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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156651
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】中子搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B22C 9/10 20060101AFI20231018BHJP
   B22C 19/04 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B22C9/10 U
B22C9/10 V
B22C19/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066146
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】石田 卓也
(72)【発明者】
【氏名】三宅 鹿生
(72)【発明者】
【氏名】山本 直彰
(72)【発明者】
【氏名】三浦 直洋
【テーマコード(参考)】
4E093
4E094
【Fターム(参考)】
4E093QD00
4E094CC42
4E094CC61
(57)【要約】
【課題】エンジン鋳造に用いられる型成形された複数の中子の反転および搬送を効率よく行うことが可能な中子搬送装置を提供する。
【解決手段】中子搬送装置1は、複数の中子C1~C3を個別に把持する複数の把持部4~6と、複数の把持部4~6を所定の配列方向Xに並べた状態で保持する保持部7と、保持部7に連結され、保持部7を複数の把持部4~6とともに水平方向に延びる回転軸を中心に上下反転させる反転部8と、反転部8に連結され、複数の把持部4~6を保持する保持部7を反転部8を介して複数の中子C1~C3を載置する所定の載置場所へ搬送する搬送部3とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン鋳造に用いられる型成形された複数の中子を搬送する中子搬送装置であって、
造型後の前記複数の中子を個別に把持する複数の把持部と、
前記複数の把持部を所定の配列方向に並べた状態で保持する保持部と、
前記保持部に連結され、前記保持部を前記複数の把持部とともに水平方向に延びる回転軸を中心に上下反転させる反転部と、
前記反転部に連結され、前記複数の把持部を保持する前記保持部を前記反転部を介して前記複数の中子を載置する所定の載置場所へ搬送する搬送部と、
を備えていることを特徴とする中子搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の中子搬送装置において、
前記把持部は、上下方向に互いに離間する位置で水平方向に延びる少なくとも一対の把持爪と、前記一対の把持爪のうちの少なくとも1つの把持爪を上下方向に移動させる把持爪駆動部とを備える、
ことを特徴とする中子搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の中子搬送装置において、
前記把持爪は、少なくとも一部が弾性体で構成されている、
ことを特徴とする中子搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の中子搬送装置において、
前記弾性体は、先端クッション部と帯板部により構成されている、
ことを特徴とする中子搬送装置。
【請求項5】
請求項2~4のいずれか1項に記載の中子搬送装置において、
前記把持部は、前記中子を取り囲むことが可能な大きさを有する枠体をさらに備え、
前記枠体は、前記把持爪駆動部を保持し、
前記一対の把持爪の一方が前記枠体に直接的に保持されるとともに他方が前記把持爪駆動部を介して前記枠体に間接的に保持されるか、または、前記一対の把持爪の両方が前記把持爪駆動部を介して前記枠体に間接的に保持される、
ことを特徴とする中子搬送装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の中子搬送装置において、
前記保持部は、前記複数の把持部を一括して取り囲み、かつ、当該複数の把持部のそれぞれを前記配列方向と直交する方向における両端部で支持する枠部材によって構成されている、
ことを特徴とする中子搬送装置。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1項に記載の中子搬送装置において、
前記複数の中子がそれぞれ前記エンジンの気筒列方向に延びる長尺の形状を有しており、
前記複数の把持部のそれぞれは、前記中子の長手方向が前記配列方向と直交する方向になるように、前記中子を把持する、
ことを特徴とする中子搬送装置。
【請求項8】
請求項2~4のいずれか1項に記載の中子搬送装置において、
前記複数の中子がそれぞれ前記エンジンの気筒列方向に延びる長尺の形状を有しており、
複数対の前記把持爪は、前記中子の長手方向の互いに離間した位置で当該中子を把持する、
ことを特徴とする中子搬送装置。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の中子搬送装置において、
前記搬送部は、多関節ロボットによって構成されている、
ことを特徴とする中子搬送装置。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載の中子搬送装置において、
前記反転部は、前記回転軸が前記配列方向と平行に延びるように、前記保持部に連結されている、
ことを特徴とする中子搬送装置。
【請求項11】
請求項10に記載の中子搬送装置において、
前記反転部は、前記回転軸が前記配列方向と直交する方向における前記保持部の中間位置になるように、前記保持部に連結されている、
ことを特徴とする中子搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中子搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
エンジンを鋳造する場合、一般的にはエンジン内部の吸排気用のガス流路や冷却水流路などを形成するために種々の形状の中子を複数個用いて人または自動化設備により金型と組み合わせる事で鋳造用の型を製造する。これらの中子は、通常、樹脂や砂などの材料を造型用の型に充填することにより形成されるので、やや脆弱であり、搬送や取り扱いに注意する必要がある。
【0003】
中子を造型する際には、砂などの材料の型への充填しやすさや充填口の位置、あるいはエジェクターピンによる中子の型離れの容易さなどを考慮すれば、中子を組み付け時の姿勢と上下反転した姿勢で造型することが好ましい。
【0004】
そのため、複数の気筒が配列されたエンジン、例えば、直列4気筒エンジンの鋳造時に用いる複数の中子を造形後に搬送する場合、従来では造型装置から複数の中子を取り出した後に、複数の中子を組付け順に1個ずつ上下反転して搬送用トレーへ載せる作業を人の手で行う必要がある。
【0005】
近年、直列6気筒のエンジンのように長手方向の拡大による中子の大型化に伴い、人の手による中子の反転および搬送作業では人的負荷が増大する。
【0006】
そこで、上記の課題の解決のため、具体的には、中子の取出し作業の省人化、およびサイクルタイム短縮と設備投資削減の実現のために、1つの搬送装置によって、複数種類の中子を一括して造型機の型から取り出すとともに搬送トレーに載せることが考えられる。
【0007】
従来の搬送装置では、特許文献1に記載されているように、鋳造用の中子を下向きに押圧する押圧部材と、当該押圧部材で中子を押圧した状態で中子の下端面の下に挿入する爪と、当該押圧部材および爪を水平搬送する搬送機構とを備えた搬送装置が知られている。
【0008】
この搬送装置では、当該押圧部材によって1個の中子を押圧するとともに爪をその中子の下端面の下方に挿入することにより、中子を押圧部材と爪によって上下から把持する。この状態で、爪で中子を持ち上げながら、中子を個別に水平搬送することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016-36814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記の搬送装置は、爪によって中子を1個ずつすくい上げ、中子を個別に水平搬送するのみの機能しか有していないので、複数の中子の搬送に時間がかかる。また、上記の搬送装置では、中子を反転させる機能を有していないので、中子を反転させるための装置が別途必要になる。したがって、上記の搬送装置を用いても、複数の中子の反転および搬送を効率よく行うことが困難である。
【0011】
本発明は、前記のような事情に鑑みてなされたものであり、エンジン鋳造に用いられる複数の中子の反転および搬送を効率よく行うことが可能な中子搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するために本発明の中子搬送装置は、エンジン鋳造に用いられる型成形された複数の中子を搬送する中子搬送装置であって、造型後の前記複数の中子を個別に把持する複数の把持部と、前記複数の把持部を所定の配列方向に並べた状態で保持する保持部と、前記保持部に連結され、前記保持部を前記複数の把持部とともに水平方向に延びる回転軸を中心に上下反転させる反転部と、前記反転部に連結され、前記複数の把持部を保持する前記保持部を前記反転部を介して前記複数の中子を載置する所定の載置場所へ搬送する搬送部と、を備えていることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、造型後の複数の中子を複数の把持部によって個別に把持し、把持部による把持状態を維持しながら複数の保持部を保持する保持部を反転部によって水平方向に延びる回転軸を中心に上下反転させる。これにより、複数の中子を複数の把持部で把持しながら同時に反転させることが可能である。そして、複数の把持部を保持する保持部を反転部を介して搬送部によって複数の中子を載置する所定の載置場所に搬送することにより、反転後の複数の中子を所定の載置場所に同時に搬送することが可能である。これにより、複数の中子の反転および搬送を1台の搬送装置で連続的に効率よく行うこと可能になる。その結果、複数の中子の反転および搬送の作業のためのサイクルタイム削減および設備投資削減が可能になる。
【0014】
上記の中子搬送装置において、前記把持部は、上下方向に互いに離間する位置で水平方向に延びる少なくとも一対の把持爪と、前記一対の把持爪のうちの少なくとも1つの把持爪を上下方向に移動させる把持爪駆動部とを備えるのが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、把持部は、中子を把持するために水平方向に延びる少なくとも一対の把持爪を備えている構成であるので、把持部の上下方向の高さを抑えることが可能である。また、把持爪駆動部が一対の把持爪のうちの少なくとも1つの把持爪を上下方向に移動させることによって、中子を上下方向から安定して把持することが可能になる。これにより、一対の把持爪によって上下方向から把持した状態で、中子の反転、搬送ならびに所定の載置場所への載置まで連続して行うことが可能になる。その結果、中子を載置場所へ載置するときに仮置きする作業が不要になり、中子の反転および搬送をより効率よく行うことが可能である。
【0016】
また、一対の把持爪が水平方向に延びているので、垂直方向に延びる一対の把持爪によって中子を上方からつまんで搬送する方式等と比べて、把持爪および把持爪駆動部の位置の自由度が高くなるので、搬送装置のモジュール化を実現しやすい。
【0017】
上記の中子搬送装置において、前記把持爪は、少なくとも一部が弾性体で構成されているのが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、一対の把持爪が中子を把持するときに上下方向に曲がって(しなって)弾性変形することが可能である。そのため、従来の搬送装置と比較して、中子の造型用の型の位置ずれや造型設備の位置ずれを吸収し、中子の型形状に多少の形状誤差があっても把持爪が中子の形状に追従することが可能である。そのため、把持爪を中子形状に完全に合わせる必要が無くなり、汎用性が向上する。
【0019】
上記の中子搬送装置において、前記弾性体は、先端クッション部と帯板部により構成されているのが好ましい。
【0020】
上記の中子搬送装置において、前記把持部は、前記中子を取り囲むことが可能な大きさを有する枠体をさらに備え、前記枠体は、前記把持爪駆動部を保持し、前記一対の把持爪うちの一方が前記枠体に直接的に保持されるとともに他方が前記把持爪駆動部を介して前記枠体に間接的に保持されるか、または、前記一対の把持爪の両方が前記把持爪駆動部を介して間接的に保持されるのが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、把持部は、把持爪駆動部を保持するとともに一対の把持爪を直接的または把持爪駆動部を介して間接的に保持する枠体を備えている。このため、枠体で取り囲んだ状態の中子を枠体によって直接的にまたは間接的に保持された一対の把持爪によって安定して把持することが可能になり、より安定して中子の反転および搬送が可能になる。
【0022】
上記の中子搬送装置において、前記保持部は、前記複数の把持部を一括して取り囲み、かつ、当該複数の把持部のそれぞれを前記配列方向と直交する方向における両端部で支持する枠部材によって構成されているのが好ましい。
【0023】
かかる構成によれば、複数の把持部を保持する保持部が当該複数の把持部を一括して取り囲む枠部材によって構成されている。この枠部材が複数の把持部のそれぞれを前記配列方向と直交する方向において両端支持することにより、複数の把持部に把持された複数の中子を安定して同時に反転および搬送することが可能になる。
【0024】
上記の中子搬送装置において、前記複数の中子がそれぞれ前記エンジンの気筒列方向に延びる長尺の形状を有しており、前記複数の把持部のそれぞれは、前記中子の長手方向が前記配列方向と直交する方向になるように、前記中子を把持するのが好ましい。
【0025】
かかる構成によれば、複数の把持部のそれぞれが中子の長手方向が把持部の配列方向と直交する方向になるように中子を把持するので、長尺の複数の中子を限られたスペースで安定して把持することが可能である。
【0026】
上記の中子搬送装置において、前記複数の中子がそれぞれ前記エンジンの気筒列方向に延びる長尺の形状を有しており、複数対の前記把持爪は、前記中子の長手方向の互いに離間した位置で当該中子を把持するのが好ましい。
【0027】
かかる構成によれば、複数対の把持爪が中子の長手方向の互いに離間した位置で当該中子を把持するので、長尺の中子を安定して把持することが可能である。これにより、長尺の中子の反転および搬送を安定かつ迅速に行うことが可能になる。
【0028】
搬送トレーやベルトコンベヤ等の汎用的な平面状の搬送設備に中子を設置する上で、複数の中子の設置面の高さが揃うように金型の構造を調整する事が望ましいが、上記の中子搬送装置において個別の中子高さを調整する直動アクチュエータを設けても良い。
【0029】
上記の中子搬送装置において、前記搬送部は、多関節ロボットによって構成されているのが好ましい。
【0030】
かかる構成によれば、搬送部が多関節ロボットによって構成されているので、複数の中子を任意の位置に搬送することが可能になり、設備コストの抑制および設備の軽量化が可能になる。また、多関節ロボットとして市販の搬送ロボットを用いれば汎用設備の活用も可能になる。
【0031】
上記の中子搬送装置において、前記反転部は、前記回転軸が前記配列方向と平行に延びるように、前記保持部に連結されているのが好ましい。
【0032】
かかる構成によれば、反転部によって、複数の把持部が並ぶ配列方向と平行な方向に延びる回転軸回りに複数の中子を上下反転させることが可能になる。そのため、複数の中子の各形状や重量が異なる場合でも、複数の中子をバランスよく反転させることが可能である。
【0033】
上記の中子搬送装置において、前記反転部は、前記回転軸が前記配列方向と直交する方向における前記保持部の中間位置になるように、前記保持部に連結されているのが好ましい。
【0034】
かかる構成によれば、反転部によって、複数の把持部を保持する保持部が当該保持部における前記配列方向と直交する方向の中間位置で上下反転される。そのため、保持部の反転の際における反転部への負荷を軽減することが可能であり、かつ、複数の中子をよりバランスよく反転させることが可能である。とくに長尺の中子の場合には、中子の長手方向の中間位置でバランスよく反転させることが可能になる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明の中子搬送装置によれば、エンジン鋳造に用いられる複数の中子の反転および搬送を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実施形態に係る中子搬送装置の全体構成を示す平面図である。
図2図1の第1~第3把持部、枠部材、および回転駆動部の斜視図である。
図3図1の第1~第3把持部を背面側から見た拡大斜視図である。
図4図1の一対の把持爪の拡大斜視図である。
図5図1のロボットアームの斜視図である。
図6図1の中子搬送装置を用いた複数の中子の搬送方法を説明するための説明図であって、造型直後の複数の中子が造形装置の下型を付けたままの状態を示す斜視説明図である。
図7図6の複数の中子がエジェクターピンによって下型の上方に押し出されている状態を示す斜視説明図である。
図8図7の複数の中子を図1の第1~第3把持部の把持爪で把持する動作を示す斜視説明図である。
図9図8の複数の中子を第1~第3把持部で把持した状態で、当該複数の中子をこれら把持部を保持する枠部材とともに回転駆動部によって上下反転させる動作を示す斜視説明図である。
図10図9の上下反転した複数の中子をロボットアームによって所定の載置台の上に搬送する動作を示す斜視説明図である。
図11図10の上下反転した複数の中子が所定の載置台に載置された状態を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態に係る中子搬送装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
図1に示される中子搬送装置1(以下、搬送装置1という)は、エンジン鋳造に用いられる型成形された複数(本実施形態では3個)の中子C1~C3を搬送する装置である。
【0039】
搬送装置1によって搬送される中子C1~C3は、図11に示されるように、具体的には、エンジンを鋳造する際にエンジン内部の空隙部分である吸排気用のガス流路(例えば、吸気ポートや排気ポート)、または冷却水流路(例えば、ウォータージャケット)を形成するためにエンジン鋳造型に挿入されるものであり、これら吸気ポートやウォータージャケットの空隙部分に対応する形状を有している。これら中子C1~C3は、それぞれエンジンの気筒列方向に延びる長尺の形状を有する。なお、本実施形態の中子C1は、2分割されているが、1つに合体していてもよい。3つの中子C1~C3はエンジン鋳造の際には組み合わせた状態でエンジンの鋳造型に挿入される。中子C1~C3は、樹脂や砂などの材料を造型用の型に充填することにより形成され、やや脆弱であるので、なるべく柔らかく把持した状態で反転および搬送する必要がある。なお、搬送装置1で搬送される中子については、は複数の中子であればよく、具体的な中子の個数や形状については限定しない。
【0040】
搬送装置1は、全体的には、図1に示されるように、中子C1~C3をまとめて把持するとともに反転させる搬送用アタッチメント2と、当該搬送用アタッチメント2に連結されて、当該アタッチメント2を中子造型装置から中子載置台S1~S3(図10~11参照)へ搬送するロボットアーム3(搬送部)とで構成されている。本実施形態では、複数の中子C1~C3を搬送する搬送部として、多関節ロボット、具体的には汎用性の高いロボットアーム3が用いられている。
【0041】
搬送用アタッチメント2は、図1~3に示されるように、複数の把持部としての第1~第3把持部4~6と、当該第1~第3把持部4~6を所定の配列方向Xに並んだ状態で保持する保持部である大枠の枠部材7と、枠部材7に連結されて枠部材7を上下反転させる反転部である回転駆動部8とを備える。
【0042】
大枠の枠部材7は、第1~第3把持部4~6を所定の配列方向Xに並べた状態で保持する保持部である。枠部材7は、第1~第3把持部4~6を一括して取り囲み、かつ、当該第1~第3把持部4~6のそれぞれを配列方向Xと直交する方向Yにおける両端部で支持する枠体形状に構成されている。
【0043】
第1~第3把持部4~6は、造型後の複数の中子C1~C3を個別に把持する構成を有する。
【0044】
具体的には、第1把持部4は、図2~4に示されるように、上下方向Zに互いに離間する位置で水平方向(具体的には、配列方向X)に延びる少なくとも一対(本実施形態では複数対(8対))の把持爪11(具体的には、可動爪Aおよび固定爪11B)と、4個の把持爪開閉駆動部14と、配列方向Xに直交する方向Yに広がって長尺の中子C1を取り囲むことが可能な大きさを有する2分割された枠体12と、2分割された枠体12を配列方向Xに開閉駆動する一対の枠体開閉駆動部13とを備える。
【0045】
枠体12は、図3に示されるように、配列方向Xに直交する方向Yに広がって長尺の中子C1を取り囲むことが可能な大きさを有する矩形枠体の形状を有する。本実施形態の枠体12は、配列方向Xに2分割された矩形枠体によって構成されている。
【0046】
枠体12は、把持爪開閉駆動部14を保持するとともに、一対の把持爪11うちの一方である固定爪11Bを直接的に保持するとともに他方である可動爪11Aを把持爪開閉駆動部14を介して間接的に保持する。把持爪開閉駆動部14は、枠体12のうち中子C1を載置台S1(図10参照)に載置する際に載置台S1に干渉しない側(図3および図10における上側)に取り付けられている。
【0047】
枠体開閉駆動部13は、大枠の枠部材7の内周面のうち配列方向Xに直交する方向Yを向く対向面にそれぞれ1個ずつ固定されている。枠体開閉駆動部13は、2分割された枠体12を配列方向Xに開閉駆動することにより、一対の把持爪11が枠体12に取り囲まれた中子C1に対して配列方向X(すなわち水平方向)に近づいたり離れたりする動きが可能になる。
【0048】
各対の把持爪11は、図3~4に示されるように、上記の可動爪11Aと固定爪11Bとで構成され、上下方向Zに互いに離間する位置で水平方向に延びる。具体的には、可動爪11Aおよび固定爪11Bは、それぞれ、枠体12の内側に突出するように配列方向Xに延びている。各対の把持爪11(可動爪11Aおよび固定爪11B)が枠体12の配列方向Xにおける両側にそれぞれ配置されているので、配列方向Xに直交する方向Yに延びる中子C1を配列方向Xにおける両側で把持できるようになっている。これにより、第1把持部4の各対の把持爪11は、中子C1の長手方向が配列方向Xと直交する方向Yになるように、中子C1を把持することが可能である。また、この構成では、第1把持部4は、複数対(具体的には8対)の把持爪11が中子C1の長手方向の互いに離間した位置で当該中子C1を把持する構成になっている。
【0049】
図4に示されるように、可動爪11Aは、上下方向に可動自在の爪である。可動爪11Aの根元側の端部は、可動爪支持アーム20を介して把持爪開閉駆動部14に連結されている。可動爪支持アーム20は、配列方向Xと直交する方向Yに延び、当該可動爪支持アーム20の両端部において可動爪11Aが連結されている。固定爪11Bは、可動爪11Aから上下方向に離間した位置でL字状のブラケット21を介して枠体12に固定されている。
【0050】
各対の把持爪11(可動爪11Aおよび固定爪11B)は、いずれも、少なくとも一部が弾性体で構成される。本実施形態では、可動爪11Aおよび固定爪11Bは、いずれも、先端クッション部18および帯板部19で構成されている。先端クッション部18は、樹脂またはゴムなどからなり、一対の把持爪11が中子C1を把持したときに若干凹む程度の弾力性を有する。また、帯板部19は、樹脂または金属薄板からなり、一対の把持爪11が中子C1を把持したときに上下方向に曲がる(しなる)ことが可能な弾性を有する。
【0051】
把持爪開閉駆動部14は、一対の把持爪11のうちの可動爪11Aを上下方向Zに移動させる構成を有する。把持爪開閉駆動部14は、エアシリンダや電動モータなどを備え、可動爪11Aを上下方向に往復直線移動させる駆動力を発生させる。
【0052】
第3把持部6は、造型後の複数の中子C3を把持する構成を有しており、具体的な構成は第1把持部4と共通の構成を有する。
【0053】
一方、第2把持部5は、図3に示されるように、上記の第1把持部4および第3把持部6のように、枠体12および枠体開閉駆動部13を備えておらず、その代わりに、一対の把持爪水平駆動部15と、水平移動板16とを備える。
【0054】
この第2把持部5の複数対(具体的には4対)の把持爪11は、それぞれ上記のように可動爪11Aと固定爪11Bとで構成されている。各対の把持爪11は、それぞれ、配列方向Xに直交する方向Yに延びている。各対の把持爪11が直交方向Yにおける両側にそれぞれ配置されているので、直交方向Yに延びる中子C2を直交方向Yにおける両側で把持できるようになっている。これにより、第2把持部5の各対の把持爪11は、中子C2の長手方向が配列方向Xと直交する方向Yになるように、中子C2を把持することが可能である。また、この構成では、第2把持部5は、複数対(具体的には4対)の把持爪11が中子C2の長手方向の互いに離間した位置で当該中子C2を把持する構成になっている。
【0055】
図3に示される水平移動板16は、把持爪開閉駆動部14を保持するとともに、一対の把持爪11うちの一方である固定爪11B(図4参照)を直接的に保持するとともに他方である可動爪11A(図4参照)を把持爪開閉駆動部14を介して間接的に保持する。把持爪開閉駆動部14は、水平移動板16のうち中子C2を載置台S2(図10参照)に載置する際に載置台S2に干渉しない側(図3および図10における上側)に取り付けられている。
【0056】
把持爪水平駆動部15は、大枠の枠部材7の内周面のうち配列方向Xに直交する方向Yを向く対向面に対して当該直交方向Yに延びる中間バー17を介してそれぞれ1個ずつ固定されている。把持爪水平駆動部15は、水平移動板16を直交方向Yに移動することにより、一対の把持爪11が中子C2に対して直交方向Y(すなわち水平方向)に近づいたり離れたりする動きが可能になる。
【0057】
回転駆動部8は、図1~2に示されるように、大枠の枠部材7に連結され、枠部材7を第1~第3把持部4~6とともに水平方向(具体的には、配列方向X)に延びる回転軸Rを中心に上下反転させる反転部である。回転駆動部8は、回転駆動力を発生する構成を備え、具体的には電動モータなどの回転駆動源を備えた構成になっている。
【0058】
本実施形態の回転駆動部8は、回転軸Rが配列方向Xと平行に延びるように、枠部材7に連結されている。しかも、回転駆動部8は、回転軸Rが配列方向Xと直交する方向Yにおける枠部材7の中間位置になるように、枠部材7における配列方向Xの端部の部分に連結されている。
【0059】
図1に示されるロボットアーム3は、多関節ロボットであり、搬送用アタッチメント2の回転駆動部8に連結され、第1~第3把持部4~6を保持する枠部材7を回転駆動部8を介して複数の中子C1~C3を載置する所定の載置場所である載置台S1~S3(図10参照)へ搬送する搬送部として機能する構成を有する。
【0060】
ロボットアーム3は、搬送用アタッチメント2(すなわち、第1~第3把持部4~6、枠部材7、および回転駆動部8の集合体)を3次元空間において全方向における移動および回転が可能な構成であればよい。例えば、図5に示されるロボットアーム3は、床面に設置された台座31と、水平回転自在に台座31に支持された回転台32と、回転台32の上に固定された第1回転支持部33と、第1回転支持部33の回転軸33aに前後方向に揺動自在に支持された第1アーム34と、第1アーム34の先端の回転軸34aに上下方向に揺動自在に支持された第2アーム35と、第2アーム35の先端に自転可能に支持された第1自転軸36と、第1自転軸36の先端に固定された第2回転支持部37と、第2回転支持部37の回転軸37aに上下方向に揺動自在に支持された第3アーム38と、第3アーム38の先端に自転可能に支持された第2自転軸39とを備えている。このロボットアーム3の第2自転軸39に上記の搬送用アタッチメント2の回転駆動部8を連結することにより、第1~第3把持部4~6を保持する枠部材7を任意の方向へ移動することが可能になる。
【0061】
上記のように構成された搬送装置1を用いて、複数の中子C1~C3の反転および搬送が以下の手順で行われる。
【0062】
まず、図6に示されるように、造型装置で型成形された直後の中子C1~C3はそれぞれ下型M1~M3に嵌った状態で装置外に取り出される。そして、図7に示されるように、中子C1~C3は、エジェクターピンPによって上方へ押し上げられることにより、下型M1~M3の上方に離脱する。
【0063】
ついで、図8に示されるように、上記の下型M1~M3から離脱した中子C1~C3の位置に、ロボットアーム3によって搬送用アタッチメント2を移動する。そして、第1~第3把持部4~6の複数対の把持爪11によって、中子C1~C3を個別に把持する。
【0064】
具体的には、第1把持部4および第3把持部6では、枠体開閉駆動部13により2分割された枠体12を中子C1、C3へ近づくように配列方向Xに移動し、各対の把持爪11を中子C1、C3の端部の上下両側に来るように移動する(図8の矢印Iの移動方向参照)。その後、把持爪開閉駆動部14が各対の把持爪11のうち可動爪11A(図4参照)を固定爪11Bに近づける方向へ移動(図8では上昇)する。これにより、第1把持部4および第3把持部6の各対の把持爪11が中子C1、C3を把持することが可能である。
【0065】
また、第2把持部5では、把持爪水平駆動部15により水平移動板16を中子C2へ近づくように直交方向Yに移動し、各対の把持爪11を中子C2の端部の上下両側に来るように移動する(図8の矢印I’の移動方向参照)。その後、把持爪開閉駆動部14が各対の把持爪11のうち可動爪11A(図4参照)を固定爪11Bに近づける方向へ移動(図8では上昇)することにより、第2把持部5の各対の把持爪11が中子C2を把持することが可能である。
【0066】
上記のように第1~第3把持部4~6の把持爪11が中子C1~C3を個別に把持したした状態で、図9に示されるように、ロボットアーム3に連結された回転駆動部8によって、第1~第3把持部4~6を保持する大枠の枠部材7を配列方向Xに延びる回転軸Rを中心に上下反転させる。
【0067】
その後、図10に示されるように、第1~第3把持部4~6を保持する枠部材7を回転駆動部8を介してロボットアーム3によって複数の中子C1~C3を載置する載置台S1~S3に搬送する。
【0068】
そして、上記の第1~第3把持部4~6の把持爪11による中子C1~C3の把持を解除し、ロボットアーム3によって第1~第3把持部4~6を保持する枠部材7を載置台S1~S3から離脱する。これにより、最終的には、型成形された複数の中子C1~C3を反転した状態で載置台S1~S3に載置することが可能になる。
【0069】
(本実施形態の特徴)
(1)
本実施形態の搬送装置1は、図1~3に示されるように、造型後の複数の中子C1~C3を個別に把持する第1~第3把持部4~6と、第1~第3把持部4~6を所定の配列方向Xに並べた状態で保持する枠部材7と、枠部材7に連結され、枠部材7を第1~第3把持部4~6とともに水平方向(具体的には、配列方向X)に延びる回転軸Rを中心に上下反転させる回転駆動部8と、回転駆動部8に連結され、第1~第3把持部4~6を保持する枠部材7を回転駆動部8を介して複数の中子C1~C3を載置する載置台S1~S3へ搬送するロボットアーム3(搬送部)とを備えている。
【0070】
この構成によれば、造型後の複数の中子C1~C3を第1~第3把持部4~6によって個別に把持し、把持部による把持状態を維持しながら複数の枠部材7を保持する枠部材7を回転駆動部8によって水平方向(具体的には、配列方向X)に延びる回転軸Rを中心に上下反転させる。これにより、複数の中子C1~C3を第1~第3把持部4~6で把持しながら同時に反転させることが可能である。そして、第1~第3把持部4~6を保持する枠部材7を回転駆動部8を介してロボットアーム3によって複数の中子C1~C3を載置する載置台S1~S3に搬送することにより、反転後の複数の中子C1~C3を載置台S1~S3に同時に搬送することが可能である。これにより、複数の中子C1~C3の反転および搬送を1台の搬送装置1で連続的に効率よく行うこと可能になる。その結果、複数の中子C1~C3の反転および搬送の作業のためのサイクルタイム削減および設備投資削減が可能になる。
【0071】
上記実施形態の搬送装置1では、回転駆動部8は、枠部材7である大枠の枠部材7を反転させるために1つ設ければよく、第1~第3把持部4~6をそれぞれ個別に反転させるために個別に回転駆動部を設ける必要がない。このため、搬送用アタッチメント2の重量増加を抑制でき、ロボットアーム3による中子C1~C3の搬送時の負担を軽減することが可能である。
【0072】
(2)
本実施形態の搬送装置1では、第1~第3把持部4~6は、上下方向Zに互いに離間する位置で水平方向(具体的には、配列方向Xまたは直交方向Y)に延びる少なくとも一対の把持爪11と、一対の把持爪11のうちの少なくとも1つの把持爪11(本実施形態では、可動爪11A)を上下方向Zに移動させる把持爪開閉駆動部14とを備える。
【0073】
この構成によれば、第1~第3把持部4~6は、中子C1~C3を把持するために水平方向に延びる少なくとも一対の把持爪11を備えている構成であるので、把持部の上下方向Zの高さを抑えることが可能である。また、把持爪開閉駆動部14が一対の把持爪11のうちの少なくとも1つの把持爪11(本実施形態では、可動爪11A)を上下方向Zに移動させることによって、中子C1~C3を上下方向Zから安定して把持することが可能になる。これにより、一対の把持爪11によって上下方向Zから把持した状態で、中子の反転、搬送ならびに載置台S1~S3への載置まで連続して行うことが可能になる。その結果、中子C1~C3を載置場所へ載置するときに仮置きする作業が不要になり、中子のC1~C3の反転および搬送をより効率よく行うことが可能である。
【0074】
また、一対の把持爪11が水平方向に延びているので、垂直方向に延びる一対の把持爪11によって中子C1~C3を上方からつまんで搬送する方式等と比べて、把持爪11および把持爪開閉駆動部14の位置の自由度が高くなるので、搬送装置のモジュール化を実現しやすい。
【0075】
なお、把持爪開閉駆動部14は、一対の把持爪11の両方を上下方向に開閉駆動して中子C1~C3を把持する構成であってもよい。
【0076】
(3)
本実施形態の搬送装置1では、把持爪11は、少なくとも一部が弾性体で構成され、具体的には、先端クッション部18および帯板部19で構成されている。この構成によれば、一対の把持爪11が中子C1~C3を把持するときに上下方向Zに曲がって(しなって)弾性変形することが可能である。そのため、従来の搬送装置と比較して、中子の造型用の型の位置ずれや造型設備の位置ずれを吸収し、中子の型形状に多少の形状誤差があっても把持爪11が中子の形状に追従することが可能である。そのため、把持爪11を中子形状に完全に合わせる必要が無くなり、汎用性が向上する。
【0077】
(4)
本実施形態の搬送装置1では、第1把持部4および第3把持部6は、中子C1、C3を取り囲むことが可能な大きさを有する枠体12を備える。枠体12は、把持爪開閉駆動部14を保持する。一対の把持爪11うちの一方は、固定爪11Bを枠体12に直接的に保持されるとともに他方である可動爪11Aが把持爪開閉駆動部14を介して枠体12に間接的に保持される。
【0078】
この構成によれば、第1把持部4および第3把持部6は、把持爪開閉駆動部14を保持するとともに一対の把持爪11を直接的または把持爪開閉駆動部14を介して間接的に保持する枠体12を備えている。このため、枠体12で取り囲んだ状態の中子C1、C3を枠体12によって直接的または間接的に保持された一対の把持爪11によって安定して把持することが可能になり、より安定して中子の反転および搬送が可能になる。
【0079】
なお、枠体12は、一対の把持爪11の両方を把持爪開閉駆動部14を介して間接的に保持するようにしてもよい。
【0080】
(5)
本実施形態の搬送装置1では、第1~第3把持部4~6を保持する保持部が、第1~第3把持部4~6を一括して取り囲み、かつ、当該第1~第3把持部4~6のそれぞれを配列方向Xと直交する方向Yにおける両端部で支持する枠部材7によって構成されている。この構成では、枠部材7が第1~第3把持部4~6のそれぞれを配列方向Xと直交する方向Yにおいて両端支持することにより、第1~第3把持部4~6に把持された複数の中子C1~C3を安定して同時に反転および搬送することが可能になる。
【0081】
なお、第1~第3把持部4~6を保持する保持部は、上記実施形態のような枠部材7以外の構成でもよく、例えば、開かれたY字状の部材や、第1~第3把持部4~6の一端を保持する棒状の部材でもよいが、上記のように第1~第3把持部4~6の両端支持する枠部材7の方が第1~第3把持部4~6を安定して保持できる点で好ましい。
【0082】
(6)
本実施形態の搬送装置1では、複数の中子C1~C3がそれぞれエンジンの気筒列方向に延びる長尺の形状を有しており、第1~第3把持部4~6のそれぞれは、長尺の中子C1~C3の長手方向が配列方向Xと直交する方向Yになるように、中子C1~C3を把持する。
【0083】
この構成によれば、第1~第3把持部4~6のそれぞれが中子C1~C3の長手方向が第1~第3把持部4~6の配列方向Xと直交する方向Yになるように中子C1~C3を把持するので、長尺の複数の中子C1~C3を限られたスペースで安定して把持することが可能である。
【0084】
(7)
本実施形態の搬送装置1では、複数の中子C1~C3がそれぞれエンジンの気筒列方向に延びる長尺の形状を有しており、第1~第3把持部4~6では、複数対の把持爪11が長尺の中子C1~C3の長手方向の互いに離間した位置で当該中子C1~C3を把持する。
【0085】
この構成によれば、複数対の把持爪11が中子C1~C3の長手方向の互いに離間した位置で当該中子C1~C3を把持するので、長尺の中子C1~C3を安定して把持することが可能である。これにより、長尺の中子C1~C3の反転および搬送を安定かつ迅速に行うことが可能になる。
【0086】
(8)
本実施形態の搬送装置1では、第1~第3把持部4~6を保持する枠部材7を搬送する搬送部は、多関節ロボットであるロボットアーム3によって構成されている。これにより、複数の中子C1~C3を任意の位置に搬送することが可能になり、設備コストの抑制および設備の軽量化が可能になる。多関節ロボットとして市販の搬送ロボットであるロボットアーム3を用いることにより、汎用設備を活用することが可能になる。
【0087】
(9)
本実施形態の搬送装置1では、回転駆動部8は、回転軸Rが配列方向Xと平行に延びるように、枠部材7に連結されている。この構成によれば、回転駆動部8によって、第1~第3把持部4~6が並ぶ配列方向Xと平行な方向に延びる回転軸R回りに複数の中子C1~C3を上下反転させることが可能になる。そのため、複数の中子C1~C3の各形状や重量が異なる場合でも、複数の中子C1~C3をバランスよく反転させることが可能である。
【0088】
(10)
本実施形態の搬送装置1では、回転駆動部8は、回転軸Rが配列方向Xと直交する方向Yにおける枠部材7の中間位置になるように、枠部材7に連結されている。この構成によれば、回転駆動部8によって、第1~第3把持部4~6を保持する枠部材7が当該枠部材7における配列方向Xと直交する方向Yの中間位置で上下反転される。そのため、枠部材7の反転の際における回転駆動部8への負荷を軽減することが可能であり、かつ、複数の中子C1~C3をよりバランスよく反転させることが可能である。とくに上記のように長尺の中子C1~C3の場合には、中子C1~C3の長手方向の中間位置でバランスよく反転させることが可能になる。
【符号の説明】
【0089】
1 中子搬送装置
2 搬送用アタッチメント
3 ロボットアーム(搬送部)
4 第1把持部
5 第2把持部
6 第3把持部
7 枠部材(保持部)
8 回転駆動部(反転部)
11 把持爪
11a 可動爪
11b 固定爪
12 枠体
13 枠体開閉駆動部
14 把持爪開閉駆動部
15 把持爪水平駆動部
18 先端クッション部(弾性体)
19 帯板部(弾性体)
C1、C2、C3 中子
S1、S2、S3 載置台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11