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特開2023-156863超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法、及び、超音波診断装置の制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156863
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法、及び、超音波診断装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066490
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 一也
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601DD01
4C601DD10
4C601EE11
4C601JC08
4C601JC16
4C601KK07
4C601KK24
4C601KK25
4C601KK30
4C601KK31
(57)【要約】
【課題】関節不安定症の検査において、関節不安定性を定量化し、客観的な評価を可能にする超音波診断装置を提供すること。
【解決手段】被検体の関節部の不安定症検査に適用される超音波診断装置であって、超音波画像中に映る関節部に接続される互いに隣接した第1骨組織及び第2骨組織上に、第1関心点及び第2関心点を設定する関心点設定部17aと、前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像において、前記第1関心点及び前記第2関心点の位置をトラッキングする関心点追跡部17bと、前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像の各フレームにおける、前記第1関心点と前記第2関心点との間の距離の時間的変化を算出する位置関係解析部17cと、前記検査時における前記距離の時間的変化又はその変化幅を検査結果として出力する検査結果出力部17dと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の関節部の不安定症検査に適用される超音波診断装置であって、
超音波プローブから取得した受信信号に基づいて、前記関節部の超音波画像を生成する超音波画像生成部と、
前記超音波画像中に映る前記関節部に接続される互いに隣接した第1骨組織及び第2骨組織上に、第1関心点及び第2関心点を設定する関心点設定部と、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像において、前記第1関心点及び前記第2関心点の位置をトラッキングする関心点追跡部と、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像の各フレームにおける、前記第1関心点と前記第2関心点との位置関係の時間的変化を解析して、前記第1関心点と前記第2関心点との間の距離の時間的変化を算出する位置関係解析部と、
前記検査時における前記距離の時間的変化又はその変化幅を検査結果として出力する検査結果出力部と、
を備える超音波診断装置。
【請求項2】
前記関心点設定部は、前記超音波画像の画像解析により、前記超音波画像中から前記第1骨組織、前記第2骨組織及び前記関節部の存在領域を検出し、前記第1骨組織上の前記関節部の一端側と隣接する位置に前記第1関心点を設定し、前記第2骨組織上の前記関節部の他端側と隣接する位置に前記第2関心点を設定する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記検査結果出力部は、前記検査中における前記距離の前記時間的変化を、グラフ形式で出力する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記検査結果出力部は、前記超音波画像上に前記関節部の存在領域を示すガイド画像を重畳表示させるとともに、前記距離の前記変化幅の大きさに基づいて当該ガイド画像の表示態様を変化させる、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記検査結果出力部は、前記被検体の左半身側の前記関節部における前記距離の前記時間的変化又は前記変化幅と、前記被検体の右半身側の前記関節部における前記距離の前記時間的変化又は前記変化幅とを比較可能に又はこれらの比較結果を出力する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記検査結果出力部は、前記検査終了後、前記検査中の前記第1関心点と前記第2関心点との間の前記距離が最大となったタイミングにおける前記超音波画像を、前記検査結果と共にモニタ画面内に表示させる、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記検査結果出力部は、前記検査時における前記距離に係る前記変化幅を、前記検査時における前記第1関心点及び/又は前記第2関心点の上下方向への動きの変化幅で除算して正規化して、前記検査結果として出力する、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記関節部は、前記被検体の足関節又は肩関節である、
請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
被検体の関節部の不安定症検査に適用される超音波診断装置の制御方法であって、
超音波プローブから取得した受信信号に基づいて、前記関節部の超音波画像を生成する処理と、
前記超音波画像中に映る前記関節部に接続される互いに隣接した第1骨組織及び第2骨組織上に、第1関心点及び第2関心点を設定する処理と、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像において、前記第1関心点及び前記第2関心点の動きをトラッキングする処理と、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像の各フレームにおける、前記第1関心点と前記第2関心点との位置関係の時間的変化を解析して、前記第1関心点と前記第2関心点との間の距離の時間的変化を算出する処理と、
前記検査時における前記距離の時間的変化又はその変化幅を検査結果として出力する処理と、
を有する超音波診断装置の制御方法。
【請求項10】
被検体の関節部の不安定症検査に適用される超音波診断装置の制御プログラムであって、
超音波プローブから取得した受信信号に基づいて、前記関節部の超音波画像を生成する処理と、
前記超音波画像中に映る前記関節部に接続される互いに隣接した第1骨組織及び第2骨組織上に、第1関心点及び第2関心点を設定する処理と、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像において、前記第1関心点及び前記第2関心点の動きをトラッキングする処理と、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像の各フレームにおける、前記第1関心点と前記第2関心点との位置関係の時間的変化を解析して、前記第1関心点と前記第2関心点との間の距離の時間的変化を算出する処理と、
前記検査時における前記距離の時間的変化又はその変化幅を検査結果として出力する処理と、
を有する超音波診断装置の制御プログラム。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法、及び、超音波診断装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を被検体内部に送信し、その超音波エコーを受信して解析することにより、被検体内の超音波画像(即ち、断層像)を生成する超音波診断装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。超音波診断装置は、特定方向に収束させた超音波を方位方向に対してスキャンすることにより、2次元又は3次元の超音波画像をリアルタイムで取得することができる。そして、超音波診断装置にて超音波画像を時間的に連続して生成することで、被検体の生体部分を動画像観察することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-037472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、超音波診断装置の進歩により、人体の形態的特徴(例えば、筋の発達や萎縮の状態)を観察することが可能になり、かかる超音波診断装置を、関節不安定症の検査に適用することが検討されている。
【0005】
関節不安定症とは、関節捻挫後の治療が不十分であった結果として、靭帯が弛緩し関節に慢性的な不安定性(ぐらつき)がある状態である。かかる関節不安定症は、典型的には、足関節や腕関節において生じやすい。かかる関節不安定症が、例えば、足関節に生じた場合には、繰り返しの捻挫の原因となり、放置すると関節軟骨の損傷や変形性足関節症をもたらすこともある。そのため、医療現場では、関節不安定症の検査にて、関節捻挫後に関節の経過を、評価することが日常的に行われている。
【0006】
図1は、関節不安定症の検査(ここでは、足関節部の検査)の様子を示す図である。図2は、足関節部を撮影した超音波画像の一例を示す図である。
【0007】
関節不安定症は、典型的には、関節部を押圧したときの当該関節部に接続される2つの隣り合った骨組織の動きから、評価することができる。例えば、足関節部の関節不安定症の検査では、足関節部を繰り返し押圧した際に、足関節部(ここでは、前脛距靱帯)に接続される腓骨と距骨とがどのように動くかを観察することになる。尚、足関節部を撮影した超音波画像上では、例えば、前距腓靭帯Rsと、前距腓靭帯Rsを挟んで両側に存在する腓骨Rt1及び距骨Rt2の断層像が観察される(図2を参照)。
【0008】
具体的には、超音波診断装置を用いた関節不安定症の検査(ここでは、足関節部の検査)は、以下のフローで実施される。
ステップS1:検査者は、被検体の足首に超音波プローブを当てる。
ステップS2:検査者は、超音波診断装置本体を操作し、超音波画像の動画取得を開始する。
ステップS3:検査者は、被検体の足首を所定時間間隔(例えば、数秒間隔)で繰り返し押圧する。
ステップS4:検査者は、超音波診断装置本体を操作し、超音波画像の動画取得を終了する。
【0009】
検査者(以下、「ユーザ」と称する)は、通常、このようなフローで取得された超音波画像の動画の中で、足関節部を繰り返し押圧した際に、足関節部がどのように変化するかを観察し、関節不安定症の評価を行っている。
【0010】
ところで、この種の関節不安定症の検査においては、熟練したユーザでなくとも検査を実施し得ることが好ましい。しかしながら、現状、関節の不安定症の評価はユーザの直感に頼った主観的なものとなっており、高い技量と豊富な経験が要求される。そして、それが故に、ユーザ毎に、検査結果のばらつきが生じており、検査結果の信頼性の点で、改善の余地がある。換言すると、関節不安定症の検査において、関節不安定性を定量化し、客観的な評価を可能とすることが望まれる。
【0011】
本開示は、上記問題点に鑑みてなされたもので、関節不安定症の検査において、関節不安定性を定量化し、客観的な評価を可能にする超音波診断装置、超音波診断装置の制御方法、及び、超音波診断装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した課題を解決する主たる本開示は、
被検体の関節部の不安定症検査に適用される超音波診断装置であって、
超音波プローブから取得した受信信号に基づいて、前記関節部の超音波画像を生成する超音波画像生成部と、
前記超音波画像中に映る前記関節部に接続される互いに隣接した第1骨組織及び第2骨組織上に、第1関心点及び第2関心点を設定する関心点設定部と、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像において、前記第1関心点及び前記第2関心点の動きをトラッキングする関心点追跡部と、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像の各フレームにおける、前記第1関心点と前記第2関心点との位置関係の時間的変化を解析して、前記第1関心点と前記第2関心点との間の距離の時間的変化を算出する位置関係解析部と、
前記検査時における前記距離の時間的変化又はその変化幅を検査結果として出力する検査結果出力部と、
を備える超音波診断装置である。
【0013】
又、他の局面では、
被検体の関節部の不安定症検査に適用される超音波診断装置の制御方法であって、
超音波プローブから取得した受信信号に基づいて、前記関節部の超音波画像を生成する処理と、
前記超音波画像中に映る前記関節部に接続される互いに隣接した第1骨組織及び第2骨組織上に、第1関心点及び第2関心点を設定する処理と、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像において、前記第1関心点及び前記第2関心点の動きをトラッキングする処理と、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像の各フレームにおける、前記第1関心点と前記第2関心点との位置関係の時間的変化を解析して、前記第1関心点と前記第2関心点との間の距離の時間的変化を算出する処理と、
前記検査時における前記距離の時間的変化又はその変化幅を検査結果として出力する処理と、
を有する超音波診断装置の制御方法である。
【0014】
又、他の局面では、
被検体の関節部の不安定症検査に適用される超音波診断装置の制御プログラムであって、
超音波プローブから取得した受信信号に基づいて、前記関節部の超音波画像を生成する処理と、
前記超音波画像中に映る前記関節部に接続される互いに隣接した第1骨組織及び第2骨組織上に、第1関心点及び第2関心点を設定する処理と、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像において、前記第1関心点及び前記第2関心点の動きをトラッキングする処理と、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像の各フレームにおける、前記第1関心点と前記第2関心点との位置関係の時間的変化を解析して、前記第1関心点と前記第2関心点との間の距離の時間的変化を算出する処理と、
前記検査時における前記距離の時間的変化又はその変化幅を検査結果として出力する処理と、
を有する超音波診断装置の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本開示に係る超音波診断装置によれば、関節不安定症の検査において、関節不安定性を定量化し、客観的な評価を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】関節不安定症の検査(ここでは、足関節部の検査)の様子を示す図
図2】足関節部を撮影した超音波画像の一例を示す図
図3】第1の実施形態に係る超音波診断装置の外観の一例を示す図
図4】第1の実施形態に係る超音波診断装置の制御系の主要部の構成例を示すブロック図
図5】第1の実施形態に係る制御部の詳細構成の一例を示す図
図6】関心点設定部に設定される、2点の関心点(第1関心点及び第2関心点)の一例を示す図である。
図7】関節不安定症検査時における、2点の関心点(第1関心点及び第2関心点)の挙動の一例を示す図
図8】関節不安定症検査時における、2点の関心点(第1関心点及び第2関心点)間の距離の時間的変化の一例を示す図
図9】第1の実施形態に係る検査結果出力部に出力される関節不安定症検査の検査結果表示の一例を示す図
図10】第1の実施形態に係る制御部の動作フローの一例を示す図
図11】第2の実施形態に係る検査結果出力部に出力される関節不安定症検査の検査結果表示の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
(第1の実施形態)
[超音波診断装置1の全体構成]
以下、図3図4を参照して、本発明の一実施形態に係る超音波診断装置(以下、「超音波診断装置1」と称する)の構成について説明する。
【0019】
図3は、超音波診断装置1の外観の一例を示す図である。図4は、超音波診断装置1の制御系の主要部の構成例を示すブロック図である。
【0020】
超音波診断装置1は、被検体内の形状、性状又は動態を超音波画像として可視化する。本実施形態に係る超音波診断装置1は、例えば、足関節部の超音波画像を撮影し、足関節不安定症の検査を実施する用途に用いられる。
【0021】
超音波診断装置1は、図3に示すように、超音波診断装置本体10及び超音波プローブ20を備える。超音波診断装置本体10と超音波プローブ20とは、ケーブル30を介して接続される。
【0022】
超音波プローブ20は、超音波ビーム(例えば、1~30MHz程度)を被検体(例えば、人体)内に対して送信するとともに、送信した超音波ビームのうち被検体内で反射された超音波エコーを受信して電気信号に変換する音響センサーとして機能する。
【0023】
ユーザは、超音波プローブ20の超音波ビームの送受信面を被検体の関節部の体表に接触させて超音波診断装置1を動作させ、足関節不安定症の検査を行う。尚、超音波プローブ20には、コンベックスプローブ、リニアプローブ、セクタプローブ、又は三次元プローブ等の任意のものを適用することができる。
【0024】
超音波プローブ20は、例えば、マトリクス状に配設された複数の振動子(例えば、圧電素子)と、当該複数の振動子の駆動状態のオンオフを個別に又はブロック単位(以下、「チャンネル」と称する)で切替制御するためのチャンネル切替部(例えば、マルチプレクサ)を含んで構成される。
【0025】
超音波プローブ20の各振動子は、超音波診断装置本体10(送信部12)で発生された電圧パルスを超音波ビームに変換して被検体内へ送信し、被検体内で反射した超音波エコーを受信して電気信号(以下、「受信信号」と称する)に変換し、超音波診断装置本体10(受信部13)へ出力する。
【0026】
超音波診断装置本体10は、図4に示すように、操作入力部11、送信部12、受信部13、超音波画像生成部14、表示画像生成部15、表示部16、及び、制御部17を備える。
【0027】
送信部12、受信部13、超音波画像生成部14及び表示画像生成部15は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の、各処理に応じた専用もしくは汎用のハードウェア(電子回路)で構成され、制御部17と協働して各機能を実現する。
【0028】
操作入力部11は、例えば、診断開始等を指示するコマンド又は被検体に関する情報の入力を受け付ける。操作入力部11は、例えば、複数の入力スイッチを有する操作パネル、キーボード、及びマウス等を有する。尚、操作入力部11は、表示部16と一体的に設けられるタッチパネルで構成されてもよい。
【0029】
送信部12は、制御部17の指示に従って、超音波プローブ20に対して駆動信号たる電圧パルスを送出する送信器である。送信部12は、例えば、高周波パルス発振器、及びパルス設定部等を含んで構成される。送信部12は、高周波パルス発振器で生成した電圧パルスを、パルス設定部で設定した電圧振幅、パルス幅及び送出タイミングに調整して、超音波プローブ20のチャンネルごとに送出する。
【0030】
送信部12は、超音波プローブ20の複数のチャンネルそれぞれにパルス設定部を有しており、複数のチャンネルごとに電圧パルスの電圧振幅、パルス幅及び送出タイミングを設定可能になっている。例えば、送信部12は、複数のチャンネルに対して適切な遅延時間を設定することによって目標とする深度を変更したり、異なるパルス波形を発生させる。
【0031】
受信部13は、制御部17の指示に従って、超音波プローブ20で生成された超音波エコーに係る受信信号を受信処理する受信器である。受信部13は、プリアンプ、AD変換部、及び受信ビームフォーマーを含んで構成される。
【0032】
受信部13は、プリアンプにて、チャンネルごとに微弱な超音波エコーに係る受信信号を増幅し、AD変換部にて、受信信号を、デジタル信号に変換する。そして、受信部13は、受信ビームフォーマーにて、各チャンネルの受信信号を整相加算することで複数チャンネルの受信信号を1つにまとめて、音響線データとする。
【0033】
超音波画像生成部14は、受信部13から受信信号(音響線データ)を取得して、被検体の内部の超音波画像(即ち、断層画像)を生成する。
【0034】
超音波画像生成部14は、例えば、超音波プローブ20が深度方向に向けてパルス状の超音波ビームを送信した際に、その後に検出される超音波エコーの信号強度(Intensity)を時間的に連続してラインメモリに蓄積する。そして、超音波画像生成部14は、超音波プローブ20からの超音波ビームが被検体内を走査するに応じて、各走査位置での超音波エコーの信号強度をラインメモリに順次蓄積し、フレーム単位となる二次元データを生成する。そして、超音波画像生成部14は、当該二次元データの信号強度を輝度値に変換することによって、超音波の送信方向と超音波の走査方向とを含む断面内の二次元構造を表す超音波画像を生成する。
【0035】
尚、超音波画像生成部14は、例えば、受信部13から取得する受信信号を包絡線検波する包絡線検波回路、包絡線検波回路で検出された受信信号の信号強度に対して対数圧縮を行う対数圧縮回路、及び、深度に応じて周波数特性を変化させたバンドパスフィルターで、受信信号に含まれるノイズ成分を除去するダイナミックフィルター等を有していてもよい。
【0036】
超音波画像生成部14は、シネメモリ部(図示せず)を有し、シネメモリ部に、直前数分間に生成した複数の超音波画像(複数のフレーム画像)を動画再生可能なように一時的に記憶させている。
【0037】
表示画像生成部15は、超音波画像生成部14から超音波画像のデータを取得し、超音波画像の表示領域を含む表示画像を生成する。そして、表示画像生成部15は、生成した表示画像のデータを表示部16に送出する。表示画像生成部15は、超音波画像生成部14から新たな超音波画像を取得する毎に表示画像を順次更新し、動画形式で、表示画像を表示部16に表示させる。
【0038】
又、表示画像生成部15は、不安定症検査の際には、制御部17の指示に従って、超音波画像と共に、当該不安定症検査の検査結果を表示した画像を、表示領域内に埋め込んだ表示画像を生成する(図10を参照して後述)。
【0039】
尚、表示画像生成部15は、超音波画像生成部14から出力される超音波画像に対して、座標変換処理やデータ補間処理等の所定の画像処理を施した上で、表示画像を生成してもよい。
【0040】
表示部16は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、又は、CRTディスプレイ等で構成される。表示部16は、制御部17の指示に従って、表示画像生成部15から表示画像のデータを取得し、当該表示画像を表示する。
【0041】
制御部17は、操作入力部11、送信部12、受信部13、超音波画像生成部14、表示画像生成部15及び表示部16を、それぞれの機能に応じて制御することによって、超音波診断装置1の全体制御を行う。
【0042】
制御部17は、演算/制御部17としてのCPU(Central Processing Unit)171、主記憶装置としてのROM(Read Only Memory)172及びRAM(Random Access Memory)173等を有する。ROM172には、基本プログラムや基本的な設定データが記憶される。CPU171は、ROM172から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM173に展開し、展開したプログラムを実行することにより、超音波診断装置本体10の各機能ブロック(送信部12、受信部13、超音波画像生成部14、表示画像生成部15、及び表示部16)の動作を集中制御する。
【0043】
[制御部17の詳細構成]
次に、図5図10を参照して、制御部17の詳細構成について、説明する。尚、ここでは、関節不安定症検査の際に機能する制御部17の構成についてのみ説明する。
【0044】
図5は、制御部17の詳細構成の一例を示す図である。
【0045】
制御部17は、関心点設定部17a、関心点追跡部17b、位置関係解析部17c、及び、検査結果出力部17dを備え、これにより、制御部17は、関節不安定症検査時、略自動的に、検査結果を出力する。
【0046】
図6は、関心点設定部17aに設定される、2点の関心点(第1関心点P1及び第2関心点P2)の一例を示す図である。
【0047】
図7は、関節不安定症検査時における、2点の関心点(第1関心点P1及び第2関心点P2)の挙動の一例を示す図である。図7の左図は、押圧されていない状態(解放状態)における関節部の超音波画像である。図7の右図は、押圧された状態(押圧状態)における関節部の超音波画像である。
【0048】
図8は、関節不安定症検査時における、2点の関心点(第1関心点P1及び第2関心点P2)間の距離L0の時間的変化の一例を示す図である。
【0049】
本願の発明者らは、鋭意検討の結果、関節不安定症検査の際には、関節部(本実施形態では、前脛距靱帯Rs)の不安定性の度合いに応じて、検査者に押圧されたときに当該関節部に接続される両側の骨組織(本実施形態では、腓骨Rt1及び距骨Rt2)が離間する度合いが変化する、という知見を得た。つまり、本願の発明者らは、関節不安定症検査時に、関節部に接続される2つの隣り合った骨組織の間の距離(図7中のL0を参照)がどの程度変化するかに着目することで、関節不安定性の度合いを計る客観的な指標とすることができる、という技術的思想に想到し、当該技術的思想をもとに、関心点設定部17a、関心点追跡部17b、位置関係解析部17c、及び、検査結果出力部17dの構成を設計した。
【0050】
関心点設定部17aは、超音波画像中に描出された関節部Rsに接続される互いに隣接した第1骨組織Rt1及び第2骨組織Rt2上に、第1関心点P1及び第2関心点P2を設定する。本実施形態に係る関心点設定部17aは、超音波画像の画像解析により、超音波画像中から第1骨組織Rt1の存在領域、第2骨組織Rt2の存在領域、及び関節部Rsの存在領域を検出し、例えば、第1骨組織Rt1上の関節部Rsの一端側と隣接する位置に第1関心点P1を設定し、第2骨組織Rt2上の関節部Rsの他端側と隣接する位置に第2関心点P2を設定する。
【0051】
超音波画像中から第1骨組織Rt1の存在領域、第2骨組織Rt2の存在領域、及び関節部Rsの存在領域を検出する手法としては、典型的には、公知のパターンマッチングであり、例えば、学習済みのニューラルネットワーク(例えば、畳み込みニューラルネットワーク)やテンプレートマッチングを用いた処理等が挙げられる。
【0052】
尚、関心点設定部17aが関心点P1、P2を設定する位置は、第1及び第2骨組織Rt1、Rt2の移動態様を認識可能とする位置であればよく、第1及び第2骨組織Rt1、Rt2と関節部Rsの境界付近であってもよい。
【0053】
尚、超音波画像中における第1関心点P1及び第2関心点P2の位置は、ユーザの入力操作によって設定されてもよいが、画像解析によって、自動設定される態様とするのが好ましい。これによって、ユーザが、超音波画像上で、関節部Rsが接続する互いに隣接した第1骨組織Rt1及び第2骨組織Rt2それぞれの領域を確認して、第1骨組織Rt1及び第2骨組織Rt2上の適切な位置に(例えば、関節の両端位置)、第1関心点P1及び第2関心点P2を設定する、という作業を省略することが可能である。即ち、これによって、ユーザの利便性の向上を図ることができ、且つ、より正確な不安定性評価を実施することが可能となる。
【0054】
関心点追跡部17bは、関節不安定症検査中に生成された動画形式の超音波画像において、第1骨組織Rt1上の第1関心点P1、及び第2骨組織Rt2上の第2関心点P2の位置をトラッキングする。
【0055】
関心点追跡部17bは、例えば、第1関心点P1を中心とする所定サイズの第1関心領域(テンプレート)を設定すると共に、第2関心点P2を中心とする所定サイズの第2関心領域(テンプレート)を設定する。そして、関心点追跡部17bは、例えば、公知のパターンマッチングによって、各フレーム中における、第1関心領域及び第2関心領域の存在位置を特定する。これにより、関心点追跡部17bは、各フレーム中における、第1関心点P1の位置及び第2関心点P2の位置を特定する。尚、第1関心点P1の位置及び第2関心点P2の位置は、例えば、超音波画像中における座標位置として特定される。
【0056】
位置関係解析部17cは、例えば、関心点追跡部17bに特定された、関節不安定症検査中に生成された動画形式の超音波画像の各フレームにおける、第1関心点P1と第2関心点P2との位置関係の時間的変化を解析して、第1関心点P1と第2関心点P2との間の距離L0の時間的変化を算出する。即ち、位置関係解析部17cは、各フレームにおける第1関心点P1の座標と第2関心点P2の座標から、各フレームにおける第1関心点P1と第2関心点P2との間の距離L0(以下、「関心点間距離L0」とも称する)を算出し、この結果を時間軸と対応付けて出力する(例えば、図8を参照)。
【0057】
検査結果出力部17dは、関節不安定症検査時における第1関心点P1と第2関心点P2との間の距離L0の時間的変化又はその変化幅を検査結果として出力する。そして、検査結果出力部17dが出力する検査結果は、例えば、表示画像生成部15に入力され、表示画像生成部15が生成する表示画像内に反映されて、表示部16の表示画面上に表示される。
【0058】
図9は、検査結果出力部17dに出力される関節不安定症検査の検査結果表示の一例を示す図である。図9では、表示画像Rall中に、断層画像表示領域Raと共に、関節不安定症検査時における関心点間距離L0の時系列データがグラフ形式で表示された領域Rbが表示された態様を示している。
【0059】
検査結果出力部17dは、例えば、図9に示すように、関心点間距離L0の時系列データのグラフ表示として、関節不安定症検査の検査結果を、ユーザに通知するのが好ましい(図9のRb領域を参照)。これによって、ユーザは、関節不安定症検査で被検体の関節部を押圧した際の関節部の挙動を把握することが可能となる。又、これにより、ユーザは、被検体の関節部に対する押圧にあわせた関節部の動きの連動性を把握することが可能となるため、その連動態様から、関節部のより詳細な状態についての示唆を得ることも可能である。
【0060】
尚、検査結果出力部17dは、関心点間距離L0の時系列データのグラフ表示を行う際には、超音波画像の取得を開始した時点から、超音波画像が取得される毎に、逐次データを更新するように、当該グラフ表示を行ってもよい。これにより、ユーザは、リアルタイムで関心点間距離L0の変化の挙動を把握することができる。この際には、検査結果出力部17dは、例えば、図9の断層画像表示領域Raに、その時々で生成された超音波画像をリアルタイムで表示する。
【0061】
又、検査結果出力部17dは、関節不安定症検査が終了した際には、関心点間距離L0の時系列データから求まる関節不安定症検査中における関心点間距離L0の変化幅(即ち、関心点間距離L0の最大値と最小値の間の幅)(図8のΔL0)を、ユーザに通知するのが好ましい(図9の表示領域Rb2を参照)。これによって、ユーザは、客観的な数値として、関節不安定症検査の検査結果を得ることが可能である。
【0062】
この際、検査結果出力部17dは、例えば、ユーザの操作入力により、超音波画像の取得された時点を検査開始タイミングとし、超音波画像の取得が終了された時点を検査終了タイミングとして、関節不安定症検査中における関心点間距離L0の変化幅を算出する。但し、検査結果出力部17dは、ユーザが、関節不安定症検査で被検体の関節部を繰り返し押圧する中で、関心点間距離L0の時系列データから関心点間距離L0の周期的挙動が検出されることを待ち受け、かかる関心点間距離L0の周期的挙動が検出された場合に、その周期的挙動のうちで、関節不安定症検査中における関心点間距離L0の変化幅を算出してもよい。検査結果出力部17dが関心点間距離L0の周期的挙動を検出する手法としては、自己相関演算又は周波数解析(例えば、FFT解析)等、任意である。
【0063】
又、検査結果出力部17dは、関節不安定症検査が終了した際には、図9の断層画像表示領域Raには、関心点間距離L0が最大となったタイミングにおける超音波画像を、表示部16に表示させるのが好ましい。これによって、ユーザは、最も関節部が伸びきった状態の超音波画像を、すぐに閲覧することが可能であり、当該超音波画像からも関節部の状態を確認することが可能である。
【0064】
又、検査結果出力部17dは、関節不安定症検査中又は関節不安定症検査終了後に表示部16に表示させる超音波画像上には、関節部の存在領域を示すガイド画像を重畳表示させるとともに、関心点間距離L0の変化幅の大きさに基づいて当該ガイド画像の表示態様を変化させるのが好ましい(図9の断層画像表示領域Raに重畳表示されたガイド画像Ra1を参照)。例えば、検査結果出力部17dは、関心点間距離L0の変化幅が所定の基準値(例えば、関節不安定性の正常状態と異常状態とを判別するための基準値)以上の場合には、ガイド画像を赤色で表示し、関心点間距離L0の変化幅が所定の基準値未満の場合には、ガイド画像を青色で表示する。
【0065】
尚、検査結果出力部17dは、関節不安定症検査時における関心点間距離L0の変化幅ΔL0を、関節不安定症検査時における第1関心点P1及び/又は第2関心点P2の上下方向への動き(即ち、超音波画像上の深度方向への動き)の変化幅で除算して正規化した後、検査結果として出力するのが好ましい。これは、関節不安定症検査の際に、検査者が被検体の関節部を押圧する力は、検査の度毎に、変化する傾向にあるためである。この点、検査者が被検体の関節部を押圧する力は、関節不安定症検査時における第1関心点P1及び/又は第2関心点P2の上下方向への動きの変化幅によって、推定可能である。即ち、関節不安定症検査時における関心点間距離L0の変化幅ΔL0を、関節不安定症検査時における第1関心点P1及び/又は第2関心点P2の上下方向への動きの変化幅で除算した値を検査結果とすることで、検査者が被検体の関節部を押圧する力に依存しないより客観的な関節不安定性の指標を検査結果とすることができる。
【0066】
[制御部17の動作フロー]
図10は、本実施形態に係る制御部17の動作フローの一例を示す図である。図10の動作フローは、例えば、超音波診断装置1の動作モード選択画面において、ユーザにより、関節不安定症検査モードが選択された際に制御部17により実行される処理である。
【0067】
ステップS11において、制御部17は、超音波画像生成部14に生成された超音波画像を取得する
【0068】
ステップS12において、制御部17は、超音波画像内における、関節部Rsと、当該関節部Rsが接続する第1骨組織Rt1及び第2骨組織Rt2を検出する
【0069】
ステップS13において、制御部17は、第1骨組織Rt1上に第1関心点P1を設定すると共に、第2骨組織Rt2上に第2関心点P2を設定する。
【0070】
ステップS14において、制御部17は、関節不安定症検査中に生成された動画形式の超音波画像において、第1関心点P1及び第2関心点P2の位置を追跡する。
【0071】
ステップS15において、制御部17は、関節不安定症検査中に生成された動画形式の超音波画像において、第1関心点P1及び第2関心点P2の2点間の距離L0の時間的変化を算出する。
【0072】
ステップS16において、制御部17は、第1関心点P1及び第2関心点P2の2点間の距離L0の時間的変化を、表示画像生成部15に出力し、例えば、第1関心点P1及び第2関心点P2の2点間の距離L0の時間的変化のグラフを、超音波画像生成部14に生成され逐次更新される超音波画像と共に、表示部16の表示画面上に表示する(図9を参照)。
【0073】
制御部17は、関節不安定症検査モード中、このようなステップS11~ステップS16を繰り返し実行する。そして、関節不安定症検査が終了した際には、検査中における、第1関心点P1及び第2関心点P2の2点間の距離L0の変化幅を、表示部16の表示画面上に表示する(図9を参照)。
【0074】
[効果]
以上のように、本実施形態に係る超音波診断装置1は、
超音波プローブから取得した受信信号に基づいて、前記関節部の超音波画像を生成する超音波画像生成部14と、
前記超音波画像中に映る前記関節部に接続される互いに隣接した第1骨組織及び第2骨組織上に、第1関心点及び第2関心点を設定する関心点設定部17aと、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像において、前記第1関心点及び前記第2関心点の位置をトラッキングする関心点追跡部17bと、
前記検査中に生成された動画形式の前記超音波画像の各フレームにおける、前記第1関心点と前記第2関心点との位置関係の時間的変化を解析して、前記第1関心点と前記第2関心点との間の距離の時間的変化を算出する位置関係解析部17cと、
前記検査時における前記距離の時間的変化又はその変化幅を検査結果として出力する検査結果出力部17dと、
を備えている。
【0075】
従って、本実施形態に係る超音波診断装置1によれば、被検体の関節部の不安定性を定量的に確認することが可能となる。即ち、これにより、関節不安定症検査において、主観による評価を排し、より客観的な評価を行うことができる。
【0076】
(第2の実施形態)
本実施形態に係る超音波診断装置1は、検査結果出力部17dが、被検体の左半身側の関節部Rsにおける関心点間距離L0の時間的変化又は変化幅と、被検体の右半身側の関節部Rsにおける関心点間距離L0の時間的変化又は変化幅とを比較可能に又はこれらの比較結果を出力する点で、第1の実施形態と相違する。
【0077】
図11は、本実施形態に係る検査結果出力部17dに出力される関節不安定症検査の検査結果表示の一例を示す図である。
【0078】
関節不安定症の検査では、被検体の左半身側の関節部と、被検体の右半身側の関節部との両方に対して、同様の検査を行い、その際に得られた関節部の不安定性の左右での相違から、主たる検査対象の側の関節部の評価を行うことで、より検査結果の信頼性を高めることが可能である。
【0079】
即ち、被検体の関節部の動きは、一般に、個体差を有するが、同一の被検体の左足関節の動きと右足関節の動きとを比較することによって、正常状態の関節の動きと、捻挫等が生じている側の関節の動きとを正確に比較することが可能である。
【0080】
かかる観点から、本実施形態に係る検査結果出力部17dは、図10に示すように、例えば、関心点間距離L0の時系列データのグラフ表示領域Rbにおいて、被検体の左足関節部における関心点間距離L0-leftの時間的変化と、被検体の右足関節部における関心点間距離L0-rightの時間的変化と、を表示する。尚、検査結果出力部17dは、例えば、ユーザの操作入力により、被検体の左足関節部の関節不安定症検査が実施された際の検査結果、及び、被検体の右足関節部の関節不安定症検査が実施された際の検査結果をそれぞれ識別可能にタグ付けし、かかるデータに基づいて、両者を比較可能に出力する。
【0081】
以上のように、本実施形態に係る超音波診断装置1は、より信頼性の高い関節不安定症検査の検査結果を出力し得る点で、有用である。
【0082】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本開示に係る超音波診断装置によれば、関節不安定症の検査において、関節不安定性を定量化し、客観的な評価を行うことが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1 超音波診断装置
10 超音波診断装置本体
11 操作入力部
12 送信部
13 受信部
14 超音波画像生成部
15 表示画像生成部
16 表示部
17 制御部
17a 関心点設定部
17b 関心点追跡部
17c 位置関係解析部
17d 検査結果出力部
20 超音波プローブ
30 ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11