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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156812
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 29/281 20160101AFI20231018BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20231018BHJP
   A23L 2/66 20060101ALI20231018BHJP
   A23L 23/00 20160101ALI20231018BHJP
   A23L 17/20 20160101ALI20231018BHJP
【FI】
A23L29/281
A23L5/00 K
A23L2/66
A23L23/00
A23L17/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066395
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100176094
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 満
(72)【発明者】
【氏名】チャン アーロン
(72)【発明者】
【氏名】不破 喬
【テーマコード(参考)】
4B035
4B036
4B041
4B042
4B117
【Fターム(参考)】
4B035LC02
4B035LE11
4B035LG14
4B035LG15
4B035LG42
4B036LC02
4B036LE02
4B036LE05
4B036LF01
4B036LH15
4B036LP19
4B041LC01
4B041LE08
4B041LK02
4B041LK13
4B041LK16
4B041LK36
4B042AC01
4B042AD23
4B042AD34
4B042AE08
4B042AG12
4B042AK10
4B117LC03
4B117LE10
4B117LK15
4B117LP17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コラーゲンを豊富に含み、かつ、コラーゲン特有の臭いが低減された経口液体組成物を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、経口液体組成物であって、6g/100ml以上、かつ、20g/100ml未満のコラーゲンと、0.25g/100mlを超え、かつ、2.0g/100ml未満のアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドとを含む、組成物が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口液体組成物であって、
6g/100ml以上、かつ、20g/100ml未満のコラーゲンと
0.25g/100mlを超え、かつ、2.0g/100ml未満のアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドと
を含む、組成物。
【請求項2】
前記1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量が0.3~1.6g/100mlである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量が0.35~1.4g/100mlである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記コラーゲンの含有量が6~11g/100mlであり、
前記1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量が0.5~1.3g/100mlである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記コラーゲンの含有量が6~10g/100mlであり、
前記1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量が0.6~1.25g/100mlである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記コラーゲンの含有量をY(g/100ml)とし、カルノシンおよびアンセリンの合計含有量をX(g/100ml)とした場合に式(1):

Y≧-17.705X+16.705 (1)

を満たす、請求項3~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
アンセリンおよびカルノシンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
50~200mg/100mLのナトリウムを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
300~900mg/100mLのBCAAを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
パウチ入りスープである、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
コラーゲン含有経口液体組成物の味質改善方法であって、前記コラーゲン含有経口液体組成物に含まれるコラーゲン量が6g/100ml以上であり、前記コラーゲン含有経口液体組成物に含まれるコラーゲン1gに対して0.04~0.5gのアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドを含むように調整する、方法。
【請求項12】
前記コラーゲン含有経口液体組成物に含まれるコラーゲン量が20g/100ml未満である、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲンおよびイミダゾールジペプチドを含む経口液体組成物、その製造方法およびコラーゲン含有経口液体組成物の味質改善方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
コラーゲンは元々食品分野で広く使用されてきた原料であるが、健康志向の高まりから近年注目されている。コラーゲンは動物性蛋白質であり、真皮や結合組織の主成分であるため、医療分野、化粧品分野および健康食品分野においてもコラーゲンを活用した製品の開発が行われている。
【0003】
例えば、特許第6956846号公報(特許文献1)には、II型コラーゲンに加えて、プロテオグリカン、ヒアルロン酸およびイミダゾールジペプチドを含む腰痛改善剤および体幹筋力向上剤が記載されている。
【0004】
また、アジアを中心にコラーゲンを豊富に含むチキンエキス飲料の人気が高まっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6956846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような状況の下、コラーゲンを豊富に含み、かつ、コラーゲン特有の臭いが低減された経口液体組成物の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
飲料中のコラーゲンの含有量が多くなるとコラーゲン特有の臭い(生臭さ)が強くなる傾向があり好ましくないが、本発明者らは、コラーゲンを高濃度で含有していてもアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドを所定の濃度で含有することでコラーゲン特有の臭いを低減することができるとの知見を得た。本発明はこのような知見に基づくものである。
【0008】
本発明は、次に示す経口液体組成物および当該経口液体組成物の製造方法を提供する。
[1]
経口液体組成物であって、
6g/100ml以上、かつ、20g/100ml未満のコラーゲンと
0.25g/100mlを超え、かつ、2.0g/100ml未満のアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドと
を含む、組成物。
[2]
前記1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量が0.3~1.6g/100mlである、[1]に記載の組成物。
[3]
前記1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量が0.35~1.4g/100mlである、[1]に記載の組成物。
[4]
前記コラーゲンの含有量が6~11g/100mlであり、
前記1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量が0.5~1.3g/100mlである、[1]に記載の組成物。
[5]
前記コラーゲンの含有量が6~10g/100mlであり、
前記1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量が0.6~1.25g/100mlである、[1]に記載の組成物。
[6]
前記コラーゲンの含有量をY(g/100ml)とし、カルノシンおよびアンセリンの合計含有量をX(g/100ml)とした場合に式(1):

Y≧-17.705X+16.705 (1)

を満たす、[3]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]
アンセリンおよびカルノシンを含む、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]
50~200mg/100mLのナトリウムを含む、[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]
300~900mg/100mLのBCAAを含む、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]
パウチ入りスープである、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]
コラーゲン含有経口液体組成物の味質改善方法であって、前記コラーゲン含有経口液体組成物に含まれるコラーゲン量が6g/100ml以上であり、前記コラーゲン含有経口液体組成物に含まれるコラーゲン1gに対して0.04~0.5gのアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドを含むように調整する、方法。
[12]
前記コラーゲン含有経口液体組成物に含まれるコラーゲン量が20g/100ml未満である、[11]に記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、コラーゲンを豊富に含み、かつ、コラーゲン特有の臭いが低減された経口液体組成物を提供することができる。本発明の好ましい態様によれば、コラーゲンを豊富に含みつつ、コラーゲン特有の臭い(生臭さ)が低減され、かつ、苦味が低減された経口液体組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。
【0011】
1.経口液体組成物
本発明は、一態様として、コラーゲンとイミダゾールジペプチドを含む経口液体組成物(以下、「本発明の経口液体組成物」ともいう)を提供する。
【0012】
本明細書において、「経口液体組成物」とは、経口摂取可能な液体状の組成物を意味し、清涼飲料水またはレディ・トゥ・ドリンク(RTD)飲料のような流動性の高い飲料から、ゼリー状飲料のような流動性の比較的低い飲料まで包含する。さらに経口液体組成物には、加熱してスープ状の状態で飲用するような組成物、例えばパウチ入りスープ(チキンエッセンス(Chicken EssenceまたはDEOC(Drip Essence of Chicken))など)、も包含される。本発明の好ましい実施形態における液体組成物は、パウチ入りスープである。
【0013】
本発明の一実施形態による経口液体組成物は、6g/100ml以上、かつ、20g/100ml未満のコラーゲンと、0.25g/100mlを超え、かつ、2.0g/100mlのアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドとを含む。以下、本発明の経口液体組成物について説明する。
【0014】
<コラーゲン>
コラーゲンは、真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質のひとつで、多細胞動物の細胞外基質(細胞外マトリクス)の主成分である。コラーゲンは得られる部位によっていくつかの種類に分類されることもあるが、本発明に用いるコラーゲンは特に限定されない。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、コラーゲンはコラーゲンペプチドを含んでいてもよい。コラーゲンペプチドは、コラーゲンが分解されて比較的低分子化したものである。通常のコラーゲンに比べてコラーゲンペプチドの方が経口で摂取したときの体内への吸収性が高くなる点で好ましい。コラーゲンペプチドの平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば8,000以下のものを用いることができる。コラーゲンの分子量は、市販品の場合には、供給元から提供される製品情報に従えばよいが、そのような情報が無い場合には、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:ポリエチレングリコール(PEG)標準)を用いて通常の方法で測定することができる。市販のコラーゲンペプチドとしては、例えば、Rousselot社製の「Peptan F 2000 HD」(平均分子量(Mw):2000)などが挙げられる。
【0016】
コラーゲンの由来は特に限定されず、飲食品に使用され得る任意のコラーゲンを用いることができる。いくつかの実施形態によれば、コラーゲンはチキン由来や魚由来のコラーゲンが用いられる。精製したコラーゲンを別途添加してもよく、チキンエキスなどのコラーゲンを含む原料の配合量を調整することで含有させてもよい。コラーゲンの供給源は1種であっても2種以上であってもよい。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物に含まれるコラーゲンの量は、6g/100ml以上、かつ、20g/100ml未満である。コラーゲンの量をこの範囲とし、かつ、後述のイミダゾールジペプチドと組み合わせることで、経口液体組成物として高いレベルのコラーゲン含有量を維持しつつ、コラーゲン特有の生臭さを低減することができる。コラーゲンの含有量が多いことで、健康機能効果も高まると予想され、消費者に対する高い訴求効果が期待される。本発明の好ましい実施形態におけるコラーゲンの含有量は、6~19g/100ml、6~18g/100ml、6~17g/100ml、6~16g/100ml、6~15g/100ml、6~14g/100ml、6~13g/100ml、6~12g/100ml、6~11g/100ml、6~10g/100ml、6g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満、6~9g/100ml、6~8g/100ml、6g~7g/100ml、6g/100ml超、かつ、13g/100ml未満、6g/100ml超、かつ、12g/100ml以下、6g/100ml超、かつ、11g/100ml以下、6g/100ml超、かつ、10g/100ml以下、6g/100ml超、かつ、10g/100ml未満、6g/100ml超、かつ、9g/100ml以下、6g/100ml超、かつ、8g/100ml以下、6g/100ml超、かつ、7g/100ml以下、6.1~13g/100ml、6.1g/100ml以上、かつ、13g/100ml未満、6.1~12g/100ml、6.1~11g/100ml、6.1~10g/100ml、6.1g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満、6.1~9g/100ml、6.1~8g/100ml、6.1~7g/100ml、6.2g/100ml以上、かつ、13g/100ml未満、6.2~12g/100ml、6.2~11g/100ml、6.2~10g/100ml、6.2g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満、6.2~9g/100ml、6.2~8g/100ml、6.2~7g/100ml、6.5g/100ml以上、かつ、13g/100ml未満、6.5~12g/100ml、6.5~11g/100ml、6.5~10g/100ml、6.5g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満、6.5~9g/100ml、6.5~8g/100ml、6.5~7g/100ml、7g/100ml以上、かつ、13g/100ml未満、7~12g/100ml、7~11g/100ml、7~10g/100ml、7g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満、7~9g/100ml、7~8g/100ml、8g/100ml以上、かつ、13g/100ml未満、8~12g/100ml、8~11g/100ml、8~10g/100ml、8g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満または8~9g/100mlであってもよい。コラーゲンの含有量は、より好ましくは6~11g/100ml、6~10g/100mlまたは6.1g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満である。
【0018】
コラーゲンの含有量は経口液体組成物に含まれるヒドロキシプロリンをアミノ酸分析機で定量することで求めることができるが、配合量から含有量が算出できる場合は配合量から求めてもよい。アミノ酸分析機で測定する場合の測定条件は分析器の標準の測定方法で測定することができる。アミノ酸分析機としては、JEOL社製の全自動アミノ酸分析機(JLC-500/V2)などを用いることができる。ヒドロキシプロリン量からコラーゲン量を算出するために必要なヒドロキシプロリン係数は、原料(例えば、鶏肉、魚肉、豚肉など)のコラーゲンのアミノ酸組成データから計算することができる。例えば、鶏肉や豚肉由来のヒドロキシプロリン量からコラーゲン量を求めたい場合にはヒドロキシプロリン量に係数8をかけることで算出できる。
【0019】
<イミダゾールジペプチド>
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物は、イミダゾールジペプチドを含む。イミダゾールジペプチドは、イミダゾール環を持つヒスチジンを構成成分とするジペプチドの総称である(柳内延也著、日本食品化学工学会誌、2014年、61巻、1号、p. 45)。ここでイミダゾールは、5員環状の芳香族複素環系化合物の一種であって、窒素原子を第1位と第3位に有する含窒素芳香族複素環系化合物である。
【0020】
本発明者らは、驚くべきことに、アンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドをコラーゲンと共に経口液体組成物に用いることで、コラーゲンに特有の臭い(生臭さ)を効果的に抑制することができることを見出した。この生臭さはトリメチルアミン様の臭いとも表現される。好ましい態様によれば、所定量のコラーゲンと組み合わせることで、イミダゾールジペプチドの独特の苦みも低減される。
【0021】
イミダゾールジペプチドには様々な種類があり、アンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシン以外のイミダゾールジペプチドを含んでいてもよい。本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物は、アンセリンおよびカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドを含む。本発明の好ましい実施形態における経口液体組成物は、アンセリンおよびカルノシンを含む。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物に用いるイミダゾールジペプチドは、イミダゾールジペプチドを含む材料(例えば魚肉)から水系溶媒にて抽出して得られたもの、または化学合成により得たものであってもよく、その由来や原料は特に制限されない。イミダゾールジペプチドは、例えば、マグロ、カツオおよびサケなどの魚肉、牛肉、豚肉および鶏肉などから得ることができる。豚や牛などの哺乳類ではカルノシンが多く、水生哺乳類ではカルノシンとバレニンが1:2程度であり、鳥類ではカルノシンとアンセリンが1:3の割合であり、大型魚類になるとほぼアンセリンだけになるといわれている(柳内延也著、日本食品化学工学会誌、2014年、61巻、1号、p. 45)。本発明においては、所望の効能や用途に応じてイミダゾールジペプチドの原料を選択することができる。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物に含まれるアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドの量は、0.25g/100mlを超え、かつ、2.0g/100ml未満である。経口液体組成物中にアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される2種類以上のイミダゾールジペプチドが含まれる場合、ここに記載の量はそれらのイミダゾールジペプチドの合計量を意味する。所定のイミダゾールジペプチドの含有量をこの範囲とすることで、コラーゲン特有の臭い(生臭さ)を低減しつつ、イミダゾールジペプチドの苦味も低減することができるため、味質の優れた液体組成物を提供することができる。好ましくは、アンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量は、0.26~1.9g/100ml、0.26~1.8g/100ml、0.26~1.7g/100ml、0.26~1.6g/100ml、0.26~1.5g/100ml、0.26~1.4g/100ml、0.26~1.3g/100ml、0.26~1.2g/100ml、0.26~1.1g/100ml、0.26~1.0g/100ml、0.26~0.9g/100ml、0.26~0.8g/100ml、0.26~0.7g/100ml、0.26~0.6g/100ml、0.3~1.9g/100ml、0.3~1.8g/100ml、0.3~1.7g/100ml、0.3~1.6g/100ml、0.3~1.5g/100ml、0.3~1.4g/100ml、0.3~1.3g/100ml、0.3~1.2g/100ml、0.3~1.1g/100ml、0.3~1.0g/100ml、0.3~0.9g/100ml、0.3~0.8g/100ml、0.3~0.7g/100ml、0.3~0.6g/100ml、0.35~1.9g/100ml、0.35~1.8g/100ml、0.35~1.7g/100ml、0.35~1.6g/100ml、0.35~1.5g/100ml、0.35~1.4g/100ml、0.35~1.3g/100ml、0.35~1.2g/100ml、0.35~1.1g/100ml、0.35~1.0g/100ml、0.35~0.9g/100ml、0.35~0.8g/100ml、0.35~0.7g/100ml、0.35~0.6g/100ml、0.45~1.9g/100ml、0.45~1.8g/100ml、0.45~1.7g/100ml、0.45~1.6g/100ml、0.45~1.5g/100ml、0.45~1.4g/100ml、0.45~1.3g/100ml、0.45~1.2g/100ml、0.45~1.1g/100ml、0.45~1.0g/100ml、0.45~0.9g/100ml、0.45~0.8g/100ml、0.45~0.7g/100ml、0.45~0.6g/100ml、0.5~1.9g/100ml、0.5~1.8g/100ml、0.5~1.7g/100ml、0.5~1.6g/100ml、0.5~1.5g/100ml、0.5~1.4g/100ml、0.5~1.3g/100ml、0.5~1.2g/100ml、0.5~1.1g/100ml、0.5~1.0g/100ml、0.5~0.9g/100ml、0.5~0.8g/100ml、0.5~0.7g/100ml、0.5~0.6g/100ml、0.6~1.9g/100ml、0.6~1.8g/100ml、0.6~1.7g/100ml、0.6~1.6g/100ml、0.6~1.5g/100ml、0.6~1.4g/100ml、0.6~1.25g/100ml、0.6~1.3g/100ml、0.6~1.2g/100ml、0.6~1.1g/100ml、0.6~1.0g/100ml、0.6~0.9g/100ml、0.6~0.8g/100mlまたは0.6~0.7g/100mlであってもよい。より好ましくは、イミダゾールジペプチドの含有量は、0.3~1.6g/100mlまたは0.35~1.4g/100mlであってもよい。あるいは、他の実施形態において、イミダゾールジペプチドの含有量は、0.5g/100ml以上かつ1.0g/100ml未満、0.5g/100ml以上かつ1.0g/100ml以下、0.6g/100ml以上かつ1.3g/100ml以下または0.6g/100ml以上かつ1.25g/100ml以下であってもよい。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物に含まれるアンセリンとカルノシンの合計量は、0.25g/100mlを超え、かつ、2.0g/100ml未満である。アンセリンとカルノシンの合計含有量をこの範囲とすることで、コラーゲン特有の臭い(生臭さ)を低減しつつ、アンセリンとカルノシンの苦味も低減することができるため、味質の優れた液体組成物を提供することができる。好ましくは、アンセリンとカルノシンの合計含有量は、0.26~1.9g/100ml、0.26~1.8g/100ml、0.26~1.7g/100ml、0.26~1.6g/100ml、0.26~1.5g/100ml、0.26~1.4g/100ml、0.26~1.3g/100ml、0.26~1.2g/100ml、0.26~1.1g/100ml、0.26~1.0g/100ml、0.26~0.9g/100ml、0.26~0.8g/100ml、0.26~0.7g/100ml、0.26~0.6g/100ml、0.3~1.9g/100ml、0.3~1.8g/100ml、0.3~1.7g/100ml、0.3~1.6g/100ml、0.3~1.5g/100ml、0.3~1.4g/100ml、0.3~1.3g/100ml、0.3~1.2g/100ml、0.3~1.1g/100ml、0.3~1.0g/100ml、0.3~0.9g/100ml、0.3~0.8g/100ml、0.3~0.7g/100ml、0.3~0.6g/100ml、0.35~1.9g/100ml、0.35~1.8g/100ml、0.35~1.7g/100ml、0.35~1.6g/100ml、0.35~1.5g/100ml、0.35~1.4g/100ml、0.35~1.3g/100ml、0.35~1.2g/100ml、0.35~1.1g/100ml、0.35~1.0g/100ml、0.35~0.9g/100ml、0.35~0.8g/100ml、0.35~0.7g/100ml、0.35~0.6g/100ml、0.45~1.9g/100ml、0.45~1.8g/100ml、0.45~1.7g/100ml、0.45~1.6g/100ml、0.45~1.5g/100ml、0.45~1.4g/100ml、0.45~1.3g/100ml、0.45~1.2g/100ml、0.45~1.1g/100ml、0.45~1.0g/100ml、0.45~0.9g/100ml、0.45~0.8g/100ml、0.45~0.7g/100ml、0.45~0.6g/100ml、0.5~1.9g/100ml、0.5~1.8g/100ml、0.5~1.7g/100ml、0.5~1.6g/100ml、0.5~1.5g/100ml、0.5~1.4g/100ml、0.5~1.3g/100ml、0.5~1.2g/100ml、0.5~1.1g/100ml、0.5~1.0g/100ml、0.5~0.9g/100ml、0.5~0.8g/100ml、0.5~0.7g/100ml、0.5~0.6g/100ml、0.6~1.9g/100ml、0.6~1.8g/100ml、0.6~1.7g/100ml、0.6~1.6g/100ml、0.6~1.5g/100ml、0.6~1.4g/100ml、0.6~1.25g/100ml、0.6~1.3g/100ml、0.6~1.2g/100ml、0.6~1.1g/100ml、0.6~1.0g/100ml、0.6~0.9g/100ml、0.6~0.8g/100mlまたは0.6~0.7g/100mlであってもよい。より好ましくは、アンセリンとカルノシンの合計含有量は、0.3~1.6g/100mlまたは0.35~1.4g/100mlであってもよい。あるいは、他の実施形態において、アンセリンとカルノシンの合計含有量は、0.5g/100ml以上かつ1.0g/100ml未満、0.5g/100ml以上かつ1.0g/100ml以下、0.6g/100ml以上かつ1.3g/100ml以下または0.6g/100ml以上かつ1.25g/100ml以下であってもよい。
【0025】
イミダゾールジペプチドの含有量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定することで求めることができるが、配合量から含有量が算出できる場合は配合量から求めてもよい。HPLCで測定する場合の測定条件は分析器の標準の測定方法で測定することができる。HPLCで測定する際には、イオン交換カラム(例えば、300SCX(寸法:4.6×250mm、粒子径:5μm))等を用いることができる。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物において、コラーゲンの含有量とアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量の比率(コラーゲン/イミダゾールジペプチド)は、特に限定されいないが、例えば、3~50、3~40、3~30、3~25、3~20、3~15、3~10、4~50、4~40、4~30、4~25、4~20、4~15、4~10、5~50、5~40、5~30、5~25、5~20、5~15または5~10であってもよい。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物において、コラーゲンの含有量とアンセリンとカルノシンの合計含有量の比率(コラーゲン/[アンセリン+カルノシン])は、特に限定されいないが、例えば、3~50、3~40、3~30、3~25、3~20、3~15、3~10、4~50、4~40、4~30、4~25、4~20、4~15、4~10、5~50、5~40、5~30、5~25、5~20、5~15または5~10であってもよい。
【0028】
本発明の好ましい一実施形態における経口液体組成物は、コラーゲンの含有量が6~11g/100mlであり、アンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量が0.5~1.3g/100mlである、経口液体組成物である。本発明の他の好ましい一実施形態における経口液体組成物は、コラーゲンの含有量が6~10g/100mlであり、アンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量が0.6~1.25g/100mlである、経口液体組成物である。
【0029】
本発明のさらに他の好ましい一実施形態における経口液体組成物は、コラーゲンの含有量が6~11g/100mlであり、アンセリンとカルノシンの合計含有量が0.5~1.3g/100mlである、経口液体組成物である。本発明のさらに他の好ましい一実施形態における経口液体組成物は、コラーゲンの含有量が6~10g/100mlであり、アンセリンとカルノシンの合計含有量が0.6~1.25g/100mlである、経口液体組成物である。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物は、コラーゲンの含有量をY(g/100ml)とし、カルノシンおよびアンセリンの合計含有量をX(g/100ml)とした場合に式(1):

Y≧-17.705X+16.705 (1)

を満たす。式(1)は、後述の実施例1における例1-14、1-33および1-35のデータから求めた線形近似曲線の式に基づくものである。この線形近似曲線よりもグラフ上で上の範囲であることで、経口液体組成物のコラーゲン特有の臭い(生臭さ)が低減され、かつ、苦味が低減される点で好ましい。
【0031】
<チキンエキス>
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物は、コラーゲンとアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドを含有する原料としてチキンエキスを含んでいてもよい。チキンエキスは、鶏の肉、骨、脚および皮等の部分を原料として熱水抽出等により得られる成分である。チキンエキスは、一般的にカルノシンおよびアンセリンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドを含む。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物に用いるチキンエキスがカルノシンおよびアンセリンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドの塩を含む場合、チキンエキス中のイミダゾールジペプチドの含有量は、イミダゾールジペプチドおよびその塩の総量を意味する。
【0033】
イミダゾールジペプチドの塩の例は、特に限定されず、ナトリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウムおよびアンモニアの水酸化物、炭酸塩および重炭酸塩のような無機塩;ならびにメチルアミン、ジメチルアミンおよびトリメチルアミンの塩のようなモノ-、ジ-またはトリ-アルキルアミン塩、モノ-、ジ-またはトリ-ヒドロキシアルキルアミン塩、グアニジン塩およびN-メチルグルコサミン塩のような有機塩を含む塩が挙げられる。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物にチキンエキスを用いる場合、原料となる鶏肉等を液体中で加熱して得られるエキスを用いてもよいし、市販品のチキンエキスを用いてもよい。チキンエキスの原料は鶏の骨、軟骨、脚等を含んでいてもよい。
【0035】
チキンエキスの市販品としては、「Brand's Essence of Chicken (BEC)(Suntory Beverage & Food Asia社製)」、「Scotch(登録商標) Essence of Chicken(タイのScotch Industrial社製)」、「Quaker Essence of chicken(台湾のStandard Foods Corporation社製)」、「SWANSON(登録商標)のChicken stock and broth(Campbell Soup Company社製)」、「Drip Chicken Essence (シンガポールのEu Yan Sang International社製)」、「Boned Chicken Tonic (シンガポールのEu Yan Sang International社製)」、「Boiled Essence of Chicken (台湾のLao Xie Zhen社製)」などが挙げられる。このような市販製品のいずれも使用することができるが、Brand's Essence of Chicken (BEC)を使用することが好ましい。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物に用いられるチキンエキスを、鶏肉や鶏の骨、軟骨、脚等(以下、「鶏肉等」)の温水抽出により製造する場合、一般的に用いられる方法で製造することができる。例えば、鶏肉等を溶媒中で高温で常圧または加圧下で処理することでチキンエキスを製造することができる。チキンエキスの製造の際には、溶媒での粗抽出後に脂肪やコレステロールを除去し、その後余分な溶媒を除去することで濃度を上げてもよい。
【0037】
本明細書において、チキンエキスには、上記の方法によって得られる液体抽出物、液体抽出物の希釈溶液、濃縮物、または乾燥粉末、およびこれらの精製生成物が包含される。精製物は例えば、チキンエキスに対して限外ろ過、膜処理、液分離操作、樹脂等による分画処理を施し、高純度化することにより得ることができる。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態における経口液体組成物中のチキンエキスの量(固形分換算)は、コラーゲンとイミダゾールジペプチドの量が所定の範囲内であれば特に限定されないが、5重量%~25重量%であることが好ましい。本発明の好ましい実施形態におけるチキンエキスの量(固形分換算)は、8重量%~16重量%、10重量%~14重量%または11重量%~13重量%であってもよい。
【0039】
<他の成分および特性>
本発明のいくつかの実施形態による経口液体組成物は水を含む。水は、特に限定されず、風味に悪影響を与えない限りあらゆる水が使用できるが、例えば水道水、イオン交換水、軟水、蒸留水、炭酸水、逆浸透水(RO水)、活性炭処理水、精製水および脱塩水が挙げられる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態による経口液体組成物は分岐鎖アミノ酸(BCAA)を含んでいてもよい。BCAAとしては、バリン、ロイシンおよびイソロイシンの一種以上を含んでいればよい。BCAAの含有量は、好ましくは300~900mg/100mLであり、より好ましくは350~800mg/100mLであり、さらに好ましくは400~700mg/100mL、さらに好ましくは500~600mg/100mLである。本明細書において、BCAAの含有量はバリン、ロイシンおよびイソロイシンの合計含有量を意味し、これらのいずれかのアミノ酸の含有量がゼロであってもよい。BCAAを含むことで、 疲労予防に対して効果を期待できる点で好ましい。経口液体組成物中のBCAAの量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定することで求めることができるが、配合量から含有量が算出できる場合は配合量から求めてもよい。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定する場合の測定条件は分析器の標準の測定方法で測定することができる。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定する際には、逆相HPLCカラム(例えば、RP-18(寸法:25×0.46cm、粒子径:5μm))等を用いることができる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態による経口液体組成物はナトリウムを含んでいてもよい。経口液体組成物に含まれるナトリウムは、コラーゲンなどの原料由来のものであってもよく、クエン酸ナトリウムなどの形態で別途添加したものであってもよい。ナトリウムの含有量は、好ましくは50~200mg/100mLであり、より好ましくは70~180mg/100mLであり、さらに好ましくは100~160mg/100mL、さらに好ましくは135~155mg/100mLである。ナトリウムを含むことで、ボディ感(マウスフィール)が向上する点で好ましい。経口液体組成物中のナトリウムの量は、原子吸光法により測定することができる。なお、経口液体組成物に配合されたナトリウム含有化合物の配合量が判明している場合には、その配合量から算出された値を用いてもよい。
【0042】
ナトリウムは摂取可能な状態で経口液体組成物に含まれている限り特にその形態は限定されるものではないが、例えば、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム(クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウムまたはクエン酸三ナトリウム)、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、二硫化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、アルギニン酸ナトリウム、グルコヘプタン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、カゼインナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムおよびその混合物からなる群より選択される少なくとも1つの形態あるいはそのイオン化物の形態であってもよい。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態による経口液体組成物のpHは、好ましくは4~7、4.5~7、5~7、5.5~7、6~7、4~6.8、4.5~6.8、5~6.8、5.5~6.8、6~6.8、4~6.6、4.5~6.6、5~6.6、5.5~6.6または6~6.6であってもよい。pHをこの範囲に調整することで、酸味の少ない好ましい味を実現することができる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態による経口液体組成物のBrix(可溶性固形分量)は、好ましくは5~20であり、より好ましくは8~16であり、さらに好ましくは10~14である。経口液体組成物のBrix(可溶性固形分量)は、糖度屈折計で測定することができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態による経口液体組成物は、甘味料を含んでいてもよい。甘味料としては、低甘味度甘味料、高甘味度甘味料またはその組み合わせを含んでいてもよい。低甘味度甘味料としては、例えば、グルコース、スクロース(グラニュー糖など)、フルクトース、マルトース、オリゴ糖、果糖ブドウ糖液糖、乳糖、プシコース、アロース、タガトース、キシロースまたはリボースが挙げられる。高甘味度甘味料としては、例えば、アスパルテーム、ネオテーム、アドバンテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム(アセスルファムK)、サッカリン、サッカリンナトリウム、サイクラミン酸ナトリウム、ズルチン、グリチルリチン酸二ナトリウム、グリチルリチン酸三ナトリウム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、ソーマチン、モネリン、クルクリン、マビンリン、ブラゼイン、ペンタジン、ヘルナンズルチン、4β-ヒドロキシヘルナンズルチン、ミラクリン、グリチルリチン、ルブソシド、フィロズルチン、モグロシドIV、モグロシドV、ステビオール配糖体(レバウジオシドA、レバウジオシドD、レバウジオシドM)、ソーマチン、モネリン、ブラゼイン、モナチン、羅漢果抽出物またはステビア抽出物が挙げられる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態による経口液体組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記の成分以外に通常の経口液体組成物に添加可能な成分を含有していてもよい。そのような成分として、例えば、酸味料、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定化剤などが挙げられる。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態による経口液体組成物の容器の形態は限定されず、例えば缶、瓶、PETボトル、パウチ、紙パックおよびプラスチック容器等の容器に封入して容器詰めされた経口液体組成物の形態としてもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、経口液体組成物の容器は、手軽に定期的に摂取する観点から小分けパウチである。容器詰めした後に加熱殺菌を行う場合、その種類は特に限定されず、例えば転倒殺菌、UHT殺菌およびレトルト殺菌等の通常の手法を用いて行うことができる。加熱殺菌工程の温度は特に限定されないが、例えば65~130℃、好ましくは80~120℃で、1~40分である。ただし、上記の条件と同等の殺菌価が得られれば適当な温度で数秒、例えば5~30秒での殺菌でも問題はない。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態による経口液体組成物を摂取する場合、1日当たりの摂取量の目安は、100ml/日、80ml/日、68ml/日、50ml/日、42ml/日または20ml/日であってもよい。あるいは、小瓶や小分けパウチに包装されている場合は、1日当たり1瓶または1パウチを摂取してもよい。
【0049】
[本発明の経口液体組成物の例示的な実施形態]
以下に本発明の経口液体組成物の例示的な実施形態を示すが、本発明は下記の実施形態に制限されるものではない。
本発明の一実施形態によれば、経口液体組成物であって、
6g/100ml以上、かつ、20g/100ml未満のコラーゲンと
0.25g/100mlを超え、かつ、2.0g/100ml未満のアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドと
を含み、
アンセリンとカルノシンの合計含有量が0.3~1.6g/100ml、好ましくは0.35~1.4g/100ml、より好ましくは0.5~1.3g/100ml、さらに好ましくは0.6~1.0g/100ml、さらにより好ましくは0.6~0.9g/100mlである、組成物が提供される。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、経口液体組成物であって、
6~13g/100mlまたは6.1~13g/100mlのコラーゲンと
0.25g/100mlを超え、かつ、2.0g/100ml未満のアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドと
を含み、
アンセリンとカルノシンの合計含有量が0.3~1.6g/100ml、好ましくは0.35~1.4g/100ml、より好ましくは0.5~1.3g/100ml、さらに好ましくは0.6~1.0g/100ml、さらにより好ましくは0.6~0.9g/100mlである、組成物が提供される。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、経口液体組成物であって、
6~11g/100mlまたは6.1~11g/100mlのコラーゲンと
0.25g/100mlを超え、かつ、2.0g/100ml未満のアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドと
を含み、
アンセリンとカルノシンの合計含有量が0.3~1.6g/100ml、好ましくは0.35~1.4g/100ml、より好ましくは0.5~1.3g/100ml、さらに好ましくは0.6~1.0g/100ml、さらにより好ましくは0.6~0.9g/100mlである、組成物が提供される。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、経口液体組成物であって、
6~11g/100mlまたは6.1~11g/100mlのコラーゲンと
0.3~1.5g/100mlのアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドと
を含み、
アンセリンとカルノシンの合計含有量が0.35~1.4g/100ml、好ましくは0.5~1.3g/100ml、より好ましくは0.6~1.0g/100ml、さらに好ましくは0.6~0.9g/100mlである、組成物が提供される。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、経口液体組成物であって、
6~11g/100mlまたは6.1~11g/100mlのコラーゲンと
0.3~1.5g/100mlのアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドと
を含み、
アンセリンとカルノシンの合計含有量が0.35~1.4g/100ml、好ましくは0.5~1.3g/100ml、より好ましくは0.6~1.0g/100ml、さらに好ましくは0.6~0.9g/100mlであり、
70~180mg/100mLのナトリウムを含む、組成物が提供される。
【0054】
2.経口液体組成物の製造方法
本発明は、一態様として、以下の経口液体組成物の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)を提供する。本発明の製造方法は、コラーゲンと、アンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量が所定の範囲の経口液体組成物が得られれば特に限定されない。
【0055】
本発明の一実施形態の製造方法は、例えば、次のような方法が挙げられる。まず、鶏肉等を細かく刻み、次いで、溶媒中で高温で常圧または加圧下で処理することで鶏肉等に含まれるたんぱく質等を分解してヒトが吸収しやすい比較的低分子量のペプチドに変換する。得られた粗抽出液から脂肪やコレステロールを除去し、その後余分な溶媒を除去することでチキンエッセンスの濃度を上げる。この操作を複数回繰り返してもよい。密度、色および栄養価が所望の範囲に入っていることを確認し、ろ過した後に容器詰めし、真空包装する。その後加熱殺菌する。使用する鶏肉等の部位によって含まれる成分の比率に違いがあるため、使用する鶏肉等の部位を調製することで所望のコラーゲン量と、イミダゾールジペプチド量の経口液体組成物を得ることができる。例えば、コラーゲンは鶏の脚の部分に多く含まれている傾向があり、イミダゾールジペプチドは鶏の胸肉の部分に多く含まれている傾向がある。したがって、各部位に含まれる成分の量を分析し、使用する部位の比率を適宜調整することで、過度な負担なく本発明の経口液体組成物を製造することができる。
【0056】
あるいは、所定量のコラーゲンとイミダゾールジペプチドをそれぞれ水に添加して本発明の経口液体組成物を調製してもよい。その際、コラーゲンとイミダゾールジペプチドを含むチキンエキスに、必要に応じてコラーゲンおよび/またはイミダゾールジペプチドを添加することで、経口液体組成物中に含まれるコラーゲンとイミダゾールジペプチドの量を調整してもよい。チキンエキスは上記のような方法で鶏肉等を用いて調製してもよいが、市販のものを用いてもよい。なお、各成分の添加のタイミングは同時でも同時でなくてもよい。
【0057】
本発明の一態様の製造方法において、「経口液体組成物」、「コラーゲン」、「イミダゾールジペプチド」、「チキンエキス」および「他の成分および特性」に関しては、上記経口液体組成物の項目で述べた定義と同様であり、その数値は上記経口飲料組成物の項目で述べた数値がそのまま当てはまる。
【0058】
3.コラーゲン含有経口液体組成物の味質改善方法
本発明は、一態様として、以下のコラーゲン含有経口液体組成物の味質改善方法(以下、「本発明の改善方法」ともいう)を提供する。本発明の改善方法によれば、コラーゲン含有経口液体組成物の有するコラーゲン特有の臭い(生臭さ)を低減することができる。具体的には、コラーゲンを含む経口液体組成物に対して、アンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドを所定の濃度で含有するように調整することで、コラーゲン特有の臭い(生臭さ)を低減することができる。
【0059】
本発明の一実施形態による改善方法は、コラーゲン含有経口液体組成物の味質改善方法であって、前記コラーゲン含有経口液体組成物に含まれるコラーゲン量が6g/100ml以上であり、前記コラーゲン含有経口液体組成物に含まれるコラーゲン1gに対して0.04~0.5gのアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドを含むように調整する、方法である。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態による改善方法において、コラーゲン含有経口液体組成物に含まれるコラーゲン1gに対するアンセリン、カルノシン、バレニン、ホモアンセリンおよびホモカルノシンからなる群から選択される1種以上のイミダゾールジペプチドの含有量は、0.04~0.4g、0.04~0.3g、0.04~0.25g、0.04~0.2g、0.04~0.15g、0.04~0.1g、0.05~0.4g、0.05~0.3g、0.05~0.25g、0.05~0.2g、0.05~0.15g、0.05~0.1g、0.06~0.4g、0.06~0.3g、0.06~0.25g、0.06~0.2g、0.06~0.15g、0.06~0.1g、0.07~0.4g、0.07~0.3g、0.07~0.25g、0.07~0.2g、0.07~0.15g、0.07~0.1g、0.08~0.4g、0.08~0.3g、0.08~0.25g、0.08~0.2g、0.08~0.15gまたは0.08~0.1gであってもよい。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態による改善方法において、コラーゲン含有経口液体組成物に含まれるコラーゲン1gに対するアンセリンおよびカルノシンの合計含有量は、0.04~0.4g、0.04~0.3g、0.04~0.25g、0.04~0.2g、0.04~0.15g、0.04~0.1g、0.05~0.4g、0.05~0.3g、0.05~0.25g、0.05~0.2g、0.05~0.15g、0.05~0.1g、0.06~0.4g、0.06~0.3g、0.06~0.25g、0.06~0.2g、0.06~0.15g、0.06~0.1g、0.07~0.4g、0.07~0.3g、0.07~0.25g、0.07~0.2g、0.07~0.15g、0.07~0.1g、0.08~0.4g、0.08~0.3g、0.08~0.25g、0.08~0.2g、0.08~0.15gまたは0.08~0.1gであってもよい。
【0062】
本発明細書において、「コラーゲン含有経口液体組成物に含まれるコラーゲン1gに対して0.04~0.5gのイミダゾールジペプチドを含むように調整する」とは、コラーゲン含有液体組成物中のイミダゾールジペプチドの量がコラーゲン1gに対して最終的に0.04~0.5gとなっていれば特に限定されない。したがって、コラーゲン含有経口液体組成物にコラーゲン製剤やイミダゾールジペプチド製剤を別途添加して調整してもよく、コラーゲン含有経口液体組成物を製造する際の原料を調製することで最終製品中のコラーゲンとイミダゾールジペプチドの量を調整してもよい。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態において、コラーゲン含有経口液体組成物に含まれるコラーゲン量は、20g/100ml未満である。本発明の好ましい実施形態において、コラーゲンの含有量は、6~19g/100ml、6~18g/100ml、6~17g/100ml、6~16g/100ml、6~15g/100ml、6~14g/100ml、6~13g/100ml、6~12g/100ml、6~11g/100ml、6~10g/100ml、6g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満、6~9g/100ml、6~8g/100ml、6~7g/100ml、6g/100ml超、かつ、13g/100ml未満、6g/100ml超、かつ、12g/100ml以下、6g/100ml超、かつ、11g/100ml以下、6g/100ml超、かつ、10g/100ml以下、6g/100ml超、かつ、10g/100ml未満、6g/100ml超、かつ、9g/100ml以下、6g/100ml超、かつ、8g/100ml以下、6g/100ml超、かつ、7g/100ml以下、6.1g/100ml以上、かつ、13g/100ml未満、6.1~12g/100ml、6.1~11g/100ml、6.1~10g/100ml、6.1g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満、6.1~9g/100ml、6.1~8g/100ml、6.1~7g/100ml、6.2g/100ml以上、かつ、13g/100ml未満、6.2~12g/100ml、6.2~11g/100ml、6.2~10g/100ml、6.2g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満、6.2~9g/100ml、6.2~8g/100ml、6.2~7g/100ml、6.5g/100ml以上、かつ、13g/100ml未満、6.5g~12g/100ml、6.5~11g/100ml、6.5~10g/100ml、6.5g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満、6.5~9g/100ml、6.5~8g/100ml、6.5~7g/100ml、7g/100ml以上、かつ、13g/100ml未満、7~12g/100ml、7~11g/100ml、7~10g/100ml、7g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満、7~9g/100ml、7~8g/100ml、8g/100ml以上、かつ、13g/100ml未満、8~12g/100ml、8~11g/100ml、8~10g/100ml、8g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満または8~9g/100mlであってもよい。コラーゲンの含有量は、より好ましくは6~11g/100ml、6g/100ml~10g/100mlまたは6.1g/100ml以上、かつ、10g/100ml未満である。
【0064】
本発明の一態様の改善方法において、「経口液体組成物」、「コラーゲン」、「イミダゾールジペプチド」、「チキンエキス」および「他の成分および特性」に関しては、上記経口液体組成物の項目で述べた定義と同様である。
【0065】
本明細書において、「少なくとも」との文言は、特定の項目の数が、挙げられた数以上であってよいことを意味する。また、本願内において、「約」との文言は、主体が「約」に続く数値の±25%、±10%、±5%、±3%、±2%または±1%の範囲に存在することを意味する。例えば「約10」は、7.5~12.5の範囲を意味する。
【実施例0066】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0067】
[実施例1]
〈例1-1~1-39〉
表1に示す原料と水を混合することにより経口液体組成物を得た。使用した原料は次のとおりである:コラーゲン製剤(Rousselot社製、「Peptan F 2000 HD」、コラーゲン純度:90%以上、魚由来のコラーゲンペプチド)、イミダゾールジペプチド製剤(Lytone Enterprise社製、「Imida 15」、アンセリンおよびカルノシン純度:15%以上(アンセリンが10%以上、カルノシンが5%以上)))および水(RO水(逆浸透水))。

【表1】
【0068】
各サンプル中のコラーゲンの含有量およびアンセリンとカルノシンの合計含有量は、それぞれの原料のロットごとの各成分の詳細な含有量を示した分析証明書(COA: Certificate of Analysis)における情報を基に算出した。
【0069】
上記手順で得られた経口液体組成物の味質を評価した。各サンプルを専門パネリスト3名が以下の基準に基づいて評価した。

【表2】
【0070】
試験を行う前に、パネリスト同士で十分に上記評価基準についてすり合せを行った。結果を表3にまとめる。表3に示す結果は3名の専門パネリストによる評点の平均値である。さらに、得られた結果のうち、「苦味」と「不快な生臭さ」の評価の結果の悪い方の評点を総合評価とした。

【表3】
【0071】
[実施例2]
〈例2-1~2-20〉
表4に示す原料と水を混合することにより経口液体組成物を得た。使用した原料は次のとおりである:コラーゲン製剤(Rousselot社製、「Peptan F 2000 HD」、コラーゲン純度:90%以上、魚由来のコラーゲンペプチド)、イミダゾールジペプチド製剤(Lytone Enterprise社製、「Imida 15」、アンセリンおよびカルノシン純度:15%以上(アンセリンが10%以上、カルノシンが5%以上)))、水(RO水(逆浸透水))およびクエン酸三ナトリウム製剤(Jungbunzlauer Canada Inc.社製、「Trisodium citrate dehydrate fine F60000」、純度:99%以上)。

【表4】
【0072】
各サンプル中のコラーゲンの含有量およびアンセリンとカルノシンの合計含有量は、それぞれの原料のロットごとの各成分の詳細な含有量を示した分析証明書(COA: Certificate of Analysis)における情報を基に算出した。各サンプル中のナトリウム含有量は、コラーゲン製剤とイミダゾールジペプチド製剤に元々含まれるナトリウム量を分析証明書における情報を基に算出し、それに対してクエン酸三ナトリウムの添加量から算出したナトリウム量を加えることで算出した。本実施例に使用したコラーゲン製剤に含まれるナトリウム量は0.24重量%であり、イミダゾールジペプチド製剤に含まれるナトリウム量は0.95重量%であった。
【0073】
上記手順で得られた経口液体組成物の味質を評価した。各サンプルを専門パネリスト3名が以下の基準に基づいて評価した。ボディ感(マウスフィール)は3点以上が好ましい評価である。

【表5】
【0074】
試験を行う前に、パネリスト同士で十分に上記評価基準についてすり合せを行った。結果を表6にまとめる。表6に示す結果は3名の専門パネリストによる評点の平均値である。

【表6】