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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156790
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/06 20060101AFI20231018BHJP
   B60K 20/00 20060101ALI20231018BHJP
   B60K 20/02 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B60R25/06
B60K20/00 F
B60K20/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066361
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】本條 仙泰
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA01
3D040AA14
3D040AB04
3D040AB08
3D040AB10
3D040AC07
3D040AD11
(57)【要約】
【課題】作業車において、盗難防止を図る。
【解決手段】停止位置Nに操作された変速レバー20を保持して、変速レバー20の停止位置Nからの操作を阻止するレバーロック機構25が備えられる。レバーロック機構25は、機体に固定された本体部26と、変速レバー20を停止位置Nで保持する保持状態及び変速レバー20の保持を解除する解除状態に操作可能なロック部27と、ロック部27を保持状態で本体部26に対して施錠する施錠状態及び施錠状態を開錠する開錠状態に操作可能な鍵部28とが備えられている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用の変速装置と、
前記変速装置を操作する変速レバーと、
停止位置に操作された前記変速レバーを保持して、前記変速レバーの前記停止位置からの操作を阻止するレバーロック機構とが備えられ、
前記レバーロック機構は、
機体に固定された本体部と、
前記変速レバーを前記停止位置で保持する保持状態、及び、前記変速レバーの保持を解除する解除状態に操作可能なロック部と、
前記ロック部を前記保持状態で前記本体部に対して施錠する施錠状態、及び、前記施錠状態を開錠する開錠状態に操作可能な鍵部とが備えられている作業車。
【請求項2】
前記鍵部を前記開錠状態に操作可能で、人為的に操作されるレバーキーが備えられている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
走行の始動操作を行う為の走行キーが備えられ、
前記走行キーは前記レバーキーとは異なるものであり、前記走行キーにより前記鍵部を前記開錠状態に操作することはできない請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
人為的に操作可能な複数の設定部が備えられ、
複数の前記設定部が事前に設定された暗証番号に対応するように操作されることにより、前記鍵部が前記開錠状態に操作される請求項1に記載の作業車。
【請求項5】
前記ロック部は、
端部が前記本体部に挿入及び離脱可能な第1部分と、
端部が前記本体部に挿入及び離脱可能な第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分とに亘って接続された第3部分とを有しており、
前記第1部分と前記第2部分との間に前記変速レバーが配置され、前記第1部分の端部及び前記第2部分の端部が前記本体部に挿入されることによって、前記保持状態となり、
前記鍵部は、
前記保持状態で前記施錠状態に操作されることにより、前記第1部分の端部及び前記第2部分の端部の前記本体部からの離脱を阻止する請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【請求項6】
前記ロック部は、
第1軸芯の方向に沿ってスライド可能に、前記本体部に取り付けられた第1部分と、
前記第1軸芯と直交する方向に沿った第3軸芯周りに回転可能に、前記第1部分の端部に取り付けられた第3部分と、
前記第3軸芯と平行な第2軸芯周りに回転可能に、前記第3部分の端部に取り付けられ、端部が前記本体部に挿入及び離脱可能な第2部分とを有しており、
前記第1部分と前記第2部分との間に前記変速レバーが配置され、前記第2部分の端部が前記本体部に挿入されることによって、前記保持状態となり、
前記鍵部は、
前記保持状態で前記施錠状態に操作されることにより、前記第2部分の端部の前記本体部からの離脱を阻止する請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車における盗難防止の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車としては、特許文献1に開示されているように、エンジンの動力が、ベルト式の無段変速装置から、ミッションケースの内部に設けられた副変速装置を介して、前輪及び後輪に伝達されるように構成されたものがある。
【0003】
特許文献1では、アクセルペダルの踏み操作によるエンジンの回転数の上昇及び下降に伴って、無段変速装置が高速側及び低速側に操作される。副変速装置は、複数の前進位置及び後進位置を有する有段型式に構成されて、変速レバーにより操作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-51507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に作業車では、エンジンの始動操作及び停止操作を行う為の走行キーが設けられており、運転者が、エンジンの停止操作を行い、走行キーをキーシリンダ(イグニッションスイッチ)から取り外せば、他者はエンジンの始動操作を行うことができない。
しかしながら、近年では、偽造された走行キーの使用やキーシリンダの破壊行為等により、作業車の盗難が増加している。
本発明は、作業車において、盗難防止を図ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業車は、走行用の変速装置と、前記変速装置を操作する変速レバーと、停止位置に操作された前記変速レバーを保持して、前記変速レバーの前記停止位置からの操作を阻止するレバーロック機構とが備えられ、前記レバーロック機構は、機体に固定された本体部と、前記変速レバーを前記停止位置で保持する保持状態、及び、前記変速レバーの保持を解除する解除状態に操作可能なロック部と、前記ロック部を前記保持状態で前記本体部に対して施錠する施錠状態、及び、前記施錠状態を開錠する開錠状態に操作可能な鍵部とが備えられている。
【0007】
本発明によると、運転者は、作業車を停止させて変速レバーを停止位置に操作し、この後にレバーロック機構のロック部を保持状態に設定して、レバーロック機構の鍵部を施錠状態に操作すればよい。
運転者が作業車から離れた後、他者が仮にエンジンや電動モータ等の原動部の始動操作を行うことができたとしても、他者は、変速レバーを停止位置以外の位置に操作することができないので、作業車を走行させることができない。レバーロック機構の鍵部が施錠状態に操作されているので、他者にとってレバーロック機構のロック部を解除状態に操作することは困難である。
【0008】
以上のように、作業車の盗難防止を図ることができる。
この場合、レバーロック機構をカバー等により覆わずに露出させておき、レバーロック機構のロック部が保持状態に操作されていることが、作業車の外部から目視できるように設定しておけば、他者に対して盗難の抑止効果が期待できる。
【0009】
本発明において、前記鍵部を前記開錠状態に操作可能で、人為的に操作されるレバーキーが備えられていると好適である。
【0010】
本発明によると、運転者は、レバーキーによりレバーロック機構の鍵部を開錠状態に容易に操作することができる。
運転者は、レバーロック機構の鍵部を施錠状態に操作した後、レバーキーを所持しておくことにより、他者にとってレバーロック機構の鍵部を開錠状態に操作することが困難になるので、作業車の盗難防止の面で有利である。
【0011】
本発明において、走行の始動操作を行う為の走行キーが備えられ、前記走行キーは前記レバーキーとは異なるものであり、前記走行キーにより前記鍵部を前記開錠状態に操作することはできないと好適である。
【0012】
本発明によると、他者が偽造の走行キーを使用してレバーロック機構の鍵部を開錠状態に操作しようとしても、運転者はレバーロック機構の鍵部を開錠状態に操作することができないので、作業車の盗難防止の面で有利である。
【0013】
本発明において、人為的に操作可能な複数の設定部が備えられ、複数の前記設定部が事前に設定された暗証番号に対応するように操作されることにより、前記鍵部が前記開錠状態に操作されると好適である。
【0014】
本発明によると、運転者は、複数の設定部を暗証番号に対応するように操作することにより、レバーロック機構の鍵部を開錠状態に容易に操作することができる。
【0015】
本発明において、前記ロック部は、端部が前記本体部に挿入及び離脱可能な第1部分と、端部が前記本体部に挿入及び離脱可能な第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とに亘って接続された第3部分とを有しており、前記第1部分と前記第2部分との間に前記変速レバーが配置され、前記第1部分の端部及び前記第2部分の端部が前記本体部に挿入されることによって、前記保持状態となり、前記鍵部は、前記保持状態で前記施錠状態に操作されることにより、前記第1部分の端部及び前記第2部分の端部の前記本体部からの離脱を阻止すると好適である。
【0016】
本発明によると、運転者が変速レバーを操作する場合、運転者は、レバーロック機構において、鍵部を開錠状態に操作し、ロック部(第1部分の端部及び第2部分の端部)を本体部から離脱させておく。
これにより、変速レバーからロック部が離れるので、運転者は、変速レバーとロック部との干渉を避けながら、変速レバーを操作することができるのであり、この状態がロック部の解除状態である。
【0017】
変速レバーを停止位置で保持する場合、運転者は、変速レバーを停止位置に操作した後に、レバーロック機構において、ロック部の第1部分と第2部分との間に変速レバーを位置させて、ロック部の第1部分の端部及び第2部分の端部を本体部に挿入する。
【0018】
前述の状態がロック部の保持状態であり、運転者は、ロック部の保持状態で鍵部を施錠状態に操作すればよい。ロック部の保持状態において、変速レバーが停止位置から他の位置に操作されようとしても、変速レバーの操作がロック部の第1部分や第2部分、第3部分によって阻止される。
以上のように、レバーロック機構において、ロック部(第1部分の端部及び第2部分の端部)を本体部に挿入及び離脱させることによって、ロック部の保持状態及び解除状態を容易に得ることができる。
【0019】
本発明において、前記ロック部は、第1軸芯の方向に沿ってスライド可能に、前記本体部に取り付けられた第1部分と、前記第1軸芯と直交する方向に沿った第3軸芯周りに回転可能に、前記第1部分の端部に取り付けられた第3部分と、前記第3軸芯と平行な第2軸芯周りに回転可能に、前記第3部分の端部に取り付けられ、端部が前記本体部に挿入及び離脱可能な第2部分とを有しており、前記第1部分と前記第2部分との間に前記変速レバーが配置され、前記第2部分の端部が前記本体部に挿入されることによって、前記保持状態となり、前記鍵部は、前記保持状態で前記施錠状態に操作されることにより、前記第2部分の端部の前記本体部からの離脱を阻止すると好適である。
【0020】
本発明によると、運転者が変速レバーを操作する場合、運転者は、レバーロック機構において、鍵部を開錠状態に操作し、ロック部の第2部分の端部を本体部から離脱させ、ロック部の第3部分を第3軸芯周りに変速レバーから離れる方向に操作したり、ロック部の第2部分を第2軸芯周りに変速レバーから離れる方向に操作したりすればよい。
これにより、変速レバーからロック部が離れるので、運転者は、変速レバーとロック部との干渉を避けながら、変速レバーを操作することができるのであり、この状態がロック部の解除状態である。
【0021】
変速レバーを停止位置で保持する場合、運転者は、変速レバーを停止位置に操作した後に、レバーロック機構において、ロック部の第3部分を第3軸芯周りに変速レバーに接近する方向に操作したり、ロック部の第2部分を第2軸芯周りに変速レバーに接近する方向に操作したりして、ロック部の第1部分と第2部分との間に変速レバーを位置させて、ロック部の第2部分の端部を本体部に挿入する。
【0022】
前述の状態がロック部の保持状態であり、運転者は、ロック部の保持状態で鍵部を施錠状態に操作すればよい。ロック部の保持状態において、変速レバーが停止位置から他の位置に操作されようとしても、変速レバーの操作がロック部の第1部分や第2部分、第3部分によって阻止される。
以上のように、レバーロック機構において、ロック部の第2部分の端部を本体部に挿入及び離脱させることによって、ロック部の保持状態及び解除状態を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ユーティリティビークルの左側面図である。
図2】前部パネルの付近の正面図である。
図3】ロック部の解除状態及び鍵部の開錠状態におけるレバーロック機構及び変速レバーの付近の平面図である。
図4】ロック部の保持状態及び鍵部の施錠状態におけるレバーロック機構及び変速レバーの付近の平面図である。
図5】発明の実施の第2別形態において、ロック部の解除状態及び鍵部の開錠状態におけるレバーロック機構及び変速レバーの付近の平面図である。
図6】発明の実施の第2別形態において、ロック部の保持状態及び鍵部の施錠状態におけるレバーロック機構及び変速レバーの付近の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1図6に、作業車の一例である多目的のユーティリティビークルが示されており、図1図6において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0025】
(ユーティリティビークルの全体構成)
図1に示すように、右及び左の前輪1と右及び左の後輪2とにより、機体3が支持されている。機体3は、フロアフレーム4、ロプスフレーム5及び後部フレーム6等を有している。後部フレーム6が、ロプスフレーム5の後部に連結され後方に向けて延出されており、荷台11が後部フレーム6に支持されている。
【0026】
右及び左の前席7と右及び左の後席8とが、フロアフレーム4に設けられており、ロプスフレーム5が、前席7及び後席8を覆うようにフロアフレーム4に連結されている。ロプスフレーム5の前部及び後部に、フロントガラス(図示せず)及びリヤガラス(図示せず)が設けられ、ロプスフレーム5の上部に屋根9が設けられており、ロプスフレーム5の前部及び後部に、ドア10が設けられている。
【0027】
エンジン12、無段変速装置13、ミッションケース14及び後輪2が、下部フレーム15に支持されており、下部フレーム15がフロアフレーム4及び後部フレーム6に連結されている。
【0028】
無段変速装置13は、ベルト無段変速型式に構成されている。エンジン12の回転数が上昇すると、これに伴って無段変速装置13が自動的に高速側に操作されるのであり、エンジン12の回転数が低下すると、これに伴って無段変速装置13が自動的に低速側に操作される。
【0029】
ミッションケース14の内部に、前進3段後進1段に変速可能なギヤ変速型式の副変速装置(図示せず)(走行用の変速装置に相当)、及び後輪デフ装置(図示せず)が設けられている。
【0030】
エンジン12の動力が、無段変速装置13に伝達されて変速され、無段変速装置13から副変速装置に伝達されて変速され、副変速装置から後輪デフ装置に伝達されて、後輪デフ装置から後輪2に伝達される。副変速装置と後輪デフ装置との間から分岐した動力が、伝動軸16を介して前輪デフ装置17に伝達され、前輪デフ装置17から前輪1に伝達される。
【0031】
(ロプスフレームの内部の前部付近の構成)
図1及び図2に示すように、ロプスフレーム5の内部において、前部パネル18が前席7の前方に設けられている。
【0032】
前部パネル18の上部の左部(左の前席7の前方)に、前輪1を操向操作する操縦ハンドル19と、ミッションケース14の副変速装置を操作する変速レバー20とが設けられている。前部パネル18の左部の下方(左の前席7の前方)に、アクセルペダル21と、ブレーキペダル22とが設けられている。
【0033】
アクセルペダル21は、踏み操作及び戻し操作可能であり、バネ(図示せず)により戻し側に付勢されており、アクセルペダル21の操作位置が位置センサー(図示せず)により検出される。位置センサーの検出値に基づいて、エンジン12のアクセル部がアクチュエータ(図示せず)により操作されて、エンジン12の出力(回転数)が操作される(フライバイワイヤ型式)。
【0034】
図2及び図3に示すように、前部パネル18において、キーシリンダ23(イグニッションスイッチ)が、変速レバー20の右の横隣に設けられている。走行キー33がキーシリンダ23に挿入されて回転操作されることにより、エンジン12の始動操作及び停止操作が行われる。
【0035】
(変速レバーの構成)
図2及び図3に示すように、ミッションケース14の副変速装置を操作する変速レバー20が、操縦ハンドル19の右の横隣に設けられている。
【0036】
金属製のレバーガイド24が前部パネル18に設けられており、前部パネル18の内部において、レバーガイド24がロプスフレーム5(機体3)の一部である前部フレーム(図示せず)に連結されている。クランク状に屈曲したガイド孔24aがレバーガイド24に開口されており、変速レバー20がレバーガイド24のガイド孔24aを通って上方に出ている。
【0037】
レバーガイド24のガイド孔24aに、中立位置N(停止位置に相当)、前進1速位置F1、前進2速位置F2、前進3速位置F3及び後進位置R1が設けられている。
変速レバー20が前進1速位置F1、前進2速位置F2及び前進3速位置F3に操作されると、副変速装置が前進1速位置F1、前進2速位置F2及び前進3速位置F3に操作される。変速レバー20が後進位置R1に操作されると、副変速装置が後進位置R1に操作される。
【0038】
変速レバー20が中立位置Nに操作されると、副変速装置が中立位置Nに操作される。副変速装置が中立位置Nに操作されると、無段変速装置13からの動力が副変速装置において遮断されて、前輪1及び後輪2が停止する。
【0039】
(レバーロック機構の構成)
図3に示すように、レバーロック機構25が、前部パネル18に設けられており、レバーロック機構25は、本体部26、ロック部27、鍵部28及びレバーキー29等を有している。
【0040】
本体部26は、連結部材30によりレバーガイド24の下部に連結されており、連結部材30及びレバーガイド24を介して、ロプスフレーム5(機体3)の一部である前部フレーム(図示せず)に連結(固定)されている。
【0041】
ロック部27は、金属製の棒材がU字状に折り曲げられて構成されており、直線状の第1部分27aと、直線状の第2部分27bと、第1部分27aと第2部分27bとに亘って接続された円弧状の第3部分27cとを有している。
【0042】
紛失防止用のチェーン31が、ロック部27の第3部分27cと連結部材30とに亘って接続されている。合成樹脂製の保持部32が、前部パネル18に設けられている。図3 に示す状態は、ロック部27が本体部26から離脱されて、ロック部27の第1部分27a及び第2部分27bが保持部32に取り付けられた状態である。
【0043】
鍵部28が、本体部26の内部に設けられている。ロック部27の第1部分27aの端部及び第2部分27bの端部が本体部26に挿入されると、鍵部28が自動的に施錠状態に操作される。これにより、ロック部27の第1部分27aの端部及び第2部分27bの端部において、本体部26からの離脱が鍵部28により阻止される。
【0044】
レバーキー29が鍵部28に挿入されて回転操作されると、施錠状態が開錠されて鍵部28が開錠状態に操作されるので、ロック部27の第1部分27aの端部及び第2部分27bの端部を本体部26から離脱させることができる。
【0045】
この場合、走行キー33とレバーキー29とは異なるものに構成されており、走行キー33を鍵部28に挿入することはできず、走行キー33により鍵部28を開錠状態に操作することはできない。同様に、レバーキー29はキーシリンダ23に挿入することができず、レバーキー29によりエンジン12の始動操作及び停止操作を行うことはできない。
【0046】
(レバーロック機構の操作)
図3に示す状態は、レバーロック機構25において、ロック部27が本体部26から離脱されて、ロック部27の第1部分27a及び第2部分27bが保持部32に取り付けられた状態である。
【0047】
前述の状態が、ロック部27が変速レバー20の保持を解除する解除状態に操作された状態であり、鍵部28が開錠状態に操作された状態である。ロック部27の解除状態において、運転者は、変速レバー20を前進1速位置F1、前進2速位置F2、前進3速位置F3及び後進位置R1に操作することができる。
【0048】
変速レバー20を中立位置Nで保持する場合、図3から図4に示すように、運転者は、変速レバー20を中立位置Nに操作した後、レバーロック機構25において、ロック部27を保持部32から取り外して変速レバー20の前方上方に位置させる。
レバーガイド24において、中立位置Nの下方後方の位置に、2個のピン24bが連結されている。
【0049】
運転者は、ロック部27を下方後方に移動させ、ロック部27の第1部分27aと第2部分27bとの間に、変速レバー20及びレバーガイド24のピン24bが配置されるようにして、ロック部27の第1部分27aの端部及び第2部分27bの端部を本体部26に挿入する。
【0050】
ロック部27の第1部分27aの端部及び第2部分27bの端部が本体部26に挿入されると、鍵部28が自動的に施錠状態となる。
この状態において、ロック部27の第1部分27a及び第2部分27bが変速レバー20の右及び左の横部に近接し、ロック部27の第3部分27cが変速レバー20の前部に近接している。
【0051】
図4に示す状態が、中立位置N(停止位置)に操作された変速レバー20を保持して変速レバー20の中立位置N(停止位置)からの操作を阻止するレバーロック機構25において、ロック部27が、変速レバー20を中立位置N(停止位置)で保持する保持状態に操作された状態であり、鍵部28が、ロック部27を保持状態で本体部26に対して施錠する施錠状態に操作された状態である。
【0052】
(変速レバーがレバーロック機構により中立位置に保持された状態)
図4に示す状態において、変速レバー20が中立位置Nから右方に操作されようとしても、変速レバー20がロック部27の第2部分27bに当接して、変速レバー20の中立位置Nから右方への操作が阻止される。
【0053】
変速レバー20が中立位置Nから左方に操作されようとしても、変速レバー20がロック部27の第1部分27a及びレバーガイド24に当接して、変速レバー20の中立位置Nから左方への操作が阻止される。
【0054】
この場合、変速レバー20がロック部27の第1部分27a及び第2部分27bに強く押圧されても、ロック部27の第1部分27a及び第2部分27bがレバーガイド24のピン24bに支持されるので、変速レバー20の中立位置Nから右方及び左方への操作が阻止される。
【0055】
変速レバー20が中立位置Nから前方上方に操作されようとしても、変速レバー20がロック部27の第3部分27cに当接して、変速レバー20の中立位置Nから前方上方への操作が阻止される。
【0056】
変速レバー20が中立位置Nから後方下方に操作されようとしても、変速レバー20がレバーガイド24に当接して、変速レバー20の中立位置Nから後方下方への操作が阻止される。
【0057】
レバーロック機構25は、カバー等により覆われずに、前部パネル18及びレバーガイド24の上面に露出するように設けられている。これにより、図4に示すように、レバーロック機構25のロック部27が保持状態に操作されていることを、他者は作業車の外部から目視することができる。
【0058】
運転者は、レバーロック機構25において、レバーキー29を鍵部28に挿入して回転操作することにより、施錠状態を開錠して鍵部28を開錠状態に操作し、ロック部27の第1部分27aの端部及び第2部分27bの端部を本体部26から離脱させることができる。
【0059】
(発明の実施の第1別形態)
図1図4に示すレバーロック機構25において、ロック部27の第1部分27aの端部及び第2部分27bの端部が本体部26に挿入されても、鍵部28が自動的に施錠状態に操作されないように構成し、レバーキー29により鍵部28が施錠状態及び開錠状態に操作されるように構成してもよい。
【0060】
前述の構成において、レバーキー29が鍵部28に挿入され開錠状態に操作されると、運転者がレバーキー29を鍵部28から取り外せないように構成すればよい。
ロック部27の第1部分27aの端部及び第2部分27bの端部が本体部26に挿入された後、レバーキー29により鍵部28が施錠状態に操作されると、運転者がレバーキー29を鍵部28から取り外すことができるように構成すればよい。
【0061】
(発明の実施の第2別形態)
図1図4に示すレバーロック機構25に代えて、レバーロック機構25を以下の説明のように構成してもよい。
【0062】
図5に示すように、レバーロック機構25において、本体部26が連結部材30によりレバーガイド24の下部に連結(固定)されている。鍵部28が本体部26の内部に設けられており、3個のダイヤル部34(設定部に相当)が、軸芯P4周りに回転可能に本体部26に設けられている。
【0063】
ロック部27は、第1部分27a、第2部分27b及び第3部分27cを有している。ロック部27の第1部分27aは、レバーガイド24に沿う前後方向(上下方向)に沿った軸芯P1(第1軸芯に相当)に沿ってスライド可能、及び軸芯P1周りに回転可能に、本体部26に取り付けられており、本体部26から離脱できない。
【0064】
ロック部27の第3部分27cは、軸芯P1と直交する方向に沿った軸芯P3(第3軸芯に相当)周りに回転可能に、ロック部27の第1部分27aの端部に取り付けられている。
【0065】
ロック部27の第2部分27bは、軸芯P3と平行な軸芯P2(第2軸芯に相当)周りに回転可能に、ロック部27の第3部分27cの端部に取り付けられており、ロック部27の第2部分27bの端部が本体部26に挿入及び離脱可能である。
【0066】
図5に示す状態は、レバーロック機構25において、ロック部27の第3部分27cが変速レバー20の反対側である左方に向けて操作され、ロック部27の第2部分27bが下方に向けて操作された状態であり、レバーガイド24に設けられた保持部32に、ロック部27の第2部分27bが取り付けられた状態である。
この状態が、ロック部27が変速レバー20の保持を解除する解除状態に操作された状態であり、鍵部28が開錠状態に操作された状態である。
【0067】
変速レバー20を中立位置Nで保持する場合、図5から図6に示すように、運転者は、変速レバー20を中立位置Nに操作した後、レバーロック機構25において、ロック部27の第1部分27aを軸芯P1周りに少し回転させながら、ロック部27の第2部分27bを保持部32から取り外す。運転者は、ロック部27の第2部分27b及び第3部分27cを、軸芯P2,P3周りに、変速レバー20に接近する方向である図6の時計方向に操作する。
【0068】
運転者は、ロック部27の第1部分27aと第2部分27bとの間に、変速レバー20及びレバーガイド24のピン24bが配置されるようにした後、ロック部27の第1部分27aを軸芯P1に沿って本体部26に向けてスライド操作することにより、ロック部27の第2部分27bの端部を本体部26に挿入する。
【0069】
図6に示す状態が、中立位置N(停止位置)に操作された変速レバー20を保持して変速レバー20の中立位置N(停止位置)からの操作を阻止するレバーロック機構25において、ロック部27が、変速レバー20を中立位置N(停止位置)で保持する保持状態に操作された状態である。
【0070】
運転者は、ロック部27を保持状態に操作した後(ロック部27の第2部分27bの端部を本体部26に挿入した後)、3個のダイヤル部34を任意に回転操作すると、鍵部28が、ロック部27を保持状態で本体部26に対して施錠する施錠状態に操作される。
【0071】
これにより、ロック部27の第2部分27bの端部において、本体部26からの離脱が鍵部28により阻止される。
変速レバー20が中立位置Nから右方及び左方、前方上方及び後方下方に操作されようとしても、図1図4に示す構成と同様に、レバーロック機構25において、ロック部27の第1部分27a、第2部分27b、第3部分27c及びレバーガイド24により、変速レバー20の操作が阻止される。
【0072】
鍵部28において、暗証番号が例えば「123」である場合、運転者は、前部(上部)のダイヤル部34を回転操作して「1」に対応させ、中間部のダイヤル部34を回転操作して「2」に対応させ、後部(下部)のダイヤル部34を回転操作して「3」に対応させる。これにより、鍵部28が開錠状態に操作される。
【0073】
運転者は、ロック部27の第1部分27aを軸芯P1に沿って前方(上方)に向けてスライド操作することにより、ロック部27の第2部分27bの端部を本体部26から離脱させ、ロック部27の第2部分27b及び第3部分27cを、軸芯P2,P3周りに図6の反時計方向に操作することにより、図5に示す状態に操作することができる。
【0074】
(発明の実施の第3別形態)
前述の(発明の実施の第2別形態)に示す構成において、4個以上のダイヤル部34を本体部26に設けてもよい。
前述の(発明の実施の第2別形態)に示す構成において、ダイヤル部34に代えて、図1図4に示す鍵部28及びレバーキー29の構成を採用してもよく、前述の(発明の実施の第1別形態)に示す鍵部28及びレバーキー29の構成を採用してもよい。
【0075】
(発明の実施の第4別形態)
図1図4に示す構成、前述の(発明の実施の第1別形態)~(発明の実施の第3別形態)に示す構成において、レバーロック機構25(本体部26及びロック部27)が、変速レバー20の中立位置Nに対して左右方向に沿って配置されるように構成してもよい。
【0076】
(発明の実施の第5別形態)
エンジン12に代えて、電動モータ(図示せず)を原動部として設けてもよい。
ギヤ変速型式の副変速装置に代えて、静油圧式の無段変速装置(図示せず)を走行用の変速装置として採用してもよい。
走行用の変速装置とは別に前後進切換装置(図示せず)を設けて、走行用の変速装置を複数の変速位置及び停止位置に変速可能に構成してもよい。
キーシリンダ23に代えて、無線型式の走行キー(リモコンキー)(図示せず)を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、エンジンや電動モータ等を走行用の原動部としたユーティリティビークルばかりではなく、エンジンや電動モータ等を原動部としたトラクタ、エンジンや電動モータ等を原動部としたバックホウ及びホイルローダ等の作業車にも適用できる。
【符号の説明】
【0078】
3 機体
20 変速レバー
25 レバーロック機構
26 本体部
27 ロック部
27a 第1部分
27b 第2部分
27c 第3部分
28 鍵部
29 レバーキー
33 走行キー
34 ダイヤル部(設定部)
N 中立位置(停止位置)
P1 軸芯(第1軸芯)
P2 軸芯(第2軸芯)
P3 軸芯(第3軸芯)
図1
図2
図3
図4
図5
図6