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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156628
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】車両用充電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20231018BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231018BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
H02J7/35 H
H02J7/00 P
H02J1/00 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066103
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】509345925
【氏名又は名称】株式会社ティーエスピー
(74)【代理人】
【識別番号】100078776
【弁理士】
【氏名又は名称】安形 雄三
(74)【代理人】
【識別番号】100121887
【弁理士】
【氏名又は名称】菅野 好章
(72)【発明者】
【氏名】伊賀 和久
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165CA04
5G165DA07
5G165EA03
5G165FA01
5G165GA09
5G165HA17
5G165PA05
5G503AA06
5G503BA04
5G503BA07
5G503BB01
5G503FA06
(57)【要約】
【課題】発電事業者の送電線を利用することなく、付帯経費がかからない形態で、車両売電スタンドで、EV或いはプラグインハイブリッド車の蓄電器(二次電池)を急速充電する車両用充電システムを提供する。
【解決手段】車両が内蔵している蓄電器(二次電池)を充電する車両充電システムにおいて、前記充電器が設置されている敷地に近接して若しくは敷地内に設置された太陽光発電所と、前記太陽光発電所で発電された電力を蓄電する蓄電池と、前記蓄電池に蓄電された電力に基づいて前記蓄電器を充電する複数の充電器とを具備し、前記太陽光発電所から前記蓄電池までを自営線で送電すると共に、前記太陽光発電所で発電された電力で前記蓄電器を充電する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が内蔵している蓄電器を充電する車両充電システムにおいて、
前記充電器が設置されている敷地に近接して設置された太陽光発電所と、前記太陽光発電所で発電された電力を蓄電する蓄電池と、前記蓄電池に蓄電された電力に基づいて前記蓄電器を充電する複数の充電器とを具備し、前記太陽光発電所から前記蓄電池までを自営線で送電すると共に、前記太陽光発電所で発電された電力で前記蓄電器を充電するようになっていることを特徴とする車両用充電システム。
【請求項2】
前記太陽光発電所が高圧太陽光発電所であり、前記充電が急速充電である請求項1に記載の車両用充電システム。
【請求項3】
前記高圧太陽光発電所が、スーパー、ショップ、ホームセンターなどの建物の屋根若しくは屋上或いは立体駐車場の屋根若しくは屋上に設置されている請求項2に記載の車両用充電システム。
【請求項4】
車両が内蔵している蓄電器を充電する車両充電システムにおいて、
前記充電器が設置されている敷地内に設置された太陽光発電所と、前記太陽光発電所で発電された電力を蓄電する蓄電池と、前記蓄電池に蓄電された電力に基づいて前記蓄電器を充電する複数の充電器とを具備し、前記太陽光発電所で発電された電力で前記蓄電器を充電するようになっていることを特徴とする車両用充電システム。
【請求項5】
前記太陽光発電所が高圧太陽光発電所であり、前記充電が急速充電である請求項4に記載の車両用充電システム。
【請求項6】
車両が内蔵している蓄電器を充電する車両充電システムにおいて、
前記充電器が設置されている敷地と離れた場所に設置された太陽光発電所と、前記太陽光発電所で発電された電力を送電して蓄電する蓄電池と、前記蓄電池に蓄電された電力に基づいて前記蓄電器を充電する複数の充電器とを具備し、前記蓄電池は前記充電器の敷地内に設置され、前記太陽光発電所から前記蓄電池までを自営線で送電すると共に、前記太陽光発電所で発電された電力で前記蓄電器を充電するようになっていることを特徴とする車両用充電システム。
【請求項7】
前記太陽光発電所が高圧太陽光発電所であり、前記充電が急速充電である請求項6に記載の車両用充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用充電システムに関し、特に太陽光発電による電力によって電気自動車(EV(Electric Vehicle))又はプラグインハイブリッド車等の、充電が必要な二次電池を備える車両を急速充電する車両用充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化炭素の排出量が地球規模で増加しており、温室効果ガスによる地球温暖化問題が深刻さを増している。そのため、二酸化炭素の排出が少ない社会、即ち低炭素社会の構築が世界的な課題となっている。低炭素社会を実現するための手段の1つとして、モータを動力源とする電気自動車(以下では、「EV」とする)の普及が急速に進みつつある。それに伴い、ガソリンスタンドと同様に、車両の蓄電器を短時間に充電できる充電施設(EV売電スタンド)の充実が要請されている。また、2035年までのカーボンニュートラルの国策により、国内も一気にEVが普及する様相を呈している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-170093号公報
【特許文献2】特開2019-170124号公報
【特許文献3】特開2014-75969号公報
【特許文献4】特開2019-205278号公報
【特許文献5】特開2015-22481号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のEVの充電方法は、充電ポイント(充電ステーション)に送電線を使い、スタンド経営者が電気を供給するものが一般的である。しかし、発電事業者並びに一般社団法人日本卸電力取引所(Japan Electric Power Exchange (JEPX))から充電電気の調達を行うと付帯経費がかかり、充電スタンド運営者の経営が厳しくなる。送電線を利用するだけで、発電原価以外に再生エネルギー賦課金、燃料調整費、託送料がかかり、充電事業経営者が赤字になる可能性が高い。また、日本国には、発電所の原材料は全て輸入に頼っているので、資材調達リスク、価格の高騰などが考えられ、安定したスタンドの経営ができない問題がある。
【0005】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、発電事業者の送電線を利用することなく、付帯経費がかからない形態で、充電用売電スタンドで、EV或いはプラグインハイブリッド車の蓄電器(二次電池)を急速充電する車両用充電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両が内蔵している蓄電器(二次電池)を充電する車両充電システムに関し、本発明の上記目的は、前記充電器が設置されている敷地に近接して若しくは敷地内に設置された太陽光発電所と、前記太陽光発電所で発電された電力を蓄電する蓄電池と、前記蓄電池に蓄電された電力に基づいて前記蓄電器を充電する複数の充電器とを具備し、前記太陽光発電所から前記蓄電池までを自営線で送電すると共に、前記太陽光発電所で発電された電力で前記蓄電器を充電するようになっていることにより、或いは前記充電器が設置されている敷地と離れた場所に設置された太陽光発電所と、前記太陽光発電所で発電された電力を送電して蓄電する蓄電池と、前記蓄電池に蓄電された電力に基づいて前記蓄電器を充電する複数の充電器とを具備し、前記蓄電池は前記充電器の敷地内に設置され、前記太陽光発電所から前記蓄電池までを自営線で送電すると共に、前記太陽光発電所で発電された電力で前記蓄電器を充電するようになっていることにより達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の車両用充電システムによれば、売電スタンドの設備の屋根若しくは屋上又は敷地内、或いは売電スタンド近くの敷地内、ホームセンターやショップ、立体駐車場などの屋根若しくは屋上に太陽光発電所(高圧太陽光発電所)を設置し、地産地消の電力の供給を行うことができる。また、本発明で設置する高圧太陽光発電所は、発電事業者の送電線を使用せず、自営線で対応する。発電事業者の送電線を使用しないので付帯費用がかからず、太陽光発電所で発電したクリーンな電力をEV売電スタンドに供給できる。更に、電力の安定供給をするために、太陽光発電所に蓄電池を併設し、太陽光発電所で発電した電力の全てを蓄電池に蓄電し、蓄電池を通してEVの充電に電力を供給する。これにより、EVの充電電力の安定供給は勿論のこと、地域住民の防災用非常電源としても使用し得るものであり、極めて公益性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態の概要を模式的に示す全体構成図である。
図2】EV売電スタンドにおける車両充電の様子を示す外観構成図である。
図3】本発明の第1実施形態の結線関係を示すブロック図である。
図4】本発明の動作例を示すフローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態の概要を模式的に示す全体構成図である。
図6】本発明の第3実施形態の概要を模式的に示す全体構成図である。
図7】本発明の第4実施形態の概要を模式的に示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、EVなどの車両の蓄電器(二次電池)を急速充電する充電システムであり、充電電力の売電スタンドの設備建造物の屋根若しくは屋上又はスタンド敷地内、或いは売電スタンド近くの敷地内、ホームセンターやショップなどの屋根若しくは屋上に太陽光発電所を設置し、地産地消の電力の供給を目指すものである。消費者の農産物に対する安全・安心志向の高まりや、生産者の販売の多様化の取組が進む中で、消費者と生産者を結び付ける「地産地消」への期待が高まってきており、「地産地消」とは、主に農産物について、「地元で生産されたものを地元で消費する」という意味で使用されているが、本発明はこれを車両充電システムに適用しようとするものである。
【0010】
近年、EVの普及と相俟って、EVを充電するための充電器(Electric Vehicle Supply Equipment)を設置し、充電サービスを提供するEV売電スタンド(サービスステーション)の設置も大きな課題となっている。そして、EVの充電に要する時間は、当然蓄電器(二次電池)の仕様や充電器の性能によって異なるが、一般的に急速充電で数十分、普通充電で数時間程度である。本発明では、基本的に急速充電を対象とする。
【0011】
太陽光発電においては、定格出力が50kW未満の低圧発電(小規模発電)、定格出力が50kW以上~2000kW未満の高圧発電(大規模発電)及び特別高圧発電の3種類が存在するが、本発明では、電気事業法上で自家用電気工作物と定義されている高圧発電の太陽光発電所を設置して利用する。また、本発明で設置する高圧太陽光発電所は、発電事業者の送電線を使用せず、自営線で送電する。発電事業者の送電線を使用しないので付帯費用がかからず、太陽光発電所で発電したクリーンな電力をEV売電スタンドに供給できる。更に、電力の安定供給をするために、太陽光発電所の近辺若しくは売電スタンド敷地に蓄電池を併設し、太陽光発電所で発電した電力の全てを蓄電池に蓄電し、蓄電池を通してEVの充電に電力を供給する。これは、EVの充電電力の安定供給は勿論のこと、地域住民の防災用非常電源としても使用し得るものである。
【0012】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る車両用充電システムの第1実施形態を模式的に示しており、EV売電スタンド100の敷地内には複数の充電器101~108が設置されている。充電器101~108は、それぞれ電源ユニットを収容した充電器本体と、電源ユニットから充電器本体の外部に引き出された充電ケーブルとを備え、充電ケーブルはEVの充電プラグに接続するためのコネクタを有している。EV売電スタンド100の敷地内若しくは近くに蓄電池140が設置されており、蓄電池140には高圧太陽光発電所110、120及び130からクリーンエネルギーの電力が送電されて供給される。即ち、コンビニやスーパーマーケットなどのスーパー111の屋根若しくは屋上には高圧太陽光発電所110が設置され、発電された電力は自営線で蓄電池140に送電されて蓄電され、家電量販店などのショップ121の屋根若しくは屋上には高圧太陽光発電所120が設置され、発電された電力は自営線で蓄電池140に送電されて蓄電され、DIYセンターなどのホームセンター131の屋根若しくは屋上には高圧太陽光発電所130が設置され、発電された電力は自営線で蓄電池140に送電されて蓄電される。蓄電池140から各充電器101~108に電力が供給されて、各充電器101~108によりEVを充電する。蓄電池140を用いているので夜間の充電も可能であり、EV充電以外にも電力を供給することができる。
【0014】
図2はEV1を充電する様子を示しており、EV売電スタンド100の敷地内には蓄電池140が設置されると共に、近接して充電器101及び102が設置され、充電器101及び102にはそれぞれ充電ケーブル101A及び102Aが備えられている。充電のために来店したEV1に対して、充電器102の充電ケーブル102Aを充電プラグ2に差し込んで充電する。高速充電であるので、数十分で充電は終了する。
【0015】
図3は本発明の結線関係を示しており、高圧太陽光発電所110、120及び130で発電された各電力は、それぞれ自営線112,122及び132を経て蓄電池140内の合成部141に入力される。合成部141は入力される各電力が干渉しないようにしており、蓄電池ユニット142は各入力電力を蓄電する。蓄電池ユニット142に蓄電された電力は、充電器101~108内の各電源ユニット101B~108Bに送電され、各電源ユニット101B~108Bに接続されている充電ケーブル101A~108Aを用いて、充電ケーブル101A~108Aは各先端プラグをEVの充電プラグに挿入若しくは嵌着して充電する。
【0016】
このような構成において、その動作例を図4のフローチャートを参照して説明する。
【0017】
高圧太陽光発電所110、120及び130は太陽光を受光して発電し(ステップS10)、それぞれ自営線112、122及び132を経て送電され(ステップS11)、合成部141で合成され(ステップS12)、蓄電池ユニット142に蓄電される(ステップS13)。太陽の出ている昼間、このような発電、送電、蓄電が繰り返される。
【0018】
そして、EV売電スタンド100にEV1が来店し、例えば図2に示すように充電器102の充電ケーブル102BをEV1の充電プラグに装着するとEV充電が検知され(ステップS14)、蓄電池ユニット142から充電器102の電源ユニット102Bに送電され(ステップS15)、EV1が充電される(ステップS16)。充電は、EV1の電池が十分充電されるまで継続される(ステップS17)。
【0019】
なお、上述ではショッピングモールを想定し、スーパー111、ショップ121、ホームセンター131の屋根若しくは屋上に高圧太陽光発電所110、120、130を設置しているが、それらの内の単独でも良く、また、更に多くの高圧太陽光発電所を設置した構成であっても良い。スーパーやショップなどの建物に限定されるものでもなく、EV売電スタンド100の近くの日当たりの良い建物であれば良い。
【0020】
図5は、本発明に係る車両用充電システムの第2実施形態を模式的に示しており、EV売電スタンド200の敷地内に高圧太陽光発電所210が設置されると共に、充電器201~2011が設置されている。高圧太陽光発電所210には人が侵入しないようにする柵230が設けられており、発電された電力は蓄電池220に蓄電される。本例では充電器201~2011が設置されており、蓄電池220に蓄電された電力でEVを充電するようになっている。
【0021】
本例では、EV売電スタンド200の敷地内に高圧太陽光発電所210を設置する構成であるので、敷地が広大な場合でないと実現できない。その反面、高圧太陽光発電所210と充電器201~2011との距離は短いので、送電の配線が容易で安価という利点がある。
【0022】
図6は、本発明に係る車両用充電システムの第3実施形態を模式的に示しており、大きな立体駐車場300の屋根若しくは屋上に高圧太陽光発電所350が設置されている。本例では、立体駐車場300の2階~4階が駐車場になっており、1階フロアーがEV売電スタンドになっている。本例の場合も、高圧太陽光発電所330と充電器設置の1階との距離が短いので、送電の配線が容易で安価という利点がある。また、駐車場にEV売電スタンドが併設されているので、EV利用者にとっては極めて便利である。
【0023】
上述の第1実施形態~第3実施形態では、同一敷地内若しくは近隣に太陽光発電所とEV売電スタンドが設けられているオンサイトの構造であるが、図7に示すようにEV売電スタンド敷地450と発電用敷地400とが離れた場所(例えば5Km)になっているオフサイトの構造でも良い。本例では、発電用敷地400に高圧太陽光発電所410、420及び430が設置され、発電された電力をそれぞれの自営線で、EV売電スタンド敷地450内の蓄電池440に送電して蓄電する。EV売電スタンド敷地450内には充電器451~455が設置されており、蓄電池440から充電器451~455に電力が供給される。
【0024】
なお、上述ではEVの充電について説明したが、プラグインハイブリッドの車両の蓄電器の充電にも同様に適用できる。
【符号の説明】
【0025】
1 EV
2 充電プラグ
100 EV売電スタンド
101~108 充電器
110,120,130 高圧太陽光発電所
111 スーパー
121 ショップ
131 ホームセンター
140 蓄電池
141 合成部
142 蓄電池ユニット
200 EV売電スタンド
201~2011 充電器
210 高圧太陽光発電所
220 蓄電池
230 柵
300 立体駐車場
400 発電用敷地
450 EV売電スタンド敷地

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7