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特開2023-156610回転電機のステータ構造及びステータ製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156610
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】回転電機のステータ構造及びステータ製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20231018BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
H02K3/52 E
H02K15/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066079
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 孝将
(72)【発明者】
【氏名】松井 孝典
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 修平
(72)【発明者】
【氏名】多田 修二
【テーマコード(参考)】
5H604
5H615
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB03
5H604BB10
5H604BB15
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC15
5H604QB12
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB02
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP15
5H615QQ03
5H615QQ08
5H615QQ19
(57)【要約】
【課題】ステータのコイルと所定の部材とを電気的に接続する接続部を、省スペース化する。
【解決手段】本は、回転電機のステータ構造であって、ステータコア15と、ステータコア15に巻線20を巻装して形成されるコイル17と、ステータコア15に対して取り付けられる支持部材22と、ステータコア15の軸方向の一側の巻線20の一端部20aに接続され、巻線20の一端部20aから連続してステータコア15の軸方向の他側へ延び、支持部材22を介してステータコア15に支持される中間接続線23と、を備え、中間接続線23の他側の先端部23bには、リード線3を接続可能な部材接続部30が設けられる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、
前記ステータコアに巻線を巻装して形成されるコイルと、
前記ステータコアに対して取り付けられる絶縁性支持部材と、
前記ステータコアの軸方向の一側の前記巻線の端部に接続され、前記巻線の前記端部から連続して前記ステータコアの前記軸方向の他側へ延び、前記絶縁性支持部材を介して前記ステータコアに支持される導電性の線状部材と、を備え、
前記線状部材の前記他側の先端部には、所定の部材を接続可能な部材接続部が設けられる
ことを特徴とする回転電機のステータ構造。
【請求項2】
前記絶縁性支持部材は、前記一側へ開口する空間を区画し、
前記線状部材は、前記空間の前記他側を区画する前記絶縁性支持部材の底部を貫通し、
前記巻線の前記端部と前記線状部材との接続部分は、前記空間内に配置され、
前記線状部材の前記部材接続部は、前記絶縁性支持部材の前記底部よりも前記他側に配置され、
前記絶縁性支持部材の前記空間内には、前記巻線の前記端部と前記線状部材との接続部分を封止する封止材が充填される
ことを特徴とする請求項1に記載の回転電機のステータ構造。
【請求項3】
前記線状部材の前記一側の一端部は、前記巻線の前記端部に冷間圧接される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転電機のステータ構造。
【請求項4】
前記線状部材は、前記コイルの前記巻線とは異種の金属によって形成される
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の回転電機のステータ構造。
【請求項5】
前記線状部材は、前記コイルの前記巻線とは異種の金属によって形成される
ことを特徴とする請求項3に記載の回転電機のステータ構造。
【請求項6】
ステータコアに巻装されたコイルの巻線の端部を前記ステータコアの軸方向の一側へ引き出した状態で、導電性の線状部材を、前記巻線の前記端部から連続して延びるように前記巻線の前記端部に接続する第1工程と、
前記線状部材を、前記ステータコアに取り付けられた絶縁性支持部材の前記一側へ開口する空間内へ前記一側から挿入し、前記空間の前記軸方向の他側を区画する前記絶縁性支持部材の底部に設けられた貫通孔に挿通させる第2工程と、
前記絶縁性支持部材の前記空間に封止材を充填し、前記巻線の前記端部と前記線状部材との接続部分を前記空間内に封止する第3工程と、を含む
ことを特徴とする回転電機のステータ製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回転電機のステータ構造及びステータ製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アウタロータ型の回転電機が開示されている。この回転電機のステータは、所定の電気回路を形成するように、ステータコイルを電気的に接続するための接続部を有する。接続部には、両端に端子を有する電極が設けられる。電極は、ステータコアを貫通し、ステータの両方の端面に突出するように配置されている。電極の一方の端子には、ステータコイルのコイル端が接続され、他方の端子には、ワイヤハーネスが接続される。電極は、細長い板状の部材である。電極は、一方の端子を提供する広幅部と、他方の端子を提供する細幅部とを有する。
【0003】
また、接続部は、コイル端と一方の端子とを保護するための保護部材を有する。保護部材は、保護樹脂と、壁部材とを有する。保護樹脂は、電気絶縁性の樹脂であって、ポッティング樹脂、または封止樹脂とも呼ばれ、コイル端及び一方の端子の表面に密に付着している。壁部材は、コイル端及び一方の端子を囲む包囲壁を形成する。この包囲壁により、コイル端及び一方の端子の接続部分を包む電気絶縁性の保護樹脂を溜めるための貯槽が区画形成される。壁部材は、保護樹脂の流出を抑制できるようにコイル端を受け入れている。なお、同公報には、接続部に3つの電極を設けた状態が図示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-99223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の回転電機のステータでは、一方の端子を提供する広幅部と、他方の端子を提供する細幅部とを有する3つの細長い板状の電極を、ステータコアを貫通するように配置し、電極の両端を、ステータの両方の端面に突出させている。このように、ステータコイルに対して所定の部材(ワイヤハーネス)を電気的に接続するための接続部に、ステータコアを貫通するように3つの板状の電極を配置するので、板状の電極が嵩張ってしまい、接続部に大きなスペースが必要になってしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本開示は、ステータのコイルと所定の部材とを電気的に接続する接続部を、省スペース化することが可能な回転電機のステータ構造及びステータ製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、回転電機のステータ構造であって、ステータコアと、前記ステータコアに巻線を巻装して形成されるコイルと、前記ステータコアに対して取り付けられる絶縁性支持部材と、前記ステータコアの軸方向の一側の前記巻線の端部に接続され、前記巻線の前記端部から連続して前記ステータコアの前記軸方向の他側へ延び、前記絶縁性支持部材を介して前記ステータコアに支持される導電性の線状部材と、を備え、前記線状部材の前記他側の先端部には、所定の部材を接続可能な部材接続部が設けられる。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の回転電機のステータ構造であって、前記絶縁性支持部材は、前記一側へ開口する空間を区画し、前記線状部材は、前記空間の前記他側を区画する前記絶縁性支持部材の底部を貫通し、前記巻線の前記端部と前記線状部材との接続部分は、前記空間内に配置され、前記線状部材の前記部材接続部は、前記絶縁性支持部材の前記底部よりも前記他側に配置され、前記絶縁性支持部材の前記空間内には、前記巻線の前記端部と前記線状部材との接続部分を封止する封止材が充填される。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の回転電機のステータ構造であって、前記線状部材の前記一側の一端部は、前記巻線の前記端部に冷間圧接される。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様の回転電機のステータ構造であって、前記線状部材は、前記コイルの前記巻線とは異種の金属によって形成される。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第3の態様の回転電機のステータ構造であって、前記線状部材は、前記コイルの前記巻線とは異種の金属によって形成される。
【0012】
本発明の第6の態様は、回転電機のステータ製造方法であって、ステータコアに巻装されたコイルの巻線の端部を前記ステータコアの軸方向の一側へ引き出した状態で、導電性の線状部材を、前記巻線の前記端部から連続して延びるように前記巻線の前記端部に接続する第1工程と、前記線状部材を、前記ステータコアに取り付けられた絶縁性支持部材の前記一側へ開口する空間内へ前記一側から挿入し、前記空間の前記軸方向の他側を区画する前記絶縁性支持部材の底部に設けられた貫通孔に挿通させる第2工程と、前記絶縁性支持部材の前記空間に封止材を充填し、前記巻線の前記端部と前記線状部材との接続部分を前記空間内に封止する第3工程と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、ステータのコイルと所定の部材とを電気的に接続する接続部を、省スペース化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る回転電機の断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るステータを軸方向の一側から視た平面図である。
図3図2のステータを軸方向の他側から視た平面図である。
図4図2を矢印IV方向から視た斜視図である。
図5】第1接続部の軸方向の一側からの斜視図である。
図6図3を矢印VI方向から視た斜視図である。
図7図5のVII-VII矢視断面図である。
図8】第2接続部の軸方向の他側からの斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係るステータ製造方法の説明図であって、(a)は第1工程を、(b)は第2工程を、(c)は第3工程をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において、Xは軸方向の一側を、Yは径方向の内側をそれぞれ示す。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る回転電機10の断面図である。図2は、本発明の一実施形態に係るステータ11を軸方向の一側から視た平面図である。図3は、図2のステータ11を軸方向の他側から視た平面図である。図4は、図2を矢印IV方向から視た斜視図である。図5は、第1接続部18の軸方向の一側からの斜視図である。図6は、図3を矢印VI方向から視た斜視図である。図7は、図5のVII-VII矢視断面図である。図8は、第2接続部19の軸方向の他側からの斜視図である。
【0017】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るステータ構造は、アウタロータ型の回転電機10のステータ11の構造に適用される。
【0018】
回転電機10は、例えば、自動二輪車のスタータ及び発電機として使用されるACG(交流発電機)スタータであって、エンジン(図示省略)を始動する際には、車載バッテリ(図示省略)からの駆動電流の供給によりスタータモータとして作動し、エンジンの始動後には、エンジンの駆動力により交流発電機として作動する。回転電機10は、三相の電力変換回路(図示省略)に接続される。回転電機10は、全体として円盤状に形成される。回転電機10は、車体側(例えば、エンジンのクランクケース1)に固定されるステータ11と、エンジンのクランクシャフト2に対して固定されてステータ11に対して回転するロータ12とを備える。
【0019】
ロータ12は、有底筒状のロータヨーク13と、ロータヨーク13の内周面に固定される永久磁石14とを有する。永久磁石14は、異なる磁極が周方向に交互に並ぶようにロータヨーク13の周方向に複数設けられる。ステータ11は、ロータ12の永久磁石14との間に隙間を設けた状態で永久磁石14の径方向の内側に配置される。なお、以下の説明において、軸方向はロータ12の回転軸(軸心)CLに沿う方向を、径方向は回転軸CLと直行する方向を、周方向は回転軸CLを中心としたロータ12の回転方向に沿う方向をそれぞれ意味する。
【0020】
図2及び図3に示すように、本発明の第1実施形態に係る回転電機10のステータ11は、環状のステータコア15と、インシュレータ16と、コイル17と、2箇所の接続部18,19とを備える。
【0021】
ステータコア15は、複数の鋼板(磁性体)を軸方向に積層して形成される。ステータコア15は、軸方向に延びる筒状の中央部15aと、中央部15aから径方向の外側へ放射状に突出する複数のティース部15bとを有する。複数のティース部15bの基端側(径方向の内側)は、中央部15aに一体化している。本実施形態のティース部15bは、U相、V相、W相のそれぞれ6個ずつの計18個設けられる。なお、図2及び図3では、1つのティース部15bを図示し、他のティース部15bの図示を省略している。
【0022】
インシュレータ16は、樹脂によって成形された絶縁性の部材であって、ステータコア15の中央部15aの外周縁部から連続して、複数のティース部15bに装着される。インシュレータ16は、複数のティース部15bの表面を覆い、コイル17の後述する巻線20とティース部15bとの間の電流の流れを遮断する。
【0023】
コイル17は、ステータコア15の複数のティース部15bに巻線20を巻装して形成される。巻線20と複数のティース部15bとの間にはインシュレータ16が介在している。巻線20は、表面を絶縁性の皮膜21(図7参照)によって被覆した単線の金属製の導体である。本実施形態の巻線20は、アルミニウム又はアルミニウム合金によって成形される。なお、巻線20は、アルミニウム製又はアルミニウム合金製に限定されるものではなく、導電性を有する様々な材料(例えば、銅など)で成形することができる。
【0024】
2箇所の接続部18,19は、ステータコア15の中央部15aを軸方向に貫通するように設けられる。2箇所の接続部18,19のうちの一方の第1接続部18は、コイル17への(又はコイル17からの)電力供給路として機能する3相のリード線(所定の部材)3と3相のコイル17の巻線20の一端部(端部)20a(図7参照)とを電気的に接続する。2箇所の接続部18,19のうちの他方の第2接続部19は、第1接続部18から周方向に離間した位置に配置され、3相のコイル17の巻線20の他端部(端部)20b(図8参照)同士を電気的に接続する。コイル17の巻線20の一端部20a及び他端部20bは、皮膜21を剥がした状態になっている。
【0025】
図4図8に示すように、第1接続部18は、支持部材(絶縁性支持部材)22と、U相、V相、W相に対応する3つの中間接続線(線状部材)23(図6及び図7参照)と、封止材24(図7参照)とを備える。なお、3つの中間接続線23は、互いに略同様の構成を有するため、以下では1つの中間接続線23について説明し、他の中間接続線23の説明を省略する。
【0026】
支持部材22は、3つの中間接続線23を支持する絶縁性支持部材(絶縁性の支持部材)であって、樹脂によって成形され、ステータコア15に取り付けられる。ステータコア15の中央部15aには、軸方向に貫通するコア貫通孔25が設けられる。支持部材22は、ステータコア15のコア貫通孔25に、軸方向の一側(以下、「上記一側」という。)から挿入され、コア貫通孔25を挿通する。支持部材22の上記一側の一端22aは、ステータコア15の上記一側の面よりも上記他側に位置する。すなわち、支持部材22の上記一側は、ステータコア15の上記一側の面よりも上記一側へ突出しない。支持部材22の軸方向の他側(以下、「上記他側」という。)の他端22bは、ステータコア15の軸方向の他側の面よりも上記他側、かつインシュレータ16の径方向の内端部の上記他側の縁16aよりも上記一側に位置する。
【0027】
支持部材22は、上記一側へ開口する3つの空間26(図5及び図7参照)を区画する形状に形成される。3つの空間26は、中間接続線23を挿入可能な大きさに形成され、互いに周方向に並んで配置される。図7に示すように、各空間26の上記一側の開口は、ステータコア15の上記一側の面よりも上記他側に位置する。各空間26の上記他側は、支持部材22の底部22cによって区画される。支持部材22の底部22cは、ステータコア15の上記他側の面よりも上記他側に配置される。支持部材22の底部22cには、支持部材22の内側の空間26と上記他側の外部とを連通する貫通孔27が形成される。貫通孔27は、封止材24が空間26から上記他側へ流出しないように、中間接続線23の表面に接する(密接する)大きさに形成され、軸方向に直線状に延びる。
【0028】
支持部材22の3つの空間26には、3相のコイル17の巻線20の一端部20aが上記一側からそれぞれ挿入される。本実施形態では、3相の巻線20の一端部20a側は、コイル17からステータコア15の上記一側へ引き出され、コイル17側から径方向の内側へ延び、空間26に対向する位置で曲折して上記他側へ延び、支持部材22の3つの空間26に上記一側からそれぞれ挿入される。
【0029】
中間接続線23は、コイル17の巻線20の一端部20aとリード線3との間に配置され、巻線20の一端部20aとリード線3とを電気的に接続するための導電性の線状部材(線状の部材)である。中間接続線23は、表面を絶縁性の皮膜28(図7参照)によって被覆した単線の金属製の導体であって、軸方向の直線状に延びる。中間接続線23の両端部23a,23bは、皮膜28を剥がした状態になっている。本実施形態の中間接続線23は、コイル17の巻線20とは異種(異なる種類)の金属(本実施形態では、銅)によって形成される。また、本実施形態の中間接続線23は、コイル17の巻線20と略同じ太さの線状部材である。
【0030】
中間接続線23は、支持部材22の底部22cの貫通孔27を挿通し、支持部材22に支持される。すなわち、中間接続線23は、支持部材22を介してステータコア15に支持される。中間接続線23のうち皮膜28に被覆された領域が支持部材22の底部22cの貫通孔27を挿通する。中間接続線23の表面(外周面)と支持部材22の貫通孔27とは接している。中間接続線23の上記一側の一端部23aは、支持部材22の空間26内に配置され、中間接続線23の上記他側の他端部(先端部)23bは、底部22cの貫通孔27から上記他側へ突出している。
【0031】
中間接続線23の一端部23aは、コイル17の巻線20の一端部20aに電気的及び物理的に接続される。本実施形態では、中間接続線23の一端部23aは、コイル17の巻線20の一端部20aに対して、冷間圧接によって接続される。また、本実施形態では、コイル17の巻線20の一端部20aの端面と中間接続線23の一端部23aの端面とが当接する状態で接続される。中間接続線23の一端部23aとコイル17の巻線20の一端部20aとを接続した状態では、中間接続線23は、コイル17の巻線20の一端部20aから連続して上記他側へ、巻線20の一端部20aの延設方向(本実施形態では軸方向)に沿って延びる。すなわち、中間接続線23は、コイル17の巻線20を、その延設方向に沿って延長するように、巻線20の一端部20aに接続される。なお、中間接続線23の一端部23aとコイル17の巻線20の一端部20aとの接続方法は、上記冷間圧接による方法に限定されるものではなく、電気的及び物理的に接続可能な様々な方法(例えば、溶接やカシメ等)を適用することができる。
【0032】
中間接続線23の他端部23bは、リード線3を電気的及び物理的に接続可能となっている。本実施形態では、中間接続線23の他端部23bは、リード線3の端部3aに対してターミナルジョイント29を用いて電気的及び物理的に接続される。すなわち、中間接続線23の他端部23bは、所定の部材(第1接続部18ではリード線3)を接続可能な部材接続部30として機能する。なお、図3図4図6、及び図7には、中間接続線23の部材接続部30にリード線3を接続した状態が図示されている。また、中間接続線23の部材接続部30に対するリード線3に接続方法は、上記ターミナルジョイント29による接続方法に限定されるものではなく、電気的及び物理的に接続可能な様々な方法(例えば、溶接やカシメ等)を適用することができる。
【0033】
リード線3は、電力変換回路(図示省略)側から回転電機10に接続される電力線であって、表面を絶縁性の皮膜によって被覆した撚り線である。本実施形態では、リード線3は、銅によって成形される。すなわち、本実施形態の中間接続線23は、リード線3と同種(同じ種類)の金属(本実施形態では、銅)によって形成される。
【0034】
封止材24は、支持部材22の空間26内に充填される電気絶縁性の保護樹脂であって、コイル17の巻線20の一端部20aと中間接続線23の一端部23aとの接続部分Cの全域を覆い、当該接続部分Cを空間26内に封止する。図7に示すように、封止材24の上記一側の表面24aは、コイル17の巻線20の一端部20aと中間接続線23の一端部23aとの接続部分Cよりも上記一側、かつステータコア15の上記一側の面よりも上記他側に配置される。また、本実施形態では、巻線20の一端部20aの全域が封止材24によって空間26内に封止され、巻線20のうち皮膜21によって被覆された領域が封止材24の表面24aから上記一側へ突出している。
【0035】
図2及び図8に示すように、第2接続部19は、3相のコイル17の巻線20の他端部20b同士を電気的に接続する接続部であって、支持部材(絶縁性支持部材)31と、3つの中間接続線(線状部材)32と、封止材(図示省略)と、中性点接続部材(所定の部材)33とを備える。第1接続部18では、中間接続線23の一端部23aにコイル17の巻線20の一端部20aを接続し、中間接続線23の他端部23bの部材接続部30にリード線3を接続したが、第2接続部19では、中間接続線32の一端部32aにコイル17の巻線20の他端部20bを接続し、中間接続線32の他端部(先端部)32bの部材接続部34に中性点接続部材33を接続する点で相違する。なお、図8には、3つの中間接続線32のうちの1つの中間接続線32の一端部32a側を破線で図示している。
【0036】
支持部材31は、3つの中間接続線32を支持する絶縁性支持部材(絶縁性の支持部材)であって、樹脂によって成形され、ステータコア15に取り付けられる。なお、支持部材31の構成、及びステータコア15に対する支持部材31の取り付け態様は、第1接続部18の支持部材22と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0037】
支持部材31の上記一側へ開口する3つの空間には、3相のコイル17の巻線20の他端部20bが上記一側からそれぞれ挿入される。本実施形態では、3相の巻線20の他端部20b側は、ステータコア15の上記一側へ引き出され、コイル17側から径方向の内側へ延び、支持部材31の空間に対向する位置で曲折して上記他側へ延び、支持部材31の3つの空間に上記一側からそれぞれ挿入される。なお、支持部材31の3つの空間は、第1接続部18の支持部材22の3つの空間26と同様の空間であるので、その図示を省略している。
【0038】
3つの中間接続線32は、コイル17の巻線20の他端部20bと共通の中性点接続部材33とを電気的に接続するための導電性の線状部材(線状の部材)である。本実施形態の中間接続線32は、コイル17の巻線20とは異種(異なる種類)の金属(本実施形態では、銅)によって形成される。本実施形態の中間接続線32は、コイル17の巻線20と略同じ太さの線状部材である。なお、中間接続線32の構成、支持部材31に対する中間接続線32の取り付け態様、巻線20の他端部20bに対する中間接続線32の接続態様、及び封止材による中間接続線32と巻線20との接続部分Cの封止態様は、第1接続部18の中間接続線23と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0039】
中間接続線32の他端部32bは、中性点接続部材33を電気的及び物理的に接続可能となっている。3つの中間接続線32の他端部32bには、共通の中性点接続部材33が電気的及び物理的に接続される。すなわち、中間接続線32の他端部32bは、所定の部材(第2接続部19では中性点接続部材33)を接続可能な部材接続部34として機能する。
【0040】
中性点接続部材33は、3つの中間接続線32の他端部32b同士を電気的に接続するための導電性の部材である。本実施形態の中性点接続部材33は、軸方向と交叉する板状に形成されて、周方向に延びる。中性点接続部材33は、軸方向に貫通する3つの貫通孔35を有する。3つの中間接続線32の他端部32bの部材接続部34を中性点接続部材33の3つの貫通孔35に挿通させた状態で、中性点接続部材33が3つの中間接続線32の他端部32bの部材接続部34に接続(接合)される。これにより、3相のコイル17の巻線20の他端部20b同士が、3つの中間接続線32及び中性点接続部材33を介して電気的に接続される。本実施形態では、中性点接続部材33は、銅によって成形される。すなわち、本実施形態の中間接続線32は、電蝕防止の観点から中性点接続部材33と同種の金属によって形成される。なお、本実施形態では、中間接続線32と中性点接続部材33とを同種の金属によって形成したが、これに限定されるものではなく、中間接続線32と中性点接続部材33とを異種の金属によって形成してもよい。例えば、中間接続線32を銅によって形成し、中性点接続部材33を鉄によって形成してもよい。この場合、中性点接続部材33に電蝕対策としての表面処理を行った上で、中間接続線32を半田付けしてもよい。
【0041】
次に、本発明の一実施形態に係るステータ製造方法について説明する。
【0042】
図9は、本発明の一実施形態に係るステータ製造方法の説明図であって、(a)は第1工程を、(b)は第2工程を、(c)は第3工程をそれぞれ示す。
【0043】
本実施形態に係るステータ製造方法は、例えば、上記回転電機10のステータ11の製造方法に適用される。ステータ11のステータコア15には、インシュレータ16、コイル17、及び2箇所の接続部18,19の支持部材22,31が予め取り付けられている。なお、ステータ11の第1接続部18と第2接続部19とは、略同様の工程で製造されるため、以下では第1接続部18について説明し、第2接続部19の詳細な説明を省略する。
【0044】
図9に示すように、ステータ製造方法は、以下の第1工程、第2工程、及び第3工程を含む。
【0045】
図9(a)に示すように、第1工程では、コイル17の巻線20の一端部20aをステータコア15の上記一側へ引き出した状態で、中間接続線23が巻線20の一端部20aから連続して巻線20の延設方向に沿って延びるように、中間接続線23の一端部23aを巻線20の一端部20aに接続する。巻線20の一端部20aと中間接続線23の一端部23aとの接続は、冷間圧接による接続が好ましい。
【0046】
図9(b)に示すように、第2工程では、巻線20の一端部20aに接続した中間接続線23を、支持部材22の空間26内へ上記一側から挿入し、支持部材22の底部22cの貫通孔27に挿通させる。この状態では、巻線20の一端部20aと中間接続線23の一端部23aとの接続部分Cは、支持部材22の空間26内に配置され、中間接続線23の他端部23bの部材接続部30は、支持部材22の底部22cの貫通孔27から上記他側へ突出する。
【0047】
図9(c)に示すように、第3工程では、支持部材22の空間26に封止材24を充填し、巻線20の一端部20aと中間接続線23の一端部23aとの接続部分Cを支持部材22の空間26内に封止する。この状態では、巻線20の一端部20aの全域が封止材24によって空間26内に封止され、巻線20のうち皮膜21によって被覆された領域が封止材24の表面24aから上記一側へ突出している。
【0048】
なお、ステータ製造方法は、少なくとも第1工程、第2工程、及び第3工程を含んでいればよく、第1工程、第2工程、及び第3工程以外の他の工程を含んでいてもよい。例えば、図9(c)に示すように、第1接続部18においては、第3工程の後、リード線3を、中間接続線23の他端部23bの部材接続部30に接続する工程を含んでもよい。また、第2接続部19においては、第3工程の後、中性点接続部材33を、中間接続線32の他端部32bの部材接続部34に接続する工程を含んでもよい。
【0049】
上記のように構成された回転電機10のステータ11では、コイル17の巻線20の一端部20aとリード線(所定の部材)3とを電気的に接続する第1接続部18に、巻線20の一端部20aから連続してステータコア15の上記他側へ延びる線状の中間接続線23を設けている。線状の中間接続線23は、線状部材であるので、端子部を有する板状のターミナル部材を設ける場合とは異なり、その断面積を小さく抑えることができ、中間接続線23の嵩張りを抑えることができる。このように、嵩張りを抑えることが可能な線状の中間接続線23を巻線20の一端部20aから連続してステータコア15の上記他側へ延ばすので、ステータ11のコイル17とリード線(所定の部材)3とを電気的に接続する第1接続部18を、省スペース化することができる。これにより、ステータコア15の面積を確保することができるので、磁気飽和を抑えることができ、特性の劣化を抑えることができる。
【0050】
また、コイル17の巻線20の他端部20bと中性点接続部材(所定の部材)33とを電気的に接続する第2接続部19に、巻線20の他端部20bから連続してステータコア15の上記他側へ延びる線状の中間接続線32を設けている。このように、第1接続部18と同様に、嵩張りを抑えることが可能な線状の中間接続線32を巻線20の他端部20bから連続してステータコア15の上記他側へ延ばすので、ステータ11のコイル17と中性点接続部材(所定の部材)33とを電気的に接続する第2接続部19を、省スペース化することができる。これにより、ステータコア15の面積を確保することができるので、磁気飽和を抑えることができ、特性の劣化を抑えることができる。
【0051】
また、第1接続部18及び第2接続部19の双方を、省スペース化することができるので、いずれか一方のみを省スペース化する場合に比べて、ステータコア15の面積を更に確保することができ、磁気飽和を抑えて特性の劣化を抑えることができる。
【0052】
また、第1接続部18及び第2接続部19では、巻線20の端部20a,20bと中間接続線23,32との接続部分Cを、支持部材22,31の空間26内に配置する。すなわち、支持部材22,31の空間26からは、巻線20が上記一側へ延びた状態となっているので、接続部18,19の上記一側を簡素化してコンパクトにすることができる。
【0053】
また、巻線20の端部20a,20bと中間接続線23,32との接続部分Cを支持部材22,31の空間26内に封止するので、巻線20と中間接続線23,32とが異種の金属であっても、巻線20の端部20a,20bと中間接続線23,32との接続部分Cの電蝕を防止することができる。
【0054】
また、巻線20の端部20a,20bと中間接続線23,32との接続部分Cを支持部材22,31の空間26内に封止するので、上記接続部分Cをステータコア15の上記一側へ露出させる場合とは異なり、封止材24を堰き止めるための壁部をステータコア15の上記一側の面から上記一側へ突出させなくてもよい。このため、ステータ11の接続部18,19の上記一側への突出量を抑えることができる。本実施形態では、支持部材22の上記一側の一端22aを、ステータコア15の上記一側の面よりも上記他側に配置することができる。
【0055】
巻線20の端部20a,20bと中間接続線23,32との接続部分Cを支持部材22,31の空間26内に封止するので、上記接続部分Cをステータコア15の上記一側へ露出させて封止する場合とは異なり、封止材24の量を抑えることができ、封止材24の材料コストを削減することができる。
【0056】
また、支持部材22,31の空間26内に封止材24を充填するので、支持部材22,31に対する中間接続線23,32の移動を封止材24によって規制することができる。このため、中間接続線23,32の強度を確保することができる。
【0057】
また、巻線20の端部20a,20bと中間接続線23,32の一端部23a,32aとを冷間圧接によって接続することが好ましい。これにより、巻線20及び中間接続線23,32に電気や熱を加えることなく接続することができるので、電気や熱に起因する巻線20及び中間接続線23,32の特性の変化を防止することができる。
【0058】
また、中間接続線23,32は、コイル17の巻線20とは異種の金属によって形成される。このため、中間接続線23,32に接続する所定の部材(リード線3、中性点接続部材33)と巻線20とが異種の金属である場合、中間接続線23,32を上記所定の部材と同種の金属に設定することができる。これにより、コイル17の巻線20をステータコア15の上記一側へ引き出して比較的容易に接続作業を行うことが可能な巻線20と中間接続線23,32との接続箇所に、異種の金属同士の接続を適用することができ、また、中間接続線23,32をステータコア15側にセットした状態で接続作業を行う中間接続線23,32と上記所定の部材との接続箇所に、同種の金属同士の接続を適用することができる。
【0059】
また、上記のステータ製造方法では、コイル17の巻線20の端部20a,20bをステータコア15の上記一側へ引き出した状態で、中間接続線23,32を巻線20に接続する(第1工程)。このため、上述したように、中間接続線23,32とコイル17の巻線20とが異種の金属であり、その接続が比較的難しい場合であっても、コイル17の巻線20をステータコア15の上記一側へ引き出して、接続作業をし易い状態で巻線20と中間接続線23,32とを接続することができる。
【0060】
また、嵩張りを抑えることが可能な線状の中間接続線23,32を巻線20に接続するので、コイル17の巻線20の端部20a,20bをステータコア15の上記一側へ引き出した状態で中間接続線23,32を巻線20に接続した後、中間接続線23,32を支持部材22,31の空間26内へ容易に挿入することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、コイル17の巻線20の端部20a,20bの端面と中間接続線23,32の端面とが当接する状態で、巻線20と中間接続線23とを接続したが、これに限定されるものではない。例えば、中間接続線23,32が巻線20の端部20a,20bから連続して延びるように、巻線20の端部20a,20bの側面と中間接続線23,32の一端部23a,32aの側面とが当接する状態で、巻線20と中間接続線23とを接続してもよい。
【0062】
また、本実施形態では、中間接続線23,32を、コイル17の巻線20とは異種の金属によって形成したが、これに限定されるものではなく、巻線20と同種の金属によって形成してもよい。
【0063】
また、本実施形態では、中間接続線23,32を支持する絶縁性支持部材として、インシュレータ16とは別体の支持部材22,31を設けたが、絶縁性支持部材はこれに限定されるものではない。例えば、インシュレータ16を、中間接続線23,32を支持可能な形状に形成し、インシュレータ16を絶縁性支持部材として機能させてもよい。
【0064】
また、本実施形態では、本開示に係るステータ構造を、第1接続部18及び第2接続部19の双方に適用したが、これに限定されるものではなく、第1接続部18及び第2接続部19の少なくとも一方の接続部に適用していればよい。
【0065】
また、本実施形態では、本開示に係るステータ構造を自動二輪車のスタータ及び発電機として使用されるACGスタータ(回転電機10)のステータ11に適用したがこれに限定されるものではなく、例えば、モータ又は発電機のいずれか一方として機能する回転電機のステータに適用してもよい。
【0066】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0067】
3:リード線(所定の部材)
10:回転電機
11:ステータ
15:ステータコア
17:コイル
20:巻線
20a:巻線の一端部(端部)
20b:巻線の他端部(端部)
22,31:支持部材(絶縁性支持部材)
22c:底部
23,32:中間接続線(線状部材)
23a,32a:中間接続線の一端部
23b,32b:中間接続線の他端部(先端部)
24:封止材
26:空間
27:貫通孔
30,34:部材接続部
33:中性点接続部材(所定の部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9