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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156892
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】誘導加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   H05B 6/12 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
H05B6/12 318
H05B6/12 316
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066531
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】徳山 浩司
(72)【発明者】
【氏名】永田 隆二
(72)【発明者】
【氏名】山本 晃裕
【テーマコード(参考)】
3K151
【Fターム(参考)】
3K151AA13
3K151CA24
(57)【要約】
【課題】温度センサの検知範囲を向上させる。
【解決手段】本開示に係る誘導加熱調理器は、加熱対象物(C)が載置されるトッププレート(2)と、前記トッププレート(2)の下方に配置され、前記加熱対象物(C)を誘導加熱する加熱コイル(10)と、前記トッププレート(2)の下方に配置され、前記加熱対象物(C)の温度情報を検知する温度センサ(21)と、前記トッププレート(2)の厚み方向(Z軸方向)から見て前記温度センサ(21)の位置を変化させる駆動部(23)と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱対象物が載置されるトッププレートと、
前記トッププレートの下方に配置され、前記加熱対象物を誘導加熱する加熱コイルと、
前記トッププレートの下方に配置され、前記加熱対象物の温度情報を検知する温度センサと、
前記トッププレートの厚み方向から見て前記温度センサの位置を変化させる駆動部と、
を備える、
誘導加熱調理器。
【請求項2】
前記駆動部は、前記温度センサを移動させる、
請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記駆動部は、前記トッププレートの厚み方向から見て前記温度センサを往復移動させる、
請求項2に記載の誘導加熱調理器。
【請求項4】
前記駆動部は、前記トッププレートの厚み方向から見て前記加熱コイルを回転させ、
前記温度センサは、前記加熱コイルの回転により前記加熱コイルの回転方向に移動する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記温度センサは、赤外線センサを含む、
請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項6】
前記トッププレートの下面に配置され、前記加熱対象物の温度情報を検知する接触式の温度センサをさらに含む、
請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項7】
前記加熱コイルは、第1加熱コイルと、前記第1加熱コイルと隙間を有して配置される第2加熱コイルと、を含み、
前記温度センサは、前記第1加熱コイルと前記第2加熱コイルとの間の前記隙間に配置される、
請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項8】
前記温度センサの位置情報を検知する位置センサを更に備える、
請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【請求項9】
前記加熱コイル及び前記駆動部を制御する制御部を更に備え、
前記加熱コイルは、複数の加熱コイルを含み、
前記制御部は、
前記温度センサで検知した前記温度情報と、前記位置センサで検知した前記位置情報と、を取得し、
取得した前記温度情報と前記位置情報とに基づいて前記駆動部及び前記複数の加熱コイルを制御する、
請求項8に記載の誘導加熱調理器。
【請求項10】
前記加熱対象物に関する情報を出力する情報出力部と、
前記情報出力部を制御する制御部と、
を更に備え、
前記制御部は、
前記温度センサで検知した前記温度情報と、前記位置センサで検知した前記位置情報と、を取得し、
前記温度情報と前記位置情報とに基づいて前記加熱対象物に関する情報を作成し、
前記加熱対象物に関する情報を前記情報出力部に送信する、
請求項8に記載の誘導加熱調理器。
【請求項11】
前記制御部は、
前記温度情報と前記位置情報とに基づいて、前記加熱対象物の位置ずれ又は異常発熱のうち少なくとも1つを含む異常状態を判定し、
前記異常状態に関する情報を前記情報出力部に送信し、
前記情報出力部は、前記異常状態に関する情報を出力する、
請求項10に記載の誘導加熱調理器。
【請求項12】
前記制御部は、
前記温度情報と前記位置情報とに基づいて、前記加熱対象物の位置ずれ又は異常発熱のうち少なくとも1つを含む異常状態を判定し、
前記異常状態に基づいて前記異常状態を改善する改善情報を作成し、
前記改善情報を前記情報出力部に送信し、
前記情報出力部は、前記改善情報を出力する、
請求項10に記載の誘導加熱調理器。
【請求項13】
前記加熱コイルは、前記トッププレートの厚み方向から見て隙間を有して配置される複数のコイルピースを含み、
前記温度センサは、前記複数のコイルピースの前記隙間に配置され、
前記駆動部は、前記複数のコイルピースの前記隙間内において前記温度センサを移動させる、
請求項1に記載の誘導加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、誘導加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、鍋底に反りのある調理鍋を用いる場合に、鍋がずれていると判断することのできる誘導加熱調理器が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の誘導加熱調理器は、プレート、加熱コイル及び温度検知部を備える。プレートは、被加熱物を載置する載置部を有する。加熱コイルはプレートの下方に設けられ被加熱物を加熱する。温度検知部は、加熱コイルの中央部に1つの温度センサと加熱コイルと対向したプレートの下面に、温度に応じて導体抵抗が変化する線状の導電材料を引き回して構成される。温度検知部は、加熱コイルの周方向に複数に分けた領域に配置し、加熱コイル中央部の温度センサとそれぞれの領域と対角にある領域を比較することによって、鍋が加熱コイルの中心からずれていることを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-46551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の誘導加熱調理器では、温度センサの検知範囲を向上させるという点で未だ改善の余地がある。
【0006】
したがって、本開示の目的は、前記課題を解決することにあって、温度センサの検知範囲を向上させることができる誘導加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の誘導加熱調理器は、
加熱対象物が載置されるトッププレートと、
前記トッププレートの下方に配置され、前記加熱対象物を誘導加熱する加熱コイルと、
前記トッププレートの下方に配置され、前記加熱対象物の温度情報を検知する温度センサと、
前記トッププレートの厚み方向から見て前記温度センサの位置を変化させる駆動部と、
を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、温度センサの検知範囲を向上させることができる誘導加熱調理器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の一例の概略斜視図である。
図2】本開示に係る実施の形態1の誘導加熱領域の主要な構成を示す概略ブロック図である。
図3】本開示に係る実施の形態1のコイルユニットの一例の概略平面図である。
図4A】コイルユニットの動作の一例を示す概略平面図である。
図4B】コイルユニットの動作の一例を示す概略平面図である。
図4C】コイルユニットの動作の一例を示す概略平面図である。
図4D】コイルユニットの動作の一例を示す概略平面図である。
図4E】コイルユニットの動作の一例を示す概略平面図である。
図4F】コイルユニットの動作の一例を示す概略平面図である。
図4G】コイルユニットの動作の一例を示す概略平面図である。
図5】本開示に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の動作の一例を示すフローチャートである。
図6】本開示に係る実施の形態1の誘導加熱調理器の動作の別例を示すフローチャートである。
図7】変形例1のコイルユニットの概略平面図である。
図8】変形例2のコイルユニットの概略平面図である。
図9A】変形例3の誘導加熱領域の概略平面図である。
図9B】変形例3の温度センサの動作を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の一実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。さらに、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは必ずしも合致していない。
【0011】
なお、本明細書において、「第1」、「第2」などの用語は、説明のためだけに用いられるものであり、相対的な重要性または技術的特徴の順位を明示または暗示するものとして理解されるべきではない。「第1」と「第2」と限定されている特徴は、1つまたはさらに多くの当該特徴を含むことを明示または暗示するものである。
【0012】
(実施の形態1)
[全体構成]
図1は、本開示に係る実施の形態1の誘導加熱調理器100の一例の概略斜視図である。なお、図中に示すX-Y-Z座標系は、発明の理解を助けるためのものであって、発明を限定するものではない。X軸方向は左右方向を示し、Y軸方向は奥行き方向を示し、Z軸方向は鉛直方向を示している。
【0013】
図1に示すように、誘導加熱調理器100は、加熱調理対象Tを収容する調理容器Cを誘導加熱する調理器である。本明細書では、調理容器Cは、加熱対象物の一例として説明している。加熱対象物は、調理容器Cに限定されず、誘導加熱される対象物であればよい。
【0014】
誘導加熱調理器100は、調理容器Cが載置され、例えば耐熱ガラスによって作製されたトッププレート2と、トッププレート2の下面に取り付けられた筐体3と、を有する。筐体3内には、複数のコイルユニット1が搭載されている。複数のコイルユニット1のそれぞれは、トッププレート2の下方に配置され、対向するトッププレート2の部分に載置されている調理容器Cを誘導加熱する。即ち、複数のコイルユニット1のそれぞれは、誘導加熱コイルユニットとして機能する。
【0015】
図2は、本開示に係る実施の形態1の誘導加熱調理器100の主要な構成を示す概略ブロック図である。図3は、本開示に係る実施の形態1のコイルユニット1の一例の概略平面図である。
【0016】
図2に示すように、誘導加熱調理器100は、コイルユニット1、制御部30、位置センサ31及び情報出力部32を備える。
【0017】
[コイルユニット]
まず、コイルユニット1について図2及び図3を用いて説明する。図2及び図3に示すように、コイルユニット1は、加熱コイル10、第1温度センサ21、第2温度センサ22及び駆動部23を備える。
【0018】
<加熱コイル>
加熱コイル10は、トッププレート2の下方に配置され、加熱対象物を誘導加熱する。本実施形態では、加熱コイル10は、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bを有する。第1加熱コイル11Aと第2加熱コイル11Bとは、互いに隙間SP1を有して配置されている。隙間SP1は、平面視で直線状に設けられている。
【0019】
例えば、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bには、帯状コイル線が用いられている。帯状コイル線とは、絶縁処理が施された複数の細線、例えば銅線、アルミニウム線などを撚ることにより作製されたコイル線を、更に高さ方向(Z軸方向)に一列に複数段に重ねて帯状形成されたコイル線である。具体的には、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bは、複数の細線の撚り線で作製されたコイル線を帯状となるように、例えば高さ方向に一列に5段重ねて帯状コイル線を形成し、その帯状コイル線を複数回、例えば9回、巻回して形成されている。
【0020】
加熱コイル10は、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bで誘導加熱する。第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bのそれぞれは、平面視でD字形状を有しており、それぞれが背中合わせに配置されて略円形状となるように配設されている。具体的には、平面視において、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bのそれぞれは、直線状の直線部と、直線部に接続され円弧状に湾曲する湾曲部と、を有する。平面視において、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bは、直線部同士が隙間SP1を有して対向して配置されている。本明細書では、「平面視」とは鉛直方向、即ちZ軸方向から見ることを意味する。あるいは、「平面視」とはトッププレート2の厚み方向から見ることを意味する。
【0021】
加熱コイル10は、平面視で回転方向DR1に回転可能に構成されている。具体的には、加熱コイル10は、駆動部23によって回転方向DR1に回転させられる。回転方向DR1は、平面視で、時計回り又は反時計回りに回転する方向である。
【0022】
加熱コイル10の加熱制御は、制御部30によって制御される。例えば、加熱コイル10に入力される電流が、制御部30によって制御される。
【0023】
<第1温度センサ>
第1温度センサ21は、トッププレート2の下方に配置され、加熱対象物の温度情報を検知する。第1温度センサ21は、平面視で、加熱コイル10が配置される領域S1内に配置されている。領域S1は、平面視で、加熱コイル10が配置される領域であって、加熱コイル10によって加熱可能な領域を意味する。本実施形態では、領域S1は、平面視で円形状を有している。
【0024】
また、第1温度センサ21は、平面視で、第1加熱コイル11Aと第2加熱コイル11Bとの間の隙間SP1に配置されている。
【0025】
第1温度センサ21は、非接触式の温度センサであり、例えば、赤外線センサである。このため、第1温度センサ21は、加熱対象物から放射される赤外線を加熱対象物の温度情報として受光する。例えば、第1温度センサ21は、赤外線を受光するフォトダイオードと、フォトダイオードにおいて発生した電流を赤外線信号として出力する回路と、を備える。
【0026】
第1温度センサ21で取得された温度情報は、制御部30に送信される。
【0027】
本実施形態では、第1温度センサ21は、2つの赤外線センサ21A,21Bを備える。本明細書では、2つの赤外線センサ21A,21Bを第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bと称する。第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、第1加熱コイル11Aと第2加熱コイル11Bとの間の隙間SP1において、第2温度センサ22を間に挟んで配置されている。
【0028】
第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、隙間SP1内を移動可能に構成されている。具体的には、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、駆動部23によって隙間SP1内において往復移動させられる。本実施形態では、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、隙間SP1内において直線状に往復移動する。
【0029】
また、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、加熱コイル10の回転により加熱コイル10の回転方向DR1に移動する。即ち、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、平面視で加熱コイル10の回転中心を軸として旋回するように移動する。
【0030】
このように、トッププレート2の厚み方向(Z軸方向)から見て、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、加熱コイル10が配置される領域を移動可能に構成されている。
【0031】
<第2温度センサ>
第2温度センサ22は、トッププレート2の下面に配置され、加熱対象物の温度情報を検知する。第2温度センサ22は、平面視で、加熱コイル10が配置される領域S1内に配置されている。
【0032】
第2温度センサ22は、平面視で、領域S1の中心、即ち、加熱コイル10の回転中心に配置されている。第2温度センサ22は、平面視で、第1加熱コイル11Aと第2加熱コイル11Bとの間の隙間SP1に配置されている。第2温度センサ22は、コイルユニット1に固定されている。このため、第2温度センサ22はコイルユニット1の動きに合わせてその中心で回動するが、第1温度センサ21のような直線上の往復移動はしない。
【0033】
第2温度センサ22は、接触式の温度センサであり、例えば、サーミスタ、熱電対、または側温抵抗体である。第2温度センサ22は、トッププレート2に接触しており、トッププレート2を介して加熱対象物の温度情報を検知する。例えば、第2温度センサ22がサーミスタである場合、第2温度センサ22は、サーミスタ抵抗を加熱対象物の温度情報として検知する。第2温度センサ22が熱電対である場合、2種類の導体間に発生する電圧を加熱対象物の温度情報として検知する。
【0034】
第2温度センサ22で取得された温度情報は、制御部30に送信される。
【0035】
<駆動部>
駆動部23は、トッププレート2の厚み方向(Z軸方向)から見て第1温度センサ21の位置を変化させる。駆動部23は、トッププレート2の厚み方向(Z軸方向)から見て温度センサ21を往復移動させる。また、駆動部23は、トッププレート2の厚み方向(Z軸方向)から見て加熱コイル10を回転方向DR1に回転させることによって、温度センサ21を回転方向DR1に移動させる。
【0036】
例えば、駆動部23は、第1温度センサ21を隙間SP1内において往復移動させる第1駆動機構と、加熱コイル10を回転方向DR1に回転させる第2駆動機構と、を含む。
【0037】
例えば、第1駆動機構及び第2駆動機構は、ギアとモータとを組み合わせて構成することができる。あるいは、第1駆動機構及び第2駆動機構は、モータとベルトとを組み合わせて構成してもよい。第1駆動機構及び第2駆動機構は連動していてもよい。第1駆動機構及び第2駆動機構を連動させることによって、加熱コイル10の回転と第1温度センサ21の往復移動とを連動させることができる。あるいは、第1駆動機構はソレノイドで構成してもよい。
【0038】
[制御部]
図2に戻って、制御部30は、加熱コイル10及び駆動部23を制御する。制御部30は、加熱コイル10の出力を制御し、且つ、第1温度センサ21の往復移動及び加熱コイル10の回転を制御する。また、制御部30は、情報出力部32を制御する。
【0039】
制御部30は、半導体素子等で実現可能である。制御部30は、例えば、マイコン、CPU、MPU、GPU、DSP、FPGA、ASICで構成することができる。制御部30の機能は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせることにより実現してもよい。制御部30は、メモリなどの記憶部に格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行うことで、所定の機能を実現する。
【0040】
例えば、制御部30は、加熱コイル10の出力を制御するインバータ、及び/又は駆動部23の駆動源を制御するドライバなどを含む制御回路で実現できる。
【0041】
制御部30は、第1温度センサ21及び第2温度センサ22から加熱対象物の温度情報を取得する。制御部30は、後述する位置センサ31から第1温度センサ21の位置情報を取得する。
【0042】
制御部30は、取得した温度情報と位置情報とに基づいて加熱コイル10及び駆動部23を制御する。具体的には、制御部30は、温度情報と位置情報とに基づいて加熱対象物の加熱状態を算出し、算出した加熱状態に基づいて加熱コイル10及び駆動部23を制御する。例えば、制御部30は、温度情報と位置情報に基づいて加熱対象物の下面における温度分布を算出し、算出した温度分布に基づいて加熱コイル10の出力及び駆動部23による加熱コイル10の回転を制御する。
【0043】
例えば、制御部30は、第1加熱コイル11Aと第2加熱コイル11Bとを別々に制御する。例えば、制御部30は、第1加熱コイル11Aの加熱をONにし、第2加熱コイル11Bの加熱をOFFにしてもよい。あるいは、制御部30は、第1加熱コイル11Aの加熱を第2加熱コイル11Bの加熱より大きくしてもよいし、小さくしてもよいし、略同じにしてもよい。
【0044】
例えば、制御部30は、駆動部23を制御し、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bの位置を変更してもよい。
【0045】
また、制御部30は、温度情報と位置情報とに基づいて加熱対象物に関する情報を作成する。具体的には、制御部30は、温度情報と位置情報とに基づいて算出された加熱対象物の加熱状態に基づいて、加熱対象物に関する情報を作成する。例えば、加熱対象物に関する情報は、加熱対象物が異常状態であるか否かを示す情報、又は異常状態を改善するための情報を含む。
【0046】
制御部30は、温度情報と位置情報とに基づいて算出された加熱対象物の加熱状態に基づいて加熱対象物が異常状態であるか否かを判定する。例えば、制御部30は、加熱対象物の加熱状態に基づいて、加熱対象物が位置ずれしているか否か、あるいは、加熱対象物が異常発熱しているか否かを判定する。加熱対象物の位置ずれとは、加熱対象物が加熱コイル10により誘導加熱される加熱領域の中央に配置されていない状態を意味する。異常発熱とは、加熱対象物において、意図せずに局所的に加熱されて他の部分と比べて温度が高くなっている状態を意味する。
【0047】
また、制御部30は、加熱対象物が異常状態であると判定したとき、異常状態を改善するための改善情報を作成する。例えば、制御部30は、改善情報として、加熱対象物の位置ずれ又は異常発熱を改善するための情報を作成する。
【0048】
制御部30は、加熱対象物に関する情報、即ち、異常状態の情報及び/又は改善情報を情報出力部32に送信する。
【0049】
[位置センサ]
位置センサ31は、第1温度センサ21の位置情報を取得する。第1温度センサ21の位置情報とは、平面視で領域S1内における第1温度センサ21の位置を示す情報である。例えば、位置センサ31は、加熱コイル10の回転角度及び/又は隙間SP1内における第1温度センサ21の位置を検知する。例えば、位置センサ31は、エンコーダを使用してもよい。エンコーダは、例えば、赤外線センサを用いることができる。
【0050】
位置センサ31で取得した位置情報は、制御部30に送信される。
【0051】
[情報出力部]
情報出力部32は、加熱対象物に関する情報を出力する。情報出力部32は、例えば、ディスプレイ、スピーカ又はLED等で実現できる。情報出力部32は、制御部30によって制御される。
【0052】
情報出力部32は、制御部30から加熱対象物に関する情報を受信し、受信した情報を出力する。
【0053】
情報出力部32は、制御部30から加熱対象物に関する情報として異常状態の情報を受信したとき、ディスプレイ及び/又はスピーカから「鍋が正しい位置に置かれていません」又は「異常発熱しています」などの警告メッセージを出力してもよい。あるいは、情報出力部32は、スピーカから警告音を出力してもよいし、LEDから赤又は黄色などの警告を示す光を出力してもよい。
【0054】
情報出力部32は、制御部30から加熱対象物に関する情報として改善情報を受信したとき、ディスプレイ及び/又はスピーカから「鍋を中央に置いてください」、「鍋を交換してください」又は「空焚きしないで材料を入れてください」などの改善メッセージを出力してもよい。
【0055】
このように、情報出力部32は、加熱対象物に関する情報として、ディスプレイによる表示情報、スピーカによる音声情報又はLEDによる光情報を出力することができる。
【0056】
[コイルユニットの動作の一例について]
図4A~4Gを用いて、コイルユニット1の動作の一例、即ち、第1温度センサ21の位置の変化の一例について説明する。
【0057】
図4A~4Gは、コイルユニット1の動作の一例を示す概略平面図である。
【0058】
図4Aは、平面視で加熱コイル10が第1回転方向DR11に略45度回転した状態を示す。第1回転方向DR11は、平面視で反時計回りの方向である。図4Aに示すように、加熱コイル10が第1回転方向DR11に回転する。これにより、第1温度センサ21の第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bが第1回転方向DR11に移動する。
【0059】
加熱コイル10が第1回転方向DR11に回転している間、隙間SP1内において、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、加熱コイル10の外周に向かって移動する。即ち、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、隙間SP1内において、互いに離れる方向に移動する。
【0060】
第2温度センサ22は、加熱コイル10の回転中心に配置されている。このため、第2温度センサ22は、移動しない。
【0061】
図4Bは、平面視で加熱コイル10が第1回転方向DR11に略90度回転した状態を示す。図4Bに示すように、加熱コイル10が第1回転方向DR11にさらに回転することによって、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bも第1回転方向DR11に移動する。
【0062】
加熱コイル10が第1回転方向DR11に回転している間、隙間SP1内において、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、加熱コイル10の外周まで移動して方向転換し、加熱コイル10の回転中心に向かって移動する。即ち、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、隙間SP1内において、互いに離れる方向から近づく方向に方向転換して移動する。
【0063】
図4Cは、平面視で加熱コイル10が第1回転方向DR11に略135度回転した状態を示す。図4Cに示すように、加熱コイル10が第1回転方向DR11にさらに回転することによって、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bが第1回転方向DR11にさらに移動する。
【0064】
加熱コイル10が第1回転方向DR11に回転している間、隙間SP1内において、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、加熱コイル10の回転中心に向かってさらに移動する。第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、加熱コイル10の回転中心まで移動して方向転換し、加熱コイル10の外周に向かって移動する。
【0065】
図4Dは、平面視で加熱コイル10が第1回転方向DR11に180度回転した状態を示す。図4Dに示すように、加熱コイル10が第1回転方向DR11に180度回転すると、回転方向を転換し、第2回転方向DR12に回転する。これにより、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bの移動も第1回転方向DR11から第2回転方向DR12に変化する。
【0066】
加熱コイル10が第1回転方向DR11に回転している間、隙間SP1内において、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、加熱コイル10の外周に向かって移動する。
【0067】
図4Eは、平面視で加熱コイル10が第2回転方向DR12に略90度回転した状態を示す。図4Eに示すように、加熱コイル10が第2回転方向DR12にさらに回転することによって、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bが第2回転方向DR12にさらに移動する。
【0068】
加熱コイル10が第2回転方向DR12に回転している間、隙間SP1内において、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、加熱コイル10の外周まで移動して方向転換し、加熱コイル10の回転中心に向かって移動する。
【0069】
図4Fは、平面視で加熱コイル10が第2回転方向DR12に略150度回転した状態を示す。図4Fに示すように、加熱コイル10が第2回転方向DR12にさらに回転することによって、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bが第2回転方向DR12にさらに移動する。
【0070】
加熱コイル10が第2回転方向DR12に回転している間、隙間SP1内において、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、加熱コイル10の回転中心に向かって移動する。
【0071】
図4Gは、平面視で加熱コイル10が第2回転方向DR12に180度回転した状態を示す。図4Gに示すように、加熱コイル10が第2回転方向DR12に180度回転すると、回転方向を転換し、第1回転方向DR11に回転する。これにより、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bの移動も第2回転方向DR12から第1回転方向DR11に変更される。
【0072】
加熱コイル10が第2回転方向DR12に回転している間、隙間SP1内において、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、加熱コイル10の回転中心に向かって移動して方向転換し、外周に向かって移動する。
【0073】
このように、平面視で加熱コイル10は、平面視で第1回転方向DR11及び第2回転方向DR12に略180度回転するごとに回転方向を切り替えている。これにより、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、加熱コイル10の回転に連動して第1回転方向DR11及び第2回転方向DR12に回転している。また、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bは、隙間SP1内において、加熱コイル10の回転中心から外周へ向かう方向、及び加熱コイル10の外周から回転中心に向かう方向に往復移動している。
【0074】
また、加熱コイル10が平面視で第1回転方向DR11及び第2回転方向DR12に回転することによって、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bの位置を変えている。具体的には、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bは、加熱コイル10の回転によって、平面視で加熱コイル10の回転中心を軸として旋回している。これにより、領域S1内において、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bによって加熱対象物を誘導加熱する部分を変更することができる。
【0075】
なお、図4に示す第1温度センサ21の位置の変化は一例であって、第1温度センサ21の位置の変化はこれに限定されない。第1温度センサ21の位置は任意のパターンによって変化させてもよい。
【0076】
[誘導加熱調理器の動作の一例について]
図5を用いて本開示に係る実施の形態1の誘導加熱調理器100の動作の一例について説明する。
【0077】
図5は、本開示に係る実施の形態1の誘導加熱調理器100の動作の一例を示すフローチャートである。図5に示す例では、誘導加熱調理器100が加熱対象物の異常状態を判定し、異常状態を改善する改善情報を出力する動作の一例について説明する。
【0078】
誘導加熱調理器100は、加熱コイル10により加熱を開始するとき、又は加熱をしている間の任意のタイミングで、図5に示すステップST1~ST7を実行する。
【0079】
ステップST1では、制御部30が駆動部23を制御し、第1温度センサ21の位置を変化させる。図4A図4Gに示すコイルユニット1の動作の一例で説明したように、駆動部23は、第1温度センサ21を加熱コイル10の回転方向DR1に移動させながら、隙間SP1内を直線状に往復移動させる。
【0080】
ステップST2では、位置センサ31が第1温度センサ21の位置情報を検知する。具体的には、位置センサ31は、第1赤外線センサ21A及び第2赤外線センサ21Bの位置情報を検知する。検知された位置情報は、制御部30に送信される。
【0081】
ステップST3では、第1温度センサ21及び第2温度センサ22が加熱対象物の温度情報を検知する。検知された温度情報は、制御部30に送信される。
【0082】
ステップST4では、制御部30が加熱対象物の温度情報及び第1温度センサ21の位置情報に基づいて加熱対象物の加熱状態を算出する。
【0083】
制御部30は、第1温度センサ21及び第2温度センサ22から加熱対象物の温度情報を取得し、位置センサ31から第1温度センサ21の位置情報を取得する。制御部30は、取得した温度情報及び位置情報に基づいて加熱対象物の加熱状態を算出する。例えば、制御部30は、温度情報及び位置情報に基づいて加熱対象物の下面の温度分布を算出する。
【0084】
ステップST5では、制御部30は、ステップST4で算出した加熱対象物の加熱状態に基づいて加熱対象物が異常状態であるか否かを判定する。例えば、制御部30は、加熱対象物の温度分布に基づいて、加熱対象物の位置ずれ又は異常発熱を判定する。
【0085】
制御部30によって加熱対象物が異常状態であると判定されると、フローはステップST6に進む。制御部30によって加熱対象物が異常状態ではないと判定されると、フローは終了する。
【0086】
ステップST6では、制御部30が異常状態を改善するための改善情報を作成する。例えば、制御部30は、加熱対象物の位置ずれ又は異常発熱を改善するための改善情報を作成する。制御部30は、作成した改善情報を情報出力部32に送信する。
【0087】
ステップST7では、情報出力部32が改善情報を出力する。
【0088】
情報出力部32は、制御部30から改善情報を受信し、受信した改善情報を出力する。
【0089】
このように、誘導加熱調理器100は、トッププレート2の下方で第1温度センサ21の位置を変化させることにより、加熱対象物の下面全体の温度情報を検知し、加熱対象物の加熱状態を算出する。また、誘導加熱調理器100は、算出した加熱状態に基づいて加熱対象物が異常状態であると判定するとき、異常状態を改善するための改善情報を出力する。
【0090】
なお、図5に示す例においては、ステップST6及びST7は、必須の構成ではない。例えば、制御部30は、改善情報を作成せずに、判定した異常状態に関する情報を情報出力部32に送信してもよい。情報出力部32は、異常状態に関する情報を出力してもよい。
【0091】
[誘導加熱調理器の動作の別例について]
図6を用いて本開示に係る実施の形態1の誘導加熱調理器100の動作の別例について説明する。
【0092】
図6は、本開示に係る実施の形態1の誘導加熱調理器100の動作の別例を示すフローチャートである。図6に示す例では、誘導加熱調理器100が加熱対象物の加熱状態を判定し、加熱状態に基づいて加熱コイル10を制御する動作の一例について説明する。
【0093】
誘導加熱調理器100は、加熱コイル10により加熱を開始するとき、又は加熱をしている間の任意のタイミングで、図6に示すステップST1~ST4及びST8を実行する。
【0094】
図6に示すステップST1~ST4は、図5に示すステップST1~ST4と同じであるため、説明を省略する。
【0095】
ステップST8では、制御部30は、加熱対象物の加熱状態に基づいて加熱コイル10及び駆動部23を制御する。具体的には、制御部30は、加熱対象物の加熱状態及び誘導加熱調理器100の加熱設定に基づいて駆動部23、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bを制御する。例えば、誘導加熱調理器100の加熱設定は、加熱対象物を均等に加熱する均等加熱、及び加熱対象物の任意の部分を局所的に加熱する局所加熱を含む。
【0096】
例えば、誘導加熱調理器100の加熱設定が均等加熱である場合、制御部30は温度情報及び位置情報に基づいて算出した加熱対象物の加熱状態に基づいて加熱ムラがあるか否かを判定する。例えば、制御部30は、加熱対象物の下面の温度分布に基づいて加熱対象物の下面全体において他の部分に比べて温度が低くなっている部分を特定する。あるいは、制御部30は、加熱対象物全体において他の部分に比べて温度が高くなっている部分を特定する。
【0097】
次に、制御部30は、駆動部23を制御して加熱コイル10を回転させる。これにより、加熱対象物において温度が低くなっていると特定された部分の直下に第1加熱コイル11Aを配置する。制御部30は、第1加熱コイル11Aの出力を第2加熱コイル11Bの出力よりも大きくする。あるいは、制御部30は、駆動部23を制御し、加熱対象物において温度が高くなっていると特定された部分の直下に第1加熱コイル11Aを配置する。制御部30は、第1加熱コイル11Aの出力を第2加熱コイル11Bの出力よりも小さくする。これにより、加熱ムラを抑制し、均等加熱を実現できる。
【0098】
誘導加熱調理器100の加熱設定が局所加熱である場合、制御部30は温度情報及び位置情報に基づいて加熱対象物の任意の部分が局所的に加熱されているか否かを判定する。例えば、制御部30は、誘導加熱調理器100の加熱設定に基づいて局所加熱する任意の部分を特定する。制御部30は、加熱対象物の下面の温度分布に基づいて特定した任意の部分が他の部分に比べて温度が高くなっているか否かを判定する。
【0099】
次に、制御部30は、駆動部23を制御して加熱コイル10を回転させる。これにより、加熱対象物において局所加熱する任意の部分の直下に第1加熱コイル11Aを配置する。制御部30は、第1加熱コイル11Aの出力を第2加熱コイル11Bの出力よりも大きくする。これにより、局所加熱する任意の部分の加熱を他の部分に比べて強くし、局所加熱を実現できる。
【0100】
このように、制御部30は、温度情報及び位置情報に基づいて加熱対象物の加熱状態を算出し、算出した加熱状態と加熱設定とに基づいて駆動部23及び複数の加熱コイル11A,11Bの出力を制御し、均等加熱又は局所加熱を実現することができる。
【0101】
なお、誘導加熱調理器100の加熱設定は、均等加熱及び局所加熱に限定されない。例えば、誘導加熱調理器100の加熱設定は、1つの加熱対象物に対して温度の高い部分と温度の低い部分とを設け、2つの部分の火力を調整して加熱する設定を含んでもよい。この場合においても、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bの位置及び出力を調整することによって2つの部分の火力を調整して加熱する設定を実現してもよい。
【0102】
[効果]
実施の形態1に係る誘導加熱調理器100によれば、以下の効果を奏することができる。
【0103】
誘導加熱調理器100は、トッププレート2、加熱コイル10、第1温度センサ21及び駆動部23を備える。トッププレート2には、加熱対象物が載置される。加熱コイル10は、トッププレート2の下方に配置され、加熱対象物を誘導加熱する。第1温度センサ21は、トッププレート2の下方に配置され、加熱対象物の温度情報を検知する。駆動部23は、トッププレート2の厚み方向(Z軸方向)から見て第1温度センサ21の位置を変化させる。
【0104】
このような構成により、温度センサ21の検知範囲を向上させることができる。誘導加熱調理器100によれば、トッププレート2の下方において、加熱対象物の温度情報を検知する第1温度センサ21が移動可能な構成を有している。これにより、第1温度センサ21が移動しながら加熱対象物の下面全体の温度情報を検知できる。その結果、第1温度センサ21による検知範囲を向上できる。
【0105】
また、第1温度センサ21による検知範囲を向上させることによって、加熱対象物の加熱状態を正確に知ることができる。
【0106】
駆動部23は、第1温度センサ21を移動させる。具体的には、駆動部23は、トッププレート2の厚み方向(Z軸方向)から見て第1温度センサ21を往復移動させる。このような構成により、第1温度センサ21自体を移動させ、第1温度センサ21による検知範囲をさらに向上できる。
【0107】
駆動部23は、トッププレート2の厚み方向(Z軸方向)から見て加熱コイル10を回転させ、第1温度センサ21は、加熱コイル10の回転により加熱コイル10の回転方向DR1に移動する。このような構成により、第1温度センサ21を回転方向DR1に移動させ、第1温度センサ21による検知範囲をさらに向上できる。
【0108】
第1温度センサ21は、赤外線センサ21A,21Bを含む。このような構成により、第1温度センサ21は、非接触で加熱対象物の温度情報を検知することができる。また、温度情報の検知速度を向上できるため、より正確な温度情報を素早く検知できる。
【0109】
誘導加熱調理器100は、トッププレート2の下面に配置され、加熱対象物の温度情報を検知する接触式の第2温度センサ22を備える。このような構成により、第1温度センサ21に加えて第2温度センサ22によっても加熱対象物の温度情報を検知することができる。その結果、温度センサ21,22による検知範囲を向上できる。
【0110】
加熱コイル10は、第1加熱コイル11Aと、第1加熱コイル11Aと隙間SP1を有して配置される第2加熱コイル11Bと、を含む。第1温度センサ21は、第1加熱コイル11Aと第2加熱コイル11Bとの間の隙間SP1に配置される。このような構成により、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bとの間の隙間SP1を有効活用でき、加熱コイル10内に第1温度センサ21を移動可能に配置できる。その結果、加熱コイル10及び第1温度センサ21を含むコイルユニット1を小型化できる。
【0111】
誘導加熱調理器100は、第1温度センサ21の位置情報を検知する位置センサ31を備える。このような構成により、第1温度センサ21の位置情報を容易に検知できる。
【0112】
誘導加熱調理器100は、加熱コイル10及び駆動部23を制御する制御部30を備える。加熱コイル10は、複数の加熱コイル11A,11Bを含む。誘導加熱調理器100は、第1温度センサ21で検知した温度情報と、位置センサ31で検知した位置情報と、を取得し、取得した温度情報と位置情報とに基づいて駆動部23及び複数の加熱コイル11A,11Bを制御する。このような構成により、加熱対象物を効率良く加熱することができる。例えば、加熱対象物を均等加熱する場合、複数の加熱コイル11A,11Bの位置及び出力を調整し、加熱ムラが小さくできる。また、加熱対象物を局所加熱する場合、複数の加熱コイル11A,11Bの位置及び出力を調整し、局所加熱する任意の部分の温度を高くすることができる。
【0113】
誘導加熱調理器100は、加熱対象物に関する情報を出力する情報出力部32と、情報出力部32を制御する制御部30と、を備える。制御部30は、第1温度センサ21で検知した温度情報と、位置センサ31で検知した位置情報と、を取得し、温度情報と位置情報とに基づいて加熱対象物に関する情報を作成する。また、制御部30は、加熱対象物に関する情報を情報出力部32に送信する。このような構成により、制御部30が加熱対象物に関する情報を精度よく判定することができ、加熱対象物に関する情報をユーザに知らせることができる。例えば、加熱設定が均等加熱であり、加熱対象物が設定した通りに加熱されている場合に「鍋が均等加熱されています」などのメッセージを情報出力部32から出力することによって、ユーザは加熱対象物の加熱状態を知ることができる。または、制御部30は、加熱対象物に関する情報に基づいたサーモグラフィのような絵を表示部にグラフィカルに表示させてもよい。これによりユーザは、温度ムラの原因が、食材、鍋底形状、または鍋ずれのいずれであるかを判断できる。
【0114】
制御部30は、温度情報と位置情報とに基づいて、加熱対象物の位置ずれ又は異常発熱のうち少なくとも1つを含む異常状態を判定し、異常状態に関する情報を情報出力部32に送信する。情報出力部32は、異常状態に関する情報を出力する。このような構成により、制御部30が加熱対象物の異常状態を精度よく判定することができ、ユーザは加熱対象物が異常状態にあることを知ることができる。例えば、情報出力部32が「鍋が正しい位置に置かれていません」又は「異常発熱しています」などの警告メッセージを出力することによって、ユーザは加熱対象物の具体的な状態を知ることができる。
【0115】
制御部30は、温度情報と位置情報とに基づいて、加熱対象物の位置ずれ又は異常発熱のうち少なくとも1つを含む異常状態を判定し、異常状態に基づいて異常状態を改善する改善情報を作成し、改善情報を情報出力部32に送信する。情報出力部32は、改善情報を出力する。このような構成により、制御部30は、加熱対象物が異常状態であるか否かを精度よく判定することができ、異常状態を改善する改善情報をユーザに対して出力できる。これにより、ユーザは異常状態を改善する方法を容易に知ることができる。例えば、情報出力部32が「鍋を中央に置いてください」、「鍋を交換してください」又は「空焚きしないで材料を入れてください」などの改善メッセージを出力することによって、ユーザは異常状態を改善する具体的行動を知ることができる。
【0116】
なお、本実施形態では、加熱コイル10が2つの加熱コイル11A,11Bで構成される例について説明したが、これに限定されない。例えば、加熱コイル10は、1つ以上の加熱コイルで構成されていてもよい。
【0117】
加熱コイル10が単一の加熱コイルで構成される場合、加熱コイルを構成するコイル線の間に、第1温度センサ21が移動可能に配置される隙間が設けられていればよい。
【0118】
本実施形態では、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bが平面視でD字形状を有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1加熱コイル11A及び第2加熱コイル11Bは、平面視で円形状、楕円形状、三角形状又は扇形状を有していてもよい。
【0119】
本実施形態では、第1温度センサ21が2つの赤外線センサ21A,21Bを含む例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1温度センサ21は、1つ以上の赤外線センサを含んでいてもよい。好ましくは、第1温度センサ21は、2つ以上6つ以下の赤外線センサを含んでいてもよい。より好ましくは、第1温度センサ21は、2つ以上3つ以下の赤外線センサを含んでいてもよい。
【0120】
また、第1温度センサ21は赤外線センサ21A,21Bに限定されない。第1温度センサ21は、加熱対象物の温度情報を検知可能な温度センサであればよい。例えば、第1温度センサ21は、赤外線センサ以外の非接触式の温度センサであってもよい。
【0121】
本実施形態では、誘導加熱調理器100が第2温度センサ22を備える例について説明したが、これに限定されない。第2温度センサ22は、必須の構成でなくてもよい。また、第2温度センサ22は、サーミスタ又は熱電対に限定されず、加熱対象物の温度情報を検知可能な温度センサであればよい。例えば、第2温度センサ22は、赤外線センサ等の接触式の温度センサであってもよい。また、第2温度センサ22の数は、1つ以上であってもよい。
【0122】
本実施形態では、駆動部23が加熱コイル10を回転させる第1駆動機構と、第1温度センサ21を往復移動させる第2駆動機構と、を含む例について説明したが、これに限定されない。例えば、駆動部23は、第1駆動機構又は第2駆動機構のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0123】
駆動部23は、トッププレート2の厚み方向(Z軸方向)から見て第1温度センサ21の位置を変化させることができればよい。例えば、第1温度センサ21の位置の変化は、加熱コイル10の回転による回転方向DR1への移動、又は加熱コイル10の隙間SP1内における直線状の往復移動のうち少なくとも1つによって実現されてもよい。
【0124】
本実施形態では、誘導加熱調理器100が位置センサ31を備える例について説明したが、これに限定されない。位置センサ31は、必須の構成でなくてもよい。例えば、第1温度センサ21が予め設定されたルートを移動する場合、制御部30は、第1温度センサ21の移動開始してからの経過時間に基づいて第1温度センサ21の位置を推定してもよい。
【0125】
本実施形態では、誘導加熱調理器100が情報出力部32を備える例について説明したが、これに限定されない。情報出力部32は、必須の構成でなくてもよい。例えば、情報出力部32は、スマートフォンなどの携帯端末であってもよい。制御部30は、無線通信又は有線通信を介して情報出力部32を制御してもよい。
【0126】
本実施形態では、加熱対象物に関する情報は、加熱対象物の異常状態の情報、又は異常状態を改善するための情報を含む例について説明したが、これに限定されない。例えば、加熱対象物に関する情報は、加熱対象物の加熱状態を示す情報、例えば、加熱設定の通り正常に加熱されているか否かを示す情報を含んでいてもよい。例えば、制御部30は、加熱対象物の加熱状態が加熱設定、例えば、均等加熱又は局所加熱の通りになっていると判定した場合、情報出力部32に「均等加熱しています」又は「鍋の中央の火力を上げています」などの加熱状態を示すメッセージを出力させてもよい。
【0127】
本実施形態では、ステップS4において制御部30が温度情報及び位置情報に基づいて加熱対象物の下面の温度分布を加熱対象物の加熱状態として算出する例について説明したが、これに限定されない。加熱対象物の加熱状態は、加熱対象物が加熱されている状態が把握できる情報であればよい。
【0128】
以下、変形例について説明する。
【0129】
(変形例1)
図7は、変形例1のコイルユニット1Aの概略平面図である。図7に示すように、コイルユニット1Aでは、加熱コイル10Aが内側コイル12Aと外側コイル12Bとで構成されていてもよい。変形例1では、内側コイル12Aと外側コイル12Bとは導線12Cによって接続されることによって、1つの加熱コイル10Aを構成している。
【0130】
内側コイル12Aは、平面視で環状に複数回巻回されたコイルである。内側コイル12Aの内側には、第2温度センサ22が配置されている。
【0131】
外側コイル12Bは、平面視で環状に複数回巻回されたコイルである。外側コイル12Bの内径は、内側コイル12Aの外径よりも大きい。即ち、外側コイル12Bは、内側コイル12Aの外側に間隔を有して配置されている。内側コイル12Aと外側コイル12Bとは、同心円上に配置されている。これにより、平面視で、内側コイル12Aと外側コイル12Bとの間には、環状の隙間SP2が形成されている。
【0132】
第1温度センサ21は、内側コイル12Aと外側コイル12Bとの間の隙間SP2に配置され、隙間SP2内を移動可能に構成されている。具体的には、第1温度センサ21は、隙間SP2内に配置される第1赤外線センサ21C及び第2赤外線センサ21Dを含む。
【0133】
第1赤外線センサ21C及び第2赤外線センサ21Dは、平面視で内側コイル12A及び外側コイル12Bの中心を回転軸として旋回する。例えば、第1赤外線センサ21C及び第2赤外線センサ21Dは、平面視で略180度旋回するごとに、旋回方向を変更する。即ち、駆動部23は、第1赤外線センサ21C及び第2赤外線センサ21Dを、平面視で内側コイル12A及び外側コイル12Bの中心を回転軸として旋回するように往復移動させる。なお、駆動部23は、加熱コイル10Aを回転させなくてもよい。
【0134】
このような構成においても、第1温度センサ21による検知範囲を向上できる。
【0135】
なお、内側コイル12Aと外側コイル12Bとは、導線12Cによって接続されていなくてもよい。この場合、内側コイル12Aと外側コイル12Bとは、制御部30によって別々に制御されてもよい。
【0136】
(変形例2)
図8は、変形例2のコイルユニット1Bの概略平面図である。図8に示すように、コイルユニット1Bでは、加熱コイル10Bが複数のコイルピース13を含む。
【0137】
具体的には、平面視で、加熱対象物を加熱する第1加熱領域S10及び第2加熱領域S20が設けられている。第1加熱領域S10は、複数のコイルピース13によって加熱される領域であり、平面視で円形状を有する。第2加熱領域S20も、複数のコイルピース13によって加熱される領域であり、平面視で円形状を有する。変形例2では、第1加熱領域S10と、第2加熱領域S20は略同一形状である。平面視で、第1加熱領域S10と第2加熱領域S20とは、一部が重なっている。
【0138】
変形例2では、第1加熱領域S10と第2加熱領域S20とは、Y軸方向に隣接して配置されている。第1加熱領域S10と第2加熱領域S20の中心部は、同一線上に配置されている。
【0139】
コイルピース13は、例えば、平面視で扇形状を有する。また、コイルピース13は、コイル線が内側に複数回巻回されて構成されている。
【0140】
第1加熱領域S10内において、複数のコイルピース13は、放射状に等間隔に配置されている。具体的には、平面視において、複数のコイルピース13のそれぞれの円弧部分が、第1加熱領域S10を画定する外形ラインL1に沿って配置されている。
【0141】
第1加熱領域S10内において、複数のコイルピース13は、互いに第1隙間SP11を有して配置されている。
【0142】
また、第2加熱領域S20内であって第1加熱領域S10と重複しない部分においては、複数のコイルピース13は等間隔に配置されている。具体的には、第2加熱領域S20内であって第1加熱領域S10と重複しない部分においては、平面視において、複数のコイルピース13のそれぞれの円弧部分が、第2加熱領域S20を画定する外形ラインL2に沿って配置されている。
【0143】
第2加熱領域S20内であって第1加熱領域S10と重複しない部分においては、複数のコイルピース13は、互いに第2隙間SP12を有して配置されている。
【0144】
平面視において、第1隙間SP11と第2隙間SP12は連通している。具体的には、平面視において、第1隙間SP11と第2隙間SP12は、第1加熱領域S10と第2加熱領域S20とが隣接する方向(Y軸方向)に連通している。具体的には、第1加熱領域S10の中心C1と第2加熱領域S20の中心C2とを通る中心線CL1に沿って、第1隙間SP11と第2隙間SP12とが設けられている。これにより、第1隙間SP11と第2隙間SP12とが直線状に連通している。変形例2では、第1隙間SP11と第2隙間SP12は同じ幅を有する。
【0145】
第1温度センサ21は、第1加熱領域S10と第2加熱領域S20の重複する部分の第1隙間SP11に配置され、第1隙間SP11内を移動可能に構成されている。さらには、第1温度センサ21は、第1加熱領域S10の中央部分または中央部分より手前の第1隙間SP11まで移動可能であってもよい。また、第1温度センサ21は、第2加熱領域S20の中央部分または中央部分より奥の第2隙間SP12まで移動可能であってもよい。
【0146】
第1温度センサ21は、少なくとも第1加熱領域S10と第2加熱領域S20の重複する部分の第1隙間SP11内をY軸方向に往復移動する。
【0147】
第2温度センサ22は、第1隙間SP11及び第2隙間SP12に配置されている。変形例2では、2つの第2温度センサ22が、第1隙間SP11及び第2隙間SP12に配置されている。第1温度センサ21は、2つの第2温度センサ22間を往復移動する。
【0148】
このような複数のコイルピース13で構成される加熱コイル10Bにおいても第1温度センサ21による検知範囲を向上できる。
【0149】
なお、第1温度センサ21が、第1加熱領域S10と第2加熱領域S20とが隣接する方向(Y軸方向)に往復移動する例に限定されない。例えば、第1温度センサ21は、Y軸方向又はX軸方向と交差する方向に形成された第1隙間SP11及び第2隙間SP12内を移動してもよい。
【0150】
また、第1加熱領域S10および第2加熱領域S20は平面視において円形状に限定されず、例えば、楕円形状、多角形状であってもよい。または、第2加熱領域は平面視において、第1加熱領域S10と重複する部分を除く扇形状であってもよい。
【0151】
また、第1加熱領域S10及び第2加熱領域S20に配置される複数のコイルピース13は、異なる形状及び/又はサイズを有していてもよい。変形例2のコイルユニット1Bでは、ユーザが大きな鍋を使用するときは、第1加熱領域S10と第2加熱領域S20とを合体させて1つの加熱領域として使用することができる。1つの加熱領域内で第1温度センサ21がY軸方向に往復移動しながら温度を検知するため、加熱領域が広くなっても、温度を広範囲で検知することができる。また、第1加熱領域S10と第2加熱領域S20のいずれか一方を使用することもできる。この場合は、使用する加熱領域内で第1温度センサ21を往復移動させることで、効率よく温度を検知することができる。
【0152】
(変形例3)
図9Aは、変形例3の誘導加熱調理器100Aの概略平面図である。図9Bは、変形例3の第1温度センサ21の動作を示す概略図である。図9A及び図9Bに示すように、誘導加熱調理器100Aは、平面視で楕円形状を有する複数の加熱コイル10Cが間隔を有して配置されている。
【0153】
複数の加熱コイル10Cの間には、第1温度センサ21が移動可能に配置されている。例えば、第1温度センサ21は、平面視で複数の加熱コイル10Cの間を間欠的に移動する。第1温度センサ21は、複数の加熱コイル10C間を任意のパターンで移動することができる。変形例3では、第1温度センサ21は、平面視でX軸方向に往復移動する。
【0154】
平面視で複数の加熱コイル10Cの中心には、それぞれ、第2温度センサ22が配置されている。
【0155】
このような構成においても、少ないセンサ個数で、第1温度センサ21による検知範囲を向上できる。これにより、第1温度センサ21の数を減らし、製造コストを低減できる。
【0156】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
【0157】
本開示は、添付図面を参照しながら好ましい実施の形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本開示の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【0158】
(実施形態の概要)
(1)本開示の誘導加熱調理器は、加熱対象物が載置されるトッププレートと、トッププレートの下方に配置され、加熱対象物を誘導加熱する加熱コイルと、トッププレートの下方に配置され、加熱対象物の温度情報を検知する温度センサと、トッププレートの厚み方向から見て温度センサの位置を変化させる駆動部と、を備える。
【0159】
(2)(1)の誘導加熱調理器において、駆動部は、温度センサを移動させてもよい。
【0160】
(3)(2)の誘導加熱調理器において、駆動部は、トッププレートの厚み方向から見て温度センサを往復移動させてもよい。
【0161】
(4)(1)~(3)のいずれかの誘導加熱調理器において、駆動部は、トッププレートの厚み方向から見て加熱コイルを回転させ、温度センサは、加熱コイルの回転により加熱コイルの回転方向に移動してもよい。
【0162】
(5)(1)~(4)のいずれかの誘導加熱調理器において、温度センサは、赤外線センサを含んでもよい。
【0163】
(6)(1)~(5)のいずれかの誘導加熱調理器において、トッププレートの下面に配置され、加熱対象物の温度情報を検知する接触式の温度センサをさらに含んでもよい。
【0164】
(7)(1)~(6)のいずれかの誘導加熱調理器において、加熱コイルは、第1加熱コイルと、第1加熱コイルと隙間を有して配置される第2加熱コイルと、を含み、温度センサは、第1加熱コイルと第2加熱コイルとの間の隙間に配置されてもよい。
【0165】
(8)(1)~(7)のいずれかの誘導加熱調理器において、温度センサの位置情報を検知する位置センサを更に備えてもよい。
【0166】
(9)(8)の誘導加熱調理器は、加熱コイル及び駆動部を制御する制御部を更に備え、加熱コイルは、複数の加熱コイルを含み、制御部は、温度センサで検知した温度情報と、位置センサで検知した位置情報と、を取得し、取得した温度情報と位置情報とに基づいて駆動部及び複数の加熱コイルを制御してもよい。
【0167】
(10)(8)の誘導加熱調理器は、加熱対象物に関する情報を出力する情報出力部と、情報出力部を制御する制御部と、を更に備え、制御部は、温度センサで検知した温度情報と、位置センサで検知した位置情報と、を取得し、温度情報と位置情報とに基づいて加熱対象物に関する情報を作成し、加熱対象物に関する情報を情報出力部に送信してもよい。
【0168】
(11)(10)の誘導加熱調理器において、制御部は、温度情報と位置情報とに基づいて、加熱対象物の位置ずれ又は異常発熱のうち少なくとも1つを含む異常状態を判定し、異常状態に関する情報を情報出力部に送信し、情報出力部は、異常状態に関する情報を出力してもよい。
【0169】
(12)(10)の誘導加熱調理器において、制御部は、温度情報と位置情報とに基づいて、加熱対象物の位置ずれ又は異常発熱のうち少なくとも1つを含む異常状態を判定し、異常状態に基づいて異常状態を改善する改善情報を作成し、改善情報を情報出力部に送信し、情報出力部は、改善情報を出力してもよい。
【0170】
(13)(1)の誘導加熱調理器において、加熱コイルは、トッププレートの厚み方向から見て隙間を有して配置される複数のコイルピースを含み、温度センサは、複数のコイルピースの隙間に配置され、駆動部は、複数のコイルピースの隙間内において温度センサを移動させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本開示の誘導加熱調理器は、加熱対象物を誘導加熱する加熱調理器に適用可能である。
【符号の説明】
【0172】
1,1A,1B コイルユニット
2 トッププレート
3 筐体
10,10A,10B,10C 加熱コイル
11A 第1加熱コイル
11B 第2加熱コイル
12 加熱コイル
13 コイルピース
21 温度センサ(第1温度センサ)
21A,21B,21C,21D 赤外線センサ
22 温度センサ(第2温度センサ)
23 駆動部
30 制御部
31 位置センサ
32 情報出力部
100,100A 誘導加熱調理器
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B