(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156336
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】自動運転車及び自動運転車用プログラム
(51)【国際特許分類】
B60R 25/01 20130101AFI20231017BHJP
B60R 25/25 20130101ALI20231017BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20231017BHJP
【FI】
B60R25/01
B60R25/25
B60W60/00
【審査請求】有
【請求項の数】48
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119569
(22)【出願日】2023-07-24
(62)【分割の表示】P 2022152077の分割
【原出願日】2014-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2013216324
(32)【優先日】2013-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】514228217
【氏名又は名称】みこらった株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 將洋
(72)【発明者】
【氏名】佐古 曜一郎
(57)【要約】
【課題】犯人逮捕や犯人検挙にも威力を発揮する自動運転車を提供する。
【解決手段】自車が盗難の状態であることを検知する盗難検知手段、及び/または自車が盗難の状態であることの通知を受信する受信手段と、盗難検知手段で盗難の状態であることを検知した場合、または受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信した場合に、自車のドア及び/または窓を開閉不能にロックするロック手段と、自車の外部を撮影する外部撮像部と、外部撮像部で撮影した警察手帳を画像認識する画像認識手段と、画像認識手段で警察手帳を画像認識して確認した場合に、ロック手段で開閉不能にされたドア及び/または窓の開閉のロック状態を解除する解除手段と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車が盗難の状態であることを検知する盗難検知手段、及び/または自車が盗難の状態であることの通知を受信する受信手段と、
前記盗難検知手段で前記盗難の状態であることを検知した場合、または前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信した場合に、自車のドア及び/または窓を開閉不能にロックするロック手段と、
自車の外部を撮影する外部撮像部と、
前記外部撮像部で撮影した警察手帳を画像認識する画像認識手段と、
前記画像認識手段で前記警察手帳を画像認識して確認した場合に、前記ロック手段で開閉不能にされたドア及び/または窓の開閉のロック状態を解除する解除手段と、
を備えることを特徴とする自動運転車。
【請求項2】
自動運転モードを備え、
前記盗難検知手段で前記盗難の状態であることを検知した場合、または前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信した場合における前記自動運転モードでの盗難時行先を警察機関として決定する盗難時行先決定手段と、
指定された目的地まで前記自動運転モードにより移動するのを補助するように案内する機能を備えるカーナビゲーション手段と、
を備え、
前記盗難時行先決定手段で決定された前記盗難時行先として指定された警察機関へ、前記カーナビゲーション手段を用いて前記自動運転モードにより移動する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動運転車。
【請求項3】
自車の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
前記現在位置検出手段で検出された現在位置の周辺を検索する検索手段を備え、
前記盗難時行先決定手段は、前記検索手段により検索された最寄りの警察機関を前記盗難時行先として決定する
ことを特徴とする請求項2に記載の自動運転車。
【請求項4】
決定した前記盗難時行先の連絡先情報が取得可能である場合に、前記盗難時行先の前記連絡先情報を用いて、前記盗難時行先に、自車が盗難の状態であることと、自車を認識するための情報とを、無線通信手段を通じて通知する通知手段を備える
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の自動運転車。
【請求項5】
前記盗難時行先への到着予定時刻についての時間情報を算出する機能を備え、
前記通知手段により前記盗難時行先に通知する情報には、前記盗難時行先への到着予定時刻についての時間情報を含む
ことを特徴とする請求項4に記載の自動運転車。
【請求項6】
前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信した場合に、前記受信手段は盗難時の行先の情報をも受信し、
前記盗難時行先決定手段は、前記受信した前記盗難時の行先を前記盗難時行先として決定する
ことを特徴とする請求項2~請求項5のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項7】
前記盗難検知手段で前記盗難の状態であることを検知した場合、または前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信した場合には、前記カ―ナビゲーション手段における前記目的地の指定又は変更の入力操作は無効とするが、前記目的地の指定又は変更の入力操作を受け付けたように振る舞うように前記カ―ナビゲーション手段を制御する手段を備える
ことを特徴とする請求項2~請求項6のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項8】
前記盗難時行先の警察機関で、警察官を確認する確認手段を備え、
前記警察機関に到着した場合に前記確認手段で警察官を確認することができなかった場合には、最寄りの別の警察機関を探すようにする
ことを特徴とする請求項2~請求項7のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項9】
前記盗難時行先の警察機関で、警察官を確認する確認手段を備え、
前記警察機関に到着した場合に前記確認手段で警察官を確認することができなかった場合には、移動せずに待機するようにする
ことを特徴とする請求項2~請求項8のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項10】
前記盗難検知手段で前記盗難の状態であることを検知した場合、または前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信した場合に、110番通報し、自車を移動させずに待機する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動運転車。
【請求項11】
前記盗難検知手段で前記盗難の状態であることを検知した場合、または前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信した場合に、移動先に警察官に来てもらうように110番通報する
ことを特徴とする請求項1に記載の自動運転車。
【請求項12】
自車の乗車者を撮影する乗車者撮像部を備え、
前記盗難検知手段で前記盗難の状態であることを検知した場合、または前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信した場合において、盗人被疑者が自車から逃亡した場合に、前記乗車者撮像部で撮影した前記盗人被疑者の画像情報を警察機関に送るようにする
ことを特徴とする請求項1~請求項11のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項13】
位置情報取得手段を備え、
前記盗人被疑者が逃亡した位置情報を、警察機関に送るようにする
ことを特徴とする請求項1~請求項12のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項14】
手動運転モードと自動運転モードとを備え、
前記盗難検知手段で前記盗難の状態であることを検知した場合、または前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信した場合に、自車が前記手動運転モードであった場合は、前記自動運転モードに切り替える
ことを特徴とする請求項1~請求項13のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項15】
前記手動運転モードから前記自動運転モードに切り替えた場合には、前記手動運転モードへの切替を無効または不可能にする
ことを特徴とする請求項14に記載の自動運転車。
【請求項16】
手動運転モードと自動運転モードとを備え、
前記盗難検知手段で前記盗難の状態であることを検知した場合、または前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信した場合に、自車が前記自動運転モードであった場合は、前記手動運転モードへの切替を無効または不可能にする
ことを特徴とする請求項1~請求項15のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項17】
前記盗難検知手段は、生体情報取得部を備え、
予め登録されている人物の生体情報と、前記生体情報取得部により新たに取得した生体情報との比較結果に基づいて、自車が盗難の状態であることを検知する
ことを特徴とする請求項1~請求項16のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項18】
前記生体情報取得部が撮像部であり、
前記盗難検知手段は、予め登録されている人物の顔画像と、前記撮像部により新たに撮像した人物の顔画像との比較結果に基づいて、自車が盗難の状態であることを検知する
ことを特徴とする請求項17に記載の自動運転車。
【請求項19】
前記撮像部により新たに撮像した人物が目出し帽を着用していた場合に、目出し帽を脱ぐように促す
ことを特徴とする請求項18に記載の自動運転車。
【請求項20】
前記予め登録されている人物の生体情報は、インターネット上の所定のサイトから取得した指名手配犯を含む犯人または被疑者の生体情報であり、前記犯人または被疑者の生体情報と、前記生体情報取得部により新たに取得した生体情報との比較結果に基づいて、自車が盗難の状態であることを検知する
ことを特徴とする請求項17~請求項19のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項21】
自車の乗車者を撮影する乗車者撮像部を備え、
前記盗難検知手段は、前記乗車者撮像部により撮像した乗車者が目出し帽を着用していた場合に、自車が盗難の状態であることを検知する
ことを特徴とする請求項1~請求項16のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項22】
前記盗難検知手段は、道路に設置されている監視カメラシステムからの通知に基づいて自車に盗難が発生したことを検知することを含み、
前記監視カメラシステムは、監視カメラで撮影した車両の運転者の顔画像と指名手配犯を含む犯人または被疑者の顔画像との比較結果に基づいて、前記監視カメラで撮影した前記車両に盗難の状態であることの通知を送出する
ことを特徴とする請求項1~請求項21のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項23】
前記盗難検知手段は、氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、携帯電話端末の電話番号や電子メールアドレスなどのID情報の照合を含む
ことを特徴とする請求項1~請求項22のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項24】
前記盗難検知手段は、自車が駆動されることなく、自車位置が移動されたことを検知することで、自車が盗難の状態であることを検知することを含む
ことを特徴とする請求項1~請求項23のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項25】
前記自車が盗難の状態であることには、車上荒しも含む
ことを特徴とする請求項1~請求項24のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項26】
前記盗難検知手段は、インターネットを通じて接続されるクラウド上に設けられている ことを特徴とする請求項1~請求項25のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項27】
自車に異常が発生したか否かを検知する異常検知手段と、
前記異常検知手段で自車に異常が発生したことを検知したときに、そのときの現状の情報を含む異常の通報を、登録されている相手先に送信する送信手段と、
を備え、
前記受信手段は、前記異常の通報を送信した前記登録されている相手先からの自車が盗難の状態であることの前記通知を受信する
ことを特徴とする請求項1~請求項26のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項28】
前記異常の通報に含まれる現状の情報は、乗車者の画像情報、自車の周囲の画像情報及び/または自車の現在の位置情報を含む
ことを特徴とする請求項27に記載の自動運転車。
【請求項29】
前記相手先は、自車の所有者、自車の管理者、または自車の管理会社である
ことを特徴とする請求項27または請求項28に記載の自動運転車。
【請求項30】
前記異常検知手段は、生体情報取得部を備え、
予め登録されている人物の生体情報と、前記生体情報取得部により新たに取得した生体情報との比較結果に基づいて、自車に異常が発生したことを検知する
ことを特徴とする請求項27~請求項29のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項31】
前記生体情報取得部が撮像部であり、
前記異常検知手段は、予め登録されている人物の顔画像と、前記撮像部により新たに撮像した人物の顔画像との比較結果に基づいて、自車に異常が発生したことを検知する
ことを特徴とする請求項30に記載の自動運転車。
【請求項32】
前記予め登録されている人物の生体情報は、インターネット上の所定のサイトから取得した指名手配犯を含む犯人または被疑者の生体情報であり、前記犯人または被疑者の生体情報と、前記生体情報取得部により新たに取得した生体情報との比較結果に基づいて、自車に異常が発生したことを検知する
ことを特徴とする請求項30または請求項31に記載の自動運転車。
【請求項33】
前記異常検知手段は、氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、携帯電話端末の電話番号や電子メールアドレスなどのID情報の照合を含む
ことを特徴とする請求項27~請求項32のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項34】
前記異常検知手段は、道路に設置されている監視カメラシステムからの通知に基づいて自車に異常が発生したことを検知することを含み、
前記監視カメラシステムは、監視カメラで撮影した車両の運転者の顔画像と指名手配犯を含む犯人または被疑者の顔画像との比較結果に基づいて、前記自車に異常が発生したことの通知を送出する
ことを特徴とする請求項27~請求項33のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項35】
前記異常検知手段は、自車が駆動されることなく、自車位置が移動されたことを検知することで、自車に異常が発生したことを検知することを含む
ことを特徴とする請求項27~請求項34いずれかに記載の自動運転車。
【請求項36】
前記自車に異常が発生したことには、車上荒しも含む
ことを特徴とする請求項27~請求項35のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項37】
前記異常検知手段は、インターネットを通じて接続されるクラウド上に設けられている ことを特徴とする請求項27~請求項36のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項38】
自車の状態を文字・画像及び/または音声で報知する報知手段を備え、
前記報知手段は、前記盗難検知手段で前記盗難の状態であることを検知したことに基づいて、または前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信したことに基づいて、自車が盗難の状態であること、指名手配犯を含む犯人または被疑者が乗車中であること及び/または緊急通報用連絡先に通報してほしい旨を報知する
ことを特徴とする請求項1~請求項37のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項39】
前記盗難時行先の決定は、前記自動運転車のバッテリー、ガソリン及び/または燃料の残量に基づいて行われる
ことを特徴とする請求項1~請求項38のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項40】
緊急通報用連絡先に通報を行う通報手段を備え、
前記盗難検知手段で前記盗難の状態であることを検知したことに基づいて、または前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信したことに基づいて、前記通報手段により前記緊急通報用連絡先に通報を行うように制御する
ことを特徴とする請求項1~請求項39のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項41】
警察車両の自車への音声の呼びかけを検知する呼びかけ検知手段と、
音声を認識する音声認識手段と、
を備え、
前記音声の呼びかけを検知したときには、前記音声を音声認識し、前記音声認識結果に基づいて、自車の行動を決定する
ことを特徴とする請求項1~請求項40のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項42】
利用者の顔画像を含む認証用情報を認証用情報記憶部に記憶する認証用情報記憶手段と、
前記認証用情報記憶部に記憶されている前記利用者の前記認証用情報を用いて、乗車者の認証を行う認証手段と、
を備え、
前記認証手段で認証ができなかった前記乗車者の顔画像は、盗人被疑者として、前記認証用情報記憶部の、前記認証用情報とは区別したエリアに記憶する
ことを特徴とする請求項1~請求項41のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項43】
一時的利用が可能な自動運転車であって、
前記一時的利用が可能な自動運転車は、レンタカー会社から提供されるレンタカーである
ことを特徴とする請求項1~請求項42のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項44】
前記盗難検知手段で自車が盗難の状態であることを検知したときに、盗難状態を前記一時的利用の利用者及び/または前記レンタカー会社に通知する
ことを特徴とする請求項43に記載の自動運転車。
【請求項45】
前記一時的利用の利用者の認証用情報を認証用情報記憶部に記憶する一時的利用者登録受付手段と、
前記認証用情報記憶部に記憶されている前記一時的利用の利用者の前記認証用情報を用いて利用者の認証を行う認証手段と、
を備え、
前記認証手段で認証ができなかった前記利用者を、前記盗人被疑者として検出する
ことを特徴とする請求項43または請求項44に記載の自動運転車。
【請求項46】
前記一時的利用が終了したときには、前記一時的利用を終了した利用者の前記認証用情報は、前記認証用情報記憶部から削除する
ことを特徴とする請求項45に記載の自動運転車。
【請求項47】
一時的利用が可能な自動運転車であって、
前記一時的利用が可能な自動運転車は、カーシェアリング会社から提供される自動運転車である
ことを特徴とする請求項1~請求項46のいずれかに記載の自動運転車。
【請求項48】
自車の外部を撮影する外部撮像部を備える自動運転車が備えるコンピュータを、
自車が盗難の状態であることを検知する盗難検知手段、及び/または自車が盗難の状態であることの通知を受信する受信手段、
前記盗難検知手段で前記盗難の状態であることを検知した場合、または前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信した場合に、自車のドア及び/または窓を開閉不能にロックするロック手段、
前記外部撮像部で撮影した警察手帳を画像認識する画像認識手段、
前記画像認識手段で前記警察手帳を画像認識して確認した場合に、前記ロック手段で開閉不能にされたドア及び/または窓の開閉のロック状態を解除する解除手段、
として機能させるための自動運転車用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動運転車及び自動運転車用プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車両の盗難を防止することができるようにする盗難防止システムや盗難防止装置が、種々提案されている。例えば特許文献1(特開2013-147202号公報)や、特許文献2(特開2013-126197号公報)には、パスコードなどを用いて認証を行えない場合には、自動車の運転を不可にすることにより、自動車の車両の盗難を防止するようにすることが開示されている。また、特許文献3(特開2002-225677号公報)や、特許文献4(特開2011-116145号公報)には、運転席に犯人が乗り込めないようにすることで、自動車の車両の盗難を防止するようにすることが開示されている。
【0003】
また、車両の盗難に対して、その犯人を特定するための一助とするために、犯人を撮像した画像や、犯人の声を記録しておくようにする発明も、例えば特許文献5(特開2001-322533号公報)や、特許文献6(特開2000-305136号公報)などに提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-147202号公報
【特許文献2】特開2013-126197号公報
【特許文献3】特開2002-225677号公報
【特許文献4】特開2011-116145号公報
【特許文献5】特開2001-322533号公報
【特許文献6】特開2000-305136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の盗難防止装置及び盗難防止システムは、自動車が走行できないように制御したり、自動車へ盗人(窃盗犯)が乗り込めないようにしたりすることで、自動車の車両の盗難を防止するようにしており、盗難の未然の防止に力点が置かれたものとなっている。しかし、自動車の盗人によりパスワードが知られてしまったり、走行をできないようにする機構を解除あるいは破壊されたりしてしまった場合には、自動車の盗難は避けることができない。
【0006】
また、特許文献5及び特許文献6の発明は、犯人の撮像画像や犯人の声により、犯人の解明や、捕まった犯人が車両の盗人であることの証拠とすることはできても、直接的に犯人を逮捕や検挙することができるのに役立つような技術ではない。従来、犯人の逮捕や検挙を意図するような自動車の車両の盗難防止システムや盗難防止装置の提案は存在しない。
【0007】
以上のように、従来は、自動車の盗難に対して、犯人逮捕や犯人検挙も含めて、有効な方策は存在していない。
【0008】
ところで、最近は、運転者(ドライバー)がアクセル操作やブレーキ操作及びステアリング操作(ハンドル操作)をしなくても、障害物を回避しながら、自動走行可能な自動運転車が登場している。この自動運転車についても、有効な盗難防止対策が必要であるが、従来は、上述したように、有効な盗難防止対策は存在していない。
【0009】
この発明は、自動運転という特質を生かすことで、自動車の車両の盗難を防止すると共に、犯人逮捕や犯人検挙にも威力を発揮する自動運転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、
自車が盗難の状態であることを検知する盗難検知手段、及び/または自車が盗難の状態であることの通知を受信する受信手段と、
前記盗難検知手段で前記盗難の状態であることを検知した場合、または前記受信手段で前記盗難の状態であることの通知を受信した場合に、自車のドア及び/または窓を開閉不能にロックするロック手段と、
自車の外部を撮影する外部撮像部と、
前記外部撮像部で撮影した警察手帳を画像認識する画像認識手段と、
前記画像認識手段で前記警察手帳を画像認識して確認した場合に、前記ロック手段で開閉不能にされたドア及び/または窓の開閉のロック状態を解除する解除手段と、
を備えることを特徴とする自動運転車を提供する。
【0011】
上述の構成の請求項1の発明の自動運転車によれば、盗難検知手段で盗難の状態であることを検知した場合、または受信手段で盗難の状態であることの通知を受信した場合に、自車のドア及び/または窓を開閉不能にロックする。そして、画像認識手段で警察手帳を画像認識して確認した場合に、ロック手段で開閉不能にされたドア及び/または窓の開閉のロック状態を解除する。
【0012】
したがって、この発明による自動運転車は、盗難の状態においては、盗人被疑者を車内に閉じ込めたまま移動し、警察署などの盗難時行先に向かうようにすることができる。そして、ロック手段で開閉不能にされたドア及び/または窓の開閉のロック状態は、警察官により提示された警察手帳を確認したときに解除されるので、盗人被疑者を警察官が逮捕することが可能となり、犯人逮捕や犯人検挙にも威力を発揮する。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、自動運転という特質を生かすことで、犯人逮捕や犯人検挙にも威力を発揮する自動運転車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明による自動運転車の実施形態のハードウエア構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1のハードウエア構成例の一部を説明するために用いる図である。
【
図3】この発明による自動運転車の実施形態の処理動作の流れの一例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図4】この発明による自動運転車の実施形態の処理動作の流れの一例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図5】この発明による自動運転車の実施形態の処理動作の流れの一例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図6】この発明による自動運転車の実施形態の処理動作の流れの一例を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【
図7】この発明による自動運転車の盗難防止システムの実施形態のイメージ図である。
【
図8】この発明による自動運転車の盗難防止システムの実施形態の概要の構成例を示す図である。
【
図9】この発明による自動運転車の盗難防止システムにおける処理動作の一例を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施形態]
この発明の第1の実施形態は、自動運転車のみで、盗難防止処理制御を行うようにする場合である。
図1は、この第1の実施形態の自動運転車1の電子制御回路部10のハードウエア構成例を示すブロック図である。なお、この実施形態の自動運転車1は、電気自動車の場合の例である。ただし、バッテリーは、
図1では図示を省略した。
【0016】
また、この実施形態の自動運転車1は、自動運転モードと、手動運転モードとを備えている。手動運転モードは、自動運転車ではない通常の自動車と同様に、運転者のアクセル操作、ブレーキ操作、シフトレバー操作及びステアリング操作(ハンドル操作)に応じた走行ができるモードである。また、自動運転モードは、運転者がアクセル操作、ブレーキ操作、シフトレバー操作及びステアリング操作をしなくても、自動運転車1自身が自動的に障害物を回避しながら進路変更をする走行モードである。
【0017】
通常時は、自動運転車の運転者は、例えばタッチパネルを通じた所定の操作により、手動運転モードで走行中の自動運転車を、自動運転モードに切り替えることができると共に、自動運転モードで走行中に、運転者がアクセル操作、ブレーキ操作、シフトレバー操作、またはステアリング操作をすると、自動的に手動運転モードに戻るように構成されている。ただし、この実施形態の自動運転車1は、後述するように、自車の盗難状態を検知すると、自動運転モードでの走行しかできないように制御されるように構成されている。
【0018】
図1に示すように、電子制御回路部10は、マイクロコンピュータを搭載して構成されている制御部101に対して、システムバス100を通じて、無線通信処理部102、レーダー103、各種センサ群104、カメラ群105、GPS(Global Positioning System)受信部106、現在地確認部107、周囲移動体把握部108、音声出力部109、モータ駆動制御部110、ステアリング駆動制御部111、タッチパネル付表示部112、カーナビゲーション(以下、カーナビと略称する)機能部113、ドアロック制御部114、乗車者認証部115、盗難検知処理部116、手動/自動運転モード切替制御部117、のそれぞれが接続されている。
【0019】
そして、音声出力部109には、スピーカ121が接続されている。モータ駆動制御部110には、モータ駆動部122が接続されている。ステアリング駆動制御部111には、ステアリング駆動部123が接続されている。
【0020】
また、カーナビ機能部113には、カーナビ用データベース124が接続されている。ドアロック制御部114には、ドアロック駆動機構部125が接続されている。乗車者認証部115には、乗車者認証用情報メモリ126が接続されている。盗難検知処理部116には、盗難時行先メモリ127が接続されている。手動/自動運転モード切替制御部117には、手動運転操作検知部128が接続されている。
【0021】
無線通信処理部102は、この例では、この第1の実施形態の自動運転車1が、盗難時の移動先である警察機関(国によって異なる警察組織、警備組織、保安組織がある。例えば、日本では、警察署、交番、駐在所、米国では州警察、郡警察、市・町・村警察、郡保安局や保安官事務所などがある。以下、総称して警察署等という)、または、その他の所定の場所に連絡するための機能部である。この実施形態では、移動先への連絡のために携帯電話網を利用する場合を想定して、自動運転車1の所有者は、自車を携帯電話端末と見なして携帯電話会社と契約を行い、携帯電話の加入者電話番号が自動運転車1には割り付けられており、無線通信処理部102は、その加入者電話番号を発信側電話番号として通信を行う。
【0022】
また、無線通信処理部102は、当該自動運転車と無線通信可能とする携帯電話端末の加入者電話番号(携帯電話番号)が登録されている電話番号メモリを備えている。そして、無線通信処理部102は、制御部101と協働することにより、その記憶されている携帯電話番号の携帯電話端末に自動発信して、後述のような所定の処理を実行する機能を備えている。
【0023】
レーダー103は、自動運転車の車両の周囲に存在する車両や歩行者、障害物などとの距離を測るためのもので、レーザー・レーダーやミリ波レーダーなどからなる。レーザー・レーダーは、例えば天井やバンパー付近に埋め込まれ、ミリ波レーダーは、例えば車両の前部及び後部に設けられている。レーザー・レーダーとミリ波レーダーの両方を備えてもよいし、一方のみであってもよい。また、準ミリ波レーダーなど、その他のレーダーを用いてもよい。
【0024】
各種センサ群104は、ドアの開閉や窓の開閉を検知する開閉検知センサ、シートベルト着用を検出するためのセンサ、運転席や助手席などの座席に乗車者が着座したことを検知する着座センサなどの他、自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサからなる。自動運転のための補助となる情報を取得するための各種センサとしては、例えば車両やタイヤの振動を検出するための振動センサ、タイヤの回転数を検出する回転数センサ、方位を検出するための地磁気センサ、加速度を検出するための加速度センサ、角度や角速度を検出するためのジャイロセンサ(ジャイロスコープ)、などが含まれる。なお、各種センサ群104には、自車内の乗車者の音声や、自動運転車の周囲の音を収音する音センサ(マイクロフォン)も含まれる。
【0025】
カメラ群105は、自動運転車1の車内を撮影する1~複数個のカメラと、自動運転車1の周囲を撮影する1~複数個のカメラとを含む。車内を撮影するカメラは、例えば運転席と助手席の間に設置されたバックミラー(後写鏡、ルームミラー)に取り付けられて、運転席に座った人物の顔画像を撮影するカメラの他、助手席や、後部座席に座った乗車者の顔画像を撮影するためのカメラを含む。また、自動運転車1の周囲を撮影するカメラは、例えばバックミラーの左側方及び右側方に取り付けられて、自動運転車1の左前方及び右前方を主として撮影する2台のカメラ(ステレオカメラ)の他、自動運転車1の例えばドアミラーまたはフェンダーミラーに取り付けられて左右の側方や後方を撮影するカメラ、後部のナンバープレートやテールランプの周辺に取り付けられて、自動運転車1の後方を撮影するカメラ、さらにルーフに取り付けられ広角で周囲を撮影する全方位カメラ(360度カメラ)や魚眼カメラ、などを含む。
【0026】
GPS受信部106は、GPS衛星からの電波を受信して、自車の現在位置を検出し、その検出した現在位置の情報を現在地確認部107に供給する。
【0027】
現在地確認部107は、GPS衛星からの電波により検出された位置の精度は悪いので、GPS受信部106で検出された現在位置の情報のみではなく、各種センサ群104に含まれる1~複数個のセンサ及びレーダー103、カメラ群105の撮像画像などをも用いると共に、例えばベイズ理論に基づいた処理を行うことで、より精度の高い現在位置を検出確認するようにしている。
【0028】
周囲移動体把握部108は、レーダー103や、カメラ群105の撮像画像を用いて、自車の周囲の移動体を把握するようにする。周囲移動体把握部108も、ベイズ理論などに基づいた処理を行うことで、周囲の障害物や移動体を把握するようにする。
【0029】
自動運転車1は、現在地確認部107や周囲移動体把握部108において、レーダー103、各種センサ群104、カメラ群105、GPS受信部106で取得した各種情報、つまり、人間の目や耳から得る情報に対応する情報をベイズ理論などにより処理し、これに基づき、制御部101は、自車の進路変更や障害物の回避など知的な情報処理(人工知能)及び制御(人工知能)を行う。
【0030】
音声出力部109は、図示は省略するが、外部に放音する音声メッセージデータを記憶するメモリを内蔵すると共に、そのメモリから読み出された音声メッセージデータを、アナログ音声信号に変換する音声合成器やD-A変換器を内蔵している。そして、音声出力部109は、制御部101の制御により選択された音声メッセージを、スピーカ121に供給して、音声として外部に放音するようにする。なお、記憶する音声メッセージとしては、後述するように、盗人被疑者(盗人容疑者、盗難犯人)を、乗車させている場合には、「盗難犯人移送中」、「盗難犯人乗車中」あるいは「110番通報してください」などが用意されている。
【0031】
モータ駆動制御部110は、制御部101の制御の下に、この実施形態の電気自動車で構成される自動運転車1のモータ駆動部122への駆動信号の供給を制御して、自動運転車1の走行開始、走行速度加速・減速、走行停止などを制御するようにする。
【0032】
ステアリング駆動制御部111は、制御部101の制御の下に、この実施形態の自動運転車1のステアリング駆動部123への駆動制御信号の供給を制御して、自動運転車1の進路変更の制御をするようにする。
【0033】
タッチパネル付表示部112は、例えばLCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)からなる表示パネルの上に、指によるタッチ入力が可能なタッチパネルが重畳されて配設されたものである。LCDの表示画面には、制御部101の制御に基づき、ソフトウエアボタン(キーボードの文字入力用ボタンを含む)を含む表示画像が表示される。そして、タッチパネル付表示部112のタッチパネルは、表示画面に表示されているソフトウエアボタン上の指によるタッチを検出すると、そのタッチを制御部101に伝達する。これを受けた制御部101は、ソフトウエアボタンに対応する制御処理を実行するように構成されている。
【0034】
カーナビ機能部113は、カーナビ用データベース124に記憶されている地図や、経路案内データに基づいて、自動運転車1が指定された目的地まで移動するのを補助するように案内するための機能部である。この実施形態では、カーナビ機能部113は、手動運転モードと、自動運転モードとで、若干異なる処理をするように構成されている。
【0035】
すなわち、手動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、タッチパネル付表示部112の表示画面上に、目的地までのルートを明示的に表示する地図上に、現在地確認部107で確認されている自車位置を重畳表示した画像を表示すると共に、自車の移動に伴い、地図上の自車位置(現在位置)を移動させ、かつ、ルート上の交差点や分岐点など、経路案内が必要な箇所で音声案内をするようにする。
【0036】
一方、自動運転モードにおいては、カーナビ機能部113は、自車の現在位置が目的地までのルート上から離れているときには、その離間方向及び距離の情報を制御部101に通知すると共に、自車の現在位置が目的地までのルート上に在るときには、自車の移動に伴い、ルート上の交差点や分岐点などの手前で、ルートに沿った進路方向の変更指示情報を制御部101に通知するようにする。制御部101は、このカーナビ機能部113からの通知された情報と、現在地確認部107の確認結果及び周囲移動体把握部108の把握結果とに基づいて、自車がルート上を指示された通りの進路をとって移動するように、モータ駆動制御部110を通じてモータ駆動部122を制御すると共に、ステアリング駆動制御部111を通じてステアリング駆動部123を制御する。したがって、自動運転モードにおけるカーナビ機能部113及び制御部101による目的地までの経路案内により、乗車者が無人の状態においても、自動運転車1は、目的地まで移動することができる。
【0037】
なお、この実施形態では、カーナビ機能部113は、現在地周辺における指定されたキーワードに対応する施設や設備を検索する機能(周辺検索機能)を備えている。この周辺検索用のデータも、カーナビ用データベース124に記憶されている。なお、周辺検索用のデータは、このカーナビ用データベース124に記憶しておくのではなく、カーナビ機能部113が、キーワード及び現在位置情報を含む周辺検索要求を、無線通信処理部102を通じて、インターネット上の検索サイトに送り、当該検索サイトから、現在位置を中心とした周辺検索結果を取得するようにしてもよい。
【0038】
ドアロック制御部114は、これに接続されているドアロック駆動機構部125を制御して、自動運転車1の乗車者用の全てのドアの開閉のロック状態を制御する。すなわち、ドアロック制御部114は、自動運転車1が移動中であるときには、ドアロック駆動機構部125により、ドアが開かないようにドア閉ロック状態とされる。そして、盗難状態ではない通常状態では、ドアロック制御部114は、自動運転車1が停車中において、所定のボタン操作や、無線キーなどからドアのロック解除操作入力を受けると、ドア閉ロック状態を解除して、ドア開閉操作部(図示せず)によるドアの開閉を可能とする。
【0039】
そして、この実施形態では、後述するように、ドアロック制御部114は、自車の盗難の状態を検知したときには、制御部101からの制御指示を受けて、ドアロック駆動機構部125を制御し、停車中であっても自動的にドア閉ロック状態にして、自車のドアを開閉不能にロックし、かつ、所定のボタン操作や、無線キーなどのドアのロック解除操作入力を受けても、そのドア閉ロック状態を解除しないように構成されている。この盗難状態におけるドア閉ロック状態は、例えば、後述するように、警察官が提示する警察手帳をカメラで撮像して確認したり、無線通信処理部102を通じて、自動運転車1の所有者の携帯電話端末を通じて所定のパスワードを含むロック解除指示を受信したりしたときなど、予め定められた特殊な条件をクリアしたときにのみ解除されるように構成されている。
【0040】
なお、図示は省略するが、窓ロック制御部と窓ロック駆動機構部が更に設けられて、制御部101の制御により、ドアと同様にして、窓のロックとロック解除が制御される。すなわち、自車の盗難状態を検知したときには、制御部101は、窓閉ロック状態にして、自車の窓を開閉不能にロックする。
【0041】
乗車者認証部115は、この実施形態の自動運転車1の運転を許可する乗車者の認証処理を行う。この実施形態の自動運転車1においては、運転できる乗車者の認証用情報として、乗車者の生体情報である顔画像を用いる。すなわち、自動運転車1の運転を許可する乗車者の顔画像は、予め登録して、乗車者認証用情報メモリ126に格納するようにしている。この場合に、自動運転車1の所有者により定められた認証用情報、例えばIDやパスワードが、タッチパネル付表示部112のタッチパネルを通じて入力されたことを確認できたときにのみ、自動運転車1の運転を許可する乗車者の顔画像の登録を許可するようにする。したがって、乗車者認証用情報メモリ126には、自動運転車1の所有者の顔画像が記憶されると共に、自動運転車1の所有者が運転を許可した乗車者の顔画像が記憶される。
【0042】
なお、自動運転車1の所有者が運転を許可する乗車者は、所有者本人を含めて、1人であっても、複数人であってもよい。また、運転を許可された乗車者1人に対して、予め登録する顔画像は1つでも複数でもよい。複数の場合は、例えば、異なる表情、異なる顔の角度、異なる日時などの顔画像を登録することができる。また、眼鏡やサングラス、あるいは帽子などを着用することがある場合は、着用・未着用両方の顔画像を登録することが好ましい。顔画像を複数登録することにより、所有者本人が誤って認証されない確率(認証漏れ確率)を減らすことができる。一方、1つのみの登録の場合は、特定の表情(例えば笑顔)や特定の角度(例えば真正面)の顔画像を登録してもよい。これにより、所有者以外の人を所有者と誤って認証する確率(誤認証確率)を減らすことができる。もちろん、特定の表情や特定の角度の顔画像を複数登録しておき、認証漏れ確率、誤認証確率双方を減らすこともできる。この実施形態では、複数の顔画像が予め登録され、記憶されている。
【0043】
なお、乗車者認証用情報メモリ126には、自動運転車1の所有者により登録されたIDやパスワードも記憶されている。
【0044】
乗車者認証部115は、自動運転車1に乗車した乗車者の顔画像をカメラ群105から取得して、乗車者認証用情報メモリ126に記憶されている顔画像と比較参照し、乗車者の顔画像が、乗車者認証用情報メモリ126に記憶されている顔画像のいずれかと一致したと判別したときには、自動運転車1の乗車者による運転を許可する。
【0045】
そして、乗車者認証部115は、乗車者の顔画像が、乗車者認証用情報メモリ126に記憶されている顔画像のいずれとも一致しなかった時には、自動運転車1の所有者のID及びパスワードの入力を待ち、当該ID及びパスワードの入力を確認したら、新たに自動運転車1の運転を許可する乗車者の登録であると判断し、その乗車者の顔画像を乗車者認証用情報メモリ126に追加記憶する。すなわち、この実施形態では、新たに自動運転車1の運転を許可する乗車者の登録には、自動運転車1の所有者が設定し、乗車者認証用情報メモリ126に登録してある認証用情報(この例ではID及びパスワード)の入力が必要であり、この認証用情報の確認が得られないときには、新たに自動運転車1の運転を許可する乗車者の登録は不可とされている。
【0046】
そして、乗車者認証部115は、乗車者の顔画像が、乗車者認証用情報メモリ126に記憶されている顔画像のいずれとも一致せず、かつ、自動運転車1の所有者の認証用情報の例であるID及びパスワードの入力がなかったときには、認証ができなかった旨の認証結果を盗難検知処理部116に通知するようにする。
【0047】
また、乗車者認証部115は、この実施形態では、当該認証ができなかった乗車者の顔画像は、盗人被疑者として、乗車者認証用情報メモリ126の、認証用情報とは区別したエリアに記憶するようにする。この盗人被疑者の顔画像は、もしも、当該被疑者が盗人である場合の犯人確認資料として読み出して役立てることができる。
【0048】
盗難検知処理部116は、乗車者認証部115からの乗車者の認証ができなかった旨の認証結果を受けた時には、自車が盗難状態であると検知し、制御部101に通知する。
【0049】
制御部101は、この自車が盗難状態である旨の通知を検知すると、ドアロック制御部114を通じて、ドアロック駆動機構部125を制御し、ドア閉ロック状態にする。このドア閉ロック状態により、盗人被疑者は、自動運転車1内に閉じ込められる。なお、盗人被疑者が座席でシートベルトを装着しているときには、そのシートベルトも外せないようにロックするように制御してもよい。座席下や背もたれから、自動的に足や胴体を縛ったり、固定したりできる機構を備えることで、盗人被疑者を拘束するようにしてもよい。
【0050】
また、制御部101は、自車が盗難状態である旨の通知を検知すると、手動/自動運転モード切替制御部117を制御して、乗車者である盗人被疑者が、アクセル操作、ブレーキ操作、シフトレバー操作やステアリング操作をしても、手動運転モードに切り替えられないように制御する。また、自動運転モードにおける移動先の指定や変更などの入力操作も無効とするようにしている。なお、手動/自動運転モード切替制御部117は、自動運転モードにおいて、あたかも運転者による移動先の指定や変更などの入力操作を受け付けたように振る舞って、乗車者である盗人被疑者に、警察署等やその他の移動先への移送を気づかれないようにしてもよい。
【0051】
そして、手動運転操作検知部128は、乗車者(運転者)のアクセル操作、ブレーキ操作、シフトレバー操作及びステアリング操作を検知する操作検知手段である。手動/自動運転モード切替制御部117は、自車が盗難状態でないときには、前述したように、自動運転モードの際に、この手動運転操作検知部128での運転者によるアクセル操作、ブレーキ操作、シフトレバー操作またはステアリング操作の検知通知を受けると、自動運転モードから手動運転モードへ切り替えるように制御する。
【0052】
これに対して、手動/自動運転モード切替制御部117は、盗難検知処理部116から自車が盗難状態であることの検知通知を受けた時には、自動運転車1を自動運転モードに強制的に切り替えると共に、手動運転操作検知部128での運転者によるアクセル操作、ブレーキ操作、シフトレバー操作やステアリング操作の検知通知を無効にして、自動運転モードを継続保持するようにする。
【0053】
そして、盗難検知処理部116は、盗難時行先メモリ127を参照して、盗難時の自動運転モードでの行先を決定するようにする。この実施形態では、盗難時行先メモリ127には、自動運転車1の所有者により、予め、優先順位を定めた盗難時行先が登録されて、記憶されている。盗難検知処理部116は、盗難時行先メモリ127に記憶されている盗難時行先を優先順位の高いもの順に検索し、現在位置から所定の時間以内(例えば1時間以内)に到着できる行先を決定するようにする。
【0054】
このように、現在位置から所定時間以内に到着することができる移動先を決定するようにするのは、移動先があまりに遠いと、盗人が乗車中の場合、トラブルが発生するリスクが高くなるので、そのトラブルが発生するリスクを最小限にするためである。また、あまりに遠い移動先の場合には、電気自動車のバッテリー残量が不足(ガソリン車であれば、ガソリン不足)したりすることも考慮している。この場合は、現在のバッテリー残量(またはガソリン残量)で移動可能な時間より短い時間が、所定の時間として設定される。例えば、バッテリー残量が40分相当であれば、前記所定の時間は30分に設定される。
【0055】
なお、所定時間以内に到着することができる移動先ではなく、現在地から所定距離範囲内(例えば10km以内)に在る場所を、移動先として決定するようにしてもよい。
【0056】
上述の現在位置から所定の時間以内の時間設定や所定距離範囲内の距離設定は、自動運転車1のメーカー出荷時または販売店での販売時に設定されているが、自動運転車1の所有者や、所有者が運転を許可する乗車者が、その設定時間や設定距離を変更できるようにしてもよい。
【0057】
もしも、所定時間以内(または所定距離範囲内)に到着できる移動先が、盗難時行先メモリ127に記憶されていないときには、盗難検知処理部116は、カーナビ機能部113に、警察署等を周辺検索により検索させ、その検索の結果見つけ出された警察署等を盗難時行先として決定するようにする。そして、盗難検知処理部116は、盗難時行先を決定したら、自動運転により、その決定した盗難時行先に、自車を移動させるようにする。
【0058】
なお、所定時間以内(または所定距離範囲内)に到着できる警察署等が周辺検索で見つからない場合は、緊急通報用連絡先に通報して、自車を移動させずに待機する。緊急通報用連絡先としては、例えば、警察機関への緊急通報用電話番号や緊急通報用電子メールアドレスなどが挙げられる。
【0059】
なお、警察機関への緊急通報用電話番号は、盗難などの犯罪事案発生時などに当地の警察機関に通報するための電話番号であり、国によって異なる。例えば、日本、中国、インドネシアなどでは110番、米国、カナダなどでは911番、オランダ、スウェーデンなどでは112番である。これらの警察機関への緊急通報用電話番号に電話をかけて通報することを、以下、総称して110番通報と呼ぶことにする。
【0060】
また、盗難を検知した時点で、電気自動車のバッテリー残量が少ない場合(ガソリン車であれば、ガソリンが少ない場合)、移動中のバッテリー切れ(ガソリン切れ)を回避するために、移動先を探さず、即座に110番通報して、自車を移動させずに待機するようにしてもよい。
【0061】
図2は、盗難時行先メモリ127の記憶内容の例である。
図2に示すように、盗難時行先の登録情報としては、優先順位と、盗難時行先の属性、盗難時行先の住所、盗難時行先の連絡先電話番号が、自動運転車1の所有者や管理者などにより入力されて、記憶されるようにされている。また、盗難時行先の連絡先電子メールアドレスを記憶するようにしてもよい。
【0062】
盗難時行先の属性は、例えば「自宅のそばの警察署」、「会社のそばの警察署」、「最寄りの警察署等」などが、例えば予め選択項目として用意されているものから選択されたり、直接入力されたりする。住所は、自動運転車1の所有者や管理者などにより入力されるが、盗難時行先の属性によっては、その入力ができない場合もあり、任意の項目となる。例えば盗難時行先の属性が「最寄りの警察署等」の場合には、その住所は、自動運転車1の現在位置により異なるので、住所の入力はされない。また、連絡先電話番号も同様である。
【0063】
なお、盗難時行先の住所が入力された時には、その住所に対応する緯度・経度の位置情報を、カーナビ用データベース124から取得したり、インターネットを通じて取得したりして、盗難時行先メモリ127に記憶しておくようにする。この位置情報は、盗難時行先と、現在位置からの距離または現在位置からの到達時間を計算するときに使用される。
【0064】
なお、「最寄りの警察署等」は、周辺検索の結果として、その住所や位置情報、さらには、連絡先の電話番号や電子メールアドレスを取得することができる場合もある。
【0065】
盗難検知処理部116は、以上のようにして、盗難時行先を決定すると、自動運転の開始前に、あるいは、自動運転の開始後に、連絡先電話番号を取得できた場合には、その電話番号を用いて盗難時行先に電話をかける。そして、盗難検知処理部116は、自車の車種、車体色、ナンバー、自車が盗難の状態であること、何分後にその場所に到着する予定であること、などの情報を含むメッセージを生成し、そのメッセージを音声合成により合成音声に変換して連絡先に送出する。このメッセージの「何分後にその場所に到着する予定であること」における「何分後」という時間は、盗難検知処理部116からカーナビ機能部113に依頼して取得する。カーナビ機能部113は、自車の現在位置から盗難時行先までの経路及び距離から、盗難時行先の到着予定時刻を計算することができる。盗難検知処理部116は、その計算結果の時間をカーナビ機能部113から取得して、前記メッセージを生成するようにする。
【0066】
以上のように、盗難時行先に送るメッセージを生成し、送話音声として送出する機能を実現するための、盗難検知処理部116は、メッセージ生成手段と、音声合成手段とを備える。メッセージ生成手段は、内蔵するメモリに、例えば「盗難犯人を乗せてそちらに向かって移動中です。この車は、白のセダンで、車のナンバーは、品川あ○○○○です。( )分後にそちらに到着予定です。」などというテキストメッセージのデータを記憶しておき、「( )分後」の空欄( )に、カーナビ機能部113から取得した時間を挿入して、盗難時行先に送るメッセージを完成させる。そして、盗難検知処理部116は、完成されたテキストメッセージを音声合成手段により合成音声に変換して、送話音声として、盗難時行先に送るようにする。
【0067】
このように、盗難時行先である例えば警察署等に、予め電話連絡をすることができた場合には、盗難状態である自動運転車1が到着したときには、警察官などが待機していて、犯人の逮捕、確保が容易に行えると期待できる。
【0068】
また、盗難検知処理部116は、盗難時行先に連絡ができなかった時には、110番通報をする。その場合のために、盗難検知処理部116のメッセージ生成手段は、「盗難犯人が乗車中の自動運転車です。現在位置は、( )近傍で、( )に向けて移動中です。この車は、白のセダンで、車のナンバーは、品川あ○○○○です。」などというテキストメッセージのデータを記憶しておき、「( )近傍で」の空欄( )に、現在地確認部107で確認した現在位置に基づいて、カーナビ機能部113で取得した現在地名称を挿入し、また、「( )に向けて移動中」の空欄( )に、決定した盗難時行先を挿入して、110番通報に含めるメッセージを完成させる。そして、盗難検知処理部116は、完成されたテキストメッセージを音声合成手段により合成音声に変換して、送話音声として、110番通報メッセージを送るようにする。なお、メッセージにGPS受信部106で取得した緯度・経度の位置情報を含めるようにしてもよい。
【0069】
110番通報をした場合には、パトカーが移動中の自車を追跡してくる場合も想定される。そこで、この実施形態では、盗難検知処理部116は、110番通報をした後、自車をパトカーが追跡してきたことを検知(判別)したときには、自車を道路の路肩等に寄せて停車するようにする。この場合に、パトカーの自車の追跡は、カメラ群105のカメラでの撮像画像と、各種センサ群104の内の音センサであるマイクロフォンでパトカーのサイレンを収音することにより、検出するようにする。また、盗難検知処理部116は、パトカーからの「品川あ○○○○の白のセダン、停車しなさい」という呼びかけをマイクロフォンで収音し、収音した音声の音声認識結果に基づいて、自車を路肩等に停車させるように制御してもよい。
【0070】
なお、本実施形態の説明は、パトカーだけでなく警察車両全般について当てはまる。例えば、自車を追跡してくる警察車両はパトカーの場合もあるし、白バイの場合もあるし、パトカーと白バイ両方の場合もあるが、この実施形態では、簡単のためパトカーで記載する。
【0071】
盗難検知処理部116は、パトカーのサイレンを認識したり、パトカーからの音声の呼びかけを認識したりするための音声認識手段を備える。音声認識手段が言語理解機能を備えている場合は、パトカーからの音声指示に従うことができる。例えば「交差点を左折して止まりなさい。」というパトカーからの呼びかけに従い、交差点を左折した路肩で停車し、「前方左の駐車場に入り停車しなさい。」という呼びかけに従い、前方左の駐車場に入って停車するようにできる。もちろん、110番通報をした場合のパトカーに限らず、パトロール中のパトカーに対しても、同様の対応ができる。
【0072】
前述もしたが、制御部101は、警察署等に到着した場合や、パトカーの追跡を検知して路肩等に停車した場合に、例えば警察官が提示する警察手帳をカメラで撮影し、画像認識により、当該警察手帳を確認することで、ドア閉ロック状態を解除して、警察官によるドアの開閉を可能にするように構成されている。
【0073】
また、自動運転車1の所有者が、所定のパスワードを含むドア閉ロック解除指示を、携帯電話端末を通じて自動運転車1に送った場合にも、自動運転車1の制御部101は、そのパスワードを確認したうえで、ドア閉ロック状態を解除するように構成されている。
【0074】
なお、盗難検知処理部116は、盗難時行先に連絡がつかない場合のみに110番通報するのではなく、盗難時行先が、警察署等でない場合には、連絡ができた場合にも、併せて110番通報を行うようにしてもよい。さらに、盗難時行先が、警察署等で、連絡ができた場合であっても、犯人の逮捕または確保をより確実にするため、併せて110番通報を行うようにしてもよい。
【0075】
なお、盗難時行先への電話連絡及び110番通報は、乗車者には、通話音声が聴取されない状態でなされる。これにより、運転席に座っている盗人被疑者には気づかれることなく、警察署等と連絡をとることができる。
【0076】
以上のように、自動運転車1の電子制御回路部10は構成されるが、
図1に示した各ブロックのうち、現在地確認部107、周囲移動体把握部108、音声出力部109、モータ駆動制御部110、ステアリング駆動制御部111、カーナビ機能部113、ドアロック制御部114、乗車者認証部115、盗難検知処理部116、手動/自動運転モード切替制御部117、の各処理機能は、制御部101が、ソフトウエア処理として実現することができる。
【0077】
[自動運転車1での処理動作の流れの例]
【0078】
[自動運転車1における盗難の検知の流れの例]
図3及び
図4は、以上のように構成されている自動運転車1における盗難の検知の流れの一例を説明するためのフローチャートである。なお、この
図3及び
図4のフローチャートにおける各ステップにおける処理は、以下の説明においては、制御部101が、現在地確認部107、周囲移動体把握部108、音声出力部109、モータ駆動制御部110、ステアリング駆動制御部111、カーナビ機能部113、ドアロック制御部114、乗車者認証部115、盗難検知処理部116、手動/自動運転モード切替制御部117、の各処理機能をソフトウエア処理として実現している場合として説明する。
【0079】
自動運転車1に電源が投入されると、
図3のスタートから処理が開始する。先ず、制御部101は、各種センサ群104の内の運転席着座センサの出力を監視することにより、自車の運転席に、乗車者が着座したか否か判別し(ステップS1)、運転席に、乗車者が着座してはいないと判別したときには、他の処理を実行し(ステップS2)、その後、ステップS1に処理を戻す。なお、運転席へ乗車者が着座したか否かの判別は、運転席着座センサの出力を監視することで行う以外にも、カメラ群105の内の運転席の乗車者を撮影するためのカメラの撮像画像などを監視することで判別することができる。
【0080】
ステップS1で、運転席に、乗車者が着座したことを判別すると、制御部101は、カメラ群105のうちの運転席の乗車者を撮影するカメラからの撮像画像情報を取得し、その取得した撮像画像情報から乗車者の顔画像を抽出してバッファメモリ(図示せず)に一時記憶する(ステップS3)。
【0081】
次に、制御部101は、バッファメモリに一時格納した乗車者の顔画像と、乗車者認証用情報メモリ126に格納されている顔画像とを比較して、一致する顔画像が乗車者認証用情報メモリ126内にあるか否かにより、乗車者は登録者であるか否か判別する(ステップS4)。このステップS4で、乗車者は登録者であると判別したときには、制御部101は、登録者による運転(自動運転を含む)を許可し、自動運転車1の通常運転時の処理ルーチンに移行する(ステップS9)。
【0082】
また、ステップS4で、乗車者は登録者ではないと判別したときには、タッチパネル付表示部112の表示画面に、「あなたは運転者として登録されていません」とメッセージ表示すると共に、非登録者を登録するための認証情報の入力を待つ(ステップS5)。
【0083】
そして、制御部101は、ID及びパスワードからなる認証情報の入力を受け付けたか否か判別し(ステップS6)、受け付けたと判別したときには、受け付けたID及びパスワードと、乗車者認証用情報メモリ126に記憶されている、前述した所有者により設定されたID及びパスワードとを比較して、一致しているか否かにより、認証OKか否か判別する(ステップS7)。
【0084】
ステップS7で、認証OKであると判別したときには、制御部101は、ステップS3で一時記憶されていた乗車者の顔画像を、乗車者認証用情報メモリ126に記憶して乗車者の登録をする(ステップS8)。次いで、制御部101は、ステップS9に進んで、登録者による運転(自動運転を含む)を許可し、通常運転時の処理ルーチンに移行する。
【0085】
ステップS6で、ID及びパスワードからなる認証情報の入力を受け付けてはいないと判別したときには、制御部101は、例えば表示画面に前記「あなたは運転者として登録されていません」というメッセージ表示をした後、予め設定された所定時間以上、例えば2分以上経過したか否か判別する(
図4のステップS11)。
【0086】
このステップS11で、所定時間以上経過してはいないと判別したときには、制御部101は、乗車者による、例えばタッチパネル付表示部112の表示画面に表示されているキャンセルボタンの操作(キャンセル操作)がなされたか否か判別し(ステップS12)、キャンセルボタンの操作がなされていないと判別したときには、処理をステップS6に戻す。
【0087】
また、ステップS12で、キャンセルボタンが操作されたと判別したときには、制御部101は、自動運転車1の電源をオフに戻し、自動運転車1の運転を不可の状態にする(ステップS13)。そして、制御部101は、この処理ルーチンを終了する。
【0088】
なお、キャンセルボタンの操作がなされたときにも、ステップS3で一時記憶した乗車者の顔画像を、登録失敗者の顔画像として、乗車者認証用情報メモリ126に記憶し、登録失敗者の顔画像が乗車者認証用情報メモリ126に記憶されている旨を自動運転車1の所有者に通知するようにしてもよい。その場合には、自動運転車1の所有者は、乗車者認証用情報メモリ126から当該登録失敗者の顔画像を読み出して、盗人被疑者の確認をすることができる。すなわち、登録失敗者の顔画像が、自動運転車1の所有者が見知らぬ人物の顔画像であった場合には、盗人被疑者として警察署等に通報することができる。
【0089】
なお、自動運転車1の電源をオフにし停車するのは、盗人被疑者の逃走の危険性が増し、好ましくないということで、キャンセルボタンの操作を無効にすることもできる。
【0090】
ステップS11で、所定時間以上経過したと判別したときには、制御部101は、乗車者は盗人被疑者であり、自車は盗難の状態であると判断して、ドアを閉ロック状態にすると共に、手動運転操作検知部128でのアクセル操作、ブレーキ操作、シフトレバー操作やステアリング操作の検知を無効にして、自動運転のみができるように制御する(ステップS14)。そして、次に、制御部101は、盗難時移動処理ルーチンに移行する(ステップS15)。
【0091】
また、
図3のステップS7で、認証OKではないと判別したときには、制御部101は、認証がOKではなくNGとなったのは、所定回目例えば3回目であるか否か判別し(
図4のステップS16)、所定回目にはなっていないと判別したときには、認証情報の再入力を促すメッセージをタッチパネル付表示部112の表示画面に表示して(ステップS17)、処理を
図3のステップS6に戻し、認証情報の入力を待つようにする。
【0092】
そして、ステップS16で、認証がOKではなくNGとなったのが所定回目であると判別したときには、制御部101は、処理をステップS14に進め、自車は盗難の状態であると判断して、ドアを閉ロック状態にすると共に、手動運転操作検知部128でのアクセル操作やブレーキ操作、シフトレバー操作やステアリング操作の検知を無効にして、自動運転のみができるように制御する。そして、制御部101は、処理をステップS15に進め、盗難時移動処理ルーチンに移行する。
【0093】
[自動運転車1における盗難時移動処理の流れの例]
前述の
図4におけるステップS15の盗難時移動処理の流れの例を、
図5及び
図6のフローチャートを参照しながら説明する。なお、この
図5及び
図6のフローチャートにおける各ステップにおける処理も、制御部101が、現在地確認部107、周囲移動体把握部108、音声出力部109、モータ駆動制御部110、ステアリング駆動制御部111、カーナビ機能部113、ドアロック制御部114、乗車者認証部115、盗難検知処理部116、手動/自動運転モード切替制御部117、の各処理機能をソフトウエア処理として実現している場合として説明する。
【0094】
制御部101は、まず、盗難時行先メモリ127の記憶情報について、優先順位が1位の盗難時行先を指定する(ステップS21)。次に、制御部101は、その優先順位n位の盗難時行先の情報が、盗難時行先メモリ127に記憶されているか否か判別する(ステップS22)。
【0095】
このステップS22で、優先順位n位の盗難時行先のデータが記憶されていると判別したときには、制御部101は、その優先順位n位の盗難時行先は、属性のみが登録されていて、住所(及び緯度・経度の位置情報)は記憶されていないものであるか否か判別する(ステップS23)。
【0096】
このステップS23で、その優先順位n位の盗難時行先は、属性のみが登録されていて、住所(及び緯度・経度の位置情報)は記憶されていないと判別したときには、制御部101は、その属性、例えば警察署等を、現在位置を中心とした周辺検索を行って見つけ出し、その住所及び緯度・経度の位置情報を取得する(ステップS24)。なお、検索対象が警察署等の場合には、各種警察機関、例えば、日本の場合は、警察署、交番、駐在所のいずれかを検出するものである。
【0097】
なお、規模の小さな警察機関(日本の場合は、交番、駐在所)は警察官が巡回などで不在となる場合があるので、規模の大きな警察機関(日本の場合は、警察署)を優先的に検出してもよい。常駐警察官がいなかったり、1人または2人で、不在確率が高い規模の小さな警察機関の情報を、データベースに記憶しておいたり、インターネット上の所定のサイトから入手することができれば、それら規模の小さな警察機関の優先順位を下げる対応をしてもよい。
【0098】
そして、制御部101は、その住所の位置情報と、自車の現在位置の位置情報とから、その優先順位n位の盗難時行先への現在位置からの到達時間を計算する(ステップS25)。
【0099】
また、ステップS23で、その優先順位n位の盗難時行先は、属性のみではなく、住所(及び緯度・経度の位置情報)も記憶されていると判別したときにも、制御部101は、処理をステップS25に進めて、その住所の位置情報と、自車の現在位置の位置情報とから、その優先順位n位の盗難時行先への現在位置からの到達時間を計算する。
【0100】
このステップS25の次には、制御部101は、ステップS25で求めた到達時間に基づいて、予め定めた所定時間以内に、現在地から移動先に到着することができるか否か判別する(ステップS26)。
【0101】
このステップS26で、予め定めた所定時間以内に、現在地から移動先に到着することはできないと判別したときには、制御部101は、n=n+1として、盗難時行先メモリ127から次の優先順位の盗難時行先を読み出すように指定し(ステップS27)、その後、処理をステップS22に戻し、このステップS22以降の処理を繰り返す。
【0102】
このステップS26で、予め定めた所定時間以内に、現在地から移動先に到着することができると判別したときには、制御部101は、盗難時行先メモリ127から読み出した盗難時行先、あるいは、ステップS24で周辺検索の結果見つけ出した盗難時行先を、移動先として、自動運転を開始するようにする(ステップS28)。
【0103】
また、ステップS22で、優先順位n位の盗難時行先のデータが記憶されていないと判別したときには、つまり、盗難時行先メモリ127には、当該現在地について適切な盗難時行先が記憶されていなかったと判別したときには、制御部101は、最寄りの警察署等を周辺検索により検索し、その検索結果の警察署等を移動先として設定して、自動運転を開始するようにする(ステップS29)。
【0104】
ステップS28またはステップS29の次には、制御部101は、設定した移動先の連絡先情報、この例では電話番号は判明しているか否か判別し(
図6のステップS31)、判明していると判別したときには、移動先に電話をかける(ステップS32)。そして、制御部101は、移動先が、この電話の発信に対して着信応答をしたか否か判別し(ステップS33)、着信応答したと判別したときには、前述したように、自車のナンバーや特徴などの自車の情報、現在位置の情報、移動先、及び移動先への到着予定時刻などを、合成音声により電話連絡する(ステップS34)。
【0105】
そして、制御部101は、自動運転を継続して、設定した移動先に移動する(ステップS35)。そして、制御部101は、自車が移動先に到着したか否か判別し(ステップS36)、到着していないと判別したときには、処理をステップS35に戻して、このステップS35以降の処理を繰り返し、移動先に到着したと判別したときには、自車を停車させると共に、盗人被疑者が乗車中であることを、例えば「盗難犯人移送中」あるいは「盗難犯人乗車中」という音声メッセージをスピーカ121から放音するようにする(ステップS37)。また、外部の人に気付かせるよう、クラクションを鳴らしたり、ライトを点滅させたりすることで報知するようにしてもよい。
【0106】
この移動先が警察署等であれば、警察官が自動運転車1に近づいて、例えば警察手帳をカメラにより読み取らせることで、ドアを開けることができ、乗車している盗人被疑者を逮捕または確保することができる。
【0107】
ステップS31で、設定した移動先の連絡先情報、この例では電話番号は判明していないと判別したとき、また、ステップS33で、電話をかけた移動先が、不在や話し中などで着信応答しないと判別したときには、制御部101は、110番通報をし(ステップS38)、自車のナンバーや特徴などの自車の情報、現在位置の情報、移動先、及び移動先への到着予定時刻などを、合成音声により連絡する(ステップS39)。
【0108】
そして、制御部101は、パトカーが自車を追跡してきたか否か判別し(ステップS40)、追跡してきていると判別したときには、自動運転で路肩に寄せて停車する(ステップS41)。なお、ステップS41では、パトカーからの音声の呼びかけを音声認識できる場合は、その音声指示に従って、しかるべき路肩や駐車場などに停車することができる。
【0109】
また、ステップS40で、パトカーが追跡してきてはいないと判別したときには、自動運転で、設定された移動先に移動する(ステップS42)。そして、制御部101は、自車が移動先に到着したか否か判別し(ステップS43)、到着していないと判別したときには、処理をステップS40に戻して、このステップS40以降の処理を繰り返し、移動先に到着したと判別したときには、ステップS37に進んで、自車を停車させると共に、盗人被疑者が乗車中であることを、例えば「盗難犯人移送中」あるいは「盗難犯人乗車中」という音声メッセージをスピーカ121から放音するようにする。
【0110】
[第1の実施形態の効果]
以上説明したように、上述の実施形態の自動運転車1は、自車が盗難の状態であることを検知したときには、自車を自動運転して、例えば警察署等の移動先に移動するように制御するので、盗人被疑者を乗車させたまま、警察署等に移動することができる。このため、自動運転車の車両の盗難を防止することができると共に、犯人逮捕や犯人検挙にも威力を発揮する。
【0111】
そして、上述の実施形態の自動運転車1は、自車が盗難の状態であることを検知したときには、ドアや窓を閉ロック状態にして、犯人を車内に閉じ込めるようにしているので、犯人を警察署等に確実に移送することができる。
【0112】
また、上述の実施形態の自動運転車1は、自車が盗難の状態であることを検知したときには、盗人被疑者による手動運転は不可とすると共に、自動運転モードにおける乗車者による行先の指定や変更などを無効として、警察署等、定められた移動先への自動運転モードによる移動のみができるようにしているので、犯人を警察署等に確実に移送することができる。
【0113】
さらに、自動運転車は停車状態ではなく、自動運転で高速走行しているので、盗人被疑者が窓ガラスを割るなどして、そこから外に飛び出して逃走することも防ぐことができる。
【0114】
[第1の実施形態の変形例]
なお、上述の第1の実施形態では、自動運転モードと、手動運転モードの両者を備えている自動運転車を例に説明しているが、手動運転モードのない自動運転車であっても、この発明を構成できる。この場合、常に自動運転モードとなるので、手動運転モードと自動運転モードの切り替えは存在しない。したがって、上述の説明の内、手動運転モードから自動運転モードに切り替える制御や自動運転モードから手動運転モードに切り替える制御は必要がない。もちろん、手動運転のない自動運転車には、手動/自動運転モード切替制御部117や手動運転操作検知部128は備わっていない。また、手動運転に必要なアクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリング(ハンドル)などもなくてもよい。ただし、安全確保のために、ブレーキペダル(ブレーキボタン、ブレーキに対応するタッチパネル入力や音声入力でもよい)を備え、ブレーキ操作だけは手動で対応できるようにしてもよい。
【0115】
また、上述の第1の実施形態では、自動運転で移動を開始した後に、設定した移動先に連絡をするようにしたが、自動運転による移動を開始する前に、設定した移動先に連絡をするようにしてもよい。
【0116】
また、移動先への連絡は電話連絡とするようにしたが、ファクシミリ(ファックス)や電子メール、LINEなどの通信アプリによる連絡であってもよい。
【0117】
なお、上述の第1の実施形態では、自動運転車1が移動先に到着したときに、盗人被疑者が乗車中を音声メッセージにより放音するようにしたが、自動運転により移動中にも、盗人被疑者が乗車中であることや、「110番通報してください」などの音声メッセージを外部に放音するようにしてもよい。
【0118】
また、
図7に示すように、自動運転車1の例えばドアに、LCD(Liquid Crystal Display;液晶ディスプレイ)からなるディスプレイ130を設けておき、盗難状態を検知して盗人被疑者131を自動運転車1内に乗車させているときには、そのディスプレイ130の表示画面に、「盗難犯人移送中」、「盗難犯人乗車中」あるいは「110番通報してください」などをテキスト文字メッセージで表示するようにしてもよい。なお、ディスプレイ130は、サイドウインドウやフロントガラスあるいはリアガラスに設けるようにしてもよいし、LCDの代わりにLED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)を設けて、外部に盗難状態を報知するようにしてもよい。また、テキスト文字メッセージでの表示と連動させて、音声メッセージを外部に放音するようにしてもよい。
【0119】
なお、上述の第1の実施形態では、自動運転車1は、乗車者、特に運転席に乗車した者が、登録者であるか否かに基づいて、自車が盗難の状態であるか否かを判定するようにしたが、盗難の状態であるか否かの判定は、この場合に限られるものではない。
【0120】
例えば、盗難検知処理部116は、各種センサ群104の内の振動センサ、加速度センサなどの出力や、現在地確認部107の現在地の確認結果から、自車が運転されていないにも関わらず、所定距離以上移動したことを検知したときには、自車が盗難状態であると検知するようにしてもよい。また、大きな振動データや加速度データなど、自車の停車時や通常走行時には現れない異常なセンサデータを検知したときには、自車が盗難状態であると検知するようにしてもよい。これは、自動運転車1が、クレーン車やレッカー車など重機を利用して、吊り上げられるなどして、運転状態とされることなく、盗まれる場合を想定したものである。
【0121】
なお、上述の第1の実施形態では、乗車者が登録者でないときには、認証情報のチェックをするようにしたが、乗車者が登録者でないときには、即座に乗車者は盗人被疑者であると判断して、自車が盗難状態であると検知するようにしてもよい。
【0122】
また、乗車者が目出し帽などを着用して、顔画像の認証が困難な場合は、乗車者が盗人被疑者の可能性があると判断して、目などを中心に入念に認証してもよいし、乗車者に目出し帽などを脱ぎ、顔を露わにするよう促してもよい。また、即座に乗車者が盗人被疑者であると判断して、自車が盗難状態であると検知するようにしてもよい。
【0123】
なお、盗難時行先として、盗難前に駐車していた場所とすることもできる。その場合、自動運転車は、盗人被疑者を乗車させたまま、盗難前に駐車していた場所に戻ってくるため、そこでの危険やトラブルを回避するよう、移送と同時に110番通報するようにしてもよい。また、自動運転車の現在位置が、盗難前に駐車していた場所であるときには、移動せずに、ドア閉ロック状態として、110番通報するようにしてもよい。
【0124】
なお、上述の第1の実施形態では、自動運転車1から自動運転車1の所有者への盗難の連絡については記載しなかったが、「車が盗難されました。現在、盗難犯人を乗せて、○△警察署に移送中です。」などと、自動運転車1から電話または電子メールで、自動運転車1の所有者の携帯電話端末などの通信端末に盗難の連絡を入れるようにしてもよいことは勿論である。また、盗難を検知しても、移動が困難な場合は、「車が盗難されました。しかし、現在、ここから動けません。」などと、所有者の携帯電話端末などの通信端末に連絡を入れるようにしてもよい。
【0125】
また、上述の第1の実施形態では、自動運転車1が電話などで移動先に連絡したが、連絡しない場合も考えられる。この場合、自動運転車1が自車の所有者の携帯電話端末などの通信端末に連絡をし、所有者から移動先または110番に連絡するようにしてもよい。
【0126】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態は、自動運転車1のみで盗難防止処理制御を行うようにした場合であるが、自動運転車1で異常と判断したときであっても、実際は、自動運転車1の所有者の知人が運転をしようとしている場合などがある。その場合には、自動運転車1の盗難の判断は、所有者が介在することで、より確実にできる。また、自動運転車1の所有者が、所定の場所に駐車していた自動運転車1が無くなっていることを認知して、盗難を検知する場合も多々ある。例えば、サービスエリアの駐車場に駐車していた自動運転車1が、自動運転車1の所有者が食事している間に無くなっている場合や、ショッピングセンターの駐車場に駐車していた自動運転車1が、自動運転車1の所有者が買い物している間に無くなっている場合である。第2の実施形態は、このような場合を想定したものである。
【0127】
図8は、第2の実施形態による自動運転車の盗難防止システムの概要を説明するための図である。すなわち、第2の実施形態は、自動運転車2と、自動運転車2の所有者3が所持する無線通信が可能な通信端末、例えばスマートフォンと呼ばれる高機能携帯電話端末4とからなるシステムの構成となる。この第2の実施形態では、自動運転車2と携帯電話端末4とは、携帯電話網及びインターネットからなる通信ネットワークを通じて、互いに無線通信可能とされる。自動運転車2には、予め、異常などの通報先として、所有者3の携帯電話端末4の電話番号や電子メールアドレスが登録されている。そして、携帯電話端末4には、自動運転車2についての盗難防止を支援するためのアプリケーションプログラムが、自動運転車2の所定のサイトからダウンロードされて、予め記憶されている。なお、この実施形態では携帯電話端末4を用いているが、固定電話端末やパソコンでも構成できる。また、所有者3に連絡がつかない時のために、所有者3の家族の携帯電話端末などの電話番号や電子メールアドレスが、予備の連絡先として登録されていてもよい。
【0128】
この実施形態の自動運転車2は、
図1に示した第1の実施形態の自動運転車1と略同様の構成を有するものであるが、盗難の状態であることを検知する方法が、第1の実施形態と異なる。また、無線通信処理部102の構成が第1の実施形態とは異なる。
【0129】
この第2の実施形態の自動運転車2の無線通信処理部102は、当該自動運転車2と無線通信可能とする携帯電話端末4の加入者電話番号(携帯電話番号)が登録されている電話番号メモリを備えている。そして、無線通信処理部102は、制御部101と協働することにより、その記憶されている携帯電話番号の携帯電話端末4に自動発信して、後述のような通知を行う機能と、その記憶されている携帯電話番号の携帯電話端末4からの着信に自動応答して、後述のような所定の処理を実行する機能を備えている。
【0130】
この第2の実施形態では、自動運転車2が盗難の状態となっていることは、所有者3が、携帯電話端末4を通じて自動運転車2に通知することにより、自動運転車2が認識するようにする。
【0131】
また、以下の第2の実施形態の例では、移動先の設定の方法も第1の実施形態と異なり、所有者3が、携帯電話端末4を通じて自動運転車2に移動先を指示する通知を送ることにより、自動運転車2が、盗難時の移動先を認識するようにする。
【0132】
自動運転車2が盗難の状態であると、所有者3が自動運転車2に通知する場合としては、上述のように2通り(第1の例と第2の例)がある。すなわち、第1の例は、
図8に示すように、所有者3の携帯電話端末4が、自動運転車2から異常の検出通知を受け取り、その異常内容を所有者3がチェックして、そのチェック結果として、盗難の状態であるか、盗難の状態ではないかの通知(以下、これを盗難有無通知という)を、携帯電話端末4から自動運転車2に送る場合である。第2の例は、自動運転車2からの異常通知を受け取ることなく、所有者3が自動運転車2が無くなっていることを検知して、盗難の状態を自動運転車2に通知する場合である。なお、第2の例の場合には、盗難有無通知ではなく、盗難状態であることの通知、つまり、盗難通知となる。
【0133】
そして、
図8の例では、所有者3により、盗難時の移動先として警察署等5が指定されて、自動運転車2は、その指定された警察署等5に、自動運転により移動することを示している。この第2の実施形態でも、盗難時の移動時には、ドア閉ロック状態、窓閉ロック状態及び手動運転モードへの切り替え不可であることは、第1の実施形態と同様であると共に、盗難時移動処理動作は、ほぼ第1の実施形態と同様になされる。
【0134】
図9に、この第2の実施形態の自動運転車の盗難防止システムにおける自動運転車2の電子制御回路部(以下、簡単のため自動運転車2とのみ記載する)と、所有者3の携帯電話端末4との間のやり取りの一例のシーケンス図を示す。この
図9の例は、所有者3が自動運転車2に、自動運転車2が盗難の状態を通知する場合の前記第1の例の場合である。
【0135】
すなわち、まず、自動運転車2は、自車に異常が発生したか否かの検知を行う。異常検知手段は、例えば、第1の実施形態の盗難検知手段と略同様の構成で実現できる(
図1参照)。この場合において、乗車者認証部115は、自動運転車2に乗車した乗車者の顔画像をカメラ群105から取得して、取得した顔画像と乗車者認証用情報メモリ126に記憶されている顔画像とを比較参照し、一致するか否かを判断する。乗車者の顔画像が、乗車者認証用情報メモリ126に記憶されている顔画像のいずれとも一致しなかった時には、乗車者認証部115は乗車者の認証ができなかった旨の認証結果を異常検知処理部(図示せず)に通知する。この通知により、異常検知処理部は、自車が異常な状態であることを検知する。なお、このような顔画像の比較による異常検知処理はいつ実施してもよいが、盗難検知手段の場合と同様、運転席に乗車者が着座したことを判別した際に実施することが好ましい。
【0136】
盗難検知の場合は、認証結果の判定精度を厳しくして、認証できたか否か、確定的な判断をすることが好ましいが、異常検知の場合は、一致する顔画像が存在しないか否か判断がつきかねる場合などであっても、少しでも疑わしい場合は、異常として検知することが好ましい。
【0137】
第2の実施形態では、第1の実施形態と異なり、異常検知が信用度の低い、不確実な判断であっても、最終的な盗難の判断を所有者に委ねることができるため、盗難検知の漏れを防ぐと同時に、誤った盗難の判断を防ぐことができる。したがって、第1の実施形態で行ったような、一致する顔画像が存在せず、乗車者の認証できなかった場合に、乗車者にIDやパスワードの入力を要求し、再度認証確認するような操作はなくても、特に問題は生じない。
【0138】
なお、異常検知手段が検知できる異常はこの例に限られるものではない。例えば、乗車者の認証が困難であったり、乗車者が目出し帽を着用するなど不審な状況を検知したり、自車が運転されていないにも関わらず、所定距離以上移動したことを検知したり、自車の停車時や通常走行時には現れない異常なセンサデータを検知した場合に、これらを自車における異常として検知するようにできる。
【0139】
異常検知処理部は、自車における異常を検知すると、異常の通報を、登録されている相手先としての所有者3の携帯電話端末4に対して送信する。この異常の通報には、自動運転車2の現状の通報が付随している。この自動運転車2の現状の通報の情報には、登録者ではない乗車者を検知した場合にはその乗車者の顔画像が含まれ、自車が運転されていないにも関わらず、所定距離以上移動したことを検知した場合には、自車の周囲の画像情報が含まれる。また、自車の緯度・経度などの現在位置情報が含まれていてもよい。
【0140】
なお、異常の通報は電話で行い、自動運転車2の現状の通報は、電子メールにより画像を添付して行うようにしてもよい。異常の通報としては、乗車者が不審であるときには、その旨を伝える合成音声が、また、不審な移動であるときには、その旨を伝える合成音声が、それぞれ送られてくる。
【0141】
この異常の通報及び自動運転車2の現状の通報を受信した携帯電話端末4は、その表示画面に乗車者の顔画像を表示したり、自動運転車2の周囲の画像を表示したりする。そして、その表示画面には、盗難の有無の確認結果を所有者3に操作入力させるためのソフトウエアボタンが表示されている。
【0142】
所有者3は、この携帯電話端末4の表示画面の表示画像を見て、盗難の有無をチェックし、そのチェック結果を、携帯電話端末4の表示画面のソフトウエアボタンを通じて入力する。すなわち、表示画面の顔画像が見知らぬ人物の顔画像であれば、盗難の状態であると判断する。また、周囲の画像が、自動運転車2が宙吊りになっている画像であったり、レッカー車に牽引されている画像であったり、トレーラに乗せられている画像であったりした場合には、盗難の状態であると判断する。携帯電話端末4は、所有者3の盗難の有無のチェック結果を、自動運転車2に通知する。
【0143】
所有者3の盗難の有無のチェック結果を受信した自動運転車2は、その受信したチェック結果を解析して、当該チェック結果が盗難の状態であるか、あるいは、盗難の状態ではないかを判別する。そして、その判別の結果、盗難の状態ではないと判別したときには、自動運転車2は、盗難時の処理は行わずに、そのままの状態とする。
【0144】
また、チェック結果の判別の結果、盗難の状態であると判別したときには、自動運転車2は、ドアや窓を閉ロック状態にすると共に、乗車者による手動運転禁止(手動運転モードへの切り替え禁止)の制御を行う。そして、自動運転車2は、携帯電話端末4に対して、盗難時の移動先の指示要求を送る。
【0145】
携帯電話端末4は、所有者3の指示入力に基づき、警察署等の移動先の指示通知を自動運転車2に送る。この場合に、携帯電話端末4は、自動運転車2の盗難時行先メモリ127と同じデータ内容の移動先候補メモリを有していて、その移動先候補メモリから選択された移動先の情報を自動運転車2に送る。この場合、送られる移動先の情報は、その識別情報のみで良く、自動運転車2は、その識別情報により特定される移動先を、盗難時行先メモリ127から読み出して特定するようにする。
【0146】
なお、移動先の指示通知はこのような方法に限らず、「□□警察署」、「△△交番」、「最寄りの警察署等」などのテキスト情報をそのまま通知してもよい。自動運転車2では、文字認識して、その認識結果として移動先を把握することができる。
【0147】
そして、移動先の指示通知を送った後、携帯電話端末4は、自動的に110番通報をする。この110番通報の際に警察署等に送る通報情報は、所有者3が直接に警察署等との通話で伝えるようにしてもよいし、第1の実施形態の場合と同様に、予め携帯電話端末4に通報メッセージを記憶しておき、合成音声に変換して警察署等に送るようにしてもよい。なお、この例では、この110番通報には、自動運転車2が移動先に到着したときには、携帯電話端末4に電話連絡を警察署等からしてもらうように依頼するメッセージ及び携帯電話端末4の電話番号も含まれる。
【0148】
移動先の指示通知を受信した自動運転車2は、当該指示された移動先に向けて、自動運転により移動する。
【0149】
そして、自動運転車2は、移動先に到着したときには、その旨を、携帯電話端末4に通知する。この通知は、電話を通じた合成音声によりなされてもよいし、電子メールにより通知されてもよい。また、LINEなどの通信アプリによって通知されてもよい。
【0150】
移動先が警察署等である場合には、110番通報に含まれる到着の連絡の依頼に応じて、警察署等から自動運転車2の到着の電話連絡がくるので、その電話において、所有者3は、携帯電話端末4を通じて自動運転車2のドア閉ロック状態を解除する旨を伝える。その後、所有者3は、携帯電話端末4を通じて、自動運転車2に、ドア閉ロック解除指示を送る。したがって、このドア閉ロック解除指示を受け取った自動運転車2は、ドア閉ロック状態を解除するようにする。したがって、警察官は、自動運転車2のドアを外部から開閉することが可能となり、乗車している盗人被疑者を逮捕または確保することができる。
【0151】
[第2の実施形態の効果]
以上のような構成及び動作を行う第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の作用効果を得られることは言うまでもない。そして、この第2の実施形態によれば、自動運転車2の盗難状態の確認を、所有者が行うことで、より確実に盗難状態を検出することができ、自動運転車2のみでの盗難状態の判断の場合の誤判断を軽減することができる。
【0152】
また、この第2の実施形態によれば、所有者が自動運転車2の盗難状態を検知し、自動運転車2に通知することができるので、自動運転車2自身で自車の盗難状態であることを検知できない場合でも、車両の盗難を防止することができる。
【0153】
[第2の実施形態の変形例]
上述の第2の実施形態においても、上述の第1の実施形態と同様、自動運転モードと、手動運転モードの両者を備えている自動運転車を例に説明しているが、手動運転モードのない自動運転車であっても、この発明を構成できる。
【0154】
なお、上述の第2の実施形態では、移動先は、自動運転車2の所有者が、携帯電話端末を通じて自動運転車2に通知して設定するようにしたが、この第2の実施形態においても、自動運転車2自身が、第1の実施形態と同様にして、盗難時の移動先を設定するようにしてもよい。
【0155】
また、上述の第2の実施形態では、自動運転車2の盗難状態の確認や通知を自動運転車2の所有者3が行ったが、それには限定されず、自動運転車2の管理者または管理会社が行ってもよい。例えば、運送会社、宅配会社、バス会社、タクシー会社など、多くの自動運転車をセンターでコンピュータ管理、運用している場合、そのセンターから、盗難されたと特定される自動運転車2に対して、盗難通知、移動先通知をすることができる。移動先は、警察署等に限らず、会社の本社や本店または支社や支店に設定してもよい。移動先を会社の本社や本店または支社や支店に設定した場合、本社や本店または支社や支店に、現場検証及び犯人逮捕または確保のために、警察官に来てもらうよう110番通報する。
【0156】
さらに、警察官などが、逃走中や逃亡中などの犯人の乗車する自動運転車や、盗難の通報があった自動運転車など、拘束すべき自動運転車を発見した場合、そのナンバープレートなどから自動運転車に連絡するための電話番号など連絡先情報を特定し、その連絡先情報(例えば電話番号)を用いて自動運転車に連絡して、自動運転車と通信状態とし、当該自動運転車に対して、盗難の状態の検知の通知、及び所定の地点(パトカーや白バイなどの警察車両が急行できる場所)や所定の警察署等の移動先の通知をするようにしてもよい。このようにすれば、自動運転車は、乗車中の犯人が逃走できないようにドアや窓を閉ロック状態として、その通知された移動先に移動するようにするので、通知した所定の場所で待機していた警察官が、自動運転車に乗車している犯人を逮捕または拘束することができる。
【0157】
[その他の実施形態又は変形例]
上述の実施形態において、盗人被疑者が、自動運転車1または自動運転車2により自動運転での移送中に、窓を割って走行中の車から逃げた場合には、そのことをカメラ群105の撮像画像から認識し、盗人被疑者の顔画像などの画像情報と盗人被疑者の逃げた地点の位置情報を110番通報し、自動運転車は、その場や近くの路肩等に停車するようにしてもよい。
【0158】
また、移動先の警察署等に警察官がいない場合には、自動運転車1または自動運転車2は、さらに最寄りの別の警察署等を周辺検索して探すようにしてもよい。もちろん、その移動先の警察署等で移動せずに待機するようにしてもよい。
【0159】
また、上述の実施形態では、不審な乗車者を検知したり、自車の不審な移動や異常なセンサデータを検知することに基づいて、盗難状態や異常状態を検知するようにしたが、所有者が通常使用する経路ではない不審な経路を自動運転車1または自動運転車2が走行していることを検知したら、盗難を疑う走行や異常な走行と検知して、第1の実施形態の場合の処理をしたり、第2の実施形態の場合の所有者への異常通報をしたりするようにしてもよい。
【0160】
また、上述の実施形態では、盗難検知手段や異常検知手段は、顔認証(顔画像の比較結果)に基づいて、自動運転車1の盗難状態や自動運転車2の異常状態を検知するようにしたが、盗難状態や異常状態の検知は、これに限定されるものではない。例えば、自動運転車1または自動運転車2の運転者について、声紋認証、指紋認証、虹彩認証、静脈パターン認証などの生体認証を行って、その認証結果に基づいて、盗難状態や異常状態を検知するようにしてもよい。認証については、生体認証に限らず、氏名、住所、生年月日、ID、パスワード、携帯電話端末の電話番号や電子メールアドレスなどの確認操作であってもよい。また、これらの各種認証を組み合わせて、自動運転車1または自動運転車2の運転者についての認証をより強固にし、その認証結果に基づいて、盗難状態や異常状態を検知するようにしてもよい。
【0161】
また、上述の実施形態では、盗難検知手段や異常検知手段、各種認証などは、自動運転車1または自動運転車2、あるいは所有者3が行っていたが、自動運転車1や自動運転車2にインターネットへの接続機能を持たせ、クラウドで行わせるようにしてもよい。
【0162】
なお、上述の実施形態では、自動運転車1または自動運転車2は、自車が盗難状態であると判別したときには、自動運転モードとなり、乗車者が手動運転に切り替えようとしても、オートロックがかかり、手動運転モードに切り替わらないように制御している。しかし、乗車者が盗人でないときに、誤って自動運転モードのロック状態となった時を想定し、所有者など、盗人でない乗車者が、予め定められた所定の操作をすることで、自動運転モードのロック状態を解除して、手動運転モードに切り替えられるようにしてもよい。この場合の自動運転モードを解除する所定の操作としては、所有者などの指紋認証などの生体認証、暗証番号、パスワード、音声認識(合言葉を併せて認識するようにしてもよい)、話者認識、顔認識、ジェスチャー認識など、また、これらの組み合わせを用いることができる。
【0163】
また、上述の実施形態では、手動運転モードのない自動運転車においては、乗車者による移動先の指定や変更などの入力操作を無効になるように制御している。しかし、乗車者が盗人でないときに、誤って入力操作が無効状態となった時を想定し、所有者など、盗人でない乗車者が、予め定められた所定の操作をすることで、入力操作の無効状態を解除できるようにしてもよい。
【0164】
この発明をレンタカー会社が利用する場合は、レンタカーを利用する運転者に対して、出発時に一時的な所有者として顔画像の登録を行う。レンタカーを利用する運転者は、レンタカーを利用している期間、顔認証され、正当な利用者として認められる。レンタカーをこの運転者以外が利用した場合、顔認証がされないため、盗難が検知される。そしてレンタカー返却時には、登録されている運転者の顔画像を抹消し、所有者資格を喪失させる。このレンタカーで盗難が検知された場合は、一時的な所有者である運転者に連絡がいくと共に、レンタカー会社にも連絡がいくようにする。また、レンタカーを利用する運転者は顔画像の登録に限らず、指紋、虹彩、静脈パターン、音声(声紋)などの生体情報を登録し、その生体情報で生体認証を行うようにもできる。レンタカー返却時には、登録されている運転者の生体情報を抹消する。さらに、レンタカーを利用する運転者に、一時的なIDカードやパスワードを発行し、レンタカー返却時に返却させるようにすることもできる。また、これらを組み合わせて利用することもできる。さらに、複数の会員間で特定の自動車を共同使用するカーシェアリングにおいても、レンタカーの場合と同様に本発明を適用することが可能である。
【0165】
なお、この発明は、自動運転車の車両の盗難のみならず、車上荒しにも適用できる。この場合、乗車者が運転席に着座しなくても、車内カメラなどにより、車内への侵入者を発見した時点で、車内カメラで撮像した侵入者の顔画像を、登録されている顔画像と比較する。侵入者の顔画像が登録されていなければ、車上荒しと検知(盗難の状態であると検知)し、ドアや窓を閉ロック状態とし、自動運転により警察署等の移動先に移送する。
【0166】
さらに、この発明は、指名手配犯など、顔画像が入手できる犯人の逮捕にも適用できる。自動運転車が、クラウドと連携して、すなわち、インターネット上の所定のサイトから指名手配犯など犯人の顔画像を入手し、当該犯人の顔画像が自動運転車の乗車者の顔画像と一致した場合、盗難の状態の検知であると見なして、自動的にドアや窓を閉ロック状態とし、警察署等に移送することができる。この場合、乗車者が自動運転車の所有者や、所有者が運転を許可した乗車者などの登録者であっても、それを無効にし、強制的に警察署等に移送するようにすることができる。
【0167】
なお、顔画像でなく、指紋が入手できる犯人の場合は、指紋認証により同様の対応ができる。この実施形態をレンタカー会社が警察と連携して適用した場合、指名手配犯などがレンタカーを使用すると、当該レンタカーが指名手配犯などを特定し、所定の警察署等に移送するので、全国的なエリアで、犯人逮捕や犯人検挙の可能性を高める効果がある。
【0168】
また、走行中の自動運転車のドライバー(運転者)の顔画像を、自動速度違反取締装置などの道路に設置されている監視カメラシステムのカメラで撮影し、その撮影した顔画像が予め用意している犯人の顔画像と一致したときに、盗難の状態であると見なして、自動運転車にその旨を通知することもできる。この盗難の状態であることの通知を受けた自動運転車は、ドア閉ロック状態及び窓閉ロック状態にすると共に、自動運転により警察署等の移動先に強制的に移動するようになる。なお、この場合には、監視カメラシステムが、自動運転車の連絡先(通知先)を、ナンバープレートのナンバーに基づき、例えばインターネットのサイトから取得することができるように、当該サイトには、自動運転車のナンバーと、その連絡先(通知先)の情報を登録しておくようにするとよい。
【0169】
以上のようにすることで、指名手配犯など、顔画像や指紋が知られている犯人の逮捕や検挙の可能性を高めることができる。
【0170】
なお、上述の実施形態では、自車が盗難の状態であることが検知された場合に、所定の警察署等や最寄りの警察署等に、移送されたが、警察署等に管轄などがある場合は、管轄の警察署等に移送することができる。また、警察署等ではなく、盗難車専用の移送エリアを設けて、そこに移送するようにしてもよい。
【0171】
また、運送会社、宅配会社、バス会社、タクシー会社、レンタカー会社など、多くの自動運転車を管理、運用している会社の自動運転車が、盗難の状態であることが検知された場合に、自社が設けた盗難車専用の移送エリアに移送するようにしてもよい。
【0172】
また、自動運転車が備えるGPSを利用すれば、走行中の国や自治体が特定可能である。国や自治体がわかれば、特定された国や自治体に対応する各種警察機関の情報や、国や自治体によって異なる緊急通報用電話番号を入手でき、その国や自治体に特化した処理ができる。
【0173】
なお、この発明は、普通自動車、軽自動車のみならず、トラック、バス、タクシー、トラクター、ダンプカー、ブルドーザー、ショベルカー、フォークリフト、クレーン車、レッカー車、また、一人用自動車、自動二輪車、電動自転車、電動アシスト自転車などであっても適用できる。さらに、船舶や航空機、ヘリコプターなどにも適用可能である。
【0174】
また、上述の実施形態の自動運転車は、電気自動車の場合としたが、ガソリン車、ハイブリッド車、燃料電池車、その他の駆動方式の自動車であっても、この発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0175】
1,2…自動運転車、10…電子制御回路部、104…各種センサ群、105…カメラ群、106…GPS受信部、107…現在地確認部、112…タッチパネル付表示部、113…カーナビ機能部、114…ドアロック制御部、115…乗車者認証部、116…盗難検知処理部、117…手動/自動運転モード切替制御部