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特開2023-156510広帯域位相勾配信号取得のための方法および装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156510
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】広帯域位相勾配信号取得のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/305 20210101AFI20231017BHJP
   A61B 5/308 20210101ALI20231017BHJP
   A61B 5/33 20210101ALI20231017BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20231017BHJP
【FI】
A61B5/305
A61B5/308
A61B5/33 200
A61B5/1455
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023136226
(22)【出願日】2023-08-24
(62)【分割の表示】P 2022010805の分割
【原出願日】2018-03-02
(31)【優先権主張番号】62/466,322
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517099409
【氏名又は名称】アナリティクス フォー ライフ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サニー グプタ
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン パピロフ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン ウー
(57)【要約】
【課題】広帯域位相勾配信号取得のための方法および装置の提供。
【解決手段】本開示は、同時にサンプリングされる、差動的に取得される広帯域位相勾配信号(例えば、広帯域心臓位相勾配信号、広帯域脳位相勾配信号)の捕捉(例えば、双極捕捉)を促進する。着目すべきこととして、例示されるシステムは、その中の情報に影響を及ぼさないように、位相空間ドメイン内の広帯域位相勾配信号の分析に非確定的に影響を及ぼし得る、取得された広帯域位相勾配信号内の非線形歪曲(例えば、位相歪曲等のあるフィルタを介して導入され得るもの)を最小限にする。さらに、遮蔽駆動回路および遮蔽駆動電圧面が、取得システムの低雑音および低干渉の動作を促進するために使用され得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
前記装置は、複数の生体信号取得チャネルを備え、各生体信号取得チャネルは、アンチエイリアス回路と利得増幅器とを備え、非線形歪曲を導入する可能性があるフィルタまたはその他の構成要素は存在せず、前記利得増幅器は、各入力に対する双極感知によって、患者上に設置されている一対の関連付けられた表面電極から受信される複数の差動生体電位信号を増幅することにより、差動広帯域心臓位相勾配信号を生成するように構成されており、
前記複数の生体信号取得チャネルの各出力は、アナログ/デジタル変換回路にフィードし、前記アナログ/デジタル変換回路は、前記複数の生体信号取得チャネルのそれぞれを同時にサンプリングすることにより、差動広帯域心臓位相勾配信号データセットを生成し、
前記増幅された差動広帯域心臓位相勾配信号データセットまたはその一部は、第1の生体信号取得チャネルおよび第2の生体信号取得チャネルの生体電位信号と同時に取得された酸素飽和読取値に関連付けられたデータセットと共に、広帯域の周波数にわたって前記差動広帯域心臓位相勾配信号データセットの位相に関連付けられた分析において分析されることにより、報告および/または表示において出力データセットを生成し、前記出力データセットは、心臓疾患の診断において用いられる、装置。
【請求項2】
前記アンチエイリアス回路は、前記複数の取得チャネルのうちの2つからの2つの抵抗器とコンデンサとを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各生体信号取得チャネルは、高周波数雑音を抑制するように構成されているフェライトビーズをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置は、前記患者内を流動する環境雑音電流をシャントさせるように、電位を介して前記患者を能動的に駆動する電位バイアス回路をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、前記患者内を流動する環境雑音電流をシャントさせるように、一定の正電位を介して前記患者を能動的に駆動する電位バイアス回路を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、前記患者内を流動する環境雑音電流をシャントさせるように、一定の負電位に前記患者を能動的に駆動する電位バイアス回路を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記電位バイアス回路は、
波形発生器と、
前記患者内を流動する環境雑音電流をシャントさせるように、前記患者を交流電位に能動的に駆動するように前記波形発生器に結合する駆動回路と
を備える、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記電位バイアス回路は、前記患者上に設置されている前記表面電極のうちの1つ以上に関連付けられたDCバイアス値よりも大きい最小の大きさを有する交流電位を介して、前記患者を能動的に駆動する、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、前記患者内を流動する環境雑音電流をシャントさせるように、電位を介して前記患者を能動的に駆動する電位バイアス回路を備え、可変電位の実質的部分は、負である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
1つ以上の対応する表面電極で終端する1つ以上のケーブルを結合するように構成されているコネクタを備える端子ブロックであって、前記1つ以上のケーブルのそれぞれは、所与の表面電極から受信される所与の生体電位信号を搬送する1つ以上の信号ワイヤをカプセル化する遮蔽層を備える、端子ブロックと、
前記電位バイアス回路の電位を印加するように前記1つ以上のケーブルのそれぞれに対して遮蔽層に結合されている出力を有する雑音除去回路と
を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
1つ以上のケーブルに結合するように構成されている1つ以上のコネクタを備える端子ブロックであって、前記1つ以上のケーブルのそれぞれは、所与の表面電極に関連付けられており、前記1つ以上のケーブルのそれぞれは、前記所与の表面電極から受信される所与の生体電位信号を搬送する1つ以上の信号ワイヤをカプセル化する遮蔽層を備える、端子ブロックと、
前記1つ以上の信号ワイヤにわたって搬送される前記所与の生体電位信号を受信する入力を有する雑音除去回路であって、前記除去回路は、前記受信された生体電位信号に対応する電位を印加するように、前記1つ以上のコネクタを通して、前記1つ以上のケーブルのそれぞれに対して前記遮蔽層に結合する出力を有する、雑音除去回路と
を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記複数の生体電位チャネルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12から成る群から選択される数のチャネルを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の生体電位チャネルは、3つの差動チャネルを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、複数のアナログ/デジタル回路をさらに備え、前記複数のアナログ/デジタル回路のそれぞれは、生体信号取得チャネルに対応し、各生体信号取得チャネルの各出力は、対応するアナログ/デジタル回路にフィードし、前記アナログ/デジタル回路は、同時にサンプリングすることにより、複数の差動広帯域心臓位相勾配信号データセットを生成し、各信号データセットは、所与の差動広帯域心臓位相勾配信号に関連付けられている、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記利得増幅器および前記複数のアナログ/デジタル回路は、同一の集積回路の一部である、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2017年3月2日に出願され“Method and Apparatus for Wide-Phase Gradient Signal Acquisition”と題された米国仮出願第62/466,322号に対する優先権およびその利益を主張するものであり、該米国仮出願は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
本開示は、概して、非侵襲的に心臓機能等の身体の機能を推定するため、および疾患を正確に示し、区別するために(例えば、疾患の存在または非存在を予測するために)使用される、広帯域位相勾配信号を差動的に取得する、生体信号取得装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の心電図器具は、心臓の電気活動に関連する生体電位信号等の生体信号を取得および記録するように構成される。従来、そのような器具によって収集される総信号の大部分は、生物学的情報を欠いていると考えられると認められている。しかしながら、人体から放出される生理学的信号の完全スペクトル内には、疾患を正確に示し、区別するために使用され得る情報が隠されている。
【0004】
これらの情報は、従来の心電図器具の雑音床に匹敵する、またはそれより低い信号電力を有する、生理学的信号内で捕捉され得るため、そのような情報は、これらの器具の測定された信号から抽出することが困難である、または判別不能である。いくつかの事例では、着目信号は、数マイクロボルト、他の事例では、さらにより小さい桁数を有する。そのようなレベルでは、人工無線周波数伝送等の外部エネルギー源からの干渉および自然に生じるもの、および測定器具自体の内部回路からのものが、そのような情報の取得および記録に影響を及ぼし得る。
【0005】
必要とされるものは、そのうちのいくつかが上記に説明される、本技術分野における課題を克服する、デバイス、システム、および方法である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、いくつかの実施形態では、約1μs未満のチャネル間の時間スキューを有して、他の実施形態では、約10フェムト秒を上回らない時間スキューを有して同時にサンプリングされる、差動的に取得された広帯域位相勾配信号(例えば、広帯域心臓位相勾配信号、広帯域脳位相勾配信号)の捕捉(例えば、双極捕捉)を促進する。着目すべきこととして、例示されるシステムは、その中の情報に影響を及ぼさないように、位相空間ドメイン内の広帯域位相勾配信号の分析に非確定的に影響を及ぼし得る、取得された広帯域位相勾配信号内の非線形歪曲(例えば、位相歪曲等のあるフィルタを介して導入され得るもの)を最小限にする。
【0007】
双極捕捉動作は、差動測定における使用のために、フィルタ処理(例えば、低周波数フィルタ処理)の必要性を低減させる、または排除するように、差動測定入力のダイナミックレンジを増加させ、それによって、そのようなフィルタ処理と関連付けられる付加的ハードウェア回路から導入され得る、電位非線形歪曲をさらに最小限にすることによって、取得された広帯域位相勾配信号の取得を改良する。差動測定の双極捕捉動作はまた、単一の増幅器の使用を介して、コモンモード雑音低減が、抵抗器およびコンデンサの公差および増幅器(例えば、オペアンプ)の対称性に基づく、単極信号を捕捉する一対の増幅器と比較して、コモンモード雑音を低減させる、または排除する。
【0008】
さらに、遮蔽駆動回路および遮蔽駆動電圧面が、取得システムの低雑音および低干渉の動作を促進するために使用され得る。いくつかの実施形態では、取得システムは、10μVよりも良好な雑音性能を有する。
【0009】
ある側面では、装置(例えば、生体信号取得器具(「BSA器具」))が、開示される。本装置は、各生体信号取得チャネルが、(差動入力対の)入力毎に双極感知によって、患者(ヒトおよび試験動物等の哺乳類を含む)上に設置される一対の関連付けられた表面電極から受信される生体電位信号を差動的に増幅させ、差動的に取得される広帯域位相勾配信号(例えば、差動広帯域心臓勾配信号)を発生させるように構成される、利得増幅器を備える、複数の生体信号取得チャネル(例えば、3つのチャネル)を含み、各差動生体電位信号は、約1kHzを上回る発生された差動広帯域心臓位相勾配信号内の歪曲を生じさせるフィルタ処理を伴わずに増幅され、生体信号取得チャネルの各出力は、(例えば、約1μs未満のチャネル間の時間スキューを有して、または約10フェムト秒を上回らない時間スキューを有して)生体信号取得チャネルのそれぞれ(例えば、約10KHzを上回る、例えば、約40Khz、約80KHz、約500Khz、またはそれを上回る高いサンプリング周波数を有する)を同時にサンプリングし、差動広帯域心臓位相勾配信号データストリームを発生させる、アナログ/デジタル変換回路にフィードする。
【0010】
いくつかの実施形態では、本装置はさらに、患者にわたって、またはその中で流動する環境雑音電流をシャントさせるように、可変電位を患者に能動的に印加する、電位バイアス回路を含む。いくつかの実施形態では、電位バイアス回路は、一定の正電位を患者に印加する。いくつかの実施形態では、電位バイアス回路は、患者を一定の負電位に駆動する。いくつかの実施形態では、電位バイアス回路は、患者を可変電位に駆動する。
【0011】
いくつかの実施形態では、本装置は、患者にわたって、またはその中で流動する環境雑音電流をシャントさせるように、電位(例えば、一定電位、例えば、約1.5VDCまたは約-1.5VAC_rms変動する可変電位)を患者に能動的に印加する、電位バイアス回路を含む。いくつかの実施形態では、印加される可変電位は、約2.0VAC_rms、約1.8VAC_rms、約1.6VAC_rms、約1.4VAC_rms、約1.2VAC_rms、約1.0VAC_rms、約0.8VAC_rms、約0.6VAC_rms、約0.4VAC_rms、約0.2VAC_rms、約-0.2VAC_rms、約-0.4VAC_rms、約-0.6VAC_rms、約-0.8VAC_rms、約-1.0VAC_rms、約-1.2VAC_rms、約-1.4VAC_rms、約-1.6VAC_rms、約-1.8VAC_rms、および約-2.0VAC_rmsの値を有する。いくつかの実施形態では、印加される電位は、約+0.5VDC、約+1.0VDC、約+1.5VDC、約+2.0VDC、+2.5VDC、約+3.0VDC、約+3.5VDC、約+4.0VDC、約+4.5VDC、約+5.0VDC、約-0.5VDC、約-1.0VDC、約-1.5VDC、約-2.0VDC、-2.5VDC、約-3.0VDC、約-3.5VDC、約-4.0VDC、約-4.5VDC、約-5.0VDCの値を有する。
【0012】
いくつかの実施形態では、電位バイアス回路は、波形発生器(例えば、構成可能波形発生器)と、波形発生器に結合し、患者内を流動する環境雑音電流をシャントさせるように、交流電位(例えば、約-1.0VDC~約-2.0VDCまたは約+1.0~約+2.0VDC)を患者に能動的に印加する、駆動回路(例えば、コモンモード増幅器)とを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、電位バイアス回路は、患者上に設置される表面電極のうちの1つ以上のものと関連付けられるDCバイアス値を上回る最小の大きさを有する、交流電位を能動的に印加する(例えば、1つ以上の表面電極は、半電池電位を有する)。
【0014】
いくつかの実施形態では、本装置は、患者上または内で流動する環境雑音電流をシャントさせるように、可変電位を患者に能動的に印加する、電位バイアス回路を含み、可変電位の実質的部分(例えば、約75%を上回る)は、負である。
【0015】
いくつかの実施形態では、本装置は、患者上または内で流動する環境雑音電流をシャントさせるように、一定電位を患者に能動的に印加する、電位バイアス回路を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本装置は、所与の表面電極と関連付けられるケーブルに結合するように構成される、少なくとも1つのコネクタを備える、(例えば、所与のケーブルのための)端子ブロックであって、ケーブルは、所与の表面電極から受信される所与の生体電位信号を搬送する1つ以上の信号ワイヤをカプセル化する、遮蔽層(例えば、遮蔽層は、表面電極で終端しない、またはそこに接続しない)を備える、端子ブロックと、電位バイアス回路の電位をケーブルの遮蔽層およびケーブル遮蔽駆動電圧面に印加し、遮蔽層上で誘発される雑音の多い電流のための帰還パスを可能にする、雑音除去回路(例えば、ユニティ利得増幅器)とを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本装置は、それぞれ個々に、表面電極と関連付けられたケーブルの遮蔽体に結合する、1つ以上の端子ブロックと、投入された信号がケーブル内で搬送される信号に略合致する(例えば、少なくとも約90%以内)ように、ケーブル内で搬送される信号をケーブルの遮蔽体に投入する、遮蔽等化回路とを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、生体信号取得チャネルのそれぞれの利得増幅器は、それぞれが所与の表面電極と関連付けられるケーブルを結合する、複数のコネクタを備える、(例えば、所与のケーブルのための)端子ブロックに直接結合する。
【0019】
いくつかの実施形態では、生体信号取得チャネルはそれぞれ、アナログ/デジタル回路を用いて、約0.3μV/ビットを上回る測定分解能を提供する利得を伴って、受信された生体電位信号を増幅させるように構成される、利得増幅器を備える(例えば、アナログ/デジタル回路は、少なくとも約12ビットのビット分解能を提供する)。
【0020】
いくつかの実施形態では、利得増幅器は、単一電圧源(例えば、約+1.5VDC、約+3VDC、約+3.3VDC、約+5VDC、約+12VDC、および約+15VDC、約-1.5VDC、約-3VDC、約-3.3VDC、約-5VDC、約-12VDC、および約-15VDC)によって給電される。
【0021】
いくつかの実施形態では、生体電位チャネルは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12から成る群から選択されたチャネルの数を備える(例えば、ケーブルおよび表面電極の数は、チャネルの数+1の2分の1、例えば、コモンモード基準ケーブルおよび表面電極に対応する)。
【0022】
いくつかの実施形態では、各生体信号取得チャネルのアナログ/デジタル回路は、約2マイクロボルト(μV)/ビット未満の分解能および約5,000ヘルツを上回るレートで、少なくとも約5ミリボルト(mV)の事前に定義された電圧範囲にわたって広帯域心臓位相勾配信号をサンプリングするように構成され、生体信号取得チャネルは、1マイクロ秒(μs)未満のチャネル間の時間スキューを伴って同時にサンプリングされ、各生体信号取得チャネルは、約15dBを上回る(例えば、20dBを上回る)信号対雑音比を備える。
【0023】
いくつかの実施形態では、各生体信号取得チャネルは、電極筐体内の所与の表面電極に直接結合する、利得増幅器回路(例えば、利得増幅器回路基板またはフレックス回路)を備える。
【0024】
いくつかの実施形態では、所与の電極筐体と関連付けられる各利得増幅器回路は、第2の筐体内に位置する対応するアナログ/デジタル回路にフィードし、第2の筐体は、ケーブルを介して、所与の電極筐体に接続される。
【0025】
いくつかの実施形態では、本装置はさらに、生体信号取得チャネルにそれぞれ対応する、複数のアナログ/デジタル回路を備え、各生体信号取得チャネルの各出力は、対応するアナログ/デジタル回路にフィードし、アナログ/デジタル回路は、同時にサンプリングし、所与の差動広帯域心臓位相勾配信号とそれぞれ関連付けられる複数の広帯域心臓位相勾配信号データストリームを発生させる。
【0026】
別の側面では、広帯域心臓位相勾配信号データを発生させる方法が、開示される。本方法は、患者上にそれぞれ設置される複数の表面電極から受信される、取得された生体電位信号を差動的に増幅させ(例えば、利得増幅器回路)、広帯域心臓位相勾配信号を発生させるステップであって、各差動生体電位信号は、約1kHzを上回る発生された差動広帯域心臓位相勾配信号内の歪曲を生じさせるフィルタ処理を伴わずに増幅され、対合差動入力の各入力は、双極感知のために構成される、ステップと、50Khzを上回るサンプリング周波数で、増幅された差動広帯域心臓位相勾配信号のそれぞれを同時にサンプリングし(例えば、ADコンバータ)、差動広帯域心臓位相勾配信号データストリームを発生させるステップであって、増幅された差動広帯域心臓位相勾配信号は、増幅された広帯域心臓位相勾配信号のそれぞれの間に1μs未満の時間スキューを有するように、同時にサンプリングされる、ステップとを含む。
【0027】
別の側面では、信号取得基板が開示される。信号取得基板は、基準接地面としての役割を果たす、第1の層と、ケーブル駆動電圧面としての役割を果たす(例えば、約+1.5Vの電位を有する)、第1の層と同一平面上にある第2の層と、実質的にそれを通して、かつ第2の層と一致し、同一平面上にある1つ以上の領域を横断して延設する、一対の伝導性トレース(例えば、低インピーダンストレース)を有する、1つ以上の信号層であって、一対の伝導性トレースは、多層プリント回路に直接的にまたは間接的に添着されるコネクタを横断して、少なくとも2つの信号搬送導体の端部を、多層プリント回路の表面上に搭載されるアナログ/デジタル変換および増幅段の差動入力ピンに電気的に結合し、少なくとも2つの信号搬送導体のうちの第1の信号搬送導体は、第1のケーブルと関連付けられ、少なくとも2つの信号搬送導体のうちの第2の信号搬送導体は、第2のケーブルと関連付けられる、1つ以上の信号層とを備える、多層プリント回路基板を含み、第2の層は、第1の外側導体および第2の外側導体の電位をケーブル駆動電圧面のものに駆動するように、少なくとも1つのコネクタにわたって、i)第1のケーブルの外側遮蔽体としての役割を果たす第1の外側導体、およびii)第2のケーブルの外側遮蔽体としての役割を果たす第2の外側導体を電気的に結合する。
【0028】
いくつかの実施形態では、第1のケーブルおよび第2のケーブルは、単一のケーブルピンコネクタにおいて終端し、単一のケーブルピンコネクタは、信号取得基板のコネクタに解放可能に噛合するように構成される結合要素を有する。
【0029】
いくつかの実施形態では、一対の伝導性トレースは、一対の伝導性トレースのうちの各伝導性トレースの実質的な長さが相互と略平行であるように、1つ以上の信号層のうちの信号層の同一のセット上に、相互に近接近して配列される。
【0030】
いくつかの実施形態では、一対の伝導性トレースのうちの各伝導性トレースは、長さを有し、相互と実質的に類似するインピーダンス特性を有するように、同数のビアを有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、一対の伝導性トレースのうちの各伝導性トレースは、コネクタの個別のピンとアナログ/デジタル変換回路の個別の差動入力ピンとの間に配列されるインピーダンス要素(例えば、単一の10kΩ抵抗器)を含み、一対の伝導性トレースは、インピーダンス要素とアンチエイリアスフィルタを形成するように、その間に結合される静電容量要素を有する。
【0032】
いくつかの実施形態では、多層プリント回路基板はさらに、接地遮蔽ケージとしての役割を果たす伝導性筐体を備え、伝導性筐体は、一対の伝導性トレースの実質的部分をカプセル化するように、第2の層の一部に跨架し、伝導性筐体は、多層プリント回路の表面に添着され、基準接地面に電気的に結合される。
【0033】
いくつかの実施形態では、アナログ/デジタル変換および増幅段は、内蔵プログラマブル利得増幅器(PGA)を伴う1つ以上のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)を有する、単一の集積回路を備える。
【0034】
いくつかの実施形態では、一対の伝導性トレースのためのアナログ/デジタル変換および増幅段は、増幅器回路に結合されるアナログ/デジタルコンバータ(ADC)集積回路を備える。
【0035】
いくつかの実施形態では、多層プリント回路基板はさらに、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサに結合される1つ以上のメモリ構成要素とを備え、1つ以上のプロセッサおよび1つ以上のメモリ構成要素は、第2の層のケーブル駆動電圧面と一致または重複しない、多層プリント回路の表面の一部の上に配列される。
【0036】
いくつかの実施形態では、一対の伝導性トレースは、信号取得基板の第1の差動入力チャネルの一部を形成する。
【0037】
いくつかの実施形態では、請求項の信号取得基板はさらに、第2の差動入力チャネルと、第3の差動入力チャネルとを備え、第2の差動入力チャネルおよび第3の差動入力チャネルはそれぞれ、第2の層のケーブル駆動電圧面と一致し、同一平面上にある1つ以上の領域を横断して、実質的に1つ以上の信号層を通して延設する、一対の伝導性トレースを備え、第2の差動入力チャネルおよび第3の差動入力チャネルはそれぞれ、少なくとも1つの信号搬送導体と、信号搬送導体の外側遮蔽体としての役割を果たす外側導体とを有する、一対のケーブルに接続し、ケーブル駆動電圧面は、外側導体の電位をケーブル駆動電圧面のものに駆動するように、少なくとも1つのコネクタにわたって、一対のケーブルの外側導体に電気的に結合する。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
装置であって、
複数の生体信号取得チャネルであって、各生体信号取得チャネルは、利得増幅器を備え、前記利得増幅器は、入力毎に双極感知によって、患者上に設置される一対の関連付けられた表面電極から受信される差動生体電位信号を増幅させ、差動広帯域心臓位相勾配信号を発生させるように構成され、各差動生体電位信号は、1kHzを上回る前記発生された広帯域心臓位相勾配信号内の歪曲を生じさせるフィルタ処理を伴わずに増幅され、前記生体信号取得チャネルの各出力は、生体信号取得チャネルのそれぞれを同時にサンプリングし、差動広帯域心臓位相勾配信号データストリームを発生させる、アナログ/デジタル変換回路にフィードする、複数の生体信号取得チャネル
を備える、装置。
(項目2)
前記患者内を流動する環境雑音電流をシャントさせるように、電位を介して前記患者を能動的に駆動する電位バイアス回路をさらに備える、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記患者内を流動する環境雑音電流をシャントさせるように、一定の正電位を介して前記患者を能動的に駆動する電位バイアス回路を備える、項目1または2に記載の装置。
(項目4)
前記患者内を流動する環境雑音電流をシャントさせるように、一定の負電位に前記患者を能動的に駆動する電位バイアス回路を備える、項目1または2に記載の装置。
(項目5)
前記電位バイアス回路は、
波形発生器と、
駆動回路であって、前記駆動回路は、前記患者内を流動する環境雑音電流をシャントさせるように、前記波形発生器に結合し、前記患者を交流電位に能動的に駆動する、駆動回路と
を備える、項目2に記載の装置。
(項目6)
前記電位バイアス回路は、前記患者上に設置される前記表面電極のうちの1つ以上のものと関連付けられたDCバイアス値を上回る最小の大きさを有する交流電位に前記患者を能動的に駆動する、項目2または5に記載の装置。
(項目7)
前記患者内を流動する環境雑音電流をシャントさせるように、前記患者を電位に能動的に駆動する電位バイアス回路を備え、可変電位の実質的部分は、負である、項目1に記載の装置。
(項目8)
1つ以上の対応する表面電極で終端する1つ以上のケーブルを結合するように構成されるコネクタを備える端子ブロックであって、前記1つ以上のケーブルはそれぞれ、所与の表面電極から受信される所与の生体電位信号を搬送する1つ以上の信号ワイヤをカプセル化する遮蔽層を備える、端子ブロックと、
前記電位バイアス回路の電位を印加するように前記1つ以上のケーブル毎に遮蔽層に結合される出力を有する雑音除去回路と
を備える、項目1-7のいずれか1項に記載の装置。
(項目9)
所与の表面電極とそれぞれ関連付けられる1つ以上のケーブルに結合するように構成される1つ以上のコネクタを備える端子ブロックであって、前記1つ以上のケーブルはそれぞれ、前記所与の表面電極から受信される所与の生体電位信号を搬送する1つ以上の信号ワイヤをカプセル化する遮蔽層を備える、端子ブロックと、
前記1つ以上の信号ワイヤにわたって搬送される前記所与の生体電位信号を受信する入力を有する雑音除去回路であって、前記除去回路は、出力を有し、前記出力は、前記1つ以上のコネクタを通して、前記1つ以上のケーブル毎に前記遮蔽層に結合し、前記受信された生体電位信号に対応する電位を印加する、雑音除去回路と
を備える、項目1-7のいずれか1項に記載の装置。
(項目10)
前記生体電位チャネルは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、および12から成る群から選択されるチャネルの数を備える、項目1-9のいずれか1項に記載の装置。
(項目11)
前記複数の生体電位チャネルは、3つの差動チャネルを備える、項目1-10のいずれか1項に記載の装置。
(項目12)
生体信号取得チャネルにそれぞれ対応する複数のアナログ/デジタル回路であって、前記各生体信号取得チャネルの各出力は、対応するアナログ/デジタル回路にフィードし、前記アナログ/デジタル回路は、同時にサンプリングし、所与の差動広帯域心臓位相勾配信号とそれぞれ関連付けられる複数の広帯域心臓位相勾配信号データストリームを発生させる、複数のアナログ/デジタル回路
をさらに備える、項目1-11のいずれか1項に記載の装置。
(項目13)
前記利得増幅器および前記複数のアナログ/デジタル回路は、同一の集積回路の一部である、項目12に記載の装置。
(項目14)
広帯域心臓位相勾配信号データを発生させる方法であって、前記方法は、
患者上にそれぞれ設置される複数の表面電極から増幅器の対合差動入力において受信される差動生体電位信号を増幅させ、差動広帯域心臓位相勾配信号を発生させることであって、各差動生体電位信号は、1kHzを上回る前記発生された差動広帯域心臓位相勾配信号内の歪曲を生じさせるフィルタ処理を伴わずに増幅され、前記対合差動入力の各入力は、双極感知のために構成される、ことと、
50Khzを上回るサンプリング周波数で、各前記増幅された差動広帯域心臓位相勾配信号を同時にサンプリングし、差動広帯域心臓位相勾配信号データストリームを発生させることであって、前記増幅された差動広帯域心臓位相勾配信号は、前記増幅された差動広帯域心臓位相勾配信号のそれぞれの間に1μs未満の時間スキューを有するように、同時にサンプリングされる、ことと
を含む、方法。
(項目15)
信号取得基板であって、
多層プリント回路基板であって、
基準接地面としての役割を果たす第1の層と、
ケーブル遮蔽駆動電圧面としての役割を果たす前記第1の層と同一平面上にある第2の層と、
1つ以上の信号層であって、前記1つ以上の信号層は、実質的にそれを通して、かつ前記第2の接地層と一致し、同一平面上にある1つ以上の領域を横断して延設する、一対の伝導性トレースを有し、前記一対の伝導性トレースは、多層プリント回路に直接的にまたは間接的に添着されるコネクタを横断して、少なくとも2つの信号搬送導体の端部を、多層プリント回路の表面上に搭載されるアナログ/デジタル変換および増幅段の差動入力ピンに電気的に結合し、前記少なくとも2つの信号搬送導体のうちの第1の信号搬送導体は、第1のケーブルと関連付けられ、前記少なくとも2つの信号搬送導体のうちの第2の信号搬送導体は、第2のケーブルと関連付けられる、1つ以上の信号層と
を備える、多層プリント回路基板
を備え、
前記第2の接地層は、第1の外側導体および第2の外側導体の電位をケーブル駆動電圧面のものに駆動するように、前記少なくとも1つのコネクタにわたって、i)前記第1のケーブルの外側遮蔽体としての役割を果たす第1の外側導体、およびii)前記第2のケーブルの外側遮蔽体としての役割を果たす第2の外側導体を電気的に結合する、
信号取得基板。
(項目16)
前記第1のケーブルおよび前記第2のケーブルは、単一のケーブルピンコネクタにおいて終端し、前記単一のケーブルピンコネクタは、前記信号取得基板のコネクタに解放可能に噛合するように構成される結合要素を有する、項目15に記載の信号取得基板。
(項目17)
前記一対の伝導性トレースは、前記一対の伝導性トレースのうちの各伝導性トレースの実質的な長さが相互と略平行であるように、前記1つ以上の信号層のうちの信号層の同一のセット上に、相互に近接近して配列される、項目15-16のいずれか1項に記載の信号取得基板。
(項目18)
前記一対の伝導性トレースのうちの各伝導性トレースは、長さを有し、相互と実質的に類似するインピーダンス特性を有するように、同数のビアを有する、項目15-17のいずれか1項に記載の信号取得基板。
(項目19)
前記一対の伝導性トレースのうちの各伝導性トレースは、前記コネクタの個別のピンと前記アナログ/デジタル変換回路の個別の差動入力ピンとの間に配列されるインピーダンス要素を含み、前記一対の伝導性トレースは、前記インピーダンス要素とアンチエイリアスフィルタを形成するように、その間に結合される静電容量要素を有する、項目15-18のいずれか1項に記載の信号取得基板。
(項目20)
前記多層プリント回路基板はさらに、接地遮蔽ケージとしての役割を果たす伝導性筐体を備え、前記伝導性筐体は、前記一対の伝導性トレースの実質的部分をカプセル化するように、前記第2の接地層の一部に跨架し、前記伝導性筐体は、前記多層プリント回路の表面に添着され、前記基準接地面に電気的に結合される、項目15-19のいずれか1項に記載の信号取得基板。
(項目21)
前記アナログ/デジタル変換および増幅段は、内蔵プログラマブル利得増幅器(PGA)を伴う1つ以上のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)を有する、単一の集積回路を備える、項目15-20のいずれか1項に記載の信号取得基板。
(項目22)
前記一対の伝導性トレースのための前記アナログ/デジタル変換および増幅段は、増幅器回路に結合されるアナログ/デジタルコンバータ(ADC)集積回路を備える、項目15-20のいずれか1項に記載の信号取得基板。
(項目23)
前記多層プリント回路基板はさらに、
1つ以上のプロセッサと、前記1つ以上のプロセッサに結合される1つ以上のメモリ構成要素とを備え、前記1つ以上のプロセッサおよび前記1つ以上のメモリ構成要素は、前記第2の層のケーブル駆動電圧面と一致または重複しない前記多層プリント回路の表面の一部の上に配列される、項目15-22のいずれか1項に記載の信号取得基板。
(項目24)
前記一対の伝導性トレースは、前記信号取得基板の第1の差動入力チャネルの一部を形成する、項目15-23のいずれか1項に記載の信号取得基板。
(項目25)
第2の差動入力チャネルと、第3の差動入力チャネルとをさらに備え、前記第2の差動入力チャネルおよび前記第3の差動入力チャネルはそれぞれ、前記第2の接地層のケーブル駆動電圧面と一致し、同一平面上にある前記1つ以上の領域を横断して、実質的に前記1つ以上の信号層を通して延設する、一対の伝導性トレースを備え、前記第2の差動入力チャネルおよび前記第3の差動入力チャネルはそれぞれ、少なくとも1つの信号搬送導体と、前記信号搬送導体の外側遮蔽体としての役割を果たす外側導体とを有する、一対のケーブルに接続し、前記ケーブル駆動電圧面は、前記外側導体の電位を前記ケーブル駆動電圧面のものに駆動するように、前記少なくとも1つのコネクタにわたって、前記一対のケーブルの外側導体に電気的に結合する、項目24に記載の信号取得基板。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の実施形態は、付随する図面と併せて熟読されると、以下の発明を実施するための形態からさらに理解され得る。例証目的のためにすぎない、そのような実施形態は、本発明の新規の明白ではない側面を描写する。図面は、以下の図を含む。
【0039】
図1図1は、ある実施形態による、広帯域心臓位相勾配信号を差動的に取得するように構成される、例示的装置の略図である。
【0040】
図2図2は、例証的実施形態による、広帯域心臓勾配信号(単極)の時系列表現の略図である。
【0041】
図3図3は、ある実施形態による、周波数ドメインに示される図2の例示的な差動的に取得される広帯域心臓勾配信号データの略図である。
【0042】
図4A図4Aは、例証的実施形態による、双極感知を伴う図1の生体信号取得チャネルの詳細な略図である。
【0043】
図4B図4Bは、別の例証的実施形態による、双極感知を伴う図1の生体信号取得チャネルの詳細な略図である。
【0044】
図5図5は、ある実施形態による、信号搬送導体および遮蔽導体の電位を合致させる方法の略図である。
【0045】
図6図6は、例証的実施形態による、例示的システムの略図である。
【0046】
図7図7は、双極感知動作の1つのチャネルのために構成される例示的計装用増幅器の略図である。
【0047】
図8図8は、双極感知動作の複数のチャネルのために構成される計装用増幅器を伴う例示的集積回路の略図である。
【0048】
図9A図9Aは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9B図9B、9C、9Dは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9C図9B、9C、9Dは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9D図9B、9C、9Dは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9E図9Eは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9F図9Fは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9G図9Gは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9H図9Hは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9I図9I、9J、9Kは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9J図9I、9J、9Kは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9K図9I、9J、9Kは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9L図9L、9M、9Nは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9M図9L、9M、9Nは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9N図9L、9M、9Nは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9O図9Oは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9P図9Pは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9Q図9Q、9R、9S、9Tは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9R図9Q、9R、9S、9Tは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9S図9Q、9R、9S、9Tは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
図9T図9Q、9R、9S、9Tは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムの回路図である。
【0049】
図10A図10Aは、ある実施形態による、図9の差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号取得システムを含む、例示的生体信号取得(「BSA」)基板の略図である。
【0050】
図10B図10Bは、ある実施形態による、例示的生体信号取得基板のトレーシングの詳細を示す、略図である。
【0051】
図10C図10Cおよび10Dは、生体信号取得基板の付加的な図を示す。
図10D図10Cおよび10Dは、生体信号取得基板の付加的な図を示す。
【0052】
図11A図11Aは、ある実施形態による、図10AのBSA基板を含む、例示的BSA器具の写真である。
【0053】
図11B図11Bは、ある実施形態による、図10AのBSA基板を含む、例示的BSA器具の分解未組立図を伴う略図である。
【0054】
図12図12Aおよび12Bは、例証的実施形態による、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データと関連付けられる生体電位信号を取得するための患者の胸部および背部における表面電極の例示的設置の略図である。
【0055】
図13図13は、例証的実施形態による、BSA器具の例示的動作である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
図面中の構成要素は、必ずしも、相互に対して正確な縮尺ではなく、同様の参照番号は、いくつかの図全体を通して対応する部品を指定する。
【0057】
図1は、ある実施形態による、広帯域心臓位相勾配信号を差動的に取得するように構成される、例示的装置100の略図である。図1に示されるように、装置100は、患者の胸部および/または背部108から広帯域心臓位相勾配信号を差動的に取得するように、対応する一対の表面電極106(表面電極106a、106b、106c、106d等として示される)にそれぞれ動作可能に結合される、いくつかの生体信号取得チャネル104(「生体信号取得チャネル0」104aおよび「生体信号取得チャネル1」104bとして示される)を含む。いくつかの実施形態では、装置100は、XYZリード線測定のための3つの生体信号取得チャネル104を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、生体信号取得チャネル104は、他の場所において、例えば、患者の頭部において、広帯域位相勾配信号(例えば、広帯域脳位相勾配信号)を差動的に取得するように構成される。他の実施形態では、広帯域位相勾配信号は、例えば、標的器官に近接して、身体の他の面積から差動的に取得される。
【0059】
双極感知は、そこから導出されるベクトル心電図(VCG)が、基準位置の任意の選択肢において安定している(すなわち、測定がリード線位置に敏感ではない)、広帯域心臓位相勾配信号の真の差動XYZリード線測定を提供する。装置100のリード線は、極性を有し、身体表面上の具体的場所に設置される。基準リード線(「CM電極」122として示される)が、雑音を低減させるために使用される。
【0060】
双極感知は、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)の内部対称性に基づいて、コモンモード雑音を低減させる、または排除する、差動測定を促進し、非常に高いコモンモード除去を用いて、2つの点の間の電位差のみを増幅させる。双極感知は、高い静的利得正確度も提供する、差動測定を促進する。
【0061】
依然として図1を参照すると、各生体信号取得チャネル104は、双極入力を介して、所与の増幅器回路において受信される差動生体電位信号を増幅させ、殆どまたは全く非線形歪曲を信号経路の中に導入させない広帯域心臓位相勾配信号に対応する、差動生体電位信号112(「BIO_SIG」112a、「BIO_SIG」112b等)を発生させる、1つ以上の増幅器回路110(例えば、計装クラス増幅器)(図示せず、図4Aまたは4Bを参照)を含む。
【0062】
そのような非線形歪曲の実施例は、位相空間ドメイン内の広帯域心臓位相勾配信号を歪曲させ得る異なる周波数において信号に影響を及ぼし得る、位相歪曲を含む。加えて、非線形歪曲は、異なる取得チャネル間の信号経路内の変動性を含む。
【0063】
図1に示されるように、生体信号取得チャネル104は、増幅された差動生体電位信号112a、112bを、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号と関連付けられる時系列データ(「BIO_SIG_DATA」116a、「BIO_SIG_DATA」116b等として示される)に変換するように、サンプリングされた信号のそれぞれの間の時間スキューが約1μs未満であるように同時にサンプリングされ、(例えば、位相空間ドメイン内の)後続分析のためにコントローラ118によって受信される、対応するアナログ/デジタル変換回路114(114a、114b等として示される)に結合される。いくつかの実施形態では、生体信号取得チャネル104は、約10フェムト秒を上回らない時間スキューを伴って取得された信号を同時にサンプリングするように構成される。
【0064】
コントローラ118は、患者からの生体信号の取得および記録を管理し、いくつかの実施形態では、遠隔データ記憶場所(例えば、記憶エリアネットワーク)への記録された情報(例えば、生体信号、器具識別、および患者識別を含む)の伝送を管理する。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、患者からの生体信号の取得および記録を管理し、コンピューティングデバイスとインターフェースをとり、記録された情報(例えば、生体信号、器具識別、および患者識別を含む)を遠隔データ記憶場所に伝送する。いくつかの実施形態では、処理は、限定ではないが、取得された生体電位信号から発生される、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号から、駆出率(パーセンテージ単位)を予測する、虚血負荷を査定する、および/または冠動脈疾患を検出することを含む、心臓性能を決定するために、記憶されたデータセットに実施される。いくつかの実施形態では、コントローラ118は、患者からの生体信号の取得および記録を管理し、例えば、ローカルで、または遠隔で、生体信号の処理を管理し、結果をコントローラに動作可能に接続されるグラフィカルユーザインターフェース上に提示する。
【0065】
いくつかの実施形態では、システム100は、パルスオキシメータ(PO2)センサ130とともに動作し、酸素飽和読取値を収集する、パルスオキシメータ回路128を含む。収集される酸素飽和読取値は、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データの分析を拡張させるために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、酸素飽和読取値と関連付けられるデータは、広帯域心臓位相勾配信号データの取得と並行して収集される。他の実施形態では、酸素飽和読取値と関連付けられるデータは、独立して、収集される。他のセンサまたは特徴もまた、含まれてもよい。
【0066】
依然として図1の実施形態を参照すると、各アナログ/デジタル変換回路114aまたは114bは、同時にサンプリングし、他の生体信号取得チャネルと約1μs未満(例えば、約10fs(フェムト秒)を上回らない)の時間スキューを有するように構成される、高速シグマ-デルタコンバータを含む。アナログ/デジタル変換回路114の出力は、好ましくは、コントローラ118に提供されるシリアルデータストリーム(シリアルデジタルストリーム)である。コントローラ118は、いくつかの実施形態では、事前に定義された周期にわたって取得されたデータ116a、116b(差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号と関連付けられる)を集約し、収集されたデータをリポジトリ(例えば、記憶エリアネットワーク)に伝送するように構成される。いくつかの実施形態では、取得されたデータ116a、116bは、ファイルの中で時系列データとして伝送される。いくつかの実施形態では、伝送は、取得イベントの合間にのみ実施される。いくつかの実施形態では、ファイルは、1つ以上の、例えば、時系列データ、器具識別データ、器具性能データ、および/または患者識別データを含む。
【0067】
他の実施形態では、コントローラ118は、次いで、ローカルで処理される、取得されたデータ116a、116bを記憶するように構成される。いくつかの実施形態では、取得されたデータは、取得システムによって処理され、次いで、収集されたデータとして(例えば、時系列データとして)リポジトリに伝送される。各差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データセットは、約100秒~約200秒の持続時間周期を有してもよい。
【0068】
差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データは、いくつかの実施形態では、1KHz(キロヘルツ)を上回るサンプリング周波数を有する、広範囲の周波数を備える。いくつかの実施形態では、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データは、約5KHzを上回るサンプリング周波数を備える。いくつかの実施形態では、広帯域心臓位相勾配信号データは、約10KHzを上回るサンプリング周波数を備える。いくつかの実施形態では、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データは、約40KHzを上回るサンプリング周波数を備える。いくつかの実施形態では、広帯域心臓位相勾配信号データは、約80KHzを上回るサンプリング周波数を備える。いくつかの実施形態では、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データは、約500KHzを上回るサンプリング周波数を備える。種々の実施形態では、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データは、サンプリングされた周波数のその範囲内で殆どまたは全く非線形歪曲を有していない。
【0069】
加えて、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データは、約2μV(マイクロボルト)/ビット未満の分解能において、少なくとも約5mV(ミリボルト)の範囲を有する。いくつかの実施形態では、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データは、約1/2μV/ビットまたはそれ未満の分解能を有する。他のそのような範囲および分解能も、使用されてもよい。
【0070】
1/2μVは、殆どの従来の回路と関連付けられる熱雑音を下回るため、システム100は、その独自の回路および無線周波数伝送等の外部エネルギー源からの干渉を低減させるためのいくつかの特徴を含む。差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号の雑音レベルは、そのような技法を用いて実装されたとき、概して、約10μV未満であることが観察される。
【0071】
図2は、ある実施形態による、時系列データとして示される例示的単極広帯域心臓位相勾配信号データ(202a、202b、202c等として示される)の略図である。差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データは、これらの信号のうちの2つ(例えば、202aおよび202b、202cおよび202d等)の間の差を示す。いくつかの実施形態では、患者は、コモンモード電位に能動的に駆動され、取得された生体電位信号は、コモンモード電位を含む。そのような実施形態では、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データは、例えば、差動取得方式を介して、または算出を介して、コモンモード基準が除去された、残存信号である。いくつかの実施形態では、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データは、増幅および正規化され、ハードウェア回路を介してコモンモード基準が除去されている。
【0072】
図3は、ある実施形態による、周波数ドメインに示される、図2の例示的な差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データの略図である。
【0073】
従来の心電図(ECG)のものを超えるエネルギーおよび周波数成分を有し、従来、ランダム雑音であるように知覚される、広帯域生体電位信号またはその差動信号は、具体的動脈およびその分岐の狭窄、虚血の識別、冠血流予備量比(FFR)に関する推定値を含む、心臓の領域流動特性を査定するように、遺伝子アルゴリズム(および他の機械学習アルゴリズム)によって判別され得る、心臓生理学の測定可能データを含むことが発見された。(例えば、クリーニング技法をデータに適用し、雑音除去に先立つものと同一のデータ量をもたらすことによる)雑音除去は、信号処理における基本ステップである。しかしながら、例示される方法およびシステムは、信号の広帯域領域内の任意の雑音除去動作を伴わずに、得られる生体電位信号全体を処理する。従来、広帯域データ内の望ましくない雑音として知覚および/または分類されていたものは、多くの場合、着目信号である。実施されない雑音除去の実施例は、限定ではないが、とりわけ、アナログベースの低域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、高域通過フィルタ、およびFIRフィルタ、バターワースフィルタ、チェビシェフフィルタ、メディアンフィルタ等のデジタルベースのフィルタを含む。
【0074】
着目情報を取得された広帯域信号から除去することに加え、ある回路要素は、差動的に取得される広帯域位相勾配信号の位相空間内の分析に影響を及ぼし得、例示されるシステムの信号経路の中に含まれない、または最小限にされる、非線形歪曲を導入し得る。例えば、あるアナログ通過フィルタ(例えば、上記で議論されるように、とりわけ、アナログベースの低域通過フィルタ、帯域通過フィルタ、高域通過フィルタ、例えば、FIRフィルタ、バターワースフィルタ、チェビシェフフィルタ、メディアンフィルタ等のデジタルベースのフィルタ)は、位相歪曲を導入し得、これは、非線形群遅延を複数の取得チャネル間にもたらし得るか、または、周波数依存歪曲を個々の取得チャネルに導入し得る。加えて、電界効果トランジスタ(例えば、MOSFET)等のある回路要素は、不必要な静電容量およびゲート電界効果雑音を信号経路に導入し得る。加えて、(例えば、ツェナーダイオード内に)雪崩降伏効果を伴う、ある半導体および絶縁材料は、雪崩雑音を信号経路に導入し得る。
【0075】
いくつかの実施形態では、信号は、位相線形動作を介して処理され、高周波数広帯域データの具体的側面の分析を可能にしてもよい。いくつかの実施形態では、信号は、完全に着目帯域外の周波数に影響を及ぼす動作または回路を介して処理されてもよい。いくつかの実施形態では、フィルタ処理されるこれらの周波数は、無線周波数範囲内であるかまたはそれを上回る。
【0076】
図3に示されるように、広帯域心臓勾配信号は、従来の心電図測定より有意に高い、約1kHzを上回る周波数成分を有する。いくつかの実施形態では、差動広帯域心臓勾配信号は、最大約2kHz(例えば、約0Hz~約2kHz)の周波数成分を有する。いくつかの実施形態では、差動広帯域心臓勾配信号は、最大約4kHz(例えば、約0Hz~約4kHz)の周波数成分を有する。いくつかの実施形態では、差動広帯域心臓勾配信号は、最大約5kHz(例えば、約0Hz~約5kHz)の周波数成分を有する。いくつかの実施形態では、差動広帯域心臓勾配信号は、最大6kHz(例えば、約0Hz~約6kHz)の周波数成分を有する。いくつかの実施形態では、差動広帯域心臓勾配信号は、最大約7kHz(例えば、約0Hz~約7kHz)の周波数成分を有する。いくつかの実施形態では、差動広帯域心臓勾配信号は、最大約8kHz(例えば、約0Hz~約8kHz)の周波数成分を有する。いくつかの実施形態では、差動広帯域心臓勾配信号は、最大9kHz(例えば、約0Hz~約9kHz)の周波数成分を有する。いくつかの実施形態では、差動広帯域心臓勾配信号は、最大10kHz(例えば、約0Hz~約10kHz)の周波数成分を有する。いくつかの実施形態では、差動広帯域心臓勾配信号は、最大50kHz(例えば、約0Hz~約50kHz)の周波数成分を有する。
【0077】
図4Aは、例証的実施形態による、双極感知を伴う生体信号取得チャネル104の略図である。生体信号取得チャネル104は、それぞれ、端子(404a、404bとして示される)に直接結合し、表面電極106a、106bに動作可能に結合する、第1の差動入力402aと、第2の差動入力402bとを有する、演算増幅器110(例えば、計装クラス増幅器)を含む。生体信号取得チャネル104は、殆どまたは全く非線形歪曲(例えば、本明細書で議論されるもの等)が信号経路の中に導入されないように、構成される。この目的を達成するために、能動および受動フィルタは、動作中に導入され得る歪曲を低減させるように、好ましくは、信号経路内に設置されない、または最小限にされる。いくつかの実施形態では、(チャネルの入力への保護としての役割も果たす)単一のアンチエイリアスフィルタが、信号経路の中に含まれる。演算増幅器110は、好ましくは、約15dB(デシベル)を上回る利得を提供し、差動的に取得される広帯域位相勾配信号を発生させる。いくつかの実施形態では、演算増幅器110は、約20dBを上回る利得を提供する。演算増幅器110の出力412は、いくつかの実施形態では、アナログ/デジタル変換回路114(例えば、シグマ-デルタADC)に結合される。いくつかの実施形態では、演算増幅器110およびアナログ/デジタル変換回路114は、単一の集積回路の一部である。加えて、2つの端子として示されるが、端子404a、404bは、共通端子筐体の一部であってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、図4Aに示されるように、各生体信号取得チャネル104は、能動雑音低減システムを採用する一対のケーブル124a、124b(例えば、同軸ケーブル))にわたって、対合表面電極106a、106bの個別のセットに電気的に結合する。いくつかの実施形態では、能動雑音低減システムは、取得された信号がデジタル化されることに先立って、複数の回路基板を横断して信号を搬送するために使用される信号搬送導体を能動的に遮蔽するために使用される。
【0079】
図4Aでは、生体信号取得チャネル104は、表面電極106a、106bと演算増幅器110との間に配列されるケーブル124a、124b内の信号搬送導体408a、408bを能動的に遮蔽する、能動雑音低減システムを含む。ケーブル124a、124bは、第1の導体408a、408bのセット(例えば、一対の撚線ワイヤ)と、個別の第1の導体408a、408bを囲繞する第2の伝導性層406a、406bのセット(すなわち、外側遮蔽体)とを含む。能動雑音低減システムは、投入された信号がケーブル内で搬送される信号に略合致する(例えば、少なくとも約90%以内)ように、導体408a、408b内で搬送される信号をケーブル124a、124bの遮蔽体406a、406bに投入する、演算増幅器410a、410bを備える、遮蔽等化回路(遮蔽駆動回路またはケーブル駆動回路とも称される)を含む。換言すると、能動雑音低減システムは、遮蔽体406a、406bを導体408a、408bと略同一電位に駆動し、これは、導体408a、408bと遮蔽体406a、406bとの間の電気漏出を低減させる。別の側面では、ケーブル(例えば、124a、124b)の外側遮蔽体(例えば、406a、406b)は、外側遮蔽体(例えば、406a、406b)上で誘発される雑音の多い電流のための帰還パスを提供するように、遮蔽駆動電圧面416(ケーブル駆動電圧面とも称される)に電気的に結合される。
【0080】
いくつかの実施形態では、演算増幅器410は、ユニティ利得増幅器として構成される。他の実施形態では、非ユニティ利得が、使用される。演算増幅器410a、410bの入力414a、414bは、端子404a、404bにも結合される、利得増幅器110の入力に結合される。演算増幅器410a、410bの出力は、ケーブル124a、124bの第2の伝導性層406a、406bに結合される。
【0081】
図4Bは、別の例証的実施形態による、双極感知を伴う生体信号取得チャネル104の略図である。図4Bでは、信号搬送導体(例えば、408a、408b)の全てまたは殆どからの平均電位が、生体信号取得チャネル毎にケーブル(例えば、124a、124b)の外側遮蔽体406a、406bを駆動するために使用される、能動雑音低減システムが、使用される。図4Bに示されるように、演算増幅器410aは、信号搬送導体(例えば、408a、408b)のそれぞれに結合される、平均化回路418に結合される。信号搬送導体(例えば、408a、408b)は、アナログ/デジタル変換回路114に結合される、利得増幅器110に結合される。図4Bでは、利得増幅器110およびアナログ/デジタル変換回路114は、同一のプリント回路基板上に配列される。いくつかの実施形態では、利得増幅器110およびアナログ/デジタル変換回路114は、単一の集積回路内で組み合わせられる。他の構成要素も、増幅器のための所望の利得出力を提供するように、利得増幅器110と配列されてもよい。
【0082】
別の実施形態では、演算増幅器410aは、取得された差動広帯域心臓勾配信号の入力を平均化することによって、アナログ出力信号を発生させる、マイクロコントローラの増幅器出力の出力に結合される。
【0083】
いくつかの実施形態では、外側遮蔽体(例えば、406a、406b)は、外側遮蔽体(例えば、406a、406b)上で誘発される雑音の多い電流のための帰還パスを提供するように、遮蔽駆動電圧面416に電気的に結合される。
【0084】
いくつかの実施形態では、能動雑音低減システムは、単一の信号搬送導体(例えば、408aまたは408b)の電位を使用し、全ての生体信号取得チャネルの全てのケーブル(408a、408b等)のための外側遮蔽体を駆動する。
【0085】
図5は、例証的実施形態による、遮蔽等化回路の動作を図示する、略図である。図5に示されるように、ケーブル124の遮蔽体導体406は、信号導体408を囲繞し、演算増幅器(例えば、410a)によって、信号導体408のものに合致または略合致する電位に駆動される。例えば、信号導体408が約+1.5Vの電位を搬送する場合、演算増幅器(例えば、410a)は、遮蔽体導体406も約+1.5Vに駆動する。信号導体408と遮蔽体導体406との間の電位が、合致または略合致するため、それらの間の誘電電場は、最小限にされる。この目的を達成するために、外部干渉からの遮蔽導体406の摂動に起因して遮蔽導体406によって信号導体408に導入される摂動は、制振される。
【0086】
例示的雑音除去サブシステム
【0087】
差動的に取得される広帯域心臓勾配信号112の信号品質を改良するために、例示されるシステム100(例えば、図1に示されるような)は、いくつかの実施形態では、生体電位測定に干渉し得る、患者の身体内を流動する環境雑音電流を排除または低減させる、雑音除去システム120を含む。雑音除去システム120は、患者の身体を、通常動作中に環境雑音電流をシャントさせる電位に能動的に駆動するように構成される。環境雑音は、とりわけ、近傍電子機器、伝送デバイス、およびローカルAC電力システムを含む、種々の環境源から発生され得る。これらの源のうちのいずれかまたは全ては、測定電極において、患者の生体電位を測定不能にする、または測定の分解能を低減させ得る、電圧を発生させ得る。
【0088】
図1に示されるように、雑音除去システム120は、身体108の表面と電気接触する(例えば、直接的に、または伝導性ゲルまたはペーストを介して)、表面電極122に動作可能に結合される。いくつかの実施形態では、雑音除去システム120は、可変電位、例えば、2つの負電位値間で変動する電位を、身体108に能動的に印加する。
【0089】
いくつかの実施形態では、表面電極(例えば、106a、106b、106c、106d、122)は、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号を測定するとき、半電池電位を信号経路内に形成し得る、ゲルまたは他の結合媒体またはデバイスと併用されてもよい。例えば、塩化銀ゲルは、300mVバイアスを信号経路内に導入し得る。いくつかの実施形態では、雑音除去システム120は、負電位値の大きさが、表面電極と関連付けられる、予期される半電池電位DCバイアス値を上回るように、身体108を、2つの負電位値間で変動する可変電位に能動的に駆動する。
【0090】
依然として図1を参照すると、雑音除去システム120は、ケーブル124eを介して、身体108上に設置されるコモンモード電極122に電気的に結合される。いくつかの実施形態では、例えば、生体信号取得チャネルにおいて使用されるものに類似する、能動雑音低減システムが、コモンモード表面電極122と雑音除去システム120との間のケーブル124e内の信号搬送導体を能動的に遮蔽するために使用される。他の実施形態では、ケーブル124eの遮蔽導体がシステム100の接地面に結合される、受動遮蔽体が、使用される。
【0091】
雑音除去システム120は、いくつかの実施形態では、波形発生器と、演算増幅器とを含む。いくつかの実施形態では、波形発生器は、固定周波数発振器である。他の実施形態では、波形発生器は、例えば、コントローラ118から出力される制御信号に基いて、周波数および振幅範囲内で変動し得る、アナログ出力を発生させるように電子的にプログラム可能である、マイクロコントローラである。図1では、雑音除去システム120は、制御ライン126を介して、コントローラ118に動作可能に結合されて示される。
【0092】
いくつかの実施形態では、雑音除去システム120は、身体108を、負電位値と正電位値との間で変動する、可変電位に能動的に駆動する。
【0093】
いくつかの実施形態では、雑音低減システム120は、身体108を、2つの正電位値間で変動する、可変電位に能動的に駆動する。
【0094】
他の実施形態では、雑音低減システム120は、身体を、一定電位(例えば、約-1.5VDC~約+1.5VDCの値または約-3.0VDC~約+3VDCの値)に能動的に駆動する。
【0095】
例示的BSAシステム
【0096】
図6は、例証的実施形態による、例示的システム100の略図である。図6に示されるように、システム100は、図1に関連して説明されるように、生体信号取得チャネル104を含む、第1段混合信号基板602を含む。第1段混合信号基板602は、増幅された生体電位信号112を搬送する1つ以上のケーブル418にわたって、第2段混合信号基板604に動作可能に結合される。第2段混合信号基板604は、図1に関連して説明されるように、アナログ/デジタル変換回路114と、コントローラ118とを含む。第2段混合信号基板604は、装置100のための通信およびインターフェース機能性を提供する、第3段コントローラ基板606に通信する。
【0097】
図6に示されるように、第2段混合信号基板604は、メモリ608と、インターフェース回路610とを含む。メモリ608は、データ116が、第3段コントローラ基板606に送信され、遠隔記憶装置に伝送されることに先立って、所与の測定に関する差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データと関連付けられる、取得された生体電位信号データ116をローカルで記憶する。インターフェース回路610は、いくつかの実施形態では、光学アイソレータ等の通信隔離回路と、限定ではないが、電力および接地のため等の他の隔離回路とを含む。第3段コントローラ基板606は、集合的に、第2段混合信号基板604と動作し、そこで取得された差動広帯域心臓位相勾配信号データをオフロードし、例えば、無線通信を介して、遠隔記憶装置(例えば、クラウド内のリポジトリ)に伝送するように構成される、プロセッサ612と、メモリ614と、通信送受信機616と、インターフェース回路618とを含む。いくつかの実施形態では、第3段コントローラ基板606は、そこで取得された差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データを分析し、分析の出力をそれと関連付けられるグラフィカルユーザインターフェースに提示するように構成される。いくつかの実施形態では、第3段コントローラ基板606は、カスタムコンピューティングデバイスの一部である。他の実施形態では、第3段コントローラ基板606は、一般的コンピューティングデバイスの一部である。
【0098】
いくつかの実施形態では、第1段混合信号基板602、第2段混合信号基板604、および第3段コントローラ基板606は、単一のプリント回路基板の一部である。
【0099】
図7は、双極感知動作の1つのチャネルのために構成される例示的計装用増幅器の略図である。計装用増幅器は、ゼロドリフト計装用増幅器(例えば、Texas Instruments, Inc.(Dallas, TX)製のINA188集積回路)である。
【0100】
図8は、双極感知動作の複数のチャネルのために構成される計装用増幅器を伴う例示的集積回路の略図である。集積回路は、統合ECGフロントエンドを伴う、6チャネル、24ビットのADC(例えば、Texas Instruments, Inc.(Dallas, TX)製のADS1296集積回路)である。集積回路は、内蔵プログラマブル利得増幅器(PGA)を伴うデルタ-シグマアナログ/デジタルコンバータを有する。
【0101】
例示的生体信号取得回路
【0102】
図9A、9B、9C、9D、9E、9F、9G、9H、9I、9J、9K、9L、9M、9N、9O、9P、9Q、9R、9S、9T、および9Vは、例証的実施形態による、双極動作を伴うプロトタイプ広帯域心臓位相勾配信号取得システム900の回路図である。
【0103】
具体的には、図9Aは、システム900の高レベルの略図を示す。図9に示されるように、システム900は、差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号と関連付けられる生体電位信号データを取得する、生体電位取得回路902に結合する、メインコントローラ910を含む。メインコントローラ910は、図1に関連して説明されるようなコントローラ118の機能を果たしてもよい。メインコントローラ910は、オキシメトリデータを取得する、パルスオキシメトリ回路904に結合する。システム900はさらに、試験および開発のために通信をメインコントローラ118に提供するように構成される、USBインターフェース回路906を含む。システム900は、コネクティビティをコンピューティングデバイス(例えば、図6に関連して説明されるように、デバイス606)に提供する、MFiインターフェース回路908を含む。システム100はさらに、電力システム912を含み、電力を種々の回路に提供し、また、アナログ/デジタル変換のための基準電圧を提供する。
【0104】
図9B、9C、および9Dは、電力回路912の詳細な略図を示す。図9Bでは、電力をバッテリからシステム900に供給するための電力回路912aが、示される。電力回路は、監視および充電回路を含む。図9Cでは、生体信号取得チャネルのための電力回路912Bが、示される。図9Dでは、デジタル回路のための電力回路912Cが、示される。
【0105】
図9Eは、メインコントローラ910(デバイス「EFM32GG880」910として示される)のためのコントローラ回路の詳細な略図を示す。コントローラ回路は、メインコントローラ910に結合する、メモリモジュール912(デバイス「S23ML0G1」として示される)を含む。メインコントローラ910は、部品番号「EFM32GG880」である、Silicon Laboratories(Austin, TX)製のARM Cortex CPUプラットフォームである。メモリ「S23ML0G1」は、Cypress Semiconductor Corporation(San
Jose, CA)製の8GB(ギガバイト)NANDフラッシュメモリである。メインコントローラ910は、生体信号取得チャネル(例えば、104)と動作し、生体電位信号データを受信し、取得毎にデータをNANDフラッシュメモリ(例えば、912)にローカルで記憶する。
【0106】
図9Fは、MFi回路908の詳細な略図を示す。MFi回路908は、外部コンピューティングデバイスとのインターフェースを提供する、マイクロコントローラ914(デバイス「SiM3U167」として示される)を含む。図9Eのメインコントローラ910は、NANDフラッシュメモリ内に記憶された差動的に取得される広帯域心臓位相勾配信号データ(例えば、生体信号データおよび器具識別データ)の取得の合間に読み出し、MFi回路908を通してデータを外部コンピューティングデバイスに転送するように、メモリ内に記憶されたコンピュータ可読命令によって構成されてもよい。いくつかの実施形態では、MFi回路908は、信号取得中の干渉を最小限にするように、広帯域心臓位相勾配信号データの取得中に電源を切られてもよい。
【0107】
SiM3U167は、Silicon Laboratories(Austin, TX)製のARM Cortex-M3ベースのマイクロコントローラ(MCU)である。SiM3U167は、低エネルギー動作、高速起動時間、およびエネルギー節約モードを伴って構成される、USB MCUファミリーのエネルギーに配慮したデバイスの一部であってもよい。
【0108】
図9Gは、例えば、試験および開発のために、メインコントローラ910にアクセスするために使用される、USB通信回路906の詳細な略図を示す。回路は、通常ランタイム動作中に、ユーザによるアクセスのために利用可能ではない場合がある。
【0109】
図9H、9I、9J、および9Kは、生体電位取得回路902の詳細な略図を示す。生体電位取得回路902は、プログラマブル利得増幅器を備える統合ECGフロントエンド回路を伴って構成される、アナログ/デジタルコンバータIC916(デバイス「ADS1294」916として示される)を含む。この目的を達成するために、アナログ/デジタルコンバータIC916は、単一の集積回路の中に利得増幅器110およびアナログ/デジタル変換回路114の両方を含む。アナログ/デジタル変換回路の他の構成も、使用されてもよいが、アナログ/デジタル変換回路は、少なくとも約17ビット、好ましくは、約24ビットの分解能を有する。
【0110】
具体的には、図9Hは、制御ラインおよびデータラインを介した、図9Oのメインコントローラ910および生体電位チャネル回路922へのアナログ/デジタルコンバータIC916の配線を示す。さらに、図9Hでは、単一のケーブル端子ブロック924(端子404a、404bに対応する)が、電極106a-106eに結合するケーブル124a-124eを備える、ケーブルアセンブリに結合するように、提供される。ケーブル端子ブロック924は、i)3対の差動入力のためのピン(J500のピン1、3、5、7、および9として示される)と、ii)外側遮蔽駆動部のためのピン926(J500のピン4として示される)とを含む。J500のピン1、3、5、7、および9はそれぞれ、個別の生体電位チャネル922の個別の入力928a-928fに接続する。生体電位チャネル922は、出力930a-930fをアナログ/デジタルコンバータIC916の入力932a-932fに提供するように、6回繰り返される。アナログ/デジタルコンバータIC916は、ライン934を介して、デジタルバスにわたって取得された信号112をメインコントローラ910に提供する(図9Aおよび9E参照)。
【0111】
図9Oは、図9Hに関連して示されるような例示的生体信号取得チャネル922の詳細な略図を示す。着目すべきこととして、チャネル922の入力950と出力952との間の信号経路940内に能動構成要素または低域通過フィルタ処理が存在しない。この目的を達成するために、非線形歪曲を信号経路の中に導入し得る、能動フィルタおよび/または回路要素の欠如が存在する。図9Oでは、構成要素928は、ジャンパとしての役割を果たすシャントであり、構成要素938は、設置されず、プロトタイププリント回路基板内の随意の構成要素として提供される。実際に、単一のアンチエイリアス回路のみが、信号経路939の中に含まれる。アンチエイリアス回路は、コンデンサ(図9Hでは942a、942b、および942cとして示される)によって接続される2つのチャネル922からの2つの抵抗器940を含む。構成要素(例えば、抵抗器940およびコンデンサ942a-942b)の数は、好ましくは、雑音性能を改良するように最小限にされるが、これらの構成要素のそれぞれの1つを上回るものが、使用されてもよい。チャネル対のための抵抗器940は、10キロオームであり、また、アナログ/デジタルコンバータIC916の入力を保護する役割も果たす。
【0112】
1つ以上のフェライト928(例えば、フェライトビーズ)が、高周波数雑音(例えば、無線周波数雑音)を抑制するように、信号経路内に設置されてもよい。無線周波数信号は、概して、KHz~数百KHzである着目生体電位信号より数桁高い、MHz範囲内であることに留意されたい。
【0113】
除細動保護を提供するために、除細動器保護回路またはその均等物が、信号経路940内に設置される。図9Lに示されるように、複合除細動、サージ、およびESD保護回路が、使用される。図9Lは、除細動器保護回路(948a、948bとして示される)の詳細な略図を示す。例示的複合除細動、サージ、およびESD保護回路は、Maxim Integrated(San Jose, CA)製のMAX30034保護デバイスである。図9Hでは、制限抵抗器(R520、R519、R524、R517、R518、およびR521)が、ESD保護回路と併用される信号経路940内に設置されて示される。
【0114】
図9I、9J、および9Kはそれぞれ、アナログ/デジタル変換回路の電力面および接地面の容量分断およびフィルタ処理の詳細な略図を示す。
【0115】
図9Mおよび図9Nは、基準電圧を、図9Lに示されるような生体電位増幅器回路および図9Hに示されるような生体電位増幅器回路に提供する、電力調整回路の詳細な略図を示す。
【0116】
雑音低減回路
【0117】
図9Pは、コモンモード電圧基準を身体に印加する、例示的雑音除去回路の詳細な略図を示す。
【0118】
雑音除去システムの目標は、生体電位測定に干渉し得る、患者の身体内を流動する環境雑音電流を排除することである。雑音は、消費者電子機器、携帯電話、およびローカルAC電力システムを含む、種々の環境源から発生され得る。これらのうちのいずれかまたは全ては、測定電極において、患者の生体電位を測定不能にする、または測定することをより困難にするであろう、電圧を発生させ得る。
【0119】
環境雑音に対処するために、BSA器具ハードウェアは、コモンモード増幅器を採用し、可変電位(例えば、-1.0VDC~-2.0VDCまたは+1.0~+2.0VDC)または一定電位(例えば、+1.5VDCまたは-1.5VDCの値)を患者の身体に能動的に印加し、したがって、通常動作中に環境雑音電流をシャントさせる。図9Pでは、コモンモード増幅器は、アナログ/デジタルコンバータIC916(図9H)の内部増幅器出力946に接続される。他の実施形態では、別個の増幅器段が、患者の身体を他の電位に駆動するために使用されても良い。
【0120】
BSA器具ハードウェアはさらに、コモンモード増幅器のものと同一の電位を用いてケーブル124a-124fの外側遮蔽体406a-406fを駆動する、演算増幅器U501(「LMV2011」410aとして示される)を含む。図9Pに示されるように、演算増幅器410aの入力944はまた、アナログ/デジタルコンバータIC916(図9H)の内部増幅器出力946に結合される。アナログ/デジタルコンバータIC916は、一定電位(例えば、1.5VDC)を発生させるように構成される。他の実施形態では、アナログ/デジタルコンバータIC916は、アナログ/デジタルコンバータ916の入力932a-932fの読取値の平均出力を発生させるように構成される。
【0121】
図9Q、9R、9S、および9Tは、オキシメトリ回路(904a、904b、904c、および904dとして示される)の構成要素の詳細な略図である。オキシメトリ回路904は、パルスオキシメータ(PO2)センサと動作し、酸素飽和読取値を収集するように構成される。いくつかの実施形態では、酸素飽和読取値は、少なくとも12ビットの分解能および200サンプル/秒の最小レートで収集される。
【0122】
広帯域心臓位相勾配信号取得システムの別の実施例が、2017年3月2日に公開された国際公開第WO2017/033164号(参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明される。
【0123】
例示的BSA基板
【0124】
図10Aは、ある実施形態による、図9の広帯域心臓位相勾配信号取得システムを含む、多層プリント回路基板を備える、例示的生体信号取得(「BSA」)基板1000の略図である。BSA基板1000は、いくつかの実施形態では、ケーブル端子ブロック924とアナログ/デジタルコンバータIC916との間に配列される生体信号取得チャネル104の混合信号フロント段回路を囲繞する、伝導性遮蔽体1004(例えば、接地遮蔽ケージ)を含む。伝導性遮蔽体1004は、いくつかの実施形態では、基準接地面に電気的に結合される。
【0125】
図10Bは、ケーブル端子ブロック924とアナログ/デジタルコンバータIC916との間に配列される生体信号取得チャネル104の混合信号フロント段回路の図10Aの詳細図の1002の略図を示す。
【0126】
図10Bでは、トレーシング1006a、1006bが、生体電位チャネル入力928aおよび928bに接続され、トレーシング1006c、1006dが、生体電位チャネル入力928cおよび928dに接続され、トレーシング1006e、1006fが、生体電位チャネル入力928eおよび928fに接続される、トレーシング1006a、1006bと、トレーシング1006c、1006dと、トレーシング1006e、1006fとを含む、3差動チャネルのためのトレーシング対の3つのセットが、示される。トレーシング1006a-1006fは、ビア1008a-1008fによって接続される2つの層(実線および鎖線で示される)を横断して配列される。
【0127】
上記のように、単一のアンチエイリアス回路のみ(いくつかの実施形態では、除細動保護回路)が、信号経路940の中に含まれる。アンチエイリアス回路は、コンデンサ(図9Hでは942a、942b、および942cとして示される)によって接続される2つのチャネル922からの2つの抵抗器940を含む。構成要素(例えば、抵抗器940およびコンデンサ942a-942b)の数は、雑音性能を改良するように最小限にされる。所与のチャネル対のための抵抗器940a-940fは、10キロオームであり、アナログ/デジタルコンバータIC916の入力のためのコモンモード除去率を増加させることによって、アナログ/デジタルコンバータIC916の入力を保護する役割を果たす。
【0128】
ケーブル駆動電圧面
【0129】
別の側面では、遮蔽駆動電圧回路が、取得システムの低雑音および低干渉の動作を促進するために使用される。図10Bはさらに、例示的遮蔽駆動電圧面416を示す。遮蔽駆動電圧面416は、ケーブル124a-124fの外側遮蔽体406a-406fを駆動し、外側遮蔽体406a-406f上で誘発される雑音の多い電流のための帰還パスを提供する、遮蔽駆動増幅器410aに接続される。遮蔽駆動電圧面416は、ケーブル124a-124fの外側遮蔽体406-406fに接続する端子924のピンに接続する、ビア1010を通して端子924に電気的に結合される。いくつかの実施形態では、ケーブルは、外側遮蔽体を有するトランク区画を含み、トランク区画から延在する複数の分岐ケーブルを備える、分岐区画のセットを含む。分岐ケーブルはそれぞれ、トランク区画の外側遮蔽体に接続する、外側遮蔽体を含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、多層プリント回路基板は、上部の「第1の」層および「第3の」層が、信号トレーシングのために指定され、「第2の」層および底部の「第7の」層が、基準接地面を有し、「第4の」層が、ケーブル駆動電圧面416を含む、7つの層を備える。実際に、基板の「第2」および「第7の」層は、基準接地面としての役割を果たし、「第4の」層は、ケーブル駆動接地面としての役割を果たす。層「5」は、電力層として使用されてもよい。
【0131】
上部の「第1の」層および「第3の層」は、実質的に層を通して、かつケーブル駆動電圧面416と一致し、同一平面上にある1つ以上の領域を横断して延設する、伝導性トレース対(例えば、低インピーダンストレース)を有する、信号層を備える。いくつかの実施形態では、伝導性トレースは、幅が0.254mmである(幅が0.001インチである)。他のトレース厚さも、低インピーダンス動作を促進するために、材料に応じて使用されてもよい。一対の伝導性トレースは、多層プリント回路に直接的にまたは間接的に添着されるコネクタ(例えば、端子924)を横断して、ケーブル124a-124fの信号搬送導体の端部に、また、(アナログ/デジタル変換回路および増幅段を有する)アナログ/デジタルコンバータIC916の差動入力ピンに電気的に結合する。(第2の接地層としての)ケーブル駆動電圧面416は、端子924にわたって、ケーブル124aの外側遮蔽体406a、ケーブル124bの外側遮蔽体406b、ケーブル124cの外側遮蔽体406c、ケーブル124dの外側遮蔽体406d、ケーブル124eの外側遮蔽体406e、およびケーブル124fの外側遮蔽体406fに電気的に結合する。ケーブル駆動電圧面416は、トレーシング1006a-1006fの実質的な長さと重複し、アナログ/デジタルコンバータIC916の占有面積にわたって部分的に重複する(1008として示される)。2つの層を横断してルーティングされて示されているが、他の実施形態では、トレーシング1006a-1006fは、多層プリント回路基板の単一の層にわたってルーティングされてもよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、ケーブル124a-124fは、信号取得基板1000のコネクタ(例えば、端子924)に解放可能に噛合するように構成される、単一のケーブルピンコネクタ(図11Aに示される)において終端する。
【0133】
さらに改良された低雑音動作を可能にするために、一対の伝導性トレース1006a-1006fのうちの各伝導性トレースは、類似する長さを伴って配列され、差動対の対応するトレースとともに実質的に類似するインピーダンス特性を有するように、対応するトレース(例えば、図10Bに示されるような)と同数のビアを有する。さらに、各一対の伝導性トレースは、一対の伝導性トレースのうちの各伝導性トレースの実質的な長さが相互と略平行であるように、それらがルーティングされる各層上に、(例えば、図10Bに示されるように)相互に近接近して配列される。
【0134】
さらに、伝導性トレース1006a-1006fおよびケーブル駆動電圧面416は、そのような回路から発生される干渉および雑音を最小限にするように、本質的に処理および通信構成要素(例えば、910、912、914)から隔離される、基板1000の一部の上に配列される。
【0135】
依然として図10Aを参照すると、接地遮蔽ケージとしての役割を果たす伝導性遮蔽体1004の幾何学的構成が、示される。伝導性筐体1004は、一対の伝導性トレース1006a-1006fの実質的部分をカプセル化するように、(第2の接地層として)ケーブル駆動電圧面416の実質的部分に跨架する。
【0136】
実際に、一対の伝導性トレース1006a、1006bは、3差動入力チャネルのセットの信号取得基板の第1の差動入力チャネルの一部を形成する。図10Bに示されるように、第2の差動入力チャネルはまた、ケーブル駆動接地面と一致し、同一平面上にある領域を横断して、実質的に信号層を通して延設する、一対の伝導性トレース1006c、1006dも備える(第3の差動入力チャネルは、一対の伝導性トレース1006e、1006fを備える)。
【0137】
図10Bに戻って参照すると、BSA基板1000は、コネクタ1014を介して、電力を取得回路に提供するバッテリに接続される。BSA基板1000は、インターフェースをマイクロコントローラに提供する、USBコネクタ1012を含む。
【0138】
図10Cおよび10Dは、生体信号取得基板1000の付加的な図を示す。図10Cでは、層1、3、および4のトレースルーティングおよび面境界が、示される。図10Dでは、層1、3、4、および6のトレースルーティングおよび面境界が、示される。図10Cおよび10Dに示されるようなルーティングは、図10Aに関連して説明される構成要素設置に対応する。
【0139】
図11Aは、ある実施形態による、図10AのBSA基板1000を含む、例示的BSA器具1100の写真である。BSAシステム1100は、BSA基板1000(図10A参照)とインターフェースをとるコンピューティングデバイス1104(例えば、ポータブルコンピューティングデバイス)を格納する、筐体1102を含む。筐体1102はさらに、表面電極106a-106gと関連付けられるケーブル124a-124fに接続する、コネクタ1106を含む。図11Aに示されるように、表面電極106a-106fは、広帯域心臓位相勾配信号の取得のために使用され、表面電極106gは、コモンモード基準電極である。
【0140】
図11Bは、ある実施形態による、図10AのBSA基板を含む、例示的BSA器具1100の分解未組立図を伴う略図である。
【0141】
表1は、図12のBSA器具1100の例示的構成要素を示す。
【表1-1】

【表1-2】
【0142】
生体電位信号データは、いくつかの実施形態では、時系列データとして正規化され、コモンモード電位が除去されている。
【0143】
広帯域心臓位相勾配信号データは、取得された生体電位信号データの差として発生される。
【0144】
位相勾配信号は、例えば、身体上の2つの場所において取得される2つの生体電位信号間の差として、身体から取得される2つ以上の生体電位信号から発生される。この目的を達成するために、位相勾配信号が、位相空間内の後続分析のために、本明細書に示されるものに加え、種々の電極において取得される生体電位信号の任意の所与のペアリングのために発生されることができる。
【0145】
とりわけ、本明細書に説明されるような非線形位相歪曲は、位相空間内のデータにおける非線形雑音として示される、差動信号の誤差を発生させ得ることを理解されたい。この目的を達成するために、非線形位相歪曲を伴わない広帯域位相勾配信号の取得は、位相空間内の広帯域位相勾配信号の後続分析の正確度および精度を有意に改良することができる。
【0146】
広帯域心臓位相勾配信号に実施され得る、位相空間技法および分析の実施例は、「Methods and Systems Using Mathematical Analysis and Machine Learning to Diagnose Disease」と題された米国公開第2016/0378936号、「Method and System for Characterizing Cardiovascular Systems From Single Channel Data」と題された米国公開第2015/0216426号、「Noninvasive Method
for Estimating Glucose, Glycosylated Hemoglobin and Other Blood Constituents」と題された米国特許第9,597,021号、「Noninvasive Electrocardiographic Method for Estimating Mammalian Cardiac Chamber Size and Mechanical
Function」と題された米国公開第2015/0133803号、「Noninvasive Electrocardiographic Method for Estimating Mammalian Cardiac Chamber Size
and Mechanical Function」と題された米国特許第9,737,229号、「Non-invasive Method and System for Characterizing Cardiovascular Systems and All-Cause Mortality and Sudden Cardiac Death Risk」と題された米国特許第9,408,543号、「Non-invasive Method and System for Characterizing Cardiovascular Systems」と題された米国特許第9,655,536号、「Non-invasive Method and System for Characterizing Cardiovascular Systems」と題された米国特許第9,289,150号、「System and Method for Evaluating an Electrophysiological Signal」と題された米国特許第8,923,958号、「Method and Apparatus for Wide-Band Phase Gradient Signal Acquisition」と題された米国公開第2017/0119272号、「Non-invasive Method and System for
Measuring Myocardial Ischemia, Stenosis
Identification, Localization and Fractional Flow Reserve Estimation」と題された米国出願第15/633,330号、および「Method and System for Visualization of Heart Tissue at Risk」と題された米国出願第15/712,104号(それぞれ、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)に説明される。
【0147】
例示される実施形態によって発生される広帯域位相勾配信号データは、上記のように、種々の位相空間技法および分析のための入力として使用されてもよく、これは、ひいては、患者の健康状態を査定するための臨床上有用な情報を発生させるため、および、例えば、病状およびその状態を正確に示して区別するため、および、心臓または脳分野(広帯域心臓または脳位相勾配信号が使用されるとき等)、腫瘍学分野、胎内分野、またはヒトまたは他の哺乳類の身体から放出される生理学的信号の完全スペクトルの全体または一部がそのように使用され得る、任意の他の医療分野にあるかどうかにかかわらず、可能性として考えられる疾患発症を予測するために使用され、実施されてもよい。例えば、そのような臨床上有用な情報は、次いで、さらに分析され、医師による精査および/または患者への提示のために、任意の数の報告、データセット、提示等に変換されてもよい(限定ではないが、スマートフォンまたはコンピュータを介した提示のためのデジタルフォーマット、紙報告フォーマット、プレゼンテーションスライドフォーマット、またはその他を含む、任意の数のフォーマットにおいて)。そのようなデータは、例えば、医師によって、患者のためのさらなる検査および/または治療を推奨するために使用されてもよい。本明細書で議論されるような生理学的信号を収集および処理するために使用され得る、方法およびシステムの実施例は、共同所有され、上記で参照された、2016年5月23日に出願され、「Method and System for Collecting Phase Signals for Phase Space Tomography Analysis」と題された米国仮特許出願第62/340,410号(その全体は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に見出され得る。したがって、本発明は、本明細書に説明される生体信号取得器具を利用して、任意のタイプの哺乳類の生理学的信号を取得し、次いで、本明細書に説明される種々の位相空間技法および分析を使用してさらに処理され得る、広帯域位相勾配信号データに処理し、ひいては、患者およびその医師のための臨床的に関連する有用な情報を含む、任意の数のフォーマットにおいて、そのような技法および分析に基づいてデータおよび/または報告を発生させるための方法およびシステムを考慮する。
【0148】
図12Aおよび12Bは、例証的実施形態による、広帯域心臓位相勾配信号と関連付けられる生体電位信号を取得するための患者の胸部および背中における表面電極106a-106gの例示的設置の略図である。図12Aは、患者の胸部および背部への表面電極106a-106gの設置の正面図を示す。図12Bは、同一部分への表面電極106a-106gの設置の側面図を示す。示されるように、表面電極は、i)第5肋間腔に対応する右前腋窩線の近位の第1の場所と、ii)第5肋間腔に対応する左前腋窩線の近位の第2の場所と、iii)第1肋間腔に対応する胸骨左縁の近位の第3の場所と、iv)胸骨の下方および剣状突起の側方の胸骨左縁の近位の第4の場所と、v)第3肋間腔に対応する胸骨左縁の近位の第5の場所と、vi)第5の場所の正反対かつ脊椎の左の背中の近位の第6の場所と、viii)左腋窩線に沿った第2肋間腔に対応する右上腹部の近位の第7の場所とに位置付けられる。共通リード(「CMM」として示される)も、示される。
【0149】
図12Aおよび12Bはまた、BSA器具によって取得される差動測定の例示的取得点も示す。
【0150】
広帯域心臓位相勾配信号の取得に加え、例示されるシステム100は、広帯域脳位相勾配信号を取得するために使用され得ることが考慮される。
【0151】
図13は、例証的実施形態による、BSA器具またはデバイス1100(「生体信号取得デバイス」100として示される)の例示的動作である。図13に示されるように、BSA器具1100は、広帯域心臓位相勾配信号116を患者108から取得するように構成される。各BSA器具1100は、取得された広帯域心臓位相勾配信号データ116を複数のBSA器具100に接続されるデータリポジトリ1304(「MDDS1304」(医療デバイスデータシステム)として示される)に伝送するように構成される、無線通信デバイス1302に動作可能に結合される。各BSA器具1100の広帯域心臓位相勾配信号データ116は、リポジトリ1304に記憶され、続いて、例えば、処理センタ1306によって分析される。分析の出力は、診断リポジトリ1308内に記憶され、これは、クライアントデバイス1310を介して、診断リポジトリ1308に動作可能に結合されるポータル1312から、臨床医にアクセス可能である。
【0152】
このようにして、本開示のいくつかの実施形態を説明してきたが、むしろ、前述の詳細な開示は、一例として提示されるにすぎず、限定的ではないことを意図していることが、当業者に明白となるであろう。心臓内の異常の場所に関する非侵襲性方法およびシステムの多くの利点が、本明細書で議論されている。種々の改変、改良、および修正が、当業者に想起され、意図されるであろうが、本明細書では明示的に述べられていない。これらの改変、改良、および修正は、本明細書によって示唆されることを意図し、本開示の精神および範囲内である。
【0153】
いくつかの実施形態では、広帯域位相勾配信号と関連付けられる生体電位信号の取得は、種々の疾患および症状を診断するように、身体の他の部分において実施されてもよい。例えば、例示されるシステムは、腫瘍学のための広帯域位相勾配信号と関連付けられる生体電位信号を取得するために使用されてもよい。例示されるシステムは、胎内発育を監視するための広帯域位相勾配信号と関連付けられる生体電位信号を取得するために使用されてもよい。
【0154】
例示される方法およびシステムは、研究および臨床目的のため、および獣医学目的における動物の治療のための試験動物を含む、任意のタイプの哺乳類および動物から生体信号を取得するために使用され得ることが考慮される。
【0155】
加えて、処理要素またはシーケンスの列挙される順序、または数字、文字、または他の記号の使用は、したがって、請求項に規定され得る場合を除き、請求されるプロセスをいかなる順序にも限定することを意図していない。故に、本開示は、以下の請求項およびその均等物によってのみ限定される。
【0156】
例示的分析は、限定ではないが、心臓病、心不整脈、糖尿病性自律神経障害、パーキンソン病、てんかんの形態、脳損傷、変性認知状態、異なる心拍数における心臓の安定性、薬剤の有効性、虚血、無症候性虚血、心房細動、心室細動、心室頻拍、血管閉塞、注意力欠如障害等を含む、種々の病理および症状を識別するために、使用されることができる。
【0157】
別様に明示的に記述されない限り、本明細書に記載される任意の方法が、そのステップが具体的順序で実施されることを要求すると解釈されることは、いかようにも意図されない。故に、方法の請求項が、そのステップによって辿られる順序を実際に記載しない、またはステップが具体的順序に限定されるものであることが請求項または説明において別様に具体的に記述されない場合、任意の点に関して順序が推測されることは、いかようにも意図されない。これは、ステップまたは動作フローの配列に関する論理の事項、文法構成または句読点に由来する単純な意味、本明細書に説明される実施形態の数またはタイプを含む、解釈の任意の可能性として考えられる非明示的根拠に当てはまる。
【0158】
本明細書で議論される、これらの種々の構成要素は、これらの実施形態において機能し得る構成要素の実施例にすぎず、他の構成要素もまた、使用されてもよい。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図9G
図9H
図9I
図9J
図9K
図9L
図9M
図9N
図9O
図9P
図9Q
図9R
図9S
図9T
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12
図13