(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156386
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20231017BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20231017BHJP
G09G 3/3233 20160101ALI20231017BHJP
G06N 3/063 20230101ALI20231017BHJP
【FI】
G09G3/20 642B
G09G3/20 621M
G09G3/20 680G
G09G3/20 641P
G09G3/36
G09G3/3233
G06N3/063
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126079
(22)【出願日】2023-08-02
(62)【分割の表示】P 2022111180の分割
【原出願日】2018-01-15
(31)【優先権主張番号】P 2017008039
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017008040
(32)【優先日】2017-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】黒川 義元
(57)【要約】
【課題】新規な半導体装置又は表示システムの提供。
【解決手段】表示システムが、人工知能を利用して映像信号を補正する機能を有する補正
回路を備える。具体的には、人工ニューラルネットワークの学習により、映像の不連続性
が緩和されるように映像信号を補正することが可能な補正回路が構成される。そして、当
該学習後の人工ニューラルネットワークを用いて推論(認知)を行うことにより、映像信
号が補正され、映像の不連続性が補償される。これにより、つなぎ目が目立たない映像の
表示が可能となり、高解像度の映像の品質を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素部と、第1の駆動回路乃至第4の駆動回路と、第1の配線乃至第6の配線と、信号生成部と、を有し、
前記信号生成部は、補正回路を有し、
前記画素部は、第1の画素及び第2の画素を有する第1の領域と、第3の画素及び第4の画素を有する第2の領域と、を有し、
前記第1の駆動回路は、前記第1の配線に第1の選択信号を供給する機能と、前記第2の配線に第2の選択信号を供給する機能と、を有し、
前記第2の駆動回路は、前記第3の配線に第3の選択信号を供給する機能と、前記第4の配線に第4の選択信号を供給する機能と、を有し、
前記第3の駆動回路は、前記第5の配線に第1の映像信号を供給する機能を有し、
前記第4の駆動回路は、前記第6の配線に第2の映像信号を供給する機能を有し、
前記第1の画素は、前記第1の配線及び前記第5の配線と電気的に接続され、
前記第2の画素は、前記第2の配線及び前記第5の配線と電気的に接続され、
前記第3の画素は、前記第3の配線及び前記第6の配線と電気的に接続され、
前記第4の画素は、前記第4の配線及び前記第6の配線と電気的に接続され、
前記第3の駆動回路と前記第2の画素の距離は、前記第3の駆動回路と前記第1の画素の距離よりも長く、
前記第4の駆動回路と前記第4の画素の距離は、前記第4の駆動回路と前記第3の画素の距離よりも長く、
前記第2の画素と前記第4の画素は隣接して設けられ、
前記補正回路は、ニューラルネットワークを有し、
前記ニューラルネットワークは、前記第5の配線を介して前記第2の画素に入力される前記第1の映像信号を補正し、
前記ニューラルネットワークは、前記第5の配線を介して前記第1の画素に入力される前記第1の映像信号を補正せず、
前記ニューラルネットワークは、前記第6の配線を介して前記第4の画素に入力される前記第1の映像信号を補正し、
前記ニューラルネットワークは、前記第6の配線を介して前記第3の画素に入力される前記第1の映像信号を補正しない、表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、表示システム及び電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明
の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、
表示システム、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそ
れらの製造方法、を一例として挙げることができる。
【0003】
また、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装
置全般を指す。トランジスタ、半導体回路、演算装置、記憶装置等は半導体装置の一態様
である。また、表示装置、撮像装置、電気光学装置、発電装置(薄膜太陽電池、有機薄膜
太陽電池等を含む)、及び電子機器は半導体装置を有している場合がある。
【背景技術】
【0004】
テレビジョン(TV)は、大画面化に伴って高精細度の映像を表示できることが望まれて
おり、超高解像度テレビジョン放送が推進されている。2016年には8Kデジタルテレ
ビ放送の試験放送が開始され、本放送の開始も予定されている。そのため、8K放送に対
応するための各種の電子機器が開発されている(例えば、非特許文献1)。
【0005】
また、映像の表示には、液晶表示装置や発光表示装置に代表されるフラットパネルディス
プレイが広く用いられている。これらの表示装置を構成するトランジスタの半導体材料に
は主にシリコンなどが用いられているが、近年、金属酸化物を用いたトランジスタを表示
装置の画素に用いる技術も開発されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-96055号公報
【特許文献2】特開2007-123861号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】S.Kawashima, et al.,“13.3-In.8K x 4K 664-ppi OLED Display Using CAAC-OS FETs”、SID 2014 DIGEST,pp.627-630.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一態様は、新規な半導体装置又は表示システムの提供を課題とする。又は、本発
明の一態様は、高品質の映像の表示を可能とする半導体装置又は表示システムの提供を課
題とする。又は、本発明の一態様は、高解像度の映像の表示を可能とする半導体装置又は
表示システムの提供を課題とする。又は、本発明の一態様は、高速動作が可能な半導体装
置又は表示システムの提供を課題とする。又は、本発明の一態様は、消費電力が低い半導
体装置又は表示システムの提供を課題とする。
【0009】
なお、本発明の一態様は、必ずしも上記の課題の全てを解決する必要はなく、少なくとも
一の課題を解決できるものであればよい。また、上記の課題の記載は、他の課題の存在を
妨げるものではない。これら以外の課題は、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載か
ら、自ずと明らかとなるものであり、明細書、特許請求の範囲、図面などの記載から、こ
れら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る表示システムは、信号生成部と、表示部と、を有し、信号生成部は
、映像信号を生成する機能を有し、表示部は、映像信号に基づいて、映像を表示する機能
を有し、表示部は、画素部と、第1の駆動回路と、第2の駆動回路と、を有し、表示部又
は信号生成部は、補正回路を有し、画素部は、第1の領域と、第2の領域と、を有し、第
1の領域には、第1の駆動回路から映像信号が供給され、第2の領域には、第2の駆動回
路から映像信号が供給され、補正回路は、ニューラルネットワークを有し、ニューラルネ
ットワークは、第1の領域と第2の領域の境界における映像の不連続性を補償するように
、映像信号を補正する機能を有する表示システムである。
【0011】
また、本発明の一態様に係る表示システムは、演算処理装置を有し、演算処理装置は、ニ
ューラルネットワークの学習を行う機能を有し、学習によって得られた重み係数は、補正
回路に供給されてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様に係る表示システムにおいて、学習は、映像信号と、表示部に表示
された映像に対応する信号との差分が一定以下になるように、重み係数を更新することに
より行われてもよい。
【0013】
また、本発明の一態様に係る表示システムにおいて、ニューラルネットワークは、オート
エンコーダを構成し、オートエンコーダは、デコーダと、エンコーダと、を有し、エンコ
ーダは、信号生成部に設けられ、デコーダは、表示部に設けられていてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様に係る表示システムにおいて、画素部は、複数の画素を有し、画素
は、チャネル形成領域に水素化アモルファスシリコンを含むトランジスタを有していても
よい。
【0015】
また、本発明の一態様に係る表示システムにおいて、画素部は、複数の画素を有し、画素
は、チャネル形成領域に金属酸化物を含むトランジスタを有していてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様に係る電子機器は、上記の表示システムが搭載された電子機器であ
る。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様により、新規な半導体装置又は表示システムを提供することができる。又
は、本発明の一態様により、高品質の映像の表示を可能とする半導体装置又は表示システ
ムを提供することができる。又は、本発明の一態様により、高解像度の映像の表示を可能
とする半導体装置又は表示システムを提供することができる。又は、本発明の一態様によ
り、高速動作が可能な半導体装置又は表示システムを提供することができる。又は、本発
明の一態様により、消費電力が低い半導体装置又は表示システムを提供することができる
。
【0018】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。また、本発明の一
態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。これら以外の効果は、明細
書、特許請求の範囲、図面などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、特
許請求の範囲、図面などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図11】プログラマブルスイッチの構成例を示す図。
【
図29】レーザ照射方法およびレーザ結晶化装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下
の実施の形態における説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することな
くその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。した
がって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0021】
また、本発明の一態様には、半導体装置、記憶装置、表示装置、撮像装置、RF(Rad
io Frequency)タグなど、あらゆる装置がその範疇に含まれる。また、表示
装置には、液晶表示装置、有機発光素子に代表される発光素子を各画素に備えた発光装置
、電子ペーパー、DMD(Digital Micromirror Device)、
PDP(Plasma Display Panel)、FED(Field Emis
sion Display)などが、その範疇に含まれる。
【0022】
また、本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での
金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を
含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともい
う)などに分類される。例えば、トランジスタのチャネル領域に金属酸化物を用いた場合
、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用
、整流作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有する場合、当該金属酸化物を、
金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)、略してO
Sと呼ぶことができる。以下、チャネル領域に金属酸化物を含むトランジスタを、OSト
ランジスタとも表記する。
【0023】
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxi
de)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(met
al oxynitride)と呼称してもよい。金属酸化物の詳細については後述する
。
【0024】
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合
は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合
と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。
したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図
又は文章に示された接続関係以外のものも、図又は文章に記載されているものとする。こ
こで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、
など)であるとする。
【0025】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能
とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイ
オード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であ
り、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量
素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに
、XとYとが、接続されている場合である。
【0026】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能
とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイ
オード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが
可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイ
ッチは、オン状態、又は、オフ状態になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有
している。又は、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。
なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場
合を含むものとする。
【0027】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能
とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変
換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電
源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)
、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きく出来る回
路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回
路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である
。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号が
Yへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYと
が機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYと
が電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0028】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYと
が電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで
接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの
間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている
場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)と
が、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示
的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合
と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
【0029】
また、異なる図面間で同じ符号が付されている構成要素は、特に説明がない限り、同じも
のを表す。
【0030】
また、図面上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている
場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある
。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電
極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気
的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合
も、その範疇に含める。
【0031】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置及び表示システムについて説明する
。
【0032】
<表示システムの構成例>
図1(A)に、表示システム10の構成例を示す。表示システム10は、外部から受信し
たデータに基づいて映像を表示するための信号を生成し、当該信号に基づいて映像を表示
する機能を有する。表示システム10は、表示部20、信号生成部30を有する。
【0033】
表示部20及び信号生成部30は、いずれも半導体装置によって構成することができる。
よって、表示部20及び信号生成部30は半導体装置と呼ぶこともできる。
【0034】
表示部20は、信号生成部30から入力される映像信号に基づいて、映像を表示する機能
を有する。表示部20は、画素部21、駆動回路22、駆動回路23、タイミングコント
ローラ24を有する。
【0035】
画素部21は、複数の画素によって構成され、映像を表示する機能を有する。画素はそれ
ぞれ表示素子を有し、所定の階調を表示する機能を有する。駆動回路22及び駆動回路2
3から出力される信号により、画素の階調が制御され、画素部21に所定の映像が表示さ
れる。
【0036】
駆動回路22は、画素を選択するための信号(以下、選択信号ともいう)を画素部21に
供給する機能を有する。駆動回路23は、画素に所定の階調を表示させるための信号(以
下、映像信号ともいう)を画素部21に供給する機能を有する。選択信号が供給された画
素に映像信号が供給されることにより、画素部21に所定の映像が表示される。駆動回路
22は、ゲート側駆動回路、ゲートドライバと呼ぶことができ、駆動回路23は、ソース
側駆動回路、ソースドライバと呼ぶことができる。
【0037】
タイミングコントローラ24は、駆動回路22、駆動回路23などで用いられるタイミン
グ信号を生成する機能を有する。駆動回路22から選択信号が出力されるタイミング、又
は駆動回路23から映像信号が出力されるタイミングは、タイミングコントローラ24に
よって生成されたタイミング信号によって制御される。また、駆動回路22又は駆動回路
23が複数の駆動回路によって構成される場合は、当該複数の駆動回路から信号が出力さ
れるタイミングが、タイミングコントローラ24によって生成されたタイミング信号によ
って同期される。
【0038】
信号生成部30は、外部から入力されたデータに基づいて映像信号を生成する機能を有す
る。信号生成部30は、フロントエンド部31、デコーダ32、画像処理回路33、受信
部34、インターフェース35、制御回路36、補正回路40を有する。
【0039】
フロントエンド部31は、外部から入力される信号を受信して信号処理を行う機能を有す
る。フロントエンド部31には、放送信号などの画像データが入力される。フロントエン
ド部31は、受信した信号の復調、デジタル-アナログ変換などを行う機能を備えること
ができる。また、フロントエンド部31は、エラー訂正を行う機能を有していてもよい。
【0040】
デコーダ32は、符号化された信号を復号する機能を有する。フロントエンド部31に入
力される信号が圧縮されている場合、デコーダ32によって信号が伸長される。例えば、
デコーダ32は、エントロピー復号、逆量子化、逆離散コサイン変換(IDCT)や逆離
散サイン変換(IDST)などの逆直交変換、フレーム内予測、フレーム間予測などを行
う機能を備えることができる。
【0041】
なお、8K放送における符号化規格には、H.265/MPEG-H High Eff
iciency Video Coding(以下、HEVCという)が採用されている
。フロントエンド部31に入力される信号がHEVCに従って符号化されている場合には
、デコーダ32によってCABAC(Context Adaptive Binary
Arithmetic Coding)復号が行われる。
【0042】
画像処理回路33は、デコーダ32から入力された信号に画像処理を行う機能を有する。
具体的には、画像処理回路33は、ガンマ補正、調光、調色などを行う機能を備えること
ができる。画像処理回路33による画像処理により映像信号が生成され、信号SDとして
補正回路40に出力される。
【0043】
受信部34は、外部から入力される制御信号を受信する機能を有する。受信部34への制
御信号の入力は、リモートコントローラ、携帯情報端末(スマートフォンやタブレットな
ど)、表示部20に設けられた操作ボタンなどを用いて行うことができる。
【0044】
インターフェース35は、受信部34が受信した制御信号に適宜信号処理を施し、制御回
路36に出力する機能を有する。
【0045】
制御回路36は、信号生成部30が有する各回路に制御信号を供給する機能を有する。例
えば、制御回路36は、画像処理回路33及び補正回路40に制御信号を供給する機能を
有する。制御回路36による制御は、受信部34が受信した制御信号に基づいて行うこと
ができる。
【0046】
補正回路40は、画像処理回路33から入力された映像信号を補正する機能を有する。具
体的には、補正回路40は、画素部21が複数の領域に分割される場合において、分割さ
れた領域間の境界における映像の不連続性を補償するように、信号SDを補正する機能を
有する。補正回路40によって補正された映像信号は、信号SD´として駆動回路23に
出力される。以下、画素部21の分割、及び補正回路40によるつなぎ目の補償について
詳述する。
【0047】
図2に、画素部21が分割された表示部20の構成例を示す。表示部20は、複数の画素
52を有する画素部21、複数の駆動回路53、複数の駆動回路54を有する。なお、複
数の駆動回路53によって
図1における駆動回路22が構成され、複数の駆動回路54に
よって
図1における駆動回路23が構成される。
【0048】
画素52はそれぞれ表示素子を有する。画素52に設けられる表示素子の例としては、液
晶素子、発光素子などが挙げられる。液晶素子としては、透過型の液晶素子、反射型の液
晶素子、半透過型の液晶素子などを用いることができる。また、表示素子として、シャッ
ター方式のMEMS(Micro Electro Mechanical Syste
m)素子、光干渉方式のMEMS素子、マイクロカプセル方式、電気泳動方式、エレクト
ロウェッティング方式、電子粉流体(登録商標)方式等を適用した表示素子などを用いる
こともできる。また、発光素子の例としては、例えばOLED(Organic Lig
ht Emitting Diode)、LED(Light Emitting Di
ode)、QLED(Quantum-dot Light Emitting Dio
de)、半導体レーザなどの、自発光性の発光素子が挙げられる。画素52の具体的な構
成例については後述する。
【0049】
画素52の数は自由に設定することができる。高精細度の映像を表示するためには、画素
を多く配置することが好ましい。例えば、2Kの映像を表示する場合は、1920×10
80個以上の画素を設けることが好ましい。また、4Kの映像を表示する場合は、384
0×2160個以上、又は4096×2160個以上の画素を設けることが好ましい。ま
た、8Kの映像を表示する場合は、7680×4320個以上の画素を設けることが好ま
しい。また、画素部21には8Kよりも高精細度の映像を表示することもできる。
【0050】
画素52はそれぞれ、配線SL及び配線GLと接続されている。また、配線GLはそれぞ
れ駆動回路22と接続され、配線SLはそれぞれ駆動回路23と接続されている。配線G
Lには選択信号が供給され、配線SLには映像信号が供給される。
【0051】
駆動回路53は、選択信号を画素52に供給する機能を有する。具体的には、駆動回路5
3は、配線GLに選択信号を供給する機能を有し、配線GLは、駆動回路53から出力さ
れた選択信号を画素52に伝える機能を有する。なお、駆動回路53は、ゲート側駆動回
路、ゲートドライバと呼ぶことができる。また、配線GLは、選択信号線、ゲート線など
と呼ぶこともできる。
【0052】
駆動回路54は、映像信号を画素52に供給する機能を有する。具体的には、駆動回路5
4は、配線SLに映像信号を供給する機能を有し、配線SLは、駆動回路54から出力さ
れた映像信号を画素52に伝える機能を有する。なお、駆動回路54は、ソース側駆動回
路、ソースドライバと呼ぶことができる。また、配線SLは、映像信号線、ソース線など
と呼ぶこともできる。
【0053】
上記の2K、4K、8Kなどの高解像度の映像を表示するために、画素部21に多数の画
素52が設けられる場合、配線GL、配線SLの長さが増加し、これに伴い配線GL、配
線SLの寄生抵抗が増大する。また、
図2に示すように、配線GLと配線SLは互いに交
差するように設けられている。そのため、画素52の数が増加すると、交差部の数も増加
し、配線GLと配線SLによって形成される寄生容量が増大する。そのため、
図2におい
ては、画素部21を複数の領域51に分割し、領域51ごとに駆動回路53及び駆動回路
54を設ける構成を用いている。
【0054】
具体的には、
図2において、画素部21は4つの領域51(51(1,1)乃至(2,2
))に分割され、4つの領域51はそれぞれm列n行(m、nは自然数)の画素52を有
する。また、4つの駆動回路53(53(1,1)乃至(2,2))及び4つの駆動回路
54(54(1,1)乃至(2,2))が設けられている。
【0055】
なお、
図2において、駆動回路53(1,1)、(1,2)と接続された配線GLを配線
GL
1と表記し、駆動回路53(2,1)、(2,2)と接続された配線GLを配線GL
2と表記する。また、駆動回路54(1,1)、(1,2)、(2,1)、(2,2)と
接続された配線SLをそれぞれ、配線SL
11、配線SL
12、配線SL
21、配線SL
22と表記する。また、第i列第j行(iは1以上m以下の整数、jは1以上n以下の整
数)の画素52と接続された配線SLと配線GLを、それぞれ配線SL[i]、配線GL
[j]と表記する。
【0056】
領域51(1,1)乃至(2,2)にはそれぞれ、駆動回路54(1,1)乃至(2,2
)から映像信号が供給される。そのため、画素部21の上側の領域51(51(1,1)
、(1,2))に属する画素52には、上側の駆動回路54(54(1,1)、(1,2
))から映像信号を供給し、画素部21の下側の領域51(51(2,1)、(2,2)
)に属する画素52には、下側の駆動回路54(54(2,1)、(2,2))から映像
信号が供給することができる。これにより、一の駆動回路54と接続された配線SLを短
くすることができるため、寄生抵抗及び寄生容量を低減し、映像信号の供給を高速に行う
ことができる。よって、高解像度の映像を正確に表示することができる。
【0057】
なお、
図2においては、画素部21の上側の領域がさらに2つの領域51(1,1)、(
1,2)に分割され、画素部21の下側の領域がさらに2つの領域51(2,1)、(2
,2)に分割された構成例を示している。この場合、駆動回路54(1,1)、(1,2
)から映像信号が出力されるタイミングが同期され、駆動回路54(2,1)、(2,2
)から映像信号が出力されるタイミングが同期される。なお、領域51(1,1)、(1
,2)に映像信号を供給する駆動回路は、駆動回路54(1,1)、(1,2)が一体化
した回路によって構成してもよい。また、領域51(2,1)、(2,2)に映像信号を
供給する駆動回路は、駆動回路54(2,1)、(2,2)が一体化した回路によって構
成してもよい。また、駆動回路54(1,1)、(1,2)、(2,1)、(2,2)が
それぞれ複数の駆動回路から構成されていてもよい。
【0058】
また、
図2においては、1本の配線GLに、2つの駆動回路53が接続されている。具体
的には、領域51(1,1)、(1,2)に含まれる画素52は、配線GLを介して駆動
回路53(1,1)、(1,2)と接続されている。また、領域51(2,1)、(2,
2)に含まれる画素52は、配線GLを介して駆動回路53(2,1)、(2,2)と接
続されている。この場合、駆動回路53(1,1)、(1,2)から選択信号が出力され
るタイミングが同期され、駆動回路53(2,1)、(2,2)から選択信号が出力され
るタイミングが同期される。これにより、配線GLの両端から選択信号を供給することが
可能となり、選択信号を高速に供給することができる。なお、選択信号の伝達に支障がな
い場合は、駆動回路53(1,1)、(1,2)の一方、及び、駆動回路53(2,1)
、(2,2)の一方を省略することができる。
【0059】
なお、
図2においては画素部21を4つの領域51に分割した場合を示したが、分割数は
特に限定されず、自由に設定することができる。また、
図2においては4つの領域51に
含まれる画素52の列数及び行数が同じである例を示したが、これに限定されず、画素5
2の列数及び行数は各領域51においてそれぞれ自由に設定することができる。
【0060】
上記のように画素部21を複数の領域51に分割する場合、領域51のつなぎ目における
映像の連続性が確保されることが好ましい。しかしながら、配線SLの寄生抵抗や寄生容
量などの影響により、特につなぎ目付近の画素52が表示する階調には誤差が生じやすい
。例えば、
図3に示すように、配線SL
11[1]、SL
21[1]に映像信号が供給さ
れる場合を考える。ここで、配線SLには、配線GLとの交差部などに形成される寄生容
量PC、寄生抵抗PRなどが付加される。より具体的には、駆動回路54と画素52間の
距離が長く、配線SLに形成される映像信号のパスが長くなるほど寄生抵抗PRが増大す
る。また、配線GLと配線SLの交差部が多くなるほど寄生容量PCが増大する。これに
より映像信号の遅延などが生じ、画素52に供給される映像信号に誤差が生じ得る。
【0061】
映像信号の誤差は、駆動回路54から最も離れた画素52(図中の画素52E11、52
E21)への映像信号の供給時に最大になる。そのため、これらの画素52が隣接する領
域(図中の領域S)においては、特に映像が不連続になりやすい。
【0062】
映像の連続性を確保するため、配線SLの終端付近に設けられた画素52E11、52E
21に合わせて選択信号のパルス幅を設定することもできる。しかしながら、この場合、
全ての画素52の選択期間を長く設定することになるため、全行の選択に要する時間が長
くなる。したがって、映像の更新に要する時間が長くなり、動作速度が低下する。
【0063】
ここで、本発明の一態様に係る表示システム10は、人工知能(AI:Artifici
al Intelligence)を利用して映像信号を補正する機能を有する補正回路
40を備える。具体的には、人工ニューラルネットワーク(ANN:Artificia
l Neural Network)の学習により、特に領域51のつなぎ目における映
像の不連続性が緩和されるように映像信号を補正することが可能な補正回路40が構成さ
れる。そして、当該学習後の人工ニューラルネットワークを用いて推論(認知)を行うこ
とにより、映像信号が補正され、映像の不連続性が補償される。これにより、つなぎ目が
目立たない映像の表示が可能となり、高解像度の映像の品質を向上させることができる。
【0064】
なお、人工知能とは、人間の知能を模した計算機である。また、人工ニューラルネットワ
ークとは、ニューロンとシナプスで構成される神経網を模した回路であり、人工ニューラ
ルネットワークは人工知能の一種である。本明細書等において「ニューラルネットワーク
」と記載する場合、特に人工ニューラルネットワークを指す。
【0065】
図1(A)に示す補正回路40は、ニューラルネットワークNNを有する。以下、ニュー
ラルネットワークを用いた補正回路40について詳述する。
【0066】
<補正回路の構成例>
図4に、補正回路40の構成例を示す。補正回路40はニューラルネットワークNNを有
し、信号SDを補正する機能を有する。ニューラルネットワークNNは、入力層IL、出
力層OL、複数の中間層HLを有する。ニューラルネットワークNNは、中間層HLを複
数有することにより、ディープラーニングを行うことができる。出力層OL、入力層IL
、中間層HLはそれぞれ複数のニューロン回路を有し、異なる層に設けられたニューロン
回路同士は、シナプス回路を介して接続されている。
【0067】
ニューラルネットワークNNに信号SDが入力されると、各層において演算処理が行われ
る。各層における演算処理は、前層が有するニューロン回路の出力と重み係数との積和演
算により実行される。なお、層と層との結合は、全てのニューロン回路同士が結合する全
結合としてもよいし、一部のニューロン回路同士が結合する部分結合としてもよい。ニュ
ーラルネットワークNNの具体的な構成例については後述する。
【0068】
図5に、ニューラルネットワークNNの学習及び推論の具体例を示す。
図5(A)はニュ
ーラルネットワークNNの学習前の状態を示す。
図5(B)はニューラルネットワークN
Nの学習時の状態を示す。
図5(C)はニューラルネットワークNNの推論時の状態を示
す。
【0069】
まず、
図5(A)において、画像処理回路33から信号SDが出力される。信号SDは、
映像Aに対応する映像信号である。ニューラルネットワークNNの学習前においては信号
SDの補正は行われず、信号SDはニューラルネットワークNNを介して駆動回路23に
出力される。そして、信号SDは画素部21に供給され、画素部21は信号SDに基づい
て映像を表示する。このとき実際に画素部21に表示される映像を、映像Bとする。
【0070】
ここで、画素部21が複数の領域に分割されている場合、前述の通り、つなぎ目の領域S
(
図3参照)付近において映像が不連続になる場合がある。
図5(A)には、映像Bにつ
なぎ目が視認されている状態を示している。このとき、画素部21に実際に表示されてい
る映像Bに対応する信号を、信号DDとする。
【0071】
信号DDは、例えば、画素部21に表示された映像をイメージセンサなどで撮像すること
により取得することができる。また、画素52から得られる信号(例えば、画素52に保
持されている電位、画素52を流れる電流など)から、画素52の階調を判別することが
可能な場合は、当該信号を読み出すことによって信号DDを取得することもできる。
【0072】
映像Bにつなぎ目が視認される場合は、ニューラルネットワークNNの学習を行う。学習
は、信号SDを学習信号及び教師信号として用いて行われる。具体的には、
図5(B)に
示すように、ニューラルネットワークNNの入力層ILに信号SDが供給され、信号SD
と信号DDの差分が0になるように、すなわち、実際に画素部21に表示される映像Bが
表示を意図した映像(映像A)と等しくなるように、ニューラルネットワークNNの重み
係数が更新される。重み係数の更新には、誤差逆伝播方式などを用いることができる。
【0073】
そして、信号SDと信号DDの差分が一定以下になるまで、重み係数の更新が繰り返され
る。なお、信号SDと信号DDの差分の算出は、出力層OLの内部又は外部のどちらで行
われてもよい。また差分の許容範囲は自由に設定することができる。そして、最終的に信
号SDと信号DDの差分が一定以下になると、ニューラルネットワークNNの学習が終了
する。
【0074】
なお、ニューラルネットワークNNの重み係数の初期値は、乱数によって決定してもよい
。なお、重み係数の初期値は学習速度(例えば、重み係数の収束速度、ニューラルネット
ワークNNの予測精度など)に影響を与える場合があるため、学習速度が遅い場合は、重
み係数の初期値を変更してもよい。
【0075】
次に、上記の学習を行ったニューラルネットワークNNの推論により、信号SDを補正す
る。
図5(C)に示すように、入力層ILに信号SDが入力されると、ニューラルネット
ワークNNは、学習によって更新された重み係数を用いて演算を行い、信号SDを補正す
る。そして、演算結果が信号SD´として出力層OLから出力され、駆動回路23を介し
て画素部21に供給される。
【0076】
ここで、信号SD´は、映像Bのつなぎ目を補償するように学習を行ったニューラルネッ
トワークNN(
図5(B))によって補正された映像信号である。そのため、信号SD´
を画素部21に供給することにより、つなぎ目が視認されない連続的な映像B´が表示さ
れる。
【0077】
なお、信号SDの補正は、画素1行ごと、又は画素複数行ごとに行うことができる。この
場合、ニューラルネットワークNNの推論時において、重み係数は画素1行ごと、又は画
素複数行ごとに変更される。これにより、つなぎ目からの距離に応じて映像信号の補正の
内容を変更することができる。
【0078】
また、信号SDの補正は、所定の領域の画素のみに対して行うこともできる。例えば、領
域51の境界近傍に設けられた複数行及び/又は複数列の画素に供給される信号SDに対
して補正を行い、その他の信号SDには補正を行わないこともできる。この場合、学習時
に信号DDの取得を行う領域を、領域51の境界近傍に限定することができる。
【0079】
また、画像処理回路33によって補正処理(ガンマ補正、調光、調色など)が行われる場
合、ニューラルネットワークNNの学習時に用いる学習データは、当該補正処理を行う前
の信号であってもよく、当該補正処理を行った後の信号であってもよい。当該補正処理を
行う前の信号を用いる場合、ニューラルネットワークNNの推論に当該補正処理の少なく
とも一部を含めてもよい。これにより、画像処理回路33で行う補正処理の少なくとも一
部を省略することができ、信号処理を簡易化することができる。
【0080】
以上のように、ニューラルネットワークNNを用いて映像信号を補正することにより、つ
なぎ目が視認されない映像の表示が可能となり、高解像度の映像の品質を向上させること
ができる。
【0081】
なお、上記のニューラルネットワークNNの学習は、信号生成部30の外部に設けられた
演算処理装置50などを用いて行うことができる。演算処理装置50としては、専用サー
バやクラウドなどの演算処理能力の優れた計算機を用いることができる。演算処理装置5
0にニューラルネットワークNNに対応するソフトウェアを搭載することにより、演算処
理装置50を用いてニューラルネットワークNNの学習を行うことができる。そして、学
習によって得られた重み係数を、受信部34を介して補正回路40に供給することにより
、補正回路40に設けられたニューラルネットワークNNの重み係数を更新することがで
きる。このように、ニューラルネットワークNNの学習を信号生成部30の外部で行うこ
とにより、信号生成部30の構成を簡易化することができる。なお、補正回路40への重
み係数の供給には、後述するレジスタを用いることができる。
【0082】
また、重み係数の更新は、ユーザーがリモートコントローラなどを用いて受信部34に制
御信号を送信することによって行うこともできる。これにより、製品出荷後においても、
ユーザーが容易に製品のアップグレードを行うことができる。
【0083】
また、重み係数の更新は、特定の権利を有するユーザーが利用する表示システム10にの
み許可することもできる。これにより、特定のユーザーのみに高品質のテレビ放送を提供
するなどのサービスが可能となる。
【0084】
なお、
図1(A)には補正回路40が信号生成部30に設けられた構成を示しているが、
図1(B)に示すように、補正回路40は表示部20に設けられていてもよい。この場合
、信号生成部30を他の表示部20にも用いることが可能となり、信号生成部30の汎用
性を向上させることができる。
【0085】
[階層型のニューラルネットワーク]
補正回路40に設けられるニューラルネットワークNNとして、階層型のニューラルネッ
トワークを用いることができる。以下、階層型のニューラルネットワークについて説明す
る。
【0086】
図6は、階層型のニューラルネットワークの一例を示した図である。第(k-1)層(k
は2以上の整数)は、ニューロンをP個(Pは1以上の整数)有し、第k層は、ニューロ
ンをQ個(Qは1以上の整数)有し、第(k+1)層は、ニューロンをR個(Rは1以上
の整数)有する。
【0087】
第(k-1)層の第pニューロン(pは1以上P以下の整数)の出力信号zp
(k-1)
と重み係数wqp
(k)と、の積が第k層の第qニューロン(qは1以上Q以下の整数)
に入力されるものとし、第k層の第qニューロンの出力信号zq
(k)と重み係数wrq
(k+1)と、の積が第(k+1)層の第rニューロン(rは1以上R以下の整数)に入
力されるものとし、第(k+1)層の第rニューロンの出力信号をzr
(k+1)とする
。
【0088】
このとき、第k層の第qニューロンへ入力される信号の総和uq
(k)は、次の式で表さ
れる。
【0089】
【0090】
また、第k層の第qニューロンからの出力信号zq
(k)を次の式で定義する。
【0091】
【0092】
関数f(uq
(k))は、活性化関数であり、ステップ関数、線形ランプ関数、又はシグ
モイド関数などを用いることができる。
【0093】
なお、活性化関数は、全てのニューロンにおいて同一でもよいし、又は異なっていてもよ
い。加えて、活性化関数は、全ての層において同一でもよいし、異なっていてもよい。
【0094】
ここで、
図7に示す、全L層(ここでのLは3以上の整数とする)からなる階層型のニュ
ーラルネットワークを考える(つまり、ここでのkは2以上(L-1)以下の整数とする
。)。第1層は、階層型のニューラルネットワークの入力層となり、第L層は、階層型の
ニューラルネットワークの出力層となり、第2層乃至第(L-1)層は、階層型のニュー
ラルネットワークの隠れ層となる。
【0095】
第1層(入力層)は、ニューロンをP個有し、第k層(隠れ層)は、ニューロンをQ[k
]個(Q[k]は1以上の整数である。)有し、第L層(出力層)は、ニューロンをR個
有する。
【0096】
第1層の第s[1]ニューロン(s[1]は1以上P以下の整数)の出力信号をzs[1
]
(1)とし、第k層の第s[k]ニューロン(s[k]は1以上Q[k]以下の整数)
の出力信号をzs[k]
(k)とし、第L層の第s[L]ニューロン(s[L]は1以上
R以下の整数)の出力信号をzs[L]
(L)とする。
【0097】
また、第(k-1)層の第s[k-1]ニューロン(s[k-1]は1以上Q[k-1]
以下の整数)の出力信号zs[k-1]
(k-1)と重み係数ws[k]s[k-1]
(
k)と、の積us[k]
(k)が第k層の第s[k]ニューロンに入力されるものとし、
第(L-1)層の第s[L-1]ニューロン(s[L-1]は1以上Q[L-1]以下の
整数)の出力信号zs[L-1]
(L-1)と重み係数ws[L]s[L-1]
(L)と
、の積us[L]
(L)が第L層の第s[L]ニューロンに入力されるものとする。
【0098】
次に、誤差逆伝播方式による学習方法について説明する。
図8は、誤差逆伝播方式による
学習方法を説明する図である。誤差逆伝播方式は、階層型のニューラルネットワークの出
力と教師信号との誤差が小さくなるように、重み係数を変更する方式である。
【0099】
例えば、第1層の第s[1]ニューロンに入力データを入力し、第L層の第s[L]ニュ
ーロンから出力データzs[L]
(L)を出力されたとする。ここで、出力データzs[
L]
(L)に対する教師信号をts[L]
(L)としたとき、誤差エネルギーEは、出力
データzs[L]
(L)及び教師信号ts[L]
(L)によって表すことができる。
【0100】
誤差エネルギーEに対して、第k層の第s[k]ニューロンの重み係数ws[k]s[k
-1]
(k)の更新量を∂E/∂ws[k]s[k-1]
(k)とすることで、新たに重
み係数を変更することができる。ここで、第k層の第s[k]ニューロンの出力値zs[
k]
(k)の誤差δs[k]
(k)を∂E/∂us[k]
(k)と定義すると、δs[k
]
(k)及び∂E/∂ws[k]s[k-1]
(k)は、それぞれ次の式で表すことがで
きる。
【0101】
【0102】
【0103】
f’(us[k]
(k))は、活性化関数の導関数である。活性化関数の導関数は、例え
ば、オペアンプの出力端子に所望の導関数に対応した演算回路を接続することによって実
現できる。
【0104】
ここで、第(k+1)層が出力層のとき、すなわち、第(k+1)層が第L層であるとき
、δs[L]
(L)及び∂E/∂ws[L]s[L-1]
(L)は、それぞれ次の式で表
すことができる。
【0105】
【0106】
【0107】
式(D1)乃至式(D6)により、全てのニューロン回路の誤差δs[k]
(k)及びδ
s[L]
(L)を求めることができる。なお、重み係数の更新量は、誤差δs[k]
(k
)、δs[L]
(L)及び所望のパラメータなどに基づいて、設定される。
【0108】
補正回路40においては、上記の誤差逆伝播方式を用いて、
図5(B)に示す信号SDと
信号DDの誤差が小さくなるように重み係数を更新することにより、ニューラルネットワ
ークNNの学習を行うことができる。
【0109】
[構成の変更が可能なニューラルネットワーク]
補正回路40に設けられるニューラルネットワークNNには、重み係数だけでなく、ネッ
トワークの構成も変更することが可能なニューラルネットワークを用いることができる。
このようなニューラルネットワークNNの構成例を、
図9に示す。
【0110】
図9に示すニューラルネットワークNNは、演算層141[1]乃至141[M]および
スイッチ層142[1]乃至142[M-1]から成る階層構造を有する。なお、Mは2
以上の整数とする。
【0111】
演算層141[1]は積和演算素子130[1]乃至130[S1]を有し、演算層14
1[M]は積和演算素子130[1]乃至130[SM]を有する。スイッチ層142[
1]はプログラマブルスイッチ140[1]乃至140[S2]を有し、スイッチ層14
2[M-1]はプログラマブルスイッチ140[1]乃至140[SM]を有する。なお
、S1乃至SMはそれぞれ1以上の整数とする。スイッチ層142は、異なる2つの演算
層141どうしの接続を制御する機能を有する。
【0112】
プログラマブルスイッチ140は、第1の演算層141に含まれる複数の積和演算素子1
30と、第2の演算層141に含まれる積和演算素子130との接続を制御する機能を有
する。例えば、
図9において、プログラマブルスイッチ140[S
2]は、演算層141
[1]が有する積和演算素子130[1]乃至130[S
1]と、演算層141[2]が
有する積和演算素子130[S
2]との接続を制御する機能を有する。
【0113】
なお、本明細書において、積和演算素子130をニューロンと呼ぶ場合がある。
【0114】
図10は積和演算素子130の構成例を示すブロック図である。積和演算素子130は、
入力信号IN[1]乃至IN[S]のそれぞれに対応した乗算素子131[1]乃至13
1[S]と、加算素子133と、活性化関数素子134と、CM(コンフィギュレーショ
ンメモリ)132[1]乃至132[S]と、CM135から構成される。なお、Sは1
以上の整数とする。
【0115】
乗算素子131は、CM132に格納されているデータと入力信号INを掛け合わせる機
能を有する。CM132には重み係数が格納されている。
【0116】
加算素子133は乗算素子131[1]乃至131[S]の出力(乗算結果)を全て足し
合わせる機能を有する。
【0117】
活性化関数素子134は、加算素子133の出力(積和演算結果)を、CM135に保存
されているデータで定義される関数に従って演算を実行し、出力信号OUTとする。当該
関数は、シグモイド関数、tanh関数、softmax関数、ReLU関数、閾値関数
などとすることができる。これら関数を、テーブル方式または折れ線近似などにより実装
し、対応するデータをコンフィギュレーションデータとして、CM135に格納する。
【0118】
なお、CM132[1:S]とCM135とは、それぞれ個別の書き込み回路を有するこ
とが好ましい。その結果、CM132[1:S]のデータ更新と、CM135のデータ更
新とは、それぞれ独立に行うことができる。つまり、CM135のデータ更新をすること
なく、CM132[1:S]のデータ更新を何度も繰り返すことができる。こうすること
で、ニューラルネットワークの学習の際に、重み係数の更新のみを何度も繰り返すことが
でき、効率的に学習ができる。
【0119】
図11(A)はプログラマブルスイッチ140の構成を示す回路図である。プログラマブ
ルスイッチ140はスイッチ160を有する。
【0120】
プログラマブルスイッチ140は、出力信号OUT[1]乃至OUT[S]を、入力信号
IN[1]乃至IN[S]として伝える機能を有する。例えば、
図9において、プログラ
マブルスイッチ140[S
2]は、演算層141[1]の出力信号OUT[1]乃至OU
T[S
1]と、演算層141[2]が有する積和演算素子130[S
2]の入力信号IN
[1:S
2]との接続を制御する機能を有する。
【0121】
また、プログラマブルスイッチ140は、信号“0”と、積和演算素子130の入力信号
IN[1]乃至IN[S]との接続を制御する機能を有する。
【0122】
図11(B)はスイッチ160の構成例を示す回路図である。スイッチ160は、CM1
61とスイッチ162を有する。スイッチ162は、OUT[i]とIN[i]との導通
を制御する機能を有する。また、スイッチ162は、“0”とIN[i]との導通を制御
する機能を有する。CM161に格納するコンフィギュレーションデータにより、スイッ
チ162のオン/オフが制御される。スイッチ162として、トランジスタを用いること
ができる。
【0123】
なお、積和演算素子130が直前の演算層141からのOUT[i]を入力として使用し
ない場合、当該積和演算素子130にはIN[i]として“0”が供給される。このとき
、IN[i]に対応する乗算素子131[i]は、電力の供給を停止する(パワーゲーテ
ィングを行う)ことにより、消費電力を低減することができる。例えば、
図9において、
演算層141[2]が有する積和演算素子130[S
2]が、演算層141[1]からの
OUT[1]を入力として使用しない場合、積和演算素子130[S
2]は、そのIN[
1]として “0”が供給され、乗算素子131[1]への電力の供給を停止する。
【0124】
また、ある演算層141が有する積和演算素子130のOUT[i]が、他の演算層14
1が有するどの積和演算素子130にも供給されない場合、OUT[i]を出力する積和
演算素子130全体の電力供給を停止し、消費電力を低減することができる。例えば、図
9において、演算層141[1]が有する積和演算素子130[S1]が、他の演算層1
41が有するどの積和演算素子130とも接続しない場合、積和演算素子130[S1]
全体の電力供給を停止する。
【0125】
上記構成において、コンフィギュレーションメモリは、SRAM(Static Ran
dom Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive
Random Access Memory)を用いて構成することが可能である。ま
た、コンフィギュレーションメモリはOSトランジスタを用いたメモリ(以下、OSメモ
リともいう)で構成することも可能である。コンフィギュレーションメモリにOSメモリ
を用いることで、ニューラルネットワークNNの消費電力を大幅に低減することができる
。
【0126】
例えば、
図10に示すCM132[1]乃至132[S]およびCM135をOSメモリ
で構成することで、ニューラルネットワークNNは、少ない素子数で低消費電力のネット
ワークを構成することができる。
【0127】
例えば、
図11(B)に示すCM161をOSメモリで構成することで、ニューラルネッ
トワークNNは、少ない素子数で低消費電力のネットワークを構成することができる。
【0128】
また、乗算素子131及び加算素子133をアナログ回路とすることで、積和演算素子1
30を構成するトランジスタの数を削減することができる。
【0129】
さらに、積和演算素子130の入出力信号をアナログ信号とすることで、ネットワークを
構成する配線数を低減することができる。
【0130】
図9におけるニューラルネットワークNNは、所望のネットワーク構成となるプログラマ
ブルスイッチ140のコンフィギュレーションデータを生成し、当該コンフィギュレーシ
ョンデータにしたがって、学習を行うことが可能である。学習により重み係数を更新する
場合は、プログラマブルスイッチ140のコンフィギュレーションデータを変更せずに、
重み係数のコンフィギュレーションデータのみを繰り返し変更する構成が有効である。そ
のため、積和演算素子130が有するCM132[1:S]と、プログラマブルスイッチ
140が有するCM161とは、異なる回路によって、コンフィギュレーションデータが
書き込まれることが好ましい。
【0131】
以上のように、プログラマブルスイッチ140を制御することにより、ニューラルネット
ワークの階層の数、演算に用いられる積和演算素子130の数などを制御することができ
る。これにより、映像信号の内容に応じてネットワークの構成を変更することが可能なニ
ューラルネットワークNNを実現することができる。
【0132】
<重み係数の変更>
前述のように、信号SDの補正は、画素1行ごと、又は画素複数行ごとに行うことができ
る。また、信号SDの補正は、所定の領域の画素のみに対して行うこともできる。この場
合、配線GLを順次走査する期間中に、ニューラルネットワークNNの重み係数を更新す
る必要がある。そのため、重み係数の更新は高速で行うことが好ましい。
【0133】
ここで、重み係数の高速な更新には、重み係数のセットを格納したスキャンチェーンレジ
スタ部を複数有するレジスタを用いる構成が有効である。この場合、ニューラルネットワ
ークNNに重み係数を出力するスキャンチェーンレジスタ部を切り替えることにより、重
み係数の出力を素早く切り替えることができる。このような構成を有するレジスタの構成
例について、以下説明する。
【0134】
[レジスタの構成例]
図12に、レジスタ200の構成例を示す。レジスタ200は、複数のスキャンチェーン
レジスタ部210、レジスタ部220を有する。スキャンチェーンレジスタ部210には
、映像信号の補正に用いられるニューラルネットワークNNの重み係数のセットが格納さ
れる。なお、レジスタは表示部20又は信号生成部30に設けることができる。
【0135】
ここでは、2つのスキャンチェーンレジスタ部210(210a、210b)が設けられ
た構成を示すが、スキャンチェーンレジスタ部210の数は3以上の任意の数とすること
もできる。スキャンチェーンレジスタ部210a、210bにはそれぞれ、所定のパルス
幅の選択信号を生成するためのパラメータのセットを格納することができる。
【0136】
レジスタ部220は、複数のレジスタ221を有する。スキャンチェーンレジスタ部21
0aは、複数のレジスタ211a、ノードSCIN1、SCOT1を有する。スキャンチ
ェーンレジスタ部210bは、複数のレジスタ211b、ノードSCIN2、SCOT2
を有する。
【0137】
レジスタ211a、211bは、電源が遮断された状態でもデータが消失しない不揮発性
レジスタである。レジスタ211a、211bを不揮発化するため、レジスタ211a、
211bは、OSトランジスタを用いた保持回路を備えている。
【0138】
金属酸化物は、シリコンなどの半導体よりもエネルギーギャップが大きく、少数キャリア
密度を低くすることができる。そのため、OSトランジスタがオフ状態であるときに、O
Sトランジスタのソースとドレイン間を流れる電流(以下、オフ電流ともいう)は極めて
小さい。よって、レジスタ211a、211bにOSトランジスタを用いることにより、
チャネル領域にシリコンを有するトランジスタ(以下、Siトランジスタともいう)など
を用いる場合と比較して、長期間にわたってデータを保持することができる。これにより
、レジスタ211a、211bへの電力の供給が停止された期間においてもデータを保持
することができる。
【0139】
他方、レジスタ221は揮発性レジスタである。レジスタ221の回路構成には特段の制
約はなく、データを記憶することが可能な回路であればよく、ラッチ回路、フリップフロ
ップ回路などで構成すればよい。レジスタ部220から重み係数が出力され、補正回路4
0に供給される。
【0140】
レジスタ200に格納しているデータを更新する場合、まず、スキャンチェーンレジスタ
部210a、210bのデータを変更する。スキャンチェーンレジスタ部210aのデー
タを変更するには、スキャンクロック信号SCK1をトグルさせながら、ノードSCIN
1よりデータを入力する。ノードSCIN1より入力されたデータは、スキャンクロック
信号SCK1に従い、各レジスタ211aのデータを更新する。最終段のレジスタ211
aは、ノードSCOT1よりデータを出力する。同様に、スキャンチェーンレジスタ部2
10bのデータを変更するには、スキャンクロック信号SCK2をトグルさせながら、ノ
ードSCIN2よりデータを入力する。ノードSCIN2より入力されたデータは、スキ
ャンクロック信号SCK2に従い、各レジスタ211bのデータを更新する。最終段のレ
ジスタ211bは、ノードSCOT2よりデータを出力する。
【0141】
スキャンチェーンレジスタ部210a、210bに重み係数を格納する場合は、例えば、
ニューラルネットワークNNの学習を行った演算処理装置(専用サーバやクラウドなど)
などからノードSCIN1、SCIN2に、重み係数が順次入力される。
【0142】
スキャンチェーンレジスタ部210aの各レジスタ211aのデータを書き換えた後、各
レジスタ211aのデータを、レジスタ部220の各レジスタ221に一括してロードす
る。または、スキャンチェーンレジスタ部210bの各レジスタ211bのデータを書き
換えた後、各レジスタ211bのデータを、レジスタ部220の各レジスタ221に一括
してロードする。これにより、補正回路40は、一括して更新された重み係数を使用して
映像信号の補正を行うことができる。重み係数の更新に同時性が保たれるため、補正回路
40の安定した動作を実現できる。また、スキャンチェーンレジスタ部210a、210
bとレジスタ部220とを備えることで、補正回路40が動作中でも、スキャンチェーン
レジスタ部210a、210bのデータを更新することができる。
【0143】
なお、レジスタ200へのアクセスがない期間においては、レジスタ200への電源供給
を一時的に遮断することができる(パワーゲーティング)。レジスタ200のパワーゲー
ティング実行時には、レジスタ211a、211bにおいて、保持回路にデータを格納(
セーブ)してから電源を遮断する。電源復帰後、レジスタ211aもしくはレジスタ21
1bのデータを、レジスタ221に復帰(ロード)して通常動作を再開する。なお、レジ
スタ211aもしくはレジスタ211bに格納されているデータと、レジスタ221に格
納されているデータとが整合しない場合は、レジスタ221のデータをレジスタ211a
もしくはレジスタ211bにセーブした後、あらためて、レジスタ211a、211bの
保持回路にデータを格納する構成が好ましい。データが整合しない場合としては、スキャ
ンチェーンレジスタ部210a、210bのデータを変更している場合などが挙げられる
。
【0144】
図13、
図14を用いて、レジスタ200の回路構成例を説明する。
【0145】
レジスタ部220は、N個(Nは2以上の整数)のレジスタ221を有する。レジスタ部
220には、信号LDA1、LDA2が入力される。信号LDA1、LDA2は、データ
のロードを制御するための信号である。
【0146】
スキャンチェーンレジスタ部210a、210bは、それぞれ、N個のレジスタ211a
、211bを有する。スキャンチェーンレジスタ部210aには、スキャンクロック信号
SCK1、信号SVA1、SVB1、LDB1が入力される。スキャンチェーンレジスタ
部210bには、スキャンクロック信号SCK2、信号SVA2、SVB2、LDB2が
入力される。信号LDB1、LDB2はデータのロードを制御するための信号であり、信
号SVA1、SVA2、SVB1、SVB2は、データのセーブを制御するための信号で
ある。
【0147】
レジスタ221は、ラッチ回路222、MUX(マルチプレクサ)223を有する。レジ
スタ211aは、セレクタ212a、フリップフロップ回路213a、保持回路214a
、ノードSDI1、SDO1を有する。レジスタ211bは、セレクタ212b、フリッ
プフロップ回路213b、保持回路214b、ノードSDI2、SDO2を有する。ノー
ドSDI1、SDI2はデータが入力されるノードであり、ノードSDO1、SDO2は
データが出力されるノードである。
【0148】
レジスタ221は揮発性レジスタである。ノードQ、Rは、ラッチ回路222の出力ノー
ドであり、論理が同じデータを出力する。ノードQは、補正回路40と接続され、ノード
Rは、レジスタ211a、211bと接続されている。ラッチ回路222に特段の制約は
なく、フリップフロップ回路など、他の回路を設けてもよい。
【0149】
MUX223は、ラッチ回路222に入力するデータを選択する機能を有する。信号LD
A1、LDA2は、MUX223の制御信号である。
図13の例では、信号LDA1がハ
イレベルであり、かつLDA2がローレベルである場合、ノードSDO1のデータによっ
てラッチ回路222のデータが更新される。他方、信号LDA1がローレベルであり、か
つLDA2がハイレベルである場合、ノードSDO2のデータによってラッチ回路222
のデータが更新される。
【0150】
レジスタ211a、211bは、不揮発性レジスタである。
図14を用いて、レジスタ2
11a、211bのより具体的な回路構成例を説明する。
【0151】
レジスタ211aにおいて、セレクタ212aとフリップフロップ回路213aとで、ス
キャンフリップフロップ回路が構成されている。スキャンチェーンレジスタ部210aが
シフトレジスタとして動作する場合、レジスタ211aは、ノードSDI1からデータを
取り込み、ノードSDO1からデータを出力する。ノードSDO1のデータは、次段のレ
ジスタ211aのノードSDI1に入力される。
【0152】
信号SVA1は、セレクタ212aの制御信号である。信号SVA1がハイレベルである
場合、セレクタ212aは、フリップフロップ回路213aの入力ノードと、レジスタ2
21のノードR間を導通し、信号SVA1がローレベルである場合、セレクタ212aは
フリップフロップ回路213aの入力ノードと、ノードSDI1間を導通する。
【0153】
フリップフロップ回路213aは、
図14の回路構成に限定されず、様々なフリップフロ
ップ回路を適用することができる。フリップフロップ回路213aのノードN1、NB1
に、保持回路214aが接続されている。信号LDB1、SVB1は、保持回路214a
の制御信号である。
【0154】
保持回路214aは、フリップフロップ回路213aが保持するデータを記憶するための
回路であり、2個のメモリ回路215a、216aを有する。ここでは、メモリ回路21
5a、216aは3トランジスタ型のゲインセルで構成されている。メモリ回路215a
は、トランジスタM11乃至M13、容量素子CS1、ノードSN1を有し、メモリ回路
216aは、トランジスタM14乃至M16、容量素子CS2、ノードSN2を有する。
ノードSN1、SN2は、メモリ回路215a、216aの保持ノードである。
【0155】
メモリ回路215aは、ノードN1のデータをバックアップし、バックアップしたデータ
をノードNB1にロードする機能を有し、メモリ回路216aは、ノードNB1のデータ
をバックアップし、バックアップしたデータをノードN1にロードする機能を有する。信
号SVB1に従い、メモリ回路215aはノードN1のデータをノードSN1に書き込み
、メモリ回路216aはノードNB1のデータをノードSN2に書き込む。信号LDB1
に従い、メモリ回路215aはノードSN1のデータをノードNB1に書き込み、メモリ
回路216aはノードSN2のデータをノードN1に書き込む。
【0156】
トランジスタM11、M14がOSトランジスタであるので、保持回路214aは、電源
が遮断された状態でも長時間データを保持することが可能である。レジスタ211aにお
いて、トランジスタM11、M14以外のトランジスタは、Siトランジスタで構成して
もよい。
【0157】
レジスタ211bの回路構成は、レジスタ211aと同様のため、レジスタ211bの詳
細な説明はレジスタ211aの説明を援用する。
【0158】
レジスタ211bにおいて、セレクタ212bとフリップフロップ回路213bとで、ス
キャンフリップフロップ回路が構成されている。セレクタ212bは、信号SVA2に従
い、ノードRまたはノードSDI2の一方を選択し、選択したノードとフリップフロップ
回路213bの入力ノード間を導通する。
【0159】
フリップフロップ回路213bのノードN2、NB2には、保持回路214bが接続され
ている。保持回路214bは、メモリ回路215b、216bを有する。メモリ回路21
5bは、トランジスタM21乃至M23、容量素子CS3、ノードSN3を有する。メモ
リ回路216bは、トランジスタM24乃至M26、容量素子CS4、ノードSN4を有
する。メモリ回路215bは、信号SVB2に従いフリップフロップ回路213bのデー
タを格納し、信号LDB2に従い、保持しているデータをフリップフロップ回路213b
にロードする。
【0160】
トランジスタM21、M24がOSトランジスタであるので、保持回路214bは、電源
が遮断された状態でも長時間データを保持することが可能である。トランジスタM21、
トランジスタM24は、バックゲートを有するトランジスタであってもよい。トランジス
タM11、M14についても同様である。
【0161】
レジスタ211bにおいて、トランジスタM21、M24以外のトランジスタは、Siト
ランジスタで構成してもよい。
【0162】
なお、
図14には、フリップフロップ回路213bの前段のインバータループの相補デー
タを保持回路214bでバックアップする例を示している。フリップフロップ回路213
bの後段のインバータループの相補データをバックアップできるように、保持回路214
bを設けてもよい。これは、レジスタ211aでも同様である。保持回路214a、21
4bをこのような構成とすることで、バックアップしたデータのロードが非同期で行える
ため、高速なデータのロードができる。これにより、パワーゲーティング時に、レジスタ
200を電源オフ状態から通常動作状態に復帰させる時間を短縮できる。
【0163】
[レジスタの動作例]
図15を参照して、レジスタ200の動作例を説明する。
図15は、レジスタ200の動
作例を示すタイミングチャートである。PLDDはレジスタ200に電位VDDを供給す
る配線である。電位VDDは電源電位である。また、ノードN1等の波形において、ハッ
チングで示されている箇所は、論理がハイレベルかローレベルか定まらない不定値である
ことを示している。
【0164】
期間T11では、スキャンチェーンレジスタ部210a、210bをスキャン動作させて
、それぞれにデータを書き込んでいる。この間、信号SVA1、SVA2はローレベルで
あり、スキャンクロック信号SCK1、SCK2はアクティブである。したがって、セレ
クタ212aによって、ノードSDI1とフリップフロップ回路213aの入力ノード間
が導通され、セレクタ212bによって、ノードSDI2とフリップフロップ回路213
bの入力ノード間が導通される。
【0165】
スキャンチェーンレジスタ部210aのN段のレジスタ211aにデータを書き込むため
、スキャンクロック信号SCK1に同期して、ノードSCIN1のデータが更新される。
レジスタ211a[l](lは1以上N以下の整数)において、スキャンクロック信号S
CK1の立ち上がりエッジに同期して、ノードSDO1[l]のデータが更新され、スキ
ャンクロック信号SCK1の立ち下がりエッジに同期して、ノードSDO1[l]のデー
タによって、ノードN1[l+1]のデータが更新される。スキャンクロック信号SCK
1がトグルを繰り返すことで、ノードSCIN1のデータが各段のレジスタ211aをシ
フトしていく。ノードSCOT1から、各段のレジスタ211aに格納されるデータを順
次取得することができる。
【0166】
スキャンチェーンレジスタ部210bのシフト動作も、スキャンチェーンレジスタ部21
0aと同様に実行される。スキャンクロック信号SCK2の立ち上がりエッジに同期して
、ノードSDO2のデータが更新される。
【0167】
期間T12では、レジスタ部220のデータの更新動作が行われる。信号LDA1がハイ
レベルに遷移することで、MUX223[l]によって、ノードSDO1[l]とラッチ
回路222[l]の入力ノード間が導通される。ラッチ回路222[l]は、レジスタ2
11a[l]が保持するデータDkを格納する。ノードQ[l]、A[l]からはデータ
Dlが出力される。つまり、信号LDA1をハイレベルにすることで、スキャンチェーン
レジスタ部210aが保持しているデータD1乃至DNが、レジスタ部220に一括して
ロードされる。これにより、補正回路40が使用する重み係数などを一括して変更するこ
とができる。
【0168】
スキャンチェーンレジスタ部210bが保持しているデータによって、レジスタ部220
のデータを更新する場合は、信号LDA1をローレベルに維持し、信号LDA2をハイレ
ベルにすればよい。
【0169】
なお、期間T12で、スキャンクロック信号SCK1および信号SVA1がローレベルに
なることで、ノードN1[1]とノードSCIN1間が導通されるため、ノードN1[1
]の電位は、ノードSCIN1の電位に応じて変化する。同様に、スキャンクロック信号
SCK2および信号SVA2がローレベルになることで、ノードN1[2]の電位は、ノ
ードSCIN2の電位に応じて変化する。
【0170】
期間T13では、レジスタ200は通常動作を行っている。ノードQ[1]乃至Q[N]
から、期間T12で書き込まれたデータD1乃至DNを出力する。この間、スキャンチェ
ーンレジスタ部210aをスキャン動作させて、スキャンチェーンレジスタ部210aの
データ変更を行ってもよい。スキャンチェーンレジスタ部210aのデータを変更した後
、信号LDA1をハイレベルにすることで、レジスタ部220のデータを書き換えてもよ
い。スキャンチェーンレジスタ部210bについても同様である。
【0171】
期間T20では、レジスタ200のパワーゲーティング動作が行われる。パワーゲーティ
ング動作は、レジスタ200のバックアップ動作、電源オフ動作、レジスタ200のリカ
バリ動作に大別される。
【0172】
期間T14では、レジスタ200のバックアップ動作が行われる。まず、信号SVA1を
ハイレベルにし、その後、スキャンクロック信号SCK1をハイレベルにすることで、レ
ジスタ部220が格納しているデータD1乃至DNを、スキャンチェーンレジスタ部21
0aのフリップフロップ回路213aに書き込む。
図15の例では、信号の制御を簡単化
するため、スキャンクロック信号SCK2をスキャンクロック信号SCK1と共に、ハイ
レベルにしているが、ローレベルで維持してもよい。
【0173】
信号SVA1がハイレベルになることで、セレクタ212aはラッチ回路222のノード
Aとフリップフロップ回路213aの入力ノード間を導通する。スキャンクロック信号S
CK1がローレベルであるため、フリップフロップ回路213aのノードN1にノードA
のデータが書き込まれる。スキャンクロック信号SCK1がハイレベルに遷移することで
、ノードN1とノードA間が非導通状態になり、かつノードN1[1]とノードSCIN
1間が非導通状態になる。
【0174】
なお、レジスタ部220が格納しているデータが、スキャンチェーンレジスタ部210b
からロードされたデータである場合、レジスタ部220のデータはスキャンチェーンレジ
スタ部210bでバックアップされる。この場合は、信号SVA2をハイレベルにし、そ
の後、スキャンクロック信号SCK2をハイレベルする。
【0175】
次に、スキャンチェーンレジスタ部210a、210bのバックアップ動作が行われる。
この間、信号SVB1、SVB2をハイレベルにする。信号SVB1がハイレベルになる
ことで、フリップフロップ回路213aのノードN1、NB1のデータが保持回路214
aのノードSN1、SN2に書き込まれる。信号SVB2がハイレベルになることで、フ
リップフロップ回路213bのノードN1、NB1のデータが保持回路214bのノード
SN3、SN4に書き込まれる。
【0176】
信号SVB1、SVB2をローレベルにすることで、レジスタ200のバックアップ動作
が終了する。
【0177】
期間T15は、電源オフ動作が行われる。配線PLDDへの電位VDDの供給を停止する
。配線PLDDは徐々に放電される。配線PLDDの電位が低下するため、ラッチ回路2
22、フリップフロップ回路213a、213bのデータは消失するが、保持回路214
a、214bのデータは消失しない。
【0178】
期間T16は、スキャンチェーンレジスタ部210a、210bのリカバリ動作が行われ
る。まず、配線PLDDに電位VDDの供給を開始する。配線PLDDの電位は上昇し、
やがて電位VDDになる。
【0179】
次に、信号LDB1、LDB2をハイレベルにし、かつスキャンクロック信号SCK1、
SCL2を1クロック入力する。信号LDB1がハイレベルになることで、保持回路21
4aは、ノードSN1、SN2のデータをフリップフロップ回路213aのノードN1、
NB1に書き込む。スキャンクロック信号SCK1の立ち上がりエッジに同期して、ノー
ドN1のデータがノードSDO1に入力される。信号LDB2がハイレベルになることで
、保持回路214bは、ノードSN3、SN4のデータを、フリップフロップ回路213
bのノードN2、NB2に書き込む。スキャンクロック信号SCK2の立ち上がりエッジ
に同期して、ノードN2のデータはノードSDO2に入力される。
【0180】
信号LDB1、LDB2をローレベルにすることで、リカバリ動作が終了する。
【0181】
期間T17では、レジスタ部220のリカバリ動作が行われる。期間T13の状態にレジ
スタ部220を復帰させるため、信号LDA1をハイレベルにする。期間T17のリカバ
リ動作は、期間T13のレジスタ部220のデータ更新動作と同じ動作であり、スキャン
チェーンレジスタ部210aが保持しているデータD1乃至DNが、一括してレジスタ部
220にロードされる。信号LDA1をローレベルにすることで、リカバリ動作が終了す
る。
【0182】
期間T18ではレジスタ200は通常動作を行い、ノードQ[1]乃至Q[N]から、期
間T17で書き込まれたデータD1乃至DNを出力する。
【0183】
上記の動作により、補正回路40で用いられる重み係数の一括変更、及び、レジスタ20
0のパワーゲーティングを行うことができる。
【0184】
<画素の構成例>
次に、
図2における画素52の具体的な構成例について説明する。
【0185】
図16(A)に、液晶素子を用いた画素の構成例を示す。
図16(A)に示す画素52は
、トランジスタTr11、容量素子C11、液晶素子LCを有する。なお、ここでは、ト
ランジスタTr11をnチャネル型としているが、トランジスタの極性は適宜変更するこ
とができる。
【0186】
トランジスタTr11のゲートは配線GLと接続され、ソース又はドレインの一方は液晶
素子LCの一方の電極、及び容量素子C11の一方の電極と接続され、ソース又はドレイ
ンの他方は配線SLと接続されている。液晶素子LCの他方の電極、及び容量素子C11
の他方の電極は、それぞれ所定の電位が供給される配線と接続されている。トランジスタ
Tr11のソース又はドレインの一方、液晶素子LCの一方の電極、及び容量素子C11
の一方の電極と接続されたノードを、ノードN11とする。
【0187】
なお、本明細書等において、トランジスタのソースとは、チャネル領域として機能する半
導体層の一部であるソース領域や、当該半導体層と接続されたソース電極などを意味する
。同様に、トランジスタのドレインとは、当該半導体層の一部であるドレイン領域や、当
該半導体層と接続されたドレイン電極などを意味する。また、ゲートとは、ゲート電極な
どを意味する。
【0188】
また、トランジスタが有するソースとドレインは、トランジスタの導電型及び各端子に与
えられる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トラン
ジスタでは、低い電位が与えられる端子がソースと呼ばれ、高い電位が与えられる端子が
ドレインと呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子
がドレインと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がソースと呼ばれる。本明細書では、便
宜上、ソースとドレインとが固定されているものと仮定して、トランジスタの接続関係を
説明する場合があるが、実際には上記電位の関係にしたがってソースとドレインの呼び方
が入れ替わる。
【0189】
液晶素子LCの他方の電極の電位は、複数の画素52で共通の電位(コモン電位)として
もよいし、容量素子C11の他方の電極と同電位としてもよい。また、液晶素子LCの他
方の電極の電位は、画素52ごとに異なっていてもよい。また、容量素子C11は、ノー
ドN11の電位を保持するための保持容量としての機能を有する。
【0190】
トランジスタTr11は、配線SLの電位のノードN11への供給を制御する機能を有す
る。具体的には、配線GLの電位を制御してトランジスタTr11をオン状態とすること
により、配線SL電位(映像信号に対応)がノードN11に供給され、画素52の書き込
みが行われる。その後、配線GLの電位を制御してトランジスタTr11をオフ状態とす
ることにより、ノードN11の電位が保持される。
【0191】
液晶素子LCは、一対の電極と、一対の電極間の電圧が印加される液晶材料を含んだ液晶
層と、を有する。液晶素子LCに含まれる液晶分子の配向は、一対の電極間に印加される
電圧の値に応じて変化し、これにより液晶層の透過率が変化する。そのため、配線SLか
らノードN11に供給する電位を制御することにより、画素52の階調を制御することが
できる。
【0192】
また、
図16(B)に、発光素子を用いた画素52の構成例を示す。
図16(B)に示す
画素52は、トランジスタTr12、Tr13、容量素子C12、発光素子LEを有する
。なお、ここではトランジスタTr12、Tr13をnチャネル型としているが、トラン
ジスタの極性は適宜変更することができる。
【0193】
トランジスタTr12のゲートは配線GLと接続され、ソース又はドレインの一方はトラ
ンジスタTr13のゲート、及び容量素子C12の一方の電極と接続され、ソース又はド
レインの他方は配線SLと接続されている。トランジスタTr13のソース又はドレイン
の一方は容量素子C12の他方の電極、及び発光素子LEの一方の電極と接続され、ソー
ス又はドレインの他方は電位Vaが供給される配線と接続されている。発光素子LEの他
方の電極は、電位Vcが供給される配線と接続されている。トランジスタTr12のソー
ス又はドレインの一方、トランジスタTr13のゲート、及び容量素子C12の一方の電
極と接続されたノードを、ノードN12とする。また、トランジスタTr13のソース又
はドレインの一方、及び容量素子C12の他方の電極と接続されたノードを、ノードN1
3とする。
【0194】
ここでは、電位Vaを高電源電位とし、電位Vcを低電源電位とした場合について説明す
る。また、容量素子C11は、ノードN12の電位を保持するための保持容量としての機
能を有する。
【0195】
トランジスタTr12は、配線SLの電位のノードN12への供給を制御する機能を有す
る。具体的には、配線GLの電位を制御してトランジスタTr12をオン状態とすること
により、配線SLの電位(映像信号に対応)がノードN12に供給され、画素52の書き
込みが行われる。その後、配線GLの電位を制御してトランジスタTr12をオフ状態と
することにより、ノードN12の電位が保持される。
【0196】
そして、ノードN12、N13の間の電圧に応じてトランジスタTr13のソース-ドレ
インの間に流れる電流量が制御され、発光素子LEが当該電流量に応じた輝度で発光する
。これにより、画素52の階調を制御することができる。なお、トランジスタTr13は
飽和領域で動作させることが好ましい。
【0197】
上記の動作を配線GLごとに順次行うことにより、第1フレーム分の映像を表示すること
ができる。
【0198】
なお、配線GLの選択には、プログレッシブ方式を用いてもよいし、インターレース方式
を用いてもよい。また、配線SLへの映像信号の供給は、配線SLに順次映像信号を供給
する点順次駆動を用いて行ってもよいし、全ての配線SLに一斉に映像信号を供給する線
順次駆動を用いて行ってもよい。また、複数の配線SLごとに順に、映像信号を供給して
もよい。
【0199】
その後、第2のフレーム期間において、第1のフレーム期間と同様の動作により、映像の
表示が行われる。これにより、画素部21に表示される映像が書き換えられる。
【0200】
画素52が有するトランジスタに用いられる半導体としては、シリコン、ゲルマニウムな
どの第14族の元素、ガリウムヒ素などの化合物半導体、有機半導体、金属酸化物などを
用いることができる。また、半導体は、非単結晶半導体(非晶質半導体、微結晶半導体、
多結晶半導体など)、であってもよいし、単結晶半導体であってもよい。
【0201】
ここで、画素52が有するトランジスタは、チャネル形成領域に非晶質半導体、特に、水
素化アモルファスシリコン(a-Si:H)を含むことが好ましい。非晶質半導体を用い
たトランジスタは、基板の大面積化に対応することが容易であるため、例えば2K、4K
、8K放送などに対応可能な大画面の表示装置を作製する場合に、製造工程を簡略化する
ことができる。また、上記の通り、本発明の一態様に係る表示部20は、画素部21を複
数の領域51に分割することによって高速に動作させることが可能である。そのため、画
素52に設けられるトランジスタに、電界効果移動度を高くすることが比較的難しい非晶
質半導体を用いる場合、表示部20の構成を採用することは特に有効である。
【0202】
また、画素52が有するトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を含むトランジ
スタ、すなわちOSトランジスタであってもよい。OSトランジスタはオフ電流が極めて
小さいため、トランジスタTr11又はトランジスタTr12としてOSトランジスタを
用いる場合、画素52に映像信号を極めて長期間にわたって保持することができる。これ
により、画素部21に表示される映像に変化がない期間、又は変化が一定以下である期間
において、映像信号の更新の頻度を極めて低く設定することができる。映像信号の更新の
頻度は、例えば、0.1秒間に1回以下、又は、1秒間に1回以下、又は、10秒間に1
回以下などに設定することができる。特に、2K、4K、8K放送などに対応して画素5
2が多数設けられる場合は、映像信号の更新を省略することによって消費電力を低減する
ことは効果的である。
【0203】
以上の通り、本発明の一態様においては、複数の領域51に分割された画素部21に、人
工知能を用いて補正された映像信号を供給することができる。これにより、領域51の境
界における映像の不連続性を補償することができ、高解像度の映像の品質を向上させるこ
とができる。
【0204】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0205】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示システムの他の構成例について説明す
る。具体的には、補正回路40がエンコーダ及びデコーダとしての機能も有する構成につ
いて説明する。
【0206】
図17に示す表示システム10は、補正回路40がエンコーダ41とデコーダ42に分割
されている点において、
図1と異なる。エンコーダ41は信号生成部30に設けられ、デ
コーダ42は表示部20に設けられる。なお、その他の点については、
図1に示す表示シ
ステム10の説明を援用することができる。
【0207】
エンコーダ41は、画像処理回路33によって生成された映像信号の特徴抽出を行い、映
像信号を圧縮する機能を有する。また、デコーダ42は、エンコーダ41によって圧縮さ
れた映像信号を伸長する機能を有する。すなわち、補正回路40は、上記実施の形態で説
明した映像信号を補正する機能に加え、映像信号の圧縮及び伸長を行う機能を有する。
【0208】
ここで、エンコーダ41及びデコーダ42によって、オートエンコーダを構成することが
できる。この場合、エンコーダ41はニューラルネットワークを用いて映像信号の特徴抽
出を行い、映像信号を圧縮する。また、デコーダ42は、ニューラルネットワークを用い
て圧縮された映像信号を伸長する。
【0209】
図18に、オートエンコーダの構成例を示す。補正回路40に搭載されたニューラルネッ
トワークNNによって、エンコーダ41及びデコーダ42を有するオートエンコーダAE
が構成される。画像処理回路33によって生成された信号SDは、オートエンコーダAE
を経由して駆動回路23に出力される。このときニューラルネットワークNNは、信号S
Dを信号SD´に補正する補正回路としての機能と、オートエンコーダAEとしての機能
とを有する。
【0210】
エンコーダ41は、入力層ILと複数の中間層HLで構成されるニューラルネットワーク
を有する。エンコーダ41は、階層が進むにつれてニューロンの数が減少するニューラル
ネットワークを有する。なお、エンコーダ41の出力数が入力層ILのニューロンの数よ
り少なければ、途中の中間層HLのニューロン数がより前層の中間層HLのニューロン数
より多い構成を用いることもできる。
【0211】
デコーダ42は、出力層OLと複数の中間層HLで構成されるニューラルネットワークを
有する。デコーダ42は、エンコーダ41とは逆に、階層が進むにつれてニューロンの数
が増加するニューラルネットワークを有する。なお、デコーダ42の入力数が出力層OL
のニューロンの数よりも少なければ、途中の中間層HLのニューロンの数がより前層の中
間層HLのニューロンの数よりも少ない構成を用いることもできる。
【0212】
なお、エンコーダ41及びデコーダ42が有する中間層HLの数に制限はなく、必要に応
じた数を設ければよい。
【0213】
エンコーダ41は、学習によって決定された重み係数に従って、入力された映像信号の特
徴抽出を行う。簡単な例で説明すると、エンコーダ41は、三角形の映像に対応する映像
信号から、特徴点として三角形の三つの頂点の座標を抽出する。つまり、三角形の映像が
三つの座標データに変換され、データ量が削減される。
【0214】
デコーダ42は、学習によって決定された重み係数に従って、エンコーダ41から入力さ
れたデータから映像信号を復号する。復号された映像信号は、エンコーダ41に入力され
た映像信号と同じ解像度を有する。上記の例で説明すると、デコーダ42は、三つの座標
データから、三角形の映像に対応する映像信号を生成する。
【0215】
エンコーダ41及びデコーダ42が有するニューラルネットワークの学習は、学習データ
をオートエンコーダAEに入力し、オートエンコーダAEの出力が学習データに等しくな
るように重み係数を更新していくことで行うことができる。すなわち、当該ニューラルネ
ットワークは教師なし学習によって学習を行うことができる。なお、学習データとして、
映像信号の一部分を切り出したものを用いることが好ましい。なお、上記学習には、誤差
逆伝播方式などを用いることができる。
【0216】
また、エンコーダ41及びデコーダ42が有するニューラルネットワークの学習は、実施
の形態1で説明したように、処理能力の優れた計算機などを用いて行うことができる。
【0217】
表示部20と信号生成部30との間は、FPC(Flexible Printed C
ircuits)などのケーブルを用いて接続されている場合が多い。例えば、2K、4
K、8Kなどの高解像度の映像を表示する場合、信号生成部30から表示部20に大量の
映像信号が送信されるが、FPCの配線本数に物理的制約があることなどから、伝送に時
間を要する場合がある。また、表示部20が大型化するにつれて、表示部20と信号生成
部30を繋ぐケーブルの物理的な距離が長くなり、映像信号の伝送損失が大きくなる。
【0218】
ここで、
図17に示す構成を用いることにより、映像信号は圧縮された状態で信号生成部
30から表示部20に伝送される。そのため、映像信号の伝送を高速で行うことができる
。また、映像信号の伝送に要する電力を低減することができる。
【0219】
なお、エンコーダ41に入力される映像信号とデコーダ42が出力する映像信号とは、必
ずしも解像度が一致しなくてもよい。例えば、子供向けのアニメーションやニュース番組
など、多少画質が低くても視聴者が不満を感じない番組については、映像信号の解像度を
意図的に低くしてもよい。その場合、デコーダ42が出力する画像データは、エンコーダ
41に入力される画像データよりも解像度が低くなる。これにより、表示部20における
消費電力を低減することができる。
【0220】
以上のように、補正回路40をエンコーダ41とデコーダ42に分割することにより、映
像信号の補正に加え、映像信号の圧縮及び伸長を行うことができる。
【0221】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0222】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示部の他の構成例について説明する。
【0223】
図19に、表示部20の他の構成例を示す。
図19に示す表示部20は、配線SLの数が
、画素52の列数の整数倍(2m×L、Lは2以上の整数)である点において、
図2と異
なる。ここでは一例として、配線SLの数が、画素52の列数の2倍(L=2)である場
合の構成について説明する。なお、
図19には代表例として領域51(1,1)、(2,
1)を示しているが、他の領域51にも同様の構成を用いることができる。
【0224】
表示部20は、2m本の配線SLa(SL
11a[1]乃至[m]、SL
21a[1]乃
至[m])と、2m本の配線SLb(SL
11b[1]乃至[m]、SL
21b[1]乃
至[m])を有する。画素52は、配線SLa又は配線SLbの一方と接続されている。
図19においては、奇数行に属する画素52aが配線SLaと接続され、偶数行に属する
画素52bが配線SLbと接続されている構成例を示している。
【0225】
画素52aと画素52bには、それぞれ異なる配線SLから映像信号が供給される。その
ため、画素52aと画素52bには選択信号を同時に供給することができる。例えば
図1
9においては、配線GL
1[1]と配線GL
1[2]、配線GL
1[n-1]と配線GL
1[n]、配線GL
2[1]と配線GL
2[2]、配線GL
2[n-1]と配線GL
2[
n]には、それぞれ同時に選択信号を供給することができる。これにより、配線GLの走
査期間を短縮することができ、表示部20の動作速度の向上を図ることができる。
【0226】
なお、選択信号が同時に供給される配線GLは、共有化することができる。
図19におい
ては、配線GL
1[1]と配線GL
1[2]、配線GL
1[n-1]と配線GL
1[n]
、配線GL
2[1]と配線GL
2[2]、配線GL
2[n-1]と配線GL
2[n]がそ
れぞれ共有化されている。これにより、配線GLの本数を削減し、表示部20の面積を縮
小することができる。
【0227】
なお、ここでは配線SLの数が画素52の列数の2倍(L=2)である場合について説明
したが、Lの値は3以上であってもよい。この場合、L本の配線GLに選択信号を同時に
供給することができる。また、L本の配線GLが共有化された構成を用いることができる
。
【0228】
特に、画素52が有するトランジスタに用いられる半導体として非晶質半導体を用いる場
合は、表示部20の高速な動作を維持するために、
図19に示す構成を用いることが好ま
しい。
【0229】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0230】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示部に用いることが可能な表示装置の構
成例について説明する。
【0231】
<構成例1>
図20に、表示装置の構成例を示す。表示装置300は、基板301上に設けられた表示
部310を有する。表示部310は、配線GL及び配線SLと接続された複数の画素31
1を有する。なお、表示部310は、
図1における画素部21に対応する。
【0232】
また、表示装置300には、複数のTAB(Tape Automated Bondi
ng)テープ321が設けられている。TABテープ321には集積回路322が実装さ
れており、
図1における駆動回路22は、集積回路322に形成されている。集積回路3
22は複数の配線GLと接続されており、配線GLに選択信号を供給する機能を有する。
【0233】
また、表示装置300には、複数のプリント基板331、複数のTABテープ332が設
けられている。プリント基板331はそれぞれ複数のTABテープ332と接続され、外
部から入力された信号をTABテープ332に分配する機能を有する。また、TABテー
プ332には集積回路333が実装されており、
図1における駆動回路23は、集積回路
333に形成されている。集積回路333は複数の配線SLと接続されており、配線SL
に選択信号を供給する機能を有する。
【0234】
2K、4K、8K放送などに対応可能な大画面の表示パネルを作製する場合は、
図20に
示すように複数のプリント基板331を設けることが好ましい。これにより、表示装置3
00への画像データの入力を容易に行うことができる。
【0235】
なお、集積回路322及び集積回路333は、COG(Chip On Glass)方
式、COF(Chip on Film)方式などにより、基板301上に設けることも
できる。
【0236】
画素311が有するトランジスタに非晶質半導体を用いる場合は、
図20に示すように、
集積回路322及び集積回路333を用いて駆動回路22、駆動回路23などを別途形成
することが好ましい。これにより、動作速度を向上させることができる。
【0237】
一方、画素311が有するトランジスタにOSトランジスタを用いる場合は、駆動回路2
2などを構成するOSトランジスタを基板301上に同時に形成することができる。OS
トランジスタは電界効果移動度が高いため、駆動回路22などをOSトランジスタによっ
て構成することができる。この場合、集積回路322を省略することができる。
【0238】
<構成例2>
次に、複数の表示パネルによって構成された表示装置について説明する。
図21に、複数
の表示パネル351がマトリクス状に配置された表示装置350の構成例を示す。なお、
図21では6行×6列=36枚の表示パネル351が設けられた例を示しているが、表示
パネル351の数は自由に設定することができる。表示パネル351は、それぞれ独立に
制御することができる。
【0239】
表示装置350は、複数の表示パネル351を用いて1つの画像を表示することができる
。これにより、表示装置350の画像表示領域を拡大することができる。また、表示装置
350は複数の表示パネル351によって構成されているため、1つの表示パネル351
の大きさは大型である必要がない。したがって、表示パネルを作製するための製造装置を
大型化しなくてもよく、省スペース化が可能である。また、中小型の表示パネルの製造装
置を用いることができ、表示装置の大型化のために別途製造装置を準備しなくてもよいた
め、製造コストを抑えることができる。また、表示パネルの大型化に伴う歩留まりの低下
を抑制できる。
【0240】
表示パネル351はそれぞれ、画素部352、駆動回路353、駆動回路354を有する
。画素部352、駆動回路353、駆動回路354の構成や機能については、
図1におけ
る画素部21、駆動回路22、駆動回路23の説明をそれぞれ援用することができる。ま
た、画素部352は、複数の画素355を有する。画素355の構成や機能については、
図2における画素52の説明を援用することができる。なお、駆動回路353及び駆動回
路354は、それぞれ表示パネル351の外部に設けられていてもよい。
【0241】
図22(A)に、表示装置350の表示面側の斜視図を示す。
図22(B)に、表示装置
350の表示面側とは反対側の斜視図を示す。なお、
図22(A)、(B)には代表例と
して、隣接する4枚の表示パネル351a、351b、351c、351dを示している
。また、
図22(A)、(B)に示す表示パネル351は、それぞれFPCと接続されて
いる。
【0242】
表示パネル351は、可撓性を有していてもよい。可撓性を有する表示パネル351を用
いることにより、
図22(A)、(B)に示すように、表示パネル351aと接続された
FPC360aの近傍を湾曲させ、FPC360aに隣接する表示パネル351bの表示
領域370bの下側に、表示パネル351aの一部、及びFPC360aの一部を配置す
ることができる。その結果、FPC360aを表示パネル351bの裏面と物理的に干渉
することなく配置することができる。
【0243】
さらに、各表示パネル351に可撓性を持たせることで、表示パネル351bの表示領域
370bにおける上面の高さを、表示パネル351aの表示領域370aにおける上面の
高さと一致するように、表示パネル351bを緩やかに湾曲させることができる。そのた
め、表示パネル351aと表示パネル351bとが重なる領域近傍を除き、各表示領域の
高さを揃えることが可能となる。
【0244】
上記では、表示パネル351aと表示パネル351bの関係を例に説明したが、他の隣接
する2つの表示パネル間でも同様である。
【0245】
隣接する2つの表示パネル351間の段差を軽減するため、表示パネル351の厚さは薄
い方が好ましい。例えば表示パネル351の厚さを1mm以下、好ましくは300μm以
下、より好ましくは100μm以下とすることが好ましい。また、表示パネルが薄いと、
表示装置全体の薄型化又は軽量化にもつながるため、好ましい。
【0246】
表示装置350は、複数の表示領域370によって構成された表示領域940に映像を表
示することができる。
【0247】
ここで、表示パネル351にはそれぞれ異なる駆動回路354から映像信号が供給される
。そのため、表示パネル351のつなぎ目(異なる表示パネル351の画素355同士が
隣接する領域)においては、表示パネル351間の特性のばらつきにより、映像信号に誤
差が生じ、映像が不連続になり得る。表示パネル351の特性のばらつきとしては、例え
ば、画素355が有するトランジスタや容量の特性のばらつき、配線に付加される寄生抵
抗や寄生容量のばらつき、駆動回路354の駆動能力のばらつきなどが挙げられる。
【0248】
ここで、各表示パネル351に供給される映像信号を、実施の形態1と同様にニューラル
ネットワークを用いて補正することにより、表示パネル351のつなぎ目付近における映
像の不連続性を緩和することができる。このように、本発明の一態様に係る映像の補正は
、複数の表示パネル351によって構成される表示装置350に対しても有効である。
【0249】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0250】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した表示部に用いることが可能な表示装置の、
より具体的な構成例について説明する。ここでは特に、表示素子として液晶素子を用いた
表示装置について説明する。
【0251】
<表示装置の構成例1>
図23に、表示装置400の断面構造の一例を示す。ここでは、表示素子として透過型の
液晶素子420を適用した場合の例を示している。
図23において、基板412側が表示
面側となる。
【0252】
表示装置400は、基板411と基板412との間に液晶層422が挟持された構成を有
している。液晶素子420は、基板411側に設けられた導電層421と、基板412側
に設けられた導電層423と、これらに挟持された液晶層422と、を有する。また、液
晶層422と導電層421との間に配向膜424aが設けられ、液晶層422と導電層4
23との間に配向膜424bが設けられている。
【0253】
導電層421は、画素電極として機能する。また導電層423は、共通電極などとして機
能する。また導電層421と導電層423は、いずれも可視光を透過する機能を有する。
したがって、液晶素子420は、透過型の液晶素子である。
【0254】
基板412の基板411側の面には、着色層441と、遮光層442が設けられている。
着色層441と遮光層442を覆って絶縁層426が設けられ、絶縁層426を覆って導
電層423が設けられている。また着色層441は、導電層421と重なる領域に設けら
れている。遮光層442は、トランジスタ430や接続部438と重なる領域に設けられ
ている。
【0255】
基板411よりも外側には偏光板439aが配置され、基板412よりも外側には偏光板
439bが配置されている。さらに、偏光板439aよりも外側に、バックライトユニッ
ト490が設けられている。
図23に示す表示装置400は、基板412側が表示面側と
なる。
【0256】
基板411上に半導体層、トランジスタ430、容量素子460等が設けられている。ト
ランジスタ430は、画素の選択トランジスタとして機能する。トランジスタ430は、
接続部438を介して液晶素子420と接続されている。
【0257】
図23に示すトランジスタ430は、いわゆるボトムゲート・チャネルエッチ構造のトラ
ンジスタである。トランジスタ430は、ゲート電極として機能する導電層431と、ゲ
ート絶縁層として機能する絶縁層434と、半導体層432と、ソース電極及びドレイン
電極として機能する一対の導電層433a及び導電層433bと、を有する。半導体層4
32の、導電層431と重畳する部分は、チャネル形成領域として機能する。半導体層4
32は、導電層433a及び導電層433bと接続されている。
【0258】
容量素子460は、導電層431aと、絶縁層434と、導電層433bにより構成され
ている。
【0259】
トランジスタ430等を覆って、絶縁層482と絶縁層481が積層して設けられている
。画素電極として機能する導電層421は絶縁層481上に設けられている。また接続部
438において、絶縁層481及び絶縁層482に設けられた開口を介して、導電層42
1と導電層433bとが電気的に接続されている。絶縁層481は、平坦化層として機能
することが好ましい。また絶縁層482は、トランジスタ430等へ不純物等が拡散する
ことを抑制する保護膜としての機能を有することが好ましい。例えば、絶縁層482に無
機絶縁材料を用い、絶縁層481に有機絶縁材料を用いることができる。
【0260】
<表示装置の構成例2>
図24では、着色層441を基板411側に設けた場合の例を示している。これにより、
基板412側の構成を簡略化することができる。
【0261】
なお、着色層441を平坦化膜として用いる場合には、絶縁層481を設けない構成とし
てもよい。
【0262】
<表示装置の構成例3>
上記では、液晶素子として、液晶層を挟む一対の電極が上下に配置された、縦電界方式の
液晶素子の例を示しているが、液晶素子の構成はこれに限られず、様々な方式の液晶素子
を適用することができる。
【0263】
図25には、FFS(Fringe Field Switching)モードが適用さ
れた液晶素子を有する表示装置の断面概略図を示す。
【0264】
液晶素子420は、画素電極として機能する導電層421と、導電層421と絶縁層48
3を介して重なる導電層423と、を有する。導電層423は、スリット状または櫛歯状
の上面形状を有している。
【0265】
また、この構成では、導電層421と導電層423とが重なる部分に容量が形成され、こ
れを容量素子460として用いることができる。そのため、画素の占有面積を縮小でき、
高精細な表示装置を実現できる。また、開口率を向上させることができる。
【0266】
図25では、共通電極として機能する導電層423が、画素電極として機能する導電層4
21よりも液晶層422側に位置する構成としたが、
図26に示すように、導電層421
が、導電層423よりも液晶層422側に位置する構成としてもよい。このとき、導電層
421がスリット状または櫛歯状の上面形状を有する。
【0267】
ここで、表示装置を作製する際、作製工程におけるフォトリソグラフィ工程が少ないほど
、すなわちフォトマスクのマスク枚数が少ないほど、作製コストを低くすることができる
。
【0268】
例えば
図23に示す構成では、基板411側の工程のうち、導電層431等の形成工程、
半導体層432の形成工程、導電層433a等の形成工程、接続部438となる開口部の
形成工程、及び導電層421の形成工程の、計5つのフォトリソグラフィ工程を経ること
で作製できる。すなわち、5枚のフォトマスクにより、バックプレーン基板を作製するこ
とができる。一方、基板412(対向基板)側においては、着色層441や遮光層442
の形成方法として、インクジェット法またはスクリーン印刷法等を用いると、フォトマス
クが不要となるため好ましい。例えば、3色の着色層441と、遮光層442を設けた場
合には、これらをフォトリソグラフィ法で形成した場合に比べて、計4つのフォトマスク
を削減することができる。
【0269】
<トランジスタの構成例1>
次に、トランジスタ430の具体的な構成例について説明する。以下に説明するトランジ
スタの半導体層432には、シリコンを含む半導体を用いることができる。シリコンを含
む半導体としては、例えば、水素化アモルファスシリコン、微結晶シリコン、または多結
晶シリコン等を用いることができる。特に、水素化アモルファスシリコンを用いると、大
型の基板上に歩留り良く形成できるため好ましい。本実施の形態の表示装置は、電界効果
移動度が比較的低いアモルファスシリコンが適用されたトランジスタであっても、良好な
表示が可能である。
【0270】
図27(A)に示すトランジスタは、ソース領域及びドレイン領域として機能する一対の
不純物半導体層435を有する。不純物半導体層435は、半導体層432と導電層43
3aの間、及び、半導体層432と導電層433bの間に設けられている。半導体層43
2と不純物半導体層435とは接して設けられ、不純物半導体層435と導電層433a
または導電層433bとは接して設けられる。
【0271】
不純物半導体層435を構成する不純物半導体膜は、一導電型を付与する不純物元素を添
加した半導体により形成する。トランジスタがn型である場合には、一導電型を付与する
不純物元素を添加した半導体として、例えば、P又はAsを添加したシリコンが挙げられ
る。または、トランジスタがp型である場合には、一導電型を付与する不純物元素として
、例えばBを添加することも可能であるが、トランジスタはn型とすることが好ましい。
なお、不純物半導体層は、非晶質半導体により形成してもよいし、微結晶半導体などの結
晶性半導体により形成してもよい。
【0272】
図27(B)に示すトランジスタは、半導体層432と不純物半導体層435の間に、半
導体層437を有する。
【0273】
半導体層437は、半導体層432と同様の半導体膜により形成されていてもよい。半導
体層437は、不純物半導体層435のエッチングの際に、半導体層432がエッチング
により消失することを防ぐためのエッチングストッパーとして機能させることができる。
なお、
図27(A)において、半導体層437が左右に分離している例を示しているが、
半導体層437の一部が半導体層432のチャネル形成領域を覆っていてもよい。
【0274】
また、半導体層437は、不純物半導体層435よりも低濃度の不純物が含まれていても
よい。これにより、半導体層437をLDD(Lightly Doped Drain
)領域として機能させることができ、トランジスタを駆動させたときのホットキャリア劣
化を抑制することができる。
【0275】
図27(C)に示すトランジスタは、半導体層432のチャネル形成領域上に、絶縁層4
84が設けられている。絶縁層484は、不純物半導体層435のエッチングの際のエッ
チングストッパーとして機能する。
【0276】
図27(D)に示すトランジスタは、半導体層432に代えて、半導体層432pを有す
る。半導体層432pは、結晶性の高い半導体膜を含む。例えば半導体層432pは、多
結晶半導体または単結晶半導体を含む。これにより、電界効果移動度の高いトランジスタ
とすることができる。
【0277】
図27(E)に示すトランジスタは、半導体層432のチャネル形成領域に半導体層43
2pを有する。例えば
図27(E)に示すトランジスタは、半導体層432となる半導体
膜に対してレーザ光などを照射し、当該半導体膜を局所的に結晶化することにより形成す
ることができる。これにより、電界効果移動度の高いトランジスタを実現できる。
【0278】
図27(F)に示すトランジスタは、
図27(B)で示したトランジスタの半導体層43
2のチャネル形成領域に、結晶性の半導体層432pを有する。
【0279】
図27(G)に示すトランジスタは、
図27(C)で示したトランジスタの半導体層43
2のチャネル形成領域に、結晶性の半導体層432pを有する。
【0280】
<トランジスタの構成例2>
次に、トランジスタ430の他の構成例を説明する。なお、以下で説明するトランジスタ
の半導体層432に金属酸化物を用いることにより、OSトランジスタを構成することが
できる。OSトランジスタを用いる場合、映像に変化がない期間、又は変化が一定以下で
ある期間において、映像信号の更新の頻度を極めて低く設定することができ、消費電力の
削減を図ることができる。
【0281】
図28(A)に示すトランジスタは、半導体層432のチャネル形成領域上に、絶縁層4
84が設けられている。絶縁層484は、導電層433a及び導電層433bのエッチン
グの際のエッチングストッパーとして機能する。
【0282】
図28(B)に示すトランジスタは、絶縁層484が、半導体層432を覆って絶縁層4
34上に延在している構成を有する。この場合、導電層433a及び導電層433bは、
絶縁層484に設けられた開口を介して、半導体層432と接続されている。
【0283】
図28(C)に示すトランジスタは、絶縁層485、導電層486を有する。絶縁層48
5は、半導体層432、導電層433a、導電層433bを覆って設けられている。また
、導電層486は絶縁層485上に設けられ、半導体層432と重なる領域を有する。
【0284】
導電層486は、半導体層432を挟んで導電層431とは反対側に位置している。導電
層431を第1のゲート電極とした場合、導電層486は、第2のゲート電極として機能
することができる。導電層431と導電層486に同じ電位を与えることで、トランジス
タのオン電流を高めることができる。また、導電層431と導電層486の一方にしきい
値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジ
スタのしきい値電圧を制御することができる。
【0285】
図28(D)に示すトランジスタは、トップゲート構造のトランジスタであり、ゲート電
極として機能する導電層431が、半導体層432よりも上側(半導体層432からみて
、基板411側とは反対側)に設けられている。また、半導体層432上には、絶縁層4
34及び導電層431が積層して形成されている。また、絶縁層482は、半導体層43
2の上面及び側端部、導電層431を覆って設けられている。導電層433a及び導電層
433bは、絶縁層482上に設けられている。導電層433a及び導電層433bは、
絶縁層482に設けられた開口を介して、半導体層432と接続されている。
【0286】
なお、ここでは絶縁層434が、導電層431と重ならない部分に存在しない場合の例を
示しているが、絶縁層434が半導体層432の上面及び側端部を覆って設けられていて
もよい。
【0287】
図28(D)に示すトランジスタは、導電層431と導電層433aまたは導電層433
bとの物理的な距離を離すことが容易なため、これらの間の寄生容量を低減することが可
能である。
【0288】
図28(E)に示すトランジスタは、
図28(D)と比較して、導電層487及び絶縁層
488を有している点で相違している。導電層487は半導体層432と重なる領域を有
する。また、絶縁層488は、導電層487を覆って設けられている。
【0289】
導電層487は、第2のゲート電極として機能する。そのため、オン電流を高めることや
、しきい値電圧を制御することなどが可能である。
【0290】
<構成要素>
以下では、上記に示す各構成要素について説明する。
【0291】
[基板]
表示装置が有する基板には、平坦面を有する材料を用いることができる。表示素子からの
光を取り出す基板には、該光を透過する材料を用いる。例えば、ガラス、石英、セラミッ
ク、サファイヤ、有機樹脂などの材料を用いることができる。
【0292】
厚さの薄い基板を用いることで、表示パネルの軽量化、薄型化を図ることができる。さら
に、可撓性を有する程度の厚さの基板を用いることで、可撓性を有する表示パネルを実現
できる。または、可撓性を有する程度に薄いガラスなどを基板に用いることもできる。ま
たは、ガラスと樹脂材料とが接着層により貼り合わされた複合材料を用いてもよい。
【0293】
[トランジスタ]
トランジスタは、ゲート電極として機能する導電層と、半導体層と、ソース電極として機
能する導電層と、ドレイン電極として機能する導電層と、ゲート絶縁層として機能する絶
縁層と、を有する。
【0294】
なお、本発明の一態様の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例え
ば、プレーナ型のトランジスタとしてもよいし、スタガ型のトランジスタとしてもよいし
、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型またはボトムゲート型
のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルの上下にゲート電極が設け
られていてもよい。
【0295】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、結
晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領
域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トラン
ジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0296】
トランジスタのチャネルが形成される半導体には、例えばシリコンを用いることができる
。シリコンとして、特にアモルファスシリコンを用いることが好ましい。アモルファスシ
リコンを用いることで、大型の基板上に歩留り良くトランジスタを形成でき、量産性に優
れる。
【0297】
また、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどの結晶性を有するシリコン
を用いることもできる。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成で
き、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
【0298】
本実施の形態で例示したボトムゲート構造のトランジスタは、作製工程を削減できるため
好ましい。またこのときアモルファスシリコンを用いることで、多結晶シリコンよりも低
温で形成できるため、半導体層よりも下層の配線や電極の材料、基板の材料として、耐熱
性の低い材料を用いることが可能なため、材料の選択の幅を広げることができる。例えば
、極めて大面積のガラス基板などを好適に用いることができる。一方、トップゲート型の
トランジスタは、自己整合的に不純物領域を形成しやすいため、特性のばらつきなどを低
減することができるため好ましい。このとき特に、多結晶シリコンや単結晶シリコンなど
を用いる場合に適している場合がある。
【0299】
また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えば、第14族の元素(シリコン、
ゲルマニウム等)、又は金属酸化物を半導体層に用いることができる。代表的には、シリ
コンを含む半導体、ガリウムヒ素を含む半導体又はインジウムを含む金属酸化物などを適
用できる。
【0300】
特にシリコンよりもバンドギャップの大きな金属酸化物を適用することが好ましい。シリ
コンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい半導体材料を用いると、ト
ランジスタのオフ状態における電流を低減できるため好ましい。
【0301】
シリコンよりもバンドギャップの大きな金属酸化物を用いたトランジスタは、その低いオ
フ電流により、トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保
持することが可能である。このようなトランジスタを画素に適用することで、各表示領域
に表示した画像の階調を維持しつつ、駆動回路を停止することも可能となる。その結果、
極めて消費電力の低減された表示装置を実現できる。
【0302】
半導体層は、例えば少なくともインジウム、亜鉛及びM(アルミニウム、チタン、ガリウ
ム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、セリウム、スズ、ネオジム
またはハフニウム等の金属)を含むIn-M-Zn系酸化物で表記される膜を含むことが
好ましい。また、該半導体層を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、
それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
【0303】
スタビライザーとしては、上記Mで記載の金属を含め、例えば、ガリウム、スズ、ハフニ
ウム、アルミニウム、またはジルコニウム等がある。また、他のスタビライザーとしては
、ランタノイドである、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユ
ウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツ
リウム、イッテルビウム、ルテチウム等がある。
【0304】
半導体層を構成する金属酸化物として、例えば、In-Ga-Zn系酸化物、In-Al
-Zn系酸化物、In-Sn-Zn系酸化物、In-Hf-Zn系酸化物、In-La-
Zn系酸化物、In-Ce-Zn系酸化物、In-Pr-Zn系酸化物、In-Nd-Z
n系酸化物、In-Sm-Zn系酸化物、In-Eu-Zn系酸化物、In-Gd-Zn
系酸化物、In-Tb-Zn系酸化物、In-Dy-Zn系酸化物、In-Ho-Zn系
酸化物、In-Er-Zn系酸化物、In-Tm-Zn系酸化物、In-Yb-Zn系酸
化物、In-Lu-Zn系酸化物、In-Sn-Ga-Zn系酸化物、In-Hf-Ga
-Zn系酸化物、In-Al-Ga-Zn系酸化物、In-Sn-Al-Zn系酸化物、
In-Sn-Hf-Zn系酸化物、In-Hf-Al-Zn系酸化物を用いることができ
る。
【0305】
なお、ここで、In-Ga-Zn系酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する
酸化物という意味であり、InとGaとZnの比率は問わない。また、InとGaとZn
以外の金属元素が入っていてもよい。
【0306】
また、半導体層と導電層は、上記酸化物のうち同一の金属元素を有していてもよい。半導
体層と導電層を同一の金属元素とすることで、製造コストを低減させることができる。例
えば、同一の金属組成の金属酸化物ターゲットを用いることで、製造コストを低減させる
ことができる。また半導体層と導電層を加工する際のエッチングガスまたはエッチング液
を共通して用いることができる。ただし、半導体層と導電層は、同一の金属元素を有して
いても、組成が異なる場合がある。例えば、トランジスタ及び容量素子の作製工程中に、
膜中の金属元素が脱離し、異なる金属組成となる場合がある。
【0307】
半導体層を構成する金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5
eV以上、より好ましくは3eV以上であることが好ましい。このように、エネルギーギ
ャップの広い金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができ
る。
【0308】
半導体層を構成する金属酸化物がIn-M-Zn酸化物の場合、In-M-Zn酸化物を
成膜するために用いるスパッタリングターゲットの金属元素の原子数比は、In≧M、Z
n≧Mを満たすことが好ましい。このようなスパッタリングターゲットの金属元素の原子
数比として、In:M:Zn=1:1:1、In:M:Zn=1:1:1.2、In:M
:Zn=3:1:2、4:2:4.1等が好ましい。なお、成膜される半導体層の原子数
比はそれぞれ、誤差として上記のスパッタリングターゲットに含まれる金属元素の原子数
比のプラスマイナス40%の変動を含む。
【0309】
半導体層には、キャリア密度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、半導体
層は、キャリア密度が1×1017/cm3以下、好ましくは1×1015/cm3以下
、さらに好ましくは1×1013/cm3以下、より好ましくは1×1011/cm3以
下、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上のキ
ャリア密度の金属酸化物を用いることができる。このような半導体層は、不純物濃度が低
く、欠陥準位密度が低いため、安定な特性を有する。
【0310】
なお、これらに限られず、必要とするトランジスタの半導体特性及び電気特性(電界効果
移動度、しきい値電圧等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする
トランジスタの半導体特性を得るために、半導体層のキャリア密度や不純物濃度、欠陥密
度、金属元素と酸素の原子数比、原子間距離、密度等を適切なものとすることが好ましい
。
【0311】
半導体層を構成する金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含
まれると、半導体層において酸素欠損が増加し、n型化してしまう場合がある。このため
、半導体層におけるシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法により得られる濃度)
を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3
以下とすることが好ましい。
【0312】
また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、金属酸化物と結合するとキャリアを生成す
る場合があり、トランジスタのオフ電流が増大してしまうことがある。このため半導体層
における二次イオン質量分析法により得られるアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃
度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm
3以下にすることが好ましい。
【0313】
また、半導体層は、例えば非単結晶構造でもよい。非単結晶構造は、例えば、多結晶構造
、微結晶構造、または非晶質構造を含む。非単結晶構造において、非晶質構造は最も欠陥
準位密度が高い。
【0314】
非晶質構造の金属酸化物は、例えば、原子配列が無秩序であり、結晶成分を有さない。ま
たは、非晶質構造の酸化物膜は、例えば、完全な非晶質構造であり、結晶部を有さない。
【0315】
なお、半導体層が、非晶質構造の領域、微結晶構造の領域、多結晶構造の領域、単結晶構
造の領域のうち、二種以上を有する混合膜であってもよい。混合膜は、例えば上述した領
域のうち、いずれか二種以上の領域を含む単層構造、または積層構造を有する場合がある
。
【0316】
[導電層]
トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配線およ
び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム
、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、またはタン
グステンなどの金属、またはこれを主成分とする合金などが挙げられる。またこれらの材
料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。例えば、シリコンを含
むアルミニウム膜の単層構造、チタン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、タング
ステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金
膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜
上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜または窒化チタン膜と、その上に重ねてアルミニ
ウム膜または銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜または窒化チタン膜を形成する三層
構造、モリブデン膜または窒化モリブデン膜と、その上に重ねてアルミニウム膜または銅
膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜または窒化モリブデン膜を形成する三層構造等
がある。なお、酸化インジウム、酸化錫または酸化亜鉛等の酸化物を用いてもよい。また
、マンガンを含む銅を用いると、エッチングによる形状の制御性が高まるため好ましい。
【0317】
また、トランジスタのゲート、ソースおよびドレインのほか、表示装置を構成する各種配
線及び電極などの導電層に用いることのできる、透光性を有する導電性材料としては、酸
化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを添加
した酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、
銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト
、銅、パラジウム、またはチタンなどの金属材料や、該金属材料を含む合金材料を用いる
ことができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい
。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有す
る程度に薄くすればよい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。
例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電
性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線および電
極などの導電層や、表示素子が有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層
)にも用いることができる。
【0318】
[絶縁層]
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル、エポキシなどの樹
脂、シリコーンなどのシロキサン結合を有する樹脂の他、酸化シリコン、酸化窒化シリコ
ン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料を用いるこ
ともできる。
【0319】
透水性の低い絶縁膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜等の窒素と珪素を含
む膜や、窒化アルミニウム膜等の窒素とアルミニウムを含む膜等が挙げられる。また、酸
化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜等を用いてもよい。
【0320】
[液晶素子]
液晶素子としては、例えば垂直配向(VA:Vertical Alignment)モ
ードが適用された液晶素子を用いることができる。垂直配向モードとしては、MVA(M
ulti-Domain Vertical Alignment)モード、PVA(P
atterned Vertical Alignment)モード、ASV(Adva
nced Super View)モードなどを用いることができる。
【0321】
また、液晶素子には、様々なモードが適用された液晶素子を用いることができる。例えば
VAモードのほかに、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In-
Plane-Switching)モード、FFS(Fringe Field Swi
tching)モード、ASM(Axially Symmetric aligned
Micro-cell)モード、OCB(Optically Compensate
d Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Li
quid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric
Liquid Crystal)モード、ECB(Electrically Cont
rolled Birefringence)モード、ゲストホストモード等が適用され
た液晶素子を用いることができる。
【0322】
なお、液晶素子は、液晶の光学的変調作用によって光の透過または非透過を制御する素子
である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電
界または斜め方向の電界を含む)によって制御される。なお、液晶素子に用いる液晶とし
ては、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC:
Polymer Dispersed Liquid Crystal)、高分子ネット
ワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Cryst
al)、強誘電性液晶、反強誘電性液晶等を用いることができる。これらの液晶材料は、
条件により、コレステリック相、スメクチック相、キュービック相、カイラルネマチック
相、等方相等を示す。
【0323】
また、液晶材料としては、ポジ型の液晶、またはネガ型の液晶のいずれを用いてもよく、
適用するモードや設計に応じて最適な液晶材料を用いればよい。
【0324】
また、液晶の配向を制御するため、配向膜を設けることができる。なお、横電界方式を採
用する場合、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の
一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移
する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲
を改善するために数重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を液晶層に用いる。
ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が短く、光学的等方性
である。また、ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、配向処理が不要
であり、視野角依存性が小さい。また配向膜を設けなくてもよいのでラビング処理も不要
となるため、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製
工程中の液晶表示装置の不良や破損を軽減することができる。
【0325】
また、液晶素子として、透過型の液晶素子、反射型の液晶素子、または半透過型の液晶素
子などがある。
【0326】
本発明の一態様では、特に透過型の液晶素子を好適に用いることができる。
【0327】
透過型または半透過型の液晶素子を用いる場合、一対の基板を挟むように、2つの偏光板
を設ける。また偏光板よりも外側に、バックライトを設ける。バックライトとしては、直
下型のバックライトであってもよいし、エッジライト型のバックライトであってもよい。
LED(Light Emitting Diode)を備える直下型のバックライトを
用いると、ローカルディミングが容易となり、コントラストを高めることができるため好
ましい。また、エッジライト型のバックライトを用いると、バックライトを含めたモジュ
ールの厚さを低減できるため好ましい。
【0328】
なお、エッジライト型のバックライトをオフ状態とすることで、シースルー表示を行うこ
とができる。
【0329】
[着色層]
着色層に用いることのできる材料としては、金属材料、樹脂材料、顔料または染料が含ま
れた樹脂材料などが挙げられる。
【0330】
[遮光層]
遮光層として用いることのできる材料としては、カーボンブラック、チタンブラック、金
属、金属酸化物、複数の金属酸化物の固溶体を含む複合酸化物等が挙げられる。遮光層は
、樹脂材料を含む膜であってもよいし、金属などの無機材料の薄膜であってもよい。また
、遮光層に、着色層の材料を含む膜の積層膜を用いることもできる。例えば、ある色の光
を透過する着色層に用いる材料を含む膜と、他の色の光を透過する着色層に用いる材料を
含む膜との積層構造を用いることができる。着色層と遮光層の材料を共通化することで、
装置を共通化できるほか工程を簡略化できるため好ましい。
【0331】
なお、本実施の形態では、表示素子として液晶素子を用いた表示装置について説明したが
、表示素子として発光素子を用いることもできる。
【0332】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0333】
(実施の形態6)
本実施の形態では、トランジスタの半導体層に用いることのできる多結晶シリコンの結晶
化方法およびレーザ結晶化装置の一例について説明する。
【0334】
結晶性の良好な多結晶シリコン層を形成するには、基板上に非晶質シリコン層を設け、当
該非晶質シリコン層にレーザ光を照射して結晶化することが好ましい。例えば、レーザ光
を線状ビームとし、当該線状ビームを非晶質シリコン層に照射しながら基板を移動させる
ことで、基板上の所望の領域に多結晶シリコン層を形成することができる。
【0335】
線状ビームを用いた方法は、スループットが比較的良好である。一方で、ある領域に対し
てレーザ光が相対的に移動しながら複数回照射される方法であるため、レーザ光の出力変
動およびそれに起因するビームプロファイルの変化による結晶性のばらつきが生じやすい
。例えば、当該方法で結晶化させた半導体層を表示装置の画素が有するトランジスタに用
いると、結晶性のばらつきに起因したランダムな縞模様が表示に見えることがある。
【0336】
また、線状ビームの長さは基板の一辺の長さ以上であることが理想的であるが、線状ビー
ムの長さは、レーザ発振器の出力と光学系の構成によって制限される。したがって、大型
基板の処理では基板面内を折り返してレーザ照射することが現実的である。そのため、レ
ーザ光をオーバーラップして照射する領域が生じる。当該領域の結晶性は、他の領域の結
晶性と異なりやすいため、当該領域では表示ムラが生じることがある。
【0337】
上記のような問題を抑えるために、基板上に形成した非晶質シリコン層に局所的にレーザ
照射を行って結晶化させてもよい。局所的なレーザ照射では、結晶性のばらつきの少ない
多結晶シリコン層を形成しやすい。
【0338】
図29(A)は、基板上に形成した非晶質シリコン層に局所的にレーザ照射を行う方法を
説明する図である。
【0339】
光学系ユニット621から射出されるレーザ光626は、ミラー622で反射されてマイ
クロレンズアレイ623に入射する。マイクロレンズアレイ623は、レーザ光626を
集光して複数のレーザビーム627を形成する。
【0340】
ステージ615には、非晶質シリコン層640を形成した基板630が固定される。非晶
質シリコン層640に複数のレーザビーム627を照射することで、複数の多結晶シリコ
ン層641を同時に形成することができる。
【0341】
マイクロレンズアレイ623が有する個々のマイクロレンズは、表示装置の画素ピッチに
合わせて設けることが好ましい。または、画素ピッチの整数倍の間隔で設けてもよい。い
ずれの場合においても、レーザ照射とステージ615のX方向またはY方向の移動を繰り
返すことで、全ての画素に対応した領域に多結晶シリコン層を形成することができる。
【0342】
例えば、マイクロレンズアレイ623が画素ピッチでI行J列(I、Jは自然数)のマイ
クロレンズを有するとき、まず所定の開始位置でレーザ光を照射し、I行J列の多結晶シ
リコン層641を形成することができる。そして、行方向にJ列分の距離だけ移動させて
レーザ光を照射し、さらにI行J列の多結晶シリコン層641を形成することで、I行2
J列の多結晶シリコン層641を形成することができる。当該工程を繰り返し行うことで
所望の領域に複数の多結晶シリコン層641を形成することができる。また、折り返して
レーザ照射工程を行う場合は、行方向にJ列分の距離だけ移動させてレーザ照射を行い、
さらに列方向にI行分の距離の移動とレーザ光の照射を繰り返せばよい。
【0343】
なお、レーザ光の発振周波数とステージ615の移動速度を適切に調整すれば、ステージ
615を一方向に移動させながらレーザ照射を行う方法でも、画素ピッチで多結晶シリコ
ン層を形成することができる。
【0344】
レーザビーム627のサイズは、例えば、一つのトランジスタの半導体層全体が含まれる
程度の面積とすることができる。または、一つのトランジスタのチャネル領域全体が含ま
れる程度の面積とすることができる。または、一つのトランジスタのチャネル領域の一部
が含まれる程度の面積とすることができる。これらは、必要とするトランジスタの電気特
性に応じて使い分ければよい。
【0345】
なお、一つの画素に複数のトランジスタを有する表示装置を対象とした場合、レーザビー
ム627は、一つの画素内の各トランジスタの半導体層全体が含まれる程度の面積とする
ことができる。また、レーザビーム627は、複数の画素が有するトランジスタの半導体
層全体が含まれる程度の面積としてもよい。
【0346】
また、
図30(A)に示すように、ミラー622とマイクロレンズアレイ623との間に
マスク624を設けてもよい。マスク624には、各マイクロレンズに対応した複数の開
口部が設けられる。当該開口部の形状はレーザビーム627の形状に反映させることがで
き、
図30(A)のようにマスク624が円形の開口部を有する場合は、円形のレーザビ
ーム627を得ることができる。また、マスク624が矩形の開口部を有する場合は、矩
形のレーザビーム627を得ることができる。マスク624は、例えば、トランジスタの
チャネル領域のみを結晶化させたい場合などに有効である。なお、マスク624は、
図3
0(B)に示すように光学系ユニット621とミラー622との間に設けてもよい。
【0347】
図29(B)は、上記に示した局所的なレーザ照射の工程に用いることのできるレーザ結
晶化装置の主要な構成を説明する斜視図である。レーザ結晶化装置は、X-Yステージの
構成要素である移動機構612、移動機構613およびステージ615を有する。また、
レーザビーム627を成形するためのレーザ発振器620、光学系ユニット621、ミラ
ー622、マイクロレンズアレイ623を有する。
【0348】
移動機構612および移動機構613は、水平方向に往復直線運動をする機能を備える。
移動機構612および移動機構613に動力を与える機構としては、例えば、モータで駆
動するボールネジ機構616などを用いることができる。移動機構612および移動機構
613のそれぞれの移動方向は垂直に交わるため、移動機構613に固定されるステージ
615はX方向およびY方向に自在に移動させることができる。
【0349】
ステージ615は真空吸着機構などの固定機構を有し、基板630などを固定することが
できる。また、ステージ615は、必要に応じて加熱機構を有していてもよい。なお、図
示はしていないが、ステージ615はプッシャーピンおよびその上下機構を有し、基板6
30などを搬出入する際は、基板630などを上下に移動させることができる。
【0350】
レーザ発振器620は、処理の目的に適した波長および強度の光が出力できればよく、パ
ルスレーザが好ましいがCWレーザであってもよい。代表的には、波長351~353n
m(XeF)、308nm(XeCl)などの紫外光を照射できるエキシマレーザを用い
ることができる。または、固体レーザ(YAGレーザ、ファイバーレーザなど)の二倍波
(515nm、532nmなど)または三倍波(343nm、355nmなど)を用いて
もよい。また、レーザ発振器620は複数であってもよい。
【0351】
光学系ユニット621は、例えば、ミラー、ビームエクスパンダ、ビームホモジナイザ等
を有し、レーザ発振器620から出力されるレーザ光625のエネルギーの面内分布を均
一化させつつ伸長させることができる。
【0352】
ミラー622には、例えば、誘電体多層膜ミラーを用いることができ、レーザ光の入射角
が略45°となるように設置する。マイクロレンズアレイ623は、例えば、石英板の上
面または上下面に複数の凸レンズが設けられたような形状とすることができる。
【0353】
以上のレーザ結晶化装置を用いることにより、結晶性のばらつきの少ない多結晶シリコン
層を形成することができる。
【0354】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0355】
(実施の形態7)
本実施の形態では、上記実施の形態において用いることができるOSトランジスタの構成
例について説明する。
【0356】
<トランジスタの構成例>
図31(A)は、トランジスタの構成例を示す上面図である。
図31(B)は、
図31(
A)のX1-X2線断面図であり、
図31(C)はY1-Y2線断面図である。ここでは
、X1-X2線の方向をチャネル長方向と、Y1-Y2線方向をチャネル幅方向と呼称す
る場合がある。
図31(B)は、トランジスタのチャネル長方向の断面構造を示す図であ
り、
図31(C)は、トランジスタのチャネル幅方向の断面構造を示す図である。なお、
デバイス構造を明確にするため、
図31(A)では、一部の構成要素が省略されている。
【0357】
本発明の一態様に係る半導体装置は、絶縁層812乃至820、金属酸化物膜821乃至
824、導電層850乃至853を有する。トランジスタ801は絶縁表面に形成される
。
図31では、トランジスタ801が絶縁層811上に形成される場合を例示している。
トランジスタ801は絶縁層818及び絶縁層819で覆われている。
【0358】
なお、トランジスタ801を構成している絶縁層、金属酸化物膜、導電層等は、単層であ
っても、複数の膜が積層されたものであってもよい。これらの作製には、スパッタリング
法、分子線エピタキシー法(MBE法)、パルスレーザアブレーション法(PLA法)、
CVD法、原子層堆積法(ALD法)などの各種の成膜方法を用いることができる。なお
、CVD法は、プラズマCVD法、熱CVD法、有機金属CVD法などがある。
【0359】
導電層850は、トランジスタ801のゲート電極として機能する領域を有する。導電層
851、導電層852は、ソース電極又はドレイン電極として機能する領域を有する。導
電層853は、バックゲート電極として機能する領域を有する。絶縁層817は、ゲート
電極(フロントゲート電極)側のゲート絶縁層として機能する領域を有し、絶縁層814
乃至絶縁層816の積層で構成される絶縁層は、バックゲート電極側のゲート絶縁層とし
て機能する領域を有する。絶縁層818は層間絶縁層としての機能を有する。絶縁層81
9はバリア層としてとしての機能を有する。
【0360】
金属酸化物膜821乃至824をまとめて酸化物層830と呼ぶ。
図31(B)、
図31
(C)に示すように、酸化物層830は、金属酸化物膜821、金属酸化物膜822、金
属酸化物膜824が順に積層されている領域を有する。また、一対の金属酸化物膜823
は、それぞれ導電層851、導電層852上に位置する。トランジスタ801がオン状態
のとき、チャネル形成領域は酸化物層830のうち主に金属酸化物膜822に形成される
。
【0361】
金属酸化物膜824は、金属酸化物膜821乃至823、導電層851、導電層852を
覆っている。絶縁層817は金属酸化物膜823と導電層850との間に位置する。導電
層851、導電層852はそれぞれ、金属酸化物膜823、金属酸化物膜824、絶縁層
817を介して、導電層850と重なる領域を有する。
【0362】
導電層851及び導電層852は、金属酸化物膜821及び金属酸化物膜822を形成す
るためのハードマスクから作製されている。そのため、導電層851及び導電層852は
、金属酸化物膜821および金属酸化物膜822の側面に接する領域を有していない。例
えば、次のような工程を経て、金属酸化物膜821、822、導電層851、導電層85
2を作製することができる。まず、積層された2層の金属酸化物膜上に導電膜を形成する
。この導電膜を所望の形状に加工(エッチング)して、ハードマスクを形成する。ハード
マスクを用いて、2層の金属酸化物膜の形状を加工し、積層された金属酸化物膜821及
び金属酸化物膜822を形成する。次に、ハードマスクを所望の形状に加工して、導電層
851及び導電層852を形成する。
【0363】
絶縁層811乃至818に用いられる絶縁材料には、窒化アルミニウム、酸化アルミニウ
ム、窒化酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、窒化シリコン、
酸化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム
、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム
、酸化タンタル、アルミニウムシリケートなどがある。絶縁層811乃至818はこれら
の絶縁材料でなる単層又は積層で構成される。絶縁層811乃至818を構成する層は、
複数の絶縁材料を含んでいてもよい。
【0364】
なお、本明細書等において、酸化窒化物とは、酸素の含有量が窒素よりも多い化合物であ
り、窒化酸化物とは、窒素の含有量が酸素よりも多い化合物のことを意味する。
【0365】
酸化物層830の酸素欠損の増加を抑制するため、絶縁層816乃至絶縁層818は、酸
素を含む絶縁層であることが好ましい。絶縁層816乃至絶縁層818は、加熱により酸
素が放出される絶縁膜(以下、「過剰酸素を含む絶縁膜」ともいう)で形成されることが
より好ましい。過剰酸素を含む絶縁膜から酸化物層830に酸素を供給することで、酸化
物層830の酸素欠損を補償することができる。トランジスタ801の信頼性および電気
的特性を向上することができる。
【0366】
過剰酸素を含む絶縁膜とは、TDS(Thermal Desorption Spec
troscopy:昇温脱離ガス分光法)において、膜の表面温度が100℃以上700
℃以下、又は100℃以上500℃以下の範囲における酸素分子の放出量が1.0×10
18[分子/cm3]以上である膜とする。酸素分子の放出量は、3.0×1020分子
/cm3以上であることがより好ましい。
【0367】
過剰酸素を含む絶縁膜は、絶縁膜に酸素を添加する処理を行って形成することができる。
酸素を添加する処理としては、酸素雰囲気下による熱処理、プラズマ処理、又はイオン注
入法、イオンドーピング法、もしくはプラズマイマージョンイオン注入法を用いた処理な
どが挙げられる。酸素を添加するためのガスとしては、16O2もしくは18O2などの
酸素ガス、亜酸化窒素ガス又はオゾンガスなどを用いることができる。
【0368】
酸化物層830の水素濃度の増加を防ぐために、絶縁層812乃至819中の水素濃度を
低減することが好ましい。特に絶縁層813乃至818の水素濃度を低減することが好ま
しい。具体的には、水素濃度は、2×1020atoms/cm3以下であり、好ましく
は5×1019atoms/cm3以下が好ましく、1×1019atoms/cm3以
下がより好ましく、5×1018atoms/cm3以下がさらに好ましい。
【0369】
上掲の水素濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion M
ass Spectrometry)で測定された値である。
【0370】
トランジスタ801において、酸素および水素に対してバリア性をもつ絶縁層(以下、バ
リア層ともいう)によって酸化物層830が包み込まれる構造であることが好ましい。こ
のような構造であることで、酸化物層830から酸素が放出されること、酸化物層830
に水素が侵入することを抑えることができる。トランジスタ801の信頼性、電気的特性
を向上できる。
【0371】
例えば、絶縁層819をバリア層として機能させ、かつ絶縁層811、812、814の
少なくとも1つをバリア層として機能させればよい。バリア層は、酸化アルミニウム、酸
化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イ
ットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化シリコンなどの材料で形成する
ことができる。
【0372】
絶縁層811乃至818の構成例を記す。この例では、絶縁層811、812、815、
819は、それぞれ、バリア層として機能する。絶縁層816乃至818は過剰酸素を含
む酸化物層である。絶縁層811は窒化シリコンであり、絶縁層812は酸化アルミニウ
ムであり、絶縁層813は酸化窒化シリコンである。バックゲート電極側のゲート絶縁層
としての機能を有する絶縁層814乃至816は、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸
化シリコンの積層である。フロントゲート側のゲート絶縁層としての機能を有する絶縁層
817は、酸化窒化シリコンである。層間絶縁層としての機能を有する絶縁層818は、
酸化シリコンである。絶縁層819は酸化アルミニウムである。
【0373】
導電層850乃至853に用いられる導電性材料には、モリブデン、チタン、タンタル、
タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウム等の金属、又は上述
した金属を成分とする金属窒化物(窒化タンタル、窒化チタン、窒化モリブデン、窒化タ
ングステン)等がある。インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物
、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、
酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したイ
ンジウム錫酸化物などの導電性材料を用いることができる。
【0374】
導電層850乃至853の構成例を記す。導電層850は窒化タンタル、又はタングステ
ン単層である。あるいは、導電層850は窒化タンタル、タンタルおよび窒化タンタルで
なる積層である。導電層851は、窒化タンタル単層、又は窒化タンタルとタングステン
との積層である。導電層852の構成は導電層851と同じである。導電層853は窒化
タンタル単層、又は窒化タンタルとタングステンとの積層である。
【0375】
トランジスタ801のオフ電流の低減のために、金属酸化物膜822は、例えば、エネル
ギーギャップが大きいことが好ましい。金属酸化物膜822のエネルギーギャップは、2
.5eV以上4.2eV以下であり、2.8eV以上3.8eV以下が好ましく、3eV
以上3.5eV以下がさらに好ましい。
【0376】
酸化物層830は、結晶性を有することが好ましい。少なくとも、金属酸化物膜822は
結晶性を有することが好ましい。上記構成により、信頼性、および電気的特性の良いトラ
ンジスタ801を実現できる。
【0377】
金属酸化物膜822に適用できる酸化物は、例えば、In-Ga酸化物、In-Zn酸化
物、In-M-Zn酸化物(MはAl、Ga、Y、又はSn)である。金属酸化物膜82
2は、インジウムを含む酸化物層に限定されない。金属酸化物膜822は、例えば、Zn
-Sn酸化物、Ga-Sn酸化物、Zn-Mg酸化物等で形成することができる。金属酸
化物膜821、823、824も、金属酸化物膜822と同様の酸化物で形成することが
できる。特に、金属酸化物膜821、823、824は、それぞれ、Ga酸化物で形成す
ることができる。
【0378】
金属酸化物膜822と金属酸化物膜821の界面に界面準位が形成されると、界面近傍の
領域にもチャネル形成領域が形成されるために、トランジスタ801の閾値電圧が変動し
てしまう。そのため、金属酸化物膜821は、構成要素として、金属酸化物膜822を構
成する金属元素の少なくとも1つを含むことが好ましい。これにより、金属酸化物膜82
2と金属酸化物膜821の界面には、界面準位が形成されにくくなり、トランジスタ80
1の閾値電圧等の電気的特性のばらつきを低減することができる。
【0379】
金属酸化物膜824は、構成要素として、金属酸化物膜822を構成する金属元素の少な
くとも1つを含むことが好ましい。これにより、金属酸化物膜822と金属酸化物膜82
4との界面では、界面散乱が起こりにくくなり、キャリアの動きが阻害されにくくなるの
で、トランジスタ801の電界効果移動度を高くすることができる。
【0380】
金属酸化物膜821乃至824のうち、金属酸化物膜822のキャリア移動度が最も高い
ことが好ましい。これにより、絶縁層816、817から離れている金属酸化物膜822
にチャネルを形成することができる。
【0381】
例えば、In-M-Zn酸化物等のIn含有金属酸化物は、Inの含有率を高めることで
、キャリア移動度を高めることができる。In-M-Zn酸化物では主として重金属のs
軌道がキャリア伝導に寄与しており、インジウムの含有率を多くすることにより、より多
くのs軌道が重なるため、インジウムの含有率が多い酸化物はインジウムの含有率が少な
い酸化物と比較して移動度が高くなる。そのため、金属酸化物膜にインジウムの含有量が
多い酸化物を用いることで、キャリア移動度を高めることができる。
【0382】
そのため、例えば、In-Ga-Zn酸化物で金属酸化物膜822を形成し、Ga酸化物
で金属酸化物膜821、823を形成する。例えば、In-M-Zn酸化物で、金属酸化
物膜821乃至823を形成する場合、金属酸化物膜822のInの含有率を金属酸化物
膜821、823のInの含有率よりも高くする。In-M-Zn酸化物をスパッタリン
グ法で形成する場合、ターゲットの金属元素の原子数比を変えることで、In含有率を変
化させることができる。
【0383】
例えば、金属酸化物膜822の成膜に用いるターゲットの金属元素の原子数比In:M:
Znは、1:1:1、3:1:2、又は4:2:4.1が好ましい。例えば、金属酸化物
膜821、823の成膜に用いるターゲットの金属元素の原子数比In:M:Znは、1
:3:2、又は1:3:4が好ましい。In:M:Zn=4:2:4.1のターゲットで
成膜したIn-M-Zn酸化物の原子数比は、およそIn:M:Zn=4:2:3である
。
【0384】
トランジスタ801に安定した電気的特性を付与するには、酸化物層830の不純物濃度
を低減することが好ましい。金属酸化物において、水素、窒素、炭素、シリコン、および
主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄
与し、キャリア密度を増大させてしまう。また、シリコンおよび炭素は金属酸化物中で不
純物準位の形成に寄与する。不純物準位はトラップとなり、トランジスタの電気的特性を
劣化させることがある。
【0385】
例えば、酸化物層830は、シリコン濃度が2×1018atoms/cm3以下、好ま
しくは、2×1017atoms/cm3以下の領域を有する。酸化物層830の炭素濃
度も同様である。
【0386】
酸化物層830は、アルカリ金属濃度が1×1018atoms/cm3以下の、好まし
くは2×1016atoms/cm3以下の領域を有する。酸化物層830のアルカリ土
類金属の濃度についても同様である。
【0387】
酸化物層830は、水素濃度が1×1020atoms/cm3未満の、好ましくは1×
1019atoms/cm3未満の、より好ましくは5×1018atoms/cm3未
満の、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満の領域を有する。
【0388】
上掲した酸化物層830の不純物濃度は、SIMSにより得られる値である。
【0389】
金属酸化物膜822が酸素欠損を有する場合、酸素欠損のサイトに水素が入り込むことで
ドナー準位を形成することがある。その結果、トランジスタ801のオン電流を低下させ
る要因となる。なお、酸素欠損のサイトは、水素が入るよりも酸素が入る方が安定する。
したがって、金属酸化物膜822中の酸素欠損を低減することで、トランジスタ801の
オン電流を大きくすることができる場合がある。よって、金属酸化物膜822中の水素を
低減することで、酸素欠損のサイトに水素が入りこまないようにすることが、オン電流特
性に有効である。
【0390】
金属酸化物に含まれる水素は、金属原子に結合している酸素と反応して水になるため、酸
素欠損を形成することがある。酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成
されることがある。また、水素の一部が金属原子に結合している酸素と結合して、キャリ
アである電子を生成することがある。金属酸化物膜822にチャネル形成領域が設けられ
るので、金属酸化物膜822に水素が含まれていると、トランジスタ801はノーマリー
オン特性となりやすい。このため、金属酸化物膜822中の水素はできる限り低減されて
いることが好ましい。
【0391】
図31は、酸化物層830が4層構造の例であるが、これに限定されない。例えば、酸化
物層830を金属酸化物膜821又は金属酸化物膜823のない3層構造とすることがで
きる。又は、酸化物層830の任意の層の間、酸化物層830の上、酸化物層830の下
のいずれか二箇所以上に、金属酸化物膜821乃至824と同様の金属酸化物膜を1層又
は複数を設けることができる。
【0392】
図32を参照して、金属酸化物膜821、822、824の積層によって得られる効果を
説明する。
図32は、トランジスタ801のチャネル形成領域のエネルギーバンド構造の
模式図である。
【0393】
図32中、Ec816e、Ec821e、Ec822e、Ec824e、Ec817eは
、それぞれ、絶縁層816、金属酸化物膜821、金属酸化物膜822、金属酸化物膜8
24、絶縁層817の伝導帯下端のエネルギーを示している。
【0394】
ここで、真空準位と伝導帯下端のエネルギーとの差(「電子親和力」ともいう)は、真空
準位と価電子帯上端のエネルギーとの差(イオン化ポテンシャルともいう)からエネルギ
ーギャップを引いた値となる。なお、エネルギーギャップは、分光エリプソメータ(HO
RIBA JOBIN YVON社 UT-300)を用いて測定できる。また、真空準
位と価電子帯上端のエネルギー差は、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultravio
let Photoelectron Spectroscopy)装置(PHI社 V
ersaProbe)を用いて測定できる。
【0395】
絶縁層816、817は絶縁体であるため、Ec816eとEc817eは、Ec821
e、Ec822e、およびEc824eよりも真空準位に近い(電子親和力が小さい)。
【0396】
金属酸化物膜822は、金属酸化物膜821、824よりも電子親和力が大きい。例えば
、金属酸化物膜822と金属酸化物膜821との電子親和力の差、および金属酸化物膜8
22と金属酸化物膜824との電子親和力の差は、それぞれ、0.07eV以上1.3e
V以下である。電子親和力の差は、0.1eV以上0.7eV以下が好ましく、0.15
eV以上0.4eV以下がさらに好ましい。なお、電子親和力は、真空準位と伝導帯下端
のエネルギーとの差である。
【0397】
トランジスタ801のゲート電極(導電層850)に電圧を印加すると、金属酸化物膜8
21、金属酸化物膜822、金属酸化物膜824のうち、電子親和力が大きい金属酸化物
膜822に主にチャネルが形成される。
【0398】
インジウムガリウム酸化物は、小さい電子親和力と、高い酸素ブロック性を有する。その
ため、金属酸化物膜824がインジウムガリウム酸化物を含むと好ましい。ガリウム原子
割合[Ga/(In+Ga)]は、例えば、70%以上、好ましくは80%以上、さらに
好ましくは90%以上とする。
【0399】
また、金属酸化物膜821と金属酸化物膜822との間には金属酸化物膜821と金属酸
化物膜822の混合領域が存在する場合がある。また、金属酸化物膜824と金属酸化物
膜822との間には金属酸化物膜824と金属酸化物膜822の混合領域が存在する場合
がある。混合領域は、界面準位密度が低くなるため、金属酸化物膜821、822、82
4の積層されている領域は、それぞれの界面近傍においてエネルギーが連続的に変化する
(連続接合ともいう)バンド構造となる。
【0400】
このようなエネルギーバンド構造を有する酸化物層830において、電子は主に金属酸化
物膜822を移動することになる。そのため、金属酸化物膜821と絶縁層816との界
面に、又は、金属酸化物膜824と絶縁層817との界面に準位が存在したとしても、こ
れらの界面準位により、酸化物層830中を移動する電子の移動が阻害されにくくなるた
め、トランジスタ801のオン電流を高くすることができる。
【0401】
また、
図32に示すように、金属酸化物膜821と絶縁層816の界面近傍、および金属
酸化物膜824と絶縁層817の界面近傍には、それぞれ、不純物や欠陥に起因したトラ
ップ準位Et826e、Et827eが形成され得るものの、金属酸化物膜821、82
4があることにより、金属酸化物膜822とトラップ準位Et826e、Et827eと
を遠ざけることができる。
【0402】
なお、Ec821eとEc822eとの差が小さい場合、金属酸化物膜822の電子が該
エネルギー差を越えてトラップ準位Et826eに達することがある。トラップ準位Et
826eに電子が捕獲されることで、絶縁膜の界面にマイナスの固定電荷が生じ、トラン
ジスタの閾値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。Ec822eとEc824eとのエ
ネルギー差が小さい場合も同様である。
【0403】
トランジスタ801の閾値電圧の変動が低減され、トランジスタ801の電気的特性を良
好なものとするため、Ec821eとEc822eとの差、Ec824eとEc822e
と差を、それぞれ0.1eV以上とすることが好ましく、0.15eV以上とすることが
より好ましい。
【0404】
なお、トランジスタ801はバックゲート電極を有さない構造とすることもできる。
【0405】
<積層構造の例>
次に、OSトランジスタと他のトランジスタの積層によって構成される半導体装置の構造
について説明する。以下で説明する構造は、
図12乃至
図14におけるレジスタ200な
どに適用することができる。例えば、
図14におけるトランジスタM22、M25として
トランジスタTr100を用い、
図14におけるトランジスタM21、M24としてトラ
ンジスタTr200を用いることができる。
【0406】
図33に、SiトランジスタであるトランジスタTr100と、OSトランジスタである
Tr200と、容量素子C100と、が積層された半導体装置860の積層構造の例を示
す。
【0407】
半導体装置860は、CMOS層871、配線層W1乃至W5、トランジスタ層872、
配線層W6、W7の積層で構成されている。
【0408】
CMOS層871には、トランジスタTr100が設けられている。トランジスタTr1
00のチャネル形成領域は、単結晶シリコンウエハ870に設けられている。トランジス
タTr100のゲート電極873は、配線層W1乃至W5を介して、容量素子C100の
一方の電極875と接続されている。
【0409】
トランジスタ層872には、トランジスタTr200が設けられている。
図33では、ト
ランジスタTr200がトランジスタ801(
図31)と同様の構造を有する。トランジ
スタTr200のソース又はドレインの一方に相当する電極874は、容量素子C100
の一方の電極875と接続されている。なお、
図33には、トランジスタTr200がバ
ックゲート電極を配線層W
5に有する場合を例示している。また、配線層W
6には、容量
素子C100が設けられている。
【0410】
以上のように、OSトランジスタとその他の素子を積層することにより、回路の面積を縮
小することができる。
【0411】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0412】
(実施の形態8)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明したOSトランジスタに用いることができる、
金属酸化物について説明する。以下では特に、金属酸化物とCAC(Cloud-Ali
gned Composite)-OSの詳細について説明する。
【0413】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、材料の一部では導電性の機能と
、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。
なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタのチャネル
形成領域に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(またはホール)を流す機
能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と
、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(O
n/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与す
ることができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞ
れの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0414】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性
領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性
の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベ
ルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に
偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察され
る場合がある。
【0415】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶
縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm
以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0416】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを
有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxi
deは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナ
ローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に
、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップ
を有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有す
る成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記C
AC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に
用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、
及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0417】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材
(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal
matrix composite)と呼称することもできる。
【0418】
CAC-OSは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、
好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成で
ある。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し
、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2
nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともい
う。
【0419】
なお、金属酸化物は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウムおよ
び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イット
リウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲル
マニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タ
ンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含ま
れていてもよい。
【0420】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-G
a-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物
(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸
化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)
とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする
。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、および
Z4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状とな
り、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した
構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0421】
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、
またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物で
ある。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が
、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2
の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0422】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場
合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(
1+x0)Ga(1-x0)O3(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表
される結晶性の化合物が挙げられる。
【0423】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC(c-axis al
igned crystal)構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZO
のナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面においては配向せずに連結した結晶構造であ
る。
【0424】
一方、CAC-OSは、金属酸化物の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、Ga
、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察
される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモ
ザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC-OSにおいて、結晶構
造は副次的な要素である。
【0425】
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。
例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含ま
ない。
【0426】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が
主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0427】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム
、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン
、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネ
シウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部
に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とする
ナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成を
いう。
【0428】
CAC-OSは、例えば基板を意図的に加熱しない条件で、スパッタリング法により形成
することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスと
して、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたい
ずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガ
スの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好まし
くは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0429】
CAC-OSは、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定法のひ
とつであるOut-of-plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに
、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折から、測定領域
のa-b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0430】
またCAC-OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照
射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域と、該リ
ング領域に複数の輝点が観測される。従って、電子線回折パターンから、CAC-OSの
結晶構造が、平面方向、および断面方向において、配向性を有さないnc(nano-c
rystal)構造を有することがわかる。
【0431】
また例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線
分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectros
copy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と
、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合し
ている構造を有することが確認できる。
【0432】
CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IG
ZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分で
ある領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互い
に相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0433】
ここで、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、GaOX3
などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY
2OZ2、またはInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、酸化
物半導体としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2OZ2、またはInOX
1が主成分である領域が、酸化物半導体中にクラウド状に分布することで、高い電界効果
移動度(μ)が実現できる。
【0434】
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX
1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが
主成分である領域が、酸化物半導体中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なス
イッチング動作を実現できる。
【0435】
従って、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、
InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用するこ
とにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することが
できる。
【0436】
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、さ
まざまな半導体装置に最適である。
【0437】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【0438】
(実施の形態9)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、図面を参照して説明する。
【0439】
以下で例示する電子機器には、上記実施の形態で説明した表示システムを搭載することが
できる。これにより、高品質な映像を表示可能な電子機器を提供することができる。
【0440】
本発明の一態様の電子機器の表示部には、例えばフルハイビジョン、2K、4K、8K、
16K、またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。また、表示部
の画面サイズとしては、対角20インチ以上、または対角30インチ以上、または対角5
0インチ以上、対角60インチ以上、または対角70インチ以上とすることもできる。
【0441】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパー
ソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digita
l Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画
面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレ
ーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0442】
本発明の一態様の電子機器は、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、または、自動車の
内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。
【0443】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信する
ことで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及
び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0444】
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数
、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、
放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有
していてもよい。
【0445】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(
静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレン
ダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行す
る機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機
能等を有することができる。
【0446】
図34(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体71
01に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体71
01を支持した構成を示している。
【0447】
表示部7000に、本発明の一態様の表示システムまたは半導体装置を適用することがで
きる。
【0448】
図34(A)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイ
ッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部700
0にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることで操作しても
よい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示
する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチ
パネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示され
る映像を操作することができる。
【0449】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機
により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無
線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双
方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能であ
る。
【0450】
図34(B)に、ノート型パーソナルコンピュータ7200を示す。ノート型パーソナル
コンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス
7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み
込まれている。
【0451】
表示部7000に、本発明の一態様の表示システムまたは半導体装置を適用することがで
きる。
【0452】
図34(C)、(D)に、デジタルサイネージの一例を示す。
【0453】
図34(C)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及
びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、また
は操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができ
る。
【0454】
また、
図34(D)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400
である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7
000を有する。
【0455】
図34(C)、(D)において、表示部7000に、本発明の一態様の表示システムまた
は半導体装置を適用することができる。
【0456】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示
部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることがで
きる。
【0457】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表
示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報も
しくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作により
ユーザビリティを高めることができる。
【0458】
また、
図34(C)、(D)に示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタル
サイネージ7400は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311また
は情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部
7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画
面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操
作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0459】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7
311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行
させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽し
むことができる。
【0460】
本実施の形態は、他の実施の形態の記載と適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0461】
10 表示システム
20 表示部
21 画素部
22 駆動回路
23 駆動回路
24 タイミングコントローラ
30 信号生成部
31 フロントエンド部
32 デコーダ
33 画像処理回路
34 受信部
35 インターフェース
36 制御回路
40 補正回路
41 エンコーダ
42 デコーダ
50 演算処理装置
51 領域
52 画素
53 駆動回路
54 駆動回路
130 積和演算素子
131 乗算素子
132 CM
133 加算素子
134 活性化関数素子
135 CM
140 プログラマブルスイッチ
141 演算層
142 スイッチ層
160 スイッチ
161 CM
162 スイッチ
200 レジスタ
210 スキャンチェーンレジスタ部
211 レジスタ
212 セレクタ
213 フリップフロップ回路
214 保持回路
215 メモリ回路
216 メモリ回路
220 レジスタ部
221 レジスタ
222 ラッチ回路
223 MUX
300 表示装置
301 基板
310 表示部
311 画素
321 TABテープ
322 集積回路
331 プリント基板
332 TABテープ
333 集積回路
350 表示装置
351 表示パネル
352 画素部
353 駆動回路
354 駆動回路
355 画素
360 FPC
370 表示領域
400 表示装置
411 基板
412 基板
420 液晶素子
421 導電層
422 液晶層
423 導電層
424 配向膜
426 絶縁層
430 トランジスタ
431 導電層
432 半導体層
433 導電層
434 絶縁層
435 不純物半導体層
437 半導体層
438 接続部
439 偏光板
441 着色層
442 遮光層
460 容量素子
481 絶縁層
482 絶縁層
483 絶縁層
484 絶縁層
485 絶縁層
486 導電層
487 導電層
488 絶縁層
490 バックライトユニット
612 移動機構
613 移動機構
615 ステージ
616 ボールネジ機構
620 レーザ発振器
621 光学系ユニット
622 ミラー
623 マイクロレンズアレイ
624 マスク
625 レーザ光
626 レーザ光
627 レーザビーム
630 基板
640 非晶質シリコン層
641 多結晶シリコン層
801 トランジスタ
811 絶縁層
812 絶縁層
813 絶縁層
814 絶縁層
815 絶縁層
816 絶縁層
817 絶縁層
818 絶縁層
819 絶縁層
820 絶縁層
821 金属酸化物膜
822 金属酸化物膜
823 金属酸化物膜
824 金属酸化物膜
830 酸化物層
850 導電層
851 導電層
852 導電層
853 導電層
860 半導体装置
870 単結晶シリコンウエハ
871 CMOS層
872 トランジスタ層
873 ゲート電極
874 電極
875 電極
940 表示領域
7000 表示部
7100 テレビジョン装置
7101 筐体
7103 スタンド
7111 リモコン操作機
7200 ノート型パーソナルコンピュータ
7211 筐体
7212 キーボード
7213 ポインティングデバイス
7214 外部接続ポート
7300 デジタルサイネージ
7301 筐体
7303 スピーカ
7311 情報端末機
7400 デジタルサイネージ
7401 柱
7411 情報端末機