(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156871
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】表示制御装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20231018BHJP
B60R 1/28 20220101ALI20231018BHJP
【FI】
H04N7/18 V
B60R1/28
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066500
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】道口 将由
(72)【発明者】
【氏名】辻 祐亮
(72)【発明者】
【氏名】江川 直孝
(72)【発明者】
【氏名】大洞 路夫
(72)【発明者】
【氏名】岡部 吉正
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 政喜
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054EA01
5C054EA05
5C054FC12
5C054FD03
5C054FE06
5C054FE23
5C054FF03
5C054GB13
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】使用感をより向上させた表示制御装置を提供すること。
【解決手段】表示制御装置は、車両の周辺を撮影する複数の車載カメラにより撮影された各画像に基づいて車両の周囲を示す3次元画像を生成し、その画像に基づいて表示装置に表示させる表示画像を出力する画像生成部と、表示装置に表示された表示画像をユーザが操作した位置に応じてユーザの指示を判定する指示判定部と、指示判定部が判定したユーザの指示に基づいて3次元画像の生成に関わる視点パラメータを変更する視点変更部と、を有する。指示判定部は、表示画像に、異なる視点パラメータに対応する複数の領域を設定し、ユーザが操作した位置が複数の領域のうちのどの領域に属するかに基づいてユーザの指示を判定する。視点変更部は、ユーザの指示に応じて視点パラメータを変更する。指示判定部は、変更後の3次元画像における複数の領域を設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影する複数の車載カメラにより撮影された各画像に基づいて、前記車両の周囲を示す3次元画像を生成し、前記3次元画像に基づいて、表示装置に表示させる表示画像を出力する画像生成部と、
前記表示装置に表示された前記表示画像をユーザが操作した位置に応じて前記ユーザの指示を判定する指示判定部と、
前記指示判定部が判定した前記ユーザの指示に基づいて前記3次元画像の生成に関わる視点パラメータを変更する視点変更部と、を有し、
前記指示判定部は、前記表示画像に、異なる視点パラメータに対応する複数の領域を設定し、
前記指示判定部は、前記ユーザが操作した位置が前記複数の領域のうちのどの領域に属するかに基づいて前記ユーザの指示を判定し、
前記視点変更部は、前記ユーザの指示に応じて前記視点パラメータを変更し、
前記指示判定部は、変更後の前記3次元画像における前記複数の領域を設定する、
表示制御装置。
【請求項2】
前記複数の領域は、
それぞれの面積が予め定められた閾値以上となるように設定される、
請求項1に記載の表示制御装置。
【請求項3】
前記複数の領域において隣接する領域同士の境界線は、前記ユーザの操作を受け付けない不感領域に設定されており、
前記指示判定部は、
前記ユーザが前記不感領域を操作した場合、前記ユーザの指示を判定しない、
請求項1または2に記載の表示制御装置。
【請求項4】
前記ユーザが前記不感領域を操作しない場合、前記境界線および前記不感領域を表示せず、前記ユーザが前記不感領域を操作した場合、前記境界線または前記不感領域を表示する、
請求項3に記載の表示制御装置。
【請求項5】
車両の周辺を撮影する複数の車載カメラにより撮影された各画像に基づいて、前記車両の周囲を示す3次元画像を生成し、前記3次元画像に基づいて、表示装置に表示させる表示画像を出力する画像生成部と、
前記表示装置に表示された前記表示画像の上でユーザの操作により指定された方向に応じて前記ユーザの指示を判定する指示判定部と、
前記指示判定部が判定した前記ユーザの指示に応じて前記3次元画像の生成に関わる視点パラメータを変更する視点変更部と、を有し、
前記指示判定部は、異なる視点パラメータに対応する複数の基準方向を設定し、
前記指示判定部は、前記ユーザの操作により指定された方向が前記複数の基準方向のうちのどの基準方向に近いかを判定し、
前記視点変更部は、前記指示判定部が判定した結果に基づいて、前記視点パラメータを変更し、
前記指示判定部は、変更後の視点に応じて前記3次元画像における前記複数の基準方向を設定する、
表示制御装置。
【請求項6】
前記複数の基準方向は、
互いの角度差が予め定められた閾値以上になるように設定される、
請求項5に記載の表示制御装置。
【請求項7】
車両の周辺を撮影する複数の車載カメラにより撮影された各画像に基づいて、前記車両の周囲を示す3次元画像を生成し、前記3次元画像に基づいて、表示装置に表示させる表示画像を出力する画像生成部と、
前記表示装置に表示された前記3次元画像においてユーザのスワイプが行われた場合、当該スワイプの位置と、当該スワイプの操作量または操作速度のいずれか一方とに基づいて、視点パラメータを変更する視点変更部と、を有する、
表示制御装置。
【請求項8】
前記視点変更部は、前記ユーザの指示に応じて前記視点パラメータを変更する際に、前記視点パラメータの変更前の視点と前記ユーザが指示した視点とを結ぶ線の上で、所定の1または複数の範囲に限定して視点を連続的に変更する、
請求項1から7のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項9】
前記視点パラメータの変更が行われてから所定の時間が経過するまでは、前記ユーザの操作を受け付けない不感時間帯に設定されており、
前記不感時間帯において前記ユーザの操作が行われた場合、前記ユーザの指示は判定されない、
請求項1から8のいずれか1項に記載の表示制御装置。
【請求項10】
前記不感時間帯において、前記視点パラメータの変更前の前記3次元画像をフェードアウトさせるか、または、前記視点パラメータの変更後の前記3次元画像をフェードインさせるか、いずれか一方、または両方を行う
請求項9に記載の表示制御装置。
【請求項11】
前記不感時間帯において、前記視点パラメータの変更前の前記3次元画像と、前記視点パラメータの変更後の前記3次元画像とのブレンド比を連続的に変える、
請求項9に記載の表示制御装置。
【請求項12】
前記不感時間帯において、前記視点パラメータの変更前の前記3次元画像の輝度を低下させるか、または、前記視点パラメータの変更後の前記3次元画像の輝度を増加させる、
請求項9に記載の表示制御装置。
【請求項13】
前記不感時間帯において、前記視点パラメータの変更前の前記3次元画像の透明度を増加させ、前記視点パラメータの変更後の前記3次元画像の透明度を低下させる、
請求項9に記載の表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の周囲を示す画像の表示を制御する表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周辺を撮影する複数の車載カメラから出力される画像に基づいて、仮想視点から見た車両とその周囲を示す3次元画像を生成し、表示する技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、仮想視点の高さが同じで位置が異なる複数の基準仮想視点と対応付けられた複数のボタンおよび合成画像(3次元画像)を画面に表示させる表示制御手段と、画面に表示された合成画像の仮想視点の位置を変更させるための、ユーザ操作を検出する検出手段と、を備え、生成手段は、複数のボタンの操作により選択された基準仮想視点から見た合成画像を生成し、ユーザ操作に基づいて、合成画像の仮想視点の位置を変更することを特徴とする画像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザが操作したボタンに応じて合成画像の視点の位置を変更する方式では、視点を移動する方向とボタンの関係とが直感的に結びつかないことがあり、使用感(フィーリング)が良くないという課題があった。
【0006】
本開示の一態様の目的は、使用感をより向上させた表示制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る表示制御装置は、車両の周辺を撮影する複数の車載カメラにより撮影された各画像に基づいて、前記車両の周囲を示す3次元画像を生成し、前記3次元画像に基づいて、表示装置に表示させる表示画像を出力する画像生成部と、前記表示装置に表示された前記表示画像をユーザが操作した位置に応じて前記ユーザの指示を判定する指示判定部と、前記指示判定部が判定した前記ユーザの指示に基づいて前記3次元画像の生成に関わる視点パラメータを変更する視点変更部と、を有し、前記指示判定部は、前記表示画像に、異なる視点パラメータに対応する複数の領域を設定し、前記指示判定部は、前記ユーザが操作した位置が前記複数の領域のうちのどの領域に属するかに基づいて前記ユーザの指示を判定し、前記視点変更部は前記ユーザの指示に応じて前記視点パラメータを変更し、前記指示判定部は、変更後の前記3次元画像における前記複数の領域を設定する。
【0008】
本開示の一態様に係る表示制御装置は、車両の周辺を撮影する複数の車載カメラにより撮影された各画像に基づいて、前記車両の周囲を示す3次元画像を生成し、前記3次元画像に基づいて、表示装置に表示させる表示画像を出力する画像生成部と、前記表示装置に表示された前記表示画像の上でユーザの操作により指定された方向に応じて前記ユーザの指示を判定する指示判定部と、前記指示判定部が判定した前記ユーザの指示に応じて前記3次元画像の生成に関わる視点パラメータを変更する視点変更部と、を有し、前記指示判定部は、異なる視点パラメータに対応する複数の基準方向を設定し、前記指示判定部は、前記ユーザの操作により指定された方向が前記複数の基準方向のうちのどの基準方向に近いかを判定し、前記視点変更部は、前記指示判定部が判定した結果に基づいて、前記視点パラメータを変更し、前記指示判定部は、変更後の視点に応じて前記3次元画像における前記複数の基準方向を設定する。
【0009】
本開示の一態様に係る表示制御装置は、車両の周辺を撮影する複数の車載カメラにより撮影された各画像に基づいて、前記車両の周囲を示す3次元画像を生成し、前記3次元画像に基づいて、表示装置に表示させる表示画像を出力する画像生成部と、前記表示装置に表示された前記3次元画像においてユーザのスワイプが行われた場合、当該スワイプの位置と、当該スワイプの操作量または操作速度のいずれか一方とに基づいて、視点パラメータを変更する視点変更部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、使用感をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施の形態に係る車両を真上から見た模式図
【
図2】本開示の実施の形態に係る表示システムおよび表示制御装置の構成を示すブロック図
【
図3】本開示の実施の形態に係る表示制御装置に含まれるコンピュータのハードウェア構成を示す模式図
【
図4】本開示の実施の形態に係る3次元画像の第1の例を示す模式図
【
図5】本開示の実施の形態に係る3次元画像の第2の例を示す模式図
【
図6】本開示の実施の形態に係る3次元画像の第3の例を示す模式図
【
図7】本開示の実施の形態に係る複数の領域の例を示す模式図
【
図8】本開示の実施の形態に係る複数の領域の別の例を示す模式図
【
図9】本開示の実施の形態に係る表示制御装置の動作の流れを示すフローチャート
【
図10】本開示の変形例1に係る複数の領域の分割例を示す模式図
【
図11】本開示の変形例1に係る複数の領域の別の分割例を示す模式図
【
図12】本開示の変形例2に係る不感領域を示す模式図
【
図13】本開示の変形例3に係る第1のエフェクト処理のイメージを示す模式図
【
図14】本開示の変形例3に係る第2のエフェクト処理のイメージを示す模式図
【
図15】本開示の変形例3に係る第3のエフェクト処理のイメージを示す模式図
【
図16】本開示の変形例4に係る視点変更の例を示す模式図
【
図17】本開示の変形例5に係る3次元画像上における視線および操作方向を示す模式図
【
図18】本開示の変形例6に係る3次元画像上における操作方向を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において共通する構成要素については同一の符号を付し、それらの説明は適宜省略する。
【0013】
まず、本実施の形態の車両Vについて、
図1を用いて説明する。
図1は、車両Vを真上から見た模式図である。なお、本実施の形態では、車両Vが乗用車である場合を例に挙げて説明するが、車種は乗用車に限定されない。
【0014】
車両Vは、車両Vの周辺を撮影する複数の車載カメラを有する。具体的には、
図1に示すように、車両Vは、車両Vの前方(前方の路面を含む)を撮影する前方カメラ11、車両Vの後方(後方の路面を含む)を撮影する後方カメラ12、車両Vの左方(左方の路面を含む)を撮影する左方カメラ13、車両Vの右方(右方の路面を含む)を撮影する右方カメラ14を有する。これらのカメラは、それぞれ、路面を撮影する俯角をつけて設けられている。また、各カメラの視野角は、190度以上あり、4つのカメラで車両Vの全周囲を撮影することが可能である。
【0015】
なお、本実施の形態では、車載カメラの搭載数が4つである場合を例に挙げて説明したが、車載カメラの搭載数はこれに限定されない。また、車載カメラの搭載位置は、
図1に示す位置に限定されない。例えば、視野角が45度程度の側後方監視用カメラを加えて、合計6つの車載カメラの撮影画像から表示画像を合成してもよい。
【0016】
図1に示すように、車両Vは、タッチパネル20および表示制御装置100を有する。
【0017】
タッチパネル20は、例えば車室内に設けられ、ユーザ(例えば、車両Vの乗員)による種々の操作を受け付けるとともに、種々の画像を表示する入出力デバイスである。タッチパネル20は、操作受付装置であり、かつ、表示装置であると言える。
【0018】
表示制御装置100は、上述した車載カメラで撮影された画像に基づいて3次元画像(詳細は後述)を生成し、それをタッチパネル20に表示させるコンピュータである。表示制御装置100は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)によって実現される。図示は省略するが、表示制御装置100は、上述した車載カメラおよびタッチパネル20のそれぞれと電気的に接続されている。表示制御装置100の詳細については、
図2以降を用いて後述する。
【0019】
以上、車両Vについて説明した。
【0020】
次に、本実施の形態の表示システム1および表示制御装置100の構成について、
図2を用いて説明する。
図2は、本実施の形態の表示システム1および表示制御装置100の構成例を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、表示システム1は、撮像部10、タッチパネル20、および表示制御装置100を含んで構成される。なお、表示システム1は、「車両周辺監視装置」と呼んでもよい。
【0022】
撮像部10は、上述した車載カメラ(すなわち、
図1に示した前方カメラ11、後方カメラ12、左方カメラ13、右方カメラ14)に相当する。
【0023】
図2に示すように、表示制御装置100は、画像取得部110、画像生成部120、指示判定部130、視点変更部140を有する。なお、
図2は車両周辺監視装置の物理的構成やパーツの個数、あるいは、機能的な包含関係を限定するものではない。例えば、タッチパネル20は複数個あってもよいし、指示判定部130は視点変更部140の一機能として取り込まれていてもよい。
【0024】
また、表示制御装置100は、
図3に示すように、ハードウェアとして、例えば、CPU(Central Processing Unit)501、コンピュータプログラムを格納したROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503を有する。CPU501、ROM502、およびRAM503は、バス504を介して接続されている。
【0025】
本明細書で説明する表示制御装置100の各機能は、CPU501がROM502から読み出したコンピュータプログラムを実行することにより実現される。また、このコンピュータプログラムは、所定の記録媒体に記録されて、または、ネットワークを介して、ユーザ等に提供されてもよい。
【0026】
画像取得部110は、撮像部10から撮影画像(具体的には、前方カメラ11で撮影された前方画像、後方カメラ12で撮影された後方画像、左方カメラ13で撮影された左方画像、および、右方カメラ14で撮影された右方画像)を取得し、その撮影画像に対して画質改善のための画像処理(例えば、歪み補正等)を施す。
【0027】
画像生成部120は、上記画像処理が施された撮影画像に基づいて3次元画像を生成し、3次元画像を基にした表示画像を出力する。タッチパネル20は表示画像を表示し、ユーザは表示画像を見る事により車両周辺を監視できる。
【0028】
表示画像は、例えば、車両Vを立体的に表す車両像(以下、単に車両像という)を、撮影画像から生成した車両Vの周囲を立体的に表す画像に重畳して合成した画像であり、車両Vとその周囲を仮想的な視点(以下、単に視点という)から斜めに見下ろしたイメージを示す画像である。この、撮影画像に基づいて生成した車両Vの周囲を立体的に表す画像を3次元画像と呼んでよいし、これに車両像を加えたものを3次元画像と呼んでもよい。また、撮影画像に基づいて生成した3次元画像は表示画像の主たる部分を占めているので、表示制御装置100は、表示画像として3次元画像を出力する、と言ってもよい。車両の周辺の像や車両像は、視点に近い部分は表示画像上で大きくなり、視点から遠い部分は表示画像上で小さくなるので、3次元画像は、この視点の位置に応じて見え方が異なる。
【0029】
本実施の形態(および後述の変形例)でいう視点とは、例えば、車両Vを中心とした周囲にあり、かつ、車両Vよりも少し高い位置にある視点であるとする。よって、視点の表記としては、例えば「右前方かつ上方」となるが、どの視点にも「上方」は共通するので、以下では、「上方」との表記を省略する。
【0030】
ここで、3次元画像の例について、
図4~
図8を用いて説明する。
図4~
図6は、それぞれ、3次元画像の各例を示す模式図である。
図7、
図8は、3次元画像に設定される複数の領域の分割例を示す模式図である。
【0031】
図4の3次元画像は、車両Vの右前方の視点から車両Vを見下ろしたイメージを示す画像である。
図5の3次元画像は、車両Vの真後ろの視点から車両Vを見下ろしたイメージを示す画像である。
図6の3次元画像は、車両Vの左後方の視点から車両Vを見下ろしたイメージを示す画像である。
【0032】
図4~
図6に示す車両像Aは、撮影画像に基づく画像ではなく、車両Vの三次元モデル(例えばポリゴンモデル)から合成した画像である。なお、車両Vの三次元モデルから二次元の車両像Aを合成する過程は、リアルタイムに実行する必要は無く、予め表示制御装置100の外で実行してもよい。例えば、車外のコンピュータ上で合成した視点が各々異なる多数の車両像Aを、予め画像生成部120に記憶させておいて、視点変更部140が選択した視点に応じて、多数の車両像Aのうち一つを選択するように構成してもよい。一方、
図4~
図6において、車両像Aの周囲には、上述した撮影画像に基づいて、車両Vの周囲のリアルタイムの画像(例えば、撮影時に車両Vの周囲に存在している建物、他車両、人等を示す画像)が表示される。
【0033】
また、
図4~
図6に示すように、3次元画像には、複数の領域(1)~(9)が設定されている。領域(9)は、車両像Aが表示される領域である。(9)の周囲にある領域(1)~(8)には、車両Vの周囲の画像が表示される。また、領域(1)~(8)は、互いに異なる視点に対応している。
【0034】
領域(1)~(9)の設定の一例を
図7に示す。
図7は、領域(1)~(9)を真上から見た模式図である。
図7に示すように、領域(1)~(8)を区切る各境界線(以下、単に境界線という)は、領域(9)の中央を中心として放射状に設定されている。隣り合う境界線同士が成す角度は、例えば45度である。
【0035】
このように設定された領域(1)~(9)は、実際に3次元画像がタッチパネル20に表示される際には、
図4~
図6に示すように、3次元画像(視点と言ってもよい)毎に、領域(1)~(9)の位置や面積が変化する。これによって、ユーザは、遠近感を感じることができる。
【0036】
なお、
図4~
図6に示した領域を示す番号(括弧書きの1~9)は、タッチパネル20に表示されない。一方、境界線は、タッチパネル20において、表示されてもよいし、表示されなくてもよい。例えば、境界線は、3次元画像の表示開始時から所定時間(例えば数秒)が経過するまでの間だけ、タッチパネル20に表示されてもよいし、タッチした時だけ境界線を表示する様にしてもよいし、タッチした位置が境界線に近い場合だけ境界線を表示する様にしてもよい。境界線を表示しなければ、車両周辺画像の視認を妨げないし、タッチした時や指が境界線に掛かった時に表示すると、次にタッチする時に確実に判定される位置をタッチ出来る様になる。
【0037】
また、ここでは、3つの視点にそれぞれ対応した3つの3次元画像を例に挙げて説明したが、他の視点に対応した3次元画像も生成されるとする。
【0038】
また、ここでは、領域の数が9つである場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
【0039】
また、ここでは、
図7に示すように境界線が放射状に設定される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、
図8に示すように、境界線は、水平線と垂直線とで構成されてもよい。この場合でも、実際に3次元画像がタッチパネル20に表示される際には、3次元画像(視点)毎に、領域(1)~(9)の位置や面積が変化する。
【0040】
また、ここでは、3次元画像には車両像Aが含まれる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、3次元画像は撮影画像に基づいて生成した画像だけであってもよいし、車両像Aの代わりに、車両Vの向きを示す別の画像(例えば、矢印を表す画像等)を加えたものを3次元画像としてもよい。また、3次元画像を出力画像と言い換えてもよい。
【0041】
以上、3次元画像の例について説明した。以下、
図2の説明に戻る。
【0042】
指示判定部130は、タッチパネル20に所定の3次元画像が表示されているときに、ユーザによって視点の変更を指示する操作(以下、視点変更操作という)が行われた場合、指示された視点の位置を判定する。3次元画像を生成する時、視点の他に、視点を起点として見る方向を示す視線方向を特定する必要がある。この、視点と視線方向を含めて、視点パラメータと呼ぶ事にする。また、視線は方向を意味するので、視線方向を単に視線と呼んでもよい。3次元画像を生成する際は、車両Vを中心とした車両周辺の画像を表示画像として出力するので、視線を常に車両Vに向けるとよい。この事を前提にすると、視点を決めれば視線は一意に決まるので、視点パラメータは視点の情報だけあればよい事になる。また、視点が車両Vを中心とする同心円上にある事を更に前提として加えると、視線を決めれば視点が一意に決まるので、視点パラメータは視線の情報だけでもよい事になる。よって、指示判定部130は、指示された視点パラメータを判定する、と言い換えても良く、この視点パラメータは、視点であってもよいし、視線であってもよい。
【0043】
本実施の形態では、ユーザは、タッチパネル20に表示中の3次元画像における所望の位置を指などでタッチすること(視点変更操作の一例)により、視点の変更指示を行うことができる。例えば、タッチパネル20に
図4の3次元画像が表示されているときに(視点が車両Vの右前方であるときに)、ユーザが、視点を車両Vの真後ろに変更したい場合には、
図4の3次元画像上の領域(5)をタッチする。そして、指示判定部130は、タッチパネル20からの検出信号(タッチされた位置を示す信号)に基づいて、タッチされた位置が領域(5)に属すると判定し、指示された視点が車両Vの真後ろであると判定する。
【0044】
視点変更部140は、3次元画像の視点を、指示判定部130によって判定された視点に変更し、変更後の視点に対応する3次元画像をタッチパネル20に表示させる。また、このとき、視点変更部140は、変更後の視点に応じて、3次元画像における複数の領域(具体的には、位置や面積)を変更する。
【0045】
例えば、表示中の3次元画像が
図4の3次元画像であり、指示判定部130により判定された視点が車両Vの真後ろである場合、視点変更部140は、視点を車両Vの右前方から真後ろへ変更し、その視点から見た
図5の3次元画像を出力する。これにより、タッチパネル20には、
図5の3次元画像が表示される。また、このとき、視点変更部140は、
図4に示した領域(1)~(8)についても、指示判定部130により判定された視点から見た画像(1)~(8)を変更する。すなわち、
図4の領域(1)~(8)の位置や面積を、
図5に示した領域(1)~(8)の位置や面積に変更する。
【0046】
なお、本実施の形態では、説明を明確にするため、画像取得部110、画像生成部120、指示判定部130、視点変更部140という4つの構成要素により表示制御装置100の機能が実現される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、画像生成部120は、画像取得部110の機能を兼ね備えてもよいし、視点変更部140は、指示判定部130の機能を兼ね備えてもよい(後述する各変形例においても同様)。
【0047】
以上、本実施の形態の表示システム1および表示制御装置100の構成について説明した。
【0048】
次に、
図9を用いて、表示制御装置100の動作について説明する。
図9は、表示制御装置100の動作の流れを示すフローチャートである。
【0049】
図9に示すフローチャートは、例えば、タッチパネル20に3次元画像が表示されていない状態のときに、ユーザによって3次元画像の表示を指示する操作が行われた場合に開始される。また、その際、画像取得部110は、撮像部10から撮影画像を取得し、所定の画像処理を実行するものとする。
【0050】
まず、画像生成部120は、第1の視点を決定する(ステップS1)。
【0051】
この第1の視点は、予め設定された視点でもよいし、前回表示されていた3次元画像の視点でもよい。
【0052】
次に、画像生成部120は、画像取得部110により画像処理された撮影画像に基づいて、第1の視点に対応する3次元画像を生成し、タッチパネル20へ出力する(ステップS2)。これにより、タッチパネル20には、第1の視点に対応する3次元画像が表示され、ユーザはそれを視認可能となる。
【0053】
次に、指示判定部130は、タッチパネル20からの検出信号の有無に基づいて、表示中の3次元画像上においてユーザによる視点変更操作が行われたか否かを判定する(ステップS3)。具体的には、指示判定部130は、表示中の3次元画像上において位置の指定が行われたか否かを判定する。
【0054】
視点変更操作が行われていない場合(ステップS3:NO)、フローは終了する。なお、視点変更操作が行われていない場合、ステップS3は、視点変更操作が行われるまで繰り返されてもよい。
【0055】
一方、視点変更操作が行われた場合(ステップS3:YES)、指示判定部130は、指定された位置が属する領域を判定する(ステップS4)。
【0056】
そして、指示判定部130は、ステップS5で判定された領域に基づいてユーザの指示を判定し、視点変更部140は、ユーザの指示に応じて第2の視点を決定し、視点の位置を第1の視点から第2の視点に変更する(ステップS5)。なお、第2の視点は、第1の視点とは異なる視点であるとする。
【0057】
次に、画像生成部120は、第2の視点に対応する3次元画像を、タッチパネル20へ出力する(ステップS6)。これにより、タッチパネル20には、第2の視点に対応する3次元画像が表示され、ユーザはそれを視認可能となる。
【0058】
また、ステップS6において、指示判定部130は、第2の視点に対応する3次元画像の複数の領域を、第1の視点に対応する3次元画像の複数の領域と異なるように設定する。具体的には、各領域の位置や面積が変更される(例えば、
図4の図示から
図5の図示へと変更される)。
【0059】
以上が一連の流れであるが、ステップS6の後、例えばユーザによる3次元画像の表示の終了指示があるまで、ステップS3~S6が繰り返されてもよい。
【0060】
また、ステップS1で決定される第1の視点は、上述した車両Vを斜め下に見下ろす視点に限らず、例えば、車両Vを真上から見た視点であってもよい。その場合、後述のステップS2で表示される画像は、
図4~
図6に示したような3次元画像ではなく、車両Vを真上から俯瞰した画像(例えば、
図7に示したような画像)となる。
【0061】
以上、表示制御装置100の動作について説明した。
【0062】
ここまで詳述したように、本実施の形態の表示制御装置100は、車両Vの周辺を撮影する複数の車載カメラ(例えば、前方カメラ11、後方カメラ12、左方カメラ13、右方カメラ14)により撮影された各画像に基づいて、車両Vの周囲を示す3次元画像を生成し、表示装置(例えば、タッチパネル20、以下同様)に表示させる画像生成部120と、ユーザの操作より表示装置に表示された3次元画像上の位置が指定された場合、当該位置に基づいて視点パラメータを変更し、変更後の視点パラメータに対応する3次元画像を表示装置に出力する。表示させる視点変更部140と、を有し、表示装置に表示される3次元画像には、異なる視点に対応する複数の領域(例えば、領域(1)~(8))が設定され、視点変更部140は、ユーザにより指定された3次元画像上の位置が複数の領域のうちのどの領域に属するかに基づいて、3次元画像の視点を変更するとともに、変更後の視点に応じて3次元画像における複数の領域を変更することを特徴とする。
【0063】
よって、ユーザは、3次元画像上で所望の位置を指定(具体的には、タッチ)することで、直感的に視点の変更を指示することができるので、使用感をより向上させることができる。
【0064】
また、例えば、従来、車両Vを真上から見た俯瞰画像と、3次元画像とを並べて表示し、俯瞰画像において視点変更操作を受け付ける技術が知られているが、本実施の形態では、3次元画像において視点変更操作を受け付けることが可能であるため、視認性の向上も実現できる。上記実施の形態の表示制御装置は、車両の周辺を撮影する複数の車載カメラにより撮影された各画像に基づいて、車両の周囲を示す3次元画像を生成し、この3次元画像に基づいて表示装置に表示させる表示画像を出力する画像生成部と、表示装置に表示された表示画像をユーザが操作した位置に応じてユーザの指示を判定する指示判定部と、この指示判定部が判定したユーザの指示に基づいて3次元画像の生成に関わる視点パラメータを変更する視点変更部と、を有し、指示判定部は表示画像に異なる視点パラメータに対応する複数の領域を設定し、指示判定部は、ユーザが操作した位置が複数の領域のうちのどの領域に属するかに基づいてユーザの指示を判定し、視点変更部は、ユーザの指示に応じて視点パラメータを変更し、指示判定部は、変更後の3次元画像における複数の領域を設定する表示制御装置である、と言ってもよい。
【0065】
なお、本開示は、上記実施の形態の説明に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下、変形例について説明する。
【0066】
[変形例1]
3次元画像における複数の領域は、それぞれの面積が予め定められた閾値以上となるように設定されてもよい。
【0067】
この具体例について、
図10、
図11を用いて以下に説明する。
図10は、視点が車両Vの真後ろである場合における第1の分割例を示す模式図である。
図11は、視点が車両Vの真後ろである場合における第2の分割例を示す模式図である。なお、
図10、
図11は、各領域を真上から見た状態を示している。また、
図10、
図11では、車両像Aの図示を省略している。
【0068】
図5に示した3次元画像では、
図10に示すように領域(1)~(9)が設定される。この設定では、視点に近い領域(5)の面積が広い一方で、視点から遠い領域(1)の面積は狭い。そのため、ユーザは、領域(1)を正しくタッチしにくい。例えば、領域(1)にタッチするつもりで、領域(2)にタッチしてしまう事がある。
【0069】
そこで、例えば、領域(1)に隣接する領域(2)、(8)を領域(1)に統合し、
図11に示すように、領域(1)を広くしてもよいし、更に境界線の位置を調整してもよい。例えば、視点変更部140(または画像生成部120でもよい)は、予め定められた閾値未満の面積となる領域がある場合には、その領域を隣接領域と統合することで、閾値以上の面積になるように、領域の総数を減少させてもよいし、予め領域の総数を減少させておいて、領域の面積が閾値以上になるように境界線を設定してもよい。視点が領域(5)にある時に、視点を左右に移動させる操作は、左右に45度、左右に90度、または180度の移動は多く行われるが、視点を左右に135度移動させる操作が行われる頻度は少ない。よって、左右に135度移動する領域(2)、領域(8)を無くしても実用上の支障はない。
【0070】
これにより、ユーザが視点変更操作を行う際に、タッチがし易くなり、押し間違い等を防ぐことができ、使用感がより向上する。
【0071】
[変形例2]
3次元画像における複数の領域において、隣接する領域同士の境界線は、ユーザの操作を受け付けない不感領域に設定されてもよい。例えば、複数の領域において隣接する領域同士の境界線は、ユーザの操作を受け付けない不感領域に設定されており、指示判定部は、ユーザが不感領域を操作した場合、ユーザの指示を判定しない。
【0072】
この具体例について、
図12を用いて以下に説明する。
図12は、
図8に示した領域の分割例において不感領域が設定された場合の一例を示す模式図である。なお、
図12は、各領域を真上から見た状態を示している。また、
図12では、車両像Aの図示を省略している。
【0073】
図12に示すように、各境界線には不感領域Bが設定されている。各不感領域Bは、
図5に示した各境界線よりも幅広である。
【0074】
視点変更部140は、ユーザが不感領域Bをタッチした場合、視点の変更、それに基づく3次元画像の変更、および、複数の領域の変更を実行しないようにする。
【0075】
例えば、
図4の3次元画像の表示中に、ユーザが領域(5)内の位置をタッチしようとして、領域(5)に接する不感領域Bをタッチした場合、視点変更部140は、視点を車両Vの真後ろに変更しないようにする。また、視点変更部140は、
図5の3次元画像の表示へ切り替えることなく、
図4の3次元画像の表示を維持する。また、
図4の3次元画像の表示が維持されるので、視点変更部140は、
図4の3次元画像における領域(1)~(9)について、
図5に示した位置や面積に変更することなく、
図4に示した位置や面積を維持する。
【0076】
これにより、ユーザが、所望する領域をタッチしたつもりで、実はその領域に隣接する領域をタッチしてしまっており、その結果、所望していない視点変更が行われることを抑制することができる。
【0077】
なお、不感領域Bは、3次元画像が表示されたときに、ユーザが視認可能なように一時的に表示されてもよい。また、ユーザがタッチした時だけ表示されてもよい。例えば、ユーザが不感領域を操作しない場合、境界線および不感領域を表示せず、ユーザが不感領域を操作した場合、境界線または不感領域を表示する様にしてもよい。その際、不感領域Bの視認性を向上させるために、他の領域とは異なる輝度で不感領域Bを際立たせて表示してもよい。この輝度は、不感領域Bの表示が消えた後も、ユーザが不感領域Bの位置を認識できるように、残像効果を得られる程度が好ましい。
【0078】
また、ユーザが不感領域Bをタッチした場合だけ、不感領域Bを一時的に表示してもよい。この場合にも、視認性向上のため、不感領域Bを、他の領域と異なる輝度で表示することが好ましい。普段、不感領域を表示しないようにすれば、ユーザは車両周辺画像の視認を妨げられず、ユーザがタッチした時や、不感領域がタッチされた時に表示すると、次にタッチする時に正しく判定される位置をタッチ出来る様になる。
【0079】
[変形例3]
視点変更操作が行われてから所定の時間が経過するまでは、視点変更操作を受け付けない不感時間帯に設定されてもよい。指示判定部は、この不感時間帯においてユーザの操作が行われた場合、ユーザの指示を判定しないので、視点の変更は行われない。
【0080】
この場合、不感時間帯に視点変更操作が行われたとしても、視点変更部140は、不感時間帯の前に行われた視点変更操作に基づいて、視点の変更、それに基づく3次元画像の変更、および、複数の領域の変更を実行する。すなわち、視点変更部140は、不感時間帯に行われた視点変更操作を無効化する。
【0081】
これにより、ユーザが意図せずに視点変更操作を連続して行ってしまった場合でも、後続の視点変更操作が無効化されるので、意図しない視点に変更されることを抑制することができる。
【0082】
さらに、不感時間帯では、表示される3次元画像について、エフェクト処理が行われてもよい。この具体例について、
図13、
図14、
図15を用いて以下に説明する。
【0083】
まず、
図13を用いて、第1のエフェクト処理について説明する。
図13は、第1のエフェクト処理のイメージを示す模式図である。図中において左方向から右方向へ向かう矢印は、経過時間を示している。また、図中において下方から上方へ向かう矢印は、ユーザによる視点変更操作(具体的には、タッチ操作)が行われたタイミングを示している。また、図中において左右方向を示す両矢印は、不感時間帯を示している。
【0084】
図13に示すように、視点変更前画像(視点が変更される前の3次元画像)がタッチパネル20に表示されているときに、タッチ操作が行われた場合、その操作の開始時点から不感時間帯がスタートする。この不感時間帯において、視点変更部140は、視点変更前の3次元画像をフェードアウトさせ、それが完了したら、次に表示される視点変更後画像(視点が変更された後の3次元画像)をフェードインさせるように、タッチパネル20を制御する。これにより、不感時間帯では、視点変更前画像のフェードアウトが完了したと同時に、視点変更後画像のフェードインが開始されるように表示される。例えば、不感時間帯において、視点パラメータの変更前の3次元画像をフェードアウトさせるか、または、視点パラメータの変更後の3次元画像をフェードインさせるか、いずれか一方、または両方のエフェクトを行ってもよい。
【0085】
次に、
図14を用いて、第2のエフェクト処理について説明する。
図14は、第2のエフェクト処理のイメージを示す模式図である。
図14中の各矢印は、
図13中の各矢印と同じである。
【0086】
図14に示すように、視点変更前画像がタッチパネル20に表示されているときに、タッチ操作が行われた場合、その操作の開始時点から不感時間帯がスタートする。この不感時間帯において、視点変更部140は、視点変更前の3次元画像の透過率を上げつつ、次に表示する視点変更後画像の透過率を下げる。例えば、2つの画像のブレンド比(ミックス比)を連続的に変える、と言っても良い。これにより、不感時間帯では、視点変更前画像が徐々に消えるのと同時に、視点変更後画像が徐々に表れるように表示される。この表示制御装置は、不感時間帯において、視点パラメータの変更前の3次元画像と、視点パラメータの変更後の3次元画像とのブレンド比を連続的に変える、と言い換えてもよい。
【0087】
次に、
図15を用いて、第3のエフェクト処理について説明する。
図15は、第3のエフェクト処理のイメージを示す模式図である。
図15中の各矢印は、
図13中の各矢印と同じである。
【0088】
図15に示すように、視点変更前画像がタッチパネル20に表示されているときに、タッチ操作が行われた場合、その操作の開始時点から不感時間帯がスタートする。この不感時間帯において、視点変更部140は、視点変更前の3次元画像の輝度を低下させ、次に表示される視点変更後画像の輝度を増加させるように、タッチパネル20を制御する。これにより、不感時間帯では、視点変更前画像が消え、視点変更後画像が現れるように表示される。
図15に示す様に、不感時間帯の初めと終わりで輝度を大きく変化させると、輝度を連続的に変化させた場合より、エフェクトの始まりと終わりの時点を認知し易くなる。
【0089】
なお、輝度の代わりに、透明度を変化させてもよい。例えば、不感時間帯において、視点変更部140は、視点変更前の3次元画像の透明度を増加させ、次に表示される視点変更後画像の透明度を低下させるように、タッチパネル20を制御する。これにより、不感時間帯では、視点変更前画像が消え、視点変更後画像が現れるように表示される。
【0090】
以上、第1~第3のエフェクト処理について説明した。不感時間帯ではユーザの操作を受け付けないので、ユーザは応答性が悪いと感じるおそれがあるが、上述した第1~第3のエフェクト処理のいずれかを行うことにより、ユーザの操作に対して反応していることを見せることができるので、ユーザに応答性が悪いと感じられることを防ぐことができ、ユーザが続けてタッチしたくなる事を抑止できる。また、第3のエフェクト処理は、第1、第2のエフェクト処理に比べ、視覚的なインパクトが増すので、より効果的である。
【0091】
[変形例4]
視点変更部140は、視点変更前の3次元画像から視点変更後の3次元画像へ切り替えるまでの間において、変更前の視点から変更後の視点に向かって、連続的な視点の移動を行い、これに対応する視点が連続移動する3次元画像を、視点変更前の3次元画像の出力を終えて、視点変更後の3次元画像を出力するまでの遷移期間中に出力し、タッチパネル20に表示させてもよい。
【0092】
この具体例について、
図16を用いて以下に説明する。
図16は、視点変更の例を示す模式図である。図中の曲線矢印は、反時計回りを示している。
【0093】
図16のa~fは、視点を示している。ここでは、視点aから視点fへ変更する場合を例に挙げて説明する。この場合、実施の形態では、視点aに対応する3次元画像の表示の後、次に、視点fに対応する3次元画像の表示を行ったが、本変形例では、視点aに対応する3次元画像の表示の後、視点b、c、d、eのそれぞれに対応する3次元画像を遷移させながら表示し、最後に、視点fに対応する3次元画像の表示を行う。
【0094】
視点b、cは、それぞれ、視点aを起点として反時計回りに5度、10度回転させた位置である。よって、視点bに対応する3次元画像は、視点aに対応する3次元画像を反時計回りに5度回転させた画像となり、視点cに対応する3次元画像は、視点aに対応する3次元画像を反時計回りに10度回転させた画像となる。
【0095】
視点d、eは、それぞれ、視点fを起点として時計回りに5度、10度回転させた位置である。よって、視点dに対応する3次元画像は、視点fに対応する3次元画像を時計回りに5度回転させた画像となり、視点dに対応する3次元画像は、視点fに対応する3次元画像を時計回りに10度回転させた画像となる。
【0096】
すなわち、本変形例では、視点a、b、c、d、e、fのそれぞれに対応する3次元画像が順次表示されていくので、ユーザにとっては、視点の位置が滑らかに変わるように感じられ、視覚的な印象がよくなる。また、上述した遷移表示の間は、ユーザは操作を控える傾向があるので、遷移表示が行われる時間を、ユーザの操作を受け付けない不感時間帯に設定したとしても、ユーザの不満を招かない。
【0097】
また、本変形例では、視点cから視点dまでの位置に対応する3次元画像は敢えて表示しないようにしている。その理由は、視点aから視点fまで、反時計回りに5度ずつずらした全ての位置に対応する3次元画像の表示を連続的に行うと、ユーザに苛立ちを与えてしまうおそれがあるためである。本変形例のように、敢えて細かく連続表示を行わないようにすることで、ユーザの苛立ちを回避できる。
【0098】
なお、本変形例では、視点aに対応する3次元画像の表示から視点fに対応する3次元画像の表示までの間に、視点b、c、d、eのそれぞれに対応する4つの3次元画像を表示する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、視点b、cのそれぞれに対応する2つの3次元画像だけを表示するようにしてもよいし、視点d、eのそれぞれに対応する2つの3次元画像だけを表示するようにしてもよいし、視点cの方向と視点dの方向の間に、視点位置を連続的に変化させる区間を一つか二つ、設定してもよい。変形例4の表示制御装置の視点変更部は、ユーザの指示に応じて視点パラメータを変更する際に、視点パラメータの変更前の視点とユーザが指示した視点とを結ぶ線の上で、所定の1または複数の範囲に限定して視点を連続的に変更する、と言い換えてもよい。この視点パラメータの変更前の視点とユーザが指示した視点とを結ぶ線は、曲線でもよいし、直線でもよい。
【0099】
[変形例5]
実施の形態では、ユーザの視点変更操作が3次元画像上における位置の指定(例えば、3次元画像上の所望の位置をタッチする操作)である場合を例に挙げて説明したが、視点変更操作は、これに限定されず、例えば、3次元画像上における方向の指定であってもよい。
【0100】
この具体例について、
図17を用いて以下に説明する。
図17は、3次元画像上における視線および操作方向の一例を示す模式図である。
【0101】
図17に示すように、3次元画像には、
図7と同様に領域(1)~(9)が設定されている。さらに、領域(1)~(8)には、互いに異なる視線(実線の矢印参照)が割り当てられている。この互いに異なる複数の視線の方向は、ユーザの視点変更操作を判定する基準となるので、基準方向と呼んでもよい。この複数の基準方向は、3次元画像に対応して指示判定部が設定するが、領域(1)~(9)を設定する事は必須でなく、視点が変更された時に、変更後の視点に応じて基準方向を設定すればよい。
図7の例で視点が変更されると領域の大きさが変わった様に、視点が変更されると基準方向が変わって、複数の基準方向の間の角度差は不均等になる。
【0102】
ユーザは、このような3次元画像上において所望の方向を指定する操作(視点変更操作の一例)を行う。例えば、ユーザは、視点を車両Vの左後方に変更したい場合、表示中の3次元画像上において右斜め上方向(図中の点線矢印参照)に指を滑らすスワイプを行う。なお、
図17では例として、スワイプが行われた領域が、領域(5)から領域(4)を経て領域(3)までである場合を図示したが、これに限定されず、画像上であれば、どの領域であってもよい。
【0103】
上記スワイプが行われた場合、指示判定部130は、タッチパネル20からの検出信号に基づいて、スワイプされた方向が右斜め上方向であると判定し、その方向に最も近い方向の視線が割り当てられている領域(6)を特定する。そして、指示判定部130は、特定した領域(6)に基づいて、変更すべき視点の位置は車両Vの左後方であると判定する。その後の視点変更部140の処理は、実施の形態と同様である。
【0104】
本変形例によれば、ユーザは、3次元画像上で所望の方向を指定(具体的には、スワイプ)することで、直感的に視点の変更を指示することができるので、使用感をより向上させることができる。本変形例の表示制御装置は、車両の周辺を撮影する複数の車載カメラにより撮影された各画像に基づいて車両の周囲を示す3次元画像を生成し、この3次元画像に基づいて表示装置に表示させる表示画像を出力する画像生成部と、この表示装置に表示された表示画像の上でユーザの操作により指定された方向に応じてユーザの指示を判定する指示判定部と、この指示判定部が判定したユーザの指示に応じて3次元画像の生成に関わる視点パラメータを変更する視点変更部と、を有し、指示判定部は異なる視点パラメータに対応する複数の基準方向を設定して、ユーザの操作により指定された方向が複数の基準方向のうちの、どの基準方向に近いかを判定し、視点変更部は指示判定部が判定した結果に基づいて視点パラメータを変更し、指示判定部は、変更後の視点に応じて3次元画像における複数の基準方向を設定する表示制御装置である、と言い換えてもよい。
【0105】
[変形例6]
変形例5では、3次元画像において複数の領域または複数の基準方向(視線)が設定されていることを前提として、ユーザの視点変更操作として方向を判定する場合を例に挙げて説明したが、上記前提はなくてもよい。
【0106】
この具体例について、
図18を用いて説明する。
図18は、3次元画像上における操作方向を示す模式図である。
図18に示す3次元画像の視点は、車両Vの右前方である。例えば、3次元画像の視点の初期値は車両の真上であって、ユーザが車両Vの右前方の領域をタッチした時に
図18に示す視点に視点移動し、以後はスワイプにより視点移動が出来る様にしてもよい。
【0107】
例えば、
図18の3次元画像の表示中に、ユーザが、視点を車両Vの左前方に変更したい場合、3次元画像の上半分領域(図中の一点鎖線より上の領域)上において、左から右へ指を滑らすスワイプを行う。図中の点線矢印Cは、スワイプの方向を示している。また、L1は、スワイプの操作量(言い換えれば、指の移動量)を示している。
【0108】
この場合、指示判定部130は、タッチパネル20の検出信号に基づいて、車両像Aが時計回り(曲線の点線矢印参照)に回転するイメージで視点を時計回りに移動させる指示がなされたと判定する。車両像Aが時計回りに回転すると、車両像Aの左前方が手前側に位置することになるので、指示判定部130は、変更すべき視点の位置は車両Vの左前方であると判定する。その後の視点変更部140の処理は、実施の形態と同様である。
【0109】
なお、ユーザは、視点を車両Vの左前方に変更したい場合、3次元画像の下半分領域(図中の一点鎖線より下の領域)上において、右から左へ指を滑らすスワイプを行ってもよい。図中の点線矢印Dは、スワイプの方向を示している。また、L2は、スワイプの操作量(言い換えれば、指の移動量)を示している。変形例5では複数の基準方向と比較してユーザの操作により指定された方向を判定したが、変形例6では、操作量を複数の閾値と比較して、視点または視線の変更量を決定してもよい。
【0110】
この場合、例えば指示判定部130は、タッチパネル20の検出信号に基づいて、車両像Aが時計回り(曲線の点線矢印参照)に回転するイメージで視点を時計回り45度移動させる指示がなされたと判定し、変更すべき視点の位置は車両Vの左前方であると判定する。
【0111】
本変形例によれば、ユーザは、3次元画像上で所望の方向を指定(具体的には、スワイプ)することで、直感的に視点の変更を指示することができるので、使用感をより向上させることができる。また、本変形例では、変形例5のような前提を要しないため、より簡単に実現できる。
【0112】
なお、上記説明では、スワイプが左右方向である場合を例に挙げて説明したが、上下方向であってもよい。例えば、3次元画像の左半分領域において上から下へのスワイプが行われたり、3次元画像の右半分領域において下から上へのスワイプが行われたりした場合には、指示判定部130は、車両像Aが反時計回りに回転するイメージで視点を反時計回りに移動させる指示がなされたと判定してもよい。そして、指示判定部130は、車両像Aの回転方向に基づいて、視点の位置を判定してもよい。
【0113】
また、スワイプの方向に加えて、スワイプの操作量(例えば、L1、L2参照)または操作速度のいずれかが考慮されてもよい。具体的には、スワイプの操作量が多いほど(例えば、L1やL2が長いほど)、車両像Aの回転量を大きくしてもよいし、スワイプの操作速度が速いほど、車両像Aの回転量を大きくしてもよい。例えば、視点位置が真上から斜め上に変わると、表示画像の下部では車両像Aの像が左右方向に大きく表示されるのに対し、車両像Aの像は上下方向には圧縮されて表示されるので、表示画像の下部が左右方向にスワイプされた場合は、車両像Aの像の左右が上下方向にスワイプされた場合よりも、スワイプの操作量に対応する車両像Aの回転量を小さくしてもよい。
【0114】
変形例6の表示制御装置は、車両の周辺を撮影する複数の車載カメラにより撮影された各画像に基づいて車両の周囲を示す3次元画像を生成し、この3次元画像に基づいて表示装置に表示させる表示画像を出力する画像生成部と、表示装置に表示された3次元画像においてユーザのスワイプが行われた場合、当該スワイプの位置と当該スワイプの操作量または操作速度のいずれか一方とに基づいて、視点パラメータを変更する視点変更部とを有する表示制御装置、と言い換えてもよい。
【0115】
以上、変形例について説明した。なお、上述した変形例は、趣旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本開示の表示制御装置は、車両の周囲を示す3次元画像の表示を行う技術全般に有用である。
【符号の説明】
【0117】
1 表示システム
10 撮像部
11 前方カメラ
12 後方カメラ
13 左方カメラ
14 右方カメラ
20 タッチパネル
100 表示制御装置
110 画像取得部
120 画像生成部
130 指示判定部
140 視点変更部
V 車両