(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156781
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ロール検査方法およびロール検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/892 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
G01N21/892 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066344
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】小島 康伸
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 史顕
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA31
2G051AA44
2G051AB02
2G051BB03
2G051CA03
2G051CA07
2G051CB01
2G051DA06
2G051DA08
2G051EA16
(57)【要約】
【課題】検査精度の低下を抑える。
【解決手段】帯状の資材2が円筒状に巻回されたロール1の筒面5を検査するロール検査方法は、ロール1の筒軸1Cに沿ってロール1を搬送させつつ筒軸1Cまわりの回転方向のうちテール4が筒面5に対して押さえ付けられる方向であるトレール方向にロール1を回転させる移送工程と、移送工程によって搬送させられつつ回転させられているロール1の筒面5の一部を含む領域であって筒軸1Cに沿うとともに固定された線状の領域である所定領域Rを光学的に逐次スキャンする走査工程と、走査工程において逐次スキャンされた情報に基づいて筒面5の良否を判定する判定工程と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の資材が円筒状に巻回されたロールの筒面を検査するロール検査方法であって、
前記ロールは、前記資材の巻き終わり端部であるテールが前記ロールの前記筒面に対して巻回方向下流側に延出して設けられているとともに前記筒面に対して離接自在な自由端をなし、
前記ロールの筒軸に沿って前記ロールを搬送させつつ前記筒軸まわりの回転方向のうち前記テールが前記筒面に対して押さえ付けられる方向であるトレール方向に前記ロールを回転させる移送工程と、
前記移送工程によって搬送させられつつ回転させられている前記ロールの前記筒面の一部を含む領域であって前記筒軸に沿うとともに固定された線状の領域である所定領域を光学的に逐次スキャンする走査工程と、
前記走査工程において逐次スキャンされた情報に基づいて前記筒面の良否を判定する判定工程と、を備えた
ことを特徴とするロール検査方法。
【請求項2】
前記移送工程で前記筒軸まわりに回転させられている前記ロールの前記テールを前記所定領域に対して回転方向上流側の直前で前記筒面に押さえる押さえ工程を備えた
ことを特徴とする請求項1に記載のロール検査方法。
【請求項3】
前記走査工程は、前記所定領域のうち前記ロールの搬送方向上流側の一部である第一所定領域を逐次スキャンする第一走査工程と、前記第一所定領域よりも搬送方向下流側の領域を含むとともに前記所定領域の前記一部を除いた他部を含む第二所定領域を逐次スキャンする第二走査工程と、を有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のロール検査方法。
【請求項4】
帯状の資材が筒状に巻回されたロールの筒面を検査するロール検査装置であって、
前記ロールは、前記資材の巻き終わり端部であるテールが前記ロールの前記筒面に対して巻回方向下流側に延出して設けられているとともに前記筒面に対して離接自在な自由端をなし、
前記ロールの筒軸に沿って前記ロールを搬送させつつ前記筒軸まわりの回転方向のうち前記テールが前記筒面に対して押さえ付けられる方向であるトレール方向に前記ロールを回転させる移送機構と、
前記移送機構によって搬送させられつつ回転させられている前記ロールの前記筒面の一部を含む領域であって前記筒軸に沿うとともに固定された線状の領域である所定領域を光学的に逐次スキャンするラインセンサと、
前記ラインセンサによって逐次スキャンされた情報に基づいて前記筒面の良否を判定する判定部と、を備えた
ことを特徴とするロール検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールを検査するロール検査方法およびロール検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒体を検査する技術の一つとして、円筒体を筒軸まわりに回転させながら検査する技術が知られている。たとえば、筒軸まわりに回転している円筒体の筒面をラインセンサで光学的に順次スキャンすることによって検査する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、筒面が検査される円筒体としては、トイレットロールやキッチンペーパなどのように帯状の資材が円筒状に巻回されたロールが挙げられる。具体的には、資材の巻き終わり端部であるテールが筒面に対して離接自在な自由端をなすロールの筒面が検査対象として挙げられる。
このようなテールを有するロールの筒面を検査する場合には、テールの影による検査精度の低下を招くおそれがある。たとえば、筒面に汚損や破損がない適合品のロールを検査対象とする場合であっても、筒面に映ったテールの影が筒面の汚損や破損と混同され、光学的な検査では不適合品とされるおそれがある。
よって、検査精度の低下を抑えるうえで改善の余地がある。
【0005】
本件は、上記の課題に鑑みて創案されたものであり、検査精度の低下を抑えることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用および効果であって、従来の技術では得られない作用および効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここで開示のロール検査方法は、帯状の資材が円筒状に巻回されたロールの筒面を検査する方法である。前記ロールは、前記資材の巻き終わり端部であるテールが前記ロールの前記筒面に対して巻回方向下流側に延出して設けられているとともに前記筒面に対して離接自在な自由端をなす。
本ロール検査方法は、前記ロールの筒軸に沿って前記ロールを搬送させつつ前記筒軸まわりの回転方向のうち前記テールが前記筒面に対して押さえ付けられる方向であるトレール方向に前記ロールを回転させる移送工程と、前記移送工程によって搬送させられつつ回転させられている前記ロールの前記筒面の一部を含む領域であって前記筒軸に沿うとともに固定された線状の領域である所定領域を光学的に逐次スキャンする走査工程と、前記走査工程において逐次スキャンされた情報に基づいて前記筒面の良否を判定する判定工程と、を備えている。
【0007】
また、ここで開示のロール検査装置は、帯状の資材が筒状に巻回されたロールの筒面を検査する装置である。前記ロールは、前記資材の巻き終わり端部であるテールが前記ロールの前記筒面に対して巻回方向下流側に延出して設けられているとともに前記筒面に対して離接自在な自由端をなす。
本ロール検査装置は、前記ロールの筒軸に沿って前記ロールを搬送させつつ前記筒軸まわりの回転方向のうち前記テールが前記筒面に対して押さえ付けられる方向であるトレール方向に前記ロールを回転させる移送機構と、前記移送機構によって搬送させられつつ回転させられている前記ロールの前記筒面の一部を含む領域であって前記筒軸に沿うとともに固定された線状の領域である所定領域を光学的に逐次スキャンするラインセンサと、前記ラインセンサによって逐次スキャンされた情報に基づいて前記筒面の良否を判定する判定部と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
本件によれば、検査精度の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】ロール移送機構およびロール検査装置を上面視で示す模式図である。
【
図2】ロール移送機構の要部をロールとともに示す斜視図である。
【
図3】ロール移送機構およびロール検査装置の要部を搬送方向視で示す立面図である。
【
図4】ロール移送機構の変形例を上面視で示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、ロールの検査に関する実施形態として、ロール移送機構およびロール移送方法、ならびに、これらのロール移送機構およびロール移送方法を用いてロールの筒面を検査するロール検査装置およびロール検査方法を説明する。
ロール移送機構およびロール移送方法の移送対象であるロールは、ロール検査装置およびロール検査方法の検査対象であり、「ワーク」や「円筒体」とも称される。
【0011】
本実施形態では、帯状の資材が円筒状に巻回されたロールを例示する。このようなロールとしては、トイレットロールやキッチンロールなどの家庭用衛生用紙が挙げられる。
なお、下記の実施形態で用いる方向は、つぎのように定義する。重力の作用する方向を下方とし、下方の反対方向を上方とする。上方および下方(上下方向)に交差する方向として、搬送方向(図面では「MD」と記す)および横方向(図面では「CD」と記す)を定める。搬送方向は、ロールの搬送される方向である。横方向は、上面視で搬送方向に直交する方向である。
【0012】
[I.一実施形態]
一実施形態では、ロール検査装置やロール移送機構などの装置系に関する構成を項目[1]で述べ、ロール検査方法やロール移送方法などの方法系に関する構成を項目[2]で述べる。そして、項目[1]および[2]の構成による作用および効果を項目[3]で述べる。
【0013】
[1.装置系]
本項目[1]では、はじめにロールの構成を小項目[1-1]で説明する。それから、ロール移送機構の構成を小項目[1-2]で説明し、その後にロール検査装置の構成を小項目[1-3]で説明する。
【0014】
[1-1.ロール]
図3に示すように、ロール1には、帯状の資材2が芯材3に巻回されている。
このロール1には、資材2の巻き終わり端部であるテール4がロール1の筒面5に対して巻回方向(図中には「W」で示す)の下流側に延出して設けられている。このように延設されたテール4は、筒面5に対して離接自在な自由端をなしている。すなわち、ロール1の筒面5は、ロール1の筒軸1C(軸芯)を中心にした回転体の外周面に対応する部位である。筒面5に対して離間した状態のテール4は、筒面5から延出した部位をなし、筒面5に対して全体が接触した状態のテール4は、筒面5の一部をなす部位とも言える。
【0015】
ここで例示するロール1は、筒面5のうち巻回方向の下流端縁に設けられたテールシール6において資材2が貼り付けられており、テールシール6によって貼り付けられた部位から巻回方向の下流側に延出しうる部位がテール4として設けられている。
上記のロール1は、いわゆるログと称される長筒状の半製品が軸方向に間隔をあけて切断されて製造される。そのため、資材2の巻回方向が同方向のロール1が順次製造される。これらのロール1は、つぎに説明するロール移送機構によって順繰りに搬送される。
【0016】
[1-2.ロール移送機構]
図1に示すように、ロール移送機構10は、直線状の経路Pに沿ってロール1(
図1では図示省略)を搬送(移送)する機構である。本ロール移送機構10は、筒軸1Cが経路Pに沿う姿勢でロール1を上流側から下流側へ移送する。
ここで例示するロール移送機構10には、複数(
図1に示す例では四つ)の経路Pが横方向に並んで設けられ、各経路Pのそれぞれにおいてロール1が搬送される。
【0017】
このロール移送機構10には、以下に列挙するように、経路Pにおいてロール1を搬送する三領域のそれぞれに対応した上流コンベア20(第二コンベア),中流コンベア30(第一コンベア),下流コンベア40(第二コンベア)が設けられている。
・上流コンベア20:経路Pのうち上流部P1(経路の他部)の搬送を担うコンベア
・中流コンベア30:経路Pのうち中流部P2(経路の一部)の搬送を担うコンベア
・下流コンベア40:経路Pのうち下流部P3(経路の他部)の搬送を担うコンベア
【0018】
中流コンベア30に対して、上流コンベア20は上流側に隣接して配置され、下流コンベア40は下流側に隣接して配置されている。
ロール1(
図2,
図3参照)は、直線状の経路Pにおいてコンベア20,30,40に載置され、上流コンベア20によって搬送されてから、中流コンベア30によって搬送され、その後に下流コンベア40によって搬送される。このように、直線状の経路Pを搬送方向の上流側から下流側へロール1が順次搬送される。
【0019】
上流コンベア20および下流コンベア40には、ロール1を回転させることなく搬送するコンベアが用いられている。これらの上流コンベア20,下流コンベア40には、ベルトコンベアやローラコンベアといった公知の搬送機構を用いることができる。
また、上流コンベア20,下流コンベア40は、各経路Pに設けられている。ただし、複数の経路Pに跨がって設けられた上流コンベア20や下流コンベア40が用いられてもよい。
【0020】
ロール移送機構10において、上流コンベア20を設置する目的の一例としては中流コンベア30へ移送するロール1の搬送速度を調節することが挙げられ、下流コンベア40を設置する目的の一例としては中流コンベア30から移送されたロール1の搬送速度を調節することが挙げられる。上流コンベア20の搬送速度は中流コンベア30へのロール1の進入速度と言え、下流コンベア40の搬送速度は中流コンベア30からのロール1の退出速度と言える。
【0021】
中流コンベア30によって搬送されているロール1は、詳細を後述する筒面5の走査や良否判定が実施される。そのため、中流コンベア30の搬送速度は、筒面5の走査や良否判定を実施するのに好適な速度に設定される。さらに、上流コンベア20の搬送速度は、中流コンベア30によって搬送されているロール1の筒面5の走査や良否判定を実施するのに好適な速度にあわせて、中流コンベア30へのロール1の進入速度が制御される。また、下流コンベア40の搬送速度は、中流コンベア30によって搬送されているロール1の筒面5の走査や良否判定を実施するのに好適な速度にあわせて、中流コンベア30からのロール1の退出速度が制御される。
【0022】
一方、中流コンベア30は、ロール1を経路Pに沿って搬送するだけでなく搬送中のロール1を筒軸1C(
図2,
図3参照)まわりに回転させるコンベアが用いられている。
図1に例示する中流コンベア30は、並んで設けられた複数の経路Pに跨がって設けられている。換言すれば、一つの中流コンベア30によって、複数の経路Pのそれぞれにおける中流部P2でロール1が移送される。
【0023】
本実施形態の中流コンベア30には、ベルトコンベアが用いられている。この中流コンベア30では、周回軌道に沿って延在する無端であって帯状のベルト3Bが一対のプーリ31,32に巻き掛けられている。
プーリ31,32は、回転動力によってベルト3Bを周回軌道に沿って移動させる回転駆動系の構成であり、それぞれの回転軸1P,2Pまわりに回転する円柱体である。一対のプーリ31,32のうち、一方は周回軌道を移動する駆動力をベルト3Bに伝達する駆動プーリ31であり、他方は従動プーリ32である。
【0024】
駆動プーリ31の回転軸1Pと従動プーリ32の回転軸2Pとは、搬送方向および横方向の双方に沿う平面(たとえば水平面)に沿って延在するうえ、互いに平行に設定されており、上面視で搬送方向に対して交差する方向に延在している。上面視において、プーリ31,32の回転軸1P,2Pが延在する方向に対して直交する方向にベルト3Bが駆動されて移動する。敷衍して言えば、回転軸1P,2Pの延在方向とベルト3Bの移動方向とが一対一の対応関係を有する。
【0025】
上記のように搬送方向に対して傾斜した姿勢で設けられたベルト3Bは、
図2,
図3に示すように、下記の上半部3Uおよび下半部3Bに大別される。
・上半部3U:周回軌道のうち外向きの部分が上方を向く部分
・下半部3D:周回軌道のうち外向きの部分が下方を向く部分
上半部3Uの移動方向(
図2,
図3に黒塗りの矢印で示す)と、下半部3Bの移動方向(
図2,
図3に白抜きの矢印で示す)とは、互いに反対向きである。
【0026】
上半部3Uには、ロール1が載置される。このようにロール1の載置される領域3R(
図3参照)を含む上半部3Uの移動方向は、搬送方向に対して鋭角に交差する一方向に設定されている。すなわち、上半部3Uにおいてロール1が載置される領域3Rは、搬送方向に対して鋭角に交差する一方向のみに移動し、この一方向は搬送方向および横方向の双方に沿う平面(たとえば水平面)に沿って延在している。
ここでいう「一方向」は、上面視において回転軸1P,2Pの延在方向と直交する向きである。そのため、回転軸1P,2Pが上面視で「一方向」と直交する方向のみに沿って設定されたものと換言できる。
【0027】
上半部3Uがロール1の載置される領域3Rを有することから、領域3Rから上半部3Uが一方向に移動する方向の力Fがロール1における載置箇所から印加される。このように印加される力Fは、
図2に付記するように、搬送方向に沿う分力(以下「第一分力」と称する)F1と横方向に沿う分力(以下「第二分力」と称する)F2とに分解でき、これらの分力F1,F2の合力と表現することもできる。
【0028】
第一分力F1によれば、ロール1が搬送方向に沿って搬送される。一方、第二分力F2よれば、ロール1の横方向への移動が規制されなければ、ロール1が経路Pから逸脱してしまう。
そこで、中流コンベア30には、経路Pにおいてロール1が横方向へ逸脱を防ぐための構造として、ガイド50が付設されている。
【0029】
ガイド50は、経路Pの中流部P2を搬送されるロール1に対して、第二分力F2が作用する側(側部の一方)に少なくとも配置され、経路Pの中流部P2に沿って延設されている。具体的には、経路Pに沿って直線状に延在するガイド50が図示省略するコンベアフレームに固定されている。
図2,
図3には、上下方向に沿った面をロール1に向けて立設された平板状のガイド50を例示する。なお、ここで例示するガイド50は、中流部P2の側部だけでなく上流部P1の側部にも延在している。
【0030】
このようなガイド50が設けられていることにより、ロール1のうちベルト3Bに載置されている下部から第二分力F2が印加されると、ロール1の横方向への逸脱がガイド50に突き当たることによって構造的に規制されつつ、ロール1のうちベルト3Bに載置されている下部が移動することで筒軸1Cまわりにロール1が回転する。
さらに、本実施形態のロール移送機構10によって筒軸1Cまわりにロール1を回転させる方向は、テール4を筒面5に対して押さえ付ける方向(以下「トレール方向」と称する)に設定されている。トレール方向は、ロール1における資材2の巻回方向とは反対向きの方向である。
【0031】
資材2の巻回方向が同じロール1がベルト3Bに順次載置されることから、載置された各ロール1の巻回方向とは反対向きの方向と対応する方向に、上半部3Uの移動方向である「一方向」を設定することで、上記のようなトレール方向を設定することができる。
なお、ロール移送機構10の中流コンベア30およびガイド50は、経路Pの中流部P2においてロール1が筒軸1Cまわりに一周(一回転)以上するように、回転軸1P,2Pの向きやベルト3Bの移動速度といった各諸元が設定されている。
【0032】
ロール移送機構10についてまとめると、ガイド50は、筒軸1Cまわりに回転しているロール1に摺接しつつ経路Pからの逸脱を規制する構造である。ガイド50の付設された中流コンベア30は、回転軸1P,2Pが上面視で直交する方向のみに沿って設定され、第一分力F1によって経路Pの中流部P2に沿ってロール1を搬送させつつ、第二分力F2によって筒軸1Cまわりにロール1を回転させる機構である。
これらのガイド50や中流コンベア30などを備えたロール移送機構10は、つぎに説明するロール検査装置に用いられる。
【0033】
[1-3.ロール検査装置]
図1に示すように、ロール検査装置60は、上述のロール移送機構10のほか、検査用の情報を取得するラインセンサ70と、ラインセンサ70で取得された情報に基づいて検査結果を判定する判定部80とが設けられている。
ロール検査装置60におけるロール移送機構10は、ロール1の製造ラインにおいて、ロール1の搬送を継続しつつ筒面5の全体をラインセンサ70で走査することができるように回転させる機構として用いられている。そのため、ロール検査装置60には、ロール移送機構10のうち少なくとも中流コンベア30およびガイド50の移送機構が設けられていればよい。
【0034】
ラインセンサ70は、ラインカメラやラインスキャンセンサなどとも称され、線状の所定領域Rを光学的に逐次スキャンする機器である。
図2,
図3に示すように、ラインセンサ70では、ラインセンサ70からスキャン用の光が所定領域R(
図2の二点鎖線で示す領域)に向けて照射され、照射光の反射に基づく画像変換処理が実施される。
なお、ラインセンサ70によるスキャン精度を確保するために、所定領域Rに向けて光を照射する照射部(図示省略)がラインセンサ70に付設されている。
【0035】
このラインセンサ70は、ガイド50と同様にコンベアフレームなどの固定構造に対して固設され、ロール1の上方から所定領域Rの画像を取得する。
ここでいう「所定領域R」とは、ロール移送機構10によって搬送させられつつ回転させられているロール1の筒面5の一部を含む領域であって、筒軸1Cに沿う領域である。この所定領域Rは、経路Pの中流部P2において筒軸1Cまわりに少なくとも一回転したロール1が通過した軌跡に対して搬送方向の全域に重複する領域に設定されている。
【0036】
本実施形態のラインセンサ70には、上流所定領域R1を逐次スキャンする上流ラインセンサ71(第一ラインセンサ)と、下流所定領域R2を逐次スキャンする下流ラインセンサ72(第二ラインセンサ)との二台(複数のラインセンサ)が用いられている。
上流ラインセンサ71によって逐次スキャンされる上流所定領域R1は、所定領域Rのうち搬送方向上流側の一部である。下流ラインセンサ72によって逐次スキャンされる下流所定領域R2は、上流所定領域R1よりも搬送方向下流側の領域を含む領域であって、所定領域Rから上流所定領域R1を除いた領域の全てを含む領域である。
【0037】
すなわち、上流所定領域R1および下流所定領域R2をあわせた領域に所定領域Rが含まれる。なお、上流所定領域R1および下流所定領域R2は、
図2に示すように一部の領域が重複していていもよいし、互いに重複していなくてもよい。
ラインセンサ71,72によって逐次スキャンされた情報は、つぎに説明する判定部80に入力される。
【0038】
判定部80は、ラインセンサ71,72によって逐次スキャンされた情報に基づいて、ロール1における筒面5の良否を判定する。なお、判定部80による判定結果は、ロール1の製造ラインに携わるオペレータへ向けて表示されたり報知されたりして適宜出力される。また、判定部80による判定結果に応じて、図示省略する分岐機構によってロール1の搬送経路が切り替えられる。たとえば、判定部80によって不適合品(良否のうち「否」)と判定された場合には、分岐機構よってロール1を製造ラインから排出する搬送経路の分岐が実施され、いわゆるオフラインへロール1が排出される。
【0039】
判定部80による良否判定手法としては、ラインセンサ71,72によって逐次スキャンされた画像を積分するようにしてロール1の筒面5を展開した画像に変換したうえで、この画像の筒面5に対応する部分に所定の色差がある部分や明るさが所定階調以下の部分を汚損や破損と扱って、不適合品と判定することが例に挙げられる。ただし、判定部80による筒面5の良否判定手法は、ここで例示した手法に限らず、画像に基づく種々の手法を採用することができる。
【0040】
本ロール検査装置60には、
図2および
図3に示すように、所定領域Rに対してロール1の回転方向上流側の直前でテール4を押さえる部材(以下「押さえ部材」と称する)90も設けられている。有り体に言えば、ロール1の回転を利用してテール4を筒面5に撫で付けるようにする構造が押さえ部材90である。
押さえ部材90は、ラインセンサ71,72と所定領域R1,R2との間で入反射するスキャン用の光を遮断しない範囲に配置されている。
【0041】
このようにラインセンサ71,72の撮像視野と干渉しないように設けられた押さえ部材90は、ガイド50と同様の搬送方向領域に延設され、ロール1に対して上方から覆い被さる姿勢であって、ロール1における筒面5の接線方向および搬送方向の双方に沿う下面をもつ部材である。
図3には、ロール1の回転方向上流側に下端縁9Dが配置されるとともにロール1の回転方向下流側に上端縁9Uが配置された片流れ屋根状の押さえ部材90を例示する。ここで例示する押さえ部材90の配置を具体的に言えば、上端縁9U(片流れ屋根の上端縁に対応する部位)が所定領域Rに対して僅かに回転方向の上流側に配置されている。このような配置により、所定領域Rに対してロール1の回転方向上流側の直前でテール4が押さえ付けられる。
【0042】
この押さえ部材90は、筒面5から離間した状態のテール4に対して接触する位置に設けられる。なお、押さえ部材90は、
図3に示すようにロール1の筒面5に対して僅かに接触する位置に設けられてもよいし、筒面5に対して微少な隙間をあけた位置に設けられてもよい。
そのほか、押さえ部材90は、ロール1のサイズに応じた配置変更やテール4の押さえ度合いの調整のために、上下位置や向きの調節が自在な機構に支持されている。
【0043】
[2.方法系]
本項目[2]では、まずロール移送方法の構成を小項目[2-1]で説明し、その後にロール検査方法の構成を小項目[2-2]で説明する。
【0044】
[2-1.ロール移送方法]
ロール移送方法は、上述のロール移送機構によってロール1を移送する方法である。
このロール移送方法では、下掲の表1に示すように、上流移送工程(第二移送工程)を実施し、その後に中流移送工程(第一移送工程)を実施する。この中流移送工程と並行して、ガイド工程を実施する。これらの中流移送工程およびガイド工程の後に、下流移送工程(第二移送工程)を実施する。
【0045】
【0046】
上流移送工程や下流移送工程は、上流コンベア20や下流コンベア40によってロール1を回転させることなく搬送する工程である。
上流移送工程は、上流コンベア20によってロール1を移送する工程であり、中流移送工程の直前に実施される工程である。また、下流移送工程は、下流コンベア40によってロール1を移送する工程であり、中流移送工程の直後に実施される工程である。
上流移送工程によって、後述の走査工程あるいは判定工程の実施に要する期間に応じた速度に中流移送工程への進入速度が調節される。また、下流移送工程によって、走査工程あるいは判定工程の実施に要する期間に応じた速度に中流移送工程からの提出速度が調節される。
【0047】
中流移送工程は、中流コンベア30によってロール1を筒軸1Cまわりに回転させつつ搬送する工程である。
ガイド工程は、回転しているロール1に摺接するガイド50によって経路Pからのロール1の逸脱を規制する工程である。
【0048】
[2-2.ロール検査方法]
ロール検査方法は、上述のロール検査装置によってロール1の筒面5を検査する方法である。
このロール検査方法では、上掲の表1に示すように、移送工程を継続して実施しながら、走査工程を実施し、その後に判定工程を実施する。走査工程では、第一走査工程を実施してから、第二走査工程を実施する。
【0049】
ロール検査方法において継続して実施する移送工程は、上述のロール移送方法のうち少なくとも中流移送工程およびガイド工程を実施する工程である。すなわち、筒軸1Cに沿う方向にロール1を搬送させつつ筒軸1Cまわりの回転方向のうちトレール方向にロール1を回転させる工程が移送工程である。
走査工程は、ラインセンサ70によって所定領域Rを光学的に逐次スキャンする工程である。
【0050】
走査工程の前半に実施される第一走査工程は、第一ラインセンサ71によって第一所定領域R1を光学的に逐次スキャンする工程である。また、走査工程の後半に実施される第二走査工程は、第二ラインセンサ72によって第二所定領域R2を光学的に逐次スキャンする工程である。第一所定領域R1と第二所定領域R2とが重複している場合には、第一走査工程と重複して第二走査工程が開始される。第一所定領域R1と第二所定領域R2とが重複していない場合には、第一走査工程の終了と同時に第二走査工程が開始される。
【0051】
判定工程は、判定部80によってロール1における筒面5の良否を判定する工程である。すなわち、走査工程において逐次スキャンされた情報に基づいて筒面5の良否を判定する工程が判定工程であり、走査工程の実施後であれば任意の期間に実施できる。
【0052】
[3.作用および効果]
本実施形態は、上述の構成を備えているため、下記のような作用および効果を得ることができる。
本項目[3]では、ロール移送機構10およびロール移送方法による作用および効果に関して小項目[3-1]で述べ、その後にロール検査装置60およびロール移送方法よる作用および効果に関して小項目[3-2]で述べる。
【0053】
[3-1.ロール移送機構およびロール移送方法]
従来、円筒体を筒軸まわりに回転させるために、ベルトの巻き付けられる二対のローラにおいて互いに異なる方向の回転軸が設定されたりベルトにおいて円筒体の載置される領域が二方向に移動したりするコンベアは、構成が複雑化するという課題があった。更に言えば、このようなコンベアは、ベルトを移送させる回転機構の設置に長大なスペースを要するため、レイアウト自由度を確保するのが困難という課題があった。
よって、円筒体を搬送させつつ筒軸まわりに回転させる移送機構におけるコンベアの構成を簡素化するうえで改善の余地があった。
【0054】
(1)これに対し、本実施形態のロール移送機構10によれば、中流コンベア30のベルト3Bを移動させるプーリ31,32の回転軸1P,2Pが上面視で搬送方向に対して鋭角に交差する一方向と直交する方向のみに沿って設定されており、中流コンベア30においてロール1の載置される領域3Rが一方向のみに移動する。
そのため、従来のようにベルトの巻き付けられるローラの回転軸がそれぞれ異なる方向に沿って設定されたり円筒体の載置された領域が二方向以上に移動したりする従来のコンベアと比較して、ベルト3Bや回転軸1P,2Pといった中流コンベア30の構成を簡素化することができる。更に言えば、ベルトを移送させる回転機構を設置するスペースが抑えられ、製造ラインにおけるレイアウト自由度を確保することもできる。
【0055】
本ロール移送機構10の中流コンベア30には、経路Pにおいてロール1が横方向へ逸脱をロール1に摺接しながら規制するガイド50が付設されているため、このようなガイド50の設けられていない従来の移送機構と比較して、ロール1を安定して搬送させることができる。
そのうえ、中流コンベア30によってロール1のうちベルト3Bに載置されている下部から第二分力F2が印加されると、ロール1の横方向への逸脱がガイド50に突き当たることによって構造的に規制されるだけでなく、ロール1のうちベルト3Bに載置されている下部が移動することで筒軸1Cまわりにロール1を回転させることができる。
【0056】
そのほか、直線状の経路Pに沿うロール1の搬送を、上流コンベア20や下流コンベア40と中流コンベア30とのそれぞれが担うため、直線状の経路Pにおける上流部P1や下流部P3ではロール1を回転させることなく搬送することができ、直線状の経路Pにおける中流部P2ではロール1を回転させつつ搬送できる。このようにして、直線状の経路Pにおいてロール1を回転させながら搬送する領域とロール1を回転させずに搬送する領域と自在に設定できる。
【0057】
(2)中流コンベア30にベルトコンベアが用いられているため、汎用のベルトコンベアを搬送方向に対して傾斜した姿勢で設置するだけで中流コンベア30を設けることができる。よって、中流コンベア30を導入するコストの上昇を抑制できる。
(3)並んで設けられた複数の経路Pに跨がって中流コンベア30が設けられているため、経路Pのそれぞれに中流コンベアが設けられた構成と比較して、構成を簡素化でき、設備コストの上昇を抑制できる。
(4)なお、ロール移送方法によっても、ロール移送機構10と同様の作用および効果を得ることができる。
【0058】
[3-2.ロール検査装置およびロール検査方法]
円筒体の筒面を検査する従来技術では、ロールのテールによる検査精度への影響が考慮されていなかったため、テールの影による検査精度の低下を招くおそれがあった。たとえば、筒面に汚損や破損がない適合品(良否のうち「良」)のロールを検査対象とする場合であっても、筒面に映ったテールの影が筒面の汚損や破損と混同され、光学的な検査では不適合品とされるおそれがあった。
よって、検査精度の低下を抑えるうえで改善の余地があった。
【0059】
(1)これに対し、本実施形態のロール検査装置60によれば、ロール移送機構10の中流コンベア30がトレール方向にロール1を回転させるため、テール4が筒面5に対して撫で付けられるようにして押さえ付けられる。そのため、ラインセンサ70によって逐次スキャンされる筒面5へのテール4の影の映り込みを抑制でき、判定部80によって筒面5の良否を精度よく判定できる。
よって、ロール検査装置60の検査精度が低下するのを抑えることができる。
【0060】
(2)さらに、本ロール検査装置60の押さえ部材90によれば、所定領域Rに対してロール1の回転方向上流側の直前でテール4が確実に押さえ付けられ、所定領域Rにテール4の影が映り込むのを確実に抑制できる。よって、ロール検査装置60の検査精度が低下するのを一層抑えることができる。
(3)ところで、中流コンベア30による搬送速度やロール1の周長,ラインセンサの撮像視野といった各種諸元によっては、一台のラインセンサによって所定領域を逐次スキャンしただけではロールの筒面全体を走査しきれないおそれがある。
【0061】
これに対して、ロール検査装置60のラインセンサ70には、上流所定領域R1を逐次スキャンする上流ラインセンサ71と下流所定領域R2を逐次スキャンする下流ラインセンサ72との二台が用いられるため、一台のラインセンサでは走査しきれない筒面5の全体を走査することが可能である。このようにして、ラインセンサ70による走査範囲を拡充することができる。
(4)なお、ロール検査方法によっても、ロール検査装置60と同様の作用および効果を得ることができる。
【0062】
[II.変形例]
上述の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
【0063】
たとえば、
図4に示すように、ロール移送機構10′の中流コンベア30′には、上述のようにベルトコンベアを用いるのに限らず、ローラコンベアを用いてもよい。
ローラコンベアが用いられ中流コンベア30′には、それぞれの回転軸3C′まわりに回転駆動させられる多数のローラ3R′が搬送方向に並んで設けられ、これらのローラ3R′にロール1(
図4では図示省略)が載置される。また、ローラ3R′の回転軸3C′は、搬送方向および横方向の双方に沿う平面(たとえば水平面)に沿って延在するうえ、互いに平行に設定されており、上面視で搬送方向に対して交差する方向に延在している。
【0064】
図4には、二つ(複数)の経路Pに跨がって設けられたローラコンベアが中流コンベア30′に用いられた例を示す。
このようにロール1の載置される領域を含むローラ3R′が回転軸3C′まわりに回転する方向は、上面視で搬送方向に対して鋭角に交差する方向に配置されている。具体的に言えば、ローラ3R′のうちロール1の載置される領域は、搬送方向に対して鋭角に交差する一方向に移動するように、回転軸3C′の延在方向や各ローラ3R′の回転方向が設定されている。
【0065】
上記のように中流コンベア30′にローラコンベアが用いられているため、汎用のローラコンベアのローラ3R′を搬送方向に対して傾斜した姿勢で設置するだけで中流コンベア30′を設けることができる。よって、中流コンベア30′を導入するコストの上昇を抑制できる。
そのほか、ロール移送機構では、一つの経路に対して一つの中流コンベアが設けられていてもよい。なお、ロール移送機構は、少なくとも中流コンベアおよびガイドが設けられていれば、経路に沿って搬送しているロールを回転させることができる。
あるいは、ロール検査装置のラインセンサは一台のみ設けられていてもよく、ロール検査装置から押さえ部材が省略されていてもよい。これらのようにして構成を簡素化してもよい。
【0066】
[III.付記]
以上の実施形態に関し、ロールの検査に関する付記を項目[1]に開示し、ロールの移送に関する付記を項目[2]に開示する。
【0067】
[1.ロールの検査]
〔付記1A〕
帯状の資材が円筒状に巻回されたロールの筒面を検査するロール検査方法であって、
前記ロールは、前記資材の巻き終わり端部であるテールが前記ロールの前記筒面に対して巻回方向下流側に延出して設けられているとともに前記筒面に対して離接自在な自由端をなし、
前記ロールの筒軸に沿って前記ロールを搬送させつつ前記筒軸まわりの回転方向のうち前記テールが前記筒面に対して押さえ付けられる方向であるトレール方向に前記ロールを回転させる移送工程と、
前記移送工程によって搬送させられつつ回転させられている前記ロールの前記筒面の一部を含む領域であって前記筒軸に沿うとともに固定された線状の領域である所定領域を光学的に逐次スキャンする走査工程と、
前記走査工程において逐次スキャンされた情報に基づいて前記筒面の良否を判定する判定工程と、を備えた
ことを特徴とするロール検査方法。
〔付記2A〕
前記移送工程で前記筒軸まわりに回転させられている前記ロールの前記テールを前記所定領域に対して回転方向上流側の直前で前記筒面に押さえる押さえ工程を備えた
ことを特徴とする付記1Aに記載のロール検査方法。
〔付記3A〕
前記走査工程は、前記所定領域のうち前記ロールの搬送方向上流側の一部である第一所定領域を逐次スキャンする第一走査工程と、前記第一所定領域よりも搬送方向下流側の領域を含むとともに前記所定領域の前記一部を除いた他部を含む第二所定領域を逐次スキャンする第二走査工程と、を有する
ことを特徴とする付記1Aまたは2Aに記載のロール検査方法。
【0068】
〔付記4A〕
帯状の資材が筒状に巻回されたロールの筒面を検査するロール検査装置であって、
前記ロールは、前記資材の巻き終わり端部であるテールが前記ロールの前記筒面に対して巻回方向下流側に延出して設けられているとともに前記筒面に対して離接自在な自由端をなし、
前記ロールの筒軸に沿って前記ロールを搬送させつつ前記筒軸まわりの回転方向のうち前記テールが前記筒面に対して押さえ付けられる方向であるトレール方向に前記ロールを回転させる移送機構と、
前記移送機構によって搬送させられつつ回転させられている前記ロールの前記筒面の一部を含む領域であって前記筒軸に沿うとともに固定された線状の領域である所定領域を光学的に逐次スキャンするラインセンサと、
前記ラインセンサによって逐次スキャンされた情報に基づいて前記筒面の良否を判定する判定部と、を備えた
ことを特徴とするロール検査装置。
〔付記5A〕
前記移送機構で前記筒軸まわりに回転させられている前記ロールの前記テールを前記所定領域に対して回転方向上流側の直前で前記筒面に押さえる押さえ部を備えた
ことを特徴とする付記4Aに記載のロール検査装置。
〔付記6A〕
前記ラインセンサは、前記所定領域のうち前記ロールの搬送方向上流側の一部である第一所定領域を逐次スキャンする第一ラインセンサと、前記第一所定領域よりも搬送方向下流側の領域を含むとともに前記所定領域の前記一部を除いた他部を含む第二所定領域を逐次スキャンする第二ラインセンサと、を有する
ことを特徴とする付記4Aまたは5Aに記載のロール検査装置。
【0069】
[2.ロールの移送]
〔付記1B〕
直線状の経路に沿って円筒状のロールを前記ロールの筒軸が前記経路に沿う姿勢で搬送するロール移送機構であって、
回転軸まわりの回転動力によって移動するとともに前記ロールの載置される領域を有し、前記領域が搬送方向に対して鋭角に交差する一方向のみに移動し、前記一方向に移動する前記領域から前記ロールに印加される力のうち前記搬送方向に沿う第一分力によって前記経路の一部に沿って前記ロールを搬送させつつ、前記印加される力のうち上面視で前記搬送方向に対して直交する横方向に沿う第二分力によって前記ロールの前記筒軸まわりに前記ロールを回転させ、前記回転軸が上面視で前記一方向と直交する方向のみに沿って設定された第一コンベアと、
前記経路の前記一部を搬送される前記ロールに対して前記第一コンベアに対して前記搬送方向の上流側または下流側に隣接して配置され、前記経路の前記一部を除く他部に沿って前記ロールを回転させることなく搬送する第二コンベアと、
前記経路の前記一部を搬送される前記ロールに対して前記第二分力が作用する方向の側に少なくとも配置され、前記経路の前記一部に沿って延設され、回転している前記ロールに摺接しつつ前記経路からの逸脱を規制するガイドと、を備えた
ことを特徴とするロール移送機構。
〔付記2B〕
前記第一コンベアは、前記領域を有するベルトが周回軌道を移動するベルトコンベアである
ことを特徴とする付記1Bに記載のロール移送機構。
〔付記3B〕
前記第一コンベアは、前記領域を有するローラが回転駆動させられるローラコンベアである
ことを特徴とする付記1Bに記載のロール移送機構。
〔付記4B〕
複数の前記経路が前記横方向に並んで設けられ、前記経路のそれぞれにおいて前記ロールを移送するロール移送機構であって、
前記第一コンベアが前記横方向に並んで設けられた前記経路に跨がって設けられた
ことを特徴とする付記1B~3Bの何れか一項に記載のロール移送機構。
【0070】
〔付記5B〕
直線状の経路に沿って円筒状のロールを前記ロールの筒軸が前記経路に沿う姿勢で搬送するロール移送方法であって、
回転軸まわりの回転動力によって移動するとともに前記ロールの載置される領域が搬送方向に対して鋭角に交差する一方向のみに移動し、前記一方向に移動する前記領域から前記ロールに印加される力のうち前記搬送方向に沿う第一分力によって前記経路の一部に沿って前記ロールを搬送させつつ、前記印加される力のうち上面視で前記搬送方向に対して直交する横方向に沿う第二分力によって前記ロールの前記筒軸まわりに前記ロールを回転させ、前記回転軸が上面視で前記一方向と直交する方向のみに沿って設定された第一移送工程と、
前記第一移送工程の直前または直後に実施され、前記経路の前記一部を除く他部に沿って前記ロールを回転させることなく搬送する第二移送工程と、
前記経路の前記一部を搬送される前記ロールに対して前記第二分力が作用する方向の側において、回転している前記ロールに摺接しつつ前記経路からの逸脱を規制するガイド工程と、を備えた
ことを特徴とするロール移送方法。
【符号の説明】
【0071】
1 ロール
10 ロール移送機構
1C 筒軸
1P,2P 回転軸
2 資材
20 上流コンベア(第二コンベア)
3 芯材
30 中流コンベア(第一コンベア)
31,32 プーリ
3B ベルト
4 テール
40 下流コンベア(第二コンベア)
5 筒面
50 ガイド
6 テールシール
60 ロール検査装置
70 ラインセンサ(走査機器)
71 上流ラインセンサ(第一ラインセンサ)
72 下流ラインセンサ(第二ラインセンサ)
80 判定部
90 押さえ部材
9U 上端縁
9D 下端縁
CD 横方向
MD 搬送方向
P 経路
P1 上流部
P2 中流部
P3 下流部
R 所定領域
R1 上流所定領域(第一所定領域)
R2 下流所定領域(第二所定領域)
W 巻回方向