(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156335
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】通信リンク品質を予測するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H04B 17/373 20150101AFI20231017BHJP
H04W 24/10 20090101ALI20231017BHJP
【FI】
H04B17/373
H04W24/10
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119404
(22)【出願日】2023-07-21
(62)【分割の表示】P 2020512027の分割
【原出願日】2018-08-28
(31)【優先権主張番号】2017903470
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】518233372
【氏名又は名称】マイリオタ ピーティーワイ エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】Myriota Pty Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイリー、デイヴィッド ヴィクター ローリー
(72)【発明者】
【氏名】グラント、アレキサンダー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】マッキリアム、ロバート ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ポロック、アンドレ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】端末がリンク品質を予測するかまたは少なくとも既存の方法に代る有用な代替方法、通信システム及びコンピュータ可読媒体を提供する。
【解決手段】端末10は、1つまたは複数の送信側(例えば、衛星20)からの1つまたは複数の送信リンクを監視し、情報を使用してリンク品質推定値を決定する。リンク品質推定値は、送信側から受信側への送信のための1つもしくは複数の送信パラメータを決定するか又は受信側への送信用若しくは送信側からの受信用の端末の設置位置及び向きを決定するためのものであり、全地球的航法システムの衛星を含む複数の衛星を監視することによって取得されてもよく、空間マップを推定することを含んでもよい。リンク品質推定値はまた、受信確率を最大限にするように送信をスケジューリングするのに使用されてもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の送信側からの1つまたは複数の送信リンクを監視するステップと、
リンク品質推定値を決定するステップと、
該リンク品質推定値を使用して、送信側から受信側への送信のための1つもしくは複数
の送信パラメータを決定するか、または受信側への送信用もしくは送信側からの受信用の
端末の設置位置および向きの一方もしくは両方を決定する、ステップと
を含む、通信システムにおけるリンク品質を推定する方法。
【請求項2】
リンク品質推定値を決定する前記ステップが、
端末によって、該端末から受信側への送信に対して予期される受信信号強度に基づいて
、リンク品質推定値を決定するステップであって、該予期される受信信号強度が、該端末
と該受信側とのリンク距離の推定値に基づいた、端末送信側出力、受信側ゲイン、および
伝搬損失の推定値を使用して推定される、ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リンク品質推定値を決定する前記ステップが、
送信側から受信側への送信に対して予期される受信信号強度を決定するステップであっ
て、該予期される受信信号強度が、リンク距離の推定値に基づいた、送信側出力、受信側
ゲイン、および伝搬損失の推定値を使用して推定される、ステップと、
該受信側で観察される受信信号強度の推定値を取得するステップと、
該予期される受信信号強度と該観察される受信信号強度との差に基づいて、リンク品質
推定値を推定するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
リンク品質推定値を決定する前記ステップが、受信側が既定の空間領域内にあるときの
、送信側から該受信側への複数の送信に対する該受信側からの複数のフィードバック・メ
ッセージを使用して推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
リンク品質推定値を決定する前記ステップが、受信側の複数の位置に関して端末と該受
信側との間の基準リンクの1つまたは複数のパラメータを比較して取得される、空間的相
対リンク品質推定値である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
リンク品質推定値を決定する前記ステップが、リンク品質推定値の空間サマリーを計算
するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
リンク品質推定値を決定する前記ステップが、複数のリンク品質推定値を組み合わせる
ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のリンク品質推定値が、端末と複数の衛星の1つとの間の各リンク品質推定値
であり、前記複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップが、各衛星が既定の空間領
域内にあるときの集約されたリンク品質推定値を取得するステップを含む、請求項7に記
載の方法。
【請求項9】
複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップが、履歴期間にわたる複数のリンク品
質推定値を組み合わせるステップを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップが、受信側によって実施され、該受信
側と複数の端末それぞれとの間の複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップを含み
、フィードバック情報が該複数の端末に提供される、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
リンク品質推定値を決定する前記ステップが、端末と、フィードバック情報を該端末に
提供する、該端末外部の構成要素との間で分散される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
リンク品質推定値を決定する前記ステップが、
端末位置における1つまたは複数の送信側からの受信信号強度の複数の測定を実施する
ステップと、
該複数の測定を入力として、リンク品質推定値を返すモデルに提供するステップとを含
む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記端末位置が設置位置である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記測定が前記端末外部の装置によって行われ、前記リンク品質推定値が前記端末に提
供される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記通信システムが、衛星通信システムであり、少なくとも1つの衛星と複数の端末と
を備える、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
1つまたは複数の送信側からの1つまたは複数の送信リンクを監視するステップが、全
地球的航法衛星システム(GNSS)の1つまたは複数の衛星からの1つまたは複数の送
信を監視するステップを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記1つまたは複数の送信パラメータが、送信時間、持続時間、データ転送速度、出力
、周波数、または複数の送信アンテナの場合、どのアンテナまたはどのアンテナの組み合
わせを送信に使用するかのうち、1つもしくは複数を含む、請求項1から16のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項18】
送信側から受信側への送信の1つまたは複数の送信パラメータを決定するのに、前記リ
ンク品質推定値を使用するステップが、前記リンク品質推定値を使用して決定された成功
確率を使用して、1つまたは複数の衛星通過を通じて1つまたは複数のメッセージそれぞ
れに対して複数の冗長送信をスケジューリングするステップを含む、請求項1から17の
いずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
複数の冗長送信をスケジューリングするステップが、キューの優先順位が各送信に対す
る前記リンク品質推定値を使用して決定された成功確率に基づくようにして、送信のため
の1つまたは複数のメッセージ・パケットをキューに入れるステップを更に含む、請求項
18に記載の方法。
【請求項20】
メッセージ・パケットが、成功の可能性が最も低いものに前記キューおよび送信におけ
る冗長な複製の最大の機会が与えられるようにして、キューに入れられる、請求項19に
記載の方法。
【請求項21】
スケジューリングが、送信時間が間隔Wおよび時間間隔Tの離散的なグリッドに制限さ
れる最適化方法を使用して、複数の冗長送信が実施されることを含む、請求項18、19
、または20に記載の方法。
【請求項22】
前記時間間隔がT=[now-L,now+L]であり、Lがレイテンシ期間である、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記リンク品質推定値を使用して決定されたスケジュールに基づいて、1つまたは複数
のメッセージを送信するステップを更に含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項24】
アンテナと、通信ハードウェアと、プロセッサと、請求項1から23のいずれか一項に
記載の方法を実現するように該プロセッサを構成する命令を含むメモリとを備える、端末
装置。
【請求項25】
請求項24に記載の複数の端末と、
該端末によって提供される1つもしくは複数の通信リンクに関する情報から端末のリン
ク品質推定値を決定し、1つもしくは複数の送信パラメータを端末に伝送するか、または
端末の設置位置および向きの一方もしくは両方を決定するように構成された、複数のアク
セス・ノードとスケジューラ装置とを備えるコア・ネットワークと
を備える、通信システム。
【請求項26】
前記複数のアクセス・ノードが複数の衛星アクセス・ノードを含む、請求項25に記載
のシステム。
【請求項27】
請求項1から23のいずれか一項に記載の方法をプロセッサに実施させる命令を含む、
コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権書類]
本出願は、「通信リンク品質を予測するシステムおよび方法(System and
Method for Prediction of Communications
Link Quality)」という名称の2018年8月28日提出のオーストラリア
仮特許出願第2017903470号による優先権を主張し、その内容の全体を参照によ
り本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、無線通信システムに関する。特定の形態では、本開示は、無線通信システム
のリンク品質の予測に関する。
【0003】
[参照による援用]
以下の同時係属中の特許出願およびPCT出願は、本出願において言及されるものであ
り、それらの内容の全体を参照により本明細書に援用する。
オーストラリア仮特許出願第2016905314号、発明の名称「拡張衛星エフェメ
リス・データを生成するシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD F
OR GENERATING EXTENDED SATELLITE EPHEMER
IS DATA)」、2016年12月22日出願、
国際特許出願PCT/AU2017/000058号、2017年2月24日出願、発
明の名称「衛星通信システムにおける端末スケジューリング方法(TERMINAL S
CHEDULING METHOD IN SATELLITE COMMUNICAT
ION SYSTEM)」、出願人Myriota Pty Ltd.、および
国際特許出願PCT/AU2017/000108号、2017年5月16日出願、発
明の名称「地球低軌道衛星通信システムにおける位置推定(POSITION ESTI
MATION IN A LOW EARTH ORBIT SATELLITE CO
MMUNICATIONS SYSTEM)」、出願人Myriota Pty Ltd
.。
【背景技術】
【0004】
遠隔区域に位置する小型で低コストのセンサおよびデバイスに対する、マシン・ツー・
マシンの接続性に対する需要が高まっている。多くの場合、端末デバイス(または端末装
置)は、固定位置に設置されるか、または頻繁に移動されない用途で展開される。例示の
用途としては、ポンプ、タンク液量計、ユーティリティ計量、および土壌水分プローブな
どのセンサなどのデバイスの遠隔測定が挙げられる。
【0005】
これらの用途の多くは、セルラーなどの地上通信ネットワークを有さない区域に配置さ
れ、専用のローカル無線による解決策を展開するコストは非常に高い。かかる用途には、
衛星ベースの解決策が魅力的である。
【0006】
送信側と受信側との間の無線通信チャネルの以下の特性は、リンクの品質に影響を及ぼ
す。
リンク距離:自由空間伝搬損失による減衰は、送信側と受信側との距離が増加するにつ
れて増加する。
シャドーイング:デバイス間の障害物、例えばビルなどによって生じる減衰の増加。
偏波:アンテナ偏波の不整合による受信信号強度のばらつき。
干渉:受信側が移動するにつれて、干渉を引き起こす追加の信号源が受信信号中に現れ
るようになることがある。これらの信号源は、受信側と同じシステムの送信機であること
があり、または外部システムに由来することがある。
マルチパス:環境中の物体からの信号反射によって、送信信号の複数のインスタンス(
時間、位相、および信号強度がシフトしている)が異なる経路を介して受信側に到達し、
受信側の性能に影響を及ぼす可能性がある。
更に、送信側と受信側との相対運動は、チャネル状態のばらつきにより、リンクの品質に
変化をもたらす可能性もある。
【0007】
端末デバイスは、端末送信機(または受信機)と移動受信機(または送信機)との間の
経路が部分的に妨げられる位置に設置されてもよい。例えば、全ての方向で空を見通すこ
とができない場合の、地球低軌道(LEO)衛星システムにおける展開である。そのよう
な場合、衛星受信機が障害物によって遮られている期間中に送信を試行することにより、
受信が成功する確率が低減することがある。対照的に、衛星が端末から見通せるときに送
信することによって、受信成功の可能性を改善することができる。
【0008】
端末デバイスは、サイトを繰り返し訪れるコストが高すぎる遠隔位置に設置されてもよ
い。固定設置のシナリオでは、設置位置がサービスの成功に役立つ可能性が高いかを判断
するため、設置者にフィードバックを提供することが望ましい。非リアルタイム衛星サー
ビス(例えば、1日当たりの短時間衛星通過の機会の回数がいくらか少ない)の場合、衛
星通過と一致するように設置を計画することは実現不可能である。更に、これらの設置は
、一般的に、瞬間的なバック・チャネルを設置者に提供するセルラーまたは他の通信手段
がない区域で行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、端末デバイスがリンク品質を予測するか、または少なくとも既存の方法に
代る有用な代替方法を提供する、方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、通信システムにおけるリンク品質を推定する方法が提供され、方
法は、
1つまたは複数の送信側からの1つまたは複数の送信リンクを監視するステップと、
リンク品質推定値を決定するステップと、
リンク品質推定値を使用して、送信側から受信側への送信のための1つもしくは複数の
送信パラメータを決定するか、または受信側への送信用もしくは送信側からの受信用の端
末の設置位置および向きの一方もしくは両方を決定する、ステップと、を含む。
【0011】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、
端末によって、端末から受信側への送信に対して予期される受信信号強度に基づいて、
リンク品質推定値を決定するステップであって、予期される受信信号強度が、端末と受信
側とのリンク距離の推定値に基づいた、端末送信側出力、受信側ゲイン、および伝搬損失
の推定値を使用して推定される、ステップを含む。
【0012】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、
送信側から受信側への送信に対して予期される受信信号強度を決定するステップであっ
て、予期される受信信号強度が、リンク距離の推定値に基づいた、送信側出力、受信側ゲ
イン、および伝搬損失の推定値を使用して推定される、ステップと、
受信側で観察される受信信号強度の推定値を取得するステップと、
予期される受信信号強度と観察される受信信号強度との差に基づいて、リンク品質推定
値を推定するステップとを含む。
【0013】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、受信側が既定の空間領域内
にあるときの、送信側から受信側への複数の送信に対する受信側からの複数のフィードバ
ック・メッセージを使用して推定される。
【0014】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、受信側の複数の位置に関し
て端末と受信側との間の基準リンクの1つまたは複数のパラメータを比較して取得される
、空間的相対リンク品質推定値である。
【0015】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、リンク品質推定値の空間サ
マリーを計算するステップを含む。
【0016】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、複数のリンク品質推定値を
組み合わせるステップを含む。
【0017】
更なる形態では、複数のリンク品質推定値は、端末と複数の衛星の1つとの間の各リン
ク品質推定値であり、複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップは、各衛星が既定
の空間領域内にあるときの集約されたリンク品質推定値を取得するステップを含む。
【0018】
更なる形態では、複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップは、履歴期間にわた
る複数のリンク品質推定値を複数組み合わせるステップを含む。
【0019】
更なる形態では、複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップは、受信側によって
実施され、受信側と複数の端末それぞれとの間の複数のリンク品質推定値を複数組み合わ
せるステップを含み、フィードバック情報が複数の端末に提供される。
【0020】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、端末と、フィードバック情
報を端末に提供する、端末外部の構成要素との間で分散される。
【0021】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、
端末位置における1つまたは複数の送信側からの受信信号強度の複数の測定を実施する
ステップと、
複数の測定値を入力として、リンク品質推定値を返すモデルに提供するステップとを含
む。
【0022】
更なる形態では、端末位置は設置位置である。
【0023】
更なる形態では、測定は端末外部の装置によって行われ、リンク品質推定値が端末に提
供される。
【0024】
1つの形態では、通信システムは、衛星通信システムであり、少なくとも1つの衛星と
複数の端末とを備える。1つの形態では、1つまたは複数の送信側からの1つまたは複数
の送信リンクを監視するステップは、全地球的航法衛星システム(GNSS)の1つまた
は複数の衛星からの1つまたは複数の送信を監視するステップを含む。
【0025】
1つの形態では、1つまたは複数の送信パラメータは、送信時間、持続時間、データ転
送速度、出力、周波数、または複数の送信アンテナの場合、どのアンテナまたはどのアン
テナの組み合わせを送信に使用するかのうち、1つもしくは複数を含む。1つの形態では
、送信側から受信側への送信の1つまたは複数の送信パラメータを決定するのに、リンク
品質推定値を使用するステップは、リンク品質推定値を使用して決定された成功確率を使
用して、1つまたは複数の衛星通過を通じて1つまたは複数のメッセージそれぞれに対し
て複数の冗長送信をスケジューリングするステップを含む。更なる形態では、複数の冗長
送信をスケジューリングするステップは、キューの優先順位がリンク品質推定値を使用し
て決定された成功確率に基づくようにして、送信のための1つまたは複数のメッセージ・
パケットをキューに入れるステップを更に含む。更なる形態では、メッセージ・パケット
は、成功の可能性が最も低いものにキューおよび送信における冗長な複製の最大の機会が
与えられるようにして、キューに入れられる。更なる形態では、スケジューリングは、送
信時間が間隔Wおよび時間間隔Tの離散的なグリッドに制限される最適化方法を使用して
、複数の冗長送信が実施されることを含む。更なる形態では、時間間隔はT=[now-
L,now+L]である。1つの形態では、方法は、リンク品質推定値を使用して決定さ
れたスケジュールに基づいて、1つまたは複数のメッセージを送信するステップを更に含
む。
【0026】
更なる態様によれば、アンテナと、通信ハードウェアと、プロセッサと、第1の態様の
方法を実現するようにプロセッサを構成する命令を含むメモリとを備える、端末装置が提
供される。更なる態様では、複数のこれらの端末と、端末によって提供される1つもしく
は複数の通信リンクに関する情報から端末のリンク品質推定値を決定し、1つもしくは複
数の送信パラメータを端末に伝送するか、または端末の設置位置および向きの一方もしく
は両方を決定するように構成された、複数のアクセス・ノードとスケジューラ装置とを備
えるコア・ネットワークとを備える、通信システムが提供される。1つの形態では、複数
のアクセス・ノードは複数の衛星アクセス・ノードを含む。更なる態様では、第1の態様
の方法をプロセッサに実施させる命令を含む、コンピュータ可読媒体が提供される。
【0027】
以下、本開示の実施形態について添付図面を参照して考察する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】端末が建物の南側に取り付けられ、北側の空からは端末が建物の陰になって見えない、設置例の概略ブロック図である。
【0029】
【
図2】一実施形態による2つの基準リンク36および38をモニタリングする端末10の概略図である。
【0030】
【
図3】CNR値を使用して構築された、8日間にわたる実験中に端末によって記録された相対GPS衛星位置に対応する、スカイ・ビュー・マップである。
【0031】
【
図4】CNRが閾値33dB以上である
図3のスカイ・ビュー・マップ中の領域を示す閾値スカイ・ビュー・マップである。
【0032】
【
図5】一実施形態による
図1に示される設置のためのスカイ・ビュー・マップである。
【0033】
【0034】
【
図7】一実施形態による衛星通信システムの概略図である。
【0035】
【
図8】一実施形態による通信システムのリンク品質を推定する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明では、図面全体を通して類似の参照符号は類似のまたは対応する部分を指定
する。
【0037】
以下、端末装置、および/または他のシステム・エンティティが、リンク品質を予測で
きるようにする方法、ならびにこれらの方法を実現する端末について記載する。いくつか
の実施形態では、方法は、現場における特定の位置の選択を最適化するように、設置位置
および/または向きを選ぶのに使用されてもよい。他の実施形態では、方法は、端末によ
って、送信のスケジューリングの支援および/または送信パラメータの選択に使用され、
電池消費を低減し、電池寿命を延ばすのに使用されてもよい。方法はまた、送信側が、端
末への送信に使用する送信パラメータを選択するのに使用されてもよい。
【0038】
次に
図1を参照すると、端末10が建物40の南側に取り付けられ、北側の空からは端
末が建物の陰になって見えない、概略図が示されている。通信リンク30は、端末10と
北21に向かう極低軌道(LEO)の衛星20との間に存在する。通信リンク30は2つ
の構成要素を有する。アップリンク32は、端末10から衛星20への送信を行い、ダウ
ンリンク34は、衛星20から端末10への送信を行う。この例では、衛星20は通信リ
ンク20の一端にあるが、本明細書に記載する方法は、地上または空中システムにも適用
されてもよい。端末10は、衛星20へのアップリンク32の品質を予測し、この予測を
使用して、送信をスケジューリングし、送信パラメータを選ぶか、または設置位置の選出
を支援することができる。本明細書に記載する技術は逆方向にも適用されてもよく、例え
ば、衛星20(または他のデバイス)が、端末10へのダウンリンク34の品質を予測し
てもよい。更に、リンク品質推定値の決定は、端末のみによって、端末と衛星もしくは他
のシステム・エンティティ(分散型およびクラウド・ベースのコンポーネントを含む)を
併用して、または完全に、例えば設置プロセスの一部として、端末に推定値を提供する他
のシステム・エンティティによって、実施されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、リンク品質推定値は、端末からの送信リンクに影響を及ぼす
恒久的/半恒久的な特徴の測定値である、長期推定値である。いくつかの実施形態では、
推定値は、少数の測定値に基づくか、あるいは長期履歴データ、またはそれらの組み合わ
せ、あるいは半恒久的もしくは恒久的な干渉源、建物、もしくは地形など、時間に伴って
ゆっくり変化するかまたは全く変化しない効果の測定値に基づいていてもよい。いくつか
の実施形態では、リンク品質推定値は、長期間(数カ月、数年、または端末寿命)にわた
って決定され使用される。つまり、リンク品質推定値は、例えば各送信をスケジューリン
グするときなど、高頻度で使用されてもよいが、リンク品質推定値の生成および更新は低
頻度であるか、または1回きりであってもよい。例えば、リンク品質推定値の生成は、設
置時にのみ実施され、その後は更新されなくてもよい。他の実施形態では、リンク品質推
定値は、例えば3、6、もしくは12カ月ごと、または位置の変化を検出したとき、また
は成功率が減少(例えば、パケット損失が増加)したときなど、低頻度で生成または更新
される。しかしながら、他の実施形態では、リンク品質推定値は、各送信前、またはオン
・デマンドを含む、より高頻度で実施されてもよい。
【0040】
理解を助けるため、最初に、端末が、送信のスケジューリングの支援、および/または
送信パラメータの選択のため、リンク品質推定値を推定する(即ち、独立型もしくはスタ
ンドアロン型操作)、いくつかの実施形態について検討する。例えば、端末は、最も好ま
しいチャネル条件の間、送信をスケジューリングすることができ、したがって、シャドー
イング、偏波の不整合、および干渉などの効果の影響を低減することによって、受信の確
率を増加させる。端末はまた、例えば、好ましいチャネル条件においてデータ転送速度を
増加させるかまたは送信出力を減少させるため、リンク品質推定値を使用して、送信パラ
メータとリンク品質とをトレード・オフすることができる。
【0041】
再び
図1を参照すると、端末10は、衛星受信機20の利用可能性に関して、時間およ
び空間(また潜在的には、周波数)の窓について考慮する。例えば、
図1を参照すると、
衛星通過の間、LEO衛星受信機20は、数分間の窓の間、南側でのみ端末の視界にあっ
てもよい(LEO衛星が北に移動するにつれて、建物40によって次第に遮られていく)
。この実施形態では、端末は、送信をスケジューリングする際、受信機の予期される位置
または経路をある程度知っており、実際には、送信窓の各時点において、少なくとも送信
機に対する受信機のおおよその位置が推定されてもよい。例えば、衛星ベースの受信機の
場合、端末は衛星のエフェメリス・データを使用してもよい。このエフェメリス・データ
(または軌道要素)は、衛星の軌道をモデリングする2行軌道要素(TLE)として提供
されてもよく、それは、衛星または別の送信機によって送信され、端末に格納されてもよ
い。いくつかの実施形態では、端末は、オーストラリア仮特許出願第201690531
4号、発明の名称「拡張衛星エフェメリス・データを生成するシステムおよび方法(SY
STEM AND METHOD FOR GENERATING EXTENDED
SATELLITE EPHEMERIS DATA)」、2016年12月22日出願
に記載の方法を使用して、衛星に関する拡張エフェメリス・データを計算または格納して
もよい。これらの拡張エフェメリス・データは、1年以上の期間にわたって有効であって
もよい。衛星がダウンリンク品質を予測する例では、固定位置に基づいて、または端末か
ら前回受信した位置情報から、端末受信機の予期位置を知っていてもよい。
【0042】
送信前に、更に詳細に後述するように、端末10は、リンク品質推定値を取得または決
定して、衛星への送信(即ち、衛星受信機によるパケット受信)が成功する可能性を予測
または推定する。この推定または予測は、次に、送信時間、持続時間、データ転送速度、
出力、および周波数など、1つまたは複数の送信パラメータを決定するのに使用される。
端末が複数の送信アンテナを有する場合、これらのアンテナの使用を選択するかまたは組
み合わせて、偏波の不整合による損失を最小限に抑えてもよい。
【0043】
推定は、送信窓で1回もしくは複数回、または送信窓の間に衛星経路に沿った1つもし
くは複数の位置で実施されてもよい(例えば、エフェメリス・データを使用する)。一実
施形態では、推定プロセスは、1つまたは複数の送信窓および窓に対する衛星エフェメリ
ス(もしくは軌道経路データ)を入力とし、それぞれ異なる時間および衛星位置に対する
リンク品質の複数の推定値を決定し、最高リンク品質の時間(およびしたがって位置)を
返す。次に、リンク品質推定値(即ち、値)を使用して、送信パラメータを決定すること
ができる。送信窓にわたる均等な空間もしくは時間サンプルを使用して、または最高リン
ク品質推定値を探索する最適化もしくは探索技術を使用して、複数の推定値が得られても
よい。
【0044】
次に、リンク品質を推定する方法について記載する。一実施形態では、端末10は、送
信前に、受信信号を使用して通信アップリンク32の品質を推定するが、この品質予測に
使用されるリンクを基準リンクとする。複数の基準リンクが使用されてもよく、各基準リ
ンクは異なる送信源からのものである。これらの送信源は、1つまたは複数の衛星送信機
、ならびに空中または地上送信機(高速移動、低速移動、または固定であってもよい)で
あってもよい。これらの送信源はまた、端末からの送信の受信機であってもよく、受信に
関連して動作しているときは受信機と呼ばれてもよいことが注目される。一実施形態では
、基準リンクは、通信リンクと同じ通信システムの一部である。別の実施形態では、基準
リンクは、別の通信システムなどの別のシステム(もしくはサブシステム)、または全地
球的航法衛星システム(GNSS)の一部である、送信源からのものである。一実施形態
では、端末は、複数の送信源への、したがって複数の基準リンクへのアクセスを有する。
更に、基準リンクは一方向リンクであってもよく、双方向リンクである必要はない。つま
り、送信側は、端末がその送信を受信または監視していると気づいていないことがある。
【0045】
図2は、一実施形態による2つの基準リンク36および38をモニタリングする端末1
0の概略図である。第1の基準リンク34は、端末10を含む衛星通信システムの衛星2
0からのダウンリンクであり、第2の基準リンク38は、GNSS衛星24(例えば、G
PS衛星)からのダウンリンク(即ち、送信)である。この実施形態では、単一の受信ア
ンテナが示されているが、複数の受信アンテナが使用されてもよいことが理解されるべき
である。
【0046】
一実施形態では、端末は、基準リンクに関する情報を使用して、予期される受信信号強
度を決定する。この情報は、基準リンク送信出力の推定値
【数1】
と、送信アンテナ・ゲイン
【数2】
とを含んでもよい。ケーブルおよび他の構成要素による更なる損失も、それらが分かって
いるかまたは推定できる場合、考慮されてもよい。ここで、
【数3】
および
【数4】
を使用して、送信側および受信側それぞれにおける集中損失の推定値を表す。受信アンテ
ナ・ゲインの推定値
【数5】
も、使用されてもよい。デシベル(dB)レベルでは、予期される受信出力
【数6】
は、次式のように推定することができる。
【数7】
式中、送信および受信出力の推定値はdBmで表され、他のパラメータはdBで表される
。また、
【数8】
は、送信側および受信側の分離に基づいた予期される自由空間伝搬損失の推定値であり、
次式を使用して計算される。
【数9】
式中、λは、基準リンク動作周波数における波長(m)であり、
【数10】
は、送信時におけるリンク距離の推定値(m)である。
【0047】
リンク距離の推定値
【数11】
は、一般的に、送信側(例えば、衛星20)および受信側(端末10)の位置の推定値を
使用して、送信の受信時に端末によって実施されるが、双方向リンクが利用可能な場合は
送信側で実施することができ、端末は自身の位置を衛星に提供することができる。衛星は
、例えばGNSS受信機を使用して、自身の位置を決定してもよく、この情報を送信デー
タに含めてもよい。あるいは、衛星の位置は、オーストラリア仮特許出願第201690
5314号、発明の名称「拡張衛星エフェメリス・データを生成するシステムおよび方法
(SYSTEM AND METHOD FOR GENERATING EXTEND
ED SATELLITE EPHEMERIS DATA)」、2016年12月22
日出願に記載されているように、衛星に関するエフェメリス・データまたは拡張エフェメ
リス・データを使用して推定されてもよい。端末は、例えば、端末が設置中に自身の位置
を予めプログラミングされている固定端末である場合、または端末が移動していないか、
もしくは位置推定値を前回取得してから閾値量を超えて移動していない場合、格納された
位置を使用してもよい。あるいは、端末は、自身の位置を推定できるように、GNSS受
信機を含んでもよく、または何らかの位置決定モジュールを含んでもよい。別の代替例で
は、端末または衛星の位置は、Myriota Pty Ltd.による、国際特許出願
PCT/AU2017/000108号、2017年5月16日出願、発明の名称「地球
低軌道衛星通信システムにおける位置推定(POSITION ESTIMATION
IN A LOW EARTH ORBIT SATELLITE COMMUNICA
TIONS SYSTEM)」に記載されているように、推定されてもよい。
【0048】
別の実施形態では、リンク距離は、送信データの飛行時間を使用して、送信時間および
受信時間を比較することによって推定される。例えば、送信機20および受信機10が(
例えば、GNSSを介して)共通のクロックに同期されると、パケット・ベースの送信は
、送信時間を送信データに含めてもよい。別の例では、送信がスロットに位置合わせされ
るタイム・スロット・システムでは、受信側は、スロット境界に対する到着の遅延に基づ
いて飛行時間を決定してもよい。リンク距離は、
【数12】
を使用して推定することができ、式中、T
fは飛行時間の推定値、cは光速である。
【0049】
別の実施形態では、受信機および送信機の相対的な向き、ならびにアンテナ偏波および
ゲイン・パターンは、分かっているかまたは推定することができる。これらは、送信中の
システム構成要素の物理的な向きを所与として、リンクの特定例に対して、
【数13】
および
【数14】
を推定するのに使用される。
【0050】
一実施形態では、基準リンク受信機は、観察された受信出力の推定値
【数15】
、または搬送波対雑音比(CNR)もしくは信号対雑音比(SNR)など、他の何らかの
測定基準を報告し、そこから
【数16】
を決定することができる。次に、チャネルに導入される追加損失の推定値
【数17】
が、予期された受信信号出力と観察された受信信号出力との差、即ち、
【数18】
から決定される。そのため、追加損失をリンク品質測定基準として使用してもよく、追加
損失の増加はリンク品質の低減を示し、その逆もまた真であり、また追加損失は、受信が
成功する可能性が高いかを予測するのに、予期される利用可能なリンク・マージンと比較
されてもよい。この追加損失の推定値は、例えば、複数の個々の推定値を組み合わせるこ
とによる、または観察された受信出力の集約値もしくは平均値を使用することによる、平
均化された推定値であることができ、あるいは予期される受信出力は、集約化された推定
値または平均化された推定値である構成要素に基づいてもよい。追加損失の推定値はまた
、観察されたデータに対する統計モデルのフィッティングに基づくことができ、または機
械学習、データ・マイニング、もしくは人工知能技術を使用して生成することもできる。
追加損失の推定値は、単一値であってもよく、または例えば環境的効果による、1日のう
ちの時間(例えば、昼/夜)、もしくは1年のうちの時間(夏/冬)の作用など、時間依
存の作用を含んでもよい。いくつかの実施形態では、端末は、湿度センサおよび温度セン
サなどの環境センサ、および/または端末ハードウェア・センサ(例えば、受信機温度)
を含んでもよく、ならびにリンク品質推定値は、感知した値に基づいてもよい。
【0051】
別の実施形態では、端末通信リンクは双方向性であり、通信受信側は、確認応答メッセ
ージなどのフィードバック・メッセージ(もしくは情報)、またはパケット送信成功率な
どの性能統計、またはCNR/SNR推定値を端末に提供する。確認応答(ACK)もし
くは一連の確認応答は、リアルタイムで提供されてもよく、または例えば、ベースバンド
受信機信号処理の実行が無線受信機と物理的に結び付けられない分散システムの場合、何
らかのレイテンシ後に送達されてもよい。この場合、リンク品質測定基準は、確認応答を
使用して、あるいは所与の受信機位置に関する受信成功に必要な再試行回数の計数、また
は何らかの空間領域内に位置する受信機に送信する際の平均パケット送信成功率など、他
の性能測定基準を使用して導き出されてもよい。例えば、空を、(例えば、方位角および
仰角/上下角に基づいて)既定の領域に分割し、既定の空間領域それぞれに対して保持さ
れた回数に分割することができる。
【0052】
別の実施形態では、端末は、基準リンクからの情報を使用して、(例えば、空の異なる
領域における)受信側の候補位置にわたる通信リンクの相対品質を予測し比較する。相対
比較には、追加損失の絶対計算を必要とせず、したがって、送信出力またはアンテナ特性
が分かっていなくても実施することができる。例えば、端末は、1つもしくは複数のGN
SS基準リンクに対して、観察されたCNR値、SNR値、および対応する相対GNSS
衛星位置を記録してもよく、これを通信リンク品質を予測する測定基準として使用しても
よい。観察されたCNRまたはSNRはまた、基準リンクが通信リンクである場合に、確
認応答率などの他の基準と併せて使用されてもよい。端末は、測定基準の記録を格納し、
これらの履歴(時間的)記録を分析して、リンク品質推定に使用することができるモデル
を構築することができる。
【0053】
例えば、レイン・フェードおよびファラデー回転などの電離層効果など、チャネルの効
果は周波数依存であってもよい。通信リンクおよび基準リンクが異なる周波数で動作する
場合、リンク品質測定基準は、周波数依存効果の相対差を考慮に入れて調節されてもよい
。いくつかの実施形態では、リンク品質推定またはリンク品質測定基準は、1年のうちの
時間を考慮に入れてもよい。例えば、環境的効果は季節によって変化することがあり(例
えば、冬と夏)、したがって、リンク品質推定値は、平均的な月ごとまたは季節ごとの影
響を組み込んだ、時間とともに変動する構成要素を含む場合がある。
【0054】
動作中、端末は、追加損失またはCNRなど、リンク品質測定基準の計算を継続し、ス
カイ・ビュー・マップなどのリンク品質推定値空間サマリーを構築してもよい。スカイ・
ビュー・マップは、端末からのデータ送信のスケジューリングを通知して、衛星受信機が
視界内にあると推定されるときに起こる送信を制限するのに使用されてもよい。
【0055】
図3は、CNR値を使用して構築された、8日間にわたる実験中に端末によって記録さ
れた複数のGPS衛星に関する相対衛星位置に対応する、スカイ・ビュー・マップ300
である。この例では、端末は建物の南側に取り付けられており、建物が北側の空からの視
界を遮っている。スカイ・ビュー・マップは、回転が方位角を示し(北が0度)、径方向
測定値が高度(または仰角)を表す極座標である。この図で提供される例は、障害物によ
って壁の北側のCNRが低減していることを示している。壁310の傾斜も図に示されて
いる。GPS衛星が達しない領域、例えば320も存在する。かかる領域は、衛星の軌道
パラメータを使用して、未知のリンク品質を有するものとして示すことができる。この例
では、複数のCNR観察が同じ方位角/高度位置で行われたとき、その位置における平均
CNRが計算された。平均の代わりに、中央値、最大値、最小値など、他の関数を適用す
ることができる。
【0056】
一実施形態では、閾値がスカイ・ビュー・マップに適用されて、閾値を下回るCNRを
有するサンプルが除去されており、残りのサンプルは、空の視界が妨げられることが少な
く、したがって衛星に対する通信リンク品質がより高い可能性がある領域を示している。
図4は、CNRが閾値33dB以上である
図3のスカイ・ビュー・マップ中の領域を示す
閾値スカイ・ビュー・マップ400である。これに基づいて、端末は、自身の送信をこの
領域内の方位角および高度に限定し、それによって北側において妨げられるのを回避する
ように選択してもよい。
【0057】
図5は、一実施形態による
図1に示される設置のためのスカイ・ビュー・マップ500
である。この実施形態では、スカイ・ビュー・マップの周囲の数字は、北が0°である方
位角を表し、スカイ・ビュー・マップ内の破線の円および数字は、天頂が90°である仰
角を示す。このマップでは、陰影はリンク品質が低いことを表し、図から分かるように、
315°~45°の方位角を包含する北に向かう第1の区域510は、端末の北にある建
物40によって妨げられることによる、低いリンク品質を表す。300°~60°の方位
角辺りから延在する第2の区域520は、中間のリンク品質を表す。地上干渉源による中
程度の(中間よりも良い)リンク品質の更なる区域530は、120°~180°の方位
角、および端末に対して0°~30°の仰角の間(即ち、端末に対してほぼ南東の水平線
)に位置する。
【0058】
別の実施形態では、端末は、(例えば、通信システムから、およびGNSSから)複数
の基準リンク受信機源へのアクセスを有する。端末は、各受信機に基づいてリンク品質を
推定し、次に推定値を組み合わせて集約されたリンク品質推定値とする。これらの集約を
組み合わせて(即ち、空間的集約)、平均スカイ・マップを作成することができる。同様
に、リンク品質推定値は、特定の受信機に関する集約値または平均値に基づく(即ち、同
じ受信機に対して繰り返される基準に基づく)ことができ、または同じタイプの受信機に
対して、例えば異なるGNSSシステム(即ち、GPS衛星、GLONASS衛星、北斗
衛星)もしくは同じハードウェア(例えば、同じGPSブロック)を有する衛星に対して
平均化することができる。つまり、受信機または基準リンクのクラスに基づいて集約を実
施することができる。例えば、集約は、受信機までの距離(軌道位置に関連する)に基づ
くことができる。距離範囲/ビンは事前定義することができ、平均化は所与の距離範囲内
にある全ての受信機に対して実施される。推定は、例えばどの送信パラメータが使用され
るかを決定する際に、例えば確率的閾値を使用できるように、エラー推定値の生成を含ん
でもよい。例えば、良好な送信条件で高い信頼値がある場合、良好な条件がより変動しや
すいことがあり、したがってより注意が必要になることが示唆される、信頼値が低い場合
と比較して、安定した条件を仮定して送信出力を低減することができる。
【0059】
別の実施形態では、端末は、通信リンク品質を、GNSS衛星信号強度測定基準(CN
Rなど)の短時間測定、および端末に対する空中でのこれらのGNSS衛星の位置に関連
付ける、モデルおよび/またはデータベースを格納し使用する。モデルまたはデータベー
スは、オフライン実験(制御環境で実施される)を使用して、もしくはシミュレーション
によって、またはこれらの方策の何らかの組み合わせによって構築されてもよい。様々な
統計的モデリング、機械学習、およびデータ・マイニング方法が、モデルおよび/または
データベースを構築するのに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、データベース
は、ルックアップ・テーブルとして使用されてもよく、実験およびシミュレーションに基
づくモデルから導き出されてもよい。測定は、任意に、衛星までの既知の経路長を考慮に
入れるように正規化されてもよい(例えば、既知の距離にある特定の衛星に関して予期さ
れる公称信号強度に対するdB)。実験はまた、データベース・クエリが通信リンクの予
期される品質に対して高度な信頼値を付与することができるように、十分なデータ・サン
プルを提供するのに必要な、GNSS衛星測定の予期される最小持続時間の試験期間を決
定するのに使用されてもよい。同様に、データベースは、時間に伴って推定値を改良また
は更新するのに使用されてもよい。例えば、月ごとに、端末は一連の試験測定値を得て、
これらをモデルに提供するか、またはルックアップ・テーブルを使用して(もしくはこれ
らをデータベースと比較して)、次の月に使用される新しい一連のリンク品質測定値を生
成することができる。いくつかの実施形態では、モデルの更新は、衛星によって周期的に
端末に提供されてもよい。
【0060】
アップリンク受信機は、パケット送信成功率、CNR、およびSNRなどの性能測定基
準に基づいて、通信リンク品質を評価してもよい。好ましい実施形態では、端末はフィー
ドバック・チャネルを有し、それを通してリンク品質情報をアップリンク受信機によって
提供することができる。端末は、リンク品質推定値空間サマリーを受信機に提供し、なら
びに/またはリンク品質推定値空間サマリーを受信機から受信してもよい。サマリーは、
(任意に量子化された)スカイ・ビュー・マップであってもよく、またはフォンミーゼス
・フィッシャー分布など、球体上の分布(もしくは分布の重畳)を使用して構築される、
パラメータ表現であってもよい。端末は、その最初のリンク品質推定値空間サマリーを受
信機に提供してもよく、これに対する更新を、漸増的変化の形態で受信機と交換してもよ
い。これには、端末に伝送する必要があるデータ量が低減されるという利点がある。端末
は、その既存のリンク品質推定値空間サマリー・データの全体もしくは一部を、端末が受
信する更新されたサマリー・データと置き換えてもよく、または例えば自己回帰などを介
して、2つのデータ・セットを組み合わせてもよい。受信機は、端末によって提供される
リンク品質推定値空間サマリーが、観察された性能と大きく異なることを検出した場合、
現在の一連のリンク品質推定値を破棄するように指示するコマンドを、端末に対して発行
してもよい。
【0061】
一実施形態では、受信機は、1つまたは複数の端末からの、時間に伴う端末リンク品質
推定値空間サマリーの記録を維持し、受信側で観察された対応するリンク品質推定値空間
サマリーと比較する。次に、この情報は、端末に適用されるリンク品質推定技術を適応的
に改良するのに使用されて、例えば、クリア・スカイ・ビューを示すのに使用される新し
い基準リンクCNR閾値を設定する。
【0062】
別の実施形態では、リンク品質予測は干渉に関する統計も使用してもよい。例えば、衛
星に対する一方向の送信が、より大きい干渉を受ける可能性が高いことが、端末に指示さ
れてもよい。これは、端末がその方向で送信を行う際に、衛星の視界内にある他の信号源
がより多く存在することによるものであってもよい。例えば、
図5の領域530は、周囲
領域よりも干渉が大きい領域の一例を示している。予測はまた、地形マップ、および建物
情報など、他のソースからの情報を使用して、周囲環境によって生じるチャネル効果を推
定してもよい。かかる効果は恒久的または半恒久的なので、これらの効果を設置中に考慮
に入れることができる。しかしながら、建物および干渉源は時間に伴って変化することが
あるので、リンク品質推定値は、かかる変化を考慮に入れるように時間に伴って更新され
てもよい(例えば、数か月ごとまたは1年ごと)。
【0063】
一実施形態では、リンク品質予測プロセスが分布される。予測プロセスは、
例えば、上述したような1つまたは複数の基準リンクを使用して、端末で実施される構
成要素、ならびに、
衛星上で、または地上ベースの(例えば、クラウド)処理を使用して実施され、結果が
端末にフィードバックされる他の構成要素、を有してもよい。例えば、受信機性能測定基
準に基づいた通信受信機処理およびリンク品質評価、または地形の知識に基づいたリンク
品質の推定は、端末から離れて実施されてもよい。
【0064】
端末は、通信ダウンリンクで提供される情報を介して、または別の方法、例えば地上リ
ンク、もしくは設置中の有線通信リンクを介して指示されてもよい。
【0065】
別の実施形態では、端末は、移動または再配向されていることを検出し、移動または再
配向の程度が(例えば、何らかの閾値と比較して)著しい場合、現在の一連のリンク品質
推定値を(移動に対して調節するために)調節するか、または推定値をリセットしてもよ
い。端末は、GNSSなどのシステムおよび/または慣性測定ユニットもしくは振動セン
サを使用して、移動または再配向を検出してもよい。
【0066】
好ましい実施形態では、送信機は、上述の方法の1つまたは複数を使用して、リンク品
質を予測し、送信スケジュールを通知し、最も好ましいチャネル条件の間の送信を目標に
する。これには、次のようないくつかの利点がある。
シャドーイング、偏波の不整合、および干渉などの有害な効果の影響を低減することに
よる、性能の改善。
電池式デバイスのエネルギー消費の低減。
復号不能であるが合わさって干渉として存在するような、それぞれ減衰される多数の信
号の集約である、衛星においてマルチユーザ受信機が受ける干渉の低減。
【0067】
送信機は、例えば、好ましいチャネル条件においてデータ転送速度を増加させるかまた
は送信出力を減少させる、他のパラメータをリンク品質とトレードしてもよい。一実施形
態では、送信機は、例えば、最小電力消費、最大データ転送速度、または最大受信確率を
目標にして、1つまたは複数の目的関数を最適化する。最適化される変数は、単一の送信
に対する、もしくは複数の送信にわたる、スケジュール(送信時間および/または周波数
)、送信出力、ならびに空間パラメータ(送信機に対する受信機の方向)を表してもよい
。
【0068】
別の実施形態では、衛星が特定の端末に送信しているとき(例えば、ユニキャスト)、
衛星ダウンリンク送信機は、その端末と関連付けられたリンク品質推定値空間サマリー(
例えば、スカイ・ビュー・マップ)を使用して、リンク品質を推定し、送信をスケジュー
リングする。ダウンリンク送信機はまた、各端末に対してリンク品質推定値空間サマリー
を使用して、複数の端末に対する送信をスケジューリングしてもよい(例えば、マルチキ
ャスト、もしくは連続ユニキャスト)。送信機は、例えば、個々の端末基準の、もしくは
複数の端末にわたって集約された、最小電力消費、最大データ転送速度、または最大受信
確率を目標にして、1つまたは複数の目的関数を最適化してもよい。
【0069】
送信は、異なる衛星通過にわたる分配を含む、周波数および時間にわたるダイバーシテ
ィを達成するようにスケジューリングされてもよい。一実施形態では、パケット送信は冗
長性のために複数回繰り返され、冗長送信は1つまたは複数の衛星通過にわたって分配さ
れてもよい。送信のためのメッセージ・パケット(または単にパケット)は、キューの優
先順位が成功確率に基づくようにしてキューに入れられてもよい。更なる形態では、メッ
セージ・パケットは、成功の可能性が最も低いものにキューおよび送信における冗長な複
製の最大の機会が与えられるようにして、キューに入れられる。
【0070】
上述したように、リンク品質推定値は、成功(または失敗)の確率を推定して、送信の
確率的スケジューリングを可能にするのに使用されてもよい。一実施形態では、リンク品
質推定値は、時間および空間の関数として、送信の失敗確率を推定するのに使用される。
例えば、時間tにおける送信の失敗確率は、次式によって与えられてもよい。
p(t)=pf(θ(t),φ(t))
式中、θ(t)は方位角であり、φ(t)は、時間の関数としての、端末に対する衛星の
高度である。スカイ・マップまたは他のリンク品質評価関数を使用して、時間の関数とし
てのこれらの確率を推定することができる。N個のメッセージm1、m2、…、mNを送
信する必要があると仮定する。
【0071】
各メッセージは、少なくとも1回適正に受信される確率を増加させるように、複数回送
信されてもよい。t
n,1、t
n,2、…を、メッセージm
nが送信される回数のシーケ
ンスとする。K回目の送信後にm
nが受信されていない確率は、次式の通りである。
【数19】
【0072】
各メッセージは、失敗確率ρが十分に小さくなるまで繰り返される。K(n)を最小の
整数とすると、q
n,K(n)≦ρである。送信の合計回数を最小限に抑える送信回数の
シーケンスt
n,1、…、t
n,K(n)を選びたい。
【数20】
【0073】
レイテンシTおよびスループットWの2つの制約を適用することができる。レイテンシ
の制約は、全てのメッセージがある時間間隔T内で送信されなければならないことであり
(即ち、t
n,k∈T)、スループットは、連続送信間の最小時間Wである(|t
n,k
-t
n,l|≧W)。次に、レイテンシおよびスループットの一方または両方を最適化(
もしくは近似的に最適化)することによって、スケジューリングを実施することができる
。一実施形態では、送信時間が間隔Wを有する離散的グリッド(即ち、整数lに対してt
=lW)に制限されると仮定し、レイテンシ間隔T内の割振りを最適化することによって
、最適化の計算の複雑性が低減される。したがって、レイテンシ間隔T内のグリッド点の
各時間における確率に基づいて送信時間を割り振るのに、様々な最適化方法が使用されて
もよい。一実施形態では、複数間隔にわたる確率が順序付けられ、欲張り割振り方法が使
用されてもよい。例えば、Iを間隔Tにおける一連のグリッド点とすると、次式の通りに
なる。
【数21】
更に、確率p(i)∈Iを昇順で入れるIの置換σを定義し、表1の欲張りアルゴリズム
を使用して送信時間を取得することができる。
<送信時間を選択する欲張りアルゴリズム>
【表1】
【0074】
手順の終了時に、送信時間がリストt1、t2、…tNに格納される。アルゴリズムが
6行目で終了する場合、各メッセージに関して目標の失敗確率ρは満たされている。アル
ゴリズムが9行目で終了する場合、少なくとも1つのメッセージが目標確率に達していな
い。これが望ましくない場合、間隔Tを拡大し、アルゴリズムを繰り返すことができる。
場合によっては、いくつかのメッセージは他のメッセージよりも重要であり、例えば、確
率比pn/qnに基づいて最大化および5、6行目の終了条件を置き換えることによって
、重要度に基づいていくつかのメッセージを重み付けするように(例えば、より重要度が
高いメッセージはエラー確率が低い)、上述のアルゴリズムを修正することができる。他
の置換方法、数学的最適化、または更には機械学習に基づく割振り方法も使用されてもよ
い。
【0075】
時間間隔Tの選択は、T=[now,now+L]など、レイテンシLの期間に基づい
てもよい。一実施形態では、間隔TはT=[now-L,now+L]として選択される
。つまり、この実施形態では、スケジューラは、過去および将来両方の時間から送信時間
を選ぶことが可能にされる。これは、スケジューラが次回の通過では送信を飛ばすのを選
ぶことを意味することがある。これは、次回の衛星通過(即ち、(now+L))におけ
る送信確率が低く、最近の衛星通過(即ち、(now-L))における送信確率が高い場
合に起こることがある。表2は、間隔Tが過去の回を含むことを可能にする、送信時間を
スケジューリングする別のアルゴリズムを示している。アルゴリズムが5または9行目で
終了する場合、メッセージは送信されるべきではなく、アルゴリズムが6行目で終了する
場合、メッセージは即時に送信されるべきである。手順が終了した後、値tは、スケジュ
ーリング・アルゴリズムが試行されるべきである次の回を示す。
<送信時間を選択する欲張りアルゴリズム>
【表2】
【0076】
一実施形態では、上述した方法の1つまたは複数を使用して、設置時におけるリンク品
質を予測し、設置者にフィードバックを提供して、設置位置がサービスの成功に役立つ可
能性が高いかが判断される。一実施形態では、端末は、電源をオンにし、GNSS衛星信
号強度の測定値を記録し、試験期間における端末に対する空中でのこれらのGNSS衛星
の位置を記録する。これらの測定値は、格納されたデータベース(上述)にクエリを行い
、フィードバックを設置者に対して表示するのに使用される。正規化された測定値を使用
することによって、視野の推定が可能になる。例えば、水平線よりも上方にある衛星から
の信号がないかまたは著しく減衰されている場合、その方向では見通し線が遮られている
ことを示す。これらの方法は、端末または接続されたホスト・コンピュータのどちらかで
実行することができる。あるいは、設置時のアプリケーションは、GNSS受信機および
GNSS受信機測定能力を備えたスタンド・アロン型のホストで、例えば設置された端末
の近傍に位置するスマートフォンで実行することができる。
【0077】
特定の一実施形態では、設置される端末は、例えば低コストの展開では、通信リンク送
信機のみを備えていてもよい。かかる端末は、通信リンク受信機、およびGNSS受信機
などの二次受信機を有さないので、リンク品質測定値を直接取得することはできない。こ
の場合、専用端末(スタンド・アロン型またはホスト接続型)を使用して、リンク品質測
定基準を取得し、リンク品質推定値空間サマリーを構築する。次に、設置される端末には
、展開前にこのリンク品質情報がプログラミングされる。
【0078】
図6は、一実施形態による端末装置10の概略図である。端末装置は、通信モジュール
110を備え、通信モジュールは、1つまたは複数のアンテナ112と関連ハードウェア
とを備えるRFフロント・エンドを含み、関連ハードウェアは、符号化および変調、なら
びに無線周波数アップリンク32を通じて衛星20にデータを送信することを含めて、送
信用にデータを準備し、またダウンリンク34を通じて衛星20(または他のソース)か
らデータを受信し復号するためにデータを準備する。衛星は、端末および地上局との通信
用の1つまたは複数のアンテナを備えたRFフロント・エンドを含む通信モジュールと、
符号化/復号および変調/復調構成要素をそれぞれ備えてもよい、送信機モジュールおよ
び受信機モジュールと、データ(例えば、エフェメリス・データ、コンフィギュレーショ
ン・データ、および性能データ)を格納するとともに、衛星の動作、および信号の復号を
含む信号の送受信を制御し、確認応答を生成し、システム最適化を実施し、他の任意の対
応する動作を実施する、プロセッサおよび関連メモリとを備える。いくつかの実施形態で
は、衛星は、ベント・パイプ・モード、またはストア・アンド・フォワードを用いたデジ
タル・サンプリング・モードで動作し、受信した送信の信号処理は最小限のみ実施するか
または実施せず、受信した送信またはパケットを(クラウド・ベースのプロセッサによる
処理を含む)更なる処理のために地上局にリダイレクトする。
【0079】
端末装置はまた、プロセッサ・モジュール120とメモリ130とを備える。メモリは
、リンク品質推定値の推定、リンク品質空間サマリーの推定、推定値の更新、およびこれ
らの推定値を端末がどのように使用して送信をスケジューリングしまたは送信パラメータ
を選択することができるかを含む、本明細書に記載の方法をプロセッサに実施させる、ソ
フトウェア命令またはソフトウェア・モジュールを備える。メモリはまた、履歴のリンク
品質推定値およびリンク品質空間サマリー、ならびにかかる推定値を生成もしくは更新す
るのに使用される任意のデータ、パラメータ、または測定基準を格納するのに使用されて
もよい。メモリは、短時間測定からリンク品質推定値を推定するのに使用されるデータベ
ースを含む、1つまたは複数のデータベースを含んでもよい。メモリはまた、所望の時間
(例えば、予測された衛星通過時間中)に端末を起動させるスケジューラおよびアラーム
・モジュールなど、他の機能のためのモジュールを格納するのに使用されてもよい。電源
、クロック、センサ・プラットフォームなどの他の構成要素も、端末装置に含まれてもよ
い。
【0080】
設置および構成の間、データは、例えば、BluetoothまたはWiFiベースの
プロトコルを使用する近距離無線接続を通じて、通信モジュール110を介して他のロー
カル・デバイスと交換されてもよい。いくつかの実施形態では、端末装置は、サービス中
またはメンテナンス中にデバイスにデータを物理的に転送(もしくはアップロード)する
のを可能にする、USBインターフェースなどの物理的インターフェース150を備える
。端末装置は、位置および時間推定値を提供するのに使用することができる、GPS受信
機140を含んでもよい。それに加えて、端末装置は、通信モジュール110を介してタ
イミング情報を受信してもよく、または端末装置は、例えばサービス中もしくはメンテナ
ンス中にUTCと周期的に同期される、安定した内蔵クロックを含んでもよい。
【0081】
図7は、一実施形態による衛星通信システム1の概略図である。
図7に示される通信シ
ステム1は、等価的に通信ネットワークと呼ばれてもよく、複数の端末10と複数の衛星
アクセス・ノード20とを備える。コア・ネットワーク200は、アクセス・ノード(衛
星および地上)と、アクセス・ゲートウェイ230と、認証ブローカー240と、アプリ
ケーション・ゲートウェイ250とを備える。ブローカー240は、アプリケーション・
ゲートウェイ250を介してアプリケーション260とデータ262を交換し、アプリケ
ーション260を用いて情報264を直接制御することができる。コア・ネットワーク2
00の構成要素は、分散され、通信リンクを通じて通信してもよい。いくつかの構成要素
はクラウド・ベースであってもよい。端末または衛星は、リンク品質推定値を推定する計
算を実施し、フィードバック情報を端末に提供するため、コア・ネットワークのスケジュ
ーラ装置に情報を提供してもよい。それに加えて、端末は、通信システム1の一部ではな
い追加の送信機を用いて基準リンク36を監視してもよく、GNSS衛星などの衛星送信
機22と地上送信機24とを含んでもよい。
【0082】
一実施形態では、システム1は、パブリッシャー・サブスクライバー・モデルを使用し
、以下のシステム・エンティティを備える。
端末10:端末内の通信モジュールは、アクセス・ノードに対するコア・ネットワーク
接続性を提供する。端末10には、デバイス102およびセンサ104の両方が取り付け
られてもよい。これらは、物理的に取り付けられるかもしくは統合されてもよく、または
ローカル有線もしくはローカル無線リンクを通じて端末に動作可能に接続されてもよい。
デバイス102:これらのエンティティは、認証ブローカーを介して、登録しているデ
ータを受信する。
センサ104:これらのエンティティは、他のネットワーク・ノードを意識せずにデー
タを発行する。センサはまた、一時的制御データを受信し、ACKメッセージを発行する
などを行うことができてもよい。
アクセス・ノード20:複数のアクセス・ノードは、複数の端末との無線通信を提供す
る。大部分のアクセス・ノードは衛星アクセス・ノードであるが、システムは地上基地局
を含んでもよい。衛星アクセス・ノードは、コア・ネットワーク200に対するアクセス
を提供する。
アクセス・ゲートウェイ230:これらは、アクセス・ノードと認証ブローカーとの間
のゲートウェイとして作用する。ゲートウェイは、アクセス・ノード20(例えば、衛星
に搭載)と組み合わされてもよい。
認証ブローカー240:パブリッシャーとサブスクライバーとの間のブローカー。ブロ
ーカーは、受信メッセージが登録された端末からのものであると認証する。
アプリケーション・ゲートウェイ250:多数のインターフェースを実現する、アプリ
ケーション260とブローカー240との間のデータ・ゲートウェイ。これは、クラウド
・ベースのインターフェースであってもよい。インターフェースは、顧客制御のエンドポ
イント、または顧客アクセス可能なエンドポイントへ転送する、メッセージ・キュー・テ
レメトリ・トランスポート(MQTT)インターフェースを含む。
アプリケーション260:顧客アプリケーション。これらは、例えばクラウド・ベース
のアプリケーション・ゲートウェイへの、有線および無線リンクを通じて、アプリケーシ
ョン・ゲートウェイと通信する。
【0083】
端末デバイスがリンク品質を予測できるようにする方法、およびこれらの方法を実現す
るように構成された端末について記載してきた。
図8は、通信システムのリンク品質を推
定する方法のフローチャート800である。方法は、概して、1つまたは複数の送信機8
10からの1つまたは複数の送信リンクを監視することと、リンク品質推定値820を決
定することとを含む。ステップ830で、リンク品質推定値を使用して、送信側から受信
側への送信のための1つもしくは複数の送信パラメータを決定するか、または受信側への
送信用もしくは送信側からの受信用の端末の設置位置および/または向きを決定する。送
信のスケジューリングは、Myriota Pty Ltd.による、国際特許出願PC
T/AU2017/000058号、2017年2月24日出願、発明の名称「衛星通信
システムにおける端末スケジューリング方法(TERMINAL SCHEDULING
METHOD IN SATELLITE COMMUNICATION SYSTE
M)」に記載されているような方法を使用して、または本明細書に記載するような確率的
スケジューリング方法を使用して実施されてもよい。一実施形態では、端末は、本明細書
に記載するスケジューリング方法を実現するように構成されたスケジューラを備える。一
実施形態では、スケジューラは、コア・ネットワーク200に配置されたコンピュータ・
システムの一部であり、送信リンク測定値を1つまたは複数の端末から受信し、端末のリ
ンク品質推定値を推定する。スケジューラは、これらのリンク品質推定値を使用して、1
つまたは複数の端末に対する送信スケジュールを決定し、スケジューリング情報を1つま
たは複数の端末それぞれに送信する。
【0084】
この方法の実施形態、およびこれらの方法を実現するように構成された端末は、端末に
対して、特に、サイトを繰り返し訪れるコストが端末にとって高すぎる遠隔位置に設置(
もしくは配置)された端末デバイスに対して、多数の利益を提供する。第一に、方法は、
設置位置が通信サービスの成功に役立つ可能性が高いかを判断できるように、設置者にフ
ィードバックを提供する。設置が行われると、方法は、端末が最も好ましいチャネル条件
の間に送信をスケジューリングできるように説明し、したがって、シャドーイング、偏波
の不整合、および干渉の影響を低減することによって、受信の確率を増加させる。端末は
また、例えば、好ましいチャネル条件においてデータ転送速度を増加させるかまたは送信
出力を減少させるため、リンク品質推定値を使用して、送信パラメータとリンク品質とを
トレード・オフすることができる。したがって、これらによってエネルギー消費を低減し
、したがって電池寿命を増加させることが可能になる。本明細書に記載する方法は、特に
、サイトを繰り返し訪れるコストが高すぎる遠隔位置に低コスト低出力端末が設置または
展開される、衛星通信システムに適用可能である。方法は、アクセス・ポイントが、衛星
、長時間(例えば、数日間)空中に留まることができるソーラー式および/または電池式
のドローンもしくは飛行船など、高高度無人航空機(UAV)などの空中アクセス・ポイ
ント(擬似衛星)、あるいは固定式または移動式地上アクセス・ポイントである、通信シ
ステムで使用されてもよい。システムはまた、陸上もしくは海上に位置する完全に地上の
通信システム(即ち、完全地上アクセス・ポイントおよび/または端末)、あるいは地上
アクセス・ポイントおよび/または端末ならびに空中アクセス・ポイントおよび/または
端末に対応する通信システムによって使用することができる。
【0085】
リンク品質推定値は、特定のリンクおよび時間に対して、例えば特定の基準リンクもし
くは受信機に対して、または端末に対して任意の位置にある任意の受信側への何らかの仮
定リンクに対して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、リンク品質推定値は、端
末からの送信リンクに影響を及ぼす恒久的/半恒久的な特徴の測定値である、長期推定値
である。いくつかの実施形態では、推定値は、少数の測定値に基づくか、あるいは長期履
歴データ、またはそれらの組み合わせ、あるいは半恒久的もしくは恒久的な干渉源、建物
、もしくは地形など、時間に伴ってゆっくり変化するかまたは全く変化しない効果の測定
値に基づいていてもよい。いくつかの実施形態では、リンク品質推定値は、長期間(数カ
月、数年、または端末寿命)にわたって決定され使用される。つまり、リンク品質推定値
は、例えば各送信をスケジューリングするときなど、高頻度で使用されてもよいが、リン
ク品質推定値の生成および更新は低頻度であるか、または1回きりであってもよい。例え
ば、リンク品質推定値の生成は、設置時にのみ実施され、その後は更新されなくてもよい
。他の実施形態では、リンク品質推定値は、例えば3、6、もしくは12カ月ごと、また
は位置の変化を検出したとき、または成功率が減少(例えば、パケット損失が増加)した
ときなど、低頻度で生成または更新される。しかしながら、他の実施形態では、リンク品
質推定値は、各送信前、またはオン・デマンドを含む、より高頻度で実施されてもよい。
【0086】
方法は、測定値もしくは履歴データもしくはモデルを使用して、または送信源もしくは
意図される受信側からのフィードバック情報を使用して、端末のみによって実施されても
よく、あるいは分散計算を使用して実施されてもよい。設置などのいくつかの実施形態で
は、推定は、端末とは独立して実施され、端末に提供されてもよい。リンク品質推定値の
更新、または送信パラメータを決定するためのリンク品質推定値もしくは閾値を推定する
のに使用されるパラメータは、端末に送信またはアップロードされてもよい。
【0087】
様々な実施形態は、電池消費を低減し、電池寿命を延長するように構成される。いくつ
かの実施形態では、推定は、例えば電池寿命を保存するのを助けるために、低頻度で実施
される。いくつかの実施形態では、少数の測定値と組み合わせて正確な推定値(または更
新)を得ることができる、履歴データベースおよび/またはモデルなどの格納された情報
が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、方法は、分配されるかまたは複数のシス
テム・エンティティからの情報を使用し、また方法は、例えば空間サマリーを表す際に、
必要なデータ量を最小限に抑えるので、分散システムにおいて情報を転送する際に電力が
無駄にならない。更に、推定値は、受信の確率を最大限にし、再送信の必要性を低減する
、送信パラメータを選択するのに使用することができる。更に、端末は、高品質アップリ
ンクの高い信頼度がある場合、送信出力を低下させることができる可能性がある。
【0088】
当業者であれば、情報および信号は、様々な科学技術および技術のいずれかを使用して
表されてもよいことを理解するであろう。例えば、上述の説明全体を通して参照されるこ
とがあるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップは、電圧、
電流、電磁波、磁界もしくは磁性粒子、光学場もしくは光学粒子、またはそれらの任意の
組み合わせによって表されてもよい。
【0089】
当業者であれば更に、本明細書に開示する実施形態と関連して記載される様々な例証の
論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズム・ステップが、電子ハードウェア
、コンピュータ・ソフトウェアもしくは命令、または両方の組み合わせとして実現されて
もよいことを認識するであろう。ハードウェアおよびソフトウェアのこの交換可能性を明
確に例示するため、様々な例示の構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステッ
プについて、概して、それらの機能性の観点で上記に記載してきた。かかる機能性がハー
ドウェアまたはソフトウェアのどちらとして実現されるかは、システム全体に付与される
特定の用途および設計上の制約に応じて決まる。当業者は、記載する機能性を、特定の用
途それぞれに対して様々な形で実現してもよいが、かかる実現の決定は、本発明の範囲か
らの逸脱を生ずるものと解釈すべきでない。
【0090】
本明細書に開示される実施形態と関連して記載される方法またはアルゴリズムのステッ
プは、ハードウェアの形で、プロセッサによって実行されるソフトウェア・モジュールの
形で、またはそれら2つの組み合わせの形で直接具体化されてもよい。ハードウェア実装
の場合、処理は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッ
サ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PL
D)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コント
ローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、本明細書に記載する機能を実施す
るように設計された他の電子ユニット、またはそれらの組み合わせの中で実現されてもよ
い。
【0091】
いくつかの実施形態では、プロセッサ・モジュール120は、方法のステップのいくつ
かを実施するように構成された、1つまたは複数の中央処理装置(CPU)を備える。同
様に、コンピューティング装置が、端末装置に供給される軌道モデルを生成するのに使用
されてもよく、コンピューティング装置は1つまたは複数のCPUを備えてもよい。CP
Uは、入出力インターフェースと、演算論理装置(ALU)と、入出力インターフェース
を通して入出力デバイスと通信している制御装置およびプログラム・カウンタ要素とを備
えてもよい。入出力インターフェースは、規定の通信プロトコル(例えば、Blueto
oth、Zigbee、IEEE 802.15、IEEE 802.11、TCP/I
P、UDPなど)を使用して、別のデバイスにおける等価の通信モジュールと通信する、
ネットワーク・インターフェースおよび/または通信モジュールを備えてもよい。コンピ
ューティングまたは端末装置は、単一のCPU(コア)または複数のCPU(マルチコア
)、または複数のプロセッサを備えてもよい。コンピューティングまたは端末装置は、パ
ラレル・プロセッサ、ベクトル・プロセッサを使用してもよく、またはクラウド・ベース
のコンピューティング・デバイスおよびリソースを含む、分散コンピューティング・デバ
イスであってもよい。メモリは、プロセッサに動作可能に連結され、RAMおよびROM
コンポーネントを備えてもよく、デバイスもしくはプロセッサ・モジュールの内部または
外部に提供されてもよい。メモリは、オペレーティング・システムおよび追加のソフトウ
ェア・モジュールまたは命令を格納するのに使用されてもよい。プロセッサは、メモリに
格納されたソフトウェア・モジュールまたは命令をロードし実行するように構成されても
よい。
【0092】
ソフトウェア・モジュールは、コンピュータ・プログラム、コンピュータ・コード、ま
たは命令としても知られ、多数のソース・コードもしくはオブジェクト・コード・セグメ
ントまたは命令を含んでもよく、RAMメモリ、フラッシュ・メモリ、ROMメモリ、E
PROMメモリ、レジスタ、ハード・ディスク、リムーバブル・ディスク、CD-ROM
、DVD-ROM、ブルーレイ・ディスク、またはコンピュータ可読媒体の他の任意の形
態など、任意のコンピュータ可読媒体に常駐してもよい。いくつかの態様では、コンピュ
ータ可読媒体は、非一時的なコンピュータ可読媒体(例えば、有形媒体)を含んでもよい
。それに加えて、他の態様の場合、コンピュータ可読媒体は、一時的なコンピュータ可読
媒体(例えば、信号)を含んでもよい。上述のものの組み合わせも、コンピュータ可読媒
体の範囲内に含まれるべきである。別の態様では、コンピュータ可読媒体はプロセッサと
一体であってもよい。プロセッサおよびコンピュータ可読媒体は、ASICまたは関連デ
バイスに常駐してもよい。ソフトウェア・コードはメモリ・ユニットに格納されてもよく
、プロセッサはそれらを実行するように構成されてもよい。メモリ・ユニットは、プロセ
ッサ内またはプロセッサ外に実装されてもよく、プロセッサ外の場合、当該分野で知られ
ているような様々な手段を介してプロセッサに通信可能に連結することができる。
【0093】
更に、本明細書に記載する方法および技術を実施するためのモジュールおよび/または
他の適切な手段を、コンピュータデバイスによってダウンロードおよび/または別の方法
で取得できることが認識されるべきである。例えば、かかるデバイスをサーバに連結して
、本明細書に記載する方法を実施する手段の転送を容易にすることができる。あるいは、
本明細書に記載する様々な方法を、記憶手段(例えば、RAM、ROM、コンパクトディ
スク(CD)もしくはフロッピーディスクなどの物理的記憶媒体など)を介して提供する
ことができ、それにより、コンピューティング・デバイスは、記憶手段をデバイスに連結
または提供する際に、様々な方法を取得することができる。更に、本明細書に記載する方
法および技術を提供するための他の任意の適切な技術を利用することができる。
【0094】
本明細書に開示する方法は、記載される方法を達成するための1つ以上のステップまた
はアクションを含む。方法のステップおよび/またはアクションは、請求の範囲から逸脱
することなく互いに交換されてもよい。換言すれば、ステップまたはアクションの特定の
順序が指定されない限り、特定のステップおよび/またはアクションの順序および/また
は使用は、請求の範囲から逸脱することなく修正されてもよい。
【0095】
本明細書で使用するとき、「推定する」または「決定する」という用語は多種多様なア
クションを包含する。例えば、「推定する」または「決定する」は、計算、演算、処理、
導出、調査、検索(例えば、テーブル、データベース、もしくは別のデータ構造の検索)
、確認などを含んでもよい。また、「推定する」または「決定する」は、受信(例えば、
情報を受信すること)、評価(例えば、メモリ内のデータを評価すること)などを含んで
もよい。また、「決定する」は、解決、選択、選出、確立などを含んでもよい。
【0096】
本開示は、その使用が記載する1つまたは複数の特定の適用例に制限されないことが、
当業者には認識されるであろう。本開示は、本明細書に記載もしくは図示される特定の要
素および/または特徴に関して、その好ましい実施形態に制限されない。本開示は、開示
される1つまたは複数の実施形態に限定されず、以下の請求の範囲によって記述され定義
されるような範囲から逸脱することなく、多数の再配置、修正、および置換が可能である
ことが認識されるであろう。本明細書で使用するとき、一連の項目の「少なくとも1つ」
に関する語句は、単数を含むそれらの項目の任意の組み合わせを指す。一例として、「a
、b、またはcの少なくとも1つ」は、a、b、c、aとb、aとc、bとc、およびa
とbとcを包含するものとする。
【0097】
明細書および以下の請求の範囲全体を通して、文脈によって別様が求められない限り、
「備える」および「含む」という単語、ならびに「備えている」および「含んでいる」な
どの変形例は、提示される整数または整数群を含むが、他のあらゆる整数または整数群を
除外しないことを示唆するものと理解される。
【0098】
本明細書における任意の従来技術の参照は、かかる従来技術が共通の一般的知識の一部
を形成することを何らかの形で提案することの承認ではなく、またそのように解釈される
べきではない。
【0099】
本開示は、その使用が記載する1つまたは複数の特定の適用例に制限されないことが、
当業者には認識されるであろう。本開示は、本明細書に記載もしくは図示される特定の要
素および/または特徴に関して、その好ましい実施形態に制限されない。本開示は、開示
される1つまたは複数の実施形態に限定されず、以下の請求の範囲によって記述され定義
されるような範囲から逸脱することなく、多数の再配置、修正、および置換が可能である
ことが認識されるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末および複数のアクセスノードを備える衛星通信システムにおける端末の設置位置および方向の一方または両方を決定するための方法であって、前記アクセスノードは1つまたは複数の衛星アクセスノードを備え、
前記方法は、
設置場所において、複数の送信側からの複数の送信リンクを監視するステップであって、前記複数の送信側は、設置場所に対して移動する複数の衛星または航空機用の送信機を備え、前記複数の送信側は、衛星通信システム内のアクセスノードまたは別のシステム内の送信機のいずれかである、監視するステップと、
複数の送信リンクの監視から生成された複数のリンク品質推定値を組み合わせることにより、設置場所におけるリンク品質のスカイビューマップ表現を決定するステップであって、前記スカイビューマップは、設置場所を中心とした極座標プロットで構成され、回転と半径はそれぞれ方位座標と仰角座標に対するリンク品質を示し、あるいは、球上の分布または分布の重ね合わせを使用して構築されたスカイビューマップの同等のパラメトリック表現を示す、決定するステップと、
前記衛星通信システムにおける端末の設置場所および向きの一方または両方を決定し、端末を設置するために、前記リンク品質のスカイビューマップ表現を使用するステップと、を含む、方法。
【請求項2】
前記方法は、
前記端末によって、前記スカイビューマップ表現を記憶するステップをさらに含み、
使用中において、前記端末は、端末からアクセスノードへの送信のための1つまたは複数の送信パラメータを決定するために前記スカイビューマップを使用する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の送信リンクの監視および前記スカイビューマップ表現の決定は、設置される端末の外部の装置によって実行され、前記スカイビューマップ表現は端末に提供される、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記リンク品質のスカイビューマップ表現を決定するステップは、
各送信リンクについて1つ以上のリンク品質推定値を決定することと、
前記複数の送信リンクについて1つ以上のリンク品質推定値を組み合わせることと、を含む、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
1つまたは複数のうちの少なくとも1つのリンク品質推定値を決定する前記ステップが、
前記端末によって、前記送信リンク経由で1つの前記送信側から前記端末への送信に対して予期される受信信号強度に基づいて、リンク品質推定値を決定するステップであって、該予期される受信信号強度が、該端末と該送信側とのリンク距離の推定値に基づいた、送信リンク送信側出力、送信側アンテナゲイン、受信側アンテナゲイン、および伝搬損失の推定値を使用して推定される、ステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1つまたは複数のうちの少なくとも1つのリンク品質推定値を決定する前記ステップが、
前記送信側から前記受信側への送信に対して予期される受信信号強度を決定するステップであって、該予期される受信信号強度が、リンク距離の推定値に基づいた、送信側出力、受信側ゲイン、および伝搬損失の推定値を使用して推定される、ステップと、
該受信側で観察される受信信号強度の推定値を取得するステップと、および、
該予期される受信信号強度と該観察される受信信号強度との差に基づいて、リンク品質推定値を推定するステップとを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
1つまたは複数のうちの少なくとも1つのリンク品質推定値を決定する前記ステップが、
前記リンク品質の推定が送信電力またはアンテナ特性の知識を必要としないように、送信側の複数の位置に関して端末と送信側との間の送信リンクの1つまたは複数のパラメータを比較して取得される、空間的相対リンク品質推定値を決定するステップを含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップが、
事前定義された空間領域内の1つまたは複数の送信機からのリンク品質推定値を結合することによって、1つ以上のリンク品質推定値を組み合わせて、事前定義された空間領域の空間集約されたリンク品質推定値を取得するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップが、履歴期間にわたる複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記リンク品質のスカイビューマップ表現を決定するステップは、
前記端末と、フィードバック情報を該端末に提供する、該端末外部の構成要素との間で分散され、
前記フィードバック情報は、前記スカイビューマップ表現を決定するために前記端末によって使用されるパフォーマンスメトリクス、確認応答率、または平均パケット成功のうちの1つまたは複数であり、または、前記フィードバック情報はスカイビューマップ表現である、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
設置場所において前記複数の送信リンクを監視するステップが、
前記設置場所における1つまたは複数の送信側からの受信信号強度の複数の測定を実施するステップと、を含み、
前記リンク品質のスカイビューマップ表現を決定するステップは、
複数の測定値を、複数の測定値に基づいてスカイビューマップ表現を出力するように構成されたモデルに入力として提供するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の送信側は、1つ以上の全地球航法衛星システム(GNSS)衛星を含み、
前記方法はさらに、GNSS衛星からの受信信号強度の測定ごとにGNSS衛星の位置を決定するステップを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の測定は、前記端末によって実行され、
前記スカイビューマップ表現を決定は、前記端末によって実行され、
前記方法は、前記端末によって前記スカイビューマップ表現を記憶するステップをさらに含み、
使用中、前記端末は、前記端末から前記アクセスノードへの送信のための1つまたは複数の送信パラメータを決定するためにスカイビューマップを使用する、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記測定が、設置される前記端末外部の装置によって実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記スカイビューマップ表現の決定は、設置される前記端末外部の装置によって実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記方法は、使用中の前記端末にスカイビューマップ表現を提供することをさらに含み、
前記端末は、前記端末からアクセスノードへの送信のための1つ以上の送信パラメータを決定するためにスカイビューマップを使用する、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記複数の送信機は1つ以上の全地球航法衛星システム(GNSS)衛星を含み、
前記方法はさらに、GNSS衛星からの受信信号強度の測定ごとにGNSS衛星の位置を決定するステップを含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
複数の送信側からの複数の送信リンクを監視するステップが、全地球的航法衛星システム(GNSS)の1つまたは複数の衛星からの1つまたは複数の送信を監視するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
アンテナ、通信ハードウェア、プロセッサ、およびプロセッサを以下のように構成する命令を含むメモリを備える装置であって、
設置場所で、複数の送信側からの複数の送信リンクを監視することと、
ここで、前記複数の送信側は、設置場所に対して移動する複数の衛星送信機または航空機送信機を備え、前記複数の送信側は、複数の端末および複数のアクセスノードを含む通信システムにおけるアクセスノードのいずれかであり、前記アクセスノードは、1つ以上の衛星アクセスノード、または別のシステム内の送信機を備え、
複数の送信リンクの監視から生成された複数のリンク品質推定値を組み合わせることによって、設置場所におけるリンク品質のスカイビューマップ表現を決定することと、
ここで、前記スカイビューマップは、設置場所を中心とした極座標プロットで構成され、回転と半径はそれぞれ方位座標と仰角座標に対するリンク品質を示し、あるいは、球上の分布または分布の重ね合わせを使用して構築されたスカイビューマップの同等のパラメトリック表現を示し、
使用時、前記リンク品質のスカイビューマップ表現は、衛星通信システムにおける端末装置の設置場所および方向の一方または両方を決定するために使用される、
装置。
【請求項20】
前記スカイビューマップ表現を衛星通信システム内の端末装置に提供するステップをさらに含み、
使用中、前記端末は、衛星通信システムにおける端末装置からアクセスノードへの送信のための1つまたは複数の送信パラメータを決定するためにスカイビューマップを使用する、
請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記装置は、端末装置であり、端末装置はスカイビューマップ表現を記憶するようにさらに構成され、
使用中、前記端末装置は、端末装置からアクセスノードへの送信のための1つまたは複数の送信パラメータを決定するためにスカイビューマップを使用する、
請求項19に記載の装置。
【請求項22】
前記リンク品質のスカイビューマップ表現を決定することは、
各伝送リンクについて1つ以上のリンク品質推定値を決定すること、
前記複数の送信リンクに対する1つまたは複数のリンク品質推定値を組み合わせこと、を含む、
請求項19に記載の装置。
【請求項23】
前記装置は端末装置であり、1つまたは複数のリンク品質推定値のうちの少なくとも1つを決定することは、
前記端末装置によって、送信側の1つから送信リンクを介して端末への送信についての予想される受信信号強度に基づいてリンク品質推定値を決定し、
前記該予期される受信信号強度が、該端末と該送信側とのリンク距離の推定値に基づいた、送信リンク送信側出力、送信側アンテナゲイン、受信側アンテナゲイン、および伝搬損失の推定値を使用して推定される、
請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記装置は端末装置であり、前記1つまたは複数のリンク品質推定値のうちの少なくとも1つを決定することは、
前記リンク品質の推定が送信電力またはアンテナ特性の知識を必要としないように、送信側の複数の位置に関して端末と送信側との間の送信リンクの1つまたは複数のパラメータを比較して取得される、空間的相対リンク品質推定値を決定することを含む、
請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記複数のリンク品質推定値を組み合わせることは、
事前定義された空間領域内の1つまたは複数の送信機からのリンク品質推定値を結合することによって、1つ以上のリンク品質推定値を組み合わせて、事前定義された空間領域の空間集約されたリンク品質推定値を取得することをさらに含む、
請求項22に記載の装置。
【請求項26】
複数のリンク品質推定値を結合することは、過去の期間にわたって複数のリンク品質推定値を結合することを含む、
請求項22に記載の装置。
【請求項27】
前記装置は、前記端末装置であり、
前記リンク品質のスカイビューマップ表現を決定するステップは、
前記端末と、フィードバック情報を該端末に提供する、該端末外部の構成要素との間で分散され、
前記フィードバック情報は、前記スカイビューマップ表現を決定するために前記端末によって使用されるパフォーマンスメトリクス、確認応答率、または平均パケット成功のうちの1つまたは複数であり、または、前記フィードバック情報はスカイビューマップ表現である、
請求項22に記載の装置。
【請求項28】
前記設置場所で前記複数の送信リンクを監視することは、
前記装置によって、設置場所の1つまたは複数の送信側からの受信信号強度の複数の測定を実行し、
前記リンク品質のスカイビューマップ表現を決定することは、
複数の測定値を、複数の測定値に基づいてスカイビューマップ表現を出力するように構成されたモデルに入力として提供することを含む、
請求項19に記載の装置。
【請求項29】
前記複数の送信側は、1つまたは複数の全地球航法衛星システム(GNSS)衛星を備え、
前記プロセッサは、GNSS衛星からの受信信号強度の測定ごとにGNSS衛星の位置を決定するようにさらに構成されている、
請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記装置は、さらに、スカイビューマップ表現を前記端末に提供するように構成され、
使用中、前記端末は、端末からアクセスノードへの送信のための1つまたは複数の送信パラメータを決定するためにスカイビューマップを使用する、
請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記複数の送信側からの複数の送信リンクを監視することは、全地球航法衛星システム(GNSS)の1つまたは複数の衛星からの1つまたは複数の送信を監視することを含む、
請求項19に記載の装置。
【請求項32】
前記装置は、端末装置である、請求項19に記載の装置。
【請求項33】
請求項1に記載の方法をプロセッサに実施させる命令を含む、コンピュータ可読媒体。