(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156592
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】洗浄装置
(51)【国際特許分類】
A47L 15/42 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
A47L15/42 T
A47L15/42 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066049
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 敏男
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082BL02
3B082BL03
3B082BL05
(57)【要約】
【課題】洗浄槽内の下部で水平方向にのびる、洗浄水を噴射する洗浄ノズルを備える洗浄装置であって、洗浄ノズルの下面中央部に、洗浄槽の底壁22に突設した、内部に洗浄水が供給される筒軸25が挿入される筒状の流入口42が設けられ、洗浄ノズルが筒軸25を中心にして旋回するように構成され、更に、筒軸25の外周面に、外方に突出する鍔部251が設けられると共に、洗浄ノズルの下面に、流入口42の径方向外側に位置させて、下端に径方向内方に突出して鍔部251の下面に係合可能な爪部441を有する係合片44が垂設されるものにおいて、洗浄ノズルが水平姿勢から傾いた状態で旋回しても、鍔部の下面が爪部441の幅方向一方の角部441bで削られないようにする。
【解決手段】爪部441の幅方向の寸法Wを、爪部441の径方向内方端の幅方向両側の端部441aが平面視で鍔部251の外側に張出すように設定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を収納可能な洗浄槽と、洗浄槽内の下部で水平方向にのびる、洗浄水を噴射する洗浄ノズルとを備える洗浄装置であって、
洗浄槽の底壁に、上方に突出する、内部に洗浄水が供給される筒軸が突設され、洗浄ノズルの下面中央部に、筒軸が挿入される筒状の流入口が設けられ、洗浄ノズルの上面に、洗浄ノズル内に筒軸を介して供給される洗浄水を噴出するノズル孔が設けられ、ノズル孔からの洗浄水の噴出反力で洗浄ノズルが筒軸を中心にして旋回するように構成され、
更に、筒軸の外周面に、外方に突出する鍔部が設けられると共に、洗浄ノズルの下面に、流入口の径方向外側に位置させて、径方向内方に突出して鍔部の下面に係合可能な下端の爪部を有する係合片が垂設され、鍔部の下面に爪部が係合することで洗浄ノズルの浮き上がりが阻止されるようにするものにおいて、
爪部の径方向に直交する幅方向の寸法は、爪部の径方向内方端の幅方向両側の端部が平面視で鍔部の外側に張出すように設定されることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記鍔部は、前記幅方向の寸法が前記爪部の幅方向の寸法よりも小さな切欠き部を有することを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄ノズルの下面の前記爪部の上方に位置する部分に、洗浄ノズル内に流入した洗浄水の一部を落下させる落水孔が設けられることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄ノズルへの洗浄水の供給流量は、洗浄ノズルへの洗浄水の供給で洗浄ノズルに作用する押し上げ力が洗浄ノズルの自重よりも小さくなるように設定されることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器等の被洗浄物を収納可能な洗浄槽と、洗浄槽内の下部で水平方向にのびる、洗浄水を噴射する洗浄ノズルとを備える食器洗浄機等の洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄装置は、一般的に、洗浄槽の底壁に、上方に突出する、内部に洗浄水が供給される筒軸が突設されると共に、洗浄ノズルの下面中央部に、筒軸が挿入される筒状の流入口が設けられている。そして、洗浄ノズルの上面に、洗浄ノズル内に筒軸を介して供給される洗浄水を噴出するノズル孔が設けられ、ノズル孔からの洗浄水の噴出反力で洗浄ノズルが筒軸を中心にして旋回するように構成されている。
【0003】
また、従来、この種の洗浄装置として、筒軸の外周面に、外方に突出する鍔部を設けると共に、洗浄ノズルの下面に、流入口の径方向外側に位置させて、径方向内方に突出して鍔部の下面に係合可能な下端の爪部を有する係合片を垂設し、鍔部の下面に爪部が係合することで洗浄ノズルの浮き上がりが阻止されるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
然し、このものでは、ある程度使用すると、鍔部の下面に傷が付くことが判明した。本願発明者は、鋭意努力の結果、鍔部の下面に傷が付く原因を突き止めた。即ち、洗浄ノズルは、水平姿勢から若干傾いた状態で旋回することが多い。そして、洗浄ノズルが傾くことで、係合片の爪部の径方向に直交する幅方向一方の角部が鍔部の下面に当たる。そのため、鍔部の下面がこの角部により削られて、傷が付いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、洗浄ノズルが水平姿勢から傾いた状態で旋回しても、鍔部の下面が削られないようにした洗浄装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、被洗浄物を収納可能な洗浄槽と、洗浄槽内の下部で水平方向にのびる、洗浄水を噴射する洗浄ノズルとを備える洗浄装置であって、洗浄槽の底壁に、上方に突出する、内部に洗浄水が供給される筒軸が突設され、洗浄ノズルの下面中央部に、筒軸が挿入される筒状の流入口が設けられ、洗浄ノズルの上面に、洗浄ノズル内に筒軸を介して供給される洗浄水を噴出するノズル孔が設けられ、ノズル孔からの洗浄水の噴出反力で洗浄ノズルが筒軸を中心にして旋回するように構成され、更に、筒軸の外周面に、外方に突出する鍔部が設けられると共に、洗浄ノズルの下面に、流入口の径方向外側に位置させて、径方向内方に突出して鍔部の下面に係合可能な下端の爪部を有する係合片が垂設され、鍔部の下面に爪部が係合することで洗浄ノズルの浮き上がりが阻止されるようにするものにおいて、爪部の径方向に直交する幅方向の寸法は、爪部の径方向内方端の幅方向両側の端部が平面視で鍔部の外側に張出すように設定されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、爪部の幅方向両側の角部は、爪部の径方向内方端に亘って鍔部の外側に位置することになる。そのため、洗浄ノズルが水平姿勢から傾いても、爪部の幅方向一方の角部が鍔部の下面に当たることはない。従って、洗浄ノズルが水平姿勢から傾いた状態で旋回しても、鍔部の下面が上記角部によって削られることを防止できる。
【0009】
また、本発明において、鍔部は、幅方向の寸法が爪部の幅方向の寸法よりも小さな切欠き部を有することが望ましい。これによれば、洗浄ノズル側から流れ落ちる洗浄水の一部が切欠き部を介して鍔部の下面に回り込む。そのため、鍔部と爪部との間に侵入した異物を鍔部の下面に回り込んだ洗浄水により洗い流すことができるようになる。従って、洗浄ノズルのスムーズな旋回を維持できると共に、鍔部の下面の異物による傷付きも防止できる。
【0010】
更に、本発明においては、洗浄ノズルの下面の爪部の上方に位置する部分に、洗浄ノズル内に流入した洗浄水の一部を落下させる落水孔を設けることが望ましい。これによれば、落水孔から落下する洗浄水が鍔部と爪部との間に流入し易くなる。そのため、上記と同様に鍔部と爪部との間に侵入した異物を洗浄水により洗い流すことができるようになり、洗浄ノズルのスムーズな旋回を維持できると共に、鍔部の下面の異物による傷付きも防止できる。
【0011】
また、本発明において、洗浄ノズルへの洗浄水の供給流量は、洗浄ノズルへの洗浄水の供給で洗浄ノズルに作用する押し上げ力が洗浄ノズルの自重よりも小さくなるように設定されることが望ましい。これによれば、鍔部の下面への爪部の接触を抑制して、鍔部の下面の摩耗をより確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態の洗浄装置である食器洗浄機の切断側面図。
【
図3】
図2のIII-III線で切断した切断平面図。
【
図4】
図1の食器洗浄機の洗浄ノズルの中央部分の斜め下方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示す本発明の実施形態の洗浄装置は、被洗浄物たる食器類Wを洗浄するビルトイン式の食器洗浄機であり、前面が開放されたハウジング1内に前方に引き出し自在に収納される洗浄槽2を備えている。洗浄槽2内には、食器類Wを支持する下カゴ31と上カゴ32とから成る食器カゴ3が収納されると共に、食器カゴ3に向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズル4が設けられている。尚、洗浄槽2の前面には、洗浄槽2の収納時にハウジング1の前面を閉塞する前蓋21が取り付けられている。また、ハウジング1内の上部には、洗浄槽2の開放された上面を洗浄槽2の収納時に閉塞するシール蓋11が設けられている。
【0014】
洗浄槽2の底壁22の前部には、残菜フィルタ23を介して洗浄槽2内に連通する洗浄水の溜り部24が設けられている。また、洗浄槽2の底壁22の下側には、溜り部24に連通する洗浄ポンプ5が設置されている。そして、洗浄ポンプ5を正転させたとき、洗浄槽2内の洗浄水が溜り部24と洗浄ポンプ5とを介して洗浄ノズル4に供給され、洗浄ポンプ5を逆転させたとき、洗浄水が洗浄槽2から排水されるようにしている。
【0015】
洗浄ノズル4は、洗浄槽2内の下部(下カゴ31の下側)で水平方向にのびている。尚、洗浄ノズル4の中央部には、上方にのびるセンターノズル部41が立設されている。ここで、
図2も参照して、洗浄槽2の底壁22には、上方に突出する、内部に洗浄ポンプ5から洗浄水が供給される筒軸25が突設されている。また、洗浄ノズル4の下面中央部には、筒軸25が挿入される筒状の流入口42が設けられている。更に、洗浄ノズル4の上面には、洗浄ノズル4内に筒軸25を介して供給される洗浄水を噴出する複数のノズル孔43が設けられている。そして、ノズル孔43からの洗浄水の噴出反力で洗浄ノズル4が筒軸25を中心にして旋回するようにしている。
【0016】
また、筒軸25の外周面には、外方に突出する鍔部251が設けられている。
図3、
図4も参照して、洗浄ノズル4の下面には、流入口42の径方向外側で、流入口42を洗浄ノズル4の長手方向両側から挟む部分に位置させて、一対の係合片44,44が垂設されている。各係合片44の下端には、径方向内方に突出して鍔部251の下面に係合可能な爪部441が設けられている。そして、鍔部251の下面に爪部441が係合することで洗浄ノズル4の浮き上がりが阻止されるようにしている。
【0017】
また、洗浄ノズル4の下面には、流入口42の径方向外側であって、係合片44,44から周方向に90°離れた部分に位置させて、一対の支え片45,45が垂設されている。各支え片45の下端は、各係合片44の下端たる爪部441の下端よりも若干上方に位置している。そして、洗浄ノズル4が水平姿勢からその長手方向に沿う中心線回りに傾いたときに、一方の支え片45が洗浄槽2の底壁22に当接して、洗浄ノズル4がそれ以上傾くことを防止できるようにしている。
【0018】
図3を参照して、上記爪部441の径方向に直交する幅方向の寸法は、爪部441の径方向内端の幅方向両側の端部441a,441aが平面視で鍔部251の外側に張出すように設定されている。これによれば、爪部441の幅方向両側の角部441b,441bが、爪部441の径方向内方端に亘って鍔部251の外側に位置することになる。そのため、洗浄ノズル4が水平姿勢から上記中心軸線回りに傾いても、爪部441の幅方向一方の角部441bが鍔部251の下面に当たることはない。従って、洗浄ノズル4が水平姿勢から傾いた状態で旋回しても、鍔部251の下面が上記角部441bによって削られることを防止できる。
【0019】
また、鍔部251には、上記幅方向の寸法が爪部441の幅方向の寸法よりも小さな切欠き部251aが周方向に90°間隔で4個設けられている。更に、洗浄ノズル4の下面の各爪部441の上方に位置する部分には、洗浄ノズル4内に流入した洗浄水の一部を落下させる落水孔46が設けられている。これによれば、落水孔46から落下する洗浄水が切欠き部251aを介して鍔部251の下面に回り込む。そのため、鍔部251と爪部441との間に侵入した異物を鍔部251の下面に回り込んだ洗浄水により洗い流すことができるようになる。従って、洗浄ノズル4のスムーズな旋回を維持できると共に、鍔部251の下面の異物による傷付きも防止できる。
【0020】
尚、鍔部251の上面に落下した洗浄水の一部は、鍔部251の外周部を伝って鍔部251の下面に回り込む。従って、切欠き部251aは、必要不可欠ではない。但し、切欠き部251aを設ければ、鍔部251の上面に落下した洗浄水を鍔部251の下面に効率よく回り込ませることができ、有利である。
【0021】
また、筒軸25から洗浄ノズル4内に流入する洗浄水の一部は、筒軸25の外周面と流入口42との間の隙間を介して鍔部251の上面に流下する。従って、落水孔46は必要不可欠ではない。但し、落水孔46を設ければ、鍔部251の上面に確実に洗浄水を落下させることができ、有利である。特に、本実施形態の如く落水孔46と切欠き部251aとを設ければ、爪部441が切欠き部251aに合致する位置に回転したときに、爪部441の上方に位置する落水孔46からの洗浄水が切欠き部251aを介して爪部441の上に落下する。そのため、鍔部251と爪部441との間に侵入した異物を効率よく洗い流すことができる。
【0022】
また、本実施形態では、洗浄ノズル4への洗浄水の供給流量を、洗浄ノズル4への洗浄水の供給で洗浄ノズル4に作用する押し上げ力が洗浄ノズル4の自重よりも小さくなるように設定している。そのため、鍔部251の下面への爪部441の接触を抑制して、鍔部251の下面の摩耗をより確実に抑制することができる。
【0023】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、洗浄ノズル4の下面に設ける係合片44の個数を2個、鍔部251に設ける切欠き部251aの個数を4個にしているが、係合片44の個数は3個以上であってもよく、また、切欠き部251aの個数も4個以外とすることができる。更に、上記実施形態は、食器洗浄機に本発明を適用したものであるが、食器類以外の被洗浄物を洗浄する洗浄装置にも同様に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0024】
2…洗浄槽、22…底壁、25…筒軸、251…鍔部、251a…切欠き部、4…洗浄ノズル、42…流入口、43…ノズル孔、44…係合片、441…爪部、441a…爪部の径方向内方端の幅方向両側の端部、46…落水孔。