(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156833
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】携帯端末及び充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/90 20160101AFI20231018BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20231018BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20231018BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20231018BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20231018BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20231018BHJP
H04M 1/737 20060101ALN20231018BHJP
【FI】
H02J50/90
H02J7/00 301D
H02J7/02 V
H02J7/04 C
H02J50/10
H04M1/00 U
H04M1/737
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066430
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐武 優
【テーマコード(参考)】
5G503
5K127
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CB06
5G503EA01
5G503GB08
5K127AA36
5K127BA03
5K127BB07
5K127BB12
5K127CB02
5K127HA11
5K127HA26
5K127JA04
5K127JA25
(57)【要約】
【課題】非接触充電台に特別な報知の機構を備えることなく、非接触充電の現在の状態を報知するための技術を提供する。
【解決手段】本明細書が開示する技術は、非接触充電を実行可能な携帯端末によって具現化される。携帯端末は、携帯端末の姿勢を示す出力値を出力可能なセンサと、携帯端末が非接触充電台に載置されて、携帯端末の非接触充電が開始された後に、センサから第1の出力値を取得する第1の取得部と、取得済みの第1の出力値と、非接触充電台に対する携帯端末の相対的な姿勢の基準を示す基準値との第1の比較結果に基づいて、非接触充電台に載置された携帯端末の非接触充電の状態を判定する第1の判定部と、第1の比較結果に基づいて判定された非接触充電の状態を報知する報知部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触充電を実行可能な携帯端末であって、
前記携帯端末の姿勢を示す出力値を出力可能なセンサと、
前記携帯端末が非接触充電台に載置されて、前記携帯端末の前記非接触充電が開始された後に、前記センサから第1の前記出力値を取得する第1の取得部と、
取得済みの前記第1の出力値と、前記非接触充電台に対する前記携帯端末の相対的な姿勢の基準を示す基準値との第1の比較結果に基づいて、前記非接触充電台に載置された前記携帯端末の前記非接触充電の状態を判定する第1の判定部と、
前記第1の比較結果に基づいて判定された前記非接触充電の状態を報知する報知部と、を備える、携帯端末。
【請求項2】
さらに、前記基準値を記憶するメモリを備える、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
さらに、前記非接触充電台の姿勢を示す情報に基づいて、前記基準値を更新する基準更新部を備える、請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記報知部は、前記第1の比較結果に基づいて、前記非接触充電の状態が異常であることが判定される場合に、前記非接触充電の状態が異常であることを報知し、
前記第1の比較結果に基づいて、前記非接触充電の状態が正常であることが判定される場合に、前記非接触充電の状態は報知されない、請求項2に記載の携帯端末。
【請求項5】
さらに、前記第1の出力値を取得してから所定時間が経過した場合に、前記センサから第2の出力値を取得する第2の取得部と、
前記第2の出力値が取得された場合に、取得済みの前記第2の出力値と前記基準値との第2の比較結果に基づいて、前記非接触充電台に載置された前記携帯端末の前記非接触充電の状態を判定する第2の判定部と、を備え、
前記報知部は、前記第1の比較結果に基づいて前記非接触充電の状態が異常であることが報知された後に、前記第2の比較結果に基づいて前記非接触充電の状態が正常であると判定される場合に、前記非接触充電の状態が異常であることの報知を停止する、請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記基準値は、前記携帯端末が前記非接触充電台に載置されて、前記携帯端末の前記非接触充電が開始された後に、前記第1の出力値より前に前記センサから最初に取得した出力値である、請求項1に記載の携帯端末。
【請求項7】
前記第1の比較結果に基づいて判定された前記非接触充電の状態を報知することは、前記第1の比較結果に基づいて判定された前記非接触充電の状態を示す情報を外部装置に送信することを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項8】
非接触充電を実行可能な携帯端末と、
前記携帯端末の前記非接触充電を実行する非接触充電台と、を備え、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の姿勢を示す出力値を出力可能なセンサと、
前記携帯端末が前記非接触充電台に載置されて、前記携帯端末の前記非接触充電が開始された後に、前記センサから第1の前記出力値を取得する取得部と、
取得済みの前記第1の出力値と、前記非接触充電台に対する前記携帯端末の相対的な姿勢の基準を示す基準値との第1の比較結果に基づいて、前記非接触充電台に載置された前記携帯端末の前記非接触充電の状態を判定する判定部と、
前記第1の比較結果に基づいて判定された前記非接触充電の状態を報知する報知部と、を備える、
充電システム。
【請求項9】
前記携帯端末及び前記非接触充電台のうちの少なくとも一方は、前記携帯端末を前記非接触充電台に案内するガイド部を備える、請求項8に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、携帯端末の非接触充電に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、非接触充電によって携帯端末を充電する充電装置が開示されている。充電装置は、2個の赤外線センサを備える。2個の赤外線センサは、携帯端末が充電装置に適正に配置されていることを検知する。充電装置は、2個の赤外線センサのうちのいずれかのみから検知信号が入力される場合に、携帯端末が充電装置に適正に配置されていないと判断して報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
引用文献1の技術では、充電装置に特別な報知の機構(例えば2個の赤外線センサ)を備える必要がある。本明細書では、非接触充電台に特別な報知の機構を備えることなく、非接触充電の現在の状態を報知するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する技術は、非接触充電を実行可能な携帯端末によって具現化される。携帯端末は、前記携帯端末の姿勢を示す出力値を出力可能なセンサと、前記携帯端末が非接触充電台に載置されて、前記携帯端末の前記非接触充電が開始された後に、前記センサから第1の前記出力値を取得する第1の取得部と、取得済みの前記第1の出力値と、前記非接触充電台に対する前記携帯端末の相対的な姿勢の基準を示す基準値との第1の比較結果に基づいて、前記非接触充電台に載置された前記携帯端末の前記非接触充電の状態を判定する第1の判定部と、前記第1の比較結果に基づいて判定された前記非接触充電の状態を報知する報知部と、を備えてもよい。
【0006】
上述した構成によると、携帯端末が、自身のセンサを利用して、非接触充電の状態を報知する。非接触充電台に特別な報知の機構を備えることなく、非接触充電の状態を報知することができる。
【0007】
上述した携帯端末は、さらに、前記基準値を記憶するメモリを備えてもよい。
【0008】
上述した携帯端末は、さらに、前記非接触充電台の姿勢を示す情報に応じて、前記基準値を更新する基準更新部を備える、備えてもよい。
【0009】
このような構成によると、例えば、非接触充電台が斜面に配置されている場合に、当該斜面の傾斜に応じて、基準値を更新することができる。非接触充電台が斜面に配置されている場合であっても、当該斜面の傾斜が考慮された基準値を利用して、非接触充電の状態を判定することができる。
【0010】
上述した携帯端末では、前記報知部は、前記第1の比較結果に基づいて、前記非接触充電の状態が異常であることが判定される場合に、前記非接触充電の状態が異常であることを報知してもよく、前記第1の比較結果に基づいて、前記非接触充電の状態が正常であることが判定される場合に、前記非接触充電の状態は報知されなくてもよい。
【0011】
このような構成によると、携帯端末の非接触充電の状態が異常であることを、ユーザに認識させることができる。
【0012】
上述した携帯端末では、さらに、前記第1の出力値を取得してから所定時間が経過した場合に、前記センサから第2の出力値を取得する第2の取得部と、前記第2の出力値が取得された場合に、取得済みの前記第2の出力値と前記基準値との第2の比較結果に基づいて、前記非接触充電台に載置された前記携帯端末の前記非接触充電の状態を判定する第2の判定部と、を備えてもよい。その場合、前記報知部は、前記第1の比較結果に基づいて前記非接触充電の状態が異常であることが報知された後に、前記第2の比較結果に基づいて前記非接触充電の状態が正常であると判定される場合に、前記非接触充電の状態が異常であることの報知を停止してもよい。
【0013】
このような構成によると、非接触充電の状態が異常から正常に変化する場合に、非接触充電の状態が異常であることを示す報知が継続することを抑制することができる。
【0014】
上述した携帯端末では、前記基準値は、前記携帯端末が前記非接触充電台に載置されて、前記携帯端末の前記非接触充電が開始された後に、前記第1の出力値より前に前記センサから最初に取得した出力値であってもよい。
【0015】
例えば、ユーザが携帯端末を非接触充電台に適正に載置した後に、外力によって携帯端末の姿勢が変化する場合がある。外力によって携帯端末の姿勢が変化すると、非接触充電の状態が異常となる可能性がある。上記の構成によると、適正な載置における出力値を基準値として利用して、携帯端末の姿勢の変化を判定することができる。
【0016】
上述した携帯端末では、前記第1の比較結果に基づいて判定された前記非接触充電の状態を報知することは、前記第1の比較結果に基づいて判定された前記非接触充電の状態を示す情報を外部装置に送信することを含んでもよい。
【0017】
外部装置に情報を送信することにより、携帯端末及び非接触充電台の双方から離れた場所にいる外部装置のユーザに、非接触充電の前記状態を認識させることができる。
【0018】
本明細書では、非接触充電を実行可能な携帯端末と前記携帯端末の前記非接触充電を実行する非接触充電台とを備える充電システムも開示する。前記携帯端末は、前記携帯端末の姿勢を示す出力値を出力可能なセンサと、前記携帯端末が前記非接触充電台に載置されて、前記携帯端末の前記非接触充電が開始された後に、前記センサから第1の前記出力値を取得する取得部と、取得済みの前記第1の出力値と、前記非接触充電台に対する前記携帯端末の相対的な姿勢の基準を示す基準値との第1の比較結果に基づいて、前記非接触充電台に載置された前記携帯端末の前記非接触充電の状態を判定する判定部と、前記第1の比較結果に基づいて判定された前記非接触充電の状態を報知する報知部と、を備えてもよい。
【0019】
このような構成でも、非接触充電台に特別な報知の機構を備えることなく、非接触充電の状態を報知することができる。
【0020】
上述した充電システムでは、前記携帯端末及び前記非接触充電台のうちの少なくとも一方は、前記携帯端末を前記非接触充電台に案内するガイド部を備えてもよい。
【0021】
非接触充電において、携帯端末と非接触充電台と相対的な位置関係が少しでもずれると、非接触充電の効率が低下する。上記のガイド部は、携帯端末と非触充電台と相対的な位置関係がずれることを抑制する。しかし、ガイド部が有る場合であっても、ユーザの不注意等によりガイド部による案内が機能しない場合がある。上記の構成によれば、ユーザは、非接触充電の状態が報知されることにより、ガイド部による案内が機能しているのか否かを認識することができる。
【0022】
また、上述の携帯端末の制御方法、携帯端末のためのコンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを保存する記憶媒体も、新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図5】第1実施例の携帯端末が実行する異常報知処理のフロー図を示す。
【
図6】第2実施例の携帯端末が実行する異常報知処理のフロー図を示す。
【
図7】第3実施例の携帯端末が実行する異常報知処理のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施例)
(充電システム2の構成;
図1、
図2)
図面を参照して、実施例の充電システム2について説明する。充電システム2は、携帯端末10と非接触充電台4とを備える。携帯端末10は、携帯型の端末装置である。携帯端末10は、矩形の平板形状を有する。携帯端末10は、2次元バーコード等の各種情報コードに記録されたデータを読み取るための情報コード読取装置である。例えば、携帯端末10は、読取対象(例えば、荷物、商品)に付された情報コードに記録された情報を読み取る。変形例では、携帯端末10は、情報コード読取装置に限らず、スマートフォン、タブレットPC、記憶媒体(例えば、ICタグ、RFID(Radio Frequency Identificationの略)タグ)に記憶されている情報を読み取るリーダであってもよい。
【0025】
図1に示すように、ユーザは、携帯端末10を非接触充電台4に載置する。携帯端末10の背面10bが、非接触充電台4の斜面4sと対面する。携帯端末10は、非接触充電に対応する非接触充電台4によって充電される。非接触充電の方式は、例えば、Qi(登録商標)である。なお、
図1、
図2及び
図3には、XYZ座標系が示されている。当該座標系は、携帯端末10を基準として示される。ZY平面は、携帯端末10の正面10fと平行である。Z軸は、携帯端末10の長手方向を示す。Y軸は、携帯端末10の短手方向を示す。X軸は、携帯端末10の正面10fと直交する方向を示す。すなわち、X軸は、携帯端末10の厚み方向を示す。
【0026】
例えば、携帯端末10は、店舗、倉庫等の所定のエリア内で利用される。所定のエリア内での作業(例えば棚卸作業)を継続して行うために、携帯端末10のユーザは、携帯端末10を非接触充電台4に繰り返し載置して、携帯端末10を充電する。
【0027】
(携帯端末10の構成;
図1~
図3)
携帯端末10は、操作部12(
図1では図示省略)と、表示部14と、受電コイル16と、通信インターフェース18と、加速度センサ20と、バッテリ22と、制御部30と、を備える。以下、本明細書では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。
【0028】
操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、複数のキーを操作することにより、様々な指示を携帯端末10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。変形例では、表示部14は、タッチパネル式のディスプレイ(すなわち、操作部12)であってもよい。
【0029】
バッテリ22は、典型的にはリチウムイオンバッテリ等の二次電池である。受電コイル16は、非接触充電における受電側のコイルである。受電コイル16が受電した電力は、バッテリ22に供給される。
【0030】
通信I/F18は、携帯端末10とは異なる外部装置(例えば、読み取られた情報を管理するための端末装置)と通信するためのI/Fである。本実施例では、通信I/F18は、無線通信(例えばWi-Fi(登録商標)に従った通信)を実行可能なI/Fである。なお、変形例では、通信I/F18は有線通信を実行可能なI/Fであってもよい。
【0031】
加速度センサ20は、携帯端末10に内蔵されている。加速度センサ20は、例えば、圧電型センサ、静電容量型センサやピエゾ抵抗型センサ等である。加速度センサ20は、携帯端末10の各方向(すなわち、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向)における加速度を検出して出力する。例えば、携帯端末10が非接触充電台4に載置されて、携帯端末10の非接触充電が開始されると、加速度センサ20は、携帯端末10の各方向における加速度を出力する。加速度センサ20の各方向の出力値は、携帯端末10の姿勢に応じて変化する。加速度センサ20は、携帯端末10の姿勢を示す出力値を出力する。なお、変形例では、加速度センサに代えて、ジャイロセンサを用いてもよい。
【0032】
制御部30は、上記の各部12~26と電気的に接続されている。制御部30は、各部12~26と通信して、各部12~26の動作を制御する。制御部30は、CPU32とメモリ34とを備える。CPU32は、メモリ34内に記憶されているプログラム36に従って、様々な処理を実行する。
【0033】
メモリ34は、RAM、ROMや不揮発性メモリ等を含む。また、メモリ34は、プログラム36に加え、異常加速度範囲を記憶している。異常加速度範囲は、携帯端末10が非接触充電台4によって非接触充電を実行される場合に、非接触充電台4に対する携帯端末10の相対的な姿勢を示す基準値である。異常加速度範囲は、非接触充電台4による携帯端末10の非接触充電が、適正に実行されないと判定するための各方向の値域(Xth、Yth、Zth)を含む。異常加速度範囲は、携帯端末10のサイズ及び形状、携帯端末10の受電コイル16のサイズ及び形状、非接触充電台4のサイズ及び形状、非接触充電台4の送電コイル6のサイズ及び形状、さらには、非接触充電台4の後述するガイド部40のサイズ及び形状等に応じて設定される。異常加速度範囲は、例えば、携帯端末10の製造時に、携帯端末10及び非接触充電台4のベンダによって設定される。異常加速度範囲は、携帯端末10のプログラム36のアップデートに伴い更新されてもよい。なお、変形例では、異常加速度範囲は、携帯端末10の出荷後にユーザによって設定されてもよい。
【0034】
(非接触充電台4の構成;
図1~
図4)
非接触充電台4は、送電コイル6と、電源コード8と、を備える。非接触充電台4のケースには、斜面4sと、ガイド部40と、が設けられる。電源コード8は、商用電源のコンセント(図示省略)に接続される。送電コイル6は、非接触充電における送電側のコイルであり、斜面4sに沿って配置される。送電コイル6は、電源コード8から供給される電力を電磁波に変換して出力する。なお、変形例では、非接触充電台4は、いわゆるコードレスタイプの充電器であってもよく、バッテリを含んでもよい。
【0035】
(ガイド部40の詳細構造;
図4)
図4は、
図2の線IV-IVに沿った断面図であり、非接触充電台4に載置された携帯端末10を、携帯端末10の正面10fに直交する方向から見た正面視を示す。なお、
図4では、携帯端末10の断面を示すハッチングを省略していることに留意されたい。
【0036】
ガイド部40は、底面44と、底面44の両端に位置する一対の突起42R、42Lとを備える。一対の突起42R、42Lは、底面44から上方に向かって延びる。
【0037】
図4の実線で表された携帯端末10は、非接触充電台4に対する携帯端末10の相対的な姿勢が適正であるケースを示す。本ケースでは、携帯端末10が一対の突起42R、42Lの間に載置され、携帯端末10の一対の側面52、54のそれぞれと非接触充電台4の一対の突起42R、42Lとが対面する。そして、携帯端末10の下面50と非接触充電台4の底面44とが当接する。本ケースでは、携帯端末10の受電コイル16の全領域が、非接触充電台4の送電コイル6に対面する。ガイド部40は、非接触充電台4に対する携帯端末10の相対的な位置関係を
図4の実線の通りに案内する。
【0038】
図4の破線で表された携帯端末10は、非接触充電台4に対する携帯端末10の相対的な姿勢が適正でないケースを示す。例えば、
図4の破線で示される携帯端末10mのように、携帯端末10mの下面50mが非接触充電台4の突起42L上に載置されると、携帯端末10mの側面52mは、非接触充電台4の突起42Lと対面しない。携帯端末10mの下面50mと、非接触充電台4の底面44との間に、間隙が生じる。本ケースでは、携帯端末10の受電コイル16mは、非接触充電台4の送電コイル6に対して部分的に対面する。受電コイル16mが送電コイル6に対して部分的に対面すると、受電コイル16mと送電コイル6との間の非接触充電の効率が低下する。非接触充電の効率が低下は、発熱やバッテリ22の劣化の原因となり得る。また、図示は省略したが、例えば、携帯端末10の下面50が、ガイド部40のX軸方向負側(すなわち、
図2の紙面左側)の突起上に載置されると、受電コイル16と送電コイル6とのX軸方向の距離が増加する。その場合も、受電コイル16mと送電コイル6との間の非接触充電の効率が低下し得る。
【0039】
(異常報知処理;
図5)
図5を参照して、携帯端末10の非接触充電中の姿勢を検知し、携帯端末10が非接触充電台4に対して適正に載置されていないことをユーザに報知するための異常報知処理について説明する。異常報知処理は、携帯端末10が非接触充電台4に載置され、携帯端末10のバッテリ22の充電が開始されることをトリガとして実行される。以下の処理は、携帯端末10の制御部30のCPU32が実行するが、ここでは、処理を実行する主体を制御部30として説明する。
【0040】
S2では、制御部30は、加速度センサ20から、第1出力値を取得する。第1出力値は、携帯端末10の現時点の姿勢における各方向の加速度を示す出力値(X1、Y1、Z1)を含む。
【0041】
S4では、制御部30は、S2で取得した第1出力値がメモリ34内の異常加速度範囲内に含まれるか否かを判定する。具体的には、制御部30は、第1出力値に含まれるX軸方向の出力値X1が、異常加速度範囲のうちX軸方向の値域Xtに含まれるのか否かを判定する。制御部30は、第1出力値に含まれるY軸方向の出力値Y1及びZ軸方向の出力値Z1についても、同様に、異常加速度範囲に含まれるのか否かを判定する。
【0042】
制御部30は、第1出力値に含まれるXYZ方向の出力値の少なくとも1個について、当該出力値が異常加速度範囲のうちの対応する方向の値域に含まれると判定する場合(S4でYES)、S10に進む。一方、制御部30は、第1出力値に含まれるXYZ方向の出力値の全てが、異常加速度範囲に含まれないと判定する場合(S4でNO)に、S6に進む。
【0043】
S6では、制御部30は、所定時間の経過を監視する。所定時間が経過する場合(S6でYES)、制御部30は、再びS2に戻り、加速度センサ20から新たな出力値を取得する。
【0044】
また、S10では、制御部30は、携帯端末10が非接触充電台4に対して適正に載置されていないことを示す報知画面を表示部14に出力させる。これにより、携帯端末10の非接触充電の状態が異常であることを、ユーザに認識させることができる。
【0045】
S12では、制御部30は、所定時間の経過を監視する。S12の所定時間は、S6の所定時間と同一でもよいし、異なっていてもよい。所定時間が経過する場合(S12でYES)、制御部30は、S14に進む。
【0046】
S14では、制御部30は、加速度センサ20から、第2出力値を取得する。第2出力値は、携帯端末10の現時点の姿勢における各方向の加速度を示す出力値(X2、Y2、Z2)を含む。
【0047】
S16では、制御部30は、S4と同様に、S14で取得した第2出力値と、メモリ34内の異常加速度範囲とを比較する。制御部30は、第2出力値が異常加速度範囲に含まれると判定する場合(S16でYES)、再びS14に戻り、加速度センサ20から新たな出力値を取得する。すなわち、制御部30は、第2出力値が異常加速度範囲に含まれないと判断するまで、S14、S16の処理を繰り返す。一方、制御部30は、第2出力値が異常加速度範囲に含まれないと判定する場合(S16でNO)、S18に進む。
【0048】
S18では、制御部30は、報知画面の表示を停止して、S6に進む。このように、本実施例の携帯端末10は、加速度センサ20から第1検出値を取得した(S4)後、所定時間が経過した場合(S12でYES)に、加速度センサ20から第2検出値を取得し(S14)、異常加速度範囲と比較する。本実施例では、携帯端末10の非接触充電の状態の変化に応じて、報知を継続または停止することができる。例えば、非接触充電の状態が異常から正常に変化しても報知画面が継続すると、ユーザが非接触充電の状態が異常であると誤って認識する可能性がある。S18により報知画面の表示が継続することを抑制し、ユーザが誤って認識することを抑制することができる。
【0049】
(本実施例の効果)
このように、携帯端末10は、メモリ34内の異常加速度範囲と加速度センサ20の出力値とに基づいて、非接触充電の状態を判定して報知する。本実施例によれば、非接触充電台4に特別な報知の機構を備える必要がない。特に、近年では、加速度センサ20を標準で備える携帯端末10が登場している。非接触充電台4に特別な報知の機構を備えることなく、非接触充電の状態を報知することができる。
【0050】
非接触充電では、携帯端末10と非接触充電台4とが、物理的に接続されない。このため、ユーザは、携帯端末10が非接触充電されているか否かを判断しにくい。例えば、携帯端末10のバッテリ22に流れる電流の電流値を利用して、非接触充電の状態を判定する従来技術が存在する。しかしながら、先に述べたように、携帯端末10のバッテリ22が充電されている場合であっても、受電コイル16と送電コイル6との位置関係がずれると、非接触充電が非効率となり得る。本実施例では、非接触充電の実行中において、非効率な非接触充電が実行されていることをユーザに報知することができる。
【0051】
(対応関係)
加速度センサ20が、「センサ」の一例である。異常加速度範囲(Xth、Yth、Xth)が、「基準値」の一例である。第1出力値(X1、Y1、X1)、第2出力値(X2、Y2、X2)が、それぞれ、「第1の出力値」、「第2の出力値」の一例である。
【0052】
図5のS2の処理、S14の処理が、それぞれ、「第1の取得部」、「第2の取得部」によって実行される処理の一例である。
図5のS4の処理が、S16の処理が、それぞれ、「第1の判定部」、「第2の判定部」によって実行される処理の一例である。
図5のS10の処理が、「報知部」によって実行される処理の一例である。
【0053】
(第2実施例)
図6を参照して、第2実施例について説明する。第2実施例の充電システム2は、第1実施例の充電システム2の同様の構成を有する。第2実施例では、制御部30が実行する異常報知処理の内容の一部が、第1実施例とは異なる。
図6を参照して、第2実施例の異常報知処理について説明する。第2実施例の異常報知処置は、第1実施例の異常報知処理と同様に、携帯端末10のバッテリ22の充電が開始されることをトリガとして実行される。
【0054】
(異常報知処理;
図6)
S20では、制御部30は、加速度センサ20から、第3出力値(X3、Y3、Z3)を取得する。
【0055】
S22では、制御部30は、S20で取得した第3出力値を利用して、メモリ34内の異常加速度範囲の上限値(Xth、Yth、Zth)を更新する。具体的には、制御部30は、まず、非接触充電台4の斜面4sの傾斜角度から算出される各方向の理想加速度値(X0、Y0、Z0)とS20で取得した第3出力値(X3、Y3、Z3)との差分を算出する。理想加速度値は、理想的な水平面に非接触充電台4が配置されている状態で、携帯端末10が非接触充電台4に適正に載置された場合の加速度センサ20の出力値であり、携帯端末10のメモリ34に予め記憶されている。
【0056】
ユーザは、携帯端末10を非接触充電台4に載置する際、注意して携帯端末10を非接触充電台4に対して適正に配置することができる。このため、異常報知処理が開始されてから最初の出力値(すなわち、第3出力値)は、携帯端末10が非接触充電台4に対して適正に配置されている状態の出力値であると推測される。一方で、第3出力値は、非接触充電台4が配置される斜面の傾斜に起因して、理想加速度値とは異なることがある。このため、制御部30は、理想加速度値(X0、Y0、Z0)と第3出力値(X3、Y3、Z3)とを比較することによって、斜面の傾斜に起因して生じる出力値のずれを算出する。
【0057】
次いで、制御部30は、理想加速度値と第3出力値との差分(X0-X3、Y0-Y3、Z0-Z3)を、メモリ34内の異常加速度範囲の上限値(Xth、Yth、Zth)に加えることにより、新たな上限値(Xth+X0-X3、Yth+Y0-Y3、Zth+Z0-Z3)を算出する。制御部30は、算出済みの新たな上限値を、メモリ34に記憶する。これにより、メモリ34内の異常加速度範囲が更新される。このように、携帯端末10は、第3出力値に基づいて、異常加速度範囲を更新する。なお、変形例では、異常加速度範囲の下限値が更新されてもよい。これにより、制御部30は、非接触充電台4が斜面に配置されている場合であっても、当該斜面の傾斜が考慮された異常加速度範囲を利用して、加速度センサ20の出力値が異常加速度範囲に含まれるか否かを判定することができる。なお、S20、S22の処理は、携帯端末10を非接触充電台4に載置した後にユーザから更新指示が入力されることをトリガとして実行されてもよい。また、S20、S22の処理は、非接触充電台4を斜面に固定した後に少なくとも1度実行されればよい。例えば、S20、S22の処理が1度実行された後において、
図6のS20、S22の処理は省略されてもよい。
【0058】
S22の後に実行されるS32~S48の処理は、S34及びS46で利用される異常加速度範囲が更新されていることを除いて、
図5のS4~S18の処理と同様である。なお、S32、S44では、他の処理における出力値との区別のために、序数が変更されていることに留意されたい(例えば「第4出力値」)。本実施例では、第3出力値が、「非接触充電台の姿勢を示す情報」の一例であり、
図6のS22の処理が、「基準更新部」によって実行される処理の一例である。
【0059】
(第3実施例)
図7を参照して、第3実施例について説明する。第3実施例の充電システム2は、携帯端末10がメモリ34内に異常加速度範囲を記憶していないことを除き、第1実施例の充電システム2と同様の構成を有する。第3実施例では、制御部30が実行する異常報知処理の内容の一部が、第1、第2実施例とは異なる。
図7を参照して、第3実施例の異常報知処理について説明する。第3実施例の異常報知処置は、携帯端末10のバッテリ22の充電が開始されることをトリガとして実行される。
【0060】
(異常報知処理;
図7)
S50では、制御部30は、加速度センサ20から、第6出力値(X6、Y6、Z6)を取得する。
【0061】
S52では、制御部30は、S50で取得した第6出力値をメモリ34に記憶する。
【0062】
S62では、制御部30は、加速度センサ20から、第7出力値(X7、Y7、Z7)を取得する。
【0063】
S64では、制御部30は、S52で記憶した第6出力値と、S62で取得した第7出力値とが一致するか否かを判定する。第6出力値と第7出力値とが一致する場合(S64でNO)、S66に進む。第6出力値と第7出力値とが一致しない場合(S64でYES)、S70に進む。
【0064】
S66では、制御部30は、所定時間の経過を監視する。所定時間が経過する場合(S66でYES)、制御部30は、再びS62に戻り、加速度センサ20から新たな出力値を取得する。
【0065】
S70では、制御部30は、携帯端末10が非接触充電台4に対して適正に載置されていないことを示す通知を、通信I/F18を介して、外部装置に送信する。これにより、携帯端末10及び非接触充電台4の双方から離れた場所にいる外部装置のユーザに対して、携帯端末10が非接触充電台4に対して適正に載置されていないことを認識させることができる。
【0066】
S72では、制御部30は、所定時間の経過を監視する。S72の所定時間は、S66の所定時間と同一でもよいし、異なっていてもよい。所定時間が経過する場合(S72でYES)、制御部30は、S76に進む。
【0067】
S76では、制御部30は、S70で外部装置に送信した通知の送信を停止し、その後、S66に進む。例えば、ユーザが携帯端末10を非接触充電台4に適正に載置した後に、外力によって携帯端末10の姿勢が変化する場合がある。外力によって携帯端末10の姿勢が変化すると、非接触充電の状態が異常となる可能性がある。本実施例では、制御部30は、異常報知処理が始まってから最初に取得された第6出力値と、その後に取得された第7出力値とを比較して、携帯端末10の姿勢を判定して、通知を外部装置に送信する(S76)。適正な姿勢からの変化の発生をユーザに認識させることができる。本実施例では、第6出力値、第7出力値が、それぞれ、「最初に取得した出力値」、「第1の出力値」の一例である。
図7のS70で送信される通知が、「非接触充電の状態を示す情報」の一例である。
【0068】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0069】
(変形例1)制御部30は、例えば
図5のS10において、報知画面を表示部14に出力させることに代えて、報知部に報知音を出力させてもよい。さらなる変形例では、例えば
図5のS10において、制御部30は、振動装置を振動させてもよいし、警告灯を点灯してもよい。
【0070】
(変形例2)制御部30は、例えば
図5のS10において、携帯端末10が非接触充電台4に対して適正に配置されていることを示す報知画面を表示部14に出力させてもよい。その場合、メモリ34には、異常加速度範囲に代えて、正常加速度範囲が記憶されていてもよい。また、さらなる変形例では、制御部30は、
図5のS4でNOと判定した場合に、携帯端末10が非接触充電台4に対して適正に配置されていることを示す正常報知画面を表示部14に出力させ、S10では、携帯端末10が非接触充電台4に対して適正に配置されていないことを示す異常報知画面を表示部14に出力させてもよい。上記の正常加速度範囲は、「基準値」の一例である。
【0071】
(変形例3)携帯端末10は、携帯端末10のベンダによって提供される非接触充電台4に限らず、例えば、汎用の非接触充電台でも充電可能である。
図5~
図7の処理は、汎用の非接触充電台の利用時にも実行されてもよい。
【0072】
(変形例4)非接触充電台4は、ガイド部40を備えなくてもよい。本変形例では、例えば、制御部30は、携帯端末10の下面50と非接触充電台4の底面44との間に異物が介入したことに起因して、携帯端末10が非接触充電台4に対して適正に載置されない場合に、報知を実行してもよい。本変形例では、「ガイド部」を省略可能である。
【0073】
(変形例5)第3実施例の制御部30は、
図7のS64において、第7出力値がメモリ34内の第6出力値と一致するか否かを判定することに代えて、第7出力値が第6出力値を基準とする所定の範囲に含まれるか否かを判定してもよい。この場合、制御部30は、第7出力値が所定の範囲に含まれる場合に、S64でYESと判定し、第7出力値が所定の範囲に含まれない場合に、S64でNOと判定してもよい。本変形例では、第6出力値を基準とする所定の範囲が、「基準値」の一例である。
【0074】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0075】
2 :充電システム
4 :非接触充電台
4s :斜面
6 :送電コイル
8 :電源コード
10、10m:携帯端末
10b :背面
10f :正面
12 :操作部
14 :表示部
16、16m:受電コイル
18 :通信インターフェース
20 :加速度センサ
22 :バッテリ
30 :制御部
32 :CPU
34 :メモリ
36 :プログラム
40 :ガイド部
42L、42R:突起
44 :底面
50、50m:下面
52、52m、54:側面