(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156816
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】撮像レンズ
(51)【国際特許分類】
G02B 13/00 20060101AFI20231018BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
G02B13/00
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066400
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】391014055
【氏名又は名称】カンタツ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】久保田 賢一
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087KA02
2H087LA01
2H087PA07
2H087PA17
2H087PB07
2H087QA02
2H087QA06
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA37
2H087QA39
2H087QA41
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA32
2H087RA44
2H087UA01
(57)【要約】
【課題】広角でありながらも諸収差を良好に補正することのできる小型の撮像レンズを提供する。
【解決手段】物体側から像側に向かって順に、負の屈折力の第1レンズL1と、第2レンズL2と、正の屈折力の第3レンズL3と、正の屈折力の第4レンズL4と、第5レンズL5と、正の屈折力の第6レンズL6と、負の屈折力の第7レンズL7とを配置する。第1レンズL1は近軸において像側が凹面であり、第2レンズL2は近軸において物体側が凹面である。第5レンズL5は近軸において像側が凸面である。当該構成において撮像レンズは、レンズ系全体の焦点距離をf、第2レンズL2の焦点距離をf2、第5レンズL5の焦点距離をf5、第6レンズL6の焦点距離をf6としたとき、以下の各条件式を満足する。
8.00<|f2|/f<40.00、
0.80<|f6/f5|<4.00。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側に向かって順に、
負の屈折力を有する第1レンズと、
第2レンズと、
正の屈折力を有する第3レンズと、
正の屈折力を有する第4レンズと、
第5レンズと、
正の屈折力を有する第6レンズと、
負の屈折力を有する第7レンズとから構成され、
前記第1レンズは近軸において像側が凹面であり、
前記第2レンズは近軸において物体側が凹面であり、
前記第5レンズは近軸において像側が凸面であり、
以下の条件式を満足することを特徴とする撮像レンズ。
8.00<|f2|/f<40.00
0.80<|f6/f5|<4.00
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離、
f2:前記第2レンズの焦点距離、
f5:前記第5レンズの焦点距離、
f6:前記第6レンズの焦点距離、
とする。
【請求項2】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
-2.50<f12/f<-1.00
但し、
f12:前記第1レンズおよび前記第2レンズの合成焦点距離、
とする。
【請求項3】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
1.00<f3/f<3.00
但し、
f3:前記第3レンズの焦点距離、
とする。
【請求項4】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
-5.00<f7/f<-1.00
但し、
f7:前記第7レンズの焦点距離、
とする。
【請求項5】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
1.20<R1r/D12<3.50
但し、
R1r:前記第1レンズの像側の面の近軸曲率半径、
D12:前記第1レンズの像側の面から前記第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離、
とする。
【請求項6】
以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の撮像レンズ。
1.00<D45/D56<5.00
但し、
D45:前記第4レンズの像側の面から前記第5レンズの物体側の面までの光軸上の距離、
D56:前記第5レンズの像側の面から前記第6レンズの物体側の面までの光軸上の距離、
とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子上に被写体像を形成する撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像レンズにおいて、解像度の高い鮮明な画像を得るためには、諸収差を良好に補正する必要がある。7枚のレンズから成るレンズ構成は、撮像レンズを構成するレンズの枚数が多いことから設計上の自由度が高く、諸収差を良好に補正できる。特許文献1は、比較的広い画角を有する7枚構成の撮像レンズを開示する。
【0003】
特許文献1に記載の撮像レンズは負の第1レンズと、負の第2レンズと、第3レンズと、正の第4レンズと、第5レンズと、第6レンズと、第7レンズとを有する。当該構成の撮像レンズでは、第3レンズの光軸上の厚さと光学全長との比および第6レンズの焦点距離と第7レンズの焦点距離との比をそれぞれ一定の範囲内に抑制することにより、撮像レンズの広角化とともに諸収差の良好な補正を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の撮像レンズによれば、比較的良好に諸収差を補正できるものの、撮像レンズの広角化および小型化を図ることは困難である。
【0006】
本発明の目的は、諸収差が良好に補正された、広角で小型の撮像レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズと、第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズと、第5レンズと、正の屈折力を有する第6レンズと、負の屈折力を有する第7レンズとを配置して構成する。第1レンズは近軸において像側が凹面であり、第2レンズは近軸において物体側が凹面であり、第5レンズは近軸において像側が凸面である。
【0008】
第1レンズの像側の面を凹面にするとともに、第2レンズの物体側の面を凹面にすることにより、撮像レンズの広角化および小型化の両立を図りつつ像面湾曲、非点収差およびコマ収差を良好に補正できる。また、第5レンズの像側の面を凸面にすることにより、コマ収差を良好に補正できる。なお、本明細書において「小型」とは、光学全長、すなわち第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離とレンズ系全体の焦点距離との比(=光学全長/レンズ系全体の焦点距離)が小さいことをいう。
【0009】
上記構成の撮像レンズにおいて、第2レンズは近軸において物体側が凹面のメニスカスレンズであることが望ましい。非点収差および色収差を良好に補正できる。
【0010】
上記構成の撮像レンズにおいて、第5レンズは負の屈折力を有することが望ましい。第5レンズから第7レンズまでの屈折力の配列が「負正負」となるため、広範囲の波長について色収差を良好に補正できる。
【0011】
上記構成の撮像レンズにおいて、第5レンズは近軸において物体側が凹面のメニスカスレンズであることが望ましい。撮像レンズの広角化を図りつつ、像面湾曲、歪曲収差および色収差を良好に補正できる。
【0012】
上記構成の撮像レンズにおいて、第6レンズは近軸において物体側が凸面のメニスカスレンズであることが望ましい。撮像レンズの小型化をより好適に実現できる。
【0013】
上記構成の撮像レンズにおいて、第7レンズの像側の面は変曲点が設けられた非球面であることが望ましい。バックフォーカスを確保しつつ画像周辺部の像面湾曲および歪曲収差を良好に補正できる。また、撮像レンズから出射した光線を主光線角度(CRA:Chief Ray Angle)の範囲内に抑制しつつ近軸および周辺の諸収差を良好に補正できる。
【0014】
さらに、上記構成の撮像レンズにおいて、第7レンズは近軸において像側の面が凹面であることが望ましい。バックフォーカスを確保しつつ撮像レンズの低背化を好適に実現できる。
【0015】
なお、本発明において、「レンズ」とは屈折力を有する光学要素を指すものとする。よって、光の進行方向を変えるプリズムや平板のフィルタ等の光学要素は本発明の「レンズ」に含まれず、これら光学要素は適宜、撮像レンズの前後や各レンズ間に配置することができる。
【0016】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(1)を満足することが望ましい。
-3.00<f1/f<-1.00 (1)
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離、
f1:第1レンズの焦点距離、
とする。
【0017】
条件式(1)を満足することにより、撮像レンズの小型化および広角化の両立を図りつつ、像面湾曲、非点収差および倍率色収差を良好に補正できる。
【0018】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(2)を満足することが望ましい。
8.00<|f2|/f<40.00 (2)
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離、
f2:第2レンズの焦点距離、
とする。
【0019】
条件式(2)を満足することにより、撮像レンズの広角化を好適に実現できる。また、像面湾曲、倍率色収差およびコマ収差を良好に補正できる。
【0020】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(3)を満足することが望ましい。
-2.50<f12/f<-1.00 (3)
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離、
f12:第1レンズおよび第2レンズの合成焦点距離、
とする。
【0021】
条件式(3)を満足することにより、撮像レンズの小型化を図りつつ球面収差および非点収差を良好に補正できる。
【0022】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(4)を満足することが望ましい。
1.00<f3/f<3.00 (4)
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離、
f3:第3レンズの焦点距離、
とする。
【0023】
条件式(4)を満足することにより、撮像レンズの広角化を好適に実現できる。また、球面収差、非点収差、歪曲収差および色収差を良好に補正できる。
【0024】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(5)を満足することが望ましい。
0.30<f3/f4<3.00 (5)
但し、
f3:第3レンズの焦点距離、
f4:第4レンズの焦点距離、
とする。
【0025】
条件式(5)を満足することにより、広角化を図りつつ撮像レンズの小型化を好適に実現できる。また、球面収差、非点収差、倍率色収差およびコマ収差を良好に補正できる。
【0026】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(6)を満足することが望ましい。
0.80<|f6/f5|<4.00 (6)
但し、
f5:第5レンズの焦点距離、
f6:第6レンズの焦点距離、
とする。
【0027】
条件式(6)を満足することにより、撮像レンズの小型化および広角化を好適に実現できる。また、像面湾曲、非点収差、倍率色収差およびコマ収差を良好に補正できる。
【0028】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(7)を満足することが望ましい。
-5.00<f7/f<-1.00 (7)
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離、
f7:第7レンズの焦点距離、
とする。
【0029】
条件式(7)を満足することにより、撮像レンズの広角化を図りつつ、非点収差、倍率色収差およびコマ収差を良好に補正できる。
【0030】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(8)を満足することが望ましい。
2.00<f67/f<10.00 (8)
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離、
f67:第6レンズおよび第7レンズの合成焦点距離、
とする。
【0031】
条件式(8)を満足することにより、像面湾曲、非点収差およびコマ収差を良好に補正できる。
【0032】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(9)を満足することが望ましい。
1.00<f7/f5<2.50 (9)
但し、
f5:第5レンズの焦点距離、
f7:第7レンズの焦点距離、
とする。
【0033】
条件式(9)を満足することにより、バックフォーカスを確保しつつ撮像レンズの広角化を好適に実現できる。また、非点収差および倍率色収差を良好に補正できる。
【0034】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(10)を満足することが望ましい。
-2.00<R1r/R2f<-0.40 (10)
但し、
R1r:第1レンズの像側の面の近軸曲率半径、
R2f:第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径、
とする。
【0035】
条件式(10)を満足することにより、コマ収差および倍率色収差を良好に補正できる。
【0036】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(11)を満足することが望ましい。
0.40<R2f/R2r<1.30 (11)
但し、
R2f:第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径、
R2r:第2レンズの像側の面の近軸曲率半径、
とする。
【0037】
条件式(11)を満足することにより、撮像レンズの小型化および広角化を図りつつ、非点収差および色収差を良好に補正できる。
【0038】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(12)を満足することが望ましい。
1.20<R1r/D12<3.50 (12)
但し、
R1r:第1レンズの像側の面の近軸曲率半径、
D12:第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離、
とする。
【0039】
条件式(12)を満足することにより、撮像レンズの小型化を好適に実現できる。また、像面湾曲、非点収差およびコマ収差を良好に補正できる。
【0040】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(13)を満足することが望ましい。
-3.50<R2f/D12<-1.20 (13)
但し、
R2f:第2レンズの物体側の面の近軸曲率半径、
D12:第1レンズの像側の面から第2レンズの物体側の面までの光軸上の距離、
とする。
【0041】
条件式(13)を満足することにより、撮像レンズの小型化および広角化を好適に実現できる。また、倍率色収差およびコマ収差を良好に補正できる。
【0042】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(14)を満足することが望ましい。
1.20<R5r/R5f<4.00 (14)
但し、
R5f:第5レンズの物体側の面の近軸曲率半径、
R5r:第5レンズの像側の面の近軸曲率半径、
とする。
【0043】
条件式(14)を満足することにより、撮像レンズの広角化を図りつつ、非点収差、歪曲収差、色収差およびコマ収差を良好に補正できる。
【0044】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(15)を満足することが望ましい。
0.70<T4/T3<1.60 (15)
但し、
T3:第3レンズの光軸上の厚さ、
T4:第4レンズの光軸上の厚さ、
とする。
【0045】
条件式(15)を満足することにより、撮像レンズの広角化を図りつつ像面湾曲を良好に補正できる。
【0046】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(16)を満足することが望ましい。
1.20<T6/T7<4.50 (16)
但し、
T6:第6レンズの光軸上の厚さ、
T7:第7レンズの光軸上の厚さ、
とする。
【0047】
条件式(16)を満足することにより、撮像レンズの広角化を図りつつ像面湾曲を良好に補正できる。
【0048】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(17)を満足することが望ましい。
-35.00<f7/T7<-10.00 (17)
但し、
f7:第7レンズの焦点距離、
T7:第7レンズの光軸上の厚さ、
とする。
【0049】
条件式(17)を満足することにより、撮像レンズの広角化を図りつつ歪曲収差およびコマ収差を良好に補正できる。
【0050】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(18)を満足することが望ましい。
1.00<D45/D56<5.00 (18)
但し、
D45:第4レンズの像側の面から第5レンズの物体側の面までの光軸上の距離、
D56:第5レンズの像側の面から第6レンズの物体側の面までの光軸上の距離、
とする。
【0051】
条件式(18)を満足することにより、像面湾曲、非点収差およびコマ収差を良好に補正できる。
【0052】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(19)を満足することが望ましい。
0.15<D67/f<0.55 (19)
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離、
D67:第6レンズの像側の面から第7レンズの物体側の面までの光軸上の距離、
とする。
【0053】
条件式(19)を満足することにより、バックフォーカスを確保しつつ撮像レンズの広角化を好適に実現できる。また、像面湾曲、非点収差および倍率色収差を良好に補正できる。
【0054】
上記構成の撮像レンズは、次の条件式(20)を満足することが望ましい。条件式(20)を満足することにより、色収差を良好に補正できる。
νd2<45.0 (20)
但し、
νd2:第2レンズのアッべ数、
とする。
【0055】
上記構成の撮像レンズは、色収差をより良好に補正するため、次の条件式(21)を満足することが望ましい。
45.0<νd3 (21)
但し、
νd3:第3レンズのアッべ数、
とする。
【0056】
上記構成の撮像レンズは、色収差をより良好に補正するため、次の条件式(22)を満足することが望ましい。
45.0<νd4 (22)
但し、
νd4:第4レンズのアッべ数、
とする。
【0057】
上記構成の撮像レンズは、色収差をより良好に補正するため、次の条件式(23)を満足することが望ましい。
νd5<35.0 (23)
但し、
νd5:第5レンズのアッべ数、
とする。
【0058】
上記構成の撮像レンズは、色収差をより良好に補正するため、次の条件式(24)を満足することが望ましい。
35.0<νd6 (24)
但し、
νd6:第6レンズのアッべ数、
とする。
【0059】
上記構成の撮像レンズは、色収差をより良好に補正するため、次の条件式(25)を満足することが望ましい。
νd7<35.0 (25)
但し、
νd7:第7レンズのアッべ数、
とする。
【0060】
上記構成の撮像レンズは、撮像レンズの小型化を好適に図るため、次の条件式(26)を満足することが望ましい。
1.50<TTL/f<3.00 (26)
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離、
TTL:第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離、
とする。
【0061】
なお、撮像レンズと像面との間には、赤外線カットフィルターやカバーガラス等の挿入物が配置されることも多いが、本明細書ではこれら挿入物の光軸上の距離については空気換算長を用いる。
【0062】
上記構成の撮像レンズは、撮像レンズの低背化を好適に図るため、次の条件式(27)を満足することが望ましい。
0.50<TTL/(2×ih)<1.40 (27)
但し、
TTL:第1レンズの物体側の面から像面までの光軸上の距離、
ih:撮像素子の像面における最大像高、
とする。
【0063】
上記構成の撮像レンズは、十分に明るい画像を得るため、以下の条件式(28)を満足することが望ましい。
0.35<Dep/ih (28)
但し、
Dep:入射瞳の直径、
ih:撮像素子の像面における最大像高、
とする。
【0064】
本発明の撮像レンズにおいては、第1レンズから第7レンズまでの各レンズを、空気間隔を隔てて配列することが望ましい。単レンズの構成とすることで、全てのレンズをプラスチック材料から形成することが容易になるため、撮像レンズの製造コストを抑制できる。
【0065】
本発明の撮像レンズにおいては、第1レンズから第7レンズまでの各レンズの両面を非球面に形成することが望ましい。すべてのレンズの両面に非球面を形成することで、近軸からレンズ周辺部に亘って諸収差をより良好に補正できる。
【0066】
本発明の撮像レンズは、画角を2ωとしたとき、110°≦2ωを満足することが望ましい。本条件式を満足することにより、撮像レンズの小型化とともに広角化を好適に実現できる。
【発明の効果】
【0067】
本発明によれば、高い解像度を有しながらも諸収差を良好に補正することのできる広角の撮像レンズを提供できる。また、本発明に係る撮像レンズでは諸収差が良好に補正されることからレンズの枚数を抑制でき、レンズ材料の使用量の抑制を通じて環境保護を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】数値実施例1に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す撮像レンズの球面収差、非点収差および歪曲収差を示す収差図である。
【
図3】数値実施例2に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図4】
図3に示す撮像レンズの球面収差、非点収差および歪曲収差を示す収差図である。
【
図5】数値実施例3に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図6】
図5に示す撮像レンズの球面収差、非点収差および歪曲収差を示す収差図である。
【
図7】数値実施例4に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図8】
図7に示す撮像レンズの球面収差、非点収差および歪曲収差を示す収差図である。
【
図9】数値実施例5に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図10】
図9に示す撮像レンズの球面収差、非点収差および歪曲収差を示す収差図である。
【
図11】数値実施例6に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。
【
図12】
図11に示す撮像レンズの球面収差、非点収差および歪曲収差を示す収差図である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
以下、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1、
図3、
図5、
図7、
図9および
図11は、本実施の形態の数値実施例1~6に係る撮像レンズの概略構成を示す断面図である。主に数値実施例1の断面図を参照しながら本実施の形態に係る撮像レンズについて説明する。
【0070】
図1に示すように、本実施の形態に係る撮像レンズは、物体側から像側に向かって順に、負の屈折力を有する第1レンズL1と、第2レンズL2と、正の屈折力を有する第3レンズL3と、正の屈折力を有する第4レンズL4と、第5レンズL5と、正の屈折力を有する第6レンズL6と、負の屈折力を有する第7レンズL7とを有する。第1レンズL1から第7レンズL7までの各レンズは空気間隔を隔てて配列されている。第7レンズL7と撮像素子の像面IMとの間にはフィルタIRが配置されている。このフィルタIRは省略することも可能である。なお、本明細書においては特に言及しない限り、各レンズの屈折力とは、近軸における屈折力を指すものとする。
【0071】
第1レンズL1は、近軸において像側が凹面のメニスカス形状でプラスチック材料から形成されたレンズである。なお、第1レンズL1の形状は、像側の面が近軸において凹面となる形状であればよい。数値実施例6は、近軸において両凹形状の例である。
【0072】
ところで、撮像レンズが組み込まれるカメラの用途によっては、第1レンズL1をガラス材料で形成した方が望ましい場合もある。例えば無人航空機や車両に搭載されるカメラの撮像レンズにおいては、第1レンズL1は外気に触れ、過酷な環境下に晒されるため、耐熱性や耐候性等に優れたガラス材料から形成することが望ましい。
【0073】
第2レンズL2は、正の屈折力を有する。なお、第2レンズL2の屈折力は正に限定されない。数値実施例4~6に係る撮像レンズは、屈折力が負となるレンズ構成の例である。
【0074】
第2レンズL2は、近軸において物体側が凹面のメニスカス形状である。なお、第2レンズL2の形状は、物体側の面が近軸において凹面となる形状であればよい。例えば、近軸において両凹形状でもよい。
【0075】
第3レンズL3は、近軸において物体側が凸面のメニスカス形状である。数値実施例4および5の第3レンズL3は、近軸において両凸形状の例である。なお、第3レンズL3の形状は、近軸において物体側が凹面のメニスカス形状でもよい。本実施の形態に係る撮像レンズにおいては、第3レンズL3の物体側の面に絞りSTを設けている。
【0076】
第4レンズL4は、近軸において両凸形状である。数値実施例5の第4レンズL4は、近軸において物体側が凹面のメニスカス形状の例である。なお、第4レンズL4の形状は、近軸において物体側が凸面のメニスカス形状でもよい。
【0077】
第5レンズL5は、負の屈折力を有する。
【0078】
第5レンズL5は、近軸において像側が凸面のメニスカス形状である。なお、第5レンズL5は、近軸において両凸形状でもよく、近軸において像側が凸面となる形状であればよい。
【0079】
第6レンズL6は、近軸において物体側が凸面のメニスカス形状である。なお、第6レンズL6は、近軸において両凸形状でもよく、屈折力が正となる形状であればよい。
【0080】
第7レンズL7は、近軸において像側が凹面のメニスカス形状である。数値実施例2および3の第7レンズL7は、近軸において両凹形状の例である。また、第7レンズL7の形状は、近軸において物体側が凹面のメニスカス形状でもよい。なお、撮像レンズの小型化や諸収差の良好な補正の観点からは、第7レンズL7は、近軸において像側が凹面であることが望ましい。
【0081】
第6レンズL6の像側の面、および第7レンズL7の像側の面は、変曲点が設けられた非球面である。ここで変曲点とは、曲線上で曲率の符号が変化する点を指し、レンズ面上の曲線で曲がる方向が変わる点を指すものとする。さらに、本実施の形態に係る撮像レンズにおける第6レンズL6の像側の面、および第7レンズL7の像側の面はそれぞれ、極点を有する非球面である。これにより、軸上の色収差のみならず軸外の倍率色収差も良好に補正できるとともに、撮像レンズから出射した光線をCRAの範囲内に好適に抑制できる。なお、要求される光学性能や撮像レンズの小型化または低背化の程度によっては、第6レンズL6の像側の面を変曲点の無い非球面にしてもよい。
【0082】
本実施の形態に係る撮像レンズは、以下に示す条件式(1)~(28)を満足する。
-3.00<f1/f<-1.00 (1)
8.00<|f2|/f<40.00 (2)
-2.50<f12/f<-1.00 (3)
1.00<f3/f<3.00 (4)
0.30<f3/f4<3.00 (5)
0.80<|f6/f5|<4.00 (6)
-5.00<f7/f<-1.00 (7)
2.00<f67/f<10.00 (8)
1.00<f7/f5<2.50 (9)
-2.00<R1r/R2f<-0.40 (10)
0.40<R2f/R2r<1.30 (11)
1.20<R1r/D12<3.50 (12)
-3.50<R2f/D12<-1.20 (13)
1.20<R5r/R5f<4.00 (14)
0.70<T4/T3<1.60 (15)
1.20<T6/T7<4.50 (16)
-35.00<f7/T7<-10.00 (17)
1.00<D45/D56<5.00 (18)
0.15<D67/f<0.55 (19)
νd2<45.0 (20)
45.0<νd3 (21)
45.0<νd4 (22)
νd5<35.0 (23)
35.0<νd6 (24)
νd7<35.0 (25)
1.50<TTL/f<3.00 (26)
0.50<TTL/(2×ih)<1.40 (27)
0.35<Dep/ih (28)
但し、
f:レンズ系全体の焦点距離、
f1:第1レンズL1の焦点距離、
f2:第2レンズL2の焦点距離、
f3:第3レンズL3の焦点距離、
f4:第4レンズL4の焦点距離、
f5:第5レンズL5の焦点距離、
f6:第6レンズL6の焦点距離、
f7:第7レンズL7の焦点距離、
f12:第1レンズL1および第2レンズL2の合成焦点距離、
f67:第6レンズL6および第7レンズL7の合成焦点距離、
R1r:第1レンズL1の像側の面の近軸曲率半径、
R2f:第2レンズL2の物体側の面の近軸曲率半径、
R2r:第2レンズL2の像側の面の近軸曲率半径、
R5f:第5レンズL5の物体側の面の近軸曲率半径、
R5r:第5レンズL5の像側の面の近軸曲率半径
D12:第1レンズL1の像側の面から第2レンズL2の物体側の面までの光軸X上の距離、
D45:第4レンズL4の像側の面から第5レンズL5の物体側の面までの光軸X上の距離、
D56:第5レンズL5の像側の面から第6レンズL6の物体側の面までの光軸X上の距離、
D67:第6レンズL6の像側の面から第7レンズL7の物体側の面までの光軸X上の距離、
T3:第3レンズL3の光軸X上の厚さ、
T4:第4レンズL4の光軸X上の厚さ、
T6:第6レンズL6の光軸X上の厚さ、
T7:第7レンズL7の光軸X上の厚さ、
νd2:第2レンズL2のアッべ数、
νd3:第3レンズL3のアッべ数、
νd4:第4レンズL4のアッべ数、
νd5:第5レンズL5のアッべ数、
νd6:第6レンズL6のアッべ数、
νd7:第7レンズL7のアッべ数、
TTL:第1レンズL1の物体側の面から像面IMまでの光軸X上の距離、
ih:像面IMにおける最大像高、
Dep:入射瞳の直径、
とする。
【0083】
また、本実施の形態に係る撮像レンズは次の条件式を満足する。
110°≦2ω
但し、
ω:半画角、
とする。
【0084】
なお、上記各条件式の全てを満たす必要はなく、上記各条件式のそれぞれを単独に満たすことにより、各条件式に対応する作用効果をそれぞれ得ることができる。
【0085】
本実施の形態に係る撮像レンズは、以下の条件式(1a)~(25a)を満足することにより、より好ましい効果を奏する。
-2.50<f1/f<-1.20 (1a)
10.00<|f2|/f<35.00 (2a)
-2.20<f12/f<-1.20 (3a)
1.20<f3/f<2.60 (4a)
0.50<f3/f4<2.60 (5a)
1.00<|f6/f5|<2.00 (6a)
-4.00<f7/f<-1.20 (7a)
2.50<f67/f<9.00 (8a)
1.20<f7/f5<2.20 (9a)
-1.80<R1r/R2f<-0.60 (10a)
0.50<R2f/R2r<1.20 (11a)
1.40<R1r/D12<3.00 (12a)
-3.20<R2f/D12<-1.40 (13a)
1.40<R5r/R5f<3.20 (14a)
0.80<T4/T3<1.50 (15a)
1.50<T6/T7<4.00 (16a)
-30.00<f7/T7<-12.00 (17a)
1.50<D45/D56<4.00 (18a)
0.20<D67/f<0.50 (19a)
15.0<νd2<45.0 (20a)
45.0<νd3<95.0 (21a)
45.0<νd4<95.0 (22a)
15.0<νd5<35.0 (23a)
35.0<νd6<95.0 (24a)
15.0<νd7<35.0 (25a)
【0086】
上記条件式(1a)~(19a)については、その下限値または上限値として、それぞれ対応する条件式(1)~(19)の下限値や上限値を適用するようにしてもよい。
【0087】
本実施の形態では各レンズのレンズ面を非球面で形成する。これら非球面の非球面式を次式に示す。
【数1】
但し、
Z:光軸方向の距離、
H:光軸に直交する方向の光軸からの距離、
C:近軸曲率(=1/r、r:近軸曲率半径)、
k:円錐定数、
An:第n次の非球面係数、
とする。
【0088】
次に、本実施の形態に係る撮像レンズの数値実施例を示す。基本的なレンズデータを示す各表において、fはレンズ系全体の焦点距離、FnoはFナンバー、ωは半画角、ihは像面IMの最大像高、TTLは第1レンズL1の物体側の面から像面IMまでの光軸X上の距離をそれぞれ示す。また、iは物体側より数えた面番号、rは近軸曲率半径、dは光軸X上の面間距離、ndは基準波長588nmにおける屈折率、νdは当該基準波長におけるアッベ数である。なお、面番号に*(アスタリスク)の符号が付加された面は非球面であることを示す。
【0089】
【0090】
【0091】
図2は、球面収差(mm)、非点収差(mm)および歪曲収差(%)をそれぞれ示す収差図である。非点収差図および歪曲収差図には基準波長(588nm)における収差量を示す。また、非点収差図にあってはサジタル像面(S)およびタンジェンシャル像面(T)をそれぞれ示す(
図4、
図6、
図8、
図10および
図12においても同じ)。
図2に示されるように、本数値実施例1に係る撮像レンズによれば諸収差を良好に補正できる。
【0092】
【0093】
【0094】
図4に示されるように、本数値実施例2に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0095】
【0096】
【0097】
図6に示されるように、本数値実施例3に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0098】
【0099】
【0100】
図8に示されるように、本数値実施例4に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0101】
【0102】
【0103】
図10に示されるように、本数値実施例5に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0104】
【0105】
【0106】
図12に示されるように、本数値実施例6に係る撮像レンズによっても諸収差を良好に補正できる。
【0107】
以上説明したように、本実施の形態に係る撮像レンズによれば、小型および広角であるにも拘わらず諸収差を良好に補正できる。以下、本実施の形態に係る各数値実施例の条件式(1)~(28)に対応する値(条件式対応値)を示す。
【表13】
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明に係る撮像レンズを、カメラ機能を備える製品へ適用した場合、当該カメラの高性能化と小型化の両立を図ることができる。
【符号の説明】
【0109】
X 光軸
ST 絞り
L1 第1レンズ
L2 第2レンズ
L3 第3レンズ
L4 第4レンズ
L5 第5レンズ
L6 第6レンズ
L7 第7レンズ
IR フィルタ
IM 像面