(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156701
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ゲル化剤とゲル化剤の製造方法及び化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/898 20060101AFI20231018BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20231018BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20231018BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20231018BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20231018BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20231018BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
A61K8/898
A61K8/25
A61K8/37
A61K8/31
A61K8/891
A61K8/894
A61Q1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066212
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000002060
【氏名又は名称】信越化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】今井 太郎
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB242
4C083AB431
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC442
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD172
4C083AD572
4C083BB13
4C083CC05
4C083CC12
4C083DD32
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】特にシリコーン油を増粘し、経時的に安定なゲル化物を提供する。
【解決手段】下記平均組成式(1)のアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンが層間に取り込まれた水膨潤性粘土鉱物からなるゲル化剤。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化剤であって、前記ゲル化剤は、下記平均組成式(1)で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンが層間に取り込まれた水膨潤性粘土鉱物からなるものであることを特徴とするゲル化剤。
【化1】
(式(1)中、R
1は独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
R
2は下記式(2)で示されるアンモニウム基であり、
a1は0<a1≦20であり、a2は0<a2≦12であり、bは0≦b≦150であり、cは0≦c≦10であり、dは0≦d≦5である。ただし、a1+a2+b+c+dは2~170である。nは1~3の整数である。)
【化2】
(式(2)中、R
3は独立して、水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
Yは下記式(3)で示される基のいずれかであり、
A
-はアンモニウムイオンの対イオンとなる陰イオンである。)
【化3】
(pは1≦p≦10の整数であり、p1は1≦p1≦10であり、p2は1≦p2≦10の整数であって、ただし、1≦p1+p2≦15である。p3は1≦p3≦10の整数である。p4は1≦p4≦12の整数である。p5は1≦p5≦10の整数である。
R
4は水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基である。)
【請求項2】
前記式(2)中のA-で示される陰イオンが、水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオンから選ばれる陰イオンであることを特徴とする請求項1に記載のゲル化剤。
【請求項3】
前記アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンは、下記式(4)で示されることを特徴とする請求項1に記載のゲル化剤。
【化4】
(式(4)中、R
1、R
2、及びnは前記と同じであり、xは0≦x≦100である。)
【請求項4】
前記水膨潤性粘土鉱物は、モンモリロナイト、サポナイト、スメクタイト、ヘクトライト、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウムテニオライトまたはリチウムテニオライトから選ばれる1種以上の水膨潤性粘土鉱物であることを特徴とする請求項1に記載のゲル化剤。
【請求項5】
化粧料であって、前記化粧料は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のゲル化剤を含むものであることを特徴とする化粧料。
【請求項6】
前記化粧料は、さらに25℃で液状の油剤を含むものであることを特徴とする請求項5に記載の化粧料。
【請求項7】
前記油剤は、シリコーン油を含むことを特徴とする請求項6に記載の化粧料。
【請求項8】
ゲル化剤の製造方法であって、
水膨潤性粘土鉱物を、下記平均組成式(1)で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンで処理する工程を含むことを特徴とするゲル化剤の製造方法。
【化5】
(式(1)中、R
1は独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
R
2は下記式(2)で示されるアンモニウム基であり、
a1は0<a1≦20であり、a2は0<a2≦12であり、bは0≦b≦150であり、cは0≦c≦10であり、dは0≦d≦5である。ただし、a1+a2+b+c+dは2~170である。nは1~3の整数である。)
【化6】
(式(2)中、R
3は独立して、水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
Yは下記式(3)で示される基のいずれかであり、
A
-はアンモニウムイオンの対イオンとなる陰イオンである。)
【化7】
(pは1≦p≦10の整数であり、p1は1≦p1≦10であり、p2は1≦p2≦10の整数であって、ただし、1≦p1+p2≦15である。p3は1≦p3≦10の整数である。p4は1≦p4≦12の整数である。p5は1≦p5≦10の整数である。
R
4は水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基である。)
【請求項9】
前記式(2)中のA-で示される陰イオンを、水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオンから選ばれる陰イオンとすることを特徴とする請求項8に記載のゲル化剤の製造方法。
【請求項10】
前記アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンとして、下記式(4)で示されるものを用いることを特徴とする請求項8に記載のゲル化剤の製造方法。
【化8】
(式(4)中、R
1、R
2、及びnは前記と同じであり、xは0≦x≦100である。)
【請求項11】
前記水膨潤性粘土鉱物として、モンモリロナイト、サポナイト、スメクタイト、ヘクトライト、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウムテニオライトまたはリチウムテニオライトから選ばれる1種以上の水膨潤性粘土鉱物を用いることを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか一項に記載のゲル化剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル化剤とゲル化剤の製造方法及び化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコーン油は軽い伸びと優れた平滑性、撥水性を有し、シリコーン油を配合した化粧料は軽い感触を与えることができる。しかし、シリコーン油以外の油剤との相溶性に限界があり、それらを配合した化粧料を安定化するには、シリコーン油を固化あるいは増粘させる必要がある。
【0003】
シリコーン油を増粘させる方法としては、架橋型オルガノポリシロキサンを用いたり(特許文献1)、芳香族基とシロキサン鎖がアミド結合で結合したゲル化剤を用いたりする方法(特許文献2)などが報告されている。しかし、これらのゲル化剤は、配合量が多くなるとべたつきが感じられるようになったり、感触が重くなってしまったりすることがある。
【0004】
シリコーン油を増粘させる他の方法として、シリコーン化合物を層間に取り込んだ粘土鉱物を配合する方法が報告されている。しかし、使用されているアンモニウム塩オルガノポリシロキサンは、両末端変性型あるいは側鎖変性型に限られる上、その増粘効果や経時安定性は十分ではない(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-169324号公報
【特許文献2】国際公開第2018/163989号
【特許文献3】特開昭63-72779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、特にシリコーン油を増粘し、経時的に安定なゲル化物を与えることに優れたゲル化剤とその製造方法及びそのゲル化剤を配合した化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、片末端アンモニウム塩変性型のオルガノポリシロキサンを層間に取り込んだ水膨潤性粘土鉱物が、シリコーン油のゲル化剤として優れた増粘性を示すことを見出した。また、前記ゲル化剤を配合した化粧料は、使用感や使用性に優れるとともに経時安定性にも優れることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明では、
ゲル化剤であって、前記ゲル化剤は、下記平均組成式(1)で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンが層間に取り込まれた水膨潤性粘土鉱物からなるものであるゲル化剤を提供する。
【化1】
(式(1)中、R
1は独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
R
2は下記式(2)で示されるアンモニウム基であり、
a1は0<a1≦20であり、a2は0<a2≦12であり、bは0≦b≦150であり、cは0≦c≦10であり、dは0≦d≦5である。ただし、a1+a2+b+c+dは2~170である。nは1~3の整数である。)
【化2】
(式(2)中、R
3は独立して、水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
Yは下記式(3)で示される基のいずれかであり、
A
-はアンモニウムイオンの対イオンとなる陰イオンである。)
【化3】
(pは1≦p≦10の整数であり、p1は1≦p1≦10であり、p2は1≦p2≦10の整数であって、ただし、1≦p1+p2≦15である。p3は1≦p3≦10の整数である。p4は1≦p4≦12の整数である。p5は1≦p5≦10の整数である。
R
4は水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基である。)
【0009】
このようなゲル化剤であれば、特にシリコーン油を増粘し、経時的に安定なゲル化物を与えることに優れたゲル化剤を提供することができる。
【0010】
また、前記式(2)中のA-で示される陰イオンが、水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオンから選ばれる陰イオンであることが好ましい。
【0011】
このようなゲル化剤であれば、増粘性、経時的安定性により優れるゲル化剤を提供することができる。
【0012】
また、前記アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンは、下記式(4)で示されることが好ましい。
【化4】
(式(4)中、R
1、R
2、及びnは前記と同じであり、xは0≦x≦100である。)
【0013】
このようなゲル化剤であれば、増粘性、経時的安定性に特に優れるゲル化剤を提供することができる。
【0014】
前記水膨潤性粘土鉱物は、モンモリロナイト、サポナイト、スメクタイト、ヘクトライト、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウムテニオライトまたはリチウムテニオライトから選ばれる1種以上の水膨潤性粘土鉱物であることが好ましい。
【0015】
水膨潤性粘土鉱物としては、上記のようなものが好適である。
【0016】
また、本発明は、ゲル化剤を含むものである化粧料を提供する。
【0017】
このような化粧料であれば、密着感に優れ、おさまりがよく、経時的安定性にも優れる化粧料を提供することができる。
【0018】
また、前記化粧料は、さらに25℃で液状の油剤を含むものであることが好ましい。
【0019】
このような化粧料であれば、密着感に優れ、おさまりがよく、経時的安定性にもより優れる化粧料を提供することができる。
【0020】
また、前記油剤は、シリコーン油を含むことが好ましい。
【0021】
油剤としては、特にシリコーン油が好適である。
【0022】
また、本発明は、ゲル化剤の製造方法であって、
水膨潤性粘土鉱物を、下記平均組成式(1)で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンで処理する工程を含むゲル化剤の製造方法を提供する。
【化5】
(式(1)中、R
1は独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
R
2は下記式(2)で示されるアンモニウム基であり、
a1は0<a1≦20であり、a2は0<a2≦12であり、bは0≦b≦150であり、cは0≦c≦10であり、dは0≦d≦5である。ただし、a1+a2+b+c+dは2~170である。nは1~3の整数である。)
【化6】
(式(2)中、R
3は独立して、水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
Yは下記式(3)で示される基のいずれかであり、
A
-はアンモニウムイオンの対イオンとなる陰イオンである。)
【化7】
(pは1≦p≦10の整数であり、p1は1≦p1≦10であり、p2は1≦p2≦10の整数であって、ただし、1≦p1+p2≦15である。p3は1≦p3≦10の整数である。p4は1≦p4≦12の整数である。p5は1≦p5≦10の整数である。
R
4は水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基である。)
【0023】
このようなゲル化剤の製造方法であれば、増粘性、経時的安定性に優れるゲル化剤を得ることができる。
【0024】
また、前記式(2)中のA-で示される陰イオンを、水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオンから選ばれる陰イオンとすることが好ましい。
【0025】
このようなゲル化剤の製造方法であれば、増粘性、経時的安定性により優れるゲル化剤を得ることができる。
【0026】
また、前記アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンとして、下記式(4)で示されるものを用いることが好ましい。
【化8】
(式(4)中、R
1、R
2、及びnは前記と同じであり、xは0≦x≦100である。)
【0027】
このようなゲル化剤の製造方法であれば、増粘性、経時的安定性に特に優れるゲル化剤を得ることができる。
【0028】
また、前記水膨潤性粘土鉱物として、モンモリロナイト、サポナイト、スメクタイト、ヘクトライト、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウムテニオライトまたはリチウムテニオライトから選ばれる1種以上の水膨潤性粘土鉱物を用いることが好ましい。
【0029】
水膨潤性粘土鉱物としては、上記のようなものが好適である。
【発明の効果】
【0030】
本発明のゲル化剤であれば、25℃で液状の油剤、特にシリコーン油を増粘し、経時的に安定なゲル化物を与えることができる。また、前記ゲル化剤を配合した化粧料は、塗布時のべたつきや重さがなく、さらさらして伸び広がりが軽く、なめらかな感触を与えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
上述のように、特にシリコーン油を増粘し、経時的に安定なゲル化物を与えることに優れたゲル化剤の開発が求められていた。
【0032】
本発明者は、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、本発明のゲル化剤であれば、25℃で液状の油剤、特にシリコーン油を増粘し、経時的に安定なゲル化物を与えることができ、前記ゲル化物を配合した化粧料は塗布時のべたつきや重さがなく、さらさらして伸び広がりが軽く、なめらかな感触を与えることができることを見出し、本発明を完成させた。
【0033】
即ち、本発明は、ゲル化剤であって、前記ゲル化剤は、下記平均組成式(1)で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンが層間に取り込まれた水膨潤性粘土鉱物からなるものであるゲル化剤である。
【化9】
(式(1)中、R
1は独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
R
2は下記式(2)で示されるアンモニウム基であり、
a1は0<a1≦20であり、a2は0<a2≦12であり、bは0≦b≦150であり、cは0≦c≦10であり、dは0≦d≦5である。ただし、a1+a2+b+c+dは2~170である。nは1~3の整数である。)
【化10】
(式(2)中、R
3は独立して、水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
Yは下記式(3)で示される基のいずれかであり、
A
-はアンモニウムイオンの対イオンとなる陰イオンである。)
【化11】
(pは1≦p≦10の整数であり、p1は1≦p1≦10であり、p2は1≦p2≦10の整数であって、ただし、1≦p1+p2≦15である。p3は1≦p3≦10の整数である。p4は1≦p4≦12の整数である。p5は1≦p5≦10の整数である。
R
4は水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基である。)
【0034】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
[(A)ゲル化剤]
本発明の(A)ゲル化剤は、下記平均組成式(1)で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンが層間に取り込まれた水膨潤性粘土鉱物からなるゲル化剤であり、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【化12】
(式(1)中、R
1は独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
R
2は下記式(2)で示されるアンモニウム基であり、
a1は0<a1≦20であり、a2は0<a2≦12であり、bは0≦b≦150であり、cは0≦c≦10であり、dは0≦d≦5である。ただし、a1+a2+b+c+dは2~170である。nは1~3の整数である。)
【化13】
(式(2)中、R
3は独立して、水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
Yは下記式(3)で示される基のいずれかであり、
A
-はアンモニウムイオンの対イオンとなる陰イオンである。)
【化14】
(pは1≦p≦10の整数であり、p1は1≦p1≦10であり、p2は1≦p2≦10の整数であって、ただし、1≦p1+p2≦15である。p3は1≦p3≦10の整数である。p4は1≦p4≦12の整数である。p5は1≦p5≦10の整数である。
R
4は水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基である。)
【0036】
[アンモニウム基変性オルガノポリシロキサン]
本発明におけるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンは、粘土鉱物の層間に存在する交換性カチオンと交換可能な4級アンモニウムカチオンを1分子中に1つ以上有するオルガノポリシロキサンである。
【0037】
本発明におけるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)で示されるものであり、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【化15】
【0038】
R1は独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基が挙げられる。R1としては、メチル基またはフェニル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0039】
R
2は下記一般式(2)で示されるアンモニウム基である。
【化16】
【0040】
a1は0≦a1≦20であり、好ましくは0≦a1≦5である。a2は0<a2≦12であり、好ましくは1≦a2≦3である。bは0≦b≦150であり、好ましくは0≦b≦100である。cは0≦c≦10であり、好ましくは0≦c≦1である。dは0≦d≦5であり、好ましくは0≦d≦1である。ただし、a1+a2+b+c+dは2~170であり、好ましくは2~110である。nは1~3の整数であり、好ましくは1である。
【0041】
R3は独立して、水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ラウリル基、ステアリル基、ミシリル基等のアルキル基や、シクロペンチル基等のシクロアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリール基が挙げられる。R3としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ラウリル基、ステアリル基、ミシリル基が好ましく、水素原子、メチル基、ラウリル基、ステアリル基がより好ましく、水素原子、メチル基がさらにより好ましい。
【0042】
Yは下記式(3)で示される基のいずれかである。
【化17】
(pは1≦p≦10の整数であり、p1は1≦p1≦10であり、p2は1≦p2≦10の整数であって、ただし、1≦p1+p2≦15である。p3は1≦p3≦10の整数である。p4は1≦p4≦12の整数である。p5は1≦p5≦10の整数である。)
【0043】
R4は水素原子、または炭素数1~20、好ましくは炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基であり、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0044】
Yの具体例としては、下記の構造が例示される。
【化18】
【0045】
A-はアンモニウムイオンの対イオンとなる陰イオンであり、具体的には水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオン、クエン酸イオン、乳酸イオン、グルタミン酸イオン、アスパラギン酸イオンなどが挙げられる。A-としては、塩化物イオンまたは酢酸イオンが好ましく、塩化物イオンがより好ましい。
【0046】
前記アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンとして、下記式(4)で示されるものを用いてもよい。このような構造のアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンであれば、特にシリコーン油を増粘し、経時的に安定なゲル化物を得ることができる。
【化19】
(式(4)中、R
1、R
2、及びnは前記と同じであり、xは0≦x≦100である。)
【0047】
[水膨潤性粘土鉱物]
本発明で使用される水膨潤性粘土鉱物の例としては、モンモリロナイト、サポナイト、スメクタイト、ヘクトライト、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウムテニオライトまたはリチウムテニオライトなどが挙げられる。中でも、モンモリロナイト、サポナイト、スメクタイト、ヘクトライトが好ましい。
【0048】
[ゲル化剤の製造方法]
本発明のゲル化剤は、前記水膨潤性粘土鉱物の層間に前記アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンが取り込まれる処理がなされたものであることを特徴とする。
【0049】
上記処理方法としては、前記水膨潤性粘土鉱物を溶解または分散した、例えば水、アセトン、イソプロピルアルコール、エタノールなどの低沸点溶媒に、前記アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンを溶解した、例えばイソプロピルアルコール、エタノール、シクロペンタシロキサンなどの溶媒を添加し、室温または加熱下で攪拌した後、溶媒を留去する方法と、例えば水やアセトン、イソプロピルアルコール、エタノールなどの低沸点溶媒に、前記水膨潤性粘土鉱物と前期アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンとを添加し、室温または加熱下で攪拌した後、溶媒を留去する方法が挙げられる。加熱攪拌する場合、その温度は40~100℃が好ましく、40~60℃がより好ましい。
【0050】
処理剤である前記アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンの使用量としては、前記水膨潤性粘土鉱物100質量部に対して、10~200質量部であることが好ましく、50~150質量部であることがより好ましい。
【0051】
この場合、前記式(2)中のA-で示される陰イオンを、水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオンから選ばれる陰イオンとすることができる。
【0052】
また、前記アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンとして、前記式(4)で示されるものを用いることができる
【0053】
また、前記水膨潤性粘土鉱物として、モンモリロナイト、サポナイト、スメクタイト、ヘクトライト、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウムテニオライトまたはリチウムテニオライトから選ばれる1種以上の水膨潤性粘土鉱物を用いることができる。
【0054】
[化粧料]
本発明は上記ゲル化剤を含む化粧料である。前記化粧料は、さらに25℃で液状の油剤を含んでもよい。また、この油剤はシリコーン油を含むことが好ましい。
【0055】
[(B)25℃で液状の油剤]
本発明の化粧料は、(B)25℃で液状の油剤を含んでもよい。前記油剤は、好ましくは、25℃の動粘度が0.5~100mm2/sであり、0.5~20mm2/sのものがより好ましい。この油剤は、化粧料に一般的に配合されるものであれば、特に制限なく用いることができ、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。なお、本明細書中において、動粘度は、JIS Z 8803:2011記載の方法で測定したキャノンフェンスケ粘度計による25℃での動粘度である。
【0056】
(B)25℃で液状の油剤の例としては、炭化水素油、高級脂肪酸、天然動植物油脂類及び半合成油脂、エステル、シリコーンオイル、フッ素系油剤が挙げられ、具体的には次の通りである。
【0057】
・炭化水素油
炭化水素油としては、直鎖状又は分岐状の炭化水素油が挙げられ、揮発性の炭化水素油であっても不揮発性の炭化水素油であってもよい。具体的には、オレフィンオリゴマー、イソドデカン(:表示名称(INCI:Isododecane))、ドデカン(:表示名称(INCI:Dodecane))、イソヘキサデカン(:表示名称(INCI:Isohexadecane))、ウンデカン(:表示名称(INCI:Undecane))、スクワラン(:表示名称(INCI:Squalane))、スクワレン(:表示名称(INCI:Squalene))、ミネラルオイル(:表示名称(INCI:Mineral Oil))、流動イソパラフィン、ポリイソブチレン(:表示名称)、水添ポリイソブテン(:表示名称(INCI:Hydrogenated Polyisobutene))、(C13-15)アルカン(:表示名称(INCI:C13-15 Alkane))等が挙げられる。
【0058】
・高級脂肪酸
高級脂肪酸としては、オレイン酸(:表示名称(INCI:Oleic Acid))、リノール酸(:表示名称(INCI:Linoleic Acid))、リノレン酸(:表示名称(INCI:Linolenic Acid))、アラキドン酸(:表示名称(INCI:Arachidonic Acid))、エイコサペンタエン酸(EPA)(:表示名称(INCI:Eicosapentaenoic Acid))、ドコサヘキサエン酸(DHA)(:表示名称(INCI:Docosahexaenoic Acid))、イソステアリン酸(:表示名称(INCI:Isostearic Acid))、ヒドロキシステアリン酸(:表示名称(INCI:Hydroxystearic Acid))等が挙げられる。
【0059】
・天然動植物油脂類及び半合成油脂
天然動植物油脂類及び半合成油脂としては、アボガド油(:表示名称(INCI:Persea Gratissima (Avocado) Oil))、アマニ油(:表示名称(INCI:Linum Usitatissimum (Linseed) Seed Oil))、アーモンド油(:表示名称(INCI:Prunus Amygdalus Dulcis (Sweet Almond) Oil))、オリーブ油(:表示名称(INCI:Olea Europaea (Olive) Fruit Oil))、アメリカガヤ油(:表示名称(INCI:Torreya Californica (California Nutmeg) Oil))、コウスイガヤ油(:表示名称(INCI:Cymbopogon Nardus (Citronella) Oil))、サメ肝油(:表示名称(INCI:Shark Liver Oil))、タラ肝油(:表示名称(INCI:Cod Liver Oil))、魚肝油(:表示名称(INCI:Fish Liver Oil))、キョウニン油(:表示名称(INCI:Kyounin Yu))、ゴマ油(:表示名称(INCI:Sesamum Indicum (Sesame) Seed Oil))、コメ胚芽油(:表示名称(INCI:Oryza Sativa (Rice) Germ Oil))、コメヌカ油(:表示名称(INCI:Oryza Sativa (Rice) Bran Oil))、サザンカ油(:表示名称(INCI:Camellia Kissi Seed Oil))、サフラワー油(:表示名称(INCI:Carthamus Tinctorius (Safflower) Seed Oil))、タートル油(:表示名称(INCI:Turtle Oil))、ツバキ油(:表示名称(INCI:Camellia Japonica Seed Oil))、月見草油(:表示名称(INCI:Oenothera Biennis (Evening Primrose) Oil))、トウモロコシ胚芽油(:表示名称(INCI:Zea Mays (Corn) Germ Oil))、ナタネ油(:表示名称(INCI:RAPE SHUSHI YU))、コムギ胚芽油(:表示名称(INCI:Triticum Vulgare (Wheat) Germ Oil))、パーシック油(:表示名称(INCI:))、パーム油(:表示名称(INCI:Elaeis Guineensis (Palm) Oil))、パーム核油(:表示名称(INCI:Elaeis Guineensis (Palm) Kernel Oil))、ヒマシ油(:表示名称(INCI:Ricinus Communis (Castor) Seed Oil))、硬化ヒマシ油(:表示名称(INCI:Hydrogenated Castor Oil))、ヒマワリ油(:表示名称(INCI:Helianthus Annuus (Sunflower) Seed Oil))、ブドウ種子油(:表示名称(INCI:Vitis Vinifera (Grape) Seed Oil))、ホホバ油(:表示名称(INCI:Simmondsia Chinensis (Jojoba) Seed Oil))、マカデミアナッツ油(:表示名称(INCI:Macadamia Ternifolia Seed Oil))、ミンク油(:表示名称(INCI:Mink Oil))、メドウフォーム油(:表示名称(INCI:Limnanthes Alba (Meadowfoam) Seed Oil))、綿実油(:表示名称(INCI:Gossypium Herbaceum (Cotton) Seed Oil))、ヤシ油(:表示名称(INCI:Cocos Nucifera (Coconut) Oil))、水添ヤシ油(:表示名称(INCI:Hydrogenated Coconut Oil))、卵黄油(:表示名称(INCI:Egg Oil))等が挙げられる。
【0060】
・エステル
エステルとしては、炭素数1~20の脂肪酸と炭素数1~20のアルコールが縮合した形をもつ液状油であって、モノエステル又は、ジエステル、トリエステル等のポリエステルが挙げられる。具体的にはアジピン酸ジイソブチル(:表示名称(INCI:Diisobutyl Adipate))、アジピン酸ジヘキシルデシル(:表示名称)、アジピン酸ジヘプチルウンデシル(:表示名称(INCI:Diheptylundecyl Adipate))、イソステアリン酸イソステアリル(:表示名称(INCI:Isostearyl Isostearate))等のモノイソステアリン酸n-アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル(:表示名称(INCI:Isocetyl Isostearate))、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン(:表示名称(INCI:Trimethylolpropane Triisostearate))、ジエチルヘキサン酸グリコール(:表示名称(INCI:Glycol Diethylhexanoate))、エチルヘキサン酸セチル(:表示名称(INCI:Cetyl Ethylhexanoate))、トリエチルヘキサノイン(:表示名称(INCI:Triethylhexanoin))、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン(:表示名称(INCI:Trimethylolpropane Triethylhexanoate))、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル(:表示名称(INCI:Pentaerythrityl Tetraethylhexanoate))、オクタン酸セチル(:表示名称(INCI:Cetyl Ethylhexanoate))、ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル(:表示名称(INCI:Octyldodecyl Stearoyl Stearate))等のオクチルドデシルエステル、オレイン酸オレイル(:表示名称(INCI:Oleyl Oleate))、オレイン酸オクチルドデシル(:表示名称(INCI:Octyldodecyl Oleate))、オレイン酸デシル(:表示名称(INCI:Decyl Oleate))、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール(:表示名称(INCI:Neopentyl Glycol Diethylhexanoate))、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(:表示名称(INCI:Neopentyl Glycol Dicaprate))、クエン酸トリエチル(:表示名称(INCI:Triethyl Citrate))、コハク酸ジエチルヘキシル(:表示名称(INCI:Diethylhexyl Succinate))、酢酸アミル(:表示名称(INCI:Amyl Acetate))、酢酸エチル(:表示名称(INCI:Etyl Acetate))、酢酸ブチル(:表示名称(INCI:Butyl Aceetate))、ステアリン酸イソセチル(:表示名称(INCI:Isocetyl Stearate))、ステアリン酸ブチル(:表示名称(INCI:Butyl Stearate))、セバシン酸ジイソプロピル(:表示名称(INCI:Diisopropyl Sebacate))、セバシン酸ジエチルヘキシル(:表示名称(INCI:Diethylhexyl Sebacate))、乳酸セチル(:表示名称(INCI:Cetyl Lactate))、乳酸ミリスチル(:表示名称(INCI:Myristyl Lactate))、イソノナン酸イソノニル(:表示名称(INCI:Isononyl Isononanoate))、イソノナン酸イソトリデシル(:表示名称(INCI:Isotridecyl Isononanoate))、パルミチン酸イソプロピル(:表示名称(INCI:Isopropyl Palmitate))、パルミチン酸エチルヘキシル(:表示名称(INCI:Ethylhexyl Isopalmitate))、パルミチン酸ヘキシルデシル(:表示名称(INCI:Isocetyl Palmitate、Hexyldecyl Palmitate))等のパルミチン酸エステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル(:表示名称(INCI:Cholesteryl Hydroxystearate))、ミリスチン酸イソプロピル(:表示名称(INCI:Isopropyl Myristate))、ミリスチン酸オクチルドデシル(:表示名称(INCI:Octyldodecyl Myristate))、ミリスチン酸ミリスチル(:表示名称(INCI:Myristyl Myristate))等のミリスチン酸エステル、ラウリン酸エチルへキシル(:表示名称(INCI:Ethylhexyl Laurate))、ラウリン酸ヘキシル(:表示名称(INCI:Hexyl Laurate))、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル(:表示名称(INCI:Dioctyldodecyl Lauroyl Glutamate))、ラウロイルサルコシンイソプロピルエステル(:表示名称(INCI:Isopropyl Lauroyl Sarcosinate))、リンゴ酸ジイソステアリル(:表示名称(INCI:Diisostearyl Malate))、酢酸グリセリル(:表示名称(INCI:Glyceryl Acetate))、ステアリン酸グリセリル(:表示名称(INCI:Glyceryl Stearate))、等のグリセライド油が挙げられる。
【0061】
・シリコーンオイル
シリコーンオイルとしては、例えば、トリシロキサン(:表示名称(INCI:Trisiloxane))、揮発性のジメチコン(:表示名称(INCI:Dimethicone))、低粘度のジメチコン(:表示名称(INCI:Dimethicone))、シクロテトラシロキサン(:表示名称(INCI:Cyclotetrasiloxane)),シクロペンタシロキサン(:表示名称(INCI:Cyclopentasiloxane))、シクロヘキサシロキサン(:表示名称(INCI:Cyclohexasiloxane))、メチルトリメチコン(:表示名称(INCI:Methyl Trimethicone))、カプリリルメチコン(:表示名称(INCI:Caprylyl Methicone))、フェニルトリメチコン(:表示名称(INCI:Phenyl Trimethicone))、メチルフェニルポリシロキサン(:表示名称(INCI:Diphenyl Dimethicone))、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(:表示名称(INCI:Diphenylsiloxy Phenyl Trimethicone))、エチルメチコン(:表示名称(INCI:Ethyl Methicone))、エチルトリシロキサン(:表示名称(INCI:Ethyl Trisiloxane))、ハイドロゲンジメチコン(:表示名称(INCI:Hydrogen Dimethicone))等の低粘度から高粘度の直鎖又は分岐状のジメチコン、アモジメチコン(:表示名称(INCI:Amodimethicone))、アミノプロピルジメチコン(:表示名称(INCI:Aminopropyl Dimethicone))、高重合度ガム状のジメチコン(:表示名称(INCI:Dimethicone))、ガム状のアモジメチコン(:表示名称(INCI:Amodimethicone))、ガム状のジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等のシリコーンゴム、及びシリコーンガムやゴムの環状オルガノポリシロキサン溶液、アミノ酸変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、シリコーン樹脂及びシリコーンレジンの溶解物等が挙げられる。
【0062】
・フッ素系油剤
フッ素系油剤としては、ポリパーフルオロメチルイソプロピルエーテル(:表示名称(INCI:Polyperfluoromethylisopropyl Ether))等のパーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン(:表示名称(INCI:Perfluorodecalin))、パーフルオロヘキサン(:表示名称(INCI:Perfluorohexane))等のパーフルオロカーボンが挙げられる。
【0063】
(B)25℃で液状の油剤としては、シリコーンオイルが好ましく、その中でも特に、メチルトリメチコン(:表示名称(INCI:Methyl Trimethicone))、トリシロキサン(:表示名称(INCI:Trisiloxane))揮発性のジメチコン(:表示名称(INCI:Dimethicone))、25℃で動粘度0.5~20mm2/sのジメチコン(:表示名称(INCI:Dimethicone))、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン(:表示名称(INCI:Diphenylsiloxy Phenyl Trimethicone))がより好ましい。
【0064】
[その他の成分]
本発明の化粧料には、上記成分以外の成分を任意で適量配合することができる。この任意成分としては、例えば、(1)25℃で固体状または半固体状の油性成分、(2)アルコール性水酸基を有する化合物、(3)界面活性剤、(4)架橋型オルガノポリシロキサンと25℃で液状の油剤からなる組成物、(5)皮膜形成剤、(6)制汗剤、(7)抗菌剤、(8)その他の添加剤が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0065】
(1)25℃で固体状または半固体状の油性成分
25℃で固体状または半固体状の油性成分は、固体状、半固体状、いずれであってもよく、例えば、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーンオイル、及びフッ素系油剤等を使用することができる。
【0066】
・固体状の油性成分
本発明において、化粧料を固化させたい場合には、25℃で固体状のワックス、炭化水素、エステル、高級アルコール、高級脂肪酸を配合することが好ましい。25℃で固体状の油性成分としては、好ましくは40℃以上、より好ましくは60~110℃の融点を有するもので、ワックス、炭化水素、エステル、高級アルコール、高級脂肪酸を挙げることができ、通常化粧料に配合できる原料であれば、特に限定されない。具体的には、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ライスワックス、木ロウ、シアバター、等の植物性ワックス、ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス、固体パラフィン、ポリエチレン、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素系ワックス、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セタノール等の高級アルコール、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸、及び、アクリル-シリコーングラフト又はブロック共重合体のアクリルシリコーン樹脂等のシリコーンワックス(信越化学工業(株)製:アクリル-シリコーングラフト共重合体:KP-561P,562P等)又はこれらの誘導体が挙げられる。
【0067】
・半固体状の油性成分
本発明において、化粧料に膜感や厚みを持たせたい場合には、25℃で半固体状(ペースト状)の炭化水素、エステルを配合することが好ましく、通常化粧料に配合できる原料であれば、特に限定されない。具体的には、ラノリン、ワセリン、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、硬化油等が挙げられる。
【0068】
(2)アルコール性水酸基を有する化合物
アルコール性水酸基を有する化合物としては、エタノール、イソプロパノール等、炭素原子数が好ましくは2~5の低級アルコール、ソルビトール、マルトース等の糖アルコール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール等のステロール等が挙げられる。なお、前記(B)成分にて例示された高級アルコールは、このアルコール性水酸基を有する化合物には含めない。
【0069】
(3)界面活性剤
界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性及び両性の活性剤があるが、特に制限されるものではなく、通常の化粧料に使用されるものであれば、いずれのものも使用することができる。これらの界面活性剤の中でも、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン・アルキル共変性オルガノポリシロキサンピロリドン変性オルガノポリシロキサンであることが好ましい。これらの界面活性剤において、親水性のポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基又はポリグリセリン残基の含有量が、分子中の10~70質量%を占めることが好ましい。また、部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型ポリグリセリン変性シリコーンを用いる場合には、当該架橋型オルガノポリシロキサンと25℃で液状の油剤からなる組成物において、架橋型オルガノポリシロキサンは、液状油に対し、自重以上の該液状油剤を含んで膨潤することが好ましい。当該液状油剤としては、任意成分の油剤中の液状のシリコーン、炭化水素油、エステル油、天然動植物油、半合成油等、フッ素系油を用いることができ、例えば、25℃における動粘度が0.65~100mm2/sの低粘度シリコーン、流動パラフィン、スクワラン、イソドデカン、イソヘキサデカン等の炭化水素油やトリオクタノイン等のグリセライド油、イソノナン酸イソトリデシル、N-アシルグルタミン酸エステル、ラウロイルサルコシン酸エステル等のエステル油、マカデミアナッツ油等の天然動植物油が挙げられる。具体例としては、信越化学工業(株)製:KSG-210、KSG-240、KSG-310、KSG-320、KSG-330、KSG-340、KSG-320Z、KSG-350Z、KSG-710、KSG-810、KSG-820、KSG-830、KSG-840、KSG-820Z、KSG-850Z等が挙げられる。架橋型オルガノポリシロキサンではない界面活性剤の具体例としては、信越化学工業(株)製:KF-6011、KF-6013、KF-6043、KF-6017、KF-6028、KF-6038、KF-6048、KF-6100、KF-6104、KF-6105、KF-6106等が挙げられる。何れの場合においても界面活性剤の含有量としては、化粧料中0.1~20質量%が好ましい。0.1質量%以上であれば、分散や乳化の機能を十分に果たすことができ、20質量%以下であれば化粧料がべたついた使用感になる恐れがないために好ましい。界面活性剤のHLBは、限定されないが化粧料の耐水性を維持するという目的から2~14.5が好ましい。
【0070】
(4)架橋型オルガノポリシロキサンと25℃で液状の油剤からなる組成物
架橋型オルガノポリシロキサンと25℃で液状の油剤からなる組成物において、架橋型オルガノポリシロキサンは、液状油に対し、自重以上の該液状油剤を含んで膨潤することが好ましい。任意成分の油剤中の液状のシリコーン、炭化水素油、エステル油、天然動植物油、半合成油等、フッ素系油を用いることができ、例えば、25℃における動粘度が0.65~100mm2/sの低粘度シリコーン、流動パラフィン、スクワラン、イソドデカン、イソヘキサデカン等の炭化水素油やトリオクタノイン等のグリセライド油、イソノナン酸イソトリデシル、N-アシルグルタミン酸エステル、ラウロイルサルコシン酸エステル等のエステル油、マカデミアナッツ油等の天然動植物油が挙げられる。(4)成分は、本発明に係る(3)成分とは異なり、分子構造中、ポリエーテル又はポリグリセリン構造を有しない化合物であり、具体例としては、信越化学工業(株)製:KSGシリーズ(商品名)、特に、KSG-15、KSG-16、KSG-016F、KSG-19、KSG-41、KSG-42、KSG-43、KSG-44、KSG-042Z、KSG-045Z等が挙げられる。
【0071】
(5)皮膜形成剤
皮膜形成剤は、主に化粧料の効果持続性をさらに維持させる目的で配合される。特に限定は無いが、撥水性付与の観点からシリコーン系組成物であることが好ましい。具体的には、トリメチルシロキシケイ酸、アクリル-シリコーン皮膜剤、シリコーン変性ノルボルネン、シリコーン変性プルラン等を使用することができる。当該皮膜形成剤は、事前に室温で液状の油剤で溶解させてから化粧料に配合されてもよい。当該液状油剤としては、任意成分の油剤中の液状のシリコーン、炭化水素油、エステル油、天然動植物油、半合成油等、フッ素系油を用いることができ、例えば、25℃における動粘度が0.65~100mm2/sの低粘度シリコーン、流動パラフィン、スクワラン、イソドデカン、イソヘキサデカン等の炭化水素油やトリオクタノイン等のグリセライド油、イソノナン酸イソトリデシル、N-アシルグルタミン酸エステル、ラウロイルサルコシン酸エステル等のエステル油、マカデミアナッツ油等の天然動植物油が挙げられる。また、それらの具体例としては、信越化学工業(株)製:トリメチルシロキシケイ酸のシリコーン溶解品であるKF-7312J、アクリル-シリコーン皮膜剤のシリコーン溶解品であるKP-545、KP-549、シリコーン変性ノルボルネンのイソドデカン溶解品であるNBN-30-ID、シリコーン変性プルランのイソドデカン溶解品であるTSPL-30-ID,シリコーン溶解品であるTSPL-30-D5等が挙げられる。
【0072】
(6)制汗剤
本発明に係る化粧料がデオドラント剤である場合には、制汗剤を任意に配合することができる。制汗剤は皮膚を収斂させることに依って、汗の発生を抑える成分であれば、特に限定はなく、汎用の成分を広く利用できる。例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインアルミニウム塩、タンニン酸、硫酸アルミニウムカリウム、酸化亜鉛、パラフェノールスルホン酸亜鉛、焼きミョウバン、テトラクロロ(Al/ジルコニウム)水和物、トリクロロハイドレックスグリシン(Al/ジルコニウム)等が挙げられる。特に、高い効果を発現する成分として、好ましくは、ハロゲン化アルミニウム、ヒドロキシハロゲン化アルミニウム、ならびにそれらとオキシハロゲン化ジルコニル及びヒドロキシハロゲン化ジルコニルとの錯体又は混合物からなる群より選択される制汗活性分である。これらの制汗剤は、水に溶解して配合したり、また、粉末をそのまま製剤に配合したりして使用することができる。制汗剤は、市販品を用いることもできる。用いる市販品は、他の成分との混合原料の形態であってもよい。制汗剤の含有量は特に限定されず、他の成分の含有量に応じて適宜変更することができる。制汗効果に優れたデオドラント剤を得る目的、並びに、肌への刺激が低減されたデオドラント剤を得る目的から、その含有量は、化粧料中0.001~30質量%が好ましく、0.01~20質量%がより好ましい。
【0073】
(7)抗菌剤
抗菌剤は体臭の原因物質を作り出す皮膚の常在菌の増殖を抑制させることに依って、防臭効果が得られる成分であれば、特に限定はない。例えば、トリクロサン、塩化ベンザエルコニウム、塩化ベンゾトニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、ハロカルバン、イソメチルフェノール等の抗菌薬剤が一般に利用される。また、緑茶乾留エキス等、生薬由来の精油や抽出物等で抗菌性を有するものを配合しても良い。生薬由来の精油や抽出物等の防臭効果を有する抗菌剤としては、例えば、緑茶エキス、ラベンダーエキス、オウゴンエキス、オウレンエキス、オオバコエキス、カワラヨモギエキス、キダチアロエエキス、クララ根エキス、クマザサ葉エキス、ニンニクエキス、ハマメリスエキス、紅茶エキス、セージ葉エキス、サンショウエキス、ショウガ根エキス、ショウブ根エキス、セイヨウキズタエキス、ドクダミエキス、モモ果実エキス、モモ葉エキス、セイヨウハッカ葉エキス、センキュウエキス、ユーカリ葉エキス、ラッカセイ種皮エキス、レイシエキス、ワレモコウエキス等を用いることができる。
【0074】
(8)その他の添加剤
その他の添加剤としては、油溶性ゲル化剤、保湿剤、防腐剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等が挙げられる。
【0075】
・油溶性ゲル化剤
油溶性ゲル化剤としては、有機変性ベントナイト、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N-ラウロイル-L-グルタミン酸、α,γ-ジ-n-ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2-エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、フラクトオリゴ糖ステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2-エチルヘキサン酸エステル等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体等が挙げられる。
【0076】
・保湿剤
保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グルコース、キシリトール、マルチトール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド、卵黄レシチン、大豆レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴリン脂質等が挙げられる。
【0077】
・防腐剤
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、トリクロロカルバニリド、感光素等が挙げられる。
【0078】
・香料
香料としては、天然香料及び合成香料がある。天然香料としては花、葉、材、果皮、等から分離した植物性香料;ムスク、シベット等の動物性香料がある。合成香料としてはモノテルペン等の炭化水素類、脂肪族アルコール、芳香族アルコール等のアルコール類;テルペンアルデヒド、芳香族アルデヒド等のアルデヒド類;脂環式ケトン等のケトン類;テルペン系エステル等のエステル類;ラクトン類;フェノール類;オキサイド類;含チッソ化合物類;アセタール類等が挙げられる。
【0079】
・塩類
塩類としては無機塩、有機酸塩、アミン塩及びアミノ酸塩が挙げられる。無機塩としては、例えば、塩酸、硫酸、炭酸、硝酸等の無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩等;有機酸塩としては、例えば、酢酸、デヒドロ酢酸、クエン酸、りんご酸、コハク酸、アスコルビン酸、ステアリン酸等の有機酸類の塩;アミン塩及びアミノ酸塩としては、例えば、トリエタノールアミン等のアミン類の塩、グルタミン酸等のアミノ酸類の塩等が挙げられる。また、その他、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の塩、アルミニウムジルコニウムグリシン錯体等や、さらには、化粧料処方の中で使用される酸-アルカリの中和塩等も使用することができる。
【0080】
・酸化防止剤
酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、カロチノイド、アスコルビン酸及びその塩、ステアリン酸アスコルビル、酢酸トコフェロール、トコフェロール、p-t-ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸、フェルラ酸、チオタウリン、ヒポタウリン、亜硫酸塩、エリソルビン酸及びその塩、クロロゲン酸、エピカテキン、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、アピゲニン、カンフェロール、ミリセチン、ケルセチン等が挙げられる。
【0081】
・pH調整剤
pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl-リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0082】
・キレート剤
キレート剤としては、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸、アスパラギン酸二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸等が挙げられる。
【0083】
・清涼剤
清涼剤としては、L-メントール、カンフル等が挙げられる。
【0084】
・抗炎症剤
抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルリチン酸及びその塩、グリチルレチン酸及びグリチルレチン酸ステアリル、トラネキサム酸、アズレン等が挙げられる。
【0085】
・美肌用成分
美肌用成分としては、ビタミンC誘導体、ハイドロキノン、トラネキサム酸、アルブチン、フェニルエチルレゾルシノール、コウジ酸、植物抽出液等の美白剤、ロイヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、幼牛血液抽出液等の細胞賦活剤;肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β-ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α-ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ-オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられる。
【0086】
・ビタミン類
ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシントリパルミテート等のビタミンB6類、ビタミンB12及びその誘導体、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L-アスコルビン酸-2-硫酸ナトリウム、L-アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、コハク酸dl-α-トコフェロール等のビタミンE類;ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、ビタミンH、ビタミンP、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類、ビオチン等が挙げられる。
【0087】
・アミノ酸類
アミノ酸類としては、グリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等が挙げられる。
【0088】
・核酸
核酸としては、デオキシリボ核酸等が挙げられる。
【0089】
・ホルモン
ホルモンとしては、エストラジオール、エテニルエストラジオール等が挙げられる。
【0090】
・包接化合物
包接化合物としては、シクロデキストリン等が挙げられる。
【実施例0091】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0092】
なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は「質量%」である。粘度はJIS K 7117-1:1999記載の回転粘度計で測定した25℃における粘度の測定値である。
【0093】
[製造例1~4、シリコーン変性粘土鉱物1~2]
製造例1
水膨潤性粘土鉱物である精製ベントナイト(商品名:クニピアF、クニミネ製)2gを分散した水溶液200gを60℃で加熱攪拌しながら、下記式(A-1)で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサン2gを溶解したイソプロピルアルコール200gを滴下した。2時間攪拌した後、濾過により溶液を除去し、減圧乾燥を行うことで、アンモニウム基変性オルガノポリシロキサン処理された粘土鉱物を得た。
【0094】
【0095】
製造例2
前記製造例1で用いたアンモニウム基変性オルガノポリシロキサン(A-1)に代えて、下記式(A-2)で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンを用いた他は、前記製造例1と同様の方法で、アンモニウム基変性オルガノポリシロキサン処理された粘土鉱物を得た。
【0096】
【0097】
製造例3
前記製造例1で用いたアンモニウム基変性オルガノポリシロキサン(A-1)に代えて、下記式(A-3)で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンを用いた他は、前記製造例1と同様の方法で、アンモニウム基変性オルガノポリシロキサン処理された粘土鉱物を得た。
【0098】
【0099】
製造例4
前記製造例1で用いたアンモニウム基変性オルガノポリシロキサン(A-1)に代えて、下記式(A-4)で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンを用いた他は、前記製造例1と同様の方法で、アンモニウム基変性オルガノポリシロキサン処理された粘土鉱物を得た。
【0100】
【0101】
シリコーン変性粘土鉱物1
前記製造例1で用いたアンモニウム基変性オルガノポリシロキサン(A-1)に代えて、下記式(A-1)’で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンを用いた他は、前記製造例1と同様の方法で、シリコーン変性粘土鉱物1を得た。
【0102】
【0103】
シリコーン変性粘土鉱物2
前記製造例1で用いたアンモニウム基変性オルガノポリシロキサン(A-1)に代えて、下記式(A-2)’で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンを用いた他は、前記製造例1と同様の方法で、シリコーン変性粘土鉱物2を得た。
【0104】
【0105】
[実施例1~4、比較例1~5]
表1に示す量の各成分を、以下の製造方法により混合することでゲル組成物を得た。
【0106】
【表1】
成分
(※)ベントナイト:クニピアF(クニミネ工業製)
(※)クオタニウム-18ベントナイト:モイストナイトWO(クニミネ工業製)
(※)シクロペンタシロキサン:KF-995(動粘度:4mm
2/s、信越化学工業製)
(※)ジメチルポリシロキサン:KF-96A-6cs(動粘度:6mm
2/s、信越化学工業製)
(※)PEG-10ジメチコン:KF-6017(信越化学工業製)
【0107】
(製造方法)
表1中の成分(B)を60℃で加温しながらディスパーで攪拌し、成分(A)を少量ずつ添加していった。続けて、必要に応じてPEG-10ジメチコンまたは炭酸プロピルを添加し、10分間攪拌することで、ゲル組成物を得た。
【0108】
実施例1~4及び比較例1~5のゲル組成物について以下の評価方法にしたがい、外観(均一性)、外観(50℃経時安定性)、組成物粘度を評価した。結果を表1に記載した。
【0109】
[外観(均一性)]
ゲル組成物を25gガラス瓶に入れ、液相分離や粘土鉱物の凝集、沈降が発生しているか否かを目視にて観察し、下記基準により評価した。
(評価基準)
〇:粉体の凝集や油浮きがない
△:一部、粉体の凝集や油浮きがある
×:粉体と油が完全に分離
【0110】
[50℃経時安定性]
ゲル組成物を、50gガラス瓶に入れ、50℃で1週間保管した後、液相分離やゲル組成物の凝集が発生しているか否かを目視にて観察し、下記基準により評価した。
(評価基準)
◎:組成物の作製直後と変化なし
○:一部、油浮きが発生
×:粉体と油が分離
【0111】
[粘度]
ゲル組成物を50gガラス瓶に入れ、JIS K 7117-1:1999記載の回転粘度計による方法で、25℃における粘度を測定した。なお、流動性を失い、固化してしまったため、粘度が測定できなかったサンプルについては、結果を◎で表示した。
【0112】
上記結果から明らかなように、実施例1~4の場合には、いずれもシリコーンオイルのゲル組成物を与え、さらに外観の均一性に優れるとともに、経時安定性にも優れることが分かった。
【0113】
一方で、粘土鉱物を配合しなかった比較例1ではゲル化を確認できなかった。
【0114】
両末端変性型アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンや側鎖型アンモニウム基オルガノポリシロキサンで処理した粘土鉱物を配合した比較例2~3では、組成物粘度が低く、外観均一性や経時安定性も低いことが分かった。
【0115】
また、未処理の粘土鉱物や、有機変性粘土鉱物を用いた比較例4~5では、組成物中での粘土鉱物の凝集が著しく、外観の均一性が低いことが分かった。
【0116】
このように、本発明のオルガノポリシロキサンは、シリコーンオイルを良好にゲル化でき、均一性や経時安定性に優れたゲル組成物を提供できることが分かった。
【0117】
[実施例5~7]
実施例5:油中水型クリーム
(成分) (%)
1.ジメチルポリシロキサン(※) 10.0
2.シクロペンタシロキサン 7.0
3.トリオクタン酸グリセリル 4.5
4.ポリエーテル変性分岐状シリコーン(※) 2.0
5.製造例1 1.5
6.ジプロピレングリコール 7.0
7.防腐剤 適量
8.香料 適量
9.精製水 残量
合計 100.0
(※)ジメチルポリシロキサン:KF-96A-6cs(信越化学工業製)
(※)ポリエーテル変性分岐状シリコーン:KF-6028(信越化学工業製)
A)成分1~5を混合した。
B)成分6~9を混合し、上記A)に加えて攪拌乳化した。
【0118】
このようにして得られた油中水型クリームは、油っぽさやべたつきがなく、のび広がりも軽くさっぱりとしたものである上、密着感に優れ、おさまりもよいものであった。また、安定性にも優れた油中水型クリームであることが確認された。
【0119】
実施例6:油中水型クリーム
(成分) (%)
1.製造例2 2.0
2.ジメチルポリシロキサン(※) 10.0
3.架橋型ポリエーテル変性シリコーン(※) 5.0
4.ジプロピレングリコール 10.0
5.クエン酸ナトリウム 0.2
6.エタノール 5.0
7.防腐剤 適量
8.香料 適量
9.精製水 残量
合計 100.0
(※)ジメチルポリシロキサン:KF-96A-6cs(信越化学工業製)
(※)架橋型ポリエーテル変性シリコーン:KSG-21(信越化学工業製)
A)成分1~3を混合した。
B)成分4~9を混合し、上記A)に加えて攪拌乳化した。
【0120】
このようにして得られた油中水型クリームは、油っぽさやべたつきがなく、のび広がりも軽くさっぱりとしたものである上、密着感に優れ、おさまりもよいものであった。また、安定性にも優れた油中水型クリームであることが確認された。
【0121】
実施例7:ファンデーション
(成分) (%)
1.セレシン 5.5
2.マイクロクリスタリンワックス 1.0
3.流動パラフィン 4.0
4.ジカプリル酸プロピレングリコール 3.0
5.アルキル・ポリエーテル共変性シリコーン(※) 1.0
6.アルキル変性架橋型ポリエーテル変性シリコーン(※) 7.0
7.ジメチルポリシロキサン(※) 15.0
8.製造例1 1.5
9.顔料 適量
10.油剤処理酸化チタン 10.0
11.レシチン 0.3
12.モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン 0.5
13.1,3-ブチレングリコール 8.0
14.防腐剤 適量
15.香料 適量
16.精製水 残量
合計 100.0
(※)アルキル・ポリエーテル共変性シリコーン:KF-6026(信越化学工業製)
(※)アルキル変性架橋型ポリエーテル変性シリコーン:KSG-33(信越化学工業製)
(※)ジメチルポリシロキサン:KF-96-6cs(信越化学工業製)
A)成分1~8を加熱溶解した。
B)成分9~12および14を成分13に添加し、均一に混合した。
C)成分16を上記B)に加えて均一に分散した。
D)上記C)及び成分15を上記A)に加えて攪拌乳化、充填して製品とした。
【0122】
このようにして得られたファンデーションは、油が多いにもかかわらず油っぽさやべたつきがなく、のび広がりも軽く、密着感に優れ、おさまりもよく、化粧持ちにも優れたファンデーションであることが確認された。
【0123】
以上の結果から、本発明のゲル化剤は、外観の均一性に優れるとともに、経時安定性にも優れるゲル組成物を与えることが示された。また、本発明のゲル化剤を含む化粧料は、密着感に優れ、おさまりがよいものとなることが示された。
【0124】
本明細書は、以下の態様を包含する。
[1]:ゲル化剤であって、前記ゲル化剤は、下記平均組成式(1)で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンが層間に取り込まれた水膨潤性粘土鉱物からなるものであるゲル化剤。
【化26】
(式(1)中、R
1は独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
R
2は下記式(2)で示されるアンモニウム基であり、
a1は0<a1≦20であり、a2は0<a2≦12であり、bは0≦b≦150であり、cは0≦c≦10であり、dは0≦d≦5である。ただし、a1+a2+b+c+dは2~170である。nは1~3の整数である。)
【化27】
(式(2)中、R
3は独立して、水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
Yは下記式(3)で示される基のいずれかであり、
A
-はアンモニウムイオンの対イオンとなる陰イオンである。)
【化28】
(pは1≦p≦10の整数であり、p1は1≦p1≦10であり、p2は1≦p2≦10の整数であって、ただし、1≦p1+p2≦15である。p3は1≦p3≦10の整数である。p4は1≦p4≦12の整数である。p5は1≦p5≦10の整数である。
R
4は水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基である。)
[2]:前記式(2)中のA
-で示される陰イオンが、水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオンから選ばれる陰イオンである上記[1]のゲル化剤。
[3]:前記アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンは、下記式(4)で示される上記[1]又は上記[2]のゲル化剤。
【化29】
(式(4)中、R
1、R
2、及びnは前記と同じであり、xは0≦x≦100である。)
[4]:前記水膨潤性粘土鉱物は、モンモリロナイト、サポナイト、スメクタイト、ヘクトライト、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウムテニオライトまたはリチウムテニオライトから選ばれる1種以上の水膨潤性粘土鉱物である上記[1]、上記[2]又は上記[3]のゲル化剤。
[5]:化粧料であって、前記化粧料は、上記[1]、上記[2]、上記[3]又は上記[4]のゲル化剤を含むものである化粧料。
[6]:前記化粧料は、さらに25℃で液状の油剤を含むものである上記[5]の化粧料。
[7]:前記油剤は、シリコーン油を含む上記[6]の化粧料。
[8]:ゲル化剤の製造方法であって、
水膨潤性粘土鉱物を、下記平均組成式(1)で示されるアンモニウム基変性オルガノポリシロキサンで処理する工程を含むゲル化剤の製造方法。
【化30】
(式(1)中、R
1は独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
R
2は下記式(2)で示されるアンモニウム基であり、
a1は0<a1≦20であり、a2は0<a2≦12であり、bは0≦b≦150であり、cは0≦c≦10であり、dは0≦d≦5である。ただし、a1+a2+b+c+dは2~170である。nは1~3の整数である。)
【化31】
(式(2)中、R
3は独立して、水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基であり、
Yは下記式(3)で示される基のいずれかであり、
A
-はアンモニウムイオンの対イオンとなる陰イオンである。)
【化32】
(pは1≦p≦10の整数であり、p1は1≦p1≦10であり、p2は1≦p2≦10の整数であって、ただし、1≦p1+p2≦15である。p3は1≦p3≦10の整数である。p4は1≦p4≦12の整数である。p5は1≦p5≦10の整数である。
R
4は水素原子、または炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、及び炭素数7~10のアリーレン基から選ばれる基である。)
[9]:前記式(2)中のA
-で示される陰イオンを、水酸化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、硝酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸水素イオン、酢酸イオンから選ばれる陰イオンとする上記[8]のゲル化剤の製造方法。
[10]:前記アンモニウム基変性オルガノポリシロキサンとして、下記式(4)で示されるものを用いる上記[8]又は上記[9]のゲル化剤の製造方法。
【化33】
(式(4)中、R
1、R
2、及びnは前記と同じであり、xは0≦x≦100である。)
[11]:前記水膨潤性粘土鉱物として、モンモリロナイト、サポナイト、スメクタイト、ヘクトライト、ナトリウムシリシックマイカ、ナトリウムテニオライトまたはリチウムテニオライトから選ばれる1種以上の水膨潤性粘土鉱物を用いる上記[8]、上記[9]又は上記[10]のゲル化剤の製造方法。
【0125】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。