(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156637
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ホットメルト型粘着剤、粘着剤付き保護シートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C09J 153/00 20060101AFI20231018BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20231018BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20231018BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20231018BHJP
【FI】
C09J153/00
C09J11/06
C09J11/08
C09J7/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066122
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】窪田 育夫
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB05
4J004BA02
4J004DB02
4J004FA08
4J040BA202
4J040DB082
4J040DM001
4J040DN032
4J040HC11
4J040JA06
4J040JA09
4J040JB01
4J040MA02
4J040MA10
4J040MB02
4J040MB05
4J040MB09
(57)【要約】
【課題】
加熱せずとも、ヘッドレスト表面・背もたれ表面・座席表面や、厨房の間仕切り部材等に代表される被着体に、貼付し得る粘着剤付き保護シート形成用の粘着剤および粘着剤付き保護シートの提供。また、糸曳することなく塗工でき、さらに、被貼付け塗装面を汚染せず、汚れた後も簡単に張り替えられる粘着剤付き保護シートの提供。
【解決手段】
アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとアルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとのブロック共重合体(A)、植物油(B)、および粘着付与樹脂(C)の合計100質量%中、ブロック共重合体(A)を35~75質量%、植物油(B)を10~50質量%、粘着付与樹脂(C)を5~40質量%含む、ホットメルト型粘着剤により解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとアルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとのブロック共重合体(A)、植物油(B)、および粘着付与樹脂(C)の合計100質量%中、ブロック共重合体(A)を35~75質量%、植物油(B)を10~50質量%、粘着付与樹脂(C)を5~40質量%含む、ホットメルト型粘着剤。
【請求項2】
ブロック共重合体(A)中のアルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの質量比率が、10~55質量%である、請求項1記載のホットメルト型粘着剤。
【請求項3】
ブロック共重合体(A)の190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレートが1~100g/10分である、請求項1記載のホットメルト型粘着剤。
【請求項4】
ブロック共重合体(A)が、メタクリル酸メチルのブロックとアクリル酸n-ブチルのブロックとのブロック共重合体、並びに、メタクリル酸メチルのブロックとアクリル酸n-ブチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルの共重合体ブロックとのブロック共重合体のうち、少なくとも1種を含む、請求項1記載のホットメルト型粘着剤。
【請求項5】
さらに、滑剤(D)を含む請求項1記載のホットメルト型粘着剤。
【請求項6】
シート状基材の一方の面の少なくとも一部に、請求項1~5いずれか1項に記載のホットメルト型粘着剤から形成される粘着剤層が担持されている、粘着剤付き保護シート。
【請求項7】
請求項1~5いずれか1項に記載のホットメルト型粘着剤を溶融し、シート状基材の一方の面の少なくとも一部に塗工し、粘着剤層を設けることを特徴とする、粘着剤付き保護シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホットメルト型粘着剤に関する。詳しくは、塗工時には熱溶融状態もしくは熱軟化状態で塗工し得るホットメルト型であって、使用時、即ち貼付時には加熱を必要とせず被着体に貼付し得る粘着剤付き保護シートを形成し得る粘着剤に関する。さらに、本発明は、前記ホットメルト型粘着剤を用いてなる粘着剤付き保護シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行機、新幹線等の電車、バス等の座席のヘッド部には、簡単に脱着できる不織布などの簡易なヘッドカバーが装着されることがある。装着の方法としては、面ファスナーや紐の利用の他、熱溶着性のホットメルトの利用が挙げられる(特許文献1、2)。
【0003】
また、食品スーパーやレストラン等のいわゆるオープンキッチンでは、厨房と売り場・ホールとの間に間仕切りを設けることがあり、間仕切りの汚れ防止のための簡易な保護(防汚)シートが利用されることがある。装着の方法としては、粘着剤の利用が挙げられる(特許文献3)。
【0004】
さらに、特許文献4には、加熱せずとも、ヘッドレスト表面・背もたれ表面・座席表面や、厨房の間仕切り部材等に代表される被着体に、貼付し得る粘着性シート形成用の粘着剤を提供することを目的に、ブロック共重合体、液状のリン系難燃剤、界面活性剤、および粘着付与樹脂を含むホットメルト型粘着剤が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平02-211110号公報
【特許文献2】登録実用新案第3057949号
【特許文献3】特開2015-063602号公報
【特許文献4】特開2019-065206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献4のホットメルト型難燃性粘着剤は、加熱せずとも被着体に貼付し得るが、難燃性が必要ない塗装面に貼り付けると、リン系難燃剤や界面活性剤に起因する、塗装面のシミや浮きの発生や、更には粘着剤を剥がす際に塗装面も剥がしてしまう課題があり、被着体によっては不向きな場合がある。
【0007】
本発明は、加熱せずとも、ヘッドレスト表面・背もたれ表面・座席表面や、厨房の間仕切り部材等に代表される被着体に、貼付し得る粘着剤付き保護シート形成用の粘着剤、粘着剤付き保護シートを提供することを目的とする。また、糸曳することなく塗工でき、さらに、被貼付け塗装面を汚染せず、汚れた後も簡単に張り替えられる粘着剤付き保護シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記問題を解決するため、鋭意検討した結果、加熱せずとも貼付けられ、さらに、簡単かつきれいに除去できる、ホットメルト型粘着剤を得ることを見出した
即ち、本発明は以下の[1]~[7]に関する。
[1]アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとアルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとのブロック共重合体(A)、植物油(B)、および粘着付与樹脂(C)の合計100質量%中、ブロック共重合体(A)を35~75質量%、植物油(B)を10~50質量%、粘着付与樹脂(C)を5~40質量%含む、ホットメルト型粘着剤。
[2]ブロック共重合体(A)中のアルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの質量比率が、10~55質量%である、前記[1]記載のホットメルト型粘着剤。
[3]ブロック共重合体(A)の190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレートが1~100g/10分である、前記[1]または[2]記載のホットメルト型粘着剤。
[4]ブロック共重合体(A)が、メタクリル酸メチルのブロックとアクリル酸n-ブチルのブロックとのブロック共重合体、並びに、メタクリル酸メチルのブロックとアクリル酸n-ブチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルの共重合体ブロックとのブロック共重合体のうち、少なくとも1種を含む、前記[1]~[3]いずれか記載のホットメルト型粘着剤。
[5]さらに、滑剤(D)を含む前記[1]~[4]いずれか記載のホットメルト型粘着剤。
[6]シート状基材の一方の面の少なくとも一部に、前記[1]~[5]いずれか記載のホットメルト型粘着剤から形成される粘着剤層が担持されている、粘着剤付き保護シート。
[7]前記[1]~[5]いずれか記載のホットメルト型粘着剤を溶融し、シート状基材の一方の面の少なくとも一部に塗工し、粘着剤層を設けることを特徴とする、粘着剤付き保護シートの製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、加熱せずとも、ヘッドレスト表面・背もたれ表面・座席表面や、厨房の間仕切り部材等に代表される被着体に、貼付し得る粘着剤付き保護シート形成用の粘着剤および粘着剤付き保護シートを提供できるようになった。また、糸曳することなく塗工でき、さらに、被貼付け塗装面を汚染せず、汚れた後も簡単に張り替えられる粘着剤付き保護シートを提供できるようになった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値の範囲として含むものとする。
又、本明細書において、アクリル酸アルキルエステルのブロック共重合体(A)を「ブロック共重合体(A)」、アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルを「メタクリル酸アルキルエステル」、炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルを「アクリル酸アルキルエステル」とそれぞれ略記することがある。
【0011】
<ブロック共重合体(A)>
本発明のホットメルト型粘着剤に含まれるブロック共重合体(A)は、アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとアルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を含む重合体ブロックとのブロック共重合体である。
【0012】
ブロック共重合体(A)は、前記アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルから形成されるハードセグメント(AH)と、前記アルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルから形成されるソフトセグメント(AS)とが、-AH-AS-AH-と結合したトリブロック重合体、-AS-AH-と結合したジブロック重合体などが挙げられる。トリブロック重合体とジブロック重合体を併用しても良い。
【0013】
ブロック共重合体(A)は、アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの重合体部分(ハードセグメント)と炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルの重合体部分(ソフトセグメント)とに明確に分かれている為、それぞれの重合体部分(セグメント)を活用して、耐熱粘着力と低温粘着力を両立できるホットメルト型粘着剤を得ることができる。ハードセグメントによりホットメルト型粘着剤の凝集力を高めることができ、また、後述する植物油(B)、および粘着付与樹脂(C)を併用することにより、ソフトセグメントに被着体への濡れ易さ、粘着力を付与することができる。さらに滑剤(D)を追加することにより適度な粘着力や剥がしやすさを与することができる。
【0014】
ブロック共重合体としては、他にスチレン系エラストマーが知られているが、本発明のブロック共重合体(A)は、エステル結合を含むので、スチレン系エラストマーに比べ、極性が高く、金属やガラスにも密着し易い。
【0015】
ブロック共重合体(A)は、ブロック共重合体(A)中のハードセグメントであるアルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの重合体部分が、後述する植物油(B)により可塑化されないため、貼付位置がずれたり剥がれたりせず、保護(防汚)シートを保護対象から剥がしても、保護対象の表面を汚さない。
【0016】
ブロック共重合体(A)のハードセグメントを形成するための、アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピルが好ましい。
【0017】
夏季使用を想定して、40℃経時後の粘着力保持、並びに、40℃経時後の剥離面の糊残りおよび汚染の低減のために、40℃の凝集力を高める観点で、メタクリル酸メチルがより好ましい。
【0018】
ブロック共重合体(A)のソフトセグメントを形成するための、アルキル基の炭素数が1~8のアクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。
【0019】
さらに、40℃粘着力と-10℃粘着力の両立し易さの観点で、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル又はそれらの併用が好ましい。
【0020】
前記ブロック共重合体(A)中のアルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの質量比率は、10~55質量%が好ましい。
アクリル酸アルキルエステルは、メタクリル酸アルキルエステルよりもガラス転移温度が低く、流動し易いことに加え、粘着付与樹脂とも相溶し易いことから、メタクリル酸アルキルエステルの比率が低く、アクリル酸アルキルエステルの比率が高いほど、被着体の界面に濡れ易くなり、接着強度も高くなる。上記範囲内にあることで、夏季(40℃)~冬季(-10℃)の広い範囲で、粘着力、保持力、剥離面の糊残りや汚染低減を達成することができる。
ブロック共重合体(A)中のアルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの質量比率が10~55質量%であるブロック共重合体(A)として、具体的には、クラリティLA2140E(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:20質量%) 、クラリティLA2250(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:30質量%)、クラリティLA2330(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:20質量%)、クラリティLA3320(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:15質量%)、クラリティLA3170(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:12質量%)、クラリティLA2270(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:40質量%)、クラリティLA4285(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:50質量%)、クラリティLA1892(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:52質量%)、クラリティLK9243(MMA-(BA-2EHA)-MMA/トリブロック共重合体、MMAの比率:17質量%)、クラリティKL-LK9333(MMA-(BA-2EHA)-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:20質量%)等が挙げられ、それぞれを単独で使用することもできるし、併用することも可能である。
【0021】
また、初期接着性の観点で、アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの質量比率40質量%以下であることが好ましく、具体的には、
クラリティLA2140E(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:20質量%) 、クラリティLA2250(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:30質量%)、クラリティLA2330(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:20質量%)、クラリティLA3320(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:15質量%)、クラリティLA3170(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:12質量%)、クラリティLA2270(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:40質量%)、クラリティLK9243(MMA-(BA-2EHA)-MMA/トリブロック共重合体、MMAの比率:17質量%等が挙げられ、それぞれを単独でも、併用することも可能である。
さらに、後述する植物油(B)を多く添加する場合は、アルキル基の炭素数が1~3のメタクリル酸アルキルエステルの質量比率20質量%以下であることが好ましく、具体的には、クラリティLK9243(MMA-(BA-2EHA)-MMA/トリブロック共重合体、MMAの比率:17質量%)、クラリティLA2140E(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:20質量%)クラリティLA2330(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:20質量%)、クラリティLA3320(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:15質量%)、クラリティLA3170(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MMAの質量比率:12質量%)等が、植物油の染み出しを抑えることができるため好ましい。
【0022】
本発明のブロック共重合体(A)の190℃、荷重2.16kgfにおけるメルトフローレート(以下、MFR)は、1~100g/10分であることが好ましく、1~100g/10分であることがより好ましい。MFRが1g/10分以上であることによって、糸曳がより発生し難くなり、塗工性が向上する。MFRが100g/10分以下であることで、保護(防汚)シートを保護対象から剥がしても、保護対象に粘着剤がより残り難くなる。
【0023】
なお、ブロック共重合体(A)を複数種用いる場合には、MFRが上記範囲にあるブロック共重合体(A)のみを用いてもよいし、全体としてMFRが上記範囲に入るようにMFRの著しく大きなものをMFRの小さなものとを併用することもできる。
【0024】
ブロック共重合体(A)は、ブロック共重合体(A)、植物油(B)、および粘着付与樹脂(C)の合計100質量%中に35~75質量%含まれる。35質量%未満では-10℃の粘着力が低下して冬季に剥がれやすくなり、75質量%を超えると加熱溶融性が低下して塗工作業性が悪くなる。
【0025】
<植物油(B)>
本発明のホットメルト型粘着剤は植物油(B)を含むことで、粘着力の強さを調整することができると同時に、保護フィルムを壁等に長期貼り合わせた場合の粘着力の上昇を抑えることができる。又、剥がした時の糊残りを大幅に低減することができる。
【0026】
植物油(英: Vegetable oil)は、植物に含まれる脂質を抽出・精製した常温で液体の植物油と常温で固体の植物脂と分類することもあるが、どちらも植物油として使用できる。
植物油としては、ココナッツ油 、コーン油、綿実油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ピーナッツ油菜種油、紅花油、ごま油、大豆油、ヒマワリ油、アーモンド油、カシュー油、ヘーゼルナッツ油、マカダミア油、モンゴンゴ油、ペカン油、松の実油、ピスタチオ油、クルミ油、、ヒョウタン実油、バッファローカボチャ油、カボチャ実油、アサイー油、カシス油、ルリジサ種子油、月見草オイル、アマランサス油、杏子油、アルガン油、アーティチョーク油、アボカド油、ババス油、モリンガ油、ボルネオ脂、ケープ栗油、ココアバター、キャロブ油、コフネヤシ油、コリアンダー種油、ディカ油 、アマナズナ油アマニ油、 グレープシード油、ヘンプ油、カポック実油、ラッレマンチア油、メドウフォーム油、カラシ油、ナツメグバター、オクラ油、パパイヤ油、シソ油、ペクイ油、松の実油、ケシ油、プルーン油、キヌア油、ニガー種子油、こめ油、Royle油 サッチャインチ油、ツバキ油、カメリア油、アザミ油、トマト油、コムギ油、カブ油、およびブドウ油等が挙げられ、特に限定されないが、常温で液状、かつ臭気ができるだけ少なく、加熱劣化し難く、更に精米をつくる時に発生する副産物であるコメ油(ライスオイル)等が好ましい。
【0027】
ブロック共重合体(A)、植物油(B)、および粘着付与樹脂(C)の合計100質量%中、植物油(B)は、10~50質量%含まれる。10質量%未満では、経時の粘着力上昇を抑えることはできず、剥離面の糊残りが多く、低温での粘着力が低下する。50質量%を超えると、凝集力が低くなり粘着保持力が低下し、剥離面に油染みが生じたり、剥離塗装面を侵して脱落したり変色したりすることがある。
<粘着付与樹脂(C)>
本発明において粘着付与樹脂(C)は、初期および経時の粘着力をより向上させることができる。粘着付与樹脂(C)としては、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、キシレン樹脂、シクロペンタジエン-フェノール樹脂、脂肪族系、芳香族系等の石油樹脂、フェノール-変性石油樹脂、ロジンエステル、水添されたロジンエステル、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂などが挙げられる。粘着付与樹脂は、単独で用いられても、2種類以上が併用されてもよい。
【0028】
ブロック共重合体(A)、植物油(B)、および粘着付与樹脂(C)の合計100質量%中、粘着付与樹脂(C)は、5~40質量%含まれる。5質量%未満では粘着力が弱く、40質量%を超えると粘着力が強くなりすぎて、糊残りを生じやすくなる。
【0029】
<滑剤(D)>
本発明のホットメルト型粘着剤は、剥離性および滑り性の向上、ブロッキングおよび汚れ防止の向上等の目的で、発明の目的を損なわない範囲で、さらに滑剤(D)を含有することができる。滑剤(D)としては、脂肪酸アミド系化合物、アルキレン脂肪酸アミド系化合物、金属石鹸系化合物、および脂肪酸エステル系化合物が挙げられる。
【0030】
脂肪酸アミド系、およびアルキレン脂肪酸アミド系の滑剤としては、例えば、
ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、およびヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪族モノカルボン酸アミド、
N-オレイルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、およびN-ステアリルオレイン酸アミド等のN-置換脂肪族モノカルボン酸アミド、
メチレンビスステアリン酸アミド、およびエチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪族ビスカルボン酸アミド、
N,N’-エチレン-ビス-オレイルアミド、N,N’-エチレンビスステアリン酸アミド、並びに、N,N’-メチレンビスステアリン酸アミド等が挙げられる。
【0031】
金属石鹸系の滑剤としては、例えば、
ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ラウリル酸カルシウム、ラウリル酸マグネシウム、ラウリル酸バリウム、ラウリル酸亜鉛、ラウリル酸アルミニウム、およびラウリル酸リチウム等の高級脂肪酸の金属塩等が挙げられる。
【0032】
脂肪酸エステル系の滑剤は、アルコールに1つ以上の脂肪酸がエステル結合をしたものである。
【0033】
アルコールとしては、1価又は多価のアルコールを用いることができる。
1価アルコールは、好ましくは、炭素数が6以上の高級アルコールであり、より好ましくは、炭素数が10以上の高級アルコールである。例えば、ミスチリルアルコール、ステアリルアルコール、およびオレイルアルコールが挙げられる。
多価アルコールとしては、2価アルコール又は3価以上のアルコールが挙げられる。
2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、および1,6-ヘキサンジオールが挙げられる。
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、マンニトール、およびソルビトールが挙げられる。
中でも好ましくは、グリセリン、プロピレングリコール、ペンタエリトリトール、およびジペンタエリトリトールであり、より好ましくは、グリセリンおよびジペンタエリトリトールである。
【0034】
脂肪酸としては、例えば、
カプロン酸、カプリル酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、リグノセン酸、セロチン酸、モンタン酸、およびメリシン酸等の飽和脂肪酸、
オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、プラシジン酸、エルカ酸、およびリシノール酸等の不飽和脂肪酸、
12-ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシ脂肪酸、並びに、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
中でも好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、およびオレイン酸である。特に好ましくは、ステアリン酸又は12-ヒドロキシステアリン酸のトリグリセライドである。
【0035】
これらの滑剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
滑剤の添加量は、ブロック共重合体(A)、植物油(B)、および粘着付与樹脂(C)の合計100質量%に対して、0.01~10質量%が好ましく、粘着力やその保持力を低下させることなく、良好な剥離性、滑り性、ブロッキング防止性、および汚れ防止性を付与することができる。加工性の観点で、より好ましくは0.03~5質量%である。
【0036】
本発明のホットメルト型粘着剤には、発明の目的を損なわない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌剤、消臭剤、香料、難燃剤等の添加剤を含んでもよい。
【0037】
上記の酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0038】
上記のフェノール系酸化防止剤は、自動酸化の連鎖成長過程で生じるROO・(パーオキシラジカル)に水素を供与して安定化し、自身はオルト位置換基によって保護された安定なフェノキシラジカルとなって連鎖反応を停止するラジカルトラップ剤としての機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。特に、フェノール系酸化防止剤と、フェノール系酸化防止剤よりラジカルトラップ反応の速いラクトン系酸化防止剤やビタミンE系酸化防止剤等とを併用することにより、より優れたものとなる。また、上記のリン系酸化防止剤は、過酸化物、ROOHを非ラジカル的に分解し、自動酸化過程の連鎖反応を停止する機能を有し、そのことにより樹脂組成物の熱劣化を効果的に抑制する。
【0039】
上記の紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの通常使用されるものが挙げられる。これらは単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0040】
上記の光安定剤としては、ヒンダードアミン系の通常使用されるものが挙げられる。
【0041】
本発明のホットメルト型粘着剤を製造する方法としては、特に限定されず、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、攪拌機を備えた溶解釜のいずれかを用いて前記(A)、(B)、(C)、(D)等を加熱混合することが望ましい。
【0042】
<粘着剤付き保護シート>
本発明の粘着剤付き保護シートは、シート状基材の一方の面の少なくとも一部に、前述の本発明のホットメルト型粘着剤から形成される粘着剤層を担持しているものである。
設けた粘着剤層の表面側には、貼付するまでは剥離性シートで覆っておくことが好ましい。
【0043】
シート状基材としては、不織布、ポリエチレンテレフタレートフィルム等が挙げられる。
剥離性シートとしては、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETともいう)シートの表面にシリコーンなどの剥離剤をコーティングしたものが挙げられる。
【0044】
粘着剤付き保護シートは、シート状基材の一方の面の少なくとも一部に粘着剤層が設けられていればよく、全面に設けられていてもよい。
全面に粘着剤層を設ける場合には、価格の点から、粘着剤は、30g/m2以下が望ましく、20g/m2以下が更に好ましい。
【0045】
<粘着剤付き保護シートの製造方法>
本発明の粘着剤付き保護シートは、前述のホットメルト型粘着剤を溶融し、シート状基材の一方の面の少なくとも一部に塗工し、粘着剤層を設けることにより得ることができる。
あるいは、本発明の粘着剤付き保護シートは、前述の本発明のホットメルト型粘着剤を溶融し、剥離性シートの剥離性面の少なくとも一部に塗工し、速やかにシート状基材を重ね、加圧ロールにて圧着して作成することもできる。
また、本発明の粘着剤付き保護シートは、前述のホットメルト型粘着剤を溶融し、シリコンロールなどの剥離性のロールに塗布してから、シート状基材に転写してから、剥離性シートで表面を覆ってもよい。
【0046】
ホットメルト型粘着剤を加熱溶融し、塗工する装置としては、グラビアコーター、ロールコーター、ダイコーター、スリットコーターなどが挙げられ、特に限定されない。
【実施例0047】
以下、本発明を実施例により具体的にかつ詳細に説明するが、これら実施例は本発明の一態様に過ぎず、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
なお、例中、「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」をそれぞれ表すものとする。
【0048】
[MFR]
JIS.K7210に準拠し、測定した。
【0049】
(実施例1)
攪拌機を備えたニーダーに、ブロック共重合体(A)として、A1(クラレ社製;クラリティLK9243)38部、植物油(B)としてB1(ライスオイル)38部、粘着付与樹脂(C)としてC2(クレイトンケミカル社製;シルバレスSA140)24部を添加し、180℃で3時間撹拌することでホットメルト型粘着剤を得た。
得られたホットメルト型粘着剤について、後述する方法に従い評価した。
【0050】
(実施例2~41)、(比較例1~11)
表1~3に示した部数に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2~41、および比較例1~11のホットメルト型粘着剤を得た。
得られたホットメルト型粘着剤について、後述する方法に従い評価した。
【0051】
表1~3に記載のブロック共重合体(A)等の略語を以下に示す。
(A1):メタクリル酸メチルの割合が17質量%のメタクリル酸メチルと、アクリル酸ブチルおよびアクリル酸2-エチルヘキシルの混合物とのトリブロック共重合体(クラレ社製;クラリティLK9243(MMA-(BA/2EHA)-MMA/トリブロック共重合体、MFR:93g/10分)
(A2)メタクリル酸メチルの割合が20質量%のメタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチルのトリブロック共重合体(クラレ社製;クラリティLA2330(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MFR:3.7g/10分)
(A3):メタクリル酸メチルの割合が30質量%のメタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチルのトリブロック共重合体(クラレ社製;クラリティLA2250(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MFR:25g/10分)
(A4):メタクリル酸メチルの割合が52質量%のメタクリル酸メチルとアクリル酸n-ブチルのトリブロック共重合体(クラレ社製;クラリティLA1892(MMA-BA-MMA/トリブロック共重合体、MFR:11.4g/10分)
(A’1):スチレンの割合が19質量%のスチレンのハードセグメントとイソプレンのソフトセグメントからなるハードセグメント-ソフトセグメント-ハードセグメントのトリブロック共重合体(クリトン社製;クレイトンD-1160、MFR:5~13g/10分)
【0052】
表1~3に記載の植物油の表記を以下に示す。
(B1): ライスオイル(こめ油)
(B2): 紅花オイル(紅花油)
(B3): 大豆油(大豆油)
(B4):ひまわりオイル(ひまわり油)
(B5):綿オイル(綿実油)
(B6):菜種オイル(菜種油)
(B7):グレープ油
(B8):コーン油
【0053】
表3に記載の可塑剤の表記を以下に示す。
(B’1):BDP(ADEKA社製;アデカスタブFP-600:ビスフェノールAジフェニルホスフェート)
(B’2):DOP(八大化学工業社製;フタル酸ビス(2-エチルヘキシル))
(B’3):PL012(リケンビタミン社製;リケマールPL012:グリセリンアセトラウレート)
【0054】
表1~3に記載の粘着付与樹脂(C)の略語を以下に示す。
(C1):ペンセルD160(荒川化学工業製;ロジンエステル、軟化点160℃)
(C2):シルバレスSA140(クレイトンケミカル社製;α-メチルスチレン樹脂、軟化点140℃)
(C3):ハリタックFK125(ハリマ化成社製;酸変性ロジン、軟化点128℃)
(C4):クイントンG115(日本ゼオン社製;石油系脂肪族/芳香族共重合体、軟化点115℃)
(C5):YSポリスターT115(ヤスハラケミカル社製;テルペンフェノール樹脂、軟化点115℃)
(C6):ペンセルGA100(荒川化学工業製;ロジンエステル、軟化点100℃)
(C7):シルバレスSA100(クレイトンケミカル社製;α-メチルスチレン樹脂、軟化点100℃)
(C8)クイントンA100(日本ゼオン社製;石油系脂肪族系炭化水素、軟化点100℃)
(C9):RHR301(日成林産化工社製;水添ロジン、軟化点72℃)
【0055】
表1~3に記載の滑剤(D)の略語を以下に示す。
(D1):アマイドE(花王社製 脂肪族アミド)
【0056】
<塗工適正>
ロールコーターを用いて、塗工温度160℃、速度20m/分で、ホットメルト型粘着剤を、厚みが25μmの剥離性PETに塗工した時の塗布状態を目視で評価した。
◎:糸曳が全く無く、均一な塗布状態:良好
〇:糸曳が1~3ケ所あるが、均一な塗布状態:使用可
×:糸曳が4ケ所以上あり、塗布状態にムラがある:使用不可
【0057】
[試験用試料の作成]
ロールコーターを用いて、塗工温度160℃で、速度20m/分で、実施例1~20、比較例1~11のホットメルト型粘着剤を、25μm剥離性PETに塗工し、直後に不織布を貼り合わせ、23℃、湿度65%(以下65%RH)の条件下に24時間放置した後、100mm×25mmの大きさに断裁し、試験用試料とした。
【0058】
<オイル染み>
作成した試験用試料の剥離性PETを剥がし、粘着剤表面に浮いた油と剥離性PETに残った油染みを目視で観察し、評価した。
◎:油染みが全く無く、均一な塗布状態:良好
〇:油染みが1~5箇所あるが、均一な塗布状態:使用可
×:油染みが6ケ所以上ある、塗布状態にムラがある:使用不可
<低温粘着力>
作成した試験用試料の剥離性PETを剥がし、各試験用試料を、試験用試料よりも一回り大きなSUS板の全面に貼り付け、2kg荷重のロールにて2往復圧着し、1時間放置後に、-10℃の環境下で、200mm/分の速度で、180°剥離を行い、その時の強度を測定した。
◎:0.03N/25mm以上6N/25mm以下:良好
〇:6N/25mmを超えて9N/25mm以下:使用可
×:0.03N/25mm未満または9N/25mmを超える:使用不可
<初期粘着力>
作成した試験用試料の剥離性PETを剥がし、各試験用試料を、試験用試料よりも一回り大きなSUS板の全面にそれぞれ貼り付け、2kg荷重のロールにて2往復圧着し、1時間放置後に、23℃、65%RHの環境下で、200mm/分の速度で、180°剥離を行い、その時の強度を測定した。
◎:0.03N/25mm以上6N/25mm以下:良好
〇:6N/25mmを超えて9N/25mm以下:使用可
×:0.03N/25mm未満または9N/25mmを超える:使用不可
【0059】
<耐熱性試験>
作成した試験用試料からの剥離性PETを剥がし、各試験用試料を、試験用試料よりも一回り大きなSUS板の全面に貼り付け、2kg荷重のロールにて1往復圧着した。ついで、40℃のオーブン内に、各試験用試料を貼り付けた面を下向きにして、1カ月放置し、貼付および落下の状態を観察した。
◎:脱落なし、剥がれ無し:良好
〇:剥がれ面積が10%未満:使用可
×:脱落、剥がれ面積10%以上:使用不可
なお、耐熱性試験にて、「×:脱落或いは、剥がれ有」だったものについては、下記の耐熱性試験後の粘着力、剥離後の糊残りは評価できなかったので、表4では「-」とした。
【0060】
<耐熱性試験後の粘着力>
上記耐熱性試験後の試料について、23℃、65%RHの雰囲気下に2時間静置した後、初期粘着力の場合と同様の条件で、剥離試験を行い、剥離力を下記基準で評価した。
◎:0.03N/25mm以上6N/25mm以下:良好
〇:6N/25mmを超えて9N/25mm以下:使用可
×:0.03N/25mm未満または9N/25mmを超える:使用不可
【0061】
<剥離後糊残り>
上記の耐熱性試験後の粘着力を測った際、被着体であったSUS板への粘着剤の転着状態を目視にて観察した。
◎:ホットメルト粘着剤の転着が全く無かった。:良好
〇:貼付面積の10%以下の転着が認められたが、簡単に手でとれる。:使用可
×:貼付面積の10%を超える転着が認められるか、又は転着は10%以下であったが、粘着剤が手では取れない。:使用不可
【0062】
<塗装面の汚染>
市販の大理石調タイルに、試験用試料を貼り合わせ、40℃オーブン中で3か月保存を行う。3か月保管後に、常温にて1時間放置後、試験用試料を大理石調タイルから剥がし取り、剥がした部分の大理石調タイルの塗装面状態を観察した。
◎:シミの発生、塗装の浮きや剥がれが無く、良好:良好
〇:塗装の浮きや剥がれはないが、染みが発生:使用可
×:塗装の浮きや剥がれが発生:使用不可
【0063】
表1~3に示すように、本発明のホットメルト型粘着剤は、剥離性PETに均一に塗工可能であり、塗工面に不織布を貼りつけて剥離性PETを剥がしてもオイル染みなく、SUS版に貼り付けても、低温での粘着性および耐熱性に優れ、耐熱試験後のも十分な粘着性が低下せず、剥がしても糊残りがなかった。
すなわち、加熱せずとも、ヘッドレスト表面・背もたれ表面・座席表面や、厨房の間仕切り部材等に代表される被着体に、貼付し得る粘着剤付き保護シート形成用の粘着剤および粘着剤付き保護シートを提供できるようになった。また、糸曳することなく塗工でき、さらに、被貼付け塗装面を汚染せず、汚れた後も簡単に張り替えられる粘着剤付き保護シートを提供できる。
【0064】
【0065】
【0066】