(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156653
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】縫製用治具搬送システム
(51)【国際特許分類】
D05B 33/00 20060101AFI20231018BHJP
D05B 39/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
D05B33/00
D05B39/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066150
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 雄樹
(72)【発明者】
【氏名】花井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】西田 浩一
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150AA19
3B150CE02
3B150CE23
3B150EB02
3B150EB08
3B150EH01
3B150EH02
3B150EH17
(57)【要約】
【課題】作業工数の低減を図ることが可能な縫製用治具搬送システムを提供すること。
【解決手段】縫製用治具搬送システム1は、縫製用治具10を搬送装置9により設置台4から第1縫製台5へと搬送することで、縫製用治具10の押さえ板12に設けたローラ15を搬送路Tに設けたガイドレール20に沿って移動させて押さえ板12を閉じると共に、ベース板11に設けたロック機構14を搬送路Tに設けたトリガ30に当てて閉じロックさせる。また、縫製用治具搬送システム1は、縫製用治具10を搬送装置9により第2縫製台6から設置台4へと戻す方向に搬送することで、縫製用治具10のローラ15を搬送路Tに設けたガイドレール20に沿って移動させて押さえ板12を開くと共に、ロック機構14を搬送路Tに設けたトリガ30に当ててロック解除させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被縫製物を保持する縫製用治具を自動縫製装置の縫製台に搬送する縫製用治具搬送システムであって、
前記縫製台と並んで設けられ、前記縫製用治具を設置可能な設置台と、
該設置台に設置された前記縫製用治具を前記設置台と前記縫製台との間で搬送可能な搬送装置と、
前記設置台と前記縫製台との間の搬送路と前記縫製用治具との間に設けられ、前記縫製用治具の搬送に伴う当接により前記縫製用治具を開閉する開閉機構と、を有し、
前記縫製用治具が、前記被縫製物の載置されるベース板に対して前記被縫製物を上から押さえる押さえ板が開閉可能にヒンジ連結された構成とされ、
前記開閉機構が、前記押さえ板に設けられる係合部と前記搬送路に設けられるガイドレールとの組み合わせから成る開閉ガイド部と、前記ベース板と前記押さえ板との間に設けられるロック機構と前記搬送路に設けられるトリガとの組み合わせから成るロック解除部と、を有し、
前記開閉ガイド部が、前記ガイドレールと前記係合部との係合により、前記縫製用治具を前記設置台において開いた状態に保持し、前記縫製用治具が前記設置台から前記縫製台へと搬送される移動に伴い前記係合部が前記ガイドレールに沿って移動して前記押さえ板を前記ベース板に閉じ、前記縫製用治具が前記縫製台から前記設置台へと搬送される移動に伴い前記係合部が前記ガイドレールに沿って移動して前記押さえ板を前記ベース板から開く構成とされ、
前記ロック解除部が、前記縫製用治具が前記設置台から前記縫製台へと搬送される移動に伴い前記縫製用治具が閉じられてから前記ロック機構が前記トリガに当たって前記縫製用治具を閉じた状態にロックするよう作動し、前記縫製用治具が前記縫製台から前記設置台へと搬送される移動に伴い前記縫製用治具が開かれる前に前記ロック機構が前記トリガに当たって前記縫製用治具のロックを解除するよう作動する縫製用治具搬送システム。
【請求項2】
請求項1に記載の縫製用治具搬送システムであって、
前記搬送路が、前記縫製用治具を前記設置台から前記縫製台へと搬送する往路と前記縫製台から前記設置台へと搬送する復路とを別々に備える循環路とされて、前記縫製用治具を循環搬送可能に複数設置可能とされる縫製用治具搬送システム。
【請求項3】
請求項2に記載の縫製用治具搬送システムであって、
前記往路の搬送方向が、前記縫製用治具を前記自動縫製装置の保持具に押し込んで保持する押し込み方向と同一とされて、前記縫製用治具の搬送により前記縫製用治具が前記保持具に押し込まれて保持される縫製用治具搬送システム。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の縫製用治具搬送システムであって、
前記復路が、前記縫製用治具を前記往路と平行に搬送して前記設置台と横に並ぶ中間設置台へと移動させる縦復路と、前記縫製用治具を前記中間設置台から前記設置台へと横に搬送する横復路と、を有し、
前記往路と前記縦復路とに前記開閉ガイド部を構成する前記ガイドレールと前記トリガとが設けられ、前記ガイドレールが前記中間設置台と前記設置台との間に前記中間設置台において開かれた前記押さえ板を開き方向に凭れさせて開いた状態に凭れさせたまま前記縫製用治具を前記横復路に沿って前記設置台へと移動させられるようにする開き保持レールを更に備える縫製用治具搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫製用治具搬送システムに関する。詳しくは、被縫製物を保持する縫製用治具を自動縫製装置の縫製台に搬送する縫製用治具搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被縫製物を自動縫製装置で縫製する際に2枚の布押さえ板の間に挟み込んだ状態に保持する縫製用治具が開示されている。縫製用治具は、次の手順により2枚の布押さえ板の間に被縫製物がセットされて自動縫製装置へとセットされる。先ず、作業者が、2枚の布押さえ板の間を開いてこれらの間に被縫製物をセットする。次いで、作業者が、2枚の布押さえ板の間を閉じてロックする。
【0003】
次いで、作業者が、縫製用治具を自動縫製装置の縫製台へと移動させて自動縫製装置の保持具に押し込んでセットする。それにより、縫製用治具にセットされた被縫製物が、自動縫製装置により縫製される。また、上記縫製の後、縫製用治具は、次の手順により自動縫製装置の縫製台から他の位置へと移されて、2枚の布押さえ板の間から被縫製物が取り出される。
【0004】
先ず、作業者が、縫製用治具を自動縫製装置の縫製台から別の作業台へと移動させる。次いで、作業者が、2枚の布押さえ板の間のロックを外して2枚の布押さえ板の間を開き、これらの間から被縫製物を取り出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、作業者が上記一連の作業を手作業で行わなければならないため、作業に手間が掛かり多大な工数が掛かるという問題がある。そこで、本発明は、作業工数の低減を図ることが可能な縫製用治具搬送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する手段として、本発明の縫製用治具搬送システムは、次の手段をとる。すなわち、本発明の第1の発明は、被縫製物を保持する縫製用治具を自動縫製装置の縫製台に搬送する縫製用治具搬送システムであって、前記縫製台と並んで設けられ、前記縫製用治具を設置可能な設置台と、該設置台に設置された前記縫製用治具を前記設置台と前記縫製台との間で搬送可能な搬送装置と、前記設置台と前記縫製台との間の搬送路と前記縫製用治具との間に設けられ、前記縫製用治具の搬送に伴う当接により前記縫製用治具を開閉する開閉機構と、を有し、前記縫製用治具が、前記被縫製物の載置されるベース板に対して前記被縫製物を上から押さえる押さえ板が開閉可能にヒンジ連結された構成とされ、前記開閉機構が、前記押さえ板に設けられる係合部と前記搬送路に設けられるガイドレールとの組み合わせから成る開閉ガイド部と、前記ベース板と前記押さえ板との間に設けられるロック機構と前記搬送路に設けられるトリガとの組み合わせから成るロック解除部と、を有し、前記開閉ガイド部が、前記ガイドレールと前記係合部との係合により、前記縫製用治具を前記設置台において開いた状態に保持し、前記縫製用治具が前記設置台から前記縫製台へと搬送される移動に伴い前記係合部が前記ガイドレールに沿って移動して前記押さえ板を前記ベース板に閉じ、前記縫製用治具が前記縫製台から前記設置台へと搬送される移動に伴い前記係合部が前記ガイドレールに沿って移動して前記押さえ板を前記ベース板から開く構成とされ、前記ロック解除部が、前記縫製用治具が前記設置台から前記縫製台へと搬送される移動に伴い前記縫製用治具が閉じられてから前記ロック機構が前記トリガに当たって前記縫製用治具を閉じた状態にロックするよう作動し、前記縫製用治具が前記縫製台から前記設置台へと搬送される移動に伴い前記縫製用治具が開かれる前に前記ロック機構が前記トリガに当たって前記縫製用治具のロックを解除するよう作動する縫製用治具搬送システムである。
【0008】
第1の発明によれば、被縫製物をセットした縫製用治具を開閉したりロック・解除したり設置台と縫製台との間で搬送したりする作業を、搬送装置を用いて簡便に行うことができる。具体的には、搬送装置により縫製用治具を設置台から縫製台へと搬送することにより、縫製用治具と搬送路との間に設けられた開閉機構により、縫製用治具が開いた状態から閉じられると共に閉じられた状態にロックされる。それにより、縫製用治具を自動縫製装置により縫製可能な状態にして縫製台にセットすることができる。また、縫製後、搬送装置により縫製用治具を縫製台から設置台へと搬送することにより、上記開閉機構により、縫製用治具が閉じ状態でのロックが解除されて開かれる。それにより、作業者が、開かれた縫製用治具から被縫製物を取り出して、次の被縫製物を縫製用治具にセットすることができる。
【0009】
本発明の第2の発明は、上記第1の発明において、前記搬送路が、前記縫製用治具を前記設置台から前記縫製台へと搬送する往路と前記縫製台から前記設置台へと搬送する復路とを別々に備える循環路とされて、前記縫製用治具を循環搬送可能に複数設置可能とされる縫製用治具搬送システムである。
【0010】
第2の発明によれば、各縫製用治具を設置台から取り外すことなく、搬送路上で繰り返し順送りさせるように循環させることができる。したがって、より効率良く縫製用治具を用いた一連の縫製作業を行うことができる。
【0011】
本発明の第3の発明は、上記第2の発明において、前記往路の搬送方向が、前記縫製用治具を前記自動縫製装置の保持具に押し込んで保持する押し込み方向と同一とされて、前記縫製用治具の搬送により前記縫製用治具が前記保持具に押し込まれて保持される縫製用治具搬送システムである。
【0012】
第3の発明によれば、縫製用治具を設置台から縫製台へと搬送することで、自動縫製装置の保持具に合理的に押し込んでセットすることができる。
【0013】
本発明の第4の発明は、上記第2又は第3の発明において、前記復路が、前記縫製用治具を前記往路と平行に搬送して前記設置台と横に並ぶ中間設置台へと移動させる縦復路と、前記縫製用治具を前記中間設置台から前記設置台へと横に搬送する横復路と、を有し、前記往路と前記縦復路とに前記開閉ガイド部を構成する前記ガイドレールと前記トリガとが設けられ、前記ガイドレールが前記中間設置台と前記設置台との間に前記中間設置台において開かれた前記押さえ板を開き方向に凭れさせて開いた状態に凭れさせたまま前記縫製用治具を前記横復路に沿って前記設置台へと移動させられるようにする開き保持レールを更に備える縫製用治具搬送システムである。
【0014】
第4の発明によれば、縫製用治具を循環型の搬送路に沿って搬送することで設置台上の初期位置に開いた状態にして戻す構成を、比較的簡素な構成により具現化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態に係る縫製用治具搬送システムの概略構成を表す斜視図である。
【
図2】縫製用治具を設置台から第1縫製台へと搬送する工程を表す斜視図である。
【
図3】縫製用治具の第1縫製後の移動位置を表す斜視図である。
【
図4】縫製用治具を第1縫製台から第2縫製台へと搬送する工程を表す斜視図である。
【
図5】縫製用治具の第2縫製後の移動位置を表す斜視図である。
【
図6】縫製用治具を第2縫製台から中間設置台へと搬送する工程を表す斜視図である。
【
図7】縫製用治具を中間設置台からコンベヤ台へと搬送する工程を表す斜視図である。
【
図8】縫製用治具をコンベヤ台から設置台へと搬送する工程を表す斜視図である。
【
図9】縫製用治具が設置台上に置かれた状態を奥側から表す斜視図である。
【
図10】縫製用治具が搬送に伴って閉じられる状態を表す斜視図である。
【
図11】縫製用治具が更なる搬送に伴って閉じロックされる状態を表す斜視図である。
【
図13】縫製用治具が第2縫製台上に置かれた状態を奥側から表す斜視図である。
【
図14】縫製用治具が搬送に伴ってロック解除される状態を表す斜視図である。
【
図15】縫製用治具が更なる搬送に伴って開かれる状態を表す斜視図である。
【
図16】縫製用治具が更なる搬送に伴ってターンオーバする状態を表す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
《第1の実施形態》
<縫製用治具搬送システム1の構成>
始めに、本発明の第1の実施形態に係る縫製用治具搬送システム1の構成について、
図1~
図16を用いて説明する。なお、以下の説明において、前後上下左右等の各方向を示す場合には、各図中に示されたそれぞれの方向を指すものとする。また、以下の説明において、具体的な参照図を示さない場合、或いは参照図に該当する符号がない場合には、
図1~
図16のいずれかの図を適宜参照するものとする。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る縫製用治具搬送システム1は、縫製用治具10を自動搬送するためのシステムとされる。縫製用治具10は、自動車のトリムカバー等の面状の被縫製物Wを縫製する際に用いられる押さえ用の治具として構成される。具体的には、縫製用治具10は、被縫製物Wをベース板11と押さえ板12との間に挟み込んで保持することが可能な開閉式の保持構造を備える。
【0019】
図1~
図2に示すように、縫製用治具10は、始めに、図示左手前側の設置台4上にセットされる。その際、縫製用治具10は、押さえ板12がベース板11から図示奥側に開かれた状態としてセットされる。そして、この位置で、作業者により被縫製物Wが縫製用治具10のベース板11上にセットされる。
【0020】
上記被縫製物Wのセットの後、縫製用治具搬送システム1は、作業者が設置台4の図示手前側部に設けられた不図示のボタンを押すことにより、作動が開始される。具体的には、縫製用治具搬送システム1は、上記ボタンが押されることにより、設置台4上に置かれた縫製用治具10を、後述する搬送装置9の第1搬送体9Aにより図示左奥側にある第1自動縫製装置2の第1縫製台5上へと水平搬送する。
【0021】
そして、この搬送に伴い、縫製用治具搬送システム1は、その往路T1(搬送路T)上に設置された開閉機構Mにより、縫製用治具10の押さえ板12を開いた状態から閉じると共に、閉じた状態にロック(閉じロック)する。この搬送により、縫製用治具10は、第1縫製台5の図示左側の受取エリア5Aへと運ばれて、第1自動縫製装置2の保持具2Cに押し込まれて自動把持される。
【0022】
ここで、第1自動縫製装置2が、本発明の「自動縫製装置」に相当する。また、第1縫製台5が、本発明の「縫製台」に相当する。
【0023】
その後、縫製用治具10は、第1自動縫製装置2の作動開始に伴い、可動部2Bにより第1縫製台5上を前後左右に動かされながら、ミシンヘッド2Aにより被縫製物Wに対する第1縫製が行われる。上記第1縫製の後、
図1及び
図3に示すように、縫製用治具10は、可動部2Bの動作により第1縫製台5上の図示右側の受渡エリア5Bへと移される。
【0024】
次に、縫製用治具搬送システム1は、
図1及び
図4に示すように、上記縫製用治具10を、後述する搬送装置9の第2搬送体9Bにより、第1縫製台5の図示右側の受渡エリア5Bから、その図示右側にある第2自動縫製装置3の第2縫製台6上へと水平搬送する。この搬送により、縫製用治具10は、第2縫製台6の図示左側の受取エリア6Aへと運ばれて、第2自動縫製装置3の保持具3Cにより自動把持される。
【0025】
ここで、第2自動縫製装置3が、本発明の「自動縫製装置」に相当する。また、第2縫製台6が、本発明の「縫製台」に相当する。
【0026】
その後、縫製用治具10は、第2自動縫製装置3の作動開始に伴い、可動部3Bにより第2縫製台6上を前後左右に動かされながら、ミシンヘッド3Aにより被縫製物Wに対する第2縫製が行われる。上記第2縫製の後、
図1及び
図5に示すように、縫製用治具10は、可動部3Bの動作により第2縫製台6の図示右側の受渡エリア6Bへと移される。
【0027】
次に、縫製用治具搬送システム1は、
図1及び
図6に示すように、上記縫製用治具10を、後述する搬送装置9の第3搬送体9Cにより、第2縫製台6の図示右側の受渡エリア6Bから、図示右手前側にある中間設置台7上へと水平搬送する。そして、この搬送に伴い、縫製用治具搬送システム1は、その搬送路Tの縦復路T2a(復路T2)上に設置された開閉機構Mにより、縫製用治具10の閉じロックされた状態を解除すると共に、押さえ板12を開いた状態に切り替える。
【0028】
具体的には、縫製用治具搬送システム1は、上記搬送に伴い開かれた縫製用治具10の押さえ板12を、鉛直上向きを奥側に越える角度まで開く。それにより、押さえ板12が、その重力作用により、中間設置台7上に立設された逆U字状の開き保持レール23に凭れ掛かって、図示奥側に開かれた状態に保持される。
【0029】
開き保持レール23は、中間設置台7と設置台4との間の横復路T2b(復路T2)の図示奥側サイドに沿って、中間設置台7と設置台4との間に左右方向に長く延びるように架け渡されている。次に、縫製用治具搬送システム1は、
図1及び
図7に示すように、上記開いた縫製用治具10を、後述する搬送装置9の第4搬送体9Dにより、中間設置台7上から図示左側の設置台4との間を繋ぐコンベヤ台8上へと図示左側へ水平搬送する。
【0030】
更にそこから、縫製用治具搬送システム1は、
図1及び
図8に示すように、縫製用治具10をコンベヤ台8上から図示左側の設置台4上へと水平搬送する。その際、縫製用治具搬送システム1は、縫製用治具10を中間設置台7から設置台4へと搬送する間、縫製用治具10の押さえ板12を開き保持レール23に凭れ掛けさせたまま、すなわち開いた状態のまま、図示左側へと水平移動させる。それにより、縫製用治具10は、設置台4上に初期の開かれた状態となって戻される。
【0031】
このように、縫製用治具搬送システム1は、
図1~
図2に示すように、設置台4上に開かれた状態でセットされる縫製用治具10を、図示奥側へと搬送する移動に伴って、自動で閉じると共に閉じロックすることができる構成とされる。また、縫製用治具搬送システム1は、
図1及び
図6に示すように、第1自動縫製装置2による第1縫製と第2自動縫製装置3による第2縫製の後、閉じロックされた状態の縫製用治具10を、図示手前側の中間設置台7へと戻す移動に伴って、自動で閉じロックを解除すると共に開いた状態に戻すことができる構成とされる。
【0032】
更に、縫製用治具搬送システム1は、
図1及び
図7~
図8に示すように、上記開いた縫製用治具10を、開いた状態のまま、中間設置台7から設置台4へと戻すことができる構成とされる。縫製用治具搬送システム1は、このような循環搬送を行う構成とされることで、作業者が縫製用治具10を設置台4から降ろしたり積み直したりすることなく、そのまま搬送路T上で繰り返して使用することができるようになっている。
【0033】
すなわち、
図1等で示したように、作業者が、設置台4上に開かれた状態でセットされる縫製用治具10に被縫製物Wをセットして不図示のボタンの操作を行うのみで、縫製用治具10を自動的に閉じた状態にロックして第1縫製と第2縫製とに掛けることができる。更に、上記縫製の後、縫製用治具10を自動的に閉じロックを解除して設置台4上に開いた状態にして戻すことができる。
【0034】
したがって、作業者が不図示のボタンの操作後に特に何らの操作を行わなくても、縫製処理後の縫製用治具10を設置台4上に開いた状態にして戻すことができる。したがって、作業者が、循環後に設置台4上に戻された縫製用治具10から縫製処理後の被縫製物Wを簡便に取り出すことができる。また、取り出し後にも、作業者が再度、縫製処理前の被縫製物Wを縫製用治具10のベース板11上に簡便にセットすることができる。
【0035】
よって、作業者が縫製用治具10を設置台4から降ろしたり積み直したりすることなく、このような作業を繰り返し簡便に行うことができる。上述した開閉機構Mは、押さえ板12に設けられる左右一対の各ローラ15と搬送路T(往路T1及び縦復路T2a)に設けられるガイドレール20(第1ガイドレール21及び第2ガイドレール22)との組み合わせから成る開閉ガイド部M1と、ベース板11と押さえ板12との間に設けられるロック機構14と搬送路T(往路T1及び縦復路T2a)に設けられるトリガ30(第1トリガ31及び第2トリガ32)との組み合わせから成るロック解除部M2と、で構成される。詳細は後述する。ここで、各ローラ15が、本発明の「係合部」に相当する。
【0036】
<各部の構成>
以下、縫製用治具搬送システム1の各部の具体的な構成について詳しく説明する。
図2に示すように、縫製用治具10は、被縫製物Wの載置されるベース板11と、被縫製物Wを上から押さえる押さえ板12と、これらを図示奥側の縁部で互いに開閉可能なように連結するヒンジ13と、を有する。ベース板11と押さえ板12には、それぞれ、これらの間に被縫製物Wを挟み込んだ際、被縫製物Wの縫製する部位を外部に露出させる不図示の開口が形成されている。
【0037】
縫製用治具10は、更に、ベース板11の図示手前側の左右両サイドの天板上に、押さえ板12をベース板11に閉じロックするためのトグル式のロック機構14を備える。各ロック機構14は、それぞれ、ベース板11上に図示高さ方向に延びる軸線まわりに回転可能なように連結されるロック爪14Aを備える構成とされる。
【0038】
各ロック爪14Aは、それぞれ、ベース板11上に設けられた不図示のマグネットとの貼着により、自由状態ではアンロックされた回転位置に保持されている。各ロック爪14Aは、
図9~
図10に示すように、縫製用治具10が設置台4上から搬送路Tの往路T1上を図示奥側(紙面手前側)へと搬送されるのに伴い、それらのベース板11から左右に張り出す部位が、往路T1上の左右両サイドの位置に設置された対応する第1トリガ31(トリガ30)にそれぞれ押し当てられる。
【0039】
それにより、
図11~
図12に示すように、各ロック爪14Aは、各第1トリガ31との当たりによりそれぞれ押し回されて、先に閉じられた押さえ板12の上面にそれらの爪部位を掛ける状態にそれぞれ切り替えられる。そして、各ロック爪14Aは、上記回転に伴い、押さえ板12の上面に摺動摩擦抵抗力を徐々に強く作用させる状態に押し込まれて、押さえ板12をベース板11に対してガタ押さえした状態に閉じロックする。
【0040】
上記押さえ板12を閉じロックした各ロック爪14Aは、
図13~
図14に示すように、縫製用治具10が第2縫製台6の図示右側(紙面左側)の受渡エリア6Bから搬送路Tの縦復路T2a(復路T2)上を図示手前側(紙面奥側)へと搬送されるのに伴い、次のように解除操作される。すなわち、各ロック爪14Aは、縫製用治具10が上記縦復路T2a上を搬送されるのに伴い、それらのベース板11から左右に張り出す部位が、縦復路T2a上の左右両サイドの位置に設置された対応する第2トリガ32(トリガ30)にそれぞれ押し当てられる。
【0041】
それにより、各ロック爪14Aは、各第2トリガ32との当たりによりそれぞれ押し回されて、それらの爪部位が押さえ板12の上面に掛けられていた状態から外される。そして、各ロック爪14Aは、上記解除の回転に伴い、上述した不図示のマグネットと貼着して、初期のアンロックされた位置に戻されて保持される。ロック機構14は、このような構成とされている。
【0042】
図9に示すように、縫製用治具10は、更に、押さえ板12の外面(開いた時に図示奥側を向き、閉じた時に図示上側を向く面)上の左右両サイドの位置に、押さえ板12から左右に張り出すローラ15を備える。各ローラ15は、それぞれ、押さえ板12に対して、図示左右方向に延びる同一の軸線まわりに回転可能なように連結されている。
【0043】
各ローラ15は、
図10に示すように、縫製用治具10が設置台4上から搬送路Tの往路T1上を図示奥側(紙面手前側)へと搬送されるのに伴い、押さえ板12が開き保持レール23との当接点を支点に閉じられる方向に倒されることで、往路T1上の左右両サイドの位置に設置された対応する各第1ガイドレール21(ガイドレール20)上にそれぞれ接地される。それにより、各ローラ15は、縫製用治具10の搬送移動に伴い、各第1ガイドレール21上を転動しながら、各第1ガイドレール21の傾斜面に沿って往路T1上へと斜めに落ちていく。
【0044】
それに伴い、押さえ板12が、縫製用治具10の搬送移動と共にベース板11上に徐々に閉じられていくように案内される。各第1ガイドレール21は、これらの設置された往路T1上の左右両サイドの位置から図示手前側(紙面奥側)に向かって斜め上がりとなるように延び出す形状とされる。
【0045】
図9に示すように、各第1ガイドレール21は、互いに左右対称状に斜め上がりに延びる形状とされる。各第1ガイドレール21のうち、図示左側(紙面右側)の第1ガイドレール21は、図示右側(紙面左側)の第1ガイドレール21よりも図示手前側に向かって長く延びる形状とされる。
【0046】
そして、図示左側(紙面右側)の第1ガイドレール21は、その延びた先に、図示奥側(紙面手前側)へ「く」字状に折り返される返し21Aを備えた形状とされる。上記返し21Aは、縫製用治具10の押さえ板12が設置台4上で誤って閉じられる方向に倒されることがあった場合に、ローラ15との当たりにより押さえ板12の倒れ込みを防止するストッパとして機能する。
【0047】
また、
図15に示すように、各ローラ15は、第2縫製台6の図示右側(紙面左側)の受渡エリア6Bから搬送路Tの縦復路T2a(復路T2)上を図示手前側(紙面奥側)へと搬送されるのに伴い、縦復路T2a上の左右両サイドの位置に設置された対応する各第2ガイドレール22(ガイドレール20)上にそれぞれ乗り上がる。それにより、各ローラ15は、縫製用治具10の搬送移動に伴い、各第2ガイドレール22上を転動しながら、各第2ガイドレール22の傾斜面に沿って各第2ガイドレール22上を登っていく。
【0048】
それに伴い、押さえ板12が、縫製用治具10の搬送移動と共にベース板11上から徐々に開かれていくように案内される。各第2ガイドレール22は、これらの設置された縦復路T2a上の左右両サイドの位置から図示手前側(紙面奥側)に向かって斜め上がりとなるように延びる形状とされる。
【0049】
各第2ガイドレール22は、互いに左右対称状に斜め上がりに延びる形状とされる。各第2ガイドレール22のうち、図示右側(紙面左側)の第2ガイドレール22は、図示左側(紙面右側)の第2ガイドレール22よりも図示手前側に向かって長く延びる形状とされる。
【0050】
そして、図示右側(紙面左側)の第2ガイドレール22は、その延びた先に、図示奥側(紙面手前側)へ「く」字状に折り返される返し22Aを備えた形状とされる。上記返し22Aは、
図16に示すように、図示右側(紙面左側)の第2ガイドレール22に沿って登っていく縫製用治具10のローラ15を図示奥側へと返すように移動案内して、押さえ板12を図示奥側(紙面手前側)へと鉛直上向きを越えて開くようにターンオーバさせる切り返し部として機能する。
【0051】
上記返し22Aにより図示奥側へと開かれた押さえ板12は、中間設置台7上に設置された逆U字形状の開き保持レール23に凭れ掛かる。それにより、押さえ板12は、ベース板11に対して鈍角に開かれた状態に保持される。
【0052】
図1に示すように、縫製用治具10を搬送する搬送装置9は、縫製用治具10を設置台4上から第1縫製台5の図示左側の受取エリア5Aへと往路T1上を縦搬送する第1搬送体9Aを有する。また、搬送装置9は、縫製用治具10を第1縫製台5の図示右側の受渡エリア5Bから第2縫製台6の図示左側の受取エリア6Aへと横搬送する第2搬送体9Bを有する。
【0053】
また、搬送装置9は、縫製用治具10を第2縫製台6の図示右側の受渡エリア6B上から中間設置台7へと縦復路T2a上を縦搬送する第3搬送体9Cを有する。また、搬送装置9は、縫製用治具10を中間設置台7上から設置台4へと横復路T2b上を横搬送する第4搬送体9Dを有する。
【0054】
図1~
図2に示すように、第1搬送体9Aは、モータ駆動により上記往路T1の下部領域を往路T1に沿って往復移動することができる構成とされる。第1搬送体9Aは、上記往路T1に対して図示下方から出没動することが可能な左右一対のピンA1を備える。
【0055】
各ピンA1は、モータ駆動により、往路T1上の左右2箇所の位置に形成された、往路T1に沿って筋状に延びる形に開口する各開口から往路T1上に突出したり往路T1の下方に没入したりする構成とされる。第1搬送体9Aは、次の手順により、縫製用治具10を設置台4上から第1縫製台5の図示左側の受取エリア5Aへと搬送する。
【0056】
先ず、第1搬送体9Aの各ピンA1を、設置台4上に置かれた縫製用治具10のベース板11の図示手前側部の左右2箇所の位置に形成された各係合孔11Aに図示下方から突出させて係合させる。次に、第1搬送体9Aを往路T1に沿って図示奥側へと移動させる。それにより、各ピンA1に係合された縫製用治具10が、第1縫製台5の図示左側の受取エリア5Aへと搬送される。上記搬送後、第1搬送体9Aは、各ピンA1を図示下方に没入させて、設置台4の下側の初期位置へと戻される。
【0057】
図1及び
図4に示すように、第2搬送体9Bは、モータ駆動により第1縫製台5の図示右側の受渡エリア5Bと第2縫製台6の図示左側の受取エリア6Aとの間をこれらの図示手前サイドに沿って往復移動することができる構成とされる。第2搬送体9Bも、モータ駆動により図示上下方向に出没動可能とされた左右一対のピンB1を備える。
【0058】
第2搬送体9Bは、次の手順により、縫製用治具10を第1縫製台5の図示右側の受渡エリア5Bから第2縫製台6の図示左側の受取エリア6Aへと搬送する。先ず、第2搬送体9Bの各ピンB1を、第1縫製台5の図示右側の受渡エリア5B上に置かれた縫製用治具10の各係合孔11Aに図示下方から突出させて係合させる。
【0059】
次に、第2搬送体9Bを図示右方へと移動させる。それにより、各ピンB1に係合された縫製用治具10が、第1縫製台5の図示右側の受渡エリア5Bから第2縫製台6の図示左側の受取エリア6Aへと搬送される。上記搬送後、第2搬送体9Bは、各ピンB1を図示下方に没入させて、第1縫製台5の図示右側の受渡エリア5Bの手前サイドの初期位置へと戻される。
【0060】
図1及び
図6に示すように、第3搬送体9Cは、モータ駆動により第2縫製台6の図示右側の受渡エリア6Bと中間設置台7との間を縦復路T2aに沿って往復移動することができる構成とされる。第3搬送体9Cも、モータ駆動により図示上下方向に出没動可能とされた左右一対のピンC1を備える。
【0061】
第3搬送体9Cは、次の手順により、縫製用治具10を第2縫製台6の図示右側の受渡エリア6Bから中間設置台7へと搬送する。先ず、第3搬送体9Cの各ピンC1を、第2縫製台6の図示右側の受渡エリア6B上に置かれた縫製用治具10の各係合孔11Aに図示下方から突出させて係合させる。
【0062】
次に、第3搬送体9Cを図示手前側へと移動させる。それにより、各ピンC1に係合された縫製用治具10が、第2縫製台6の図示右側の受渡エリア6Bから中間設置台7へと搬送される。上記搬送後、第3搬送体9Cは、各ピンC1を図示下方に没入させて、第2縫製台6の図示右側の受渡エリア6Bの手前サイドの初期位置へと戻される。
【0063】
図1及び
図7~
図8に示すように、第4搬送体9Dは、モータ駆動により中間設置台7上の縫製用治具10をコンベヤ台8上へと引き出す牽引機D1と、牽引機D1により引き出された縫製用治具10をモータ駆動により設置台4上へと押し出す押出機D2と、を備える。
図7に示すように、牽引機D1は、モータ駆動により図示上下方向に出没動可能とされた引掛爪Daを備える。また、
図8に示すように、押出機D2は、モータ駆動により図示上下方向に出没動可能とされた押出爪Dbを備える。
【0064】
第4搬送体9Dは、次の手順により、縫製用治具10を中間設置台7上から設置台4へと搬送する。
図7に示すように、先ず、牽引機D1の引掛爪Daを、中間設置台7上に置かれた縫製用治具10のベース板11の図示左部に形成された引掛孔11Bに図示下方から突出させて係合させる。
【0065】
次に、牽引機D1を図示左方へと移動させる。それにより、引掛爪Daに係合された縫製用治具10が、中間設置台7からコンベヤ台8上へと引き出されるように搬送される。上記搬送後、牽引機D1は、引掛爪Daを図示下方に没入させて、中間設置台7の図示左サイドの初期位置へと戻される。
【0066】
次に、
図8に示すように、押出機D2の押出爪Dbを、コンベヤ台8上に引き出された縫製用治具10のベース板11の図示右側縁部に当てるように図示下方から突出させて係合させる。次に、押出機D2を図示左方へと移動させる。それにより、押出爪Dbに係合された縫製用治具10が、コンベヤ台8から設置台4上へと押し出されるように搬送される。上記搬送後、押出機D2は、押出爪Dbを図示下方に没入させて、コンベヤ台8上の初期位置へと戻される。
【0067】
以上の構成により、縫製用治具搬送システム1は、
図1で前述したように、縫製用治具10を搬送路T上で繰り返し循環搬送することができる。詳しくは、縫製用治具搬送システム1は、搬送路T上に縫製用治具10を1つだけでなく、設置台4、第1縫製台5、第2縫製台6、中間設置台7、コンベヤ台8、及びこれらの間などの搬送路T上の所定箇所に複数同時に配置して、これらをまとめて順送りするように合理的に搬送することができる構成とされる。
【0068】
以上をまとめると、本実施形態に係る縫製用治具搬送システム1は、次のような構成となっている。なお、以下において括弧書きで付す符号は、上記実施形態で示した各構成に対応する符号である。
【0069】
すなわち、縫製用治具搬送システム(1)は、被縫製物(W)を保持する縫製用治具(10)を自動縫製装置(2,3)の縫製台(5,6)に搬送するシステムとされる。縫製用治具搬送システム(1)は、縫製台(5,6)と並んで設けられ、縫製用治具(10)を設置可能な設置台(4)と、設置台(4)に設置された縫製用治具(10)を設置台(4)と縫製台(5,6)との間で搬送可能な搬送装置(9)と、を有する。また、縫製用治具搬送システム(1)は、設置台(4)と縫製台(5,6)との間の搬送路(T)と縫製用治具(10)との間に設けられ、縫製用治具(10)の搬送に伴う当接により縫製用治具(10)を開閉する開閉機構(M)を有する。
【0070】
縫製用治具(10)が、被縫製物(W)の載置されるベース板(11)に対して被縫製物(W)を上から押さえる押さえ板(12)が開閉可能にヒンジ連結された構成とされる。開閉機構(M)が、押さえ板(12)に設けられる係合部(15)と搬送路(T)に設けられるガイドレール(20)との組み合わせから成る開閉ガイド部(M1)と、ベース板(11)と押さえ板(12)との間に設けられるロック機構(14)と搬送路(T)に設けられるトリガ(30)との組み合わせから成るロック解除部(M2)と、を有する。
【0071】
開閉ガイド部(M1)が、ガイドレール(20)と係合部(15)との係合により、縫製用治具(10)を設置台(4)において開いた状態に保持し、縫製用治具(10)が設置台(4)から縫製台(5)へと搬送される移動に伴い係合部(15)がガイドレール(20)に沿って移動して押さえ板(12)をベース板(11)に閉じ、縫製用治具(10)が縫製台(6)から設置台(4)へと搬送される移動に伴い係合部(15)がガイドレール(20)に沿って移動して押さえ板(12)をベース板(11)から開く構成とされる。
【0072】
ロック解除部(M2)が、縫製用治具(10)が設置台(4)から縫製台(5)へと搬送される移動に伴い縫製用治具(10)が閉じられてからロック機構(14)がトリガ(30)に当たって縫製用治具(10)を閉じた状態にロックするよう作動し、縫製用治具(10)が縫製台(6)から設置台(4)へと搬送される移動に伴い縫製用治具(10)が開かれる前にロック機構(14)がトリガ(30)に当たって縫製用治具(10)のロックを解除するよう作動する。
【0073】
上記構成によれば、被縫製物(W)をセットした縫製用治具(10)を開閉したりロック・解除したり設置台(4)と縫製台(5,6)との間で搬送したりする作業を、搬送装置(9)を用いて簡便に行うことができる。具体的には、搬送装置(9)により縫製用治具(10)を設置台(4)から縫製台(5)へと搬送することにより、縫製用治具(10)と搬送路(T)との間に設けられた開閉機構(M)により、縫製用治具(10)が開いた状態から閉じられると共に閉じられた状態にロックされる。
【0074】
それにより、縫製用治具(10)を自動縫製装置(2)により縫製可能な状態にして縫製台(5)にセットすることができる。また、縫製後、搬送装置(9)により縫製用治具(10)を縫製台(6)から設置台(4)へと搬送することにより、上記開閉機構(M)により、縫製用治具(10)が閉じ状態でのロックが解除されて開かれる。それにより、作業者が、開かれた縫製用治具(10)から被縫製物(W)を取り出して、次の被縫製物(W)を縫製用治具(10)にセットすることができる。
【0075】
また、搬送路(T)が、縫製用治具(10)を設置台(4)から縫製台(5)へと搬送する往路(T1)と縫製台(6)から設置台(4)へと搬送する復路(T2)とを別々に備える循環路とされて、縫製用治具(10)を循環搬送可能に複数設置可能とされる。上記構成によれば、各縫製用治具(10)を設置台(4)から取り外すことなく、搬送路(T)上で繰り返し順送りさせるように循環させることができる。したがって、より効率良く縫製用治具(10)を用いた一連の縫製作業を行うことができる。
【0076】
また、往路(T1)の搬送方向が、縫製用治具(10)を自動縫製装置(2)の保持具(2C)に押し込んで保持する押し込み方向と同一とされて、縫製用治具(10)の搬送により縫製用治具(10)が保持具(2C)に押し込まれて保持される。上記構成によれば、縫製用治具(10)を設置台(4)から縫製台(5)へと搬送することで、自動縫製装置(2)の保持具(2C)に合理的に押し込んでセットすることができる。
【0077】
また、復路(T2)が、縫製用治具(10)を往路(T1)と平行に搬送して設置台(4)と横に並ぶ中間設置台(7)へと移動させる縦復路(T2a)と、縫製用治具(10)を中間設置台(7)から設置台(4)へと横に搬送する横復路(T2b)と、を有する。往路(T1)と縦復路(T2a)とに開閉ガイド部(M1)を構成するガイドレール(20)とトリガ(30)とが設けられる。
【0078】
ガイドレール(20)が、中間設置台(7)と設置台(4)との間に中間設置台(7)において開かれた押さえ板(12)を開き方向に凭れさせて開いた状態に凭れさせたまま縫製用治具(10)を横復路(T2b)に沿って設置台(4)へと移動させられるようにする開き保持レール(23)を更に備える。上記構成によれば、縫製用治具(10)を循環型の搬送路(T)に沿って搬送することで設置台(4)上の初期位置に開いた状態にして戻す構成を、比較的簡素な構成により具現化することができる。
【0079】
《その他の実施形態について》
以上、本発明の実施形態を1つの実施形態を用いて説明したが、本発明は上記実施形態のほか、以下に示す様々な形態で実施することができるものである。
【0080】
1.本発明の縫製用治具搬送システムは、縫製用治具を設置台から縫製台へと搬送する往路と縫製台から設置台へと搬送する復路とが重複する直線の往復路とされる構成とされても良い。すなわち、自動縫製装置が1台のみである場合など、縫製用治具を複数の縫製台に亘って横搬送するような構成が不要となるものでは、縫製用治具を設置台と縫製台との間で単に往復直線運動させるように構成することも可能である。
【0081】
その場合には、重複する往復路上に設置されるガイドレールを、縫製用治具の縫製台への搬送に伴って閉じるガイドと開くガイドとを兼用する構成とすることで、構成の合理化を図ることができる。同様に、重複する往復路上に設置されるトリガを、縫製用治具の縫製台への搬送に伴って閉じロックさせたりロック解除させたりするよう兼用する構成とすることで、構成の合理化を図ることができる。
【0082】
2.縫製用治具の押さえ板に設けられる係合部及び/又はベース板と押さえ板との間に設けられるロック機構は、必ずしも左右一対で設けられる必要はなく、片側にのみ設けられる構成であっても良い。また、係合部は、ローラの他、ガイドレールに沿って摺動可能なスライダとして構成されるものであっても良い。
【符号の説明】
【0083】
1 縫製用治具搬送システム
2 第1自動縫製装置(自動縫製装置)
2A ミシンヘッド
2B 可動部
2C 保持具
3 第2自動縫製装置(自動縫製装置)
3A ミシンヘッド
3B 可動部
3C 保持具
4 設置台
5 第1縫製台(縫製台)
5A 受取エリア
5B 受渡エリア
6 第2縫製台(縫製台)
6A 受取エリア
6B 受渡エリア
7 中間設置台
8 コンベヤ台
9 搬送装置
9A 第1搬送体
9B 第2搬送体
9C 第3搬送体
9D 第4搬送体
A1 ピン
B1 ピン
C1 ピン
D1 牽引機
Da 引掛爪
D2 押出機
Db 押出爪
10 縫製用治具
11 ベース板
11A 係合孔
11B 引掛孔
12 押さえ板
13 ヒンジ
14 ロック機構
14A ロック爪
15 ローラ(係合部)
20 ガイドレール
21 第1ガイドレール
21A 返し
22 第2ガイドレール
22A 返し
23 開き保持レール
30 トリガ
31 第1トリガ
32 第2トリガ
M 開閉機構
M1 開閉ガイド部
M2 ロック解除部
T 搬送路
T1 往路
T2 復路
T2a 縦復路
T2b 横復路
W 被縫製物