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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156755
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】洗浄用具
(51)【国際特許分類】
   F28G 9/00 20060101AFI20231018BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20231018BHJP
   B08B 9/032 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
F28G9/00 E
A47K3/00 E
B08B9/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066297
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯沼 壱成
(72)【発明者】
【氏名】松下 圭太
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA12
3B116AB51
3B116BB03
3B116BB72
3B116BB87
(57)【要約】
【課題】吸水口と吐水口とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置の洗浄に使用する水の量を減らすことが可能な洗浄用具を提供する。
【解決手段】浴槽10の水を取り入れる吸水口21と、取り入れた水を吐水する吐水口26とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置20の洗浄に用いる洗浄用具40であって、浴槽10内の空間を仕切って前記浴槽10内の一部に貯留空間43を形成する仕切り部材41を備え、前記仕切り部材41には複数の開口49,51が形成され、前記複数の開口49,51は、前記貯留空間43内の洗浄水を前記吸水口21に取り入れるために開口した吸水口用開口49と、前記吐水口26から吐水された洗浄水を前記貯留空間43内に流入するために開口した吐水口用開口51とを含んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の水を取り入れる吸水口と、取り入れた水を吐水する吐水口とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置の洗浄に用いる洗浄用具であって、
浴槽内の空間を仕切って前記浴槽内の一部に貯留空間を形成する仕切り部材を備え、
前記仕切り部材には複数の開口が形成され、
前記複数の開口は、前記貯留空間内の洗浄水を前記吸水口に取り入れるために開口した吸水口用開口と、前記吐水口から吐水された洗浄水を前記貯留空間内に流入するために開口した吐水口用開口とを含んでいる、洗浄用具。
【請求項2】
浴槽の水を取り入れる吸水口と、取り入れた水を吐水する吐水口とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置の洗浄に用いる洗浄用具であって、
浴槽内の空間を仕切って前記浴槽内の一部に貯留空間を形成する仕切り部材を備え、
前記浴槽及び前記仕切り部材によって複数の開口が形成され、
前記複数の開口は、前記貯留空間内の洗浄水を前記吸水口に取り入れるために開口した吸水口用開口と、前記吐水口から吐水された洗浄水を前記貯留空間内に流入するために開口した吐水口用開口とを含んでいる、洗浄用具。
【請求項3】
前記仕切り部材は、前記貯留空間を内側に形成する袋状をなしている、請求項1に記載の洗浄用具。
【請求項4】
前記吐水口用開口は、上側に開口している、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の洗浄用具。
【請求項5】
前記仕切り部材の形状は、変形自在である、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の洗浄用具。
【請求項6】
前記仕切り部材を前記浴槽に着脱自在な着脱部材を備えている、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の洗浄用具。
【請求項7】
前記仕切り部材は、変形して小さくできる、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の洗浄用具。
【請求項8】
複数の前記仕切り部材と、複数の前記仕切り部材同士を連結する連結部材と、を備え、
複数の前記仕切り部材は、前記吸水口側に前記貯留空間を形成する吸水口用仕切り部材と、前記吐水口側に前記貯留空間を形成する吐水口用仕切り部材とを含み、
前記連結部材は、前記吸水口用仕切り部材によって形成された貯留空間と、前記吐水用仕切り部材によって形成された貯留空間とを連通している、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の洗浄用具。
【請求項9】
前記浴槽の上面より上側に配置された前記吐水口を有する前記吐水装置の洗浄に用いるものであって、
前記吐水口から前記吐水口用開口へ洗浄水を案内するガイド部材を備えている、請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の洗浄用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、洗浄用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽に備えられた循環式の吐水装置を洗浄するべく、浴槽の水に洗浄剤を溶かして追い炊き運転を行うことが知られている。吐水装置の洗浄は、浴槽の水を洗浄水として使用するから、多量の水を必要とする。吐水装置の洗浄に使用する水の量を減らすべく、例えば下記特許文献1には、洗浄液を入れたタンクを用いて吐水装置を洗浄することが記載されている。具体的には、洗浄液を入れたタンクを浴槽内に設置して浴槽の循環口に接続し、追い炊き運転を行う。これによって、浴槽の水を洗浄水として使用するよりも少ない量の水で吐水装置を洗浄できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-96090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
循環式の吐水装置は、浴槽の水を取り入れる吸水口と、取り入れた水を吐水する吐水口とが離れた部位に配置されているものがある。このような吐水装置の洗浄においても、使用する水の量を減らしたいという要望があった。
【0005】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、吸水口と吐水口とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置の洗浄に使用する水の量を減らすことが可能な洗浄用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示1の洗浄用具は、浴槽の水を取り入れる吸水口と、取り入れた水を吐水する吐水口とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置の洗浄に用いる洗浄用具であって、浴槽内の空間を仕切って前記浴槽内の一部に貯留空間を形成する仕切り部材を備え、前記仕切り部材には複数の開口が形成され、前記複数の開口は、前記貯留空間内の洗浄水を前記吸水口に取り入れるために開口した吸水口用開口と、前記吐水口から吐水された洗浄水を前記貯留空間内に流入するために開口した吐水口用開口とを含んでいるものである。
【0007】
本開示2の洗浄用具は、浴槽の水を取り入れる吸水口と、取り入れた水を吐水する吐水口とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置の洗浄に用いる洗浄用具であって、浴槽内の空間を仕切って前記浴槽内の一部に貯留空間を形成する仕切り部材を備え、前記浴槽及び前記仕切り部材によって複数の開口が形成され、前記複数の開口は、前記貯留空間内の洗浄水を前記吸水口に取り入れるために開口した吸水口用開口と、前記吐水口から吐水された洗浄水を前記貯留空間内に流入するために開口した吐水口用開口とを含んでいるものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1における洗浄用具であって、使用状態を示す斜視図
図2】吐水装置を概略的に示す概略構成図
図3】実施形態2における洗浄用具であって、使用状態を示す斜視図
図4】仕切り部材及びガイド部材を示す斜視図
図5】実施形態3における洗浄用具であって、使用状態を示す斜視図
図6】ガイド部材を示す斜視図
図7】実施形態4における洗浄用具であって、使用状態を示す斜視図
図8】実施形態5における洗浄用具であって、使用状態を示す斜視図
図9】実施形態6における洗浄用具であって、使用状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態1>
洗浄用具40は、図1に示すように、浴槽10に備えられた循環式の吐水装置20の洗浄に用いられる。以下、各構成部材において、浴槽10において吐水装置20が設けられている側を後側、その反対側を前側、鉛直方向上側を上側、下側を下側、後側に背中を向けて浴槽10に入った状態の入浴者の右側を右側、左側を左側として説明する。各図においてX軸の正方向側は前側、X軸の負方向側は後側、Y軸の正方向側は上側、Y軸の負方向側は下側、Z軸の正方向側は右側、Z軸の負方向側は左側を示す。
【0010】
浴槽10は、上側が開放された箱状に形成されている。浴槽10の内部には、水が貯溜される。本開示における水は、湯を含む。浴槽10の内壁面11は、後壁面12、左右の側壁面13、底壁面14、及び図示しない前壁面を有している。浴槽10の上面15は、浴槽10の内壁面11の上端から外側に広がっている。
【0011】
吐水装置20は、図2に示すように、吸水口21、導水路22、ポンプ23、切替弁24、制御装置25、第一吐水口26、及び第二吐水口27を備えている。吸水口21は、浴槽10の内部に開口している。吸水口21は、ポンプ23によって浴槽10の内部に溜められた水を導水路22に取り入れる。導水路22は、吸水口21から取り入れた水を第一吐水口26及び第二吐水口27に導く流路である。切替弁24は、導水路22の水の流れる方向を第一吐水口26へ向かう方向と第二吐水口27へ向かう方向とのいずれかに切り換える。ポンプ23及び切替弁24は、制御装置25からの制御信号によって制御される。
【0012】
第一吐水口26は、図1に示すように、上側吐水部28に形成されている。上側吐水部28は、横長偏平な形状をなし、浴槽10の上面15に設置されている。上側吐水部28は、ヘッドレスト16によって覆われている。第一吐水口26は、上側吐水部28の前面に開口している。第一吐水口26は、浴槽10の上面15より上側に位置している。第一吐水口26は、左右に延びたスリット状をなし、膜状の横長な吐水流を前方に吐き出す。第一吐水口26からの吐水は、入浴者の肩付近に流れ落ちる。
【0013】
第二吐水口27は、図1に示すように、浴槽10の後壁面12に設けられた循環口部29に形成されている。循環口部29は、浴槽10の後壁面12から浴槽10の内部に突出している。循環口部29は、前側から見ると、略円形をなしている。循環口部29は、浴槽10の後壁面12に2つ設けられている。2つの循環口部29は、左右に並んでいる。第二吐水口27は、循環口部29の前面に開口している。第二吐水口27は、前側から見ると、円形状をなしている。第二吐水口27からの吐水は、入浴者の腰や背中に向けて勢いよく噴射する。
【0014】
吸水口21は、循環口部29の側面に開口している。
【0015】
洗浄用具40は、仕切り部材41と、着脱部材42と、を備えている。仕切り部材41は、浴槽10の内部空間の一部に貯留空間43を形成する。仕切り部材41は、例えばナイロン(ポリアミド)製やポリエステル製の耐水性のある柔らかくて薄い布帛を袋状にしたものである。仕切り部材41の形状は、変形自在である。仕切り部材41は、折りたたんだり、くしゃくしゃに丸めたりして小さくできる。
【0016】
貯留空間43は、仕切り部材41の内側に形成される。洗浄用具40を使用している状態(使用状態と称する。)において貯留空間43には、水が溜められる。仕切り部材41は、貯留空間43と仕切り部材41の外側の空間との間で水を通過させない。仕切り部材41は、貯留空間43に溜まった水によってピンと張った状態になる。
【0017】
仕切り部材41は、底面44及び周面45を有している。周面45は、底面44の外周縁から上側に延びた筒状をなしている。周面45は、後面46、前面47、及び左右の側面48を有している。底面44の大部分は、貯留空間43に溜まった水の重さによって、浴槽10の底壁面14に接触する。左右の側面48は、貯留空間43に溜まった水によって左右方向の外側に押される。左右の側面48は、使用状態において浴槽10の左右の側壁面13から離れている。前面47は、浴槽10の内部空間を左右方向に横切っている。前面47は、貯留空間43に溜まった水によって前側に押される。
【0018】
仕切り部材41には、3つの開口が形成されている。3つの開口のうち2つの開口は、吸水口用開口49である。吸水口用開口49は、貯留空間43内の洗浄水を吸水口21に取り入れるための開口である。3つの開口のうち1つの開口は、吐水口用開口51である。吐水口用開口51は、第一吐水口26から吐水された洗浄水を貯留空間43内に流入するための開口である。
【0019】
吸水口用開口49は、仕切り部材41の後面46に設けられている。吸水口用開口49は、仕切り部材41の後面46を内外方向に貫通している。吸水口用開口49はそれぞれ、循環口部29に個別に対応している。2つの吸水口用開口49は、左右に並んでいる。各吸水口用開口49は、図示しない止水部材を備えている。止水部材は、例えば吸水口用開口49の周縁を形成する円環状のパッキンである。各吸水口用開口49に循環口部29が嵌った状態において、止水部材は、各循環口部29の側面に密着し、各循環口部29との間の隙間を密閉する。
【0020】
吐水口用開口51は、上側に開口している。吐水口用開口51は、使用状態において、上側から見ると、4つの角を有する方形状をなしている。吐水口用開口51は、仕切り部材41の上縁52に囲まれて形成されている。吐水口用開口51の上縁52は、後縁53、前縁54及び左右の側縁55を有している。後縁53は、後面46の上端縁である。後縁53の長さ寸法(左右方向の寸法)は、第一吐水口26の左右方向の長さ寸法よりも大きい。後縁53は、後縁53の形状を浴槽10の後壁面12に沿った状態に維持するべく、針金等の線状部材を備えても良い。前縁54は、前面47の上端縁である。左右の側縁55は、左右の側面48の上端縁である。仕切り部材41の上縁52は、使用状態において、浴槽10の上面15よりも下側に位置する。
【0021】
着脱部材42は、吸盤である。着脱部材42によって、仕切り部材41は浴槽10に着脱自在である。各着脱部材42は、紐56によって、仕切り部材41の4つの角部に繋がれている。紐56は、引っ張られても切れにくく、ほとんど伸びない素材によって形成されている。
【0022】
洗浄用具40を用いた吐水装置20の洗浄作業の一例について説明する。まず、仕切り部材41を浴槽10に取り付ける。具体的には、仕切り部材41を広げ、2つの吸水口用開口49をそれぞれ循環口部29に嵌める。循環口部29は、吸水口用開口49を介して仕切り部材41の内側に突出した状態になる。また、着脱部材42を浴槽10の上面15や内壁面11に取り付ける。詳細には、2つの着脱部材42を、浴槽10の上面15のうち上側吐水部28の左右両側に取り付ける。他の2つの着脱部材42を、左右の側壁面13の上端部に取り付ける。各着脱部材42の取り付け位置を調整し、第一吐水口26からの吐水の流下位置に吐水口用開口51を大きく開いた形状にする。着脱部材42は吸盤であるから、取り付け位置を容易に調整できる。
【0023】
次に、貯留空間43に洗浄水を溜める。具体的には、貯留空間43に水を溜めて洗剤を混ぜる、もしくは、貯留空間43の外部で洗浄水をつくり、吐水口用開口51から貯留空間43に入れる。
【0024】
次に、第一吐水口26から吐水するように吐水装置20を設定し、吐水装置20を作動させる。貯留空間43に溜められた洗浄水は、循環口部29の吸水口21から吸水され、導水路22を通り、第一吐水口26から吐水される。第一吐水口26からの吐水は、吐水口用開口51から貯留空間43に流れ込み、再び吸水口21から吸水される。第一吐水口26からの吐水が勢いよく貯留空間43に流れ込んでも、着脱部材42によって仕切り部材41の位置ずれは防止される。洗浄水は、吐水装置20を循環し、吐水装置20の汚れは落とされる。
【0025】
第二吐水口27から吐水するように吐水装置20を設定し、吐水装置20を作動させることにより、導水路22のうち切替弁24から第二吐水口27までの部分を洗浄できる。この場合、貯留空間43に溜められた洗浄水は、循環口部29の吸水口21から吸水され、導水路22を通り、第二吐水口27から吐水され、再び吸水口21から吸水される。
【0026】
洗浄水を吐水装置20に循環させ終わったら、洗浄水ではない水を吐水装置20に循環させてすすぎを行う。具体的には、吐水装置20を停止させ、貯留空間43の洗浄水を浴槽10の内部空間に流出させた後、洗剤を混ぜていない水を貯留空間43に入れる。洗浄水を循環させたときと同様、吐水装置20を作動させ、水を循環させる。
【0027】
すすぎが終わったら、吐水装置20を停止させ、浴槽10から仕切り部材41を取り外す。具体的には、着脱部材42を浴槽10から取り外し、貯留空間43の水を浴槽10の内部空間に流出させる。仕切り部材41を小さく畳んでコンパクトにし、収納場所に保管する。以上により、洗浄用具40を用いた吐水装置20の洗浄作業が完了する。
【0028】
上記のように構成された実施形態によれば、以下の効果を奏する。洗浄用具40は、浴槽10の水を取り入れる吸水口21と、取り入れた水を吐水する第一吐水口26とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置20の洗浄に用いられる。洗浄用具40は、仕切り部材41を備えている。仕切り部材41は、浴槽10の内部空間を仕切って浴槽10内の一部に貯留空間43を形成する。仕切り部材41には3つの開口が形成されている。3つの開口は、貯留空間43内の洗浄水を吸水口21に取り入れるために開口した吸水口用開口49と、第一吐水口26から吐水された洗浄水を貯留空間43内に流入するために開口した吐水口用開口51とを含んでいる。
【0029】
この構成によれば、吸水口21は、吸水口用開口49を介して貯留空間43の水を取り入れ、第一吐水口26からの吐水は、吐水口用開口51を介して貯留空間43に流入する。このように浴槽10内の一部に形成された貯留空間43の水を洗浄水として使用できるから、吸水口21と第一吐水口26とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置20の洗浄に使用する水の量を減らすことができる。洗浄に使用する水の量を減らすことができるから、使用する洗剤の量を少なくできるし、洗浄水の作成に要する時間を短縮できる。
【0030】
仕切り部材41は、貯留空間43を内側に形成する袋状をなしている。この構成によれば、浴槽10の内壁面11を利用することなく仕切り部材41のみで貯留空間43を形成できるから、浴槽10の形状や大きさとは無関係に貯留空間43を形成できる。
【0031】
吐水口用開口51は、上側に開口している。この構成によれば、浴槽10の上面15より上側に配置された第一吐水口26からの吐水を貯留空間43に流入させることができる。
【0032】
仕切り部材41の形状は、変形自在である。この構成によれば、仕切り部材41の形状を変えることによって、様々な形状や大きさの浴槽10内に貯留空間43を形成できる。
【0033】
洗浄用具40は、仕切り部材41を浴槽10に着脱自在な着脱部材42を備えている。この構成によれば、仕切り部材41を浴槽10に容易に着脱できるから、吐水装置20の洗浄を容易に行うことができる。
【0034】
仕切り部材41は、変形して小さくできる。この構成によれば、洗浄用具40を使用しないときには、仕切り部材41をコンパクトにして保管できる。したがって、保管のためのスペースの無駄を省くことができる。
【0035】
<実施形態2>
次に、本開示を具体化した実施形態2に係る洗浄用具70を図3及び図4によって説明する。本実施形態の洗浄用具70は、ガイド部材71を備えている点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
洗浄用具70は、実施形態1と同様、仕切り部材41と、着脱部材42と、を備えている。仕切り部材41は、例えばエラストマー製の弾力を持った合成樹脂製であって、扁平な箱状に形成されている。仕切り部材41は、実施形態1と同様、底面44及び周面45を有し、周面45は、後面46、前面47、及び左右の側面48を有している。仕切り部材41は、内部に貯留空間43を保持した形状で撓んだりできる。貯留空間43は、実施形態1と同様、仕切り部材41の内側に形成される。仕切り部材41は、使用状態において浴槽10の後壁面12に沿って立つ。
【0037】
仕切り部材41には、実施形態1と同様、2つの吸水口用開口49及び1つの吐水口用開口51が形成されている。吐水口用開口51は、上側から見ると、前後方向の寸法よりも左右方向の寸法が大きい長方形状をなしている。着脱部材42は、実施形態1と同様、吸盤である。着脱部材42は、後面46の上端部の左右2箇所に直接取り付けられている。
【0038】
ガイド部材71は、例えばナイロン(ポリアミド)製、ポリエステル製、ポリエチレン製などの合成樹脂製であって、耐水性を有する薄くて柔らかいシートによって形成されている。具体的には、ガイド部材71は、1枚のシートを筒状に形成したり、2枚のシートを前後に重ねて左右両側を繋ぎ合わせたり等により形成されている。ガイド部材71の上下両側は開口し、ガイド部材71の内部は、上端から下端まで通水路を形成している。ガイド部材71の形状は、変形自在である。ガイド部材71は、折りたたんだり、くしゃくしゃに丸めたりして小さくできる。ガイド部材71の上端開口72は、上側吐水部28に被さる大きさを有している。ガイド部材71の上縁には紐73が通されている。ガイド部材71の上下方向の長さ寸法は、第一吐水口26から仕切り部材41の上縁52までの最短距離よりも大きい。
【0039】
洗浄用具70を用いた吐水装置20の洗浄作業の一例について説明する。まず、仕切り部材41を浴槽10に取り付ける。具体的には、2つの吸水口用開口49を循環口部29に嵌める。着脱部材42を浴槽10の後壁面12に取り付ける。
【0040】
次に、ガイド部材71を上側吐水部28に固定する。具体的には、ガイド部材71を上端開口72から上側吐水部28に被せ、紐73を締めて上端開口72を窄ませ上側吐水部28に引っ掛ける。これによって、ガイド部材71は上側吐水部28に固定される。また、ガイド部材71の下端開口74を、仕切り部材41の吐水口用開口51から貯留空間43に挿入する。ガイド部材71の通水路は、第一吐水口26から吐水口用開口51を介して貯留空間43まで延びた状態になる。ガイド部材71を上側吐水部28に固定する作業は、仕切り部材41を浴槽10に取り付ける前に行ってもよい。
【0041】
次に、実施形態1と同様、貯留空間43に洗浄水を溜め、吐水装置20を作動させる。貯留空間43に溜められた洗浄水は吸水口21から吸水され、導水路22を通り、第一吐水口26から吐水される。第一吐水口26からの吐水は、ガイド部材71の通水路を通り、ガイド部材71の下端開口74から貯留空間43に流入する。これによって、第一吐水口26からの吐水が仕切り部材41の外側に飛び散ることを防止できる。洗浄水は吐水装置20を循環し、吐水装置20の汚れは落とされる。洗浄水を吐水装置20に循環させ終わったら、実施形態1と同様、洗浄水ではない水を吐水装置20に循環させてすすぎを行う。
【0042】
次に、実施形態1と同様、吐水装置20を停止させ、仕切り部材41を浴槽10から取り外す。ガイド部材71の紐73を緩め、ガイド部材71を上側吐水部28から取り外し、小さく畳んでコンパクトにする。以上により、洗浄用具70を用いた吐水装置20の洗浄作業が完了する。
【0043】
以上のように本実施形態においては、実施形態1と同様、浴槽10内の一部に形成された貯留空間43の水を洗浄水として使用できるから、吸水口21と第一吐水口26とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置20の洗浄に使用する水の量を減らすことができる。
【0044】
洗浄用具70は、ガイド部材71を備えている。ガイド部材71は、第一吐水口26から吐水口用開口51まで延びた通水路を有している。この構成によれば、浴槽10の上面15より上側に配置された第一吐水口26からの吐水は、ガイド部材71の通水路を通って貯留空間43まで案内される。したがって、第一吐水口26からの吐水が仕切り部材41の外側に飛び散ることを防止できる。
【0045】
<実施形態3>
次に、本開示を具体化した実施形態3に係る洗浄用具80を図5及び図6によって説明する。本実施形態の洗浄用具80は、ガイド部材85が成形品である点で、実施形態2とは相違する。なお、実施形態2と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0046】
洗浄用具80は、実施形態2と同様、仕切り部材41と、着脱部材42と、を備えている。
【0047】
ガイド部材85は、合成樹脂によって射出成形されている。ガイド部材85は、ガイド上部81及びガイド下部82を有している。ガイド上部81は、上側吐水部28に被せ付けられる。ガイド上部81には、嵌合口83が形成されている。嵌合口83は、上側吐水部28の外形に沿った形状で下向きに開口している。ガイド上部81は、上側吐水部28に上側から嵌め付けられる。ガイド下部82は、ガイド上部81から下側に突出している。ガイド下部82は、嵌合口83の前側に設けられている。ガイド下部82は、使用状態において浴槽10の後壁面12に沿って垂下する。ガイド下部82の下端には、流出口84が形成されている。ガイド部材85の内部は空洞であり、通水路を形成する。
【0048】
洗浄用具80を用いた吐水装置20の洗浄作業の一例について説明する。まず、実施形態2と同様、仕切り部材41を浴槽10に取り付ける。次に、ガイド部材85を上側吐水部28に固定する。具体的には、ガイド下部82を仕切り部材41の吐水口用開口51から貯留空間43に挿入し、ガイド上部81の嵌合口83を上側吐水部28に嵌める。これによって、ガイド部材85は、上側吐水部28に固定される。第一吐水口26はガイド部材85の内部に開口し、ガイド部材85の流出口84は貯留空間43に開口する。
【0049】
次に、実施形態2と同様、貯留空間43に洗浄水を溜め、吐水装置20を作動させる。貯留空間43に溜められた洗浄水は吸水口21から吸水され、導水路22を通り、第一吐水口26からガイド部材85の内部に吐水される。第一吐水口26からの吐水は、ガイド部材85の通水路を通り、ガイド部材85の流出口84から貯留空間43に流入する。これによって、実施形態2と同様、第一吐水口26からの吐水が仕切り部材41の外側に飛び散ることを防止できる。洗浄水は吐水装置20を循環し、吐水装置20の汚れは落とされる。
【0050】
次に、実施形態2と同様、吐水装置20を停止させ、仕切り部材41を浴槽10から取り外す。ガイド部材85を上側吐水部28から上方に取り外す。以上により、洗浄用具80を用いた吐水装置20の洗浄作業が完了する。
【0051】
以上のように本実施形態においては、実施形態2と同様、洗浄用具80は、ガイド部材85を備えているから、浴槽10の上面15より上側に配置された第一吐水口26からの吐水は、ガイド部材85の通水路を通って貯留空間43まで案内される。したがって、第一吐水口26からの吐水が仕切り部材41の外側に飛び散ることを防ぐことができる。
【0052】
<実施形態4>
次に、本開示を具体化した実施形態4に係る洗浄用具90を図7によって説明する。本実施形態の洗浄用具90は、仕切り部材96が上側吐水部28に被さる点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0053】
洗浄用具90は、実施形態1と同様、仕切り部材96と、着脱部材91と、を備えている。仕切り部材96は、実施形態1と同様、耐水性のある柔らかくて薄い布帛を袋状にしたものであり、折りたたんだり、くしゃくしゃに丸めたりして小さくできる。
【0054】
仕切り部材96には、実施形態1と同様、2つの吸水口用開口49と1つの吐水口用開口97とが形成されている。吐水口用開口97は、上側吐水部28を通す大きさを有している。着脱部材91は紐であり、吐水口用開口97の外周縁に通されている。
【0055】
洗浄用具90を用いた吐水装置20の洗浄作業の一例について説明する。まず、仕切り部材96を浴槽10に取り付け、貯留空間43に洗浄水を溜める。具体的には、2つの吸水口用開口49を循環口部29に嵌め、貯留空間43に洗浄水を溜める。吐水口用開口97から仕切り部材96を上側吐水部28に被せて着脱部材91を締め、吐水口用開口97を窄めて上側吐水部28に引っ掛ける。上側吐水部28は、吐水口用開口97を介して仕切り部材96の内側に突出し、第一吐水口26は、貯留空間43に臨んだ状態になる。
【0056】
次に、吐水装置20を作動させる。貯留空間43に溜められた洗浄水は吸水口21から吸水され、導水路22を通り、第一吐水口26から仕切り部材96の貯留空間43に吐水される。これによって、第一吐水口26からの吐水が仕切り部材96の外側に飛び散ることを防止できる。洗浄水は吐水装置20を循環し、吐水装置20の汚れは落とされる。洗浄水を吐水装置20に循環させ終わったら、実施形態1と同様、洗浄水ではない水を吐水装置20に循環させてすすぎを行う。
【0057】
次に、実施形態1と同様、吐水装置20を停止させ、仕切り部材96を浴槽10から取り外す。具体的には、仕切り部材96の着脱部材91を緩めて、仕切り部材96を上側吐水部28から取り外し、小さく畳んでコンパクトにする。以上により、洗浄用具90を用いた吐水装置20の洗浄作業が完了する。
【0058】
以上のように本実施形態においては、実施形態1と同様、吸水口21は貯留空間43の水を取り入れ、第一吐水口26からの吐水は、貯留空間43に流入する。このように浴槽10内の一部に形成された貯留空間43の水を洗浄水として使用できるから、吸水口21と第一吐水口26とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置20の洗浄に使用する水の量を減らすことができる。
【0059】
<実施形態5>
次に、本開示を具体化した実施形態5に係る洗浄用具40Aを図8によって説明する。本実施形態は、洗浄する吐水装置100の形態が異なる点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0060】
吐水装置100は、吸水口21及び吐水口26を備えている。吸水口21は、浴槽10の左の側壁面13に設けられた吸水部101に形成されている。吸水部101は、浴槽10の側壁面13から浴槽10の内部に突出している。吸水部101は、右側から見ると、略円形をなしている。吸水部101は、浴槽10の側壁面13の前後方向の中央部に1つ設けられている。吸水口21は、吸水部101の右面に開口している。吸水口21は、右側から見ると、円形状をなしている。
【0061】
吐水口26は、浴槽10の後壁面12に設けられた吐水部102に形成されている。吐水部102は、浴槽10の後壁面12から浴槽10の内部に突出している。吐水部102は、前側から見ると、略円形をなしている。吐水部102は、浴槽10の後壁面12に2つ設けられている。2つの吐水部102は、左右に並んでいる。吐水口26は、吐水部102の前面47に開口している。吐水口26は、前側から見ると、円形状をなしている。吐水口26からの吐水は、入浴者の腰や背中に向けて勢いよく噴射する。
【0062】
洗浄用具40Aは、実施形態1と同様、仕切り部材41Aと、着脱部材42と、を備えている。仕切り部材41Aは、実施形態1と同様、耐水性のある柔らかくて薄い布帛を袋状にしたものであり、折りたたんだり、くしゃくしゃに丸めたりして小さくできる。
【0063】
仕切り部材41Aは、実施形態1と同様、底面44A及び周面45Aを有している。周面45Aは、底面44Aの外周縁から上側に延びた筒状をなしている。周面45Aは、後面46A、及び左右の側面48Aを有している。使用状態において左側の側面48Aは、左側の側壁面13に沿っている。右側の側面48Aは、浴槽10の内部空間を左右方向に斜めに横切っている。使用状態の仕切り部材41Aは、上側から見ると三角形状をなしている。
【0064】
仕切り部材41Aには、2つの吐水口用開口51Aと1つの吸水口用開口49Aとが形成されている。吸水口用開口49Aは、仕切り部材41Aの左側の側面48Aに設けられている。吸水口用開口49Aは、仕切り部材41Aの左側の側面48Aを内外方向に貫通している。吐水口用開口51Aは、仕切り部材41Aの後面46Aに設けられている。吐水口用開口51Aはそれぞれ、吐水部102に個別に対応している。2つの吐水口用開口51Aは、左右に並んでいる。
【0065】
吐水口用開口51A及び吸水口用開口49Aはそれぞれ、実施形態1と同様、図示しないパッキン等の止水部材を備えている。
【0066】
着脱部材42は、実施形態1と同様、吸盤である。着脱部材42は、実施形態1と同様、紐56によって、仕切り部材41Aの上縁52Aの3箇所の角部に繋がれている。
【0067】
洗浄用具40Aを用いた吐水装置100の洗浄作業の一例について説明する。まず、実施形態1と同様、仕切り部材41Aを浴槽10に取り付ける。具体的には、仕切り部材41Aを広げ、吸水口用開口49Aを吸水部101に、吐水口用開口51Aを吐水部102にそれぞれ嵌め付け、着脱部材42を浴槽10の上面15に取り付ける。吸水部101及び吐水部102はそれぞれ吸水口用開口49A及び吐水口用開口51Aを介して貯留空間43に突出する。
【0068】
次に、実施形態1と同様、貯留空間43に洗浄水を溜め、吐水装置100を作動させる。貯留空間43に溜められた洗浄水は吸水口21から吸水され、導水路22を通り、2つの吐水口26から吐水され、貯留空間43に流入する。洗浄水は吐水装置100を循環し、吐水装置100の汚れは落とされる。洗浄水を吐水装置100に循環させ終わったら、実施形態1と同様、洗浄水ではない水を吐水装置100に循環させてすすぎを行う。
【0069】
次に、実施形態1と同様、吐水装置100を停止させ、浴槽10から仕切り部材41Aを取り外す。具体的には、着脱部材42を浴槽10から取り外し、仕切り部材41Aを小さく畳んでコンパクトにする。以上により、洗浄用具40Aを用いた吐水装置100の洗浄作業が完了する。
【0070】
以上のように本実施形態においては、実施形態1と同様、吸水口21は、貯留空間43の水を取り入れ、吐水口26からの吐水は、貯留空間43に流入する。このように浴槽10内の一部に形成された貯留空間43の水を洗浄水として使用できるから、吸水口21と吐水口26とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置100の洗浄に使用する水の量を減らすことができる。
【0071】
<実施形態6>
次に、本開示を具体化した実施形態6に係る洗浄用具92を図9によって説明する。本実施形態の洗浄用具92は、2つの仕切り部材93,94と、2つの仕切り部材93,94同士を連結する連結部材95と、を備えている点で、実施形態5とは相違する。なお、実施形態5と同様の構成には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0072】
洗浄用具92は、実施形態5と同様、吐水装置100の洗浄に用いられる。吐水装置100は、実施形態5と同様、吸水口21及び吐水口26を備え、吸水口21は、浴槽10の左の側壁面13に設けられた吸水部101に形成され、吐水口26は、浴槽10の後壁面12に設けられた吐水部102に形成されている。
【0073】
仕切り部材93,94には、実施形態5と同様、2つの吐水口用開口51Aと1つの吸水口用開口49Aとが形成されている。吐水口用開口51A及び吸水口用開口49Aはそれぞれ、図示しないパッキン等の止水部材を備えている。
【0074】
2つの仕切り部材93,94は、吸水口用開口49Aが形成された吸水口用仕切り部材93と、吐水口用開口51Aが形成された吐水口用仕切り部材94である。吸水口用仕切り部材93と吐水口用仕切り部材94とは、互いに独立している。吸水口用仕切り部材93と吐水口用仕切り部材94はいずれも貯留空間43を内側に形成する袋状をなしている。吸水口用仕切り部材93及び吐水口用仕切り部材94はそれぞれ、図示しない着脱部材によって浴槽10に取り付けられる。
【0075】
連結部材95は、筒状をなしている。連結部材95の内部は通水路である。連結部材95は、吸水口用仕切り部材93によって形成された貯留空間43と、吐水口用仕切り部材94によって形成された貯留空間43とを連通している。
【0076】
洗浄用具92を用いた吐水装置100の洗浄作業の一例について説明する。まず、吸水口用仕切り部材93及び吐水口用仕切り部材94をそれぞれ浴槽10に取り付ける。具体的には、吸水口用開口49Aを吸水部101に嵌めて吸水口用仕切り部材93を浴槽10の左側の側壁面13に取り付ける。吐水口用開口51Aを吐水部102に嵌めて吐水口用仕切り部材94を浴槽10の後壁面12に取り付ける。
【0077】
次に、貯留空間43に洗浄水を溜め、吐水装置100を作動させる。吸水口用仕切り部材93の貯留空間43に溜められた洗浄水は吸水口21から吸水され、導水路22を通り、吐水口26から吐水口用仕切り部材94の貯留空間43に吐水される。吐水口用仕切り部材94の貯留空間43に吐水された水は、連結部材95を通って吸水口用仕切り部材93の貯留空間43に流入し、再び吸水口21から吸水される。洗浄水は吐水装置100を循環し、吐水装置100の汚れは落とされる。洗浄水を吐水装置100に循環させ終わったら、実施形態5と同様、洗浄水ではない水を吐水装置100に循環させてすすぎを行う。
【0078】
次に、実施形態5と同様、吐水装置100を停止させ、仕切り部材93,94を取り外す。以上により、洗浄用具92を用いた吐水装置100の洗浄作業が完了する。
【0079】
以上のように本実施形態においては、実施形態5と同様、吸水口21は、貯留空間43の水を取り入れ、吐水口26からの吐水は、貯留空間43に流入する。このように浴槽10内の一部に形成された貯留空間43の水を洗浄水として使用できるから、吸水口21と吐水口26とが離れた部位に配置されている循環式の吐水装置100の洗浄に使用する水の量を減らすことができる。
【0080】
洗浄用具92は、2つの仕切り部材93,94と、2つの仕切り部材93,94同士を連結する連結部材95と、を備えている。2つの仕切り部材93,94は、吸水口用開口49Aが形成された吸水口用仕切り部材93と、吐水口用開口51Aが形成された吐水口用仕切り部材94とを含む。連結部材95は、吸水口用仕切り部材93によって形成された貯留空間43と、吐水口用仕切り部材94によって形成された貯留空間43とを連通している。この構成によれば、吸水口用仕切り部材93と吐水口用仕切り部材94とをわけて設けることによって、それぞれの貯留空間43を小さくできる。したがって、吐水装置100の洗浄に使用する水の量を減らすことができる。
【0081】
<他の実施形態>
本開示は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態において貯留空間43は、仕切り部材41の内側に形成される。これに限らず、貯留空間は浴槽の内壁面の一部を利用して形成されてもよい。
(2)上記実施形態において着脱部材42は吸盤及び紐のいずれかである。これに限らず着脱部材は、フック等であってもよい。
(3)上記実施形態において吸水口用開口49,49Aは、循環口部29及び吸水部101のいずれかに合わせた大きさの開口であって止水部材を備えている。これに限らず、吸水口用開口は、循環口部及び吸水部と比べて大きい開口であってもよい。この場合、止水部材のかわりに粘着性を有するゲル等を用い、吸水口用開口の周りを浴槽の内壁面に密着させてもよい。
(4)上記実施形態では、吸水口21及び吐水口26それぞれの位置を例示した。これに限らず、吸水口及び吐水口は離れた部位に配置されていればどのような位置に配置されてもよい。離れた部位とは、吸水口と吐水口とを共に有する循環口部、吐水部及び吸水部のいずれかのように浴槽の内壁面に突出している1つの部位と、この1つの部位から離れているもう1つの部位とを言う。吸水口及び吐水口の離れた部位の一例として、浴槽の後壁面に吸水口を設け、浴槽の側壁面に吐水口を設けてもよい。浴槽の内壁面に設ける吐水口は、入浴者に向けて勢いよく水をジェット噴射するジェット噴射口であってもよい。
(5)上記実施形態において仕切り部材41,41A,93,94,96の下端近傍に、仕切り部材41,41A,93,94,96それぞれの貯留空間43に溜めた洗浄水を排出するための排出口を形成してもよい。排出口は、例えばうきわの空気孔のような構造にしてもよい。
(6)上記実施形態2において洗浄用具70はガイド部材71を備えている。これに限らず、洗浄用具は、ガイド部材を備えなくてもよい。この場合、仕切り部材の上下方向の寸法を大きくしてもよい。
(7)上記実施形態1,2,3,4では、第一吐水口26から吐水するように吐水装置20を設定して作動させ、洗浄水を循環させている。これに限らず、吸水口と吐水口とが離れた部位に配置されている吐水装置において、吐水装置を追い炊き運転やジェット噴射に設定して作動させ、洗浄水を循環させてもよい。
(8)上記実施形態1,2,3,4において吸水口用開口49は2つであり、上記実施形態5,6において吸水口用開口49Aは1つである。これに限らず、吸水口用開口は3つ以上であってもよい。
(9)上記実施形態1,2,3,4において吐水口用開口51は1つであり、上記実施形態5,6において吐水口用開口51Aは2つである。これに限らず、吐水口用開口は3つ以上であってもよい。
(10)上記実施形態1,2,3,4,5において仕切り部材41,41A,96は貯留空間43を内側に形成する袋状をなしている。これに限らず、仕切り部材は、浴槽の左右の側壁面間に差し込まれる板状部材であってもよい。この場合、浴槽に設けられた吸水口を吸水口用開口としてもよい。上記実施形態1,2,3,4の吐水装置20のように吐水口が浴槽の上面より上側に位置している場合、浴槽の上縁及び仕切り部材の上縁によって吐水口用開口を形成してもよい。上記実施形態5の吐水装置100のように吐水口が浴槽の内壁面に設けられている場合、浴槽に設けられた吐水口を吐水口用開口としてもよい。
(11)上記実施形態6において吸水口用仕切り部材93及び吐水口用仕切り部材94はいずれも貯留空間43を内側に形成する袋状をなしている。これに限らず、吸水口用仕切り部材及び吐水口用仕切り部材はいずれも、浴槽側が開放された形状であってもよい。この場合、浴槽に設けられた吸水口を吸水口用開口としてもよいし、浴槽に設けられた吐水口を吐水口用開口としてもよい。
(12)上記実施形態1,2,3,4,5において仕切り部材41,41A,96には3つの開口が形成されている。これに限らず、仕切り部材には2つの開口もしくは4つ以上の開口が形成されていてもよい。
(13)上記実施形態6において吸水口用仕切り部材93及び吐水口用仕切り部材94にはあわせて3つの開口が形成されている。これに限らず、吸水口用仕切り部材及び吐水口用仕切り部材にはあわせて2つの開口もしくは4つ以上の開口が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…浴槽、20,100…吐水装置、21…吸水口、26…第一吐水口(吐水口)、40,40A,70,80,90,92…洗浄用具、41,41A,96…仕切り部材、42,91…着脱部材、43…貯留空間、49,49A…吸水口用開口、51,51A,97…吐水口用開口、71,85…ガイド部材、93…吸水口用仕切り部材、94…吐水口用仕切り部材、95…連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9