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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156908
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】接続具及び移動装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 9/00 20060101AFI20231018BHJP
   A62B 35/00 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B65G9/00
A62B35/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066563
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】502052631
【氏名又は名称】湘栄産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】金谷 修一
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA05
2E184KA04
2E184LA17
(57)【要約】
【課題】ロープに沿って対象物を移動させる際に用いることができ、利便性を向上させることが可能となる接続具を提供する。
【解決手段】接続具1は、対象物8を取り付けるための取付部2と、第2方向Yに離間して取付部2に設けられるとともに第3方向Zに延びる第1軸部3と第2軸部4と、第1軸部3を中心に回転可能であるとともに第1軸部3の径方向外側に延びる複数の第1羽根部5と、第2軸部4を中心に回転可能であるとともに第2軸部4の径方向外側に延びる複数の第2羽根部6と、を備える。第1羽根部5は、第1軸部3の径方向外側の先端部に形成される第1切欠部51を有し、第2羽根部6は、第2軸部4の径方向外側の先端部に形成される第2切欠部61を有する。第2羽根部6は、隣接する2つの第1羽根部5の間に配置されるとともに第1羽根部5と離間される。第1切欠部51と第2切欠部61は、第3方向Zにおいて同じ位置に配置される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延伸するロープに沿って対象物を移動させる際に用いられ、前記ロープと、前記対象物と、を接続するための接続具であって、
前記対象物を取り付けるための取付部と、
前記第1方向に交わる第2方向に離間して前記取付部に設けられるとともに前記第1方向と前記第2方向とに交わる第3方向に延びる第1軸部と第2軸部と、
前記第1軸部を中心に回転可能であるとともに前記第1軸部の径方向外側に延びる複数の第1羽根部と、
前記第2軸部を中心に回転可能であるとともに前記第2軸部の径方向外側に延びる複数の第2羽根部と、を備え、
前記第1羽根部は、前記第1軸部の径方向外側の先端部に形成される第1切欠部を有し、
前記第2羽根部は、前記第2軸部の径方向外側の先端部に形成される第2切欠部を有し、
前記第2羽根部は、隣接する2つの前記第1羽根部の間に配置されるとともに隣接する2つの前記第1羽根部の少なくとも一方と離間され、
前記第1切欠部と前記第2切欠部は、前記第3方向において同じ位置に配置されること
を特徴とする接続具。
【請求項2】
前記取付部は、
前記第1軸部が設けられる第1基板部と、
前記第2軸部が設けられるとともに前記第1基板部とは別体の第2基板部と、
前記第1基板部と前記第2基板部とを連結可能な連結具と、を有すること
を特徴とする請求項1記載の接続具。
【請求項3】
前記第1軸部は、前記第1方向に離間して一対配置され、
前記第2軸部は、前記第1方向に離間して一対配置され、
前記取付部は、一対の前記第1軸部の間に前記対象物を掛け止めるための掛け止め部を有すること
を特徴とする請求項1又は2記載の接続具。
【請求項4】
前記対象物は、安全帯であること
を特徴とする請求項1又は2記載の接続具。
【請求項5】
前記対象物は、資材及び荷物の少なくとも何れかであること
を特徴とする請求項1又は2記載の接続具。
【請求項6】
第1方向に延伸するロープに沿って対象物を移動させる際に用いられる移動装置であって、
前記ロープと、
前記ロープを支持する支持具と、
前記ロープと前記対象物とを接続する接続具と、を備え、
前記接続具は、
前記対象物を取り付けるための取付部と、
前記第1方向に交わる第2方向に離間して前記取付部に設けられるとともに前記第1方向と前記第2方向とに交わる第3方向に延びる第1軸部と第2軸部と、
前記第1軸部を中心に回転可能であるとともに前記第1軸部の径方向外側に延びる複数の第1羽根部と、
前記第2軸部を中心に回転可能であるとともに前記第2軸部の径方向外側に延びる複数の第2羽根部と、を有し、
前記ロープは、前記第1軸部と前記第2軸部との間に配置され、
前記第1羽根部は、前記第1軸部の径方向外側の先端部に形成される第1切欠部を有し、
前記第2羽根部は、前記第2軸部の径方向外側の先端部に形成される第2切欠部を有し、
前記第2羽根部は、隣接する2つの前記第1羽根部の間に配置されるとともに隣接する2つの前記第1羽根部の少なくとも一方と離間され、
前記第1切欠部と前記第2切欠部は、前記第3方向において同じ位置に配置されるとともに前記ロープが配置されること
を特徴とする移動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば工事現場や倉庫等において安全帯、資材、荷物等をロープに沿って移動させる際に用いられる接続具及び移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工事現場で重量物である資材を運搬する際に用いられる移動装置技術として、特許文献1が開示されている。
【0003】
特許文献1の資材移動装置は、スライドレールと、構造物に取付けられて下方に延び、下端部側に前記スライドレールを高さ調整可能に吊り下げる吊り部材と、前記スライドレールの前記左右一対のリップ溝形鋼の溝内に位置しその溝に沿って走行可能な左右一対の車輪を有し、当該車輪を介して前記スライドレールの下方に吊り下げられる移動体と、を含んで構成され、前記移動体は、資材を吊り下げて、前記スライドレールに沿って移動可能であることを特徴とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-218346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の開示技術では、移動体がスライドレールに沿って移動する。このため、重量物であるスライドレールの設置に時間がかかる。したがって、利便性が低いという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、ロープに沿って対象物を移動させる際に用いることができ、利便性を向上させることが可能となる接続具及び移動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明に係る接続具は、第1方向に延伸するロープに沿って対象物を移動させる際に用いられ、前記ロープと、前記対象物と、を接続するための接続具であって、前記対象物を取り付けるための取付部と、前記第1方向に交わる第2方向に離間して前記取付部に設けられるとともに前記第1方向と前記第2方向とに交わる第3方向に延びる第1軸部と第2軸部と、前記第1軸部を中心に回転可能であるともに前記第1軸部の径方向外側に延びる複数の第1羽根部と、前記第2軸部を中心に回転可能であるとともに前記第2軸部の径方向外側に延びる複数の第2羽根部と、を備え、前記第1羽根部は、前記第1軸部の径方向外側の先端部に形成される第1切欠部を有し、前記第2羽根部は、前記第2軸部の径方向外側の先端部に形成される第2切欠部を有し、前記第2羽根部は、隣接する2つの前記第1羽根部の間に配置されるとともに隣接する2つの前記第1羽根部の少なくとも一方と離間され、前記第1切欠部と前記第2切欠部は、前記第3方向において同じ位置に配置されることを特徴とする。
【0008】
第2発明に係る接続具は、第1発明において、前記取付部は、前記第1軸部が設けられる第1基板部と、前記第2軸部が設けられるとともに前記第1基板部とは別体の第2基板部と、前記第1基板部と前記第2基板部とを連結可能な連結具と、を有することを特徴とする。
【0009】
第3発明に係る接続具は、第1発明又は第2発明において、前記第1軸部は、前記第1方向に離間して一対配置され、前記第2軸部は、前記第1方向に離間して一対配置され、前記取付部は、一対の前記第1軸部の間に前記対象物を掛け止めるための掛け止め部を有することを特徴とする。
【0010】
第4発明に係る接続具は、第1発明又は第2発明において、前記対象物は、安全帯であることを特徴とする。
【0011】
第5発明に係る接続具は、第1発明又は第2発明において、前記対象物は、資材及び荷物の少なくとも何れかであることを特徴とする。
【0012】
第6発明に係る移動装置は、第1方向に延伸するロープに沿って対象物を移動させる際に用いられる移動装置であって、前記ロープと、前記ロープを支持する支持具と、前記ロープと前記対象物とを接続する接続具と、を備え、前記接続具は、前記対象物を取り付けるための取付部と、前記第1方向に交わる第2方向に離間して前記取付部に設けられるとともに前記第1方向と前記第2方向とに交わる第3方向に延びる第1軸部と第2軸部と、前記第1軸部を中心に回転可能であるとともに前記第1軸部の径方向外側に延びる複数の第1羽根部と、前記第2軸部を中心に回転可能であるとともに前記第2軸部の径方向外側に延びる複数の第2羽根部と、を有し、前記ロープは、前記第1軸部と前記第2軸部との間に配置され、前記第1羽根部は、前記第1軸部の径方向外側の先端部に形成される第1切欠部を有し、前記第2羽根部は、前記第2軸部の径方向外側の先端部に形成される第2切欠部を有し、前記第2羽根部は、隣接する2つの前記第1羽根部の間に配置されるとともに隣接する2つの前記第1羽根部の少なくとも一方と離間され、前記第1切欠部と前記第2切欠部は、前記第3方向において同じ位置に配置されるとともに前記ロープが配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
第1発明~第6発明によれば、第1軸部を中心に回転可能である第1羽根部と、第2軸部を中心に回転可能である第2羽根部とを有し、第1切欠部と第2切欠部は、第3方向において同じ位置に配置される。これにより、第1切欠部と第2切欠部とをロープに第2方向の両側から保持させることができる。また、第1羽根部と第2羽根部とを回転させることで、ロープに沿って対象物を移動させることができる。このため、従来のようにレールを設置する手間が不要となる。その結果、利便性を向上させることが可能となる。
【0014】
また、第1発明~第6発明によれば、第2羽根部は、隣接する2つの第1羽根部の間に配置されるとともに隣接する2つの第1羽根部の少なくとも一方と離間される。これにより、接続具を第1方向に移動させたとき、第1羽根部と第2羽根部との間に形成される隙間に、支持具を配置することができる。したがって、接続具を第1方向に移動させたとき、第1羽根部と第2羽根部とがロープを支持する支持具を通過することができる。このため、ロープに沿って対象物を移動させる際に、ロープを支持する支持具に阻害されることなく、円滑に移動させることが可能となる。
【0015】
特に、第2発明によれば、取付部は、第1軸部が設けられる第1基板部と、第2軸部が設けられるとともに第1基板部とは別体の第2基板部と、第1基板部と第2基板部とを連結可能な連結具と、を有する。これにより、接続具をロープに取り付ける際に、第1基板部と第2基板部とを連結具により連結することにより、第1切欠部と第2切欠部とをロープに第2方向の両側から保持させることができる。このため、接続具をロープに容易に取り付けることが可能となる。
【0016】
特に、第3発明によれば、第1軸部は、第1方向に離間して一対配置され、第2軸部は、第1方向に離間して一対配置され、取付部は、一対の第1軸部の間に安全帯のフックを掛け止めるための掛け止め部を有する。これにより、掛け止め部を挟んで第1方向の両側に第1切欠部と第2切欠部が配置される。このため、第1切欠部と第2切欠部によるロープの保持を安定化させることが可能となる。
【0017】
特に、第4発明によれば、対象物は、安全帯である。これにより、作業者が作業場所を移動する際に、安全帯のフックの掛け替えが不要となる。このため、高所で作業する作業者の負担を低減することが可能となる。また、ロープを親綱として、移動装置を安全装置として機能させることができる。
【0018】
特に、第5発明によれば、対象物は、資材及び荷物の少なくとも何れかである。これにより、作業者が作業場所を移動する際に、作業者が資材や荷物を持って移動する必要がない。このため、作業者の負担を低減することが可能となる。また、移動装置を資材や荷物を運搬する運搬装置として機能させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態における移動装置の一例を示す正面図である。
図2図2は、実施形態における支持具の一例を示す斜視図である。
図3図3は、実施形態における移動装置の一例を示す正面図である。
図4図4は、実施形態における接続具の一例を示す斜視図である。
図5図5は、実施形態における接続具の一例を示す平面図である。
図6図6は、実施形態における移動装置の使用方法の一例を示す側面図である。
図7図7は、実施形態における移動装置の使用方法の一例を示す平面図である。
図8図8は、実施形態における移動装置の使用方法の一例を示す平面図である。
図9図9は、実施形態における移動装置の使用方法の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を適用した接続具及び移動装置を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、ロープ7の延伸方向を第1方向Xとし、第1方向Xに交わる方向を第2方向Yとし、第1方向Xと第2方向Yとに交わる方向を第3方向Zとする。以下の実施形態では、第3方向Zは、上下方向である。
【0021】
図1に示すように、移動装置100は、第1方向Xに延伸するロープ7に沿って対象物を移動させる際に用いられる。移動装置100は、例えば工事現場、倉庫等に設置される。移動装置100は、ロープ7と、ロープ7を支持する支持具71と、ロープ7と対象物8を接続する接続具1と、を備える。
【0022】
対象物8は、例えば安全帯80である。安全帯80は、作業者が着用する安全帯本体部81と、安全帯本体部81からロープを介して接続されるフック82と、を有する。このほか、対象物8は、工事等で使用される資材であってもよい。資材は、工具や部材等を収容する容器を含む。対象物8は、倉庫等に保管される荷物であってもよい。
【0023】
ロープ7は、第1方向Xに延伸する。ロープ7は、例えば鋼製のロープが用いられる。ロープ7は、ナイロン等の合成繊維製のロープであってもよい。ロープ7は、絶縁性を有することが好ましい。これにより、移動装置100が鉄道の架線工事等において用いられる場合であっても、架線とロープ7との間での放電を防止することができる。
【0024】
支持具71は、第1方向Xで離間して複数配置される。支持具71は、図示しないクランプ等の固定具を介して単管パイプ72に固定される。単管パイプ72は、図示しない固定具を介して支柱73に固定される。
【0025】
図2に示すように、支持具71は、ロープ7を支持する。支持具71は、例えば第3方向Zに延びる丸環ボルトが用いられ、丸環部分にロープ7が貫通される。
【0026】
図3図4及び図5に示すように、接続具1は、取付部2と、第1軸部3と、第2軸部4と、第1羽根部5と、第2羽根部6と、を備える。
【0027】
取付部2は、安全帯80のフック82を取り付ける。取付部2は、基板部21と、貫通ボルト22と、掛け止め部23と、を有する。取付部2は、後述する一対の第1軸部3の間に掛け止め部23を有する。
【0028】
基板部21は、板状に形成される。基板部21の中央には第3方向Zに開口した開口部が形成される。貫通ボルト22は、基板部21の側面を貫通する。貫通ボルト22の先端にはナットが螺合される。貫通ボルト22の中央部は、基板部21の開口部に配置される。掛け止め部23は、安全帯80のフック82が掛け止められる。掛け止め部23は、例えばU字環が用いられ、貫通ボルト22に接続される。
【0029】
第1軸部3は、例えばボルトが用いられ、取付部2に設けられる。第1軸部3は、第3方向Zに延びる。第1軸部3は、第1方向Xに離間して取付部2に一対配置される。第1軸部3は、基板部21を第3方向Zに貫通し、基板部21を挟んで両側にナット31が設けられる。
【0030】
第2軸部4は、例えばボルトが用いられ、取付部2に設けられる。第2軸部4は、第3方向Zに延びる。第2軸部4は、第1方向Xに離間して取付部2に一対配置される。第2軸部4は、基板部21を第3方向Zに貫通し、基板部21を挟んで両側にナット41が設けられる。
【0031】
第1軸部3と第2軸部4は、第2方向Yに離間して配置される。第1軸部3と第2軸部4の間には、ロープ7が配置される。第1軸部3及び第2軸部4は、基板部21に脱着可能である。
【0032】
第1羽根部5は、第1軸部3を中心に回転可能である。第1羽根部5は、第1軸部3の径方向外側に延びて形成され、放射状に複数(図示では6つ)略等間隔に配置される。第1羽根部5は、第3方向Zにおいて基板部21を挟んで安全帯80のフック82の反対側に配置される。
【0033】
第2羽根部6は、第2軸部4を中心に回転可能である。第2羽根部6は、第2軸部4の径方向外側に延びて形成され、放射状に複数(図示では6つ)略等間隔に配置される。第2羽根部6は、第3方向Zにおいて基板部21を挟んで安全帯80のフック82の反対側に配置される。
【0034】
第2羽根部6は、隣接する2つの第1羽根部5の間に配置される。これにより、第1軸部3と第2軸部4とが回転したとき、第1羽根部5と第2羽根部6とが順次交互に歯車のように噛み合うようになる。第2羽根部6は、隣接する2つの第1羽根部5の少なくとも何れかと離間される。これにより、第1羽根部5と第2羽根部6との間には隙間が形成される。
【0035】
第1羽根部5は、第1軸部3の径方向外側の先端部に、例えば半円形状に切り欠いて形成される第1切欠部51を有する。第2羽根部6は、第2軸部4の径方向外側の先端部に、例えば半円形状に切り欠いて形成される第2切欠部61を有する。第1切欠部51と第2切欠部61は、第3方向Zにおいて同じ位置に配置される。
【0036】
接続具1をロープ7に脱着する際には、第1軸部3及び第1羽根部5を基板部21に脱着すればよい。または、第2軸部4及び第2羽根部6を基板部21に脱着してもよい。または、ロープ7の第1方向Xの端部を、第1切欠部51と第2切欠部61に挿入するように配置してもよい。
【0037】
次に、移動装置100の使用方法の一例について説明する。
【0038】
移動装置100の使用方法では、予め支持具71を第1方向Xに複数設置する。そして、複数の支持具71に第1方向Xに延伸するロープ7を支持させる。
【0039】
次に、図6に示すように、第3方向Zにおいて互いに同じ位置に配置される第1切欠部51及び第2切欠部61をロープ7に配置し、接続具1をロープ7に取り付ける。これにより、第1切欠部51と第2切欠部61とをロープ7に第2方向Yの両側から保持させ、接続具1をロープ7に取り付けることができる。接続具1をロープ7に取り付ける際には、例えば第1軸部3及び第2軸部4の少なくとも何れかを基板部21から取り外す。そして、第1切欠部51と第2切欠部61とをロープ7に第2方向Yの両側に配置する。そして、取り外されていた第1軸部3及び第2軸部4の少なくとも何れかを基板部21に取り付ければよい。
【0040】
次に、取付部2に安全帯80のフック82を取り付ける。このとき、取付部2の掛け止め部23にフック82を掛け止める。また、作業者は、安全帯本体部81を着用する。
【0041】
図7に示すように、取付部2に安全帯80のフック82を取り付けたとき、例えば一対の第1軸部3の間よりも第1方向Xの外側に、支持具71が配置されるとする。
【0042】
取付部2に第1軸部3と第2軸部4とが設けられることにより、安全帯80を着用した作業者が第1方向Xに移動したとき、第1羽根部5は第1軸部3を中心に回転し、第2羽根部6は第2軸部4を中心に回転する。作業者の第1方向Xへの移動に伴って、第1羽根部5と第2羽根部6とを回転させることにより、第1切欠部51と第2切欠部61とをロープ7に保持させながら、接続具1をロープ7に沿って第1方向Xに移動させることができる。
【0043】
そして、図8に示すように、第2羽根部6は、隣接する2つの第1羽根部5の間に配置されるとともに隣接する2つの第1羽根部5の少なくとも一方と離間される。これにより、接続具1を第1方向Xに移動させたとき、第1羽根部5と第2羽根部6との間に形成される隙間に支持具71を配置することができる。
【0044】
そして、図9に示すように、接続具1を更に第1方向Xに移動させたとき、一対の第1軸部3の間に支持具71が配置される。
【0045】
このように、接続具1を第1方向Xに移動させたとき、第1羽根部5と第2羽根部6とがロープ7を支持する支持具71を通過することができる。このため、ロープ7に沿って対象物8を移動させる際に、支持具71に阻害されることなく、円滑に移動させることが可能となる。特に、対象物8が安全帯80である場合には、作業者が移動したとしても、安全帯80のフック82の掛け替えが不要となる。
【0046】
また、第1切欠部51と第2切欠部61とがロープ7に保持されるため、接続具1を第1方向Xに移動させたとき、接続具1がロープ7から脱落するのを防止することができる。
【0047】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0048】
本実施形態によれば、第1軸部3を中心に回転可能である第1羽根部5と、第2軸部4を中心に回転可能である第2羽根部6とを有し、第1切欠部51と第2切欠部61は、第3方向Zにおいて同じ位置に配置される。これにより、第1切欠部51と第2切欠部61とをロープ7に第2方向Yの両側から保持させることができる。また、第1羽根部5と第2羽根部6とを回転させることで、ロープ7に沿って対象物8を移動させることができる。このため、従来のようにレールを設置する手間が不要となる。その結果、利便性を向上させることが可能となる。
【0049】
本実施形態によれば、第2羽根部6は、隣接する2つの第1羽根部5の間に配置されるとともに隣接する2つの第1羽根部5の少なくとも一方と離間される。これにより、接続具1を第1方向Xに移動させたとき、第1羽根部5と第2羽根部6との間に形成される隙間に、支持具71を配置することができる。したがって、接続具1を第1方向Xに移動させたとき、第1羽根部5と第2羽根部6とがロープ7を支持する支持具71を通過することができる。このため、ロープに沿って対象物を移動させる際に、支持具71に阻害されることなく、円滑に移動させることが可能となる。
【0050】
また、本実施形態によれば1つの接続具1に安全帯80のフック82等の対象物8を取り付ければよい。これにより、部材点数を削減できる。このため、経済性を向上させることが可能となる。
【0051】
本実施形態によれば、第1軸部3は、第1方向Xに離間して一対配置され、第2軸部4は、第1方向Xに離間して一対配置され、取付部2は、一対の第1軸部3の間に対象物8を掛け止めるための掛け止め部23を有する。これにより、掛け止め部23を挟んで第1方向Xの両側に第1切欠部51と第2切欠部61が配置される。このため、第1切欠部51と第2切欠部61によるロープ7の保持を安定化させることが可能となる。
【0052】
従来、安全帯を着用した作業者が親綱を支持する支柱を跨いで作業場所を移動する際には、支柱を跨ぐ度に安全帯を掛け替える必要があり、作業者の負担が大きかった。この点、本実施形態によれば、対象物8は、安全帯80である。これにより、作業者が作業場所を移動する際に、安全帯80のフック82の掛け替えが不要となる。このため、高所で作業する作業者の負担を低減することが可能となる。また、移動装置100をロープ7を親綱とした安全装置として機能させることができる。
【0053】
本実施形態によれば、対象物8は、資材及び荷物の少なくとも何れかである。これにより、作業者が作業場所を移動する際に、作業者が資材や荷物を持って移動する必要がない。このため、作業者の負担を低減することが可能となる。また、移動装置100を資材や荷物を運搬する運搬装置として機能させることができる。
【0054】
上述した実施形態では、1つの基板部21に第1軸部3と第2軸部4とが設けられたが、本発明では、複数の基板部21が連結可能に構成されてもよい。このとき、例えば取付部2は、第1軸部3が設けられる第1の基板部21と、第2軸部4が設けられるとともに第1の基板部21とは別体の第2の基板部21と、第1の基板部21と第2の基板部21とを連結可能な連結具と、を有する。第1の基板部21と第2の基板部21とは、例えばボルト等の連結可能な連結具を用いて脱着可能に構成される。このように、互いに分割されて構成される第1の基板部21と第2の基板部21と、を連結具により連結することができる。これにより、接続具1をロープ7に取り付ける際に、第1の基板部21と第2の基板部21とを連結具により連結することにより、第1切欠部51と第2切欠部61とをロープ7に第2方向Yの両側から保持させることができる。このため、接続具1をロープ7に容易に取り付けることができる。
【0055】
以上、この発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、この発明は、上記の実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0056】
100 :移動装置
1 :接続具
2 :取付部
21 :基板部
22 :貫通ボルト
23 :掛け止め部
3 :第1軸部
31 :ナット
4 :第2軸部
41 :ナット
5 :第1羽根部
51 :第1切欠部
6 :第2羽根部
61 :第2切欠部
7 :ロープ
71 :支持具
72 :単管パイプ
73 :支柱
8: :対象物
80 :安全帯
81 :安全帯本体部
82 :フック
X :第1方向
Y :第2方向
Z :第3方向
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9