(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156836
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】分離器および組立式分離器
(51)【国際特許分類】
A47J 43/14 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
A47J43/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066437
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000205306
【氏名又は名称】大阪シーリング印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150348
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 太郎
(72)【発明者】
【氏名】村中 成仁
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053CA17
(57)【要約】
【課題】生卵の卵黄と卵白とを容易且つきれいに分離できる分離器および組立式分離器を提供する。
【解決手段】
生卵を卵黄と卵白とに分離する分離器1は、卵黄を収容する収容部30と、収容部30の周囲に設けられる孔20と、を備え、孔は、収容部30側に鋸刃状の凹凸部位21を有する。また、孔20は、長孔状に形成されており、鋸刃状の凹凸部位21は、平面視において、収容部30の周囲に沿って配置され、また、孔20は、2つ設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生卵を卵黄と卵白とに分離する分離器であって、
前記卵黄を収容する収容部と、
前記収容部の周囲に設けられる孔と、を備え、
前記孔は、前記収容部側に鋸刃状の凹凸部位を有する、ことを特徴とする、分離器。
【請求項2】
前記孔は、長孔状に形成されており、
前記凹凸部位は、平面視において、前記収容部の周囲に沿って配置される、請求項1に記載の分離器。
【請求項3】
前記孔は、該分離器に2つ設けられており、
平面視において、前記収容部の中心に対して対称に配置されている、請求項1または2に記載の分離器。
【請求項4】
前記孔は、該分離器に3つ以上設けられており、
平面視において、前記収容部の中心に対して等間隔に配置されている、請求項1または2に記載の分離器。
【請求項5】
円形状の台紙を組み立てて、生卵を卵黄と卵白とに分離する組立式分離器であって、
前記卵黄を収容する収容部と、
前記収容部の周囲に設けられる孔と、
前記台紙の中心部から径方向に伸びる第1切込みと、
前記中心部から径方向に沿って設けられるガイド線と、
を備え、
前記孔は、前記収容部側に鋸刃状の凹凸部位を有し、
前記第1切込みは、舌片状の突部を有し、
前記ガイド線は、第2切込みを有し、
前記第1切込みおよび前記ガイド線がなす角は、所定の鋭角以下であり、
前記第1切込みと前記ガイド線とを重ねて、前記突部を前記第2切込みに差し込むと、円錐状の容器に組み立てられる、ことを特徴とする、組立式分離器。
【請求項6】
前記孔は、長孔状に形成されており、
前記凹凸部位は、平面視において、前記収容部の周囲に沿って配置される、請求項5に記載の組立式分離器。
【請求項7】
前記孔は、該組立式分離器に2つ設けられており、
平面視において、前記中心部に対して対称に配置されている、請求項5または6に記載の組立式分離器。
【請求項8】
前記孔は、該組立式分離器に3つ以上設けられており、
平面視において、前記中心部に対して等間隔に配置されている、請求項5または6に記載の組立式分離器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生卵を卵黄と卵白とに分離する分離器および組立式分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生卵を卵黄と卵白とに分離する分別器(分離器)があった(たとえば、特許文献1)。特許文献1の分離器は、中華鍋状の容器の中央部に、卵黄が半分程度入るサイズの丸い窪みが設けられている。また、丸い窪みの周りには、卵白を排出するための孔が数か所設けられている。
【0003】
特許文献1に記載の分離器を使用する際は、まず、使用者は、卵白を受けるための食器等の上に分離器を設置する。そして、使用者が卵の殻を割って分離器に生卵を落とすと、卵黄は分離器の中央の丸い窪みに入り、卵白は孔から排出されて食器に落ちる。このようにして、使用者は生卵を卵黄と卵白とに分離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の分離器によれば、上記の構成により、生卵を卵黄と卵白とに分離できるとされている。しかしながら、特許文献1の
図1に示されている、分離器の卵黄を収容する窪みは、比較的深く形成されている。このため、卵黄がこの窪みに入り込むように、使用者が生卵を落とし入れた場合、卵白の一部が、卵黄の重みに引きずられて、卵黄と一緒に窪みに入り込む場合があり得る。
【0006】
また、生卵の卵白には、カラザと呼ばれる白いひも状の物体が混ざっており、消費者の中には、このカラザを完全に除去したいと思う者もいる。このため、生卵を卵黄と卵白とに分離する際、カラザが卵黄に付着しないよう、卵白と一緒に卵黄から分離させたいというニーズがある。
【0007】
上記したように、特許文献1の分離器の構成では、卵白の一部が卵黄と一緒に窪みに入り込む場合があり得る。このため、特許文献1の分離器を用いてカラザを除去することは、容易でなはいと考えられる。
【0008】
このように、特許文献1の分離器では、生卵を卵黄と卵白とにきれいに分離し難く、改善の余地がある。
【0009】
かかる課題に鑑み、本発明は、生卵を卵黄と卵白とに容易且つきれいに分離できる分離器およびそのような分離器を容易に組み立てることができる組立式分離器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、生卵を卵黄と卵白とに分離する分離器に関する。本態様に係る分離器は、卵黄を収容する収容部と、前記収容部の周囲に設けられる孔と、を備え、前記孔は、前記収容部側に鋸刃状の凹凸部位を有する。
【0011】
使用者が上記構成の分離器を用いる際、分離器の収容部に向けて生卵を落とす。収容部の周囲に設けられている孔は鋸刃状の凹凸部位を有するため、卵白はこの凹凸部位に引っ掛かり排出される一方、卵黄は収容部に残る。また、鋸刃状の凹凸部位にカラザが引っ掛かり易いため、カラザは卵白と一緒に孔から排出され易い。よって、生卵を卵黄と卵白とに容易且つきれいに分離できる。
【0012】
本態様に係る分離器において、前記孔は、長孔状に形成されており、前記凹凸部位は、平面視において、前記収容部の周囲に沿って配置されるように構成され得る。
【0013】
この構成によれば、孔は長孔状に形成されているため、生卵が収容部に落とされると、卵黄の周りに広がる卵白は孔に入り込み易い。よって、卵白を効率よく排出できる。これにより、分離器は生卵を卵黄と卵白とに容易且つ効率よく分離できる。
【0014】
本態様に係る分離器において、前記孔は、該分離器に2つ設けられており、平面視において、前記収容部の中心に対して対称に配置されるように構成され得る。
【0015】
この構成によれば、卵白を排出するための孔が2つ設けられているため、より効率よく、分離器から卵白を排出できる。また、2つの孔は収容部の中心に対して対称に配置されているため、卵黄の周りに広がる卵白を均等に孔から排出できる。
【0016】
本態様に係る分離器において、前記孔は、該分離器に3つ以上設けられており、平面視において、前記収容部の中心に対して等間隔に配置されるように構成され得る。
【0017】
この構成によれば、卵白を排出するための孔が3つ以上設けられているため、より一層効率よく、分離器から卵白を排出できる。また、複数の孔は収容部の中心に対して等間隔に配置されているため、卵黄の周りに広がる卵白を均等に素早く孔から排出できる。
【0018】
本発明の第2の態様は、円形状の台紙を組み立てて、生卵を卵黄と卵白とに分離する組立式分離器に関する。本態様に係る組立式分離器は、卵黄を収容する収容部と、前記収容部の周囲に設けられる孔と、前記台紙の中心部から径方向に伸びる第1切込みと、前記中心部から径方向に沿って設けられるガイド線と、を備え、前記孔は、前記収容部側に鋸刃状の凹凸部位を有し、前記第1切込みは、舌片状の突部を有し、前記ガイド線は、第2切込みを有し、前記第1切込みおよび前記ガイド線がなす角は、所定の鋭角以下であり、前記第1切込みと前記ガイド線とを重ねて、前記突部を前記第2切込みに差し込むと、円錐状の容器に組み立てられる。
【0019】
この構成によれば、使用者は、上記した分離器を容易に組み立てて使用できる。たとえば、テイクアウト用の商品を取り扱う店において、店員が客に上記構成の組立式分離器(つまり、円形状の台紙)を渡せば、客は外出先で簡単に分離器を組み立てて、この分離器を使って生卵を卵黄と卵白とに分離できる。このように、消費者(店員および客)の利便性が向上する。
【0020】
本態様に係る組立式分離器において、前記孔は、長孔状に形成されており、前記凹凸部位は、平面視において、前記収容部の周囲に沿って配置されるように構成され得る。
【0021】
本態様に係る組立式分離器において、前記孔は、該組立式分離器に2つ設けられており、平面視において、前記中心部に対して対称に配置されているように構成され得る。
【0022】
または、前記孔は、該組立式分離器に3つ以上設けられており、平面視において、前記中心部に対して等間隔に配置されるように構成され得る。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、生卵を卵黄と卵白とに容易且つきれいに分離できる分離器およびそのような分離器を容易に組み立てることができる組立式分離器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1(a)、(b)は、それぞれ、第1実施形態に係る分離器の構成を示す図である。
図1(a)は、第1実施形態に係る分離器の平面図である。
図1(b)は、第1実施形態に係る分離器の側面図である。
【
図2】
図2(a)、(b)は、それぞれ、第1実施形態に係る分離器の使用を説明するための図である。
図2(a)は、第1実施形態に係る分離器を受け皿用の容器に設置するときの様子を示す斜視図である。
図2(b)は、第1実施形態に係る分離器によって生卵が卵黄と卵白とに分離される様子を模式的に示す側面視断面図である。
【
図3】
図3(a)~(c)は、それぞれ、第1実施形態の変更例に係る分離器に関する構成を示す図である。
図3(a)は、変更例1に係る分離器の平面図である。
図3(b)は、変更例2に係る分離器の孔の形状を示す図である。
図3(c)は、変更例3に係る分離器の平面図である。
【
図4】
図4(a)~(c)は、それぞれ、第1実施形態の変更例4~6に係る分離器の容器の形状を示す側面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態に係る組立式分離器の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0026】
<第1実施形態>
図1(a)、(b)は、それぞれ、第1実施形態に係る分離器1の構成を示す図である。
図1(a)は、分離器1の平面図であり、
図1(b)は、側面図である。なお、
図1(b)では、説明の便宜上、孔20は省略されている。
【0027】
本実施形態における分離器1は、生卵を卵黄と卵白とに分離する容器である。
図1(a)、(b)に示すように、分離器1は、平面視における形状は円形状であり、側面視における形状が三角形状である容器10、つまり、円錐状の容器10から構成される。
【0028】
本実施形態では、容器10すなわち分離器1の中心角は大きく設定されている。具体的には、容器1は、中心角が320~345度程度の範囲内に設定される。中心角は、好ましくは、320~335度の範囲内であり、より好ましくは、325~335度の範囲内である。
【0029】
容器10の材質は、生卵を受け入れられる程度の強度を有し、且つ、生卵が染み出さない材質であればとくに限定されない。たとえば、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等の合成樹脂が挙げられる。あるいは、強度および耐水性に優れた紙(厚紙)であってもよい。厚紙の場合、重量が350~400g/m2程度のものを採用でき、350g/m2程度の厚紙が好適に採用できる。
【0030】
図1(a)、(b)に示すように、容器10の周面11には、2つの孔20が形成されている。2つの孔20は、容器10の中心部12に対して対称な位置に配置されており、両者は生卵の卵黄の直径程度、離れている。
【0031】
なお、容器10は円錐状であるから、上記した「容器10の中心部12」は、容器10(すなわち、分離器1)の頂部であり、また、最深部に相当する。
【0032】
上記のとおり、2つの孔20は、生卵の卵黄の直径程度離れている。すなわち、卵黄は、2つの孔20の間に収容される。本実施形態では、容器10の周面11のうち、卵黄が収容される(すなわち、卵黄が載置される)周面部分を、とくに「収容部」と称する(
図1(a)、(b)において破線で囲まれている部分である)。2つの孔20は、この収容部30の周囲に配置されることとなる。
【0033】
孔20の説明に戻る。孔20は、長孔状であり、中心部12側に鋸刃状の凹凸部位21が形成されている。本実施形態では、上記のとおり、2つの孔20は中心部12に対して対称な位置に配置されているため、各孔20に形成される凹凸部位21は、互いに向かい合う。
【0034】
また、長孔状の孔20は、全体的に容器10の周面11に沿って湾曲している。また、凹凸部位21は、孔20の周縁のうち、中心部12側の周縁部であって、端部を除く部位に形成されている。また、本実施形態では、凹凸部位21の凸部は3つ形成されている。
【0035】
[分離器の使用例]
次に、本実施形態の分離器1の使用について、
図2(a)、(b)を参照して説明する。
図2(a)は、分離器1を受け皿用の容器2に設置するときの様子を示す斜視図である。
図2(b)は、分離器1によって生卵が卵黄と卵白とに分離する様子を模式的に示す側面視断面図である。
【0036】
図2(a)に示すように、使用者が分離器1を使用して卵黄と卵白とに分離する際は、分離器1の2つの孔20から排出される卵白を受けるための、受け皿用の容器2の開口部3に分離器1を設置する。容器2は、少なくとも開口部3の面積が容器10より小さければ、形状やサイズ等はとくに限定されない。
【0037】
図2(a)、(b)に示すように、使用者が分離器1を容器2に設置して、容器10の収容部30に向けて生卵を落とすと、卵黄は収容部30に収容され、卵黄の周りの卵白は2つの孔20から排出される。このとき、孔20に鋸刃状の凹凸部位21が設けられているため、この凹凸部位21にカラザが引っ掛かり易い。これにより、カラザは卵白とともに孔20から排出される。このようにして、分離器1は、生卵を卵黄と卵白とにきれいに分離できる。
【0038】
[第1実施形態の効果]
図1(a)~
図2(b)に示すように、分離器1は、中心角の大きい円錐状の容器10により構成されている。その中心角は、320~345度の範囲内となるように形成されている。これにより、容器10の周面11はなだらかな傾斜面となる。このため、生卵を分離器1に落とし入れたとき、卵黄は円形状の形状を崩すことなく収容部30に収容され、卵白は卵黄の周りに広がっていく。そして、広がっていく過程で、卵白は、2つの孔20に捉えられて受け皿用の容器2に排出される。
【0039】
ここで、上記した特許文献1の分離器は、卵黄が収容される窪みの深さが比較的深い。このため、特許文献1の分離器に生卵を落とし入れると、卵黄の重みに引きずられて卵白までも窪みに入り込む場合があると考えられる。
【0040】
これに対し、本実施形態に係る分離器1は、上記の構成を備えるため、収容部30に卵黄を収容することができ、且つ、卵白を収容部30の周囲に配置されている2つの孔20から排出することができる。
【0041】
図1(a)、
図2(b)に示すように、孔20は鋸刃状の凹凸部位21を有する。このため、卵白は凹凸部位21に引っ掛かり易い。とくに、卵黄に付着しているカラザが孔20の凹凸部位21に引っ掛かることにより、カラザが卵黄から分離し、卵白と一緒に孔20から排出される。このように、分離器1は、カラザを卵白と一緒に排出し易くなる。
【0042】
図1(a)に示すように、孔20は長孔状に形成されている。このため、孔20は、卵黄を中心に広がっていく卵白を広範囲に亘って捉え易い。また、孔20は、容器10に2つ設けられている。このため、2つの孔20によって効率よく卵白を捉え、排出することができる。また、孔20を2つ設けると、カラザが孔20に引っ掛かる確率が上がるので、2つの孔20からカラザを卵白と一緒に排出し易い。
【0043】
さらに、孔20は、
図1(a)に示すように、中心部12対して対称に配置されている。このため、2つの孔20は、卵黄を中心に広がっていく卵白を均等に、より効率的に捉えて排出することができる。
【0044】
このように、本実施形態に係る分離器1は、簡単な構成で容易且つきれいに生卵を卵黄と卵白とに分離できる。
【0045】
[変更例]
本実施形態に係る分離器1は、
図1(a)~
図2(b)を参照して説明した構成の他、種々の構成に変更可能である。以下、
図3(a)~
図4(c)を参照して分離器1の変更例1~6について説明する。
【0046】
図3(a)~(c)は、それぞれ、上記実施形態1の変更例1~3に係る分離器1に関する構成を示す図である。
図3(a)は、上記実施形態1の変更例1に係る分離器1の平面図である。
図3(b)は、上記実施形態1の変更例2に係る孔20の形状を示す平面図である。
図3(c)は、上記実施形態1の変更例3に係る分離器1の平面図である。
【0047】
本実施形態に係る分離器1は、孔20が2つ設けられており(
図1(a)参照)、これら2つの孔20は、容器10の中心部12に対して対称に配置されていた。しかしながら、
図3(a)の変更例1に係る分離器1に示すように、中心部12に対して等間隔に3つの孔20が設けられてもよい。この場合、より効率よく卵白を排出できる。また、カラザが孔20に引っ掛かり易くなるため、カラザを卵白と一緒に排出し易くなる。
【0048】
なお、孔20は、4つ以上設けてもよいが、孔20を増やした場合、1つあたりの孔20の長さを短くして、容器10に配置しなければならない。このため、孔20のサイズ、および容器10での配置のバランスを考慮すると、孔20は2つないし3つ程度が好ましい。
【0049】
また、本実施形態に係る分離器1において、孔20の鋸刃状の凹凸部位21には、3つの凸部が形成されている(
図1(a)参照)。しかしながら、鋸刃状の凹凸部位21の凸部は、3つに限られない。たとえば、
図3(b)に示すように、孔20に5つの凸部を有する鋸刃状の凹凸部位22が形成されてもよい。なお、凸部は2つであってもよく、3つ以上であってもよい。また、凹凸のサイズは適宜調整可能である。ただし、孔20の周縁に設けられる点や、卵白およびカラザが引っ掛かり易くなる点から、上記第1実施形態で示したような、凸部が3つとなるように形成された鋸刃状の凹凸部位21が好ましい。
【0050】
また、
図3(c)の変更例3に係る分離器1に示すように、容器10の周縁に把持部13を設けてもよい。この把持部13の形状およびサイズは、容器10のサイズおよび重量に応じて、適宜設計すればよい。このような把持部13を設けることにより、使用者が分離器1を把持し易くなり、利便性が向上する。
【0051】
また、本実施形態に係る分離器1は、
図1(a)、(b)に示すように、円錐状の容器10により構成されていた。しかしながら、容器10の形状は、円錐状に限られない。容器10の形状として、たとえば、
図4(a)~(c)に示すような種々の形状が挙げられる。
【0052】
図4(a)~(c)は、それぞれ、上記実施形態1の変更例4~6に係る分離器1の容器14~16の形状を示す側面図である。
【0053】
図4(a)は、上記実施形態1の変更例4に係る分離器1において、周面が湾曲形状に形成された容器14を示す。この場合、湾曲部分は同一の曲率となるよう形成される。
【0054】
また、
図4(b)は、上記実施形態1の変更例5に係る分離器1における容器15を示す。容器15は、底面15aが略平らな形状であり、底面15aから側面15bにかけて緩やかに湾曲するような形状に構成されている。この場合、卵白が孔20から排出され易いように、底面15aから側面15bに連続する箇所(
図4(b)において破線で示されている箇所である)に、2つ孔20が配置される。このように構成された場合、底面15aが収容部として機能する。
【0055】
なお、
図4(b)では、容器15の形状を分かり易く説明するために、容器15の開口部分から底面15aまで、若干深いように図示されている。実際は、容器15の開口部分と底面15aとはさほど離れていない。
【0056】
また、
図4(c)は、上記実施形態1の変更例6に係る分離器1における容器16を示す。容器16は、略平らな形状の底面16aおよび段部16bを有するように形成されている。この場合、2つの孔20は、段部16bの段面部16cに配置される。このように構成されると、底面16aに卵黄が載置され、卵白は段面部16cに設けられた2つの孔20から排出される。
【0057】
なお、変更例6の容器16は、
図4(c)に示すように、卵白が垂れ落ちないよう、容器16の開口周縁に沿って側壁を設けてもよい。また、
図4(c)では、容器16の形状を分かり易く説明するために、段部16bが大きく図示されているが、実際の段部16bは僅かな段である。このため、卵白が卵黄に引きずられることなく、2つの孔20から排出される。
【0058】
また、上記第1実施形態および変更例に係る分離器1は、生卵の種類やサイズに応じて、容器10、14~16のサイズや重量を適宜設計できる。また、孔20および鋸刃状の凹凸部位21、22のサイズや配置も、生卵の種類やサイズに応じて適宜調整できる。たとえば、一般的な生卵の卵黄と卵白とを分離する際の分離器1としては、
図1(a)において、容器1の中心角は333度程度、中心部12から容器1の周縁までの距離が43mm程度に設定することができる。この場合、
図1(a)において、容器の10の平面視における直径が80mm程度に設定される。
【0059】
<第2実施形態>
近年、たとえば、牛丼チェーン店では、テイクアウト用の商品に生卵を提供することが多くなっている。この場合、生卵を卵黄と卵白とに分離したいという消費者のため、上記第1実施形態に係る分離器1を生卵と併せて提供できれば、上記のような消費者のニーズに応えることができる。しかしながら、分離器1を大量に用意することは、コストや分離器1を保管する場所の確保という点から困難であると考えられる。
【0060】
そこで、第2実施形態では、テイクアウト用の商品に付属され得る組立式分離器4について、
図5を参照して説明する。なお、第1実施形態に係る分離器1と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0061】
図5は、第2実施形態に係る組立式分離器4の構成を示す平面図である。
【0062】
図5に示すように、組立式分離器4は、円形状の台紙40から構成される。台紙40の材質は、生卵を受け入れられる程度の強度を有し、且つ、生卵が染み出さない材質であればとくに限定されない。たとえば、ポリプロピレン等の合成樹脂が挙げられる。あるいは、強度および耐水性に優れた紙(厚紙)であってもよい。厚紙の場合、重量が350~400g/m
2の範囲ものを採用でき、350g/m
2程度の厚紙が好適に採用できる。
【0063】
台紙40には、2つの孔50が形成されている。2つの孔50は、中心部41に対して対称に配置されている。組立式分離器4の使用時に、2つの孔50の間に卵黄が収容できるよう、2つの孔50の間は一般的な卵黄のサイズを想定して離間されている。
【0064】
上記したように、組立式分離器4を組み立てたとき、2つの孔50の間に卵黄が収容される。本実施形態では、台紙40の卵黄が収容される(すなわち、卵黄が載置される)部分を、とくに「収容部」と称する。これは、
図5において破線で囲まれている部分である。2つの孔50は、この収容部60の周囲に配置されることとなる。
【0065】
孔50は、上記第1実施形態に係る分離器1の孔20と同様に、鋸刃状の凹凸部位51が設けられている。孔50および鋸刃状の凹凸部位51の形状や配置に関しては、上記第1実施形態に係る分離器1の孔20および鋸刃状の凹凸部位21と同様であるため、説明を省略する。
【0066】
図5の一点鎖線で示すように、台紙40には、台紙40の中心部41から径方向に向かって切込み70が形成されている。切込み70は直線状であるが、その途中に、舌片状の切込み71が形成されている。つまり、切込み70と舌片状の切込み71とは連続している。なお、上記「切込み70」および「舌片状の切込み71」は、それぞれ、特許請求の範囲に記載の「第1切込み」および「舌片状の突部」に相当する。
【0067】
また、
図5の二点鎖線で示すように、台紙40には、中心部41から径方向にガイド線72が形成されている。ガイド線72は直線状であるが、その途中に、
図5において実線で示されている爪部73が形成されている。つまり、ガイド線72と爪部73とは連続している。なお、上記「爪部73」は、特許請求の範囲に記載の「第2切込み」に相当する。
【0068】
切込み70およびガイド線72は、中心部41に対して所定角度離間して形成されている。切込み70およびガイド線72のなす角は、15~40度の範囲に設定される。中心角は、好ましくは、25~40度の範囲内であり、より好ましくは、25~35度の範囲内である。
【0069】
舌片状の切込み71および爪部73は、切込み70をガイド線72に重ねたとき、舌片状の切込み71が爪部73に差し込んで係止されるような位置に配置される。
【0070】
[組立式分離器の使用例]
次に、本実施形態の組立式分離器4の使用について説明する。
【0071】
使用者は、組立式分離器4の台紙40に形成されている切込み70をガイド線72に重ねて、舌片状の切込み71を爪部73に差し込む。これにより、台紙40は、円錐状に形成される。このときの形状は、上記第1実施形態に係る分離器1の形状と同様である(
図1(a)、(b)参照)。このため、組み立て後の組立式分離器4の中心角は、分離器1と同様に、320~345度程度の範囲内に収まる。
【0072】
分離器1と同様に、使用者は、受け皿用の容器に組立式分離器4を設置して、生卵を組立式分離器4内に落とし入れる(
図2(a)参照)。これにより、収容部60に卵黄が収容されるとともに、2つの孔50から卵白およびカラザが排出される。こうして、使用者は、組立式分離器4を用いて、生卵を卵黄と卵白とに分離できる(
図2(b)参照)。
【0073】
使用後の組立式分離器4は廃棄してもよいし、あるいは、洗浄した後に再び利用してもよい。
【0074】
[第2実施形態の効果]
図5に示すように、組立式分離器4は、舌片状の切込み71を爪部73に差し込むだけで、円錐状の容器が形成される。よって、テイクアウト用の弁当等に付属して提供されると、客は簡単に組み立てて使用することができる。
【0075】
あるいは、店側の方で、予め組立式分離器4を組み立てておき、テイクアウト用の商品を客に渡す際に、組み立てた状態の分離器を客に渡してもよい。
【0076】
また、上記第1実施形態に係る分離器1の効果は、第2実施形態に係る組立式分離器4においても同様の効果を奏する。
【0077】
[変更例]
上記第2実施形態に係る組立式分離器4も、種々の構成に変更可能である。たとえば、上記第1実施形態の変更例3と同様に、台紙40の周縁に把持部13を設けてもよい(
図3(c)参照)。これにより、使用者の利便性が向上する。
【0078】
また、上記第2実施形態に係る組立式分離器4では、切込み線70に舌片状の切込み71が設けられ、ガイド線72に爪部73がそれぞれ設けられていた。舌片状の切込み71および爪部73の組み合わせは1組であったが、2組以上であってもよい。このように構成すると、切込み線70とガイド線72とをより強固に係止することができる。
【0079】
また、上記第1実施形態の変更例1と同様に、組立式分離器4の台紙40に、3つ以上の孔50を設けてもよい(
図3(a)参照)。また、上記第1実施形態の変更例2と同様に、孔50の鋸刃状の凹凸部位51の凸部の数を増やす、あるいは減らしてもよい(
図3(b)参照)。これらの構成についても、上記第1実施形態に係る各変更例と同様の効果を奏する。
【0080】
なお、上記第2実施形態および変更例に係る組立式分離器4は、生卵の種類やサイズに応じて、台紙40のサイズや重量を適宜設計できる。また、孔50および鋸刃状の凹凸部位51のサイズや配置も、生卵の種類やサイズに応じて適宜調整できる。
【0081】
また、上記第1および第2実施形態に係る分離器1、4の説明では、一般的なサイズの生卵(鶏卵)を想定していた。しかしながら、分離器のサイズを調整して、たとえば、うずら卵の卵黄と卵白とを分離するために用いてもよい。
【0082】
また、上記第1および第2実施形態に係る分離器1、4は、生卵に適用する以外に、たとえば、異物が混入している液体に対して用いてもよい。この場合、孔20、50のサイズを小さくして、異物を排出し易くしてもよい。
【0083】
このように、本実施形態に係る分離器1および組立式分離器4は、容易且つきれいに生卵を卵黄と卵白とに分離できる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上説明したように、本発明は、特に、生卵を卵黄と卵白とに分離する際に有用である。
【符号の説明】
【0085】
1 分離器
10 容器
20、50 孔
21、22、51 鋸刃状の凹凸部位
30、60 収容部
40 台紙
70 切込み(第1切込み)
71 舌片状の切込み(舌片状の突部)
72 ガイド線
73 爪部(第2切込み)