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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156726
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 21/08 20060101AFI20231018BHJP
   F16L 15/08 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
F16L21/08 B
F16L15/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066255
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】寺田 孝
(72)【発明者】
【氏名】林 直輝
【テーマコード(参考)】
3H015
【Fターム(参考)】
3H015FA06
(57)【要約】
【課題】雄ねじを有するねじ管と金属管とを連結する管継手において、雄ねじと継手本体を螺合する際に必要なトルクを抑制でき、かつ、継手本体に挿し込まれる金属管の抜け止めをすることができる管継手を提供する。
【解決手段】本発明の管継手は、軸線方向一端側からねじ管が挿入され、軸線方向他端側から金属管が挿入される筒状の継手本体2と、継手本体の内部に設けられる中間部材3と、継手本体の内部に設けられるロックリング4と、を備え、継手本体は、軸線方向一端部にねじ管の雄ねじが螺合可能な雌ねじ部111を有し、中間部材は、軸線方向一端部に、雌ねじ部に螺合したねじ管と接して圧接シールを形成するねじ圧接シール部311を備え、ロックリングは、径内方かつ軸線方向一端側に向かって延伸するロック爪を備え、継手本体に挿入された金属管の外周面にロック爪が係止して、金属管の継手本体からの引き抜きを規制するよう構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄ねじを有するねじ管と金属管とを連結する管継手であって、
軸線方向一端側から前記ねじ管が挿入され、軸線方向他端側から前記金属管が挿入される筒状の継手本体と、
前記継手本体の内部に設けられる中間部材と、
前記継手本体の内部に設けられるロックリングと、を備え、
前記継手本体は、軸線方向一端部に前記ねじ管の前記雄ねじが螺合可能な雌ねじ部を有し、
前記中間部材は、軸線方向一端部に、前記雌ねじ部に螺合した前記ねじ管と接して圧接シールを形成するねじ圧接シール部を備え、
前記ロックリングは、径内方かつ軸線方向一端側に向かって延伸するロック爪を備え、
前記ロックリングは、前記継手本体に挿入された前記金属管の外周面に前記ロック爪が係止して、前記金属管の前記継手本体からの引き抜きを規制するよう構成される管継手。
【請求項2】
前記継手本体は、前記中間部材の軸線方向他端部に対して軸線方向他端側に配置されて前記中間部材の軸線方向他端部に対向する中間当接面を備え、
前記中間部材の軸線方向他端部と前記継手本体の前記中間当接面との間に、該間からの流体漏れを防止する圧接シールが形成される請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記ロックリングは、前記継手本体及び前記中間部材に対して相対回動可能に設けられる請求項1又は2に記載の管継手。
【請求項4】
前記中間部材は、前記雄ねじの前記雌ねじ部への螺合によって軸線方向一端側から他端側に移動し、前記継手本体に当接して圧接シールを形成するよう構成される請求項1又は2に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄ねじを有するねじ管と金属管とを連結する管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のような管継手が知られている。管継手は、外周面に雄ねじが形成され、先端部に先端縮径勾配面が設けられるフレア継手本体と、基端側に前記雄ねじが螺着可能な雌ねじを有し、先端側の内周面に先端側が縮径するように設けられる先端縮径テーパ部を有する筒状の袋ナットと、袋ナットの内部に収納可能であり、先端に爪部を有する筒状のストップリングと、を備える。また、管継手は、袋ナットにストップリングを収納した状態で、フレア継手本体を雌ねじに螺合して先端側に進めると、先端縮径勾配面がストップリングの基端側圧接勾配面に接して、ストップリングを先端側に押すことができるように構成され、ストップリングは、先端に押されると、爪部の外周面が先端縮径テーパ部に接して縮径方向の塑性変形するように構成されている。
【0003】
以上のような構成の管継手によれば、袋ナットの先端側から基端側に外周面がストレート形状のパイプを挿し込んだ状態でフレア継手本体を袋ナットに螺合することで、ストップリングの爪部が縮径方向の塑性変形をしてパイプの外周面に食い込み、パイプが局所的に縮径変形する。よって、パイプの袋ナットからの抜け止めをすることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-8888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のような管継手では、フレア継手本体でストップリングを押して爪部がパイプの外周面に食い込ませる必要があるため、フレア継手本体(雄ねじ)の袋ナット(継手本体)に対する螺合において大きなトルクが必要になり、作業性が悪くなることがあった。
【0006】
そこで本発明は、雄ねじを有するねじ管と金属管とを連結する管継手において、雄ねじと継手本体を螺合する際に必要なトルクを抑制でき、かつ、継手本体に挿し込まれる金属管の抜け止めをすることができる管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の管継手は、雄ねじを有するねじ管と金属管とを連結する管継手であって、軸線方向一端側から前記ねじ管が挿入され、軸線方向他端側から前記金属管が挿入される筒状の継手本体と、前記継手本体の内部に設けられる中間部材と、前記継手本体の内部に設けられるロックリングと、を備え、前記継手本体は、軸線方向一端部に前記ねじ管の前記雄ねじが螺合可能な雌ねじ部を有し、前記中間部材は、軸線方向一端部に、前記雌ねじ部に螺合した前記ねじ管と接して圧接シールを形成するねじ圧接シール部を備え、前記ロックリングは、径内方かつ軸線方向一端側に向かって延伸するロック爪を備え、前記ロックリングは、前記継手本体に挿入された前記金属管の外周面に前記ロック爪が係止して、前記金属管の前記継手本体からの引き抜きを規制するよう構成される。
【0008】
かかる構成によれば、ロックリングによって金属管の継手本体からの引き抜きが規制されるので、ねじ管の雄ねじを継手本体に螺合する際に必要なトルクを抑制しつつ、金属管の継手本体からの抜け止めをすることができる。
【0009】
また、前記継手本体は、前記中間部材の軸線方向他端部に対して軸線方向他端側に配置されて前記中間部材の軸線方向他端部に対向する中間当接面を備え、前記中間部材の軸線方向他端部と前記継手本体の前記中間当接面との間に、該間からの流体漏れを防止する圧接シールが形成されるよう構成することもできる。
【0010】
かかる構成によれば、中間部材の軸線方向他端面と中間当接面の間に圧接シールが形成されるので、中間部材と継手本体の間から流体が外部に漏洩することを抑制できる。
【0011】
また、前記ロックリングは、前記継手本体及び前記中間部材に対して相対回動可能に設けられることもできる。
【0012】
かかる構成によれば、ロックリングが継手本体及び中間部材に対して相対回動可能であるので、ロックリング及びロックリングが係止した金属管を継手本体に対して相対回動さることができるため、管継手を使用しやすい。
【0013】
また、前記中間部材は、前記雄ねじの前記雌ねじ部への螺合によって軸線方向一端側から他端側に移動し、前記継手本体に当接して圧接シールを形成するよう構成することもできる。
【0014】
かかる構成によれば、ねじ管の雄ねじを雌ねじ部に螺合させることで中間部材と継手本体の圧接シールが形成されるので、継手本体と中間部材の間を簡便にシールすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、雄ねじを有するねじ管と金属管とを連結する管継手において、雄ねじと継手本体を螺合する際に必要なトルクを抑制でき、かつ、継手本体に挿し込まれる金属管の抜け止めをすることができる管継手を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一の実施形態に係る管継手の部分断面図である。
図2図1に示すII部拡大図である。
図3a】同実施形態における当接工程を示す図である。
図3b】同実施形態における圧接シール工程を示す図である。
図3c】同実施形態における金属管挿入工程を示す図である。
図4図3cに示すIV部拡大図である。
図5a】圧接シール完成前の状態を示す拡大図である。
図5b】圧接シール完成後の状態を示す拡大図である。
図6】本発明の第二の実施形態に係る管継手の部分断面図である。
図7図6に示すVII部拡大図である。
図8】本発明の第三の実施形態に係る管継手の部分断面図である。
図9図8に示すIX部拡大図である。
図10】本発明の第四の実施形態に係る管継手の部分断面図である。
図11a】同実施形態における当接工程を示す図である、
図11b】同実施形態における金属管挿入工程を示す図である。
図11c】同実施形態における圧接シール工程を示す図である。
図12a】同実施形態における圧接シール工程前の状態を示す拡大図である。
図12b】同実施形態における圧接シール工程後の状態を示す拡大図である。
図13】本発明の他の実施形態に係る管継手を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第一の実施形態に係る管継手1について図1乃至図5を参照して説明する。
【0018】
図1に示すように、管継手1は、金属製で筒状の継手本体2と、金属製で継手本体2の内部に設けられる中間部材3と、継手本体2の内部に設けられる金属製のロックリング4と、を備える。このような管継手1は、雄ねじP11を有するねじ管P1と金属管P2とを連結するために用いられ(図3(c)参照)、本実施形態では、継手本体2の軸線方向一端側からねじ管P1が挿入され、軸線方向の他端側から金属管P2が挿入される。このような管継手1は、ねじ管P1と金属管P2を連結した状態で、流体(例えば、冷媒や医療ガスなどの気体や、液体)が内部に流れる。
【0019】
説明の便宜上、まず、図3を参照してねじ管P1及び金属管P2について説明する。ねじ管P1は、軸線方向他端部の外周面が先細り形状のテーパ面である圧接テーパ面P12として構成され、圧接テーパ面P12の軸線方向一端側の外周面に雄ねじP11が形成された管状体である。また、ねじ管P1は、少なくとも軸線方向他端部(継手本体2に挿入される部分)が金属製の管状体である。このようなねじ管P1は、例えば、空調機の室外機や、給湯器などに設けられる。また、金属管P2は、少なくとも軸線方向一端部(具体的には、管継手1に挿し込まれる部分)がストレート形状に形成された金属製の管状体であり、例えば、銅管やアルミ管である。このような金属管P2は、配管の都合など必要に応じて軸線方向の途中部分において軸線を曲げるように変形させて使用される。
【0020】
図1に示すように、継手本体2は、軸線方向一端部を構成し、ねじ管P1の雄ねじP11が螺合可能な雌ねじ部111が形成されたねじ挿入部11と、軸線方向他端部を構成し、金属管P2の外周面と継手本体2の内周面の間をシールするためのシールリング5が設けられるシールリング収容部12と、ねじ挿入部11及びシールリング収容部12の間に設けられ、中間部材3が内部に収容される中間部材収容部13と、を備え、シールリング収容部12及び中間部材収容部13によって、軸線方向他端側から挿入された金属管P2を収容可能な挿入空間S1を形成する。ねじ挿入部11は、内周面に雌ねじ部111が設けられた筒状の部位であって、内部にねじ管P1の雄ねじP11を収容するねじ収容空間S2を形成する。また、継手本体2は、工具(例えばスパナ)が係合可能な操作部14を外周面に有し、本実施形態で操作部14は、ねじ挿入部11の外周面に設けられる。
【0021】
シールリング収容部12は、金属管P2の外周面と継手本体2(シールリング収容部12)の内周面の間をシールするためのシールリング5を内部に収容する空間が形成された筒状の部位であり、本実施形態では、シールリング5を収容するための空間が複数形成されている。具体的に、シールリング収容部12には、内周面において径外方に凹となるように形成された第一収容凹部121及び第二収容凹部122が軸線方向に離間して設けられており、第一収容凹部121及び第二収容凹部122は、それぞれシールリング5を収容可能である。
【0022】
中間部材収容部13は、内部に中間部材3を収容可能な筒状の部位であり、継手本体2の軸線方向における中途部分を構成する。また、中間部材収容部13は、筒状で、内周面が中間部材3の外周面と対向する中間収容本体部131と、中間収容本体部131の軸線方向他端部から径内方に延伸する壁体であり、軸線方向一端面(中間当接面135)が中間部材3の軸線方向他端部と対向する中間当接部132と、を備える。
【0023】
中間収容本体部131は、後述する中間部材3の係合部313が係合可能な被係合部133と、中間部材3の外周面及び継手本体2(中間部材収容部13)の内周面の間をシールするシールリング5を収容する第三収容凹部134と、を備える。本実施形態の被係合部133は、中間収容本体部131の内周面において径外方に凹となるように形成された部位であり、中間収容本体部131の内周面に一周に亘って形成されている。また、第三収容凹部134は、中間収容本体部131の内周面において径外方に凹となるように形成され、内部にシールリング5を収容可能である。本実施形態で第三収容凹部134は、被係合部133よりも軸線方向一端側に設けられている。
【0024】
図2に示すように、中間当接部132は、中間収容本体部131から径内方に延伸する壁体であり、軸線方向において、中間部材3の軸線方向他端面と対向する中間当接面135と、後述するロックリング4の軸線方向他端面と対向する継手側ロックリング固定面136と、を有し、継手側ロックリング固定面136は、中間当接面135の径内方の端部と連結されている。中間当接部132は、継手本体2の内周の全周に亘って設けられる環状の壁体である。本実施形態の中間当接面135及び継手側ロックリング固定面136は、平坦で、継手本体2の径方向に沿って延びる面である。本実施形態の中間当接部132は、径内方の端部に、軸線方向一端側に向かって突出するロック補助部137を備える。ロック補助部137は、軸線方向一端面が後述するロックリング4のロック爪43と当接する爪当接面138として構成されている。また、ロック補助部137は、爪当接面138が継手側ロックリング固定面136と連結し、かつ、径内方が軸線方向一端側に位置するような傾斜する面となっている突起である。
【0025】
図1及び図2に示すように、中間部材3は、継手本体2の内部に収容可能な筒状体である。具体的に、中間部材3は、軸線方向一端部を構成する中間本体部31と、軸線方向他端部を構成する中間先端部32と、を備え、中間先端部32及び中間本体部31は一体として構成されている。
【0026】
図1に示すように、中間本体部31は、軸線方向一端部にねじ管P1の圧接テーパ面P12が当接するねじ圧接シール部311と、ねじ圧接シール部311よりも軸線方向他端側に設けられ、継手本体2の軸線方向他端側から挿入された金属管P2の一端面が当接する奥面部312と、継手本体2に設けられた被係合部133に係合可能な係合部313と、軸線方向他端面である中間側ロックリング固定面314(図2参照)と、を備える。奥面部312は、中間部材3の内面に形成された段部であり、金属管P2の一端面が当接可能である。具体的に、奥面部312は、内径が金属管P2の外径よりも小さい環状の段部である。
【0027】
ねじ圧接シール部311は、ねじ管P1の圧接テーパ面P12の形状に即した形状のねじ圧接シール部311を有する。ねじ圧接シール部311は、圧接テーパ面P12に対応する先細り形状に形成されたねじ圧接シール部311の内周面である。ねじ圧接シール部311には、圧接テーパ面P12が密着可能である。
【0028】
係合部313は、中間本体部31の外周面に設けられる、径外方に突出する突起である。本実施形態で係合部313は、ねじ圧接シール部311の径外方に設けられている。係合部313は、継手本体2(具体的には中間収容本体部131)に形成された被係合部133に係合可能な大きさの突起であり、中間本体部31の外周面に一周に亘って延びるように設けられている。
【0029】
図2に示すように、中間側ロックリング固定面314は、中間本体部31の軸線方向他端面であり、外周面から径内方に、径方向に沿って延伸する垂直面314aと垂直面314aの径内方の端部から径内方且つ軸線方向一端側に向かって延びる傾斜面314bと、を備える。このような中間側ロックリング固定面314は、奥面部312よりも軸線方向他端側に位置する。
【0030】
図2に示すように、中間先端部32は、中間部材3の先端部を構成する環状の部材である。また、中間先端部32は、軸線方向一端部が中間側ロックリング固定面314の垂直面314aに連結されており、具体的には、垂直面314aの径外方の端部に連結され、中間先端部32の外周面と中間本体部31の外周面は略面一となるように設けられている。また、中間先端部32は、中間本体部31よりも径方向における厚みが小さい。さらに、中間先端部32は、内周面である対向面32aと、軸線方向他端面である当接シール面32bと、を備える。
【0031】
対向面32aは、中間先端部32の内周面であり、径方向において後述するロックリング4の外周面と径方向で対向する面である。本実施形態の対向面32aは、軸線方向と平行に延びる平坦な面である。本実施形態で、対向面32aの内径は、ロックリング4の外径よりも大きく構成されている。
【0032】
当接シール面32bは、中間先端部32の軸線方向一端面であり、継手本体2の内部において中間当接部132(中間当接面135)に当接する面である。また、当接シール面32bは、中間当接部132(中間当接面135に当接した状態で、さらに軸線方向一端側に押されることで、中間当接部132(中間当接面135)に対して圧接し、圧接シールを形成する。具体的に、当接シール面32bは、中間先端部32の外周面から内周面(対向面32a)に亘って延びる、軸線方向一端側に凸となるような曲面である。
【0033】
中間当接部132、中間先端部32及び中間本体部31によって、ロックリング収容空間S3が形成される。ロックリング収容空間S3は、中間部材3が挿入された継手本体2の内部に形成される、径外方に凹となる空間であり、内周に1周に亘って設けられる空間である。具体的に、ロックリング収容空間S3は、中間側ロックリング固定面314、対向面32a、及び中間当接面135の軸線方向一端面(具体的には継手側ロックリング固定面136及びロック補助部137)によって形成される空間であり、後述するように、1又は複数のロックリング4を収容可能である。
【0034】
図1及び図2に示すように、ロックリング4は、継手本体2の内部に設けられ、継手本体2に挿入された金属管P2の外周面に係止可能な部位であり、金属管P2の継手本体2への挿入を許容し、かつ、金属管P2の外周面に係止して、金属管P2の継手本体2からの引き抜きを規制する。本実施形態でロックリング4は、軸線方向に離間して複数(具体的には2つ)設けられ、複数のロックリング4の間にはスペーサ6が設けられる。具体的に、ロックリング4は、環状のリング部41と、リング部41から径内方に延びる板状の爪基部42と、爪基部42の径内方の端部から径内方且つ軸線方向一端側に向かって延びる板状のロック爪43と、を備える。本実施形態のリング部41は、閉じた円環状の部位であり、ロックリング4の径方向における外端部を構成し、外径は対向面32aの内径よりも小さく構成されている。また、本実施形態のロックリング4は、金属製である。
【0035】
爪基部42は、リング部41の内周面から径内方に向かって延びる板状の部位であり、本実施形態では、径方向に沿って延びる。また、爪基部42は、内径が金属管P2の外径よりも小さく構成されている。このような爪基部42は、リング部41の周方向に離間して複数設けられている。
【0036】
ロック爪43は、径外方の端部が爪基部42の径内方の端部に連結され、径内方の端部が金属管P2の外周面に対して係止可能な爪である。本実施形態のロック爪43は、自然状態における内径が金属管P2の外径よりも小さく構成されており、軸線方向他端側から挿入された金属管P2の外周面によって径内方から押されることで径外方且つ軸線方向一端側に移動するように爪基部42に連結されている。
【0037】
スペーサ6は、軸線方向に離間して配置されたロックリング4の間に設けられる筒状の部位であり、外径はロックリング4の外径と略等しく、内径は金属管P2の内径よりも大きい。また、スペーサ6は、径内方の端部に、軸線方向一端側に向かって突出するスペーサ側ロック補助部61を備える。スペーサ側ロック補助部61は、軸線方向一端面が後述するロックリング4のロック爪43と当接するスペーサ側爪当接面61aとして構成されている。
【0038】
以上のような管継手1では、ねじ管P1及び金属管P2が継手本体2に挿入される前に継手本体2に対してロックリング4及び中間部材3を組付けた状態とされる。具体的に、ロックリング4及び中間部材3は、継手本体2の軸線方向一端側から他端側に向かって、中間当接部132に当接するまで挿入される。中間部材3の係合部313が継手本体2の被係合部133に係合することで、中間部材3の継手本体2からの抜け止めがされる。以上のように中間部材3及びロックリング4が継手本体2に組付けられる。
【0039】
中間部材3及びロックリング4が継手本体2に組付けられると、中間部材3及び継手本体2によってロックリング収容空間S3が形成され、ロックリング4及びスペーサ6は、ロックリング収容空間S3に収容された状態となる。ここで、ロックリング4は、ロックリング収容空間S3に収容された状態において、中間部材3の軸線方向一端部よりも他端側の位置に配置されており、また、奥面部312よりも軸線方向他端側に配置されている。本実施形態でロックリング4は、中間本体部31よりも軸線方向他端側に配置される。さらに、ロックリング4は、ロックリング収容空間S3に収容された状態において、中間部材3の径内方に配置され、具体的には、中間部材3の外周面よりも径内方に配置される。本実施形態で、ロックリング4は、中間部材3の径内部分に形成される凹部(ロックリング収容空間S3)の周面(具体的には対向面32a)よりも径内方に配置されている。
【0040】
また、ロックリング収容空間S3は、径方向における幅が、ロックリング4の径方向長さよりも大きく、かつ、軸線方向における幅が、複数のロックリング4及びスペーサ6の軸線方向における厚みの合計よりも大きい。よって、ロックリング4は、ロックリング収容空間S3内で、中間部材3及び継手本体2に対して軸線方向に延びる軸回りに相対回動可能である。
【0041】
以上のような管継手1を用いてねじ管P1及び金属管P2を連結する方法について図3を参照して説明する。本実施形態では、(1)当接工程、(2)圧接シール工程、(3)金属管挿入工程を順に実行する。
【0042】
図3(a)に示すように、(1)当接工程は、ねじ管P1を継手本体2の軸線方向一端部から他端側に向かって挿入し、雄ねじP11を雌ねじ部111に螺合する工程である。具体的に、当接工程では、例えば手締めで継手本体2をねじ管P1に対して相対回動させて、ねじ管P1の雄ねじP11と継手本体2の雌ねじ部111を螺合させ、ねじ管P1を軸線方向他端側に移動させる。また、当接工程では、ねじ管P1の軸線方向他端面(圧接テーパ面P12)が中間部材3の軸線方向一端面(ねじ圧接シール部311)に当接するまでねじ管P1を継手本体2に螺合する。当接工程が完了すると、圧接テーパ面P12とねじ圧接シール部311が当接した状態となり、且つ、中間部材3がねじ管P1によって軸線方向他端側に押されて、中間先端部32の当接シール面32bが中間当接面135に当接した状態となる。
【0043】
また、当接工程が完了すると、ねじ管P1によって、中間部材3の軸線方向一端側への移動が規制され、中間部材3が継手本体2及びロックリング収容空間S3に収容されたロックリング4が継手本体2の内部に固定された状態となる。ここで、ロックリング4は、当接工程を実行する前、当接工程が完了した状態、及び、後述する圧接シール工程が完了した状態、のいずれの状態においても、中間部材3及び継手本体2に対して、軸線方向に延びる軸回りに相対回動可能である。
【0044】
図3(b)に示すように、圧接シール工程は、中間部材3に当接したねじ管P1をさらに軸線方向他端側に移動させて、ねじ管P1と中間部材3の間、及び、中間部材3と継手本体2の間に圧接シールを形成する工程である。具体的に、圧接シール工程では、圧接テーパ面P12とねじ圧接シール部311、及び、圧接テーパ面P12とねじ圧接シール部311、が当接した状態で、さらにねじ管P1を継手本体2に対して回動させて、軸線方向他端側に移動させる工程である。圧接シール工程では、圧接シールに必要な程度だけねじ管P1を軸線方向他端側に移動させる。圧接シール工程が完了すると、圧接テーパ面P12とねじ圧接シール部311、及び、圧接テーパ面P12とねじ圧接シール部311に圧接シールが形成される。
【0045】
図5に示すように、圧接シールは、一方の部材が他方の部材に食い込むことで、内部の流体が外部に流出する(漏れる)ことを抑制するシールである。具体的に圧接シールは、図5(a)に示すように、一方の部材が他方の部材に当接した状態から、一方の部材が他方の部材側にさらに移動し、図5(b)に示すような、一方の部材が他方の部材に食い込んだ状態となることで形成される。本実施形態では、金属面同士が圧接し、一方の金属面(例えば当接シール面32b)が他方の金属面(例えば中間当接面135)に食い込むことでシールを形成する、いわゆるメタルタッチシールである。
【0046】
圧接シール工程が完了すると、ねじ管P1と中間部材3の間がシールされるので、ねじ管P1と中間部材3の間から流体が外部に漏洩することを抑制できる。また、中間部材3と継手本体2の間がシールされるので、中間部材3と継手本体2の間から流体が外部に漏洩することを抑制できる。
【0047】
図3(c)に示すように、金属管挿入工程は、継手本体2の軸線方向他端部から一端側に金属管P2を挿入する工程であり、具体的には、金属管P2の軸線方向一端部が奥面部312に当接するまで継手本体2に金属管P2を挿入する工程である。金属管P2が継手本体2に挿入されると、シールリング収容部12に収容されたシールリング5が継手本体2の内周面と金属管P2の外周面の間をシールし、金属管P2と継手本体2の間から流体が外部に漏洩することを抑制する。
【0048】
ここで、図4に示すように、ロックリング4は、金属管P2の外周面に接することで弾性変形し、ロック爪43が径外方且つ軸線方向一端側に移動する。また、金属管P2が継手本体2に挿入されると、ロックリング4のロック爪43は、金属管P2の外周面に係止して、金属管P2の軸線方向他端側への移動(継手本体2からの引抜き)を規制する。具体的に、ロック爪43は金属管P2を引き抜く方向に力がかかった場合に、金属管P2に係止するロック爪43にも引き抜く方向(軸線方向他端側)への力がかかり、爪基部42の径内方の端部を中心に起き上がる方向に回動しようとする。ここで、ロック爪43の径内方には金属管P2が位置しているので、起き上がる方向への回動が金属管P2によって阻害され、軸線方向他端側に移動できない。よって、ロック爪43が係止している金属管P2の引き抜きが規制される。さらに、本実施形態で、中間当接部132には、ロック補助部137が設けられ、スペーサ6にはスペーサ側ロック補助部61が設けられているので、ロック爪43の軸線方向他端側へ移動する場合に、ロック補助部137又はスペーサ側ロック補助部61にロック爪43が当接するので、ロック補助部137及びスペーサ側ロック補助部61によってもロック爪43の移動が阻害されるため、確実に金属管P2の引き抜きを規制することができる。また、ロックリング4が金属管P2に係止する際には、金属管P2の肉厚に対してロック爪43が食い込んだ(引っ掛かった)状態となる。よって、爪等によって金属管P2全体(外径及び内径)を縮径させて爪等を金属管P2に食い込ませる場合と比べて、金属管P2の引き抜きを規制するために必要な力が少ない。
【0049】
以上のような工程により、継手本体2と金属管P2の間、継手本体2と中間部材3の間、及び、中間部材3とねじ管P1の間をシールしつつ、ねじ管P1と金属管P2を連結することができる。なお、ねじ管P1と金属管P2を連結する工程は、上記順で実行する場合に限らない。例えば、金属管挿入工程を実行してから当接工程及び圧接シール工程を実行することもできる。このような構成であっても、ロックリング4の自然状態における内径は金属管P2の外径よりも小さいので、継手本体2に金属管P2を挿入し且つねじ管P1を螺合した状態で金属管P2の外周面にロックリング4が係止する。
【0050】
以上のような構成の管継手1によれば、ロック爪43の係止によって金属管P2の継手本体2からの引き抜きが規制されるので、ねじ管P1の雄ねじP11を継手本体2に螺合する際に必要なトルクを抑制しつつ、金属管P2の継手本体2からの抜け止めをすることができる。
【0051】
また、中間部材3の軸線方向他端面と中間当接面135の間に圧接シールが形成されるので、中間部材3と継手本体2の間から流体が外部に漏洩することを抑制できる。
【0052】
さらに、ロックリング4が継手本体2及び中間部材3に対して相対回動可能であるので、ロックリング4及びロックリング4が係止した金属管P2を継手本体2に対して相対回動さることができるため、管継手1を使用しやすい。例えば、金属管P2を継手本体2に挿入してから、ねじ管P1と継手本体2を螺合する場合において、ねじ管P1を螺合する際に金属管P2がとも回りすることを防止できたり、金属管P2を継手本体2に挿入した後に、金属管P2を相対回動させて金属管P2の向きを変えやすくなったりする。
【0053】
また、ねじ管P1の雄ねじP11を雌ねじ部111に螺合させることで中間部材3と継手本体2の圧接シールが形成されるので、継手本体2と中間部材3の間を簡便にシールすることができる。
【0054】
さらに、中間部材3は、軸線方向他端部にロックリング4の外周面と対向する対向面32aを有し、かつ、対向面32aよりも径外方の位置で継手本体2に圧接して圧接シールを形成するよう構成される。よって、中間部材3は、対向面32aでロックリング4が径方向にずれることを抑制しつつ、圧接シールを形成することで中間部材3と継手本体2の間をシールできる。
【0055】
また、中間部材3の外周面と継手本体2の内周面との隙間をシールして流体が外部に漏れることを抑制するシールリング5が設けられる。よって、中間部材3と継手本体2の間から流体が外部に漏れることを抑制できる。特に、中間部材3が継手本体2に圧接して圧接シールを形成する場合においては、二重にシールすることができるため、確実に流体の外部への漏れを抑制できる。
【0056】
さらに、継手本体2の内周面と挿入された金属管P2の外周面との隙間をシールして、流体が外部に漏れることを抑制するシールリング5が、ロックリング4よりも軸線方向他端側の位置に設けられる。よって、シールリング5によって金属管P2と継手本体2の間をシールできるので、金属管P2を継手本体2に挿し込むだけで金属管P2と継手本体2の間のシールが完成する。
【0057】
また、継手本体2は、ロックリング4の軸線方向他端部と対向する継手側ロックリング固定面136を備え、中間部材3は、ロックリング4の軸線方向一端部と対向する中間側ロックリング固定面314を備え、継手側ロックリング固定面136及び中間側ロックリング固定面314は、ロックリング4を収容するロックリング収容空間S3を形成する。よって、継手本体2の一端側からロックリング4を挿入し、さらに中間部材3を挿入することで、ロックリング4をロックリング収容空間S3に収容でき、かつ、ねじ管P1を螺合することで、中間部材3及びロックリング4を継手本体2の内部に固定できる。よって、ねじ管P1によってロックリング4を固定できるので、ロックリング4の固定のための部材(例えば、継手本体2に外装される袋ナット)を設ける必要がなくなるため、管継手1の大型化を抑制できる。
【0058】
さらに、中間部材3は、径外方に突出する係合部313を外周面に備え、継手本体2は、係合部313が係合可能な径外方に窪む被係合部133を内周面に有する。よって、中間部材3が継手内部に挿入された際に、係合部313と被係合部133が係合するので、中間部材3が継手本体2から脱落することを抑制できる。
【0059】
また、ロックリング4の自然状態での内径が金属管P2の外径よりも小さいので、金属管P2を継手本体2に挿入すると金属管P2の外周面にロックリング4(ロック爪43)が確実に係止する。よって、金属管P2の抜け止めを確実にすることができる。
【0060】
さらに、本実施形態では、継手本体2にねじ管P1を螺合してから金属管P2を継手本体2に挿入するので、ねじ管P1を継手本体2に螺合する際に、金属管P2が干渉することを抑制できる。よって、作業性が高まる。
【0061】
次に、本発明の第二の実施形態に係る管継手1について図6及び図7を参照して説明する。第一の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、重複した説明をしない。
【0062】
本実施形態の管継手1は、第一の実施形態と中間部材3及び中間部材収容部13の構成が異なる。
【0063】
本実施形態の中間部材3は、係合部313として、外周面に径外方に突出する突起及び雄ねじ33を有する。突起の構成は、第一の実施形態における係合部313と同様である。具体的に、中間部材3は、中間本体部31の外周面に雄ねじ33を有し、本実施形態で雄ねじ33は、中間本体部31の軸線方向他端部に設けられている。
【0064】
本実施形態の中間部材収容部13は、被係合部133として、突起が係合可能な凹部と、中間部材3の雄ねじ33が螺合可能な中間螺合部139と、を有する。凹部の構成は、第一の実施形態における被係合部133の構成と同様である。中間螺合部139は、中間部材収容部13の内周面に形成された雌ねじであり、第三収容凹部134よりも軸線方向他端側の位置に設けられている。
【0065】
このような管継手1では、ねじ管P1及び金属管P2が挿入される前に、継手本体2に対して中間部材3及びロックリング4が組付けた状態とされ、更に、組付けた状態で、中間部材3と継手本体2の間に圧接シールが形成される。具体的に、中間部材3及びロックリング4を継手本体2に組み付ける際には、継手本体2の軸線方向一端側から中間部材3及びロックリング4を挿入し、中間部材3を継手本体2の中間螺合部139に螺合して中間部材3を軸線方向他端側に移動させる。ここで、中間部材3は、中間先端部32(当接シール面32b)が中間当接面135に当接するまで軸線方向他端側に移動するように螺合されて(図6及び図7に示すよう状態)から、さらに、軸線方向他端側に移動するように中間部材3と継手本体2を螺合してすることで、中間先端部32が中間当接面135に食い込んで、圧接シールが形成される。
【0066】
このような管継手1を用いてねじ管P1及び金属管P2を連結する工程は第一の実施形態と同様である。ここで、(2)圧接シール工程において、第一の実施形態では、圧接テーパ面P12とねじ圧接シール部311、及び、当接シール面32bと中間当接面135に圧接シールを形成するとして説明したが、本実施形態では、当接シール面32bと中間当接面135に組付けの時点で圧接シールが形成されているので、圧接シール工程において圧接テーパ面P12とねじ圧接シール部311にのみ圧接シールを形成する。このような構成によれば、圧接シール工程において、圧接シールを形成する箇所を減らすことができるので、ねじ管P1の雄ねじP11と継手本体2を螺合する際に必要なトルクを抑制できる。
【0067】
次に本発明の第三の実施形態に係る管継手1について図8及び図9を参照して説明する。第一の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、重複した説明をしない。
【0068】
本実施形態の管継手1は、第一の実施形態と比較して、中間部材3の構成が異なり、また、スペーサ6を備えない点が異なる。
【0069】
中間部材3は、中間本体部31と、中間先端部32と、を備え、本実施形態で中間本体部31及び中間先端部32は別体として構成されている。中間本体部31の構成は第一の実施形態と同様である。
【0070】
中間先端部32は、全体として円環状であり、具体的は、径外方の端部を構成する外方シール部321と、外方シール部321の径内方に設けられる内方スペーサ部322と、を備える。本実施形態で外方シール部321の軸線方向長さは、内方スペーサ部322の軸線方向長さよりも長く構成されており、具体的に、外方シール部321の軸線方向一端側の端部は、内方スペーサ部322の軸線方向一端側の端部よりも一端側に位置し、外方シール部321の軸線方向他端側の端部は、内方スペーサ部322の軸線方向他端側の端部よりも他端側に位置する。
【0071】
外方シール部321は、軸線方向一端面が中間当接面135に圧接して圧接シールを形成する当接シール面32bとして構成され、軸線方向他端面が中間本体部31の軸線方向一端面(具体的には垂直面314a)に圧接して圧接シールを形成する中間シール面32cとして構成される。中間シール面32cは、軸線方向一端側に凸となるように形成された曲面である。また、外方シール部321の外周面は、ロックリング4の外周面と対向する対向面32aとして構成されている。
【0072】
内方スペーサ部322は、外方シール部321の径内方に設けられる円環状の部位であり、軸線方向に並んで配置されたロックリング4の間に配置される。具体的に、内方スペーサ部322は、内径が金属管P2の外径よりも大きい円環状であり、外周面が外方シール部321の内周面と連結されている。また、内方スペーサ部322は、径内方の端部に、軸線方向一端側に向かって突出する内方スペーサ側ロック補助部323を備える。内方スペーサ側ロック補助部323は、軸線方向一端面がロックリング4のロック爪43と当接する内方スペーサ側爪当接面323aとして構成されている。
【0073】
以上のような構成の管継手1によれば、中間本体部31と中間先端部32が別体として構成されるので、中間部材3を鋳造する場合に、中間本体部31と中間先端部32を別々に製造できる。よって、中間本体部31と中間先端部32を一体として鋳造してから、内径の大きい中間先端部32を形成する際に、内径を削る作業を行う必要がなくなるので、製造しやすくなる。
【0074】
また、中間先端部32に内方スペーサ部322が設けられるので、別部材としてのスペーサ6を設ける必要がなくなるため、部品点数の増加を抑制できる。
【0075】
次に、図10乃至図12を参照して、第四の実施形態に係る管継手1について説明する。第一の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、重複した説明をしない。
【0076】
本実施形態の管継手1は、ロックリング4の構成が第一の実施形態と異なり、具体的には、ロック爪43の構成が異なる。
【0077】
図10及び図12(a)に示すように、本実施形態のロック爪43は、自然状態での内径が金属管P2の外径よりも小さく構成されており、図12(b)に示すように、中間部材3及びスペーサ6によってロック爪43が軸線方向他端側に押されることで、爪基部42との連結部分を中心に回動して、ロック爪43の先端部(径内方の端部)が径内方に移動するように構成されている。また、ロック爪43は、継手本体2に組付けられた状態で、中間部材3の軸線方向他端面(中間側ロックリング固定面314)に接した状態となり、中間部材3は、ロック爪43の弾性によって、軸線方向一端側に付勢された状態となる。
【0078】
このような管継手1を用いたねじ管P1と金属管P2の連結方法について図11を参照して説明する。本実施形態では、(1)当接工程、(2)金属管挿入工程、(3)圧接シール工程の順に実行する。ただし、このような順に限らず、(1)当接工程を(2)金属管挿入工程の後に実行してもよい。
【0079】
図11(a)に示すように、(1)当接工程は、ねじ管P1を継手本体2の軸線方向一端部から他端側に向かって挿入し、雄ねじP11を雌ねじ部111に螺合する工程である。具体的に、当接工程では、例えば手締めで継手本体2をねじ管P1に対して相対回動させて、ねじ管P1の雄ねじP11と継手本体2の雌ねじ部111を螺合させ、ねじ管P1を軸線方向他端側に移動させる。本実施形態の当接工程では、ねじ管P1の軸線方向他端面(圧接テーパ面P12)が中間部材3の軸線方向一端面(ねじ圧接シール部311)に当接するまでねじ管P1を継手本体2に螺合する。ここで、本実施形態の中間部材3は、ロック爪43によって軸線方向一端側に押されているので、圧接テーパ面P12とねじ圧接シール部311が当接した状態でも、当接シール面32bと中間当接面135が接していない状態となる。
【0080】
図11(b)に示すように、(2)金属管挿入工程は、軸線方向他端側から一端側に向かって金属管P2を挿入する工程であり、具体的には、奥面部312に当接するまで金属管P2を挿入する。ここで、図12(a)に示すように、本実施形態の金属管挿入工程では、ロックリング4が金属管P2に係止した状態とならない。具体的には、ロックリング4(ロック爪43)の内径が金属管P2の外径よりも小さいので、ロック爪43の先端部が金属管P2の外周面よりも径外方に位置した状態となる。
【0081】
図11(c)に示すように、(3)圧接シール工程は、中間部材3に当接したねじ管P1をさらに軸線方向他端側に移動させて、ねじ管P1と中間部材3の間、及び、中間部材3と継手本体2の間に圧接シールを形成する工程である。本実施形態の圧接シール工程では、ロック爪43の付勢に抗ってねじ管P1を軸線方向一端側に移動させて、ねじ管P1と中間部材3の間、及び、中間部材3と継手本体2の間に圧接シールを形成する。
【0082】
また、圧接シール工程でロック爪43の付勢に抗ってねじ管P1を軸線方向一端側に移動させることで、中間部材3によってロック爪43が軸線方向他端側に押され、爪基部42との連結部分を中心に、ロック爪43の先端が径内方に移動するように回動する。回動したロック爪43は、図12(b)に示すように、金属管P2の外周面に接して、金属管P2の肉厚に食い込んだ(引っ掛かった)状態となる。よって、継手本体2に金属管P2が挿し込まれ、かつ、ねじ管P1が継手本体2に螺合した状態において、ロックリング4が金属管P2に係止した状態となり、金属管P2の継手本体2からの引き抜きを規制する。
【0083】
以上のような構成の管継手1によれば、金属管P2を挿入する際に、金属管P2の外周面にロック爪43が当たることを抑制できるので、ロック爪43によって金属管P2の外周面に傷がつくことを抑制しつつ、金属管P2の抜け止めをすることができる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0085】
例えば、中間部材3と継手本体2は圧接シール及びシールリング5によって二重にシールされる場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、圧接シール及びシールリング5のいずれか一方のみでシールされるように構成することもできるし、圧接シール及びシールリング5のいずれか一方で二重にシールされるように構成することもできる。
【0086】
また、ロックリング4は複数設けられ、複数のロックリング4の間にスペーサ6が設けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、複数のロックリング4が軸線方向で隣り合って配置されるように構成することもできるし、ロックリング4を1つだけ設けることもできる。
【0087】
さらに、中間部材3は係合部313によって抜け止めされる場合について説明したが、このような構成に限らず、雌ねじ部111に螺合したねじ管P1によって抜け止めされるように構成することや、中間部材3の軸線方向一端側に別途設けられる部材(例えばリング)によって抜け止めされるように構成することもできる。
【0088】
また、第四の実施形態において、ロックリング4の自然状態での内径が金属管P2の外径よりも大きい場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、ロックリング4の自然状態での内径を金属管P2の外径よりも小さく構成し、且つ、ねじ管P1の螺合によって、ロック爪43が更に径内方に移動するように構成することもできる。このような構成によれば、金属管P2が継手本体2に挿し込まれた時点で一旦抜け止めをし、更に、ねじ管P1の螺合によってロック爪43が径内方に移動し、より強固に金属管P2を抜け止めすることができる。
【0089】
さらに、金属管P2と継手本体2の間をシールするシールリング5は、ロックリング4よりも軸線方向他端側の位置に設けられる場合について説明したが、このような構成に限らず、ロックリング4よりも軸線方向一端側(例えば中間部材3の内周面)にシールリング5を設けることもできる。
【0090】
また、中間部材3の軸線方向他端部が継手本体2と接して圧接シールを形成する場合について説明したが、このような構成に限らず、中間部材3の軸線方向中途部分(例えば中間先端部32から径外方に突出した部位)が継手本体2の内周面と接して圧接シールを形成するように構成することもできる。
【0091】
さらに、ロックリング収容空間S3は、中間部材3と継手本体2によって形成される場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、図13に示すように、ロックリング収容空間S3を、中間部材3の軸線方向の途中部分に形成された、径外方に凹となる空間として構成することもできる。
【符号の説明】
【0092】
1…管継手、11…ねじ挿入部、12…シールリング収容部、121…第一収容凹部、122…第二収容凹部、13…中間部材収容部、131…中間収容本体部、132…中間当接部、133…被係合部、134…第三収容凹部、135…中間当接面、136…継手側ロックリング固定面、137…ロック補助部、138…爪当接面、139…中間螺合部、14…操作部、2…継手本体、3…中間部材、31…中間本体部、311…ねじ圧接シール部、312…奥面部、313…係合部、314…中間側ロックリング固定面、314a…垂直面、314b…傾斜面、32…中間先端部、32a…対向面、32b…当接シール面、32c…中間シール面、321…外方シール部、322…内方スペーサ部、323…内方スペーサ側ロック補助部、323a…内方スペーサ側爪当接面、33…雄ねじ、4…ロックリング、41…リング部、42…爪基部、43…ロック爪、5…シールリング、6…スペーサ、61…スペーサ側ロック補助部、61a…スペーサ側爪当接面、P1…ねじ管、P11…雄ねじ、P12…圧接テーパ面、P2…金属管
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図12a
図12b
図13