導シートは前記圧電層よりも薄く、
前記熱伝導シートと前記インターデジタルトランスデューサ電極とは前記圧電層を介して互いに対向するように存在し、
前記熱伝導シートは、前記インターデジタルトランスデューサ電極及び前記他の弾性波フィルタの双方に対向して延びるように一定厚さで堆積される、方法。
【請求項19】
前記一の弾性表面波フィルタ及び前記他の弾性波フィルタは単一チップ上に含められる、請求項18の方法。
【請求項20】
前記他の弾性波フィルタはデュプレクサの受信フィルタであり、
前記デュプレクサは前記一の弾性表面波フィルタを含む、請求項18の方法。
【外国語明細書】