(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156729
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
B29C 45/76 20060101AFI20231018BHJP
B29C 45/03 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066263
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高松 俊輔
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AP05
4F206AR06
4F206AR16
4F206JA07
4F206JP11
4F206JP30
4F206JQ90
4F206JT33
(57)【要約】
【課題】サーボアンプにて発生した熱エネルギーを廃熱として処理せず、エネルギー効率を向上させることができる射出成形機を提供する。
【解決手段】射出成形機100は、サーボモータ81と、サーボモータ81に電力を供給するサーボアンプ51と、サーボアンプ51を放熱する放熱フィン71と、放熱フィン71に隣接して配置され、温度差によって発電するペルチェ素子P1と、ペルチェ素子P1によって発電された電力を蓄えるように構成された蓄電装置60とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1サーボモータと、
前記第1サーボモータに電力を供給する第1サーボアンプと、
前記第1サーボアンプを放熱する第1放熱器と、
前記第1放熱器に隣接して配置され、温度差によって発電する第1熱電モジュールと、
前記第1熱電モジュールによって発電された電力を蓄えるように構成された蓄電装置とを備える、射出成形機。
【請求項2】
第2サーボモータと、
前記第2サーボモータに電力を供給する第2サーボアンプと、
前記第2サーボアンプを放熱する第2放熱器とをさらに備え、
前記第1熱電モジュールは、前記第1放熱器と前記第2放熱器との間に配置され、前記第1放熱器と前記第2放熱器との間の温度差により発電する、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項3】
前記第1サーボアンプとともに、前記第1サーボモータに電力を供給する第3サーボアンプと、
前記第3サーボアンプを放熱する第3放熱器とをさらに備え、
前記第2放熱器は、前記第1放熱器と前記第3放熱器との間に配置される、請求項2に記載の射出成形機。
【請求項4】
前記第1サーボアンプの温度を検出する第1温度センサと、
前記第1熱電モジュールに電力を供給する制御装置とをさらに備え、
前記制御装置は、前記第1温度センサの検出値が予め定められた閾値を上回ったとき、前記第1熱電モジュールに電力を供給して前記第1放熱器を冷却する、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項5】
第3サーボモータに電力を供給する第3サーボアンプと、
前記第3サーボアンプを放熱する第3放熱器と、
前記第2放熱器と前記第3放熱器との間に配置され、前記第2放熱器と前記第3放熱器との間の温度差により発電する第2熱電モジュールとをさらに備え、
前記射出成形機の動作時において、
前記第1サーボアンプの平均温度は第1温度であり、
前記第2サーボアンプの平均温度は第2温度であり、
前記第3サーボアンプの平均温度は第3温度であり、
前記第1温度と前記第2温度との間の温度差は、第1温度差であり、
前記第2温度と前記第3温度との間の温度差は、第2温度差であり、
前記第1温度と前記第3温度との間の温度差は、第3温度差であり、
前記第1温度差と前記第2温度差との合計温度差は、前記第2温度差と前記第3温度差との合計温度差および前記第1温度差と前記第3温度差との合計温度差のいずれよりも大きい、請求項2に記載の射出成形機。
【請求項6】
第2サーボモータと、
前記第2サーボモータに電力を供給する第2サーボアンプと、
前記第2サーボアンプを放熱する第2放熱器とをさらに備え、
前記第1熱電モジュールは、第1面と第2面とを有する形状であり、
前記第1面は、前記第1放熱器と接し、
前記第2面は、露出する、請求項1に記載の射出成形機。
【請求項7】
前記第1熱電モジュールと前記蓄電装置との間に配置される全波整流回路をさらに備える、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーボアンプを放熱する放熱器を備える射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
工場では、射出成形機を用いてプラスチック等の樹脂を基材とする成形品が製造されている。射出成形処理には正確な位置決め制御が要求されるため、高い精度および応答性を有するサーボモータが射出成形機に採用され得る。
【0003】
たとえば、射出用のサーボモータはスクリュを駆動させて、設定された射出速度、圧力で金型に対して樹脂を射出する。特許文献1(特開2008-230181号公報)には、サーボモータに対して電力を供給するサーボアンプを備える射出成形機が開示されている。サーボアンプには、サーボアンプに発生する熱を効率的に空気中に放出するための冷却フィンが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1(特開2008-230181号公報)では、サーボアンプの温度が上昇することを抑制するため、放熱フィンを介してサーボアンプに発生した熱を効率的に空気中へと放出している。すなわち、サーボアンプに発生した熱エネルギーは、廃熱として処理されている。空気中に放出される熱エネルギーは、その後、有効活用されることがなく、エネルギーの浪費となる。
【0006】
本開示は、このような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、サーボアンプにて発生した熱エネルギーを廃熱として処理せず、エネルギー効率を向上させることができる射出成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る射出成形機は、第1サーボモータに電力を供給する第1サーボアンプを放熱する第1放熱器と、第1放熱器に隣接して配置され、温度差によって発電する第1熱電モジュールと、第1熱電モジュールによって発電された電力を蓄えるように構成された蓄電装置とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る射出成形機によれば、サーボアンプにて発生した熱エネルギーを廃熱として処理せず、エネルギー効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1における射出成形機の外観およびサーボアンプの配置を説明するための図である。
【
図2】サーボアンプ、放熱フィン、およびペルチェ素子の外観斜視図を示す図である。
【
図3】射出成形処理におけるサーボモータの駆動期間とサーボアンプの平均温度との関係の一例を説明するための図である。
【
図4】サーボアンプの平均温度の一例を示す図である。
【
図6】冷却制御処理を説明するためのフローチャートである。
【
図7】変形例1の射出成形機におけるサーボアンプの配置例を示す図である。
【
図8】比較例1の射出成形機におけるサーボアンプの配置例を示す図である。
【
図9】比較例2の射出成形機におけるサーボアンプの配置例を示す図である。
【
図10】変形例2における射出成形機の外観およびサーボアンプの配置を説明するための図である。
【
図11】変形例2におけるサーボアンプ、放熱フィン、およびペルチェ素子の外観斜視図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[実施の形態1]
<射出成形機について>
以下では、
図1を用いて実施の形態1における射出成形機100について説明する。
図1は、実施の形態1における射出成形機100の外観およびサーボアンプ51~55の配置を説明するための図である。
図1上部には、射出成形機100の外観が示されており、
図1下部には、射出成形機100内に格納されているサーボアンプ51~55が拡大されて示されている。
【0011】
射出成形機100は、XY平面上に載置されている。XY平面に垂直な方向をZ軸方向とする。
図1におけるZ軸の正方向を上面側または上方、負方向を下面側または下方と称する場合がある。なお、実施の形態1における射出成形機100は、横型の射出成形機として示されているが、横型に限られず、竪型の射出成形機であってもよい。
【0012】
射出成形機100は、金型を型締めする型締装置10と、射出材料を溶融して射出する射出装置20とを備える。型締装置10は、射出装置20に対して、X軸の負方向側に配置されている。
【0013】
<型締装置について>
型締装置10は、ベッド11と、固定盤12と、型締ハウジング13と、可動盤14と、タイバー15と、型締機構16と、金型17,18と、ボールねじ19とを備える。ベッド11は、固定盤12、型締ハウジング13、可動盤14等の型締装置10が備える構成を保持する。固定盤12は、ベッド11に固定されている。型締ハウジング13は、ベッド11上をX軸方向にスライド可能であるように構成されている。同様に、可動盤14は、ベッド11上をX軸方向にスライド可能であるように構成されている。
【0014】
タイバー15は、固定盤12と型締ハウジング13との間に配置され、固定盤12と型締ハウジング13とを連結する。タイバー15は、複数のバーを含み、実施の形態1における射出成形機100は、タイバー15として4本のバーを備えている。ある局面では、タイバー15は、5本以上のバーを含んでもよい。
【0015】
可動盤14は、固定盤12と型締ハウジング13との間でX軸方向にスライド可能であるように構成される。型締機構16は、型締ハウジング13と可動盤14との間に設けられる。実施の形態1における型締ハウジング13は、トグル機構を含んで構成される。なお、型締機構16は、直圧式の型締機構を含んで構成されてもよい。直圧式の型締機構とは、すなわち型締シリンダを意味する。
【0016】
金型17,18は、固定盤12と可動盤14とにそれぞれ固定されており、固定盤12と可動盤14との間に設けられる。金型17,18は、型締機構16が駆動することにより、開閉されるように構成されている。以下では、金型17,18とが離れている状態から密着する状態へと移行する工程を「型閉」と称する。また、金型17,18が密着した状態を固定するために締め付ける工程を「型締」と称する。さらに、金型17,18とが密着している状態から離れている状態へと移行する工程を「型開」と称する。サーボモータ81は、型閉工程、型締工程および型開工程に用いられるモータである。ボールねじ19は、回転運動を直線運動に変換することにより、型締機構16を開閉させる。
【0017】
射出成形機100は、型開工程の後に「突出」と称される工程を行う。突出工程は、金型17,18内に充填された後に固化された樹脂等の材料を、金型17,18から取り外す工程である。サーボモータ82は、突出工程に用いられるモータである。
【0018】
<射出装置について>
射出装置20は、基台21と、加熱シリンダ22と、スクリュ23と、駆動装置24と、ホッパ25と、射出ノズル26と、ノズルタッチ装置27と、熱電対28とを備える。基台21は、ベッド11のX軸の正方向側に配置され、駆動装置24等を保持する。駆動装置24の内部には、サーボモータ84,85が格納されている。
【0019】
スクリュ23は、加熱シリンダ22の内部に格納されている。駆動装置24内のサーボモータ84は、X軸方向を中心軸としてスクリュ23を回転させる。すなわち、サーボモータ84は、可塑化工程に用いられるモータである。可塑化工程とは、射出する樹脂を加熱シリンダ22による加熱とスクリュ23の回転によって混錬する工程である。また、サーボモータ85は、スクリュ23自体をX軸方向にスライドするように駆動される。すなわち、サーボモータ85は、射出工程または保圧工程に用いられるモータである。射出工程とは、可塑化工程によって可塑化された樹脂を金型17,18内に射出する工程である。保圧工程とは、射出工程によって射出された樹脂を金型17,18内に保持するために圧力を保持する工程である。
【0020】
ホッパ25は、可塑化される前の樹脂等の材料を保持する容器であり、加熱シリンダ22のZ軸の正方向側に設けられる。射出ノズル26は、加熱シリンダ22のX軸の負方向側の端部に設けられる。ノズルタッチ装置27は、射出装置20をX軸方向にスライドさせて、射出ノズル26を金型18の図示されないスプルーブッシュに接触させる。熱電対28は、射出ノズル26の近傍および加熱シリンダ22の近傍に配置される。熱電対28は、熱電対28が配置された加熱シリンダ22の温度を検出する温度センサである。
【0021】
操作盤30は、射出成形機100のY軸の負方向側に設けられている。なお、操作盤30は、射出成形機100と別体として設けられてもよい。操作盤30は、ディスプレイ31と入力装置32とを備える。入力装置32は、たとえば、複数のボタンを含む。ある局面では、操作盤30は、複数のディスプレイおよびスピーカーを備えてもよく、また、ディスプレイ31と入力装置32とは、タッチパネルとして一体的に設けられてもよい。
【0022】
図1下部には、基台21内に格納されているサーボアンプ51~55が拡大されて表示されている。サーボアンプ51~55は、X軸方向に沿って配置されている。サーボアンプ51は、型閉、型締および型開工程に用いられるサーボモータ81に三相交流電力を供給する。サーボアンプ52は、突出工程に用いられるサーボモータ82に三相交流電力を供給する。
【0023】
サーボアンプ53は、サーボアンプ51とともに、型閉、型締および型開工程に用いられるサーボモータ81に三相交流電力を供給する。サーボアンプ54は、可塑化工程に用いられるサーボモータ84に三相交流電力を供給する。サーボアンプ55は、射出および保圧工程に用いられるサーボモータ85に三相交流電力を供給する。実施の形態1におけるサーボモータ81,82,84,85は、ACサーボモータであるが、DCサーボモータであってもよい。サーボアンプ51~55には、Y軸の負方向側に放熱フィン71~75がそれぞれ取り付けられている。放熱フィン71~75は、サーボアンプ51~55をそれぞれ放熱する。
【0024】
制御装置40は、CPU、メモリ等を含む。制御装置40は、各種センサの検出値を取得し、射出成形機100を統括的に制御する。各種センサの検出値とは、たとえば、サーボアンプ51~55の温度情報、加熱シリンダ22の温度情報、型締機構16、金型17,18、射出ノズル26等の各種可動部品の位置情報等を含む。
【0025】
実施の形態1における射出成形機100は、ペルチェ素子P1~P4および蓄電装置60を備える。実施の形態1におけるペルチェ素子P1~P4は、両端に配置されている放熱フィンの少なくとも一部と接するように配置されている。ペルチェ素子P1~P4は、素子の両端の温度差によってゼーベック効果による発電が可能な半導体素子であって、直流電流を印加することによってペルチェ効果による冷却および加熱を利用して温度制御を行うことが可能な半導体素子である。ペルチェ素子P1~P4の各々は、蓄電装置60と電気的に接続されている。蓄電装置60は、ペルチェ素子P1~P4の各々によって発電された電力を蓄えることが可能であるように構成されている。蓄電装置60は、たとえば、バッテリである。蓄電装置60は、蓄えた電力を射出成形機100に含まれる様々な機器に供給できる。
【0026】
<ペルチェ素子による発電と伝熱>
図2は、サーボアンプ51~55、放熱フィン71~75、およびペルチェ素子P1~P4の外観斜視図を示す図である。
図2には、X軸方向に沿って配置されたサーボアンプ51~55、放熱フィン71~75、およびペルチェ素子P1~P4が示されている。放熱フィン71~75は、たとえばヒートシンク型の放熱器であり、効率よく空気中に熱を放出するため、放熱面積を広く確保できる形状を有している。
【0027】
上述で示したように、実施の形態1において、実際のペルチェ素子P1~P4は放熱フィンの少なくとも一部と接するように配置されているが、
図2では、図示の便宜上、ペルチェ素子P1~P4と放熱フィンとが離れた状態が示されている。ペルチェ素子P1は、放熱フィン71と放熱フィン72との間に配置されている。ペルチェ素子P2は、放熱フィン72と放熱フィン73との間に配置されている。ペルチェ素子P3は、放熱フィン73と放熱フィン74との間に配置されている。ペルチェ素子P4は、放熱フィン74と放熱フィン75との間に配置されている。
【0028】
ペルチェ素子P1~P4の各々は、平板形状を有する。たとえば、放熱フィン71,72に隣接して配置されているペルチェ素子P1は、X軸の負方向側の面SNとX軸の正方向側の面SPとを有する。ペルチェ素子P1は、面SNの温度と面SPの温度との差によって発電する。面SNと面SPとの温度差が大きければ、ペルチェ素子P1の発電量は増大する。
【0029】
面SNは、放熱フィン71の少なくとも一部と接する。すなわち、面SNは、放熱フィン71と熱交換する。面SPは、放熱フィン72の少なくとも一部と接する。すなわち、面SPは、放熱フィン72と熱交換する。放熱フィン71と放熱フィン72との間の温度差が大きければ、面SNと面SPとの間の温度差も大きくなり、ペルチェ素子P1の発電量は大きくなる。ペルチェ素子P1によって発電された電力は、蓄電装置60へと出力される。
【0030】
このように、ペルチェ素子P1は、放熱フィン71と放熱フィン72と温度差を用いて発電し、発電した電力を蓄電装置60へと出力する。ペルチェ素子P2~P4も同様に発電し、両端の放熱フィンの温度差を用いて発電した電力を蓄電装置60へと出力する。これにより、実施の形態1における射出成形機100では、サーボアンプ51にて生じた熱エネルギーは廃熱として処理されず、ペルチェ素子P1により電気エネルギーへと変換され蓄電装置60に蓄電されるため、エネルギー効率を向上させることができる。すなわち、実施の形態1における射出成形機100では、熱エネルギーを電気エネルギーとして回収し再利用できる。なお、ペルチェ素子P1の形状は、素子の一方端が放熱フィン71と熱交換し、他方端が放熱フィン72と熱交換すれば、平板形状に限られない。
【0031】
また、ペルチェ素子P1~P4の熱抵抗は空気の熱抵抗よりも小さいことから、ペルチェ素子P1~P4の各々は、伝熱部材として機能する。すなわち、ペルチェ素子P1が放熱フィン71と放熱フィン72との間に配置されることによって、放熱フィン71と放熱フィン72との間の熱交換の効率が向上する。これにより、実施の形態1における射出成形機100では、ペルチェ素子P1によって放熱フィン71と放熱フィン72との間における熱交換が促されるため、複数の放熱フィンを用いて1つのサーボアンプを放熱することができる。すなわち、実施の形態1における射出成形機100では、1つのサーボアンプに対する放熱フィンの表面積が増大することから、射出成形機100全体としての放熱率が向上する。
【0032】
具体的には、たとえば、サーボアンプ51の温度が過剰に上昇したとき、サーボアンプ51にて生じた熱は、まず放熱フィン71へと伝熱される。その後、ペルチェ素子P1が伝熱部材として機能するため、放熱フィン72の温度が放熱フィン71の温度よりも低ければ、サーボアンプ51から放熱フィン71へと伝熱された熱は、ペルチェ素子P1を介して放熱フィン72へと伝熱される。さらに、放熱フィン71から放熱フィン72へと伝熱された熱は、放熱フィン73の温度が放熱フィン72の温度よりも低ければ、ペルチェ素子P2を介して、放熱フィン73へと伝熱されることが可能である。
【0033】
このように、各放熱フィン71~75の間にペルチェ素子P1~P4が配置されることにより、実施の形態1における射出成形機100では、ペルチェ素子P1~P4を介して、サーボアンプ51の温度を放熱フィン72~75を用いて効率的に放熱させることができる。すなわち、サーボアンプ51にて発生した熱は、放熱フィン71だけでなく放熱フィン72~75によっても放熱され得る。
【0034】
<サーボアンプの温度>
図3は、射出成形処理におけるサーボモータ81,82,84,85の駆動期間とサーボアンプ51~55の平均温度との関係の一例を説明するための図である。射出成形処理は、型閉工程、型締工程、射出工程、保圧工程、冷却工程、型開工程、突出工程、可塑化工程を含む。射出成形機100は、上記の射出成形処理のサイクルを繰り返し実行する。
図3には、実施の形態1における1サイクルにおけるサーボモータ81,82,84,85の駆動期間の一例が示されている。タイミングt1~t8の期間は、射出成形処理1サイクル分の期間を示す。なお、各工程が行われる期間は、設定、成形方法によって
図3に示される期間と異なる期間となる。
【0035】
まず、タイミングt1~t2の期間に型閉工程が行われる。すなわち、タイミングt1~t2の期間に、型閉用のサーボモータ81は駆動される。タイミングt2~t5までの期間に型締工程が行われる。すなわち、タイミングt2~t5の期間に、型締用のサーボモータ81は駆動される。タイミングt2~t3の期間に射出工程が行われる。すなわち、タイミングt2~t3の期間に射出用のサーボモータ85は駆動される。また、タイミングt3~t4の期間に保圧工程が行われる。すなわち、タイミングt3~t4の期間に保圧用のサーボモータ85は駆動される。タイミングt4~タイミングt5の期間は、金型17,18に射出された樹脂などの材料を冷却する冷却期間である。
【0036】
タイミングt5~t6の期間に型開工程が行われる。すなわち、タイミングt5~t6の期間に、型開用のサーボモータ81は駆動される。また、タイミングt6~t7の期間に突出工程が行われる。すなわち、タイミングt6~t7の期間に、突出用のサーボモータ82は駆動される。可塑化工程は、タイミングt4~t7の期間に行われる。すなわち、タイミングt4~t7の期間に、可塑化用のサーボモータ84は駆動される。
【0037】
このように、サーボモータ81,82,84,85の1サイクル内における各々の駆動期間は、互いに異なる。また、サーボモータ81,82,84,85の各々に発生するトルクも、互いに異なる。すなわち、サーボアンプ51~55の各々によって供給される電力も互いに異なるものとなり、サーボアンプ51~55の平均温度も互いに異なるものとなる。
【0038】
図4は、サーボアンプ51~55の平均温度の一例を示す図である。上述したように、サーボアンプ51~55の平均温度は、各サーボモータ81,82,84,85の駆動期間およびトルクに影響される。可塑化工程を行うために必要なトルクは、他の工程を行うために必要なトルクよりも高い。そのため、サーボモータ84には高負荷がかかる。さらに、実施の形態1の例では、サーボモータ81,85に中負荷がかかり、サーボモータ82には低負荷がかかる。高負荷がかかるサーボモータ84に電力を供給するサーボアンプ54の平均温度は、90℃となる。低負荷がかかるサーボモータ82に電力を供給するサーボアンプ52の平均温度は、30℃となる。続いて、中負荷がかかるサーボモータ85に電力を供給するサーボアンプ55の平均温度は、60℃となる。
【0039】
サーボモータ85と同様に、サーボモータ81には中負荷がかかるが、サーボモータ81への供給電力は、サーボアンプ51からの供給電力とサーボアンプ53からの供給電力とに均等に分散されている。そのため、サーボアンプ51およびサーボアンプ53の平均温度は、60℃を下回り、互いに45℃となる。
【0040】
実施の形態1の射出成形機100では、共に平均温度が45℃であるサーボアンプ51とサーボアンプ53との間に、平均温度が30℃であるサーボアンプ52が配置されている。すなわち、同一のサーボモータ81に対して電力を供給するサーボアンプ51,53を放熱対象とする放熱フィン71,73の間には、放熱フィン72が配置されている。仮に、平均温度が共に45℃であるサーボアンプ51とサーボアンプ53とが隣接して配置される場合、放熱フィン71と放熱フィン73との温度差が小さくなってしまい、放熱フィン71と放熱フィン73との間にペルチェ素子を配置したとしても、当該ペルチェ素子による発電量は小さくなる。
【0041】
実施の形態1の射出成形機100では、共に45℃の平均温度を有するサーボアンプ51,53との間に、サーボモータ82に電力を供給するサーボアンプ52が配置されている。これにより、実施の形態1における射出成形機100では、同一のサーボモータに対して複数のサーボアンプが接続されている場合であっても、同一のサーボモータに対して電力を供給する複数のサーボアンプの間に、他のサーボモータに電力を供給するサーボアンプを配置することによって、ペルチェ素子による発電量が低下してしまうことを抑制できる。
【0042】
<射出成形機の概略ブロック図>
図5は、射出成形機100の概略ブロック図である。
図5には、制御装置40、サーボアンプ51~55、サーボモータ81,82,84,85、ペルチェ素子P1~P4、蓄電装置60との接続関係が示されている。
図5では、
図1にて既に説明した構成、接続関係の説明を繰り返さない。
【0043】
図5に示されているように、実施の形態1における射出成形機100は、温度センサH1~H5を備える。温度センサH1~H5は、サーボアンプ51~55にそれぞれ取り付けられ、サーボアンプ51~55の温度をそれぞれ検出する。
【0044】
ペルチェ素子P1~P4には、整流回路Rc1~Rc4がそれぞれ接続されている。整流回路Rc1~Rc4は、ペルチェ素子P1~P4から入力された負電圧を正電圧に整流して、蓄電装置60へと出力する全波整流回路である。整流回路Rc1~Rc4は、ペルチェ素子P1~P4から入力された電流が正電圧である場合、正電圧のまま、蓄電装置60に出力する。すなわち、ペルチェ素子P1~P4から入力された電流が負電圧であるか正電圧であるかにかかわらず、整流回路Rc1~Rc4は、正電圧の直流電流を蓄電装置60へと出力する。
【0045】
ペルチェ素子P1は、ゼーベック効果によって、放熱フィン71と対向する面SNと放熱フィン72と対向する面SPとの間の温度差を用いて発電をする。ペルチェ素子P1の発電によって流れる電流の向きは、面SPと面SNのいずれの温度が大きいかによって定められる。たとえば、面SPの温度が面SNの温度よりも大きい場合、ペルチェ素子P1から入力される電流は、正電圧となる。このとき、面SNの温度が面SPの温度よりも大きい場合、ペルチェ素子P1から入力される電流は、負電圧となる。
【0046】
実施の形態1の射出成形機100では、ペルチェ素子P1と蓄電装置60との間に整流回路Rc1が設けられているため、面SPの温度と面SNの温度との間に温度差があれば、面SPの温度と面SNの温度とのうち、いずれの温度が大きいかにかかわらず、蓄電装置60に正電圧の電流を出力できる。すなわち、実施の形態1における射出成形機100では、ペルチェ素子P1からの流れる電流の向きにかかわらず、発電電力を蓄電装置60によって蓄電させることができる。なお、整流回路Rc1~Rc4は、スイッチ回路等を含み、制御装置40側から入力される電流をペルチェ素子P1~P4にそれぞれ供給可能であるように構成される。
【0047】
以下、制御装置40の内部構成について説明する。制御装置40は、制御部41と、入力インターフェイス42と、出力インターフェイス43と、記憶装置44とを備える。制御部41は、CPU41aとメモリ41bとを備える。
【0048】
CPU41aは、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。メモリ41bは、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含み、CPU41aにより実行されるプログラム等を記憶する。
【0049】
ある局面では、制御部41は、専用のハードウェア回路により構成され得る。すなわち、制御部41は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等により実現され得る。また、制御部41は、プロセッサおよびメモリ、ASIC、FPGA等を適宜組み合わせて実現されてもよい。記憶装置44は、たとえば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Flash Solid State Drive)等を含んで構成され得る。
【0050】
制御部41は、入力インターフェイス42を介して、各サーボアンプ51~55に取り付けられている温度センサH1~H5等の各種センサから検出値を受信する。また、制御部41は、入力インターフェイス42を介して、各サーボモータ81,82,84,85からフィードバック信号を受信する。
【0051】
制御部41は、出力インターフェイス43を介して、サーボアンプ51~55へ制御命令を送信可能である。また、制御部41は、出力インターフェイス43を介して、ペルチェ素子P1~P4に対して直流電流を出力することができる。
【0052】
これにより、制御装置40は、ペルチェ効果によってペルチェ素子P1~P4の周囲の温度制御を行うことができる。具体的には、ペルチェ素子P1は、制御装置40によって直流電流が入力されることにより、面SNおよび面SPのうちの一方の面が吸熱面、他方の面が放熱面となる。制御装置40から入力される直流電流を正電圧とするか、負電圧とするかによって吸熱面および放熱面は逆転する。すなわち、ペルチェ素子P1に流れる直流電流の向きによって、吸熱面および放熱面は反転する。制御装置40は、出力する直流電流の大きさに応じて、ペルチェ素子P1~P4の吸熱量および放熱量を変化させることができる。
【0053】
<ペルチェ素子による冷却制御>
図6は、冷却制御処理を説明するためのフローチャートである。以下では、サーボアンプ51~55のいずれかのサーボアンプの温度が過剰に上昇したときに、当該サーボアンプに対して行う冷却制御について説明する。
図6の例では、サーボアンプ51に対する冷却処理について説明する。
【0054】
CPU41aは、温度センサH1の検出値が閾値を上回ったか否かを判定する(ステップS10)。閾値は、記憶装置44によって記憶され、ペルチェ素子P1のペルチェ効果による冷却が必要となる値が予め実験等によって定められ得る。上述したように、CPU41aは、入力インターフェイス42を介して、温度センサH1の検出値を取得する。温度センサH1の検出値が閾値を上回っていない場合(ステップS10でNO)、CPU41aは、ステップS10の処理を繰り返す。
【0055】
CPU41aは、温度センサH1の検出値が閾値を上回っている場合(ステップS10でYES)、ペルチェ素子P1に電力を供給し、サーボアンプ51を冷却する(ステップS20)。より具体的には、CPU41aは、ペルチェ素子P1に対して、ペルチェ素子P1の面SNが吸熱面となるように直流電流を出力する。これにより、面SNと対向する放熱フィン71の熱は吸熱される。すなわち、ペルチェ素子P1は、放熱フィン71を冷却する。
【0056】
これにより、実施の形態1における射出成形機100では、温度が過剰に上昇しているサーボアンプ51を放熱する放熱フィン71を冷却することによって、放熱フィン71によるサーボアンプ51の放熱を促進し、サーボアンプ51の過度な温度上昇を抑制できる。
【0057】
図6では、サーボアンプ51に対する冷却制御について説明したが、サーボアンプ52~55に対しても同様の冷却制御が実行される。CPU41aは、サーボアンプ52~54に対しては、2つのペルチェ素子によって放熱器を冷却する。具体的には、たとえばサーボアンプ52の温度が閾値を上回り、放熱フィン72を冷却する場合、CPU41aは、ペルチェ素子P1の面SPを吸熱面とし、また、ペルチェ素子P2のX軸の負方向側の面を吸熱面とするように電流を出力する。これにより、放熱フィン72は、ペルチェ素子P1とペルチェ素子P2との両方によって効率的に冷却される。
【0058】
実施の形態1では、サーボモータ81は、本開示における「第1サーボモータ」に対応し得る。サーボアンプ51は、本開示における「第1サーボアンプ」に対応し得る。放熱フィン71は、本開示における「第1放熱器」に対応し得る。ペルチェ素子P1は、本開示における「第1熱電モジュール」に対応し得る。サーボモータ82は、本開示における「第2サーボモータ」に対応し得る。サーボアンプ52は、本開示における「第2サーボアンプ」に対応し得る。放熱フィン72は、本開示における「第2放熱器」に対応し得る。サーボアンプ53は、本開示における「第3サーボアンプ」に対応し得る。放熱フィン73は、本開示における「第3放熱器」に対応し得る。ペルチェ素子P2は、本開示における「第2熱電モジュール」に対応し得る。温度センサH1は、本開示における「第1温度センサ」に対応し得る。
【0059】
<変形例1>
実施の形態1では、同一のサーボモータに対して複数のサーボアンプが電力を供給する例について射出成形機100を用いて説明した。変形例1では、サーボアンプの各々が互いに異なるサーボモータに電力を供給する構成においてのサーボアンプの配置例を説明する。変形例1では、実施の形態1と同様の構成についての説明を繰り返さない。
【0060】
図7は、変形例1の射出成形機100Aにおけるサーボアンプの配置例を示す図である。
図7に示されているように、変形例1における射出成形機100Aは、サーボモータ81A,82A,83Aとサーボアンプ51A,52A,53Aとを備える。サーボアンプ51A~53Aは、サーボモータ81A~83Aに対して電力をそれぞれ供給する。
【0061】
サーボアンプ51A~53Aは、X軸方向に沿ってサーボアンプ51A,52A,53Aの順番で配置されている。サーボアンプ51Aの放熱フィン71とサーボアンプ52Aの放熱フィン72との間には、ペルチェ素子P1が配置されている。サーボアンプ52Aの放熱フィン72とサーボアンプ53Aの放熱フィン73との間には、ペルチェ素子P2が配置されている。
【0062】
図7には、射出成形機100Aが動作しているときのサーボアンプ51A~53Aの平均温度が示されている。射出成形機100Aの動作とは、射出成形処理を行っているときを意味する。また、平均温度とは、射出成形処理を行っているときの温度センサH1~H5の検出値の平均値である。
【0063】
なお、サーボアンプ51A~53Aの平均温度は、実測値である必要はなく、たとえば、実験等によって予め算出された平均温度でもあってもよいし、電力を供給するサーボモータの駆動期間に基づいて予め定められてもよい。すなわち、いずれの工程に用いられるサーボモータに電力を供給するかに基づいて、サーボアンプの平均温度を推定してもよい。
図7に示されているように、サーボアンプ51Aの平均温度は、65℃である。サーボアンプ52Aの平均温度は、90℃である。サーボアンプ53Aの平均温度は、60℃である。
【0064】
変形例1では、サーボアンプ51A~53Aの平均温度に基づいて、サーボアンプ51A~53Aの配置の順序が定められている。より具体的には、
図7に示されるように、サーボアンプ51Aの温度とサーボアンプ52Aの温度との差は、温度差25℃である。サーボアンプ52Aの温度とサーボアンプ53Aの温度との差は、温度差30℃である。ペルチェ素子P1,P2の発電量は、両端に配置されているサーボアンプの温度差に影響される。すなわち、サーボアンプ51A,52Aとの温度差が大きいとペルチェ素子P1の発電量は大きくなり、サーボアンプ52A,53Aとの温度差が大きいとペルチェ素子P2の発電量は大きくなる。
【0065】
図7に示されるように、サーボアンプ51A,52Aとの温度差と、サーボアンプ51A,52Aとの温度差との合計温度差は、55℃である。変形例1では、サーボアンプ51A,52Aとの温度差と、サーボアンプ51A,52Aとの温度差との合計温度差が大きくなるようにサーボアンプ51A~53Aが配置されている。
【0066】
図8は、比較例1の射出成形機100Z1におけるサーボアンプの配置例を示す図である。比較例1では、サーボアンプ51A~53Aは、X軸方向に沿ってサーボアンプ52A,51A,53Aの順番で配置されている。その結果、
図8に示されているように、サーボアンプ52Aの温度とサーボアンプ51Aの温度との差は、温度差25℃となり、サーボアンプ51Aの温度とサーボアンプ53Aの温度との差は、温度差5℃となる。すなわち、サーボアンプ52A,51Aとの温度差と、サーボアンプ51A,53Aとの温度差との合計温度差は、30℃となる。
【0067】
さらに、
図9は、比較例2の射出成形機100Z2におけるサーボアンプの配置例を示す図である。比較例2では、サーボアンプ51A~53Aは、X軸方向に沿ってサーボアンプ51A,53A,52Aの順番で配置されている。その結果、
図9に示されているように、サーボアンプ51Aの温度とサーボアンプ53Aの温度との差は、温度差5℃となり、サーボアンプ52Aの温度とサーボアンプ53Aの温度との差は、温度差30℃となる。すなわち、サーボアンプ51A,53Aとの温度差と、サーボアンプ53A,52Aとの温度差との合計温度差は、35℃となる。
【0068】
このように、変形例1の射出成形機100Aは、サーボアンプ51A~53Aの平均温度に基づいて、サーボアンプ51A~53Aが配置された構成を有する。これにより、ペルチェ素子P1,P2の温度差が最大となり、ペルチェ素子P1,P2の発電量を増大させることができる。なお、サーボアンプの数は3つに限られず、4つ以上であってもよい。すなわち、ペルチェ素子の数は2つに限られず、3つ以上であってもよい。この場合においても、変形例1の射出成形機100Aでは、3つ以上のペルチェ素子の発電量を増大させるように、サーボアンプの平均温度に基づいて各サーボアンプが配置される。
【0069】
変形例1では、サーボモータ81A~83Aは、本開示における「第1サーボモータ~第3サーボモータ」に対応し得る。サーボアンプ51A~53Aは、本開示における「第1サーボアンプ~第3サーボアンプ」に対応し得る。ペルチェ素子P1,P2は、本開示における「第1熱電モジュール,第2熱電モジュール」に対応し得る。
【0070】
<変形例2>
実施の形態1では、配置されたサーボアンプの間にペルチェ素子が配置される例について射出成形機100を用いて説明した。変形例2では、サーボアンプの間に加えて、配列されたサーボアンプの端にペルチェ素子を配置する例を説明する。変形例2では、実施の形態1と同様の構成についての説明を繰り返さない。
【0071】
図10は、変形例2における射出成形機100Bの外観およびサーボアンプ51~55の配置を説明するための図である。
図10に示されるように、変形例2では、サーボアンプ51のX軸の負方向側に、ペルチェ素子PLが配置されている。また、サーボアンプ55のX軸の正方向側には、ペルチェ素子PRが配置されている。
【0072】
ペルチェ素子PLは、空気温度と放熱フィン71との温度差を用いて発電する。ペルチェ素子PRは、放熱フィン75と空気温度との温度差を用いて発電する。空気温度は、たとえば、25℃である。ペルチェ素子PL,PRの各々は、蓄電装置60と接続されている。
【0073】
図11は、変形例2におけるサーボアンプ51~55、放熱フィン71~75、およびペルチェ素子PL,P1~P4,PRの外観斜視図を示す図である。
図11に示されるように、ペルチェ素子PLは、X軸の負方向側の面SNLとX軸の正方向側の面SPLとを含む平板形状を有する。
【0074】
面SPLは、放熱フィン71と接する。すなわち、面SPLは、放熱フィン71と熱交換する。一方で、面SNLは、放熱フィン71~75のいずれとも接しておらず、露出している。すなわち、面SNLの法線方向には、いずれの放熱フィン71~75も配置されていない。そのため、面SNLは、面SNLの法線方向の空間VS内の空気との間で熱交換をする。上述したように、空間VS内の空気温度は、たとえば、25℃である。これにより、ペルチェ素子PLによって放熱フィン71と空間VS内の空気との間の温度差による発電が行われ、廃熱の再利用を図ることができる。
【0075】
変形例2では、サーボモータ81,82は、本開示における「第1サーボモータ,第2サーボモータ」に対応し得る。サーボアンプ51,52は、本開示における「第1サーボアンプ,第2サーボアンプ」に対応し得る。ペルチェ素子PLは、本開示における「第1熱電モジュール」に対応し得る。面SPLは、本開示における「第1面」に対応し得る。面SNLは、本開示における「第2面」に対応し得る。
【0076】
[付記]
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0077】
(第1項) 一態様に係る射出成形機は、第1サーボモータと、第1サーボモータに電力を供給する第1サーボアンプと、第1サーボアンプを放熱する第1放熱器と、第1放熱器に隣接して配置され、温度差によって発電する第1熱電モジュールと、第1熱電モジュールによって発電された電力を蓄えるように構成された蓄電装置とを備える。
【0078】
第1項に記載の射出成形機によれば、サーボアンプを放熱する放熱器における廃熱の再利用を図ることができる。
【0079】
(第2項) 第1項に係る射出成形機において、射出成形機は、第2サーボモータと、第2サーボモータに電力を供給する第2サーボアンプと、第2サーボアンプを放熱する第2放熱器とをさらに備える。第1熱電モジュールは、第1放熱器と第2放熱器との間に配置され、第1放熱器と第2放熱器との間の温度差により発電する。
【0080】
第2項に記載の射出成形機によれば、伝熱部材として機能する第1熱電モジュールによって第1放熱器と第2放熱器との間における熱交換が促されるため、1つのサーボアンプに対する放熱器の容量を増大させることができ、かつ、廃熱の再利用を図ることができる。
【0081】
(第3項) 第2項に係る射出成形機において、射出成形機は、第1サーボアンプとともに、第1サーボモータに電力を供給する第3サーボアンプと、第3サーボアンプを放熱する第3放熱器とをさらに備える。第2放熱器は、第1放熱器と第3放熱器との間に配置される。
【0082】
第3項に記載の射出成形機によれば、1つのモータに対して複数のアンプが電力供給する場合、当該複数のアンプの放熱器間にさらに他のアンプの放熱器が配置されることによって、熱電モジュールによる発電効率の低下を抑制できる。
【0083】
(第4項) 第1項~第3項に係る射出成形機において、射出成形機は、第1サーボアンプの温度を検出する第1温度センサと、第1熱電モジュールに電力を供給する制御装置とをさらに備える。制御装置は、第1温度センサの検出値が予め定められた閾値を上回ったとき、第1熱電モジュールに電力を供給して第1放熱器を冷却する。
【0084】
第4項に記載の射出成形機によれば、サーボアンプを放熱する放熱器を冷却することによって、放熱器によるサーボアンプの放熱を促進し、サーボアンプの温度上昇を抑制することができる。
【0085】
(第5項) 第2項に係る射出成形機において、射出成形機は、第3サーボモータに電力を供給する第3サーボアンプと、第3サーボアンプを放熱する第3放熱器と、第2放熱器と第3放熱器との間に配置され、第2放熱器と第3放熱器との間の温度差により発電する第2熱電モジュールとをさらに備える。射出成形機の動作時において、第1サーボアンプの平均温度は第1温度であり、第2サーボアンプの平均温度は第2温度であり、第3サーボアンプの平均温度は第3温度である。第1温度と第2温度との間の温度差は、第1温度差であり、第2温度と第3温度との間の温度差は、第2温度差であり、第1温度と第3温度との間の温度差は、第3温度差である。第1温度差と第2温度差との合計温度差は、第2温度差と第3温度差との合計温度差および第1温度差と第3温度差との合計温度差のいずれよりも大きい。
【0086】
第4項に記載の射出成形機によれば、各熱電モジュールの温度差が最大になるように各サーボアンプが配置されることによって、各熱電モジュールの発電量を増大させることができる。
【0087】
(第6項) 第1項または第4項に係る射出成形機において、射出成形機は、第2サーボモータと、第2サーボモータに電力を供給する第2サーボアンプと、第2サーボアンプを放熱する第2放熱器とをさらに備える。第1熱電モジュールは、第1面と第2面とを有する形状であり、第1面は、第1放熱器と接し、第2面は、露出する。
【0088】
第4項に記載の射出成形機によれば、第1熱電モジュールによって第1放熱器と空気との間の温度差による発電が行われ、廃熱の再利用を図ることができる。
【0089】
(第7項) 第1項~第6項に係る射出成形機において、第1熱電モジュールと蓄電装置との間に配置される全波整流回路をさらに備える。
【0090】
第7項に記載の射出成形機によれば、第1熱電モジュールの発電した電流の向きにかかわらず、電力を蓄電装置に供給できる。
【符号の説明】
【0091】
10 型締装置、11 ベッド、12 固定盤、13 型締ハウジング、14 可動盤、15 タイバー、16 型締機構、17,18 金型、19 ボールねじ、20 射出装置、21 基台、22 加熱シリンダ、23 スクリュ、24 駆動装置、25 ホッパ、26 射出ノズル、27 ノズルタッチ装置、28 熱電対、30 操作盤、31 ディスプレイ、32 入力装置、40 制御装置、41 制御部、41b メモリ、42 入力インターフェイス、43 出力インターフェイス、44 記憶装置、51~55 サーボアンプ、60 蓄電装置、71~75 放熱フィン、81~85 サーボモータ、100,100A,100B 射出成形機、H1~H5 温度センサ、P1~P4,PL,PR ペルチェ素子、Rc1~Rc4 整流回路、SN,SNL,SP,SPL 面、t1~t8 タイミング。