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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156712
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】磁気治療装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 2/04 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
A61N2/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066227
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592059448
【氏名又は名称】原田電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古田 翼
(72)【発明者】
【氏名】原田 証英
【テーマコード(参考)】
4C106
【Fターム(参考)】
4C106AA05
4C106BB21
4C106CC02
(57)【要約】
【課題】磁気治療効果が高く、患部に適切に沿わせることが可能な磁気式治療装置を提供する。
【解決手段】生体刺激用信号波を生成し、その生体刺激用信号波でコイルに発生させた患部刺激用の磁界を生体の患部に照射して患部および患部周辺の細胞および神経を刺激することで患部の疼痛を治療する磁気治療装置であって、第1の周波数の生体刺激用信号波を生成して出力する信号波出力部を有する装置本体と、前記信号波出力部に信号ケーブルで接続されて、その信号波出力部から出力される前記生体刺激用信号波を供給される一のコイルを有する、前記装置本体と別体に形成されたプローブと、を備え、前記プローブは、変形可能な樹脂で成形された略四辺形の平板であり、上面に前記信号ケーブル引出し用の盛上げ部を有しているものである。盛上げ部内に電子回路部を有することが好ましい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体刺激用信号波を生成し、その生体刺激用信号波でコイルに発生させた患部刺激用の磁界を生体の患部に照射して患部および患部周辺の細胞および神経を刺激することで患部の疼痛を治療する磁気治療装置であって、
第1の周波数の生体刺激用信号波を生成して出力する信号波出力部を有する装置本体と、
前記信号波出力部に信号ケーブルで接続されて、その信号波出力部から出力される前記生体刺激用信号波を供給される一のコイルを有する、前記装置本体と別体に形成されたプローブと、
を備え、
前記プローブは、変形可能な樹脂で成形された略四辺形の平板であり、
上面に前記信号ケーブル引出し用の盛上げ部を有している、磁気治療装置。
【請求項2】
前記プローブは、前記一のコイルを含むコイルが配線されたコイル部と、中央処理ユニットを含む電子回路部と、を有する絶縁性の可撓性薄板を収容しており、
前記電子回路部を覆う保護手段を有する、請求項1に記載の磁気治療装置。
【請求項3】
前記プローブは、前記盛上げ部内に前記電子回路部を有する、請求項2に記載の磁気治療装置。
【請求項4】
前記信号波出力部は、前記第1の周波数とは異なる第2の周波数の生体刺激用信号波も生成して出力し、
前記プローブは、さらに、前記信号波出力部に信号ケーブルで接続されて、その信号波出力部から前記第2の周波数の生体刺激用信号波を供給される他のコイルを有する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の磁気治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体刺激用信号波を生成しその信号波でコイルに発生させた磁界を生体の患部に照射して患部の細胞や神経を刺激することで患部の疼痛を治療する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生体の患部に磁界を照射して患部の細胞や神経を刺激することで患部の疼痛を治療する装置としては従来、例えば特許文献1記載のものが知られており、この治療装置は、筐体内に螺旋状の高周波用コイルと低周波用コイルとを互いに並べて配置し、あるいは筐体内にループ状の高周波用コイルと低周波用コイルとを互いに重ねて配置して、それらのコイルを発信回路および電池と一緒に筐体内に収容することで、携帯可能に構成されている。
【0003】
そしてこの治療装置は、発信回路から出力する一定周波数の高周波信号および低周波信号でそれら高周波用コイルおよび低周波用コイルにそれぞれ磁界を発生させ、その筐体を生体の患部にあてがうことで磁界を患部に照射して患部の細胞や神経を刺激し、その刺激で患部の自己修復機能を活性化し、当該細胞、組織を修復することで患部の疼痛を治療する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/056414号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、高周波用コイルと低周波用コイルとを発信回路および電池と一緒に筐体内に収容しているので、それらのコイルで発生した磁界を患部に照射するためには筐体を患部にあてがう必要があり、筐体が嵩張って邪魔になったり衣類に引っかかって患部から脱落したりするという不都合があった。
【0006】
そしてこの課題の解決のために筐体を小さくすると、発信回路および電池も小さなものにする必要があって、十分な磁界強度や稼働時間が得られなくなるという新たな課題が招じることが判明した。
【0007】
磁気治療装置のプローブは、人体の腕や足といった患部に接し、沿わせるように変形する必要があり、製造過程においても歩留まりよく製造できるように設計する必要がある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、磁気治療効果が高く、患部に適切に沿わせることが可能な磁気式治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を有利に解決する本発明にかかる磁気治療装置は、生体刺激用信号波を生成し、その生体刺激用信号波でコイルに発生させた患部刺激用の磁界を生体の患部に照射して患部および患部周辺の細胞および神経を刺激することで患部の疼痛を治療する磁気治療装置であって、第1の周波数の生体刺激用信号波を生成して出力する信号波出力部を有する装置本体と、前記信号波出力部に信号ケーブルで接続されて、その信号波出力部から出力される前記生体刺激用信号波を供給される一のコイルを有する、前記装置本体と別体に形成されたプローブと、を備え、前記プローブは、変形可能な樹脂で成形された略四辺形の平板であり、上面に前記信号ケーブル引出し用の盛上げ部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明の磁気治療装置にあっては、装置本体が有する信号波出力部が生体刺激用信号波(第1の周波数)を生成して出力し、装置本体と別体に形成されたプローブが有する一のコイルが信号波出力部に信号ケーブルで接続されて、その信号波生成部から出力される生体刺激用信号波を供給され、その生体刺激用信号波で患部刺激用交番磁界を発生させる。
【0011】
したがって、この発明の磁気治療装置によれば、装置本体とは別体のプローブを生体の患部にあてがうことで、一のコイルで発生した、例えば高周波の患部刺激用交番磁界を患部に照射して患部および患部周辺の細胞および神経を刺激し、その刺激によって例えば患部の損傷した神経を活性化し自己修復により、患部の神経障害を軽減させることが期待できる。
【0012】
しかも、この発明の磁気治療装置によれば、前記プローブは、変形可能な樹脂で成形された略四辺形の平板であり、上面に前記信号ケーブル引出し用の盛上げ部を有しているので、患部に適切に沿わせるようにプローブを変形できるとともに、信号を送受信するケーブルをしっかりとプローブに接続できるのでプローブの耐久性が高くなる。
【0013】
なお、この発明の磁気治療装置においては、前記一のコイルを含むコイルが配線されたコイル部と、中央処理ユニットを含む電子回路部と、を有する絶縁性の可撓性薄板を収容しており、前記電子回路部を覆う保護手段を有することが、プローブを樹脂成形する段階で電子回路部を保護でき、製造時の歩留まりが向上するので好ましい。
【0014】
また、この発明の磁気治療装置においては、ケーブル引出し用の盛上げ部内に電子回路部を有すると効率的にプローブが製造できて好ましい。
【0015】
また、この発明の磁気治療装置においては、前記信号波出力部は、上記とは異なる周波数(第2の周波数)の生体刺激用信号波も生成して出力し、前記プローブは、前記信号波出力部に信号ケーブルで接続されて、その信号波出力部から出力される前記異なる周波数の生体刺激用信号波を供給される他のコイルも有するものであってもよい。このようにすれば、前記異なる周波数の生体刺激用信号波によって他のコイルで発生した、たとえば、患部刺激用の低周波の交番磁界を患部に照射して与えた刺激が、感覚神経(Aβ線維:触覚)を伝って脊髄後角から脳(感覚野)へ到達するので、脳が触覚の快さを認識し、下行性痛覚抑制系を賦活させて鎮痛効果やリラックス効果をもたらすことも期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態にかかる磁気治療装置の全体概念図である。
図2】上記実施形態にかかる磁気治療装置のプローブを示す模式図であって、(a)は上面図を表し、(b)は背面図を表し、(c)はA-A断面図を表す。
図3】上記実施形態にかかる磁気治療装置のコイル配置を示すプリント配線図であって、(a)は上面図を表し、(b)は下面図を表す。
図4】上記実施形態にかかる磁気治療装置において、プローブの電子回路部の保護状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。なお、図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0018】
本発明の一実施形態にかかる磁気治療装置の全体概念図を図1に示す。以後の図中、符号1はこの実施形態の磁気治療装置が備える装置本体を示し、符号11は、プローブを示し、符号21は信号ケーブルを示す。また、装置本体1に着脱可能に差し込み装着される図示しない電源ケーブルを備えている。
【0019】
この実施形態の磁気治療装置の装置本体1は、樹脂製のケーシング2と、そのケーシング2内の前部に斜め上向きに収容されてケーシング2の前面の開口部から露出するタッチパネル式のディスプレイ3と、そのケーシング2内の後部の上側に収容された信号波出力部と、そのケーシング2内の後部の下側に収容された電源部とを有している。なお、装置本体1のケーシング2の前面の開口部の下側の左右にはアラーム停止ボタンと電源スイッチボタンが設けられている。そして、それらのボタンのさらに下側には、装置本体1への3つのプローブ11の接続を可能にするために、信号ケーブル21のプラグ用のソケットが、横並びに3個設けられている。
【0020】
図2は、この実施形態の磁気治療装置のプローブ11の上面図(a)、背面図(b)およびA-A断面図(c)である。この実施形態では、プローブ11は略四辺形の柔軟な素材の外装12と、電気回路等を保護する目的で角錐台状に盛った、信号ケーブル21引出し用の盛上げ部13とを持っている。
【0021】
図2(c)に示すように、プローブ11は、コイルや電気回路を配置したプリント基板である可撓性薄板14をエラストマーやゴム材料などの樹脂の外装12内に収容している。
【0022】
図3はこの実施形態の磁気治療装置のコイル配置を示すプリント配線図であって、上面図(a)および下面図(b)を表す。プリント基板14上に電子回路部13a、第1の周波数を出力する一のコイルとして高周波出力用コイル15、磁界強度検出用コイル16、第2の周波数を出力する他のコイルとして低周波出力用コイル17などが配置されている。この実施形態では、プリント基板14の上面に、高周波出力用コイル15を環状円板とし、その外側に磁界強度検出用コイル16を円環状として、配置している。また、高周波出力用コイル15の内側に渦巻き状の低周波出力用コイル17を配置している。高周波出力用コイル15および低周波出力用コイル17はプリント基板14の下面にも配置しており、それぞれ面対称に構成して、高周波電流および低周波電流がそれぞれ上下両面で同じ向きに流れるように配置している。そうすることで、上下両面のコイルが発生する磁界の中心を一致させることができる。プリント基板14の高周波出力用コイル15と低周波出力用コイルとの間には、スリット部18を設け、プローブ11の変形時にプリント基板14の追随が容易になっている。また、スリット部18の円周上の複数個所がブリッジ部19でつながっており、プリント基板14を樹脂成形で覆う際に、安定して成形できるようになっている。なお、高周波出力用コイル15、磁界強度検出用コイル16および低周波出力用コイルを環状形態に替えて、方形状としてもよい。
【0023】
プローブ11は、略四辺形、特に、略矩形の平板とすることが、患部である人の四肢に取り付けやすく、テープで固定しやすい。プローブ11の大きさは、四辺形としての辺WやLが25~75mmの範囲であると、たとえば、腕を約半周沿わせることができるので、治療効果が高い。また、厚みtは0.2~5mmの範囲が好ましい。厚みの下限は、プリント基板上の配線の絶縁性やプローブの摩耗を考慮した寿命から定めることが好ましい。厚みの上限は、人力で適度に変形できることから定めることが好ましい。
【0024】
プローブ11は射出成形やRIM成形などの樹脂成形によって製造することができる。図4に電子回路部13aを保護する様子を斜視図で示す。電子回路部13aを保護するモールド13bは、たとえば、耐熱性シリコーン系樹脂を用いることができる。プローブ11を樹脂成形するにあたり、コイル部を外装12の平板上とし、電子回路部13aを保護したモールド13bを信号ケーブル21引出し用の盛上げ部13とすることにより、平板状外装12の変形が容易であるとともに、電子回路部13aは、厚みがあり、剛性をもつ盛上げ部13によって変形に対し保護される。したがって、プローブの変形容易性と寿命向上の両立を図ることができる。
【0025】
この実施形態の磁気治療装置では、装置本体1は機能的には、信号波出力部と、画面制御部と、電源部とを有す。この実施形態での信号波出力部は、複数の中央処理ユニット(CPU)を用いて回路構成され、基本高周波信号生成部で100MHz以上の基本高周波信号を生成し、基本高周波信号シフト部でその基本高周波信号を、たとえば、250MHzを中心周波数として、その±10%である225MHzから275MHzまでの範囲内で、航空機用救命無線機で使用している周波数帯を除外しつつ、一定時間としての例えば0.00014秒(即ち、約7000回/秒)ごとに適度にシフト(変動)させて、そのシフトさせた基本高周波信号を基本高周波信号周波数変調部に出力する。周波数の上限は特に限定するものではないが、400MHz程度が磁気治療の効果の面から好ましい。
【0026】
信号波出力部は、また、カードスロットなどに装着されたSDカードなど外部記憶装置または内蔵された記憶装置にあらかじめ記録された、音楽等の音源信号を含む磁気信号パターンを磁気信号パターン読出し部でそのSDカードなどから読み出して生体刺激用低周波信号生成部に供給し、生体刺激用低周波信号生成部はその磁気信号パターンの周波数情報(例えば1kHz以上かつ3kHz以下)から生体刺激用低周波信号を生成し、その生体刺激用低周波信号を基本高周波信号周波数変調部に出力する。
【0027】
そして基本高周波信号周波数変調部は、基本高周波信号生成部で生成して基本高周波信号シフト部で周波数シフトさせた、たとえば、250MHz±10%の基本高周波信号を、生体刺激用低周波信号生成部で生成した例えば1kHz以上かつ3kHz以下の生体刺激用低周波信号で周波数変調して生体刺激用高周波信号出力部に供給し、生体刺激用高周波信号出力部はその周波数変調された生体刺激用高周波信号を増幅して出力する。なお、生体刺激用高周波信号出力部はその周波数変調された生体刺激用高周波信号を上記生体刺激用低周波信号で振幅変調した後に増幅して出力してもよい。また、生体刺激用低周波信号出力部は、生体刺激用低周波信号生成部で生成した、たとえば、1kHz以上かつ3kHz以下の生体刺激用低周波信号を増幅して出力してもよい。信号波出力部におけるこれらの動作は、動作状態制御部によって制御する。
【0028】
この実施形態でのプローブ11は、フレキシブルプリント配線基板を収容しており、そのフレキシブルプリント配線基板上にはプリント配線で、外側に高周波出力用コイル15が形成されるとともに内側に低周波出力用コイル17が形成されている。加えて高周波出力用コイル15の外側に磁界強度検出用コイル16が形成されている。さらにそのフレキシブルプリント配線基板上に実装された温度検出素子とCPUとを用いて動作状態検出部が回路構成されている。高周波出力用コイル15は、生体刺激用高周波信号出力部から信号ケーブル21を介して供給される生体刺激用高周波信号で患部刺激用高周波交番磁界を発生させる。低周波出力用コイル17は、生体刺激用低周波信号出力部から信号ケーブル21を介して供給される生体刺激用低周波信号で患部刺激用低周波交番磁界を発生させてもよい。
【0029】
そして動作状態検出部は、温度検出素子が検出したそれら高周波出力用コイル15および低周波出力用コイル17の温度と磁界強度検出用コイル16で検出した高周波または低周波の磁界強度とから信号波出力部の動作状態を検出し、その動作状態を示す信号を、信号ケーブル21を介して信号波出力部の動作状態監視部に入力する。この動作状態を示す信号によって動作状態監視部は、信号波出力部の信号波生成・出力等の動作ひいては高周波出力用コイル15および低周波出力用コイル17で発生させる交番磁界のレベルを監視し、異常を検出した場合はアラーム制御部によってアラーム信号(例えば、装置本体1が内蔵する図示しないスピーカでのアラーム音の鳴動、ディスプレイ3へのアラームメッセージの表示など)を出力する。なお、このアラーム音の鳴動は、装置本体1のケーシングの前面の上記アラーム停止ボタンの操作で停止する。また、異常を検出すると即時に、動作状態制御部が当該磁気治療装置の使用者の安全確保のため、高周波信号出力部から高周波出力コイル15への生体刺激用高周波信号の供給と生体刺激用低周波信号出力部から低周波出力コイル17への生体刺激用低周波信号の供給とを停止させる。
【0030】
この実施形態での画面制御部は、グラフィック処理ユニット(GPU)等を用いて回路構成され、画像表示部で、カードスロットなどに装着されたSDカードなどの外部記憶装置にあらかじめ記録されたタッチ入力式ディスプレイ3の液晶ディスプレイ(LCD)などに表示させる指示ボタン等の画面情報をSDカードなどから読み出してそのLCDなどに表示させる。さらに、指示入力部で、当該磁気治療装置の使用者の指がタッチ入力式ディスプレイ3のタッチパネルにタッチした位置をその位置の静電気の変化等から検出し、そのタッチ位置に対応してLCDなどに表示させている操作ボタンによる指示入力を示す信号を動作状態制御部に送る。この指示入力を示す信号によって動作状態制御部は、信号波出力部の信号波生成・出力等の動作ひいては高周波出力用コイル15および低周波出力用コイル17で発生させる交番磁界等を使用者の指示に合わせて制御する。
【0031】
画面制御部はまた、LCDなどに表示させている操作ボタンによる指示入力部への指示入力とその際の信号波出力部の動作状態とを記録したログを作成し、そのログの情報を、ケーシング2の後部下側の突出部内のUSBメモリスロットに突出部の上面側から抜き差し可能に装着された図示しないUSBメモリ内に保存し、さらに、画像表示部でLCDなどに時計を表示させる時計機能を持ち、その時計機能を電池ホルダに装着されたボタン電池で維持する。
【0032】
この実施形態での電源部は、図示しないCPUおよび二台のAC-DCコンバータにより回路構成される。そして、図示しない電源ケーブルを介して供給される100Vの商用交流電源を、上記二台のAC-DCコンバータで所定の直流電源を得て、それらの直流電源を直列接続することでバッテリの充電電圧を得てバッテリを充電するとともに、それらの直流電源からスイッチング電源およびリニアレギュレータで降圧した所定の直流電源を、装置本体1の信号波出力部および画面制御部とプローブ11の動作状態検出部とに、それぞれに必要な電圧の直流電源として供給する。
【0033】
そして電源部は、電源ケーブルを装着されていない当該磁気治療装置の通常の使用時には、バッテリからの直流電源を装置本体1の信号波出力部および画面制御部とプローブ11の動作状態検出部とに、スイッチング電源およびリニアレギュレータでそれぞれに必要な直流電圧に降圧して供給することで、当該磁気治療装置を携帯して使用可能なものとする。
【0034】
この実施形態の磁気治療装置にあっては、装置本体1が有する信号波出力部の基本高周波信号生成部、基本高周波信号シフト部および基本高周波信号周波数変調部が生体刺激用高周波信号を生成して生体刺激用高周波信号出力部が出力し、装置本体1と別体に形成されたプローブ11が有する高周波出力用コイル15が信号波出力部の生体刺激用高周波信号出力部に信号ケーブル21で接続されて、その生体刺激用高周波信号出力部から出力される、たとえば、250MHzを中心周波数とする生体刺激用高周波信号を供給され、その生体刺激用高周波信号で患部刺激用高周波交番磁界を発生させる。
【0035】
したがって、この実施形態の磁気治療装置によれば、装置本体1とは別体のプローブ11を生体の患部にあてがうことで、高周波出力用コイル15で発生した高周波交番磁界を患部に照射して患部の細胞や神経を刺激し、その刺激によって例えば患部の損傷した感覚細胞を活性化させて神経栄養因子を誘導し、患部の神経障害を軽減させることが期待でき、その中心の250MHzの高周波交番磁界は損傷した感覚細胞を活性化させて神経栄養因子を誘導する作用が高いので、患部の神経障害を軽減させる効果を高めることが期待できる。
【0036】
さらに、この実施形態の磁気治療装置によれば、装置本体1が有する信号波出力部の生体刺激用低周波信号生成部が磁気信号パターンの周波数情報(例えば1kHz以上かつ3kHz以下)から生体刺激用低周波信号を生成して、生体刺激用低周波信号出力部がその生体刺激用低周波信号を出力し、プローブ11が有する低周波出力用コイル17が、信号波出力部の生体刺激用低周波信号出力部に信号ケーブル21で接続されてその生体刺激用低周波信号出力部から生体刺激用低周波信号を供給されることから、その生体刺激用低周波信号によって低周波出力用コイル17で発生した患部刺激用の低周波交番磁界を患部に照射して与えた刺激が、感覚神経(Aβ線維:触覚)を伝って脊髄後角から脳(感覚野)へ到達するので、脳が触覚の快さを認識し、下行性痛覚抑制系を賦活させて鎮痛効果やリラックス効果をもたらすことも期待できる。
【0037】
さらに、この実施形態の磁気治療装置によれば、装置本体1が有する信号波出力部13の基本高周波信号変調部が、信号波出力部が生成した生体刺激用低周波信号で基本高周波信号を周波数変調して生体刺激用高周波信号を生成し、生体刺激用高周波信号出力部がその周波数変調された生体刺激用高周波信号をプローブ11の高周波出力用コイル15に供給することから、生体刺激用低周波信号で周波数変調された生体刺激用高周波信号によって高周波出力用コイル15で発生した患部刺激用の高周波交番磁界で患部の細胞や神経を刺激することで、患部の損傷した感覚細胞を周波数変調がない場合よりも活性化させて神経栄養因子をより多く誘導し、患部の神経障害をより軽減させることが期待できる。
【0038】
さらに、この実施形態の磁気治療装置によれば、装置本体1が有する信号波出力部は生体刺激用低周波信号も生成して出力し、プローブ11は信号波出力部に信号ケーブル21で接続されて、その信号波出力部から生体刺激用低周波信号を供給される低周波出力用コイル17も有し、信号波出力部は生体刺激用低周波信号で基本高周波信号を周波数変調して生体刺激用高周波信号を生成して、生体刺激用低周波信号とは別個に出力することから、生体刺激用低周波信号によって低周波出力用コイル17で発生した患部刺激用の低周波交番磁界で鎮痛効果やリラックス効果をもたらすとともに、生体刺激用低周波信号で基本高周波信号を周波数変調した生体刺激用高周波信号によって高周波出力用コイル15で発生した患部刺激用高周波交番磁界で患部の神経障害をより軽減させることが期待できる。
【0039】
そして、この実施形態の磁気治療装置によれば、生体刺激用低周波信号の周波数は1kHz以上かつ3kHz以下であり、その生体刺激用低周波信号によって低周波出力用コイル17で発生する1kHz以上かつ3kHz以下の低周波交番磁界による刺激は特に、感覚神経を伝って脊髄後角から脳へ伝導し易いことから、より高い鎮痛効果やリラックス効果等の神経系を介した効果をもたらすことが期待できる。
【0040】
以上、図示の実施形態に基づいて説明したが、この発明の磁気治療装置は上述の実施形態に限定されるものでなく特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができ、例えば、基本高周波信号シフト部は、250MHzの基本高周波信号を、たとえば、250MHz±20%の範囲内でシフトさせてもよい。
【0041】
また、たとえば、生体刺激用低周波信号生成部は、1kHz以上かつ3kHz以下と異なる周波数範囲、例えば1.6kHzを中心周波数として200Hz以上かつ3kHz以下の周波数範囲の生体刺激用低周波信号を生成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の磁気式治療装置は、装置本体に収容された信号波生成部が、高周波および低周波の生体刺激用信号波を生成し、その装置本体とは別体のプローブを生体の患部に沿うようにあてがうことで、高周波用コイルおよび低周波用コイルで発生した高周波交番磁界を患部に照射して患部の細胞や神経を刺激し、その刺激によって例えば患部の損傷した神経、細胞の自己修復機能を活性化することで患部の神経障害を軽減することが期待できる。
【0043】
しかも、この発明の磁気式治療装置によれば、プローブを変形可能な樹脂で成形された略四辺形の平板とし、電子回路部の上面に信号ケーブル引出し用の盛上げ部を設けて保護したので、プローブの変形容易性と寿命向上の両立を図ることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 磁気治療装置の本体
2 ケーシング
3 ディスプレイ
11 磁気治療装置のプローブ
12 外装
13 信号ケーブル引出し用の盛上げ部
13a 電子回路部
13b 電子回路部保護のためのモールド
14 可撓性薄板(プリント基板)
15 高周波出力用コイル(一のコイル)
16 磁界強度検出用コイル
17 低周波出力用コイル(他のコイル)
18 スリット部
19 ブリッジ部
21 信号ケーブル
図1
図2
図3
図4