(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156529
(43)【公開日】2023-10-24
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 13/00 20060101AFI20231017BHJP
【FI】
B60C13/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023138200
(22)【出願日】2023-08-28
(62)【分割の表示】P 2019212400の分割
【原出願日】2019-11-25
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】野口 貴史
(72)【発明者】
【氏名】兼松 義明
(57)【要約】
【課題】 目隠し効果を向上させる。
【解決手段】 サイドウォール部3の表面3aに模様部5が設けられタイヤ1である。模様部5は、外側模様6と、内側模様7とを含んでいる。外側模様6は、タイヤ周方向線Y上の第1点Aを中心として、タイヤ半径方向の外側に、第1点Aと異なるタイヤ周方向線Y上の第2点B側へ向かって同心状に配された複数の外側リッジ8を含んでいる。内側模様7は、第2点Bを中心として、タイヤ半径方向の内側に、第1点A側へ向かって同心状に配された複数の内側リッジ9を含んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイドウォール部を有するタイヤであって、
前記サイドウォール部の表面には模様部が設けられ、
前記模様部は、前記模様部内を通るタイヤ周方向線よりも外側に形成される外側模様と、前記タイヤ周方向線よりも内側に形成される内側模様とを含み、
前記外側模様は、前記タイヤ周方向線上の第1点を中心として、タイヤ半径方向の外側に、前記第1点と異なる前記タイヤ周方向線上の第2点側へ向かって同心状に配された複数の外側リッジを含み、
前記内側模様は、前記第2点を中心として、タイヤ半径方向の内側に、前記第1点側へ向かって同心状に配された複数の内側リッジを含む、
タイヤ。
【請求項2】
前記外側リッジのそれぞれは、前記内側リッジのいずれかと前記タイヤ周方向線上で連なる、請求項1に記載のタイヤ。
【請求項3】
前記各外側リッジ及び前記各内側リッジは、それぞれ相似形状である、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記各外側リッジ及び前記各内側リッジは、屈曲している、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項5】
前記各外側リッジ及び前記各内側リッジは、円弧状に延びている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項6】
前記タイヤ周方向線は、前記模様部のタイヤ半径方向の中間位置からタイヤ半径方向の内外に、前記模様部のタイヤ半径方向の長さの10%以内の位置を通る、請求項1ないし5のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項7】
前記タイヤ周方向線は、前記模様部のタイヤ半径方向の中間位置を通る、請求項6に記載のタイヤ。
【請求項8】
タイヤ周方向に隣接する前記各外側リッジ及びタイヤ周方向に隣接する前記各内側リッジは、等しい間隔で配されている、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項9】
前記模様部は、タイヤ周方向に複数並べられる、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項10】
前記各模様部は、リッジのない隙間を介して並べられる、請求項9に記載のタイヤ。
【請求項11】
前記隙間の幅は、前記外側リッジの間隔の0.5~3倍である、請求項10に記載のタイヤ。
【請求項12】
前記模様部は、タイヤ周方向に等しい間隔で設けられる、請求項9ないし11のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項13】
前記模様部は、タイヤ周方向に異なる間隔で設けられる、請求項9ないし11のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項14】
前記外側リッジは、最大長さの外側最大リッジを含み、
前記外側模様に、前記外側最大リッジよりも前記第1点から離間して前記外側リッジと相似形状の仮想外側線を設けたときに、
前記外側模様と前記仮想外側線側で隣接する外側模様の前記外側リッジは、前記仮想外側線に延びて終端する、請求項9ないし13のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項15】
前記内側リッジは、最大長さの内側最大リッジを含み、
前記内側模様に、前記内側最大リッジよりも前記第2点から離間して前記内側リッジと相似状の仮想内側線を設けたときに、
前記内側模様と前記仮想内側線側で隣接する内側模様の前記内側リッジは、前記仮想内側線に延びて終端する、請求項8ないし14のいずれか1項に記載のタイヤ。
【請求項16】
前記内側リッジと、前記内側リッジに連なる前記外側リッジとの合計長さLaは、前記内側リッジに隣接する内側リッジと、前記隣接する内側リッジに連なる前記外側リッジとの合計長さLbの0.9~1.1倍である、請求項1ないし15のいずれか1項に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、サイドウォール部の表面に帯状の装飾模様が形成された空気入りタイヤが記載されている。前記装飾模様は、単位模様が繰り返して並べられて形成されている。前記単位模様は、相似形をなす複数個の略多角形模様が同心に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような装飾模様は、例えば、光のコントラストを利用して、サイドウォール部の表面に生じがちなバルジやデントといった凹凸である成形不良を目立たなくする効果(以下、「目隠し効果」という場合がある。)を有し、前記サイドウォール部の外観性能を高める。
【0005】
近年、目隠し効果を、一層高めることが求められている。
【0006】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、目隠し効果を向上し得るタイヤを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、サイドウォール部を有するタイヤであって、前記サイドウォール部の表面には模様部が設けられ、前記模様部は、前記模様部内を通るタイヤ周方向線よりも外側に形成される外側模様と、前記タイヤ周方向線よりも内側に形成される内側模様とを含み、前記外側模様は、前記タイヤ周方向線上の第1点を中心として、タイヤ半径方向の外側に、前記第1点と異なる前記タイヤ周方向線上の第2点側へ向かって同心状に配された複数の外側リッジを含み、前記内側模様は、前記第2点を中心として、タイヤ半径方向の内側に、前記第1点側へ向かって同心状に配された複数の内側リッジを含み、前記外側リッジのそれぞれは、前記内側リッジのいずれかと前記タイヤ周方向線上で連なる。
【0008】
本発明に係るタイヤは、前記各外側リッジ及び前記各内側リッジが、それぞれ相似形状である、のが望ましい。
【0009】
本発明に係るタイヤは、前記各外側リッジ及び前記各内側リッジが、屈曲している、のが望ましい。
【0010】
本発明に係るタイヤは、前記各外側リッジ及び前記各内側リッジが、円弧状に延びている、のが望ましい。
【0011】
本発明に係るタイヤは、前記タイヤ周方向線が、前記模様部のタイヤ半径方向の中間位置からタイヤ半径方向の内外に、前記模様部のタイヤ半径方向の長さの10%以内の位置を通る、のが望ましい。
【0012】
本発明に係るタイヤは、前記タイヤ周方向線が、前記模様部のタイヤ半径方向の中間位置を通る、のが望ましい。
【0013】
本発明に係るタイヤは、タイヤ周方向に隣接する前記各外側リッジ及びタイヤ周方向に隣接する前記各内側リッジが、等しい間隔で配されている、のが望ましい。
【0014】
本発明に係るタイヤは、前記模様部が、タイヤ周方向に複数並べられる、のが望ましい。
【0015】
本発明に係るタイヤは、前記各模様部が、リッジのない隙間を介して並べられる、のが望ましい。
【0016】
本発明に係るタイヤは、前記隙間の幅が、前記外側リッジの間隔の0.5~3倍である、のが望ましい。
【0017】
本発明に係るタイヤは、前記模様部が、タイヤ周方向に等しい間隔で設けられる、のが望ましい。
【0018】
本発明に係るタイヤは、前記模様部が、タイヤ周方向に異なる間隔で設けられる、のが望ましい。
【0019】
本発明に係るタイヤは、前記外側リッジが、最大長さの外側最大リッジを含み、前記外側模様に、前記外側最大リッジよりも前記第1点から離間して前記外側リッジと相似形状の仮想外側線を設けたときに、前記外側模様と前記仮想外側線側で隣接する外側模様の前記外側リッジは、前記仮想外側線に延びて終端する、のが望ましい。
【0020】
本発明に係るタイヤは、前記内側リッジが、最大長さの内側最大リッジを含み、前記内側模様に、前記内側最大リッジよりも前記第2点から離間して前記内側リッジと相似状の仮想内側線を設けたときに、前記内側模様と前記仮想内側線側で隣接する内側模様の前記内側リッジは、前記仮想内側線に延びて終端する、のが望ましい。
【0021】
本発明に係るタイヤは、前記内側リッジと、前記内側リッジに連なる前記外側リッジとの合計長さLaが、前記内側リッジに隣接する内側リッジと、前記隣接する内側リッジに連なる前記外側リッジとの合計長さLbの0.9~1.1倍である、のが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明のタイヤは、サイドウォール部の表面に、外側模様と内側模様とを含む模様部が設けられている。前記外側模様は、タイヤ周方向線上の第1点を中心として、前記タイヤ周方向線上の第2点側へ向かって同心状に配された複数の外側リッジを含んでいる。前記内側模様は、前記第2点を中心として、タイヤ半径方向の内側に、前記第1点側へ向かって同心状に配された複数の内側リッジを含んでいる。このように、前記外側リッジと前記内側リッジとは同心状に配されており、立体的な視覚効果が高められるので、前記模様部が目立ちやすくなる。また、前記外側リッジと前記内側リッジとは、互いに逆方向となるので、前記模様部に変化をもたらす他、コントラストを高める。これにより、前記外側模様又は前記内側模様は、凹凸である成形不良を目立たなくする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明のタイヤの一実施例を示す部分側面図である。
【
図3】本実施形態のサイドウォール部の部分正面図である。
【
図5】本実施形態の外側リッジ及び内側リッジの正面図である。
【
図6】他の実施形態のサイドウォール部の正面図である。
【
図7】さらに他の実施形態のサイドウォール部の正面図である。
【
図8】さらに他の実施形態のサイドウォール部の正面図である。
【
図9】さらに他の実施形態のサイドウォール部の正面図である。
【
図10】比較例1のサイドウォール部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、本実施形態のタイヤ1の部分側面図である。
図1には、好ましい態様として、乗用車用の空気入りタイヤ1が示される。なお、本発明は、自動二輪車用や重荷重用等の空気入りタイヤ1や、他のカテゴリーのタイヤ1にも適用し得る。
【0025】
図1に示されるように、本実施形態のタイヤ1は、サイドウォール部3の表面3aに、模様部5が設けられている。模様部5は、例えば、図示されない他方側のサイドウォール部の表面にも設けられてよい。模様部5は、本実施形態では、タイヤ最大幅位置(図示省略)を含んで形成されている。「タイヤ最大幅位置」は、本明細書では、正規状態において、サイドウォール部3に設けられた文字、模様部5、及び、リムプロテクタ―等を除外したタイヤ断面輪郭形状(図示省略)から定められるものとする。模様部5は、例えば、図示されない他方側のサイドウォール部の表面にも設けられてよい。なお、
図1の上側がタイヤ半径方向の外側を示し、
図1の下側がタイヤ半径方向の内側を示している。
【0026】
前記「正規状態」とは、タイヤ1が、正規リム(図示省略)にリム組みされかつ正規内圧が充填されしかも無負荷の状態である。 本明細書において、特に断りがない場合、タイヤ1の各部の寸法は、正規状態での値である。
【0027】
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば"標準リム"、TRAであれば "Design Rim" 、ETRTOであれば "Measuring Rim" である。
【0028】
前記「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、例えば、JATMAであれば"最高空気圧"、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" である。
【0029】
模様部5は、模様部5内を通るタイヤ周方向線Yよりも外側に形成される外側模様6と、タイヤ周方向線Yよりも内側に形成される内側模様7とを含んでいる。タイヤ周方向線Yは、本明細書では、サイドウォール部3の表面3a上を通ってタイヤ周方向に延びる仮想の線である。
【0030】
外側模様6は、タイヤ周方向線Y上の第1点Aを中心として、タイヤ半径方向の外側に、第1点Aと異なるタイヤ周方向線Y上の第2点B(
図1では左側)側へ向かって同心状に配された複数の外側リッジ8を含んでいる。内側模様7は、第2点Bを中心として、タイヤ半径方向の内側に、第1点A(
図1では右側)側へ向かって同心状に配された複数の内側リッジ9を含んでいる。このように、外側リッジ8と内側リッジ9とは同心状に配されており、立体的な視覚効果が高められるので、模様部5が目立ちやすくなる。また、外側リッジ8と内側リッジ9とは、互いに逆方向となるので、模様部5に変化をもたらす他、コントラストを高める。これにより、外側模様6又は内側模様7は、凹凸である成形不良を目立たなくする。前記「同心状」は、本明細書では、厳密に中心が一致している態様を包含するが、タイヤ1を外部から肉眼で観察したときに、一見して同心という感性を与える態様が含まれる。また、第1点A及び第2点Bは、タイヤ周方向線Y上の仮想の点である。
【0031】
外側リッジ8のそれぞれは、内側リッジ9のいずれかとタイヤ周方向線Y上で連なっている。これにより、外側模様6と内側模様7との間に形成される成形不良が目立たなくなる。また、模様部5の視認性や見映えが高められる。したがって、本実施形態のサイドウォール部3は、優れた外観性能を有する。
【0032】
本実施形態のサイドウォール部3には、模様部5よりもタイヤ半径方向外側に設けられてタイヤ周方向に延びる外側リブ10と、模様部5よりもタイヤ半径方向内側に設けられてタイヤ周方向に延びる内側リブ11とが形成されている。各リブ10、11は、本明細書では、サイドウォール部3の表面3aからタイヤ軸方向外側に突出して、タイヤ周方向に連続して1周分延びている凸条体をいう。
【0033】
模様部5は、例えば、加硫成形又は切削加工等によって形成される模様である。本実施形態の模様部5は、耐久性及び生産性の観点から、加硫成形により形成されている。
【0034】
図2は、
図1のa-a線断面図である。
図2に外側リッジ8が代表して示されるように、外側リッジ8及び内側リッジ9のそれぞれは、例えば、サイドウォール部3の表面3aからタイヤ軸方向の外側に突出する凸条体として形成される。外側リッジ8及び内側リッジ9の断面形状は、本実施形態では、三角形状である。外側リッジ8及び内側リッジ9は、例えば、同じ断面形状で形成される。外側リッジ8及び内側リッジ9の断面形状は、例えば、矩形状や、半円弧状でもよい。
図1等のタイヤ1の側面図(サイドウォール部3の正面図)では、外側リッジ8及び内側リッジ9の頂点Kが示されている。
【0035】
このような外側リッジ8及び内側リッジ9は、長手方向に対して直交する幅w1が0.4~2.0mmであるのが望ましい。また、外側リッジ8及び内側リッジ9は、表面3aからの隆起高さh1が0.4~2.0mmであるのが望ましい。
【0036】
図1に示されるように、各外側リッジ8及び各内側リッジ9は、本実施形態では、それぞれ相似形状である。これにより、外側模様6及び内側模様7の視認性が高められるので、外観性能が向上する。なお、相似形状とは、本明細書では、一の外側リッジ8又は内側リッジ9の頂点Kで形成される線分を各点A、Bを中心として拡大又は縮小することで、他の外側リッジ8又は内側リッジ9の頂点Kで形成される線分と完全に重ね合わせられることをいう。また、相似形状とは、本明細書では、拡大又は縮小された前記一の線分と前記他の線分とを重ね合わせたときに、いずれかの前記線分が、他の前記線分に覆われる態様も含んでいる。さらに、相似形状とは、本明細書では、タイヤ1を外部から肉眼で観察したときに、一見して相似という感性を与える形が含まれる。典型的なサイドウォール部3の表面3aは、三次元の滑らかな凸曲面であるので、厳密な相似模様を形成するのは困難である。
【0037】
各外側リッジ8及び各内側リッジ9は、例えば、円弧状に延びている。これにより、外側リッジ8と、この外側リッジに連なる内側リッジ9とで、タイヤ半径方向に逆向きの2つの凸の円弧部が形成される。また、外側模様6及び内側模様7は、本実施形態では、それぞれ扇状に形成されている。このような外側模様6及び内側模様7は、高い視認性を有して目立つので、外観性能を向上する。各外側リッジ8及び各内側リッジ9は、本実施形態では、それぞれ、単一の曲率半径を有する円弧状に形成されている。
【0038】
タイヤ周方向線Yは、本実施形態では、模様部5のタイヤ半径方向の中間位置5cからタイヤ半径方向の内外に、模様部5のタイヤ半径方向の長さL1の10%以内の位置を通る。これにより、外側模様6及び内側模様7の大きさ(面積)がほぼ同一となり、模様部5の見た目のバランスが高められるので、外観性能が向上する。このような観点より、タイヤ周方向線Yは、模様部5のタイヤ半径方向の中間位置5cを通るのが望ましい。
【0039】
タイヤ周方向に隣接する各外側リッジ8及びタイヤ周方向に隣接する各内側リッジ9は、本実施形態では、等しい間隔P1で配されている。これにより、模様部5の光の反射による明暗が同じ比率で連続するので、目隠し効果が高まる。第1点A側から第2点B側まで、本実施形態では、全ての外側リッジ8の間隔P1及び全ての内側リッジ9の間隔P1が同じである。
【0040】
各外側リッジ8及び各内側リッジ9のそれぞれは、例えば、タイヤ周方向線Y上でタイヤ半径方向に滑らかに連なっている。これにより、外側リッジ8及び内側リッジ9の剛性が確保され、クラックや欠け等の発生が抑制されるので、高い外観性能が維持される。各外側リッジ8及び各内側リッジ9のそれぞれは、本実施形態では、タイヤ周方向線Y上に変曲点を有するように連なっている。
【0041】
図3は、サイドウォール部3の拡大図である。
図3に示されるように、模様部5は、例えば、タイヤ周方向に複数並べられる。模様部5は、例えば、タイヤ周方向に連続して1周分形成されてもよいし、タイヤ周方向で両端を有するように途切れてもよい。
【0042】
模様部5は、本実施形態では、タイヤ周方向に等しい間隔P2で並べられる。このような模様部5は、観者に整然とした感じを与えるので外観性能を高める。間隔P2は、第1点A間の距離である。
【0043】
各模様部5は、リッジのない隙間13を介して並べられている。このような隙間13は、模様部5の視認性を高めて目立ちやすくする。隙間13は、本実施形態では、タイヤ周方向に隣接する外側模様6間に形成される外側隙間部13A、及び、タイヤ周方向隣接する内側模様7間に形成される内側隙間部13Bを含んでいる。
【0044】
図4は、
図3の模様部5の拡大図である。
図4には、便宜上、タイヤ周方向に並ぶ2つの模様部5が示される。
図4に示されるように、外側リッジ8は、例えば、最大長さとなる外側最大リッジ8xを含んでいる。内側リッジ9は、例えば、最大長さとなる内側最大リッジ9xを含んでいる。
【0045】
外側最大リッジ8xは、本実施形態では、外側リブ10に接触することなく配されている。外側最大リッジ8xは、例えば、内側リッジ9と連なることなくタイヤ周方向線Y上で終端している。外側最大リッジ8xは、本実施形態では、第2点Bよりも第1点A側に配されている。内側最大リッジ9xは、本実施形態では、内側リブ11に接触することなく配されている。内側最大リッジ9xは、例えば、外側リッジ8と連なることなくタイヤ周方向線Y上で終端している。内側最大リッジ9xは、本実施形態では、第1点Aよりも第2点B側に配されている。
【0046】
外側模様6には、外側最大リッジ8xよりも第1点Aから離間して外側リッジ8と相似形状の仮想外側線8sが設けられる。このとき、この外側模様6と仮想外側線8s側で隣接する外側模様6の外側リッジ8は、本実施形態では、仮想外側線8sに延びて終端している。このような外側模様6は、サイドウォール部3の外観性能を高める。本実施形態では、外側模様6の外側リッジ8の全てが、仮想外側線8sに延びて終端している。
【0047】
内側模様7には、内側最大リッジ9xよりも第2点Bから離間して内側リッジ9と相似形状の仮想内側線9sが設けられる。このとき、この内側模様7と仮想内側線9s側で隣接する内側模様7の内側リッジ9は、本実施形態では、仮想内側線9sに延びて終端している。このような内側模様7は、サイドウォール部3の外観性能を高める。本実施形態では、内側模様7の内側リッジ9の全てが、仮想内側線9sに延びて終端している。
【0048】
本実施形態では、外側模様6の中心となる第1点Aは、この外側模様6と第1点Aを介して向き合う内側模様7の中心となる第2点Bを形成する。換言すると、内側模様7の中心となる第2点Bは、本実施形態では、この内側模様7と第2点Bを介して向き合う外側模様6の中心となる第1点Aを形成する。各第1点Aは、本実施形態では、タイヤ周方向に等しい間隔P3で配される。各第2点Bは、本実施形態では、第1点A上に配される。
【0049】
このような模様部5は、
図3に示されるように、タイヤ周方向に並ぶ外側模様6が、複数の半円がタイヤ周方向の一方側に重なり合い(図では、左側の半円の上に右側の半円が重ねられる)、浮き上がるように見えるので、立体的な視覚効果が発揮される。同様に、タイヤ周方向に並ぶ内側模様7は、複数の半円がタイヤ周方向の他方側に重なり合い(図では、右側の半円の上に左側の半円が重ねられる)、浮き上がるように見えるので、立体的な視覚効果が発揮される。また、外側模様6と、この外側模様6の第1点Aを中心とする内側模様7とで、円がタイヤ周方向に重なり合った形状を想起させる。これにより、模様部5の外観性能が向上する。
【0050】
図4に示されるように、外側最大リッジ8xと、外側最大リッジ8x側に配される外側模様6との間に、本実施形態の外側隙間部13Aが形成される。換言すると、外側隙間部13Aは、外側最大リッジ8xと仮想外側線8sとの間に形成される。内側最大リッジ9xと、内側最大リッジ9x側に配される内側模様7との間に、本実施形態の外側隙間部13Aが形成される。土曜に、内側隙間部13Bは、内側最大リッジ9xと仮想内側線9sとの間に形成される。
【0051】
隙間13の幅Lsは、外側リッジ8の間隔P1の0.5~3倍であるのが望ましい。隙間13の幅Lsが外側リッジ8の間隔P1の0.5倍以上であるので、隙間13の存在が十分に認識され、模様部5を目立たせることができる。隙間13の幅Lsが外側リッジ8の間隔P1の3倍以下であるので、隙間13の大きさが抑制され成形不良の目隠し効果が高く維持される。このような作用を効果的に発揮させるために、隙間13の幅Lsは、外側リッジ8の間隔P1の0.8倍以上が望ましく、また、外側リッジ8の間隔P1の2倍以下が望ましい。隙間13の幅Lsは、本実施形態では、外側リッジ8の間隔P1と同じである。
【0052】
外側リッジ8は、本実施形態では、タイヤ周方向線Yに連なる外側主リッジ14と、外側リブ10に連なる外側副リッジ15とを含んでいる。外側主リッジ14及び外側副リッジ15の一端14i、15iは、仮想外側線8sに位置している。
【0053】
内側リッジ9は、本実施形態では、タイヤ周方向線Yに連なる内側主リッジ16と、内側リブ11に連なる内側副リッジ17とを含んでいる。内側主リッジ16及び内側副リッジ17の一端16i、17iは、仮想内側線9sに位置している。
【0054】
外側副リッジ15は、本実施形態では、外側最大リッジ8xよりも第1点Aから離間して配されている。内側副リッジ17は、本実施形態では、内側最大リッジ9xよりも第2点Bから離間して配されている。このような外側模様6及び内側模様7は、模様部5の視認性を高め目立たせやすくする。
【0055】
図5は、
図4の外側リッジ8と内側リッジ9との部分拡大図である。
図5に示されるように、内側リッジ9aとこの内側リッジ9aに連なる外側リッジ8aとの合計長さLaは内側リッジ9aに隣接する内側リッジ9bとこの内側リッジ9bに連なる外側リッジ8bの合計長さLbの0.9~1.1倍であるのが望ましい。このように形成される模様部5は、まとまりよく視認されるので、外観性能が向上する。
【0056】
図6は、他の実施形態のサイドウォール部3の正面図である。本実施形態のサイドウォール部3と同じ構成には同じ符号が付されて、その説明が省略される。
図6に示されるように、この実施形態の模様部5は、タイヤ周方向に異なる間隔P2a、P2bで設けられている。この実施形態の模様部5は、例えば、第1点Aと第2点Bとがタイヤ周方向線Y上に重複することなく配される。これにより、隙間13によるコントラストの変化が生じ、模様部5の視認性が高められる。この実施形態では、第1点Aと第2点Bとの間の距離L2は、各模様部5それぞれにおいて同じである。
【0057】
図7は、さらに他の実施形態のサイドウォール部3の正面図である。本実施形態のサイドウォール部3と同じ構成には同じ符号が付されて、その説明が省略される。
図7に示されるように、この実施形態の模様部5は、各外側リッジ8及び各内側リッジ9が屈曲している。各外側リッジ8及び各内側リッジ9のそれぞれは、タイヤ周方向線Yからタイヤ半径方向に延びる第1部分20と、タイヤ周方向に延びる第2部分21と、第1部分20と第2部分21とを屈曲状に繋ぐ屈曲部22とを含んでいる。第1部分20及び第2部分21は、例えば、直線状に延びている。第1部分20及び第2部分21は、本実施形態では、同じ長さで形成されている。
【0058】
図8は、さらに他の実施形態のサイドウォール部3の正面図である。本実施形態のサイドウォール部3と同じ構成には同じ符号が付されて、その説明が省略される。
図8に示されるように、この実施形態の模様部5は、外側リッジ8及び内側リッジ9のそれぞれが、屈曲する屈曲リッジ8A、9Aと、直線状に延びる直線状リッジ8B、9Bとを含んでいる。この実施形態の屈曲リッジ8A、9Aは、第1部分20と第2部分21と第3部分23と第1屈曲部24と第2屈曲部25とを含んでいる。第3部分23は、例えば、タイヤ半径方向に対して傾斜して直線状に延びている。第1屈曲部24は、例えば、第1部分20と第3部分23とを屈曲状に繋いでいる。第2屈曲部25は、例えば、第2部分21と第3部分23とを屈曲状に繋いでいる。
【0059】
直線状リッジ8B、9Bは、この実施形態では、タイヤ半径方向に対して傾斜している。直線状リッジ8B、9Bは、例えば、第3部分23と平行に延びている。直線状リッジ8Bは、本実施形態では、屈曲リッジ8Aよりも第1点Aから離間して配されている。直線状リッジ9Bは、本実施形態では、屈曲リッジ9Aよりも第2点Bから離間して配されている。
【0060】
図9は、さらに他の実施形態のサイドウォール部3の正面図である。本実施形態のサイドウォール部3と同じ構成には同じ符号が付されて、その説明が省略される。
図9に示されるように、この実施形態の模様部5は、各外側リッジ8及び各内側リッジ9が円弧状に延びている。各外側リッジ8及び各内側リッジ9のそれぞれは、例えば、楕円を長軸及び短軸で切断した1/4の楕円の円弧状に形成されている。
【0061】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【実施例0062】
サイドウォール部の表面に、
図2に示すような模様部を具える空気入りタイヤが表1の仕様に基づいて試作された。そして、各テストタイヤの外観性能がテストされた。なお、比較例1の模様部5は、外側リッジ8及び内側リッジ9がタイヤ半径方向に対して傾斜し直線状に延びるように形成されている。比較例1の外側リッジ8と内側リッジ9とは、タイヤ周方向線Y上で連なっている。
タイヤサイズ:185/60R15
幅w1:0.5mm
隆起高さh1:0.3mm
間隔P1:1.0mm
L1:33mm
タイヤ周方向線Y:模様部のタイヤ半径方向の中間位置
【0063】
<外観性能>
検査員10人により、試作タイヤを1m離れた側方から目視し、模様部の目立つ度合い(視認性)、及び、成形不良の凹部・凸部の目隠し効果がテストされた。視認性は、3点を基準とした5点法にて評価された。数値が大きいほど、優れている。目隠し効果は、以下の通りの5点法で評価された。結果が表1に示される。
5点:見ても触っても、凹部又は凸部の有無の判別は困難である。
4点:目視にて、凹部又は凸部の有無の判別は困難である。
3点:目視にて、凹部又は凸部の有無の判別は可能であるが、あまり目立たない。
2点:目視にて、凹部又は凸部の有無の判別は容易である。
1点:凹部又は凸部が非常に目立ち、改善が必要である。
凹部:深さが0.5mm、直径が3mm程度の大きさである。
凸部:隆起高さが0.5mm、直径が3mm程度の大きさである。
凹部及び凸部は、いずれのテストタイヤにおいても同数配されている。
表1の「外側リッジ及び内側リッジの タイヤ周方向線上での接続」の「有」は、外側最大リッジ及び内側最大リッジを除く他の外側リッジ及び内側リッジのそれぞれが連なることを意味する。
【0064】
【0065】
実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比して外観性能に優れている。