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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156613
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】車載器
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20231018BHJP
   B60R 1/24 20220101ALI20231018BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231018BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20231018BHJP
   G06T 7/70 20170101ALI20231018BHJP
   G06V 20/54 20220101ALI20231018BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/16 F
B60R1/24
G06T7/00 650A
G06T7/60 200J
G06T7/70 A
G06V20/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066086
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大槻 一哉
(72)【発明者】
【氏名】小林 裕一
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB12
5H181CC04
5H181CC24
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
5H181MB02
5L096AA02
5L096BA04
5L096CA04
5L096DA03
5L096FA03
5L096FA69
5L096FA76
(57)【要約】
【課題】区画線とは異なる線に基づいて乗務員に対し安全運転に関する注意喚起をすることができる車載器を提供する。
【解決手段】車載器2は、車両100に搭載されたカメラ33から車両の前方を撮像した画像を取得する取得部と、車両の進行方向に沿った線40,50を画像から検出し、かつ線の色に基づいて線の種類を判別する判別部と、車両に対する線の相対位置に基づいて車両の乗務員に対して安全運転に関する警告を生成する生成部と、警告を出力する警報部と、を備え、判別部は、線が車線の区画線を示す色を有する第一種類の線40であるか、線が区画線を示す色とは異なる色を有する第二種類の線50であるか、を判別し、生成部は、車両に対する第一種類の線40の相対位置に基づいて第一の警告を生成し、生成部は、車両に対する第二種類の線50の相対位置に基づいて第一の警告とは異なる第二の警告を生成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたカメラから前記車両の前方を撮像した画像を取得する取得部と、
前記車両の進行方向に沿った線を前記画像から検出し、かつ前記線の色に基づいて前記線の種類を判別する判別部と、
前記車両に対する前記線の相対位置に基づいて前記車両の乗務員に対して安全運転に関する警告を生成する生成部と、
前記警告を出力する警報部と、
を備え、
前記判別部は、前記線が車線の区画線を示す色を有する第一種類の線であるか、前記線が前記区画線を示す色とは異なる色を有する第二種類の線であるか、を判別し、
前記生成部は、前記車両に対する前記第一種類の線の相対位置に基づいて第一の警告を生成し、
前記生成部は、前記車両に対する前記第二種類の線の相対位置に基づいて前記第一の警告とは異なる第二の警告を生成する
ことを特徴とする車載器。
【請求項2】
前記生成部は、前記車両が前記第一種類の線を跨いで走行した場合に跨ぎ走行についての前記第一の警告を生成し、
前記生成部は、前記車両が前記第二種類の線を跨いで走行した場合に跨ぎ走行についての前記第二の警告を生成し、
跨ぎ走行についての前記第二の警告は、跨ぎ走行についての前記第一の警告と比較して、乗務員に対する警告の度合いが弱い
請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記生成部は、前記車両が前記第一種類の線に近接するふらつき走行をした場合に、ふらつき走行についての前記第一の警告を生成し、
前記生成部は、前記車両が前記第二種類の線よりも車線の内側でふらつき走行をした場合に、ふらつき走行についての前記第二の警告を生成し、
前記ふらつき走行についての前記第二の警告は、ふらつき走行についての前記第一の警告と比較して、乗務員に対する警告の度合いが弱い
請求項1に記載の車載器。
【請求項4】
前記第一種類の線と、前記第一種類の線よりも車線の内側に配置された前記第二種類の線と、が検出された場合において、
前記生成部は、内側の前記第二種類の線に基づいて前記第二の警告を生成し、かつ外側の前記第一種類の線に基づいて前記第一の警告を生成する
請求項1から3の何れか1項に記載の車載器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車線からの逸脱を警報する技術がある。特許文献1には、走行車線を規定する白線の位置を自車両の位置に対して認識する白線認識手段と、自車両の逸脱を判定する逸脱判定手段と、自車両の逸脱ありと判定したときにその逸脱を警報する警報手段とを備えた車線逸脱警報装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5609293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車線には、車線の境界を示す区画線とは異なる線が配置されることがある。例えば、境界線よりも車線の内側に、車両を誘導する線が設けられている道路がある。区画線とは異なる線を有効利用して乗務員に対して注意喚起を行なうことができれば、車両運行の安全性を向上させる点で望ましい。
【0005】
本発明の目的は、区画線とは異なる線に基づいて乗務員に対し安全運転に関する注意喚起をすることができる車載器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車載器は、車両に搭載されたカメラから前記車両の前方を撮像した画像を取得する取得部と、前記車両の進行方向に沿った線を前記画像から検出し、かつ前記線の色に基づいて前記線の種類を判別する判別部と、前記車両に対する前記線の相対位置に基づいて前記車両の乗務員に対して安全運転に関する警告を生成する生成部と、前記警告を出力する警報部と、を備え、前記判別部は、前記線が車線の区画線を示す色を有する第一種類の線であるか、前記線が前記区画線を示す色とは異なる色を有する第二種類の線であるか、を判別し、前記生成部は、前記車両に対する前記第一種類の線の相対位置に基づいて第一の警告を生成し、前記生成部は、前記車両に対する前記第二種類の線の相対位置に基づいて前記第一の警告とは異なる第二の警告を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車載器の生成部は、車両に対する第一種類の線の相対位置に基づいて第一の警告を生成し、車両に対する第二種類の線の相対位置に基づいて第一の警告とは異なる第二の警告を生成する。第一種類の線は、車線の区画線を示す色を有する線であり、第二種類の線は、区画線を示す色とは異なる色を有する線である。本発明に係る車載器によれば、区画線とは異なる線に基づいて乗務員に対し安全運転に関する注意喚起をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態の運転評価システムを示す図である。
図2図2は、第一種類の線および第二種類の線を有する車線を示す図である。
図3図3は、第一種類の線および第二種類の線を有する車線を示す図である。
図4図4は、第一種類の線および第二種類の線を有する車線を示す図である。
図5図5は、はみ出し禁止の警告について説明する図である。
図6図6は、許容されるはみ出し走行を説明する図である。
図7図7は、追い越し禁止の警告について説明する図である。
図8図8は、障害物の回避を示す図である。
図9図9は、車線変更の禁止について説明する図である。
図10図10は、車線変更の禁止について説明する図である。
図11図11は、ふらつきの警告について説明する図である。
図12図12は、跨ぎ走行の注意喚起について説明する図である。
図13図13は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
図14図14は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
図15図15は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
図16図16は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
図17図17は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
図18図18は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る車載器につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から図18を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車載器に関する。図1は、本実施形態の運転評価システムを示す図、図2から図4は、第一種類の線および第二種類の線を有する車線を示す図、図5は、はみ出し禁止の警告について説明する図、図6は、許容されるはみ出し走行を説明する図、図7は、追い越し禁止の警告について説明する図、図8は、障害物の回避を示す図、図9および図10は、車線変更の禁止について説明する図である。
【0011】
図11は、ふらつきの警告について説明する図、図12は、跨ぎ走行の注意喚起について説明する図、図13から図18は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
【0012】
図1に示す本実施形態の運転評価システム1は、車両100の運行を管理するシステムである。運転評価システム1は、例えば、貨物自動車運送事業、旅客自動車運送事業等の事業者の設備として導入される。運転評価システム1は、車両用の運行管理プログラムに従って動作する。運転評価システム1は、車載器2、サーバ6、および事務所PC7を有する。
【0013】
事務所PC7は、例えば、運送事業者の事務所に設置された汎用のコンピュータ装置で構成される。事務所PC7は、管理対象の各車両における乗務員の運転を評価する機能を有している。運転評価の機能には、安全運転に関する乗務員に対する評点を算出する機能、および安全運転を促すフィードバックデータを生成する機能が含まれる。
【0014】
事務所PC7は、CPU70、通信部71、不揮発性メモリ72、揮発性メモリ73、および外部入力インタフェース74を有する。事務所PC7は、通信部71およびインターネット網NWを介してサーバ6および無線基地局5のそれぞれと通信を行なう。事務所PC7は、例えば、不揮発性メモリ72からCPU70に読み込んだプログラムに従って、運行状況の管理、および運転評価を実行する。
【0015】
サーバ6は、ワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。サーバ6は、例えば、インターネット上の任意の箇所に配置されたサーバであってもよく、企業内のローカルネットワーク上に配置されたサーバであってもよい。サーバ6は、通信サービスを提供するデータセンタに配置されてもよい。サーバ6には、車両の運行状況に関する情報や、安全運転に関する警告イベント、安全運転に関する注意喚起のイベントなどが保存される。なお、以下の説明では、安全運転に関する警告イベントを単に「警告イベント」と称し、安全運転に関する注意喚起のイベントを単に「注意喚起イベント」と称する。
【0016】
無線基地局5は、広域の無線通信を行なう基地局である。無線基地局5は、例えば、移動体無線通信サービスを提供する通信事業者の設備である。車載器2は、無線基地局5との間で無線通信を行なう。
【0017】
車載器2は、車両100に搭載されている装置であり、自車両の入出庫や走行情報を含む運行データを記録する。車載器2は、例えば、車両100の運行状況を記録するデジタルタコグラフ、ドライブレコーダー、タクシーメーター等である。図1には、車載器2の構成の一例として、デジタルタコグラフの構成が示されている。車載器2は、車載器本体2A、および車載器本体2Aに接続された周辺機器を有する。車載器本体2Aは、速度インタフェース21、エンジンインタフェース22、GPS受信部23、アナログインタフェース24、外部入力インタフェース25、広域通信部26、不揮発性メモリ27、揮発性メモリ28、カードインタフェース29、スイッチ30、および表示部31を有する。周辺機器は、ハンディテンキー32およびアンテナ34を有する。周辺機器は、更に、カメラ33を含んでもよい。
【0018】
車両100には、カメラ33が搭載されている。カメラ33は、車両100の前方を撮像して画像を生成する。カメラ33は、車両100の前方の路面を撮像できるように配置されている。より詳しくは、カメラ33は、少なくとも車両100が走行している車線、および車線に設けられた各種の線を撮像できるように配置されている。本実施形態のカメラ33は、路面に設けられた線の色を判別することができるカラー画像を生成する。カメラ33は、動画を撮像するカメラであってもよい。車載器2は、外部入力インタフェース25を介してカメラ33から画像を取得する。
【0019】
速度インタフェース21は、車両100の走行速度を取得してCPU20に出力する。エンジンインタフェース22は、車両100に搭載されたエンジンの回転速度を取得してCPU20に出力する。GPS受信部23は、GPSアンテナを含む受信回路である。GPS受信部23は、GPS衛星から送信される信号を受信し、車両100の現在位置を算出する。GPS受信部23は、算出した現在位置の情報をCPU20に出力する。アナログインタフェース24は、車両100の状態を検知するセンサに接続されている。アナログインタフェース24は、例えば、エンジン温度を検出するセンサや、燃料量を検出するセンサに接続されている。外部入力インタフェース25には、各種の外部機器が接続される。外部入力インタフェース25は、カメラ33が接続されるコネクタや、ハンディテンキー32が接続されるコネクタを有していてもよい。
【0020】
広域通信部26は、無線基地局5との間で通信を行なう通信モジュールである。広域通信部26はCPU20の指令に従い、アンテナ34を介して無線基地局5と無線通信を行なう。不揮発性メモリ27は、CPU20によって実行される処理プログラムや各種データを記憶している。揮発性メモリ28は、例えば、CPU20による演算結果等を記憶するメモリである。カードインタフェース29は、例えば、メモリカードが挿抜されるスロットである。乗務員は、車両100に乗務するときに、所持するメモリカードをカードインタフェース29に差し込む。カードインタフェース29に挿入されたメモリカードには、車両100の車両コード、乗務員コード、運行状況、警告イベント、注意喚起イベント等のデータが記録される。
【0021】
スイッチ30は、乗務員による操作入力を受け付ける。表示部31は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置である。表示部31は、CPU20からの指令に応じて、車載器2の動作状態、通信状態、時刻、運行状況、注意、警告、故障情報等を表示する。表示部31は、視覚情報を表示できるだけでなく、音声やブザーを出力するスピーカを有している。本実施形態の表示部31は、乗務員に対して安全運転に関する警告を出力する警報部として機能する。
【0022】
ハンディテンキー32は、車載器本体2Aを遠隔操作する端末である。ハンディテンキー32は、例えば、外部入力インタフェース25に接続される。ハンディテンキー32には、テンキー、十字キー、各種ボタン等が配置されている。乗務員は、ハンディテンキー32に対する入力操作により車載器本体2Aに対する指令を行なうことができる。アンテナ34は、広域の無線通信で使用される周波数帯の電波を送受信する。
【0023】
CPU20は、判別機能20A、生成機能20B、および送信機能20Cを有する。判別機能20Aは、画像から検出された線の種類を判別する判別部の一例である。生成機能20Bは、安全運転に関する警告を生成する生成部の一例である。送信機能20Cは、警告イベントを送信する送信部の一例である。判別機能20A、生成機能20B、および送信機能20Cは、不揮発性メモリ27からCPU20に読み込んだプログラムによって実現される。
【0024】
判別機能20Aは、カメラ33から取得した画像から少なくとも二種類の線を判別する。カメラ33から取得する画像は、車両100の前方の路面を撮像した画像である。判別機能20Aは、取得した画像から車両100の進行方向に沿った線を検出する。以下の説明では、画像から検出された線であって、かつ車両100の進行方向に沿った線を単に「検出された線」と称する。判別機能20Aは、検出された線の色に基づいて、検出された線が第一種類の線40であるか第二種類の線50であるかを判別する。検出された線の色を検知する手法は、例えば、画像のRGB値やHSV値に基づく手法である。
【0025】
第一種類の線40は、車線の区画線を示す色の線である。区画線の色は、例えば、法令により定められた色である。日本における区画線を示す色は、例えば、白色および黄色である。第二種類の線50は、区画線を示す色とは異なる色の線である。
【0026】
ここで、本実施形態の第二種類の線50について説明する。図2には、第一種類の線40および第二種類の線50が配置された車線200が示されている。第一種類の線40および第二種類の線50は、車線200における両側の境界部に配置されている。第一種類の線40の色は、区画線を示す色として法令で定められた色である。区画線は、車線の境界を示す線である。区画線は、例えば、一つの車線と他の一つの車線との境界や、車線と歩道との境界を示す。
【0027】
第二種類の線50は、区画線を示す色とは異なる色を有する。第二種類の線50は、例えば、車両を正しい走路に誘導するために自動車専用道路に設けられる。この場合の第二種類の線50は、例えば、間違い防止や逆走防止を図る目的で設けられる。第二種類の線50は、例えば、工事車両を誘導する補助線として設けられる。図2に示す第二種類の線50は、連続した実線であり、かつ第一種類の線40の幅と同等の幅を有する。
【0028】
図3には、破線で描かれた第二種類の線50が示されている。図3に示す第二種類の線50は、不連続な線であり、かつ第一種類の線40よりも広い幅を有する。図3に示す第二種類の線50は、例えば、走行レーンへの誘導用として設けられる。
【0029】
図4には、立体物に見えるように描かれた第二種類の線50が示されている。図4の第二種類の線50は、実際は路面に描かれた線であり、車両100の進行方向に沿って延在している。図4の第二種類の線50は、ブロックを模した絵であり、速度抑制を図って設けられる。
【0030】
第二種類の線50は、区画線を示す色とは異なる色で描かれる。本実施形態の車載器2は、予め登録された色の線を第二種類の線50として判定する。登録される色は、例えば、青、赤、緑などである。ただし、登録される色はこれらの色には限定されない。
【0031】
生成機能20Bは、車両100に対する検出された線の相対位置に基づいて車両100の乗務員に対して安全運転に関する警告を生成する。本実施形態の生成機能20Bは、検出された線の種類に応じて第一の警告あるいは第二の警告を生成する。第一の警告は、第一種類の線40に基づいて生成される警告である。第一の警告は、例えば、交通違反の運転、または交通違反につながるような運転に対する警告である。第一の警告は、例えば、事故につながるような運転、または事故を誘発するような運転に対する警告である。
【0032】
図5から図9を参照して、第一の警告について説明する。図5には、他の車両110を追い越そうとしている車両100が示されている。車両100が走行している車線200には、第一種類の線40が設けられている。車線200の両端に配置された第一種類の線40は、何れも白の実線41である。また、車両100に対して右側の第一種類の線40は、中央線である。この場合、矢印AR1で示すように中央線からはみ出して走行することは禁じられている。車載器2は、はみ出し走行が検出された場合、乗務員に対して第一の警告を出力する。
【0033】
図6に示す車線200には、中央線として白の破線42が配置されている。この場合、中央線からはみ出して走行することが許容される。車載器2は、第一種類の線40が白の破線42である場合、はみ出し走行が検出されても乗務員に対して第一の警告を出力しない。
【0034】
図7に示す車線200には、中央線として黄色の実線43が配置されている。この場合、矢印AR2で示すように追い越しのために中央線からはみ出して走行することは禁じられている。車載器2は、追い越しのためのはみ出し走行が検出された場合、乗務員に対して第一の警告を出力する。
【0035】
図8には、障害物120を回避して走行する車両100が示されている。中央線は、黄色の実線43である。障害物120は、例えば、停車している他の車両である。この場合、回避のために中央線からはみ出して走行することが許容される。車載器2は、障害物120を回避する場合のはみ出し走行が検出されても乗務員に対して第一の警告を出力しない。
【0036】
図9には、進行方向が同じである複数の車線200を有する道路が示されている。車線の境界には、白の実線41、白の破線42、または黄色の実線43が配置されている。この場合、黄色の実線43を超える車線変更は禁止されている。また、黄色の実線43に対しては、追い越しのためのはみ出し走行が禁止されている。車載器2は、矢印AR3,AR4に示すはみ出しが検出された場合、乗務員に対して第一の警告を出力する。
【0037】
図10には、進行方向が同じである二つの車線200を有する道路が示されている。二つの車線200の境界には、白の破線42および黄色の実線43が並んで配置されている。白の破線42は、黄色の実線43に対して左側に配置されている。この場合、右側の車線200から左側の車線200への車線変更は禁止されている。車載器2は、矢印AR5に示すはみ出しが検出された場合、乗務員に対して第一の警告を出力する。
【0038】
図11には、車両100のふらつき走行が示されている。ふらつき走行は、車線200の内側において左右にふらつく走行である。車載器2は、矢印AR6に示すふらつき走行が検出された場合、乗務員に対して第一の警告を出力する。
【0039】
本実施形態の車載器2は、第一の警告を出力した場合、警告イベントを記録する。警告イベントのデータには、発生時刻、発生地点、第一の警告の内容、乗務員コード等が含まれる。車載器2は、例えば、警告イベントをメモリカードに記録し、かつ無線基地局5に向けて警告イベントを送信する。
【0040】
次に、第二の警告について説明する。第二の警告は、第二種類の線50に基づいて生成される警告である。第二の警告は、例えば、より安全性の高い走行を促すための乗務員に対する注意、または車両100が不安定な挙動を示した場合の乗務員に対する注意である。
【0041】
図12には、第二の警告が出力される場面の一例が示されている。車両100は、車線200の区画線よりも内側を走行しているが、第二種類の線50よりも外側にはみ出して走行している。言い換えると、車両100は、第二種類の線50を跨いで走行している。車載器2は、車両100が第二種類の線50を跨いで走行した場合、乗務員に対して第二の警告を出力する。
【0042】
車載器2は、第二種類の線50に対して車両100が接近した場合、乗務員に対して第二の警告を出力する。また、車載器2は、第二種類の線50よりも内側でふらつき走行が検出された場合、乗務員に対して第二の警告を出力する。例えば、図12に示す車線200において、車両100が二本の第二種類の線50の間でふらつき走行した場合、第二の警告が出力される。
【0043】
第二の警告は、第一の警告と比較して、乗務員に対する警告の度合いが弱い。例えば、車両100が線を跨いで走行した場合に、線の種類に応じて警告の度合いが異なる。図12に示すように車両100が第二種類の線50を跨いでいるが、第一種類の線40を跨いではいない場合、第二の警告が出力される。この場合、車両100が車線200から逸脱しないように、乗務員に対する弱い警告がなされる。音声による第二の警告は、例えば、「補助線からはみ出して走行しています。注意してください。」などのメッセージである。
【0044】
一方、車両100が白の実線41または黄色の実線43を跨いで走行した場合、第一の警告による強い警告が出力される。音声による第一の警告は、例えば、「車線からはみ出しています。すぐに車線内に戻ってください。」というメッセージや、「危険走行です。車線からはみ出さないでください。」というメッセージである。音声による第一の警告は、乗務員に対する評価の減点となる走行をした旨のメッセージであってもよい。つまり、第一の警告は、第二の警告よりも、乗務員に対する警告の度合いが強い。よって、本実施形態の車載器2は、乗務員に対して適切な種類の警告や、注意喚起を出力することができる。
【0045】
なお、表示部31は、ブザー等によって第一の警告および第二の警告を出力してもよい。この場合、第一の警告のブザー音は、第二の警告のブザー音と比較して警告の度合いが強い。警告の度合いの違いは、例えば、ブザー音の音程の違いであってもよく、ブザー音の周期の違いであってもよく、ブザー音の音量の違いであってもよく、その他の違いであってもよい。第一の警告と第二の警告とで出力の種類が異なっていてもよい。例えば、第一の警告が音声で出力される場合に、第二の警告はブザー音で出力されてもよい。
【0046】
第一の警告および第二の警告は、光や画像によるものであってもよい。この場合、第一の警告の光や画像は、第二の警告の光や画像と比較して警告の度合いが強い。警告の度合いの違いは、例えば、色の違いであってもよく、明滅の周期の違いであってもよく、明暗の違いであってもよく、その他の違いであってもよい。
【0047】
本実施形態の車載器2は、第二の警告を出力した場合、注意喚起イベントを記録する。注意喚起イベントのデータには、発生時刻、発生地点、第二の警告の内容、乗務員コード等が含まれる。車載器2は、例えば、注意喚起イベントをメモリカードに記録する。車載器2は、無線基地局5に向けて注意喚起イベントを送信してもよい。
【0048】
車載器2は、第一種類の線40に基づく注意を出力することができるように構成されている。第一種類の線40に基づく注意は、例えば、第一種類の線40に対して車両100が接近した場合に出力される。注意が出力される場合、注意喚起イベントが発生する。車載器2は、第一種類の線40に基づく注意喚起イベントをメモリカードに記録する。
【0049】
無線基地局5によって受信された運行データ、警告イベント、および注意喚起イベントは、サーバ6に保存される。サーバ6は、CPU60、通信部61、不揮発性メモリ62、揮発性メモリ63、および外部入力インタフェース64を有する。CPU60は、車両100によって送信された各データを不揮発性メモリ62や記憶用のディスク装置に記憶する。
【0050】
図13から図18のフローチャートを参照して、実施形態に係る車載器2の動作について説明する。図13に示すフローチャートは、車両100の運転が開始されると実行される。同フローチャートは、車両100のイグニッションがONであるときに繰り返し実行されてもよい。
【0051】
ステップS10において、車載器2は、設定値を読み出す。より詳しくは、不揮発性メモリ27等に記録されている設定値がCPU20に読み込まれる。読み出される設定値は、第二種類の線50に基づく判定を行なうか否かの設定値、第二種類の線50として判別される線の色、線幅についての閾値Wt、近接判定の上限値Nt、およびふらつき警告についての判定値を含む。ステップS10が実行されるとステップS20に進む。
【0052】
ステップS20において、CPU20は、カメラ33から画像データを取得する。CPU20は、例えば、カメラ33によって撮像された最新の画像を取得する。ステップS20が実行されると、ステップS30に進む。
【0053】
ステップS30において、CPU20は、ステップS20で取得された画像から線を検出したかを判定する。CPU20の判別機能20Aは、画像認識によって画像から線を検出する。判別機能20Aは、例えば、画像の輝度成分に基づいて線を検出する。検出される線は、車両100の進行方向に沿った線である。判別機能20Aは、曲線近似によって線の形状を決定する。判別機能20Aは、複数の線を画像から検出することも可能である。CPU20は、画像から線を検出できたと肯定判定された場合、ステップS40に進み、否定判定された場合にはステップS20に移行する。
【0054】
ステップS40において、CPU20は、検出された線が1本であるかを判定する。ステップS40の判定の結果、線が1本であると肯定判定された場合にはステップS50に進み、否定判定された場合にはフローチャートFL5(図17)のステップS510に進む。
【0055】
ステップS50において、CPU20は、検出された線の色を判別する。線の色が白または黄色である場合、ステップS60に進む。線の色が白および黄色の何れでもなく、かつ設定された色である場合、フローチャートFL3(図15)のステップS310に進む。設定された色は、ステップS10で読み込まれた色であって、第二種類の線50として判別される線の色である。線の色がその他の色である場合、フローチャートが終了する。その他の色は、白および黄色の何れとも異なり、かつ設定された色とも異なる色である。
【0056】
ステップS60において、CPU20は、検出された線の太さが閾値Wt未満であるかを判定する。この閾値Wtは、はみ出しやふらつきの基準線を抽出するための値である。閾値Wtは、法定の区画線や、区画線に近い太さの線を抽出できるように定められる。閾値Wt以上の太さを有する線は、基準線の対象外である。例えば、路面の全体が着色されている場合、この着色部分が線として検出されたとしても、ステップS60で否定判定される。ステップS60の判定の結果、線の太さが閾値Wt未満であると肯定判定された場合にはステップS70に進み、否定判定された場合にはフローチャートが終了する。
【0057】
ステップS70において、CPU20は、相対距離を算出する。この相対距離は、検出された線と車両100との相対距離であり、かつ車線200の幅方向における距離である。CPU20は、例えば、幅方向における車両100の端から検出された線までの距離を算出する。なお、CPU20は、車両100に対して左側および右側にそれぞれ線が検出されている場合、車両100に近い側の線との相対距離を算出することが好ましい。ステップS70が実行されると、ステップS80に進む。
【0058】
ステップS80において、CPU20は、車両100が検出された線に近接しているかを判定する。CPU20は、ステップS10で読み込んだ近接判定の上限値Ntに基づいてステップS80の判定を行なう。ステップS70で算出された相対距離が近接判定の上限値Ntよりも小さな値である場合、ステップS80で肯定判定がなされる。なお、相対距離は、マイナスの値となってもよい。例えば、車両100が検出された線から外側にはみ出している場合、相対距離がマイナスの値となってもよい。ステップS80の判定の結果、車両100が線に近接していると肯定判定された場合にはステップS90に進み、否定判定された場合にはフローチャートが終了する。
【0059】
ステップS90において、CPU20は、検出された線の形状を判定する。判別機能20Aは、例えば、線の延在方向に沿った輝度分布に基づいて線の形状を判定する。検出された線が白の破線42である場合、ステップS100に進む。検出された線が黄色の実線43である場合、ステップS110に進む。検出された線が白の実線41である場合、フローチャートFL2(図14)のステップS210に進む。
【0060】
ステップS100において、CPU20は、車両100のウインカーがONであるかを判定する。ウインカーがONである場合、車両100の乗務員が進路の変更をしようとしていると考えられる。CPU20は、例えば、ウインカー信号に基づいてステップS100の判定を行なう。ステップS100の判定の結果、ウインカーがONであると肯定判定された場合にはフローチャートが終了し、否定判定された場合にはフローチャートFL2のステップS210に進む。
【0061】
ステップS110において、CPU20は、車両100のウインカーがONであるかを判定する。その結果、肯定判定された場合にはステップS120に進み、否定判定された場合にはフローチャートFL2のステップS210に進む。
【0062】
ステップS120において、CPU20は、追い越しであるかを判定する。CPU20は、車両100の前方に他の車両110が存在するかを確認する。CPU20は、画像認識によって他の車両110が検出されている場合、更に、他の車両110が走行しているかを判断する。他の車両110が走行しているか否かは、カメラ33から取得した複数の画像に基づいて判断することができる。CPU20は、前方に他の車両110が検出され、かつ他の車両110が走行している場合、車両100が他の車両110を追い越そうとしていると判断する。ステップS120の判定の結果、追い越しであると肯定判定された場合にはステップS130に進み、否定判定された場合にはフローチャートFL2のステップS210に進む。
【0063】
ステップS130において、CPU20は、追い越し禁止の警告を出力する。追い越し禁止の警告は、第一の警告の一つである。CPU20は、表示部31から出力するための第一の警告を生成する。乗務員に対して警告する方法は、音声であってもよく、ブザー等の音であってもよく、ランプ等の光であってもよく、表示部31に表示する画像であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。CPU20は、生成した追い越し禁止の警告を表示部31から出力させる。ステップS130が実行されると、ステップS140に進む。
【0064】
ステップS140において、CPU20は、警告イベントをメモリカードに記録する。CPU20は、追い越し禁止の警告イベントを無線基地局5に送信してもよい。ステップS140が実行されると、フローチャートFL2のステップS210に進む。
【0065】
図14のフローチャートFL2は、法定の区画線に基づく警告または注意に関する。ステップS210において、CPU20は、車両100が車線200から逸脱しているかを判定する。ステップS210の判定は、例えば、ステップS70で算出された相対距離に基づいてなされる。ステップS210の判定の結果、車線200から逸脱していると肯定判定された場合にはステップS220に進み、否定判定された場合にはステップS280に進む。
【0066】
ステップS220において、CPU20は、はみ出しの警告を出力する。ステップS220のはみ出しの警告は、第一の警告の一つである。CPU20は、表示部31から出力するための第一の警告を生成する。CPU20は、生成したはみ出しの警告を表示部31から出力させる。更に、CPU20は、はみ出しの警告イベントをメモリカードに記録する。CPU20は、はみ出しの警告イベントを無線基地局5に送信してもよい。ステップS220が実行されると、ステップS230に進む。
【0067】
ステップS230において、CPU20は、車線逸脱を継続しているかを判定する。CPU20は、例えば、車線逸脱のフラグや、車線逸脱の継続時間に基づいてステップS230の判定を行なう。車線逸脱のフラグは、車両100が車線200から逸脱しているか否かを示すフラグである。車線逸脱の継続時間は、車両100が車線200から逸脱したままで経過した時間である。ステップS230の判定の結果、車線逸脱を継続していると肯定判定された場合にはステップS240に進み、否定判定された場合にはステップS260に進む。
【0068】
ステップS240において、CPU20は、車線逸脱のままで一定時間経過したかを判定する。CPU20は、例えば、車線逸脱の継続時間に基づいてステップS240の判定を行なう。ステップS240の判定の結果、一定時間が経過したと肯定判定された場合にはステップS250に進み、否定判定された場合にはフローチャートが終了する。
【0069】
ステップS250において、CPU20は、車線跨ぎの警告を出力する。車線跨ぎの警告は、第一の警告の一つである。CPU20は、表示部31から出力するための第一の警告を生成する。CPU20は、生成した車線跨ぎの警告を表示部31から出力させる。更に、CPU20は、車線跨ぎの警告イベントをメモリカードに記録する。CPU20は、車線跨ぎの警告イベントを無線基地局5に送信してもよい。ステップS250が実行されると、フローチャートが終了する。
【0070】
ステップS260において、CPU20は、車両100がふらつき走行したかを判定する。ステップS260のふらつき走行は、区画線に接近する車両100の挙動である。ふらつき判定は、例えば、所定の時間内におけるふらつきの回数に基づいてなされる。例えば、ふらつきが検出されてから30秒以内に再度ふらつきが検出された場合、ふらつきの回数が累積される。ふらつきの累積回数が3回以上となった場合に、ふらつき走行したと判定されてもよい。ふらつき判定は、例えば、ステップS10で読み込まれた判定値に従って実行される。
【0071】
なお、ステップS260のふらつき走行は、車線200からのはみ出しを含むふらつき走行であってもよく、はみ出しを含まないふらつき走行であってもよい。ステップS260の判定の結果、ふらつき走行したと肯定判定された場合にはステップS270に進み、否定判定された場合にはフローチャートが終了する。
【0072】
ステップS270において、CPU20は、ふらつきの警告を出力する。ふらつきの警告は、第一の警告の一つである。CPU20は、表示部31から出力するための第一の警告を生成する。音声による第一の警告は、例えば、「車両がふらついています。危険です」とのメッセージである。音声による第一の警告は、乗務員に対する評価の減点となるふらつき走行である旨のメッセージであってもよい。CPU20は、生成したふらつきの警告を表示部31から出力させる。更に、CPU20は、警告イベントをメモリカードに記録する。CPU20は、ふらつきの警告イベントを無線基地局5に送信してもよい。ステップS270が実行されると、フローチャートが終了する。
【0073】
ステップS280において、CPU20は、走行注意の設定がONであるかを判定する。ステップS280の判定は、例えば、ステップS10で読み込んだ設定値に基づいてなされる。本実施形態の車載器2は、車両100が車線200から逸脱していない場合の注意機能について、ON/OFFの切り換えが可能である。ステップS280の判定の結果、走行注意の設定がONであると肯定判定された場合にはステップS290に進み、否定判定された場合にはステップS260に進む。
【0074】
ステップS290において、CPU20は、乗務員に対して走行注意を促す。この注意は、区画線へ接近していることを乗務員に知らせる注意である。CPU20は、表示部31から出力するための注意を生成する。乗務員に対して注意喚起する方法は、音声であってもよく、ブザー等の音であってもよく、ランプ等の光であってもよく、表示部31に表示する画像であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。CPU20は、走行注意を表示部31から出力させる。なお、CPU20は、区画線への接近に関して乗務員に注意を行なった場合、注意喚起イベントを記録してもよい。ステップS290が実行されると、ステップS260に進む。
【0075】
図15のフローチャートFL3は、第二種類の線50に基づく注意喚起に関する。ステップS310において、CPU20は、相対距離を算出する。CPU20は、検出された第二種類の線50と車両100との相対距離を算出する。ステップS310が実行されると、ステップS320に進む。
【0076】
ステップS320において、CPU20は、車両100が第二種類の線50に近接しているかを判定する。CPU20は、例えば、ステップS10で読み込んだ近接判定の上限値Ntに基づいてステップS320の判定を行なう。ただし、第二種類の線50への近接判定では、第一種類の線40への近接判定とは異なる判定値が用いられてもよい。例えば、第二種類の線50への近接判定では、近接の度合いがより高い場合に肯定判定がなされてもよい。ステップS320の判定の結果、車両100が第二種類の線50に近接していると肯定判定された場合にはステップS330に進み、否定判定された場合にはフローチャートが終了する。
【0077】
ステップS330において、CPU20は、ウインカーがONであるかを判定する。ウインカーがONであると肯定判定された場合にはフローチャートが終了し、否定判定された場合にはステップS340に進む。
【0078】
ステップS340において、CPU20は、第二の警告の設定がONであるかを判定する。ステップS340の判定は、ステップS10で読み込んだ設定値に基づいてなされる。ステップS340の判定の結果、第二の警告に関する機能がONであるとして肯定判定された場合にはステップS350に進み、否定判定された場合にはフローチャートが終了する。
【0079】
ステップS350において、CPU20は、乗務員に対して注意を促す。ステップS350の走行注意は、第二の警告の一つである。CPU20は、走行注意のための第二の警告を生成し、表示部31から第二の警告を出力させる。
【0080】
CPU20は、第二の警告を出力する場合、注意喚起イベントをメモリカードに記録してもよい。注意喚起イベントは、警告イベントとは異なり、乗務員の運転評価には反映されない。注意喚起イベントは、例えば、安全運転のための乗務員に対するフィードバックに用いられる。ステップS350が実行されると、フローチャートが終了する。
【0081】
図16のフローチャートFL4は、第二種類の線50に基づく注意喚起に関する。ステップS410において、CPU20は、内側領域200cからの逸脱を継続しているか判定する。内側領域200cは、図2に示すように、車線200における一部の領域であって、第二種類の線50に基づいて定まる。より詳しくは、内側領域200cは、第二種類の線50を含む、車線200における幅方向の内側の領域である。
【0082】
CPU20は、車両100が内側領域200cよりも外側にはみ出した場合、内側領域200cから逸脱していると判定する。CPU20は、内側領域200cからの逸脱を示すフラグや、この逸脱の継続時間に基づいてステップS410の判定を行なう。ステップS410の判定の結果、内側領域200cからの逸脱を継続しているとして肯定判定された場合にはステップS420に進み、否定判定された場合にはステップS440に進む。
【0083】
ステップS420において、CPU20は、内側領域200cから逸脱したまま一定時間が経過したかを判定する。ステップS420の判定の結果、一定時間が経過したと肯定判定された場合にはステップS430に進み、否定判定された場合にはフローチャートが終了する。
【0084】
ステップS430において、CPU20は、乗務員に対して走行注意を促す。CPU20は、跨ぎ走行に対する注意を生成する。この跨ぎ走行は、第二種類の線50を跨いだままでの走行である。跨ぎ走行に対する注意は、第二の警告の一つである。CPU20は、跨ぎ走行に対する注意を表示部31から出力させる。更に、CPU20は、注意喚起イベントをメモリカードに記録する。CPU20は、跨ぎ走行に対する注意喚起イベントを無線基地局5に送信してもよい。ステップS430が実行されると、フローチャートが終了する。
【0085】
ステップS440において、CPU20は、車両100がふらつき走行したかを判定する。このふらつき走行は、例えば、内側領域200cの内部でのふらつき走行であってもよく、内側領域200cからの逸脱を含むふらつき走行であってもよい。ただし、何れのふらつき走行も車線200からの逸脱は発生していないものとする。
【0086】
ふらつき判定は、例えば、所定の時間内におけるふらつきの回数に基づいてなされる。ふらつきは、車両100が第二種類の線50に接近する挙動である。ふらつきの累積回数が所定回数以上となった場合に、ふらつき走行したと判定される。ふらつき判定は、例えば、ステップS10で読み込まれた判定値に従って実行される。第二種類の線50に対するふらつき走行の判定値は、第一種類の線40に対するふらつき走行の判定値と異なってもよい。例えば、第二種類の線50に対する累積回数の閾値は、第一種類の線40に対する累積回数の閾値よりも大きな値であってもよい。ステップS440の判定の結果、ふらつき走行したと肯定判定された場合にはステップS450に進み、否定判定された場合にはフローチャートが終了する。
【0087】
ステップS450において、CPU20は、ふらつきの注意を促す。ふらつきの注意は、第二の警告の一つである。音声による第二の警告は、例えば、「車両が少しふらついています。注意してください」とのメッセージである。つまり、ふらつき走行についての第二の警告は、ふらつき走行についての第一の警告と比較して、乗務員に対する警告の度合いが弱い。CPU20は、ふらつきに対する注意を表示部31から出力させる。更に、CPU20は、注意喚起イベントをメモリカードに記録する。CPU20は、ふらつきに対する注意喚起イベントを無線基地局5に送信してもよい。ステップS450が実行されると、フローチャートが終了する。
【0088】
図17のフローチャートFL5は、車線200に対して片側に複数の線が検出されている場合の処理に関する。ステップS510において、CPU20は、車両100が複数の線よりも内側にいるかを判定する。例えば、図2に示すように車線200の両側にそれぞれ二本の線が検出されている場合、CPU20は、内側の線よりも車両100が車線200の内側に位置しているかを判定する。ステップS510の判定の結果、車両100が複数の線よりも内側にいると肯定判定された場合にはステップS520に進み、否定判定された場合にはフローチャートFL6(図18)のステップS610進む。
【0089】
ステップS520において、CPU20は、最も内側の線の色を判別する。ステップS520の判定の結果、内側の線の色が白または黄色である場合、ステップS530に進む。内側の線の色が設定された色である場合、フローチャートFL4に進む。内側の線の色がその他の色である場合、フローチャートが終了する。
【0090】
ステップS530において、CPU20は、内側の線の太さが閾値Wt未満であるかを判定する。ステップS530の判定の結果、肯定判定された場合にはステップS540に進み、否定判定された場合にはフローチャートが終了する。
【0091】
ステップS540において、CPU20は、相対距離を算出する。CPU20は、検出された内側の線と車両100との相対距離を算出する。ステップS540が実行されると、ステップS550に進む。
【0092】
ステップS550において、CPU20は、車両100が内側の線に近接しているかを判定する。その判定の結果、車両100が内側の線に近接していると肯定判定された場合にはステップS560に進み、否定判定された場合にはフローチャートが終了する。
【0093】
ステップS560において、CPU20は、内側の線の形状を判定する。内側の線が白の破線42である場合、ステップS570に進む。内側の線が黄色の実線43である場合、ステップS580に進む。内側の線が白の実線41である場合、フローチャートFL2に進む。
【0094】
ステップS570において、CPU20は、ウインカーがONであるかを判定する。ウインカーがONであると肯定判定された場合にはフローチャートが終了し、否定判定された場合にはフローチャートFL2に進む。
【0095】
ステップS580において、CPU20は、ウインカーがONであるかを判定する。ウインカーがONであると肯定判定された場合にはステップS590に進み、否定判定された場合にはフローチャートFL2に進む。
【0096】
ステップS590において、CPU20は、追い越しであるかを判定する。ステップS590の判定の結果、追い越しであると肯定判定された場合にはステップS600に進み、否定判定された場合にはフローチャートFL2のステップS210に進む。
【0097】
ステップS600において、CPU20は、追い越し禁止の警告を出力する。追い越し禁止の警告は、第一の警告の一つである。CPU20は生成した追い越し禁止の警告を表示部31から出力させる。CPU20は、更に、警告イベントをメモリカードに記録する。CPU20は、追い越し禁止の警告イベントを無線基地局5に送信してもよい。ステップS600が実行されると、フローチャートFL2のステップS210に進む。
【0098】
図18のフローチャートFL6は、車両100が車線200から逸脱しているか、または車線200の端に寄っている場合の処理に関する。ステップS610において、CPU20は、車両100が検出された複数の線から外側に出ているかを判定する。CPU20は、検出された複数の線のうち、最も外側の線から車両100がはみ出しているかを判定する。この判定の結果、車両100が複数の線から外側に出ていると肯定判定された場合にはステップS620に進み、否定判定された場合にはフローチャートFL2に進む。
【0099】
ステップS620において、CPU20は、白または黄色の線が検出されているかを判定する。CPU20は、検出された複数の線が、白の線または黄色の線を含んでいるかを判定する。ステップS620の判定の結果、白または黄色の線が検出されていると肯定判定された場合にはステップS630に進み、否定判定された場合にはフローチャートFL3に進む。この場合、フローチャートFL3およびフローチャートFL4では、内側の線に基づいて近接、跨ぎ走行、およびふらつき走行の判定がなされる。
【0100】
ステップS630において、CPU20は、検出された白または黄色の線の太さが閾値Wt未満であるかを判定する。ステップS630では、検出された白または黄色の線が区画線であるかの判定がなされる。ステップS630の判定の結果、白または黄色の線の太さが閾値Wt未満であると肯定判定された場合にはステップS640に進み、否定判定された場合にはフローチャートが終了する。
【0101】
ステップS640において、CPU20は、相対距離を算出する。CPU20は、検出された白または黄色の線と車両100との相対距離を算出する。この相対距離は、車線200の幅方向の距離である。ステップS640が実行されると、ステップS650に進む。
【0102】
ステップS650において、CPU20は、車両100が白または黄色の線に近接しているかを判定する。ステップS650の判定の結果、車両100が白または黄色の線に近接していると肯定判定された場合にはフローチャートFL2に進み、否定判定された場合にはフローチャートが終了する。
【0103】
以上説明したように、本実施形態の車載器2は、外部入力インタフェース25と、判別機能20Aと、生成機能20Bと、表示部31と、を有する。外部入力インタフェース25は、車両100に搭載されたカメラ33から車両100の前方を撮像した画像を取得する取得部である。判別機能20Aは、車両100の進行方向に沿った線を画像から検出し、かつ検出された線の色に基づいて線の種類を判別する判別部である。生成機能20Bは、車両100に対する線の相対位置に基づいて車両100の乗務員に対して安全運転に関する警告を生成する。表示部31は、警告を出力する警報部の一例である。
【0104】
判別機能20Aは、検出された線が車線の区画線を示す色を有する第一種類の線40であるか、検出された線が区画線を示す色とは異なる色を有する第二種類の線50であるか、を判別する。生成機能20Bは、車両100に対する第一種類の線40の相対位置に基づいて第一の警告を生成する。また、生成機能20Bは、車両100に対する第二種類の線50の相対位置に基づいて第一の警告とは異なる第二の警告を生成する。本実施形態の車載器2は、第一種類の線40に基づく第一の警告、および第二種類の線50に基づく第二の警告を出力することができ、かつ第二の警告は第一の警告と異なる。よって、本実施形態の車載器2は、区画線とは異なる第二種類の線50に基づいて乗務員に対し安全運転に関する注意喚起をすることができる。
【0105】
本実施形態の生成機能20Bは、車両100が第一種類の線40を跨いで走行した場合に跨ぎ走行についての第一の警告を生成する。また、生成機能20Bは、車両100が第二種類の線50を跨いで走行した場合に跨ぎ走行についての第二の警告を生成する。跨ぎ走行についての第二の警告は、跨ぎ走行についての第一の警告と比較して、乗務員に対する警告の度合いが弱い。
【0106】
本実施形態の生成機能20Bは、車両100が第一種類の線40に近接するふらつき走行をした場合に、ふらつき走行についての第一の警告を生成する。また、生成機能20Bは、車両100が第二種類の線50よりも車線200の内側でふらつき走行をした場合に、ふらつき走行についての第二の警告を生成する。ふらつき走行についての第二の警告は、ふらつき走行についての第一の警告と比較して、乗務員に対する警告の度合いが弱い。
【0107】
本実施形態の生成機能20Bは、第一種類の線40と、第一種類の線40よりも車線200の内側に配置された第二種類の線50と、が検出された場合において、内側の第二種類の線50に基づいて第二の警告を生成し、かつ外側の第一種類の線40に基づいて第一の警告を生成する。よって、本実施形態の車載器2は、車両100の挙動に基づく第一の警告および第二の警告により、乗務員に対して適切な警告や注意喚起を行なうことが可能である。
【0108】
なお、第二種類の線50に基づく第二の警告は、例示した種類には限定されない。CPU20は、第二種類の線50と車両100との相対位置に基づいて各種の警告を生成することができる。例えば、判別機能20Aは、第二種類の線50を更に分類してもよい。例えば、判別機能20Aは、第二種類の線50のうち、誘導線を判別できるように構成されてもよい。誘導線は、同じ車線をキープして走行するように誘導する第二種類の線50である。生成機能20Bは、車両100が誘導線に接近した場合に、現在の車線をそのまま走行するように注意喚起する第二の警告を生成してもよい。
【0109】
上記の実施形態に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0110】
1 運転評価システム
2:車載器、 2A:車載器本体
5:無線基地局、 6:サーバ、 7:事務所PC
20:CPU、 20A:判別機能、 20B:生成機能、 20C:送信機能
21:速度インタフェース、 22:エンジンインタフェース
23:GPS受信部、 24:アナログインタフェース
25:外部入力インタフェース、 26:広域通信部、 27:不揮発性メモリ
28:揮発性メモリ、 29:カードインタフェース、 30:スイッチ
31:表示部、 32:ハンディテンキー、 33:カメラ、 34:アンテナ
40:第一種類の線、 41:白の実線、 42:白の破線、 43:黄色の実線
50:第二種類の線
60:CPU、 61:通信部、 62:不揮発性メモリ 63:揮発性メモリ
64:外部入力インタフェース
70:CPU、 71:通信部、 72:不揮発性メモリ、 73:揮発性メモリ
74:外部入力インタフェース
100:車両、 110:他の車両、 120:障害物
200:車線、 200c:内側領域
図1
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