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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156739
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】回路遮断器
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/02 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
H01H73/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066277
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】水上 翔一朗
【テーマコード(参考)】
5G030
【Fターム(参考)】
5G030AA04
5G030FE24
5G030XX01
5G030YY05
(57)【要約】
【課題】可動接触子が小さな電磁反発力を受けて開離する場合でも、可動接点及び固定接点の再接触、あるいは再発弧を防止して遮断性能を向上させる回路遮断器を提供する。
【解決手段】開閉機構3のトリップ動作に先立ち、固定接触子7,8との間に発生する電磁反発力を受けて可動接触子12が開離する回路遮断器1である。回路遮断器は、小さな電磁反発力、或いは大きな電磁反発力を受けた可動接触子が開離するときに、可動接触子の開離状態に応じて段階的に可動接触子が固定接触子側に戻るのを規制する保持機構16、18、21~24、25~28、19,29を備えている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点を設けた固定接触子と、前記固定接点に接触可能な可動接点を長手方向端部に設けた可動接触子と、前記可動接触子を回動させる可動子ホルダと、前記可動接触子が開極位置で保持されるようにトリップ動作を行なう開閉機構と、を備え、前記開閉機構のトリップ動作に先立ち、前記固定接触子と前記可動接触子との間に発生する電磁反発力を受けて前記可動接触子が開離するようにした回路遮断器において、
小さな電磁反発力、或いは大きな電磁反発力を受けた前記可動接触子が開離するときに、前記可動接触子の開離状態に応じて前記可動接触子が前記固定接触子側に戻るのを規制する保持機構を備えていることを特徴とする回路遮断器。
【請求項2】
前記保持機構は、前記可動接触子の長手方向に連続して形成されている複数組の突起及び窪みを備えていることを特徴とする請求項1記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記保持機構は、
前記複数組の突起及び窪みと、
前記複数組の突起及び窪みに接触するピンと、
前記ピンを前記複数組の突起及び窪みに押し付ける方向に付勢する接圧バネと、を備えており、
小さな電磁反発力を受けて前記可動接触子が小さく開離したときに、前記保持機構の第1の突起を乗り越えた前記ピンが第2の窪みに移動することで、前記可動接触子が小さく開離した状態で保持され、
大きな電磁反発力を受けて前記可動接触子が大きく開離したときに、前記保持機構の第3の突起を乗り越えた前記ピンが第4の窪みに移動することで、前記可動接触子が大きく開離した状態で保持されることを特徴とする請求項2記載の回路遮断器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線用遮断器や漏電遮断器等に適用される回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器は、固定接触子と、可動接触子と、可動接触子を保持して開閉機構に連繋した可動子ホルダと、主回路に流れる過電流を検知して開閉機構をトリップ動作させる過電流引外し装置とを備えている。この回路遮断器は、主回路に短絡電流が流れると、開閉機構のトリップ動作に先立って、可動接触子が固定接触子との間に発生する電磁反発力を受けて開離する。このとき、開閉機構がトリップ動作を開始するまでの遅れ時間の間に、電磁反発力を受けて開離した可動接触子の可動接点が閉極位置に戻り、可動接点及び固定接点の再接触、あるいは再発弧することで通電状態となり遮断性能が劣ってしまうおそれがある。さらに、可動接点及び固定接点が凝着することで両接点を引きはがすことができず、故障のおそれもある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1の回路遮断器は、前述した遅れ時間までの間に可動接触子の開離状態を保持する開離保持部を設けている。この開離保持部は、可動接触子にピン等の可動接触子側突起を設け、可動接触子を回転させる接点軸に接点軸側突起や接点軸側窪みを設けた構造とし、可動接触子が大きな電磁反発力を受けて開離するときに、可動接触子側突起が接点軸側突起を乗り越えることで、可動接触子が逆側に回動して固定接点側に戻らないように保持し、遮断性能の向上を図るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-96881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の回路遮断器は、可動接触子が小さな電磁反発力を受けて開離するときには、開離保持機構を設けた位置まで可動接触子が開離せず、固定接点及び可動接点の間に発生したアークが伸張して電磁反発力が低下していくと可動接触子が固定接点側に戻ってしまう場合がある。この場合、可動接点及び固定接点の再接触、あるいは再発弧により遮断性能が劣ってしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、可動接触子が小さな電磁反発力を受けて開離する場合でも、可動接点及び固定接点の再接触、あるいは再発弧を防止して遮断性能を向上させることができる回路遮断器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る回路遮断器は、固定接点を設けた固定接触子と、固定接点に接触可能な可動接点を長手方向端部に設けた可動接触子と、可動接触子を回動させる可動子ホルダと、可動接触子が開極位置で保持されるようにトリップ動作を行なう開閉機構と、を備え、開閉機構のトリップ動作に先立ち、固定接触子と可動接触子との間に発生する電磁反発力を受けて可動接触子が開離するようにした回路遮断器において、小さな電磁反発力、或いは大きな電磁反発力を受けた可動接触子が開離するときに、可動接触子の開離状態に応じて可動接触子が固定接触子側に戻るのを規制する保持機構を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る回路遮断器によると、可動接触子が小さな電磁反発力を受けて開離する場合でも、可動接点及び固定接点の再接触、あるいは再発弧を防止して遮断性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る回路遮断器を示す概略構成図である。
図2】本発明に係る電流遮断部の構成を示す図である。
図3】電流遮断部の可動子ユニットの構成を示す図である。
図4】可動子ユニットの可動子ホルダを示す斜視図である。
図5】固定接触子及び可動子ユニットの可動接触子を閉極状態として主回路に通電電流が流れている状態を示す図である。
図6】固定接触子及び可動子ユニットの可動接触子を閉極状態として主回路に小さな短絡電流が流れ、小さな電磁反発力の発生により可動接触子が固定接触子から開離した状態を示す図である。
図7】固定接触子及び可動子ユニットの可動接触子を閉極状態として主回路に大きな短絡電流が流れ、大きな電磁反発力の発生により可動接触子が固定接触子から開離した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0011】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
図1は、本発明に係る1実施形態であり、主回路の電源側及び負荷側の間に接続した回路遮断器1を示すものである。この回路遮断器1は、開閉ハンドル2、開閉機構3、過電流引外し装置4及び電流遮断部5を備えており、電流遮断部5は、主回路の各相に対応して設けられている。回路遮断器1は、開閉ハンドル2のON/OFF操作により開閉機構3を介して各相の電流遮断部5の開極動作及び閉極動作を行う。過電流引外し装置4は、主回路に流れる過電流を検知することで、開閉機構3の鎖錠を釈放してトリップ動作させる。
【0013】
図2は、開閉機構3及び2点切り方式とした電流遮断部5の具体的な構造を示すものである。
【0014】
電流遮断部5は、遮断部ケース6に、電源側固定接触子7と、負荷側固定接触子8と、可動子ユニット9と、電源側消弧部10aと、負荷側消弧部10bと、が収納されている。なお、遮断部ケース6は、紙面の奥行き方向に分割された一対の分割ケースで構成されているが、図2では、一方の分割ケースのみを遮断部ケース6として示している。
【0015】
電源側固定接触子7は金属製の帯状部材であり、一端7aに電源側端子(不図示)が接続され、他端に電源側固定接点7bが設けられている。
【0016】
負荷側固定接触子8も金属製の帯状部材であり、一端に負荷側固定接点8aが設けられ、他端8bに負荷側端子(不図示)が接続される。
【0017】
可動子ユニット9は、図2に示すように、可動子ホルダ11と、可動子ホルダ11に支持された可動接触子12と、を備えている。
【0018】
可動子ホルダ11は円筒形状の絶縁部材であり、円弧形状の側周面11aが遮断部ケース6内部に設けた円弧形状の支持内壁6aに摺動することで、遮断部ケース6内部で可動子ホルダ11が回転自在に支持されている。可動子ホルダ11には、互いに径方向に離間して2本の連結シャフト13a,13bが貫通している。一方の連結シャフト13aには、開閉機構3のトグル部材3aの一端が回動自在に連結されている。可動子ホルダ11の軸方向端面には、中央部が回転自在に連結され、両端部に連結シャフト13a,13bが連結している回転伝達部材11bが配置されている。
【0019】
なお、連結シャフト13a,13bには、他の相の電流遮断部5の可動子ホルダ11も貫通して連結しており、開閉機構3の動作がトグル部材3aを介して連結シャフト13aに伝達されることで、各相の電流遮断部5が連動するようになっている。
【0020】
可動子ホルダ11には、図3に示すように、可動子ホルダ11の内部を径方向に延在して側周面11aで開口する可動子挿通孔14が形成されている。図4に示すように、可動子挿通孔14の一方の開口部14aの周縁には、可動子ホルダ11の軸方向に離間して一対の第1ピン座面15,15が形成されており、これら一対の第1ピン座面15,15に、第1ピン16の両端部が係合するようになっている。また、詳細には図示しないが、図3に示すように、可動子挿通孔14の他方の開口部14bの周縁にも、可動子ホルダ11の軸方向に離間して一対の第2ピン座面17,17が形成されており、これら一対の第2ピン座面17,17に、第2ピン18の両端部が係合するようになっている。
【0021】
図3に示すように、可動接触子12は長尺な板状金属部材であり、長手方向の一端に設けられて電源側固定接触子7の電源側固定接点7bに接離する第1可動接点12aと、負荷側固定接触子8の負荷側固定接点8aに接離する第2可動接点12bと、を備えた金属部材である。この可動接触子12は、可動子ホルダ11の一方の開口部14aから第1可動接点12aが外部に突出し、他方の開口部14bから第2可動接点12bが外部に突出するように可動子ホルダ11の可動子挿通孔14に挿入されているとともに、長手方向及び短尺方向の中心位置に設けた回転軸30に回転自在に支持されている。
【0022】
可動子ホルダ11の第1ピン座面15,15に両端が係合している第1ピン16は、コイルスプリングからなる接圧バネ19の一端が係合し、他端が可動接触子12の短尺方向の他側に係合することで、引張りバネの接圧バネ19とされている。これにより、引張りバネの接圧バネ19が、第1ピン16を第1ピン座面15,15に押し付ける方向に付勢している。また、可動子ホルダ11の第2ピン座面17,17に両端が係合している第2ピン18は、コイルスプリングからなる接圧バネ20の一端が係合し、他端が可動接触子12の短尺方向の一側に係合することで、引張りバネの接圧バネ20とされている。これにより、引張りバネの接圧バネ20が、第2ピン18を第1ピン座面17,17に押し付ける方向に付勢している。
【0023】
図3及び図4に示すように、可動接触子12の短尺方向の一側には、可動子ホルダ11の一方の開口部14aから見える位置に、第1突起21、第2窪み22、第3突起23及び第4窪み24が連続して形成されている。また、図3及に示すように、可動接触子12の短尺方向の他側にも、可動子ホルダ11の他方の開口部14bから見える位置に、第5突起25、第6窪み26、第7突起27及び第8窪み28が連続して形成されている。
【0024】
なお、第1ピン16、第2ピン18、第1突起21、第2窪み22、第3突起23、第4窪み24、第5突起25、第6窪み26、第7突起27及び第8窪み28及び接圧バネ19,20が、本発明に記載されている保持機構に相当している。また、第1ピン16、第2ピン18が、本発明に記載されているピンに相当している。また、第1突起21及び第5突起25が、本発明に記載されている第1の突起であり、第2窪み22及び第6窪み26が、本発明に記載されている第2の窪みである。また、第3突起23及び第7突起27が、本発明に記載されている第3の突起であり、第4窪み24及び第8窪み28が、本発明に記載されている第4の窪みである。
【0025】
次に、図5から図7を参照して本実施形態の回路遮断器1の動作について説明する。
【0026】
主回路に通常電流が流れると、図5に示すように、電源側固定接点7bに第1可動接点12aが接触し、負荷側固定接点8aに第2可動接点12bが接触することで回路遮断器1が閉路状態となる。この閉路状態では、開閉機構3からトグル部材3a、回転伝達部材11b、連結シャフト13a、13bを介して可動子ホルダ11に矢印A方向(反時計回り)の回転力が伝達される。可動子ホルダ11に矢印A方向の回転力が伝達され、第1ピン16が、可動接触子12の短尺方向の一側に設けた第1突起21に乗り上げ、第2ピン18が、可動接触子12の短尺方向の他側に設けた第5突起25に乗り上げる。
【0027】
第1ピン16が第1突起21に乗り上げて接圧バネ19のバネ長が延びることで接圧バネ19の付勢力が増大し、第2ピン18が第1突起25に乗り上げて接圧バネ20のバネ長が延びることで接圧バネ20の付勢力が増大することから、可動接触子12に作用する図6の反時計回りの回転トルクが増大する。これにより、第1可動接点12aから電源側固定接点7bに作用する接触圧F1が増大し、第2可動接点12bから負荷側固定接点8aに作用する接触圧F1が増大する。なお、このような可動接触子12の第1可動接点12a及び第2可動接点12bの状態を、接点押し込み状態と称する。
【0028】
一方、主回路に過電流が流れると、この過電流を検知した過電流引外し装置4により開閉機構3がトリップ動作を開始する。開閉機構3は、可動子ユニット9の可動子ホルダ11に時計回りの回転を伝達することで、可動接触子12の第1可動接点12a及び第2可動接点12bを所定の開極位置まで大きく開離させて保持する。
【0029】
ここで、主回路に短絡電流が流れる場合には、電源側固定接点7b及び第1可動接点12aの間、負荷側固定接点8a及び第2可動接点12bの間に電磁反発力が発生し、開閉機構3のトリップ動作に先立って、第1可動接点12aが開極位置に向けて移動し、第2可動接点12bが開極位置に向けて移動して可動接触子12が開離動作を開始する。
【0030】
図6は、小さな電磁反発力を受けて可動接触子12が開離動作を行っている状態を示すものである。接点押し込み状態の可動接触子12は、接圧バネ19,20の付勢力に対して小さな電磁反発力が勝ることで矢印B方向(時計回り)に回動し、電源側固定接点7bから第1可動接点12aが僅かに移動し、負荷側固定接点8aから第2可動接点12bが僅かに移動する。このとき、第1ピン16は、可動接触子12の短尺方向の一側に設けた第1突起21を乗り越えて第2窪み22に移動し、第2ピン18は、可動接触子12の短尺方向の他側に設けた第5突起25を乗り超えて第6窪み26に移動する。
【0031】
そして、電源側固定接点7b及び第1可動接点12aの間、負荷側固定接点8a及び第2可動接点12bの間に発生したアークが伸張して電磁反発力が低下していても、第1ピン16が第2窪み22に位置し、第2ピン18が第6窪み26に位置することで、第1可動接点12aは電源側固定接点7b側に戻らず、第2可動接点12bは負荷側固定接点8a側に戻らず、可動接触子12が保持される。そして、この可動接触子12の保持が所定時間経過した後に、開閉機構3のトリップ動作により、可動接触子12の第1可動接点12a及び第2可動接点12bが所定の開極位置まで大きく開離して保持される。
【0032】
また、図7は、大きな電磁反発力を受けて可動接触子12が開離動作を行っている状態を示すものである。接点押し込み状態の可動接触子12は、大きな電磁反発力で矢印C方向(時計回り)に回動し、電源側固定接点7bから第1可動接点12aまで大きな距離で開離し、負荷側固定接点8aから第2可動接点12bまで大きな距離で開離する。このとき、第1ピン16は、可動接触子12の短尺方向の一側に設けた第1突起21を乗り越え、第2窪み22を通過し、第3突起23を乗り越えて第4窪み24に移動し、第2ピン18は、可動接触子12の短尺方向の他側に設けた第5突起25を乗り越え、第6窪み26を通過し、第7突起27を乗り越えて第8窪み28に移動する。
【0033】
そして、電源側固定接点7b及び第1可動接点12aの間、負荷側固定接点8a及び第2可動接点12bの間に発生したアークが伸張して電磁反発力が低下していても、第1ピン16が第4窪み24に位置し、第2ピン18が第8窪み28に位置することで、第1可動接点12aが電源側固定接点7b側に戻らず、第2可動接点12bが負荷側固定接点8a側に戻らず、可動接触子12が保持される。そして、この可動接触子12の保持が所定時間経過した後に、開閉機構3のトリップ動作により、可動接触子12の第1可動接点12a及び第2可動接点12bが所定の開極位置まで大きく開離して保持される。
【0034】
したがって、本実施形態の回路遮断器1は、主回路に短絡電流が流れ、開閉機構3のトリップ動作に先立って可動接触子12が小さな電磁反発力を受けて開離する場合であっても、第1ピン16が第2窪み22に位置し、第2ピン18が第6窪み26に位置することで、第1可動接点12aが電源側固定接点7b側に戻らず、第2可動接点12bが負荷側固定接点8a側に戻らず、可動接触子12が保持されるので、第1可動接点12a、第2可動接点12b及び電源側固定接点7b,負荷側固定接点8aの再接触、あるいは再発弧が防止され、遮断性能の向上を図ることができる。
【0035】
そして、本実施形態の回路遮断器1は、可動接触子12の短尺方向の一側に、第1突起21、第2窪み22、第3突起23及び第4窪み24を連続して形成し、可動接触子12の短尺方向の他側にも、第5突起25、第6窪み26、第7突起27及び第8窪み28を連続して形成し、段階的に可動接触子12を保持する機能を設けることで、電磁反発力を受けて開離する可動接触子12の保持領域を拡大することができるので、遮断性能の大幅な向上を図ることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、第1ピン16を第1突起21、第2窪み22、第3突起23及び第4窪み24に押し付ける接圧バネ19と、第2ピン18を第5突起25、第6窪み26、第7突起27及び第8窪み28に押し付ける接圧バネ20とをコイルスプリングで構成したが、トーションスプリングなどの他のバネで構成してもよい。
【0037】
また、可動接触子12の短尺方向の一側及び他側に、さらに連続した突起及び窪みを形成することで、さらに段階的に可動接触子12を保持する保持機能を付加してもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 回路遮断器
2 開閉ハンドル
3 開閉機構
3a トグル部材
4 過電流引外し装置
5 電流遮断部
6 遮断部ケース
6a 支持内壁
7 電源側固定接触子
7b 電源側固定接点
8 負荷側固定接触子
8a 負荷側固定接点
9 可動子ユニット
10a 電源側消弧部
10b 負荷側消弧部
11 可動子ホルダ
11a 側周面
11b 回動伝達部材
12 可動接触子
12a 第1可動接点
12b 第2可動接点
13a,13b 連結シャフト
14 可動子挿通孔
14a 一方の開口部
15 第1ピン座面
16 第1ピン
17 第2ピン座面
18 第2ピン
19,20 接圧バネ
21 第1突起
22 第2窪み
23 第3突起
24 第4窪み
25 第5突起
26 第6窪み
27 第7突起
28 第8窪み
30 回転軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7