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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015655
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】三次元画像データ取得方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20230125BHJP
【FI】
G01B11/24 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119565
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 勝
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA53
2F065BB05
2F065BB22
2F065FF04
2F065GG21
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ26
2F065QQ31
(57)【要約】
【課題】可視光に対して不透明な不透明部分と、可視光に対して透明な透明部分とが混在する立体構造物について、不透明部分及び透明部分の三次元画像データを区別して取得する。
【解決手段】三次元画像データ取得方法は、立体構造物に可視光又は可視光よりも波長が長く不透明部分が吸収可能な光を照射して可視光データを取得する可視光データ取得ステップと、予め紫外光を吸収するように透明部分を形成しておき、立体構造物に紫外光を照射して紫外光データ取得ステップと、可視光データと紫外光データとに基づいて、不透明部分の三次元画像データである不透明データと、透明部分の三次元画像データである透明データとを分離して生成する分離データ生成ステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光に対して不透明な不透明部分と、前記可視光に対して透明な透明部分とが混在する立体構造物の三次元画像データを取得する三次元画像データ取得方法であって、
前記立体構造物に前記可視光又は前記可視光よりも波長が長く前記不透明部分が吸収可能な光を照射して前記立体構造物の三次元画像データである可視光データを取得する可視光データ取得ステップと、
予め紫外光を吸収するように前記透明部分を形成しておき、前記立体構造物に前記紫外光を照射して前記立体構造物の三次元画像データである紫外光データを取得する紫外光データ取得ステップと、
前記可視光データと前記紫外光データとに基づいて、前記不透明部分の三次元画像データである不透明データと、前記透明部分の三次元画像データである透明データとを分離して生成する分離データ生成ステップと
を含む三次元画像データ取得方法。
【請求項2】
前記分離データ生成ステップは、前記可視光データから前記紫外光データと第1係数との積を減算することで前記不透明データを生成する
請求項1に記載の三次元画像データ取得方法。
【請求項3】
前記第1係数は、前記紫外光データにおける前記透明部分の明るさの強度を、
前記可視光データにおける前記透明部分の明るさの強度で割った値である
請求項2に記載の三次元画像データ取得方法。
【請求項4】
前記分離データ生成ステップは、前記紫外光データから前記不透明データと第2係数との積を減算することで前記透明データを生成する
請求項1又は請求項2に記載の三次元画像データ取得方法。
【請求項5】
前記第2係数は、前記紫外光データにおける前記不透明部分の明るさの強度を、前記可視光データにおける前記不透明部分の明るさの強度で割った値である
請求項4に記載の三次元画像データ取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元画像データ取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
立体構造物の三次元画像データを取得する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の三次元画像データの取得方法では、立体構造物に可視光を照射して撮影し、撮影データに基づいて三次元画像データを生成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-134252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような三次元画像データの取得方法では、例えば可視光に対して不透明な不透明部分と、可視光に対して透明な透明部分とが混在する立体構造物について、不透明部分と透明部分とを区別して撮影することが困難であった。このため、不透明部分と透明部分とを区別して三次元画像データを取得することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、可視光に対して不透明な不透明部分と、可視光に対して透明な透明部分とが混在する立体構造物について、不透明部分及び透明部分の三次元画像データを区別して取得することが可能な三次元画像データ取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る三次元画像データ取得方法は、可視光に対して不透明な不透明部分と、前記可視光に対して透明な透明部分とが混在する立体構造物の三次元画像データを取得する三次元画像データ取得方法であって、前記立体構造物に前記可視光又は前記可視光よりも波長が長く前記不透明部分が吸収可能な光を照射して前記立体構造物の三次元画像データである可視光データを取得する可視光データ取得ステップと、予め紫外光を吸収するように前記透明部分を形成しておき、前記立体構造物に前記紫外光を照射して前記立体構造物の三次元画像データである紫外光データを取得する紫外光データ取得ステップと、前記可視光データと前記紫外光データとに基づいて、前記不透明部分の三次元画像データである不透明データと、前記透明部分の三次元画像データである透明データとを分離して生成する分離データ生成ステップとを含む。
【0007】
上記の三次元画像データ取得方法において、前記分離データ生成ステップは、前記可視光データから前記紫外光データと第1係数との積を減算することで前記不透明データを生成してもよい。
【0008】
上記の三次元画像データ取得方法において、前記第1係数は、前記紫外光データにおける前記透明部分の明るさの強度を、前記可視光データにおける前記透明部分の明るさの強度で割った値であってもよい。
【0009】
上記の三次元画像データ取得方法において、前記分離データ生成ステップは、前記紫外光データから前記不透明データと第2係数との積を減算することで前記透明データを生成してもよい。
【0010】
上記の三次元画像データ取得方法において、前記第2係数は、前記紫外光データにおける前記不透明部分の明るさの強度を、前記可視光データにおける前記不透明部分の明るさの強度で割った値であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、可視光に対して不透明な不透明部分と、可視光に対して透明な透明部分とが混在する立体構造物について、不透明部分及び透明部分の三次元画像データを区別して取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本実施形態に係る三次元画像データ取得方法の一例を示すフローチャートである。
図2図2は、可視光データ取得ステップ及び紫外光データ取得ステップの一例を模式的に示す図である。
図3図3は、可視光データ及び紫外光データの一例を示す図である。
図4図4は、不透明データ及び透明データの一例を示す図である。
図5図5は、可視光データ取得ステップ及び紫外光データ取得ステップの他の例を模式的に示す図である。
図6図6は、可視光データ及び紫外光データの一例を示す図である。
図7図7は、不透明データ及び透明データの一例を示す図である。
図8図8は、可視光データ取得ステップ及び紫外光データ取得ステップの他の例を模式的に示す図である。
図9図9は、可視光データ及び紫外光データの一例を示す図である。
図10図10は、不透明データ及び透明データの一例を示す図である。
図11図11は、可視光データ取得ステップ及び紫外光データ取得ステップの他の例を模式的に示す図である。
図12図12は、可視光データ及び紫外光データの一例を示す図である。
図13図13は、不透明データ及び透明データの一例を示す図である。
図14図14は、立体構造物の他の例を模式的に示す図である。
図15図15は、立体構造物の他の例を模式的に示す図である。
図16図16は、立体構造物の他の例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る三次元画像データ取得方法の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
図1は、本実施形態に係る三次元画像データ取得方法の一例を示すフローチャートである。図1に示すように、本実施形態に係る三次元画像データ取得方法は、可視光データ取得ステップ(S10)と、紫外光データ取得ステップ(S20)と、分離データ生成ステップ(S30)とを含む。
【0015】
図2は、可視光データ取得ステップS10及び紫外光データ取得ステップS20の一例を模式的に示す図である。図2に示すように、本実施形態に係る三次元画像データ取得方法は、可視光下で不透明な不透明部分11と、可視光下で透明な透明部分12とが混在する立体構造物10の三次元画像データを取得する。図2において、立体構造物10は、例えば立方体状又は直方体状の透明部分12の内部に不透明部分11が配置された構成を有している。透明部分12は、予め紫外光を吸収するように形成する。例えば、透明部分12は、280~315nmの波長範囲のUV-B光を吸収するポリエステル、ナイロン、アクリル等の樹脂材料や硬質ガラス等を用いて形成された構成とする。
【0016】
可視光データ取得ステップS10において、可視光照射部20は、立体構造物10に対して可視光を照射する。可視光画像検出部30は、可視光が照射された立体構造物10の三次元画像データである可視光データを取得する。
【0017】
可視光照射部20は、例えば赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)のうち少なくとも1色の可視光を発光するLED(Light‐Emitting Diode)又はLD(Laser Diode)を光源として有する。可視光データ取得ステップS10では、可視光照射部20に代えて、例えば可視光よりも波長が長く、不透明部分11が吸収可能な波長の赤外光又は近赤外光を発光するLED又はLDを光源として有する赤外光照射装置が用いられてもよい。
【0018】
可視光画像検出部30は、可視光又は赤外光を受光して電気信号に変換することで画像データを生成可能なCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary MOS)エリアイメージセンサ、リニアセンサ等の受光素子を有する。可視光画像検出部30は、例えば可視光又は赤外光、近赤外光の発光から立体構造物10へ到達し反射後の受光素子までの到達時間に基づいて、三次元画像データを生成可能である。
【0019】
紫外光データ取得ステップS20において、紫外光照射部40は、立体構造物10に対して紫外光を照射する。紫外光画像検出部50は、紫外光が照射された立体構造物10の三次元画像データである紫外光データを取得する。
【0020】
紫外光照射部40は、例えばUV-A(波長400nm~320nm程度)、UV-B(波長320~290nm程度)、UV-C(波長290~230nm程度)の波長域の光を発光する発光素子を有する光源が用いられる。このような光源としては、例えばサファイア基板、Si基板上にエピタキシャル成長させたAlGaN系の紫外光LED又は紫外光LD等が挙げられる。
【0021】
紫外光画像検出部50は、上記波長域の紫外光を受光して電気信号に変換することで画像データを生成可能なCCD、CMOSエリアイメージセンサ、リニアセンサ等の受光素子を有する。可視光画像検出部30は、例えば紫外光の発光から立体構造物10へ到達し反射後の受光素子までの到達時間に基づいて、三次元画像データを生成可能である。
【0022】
図3は、可視光データ及び紫外光データの一例を示す図である。図3に示すように、可視光データD1として、不透明部分11の三次元画像を主として含む三次元画像データが可視光画像検出部30で生成される。可視光照射部20から可視光を照射した場合、可視光は透明部分12をほぼ透過し、主として不透明部分11により吸収される。したがって上記したような不透明部分11が鮮明に映った可視光データD1が生成される。なお、不透明部分11と大気との屈折率の差により、可視光データD1には、透明部分12の一部が薄く表れる場合がある。
【0023】
また、図3に示すように、紫外光データD2として、透明部分12の三次元画像を主として含む三次元画像データが紫外光画像検出部50で生成される。紫外光照射部40から紫外光を照射した場合、紫外光は透明部分12により大部分が吸収され、ごく一部が不透明部分11により反射又は吸収される。したがって、上記したような透明部分12が鮮明に映った紫外光データD2が生成される。なお、透明部分12を透過した光の一部が不透明部分11で反射又は吸収されるため、紫外光データD2には、不透明部分11の一部が薄く表れる場合がある。
【0024】
分離データ生成ステップS30では、可視光データD1及び紫外光データD2に基づいて、不透明部分11の三次元画像データである不透明データと、透明部分12の三次元画像データである透明データとを分離して生成する。図4は、不透明データ及び透明データの一例を示す図である。まず、不透明データD3を生成する。不透明データD3は、下記の式1で示されるように、可視光データD1から紫外光データD2と第1係数αとの積を減算することで生成する。
【0025】
D3=D1-α・D2 ・・・(式1)
【0026】
ここで、αは0より大きく1以下の数である。可視光データD1における透明部分12の明るさの強度をA1とし、紫外光データにおける透明部分12の部分の明るさの強度A2とすると、αは、以下の式2で示すことができる。
【0027】
α=A2/A1 ・・・(式2)
【0028】
このような演算を行うことにより、図4の左側に示す不透明データD3が得られる。不透明データD3は、立体構造物10のうち不透明部分11のみを示す三次元画像データである。
【0029】
分離データ生成ステップS30では、不透明データD3を生成した後、透明データD4を生成する。透明データD4は、は、下記の式3で示されるように、紫外光データD2から不透明データD3と第2係数βとの積を減算することで生成する。
【0030】
D4=D2-β・D3 ・・・(式3)
【0031】
ここで、βは0より大きく1以下の数である。可視光データD1における不透明部分11の明るさの強度をB1とし、紫外光データD2における不透明部分11の部分の明るさの強度B2とすると、βは、以下の式4で示すことができる。なお、係数βの値は、不透明部分11の部分のデータがゼロとなるように微調整してもよい。
【0032】
β=B2/B1 ・・・(式4)
【0033】
なお、上記式1と式3とを組み合わせることにより、以下の式5が得られる。
【0034】
D4=D2-β・(D1-α・D2) ・・・(式5)
【0035】
したがって、透明データD4は、可視光データD1及び紫外光データD2と、係数α、βとに基づいて生成することも可能である。
【0036】
このような演算を行うことにより、図4の右側に示す透明データD4が得られる。透明データD4は、立体構造物10のうち透明部分12のみを示す三次元画像データである。
【0037】
図5は、可視光データ取得ステップS10及び紫外光データ取得ステップS20の他の例を模式的に示す図である。図5に示す立体構造物10Aは、透明部分12の表面に紫外光吸収層12aが塗布された構成である。例えば、透明部分12の構成材料として、UV-B光の波長以上となる紫外光に対して透明なポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂材料や石英ガラス等の材料を用いる場合、紫外光データ取得ステップにおいて十分な三次元画像が得られない場合がある。
【0038】
このため、上記のような材料を用いる場合、透明部分12の表面に紫外光吸収層12aを塗布又は配置する。紫外光吸収層12aは、例えばラジカル重合の光重合開始剤として用いるベンゾフェノン系、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、チオキサントン系などの紫外光開始剤を単独で紫外光硬化させた皮膜として用いてもよいし、又はウレタンアクリレート、エポキシアクリレート 、アクリルアクリレート、ポリエステルアクリレートなどの光重合性オリゴマや、多官能アクリレートモノマーや単官能アクリレートモノマーなどの光重合性モノマーと共に紫外光硬化させた皮膜として用いてもよい。
【0039】
紫外光吸収層12aは、紫外光データ取得ステップを行った後で洗浄により除去可能な水、有機溶剤等の溶媒に再溶解する構成が好ましい。また、洗浄後に残留しても人間の目には検知されにくい可視域で透明な材料とすることが好ましい。紫外光吸収層12aを均一に塗布するため、例えば紫外光吸収剤それ自身が溶媒に溶解する構成、又は、皮膜を形成するために添加する再溶解性のバインダー樹脂と相溶性のある構成が好ましい。
【0040】
図6は、可視光データ及び紫外光データの一例を示す図である。図6に示すように、可視光データD5として、不透明部分11の三次元画像を主として含む三次元画像データが可視光画像検出部30で生成される。可視光データD5は、不透明部分11が鮮明に映った状態で生成される。また、図6に示すように、紫外光データD6として、透明部分12の三次元画像を主として含む三次元画像データが紫外光画像検出部50で生成される。紫外光データD6は、透明部分12が鮮明に映った状態で生成される。
【0041】
図7は、分離データ生成ステップにおいて生成される不透明データ及び透明データの一例を示す図である。分離データ生成ステップS30では、まず、可視光データD5から紫外光データD6と第1係数との積を減算することで不透明データD7を生成する。第1係数については、上記同様である。不透明データD7を生成した後、紫外光データD6から不透明データD7と第2係数との積を減算することで透明データD8を生成する。第2係数については、上記同様である。
【0042】
このように、透明部分12の表面に紫外光吸収層12aを形成した場合においても同様に、立体構造物10のうち不透明部分11のみを示す不透明データD7と、透明部分12のみを示す透明データD8とが得られる。
【0043】
図8は、可視光データ取得ステップS10及び紫外光データ取得ステップS20の他の例を模式的に示す図である。図8に示す立体構造物10Bは、不透明部分11Bと透明部分12Bとが独立して異なる位置に存在する場合を示す。なお、不透明部分11Bと透明部分12Bとが表面で接している場合についても、同様の説明が可能である。立体構造物10Bは、上記したような、不透明部分11が透明部分12に内包された構成に比べて、不透明部分11B及び透明部分12Bを区別して検出することが容易となる。
【0044】
図9は、可視光データ及び紫外光データの一例を示す図である。図9に示すように、可視光データD9として、不透明部分11Bの三次元画像を主として含む三次元画像データが可視光画像検出部30で生成される。可視光データD9は、不透明部分11Bが鮮明に映った状態で生成される。また、図9に示すように、紫外光データD10として、透明部分12Bの三次元画像を主として含む三次元画像データが紫外光画像検出部50で生成される。紫外光データD10は、透明部分12が鮮明に映った状態で生成される。
【0045】
図10は、分離データ生成ステップにおいて生成される不透明データ及び透明データの一例を示す図である。分離データ生成ステップS30では、まず、可視光データD9から紫外光データD10と第1係数との積を減算することで不透明データD11を生成する。第1係数については、上記同様である。不透明データD11を生成した後、紫外光データD10から不透明データD11と第2係数との積を減算することで透明データD12を生成する。第2係数については、上記同様である。
【0046】
このように、不透明部分11Bと透明部分12Bとが独立して異なる位置に存在する場合においても同様に、立体構造物10Bのうち不透明部分11Bのみを示す不透明データD11と、透明部分12Bのみを示す透明データD12とが得られる。
【0047】
図11は、可視光データ取得ステップS10及び紫外光データ取得ステップS20の他の例を模式的に示す図である。図4に示す立体構造物10Cは、透明部分12Bの表面に紫外光吸収層12cが塗布された構成である。紫外光吸収層12cの構成については、図4の例で説明した内容と同様の説明が適用できる。
【0048】
図12は、可視光データ及び紫外光データの一例を示す図である。図12に示すように、可視光データD13として、不透明部分11Bの三次元画像を主として含む三次元画像データが可視光画像検出部30で生成される。可視光データD13は、不透明部分11Bが鮮明に映った状態で生成される。また、図15に示すように、紫外光データD10として、透明部分12Bの三次元画像を主として含む三次元画像データが紫外光画像検出部50で生成される。紫外光データD14は、透明部分12が鮮明に映った状態で生成される。
【0049】
図13は、分離データ生成ステップにおいて生成される不透明データ及び透明データの一例を示す図である。分離データ生成ステップS30では、まず、可視光データD13から紫外光データD14と第1係数との積を減算することで不透明データD15を生成する。第1係数については、上記同様である。不透明データD15を生成した後、紫外光データD14から不透明データD15と第2係数との積を減算することで透明データD16を生成する。第2係数については、上記同様である。
【0050】
このように、不透明部分11Bと透明部分12Bとが独立して異なる位置に存在し、透明部分12Bの表面に紫外光吸収層12cを形成した場合においても同様に、立体構造物10Cのうち不透明部分11Bのみを示す不透明データD15と、透明部分12Bのみを示す透明データD16とが得られる。
【0051】
図14は、立体構造物の他の例を模式的に示す図である。図14に示す立体構造物10Dは、不透明部分11Dであるキャベツの表面に、透明部分12Dである水滴が付着した構成である。このような構成の立体構造物10Dの三次元画像データを、を上記した可視光データ取得ステップS10、紫外光データ取得ステップS20及び分離データ生成ステップS30により取得することにより、不透明部分11Dであるキャベツの三次元画像データ(不透明データ)D17と、透明部分12Dである水滴の三次元画像データ(透明データ)D18とを互いに分離した状態で取得することができる。
【0052】
図15は、立体構造物の他の例を模式的に示す図である。図16に示す立体構造物10Eは、不透明部分11Eであるメガネフレームに、透明部分12Dであるレンズがはめ込まれた構成である。このような構成の立体構造物10Eの三次元画像データを、を上記した可視光データ取得ステップS10、紫外光データ取得ステップS20及び分離データ生成ステップS30により取得することにより、不透明部分11Eであるメガネフレームの三次元画像データ(不透明データ)D19と、透明部分12Eであるレンズの三次元画像データ(透明データ)D20とを互いに分離した状態で取得することができる。
【0053】
図16は、立体構造物の他の例を模式的に示す図である。図16に示す立体構造物10Fは、不透明部分11Fである自動車の車体に、透明部分12Dである窓ガラスがはめ込まれた構成である。このような構成の立体構造物10Fの三次元画像データを、を上記した可視光データ取得ステップS10、紫外光データ取得ステップS20及び分離データ生成ステップS30により取得することにより、不透明部分11Fである自動車の車体の三次元画像データ(不透明データ)D21と、透明部分12Fである窓ガラスの画像データ(透明データ)D22とを互いに分離した状態で取得することができる。
【0054】
以上のように、本実施形態に係る三次元画像データ取得方法は、可視光に対して不透明な不透明部分11と、可視光に対して透明な透明部分12とが混在する立体構造物10の三次元画像データを取得する三次元画像データ取得方法であって、立体構造物10に可視光又は可視光よりも波長が長く不透明部分11が吸収可能な光を照射して立体構造物10の三次元画像データである可視光データを取得する可視光データ取得ステップS10と、予め紫外光を吸収するように透明部分12を形成しておき、立体構造物10に紫外光を照射して立体構造物10の三次元画像データである紫外光データを取得する紫外光データ取得ステップS20と、可視光データと紫外光データとに基づいて、不透明部分11の三次元画像データである不透明データと、透明部分12の三次元画像データである透明データとを分離して生成する分離データ生成ステップS30とを含む。
【0055】
この構成により、不透明部分11と透明部分12とが混在する立体構造物10のうち不透明部分11の三次元画像データを主として含む可視光データと、透明部分12の三次元画像データを主として含む紫外光データとを別個に取得し、取得した可視光データ及び紫外光データに基づいて不透明データ及び透明データを生成するため、不透明部分11及び透明部分12の三次元画像データを区別して取得することができる。
【0056】
上記の三次元画像データ取得方法において、分離データ生成ステップS30は、可視光データから紫外光データと第1係数αとの積を減算することで不透明データを生成する。これにより、不透明データを高精度に生成することができる。
【0057】
上記の三次元画像データ取得方法において、第1係数αは、紫外光データにおける透明部分12の明るさの強度を、可視光データにおける透明部分12の明るさの強度で割った値である。これにより、取得された可視光データ及び紫外光データの明るさの強度に基づいて、不透明データを高精度に生成することができる。
【0058】
上記の三次元画像データ取得方法において、分離データ生成ステップS30は、紫外光データから不透明データと第2係数βとの積を減算することで透明データを生成する。これにより、透明データを高精度に生成することができる。
【0059】
上記の三次元画像データ取得方法において、第2係数βは、紫外光データにおける不透明部分11の明るさの強度を、可視光データにおける不透明部分11の明るさの強度で割った値である。これにより、取得された可視光データ及び紫外光データの明るさの強度に基づいて、透明データを高精度に生成することができる。
【0060】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、可視光照射部20と紫外光照射部40とを別個に配置する構成としたが、これに限定されない。可視光照射部20と紫外光照射部40とは、一体で設けられてもよい。同様に、可視光画像検出部30と紫外光画像検出部50とは、一体で設けられてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、不透明部分11及び透明部分12の両方が立体である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、不透明部分11及び透明部分12の一方が、二次元状であってもよい。例えば、立体構造物10は、不透明部分11である可視画像の上に、透明部分12である透明フィルムが貼付された構成であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
α…第1係数、β…第2係数、A2,B2…強度、D1,D5,D9,D13…可視光データ、D2,D6,D10,D14…紫外光データ、D3,D7,D11,D15,D17,D19,D21…不透明データ、D8,D12,D4,D16,D18,D20,D22…透明データ、LD,LED…紫外光、10,10A,10B,10C,10D,10E,10F…立体構造物、11,11B,11D,11E,11F…不透明部分、12,12B,12D,12E,12F…透明部分、12a,12c…紫外光吸収層、20…可視光照射部、30…可視光画像検出部、40…紫外光照射部、50…紫外光画像検出部
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