(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156344
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】片頭痛予防のためのラスミジタンの慢性的な夜間投薬
(51)【国際特許分類】
A61K 31/4545 20060101AFI20231017BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
A61K31/4545
A61P25/06
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023120471
(22)【出願日】2023-07-25
(62)【分割の表示】P 2021512380の分割
【原出願日】2019-09-03
(31)【優先権主張番号】62/726,585
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ラッセル・コンリー
(72)【発明者】
【氏名】グダルズ・ダバル
(72)【発明者】
【氏名】カーク・ウィリス・ジョンソン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】片頭痛、特に2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置または予防投与計画に対して不応性の片頭痛として定義される療法抵抗性片頭痛の予防のための、ラスミジタンの慢性的な夜間使用の方法を提供する。
【解決手段】片頭痛の予防を必要とする患者に、1経口用量あたり25~200mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド(ラスミジタン)、又はその薬学的に許容される塩を少なくとも5夜連続して夜間投与することを含む、片頭痛の予防のための方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の片頭痛の予防における、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法。
【請求項2】
患者の片頭痛の予防における、少なくとも5夜連続した、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜連続した、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
患者の片頭痛の予防における、少なくとも10夜連続した、隔夜の2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な使用のための、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜連続した、隔夜の2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な使用のための、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
患者の片頭痛の予防における、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための、請求項1に記載の方法であって、前記患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性である、方法。
【請求項7】
2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、25mg~200mgの用量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、25mgの用量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、50mgの用量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、75mgの用量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、100mgの用量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、150mgの用量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、200mgの用量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、前記患者に、1経口用量あたり25~200mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、方法。
【請求項15】
片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、前記患者に、1経口用量あたり25~200mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を少なくとも5夜連続して夜間投与することを含む、方法。
【請求項16】
片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、前記患者に、1経口用量あたり25~200mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を少なくとも30夜連続して夜間投与することを含む、方法。
【請求項17】
片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、前記患者に、1経口用量あたり25~200mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を少なくとも10夜連続して隔夜に夜間投与することを含む、方法。
【請求項18】
片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、前記患者に、1経口用量あたり25~200mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を少なくとも30夜連続して隔夜に夜間投与することを含む、方法。
【請求項19】
片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、前記患者に、1経口用量あたり25mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、前記患者に、1経口用量あたり50mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、前記患者に、1経口用量あたり75mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、前記患者に、1経口用量あたり100mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、前記患者に、1経口用量あたり150mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、前記患者に、1経口用量あたり200mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、片頭痛を予防するための、特に2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法片頭痛処置または予防投与計画に対して不応性の片頭痛として本明細書で定義される療法抵抗性片頭痛を予防するための、ラスミジタンの慢性的な夜間投与に関する。本発明の方法は、再発性片頭痛を有する患者の病状を修飾し、それにより、再発性片頭痛を有することに対する患者の感受性を低減するための新規の手段を提供する。したがって、ラスミジタンの慢性的な投薬による疾患修飾のための本方法は、片頭痛を予防し、患者の機能を片頭痛が比較的無病な状態に回復するための安全、認容可能、有効、かつ便利な経口手段を提供する。
【0002】
片頭痛は、他の厄介な症状に関連する中等度から重度の頭痛による疼痛の発作を特徴とする、重大、慢性的、かつ身体障害性の神経疾患である。片頭痛発作は、典型的には、未処置または処置失敗の場合、通常4~72時間続く。片頭痛を有する人々は、頭痛の発症前に前兆を経験する場合があり、発作は、わずかな身体活動によってすら悪化する可能性がある。さらに、片頭痛を有する人々は、併存性うつ状態、不安、パニック障害、睡眠障害、慢性疼痛症候群、および自殺未遂の生涯の割合がより高く、虚血性脳卒中および他の心血管疾患のリスクがより高い。米国および西欧における片頭痛の有病率は、11%~12%の範囲であり、男性(6%~7%)よりも女性(16%~18%)の方が割合が高い。この疾患は、25~55歳の個人で特に一般的であり、患者および社会の両方に対する負荷は、かなりのものである。片頭痛を有する人々は、疼痛が発作中の最も強烈かつ身体障害性の症状であると報告しているが、他の厄介な症状には、羞明、音恐怖症、悪心、および嘔吐が含まれる。頻繁な片頭痛発作を有する人では、78%が、仕事での機能が完全ではないと報告しており、3ヶ月の間に職場または学校での生産性が15日間低減していた。研究は、片頭痛を有する人々の約90%で機能が低減しており、約33%が片頭痛の発作中に床上安静を必要とすることを示している。片頭痛は、障害により失われた年数の第2に高い原因であると報告されており、職業、教育、家庭、家族、および社会的責任を著しく妨害する。
【0003】
片頭痛についての利用可能な処置選択肢は、有効性、忍容性、および患者のアドヒアランスの割合が不十分である。2013 Global Burden of Disease Studyでは、片頭痛は、神経学的障害に起因する障害により失われた全ての年数の半分超を占めていた(New strategies for the treatment and prevention of primary headache disorders,N.M.Schuster & A.M.Rapoport,Nature Reviews Neurology(2016)12,635-650)。比較的低頻度の片頭痛発作を有する患者(例えば、毎月1または2回発生)は概して、必要な場合にのみ急性処置薬を服用することによって個々の発作を管理するが、より高頻度の片頭痛発作を有する患者は、しばしば予防薬で処置される。米国では現在、4つの承認された経口薬:プロプラノロール、チモロール、ジバルプロエクスナトリウム、トピラマートが、片頭痛予防に利用可能である。予防的処置には、いくつかの経口選択肢が利用可能であるにもかかわらず、多くの患者は、応答がほとんどないか、または忍容性の問題を有し、経口片頭痛予防薬を服用する個人の解析は、アドヒアランスがほとんどなく、6ヶ月では26%~29%のみが依然として薬物を服用しており、12ヶ月では17%~20%が依然として薬物を服用していることを示した。したがって、片頭痛の頻度を低減し、患者の機能を改善することができる、代替的な経口投与される有効かつ忍容性の高い薬剤に対する実質的なニーズが、依然として存在している。
【0004】
ラスミジタンは、片頭痛の急性応需型処置のために開発中である選択的かつ非常に強力な5-HT1F受容体アゴニストである(例えば、Rubio-Beltran et al.,Pharmacol Ther2018;186:88-97、およびLasmiditan for the Treatment of Migraine,Capi,M.et al.,Expert Opinion Investigational Drugs,(2017),Vol.26,NO.2,227-234を参照されたい)。ラスミジタン(COL144、LY573144、CAS登録番号439239-90-4)は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミドとして化学的に表すことができ、以下のように構造上表すことができる。
【化1】
【0005】
ラスミジタンの従来の臨床開発研究は、片頭痛の疼痛および症状を緩和し、片頭痛を処置するための急性応需型処置投与計画を採用している。例えば、Phase3Studies(SAMURAI,SPARTAN)of Lasmiditan Compared to Placebo for Acute Treatment of Migraine(S50.008),Linda A.Wietecha,Bernice Kuca,Josephine Asafu-Adjei,Sheena K.Aurora,Neurology April2018,90(15Supplement)S50.008を参照されたく、ここで著者らは、初回用量後2時間で、偽薬と比較して、ラスミジタン200mgを使用して、有意に高い比率の患者(p<0.001)で頭痛による疼痛がなくなり(ラスミジタン200mg:SAMURAI32.2%、SPARTAN38.8%、偽薬:SAMURAI15.3%、SPARTAN21.3%)、最も厄介な症状(MBS)がなくなった(ラスミジタン200mg:SAMURAI40.7%、SPARTAN48.7%、偽薬:SAMURAI29.5%、SPARTAN33.5%)と報告している。両方の評価項目について、偽薬と比較した他のラスミジタン投薬群(100mg、50mg)の有意性も認められた。初回投薬後にラスミジタン(2%以上かつ偽薬よりも多量)を使用して最も頻繁に報告されたTEAEは、めまい、感覚異常、傾眠、疲労、悪心、および嗜眠であり、ほとんどの事象は、重症度が軽度から中等度であった。この解析から、著者らは、主要評価項目および鍵となる副次的評価項目が満たされ、安全性の結果は2つの第3相研究にわたって一致していたと結論付けた。したがって、ラスミジタンの急性応需型使用は、片頭痛患者の実質的な集団に有効な処置を提供するが、一部の患者は、発作を有し続ける場合があり、これらの発作を処置および/または予防する改善された方法が、重要な治療目標を表す。
【0006】
片頭痛を有する患者の管理は、利用可能な急性療法および予防的な療法が有効ではないか、または忍容性がほとんどないため、しばしば不十分である。片頭痛発作の急性処置は、鎮痛薬、鎮痛薬とカフェイン、エルゴタミン、およびトリプタンとの組み合わせの使用に限定されてきた。片頭痛のある特定の予防薬が利用可能であるにもかかわらず、多くの患者は、これらの処置に応答しないか、それらを忍容することができない。(このような薬剤の説明については、例えば、New Therapeutic Approaches for the Prevention and Treatment of Migraine,Diener,H.C.et al.,(2015)Lancet Neurology,14:1010-22を参照されたい)。米国、ドイツ、フランス、および日本などの国々では、約43%の患者が、予防薬の失敗を経験しているか、または処置を切り替えている。経口予防処置を受けている突発性または慢性片頭痛を有する患者の間では、副作用および有効性の欠如が、彼らが処置を中止する最も一般的な理由である。片頭痛の従来の処置は、有意な数の患者が十分な処置を受けないままでいることがある。例えば、患者の約30%である片頭痛発作の最大40%は、有効性または忍容性の問題が最適に満たないため、特定のトリプタンに応答し損ねている(Dodick DW.Headache.2005;45:156-162、およびTepper DE.Headache.2013(53)577-578を参照されたい)。血管収縮作用があるため、これらの薬剤は、心血管リスク因子および心血管疾患を有する患者に対する禁忌、警告、および注意を有する場合がある(Alwhaibi M,et al.Pain Res Treat.2016;2016:8538101、およびGilmore B,Michael M.Am Fam Physician.2011(83)271-280を参照されたい)。したがって、従来の単剤療法または二重療法片頭痛予防および/または処置のためについて、実質的な割合の患者が、頭痛の緩和および/または処置もしくは予防療法に応答して疼痛をなくすことを達成し損ねている場合がある。さらに、本明細書で療法抵抗性片頭痛患者と呼ばれる一部の患者は、片頭痛発作をうまく管理し損ねることになり、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法予防または処置投与計画に対して不応性である片頭痛に罹患することになる。これらの不適切に制御された片頭痛患者は、有意に障害性であり続ける、1ヶ月あたり数日の片頭痛日数を有する場合がある。
【0007】
片頭痛の予防、および/または片頭痛に対する患者の感受性の低減、および特に療法抵抗性片頭痛の予防に有効であることが証明され得る、より多くの異なる療法に対するニーズが存在する。療法抵抗性片頭痛は、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法の予防および/または処置投与計画に対して不応性の片頭痛として本明細書で定義される。したがって、片頭痛発作に罹患し、以前に片頭痛予防薬に失敗している患者のための新たな予防選択肢に対するニーズが存在する。
【0008】
本発明は、ラスミジタンの慢性的な夜間投与および片頭痛を予防する方法を提供する。ラスミジタンの慢性的な夜間投与は、患者の睡眠時間との一致を標的とする長期間の夜間投与で5-HT1Fを選択的に標的とすることによる、片頭痛を予防するための革新的なアプローチを表す。さらに、本発明は、片頭痛に対する患者の感受性を低減するためのラスミジタンの慢性的な夜間投与の使用を提供する。さらに、本発明は、ラスミジタンの慢性的な夜間投与および療法抵抗性片頭痛を予防する方法を提供し、療法抵抗性片頭痛は、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置または予防投与計画に対して不応性の片頭痛として本明細書で定義される。
【0009】
実施例1に記載のものなどの前臨床研究は、ラスミジタンの使用が、三叉神経系の機能不全状態の驚くほど持続的な改善を誘発し得ることを示唆している。同様に、実施例2に記載のものなどの第III相臨床研究は、片頭痛発作に対する片頭痛患者の感受性の改善が、長期間の応需型ラスミジタン使用とともに経時的に生じ得るという驚くべきかつ予想外の証拠を提供する。これらの研究は、ラスミジタンの慢性的な夜間投与が、片頭痛に対する片頭痛患者の感受性を低減し、かつ/または臨床的に有利な方法で患者の片頭痛を予防するための改善された手段を提供するという概念につながっている。本発明は、片頭痛患者が、投与時間と、患者が自動車を運転するか、または同等の活動に従事することを望む次の時間枠との間に8時間、およびより好ましくは12時間を有するような、ラスミジタンの慢性的な夜間投与を提供する。この投与計画が有利であるのは、ラスミジタン処置が、軽度から中等度のめまい、感覚異常、傾眠、疲労、悪心、および嗜眠に関連する可能性があり、結果として、患者は、投与後のある特定の時間にわたり運転を避ける必要があり得るためである。さらに、本発明は、片頭痛患者が、より低用量またはより高用量のいずれかのラスミジタンをさらに採用して、個々の患者にとって有効な予防を達成することができるような、ラスミジタンの慢性的な夜間投与を提供する。特に、本発明は、好ましくは一晩あたり25mg~200mgの1投与あたりの総用量を使用した、ラスミジタンの慢性的な夜間投与を提供する。
【0010】
したがって、本発明は、片頭痛に対する患者の感受性を低減するため、および/または片頭痛の予防のため、および特に療法抵抗性片頭痛の予防のための、ラスミジタンの慢性的な夜間投与を提供する。片頭痛に対する患者の感受性を低減するため、および/または片頭痛の予防のため、および特に療法抵抗性片頭痛の予防のための、ラスミジタンの慢性的な夜間投与の方法は、以下に記載のラスミジタンの投与のためのある特定の用量および投薬投与計画を採用する。
【0011】
本発明は、片頭痛に対する患者の感受性を低減するため、および/または片頭痛の予防のため、および特に療法抵抗性片頭痛の予防のための、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、25~200mgのラスミジタン、またはヘミコハク酸塩などのその薬学的に許容される塩の総夜間用量、および薬学的に許容される希釈剤または担体の投与を含む、投与を提供する。
【0012】
本発明は、片頭痛に対する患者の感受性を低減するため、および/または片頭痛の予防のため、および特に療法抵抗性片頭痛の予防のための、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、25mgのラスミジタン、またはヘミコハク酸塩などのその薬学的に許容される塩の総夜間用量、および薬学的に許容される希釈剤または担体の投与を含む、投与を提供する。
【0013】
本発明は、片頭痛に対する患者の感受性を低減するため、および/または片頭痛の予防のため、および特に療法抵抗性片頭痛の予防のための、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、50mgのラスミジタン、またはヘミコハク酸塩などのその薬学的に許容される塩の総夜間用量、および薬学的に許容される希釈剤または担体の投与を含む、投与を提供する。
【0014】
本発明は、片頭痛に対する患者の感受性を低減するため、および/または片頭痛の予防のため、および特に療法抵抗性片頭痛の予防のための、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、75mgのラスミジタン、またはヘミコハク酸塩などのその薬学的に許容される塩の総夜間用量、および薬学的に許容される希釈剤または担体の投与を含む、投与を提供する。
【0015】
本発明は、片頭痛に対する患者の感受性を低減するため、および/または片頭痛の予防のため、および特に療法抵抗性片頭痛の予防のための、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、100mgのラスミジタン、またはヘミコハク酸塩などのその薬学的に許容される塩の総夜間用量、および薬学的に許容される希釈剤または担体の投与を含む、投与を提供する。
【0016】
本発明は、片頭痛に対する患者の感受性を低減するため、および/または片頭痛の予防のため、および特に療法抵抗性片頭痛の予防のための、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、150mgのラスミジタン、またはヘミコハク酸塩などのその薬学的に許容される塩の総夜間用量、および薬学的に許容される希釈剤または担体の投与を含む、投与を提供する。
【0017】
本発明は、片頭痛に対する患者の感受性を低減するため、および/または片頭痛の予防のため、および特に療法抵抗性片頭痛の予防のための、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、200mgのラスミジタン、またはヘミコハク酸塩などのその薬学的に許容される塩の総夜間用量、および薬学的に許容される希釈剤または担体の投与を含む、投与を提供する。
【0018】
本発明は、片頭痛の予防に使用するための、化合物2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩であって、慢性的に夜間投与される、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、片頭痛の予防に使用するための、化合物2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩であって、少なくとも5夜連続して慢性的に夜間投与される、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、片頭痛の予防に使用するための、化合物2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩であって、少なくとも30夜連続して慢性的に夜間投与される、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、片頭痛の予防に使用するための、化合物2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩であって、少なくとも10夜連続して隔夜に慢性的に夜間投与される、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、片頭痛の予防に使用するための、化合物2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩であって、少なくとも30夜連続して隔夜に慢性的に夜間投与される、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、片頭痛の予防に使用するための、化合物2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩であって、この化合物またはその薬学的に許容される塩が、少なくとも30夜連続して慢性的に夜間投与され、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性である、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、25mg~200mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、25mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、50mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、75mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、100mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、150mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、200mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。
【0019】
本発明は、片頭痛の予防に使用するための、化合物2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩であって、1用量あたり25~200mgの用量で経口夜間投与される、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、片頭痛の予防に使用するための、化合物2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩であって、1用量あたり25~200mgの用量で、少なくとも5夜連続して経口夜間投与される、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、片頭痛の予防に使用するための、化合物2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩であって、1用量あたり25~200mgの用量で、少なくとも30夜連続して経口夜間投与される、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、片頭痛の予防に使用するための、化合物2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩であって、1用量あたり25~200mgの用量で、少なくとも10夜連続して隔夜に経口夜間投与される、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。本発明は、片頭痛の予防に使用するための、化合物2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩であって、1用量あたり25~200mgの用量で、少なくとも30夜連続して隔夜に経口夜間投与される、化合物またはその薬学的に許容される塩を提供する。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、25mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、50mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、75mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、100mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、150mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、200mgの用量で投与される、上記の実施形態のいずれか一項に記載の使用。
【0020】
本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の投与を含む、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、該組成物が、経口投与用であり、ラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の量が、1用量あたり約25mg~約200mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の慢性的な夜間投与であって、該組成物が、頬側、舌下、鼻/鼻腔内、経皮、皮下、注射、静脈内、または筋肉内投与用であり、投与されるラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の量が、1用量あたり約25~約200mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の投与を含む、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、該組成物が、経口投与用であり、ラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の量が、1用量あたり約25mg~約100mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の投与を含む、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、該組成物が、経口投与用であり、ラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩の量が、1用量あたり100mg~200mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の投与を含む、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、ラスミジタンの量が、1用量あたり25mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の投与を含む、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、ラスミジタンの量が、1用量あたり50mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の投与を含む、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、ラスミジタンの量が、1用量あたり75mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の投与を含む、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、ラスミジタンの量が、1用量あたり100mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の投与を含む、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、ラスミジタンの量が、1用量あたり150mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の投与を含む、ラスミジタンの慢性的な夜間投与であって、ラスミジタンの量が、1用量あたり200mgである、投与を提供する。
【0021】
本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の慢性的な夜間投与であって、該組成物が、ラスミジタンのヘミコハク酸塩を含む、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の慢性的な夜間投与であって、該組成物が、ラスミジタンのヘミコハク酸塩を含み、投与される量が、1用量あたり25mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の慢性的な夜間投与であって、該組成物が、ラスミジタンのヘミコハク酸塩を含み、投与される量が、1用量あたり50mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の慢性的な夜間投与であって、該組成物が、ラスミジタンのヘミコハク酸塩を含み、投与される量が、1用量あたり75mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の慢性的な夜間投与であって、該組成物が、ラスミジタンのヘミコハク酸塩を含み、投与される量が、1用量あたり100mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の慢性的な夜間投与であって、該組成物が、ラスミジタンのヘミコハク酸塩を含み、投与される量が、1用量あたり150mgである、投与を提供する。本発明は、ラスミジタンの薬学的組成物の慢性的な夜間投与であって、該組成物が、ラスミジタンのヘミコハク酸塩を含み、投与される量が、1用量あたり200mgである、投与を提供する。
【0022】
一実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、25mg~200mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、25mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、50mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、75mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、100mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、150mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、200mgの用量で投与される、方法を提供する。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも5夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも5夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、25mg~200mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも5夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、25mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも5夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、50mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも5夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、75mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも5夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、100mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも5夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、150mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも5夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、200mgの用量で投与される、方法を提供する。
【0024】
別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、25mg~200mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、25mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンは、50mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、75mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、100mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、150mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜連続した、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、200mgの用量で投与される、方法を提供する。
【0025】
別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも10夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも10夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、25mg~200mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも10夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、25mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも10夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、50mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも10夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、75mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも10夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、100mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも10夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、150mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも10夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、200mgの用量で投与される、方法を提供する。
【0026】
別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、25mg~200mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、25mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、50mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、75mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、100mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、150mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜にわたる、隔夜のラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、ラスミジタンが、200mgの用量で投与される、方法を提供する。
【0027】
別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防における、ラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性である、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性であり、ラスミジタンが、25mg~200mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性であり、ラスミジタンが、25mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性であり、ラスミジタンが、50mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性であり、ラスミジタンが、75mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性であり、ラスミジタンが、100mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性であり、ラスミジタンが、150mgの用量で投与される、方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、患者の片頭痛の予防におけるラスミジタンの慢性的な夜間使用のための方法であって、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性であり、ラスミジタンが、200mgの用量で投与される、方法を提供する。
【0028】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり25~200mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、方法を提供する。本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり25mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、方法を提供する。本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり50mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、方法を提供する。本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり75mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、方法を提供する。本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり100mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、方法を提供する。本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり150mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、方法を提供する。本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり200mgの2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩を夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0029】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり25~200mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を夜間投与することを含む、方法を提供する。本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり25mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を夜間投与することを含む、方法を提供する。本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり50mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を夜間投与することを含む、方法を提供する。本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり75mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を夜間投与することを含む、方法を提供する。本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり100mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を夜間投与することを含む、方法を提供する。本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり150mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を夜間投与することを含む、方法を提供する。本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり200mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0030】
本発明は、患者の片頭痛の予防における、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法を提供する。本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも5夜連続した、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法を提供する。本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜連続した、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法を提供する。本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも10夜にわたる、隔夜の2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法を提供する。本発明は、患者の片頭痛の予防における、少なくとも30夜にわたる、隔夜の2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法を提供する。本発明は、患者の片頭痛の予防における、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法であって、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性である、方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、25mg~200mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、25mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、50mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、75mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、100mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、150mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、200mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。
【0031】
本発明は、患者の群発頭痛の予防における、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法を提供する。本発明は、患者の群発頭痛の予防における、少なくとも5夜連続した、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法を提供する。本発明は、患者の群発頭痛の予防における、少なくとも30夜連続した、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法を提供する。本発明は、患者の群発頭痛の予防における、少なくとも10夜にわたる、隔夜の2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法を提供する。本発明は、患者の群発頭痛の予防における、少なくとも30夜にわたる、隔夜の2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法を提供する。本発明は、患者の群発頭痛の予防における、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩の慢性的な夜間使用のための方法であって、患者の片頭痛が、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性である、方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、25mg~200mgの用量で投与される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、25mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、50mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、75mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、100mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、150mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。本発明は、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド、またはその薬学的に許容される塩が、200mgの用量で投与される、先行する実施形態のいずれか一項に記載の方法を提供する。
【0032】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり25~200mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも5夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0033】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり25mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも5夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0034】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり50mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも5夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0035】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり75mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも5夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0036】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり100mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも5夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0037】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり150mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも5夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0038】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり200mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも5夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0039】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり25~200mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも30夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0040】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり25mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも30夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0041】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり50mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも30夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0042】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり75mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも30夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0043】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり100mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも30夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0044】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり150mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも30夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0045】
本発明は、片頭痛の予防を必要とする患者における片頭痛の予防のための方法であって、患者に、1経口用量あたり200mgのラスミジタンまたはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される希釈剤または担体を少なくとも30夜連続して夜間投与することを含む、方法を提供する。
【0046】
多くの患者は、応需型のラスミジタンでの処置によって片頭痛の発作をうまく管理することができることになるが、患者のある集団は、この処置で片頭痛発作をうまく管理し損ねる場合がある。同様に、多くの患者は、CGRPアンタゴニストまたは予防用の別の単剤療法で片頭痛を予防することができる場合がある。しかし、有意な集団では、これらのアプローチはいずれも片頭痛を十分に予防または管理することにならず、これらの患者は、有意に障害性であり続ける、1ヶ月あたり数日の片頭痛日数を有する場合がある。さらに、本明細書で療法抵抗性片頭痛患者と呼ばれる一部の患者は、片頭痛発作をうまく管理し損ねることになり、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画に対して不応性である片頭痛に罹患することになる。
【0047】
本明細書で定義される場合、療法抵抗性片頭痛患者は、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画にもかかわらず、1ヶ月あたり3日間以上片頭痛に罹患し続ける患者となる。本明細書で使用される場合、2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置および/または予防投与計画は、単剤療法または二重療法もしくは予防投与計画での従来の不満足な処置試行を意味し、処置投与計画は、トリプタン、エルゴタミン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、非麻薬性鎮痛薬、血圧薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、セロトニンアンタゴニスト、オナボツリヌス毒素、およびカフェインを単独または2つのこのような薬剤の組み合わせのいずれかで含み得る。片頭痛発作の予防に使用される薬剤には概して、ベータ遮断薬(例えば、プロプラノロール、アテノロール、メトプロロール、ナドロール、およびチモロール)、カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ベラパミル、ジルチアゼム、ニモジピン)、三環系抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、イミプラミン)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(例えば、フルオキセチン、パロキセチン、およびセルトラリン)、抗痙攣薬(例えば、ジバルプロエクスナトリウム、ガバペンチン、およびトピラマート)、セロトニンアンタゴニスト(例えば、メチセルジドおよびメチルエルゴノビン)、ならびにマグネシウム塩(例えば、酸化マグネシウム、塩化マグネシウム徐放、およびジグリシン酸マグネシウム)、ビタミン(例えば、リボフラビン)、および草本(例えば、Mig-99およびペタサイト)を含む他の処置が含まれる。あるいは、片頭痛発作の予防に一般的に使用される薬剤のクラスは、CGRPに対する抗体または小分子アンタゴニストであり得る。当業者に既知であるこれらのCGRPアンタゴニストには、エプチンスマブ(ALD403)、フレマネズマブ(TEV-48125)、エレヌマブ(AMG334)、ウブロペパント(MK-1602)、MK-8031(アトゲパント)、オルセゲパント、またはリメゲパント(BHV-3000、BMS-927711)が含まれる(例えば、New strategies for the treatment and prevention of primary headache disorders,N.M.Schuster&A.M.Rapoport,Nature Reviews Neurology(2016)12,635-650を参照されたい)。
【0048】
本明細書で定義される場合、療法抵抗性片頭痛患者には、「不応性の片頭痛」を有する患者が含まれる。本明細書で使用される場合、不応性の片頭痛には、不応性の慢性片頭痛および/または不応性の偶発性片頭痛が含まれるが、これらに限定されない。不応性の片頭痛患者の特定手段は、当業者に既知である。例えば、不応性の慢性片頭痛は、European Headache Federation(EHF)によって提供されるこの容態についての提案基準に説明されているように、当業者によって認識されている(Headache Classification Committee of the International Headache Society(IHS)。The International Classification of Headache Disorders、第3版を参照されたい)。EHFは、不応性の慢性片頭痛が、各々少なくとも3ヶ月間の試行を用いる適切な薬用量の少なくとも3つの予防薬による処置に応答し損ねた患者において、薬剤の過剰使用のないICHD-3ベータ慢性片頭痛として定義されるべきであることを推奨している。提案基準は、以下のように簡単に記載することができる。A.薬剤の過剰使用のないICHD-3ベータ慢性片頭痛、B.各々少なくとも3ヶ月間使用される適切な薬用量での片頭痛予防薬、C.以下のクラスからの少なくとも3つの薬剤による予防薬についての禁忌または効果なし:ベータ遮断薬(毎日最大240mgのプロプラノロール、毎日最大200mgのメトプロロール、毎日最大100mgのアテノロール、毎日最大10mgのビソプロロール)、抗痙攣薬(毎日最大1.5gのバルプロ酸、毎日最大200mgのトピラマート)、三環系(毎日最大150mgのアミトリプチリン)、または他(毎日最大10mgのフルナリジン、毎日最大16mgのカンデサルタン、PREEMPTプロトコルによる155~195Uのオナボツリヌス毒素A)、およびD.利用可能な場合、集学的チームによる精神医学のまたは他の共存疾患の適切な処置。
【0049】
不満足な処置の試行は、患者が療法の全コースの後に、障害が回避されるほど症状が緩和されなかったと結論付けるものである。好ましくは、本発明の方法は、ラスミジタン投与計画の慢性的な夜間投与後に、片頭痛患者に有意な臨床上の障害がないように片頭痛障害の予防を提供し、この中で、患者は、片頭痛発作および関連する完全な障害、または床上安静を必要とすること、または日常活動への著しい干渉を報告しない。より好ましくは、本発明の方法は、ラスミジタン投与計画の慢性的な夜間投与後に、片頭痛患者に軽度の干渉がないように片頭痛障害を予防する。より好ましくは、本発明の方法は、ラスミジタン投与計画の慢性的な夜間投与後に、片頭痛患者にまったく障害がないように片頭痛障害を予防する。11以上の合計スコアが中等度から重度の頭痛に関連する障害を表し得る、片頭痛障害評価などの片頭痛の障害尺度は、当業者に周知である。本発明の実施形態において、10以下の片頭痛障害評価、または当業者に既知の手段による同等の評価は、障害の回避を表す。好ましくは、本発明の方法は、患者が片頭痛障害評価で10以下の合計スコアを報告するように片頭痛障害を予防する。好ましくは、本発明の実施形態において、片頭痛障害評価または当業者に既知の手段による同等の評価は、臨床的に障害がないことを実証することになる。
【0050】
療法抵抗性患者は、再発性片頭痛が実質的にないことをまだ達成していないため、重大な、満たされていないニーズを表している。これらの療法抵抗性片頭痛患者が複数の従来の処置投与計画から適切な緩和を達成し損ねていることは、該患者の疾患の処置が特に困難であることを実証しており、この集団での有効性は、驚くべき優れた結果を表す。本発明は、ラスミジタンが、化合物がもはや急性薬理学的作用のレベルで存在しなくなった後も持続すると思われる、持続的かつ比較的持続性の効果を有するという証拠を提供する驚くべき予想外の前臨床および臨床観察から生じる。したがって、これらの観察は、片頭痛に対する感受性を低減するためのラスミジタンの慢性的な夜間投薬の概念につながっている。本発明の方法は、再発性片頭痛を有する患者の病状を潜在的に修飾し、それにより、再発性片頭痛を有することに対する患者の感受性を低減するための新規の手段を提供する。これらの方法は、2つ以上の従来の単剤療法ならびに/または二重療法処置および/もしくは予防投与計画に対して不応性である再発性片頭痛を有する患者の病状を修飾する上で特に有用であり、したがって重要な満たされていない医学的ニーズを表す。より具体的には、片頭痛を予防し、患者の機能を片頭痛が比較的無病な状態に回復するための安全、認容可能、有効、かつ便利な経口手段を提供するための代替的な投与計画に対する満たされていないニーズが存在する。
【0051】
片頭痛、および療法抵抗性片頭痛を予防するためのラスミジタンの慢性的な夜間投与のための新規の方法が、本明細書に提供される。ラスミジタンの慢性的な夜間投与は、応需型処置よりも優れており、再発性片頭痛を有する患者の病状を修飾するための新規の手段を提供し、それにより、再発性片頭痛を有することに対する患者の感受性を低減すると考えられている。これらの投薬投与計画の薬理学的結果は、片頭痛に罹患する患者において片頭痛予防に優れた有効性をもたらし、2つ以上の従来の単剤療法ならびに/または二重療法片頭痛予防投与計画に対して不応性の片頭痛として本明細書で定義される療法抵抗性片頭痛を予防すると考えられている。
【0052】
本発明の方法は、患者の片頭痛が2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置投与計画に対して不応性である、療法抵抗性片頭痛に罹患する患者におけるものを含む、改善された片頭痛予防を提供し、片頭痛発作の安全、認容可能、かつ有効な予防を含む、薬理学的利点の特に有利な組み合わせをさらに提供し、同時に、めまい、感覚異常、および傾眠などの臨床的に認容可能なレベルの有害作用を提供すると考えられている。本発明の予防方法は、部分的には、片頭痛患者が、より低用量のラスミジタン、例えば、25mgまたは50mgの夜間投与で、片頭痛の発作を適切に予防することを可能にすることによって、これらの利点を提供することができるか、あるいは、個々の患者がより高用量を必要とする場合、それらの患者には、100mg、150mg、または200mgを投与して、有効な予防を達成することができる。この点において、本発明の方法は、片頭痛患者に有意な低減、ならびに/またはより好ましくは有意な片頭痛の症状および障害がないことを提供する。
【0053】
本明細書で使用される場合、「慢性的な夜間投与」は、指定された用量でのラスミジタンの長期かつ定期的な投与から有益な効果を提供することを意図した特定の処置投与計画としてのラスミジタンの投与を含む。特に、「慢性的な夜間投与」は、5夜以上連続して、または患者の片頭痛発作の予防に必要な期間にわたって、毎晩連続して投与することを含む。さらに、「慢性的な夜間投与」は、合計10夜以上の期間にわたって、または患者の片頭痛発作の予防に必要な期間にわたって、隔夜で連続して投与することを含む。患者が時折1夜を逃した場合、患者は、投与が指定された次の夜に単に投与を再開することができ、このような場合は、「慢性的な夜間投与」を表し続ける。「夜間」は、患者が典型的には睡眠時間とみなすような、患者が一定時間にわたって睡眠または休息することを意図する任意の特定の時間を含み得る。「夜間」は、「睡眠サイクルの前」の任意の特定の時間を含むことができ、「睡眠サイクル」は、概日リズムとしても知られる、24時間の睡眠/覚醒サイクルの睡眠部分として定義される。好ましくは、「夜間投与」は、患者が自動車の操作を望む次のウィンドウの12時間前に発生する。好ましくは、「夜間投与」は、患者が自動車の操作を望む次のウィンドウの8時間前に発生する。本明細書で使用される場合、「夜間」は、ラスミジタンが、24時間ごとに1回、または暦日ごとに1回、好ましくは5日以上連続して、または片頭痛予防に必要な期間にわたって投与されることを意味する。本明細書で使用される場合、指定された用量または用量範囲「夜間」または「一晩あたり」は、用量または範囲が、一晩あたり、または暦日の24時間あたりの最大総用量であることを意味する。本明細書で使用される場合、「慢性的な夜間」は、ラスミジタンが、夜間、または隔夜で、継続的に連続して、好ましくは10日以上の期間にわたって、または片頭痛予防に必要な期間にわたって投与されることを意味する。本明細書で使用される場合、「慢性」は、ラスミジタンが継続的に連続して投与され、患者が用量を投与する、かつ/または患者が処置投与計画の一部として用量を投与するように指示されることを意味する。
【0054】
本明細書で使用される場合、ラスミジタンには、2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-イルカルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミド一塩酸塩、および2,4,6-トリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-カルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミドヘミコハク酸塩が含まれるがこれらに限定されない、その薬学的に許容される塩が含まれる。ラスミジタン、ならびにその塩およびある特定の製剤および剤形を調製する方法は、当業者に既知であり、WO2003/084949および/またはWO2011/123654に記載されている。
【0055】
本発明の実施形態は、月経性片頭痛の予防のためのラスミジタンと受胎調節薬との組み合わせを想定する。エストロゲン(例えば、エチニルエストラジオール)とプロゲスチンとの組み合わせを含む、経口避妊薬の組み合わせ(経口受胎調節薬とも呼ばれる)などの受胎調節薬は、当業者に周知である。
【0056】
いくつかの実施形態において、患者は、本明細書に記載の薬学的組成物による予防を必要とする容態または障害を有すると診断されたヒトである。いくつかの実施形態において、患者は、本明細書に記載の薬学的組成物による投与の必要が示される容態または疾患のリスクがあることを特徴とするヒトである。本発明の方法によって処置することができる障害が、片頭痛、偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、および/または偶発性群発頭痛などの、確立されかつ受け入れられている分類によって既知である場合、該分類は、種々の情報源に見出すことができる。例えば、現在、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders(DSM-IV(商標))(1994,American Psychiatric Association,Washington,D.C.)の第4版は、本明細書に記載の障害の多くを特定するための診断ツールを提供する。また、International Classification of Diseases第10版(ICD-10)は、本明細書に記載の障害の多くについての分類を提供する。当業者は、DSM-IVおよびICD-10に記載のものを含む、本明細書に記載の障害についての代替的な命名法、疾病分類学、および分類系統があること、ならびに用語および分類系統が医科学の進歩とともに進化することを認識することになる。片頭痛患者はさらに、国際頭痛学会(IHS)のInternational Classification of Headache disorders第3版、(ICHD-3)ベータ版(The International Classification of Headache Disorders,第3版(ベータ版),Cephalalgia2013;33:629-808)によって定義されているように、前兆のあるまたはない(1.1および1.2)片頭痛と診断され得る。いくつかの実施形態において、ヒト患者は、片頭痛を予防するための、好ましくは夜間のラスミジタンの慢性的な投与を受ける前に、偶発性片頭痛と診断されている。いくつかの実施形態において、ヒト患者は、ラスミジタンを受ける前に、慢性片頭痛と診断されている。いくつかの実施形態において、ヒト患者は、片頭痛による前兆を経験する。いくつかの実施形態において、ヒト患者は、片頭痛による前兆を経験しない。
【0057】
本明細書で使用される場合、「片頭痛」には、片頭痛発作が含まれるが、これに限定されない。本明細書で使用される場合、「片頭痛発作」は、以下の説明を指す。症状は、片頭痛発作の種々の相で重複する場合があり、全ての患者が同じ臨床徴候を経験するわけではない。前駆症状相において、患者の大多数は、頭痛相に最大72時間だけ先行し得る前駆症状を有する。これらには、気分および活動の変化、易刺激性、疲労、食物渇望、反復性のあくび、肩こり、および音恐怖症が含まれる。これらの症状は、前兆相、頭痛相、およびさらには後発症状相に入っても持続する場合がある。一部の患者は、患者の約3分の1が発作中に一過性の神経学的欠損を経験する、前兆相を経験する。ICHD-3は、前兆を、5分以上にわたって発症し、そのうち各欠損が5~60分続く、1回以上の一過性の完全に可逆的な神経学的欠損として定義し、そのうち少なくとも1回は、片側性の局在を有しなければならない。陽性(閃輝暗点)、陰性(暗点)、またはその両方の現象を示し得る視覚的前兆は、症例の90%超に見出されるが、最も一般的な欠損、感覚、運動、言語、脳幹、および網膜前兆症状もまた、発生する場合がある。皮質のニューロン脱分極の一過性の波は、片頭痛の前兆の臨床現象の根底にある病態生理学的な脳のメカニズムであると考えられている。頭痛相において、4~72時間続き得る頭痛発作には、悪心、羞明および音恐怖症、またはその両方が伴う。頭痛は、片側性、脈動性、中等度または重度の強度、および身体活動によって悪化することを特徴とし、これらの特徴のうちの2つは、診断基準を満たすのに十分である。後発症状相において、特徴的な症状は、前駆相において観察された症状を反映する。典型的な後発症状の症状には、疲労、集中力の低下、および肩こりが含まれる。これらの症状が前駆相で始まり、頭痛相から後発症状相まで持続するのか、それらが頭痛相においても始まるのか、または頭痛相が終了した後に現れるのかは、不明なままである。
【0058】
本明細書で使用される場合、「片頭痛」は、以下の必要とされる特徴(AおよびB)の両方を有する、持続時間が30分以上の前兆のあるまたはない頭痛を指す:A)以下の頭痛特徴のうちの少なくとも2つ:1)片側性の位置、2)脈動性の質、3)中等度または重度の疼痛強度、および4)日常的な身体活動による悪化またはその回避が引き起こされること、かつB)頭痛の間に以下のうちの少なくとも1つがあること:a)悪心および/もしくは嘔吐、ならびに/またはb)羞明および音恐怖症。本明細書で使用される場合、「中位数片頭痛」は、前兆のあるまたはない、持続時間が30分超であるが、国際頭痛学会のICHD-3定義における片頭痛の特徴のうちの1つを欠損している頭痛を指す。
【0059】
本明細書で使用される場合、「片頭痛日数」は、片頭痛または中位数片頭痛が発生する暦日を指す。本明細書で使用される場合、「ICHD片頭痛日数」は、片頭痛が発生する暦日を指す。「片頭痛発作」は、片頭痛または中位数片頭痛が記録され、片頭痛がない日が発生したときに終了する、任意の日の始まりを指す。「非片頭痛」は、片頭痛または中位数片頭痛の定義を満たさない、持続時間が30分超の全ての頭痛を指す。「非片頭痛日数」は、非片頭痛が発生する暦日を指す。「頭痛日数」は、任意の種類の頭痛(片頭痛、中位数片頭痛、および非片頭痛を含む)が発生する暦日を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「偶発性片頭痛」は、前向きベースライン期間における30日間の期間あたり4~14日間の片頭痛日数および15日未満の頭痛日数を指す。本明細書で使用される場合、「慢性片頭痛」は、前向きベースライン期間における30日間の期間あたり少なくとも15日間の頭痛日数(そのうち少なくとも8日間が片頭痛である)を指す。「片頭痛日数」は、片頭痛または中位数片頭痛が発生する暦日を指す。
【0061】
本明細書で形容詞として使用される場合、「医薬品」または「薬学的に許容される」という用語は、受け手に対して実質的に無毒であり、かつ実質的に無害であることを意味する。「薬学的組成物」はさらに、担体、溶剤、賦形剤、および塩が、組成物の活性成分(例えば、本発明の化合物)と適合性でなければならないことを意味する。「薬学的製剤」および「薬学的組成物」という用語が概して相互交換可能であり、かつ該用語が本出願の目的のためにそのように使用されることは、当業者によって理解される。さらに、本発明の化合物、例えば、該化合物の塩は、水和または非水和(無水)の形態で存在することができる。水和物の非限定例には、一水和物、二水和物などが含まれる。本発明の化合物がアミンであるとき、該化合物は、本質的に塩基性であり、したがっていくつかの無機酸および有機酸のうちのいずれかと反応して、薬学的に許容される酸付加塩を形成する。「酸付加塩」という用語は、化合物と鉱酸または有機酸との反応によって調製される化合物の塩を指す。本発明の化合物は、広範な種々の有機酸および無機酸を用いて薬学的に許容される酸付加塩を形成し、薬化学においてしばしば使用される生理学的に許容される塩を含む。このような塩もまた、本発明の実施形態である。「薬学的に許容される(酸)付加塩」は、当該技術分野で周知のように、薬学的に許容される酸から形成される。このような塩には、当業者に周知であるBerge,S.M,Bighley,L.D.,and Monkhouse,D.C.,J.Pharm.Sci.,66:1,(1977)において例証される薬学的に許容される塩が含まれる。
【0062】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、患者への単回または複数回投与時に患者において所望の薬理学的効果を提供する、1回の投与で投与される合計量、例えば、5-HT1F受容体を活性化することができる量などの薬学的組成物中のラスミジタンの量または用量を意味する。好ましい実施形態において、「有効量」は、慢性的な夜間投与時に、投与後1日以上にわたって、患者の片頭痛発作をなくすことができる量のラスミジタンを意味する。「用量」は、患者において所望の治療効果をもたらすように計算された所定の量のラスミジタンを指す。本明細書で使用される場合、「mg」は、ミリグラムを指す。本明細書で使用される場合、mgで記載の用量は、質量による遊離塩基当量としての活性薬学的成分ラスミジタンを指し、例えば、「100mg」の用量は、遊離塩基当量としての100mgの活性薬学的成分ラスミジタンを指す。本明細書で使用される場合、所与の用量は、示される用量よりも最大10パーセント高いか、または低い用量が、示される用量と同様の方法で有用な投与計画を提供することが同様に想定されるという点で、およそ示される量の用量を記載すると解釈され得る。
【0063】
本明細書で使用される場合、「予防」(または「予防する」もしくは「予防すること」)という用語は、疾患、障害、および/または容態の症状を妨げること、回避すること、未然に除去すること、未然に防ぐこと、発生を低減すること、中止すること、または妨害することを指す。予防は、投与の時点で、疾患、障害、および/または容態の症状を示していない対象への薬剤の投与を指す。対照的に、「処置すること」または「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、既に存在する病状または容態、例えば、患者または対象における既存の片頭痛発作を軽減または調節することを意味する。本明細書に記載の予防方法に言及する実施形態において、このような実施形態はまた、その予防に使用するための、またはそれに代わるものとして、その予防に使用するための医薬品を製造するための、さらなる実施形態でもある。
【0064】
本明細書で使用される場合、「片頭痛に対する感受性の低減」という用語は、例えば、片頭痛に対して患者を感受性にさせる病因病理学的な因子および/または器官機能不全(例えば、三叉神経系におけるものなど)が、片頭痛に関して、患者が恒常性により近づき、かつその患者がその後に片頭痛を有する傾向および/またはリスクが有意に臨床的に減少するように修飾されている、片頭痛患者の病状の変化を指す。「片頭痛に対する感受性の低減」は、片頭痛患者において観察することができ、患者は、ラスミジタンの慢性的な投与での処置後に、ラスミジタンの血中および/または組織レベルが十分に低い、かつまたは不在であるために、事前に投与された用量がもはや既知の薬理学的に有意義な用量応答範囲内で5-HT1F受容体に関与していないにもかかわらず、より少ない片頭痛日数および/またはより少ない片頭痛発作を有する。つまり、ラスミジタンの事前の慢性的な夜間投与は、もはや存在しないが、患者において疾患の修飾をもたらしている。その疾患の修飾は、片頭痛に対する感受性のその後の低減である。片頭痛に対する感受性のこの低減は、患者を臨床的に片頭痛発作がない状態により近づけるため、大幅に低減した片頭痛誘発性障害を示し、通常の日常生活活動の再開を促進する。
【0065】
本明細書で使用される場合、「1ヶ月」、「毎月」、およびそれらの派生語は、特に記載されない限り、連続した28~31日である期間を指す。「約」という用語は、本明細書で使用される場合、記載される数値に十分近接していること、例えば、記載される数値の±10%を意味する。
【0066】
プロプラノロールの非限定例には、塩酸プロプラノロール、ANAPRILIN(登録商標)、AVLOCARDYL(登録商標)、INDERAL(登録商標)、OBZIDAN(登録商標)、REXIGEN(登録商標)、BETADREN(登録商標)、DEXPROPRANOLOL(登録商標)、およびDOCITON(登録商標)が含まれる。メトプロロールの非限定例には、フマル酸メトプロロール、コハク酸メトプロロール、酒石酸メトプロロール、LOPRESSOR(登録商標)、BETALOC(登録商標)、TORPOL(登録商標)、SELOKEN(登録商標)、SPESIKOR(登録商標)、SPESICOR(登録商標)、およびTOPROL XL(登録商標)が含まれる。トピラマートの非限定例には、トピラマートカルシウム、トピラマートカリウム、トピラマートナトリウム、およびTOPAMAX(登録商標)が含まれる。バルプロ酸の非限定例には、バルプロ酸ナトリウム、ジバルプロエクスナトリウム、ジバルプロエクス、バルプロ酸、DEPACON(登録商標)、DEPAKENE(登録商標)、およびDEPAKOTE(登録商標)が含まれる。アミトリプチリンの非限定例には、塩酸アミトリプチリン、パモ酸アミトリプチリン、ELAVIL(登録商標)、およびLEVATE(登録商標)が含まれる。フルナリジンの非限定例には、フルナリジン二塩酸塩、フルナリジン塩酸塩、SIBELIUM(登録商標)、FLUFENAL(登録商標)、FLUVERT(登録商標)、ZINASEN(登録商標)、ISSIUM(登録商標)、VERTIX(登録商標)、NOVO-FLUNARIZINE(登録商標)、およびAPO-FLUNARIZINE(登録商標)が含まれる。カンデサルタンの非限定例には、カンデサルタンシレキセチル、BIOPRESS(登録商標)、ATACAND(登録商標)、AMIAS(登録商標)、およびRATACAND(登録商標)が含まれる。ボツリヌス毒素Aの非限定例には、オナボツリヌス毒素A、BOTOX(登録商標)、DYSPORT(登録商標)、およびXEOMIN(登録商標)が含まれる。ボツリヌス毒素Bの非限定例には、リマボツリヌス毒素BおよびMYOBLOC(登録商標)が含まれる。
【0067】
本明細書全体を通して、組成物が特定の成分を有する、含む(including)、または含む(comprising)と記載されている場合、組成物はまた、列挙された成分から本質的になる、または該成分からなることが想定される。同様に、方法またはプロセスが特定のプロセスステップを有する、含む(including)、または含む(comprising)と記載されている場合、プロセスはまた、列挙された処理ステップから本質的になるか、または該処理ステップからなる。さらに、本発明が実施可能のままである限り、ステップの順序またはある特定の作用を実行するための順序は重要ではないことが、理解されるべきである。その上、2つ以上のステップまたは作用を同時に実施することができる。
【0068】
製剤を調製する当業者は、選択される化合物の特定の特徴、処置される障害または容態、障害または容態の段階、および他の関連する状況に応じて、適切な投与形態および様式を容易に選択することができる(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,L.V.Allen,Editor,22nd Edition,Pharmaceutical Press,2012を参照されたい)。特に、本発明の組み合わせの成分は、適宜、同じ製剤中に組み合わせることができるか、またはそれに代わるものとして、該成分は、別個に製剤することができる。
【0069】
製剤中、ラスミジタンは通常、賦形剤と混合されるか、賦形剤によって希釈されるか、またはカプセル剤、サシェ剤、紙、もしくは他の容器の形態であることができるような担体内に封入される。賦形剤が希釈剤として機能する場合、それは、活性成分のためのビヒクル、担体、または媒質として作用する固体、半固体、または液体材料であり得る。したがって、製剤は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ剤、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ剤、エアゾール剤(固体としてまたは液体媒質中にある)、例えば、最大10重量%の活性化合物を含有する軟膏剤、軟質および硬質ゼラチンカプセル剤、ゲル剤、坐剤、滅菌注射用液剤、ならびに滅菌包装粉末の形態であることができる。適切な賦形剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、およびメチルセルロースが含まれる。製剤は、タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油などの潤滑剤;湿潤剤;乳化剤および懸濁剤;ヒドロキシ安息香酸メチルおよびヒドロキシ安息香酸プロピルなどの保存剤;甘味料;ならびに香味剤をさらに含むことができる。本発明の化合物は、当該技術分野において既知の手順を採用することによって患者への投与後に活性成分の迅速な、持続的な、または遅延した放出を提供するように製剤化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【
図1】2,4,6-トリフルオロトリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-カルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミドヘミコハク酸塩またはビヒクル(H20)で前処置した後のラットの硬膜における、三叉神経刺激誘発性血漿タンパク質血管外漏出の阻害。 ラスミジタンまたはビヒクルは、三叉神経節の電気刺激の1時間前に経口経管栄養を介して投与する。ラスミジタン用量は、遊離塩基当量として報告する。データは、血管外漏出比(刺激/非刺激)として表す。データは、平均±SEMとして表す。*p<.05対ビヒクル(ANOVAの後にダネットの事後検定、平均±SEM、n=4)。
【
図2】2,4,6-トリフルオロトリフルオロ-N-[6-(1-メチル-ピペリジン-4-カルボニル)-ピリジン-2-イル]-ベンズアミドヘミコハク酸塩(10mg/kg、経口)またはビヒクル(H20)で前処置した後のラットの硬膜における、三叉神経刺激誘発性血漿タンパク質血管外漏出の阻害。 ラスミジタンまたはビヒクルは、三叉神経節の電気刺激の1、24、または48時間前のいずれかに経口経管栄養を介して投与する。ラスミジタン用量は、遊離塩基当量として報告する。データは、血管外漏出比(刺激/非刺激)として表す。データは、平均±SEMとして表す。*p<.05対ビヒクル(ANOVAの後にダネットの事後検定、平均±SEM、n=4)。
【
図3】片頭痛の急性処置のためのラスミジタンによる12ヶ月間にわたる障害の改善:GLADIATOR研究における片頭痛障害評価(MIDAS)尺度の変化の中間解析。
【実施例0071】
実施例1:硬膜の神経性炎症および三叉神経系の活性化の前臨床研究
片頭痛は、硬膜の神経性炎症および三叉神経系の活性化を伴うと考えられている有痛性の容態である。5-HT1F受容体は、CNS、ならびに三叉神経節、後根神経節、および尾側三叉神経核を含む末梢神経において広く発現する。神経性炎症の1つの要素である血漿タンパク質血管外漏出(PPE)は、三叉神経節を電気的に刺激することによって、ラットの硬膜において誘発することができる。片頭痛の生理学における三叉神経の役割を考慮すると、この研究は、ラスミジタン-ヘミコハク酸が三叉神経節の電気刺激後にラットの硬膜において血漿タンパク質血管外漏出を遮断する能力を特徴付けるのに有用である。
【0072】
ラスミジタンが標的組織の機能不全を修飾する潜在性を調査するために、ラスミジタン-ヘミコハク酸の単回経口用量後の効果の持続時間もまた、決定した。ラットおよびモルモットの三叉神経節の電気刺激を使用して、髄膜(硬膜)に神経性炎症を誘発することができる。簡単に言えば、定位的に埋め込んだ電極を使用した左または右いずれかの三叉神経節の片側性の電気刺激を使用して、同側性の神経性炎症および血漿タンパク質の血管外漏出の増加を誘発する。
【0073】
選択的5-HT1Fアゴニストであるラスミジタン(ラスミジタン-ヘミコハク酸)は、経口(po)投薬後にスプラーグドーリーラットにおいて硬膜血漿タンパク質血管外漏出を阻害することが示されている。ラスミジタン-ヘミコハク酸は、単回10mg/kg用量の経口投与の24時間後に硬膜PPEを有意に遮断する。しかしながら、化合物は、用量の48時間後には有効ではなかった。血漿中および脳内のラスミジタンの濃度は、各実験の終了時に全ての用量レベルおよび時点で測定する。
【0074】
用量の24時間後に観察された有効性は、どちらの区画でのラスミジタン曝露によっても説明されないため、驚くべきことに、かつ予想外に、片頭痛疾患の感受性の潜在的な修飾を反映すると考えられているものである遅延性の薬理学的効果を表す。したがって、ラスミジタンを使用して、片頭痛疾患の感受性を修飾するための投薬および投薬投与計画を提供する本発明は、硬膜の神経性炎症および三叉神経系の活性化のモデルにおけるこの予想外のインビボ観察によって支持される。
【0075】
経口投与の1時間後の化合物効力の評価
ラスミジタン-ヘミコハク酸を、滅菌水中に溶解する。ラスミジタンの全ての用量は、塩の重量を考慮して、遊離塩基等価用量として報告する。Envigoのスプラーグドーリー、スプラーグドーリー雄ラット(250~350グラム、n=4/群)を、投薬前に一晩絶食させる。動物を、刺激時間の1時間前に検査化合物またはビヒクルで経口的に経口経管栄養し(2mL/kgの用量容積)、水のみを利用可能にした状態でケージに戻す。投薬の約50分後に、ラットをネンブタール(65mg/kg、腹腔内)で麻酔し、ステンレス鋼の刺激電極(Rhodes Medical Systems,Inc.)を硬膜から9.2mmの深さまで埋め込む。大腿静脈を曝露させ、刺激の2分前にフルオレセインイソチオシアネート標識ウシ血清アルブミン(FITC-BSA)(20mg/kg、静脈内)を大腿静脈に注射する。FITC-BSAは、タンパク質血管外漏出のマーカーとして機能する。左三叉神経節を、PSIU6光電式分離ユニット(Grass-Telefactor)を備えたModel S48Grass Instrument Stimulatorを用いて、1.0mA(5Hz、5ミリ秒のパルス持続時間)の電流強度で5分間刺激する。刺激の5分後、心臓穿刺によって血液試料を収集し、40mlの食塩水で失血させることによってラットを屠殺する。1ミリリットルの血液を収集し、氷上の1.5mlのEDTAコーティング管(Fisherカタログ番号540734)内に置く。4℃、10,000rpm(941g)で30分間の遠心分離を介して、血漿を分離する。頭蓋骨の上部を取り除いて、脳および硬膜を収集する。脳およびと血漿の試料を、化合物の定量化のために解凍するまで-80℃で凍結する。両半球から膜試料を取り除き、水で濯ぎ、顕微鏡スライド上に平らに広げる。スライドをスライドウォーマーで15分間乾燥させ、その後組織に70%のグリセロール/水液剤とともにカバーガラスをかける。回折格子モノクロメーターおよび分光光度計を備えた蛍光顕微鏡(Zeiss)を使用して、各硬膜試料中のFITC-BSA色素の量を定量化する。三叉神経節の電気刺激によって誘発される血管外漏出は、同側性の効果であり(すなわち、三叉神経節が刺激された硬膜の側でのみ発生する)。これにより、硬膜の他方の(刺激されていない)半分を対照として使用することが可能となる。刺激した側の硬膜対刺激されていない側の硬膜内の血管外漏出の割合を計算し、各動物の血管外漏出率として報告する。平均血管外漏出率および平均値の標準誤差(SEM)を、各処置群について計算する。対照は、約1.8の割合をもたらす。対照的に、刺激した側の硬膜内の血管外漏出を効果的に予防する化合物は、約1の割合を有するであろう。結果として得られるデータを、一元配置ANOVAの後にダネットの事後検定で解析して、統計的有意性を決定する(p<.05)。各動物の血漿および脳試料中の化合物のレベルを、当業者に既知の方法に従って解析する。
【0076】
経口投与の24または48時間後の化合物効力の評価
Envigoのスプラーグドーリー、スプラーグドーリー雄ラット(250~350グラム、n=4/群)を、投薬前に一晩、経口研究の持続時間にわたって絶食させる。動物を、検査化合物またはビヒクルで経口的に経口経管栄養し、水のみを利用可能にした状態でケージに戻し、1時間後に食物を戻す。用量の24または48時間後のいずれかに、動物をネンブタール(65mg/kg、腹腔内)で麻酔し、定位フレーム(David Kopf Instruments)内に置く。プロトコルの残りの部分は、経口投与の1時間後の化合物効力の評価のための直前の方法と同一である。
【0077】
結果:
ラスミジタン-ヘミコハク酸は、ラットへの経口投与の1時間後に評価した場合、用量依存的に硬膜血漿タンパク質血管外漏出を阻害する。1および10mg/kgの用量は、ビヒクルで処置した動物に対して統計的に異なるが、0.1mg/kgは、異ならない(
図1)。薬理学的な効果の持続期間を評価するために、硬膜血漿タンパク質血管外漏出の阻害を、ラスミジタンの単回経口(10mg/kg)用量の1、24、および48時間後に評価する。驚くべきことに、この用量のラスミジタンは、用量の1および24時間後に同等に有効であるが、48時間後には有効ではない(
図2)。表1に示されるように、投与の1時間後に測定したラスミジタンの非結合血漿および脳レベルは、用量とともに増加した。しかしながら、10mg/kg用量の投与の24時間後に測定した非結合血漿および脳濃度は、1時間時点での有効ではない0.1mg/kg用量に関連する曝露と異ならない。したがって、投与の24時間後に観察されたラスミジタンの有効性は、長期間の化合物曝露プロファイルによるものではない。
【表1】
【0078】
臨床研究の例
ラスミジタンは、成人における前兆のあるまたはない片頭痛の急性応需型処置に有効であることが示されている。第3相試験では、ラスミジタンは、研究薬を服用してから2時間後に、疼痛がないことの主要評価項目およびMBSがないことの鍵となる副次評価項目において、偽薬よりも統計的に有意な優位性を示した。ラスミジタンは概して、めまい、感覚異常、傾眠、疲労、および悪心を含む最も一般的なTEAEについて忍容性が良好であった。概して、これらのTEAEは、重症度が軽度または中等度であり、持続期間が短かった。コンピューターベースの運転シミュレーターでの健康なボランティアの研究において、全ての用量のラスミジタンが、運転障害に関連していた。患者は、インフォームドコンセントフォーム(ICF)に記載のように、研究薬を服用した後、運転、重機の操作、または他の同様の活動を制限する必要がある。急性処置プログラムの臨床データは、断続的に投与される単回および複数回用量のラスミジタンが、片頭痛に対して予防効果を有し得ることを示唆している。本発明の概念は、ラスミジタンの一貫した毎夜の投与が、片頭痛発作の頻度を減少し得るということである。
【0079】
以下の臨床研究デザインは、本発明をさらに説明するものであるが、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。片頭痛の予防におけるラスミジタンの研究の例を、以下に提供する。当業者は、ラスミジタンまたはガルカネズマブのいずれかを個々に用いて片頭痛発作をうまく管理することができなかった患者について、同様の研究を実施することができることを理解することになる。当業者は、本明細書で療法抵抗性片頭痛患者と呼ばれる、2つ以上の従来の単剤療法ならびに/または二重療法処置および/もしくは投与計画に対して不応性である片頭痛発作を有する患者について、同様の研究を実施することができることを理解することになる。当業者は、療法抵抗性頭痛を有する患者を含む、偶発性頭痛、慢性頭痛、慢性群発頭痛、または偶発性群発頭痛からなる群から選択される頭痛に罹患する患者について、同様の研究を実施することができる。当業者は、本明細書に記載の方法および当該技術分野で既知の方法を使用して、ラスミジタンもしくはガルカネズマブのいずれかを個々に用いて片頭痛発作をうまく管理することができなかった患者、ならびに/または2つ以上の従来の単剤療法および/もしくは二重療法処置および/もしくは投与計画に対して不応性である片頭痛発作を有する療法抵抗性片頭痛患者を容易に特定することができ、そのように特定された該患者は、本明細書に記載のものなどの臨床研究の対象である場合がある。
【0080】
このような臨床試験を実施する方法は、当業者に既知であり、例えば、本明細書に提供される公開されたラスミジタンの臨床研究の引用によって説明される。片頭痛の処置を評価する方法には、例えば、片頭痛特有の生活の質、第2.1版(MSQ v2.1)、頭痛影響検査6(HIT-6)、片頭痛障害評価尺度(MIDAS)、片頭痛特有の生活の質のアンケート(MSQoL)を含む、生活の質(QOL)測定尺度などの患者報告アウトカム(PRO)が含まれる。さらに、ePRO日記を使用して、頭痛および他の片頭痛の症状を記録することができる。日記データに基づいて、自動化されたアルゴリズムを使用して、日数を片頭痛日数(MHD)(中位数MHDを含む)として分類することができる。中位数片頭痛は、前兆のあるまたはない頭痛として定義され、30分超続くが、ICHD-3ベータ基準における片頭痛の特徴のうちの1つを欠損している。急性片頭痛薬の使用によるMHDの毎月の数は、ePRO日記から取得することができ、PGI-S、MSQ、およびMIDASの評価は、PGI-SおよびMSQについては毎月の訪問時に、ならびにMIDASについては3および6ヶ月時に、研究施設においてスレートデバイスを使用して実行される。ePROまたは他の関連する臨床データに基づいて、処置相相中の毎月の片頭痛日数(MHD)の数のベースラインからの全体的な平均変化について、偽薬と比較した、各夜間投薬投与計画の有効性を比較するために、研究デザインを策定することができる。他の可能な結果測定尺度は、二重盲検処置相中の毎月のMHDにおけるベースラインからの低減がある患者の平均割合、片頭痛特有の生活の質のアンケート第2.1版(MSQ v2.1)の役割機能制限(R-FR)ドメインスコアにおけるベースラインからの平均変化、重症度に関する患者の包括的な印象(PGI-S)格付けにおけるベースラインからの平均変化(選択した月の平均)、および/または片頭痛障害評価(MIDAS)合計スコアの結果測定尺度であってもよい。これらおよび他の片頭痛処置の評価は、当業者に周知である。
【0081】
実施例2:片頭痛の急性処置のためのラスミジタンによる12ヶ月間にわたる障害の改善:GLADIATOR研究における片頭痛障害評価(MIDAS)スケール変化の中間解析
偽薬対照第3相研究SAMURAI(NCT02439320)およびSPARTAN(NCT02605174)は、ラスミジタン50mg[SPARTANのみ]、100mg、および200mgを評価した。偽薬と比較して、ラスミジタンの全ての用量は、投与後2時間で、有意により高い割合の疼痛がないこと、および最も厄介な症状がないことを示した(Kuca et al.J Head and Face Pain2017;57:1311-2、Wietecha et al.Cephalgia2017;37(suppl):367-8)。GLADIATOR(NCT02565186)は、片頭痛の急性処置のためのラスミジタン(100mgまたは200mg)の長期間の断続的な使用を評価するための前向き無作為化非盲検第3相研究である。GLADIATORのMIDASスケールで評価した片頭痛障害に対するラスミジタンの効果の中間解析を後述し、これは、片頭痛患者における持続的で有益な効果の驚くべき予想外の証拠を提供した。
【0082】
方法:
SAMURAIまたはSPARTANを完了した患者には、非対照非盲検研究を表すラスミジタン100mgまたはラスミジタン200mgに対する無作為化を伴うGLADIATORへの参加を勧めた。患者を、フィーダー研究での処置の割り当てにかかわらず、ラスミジタン100mgまたはラスミジタン200mgのいずれかに無作為化し、必ずしも全ての片頭痛発作にラスミジタンを使用しなかった。この中間解析には、GLADIATORのベースライン時およびベースライン後の評価時にMIDASスコアデータを有する患者が含まれる。提示される解析は、ベースライン時ならびに3、6、9、および12ヶ月時点で実施したMIDASアンケートに基づく。追加の解析は、12ヶ月を完了した患者の下位群においても実施した。変化は、混合モデルの反復測定尺度解析を使用してモデル化し、MIDASは、3ヶ月にわたって片頭痛により失われた日数を測定する。含まれるドメインは、職場、家事または家族、社会的、および余暇活動での活動制限である。MIDASは、信頼性および妥当性を実証し、スコアは、医療のニーズに関する臨床的判断と相関する(Stewart et al.Neurology1999;53:988-94およびStewart et al.Neurology2001;56:S20-8を参照されたい)。
【0083】
GLADIATOR研究デザインの概要:
鍵となる組み入れ基準は、SAMURAIまたはSPARTANに適格であり、かつ少なくとも中等度の片頭痛障害(11以上のMIDASスコア)を有する患者であった。患者を、最大12ヶ月のラスミジタン100mgまたは最大12ヶ月のラスミジタン200mgのいずれかによる片頭痛の急性処置のために、1:1に無作為化した。患者は、新たな各片頭痛発作の第1の処置としてラスミジタンを使用した(片頭痛の発症の4時間以下)。臨時追加(臨時追加:2時間時点で頭痛による疼痛がない状態を達成せず、2時間の評価を完了し、第1の用量の2~24時間後に第2の用量の研究薬を服用した)または再発(再発:2時間時点で頭痛による疼痛がない状態を達成したが、その後軽度、中等度、もしくは重度の片頭痛の再発を経験し、第1の用量から最大24時間後に第2の研究薬を服用した)については、2~24時間の間に第2の用量を許可した。MIDASアンケートを含む安全性および有効性の評価は、ベースライン時ならびに3、6、9、および12ヶ月時点で実施した。
【0084】
MIDASアンケート
(例えば、Stewart et al.,Neurology1999;53:988-94、Stewart et al.,Neurology2001;56:S20-8を参照されたい)以下の質問1~5の合計が、合計MIDASスコアを表す。
【0085】
1.過去3ヶ月間に、頭痛のために職場または学校を欠席した日は何日あったか。
2.過去3ヶ月間に、頭痛のために職場または学校での生産性が半分以上低減した日は何日あったか。(質問1で数えた、職場または学校を欠席した日数は含めないこと)
3.過去3ヶ月間に、頭痛のために家事(家事、家の修繕および管理、買い物、子供および親戚の世話など)をしなかった日は何日あったか。
4.過去3ヶ月間に、頭痛のために家事の生産性が半分以上低減した日は何日あったか。(質問3で数えた、家事をしなかった日数は含めないこと)
5.過去3ヶ月間に、頭痛のために家族、社会的、または余暇活動を欠席した日は何日あったか。
【0086】
追加の質問には、以下が含まれる。
A.過去3ヶ月間に、何日間頭痛があったか。(頭痛が1日を超えて続いた場合、各日を数えること)
B.0~10のスケールで、これらの頭痛は平均してどれくらい有痛性であったか。(0=まったく疼痛なし、および10=可能な限り最悪の疼痛)
【0087】
結果:
ベースライン特徴の要約を、表2に提供する。平均5.6ヶ月間にわたって処置した合計2037人の患者についてのデータを、提示する。平均年齢は、43.2歳であり、試料には、85%の女性が含まれる。
【表2】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
ラスミジタン用量間に有意差はなかった。
【表10】
【0095】
ラスミジタン用量間に有意差はなかった。
【表11】
【0096】
ラスミジタン用量間に有意差はなかった。
【表12】
【0097】
ラスミジタン用量間に有意差はなかった。
【表13】
【0098】
ラスミジタン用量間に有意差はなかった。
【表14】
【表15】
【0099】
ラスミジタン100mgまたはラスミジタン200mgのいずれかに無作為化した患者は、ベースライン時に平均して重度の片頭痛障害を有した(平均MIDASスコア21+)。患者は、12ヶ月の処置にわたって臨床的に有意義なMIDASの大幅な改善を示した(
図3に要約)。過去3ヶ月間の片頭痛障害、頭痛日数、および頭痛による疼痛は、両方の用量で経時的に改善した。いずれの結果についても、ラスミジタン用量に有意差はなかった。完了者解析におけるベースラインからの変化は、各時点での全体的な集団の結果と同様であった。この結果は、全体的な結論が欠損データ/選択的減少によって影響されないことを示唆している。
【0100】
ラスミジタン処置は、MIDAS片頭痛障害スコア、頭痛日数、および片頭痛の重症度の経時的な減少につながり、これらの長期的な影響は、ラスミジタン100mg群および200mg群で同様であった。数ヶ月間、例えば、最大12ヶ月間にわたって観察される障害の低減は、驚くべきことに、かつ予想外に、ラスミジタンの慢性的な、好ましくは夜間投与が、ある特定の片頭痛患者において持続的で疾患修飾的な片頭痛感受性の低減を達成するための手段を表すという概念につながる。したがって、本明細書に開示される本発明は、ラスミジタンのGladiator研究からの予想外の観察によって支持される。
【0101】
実施例3:片頭痛予防のための慢性的な夜間ラスミジタン
この研究は、療法抵抗性片頭痛を有する患者の予防において、慢性的な夜間ラスミジタンが偽薬よりも優れているという主要な仮説を検査する。同様の研究は、片頭痛患者において、彼らが従来の予防の試行に失敗しているという追加の基準なく実施することができる。この研究の主要評価項目は、合計集団(偶発性および慢性片頭痛)における3ヶ月間の二重盲検処置相中の毎月の片頭痛日数のベースラインからの全体的な平均変化である。
【0102】
全ての鍵となる副次目的は、特に指定されない限り、合計集団(偶発性および慢性片頭痛)ならびに偶発性片頭痛下位集団の両方で検査する。以下の鍵となる副次評価項目の検査のための特定の方法論(検査順序および集団を含む)は、統計解析計画において指定する。
【0103】
この研究の副次目的は、偶発性片頭痛下位集団における片頭痛の予防に関して、慢性的な夜間ラスミジタンを偽薬と比較することであり、副次目的は、偶発性片頭痛を有する患者における3ヶ月間の二重盲検処置相中の毎月の片頭痛日数のベースラインからの全体的な平均変化を反映する。この研究の副次目的は、50%の奏効率に関して慢性的な夜間ラスミジタンを偽薬と比較することであり、副次目的は、3ヶ月間の二重盲検処置相中の毎月の片頭痛日数のベースラインからの50%以上の低減を有する患者のパーセンテージを反映する。この研究の副次目的は、機能の変化に関して慢性的な夜間ラスミジタンを偽薬と比較することであり、副次目的は、3ヶ月時点での片頭痛特有の生活の質のアンケート第2.1版(MSQ v2.1)の役割機能制限ドメインスコアのベースラインからの平均変化を反映する。この研究の副次目的は、75%の奏効率に関して慢性的な夜間ラスミジタンを偽薬と比較することであり、副次目的は、3ヶ月間の二重盲検処置相中の毎月の片頭痛日数のベースラインからの75%以上の低減を有する患者のパーセンテージを反映する。この研究の副次目的は、100%の奏効率に関して慢性的な夜間ラスミジタンを偽薬と比較することであり、副次目的は、3ヶ月間の二重盲検処置相中の毎月の片頭痛日数のベースラインからの100%以上の低減を有する患者のパーセンテージを反映する。
【0104】
この研究は、以前に片頭痛予防のための2~4つの標準治療処置に失敗している、前兆のあるもしくはない片頭痛または慢性片頭痛の診断のための、International Classification of Headache Disorders(ICHD)基準を満たす患者における、慢性的な夜間ラスミジタンの多施設共同、無作為化、二重盲検、並行、偽薬対照研究である。この研究は、患者の適格性を決定するための前向きベースライン期間を含む4つの期間を有する。
【0105】
この研究は、6つの処置群を有する:慢性的な夜間ラスミジタン(25、50、75、100、150、および200mg/夜間)ならびに偽薬。1ヶ月間の前向きベースライン期間の後、適格な患者を、1:1の割合で無作為化して、最大3ヶ月の二重盲検処置にわたって偽薬または慢性的な夜間ラスミジタンを受けさせる。夜間ラスミジタンは、1回の投与で、1個以上の錠剤によって経口投与して、研究される特定の用量を達成する。二重盲検処置相を完了した患者は、3ヶ月間の非盲検処置相に入ることができる。その後、非盲検処置相にある全ての患者は、群ごとに指定された用量で慢性的な夜間ラスミジタンを受ける。
【0106】
この研究は、推定764人の潜在的な研究参加者をスクリーニングして、片頭痛を有する約420人の患者の無作為化を確実にし、そのうち約250人の患者が、偶発性片頭痛を有するか、またはこれらの数を、研究される群の数に合わせて必要に応じて調整する。特に指定されない限り、統計解析は、無作為化され、少なくとも1用量の調査製品を受ける全ての患者を含む処置企図(ITT)集団に対して実施する。ITT集団の患者を、無作為化される処置群に従って解析する。ベースラインからの変化を評価するとき、患者は、ベースライン時およびベースライン後の測定を有する場合にのみ解析に含まれる。一次解析は、3ヶ月間の二重盲検処置相中の毎月の片頭痛日数および中位数片頭痛日数のベースラインからの全体的な平均変化について、偽薬と比較した慢性的な夜間ラスミジタンの有効性を評価する。一次解析は、制限付き最尤法ベースの混合モデルの反復測定尺度技術を使用して実行する。
【0107】
患者は、スクリーニング時に以下の基準の全てを満たす場合にのみ、研究への組み入れに適格である:1)スクリーニング時に18~75歳(包括的)である、2)国際頭痛学会のICHD-3ガイドライン(1.1、1.2、または1.3)(ICHD-3 2018)で定義される片頭痛の診断を有し、訪問1の少なくとも1年前に片頭痛の病歴があり、かつ50歳になる前に片頭痛を発症している、3)訪問1の前に、過去3ヶ月以内に平均して1ヶ月あたり少なくとも4日の片頭痛日数および少なくとも1日の頭痛がない日という病歴を有する、4)訪問1の前に、不十分な有効性(つまり、少なくとも過去2ヶ月間の最大忍容用量)および/または安全性/忍容性の理由のために、過去10年間に以下の一覧からの2~4つの片頭痛予防薬カテゴリーに以前に失敗したことの文書(医学的もしくは薬局の記録または医師の確認によるもの)を有する、この一覧には、(a)プロプラノロールまたはメトプロロール、(b)トピラマート、(c)バルプロ酸またはジバルプロエクス、(d)アミトリプチリン、(e)フルナリジン、(f)カンデサルタン、(g)ボツリヌス毒素AまたはB、および(h)片頭痛の予防のために地域で承認されている薬剤((f)および(h)でのみ有資格となる患者は、合計研究集団の20%を超えるべきではない)が含まれる、5)訪問2から訪問3(前向きベースライン期間)まで、30日間の期間あたり4日以上の片頭痛日数および少なくとも1日の頭痛がない日の頻度を有する(偏った報告を回避するために、患者には、研究資格が基づいている片頭痛または頭痛日数は通知されない)、ならびに6)訪問2から訪問3(前向きベースライン期間)まで、少なくとも80%の毎日の日記のエントリーの完了によって実証されるePROの毎日のエントリーについて、十分なコンプライアンスを達成しなければならない。
【0108】
片頭痛の予防に使用するためのラスミジタンの慢性的な夜間投与は、三叉神経系に対する持続的な作用によって、特にある特定の以前に処置に失敗した集団において、従来の予防療法よりも優れていると考えられている。これらの薬理学的特性は、療法抵抗性片頭痛に罹患する患者における片頭痛予防に優れた有効性を結果としてもたらすことになると考えられている。したがって、疾患が2つ以上の従来の単剤療法および/または二重療法処置または予防投与計画に対して不応性である患者において片頭痛を予防するための、ラスミジタンの本使用によって提供される潜在的な有効性は、片頭痛予防における重要な追加の進歩を表すであろう。好ましくは、本発明の投薬投与計画によって処置される患者は、MIDASなどの当業者に周知の方法によって、または周知の生活の質の測定尺度によって評価して、片頭痛による疼痛がなくなること、および/または片頭痛障害がなくなることを潜在的に経験することができる。好ましくは、本発明の投薬投与計画によって処置される患者は、1ヶ月あたり3日以下の片頭痛日数、およびより好ましくは1ヶ月あたり1日以下の片頭痛日数を経験するであろう。好ましくは、本発明の投薬投与計画は、望ましい臨床上の安全性および忍容性を実証するのと同時に、本明細書に記載の改善された片頭痛予防を提供することになる。
【0109】
実施例4:研究LAIL-成人における偶発性片頭痛の予防的処置のための、毎夜のラスミジタンの第2相無作為化二重盲検対照試験
研究LAILにおいて、ラスミジタンは、運転が必要になる少なくとも8時間前に1日1回投与され、投薬は、就寝時に推奨される。本明細書で使用される場合、これは、夜間投与計画を反映する。患者は、たとえ十分に気分が良くても、研究薬の各用量の服用の少なくとも8時間後まで、運転したり、高い注意力を必要とする他の活動に従事したりするべきではない。これらの影響を最小化するために、患者が就寝時に研究薬の用量を服用することが推奨される。8時間の制限に基づいて可能な場合、投薬は、就寝時に推奨される。この投与計画は、本明細書で使用される場合、「夜間」投薬の例を提供し、これは、患者が典型的には睡眠時間とみなすような、患者が一定時間にわたって睡眠または休息することを意図する任意の特定の時間を含むことができ、好ましくは「夜間投与」は、患者が自動車の操作を望む次のウィンドウの8時間前に発生する。この投与計画はまた、本明細書で使用される場合、「夜間」投薬の例も提供し、これは、ラスミジタンが24時間ごとに1回、または暦日ごとに1回、好ましくは5日以上連続して、または好ましくは10日以上の期間にわたって、または片頭痛予防に必要な期間にわたって投与されることを意味する。この投与計画はまた、本明細書で使用される場合、「慢性的な」投薬の例も提供し、これは、ラスミジタンが継続的に連続して投与され、患者が用量を投与する、かつ/または患者が処置投与計画の一部として用量を投与するように指示されることを意味する。
【表16】
【表17】
【0110】
【0111】
全体的なデザイン:
研究LAILは、偶発性片頭痛を有する成人患者におけるラスミジタンの第2相、多施設共同、二重盲検、無作為化、偽薬対照研究である。この研究は、4つの連続した期間からなる(以下の模式図および活動予定を参照されたい)。
・研究期間I(スクリーニング):3~30日間
・研究期間II(前向きベースライン):研究期間Iから30~40日後
・研究期間III(二重盲検処置):約90日間
・研究期間IV(経過観察):最大32日
研究期間III中、患者を、2:1:1の割合で、3つの1日1回(QD)の経口処置のうちの1つに無作為に割り当てる。
・偽薬
・ラスミジタン
○50mg
○100mg(この処置群の滴定アプローチについては、節6.1を参照されたい)
【表19】
【0112】
活動予定(SoA):
処置期間中、調査者の裁量により、予定外の訪問が実施される場合がある。前向きベースライン評価の適格期間は、30~40日間続く。調査者および患者は、訪問3の予約を予定するまで追加で最大5日有し得る(40日を超える)が、適格性は、30~40日間の期間に基づく。早期終了訪問(ET)活動は、訪問7より前に発生する早期終了に適用される。訪問801は、電話訪問であり、それは、訪問7またはETの7日後に発生する。訪問801を使用して、任意の退薬症状および研究処置に関連するAE、ならびに活動予定に基づく任意の他の計画された評価を評価する。調査者の意見における必要に応じて、他の評価(臨床検査および追加の経過観察訪問を含む)が、観察されたAEによって引き起こされる場合がある。
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【表27】
【表28】
【表29】
【0113】
無作為化処置相の長さ(3ヶ月)は、片頭痛予防薬の安全性および有効性を評価するのに十分であると考えられており、使用および患者集団に対して同様の適応症を有する化合物の規制要件と一致している。片頭痛予防研究において偽薬に無作為に割り当てられた患者の間では、3ヶ月時点での偽薬応答は、14%~31%の範囲であり(Speciali et al.2010)、これは、活性研究薬と偽薬との比較の重要性を強調している。ラスミジタンの短い半減期を考慮すると、薬物濃度は、中止の2日後までに名目上のものになるべきである。患者を、処置中止後の最初の7日間に退薬効果について評価する。患者の安全性および片頭痛の頻度を評価し続けるために、処置後1ヶ月間の経過観察期間が含まれる。
【0114】
この第2相研究において、ラスミジタンの2つの用量強度(50mgおよび100mg)を研究する。ラスミジタン50mgおよび100mgによる全身曝露は、片頭痛に関連すると考えられている種々のラット薬理学的モデルにおいて正の統計的に有意な効果をもたらした、1mg/kgのラスミジタンの経口用量を受けるラットにおいて観察された曝露を達成するか、またはそれを超えると予測される。ラスミジタン100mgの用量は、ラスミジタン50mgの持続時間のよりも大きな持続時間にわたって、5-HT1F受容体のインビトロ阻害定数を超えて平均非結合脳濃度を維持すると予想され、これは、ラスミジタン50mgと比較して、ラスミジタン100mgについてより大きな有効性を提供し得る。ラスミジタンの完了した単一発作第3相研究における2時間疼痛がないことに対するラスミジタンの有効性は、用量に関連していると思われたが、片頭痛の再発率は、投薬後2時間~24時間の時間枠において50mg~200mgの用量範囲にわたって同様に低かった。ラスミジタンによる片頭痛発作の断続的な処置を伴う長期間の非盲検研究において、12ヶ月間の処置期間にわたって、片頭痛障害、頭痛日数、頭痛の重症度、およびラスミジタンで処置される片頭痛数の減少が観察された。これらの所見は、100mgおよび200mgの用量について同様であった。
【0115】
完了した単一発作第3相研究からラスミジタンについて報告されたTEAEは主に、本質的に神経学的であり、重症度は、ほとんどが軽度または中等度であり、TEAEを経験する確率は概して、ラスミジタンの用量の増加とともに増加した。片頭痛の急性処置のためのラスミジタンの研究に基づいて、ラスミジタン100mgおよび200mgは、片頭痛の予防的処置に関連し得る評価項目で同様の有効性を示したが、200mgの投薬は、数値的により多くのTEAEを示した。この第2相研究は、片頭痛の予防的処置における1日1回の使用についてラスミジタン50mgおよび100mgを検査する。
【0116】
用量投与計画
ラスミジタンは、運転が必要になる少なくとも8時間前に1日1回/夜間投与され、投薬は、就寝時に推奨される。この処置投与計画は、忍容性、および片頭痛の予防のためのラスミジタンの有効性を観察する潜在性を最大化すると考えられている。健康なボランティアにおいて、ラスミジタンによる急性処置は、シミュレートされた運転能力を用量依存的な方法で障害することが示され、これは、投薬後8時間までに解消した。これは、重要な潜在的な安全性の懸念であるため、LAIL研究に参加する患者は、投薬後少なくとも8時間にわたって車両を運転しないように指示される。運転前の少なくとも8時間を考慮に入れるために、この研究では、就寝時に近い投薬が推奨される。ラスミジタンについて報告されたTEAEは概して、軽度から中等度であり、持続時間が短いが、就寝時の投薬推奨は、慢性的な夜間予防的処置ではより許容されないと考えられる、ラスミジタンの断続的な急性処置について観察される潜在的な忍容性の問題を軽減すると考えられている。これには、TEAE(例えば、傾眠、嗜眠、または疲労)が含まれ、これらは、覚醒時間中には厄介であると見なされる場合がある。就寝時の投薬推奨を支持する別の考慮事項は、片頭痛発作が早朝の時間帯にピークに達することである。1696人の成人における3592件の片頭痛発作の解析は、片頭痛発作が午前4時~9時の間に頻繁に始まり(Fox and Davis1998)、発作のほぼ半分が、この5時間のウィンドウ中に始まることを示した。ラスミジタンの長期の薬力学的効果は、本投薬投与計画の利点であると考えられているが、就寝時の投薬は、片頭痛発作の発生のピーク時間である朝の時間帯により高い薬物濃度を提供することになる。
【0117】
患者は、最終訪問、または活動予定に示される予定された最終手順を含む研究の全ての相を完了した場合に、研究を完了したと見なされる。研究の終了は、最終訪問日、または最後の患者の活動予定に示される予定された最終手順日として定義される。
【0118】
研究集団:
全ての患者は、以下の選択基準を満たさなければならない。研究登録のための患者の適格性は、組み入れおよび除外基準の節に記載の、病歴スクリーニング、身体検査、神経学的検査、臨床検査、心電図(ECG)、ならびにスクリーニングおよび前向きベースライン期間中の片頭痛の病歴の結果に基づく。身体検査時に存在するあらゆる共存容態の性質およびあらゆる既存の容態が、文書化されなければならない。概説される特定の理由でこの研究への参加基準を満たさない個人(スクリーニングの失敗)は、再スクリーニングが一度考慮され得る。
【0119】
以下の基準の全てが当てはまる場合にのみ、患者は、研究への組み入れに適格である。
1.インフォームドコンセントに署名する時点で、患者は、18~75歳(包括的)でなければならない。
2.国際頭痛学会(IHS)のInternational Classification of Headache Disordersガイドライン(1.1、1.2.1)(ICHD-3 2018)によって定義される、前兆のあるまたはない片頭痛の診断を有し、訪問1の前に少なくとも1年間の片頭痛の病歴、および50歳より前の片頭痛発症を有する。
3.訪問1の前に、過去3ヶ月以内に平均して1ヶ月あたり4~14日間の片頭痛日数、および少なくとも2回の片頭痛発作の病歴を有する。
4.訪問2から訪問3(前向きベースライン期間)まで、4~14日の頻度の片頭痛日数、および電子日記のエントリーあたり少なくとも2回の片頭痛発作(定義を参照されたい)を有する。偏った報告を回避するために、患者には、研究資格が基づいている片頭痛日数は通知されない。
5.訪問2から訪問3(前向きベースライン期間)まで、患者は、少なくとも80%の毎日の日記エントリーの完了によって実証されるePROの毎日の頭痛エントリーについて、十分なコンプライアンスを達成しなければならない。
6.患者は、インフォームドコンセントフォーム(ICF)およびこのプロトコルに列挙される要件および制限へのコンプライアンスを含む、記載のインフォームドコンセントを署名することができなければならない。
7.患者は、信頼でき、研究手順に従う意思がなければならない。
8.妊娠可能な女性は、妊娠検査が陰性でなければならず、高度に有効な避妊方法の使用に同意しなければならない。
以下の基準のいずれかが当てはまる場合、患者は、研究から除外される。
9.ラスミジタンの従来の使用を有する(以前にこの研究を完了または撤回した者を含む)。
10.調査者の意見において、ラスミジタンもしくはラスミジタン経口錠剤の任意の賦形剤に対する既知の過敏症、またはジタンに対する任意の感受性もしくは複数の薬物に対する既知の過敏症を有する。
11.訪問1から4ヶ月以内に、片頭痛の予防にCGRPモノクローナル抗体を使用した経歴を有する。
12.4クラスを超える片頭痛予防薬の失敗の経歴を有する。
13.訪問1の前の3ヶ月間に1ヶ月あたり9用量以下のトリプタン、および前向きベースライン期間中に9回以下のトリプタン用量を受けている。
14.調査者の意見において、現在、片頭痛の予防のために薬剤または他の処置を受けている。治療使用のために頭部または頸部に投与されたボツリヌス毒素AおよびBは、訪問2の少なくとも3ヶ月前に中止しなければならない。頭部もしくは頸部における、または片頭痛予防のための薬剤、神経ブロック、またはデバイスの使用(経頭蓋磁気刺激など)は、訪問2の少なくとも30日前に中止しなければならない。
15.持続的な毎日の頭痛、群発頭痛、またはIHS ICHD-3によって定義される脳幹前兆のある片頭痛(脳底型片頭痛)(1.2.2)、片麻痺性(孤発性もしくは家族性)片頭痛(1.2.3)、もしくは網膜性片頭痛(1.2.4)を含む片頭痛サブタイプの病歴を有する。
16.無作為化前の3ヶ月以内に、IHS ICHD-3によって定義される片頭痛または緊張型頭痛以外の頭痛(例えば、群発頭痛、薬物過剰使用頭痛)の病歴を有する。
17.訪問1の前に、過去3ヶ月間に平均して1ヶ月あたり15日以上の頭痛日数(片頭痛、中位数片頭痛、もしくは任意の他の頭痛)の病歴を有するか、またはIHS ICHD-3によって定義される慢性片頭痛に罹患している疑いがある。
18.訪問1の前の6ヶ月以内に頭部もしくは頸部の外傷の病歴を有する。
19.頭痛の質または頻度の有意な変化に関連する外傷性頭部外傷の病歴を有する。
20.訪問1時点で、いずれかの乱用物質について尿中薬物スクリーニングが陽性である。
21.良性発作性頭位めまい、メニエール病、前庭片頭痛、および他の前庭障害を含む、再発性めまいおよび/または回転性めまいの病歴を有する。
22.調査者の意見において、または彼らが肝臓監視基準を満たす場合、有意な腎臓または肝臓障害を有する。
23.授乳中の女性。
24.調査者の判断において、研究参加を妨げる医学的問題(例えば、症候性徐脈)を示す、急性、重大、または不安定な医学的容態を有する。
25.データ収集デバイスの使用に従う意思がないか、または従うことができない。
【0120】
スクリーニングの失敗は、臨床研究への参加に同意しているが、その後に試験処置に無作為に割り当てられない患者として定義される。この研究への参加基準を満たさない個人(スクリーニングの失敗)は、患者が訪問2の前に特定の持続時間にわたって安定した用量を必要とする併用薬を使用しており、持続時間の要件を満たすのに追加の時間を必要とする場合にのみ、再スクリーニングされ得る。スクリーニングと再スクリーニングとの間隔は、組み入れ/除外基準または併用薬一覧で指定された時間枠に必要な場合、少なくとも45日以上でなければならない。
【0121】
研究処置は、研究プロトコルに従って研究参加者(患者)への投与が意図される任意の調査処置および/または偽薬として定義される。この研究は、片頭痛の予防のために、経口で1日1回投与されるラスミジタン50mgおよび100mgまたは偽薬による二重盲検処置を伴う。ラスミジタンは、運転が必要になる少なくとも8時間前に1日1回投与され、就寝時に推奨される。研究全体を通して盲検化を維持するために、ダブルダミー方式で1日あたり2錠(各サイズ1錠)を受けて、全ての処置群の患者は、1日1回の研究処置の盲検化を保証する。
【表30】
【0122】
研究薬は、各日ほぼ同じ時間に投与され、推奨される投与は、就寝時である。患者は、選択される用量の投与の日時をeDiaryに記録する。この研究において、用量修飾は許可されない。
【0123】
これは、二重盲検研究である(すなわち、患者および調査者の両方が、研究処置に対して盲検化されている)。以下の層別因子を使用する:地理的地域または国、ベースライン時点での片頭痛の頻度(1ヶ月あたり8日未満対8日以上の片頭痛)。低頻度の片頭痛(すなわち、8日未満の片頭痛日数/月)を有する患者の登録は、このような患者の数が176を超えたときに停止する。調査者、評価を実行する施設担当者、または患者が盲検化されていない場合、患者は、研究を中止しなければならない。
【0124】
研究処置に対する患者のコンプライアンスを、各訪問時に評価する。コンプライアンスを評価する方法には、直接的な質問、および戻された錠剤を数えることが含まれる。各訪問時に、合計処方数からの服用した錠剤のパーセンテージに基づいて、調査製品のコンプライアンスの状態を収集する。
【0125】
患者が研究登録の時点で受けている、または研究中に受ける、使用の適応症、投与日、および任意の薬剤またはワクチンの薬用量(片頭痛のための全ての市販薬もしくは処方薬、ならびに他の容態、ビタミン、および/もしくは草本サプリメントを含む)は、使用理由、開始日および終了日を含む投与日、用量および頻度を含む薬用量情報、投与経路とともに記録されなければならない。
【0126】
患者は、必要に応じて自らの記録を使用して、片頭痛に対する併用薬の使用を記録する。研究担当者は、患者の研究への参加期間全体を通して、全ての併用薬を記録するべきである。
【0127】
コンピューターベースの運転シミュレーターでの健康なボランティアの研究において、全ての用量のラスミジタンが、運転障害に関連していた。患者は、ICFに記載のように、研究薬を服用した後、運転、重機の操作、または他の同様の活動を制限する必要がある。これらの影響を最小化するために、患者が就寝時にラスミジタンの用量を服用することが推奨される。彼らはまた、運転、重機の操作、または他の同様の活動の実行前に、少なくとも8時間待たなければならない。
【0128】
二重盲検処置相(研究期間III)中に研究または調査製品を中止した患者は、直ちに研究期間IVに進むことになる。何らかの理由で調査製品を時期尚早に中止する患者は、有害事象およびプロトコルの他の経過観察手順を完了するべきである。一時的な中止は許可されない。
【0129】
eDiary日記を使用して、主要有効性評価のための情報を収集する。eDiaryおよび患者記録を介して収集した情報に加えて、活動予定に従って評価が施設で実施される。副次有効性評価には、片頭痛特有の生活の質のアンケート第2.1版が含まれる。MSQ v2.1は、片頭痛に罹患する個人にとって特に懸念される機能に対する身体的および感情的な影響に対処するために開発された、自己実施型の健康状態測定具である。この測定具は、3つのドメイン(Jhingran et al.1998b):役割機能-制限、役割機能-予防、および感情機能に言及する14項目からなる。制限ドメインは、通常の活動の能力に対する影響に関連する障害を具体的に測定し、予防ドメインは、完全な機能障害に言及し、感情ドメインは、障害性の毎月の片頭痛日数に関連する感情に言及する。回答は、「常になし」から「常に」までの範囲の6点のリッカート型スケールを使用して与えられる。各ドメインの生のスコアは、項目の回答の合計として計算され、総合計は、0~100のスケールに変換される合計の生のスコアを提供し、このスコアがより高いほど、健康状態がより良好であることを示し、スコアの正の変化は、機能の改善を反映する(Jhingran et al.1998a、Martin et al.2000)。この測定具は、4週間の想起期間をもってデザインされ、信頼でき、妥当であり、片頭痛による機能障害の変化に対して感受性であると見なされる(Jhingran et al.1998b、Bagley et al.2012)。
【0130】
別の副次有効性評価は、患者報告アウトカム測定情報システム(睡眠関連障害短文式フォーム4a)(PROMIS(登録商標))である。PROMIS(登録商標)は、国立保健研究所のロードマップイニシアチブの一部である。その記載される目標は、「臨床医および研究者に、効率的、正確、妥当、かつ応答性の高い、成人および子供報告健康および幸福の測定尺度へのアクセスを提供すること」である(HealthMeasures2013)。PROMISイニシアチブは、現代の測定理論、ならびに定量的、定性的、および混合法に関与する測定具開発のための科学的に厳密なアプローチを使用した。このアプローチにより、優れた心理測定特性を有する患者の自己報告項目バンクをもたらした。PROMIS-SD(HealthMeasures WWW)患者の自己報告項目バンクは、文献検索、項目の収集および選別、専門家による内容審査、定性的な患者研究、ならびにパイロット検査の反復プロセスを通して開発された。結果として得られる27項目は、睡眠の質、睡眠の深さ、および睡眠に関連する回復についての自己報告の認識を評価する。これには、入眠または安眠に関する認識された困難および懸念、ならびに睡眠の適切性およびその満足度の認識が含まれる。PROMIS-SDは、内部一貫性および収束の妥当性を含む、優れた測定特性を実証している。項目バンクの妥当性は、既存のスケールとの中等度から高度の相関関係によって、および睡眠障害を有するものと有しないものとを区別する能力によって支持された(Buysse et al2010)。PROMIS-SDは、幅広い集団において検査され、妥当性の証拠(例えば、予想される関連性、既知の群間の識別)を示している(Busse et al2013、Cook et al2012、Fenton et al2011、Stachler et al2014)。項目解析および臨床判断を使用したその後の研究は、27項目のスケールを8項目に低減した。著者らは、8項目版が「ピッツバーグ睡眠の質指数(PSQI)よりも高い測定精度」を有すると報告した(Yu et al2012)。さらなる項目の低減は、4項目版(PROMIS-SF SD4a)をもたらした。結果として得られる4項目は、睡眠の質、睡眠の開始、睡眠に関する問題、および安らぎを測定する。Jensen et al(2016)によって実施された研究は、4項目版が十分な信頼性および妥当性を有することを実証した。各質問は、1~5の値の範囲の5つの回答選択肢を有する。スコアリングについて、生の合計スコアは、各質問への回答の値を合計することによって見出される。生の合計スコアが計算されると、PROMIS睡眠障害スコアリングマニュアルの該当するスコア変換表を使用して、生の合計スコアを各参加者のTスコアに変換する。Tスコアは、生のスコアを、50の平均および10の標準偏差(SD)で標準化されたスコアに再スケーリングする。スコアがより高いほど、睡眠障害がより大きいことを表す。
【0131】
別の副次有効性評価は、片頭痛障害評価(MIDAS)を含み得る。MIDASは、3ヶ月間にわたる頭痛関連障害を定量化するためにデザインされた、患者評価スケールである。この測定具は、職場または家庭および社会的イベントを欠席した、またはそこで生産性が低減したと報告された日数を反映する5項目からなる。各質問は、過去3ヶ月の評価期間中の0~90の範囲の日数として回答され、合計スコアは、5つの数値回答の合計である。より高い値は、より多くの障害を示す(Stewart et al.1999,2001)。この測定具は、信頼でき、妥当であると考えられ、医療のニーズに関する臨床判断と相関する(Stewart et al.1999,2001)。臨床的解釈可能性のために、合計スコアに基づく4つのカテゴリー等級が開発された:等級I(0~5)は、ほとんどまたはまったく障害がない、等級II(6~10)は、軽度の障害、等級III(11~20)は、中等度の障害、および等級IV(21+)は、重度の障害である。高い割合の慢性片頭痛を有する患者は、等級IV(Blumenfeld et al.2011)であるため、重度の障害カテゴリーは、その後に等級IV-A(重度[21~40])および等級IV-B(非常に重度[41~270])に細分化されている。2つの追加の質問(AおよびB)は、頭痛の頻度および頭痛による疼痛の強度に関する情報を収集する。これらは、MIDASアンケートではスコアリングされないが、処置および管理の決定に役立つ可能性のある臨床的に関連する情報を提供するために含まれている。
【0132】
別の副次有効性評価は、重症度に関する患者の包括的な印象を含み得る。重症度に関する患者の包括的な印象(PGI-S)スケール(Guy1976)は、現在の病気の重症度を測定する患者評価測定具である。PGI-Sには、1(「正常、まったく病気ではない」)から7(「非常に病気である」)までの可能な回答の範囲が含まれる。変化に関する患者の包括的な印象は、別の副次有効性評価であり得る。変化に関する患者の包括的な印象(PGI-C)スケール(Guy1976)は、患者の症状の変化を測定する患者評価測定具である。それは、7点スケールであり、1のスコアは、患者が「非常に良くなっている」ことを示し、4のスコアは、患者が「変化なし」を経験していることを示し、7のスコアは、患者が「非常に悪くなっている」ことを示す。別の副次有効性評価は、12項目の異痛症状チェックリストを含み得る。ASC-12(Lipton et al2008)は、頭痛発作に関連する皮膚異痛症の存在および重症度を測定するための、12項目の検証済みの定量的な患者完了測定具である。このツールは、二分(存在/不在)の回答ではなく、段階的な回答を提供するために開発された。ASC-12は、髪をとかす、眼鏡をかける、および熱または低温への曝露などの、12項目の各々に従事するときに、最も重度の種類の頭痛中に患者が皮膚に疼痛の増加または不快な感覚を経験する頻度を尋ねる。12項目の各々は、以下の回答選択肢を有する:自分には当てはまらない(0点)、まったく当てはまらない(0点)、ほとんど当てはまらない(0点)、半分未満の時(1点)、および半分以上の時(2点)。合計スコアは、0~24の範囲であり、以下の異痛症カテゴリーをもたらす(Lipton et al2008):なし(0~2点)、軽度(3~5点)、中等度(6~8点)、および重度(9点以上)。
【0133】
他の有効性評価には、eDiaryおよび患者記録を介して収集された情報が含まれる。急性片頭痛薬に対する患者の回答は、施設で記録される。他の三次評価の説明を、以下に列挙する。
【0134】
患者の健康のアンケート-9(PHQ-9)は、MDDを検出するため、およびうつ状態の重症度を測定するためにデザインされた、9項目の患者完了測定具である(Kroenke et al.2001)。9項目は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、第4版(DSM-IV)のMDDの診断基準に関連し、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders、第5版(DSM-V)にも依然として適用可能である:無快感症、うつ状態の気分、睡眠障害、疲労感、食欲の変化、罪悪感、自己非難、または無価値、集中力障害、減速感または不穏感、および死んだり自分を傷つけたりしたほうがよいという考え。各項目は、過去2週間の症状に基づいて、4点スケールで評価される(0=まったくない、1=数日、2=半分超の時、3=ほぼ毎日)。全体的なスコアは、0~27の範囲であり、うつ状態の重症度のレベルは、以下のように定義される:0~4最小、5~9軽度、10~14中等度、15~19中等重度、および20~27重度。この測定具は、片頭痛を有する患者(Seo and Park2015a)を含む、研究および臨床設定(Kroenke et al.2001)で使用するのに信頼でき、妥当であると見なされる。
【0135】
7項目の一般化不安障害スケール(GAD-7)は、GADをスクリーニングし、不安症状の重症度を測定するためにデザインされた、7項目の患者完了アンケートである(Spitzer et al.2006)。このツールは、DSM-IVにおけるGADの症状基準(DSM-Vにも依然として適用可能である)および既存の不安スケールの審査に基づいて開発され、項目は、以下に言及する:神経過敏感、制御不能な心配、過度の心配、リラックス障害、不穏状態、易刺激性、および恐怖感。患者は、過去2週間にこれらの症状によってどれだけ悩まされたかを特定する。7項目の各々は、4点スケールで評価され(0=まったくない、1=数日、2=半分超の日、3=ほぼ毎日)、合計スコアは、0~21の範囲である。不安の重症度のレベルは、以下のように定義される:0~4=最小、5~9=軽度、10~14=中等度、15~21=重度。この測定具は、片頭痛を有する患者(Seo and Park2015b)を含む、研究および臨床施設(Spitzer et al.2006)で使用するのに信頼でき、妥当であると見なされる。
【0136】
全ての安全性評価について計画された時点を、活動予定(SoA)に提供する。完全な身体検査には、少なくとも、心血管系、呼吸器系、胃腸系、および神経系の評価が含まれる。身長および体重もまた測定し、記録する。調査者は、以前の重大な病気に関連する臨床徴候に特別な注意を払うべきである。有害事象(AE)を、検査に基づいて記録する。生命徴候には、体温、血圧、および脈拍が含まれる。血圧および脈拍は、採血および研究薬投与の前に、座位で3連で測定する。身長および体重は、活動予定に示されるように評価する。診断をもたらす生命徴候測定からのいかなる臨床的に有意な所見も、AEとして報告するべきである。
【0137】
各患者について、活動予定に示される訪問時に、単一の12誘導デジタル心電図(ECG)を収集する。ECGは、ECGマニュアルに含まれる研究特有の推奨事項に従って記録するべきである。スクリーニングECGは、局所的に読み取る。残りのECGは、中心的に読み取る。患者は、ECG収集の前に約5~10分間仰臥位になり、ECG収集中は仰臥位のままであるが、覚醒していなければならない。診断をもたらすECGからのいかなる臨床的に有意な所見も、AEとして報告するべきである。
【0138】
研究を非盲検化し得る臨床検査結果を除いて、臨床検査の結果は、調査者に提供される。付録2は、実行される臨床検査の一覧、ならびにタイミングおよび頻度についてSoAに対して提供する。調査者は、検査報告を審査し、この審査を文書化し、研究中に発生するあらゆる臨床的に関連する変化をCRFのAE節に記録しなければならない。臨床的に有意な異常な検査所見は、調査者が参加者の容態について予想されるよりも重度であると判断しない限り、基礎疾患に関連しない所見である。研究への参加中に臨床的に有意に異常であると見なされる値を有する全ての臨床検査は、値が正常もしくはベースラインに戻るか、または調査者もしくは医学的監視者が臨床的に有意であると見なさなくなるまで反復するべきである。このような値が、調査者が妥当であると判断した期間内に正常/ベースラインに戻らない場合、病因を特定し、治験依頼者に通知するべきである。付録2に定義されるプロトコルに必要な全ての検査評価は、検査マニュアルおよびSoAに従って実施しなければならない。診断をもたらす臨床検査からのいかなる臨床的に有意な所見も、AEとして報告するべきである。研究患者が上昇したALT≧3×ULN、ALP≧2×ULN、または上昇したTBL≧2×ULNを経験した場合、3~5日以内にALT、AST、ALP、TBL、直接ビリルビン、ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ、およびクレアチンキナーゼを含む肝臓検査を反復して、異常を確認し、それが増加しているか減少しているかを決定するべきである。異常が持続または悪化する場合、調査者は、医学的監視者と相談して、臨床および検査監視を始めるべきである。ALT、AST、TBL、およびALPの監視は、レベルが正常化するか、またはおよそベースラインレベルに戻るまで継続するべきである。
【0139】
ラスミジタンは、中枢に浸透する薬物であるため、自殺念慮および挙動の評価は、コロンビア自殺重症度評価スケール(C-SSRS)を使用して研究中に監視される。C-SSRSは、アンケートを通して、評価期間中の自殺念慮および挙動の発生、重症度、および頻度を把握するスコアである(Posner et al.2011)。スケールには、自殺関連の考えまたは挙動が発生したかどうかを決定するために必要な情報の種類を求めるための示唆された質問が含まれている。C-SSRSは、活動予定に従って、少なくとも1年間の患者治療/臨床経験を有する適切な訓練を受けた医療専門家によって実施される。
【0140】
運転に対するラスミジタンの影響をさらに評価するために、患者は、活動予定に従って、自動車事故および交通違反に関連する質問に回答するよう求められる。
【0141】
活動予定に指定される訪問および時間に、静脈血試料を収集して、ラスミジタンおよびその代謝物(複数可)の血漿濃度を決定する。採血時には、採血前の最終用量投与の時間(24時間制)および日付(典型的には前夜から)を記録するべきである。採血の正確な日時もまた、記録するべきである。検証済みのアッセイを使用して、ラスミジタンおよびその代謝物(複数可)の血漿濃度を測定する。研究を非盲検化し得る薬物濃度情報は、研究が非盲検化されるまで、調査施設または盲検化された担当者には報告されない。
【0142】
医療資源利用および雇用状態(HCRU)は、患者応答を文書化する際に、研究担当者によって求められる。HCRUは、病院の緊急治療室への訪問数、一晩の病院滞在、および臨床試験への参加に関連する訪問以外の患者の最終研究訪問以降に発生した医療専門家による他の訪問を尋ねる、3つの質問からなる。患者にはまた、片頭痛に関連する医療事象の数についても具体的に尋ねる。ベースライン訪問には、同じ質問が含まれるが、基準枠は、過去6ヶ月間である。MIDASなどの健康アウトカム測定尺度との相関関係および潜在的な交絡を考慮して、雇用状態に関する質問も求められる。
【0143】
主要な仮説は、偶発性片頭痛患者における片頭痛の予防において、少なくとも1用量のラスミジタン(50mg/日または100mg/日)が偽薬よりも優れていると決定することである。約541人の患者をスクリーニングして、292人の患者を、2:1:1の割合で、偽薬(n=146)、ラスミジタン50mg(n=73)、またはラスミジタン100mg(n=73)に無作為に割り当てることを達成する。20%の中止率および0.55の効果量を想定すると、この試料サイズは、ラスミジタンの最も有効な用量が、この研究の処置企図(ITT)集団について、0.05もしくは0.1の片側有意水準で、または好ましくは0.05の両側有意水準で偽薬から分離する、約90%の検出力を提供すると推定される。
【0144】
3つの解析集団は、以下のように定義される:ITT集団、安全性集団、および経過観察集団。ITT集団および安全性集団には、無作為化され、少なくとも1用量の調査製品を受けた全ての患者が含まれる。経過観察集団には、経過観察相(研究期間IV)に入る全ての患者が含まれる。特に記載されない限り、全ての有効性解析は、ITT集団に対するITTの原則に従って実行されることになり、つまり、患者は、実際には別の処置を受けたかどうかにかかわらず、無作為化された処置に従って解析されることになる。安全性解析は、患者が受けた処置に基づいて、安全性集団に対して実施されることになる。経過観察相(調査期間IV)の解析は、経過観察集団のみに基づくことになる。特に指定されない限り、解析は、有効性解析のためにITT集団に対して、および安全性解析のために安全性集団に対して実施されることになる。ベースラインからの変化を評価するとき、患者は、ベースライン時およびベースライン後の測定を有する場合にのみ解析に含まれる。反復測定による継続的な有効性変数は、混合モデルの反復測定尺度(MMRM)法を使用して解析されることになる。MMRMには、処置、ベースラインの片頭痛日数の頻度カテゴリー(8日未満対8日以上の片頭痛日数/月)、プールされた国、月、および月ごとの処置の相互作用の固定カテゴリー効果、ならびにベースラインおよび月ごとのベースラインの相互作用の継続的な固定共変数が含まれる。主要評価項目のモデルでは、継続的なベースラインの毎月の片頭痛日数値が、既にモデルに含まれているため、ベースラインの片頭痛日数の頻度カテゴリーは、共変数から除外されることになる。研究期間IIIの解析では、訪問3がベースラインとして定義され、訪問5と訪問7との間に予定される全ての訪問が、ベースライン後の観察として定義される。反復測定尺度のない継続的な有効性変数では、最終観察値代入(LOCF)補完を有する共分散解析(ANCOVA)モデル(処置の主な効果、ベースラインの片頭痛日数の頻度カテゴリー、およびプールされた国を含有する)ならびにベースラインの継続的な固定共変数を使用することになる。統計的比較では、最小二乗平均(LSMeans)のIII型二乗和を使用することになる。研究期間IIIの解析では、訪問3がベースラインとして定義され、訪問3と訪問7との間の欠損していない最終観察値が、ベースライン後の観測となる。反復測定尺度を有する二進法有効性変数は、一般化線形混合モデル(GLIMMIX)を使用して、疑似尤度ベースの混合効果反復測定尺度解析として解析することになる。GLIMMIXモデルには、処置、月、および月ごとの処置の交互作用の固定カテゴリー効果、ならびにベースライン値の連続的な固定共変数が含まれる。反復測定尺度のない二進法有効性変数では、処置群間の比較は、ANCOVAモデルと同じモデル項によるロジスティック回帰を使用して実行されることになる。モデルの収束を確実にするために、プールされた国を取り除いてもよい。反復測定尺度を有する継続的な安全性変数では、MMRM法が使用され、適切と見なされる場合には、LOCF補完を有するANCOVAモデルも使用される。安全性測定尺度にANCOVAモデルを使用する場合、モデルは、処置の主な効果、およびベースラインの継続的な固定共変数を含有することになる。統計的比較では、LSMeansのIII型二乗和を使用することになる。カテゴリー安全性変数(AEおよび対象となる他のカテゴリー変化など)、ならびにカテゴリーベースライン特徴については、フィッシャー直接確率法を使用して、処置群間の比較を実行することになる。特に記載されない限り、処置効果は、全ての有効性および安全性解析について、0.05の両側有意水準に基づいて評価されることになる。主要目的および鍵となる副次目的の多重比較によるI型誤差は、SAPに定義される多重比較手順に従って制御される。他のデータ(他の副次目的または三次目的)の解析のための多重度の調整は、存在しないことになる。国は、統計解析の目的に必要と見なされるようにプールされることになる。データの追加の探索的解析は、適切と見なされる場合に実施されることになる。
【0145】
研究を完了したか、または早期に中止したITT患者の数およびパーセンテージを、研究期間IIIの全ての処置群について作表する。中止の理由は、研究期間IIIの処置群とITT集団との間で比較されることになる。さらに、患者の決定による中止の下位カテゴリーが、要約されることになる。研究期間IVでは、研究期間IVに入るITT患者の数およびパーセンテージを、全ての処置群について作表し、これらの患者において、研究期間IVを完了する患者の数およびパーセンテージについても作表する。研究期間IVの処置群については、記述統計のみを提示する。全てのITT患者の研究期間IIIについて、調査者による患者の割り当てを要約する。全ての研究期間についても、調査者による患者の割り当てを列挙する。
【0146】
ベースライン時点での以下の患者の特徴を、全てのITT患者の処置群ごとに要約する。人口統計(年齢、性別、民族起源、身長、体重、肥満度指数)、30日間のベースライン期間あたりのePRO日記からの片頭痛および/または頭痛関連測定尺度、アルコール、タバコ、カフェイン、およびニコチンの消費、病歴および既存の容態、病歴および既存の容態を、器官別大分類(SOC)における優先使用語によって要約する。
【0147】
eCRFから収集した併用薬および頭痛薬記録上で収集した急性薬を受けた患者の割合を、研究期間IIIおよび研究期間IVの全てのITT患者について別個に要約する。
【0148】
訪問5から7までの全ての欠損していない訪問ごとのコンプライアンスデータが、コンプライアンスを示す場合、患者を、研究期間III中に調査製品について全体的にコンプライアンスがあると見なす。フィッシャー直接確率法を使用して、個々の各訪問時および全体的に調査製品にコンプライアンスがある患者のパーセンテージを、処置群間で比較する。
【0149】
各1ヶ月の期間(ベースライン、1ヶ月目、2ヶ月目、3ヶ月目、および4ヶ月目を含む)での、ならびに研究期間III全体(1ヶ月目から3ヶ月目まで)についての電子患者報告アウトカム日記のコンプライアンスを、計算する。各期間での日記のコンプライアンスを、以下のように計算する:
【数1】
主要有効性評価項目は、3ヶ月間の二重盲検処置相(研究期間III)中の毎月の片頭痛日数のベースライン期間からの全体的な平均変化であり、主要解析は、合計ITT集団において偽薬と比較したラスミジタンの有効性を評価する。主要解析は、制限付き最尤法ベースのMMRM技術を使用して実行する。解析には、処置、プールされた国、月、および月ごとの処置の相互作用の固定カテゴリー効果、ならびに片頭痛日数のベースライン数および月ごとの片頭痛日数の相互作用のベースライン数の継続的な固定共変数が含まれる。非構造化共分散構造を使用して、患者内誤差をモデル化する。ケンワードーロジャー(Kenward and Roger1997)の近似を使用して、分母の自由度を推定する。PROC MIXEDによって使用されるデフォルトの適合アルゴリズムでヘッセ行列およびG行列の両方が正定値である状態で、モデルが収束しない場合、SAS(登録商標)でSCORING選択肢を指定することによって、フィッシャースコアリングアルゴリズムを実装する。モデルが依然として収束しない場合、収束が満たされるまで、共分散パラメータの数を減少させることによって、指定された以下の次数の共分散行列を使用して、モデルを適合させる:不均質テプリッツ、不均質1次自己回帰、テプリッツ、1次自己回帰。非構造化共分散行列を利用しない場合、サンドイッチ推定量(Diggle and Kenward1994)を使用して、固定効果パラメータの標準誤差を推定する。サンドイッチ推定量は、SAS(登録商標)でEMPIRICAL選択肢を指定することによって実装される。サンドイッチ推定量を利用する場合、分母の自由度のケンワードーロジャーの近似は、使用することができない。代わりに、分母の自由度は、SAS(登録商標)のDDFM=BETWITHIN選択肢によって、患者間部分および患者内部分に分割される。SAS(登録商標)PROC MIXEDを使用して、解析を実行する。
【0150】
二重盲検処置相(研究期間III)のITT集団を使用して、副次測定尺度を解析する。継続的な副次測定尺度の解析モデルは、主要解析(節9.4.3.1)の場合と同じであり、GLIMMIXモデルを使用して、毎月の片頭痛日数のベースラインからの50%以上の低減を有する患者のパーセンテージを解析する。
【0151】
全体的なI型誤差を制御するために、主要目的および副次目的のサブセットにゲートを付ける。0.05の両側アルファレベルで全体的なI型誤差を維持する多重比較手順を使用して、ゲート付き副次解析を検査する。主要評価項目に対してnull仮説のいずれかが拒否された場合、多重比較手順に従って、ゲート付き副次評価項目を検査する。
【0152】
副次および三次測定尺度のベースラインからの変化を解析する。これらのベースラインの定義は、SAPに含まれる。さらに、頻度測定尺度のカテゴリー解析を実行する。他の副次または三次評価項目の解析の多重度の調整は、存在しないことになる。
【0153】
以下を要約することによって、処置の安全性および忍容性を評価する:TEAE、SAE、中止につながるAE、生命徴候および体重、ECG、検査測定、C-SSRS、運転事故/違反、退薬に関連するAE。特に指定されない限り、カテゴリー安全性解析には、予定された訪問および予定されていない訪問の両方が含まれる。全てのカテゴリー安全性測定尺度についての処置群間の比較は、安全性集団を用いた研究期間IIIのフィッシャー直接確率法を使用して行われることになる。調査期間IVの解析については、記述統計のみを提示することになる。安全性集団を使用して、継続的な安全性データの解析を、研究期間IIIおよび研究期間III/IVについて実施することになる。これらの解析では、予定された訪問で収集された値のみを使用することになる。
【0154】
処置下で発現した有害事象は、ベースライン相と比較して、ベースライン後の相中に最初に発生または悪化した、報告されたAEとして定義される。各TEAEについて、報告された事象の重症度レベル(軽度、中等度、または重度)は、患者または医師の意見によって決定されることになる。処置下で発現した計算では、医薬品規制用語集(MedDRA)の下層語(LLT)が使用されることになる。各LLTについて、ベースライン時の最大重症度を、ベースライン重症度として使用することになる。ベースライン後中の最大重症度が、最大ベースライン重症度よりも大きい場合、その事象は、特定のベースライン後の期間に処置下で発現したものと見なされる。各研究期間の安全性解析は、以前の研究期間に予定された最終訪問までの全ての訪問を、ベースラインとして使用することになる。各患者およびTEAEについて、表示されるMedDRAレベルの最大重症度(好ましい期間、高レベル期間、またはSOC)は、そのMedDRAレベルにマッピングされている全ての関連するLLTから観察されたベースライン後の最大重症度である。性別特有の事象については、分母およびパーセンテージの計算には、特定の性別の患者のみが含まれる。
【0155】
ラスミジタンおよびその代謝物(複数可)の濃度は、グラフで説明され、記述的に要約され、これには、収集方法によるラスミジタン濃度の視覚的な比較が含まれ得る。集団アプローチを使用して、片頭痛を有する患者におけるラスミジタンのPKを特徴付け、就寝時の投薬に関連するPK可変性の大きさを評価し、PKに影響を与え得る潜在的な因子を特定することができる。必要に応じて、ラスミジタンを評価する他の臨床研究のデータを、この試験のデータと組み合わせて、解析を支持することができる。正当な理由があり、データの入手可能性に基づいている場合、ラスミジタン濃度と、有効性評価項目および/または安全性評価項目、ならびにこれらの評価項目に影響を与え得る潜在的な因子との曝露応答関係もまた、探索してもよい。正当な理由がある場合、追加の解析を実行してもよい。
【0156】
以下に詳述される検査は、中央検査室によって実行されることになる。患者の組み入れまたは除外に関するプロトコル特有の要件は、プロトコルに詳述する。追加の検査は、調査者によって必要と決定された場合、または地域の規制によって必要とされた場合、研究中いつでも実行することができる。
【表31】
【表32】
【表33】
【表34】
【表35】
【0157】
参考文献:
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