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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156761
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】テントおよびテントシステム
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/02 20060101AFI20231018BHJP
   E04H 15/44 20060101ALI20231018BHJP
   E04B 1/00 20060101ALI20231018BHJP
   E04F 10/04 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
E04H15/02
E04H15/44
E04B1/00 502E
E04F10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066303
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(72)【発明者】
【氏名】中桐 卓大
(72)【発明者】
【氏名】長澤 悟
(72)【発明者】
【氏名】楊 カンギョク
(72)【発明者】
【氏名】福井 直人
【テーマコード(参考)】
2E105
2E141
【Fターム(参考)】
2E105DD23
2E105DD26
2E105FF22
2E105GG02
2E105GG21
2E141BB05
2E141CC01
2E141DD12
2E141EE03
2E141EE05
2E141EE26
(57)【要約】
【課題】建物の傍に内部空間を簡単に設けることを目的とする。
【解決手段】一例に係るテントは、建物の外壁に対応する躯体に設けられた開閉体に対応して設けられる支持構造と、支持構造から建物の外に向かって張られることで、建物の内部と連通可能な内部空間を形成する幕構造とを備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁に対応する躯体に設けられた開閉体に対応して設けられる支持構造と、
前記支持構造から前記建物の外に向かって張られることで、前記建物の内部と連通可能な内部空間を形成する幕構造と、
を備えるテント。
【請求項2】
前記幕構造の両側面を支持する少なくとも一つの補助構造と、
前記少なくとも一つの補助構造のそれぞれの下端を前記支持構造の下端付近で固定する下固定部と、
を更に備え、
前記少なくとも一つの補助構造が、前記下固定部を中心に回転可能であり、
前記幕構造が、前記少なくとも一つの補助構造が前記支持構造から離れる方向に回転することで張られ、前記少なくとも一つの補助構造が前記支持構造に向けて回転することで畳まれる、
請求項1に記載のテント。
【請求項3】
前記少なくとも一つの補助構造が、複数の補助構造を含み、
前記幕構造が、前記複数の補助構造が前記支持構造に向けて回転することで蛇腹状に畳まれる、
請求項2に記載のテント。
【請求項4】
前記支持構造と、前記少なくとも一つの補助構造のうち前記支持構造から最も離れた最外の補助構造との間にわたって設けられるロープを更に備え、
前記幕構造が、前記ロープを通す少なくとも一つのリング状部材を備え、
前記少なくとも一つのリング状部材が、前記少なくとも一つの補助構造の付近と、前記支持構造と前記支持構造に最も近い最内の補助構造との間と、隣り合う二つの前記補助構造の間とのうちの少なくとも一つに位置する、
請求項2または3に記載のテント。
【請求項5】
前記支持構造が、
前記開閉体の枠の少なくとも一部に沿って設けられるポールと、
前記枠に穴を開けることなく、前記ポールを前記枠に対応して固定する少なくとも一つの取付具と、
を備える、
請求項1~3のいずれか一項に記載のテント。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載のテントと、
前記建物の内部と前記内部空間との間で空気を流すファンと、
を備えるテントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一側面は、テントおよびテントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室内に隣接するベランダの天井部または軒先にその外縁端に沿って設置される収納部と、該収納部へ収納されるシェード部材と、該シェード部材を巻き取りおよび巻き出し可能な駆動軸と、該駆動軸を制御する制御手段とを備える日除け装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-53104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一側面では、建物の傍に内部空間を簡単に設けるための仕組みが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るテントは、建物の外壁に対応する躯体に設けられた開閉体に対応して設けられる支持構造と、支持構造から建物の外に向かって張られることで、建物の内部と連通可能な内部空間を形成する幕構造とを備える。
【0006】
このような側面においては、建物の外面の一部を形成する開閉体の外側に幕構造が張られて、内部空間が形成される。この仕組みによって建物の傍に内部空間を簡単に設けることができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一側面によれば、建物の傍に内部空間を簡単に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】テントシステムの設置の一例を示す図である。
図2】テントの展開および収納の様子を示す図である。
図3】テントの骨組みの構造および動きの一例を示す図である。
図4】テントの内部を示す一部破断斜視図である。
図5】支持構造の取付具の一例を示す断面図である。
図6】ファンを示す図1のA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
[テントシステムの概要]
本開示に係るテントは、建物の外壁に対応する躯体に設けられた開閉体の外側に内部空間を形成するための物品である。その開閉体は建物の外面の一部を形成する。ユーザは庭、ベランダなどの任意の場所でこのテントを使って、建物内の空間を拡張するようなかたちで追加の内部空間を利用できる。例えば、ユーザはテントを使って、人目または天気を気にすることなく、通常とは違った特別な空間を演出したり楽しんだりすることができる。
【0011】
本開示において、建物とは、人が居住したり、何らかの活動をしたりするために用いられる構造物をいう。建物は住宅でもよく、例えば、一戸建てでも集合住宅でもよい。あるいは、建物は、オフィス、学校、各種店舗などの各種の施設でもよい。本開示において、開閉体とは、建物の内部と外部との間を人または物が通れるように取り付けられた建具をいう。開閉体は例えば、引き戸、開き戸、折れ戸などのドアでもよいし、窓でもよいし、シャッタでもよい。開閉体は自動開閉の機能を有してもよい。
【0012】
テントは単体で提供されてもよいし、テントシステムの一部として提供されてもよい。一例では、本開示に係るテントシステムは、開閉体に対応して設けられるテントと、建物の内部とテントの内部との間で空気を流すファンとを備える。ファンを導入することで、テントの内部をユーザにとってより快適な環境にすることが可能になる。「開閉体に対応して設けられるテント」とは、開閉体を介して建物の内部とテントの内部との間を人が行き来できるように設けられるテントをいう。一例では、開閉体の枠(例えば、窓枠、ドア枠、シャッタ枠)の幅および高さの少なくとも一方に合わせて外壁側のテントの外縁を設計することで、開閉体に対応したテントが提供される。
【0013】
[テントシステムの構成]
一例に係るテントシステム1は、開閉体に対応して設けられるテント10と、建物の内部とテント10の内部との間で空気を流すファン20とを備える。
【0014】
図1はテントシステム1の設置の一例を示す図である。この例では、建物2の外壁3に対応する躯体(図示せず)に窓枠4が設けられ、その窓枠4に窓5が嵌め込まれている。テントシステム1はその窓5に対応して設置される。窓5は開閉体の一例であり、窓枠4は開閉体の枠の一例である。テント10は窓5を囲むように設けられる。一例では、ファン20は、窓枠4と連結するように設けられる。
【0015】
図2図4を更に参照しながらテント10の構成を詳しく説明する。図2はテント10の展開および収納の様子を示す図である。図3はテント10の骨組みの構造および動きの一例を示す図である。図4はテント10の内部を示す一部破断斜視図である。これらの図に示すように、テント10は、内部空間100を形成する幕構造11と、この幕構造11を支持したり、張られた幕構造11の形状を維持したりする骨組みとを備える。テント10はその骨組みの構成要素として、支持構造12と、複数の補助構造13と、1対の下固定部14と、1対のロープ15とを備える。
【0016】
幕構造11は、建物2の内部と連通可能な内部空間100を形成するシート状の部品である。一例では、幕構造11はテント10の両側面、前面、および上面を形成する。本開示において、幕構造11の側面とは、鉛直方向に延び、かつ、外壁3とほぼ直交する面をいい、幕構造11の前面とは、窓5と対向する面をいう。図2に示すように、張られた幕構造11は、横にした円柱を軸方向に沿って1/4に切ったような形を成すといえる。幕構造11の材質の例として、ポリエステル、ナイロン、コットン、およびポリコットンが挙げられる。幕構造11は遮光性を有してもよく、この機能は例えば、アルミニウムを蒸着させた生地を用いて実現される。幕構造11は防音性を有してもよく、この機能は例えば、表面に微細な凹凸パターンが形成された生地、厚手の生地などを用いて実現される。
【0017】
外壁3に沿う幕構造11の略U字状の外縁には、幕構造11を支持構造12に取り付けるための仕組みが設けられる。その仕組みの例として複数の紐またはリング状部材が挙げられる。例えば、それぞれの紐を支持構造12に括るか、あるいはそれぞれのリング状部材に支持構造12を通すことによって、幕構造11が支持構造12に取り付けられる。
【0018】
補助構造13の位置に対応する幕構造11の内側部分には、幕構造11を補助構造13に取り付けるための仕組み(例えば、複数の紐またはリング状部材)が設けられる。例えば、それぞれの紐を補助構造13に括るか、あるいはそれぞれのリング状部材に補助構造13を通すことによって、幕構造11が補助構造13に取り付けられる。
【0019】
幕構造11の両側面の上端の外側には、幕構造11をロープ15に取り付けるための仕組みが設けられる。その仕組みの例として複数のリング状部材16が挙げられる。一例では、個々のリング状部材16は、補助構造13の角の付近と、支持構造12と最内の補助構造13との間と、隣り合う二つの補助構造13の間とに位置する。「最内の補助構造」とは支持構造に最も近い補助構造をいう。それぞれのリング状部材16にロープ15を通すことによって、幕構造11がロープ15に取り付けられる。リング状部材16は円状の金具であってもよいし、スプリングフックのような、ロープの途中で着脱可能な部品であってもよい。
【0020】
幕構造11は、線ファスナ17によって開閉可能な開口部を有してもよい。その開口部は、内部空間100を形成する外部シートと、その外部シートの内側に設けられた、通気可能なメッシュシートとによって形成されてもよい。外部シートは外側ファスナによって開閉可能であり、内部シートは内側ファスナによって開閉可能である。線ファスナ17は外側ファスナと内側ファスナとの組合せであり得る。この例では、ユーザは内部シートを閉じて外部シートを開けた状態にして、開口部を蚊帳または換気口のように使うことができる。開口部は幕構造11の任意の面に設けられてよい。幕構造11の前面または側面に開口部が設けられる場合には、開口部の寸法は人が通過できるように設定されてもよく、これによりユーザはその開口部を介してテント10に出入りできる。図2および図4は、略U字状の線ファスナ17が幕構造11の上面および前面のそれぞれに設けられる例を示す。
【0021】
支持構造12は、窓枠4に幕構造11を固定する部品であり、窓5に対応して設けられる。一例では、支持構造12は窓枠4に対応する略U字状の支持フレーム121と、その支持フレーム121を窓枠4に固定する複数の取付具122とを備える。
【0022】
支持フレーム121は、窓枠4の両側部(すなわち縦枠)に隣接するように設けられる二つの縦ポールと、窓枠4の上部(すなわち上枠)とほぼ平行に設けられる一つの横ポールとによって構成される。これら3個のポールは、ジョイント、ねじなどの機械的手段によって連結されてもよいし、一体成型されてもよい。支持フレーム121はポールの一例であるといえる。支持フレーム121(各ポール)の材質の例として、アルミニウム、カーボンファイバー、グラスファイバー、およびスチールが挙げられる。
【0023】
取付具122は、窓枠4に穴を開けることなく支持フレーム121を窓枠4に対して固定する部品である。このような取付具122の少なくとも一部として、特許第6176606号公報に記載のスクリーン装置取付具を利用できる。図5は、そのスクリーン装置取付具を応用した取付具122の一例を示す断面図である。取付具122は、第1固定部材122aおよび第2固定部材122bを備える。第1固定部材122aは、窓枠4に当接する第1挟持部を有する。第2固定部材122bは、窓枠4に当接する第2挟持部と、支持フレーム121を固定させるための保持部品122cを取り付け可能な固定部とを有する。第1固定部材122aは、窓枠4を引っ掛けられる引っ掛け部を有する。取付具122は、第1挟持部と第2挟持部とで窓枠4を挟み込み、第1固定部材122aと第2固定部材122bとをネジなどの締結具122dにより締結させることで、窓枠4に固定される。U字状のホルダなどの保持部品122cを固定部に取り付けることで取付具122が得られる。
【0024】
補助構造13は、幕構造11の両側面を少なくとも支持する部品である。一例では、それぞれの補助構造13は略U字状のフレームによって実現される。この場合、補助構造13は、幕構造11の両側面を支持する二つの縦ポールと、幕構造11の上面を支持する一つの横ポールとによって構成される。これら3個のポールは、ジョイント、ねじなどの機械的手段によって連結されてもよいし、一体成型されてもよい。このように、補助構造13は支持フレーム121と同様の構成であってよく、この場合には、補助構造13もポールの一例であるといえる。補助構造13の材質の例も支持フレーム121と同様であり得る。補助構造13と支持フレーム121とで材質が異なってもよい。
【0025】
下固定部14は、複数の補助構造13のそれぞれの下端を支持構造12の下端付近で固定する部品である。1対の下固定部14は、支持構造12(支持フレーム121)の二つの縦ポールの下端付近に設けられる。下固定部14は、それぞれの補助構造13が下固定部14を中心に回転可能であるように、各補助構造13の下端を固定する。このような固定は例えば、下固定部14と各補助構造13の下端とにボルト穴を形成し、ボルトとナットとで各補助構造13を下固定部14に取り付けることで実現されてもよい。このような固定により、支持構造12およびそれぞれの補助構造13は、下固定部14を中心に放射状に延びるように配置される。
【0026】
ロープ15は、支持構造12と最外の補助構造13との間にわたって設けられる部品である。「最外の補助構造」とは支持構造から最も離れた補助構造をいう。ロープ15の第1端は支持構造12(支持フレーム121)の角に固定される。ロープ15は幕構造11の側面の上端の外側を、複数のリング状部材16の中を通りながら張られる。ロープ15の第2端は最外の補助構造13に至る。ロープ15の第2端は、幕構造11が張られた際には最外の補助構造13の角付近に位置し(図2の右側を参照)、幕構造11が畳まれた際にはその角から離れる(図1の右側および図2の左側を参照)。ロープ15の素材の例として、ポリエステルおよびポリエチレンが挙げられる。あるいは、ロープ15は針金を含んで構成されてもよい。
【0027】
図6はファン20を示す図1のA-A線断面図である。ファン20は、ファンモータ21、ファンケース22、流入口23、および流出口24を備える。ファンモータ21は、ファンブレードと、該ファンブレードを回転させるモータとを含んで構成される部品であり、外壁3内に位置する。ファンケース22はファンモータ21を収容する筐体である。流入口23および流出口24はいずれも、ファンケース22に形成された開口部である。流入口23は外壁3の内側に位置し、建物2の内部から見える。流出口24は外壁3の外側に位置し、テント10の内部空間100から見える。流入口23からファンモータ21を経由して流出口24へと空気の通路が形成される。ファンブレードが回転することで、図6中の矢印201で示すように流入口23から流出口24へと空気が流れる。
【0028】
[テントシステムの利用]
図1および図2に示すように、ユーザはテント10を繰り返し張ったり畳んだりすることができる。本開示では、テント(幕構造)を“張る”ことを、テント(幕構造)を“展開する”ともいう。また、テント(幕構造)を“畳む”ことを、テント(幕構造)を“収納する”ともいう。以下の説明では、テント10が畳まれた状態をテント10の初期状態ともいい、テント10が張られた状態をテント10の利用可能状態ともいう。初期状態では、各補助構造13が支持構造12と並んで立つように配置され(図3の左側を参照)、ロープ15の第2端を含むある程度の長さの部分が、最外の補助構造13よりも外側に露出する(図1の右側を参照)。テント10の初期状態は紐などの所定の留め具によって維持されてもよい。
【0029】
ユーザは初期状態のテント10を展開する。一例では、ユーザは最外の補助構造13を支持構造12から離れる方向に回転させて、該最外の補助構造13を地面または床面まで移動させる。このユーザ操作によって幕構造11は支持構造12から建物の外に向かって張られ(図2を参照)、建物2の内部と連通可能な内部空間100を形成する(図4を参照)。この結果、テント10が利用可能状態になる。このようにテント10が初期状態から利用可能状態に遷移する際に、下固定部14を中心にそれぞれの補助構造13が支持構造12から離れる方向に回転し(図3の中央および右側を参照)、これにより幕構造11が張られる。利用可能状態では最外の補助構造13がほぼ水平方向になる。
【0030】
ユーザは窓5を開けて建物2の中からテント10内に入って、内部空間100で過ごすことができる。ユーザはテント10の床としてシートを敷いて、テント10内で座ったりテント10内に所望の物を置いたりすることができる。ユーザはファン20を作動させてもよい。ユーザは窓5を開けてファン20を作動させることで、内部空間100の空気を循環させることができる。幕構造11が開口部を有する場合には、ユーザがその開口部を開けてファン20を作動させることでも、内部空間100の空気を循環させることができる。このような空気の循環により内部空間100が快適に維持され得る。テント10を使い終えた後に、ユーザは窓5から建物2内に戻る。幕構造11が前面または側面に開口部を有する場合には、ユーザはその開口部からテント10に出入りすることもできる。
【0031】
ユーザはテント10を使い終えた後にテント10を収納する。一例では、ユーザは最外の補助構造13を支持構造12に向けて回転させて、各補助構造13を支持構造12と並んで立たせる(図1および図2を参照)。この操作によって、下固定部14を中心にそれぞれの補助構造13が支持構造12に向けて回転し(図3の中央および左側を参照)、これにより幕構造11が仮に畳まれる。一例では、幕構造11は複数の補助構造13のその回転によって蛇腹状に畳まれる。本開示における「蛇腹状に畳まれる」とは、幕構造11が複数の山折りと複数の谷折りとによって畳まれることをいい、例えば、幕構造11が山折りと谷折りとの繰り返しによって畳まれることをいう。ユーザは幕構造11を仮に畳んだ後に、ロープ15の第2端を支持構造12から離れる方向に引く。この操作によって幕構造が更に畳まれて、テント10が初期状態に戻る(図1の右側を参照)。この「更に畳まれる」とは、支持構造12と最外の補助構造13との距離が更に縮まって、蛇腹状の折り目の線がよりはっきり現れるように幕構造11が畳まれる状況をいう。ユーザは初期状態に戻ったテント10を所定の留め具によって更にしっかりと固定してもよい。
【0032】
[効果]
本開示に係るテントおよびテントシステムは以下のように規定されてもよい。
(項目1)
建物の外壁に対応する躯体に設けられた開閉体に対応して設けられる支持構造と、
前記支持構造から前記建物の外に向かって張られることで、前記建物の内部と連通可能な内部空間を形成する幕構造と、
を備えるテント。
(項目2)
前記幕構造の両側面を支持する少なくとも一つの補助構造と、
前記少なくとも一つの補助構造のそれぞれの下端を前記支持構造の下端付近で固定する下固定部と、
を更に備え、
前記少なくとも一つの補助構造が、前記下固定部を中心に回転可能であり、
前記幕構造が、前記少なくとも一つの補助構造が前記支持構造から離れる方向に回転することで張られ、前記少なくとも一つの補助構造が前記支持構造に向けて回転することで畳まれる、
項目1に記載のテント。
(項目3)
前記少なくとも一つの補助構造が、複数の補助構造を含み、
前記幕構造が、前記複数の補助構造が前記支持構造に向けて回転することで蛇腹状に畳まれる、
項目2に記載のテント。
(項目4)
前記支持構造と、前記少なくとも一つの補助構造のうち前記支持構造から最も離れた最外の補助構造との間にわたって設けられるロープを更に備え、
前記幕構造が、前記ロープを通す少なくとも一つのリング状部材を備え、
前記少なくとも一つのリング状部材が、前記少なくとも一つの補助構造の付近と、前記支持構造と前記支持構造に最も近い最内の補助構造との間と、隣り合う二つの前記補助構造の間とのうちの少なくとも一つに位置する、
項目2または3に記載のテント。
(項目5)
前記支持構造が、
前記開閉体の枠の少なくとも一部に沿って設けられるポールと、
前記枠に穴を開けることなく、前記ポールを前記枠に対応して固定する少なくとも一つの取付具と、
を備える、
項目1~4のいずれか一項に記載のテント。
(項目6)
項目1~5のいずれか一項に記載のテントと、
前記建物の内部と前記内部空間との間で空気を流すファンと、
を備えるテントシステム。
【0033】
項目1の側面においては、建物の外面の一部を形成する開閉体の外側に幕構造が張られて、内部空間が形成される。この仕組みによって建物の傍に内部空間を簡単に設けることができる。
【0034】
項目2の側面においては、補助構造が下固定部を中心に回転可能に設けられるので、幕構造を簡単に張ったり畳んだりすることができる。
【0035】
項目3の側面においては、幕構造が蛇腹状に畳まれるので、幕構造が下に大きく垂れることなくテントをきれいに収納することが可能になる。
【0036】
項目4の側面においては、幕構造がリング状部材を介してロープに接続される。この構成により、幕構造を仮に畳んだ後にロープを支持構造から離れる方向に引いて幕構造を更に畳むことが可能になる。その更なる折り畳みによって、幕構造が下に大きく垂れることなくテントをきれいに収納できる。
【0037】
項目5の側面においては、開閉体の枠そのものを加工することなくテントを設置でき、したがって、テントを開閉体の枠から取り外した際の原状回復を容易に実現できる。
【0038】
項目6の側面においては、テント内の空気がファンによって流れるので、内部空間をユーザにとって、より快適な環境にすることができる。
【0039】
[変形例]
以上、本開示の実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記の例に限定されるものではない。本開示の要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0040】
上記の支持フレーム121および補助構造13はいずれも略U字状であるが、支持フレームおよび補助構造の構造および形状はこれに限定されない。例えば、1対の縦ポールが支持フレームまたは補助構造として用いられてもよい。
【0041】
上記の例では取付具122が用いられるが、支持構造のポールは開閉体の枠に紐で固定されてもよい。あるいは、支持構造のポールは、ボルトおよびナットにより開閉体の枠に取り付けられるU字状のホルダによって固定されてもよい。これらの変形例では、紐またはボルトが通る穴が開閉体の枠に形成されてもよい。
【0042】
上記のテント10は複数の補助構造13を備えるが、テントの補助構造は一つでもよい。例えば、テントは、上記の例における最外の補助構造13に相当する単一の補助構造を有してもよい。
【0043】
上記のテント10は1対のロープ15を備えるが、テントのロープは1本でもよい。例えば、その単一のロープは幕構造の上面および前面の中央を通るように設けられてもよい。あるいは、テントはロープを備えなくてもよい。
【0044】
上記のテント10はそれぞれのロープ15に対して複数のリング状部材16を備えるが、ロープに対して設けられるリング状部材は一つでもよい。ロープが省略される場合にはそのリング状部材も省略できる。
【0045】
テントの幕構造は、畳まれた際に外側を巻き上げることが可能な構成を備えてもよい。
【0046】
上記のファン20では、流入口23が外壁3の内側に位置し、流出口24が外壁3の外側に位置するが、流入口および流出口の位置が逆になってもよい。すなわち、ファンはテントの内部空間から建物内へと空気を流してもよい。
【0047】
テントが設けられる開閉体にガラリ(louver)などの通気口が設けられてもよい。ファンとその通気口との組合せによっても、ユーザはテントの内部空間内の空気を循環させて、内部空間100を快適に維持することができる。
【0048】
上述したようにテントは単体で提供され得る。したがって、ファンは必須の構成要素ではない。
【符号の説明】
【0049】
1…テントシステム、2…建物、3…外壁、4…窓枠(開閉体の枠)、5…窓(開閉体)、10…テント、11…幕構造、12…支持構造、13…補助構造、14…下固定部、15…ロープ、16…リング状部材、17…線ファスナ、20…ファン、21…ファンモータ、22…ファンケース、23…流入口、24…流出口、100…内部空間、121…支持フレーム、122…取付具。
図1
図2
図3
図4
図5
図6