(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156830
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】端末充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20231018BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20231018BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J7/00 303C
H02J7/00 301A
H02J50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066425
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 蒼詩
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB01
5G503GB08
(57)【要約】
【課題】情報読取端末のユーザの利便性を向上するための技術を提供する。
【解決手段】 端末充電システムは、情報を読み取るための情報読取端末と、前記情報読取端末のユーザの手に装着される充電装置と、を備え、前記情報読取端末は、バッテリと、前記情報読取端末の筐体のうち、前記ユーザによって把持される把持部と、前記把持部に配置されている受電部と、を備え、前記充電装置は、前記ユーザが前記把持部を把持している間に、電力源からの電力を前記受電部に送電する送電部であって、前記送電部から前記受電部に送電された前記電力は、前記バッテリに供給される、前記送電部を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を読み取るための情報読取端末と、
前記情報読取端末のユーザの手に装着される充電装置と、
を備え、
前記情報読取端末は、
バッテリと、
前記情報読取端末の筐体のうち、前記ユーザによって把持される把持部と、
前記把持部に配置されている受電部と、を備え、
前記充電装置は、
前記ユーザが前記把持部を把持している間に、電力源からの電力を前記受電部に送電する送電部であって、前記送電部から前記受電部に送電された前記電力は、前記バッテリに供給される、前記送電部を備える、
端末充電システム。
【請求項2】
前記受電部は、非接触電力伝送における受電側のコイルを含み、
前記送電部は、前記非接触電力伝送における送電側のコイルを含む、
請求項1に記載の端末充電システム。
【請求項3】
前記受電部は、複数個の前記コイルを含み、
前記バッテリは、前記複数個のコイルとともに、前記把持部に配置されており、
前記情報読取端末は、さらに、
前記バッテリの温度に基づいて、前記複数個のコイルの中から、前記バッテリに前記電力を供給する対象のコイルを決定する決定部を備える、請求項2に記載の端末充電システム。
【請求項4】
前記決定部は、
前記バッテリの温度が、所定値を上回る場合に、前記複数個のコイルのうちの第1のコイルを前記対象のコイルに決定し、
前記バッテリの温度が、前記所定値を下回る場合に、前記複数個のコイルのうち、前記第1のコイルよりも送電効率の低い第2のコイルを前記対象のコイルに決定する、請求項3に記載の端末充電システム。
【請求項5】
前記決定部は、
前記バッテリの温度が、所定値を上回る場合に、前記ユーザが前記把持部を把持している状況において前記送電部から近い、前記複数個のコイルのうちの第3のコイルを前記対象のコイルに決定し、
前記バッテリの温度が、前記所定値を下回る場合に、前記ユーザが前記把持部を把持している状況において前記送電部から遠い、前記複数個のコイルのうちの第4のコイルを前記対象のコイルに決定する、請求項3に記載の端末充電システム。
【請求項6】
前記複数個のコイルは、間隔を空けて並んでいる、請求項5に記載の端末充電システム。
【請求項7】
前記受電部は、受電側の接点を含み、
前記送電部は、前記受電部の前記接点と接触可能な接点を含む、請求項1に記載の端末充電システム。
【請求項8】
前記把持部と前記充電装置の少なくとも一方に、前記受電部に対する前記送電部の位置を案内するためのガイドが形成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の端末充電システム。
【請求項9】
情報読取端末のユーザの手に装着される充電装置であって、
前記ユーザが前記情報読取端末の把持部を把持している間に、電力源からの電力を、前記把持部に配置されている受電部に送電する送電部であって、前記送電部から前記受電部に送電された前記電力は、前記情報読取端末のバッテリに供給される、前記送電部を備える、充電装置。
【請求項10】
情報を読み取るための情報読取端末であって、
銃型の筐体と、
前記筐体内に配置されているバッテリと、
前記筐体のうち、前記銃型におけるグリップに相当する把持部に配置されている受電部と、
を備え、
前記受電部は、ユーザが前記把持部を把持している間に、前記ユーザの手に装着された充電装置から電力を受電して前記バッテリに供給する、情報読取端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、情報読取端末のバッテリを充電するための端末充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、PDA端末を充電可能なグレードル装置が開示されている。クレードル装置は、載置型の充電台である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PDA端末を利用した作業(例えば倉庫内の作業)を繰り返し行う場合がある。当該作業を継続して行うために、ユーザは、当該作業の合間にPDA端末を充電する。しかし、ユーザは、PDA端末を充電台に何度も置くことを煩わしく感じる。
【0005】
本明細書では、情報読取端末のユーザの利便性を向上するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する端末充電システムは、情報を読み取るための情報読取端末と、前記情報読取端末のユーザの手に装着される充電装置と、を備え、前記情報読取端末は、バッテリと、前記情報読取端末の筐体のうち、前記ユーザによって把持される把持部と、前記把持部に配置されている受電部と、を備え、前記充電装置は、前記ユーザが前記把持部を把持している間に、電力源からの電力を前記受電部に送電する送電部であって、前記送電部から前記受電部に送電された前記電力は、前記バッテリに供給される、前記送電部を備える。
【0007】
上記の構成によれば、ユーザが情報読取端末の把持部を把持している間に、ユーザの手に装着される充電装置から情報読取端末のバッテリに電力が供給される。ユーザが情報読取端末の把持部を把持していることは、ユーザが情報読取端末を利用した作業を行っていることを意味する。ユーザが情報読取端末を利用した作業を行っている間に情報読取端末のバッテリが充電される。ユーザは、作業の合間に情報読取端末を何度も充電台に置く必要がない。情報読取端末のユーザの利便性を向上することができる。
【0008】
前記受電部は、非接触電力伝送における受電側のコイルを含み、前記送電部は、前記非接触電力伝送における送電側のコイルを含んでもよい。
【0009】
例えば、前記受電部が、受電側の接点を含み、前記送電部が、前記受電部の前記接点と接触可能な接点を含む比較例が想定される。この比較例では、露出した接点に異物が付着して送電に悪影響を及ぼす可能性がある。これに対して、非接触電力伝送を利用する構成では、コイルを露出させる必要がなく、異物の影響を抑制することができる。なお、変形例では、上記の比較例の構成を採用してもよい。
【0010】
前記受電部は、複数個の前記コイルを含み、前記バッテリは、前記複数個のコイルとともに、前記把持部に配置されており、前記情報読取端末は、さらに、前記バッテリの温度に基づいて、前記複数個のコイルの中から、前記バッテリに前記電力を供給する対象のコイルを決定する決定部を備えてもよい。
【0011】
バッテリの特性は、バッテリの温度の影響を受ける。バッテリの温度からバッテリの特性を推測可能である。上記の構成によれば、バッテリの特性に基づいて、複数個のコイルの中から対象のコイルを適切に決定することができる。
【0012】
前記決定部は、前記バッテリの温度が、所定値を上回る場合に、前記複数個のコイルのうちの第1のコイルを前記対象のコイルに決定し、前記バッテリの温度が、前記所定値を下回る場合に、前記複数個のコイルのうち、前記第1のコイルよりも送電効率の低い第2のコイルを前記対象のコイルに決定してもよい。
【0013】
バッテリが低温であると、バッテリの内部抵抗が上昇する。上記の構成によれば、バッテリが低温である場合に、送電効率の比較的低い第2のコイルが対象のコイルに決定される。送電効率が低くなるほど、コイルの発熱量が上昇する傾向がある。送電効率の比較的低い第2のコイルを利用することにより、コイルの発熱を利用してバッテリを温めることができる。バッテリの内部抵抗が上昇することを抑制することができる。
【0014】
前記決定部は、前記バッテリの温度が、所定値を上回る場合に、前記ユーザが前記把持部を把持している状況において前記送電部から近い、前記複数個のコイルのうちの第3のコイルを前記対象のコイルに決定し、前記バッテリの温度が、前記所定値を下回る場合に、前記ユーザが前記把持部を把持している状況において前記送電部から遠い、前記複数個のコイルのうちの第4のコイルを前記対象のコイルに決定してもよい。前記複数個のコイルは、間隔を空けて並んでいてもよい。
【0015】
一般的に、受電部と送電部の相対的な距離が大きくなるほど、コイルの発熱量が上昇する傾向がある。上記の構成によれば、送電部から遠い第2のコイルを利用することにより、コイルの発熱を利用してバッテリを温めることができる。バッテリの内部抵抗が上昇することを抑制することができる。
【0016】
前記把持部と前記充電装置の少なくとも一方に、前記受電部に対する前記送電部の位置を案内するためのガイドが形成されていてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、受電部に対する送電部の位置がずれて、バッテリが充電されない事態が発生することを抑制することができる。
【0018】
本明細書は、さらに、情報読取端末のユーザの手に装着される充電装置を開示する。当該充電装置は、前記ユーザが前記情報読取端末の把持部を把持している間に、電力源からの電力を、前記把持部に配置されている受電部に送電する送電部であって、前記送電部から前記受電部に送電された前記電力は、前記情報読取端末のバッテリに供給される、前記送電部を備える。このような充電装置も、上記の端末充電システムと同様に新規で有用である。
【0019】
本明細書は、さらに、情報を読み取るための情報読取端末を開示する。当該情報読取端末は、銃型の筐体と、前記筐体内に配置されているバッテリと、前記筐体のうち、前記銃型におけるグリップに相当する把持部に配置されている受電部と、を備え、前記受電部は、前記情報読取端末のユーザが前記把持部を把持している間に、前記ユーザの手に装着された充電装置から電力を受電して前記バッテリに供給する。このような情報読取端末も、上記の端末充電システムと同様に新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図6】第1実施例について、
図5のVI-VI線の断面図を示す。
【
図8】第3実施例に係る銃型の情報読取端末の概略図を示す。
【
図9】第3実施例に係るコイル決定処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施例)
本実施例の端末充電システムは、銃型の情報読取端末100(
図1、
図2参照)と、手袋型の充電装置200(
図3、
図4参照)と、を備える。
【0022】
(情報読取端末100の構成;
図1、
図2)
情報読取端末100は、情報コード(例えばバーコード)に記録されているデータを読み取るための携帯型の端末である。なお、変形例では、情報読取端末100は、媒体上に記載されている文字に対するOCRを実行して、当該文字をデータに変換する端末であってもよい。また、他の変形例では、情報読取端末100は、記憶媒体(例えばRFIDタグ)に記憶されているデータを読み取るための端末であってもよい。
【0023】
情報読取端末100は、筐体10と、読取部20と、バッテリ22と、受電コイル24と、制御部30と、を備える。読取部20は、情報コードを撮像するためのイメージセンサを含む。読取部20は、例えば、カメラである。変形例では、読取部20は、記憶媒体から情報を読み取るためのリーダ(例えばRFIDリーダ)を含んでもよい。
【0024】
バッテリ22は、情報読取端末100の各部(例えば読取部20)に電力を供給する。受電コイル24は、バッテリ22に電力を供給してバッテリ22を充電する。受電コイル24は、非接触電力伝送における受電側のコイルである。非接触電力伝送は、例えば、Qi(登録商標)に従った方式である。
【0025】
制御部30は、情報読取端末100の各部(例えば読取部20)を制御する。制御部30は、CPU32と、不揮発性メモリなどによって構成されるメモリ34と、を備える。CPU32は、メモリ34に記憶されているプログラム40に従って、各部を制御する。
【0026】
図1に示すように、情報読取端末100の筐体10は、銃型である。筐体10は、銃型におけるグリップに相当する把持部12を有する。読取部20は、筐体10の先端側に配置されている。ユーザは、筐体10の先端側を情報コードに向けることにより、情報コードを読取部20に撮像させる。バッテリ22、受電コイル24、及び、制御部30は、筐体10の内側に配置されている。特に、受電コイル24は、把持部12の内側に配置されている。受電コイル24は、筐体10(即ち把持部12)から露出していない。
【0027】
(充電装置200の構成;
図3、
図4)
充電装置200は、情報読取端末100のバッテリ22を充電するための装置である。充電装置200は、手袋202と、ワイヤ204と、ガイド206と、送電コイル210と、バッテリインターフェース212と、制御部230と、を備える。なお、以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0028】
手袋202は、ユーザの手(例えば右手)に装着される。送電コイル210は、非接触電力伝送における送電側のコイルである。送電コイル210は、手袋202の手の平の側に配置されている。送電コイル210のコイル本体は、樹脂等で覆われており、露出していない。制御部230は、充電装置200の各部(例えば送電コイル210)を制御する。制御部230は、CPU232と、メモリ234と、を備える。CPU232は、メモリ234に記憶されているプログラム240に従って、各部を制御する。制御部230は、手袋202の手の甲の側に配置されている。送電コイル210と制御部230は、ワイヤ204によって接続されている。
【0029】
バッテリI/F212は、制御部230に接続されている。バッテリI/F212には、外部バッテリ250が接続される。外部バッテリ250は、例えば、ユーザのポケット等に収容される。外部バッテリ250は、情報読取端末100のバッテリ22よりも高出力である。
【0030】
外部バッテリ250の電力は、バッテリI/F212、制御部230、及び、ワイヤ204を介して、送電コイル210に供給される。
【0031】
(使用状況;
図5)
ユーザは、充電装置200の手袋202を装着して、情報読取端末100の把持部12を把持する。この場合、受電コイル24と送電コイル210が対面する。ユーザが把持部12を把持している間に、送電コイル210は、外部バッテリ250からの電力を受電コイル24に送電する。送電コイル210から受電コイル24に送電された電力は、情報読取端末100のバッテリ22に供給される。これにより、バッテリ22が充電される。なお、情報読取端末100のバッテリ22は、手袋型の充電装置200だけでなく、例えば、非接触電力伝送をサポートする市販の充電器(例えば机上に置く充電器)を利用して充電可能である。
【0032】
情報読取端末100は、倉庫、店舗、工場、野外等の様々な場所で利用される。例えば、情報読取端末100は、倉庫の搬出作業で利用され、搬出作業は繰り返し行われる。搬出作業を継続して行うために、ユーザは、搬出作業の合間に情報読取端末100を充電する。例えば、情報読取端末100を充電台に置いて情報読取端末100を充電する比較例が想定される。この比較例では、ユーザは、情報読取端末100を充電台に何度も置くことを煩わしく感じる。
【0033】
本実施例の構成によれば、ユーザが情報読取端末100の把持部12を把持している間に、ユーザの手に装着される充電装置200から情報読取端末100のバッテリ22に電力が供給される。ユーザが把持部12を把持していることは、ユーザが情報読取端末100を利用した作業(例えば倉庫の搬出作業)を行っていることを意味する。ユーザが情報読取端末100を利用した作業を行っている間にバッテリ22が充電される。ユーザは、作業の合間に情報読取端末100を何度も充電台に置く必要がない。情報読取端末100のユーザの利便性が向上する。
【0034】
また、例えば、受電コイル24と送電コイル210に代えて、情報読取端末100が、受電側の接点を含み、充電装置200が、情報読取端末100の接点と接触可能な接点を含む比較例が想定される。この比較例では、露出した接点に異物が付着して送電に悪影響を及ぼす可能性がある。これに対して、非接触電力伝送を利用する本実施例では、コイルを露出させる必要がなく、異物の影響を抑制することができる。なお、変形例では、上記の比較例の構成を採用してもよい。
【0035】
(ガイド206の構成;
図6)
充電装置200のガイド206は、充電装置200の送電コイル210に対する把持部12の位置を案内するための凸部である。ガイド206は、手袋202の手の甲の側から外側へと延びている。ガイド206は、送電コイル210の両端に配置されている。
図6に示すように、ユーザが把持部12を把持すると、把持部12が一対のガイド206の内側へと案内される。これにより、受電コイル24と送電コイル210の対面が促される。受電コイル24に対する送電コイル210の位置がずれて、バッテリ22が充電されない事態が発生することを抑制することができる。
【0036】
(対応関係)
情報読取端末100及び充電装置200を備えるシステムが、「端末充電システム」の一例である。情報読取端末100、バッテリ22、筐体10、把持部12、受電コイル24が、それぞれ、「情報読取端末」、「バッテリ」、「筐体」、「把持部」、「受電部」の一例である。充電装置200、外部バッテリ250、送電コイル210、ガイド206が、それぞれ、「充電装置」、「電力源」、「送電部」、「ガイド」の一例である。
【0037】
(第2実施例)
(ガイド12aの構成;
図7)
本実施例は、ガイド206に代えて、ガイド12aが把持部12に形成されている点を除いて、第1実施例と同様である。ガイド12aは、充電装置200の送電コイル210を収容可能な凹部である。
図7に示すように、ユーザが把持部12を把持すると、把持部12のガイド12aの内側に送電コイル210が案内される。これにより、受電コイル24と送電コイル210の対面が促される。受電コイル24に対する送電コイル210の位置がずれて、バッテリ22が充電されない事態が発生することを抑制することができる。ガイド12aが、「ガイド」の一例である。
【0038】
(第3実施例)
(情報読取端末100の構成;
図8)
本実施例は、以下の点を除いて、第1実施例と同様である。本実施例では、情報読取端末100は、1個の受電コイル24に代えて、3個の受電コイル324a~324cを備える。把持部12の内側にバッテリ22が配置される。さらに、情報読取端末100は、バッテリ22の温度を測定する温度センサ22aを備える。なお、受電コイルの個数は、3個に限らず、例えば、2個、4個以上でもよい。
【0039】
3個の受電コイル324a~324cは、把持部12の長手方向に沿って間隔を空けて並んでいる。3個の受電コイル324a~324cのそれぞれは、スイッチ(図示省略)を介して、バッテリ22に接続されている。スイッチは、例えば、半導体スイッチである。また、3個の受電コイル324a~324cのそれぞれには、当該コイルを流れる電流を計測する電流センサ(図示省略)が設けられている。
【0040】
本実施例の制御部30のCPU32は、プログラム40に従って、コイル決定処理(
図9参照)を実行する。コイル決定処理では、CPU32は、バッテリ22の温度に基づいて、3個の受電コイル324a~324cの中から、バッテリ22に電力を供給する1個の受電コイル(以下では「対象のコイル」と記載)を決定する。
【0041】
(コイル決定処理;
図9)
図9の処理は、情報読取端末100の電源がオンされることをトリガとして開始される。
図9の初期状態では、3個の受電コイル324a~324cのスイッチは、全て遮断状態である。
【0042】
S10では、CPU32は、3個の受電コイル324a~324cのいずれかを利用した充電が開始されたのか否かを監視する。具体的には、CPU32は、3個の受電コイル324a~324cのいずれかを流れる電流値が所定の閾値を上回る場合に、充電が開始されたと判断する。CPU32は、充電が開始された場合(S10でYES)に、S12に進む。
【0043】
S12では、CPU32は、3個の受電コイル324a~324cのスイッチを順番に導通させて、3個の受電コイル324a~324cのそれぞれの電流値を取得する。例えば、受電コイル324aの電流値を取得する場合には、受電コイル324aのスイッチが導通され、他の受電コイル324b及び324cのスイッチは遮断される。
【0044】
S14では、CPU32は、温度センサ22aからバッテリ22の現在の温度を取得する。そして、CPU32は、バッテリ22の現在の温度が所定値を上回るのか否かを判断する。ここで、所定値は、比較的低い温度であり、例えば、0度である。CPU32は、バッテリ22の現在の温度が所定値を上回ると判断する場合(S14でYES)に、S16に進む。一方、CPU32は、バッテリ22の現在の温度が所定値を下回ると判断する場合(S14でNO)に、S18に進む。
【0045】
S16では、CPU32は、S12で取得した3パターンの電流値のうち、最も高い電流値を示した受電コイルを対象のコイルに決定する。例えば、ユーザが把持部12を把持している間において、充電装置200の送電コイル210が3個の受電コイル324a~324cのうちの真ん中の受電コイル324bと対面している、
図9のケースを想定する。本ケースにおいて、受電コイル324bが、最も高い電流値を示す。即ち、受電コイル324bの送電効率が、他の受電コイル324a及び324cよりも高い。本ケースでは、CPU32は、受電コイル324bを対象のコイルに決定し、受電コイル324bのスイッチを導通させ、他の受電コイル324a及び324cのスイッチを遮断させる。
【0046】
また、S18では、CPU32は、S12で取得した3パターンの電流値のうち、最も低い電流値を示した受電コイルを対象のコイルに決定する。例えば、
図9のケースにおいて、送電コイル210とは対面せず、送電コイル210から遠い受電コイル324aが、最も低い電流値を示す。即ち、受電コイル324aの送電効率が、他の受電コイル324b及び324cよりも低い。本ケースでは、CPU32は、受電コイル324aを対象のコイルに決定し、受電コイル324aのスイッチを導通させ、他の受電コイル324b及び324cのスイッチを遮断させる。S16又はS18が終了すると、CPU32は、
図9の処理を終了する。
【0047】
例えば、情報読取端末100を利用する作業として冷凍庫内の作業が想定される。冷凍庫内ではバッテリ22の温度は低温である。バッテリ22が低温であると、バッテリ22の内部抵抗が上昇する。バッテリ22の内部抵抗の上昇は、バッテリ22の容量の低下の要因となり得る。
【0048】
本実施例の構成によれば、バッテリが低温である場合(
図9のS14でNO)に、送電効率の比較的低い受電コイル(例えば324a)が対象のコイルに決定される。送電効率が低くなるほど、受電コイルの発熱量が上昇する傾向がある。送電効率の比較的低い受電コイルを利用することにより、受電コイルの発熱を利用してバッテリ22を温めることができる。バッテリ22の内部抵抗が上昇することを抑制することができる。
【0049】
例えば、非接触電力伝送では、受電コイルを流れる電流値が特定の値以上に維持されるように制御される。このため、送電効率が低い場合には、充電装置200は、受電コイルを流れる電流値が特定の値以上となるように、送電コイル210の電磁波の出力を上昇させる。当該電磁波のうち、受電コイルの内側を通過しない電磁波は、送電ロスとなる。送電ロスとなる電磁波が増加することにより、受電コイルの発熱量が上昇する。
【0050】
また、一般に、受電コイルと送電コイル210の相対的な距離が大きくなるほど、送電効率が低下し、コイルの発熱が上昇する傾向がある。本実施例の構成では、CPU32は、電流値が最も低い受電コイル(例えば324a)を送電コイル210から最も遠い受電コイルとして推定して、当該受電コイルを対象のコイルに決定する。なお、変形例では、CPU32は、電流値とは異なる指標を利用して、受電コイルと送電コイル210の相対的な距離を推定してもよい。当該指標は、例えば、把持部12に設けられる接触センサの測定値であってもよい。
【0051】
(対応関係)
制御部30が、「決定部」の一例である。受電コイル324a~324cが、「複数個のコイル」の一例である。受電コイル324bが、「第1のコイル(第3のコイル)」の一例である。受電コイル324aが、「第2のコイル(第4のコイル)」の一例である。
【0052】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0053】
(変形例1) 「筐体」は、銃型に限らず、例えば、一般的なスマートフォンと同様の形状(以下、「スマホ型」と記載)であってもよい。この場合、ユーザは、スマホ型の筐体の背面を手の平の上に置き、指をスマホ型の筐体の両側面に置くことにより、情報読取端末を把持してもよい。本変形例では、筐体の背面及び両側面が、「把持部」の一例である。
【0054】
(変形例2) 「電力源」は、外部バッテリ250に限らず、例えば、商用電源であってもよい。
【0055】
(変形例3) 第1及び第2実施例において、ガイド206及びガイド12aは省略可能である。本変形例では、「ガイド」を省略可能である。
【0056】
(変形例4) 第3実施例において、「バッテリの温度」は、周囲の気温等の他の指標を利用して推定してもよい。
【0057】
(変形例5) 第3実施例において、「送電効率」は、電流値に限らず、受電コイル自体の温度等の他の指標を利用して推定してもよい。
【0058】
(変形例6) 第3実施例において、情報読取端末100は、2個の受電コイル324a及び324bを備えており、2個の受電コイル324a及び324bは、上下(即ち
図8の紙面垂直方向)に重なっていてもよい。この場合、送電コイル210から遠い一番上(即ち前面側)の受電コイル324aの送電効率が低く、送電コイル210に近い一番下(即ち背面側)の受電コイル324bの送電効率が高くてもよい。また、他の変形例では、2個の受電コイル324a及び324bの特性(例えばサイズ、抵抗値等)が異なっていることに起因して、両者の送電効率が異なっていてもよい。
【0059】
(変形例7) 「送電部」は、手の平に限らず、例えば、手の甲、指の先、指の腹等に配置されてもよい。
【0060】
(変形例8) 「充電装置」は、手袋型に限らず、例えば、手の甲と手の平を覆うバンド型であってもよいし、指のみに装着可能な形状であってもよい。
【0061】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0062】
100 :情報読取端末
10 :筐体
12 :把持部
12a :ガイド
20 :読取部
22 :バッテリ
22a :温度センサ
24 :受電コイル
324a~324c:受電コイル
30 :制御部
32 :CPU
34 :メモリ
40 :プログラム
200 :充電装置
202 :手袋
204 :ワイヤ
206 :ガイド
210 :送電コイル
212 :バッテリI/F
230 :制御部
232 :CPU
234 :メモリ
240 :プログラム
250 :外部バッテリ