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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156909
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ゴルフボール用マーキング器具
(51)【国際特許分類】
   A63B 45/02 20060101AFI20231018BHJP
   A63B 57/00 20150101ALI20231018BHJP
   A63B 102/32 20150101ALN20231018BHJP
【FI】
A63B45/02
A63B57/00
A63B102:32
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066564
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】398022279
【氏名又は名称】株式会社アルペン
(74)【代理人】
【識別番号】100129698
【弁理士】
【氏名又は名称】武川 隆宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 充
(72)【発明者】
【氏名】島崎 雅弘
(57)【要約】
【課題】 ゴルフボールを2等分し途切れることなく全周に及ぶラインを正確かつ簡単に記すことができるゴルフボール用マーキング器具を提供すること。
【解決手段】
本発明は、ゴルフボールを2等分する位置付近までのみ入る深さを備えた半球面状部fを有するホールド部材1を2個備え、当該半球面状部fが、ゴルフボールの外面と接するように、その内径がゴルフボールの直径とほぼ同一であり、さらに、ゴルフボールを2等分する位置の両側に前記2個のホールド部材1を接近させて配置してゴルフボールを挟み込んで保持したり、当該2個のホールド部材1を引き離して開きゴルフボールを出し入れできるように、当該2個のホールド部材1を相対移動させる柄部2を有し、前記半球面状部fの円環状の縁1aによってマーキング用の隙間Smを得るゴルフボール用マーキング器具Tである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフボールを2等分する位置付近までのみ入れることができる深さを備えた半球面状部を有するホールド部材を2個備えたゴルフボール用マーキング器具であって、
当該半球面状部は、ゴルフボールの外面と接するように、その内径がゴルフボールの直径とほぼ同一であり、
ゴルフボールを2等分する位置の両側に前記2個のホールド部材を接近させて配置してゴルフボールを挟み込んで保持したり、当該2個のホールド部材を引き離して開きゴルフボールを出し入れすることができるように、当該2個のホールド部材を相対移動させることができる柄部を有し、
前記2個のホールド部材を接近させた際に、前記半球面状部の開口部に形成される円環状の縁によって生じるマーキング用の隙間に沿ってゴルフボールを2等分し、途切れることなく全周に及ぶラインを記すことができるようにしたことを特徴とするゴルフボール用マーキング器具。
【請求項2】
前記ホールド部材のそれぞれの前記半球面状部には、互いに異なるパターンのマーキング用のスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール用マーキング器具。
【請求項3】
ゴルフボールを2等分する位置付近までのみ入れることができる内径を備えた円環状の縁を有するホールド部材を2個備えたゴルフボール用マーキング器具であって、
ゴルフボールを2等分する位置の両側に前記2個のホールド部材を接近させて配置してゴルフボールを挟み込んで保持したり、当該2個のホールド部材を引き離して開きゴルフボールを出し入れすることができるように、当該2個のホールド部材を相対移動させることができる柄部を有し、
前記2個のホールド部材を接近させた際にそれらの円環状の縁によって生じるマーキング用の隙間に沿ってゴルフボールを2等分し、途切れることなく全周に及ぶラインを記すことができるようにしたことを特徴とするゴルフボール用マーキング器具。
【請求項4】
前記柄部は、先端側が各ホールド部材に固定されており、基端側が共通の回転中心にて互いに相対回動可能に軸支されており、かつ、前記マーキング用の隙間は1mm以上であることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のゴルフボール用マーキング器具。
【請求項5】
前記柄部は、2個の前記ホールド部材によってゴルフボールを挟み込んで保持した状態において、前記マーキング用の隙間を介してペン先がゴルフボールに届くための空間を確保できるように互いに離間しており、かつ、それらを相対移動可能に支持する部分が、ペンに干渉しないように、前記ホールド部材の円環状の縁からも離間していることを特徴とする請求項1又は3に記載のゴルフボール用マーキング器具。
【請求項6】
前記柄部は、先端側が各ホールド部材に固定されており、その固定部と相対移動可能に支持する部分との間の外面に指と対応する凹部を備えていることを特徴とする請求項1又は3に記載のゴルフボール用マーキング器具。
【請求項7】
前記半球面状部がゴルフボールと接する内面には、前記スリットの近傍に沿った凸部が形成されているか、前記スリットの縁にペン先が沿うようにガイドするための立ち面が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のゴルフボール用マーキング器具。
【請求項8】
前記マーキング用の隙間に面する前記円環状の縁には、ペン先が沿うようにガイドするための立ち面が形成されている、又は、ゴルフボールとの間にクリアランスが形成されることを特徴とする請求項1又は3に記載のゴルフボール用マーキング器具。
【請求項9】
2個のホールド部材を接近させて配置してゴルフボールを挟み込んで保持したり、当該2個のホールド部材を引き離して開きゴルフボールを出し入れすることができるように、当該2個のホールド部材を相対移動させることができる柄部を有するゴルフボール用マーキング器具であって、
前記少なくとも一方のホールド部材は、ゴルフボールを2等分する位置付近までのみゴルフボールを入れることができる円環状の縁を有し、
前記2個のホールド部材によってゴルフボールを挟み込んだ際に、前記一方のホールド部材の円環状の縁に沿ってゴルフボールを2等分し、途切れることなく全周に及ぶラインを記すことができるようにしたことを特徴とするゴルフボール用マーキング器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールの表面に直線などを記すために使用されるゴルフボール用マーキング器具に関するものであり、さらに詳細には、ゴルフボールを2等分し途切れることなく全周に及ぶライン(赤道に相当する中心線)を正確かつ簡単に記すことができるゴルフボール用マーキング器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ゴルフのプレーに際しては、目標方向を明確に認識して構え、ゴルフボールを正しい方向へ打ちやすくするために、ゴルフボールに直線などの種々のラインやマークを記すことが行われており、そのようなラインやマークを記すためのゴルフボール用マーキング器具が種々提案されている(特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3138076号公報
【特許文献2】実開昭61-45964号公報
【特許文献3】米国特許第6,216,587号公報
【特許文献4】実開昭63-93963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のゴルフボール用マーキング器具として、ゴルフボールの表面に沿うような半球面を有するステンシル(型)を採用しているものなどがあるが、ゴルフボールを2等分し途切れることなく全周に及ぶラインを記すことには対応できていなかった。
例えば、特許文献1に記載のゴルフボール用マーキング器具においては、ゴルフボールの半分以上の部分が器具内に入ってしまうため、ゴルフボールを2等分する位置にラインを記すことはできない。
ゴルフボールを2等分し途切れることなく全周に及ぶラインは、目標方向を強く意識することができ、打球後においてはゴルフボールが転がる状態を確認しやすいという効果もあり、非常に有益なものである。そこで、そのようなラインを正確かつ簡単に記すことができるゴルフボール用マーキング器具を提供したいという課題があった。
また、従来のゴルフボール用マーキング器具においては、ゴルフボールに記すことができるラインの種類が少なく、ゴルフボールに記すことができるラインのバリエーションを豊富にしたいという課題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、ゴルフボールを安定的に保持した状態にてゴルフボールを2等分し途切れることなく全周に及ぶラインを正確かつ簡単に記すことができるゴルフボール用マーキング器具を提供することにある。
本発明の他の目的は、ゴルフボールに記すことができるラインのバリエーションを豊富にすることができるゴルフボール用マーキング器具を提供することにある。
さらに、本発明の他の目的は、持ちやすいゴルフボール用マーキング器具を提供すること、及び、ゴルフボールに記されたラインが滲むことを防止することができるゴルフボール用マーキング器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、「ゴルフボールを2等分する位置付近までのみ入れることができる深さを備えた半球面状部を有するホールド部材を2個備えたゴルフボール用マーキング器具であって、当該半球面状部は、ゴルフボールの外面と接するように、その内径がゴルフボールの直径とほぼ同一であり、ゴルフボールを2等分する位置の両側に前記2個のホールド部材を接近させて配置してゴルフボールを挟み込んで保持したり、当該2個のホールド部材を引き離して開きゴルフボールを出し入れすることができるように、当該2個のホールド部材を相対移動させることができる柄部を有し、前記2個のホールド部材を接近させた際に、前記半球面状部の開口部に形成される円環状の縁によって生じるマーキング用の隙間に沿ってゴルフボールを2等分し、途切れることなく全周に及ぶラインを記すことができるようにしたゴルフボール用マーキング器具」を最も主要な特徴とするものである。
【0007】
(2)本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記ホールド部材のそれぞれの前記半球面状部には、互いに異なるパターンのマーキング用のスリットが形成されているものであってもよい。
(3)さらに、本発明は、「ゴルフボールを2等分する位置付近までのみ入れることができる内径を備えた円環状の縁を有するホールド部材を2個備えたゴルフボール用マーキング器具であって、ゴルフボールを2等分する位置の両側に前記2個のホールド部材を接近させて配置してゴルフボールを挟み込んで保持したり、当該2個のホールド部材を引き離して開きゴルフボールを出し入れすることができるように、当該2個のホールド部材を相対移動させることができる柄部を有し、前記2個のホールド部材を接近させた際にそれらの円環状の縁によって生じるマーキング用の隙間に沿ってゴルフボールを2等分し、途切れることなく全周に及ぶラインを記すことができるようにしたことを特徴とするゴルフボール用マーキング器具」であってもよい。
(4)本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記柄部は、先端側が各ホールド部材に固定されており、基端側が共通の回転中心にて互いに相対回動可能に軸支されており、かつ、前記マーキング用の隙間は1mm以上であるものであるとよい。
【0008】
(5)本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記柄部は、2個の前記ホールド部材によってゴルフボールを挟み込んで保持した状態において、前記マーキング用の隙間を介してペン先がゴルフボールに届くための空間を確保できるように互いに離間しており、かつ、それらを相対移動可能に支持する部分が、ペンに干渉しないように、前記ホールド部材の円環状の縁からも離間しているものであるとよい。
(6)本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記柄部は、先端側が各ホールド部材に固定されており、その固定部と相対移動可能に支持する部分との間の外面に指と対応する凹部を備えているものであってもよい。
(7)本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記半球面状部がゴルフボールと接する内面には、前記スリットの近傍に沿った凸部が形成されているか、前記スリットの縁にペン先が沿うようにガイドするための立ち面が形成されていてもよい。
(8)本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記マーキング用の隙間に面する前記円環状の縁には、ペン先が沿うようにガイドするための立ち面が形成されている、又は、ゴルフボールとの間にクリアランスが形成されるものであってもよい。
(9)本発明は、2個のホールド部材を接近させて配置してゴルフボールを挟み込んで保持したり、当該2個のホールド部材を引き離して開きゴルフボールを出し入れすることができるように、当該2個のホールド部材を相対移動させることができる柄部を有するゴルフボール用マーキング器具であって、前記少なくとも一方のホールド部材は、ゴルフボールを2等分する位置付近までのみゴルフボールを入れることができる円環状の縁を有し、前記2個のホールド部材によってゴルフボールを挟み込んだ際に、前記一方のホールド部材の円環状の縁に沿ってゴルフボールを2等分し、途切れることなく全周に及ぶラインを記すことができるようにしたゴルフボール用マーキング器具であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
(1)上記のように構成した本発明のゴルフボール用マーキング器具においては、柄部を操作して2個のホールド部材を開き、半球面状部にゴルフボールを入れ、そのゴルフボールを挟むようにホールド部材を閉じることで、当該ゴルフボールが動かないように保持しつつ、ゴルフボールの赤道に相当する中心線付近が半球面状部の外部に露出する状態とすることができる。そこで、それらの2個の前記ホールド部材の前記半球面状部の開口部に形成される円環状の縁によって生じるマーキング用の隙間に沿って、ゴルフボールを2等分し途切れることなく全周に及ぶライン(赤道に相当する中心線)を簡単かつ確実に記すことができる。
【0010】
(2)また、本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記ホールド部材のそれぞれの前記半球面状部に互いに異なるパターンのマーキング用のスリットが形成されている場合には、2つの半球面状部に挟まれるようにしてホールド部材に入れられたゴルフボールに対し、ゴルファーの好みに応じ、打球の際に目標方向を正しく確認しやすくする各種のラインを多くのバリエーションの中から選択して記すことができる。
(3)本発明のゴルフボール用マーキング器具においては、柄部を操作して2個のホールド部材を開き、その円環状の縁の内側にゴルフボールを入れ、そのゴルフボールを挟むようにホールド部材を閉じることで、当該ゴルフボールが動かないように保持しつつ、ゴルフボールの赤道に相当する中心線付近が円環状の縁の外部に露出する状態とすることができる。そこで、それらの2個の前記ホールド部材の前記円環状の縁によって生じるマーキング用の隙間に沿って、ゴルフボールを2等分し途切れることなく全周に及ぶライン(赤道に相当する中心線)を簡単かつ確実に記すことができる。
(4)本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記柄部の先端側が各ホールド部材に固定されており、基端側が共通の回転中心にて互いに相対回動可能に軸支されている場合には、柄部を操作することでホールド部材の開閉を簡単かつ迅速に行うことができる。
また、本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記マーキング用の隙間が1mm以上ある場合には、ペン(マーカー)によって視認しやすいラインを確実に記すことができる。
【0011】
(5)本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記柄部が互いに離間してペン先と干渉しないようにされている場合には、ゴルフボールを2等分し途切れることなく全周に及ぶラインを正確かつ確実に記すことができる。
(6)本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記柄部の外面に指と対応する凹部を備えている場合には、柄部を指によって押さえやすく、ゴルフボールを強く確実に保持することができ、ゴルフボールを2等分し途切れることなく全周に及ぶラインを正確に記すことができる。
(7)本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記半球面状部の内面に凸部が形成されているか、前記スリットの縁に立ち面が形成されている場合には、ゴルフボールに記されるラインが滲むことを防止することができる。
(8)本発明のゴルフボール用マーキング器具において、前記マーキング用の隙間に面する前記円環状の縁に立ち面が形成されている、又は、ゴルフボールとの間にクリアランスが形成されている場合においても、ゴルフボールに記されるラインが滲むことを防止することができる。
(9)本発明は、少なくとも一方のホールド部材が、ゴルフボールを2等分する位置付近までのみゴルフボールを入れることができる円環状の縁を有する場合であっても、ゴルフボールを2等分する位置付近まで当該一方のホールド部材内に配置し、そのゴルフボールを挟むように2個のホールド部材を閉じることで、その一方のホールド部材の円環状の縁に沿ってゴルフボールを2等分し、途切れることなく全周に及ぶラインを記すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は本発明の一実施形態のゴルフボール用マーキング器具を示し、(A)はゴルフボール用マーキング器具の使用状態を示す斜視図、(B)はゴルフボール用マーキング器具の正面図、(C)はゴルフボール用マーキング器具の半球面状部を示す斜視図である。
図2図2は本発明の一実施形態のゴルフボール用マーキング器具を示し、(A)はゴルフボール用マーキング器具の平面図、(B)はゴルフボール用マーキング器具の底面図、(C)及び(D)はゴルフボール用マーキング器具の側面図である。
図3図3(A)、(B)は本発明の一実施形態のゴルフボール用マーキング器具の半球面状部を示す平面図。
図4図4は本発明の一実施形態のゴルフボール用マーキング器具を開いてゴルフボールを挟む様子を示す正面図である。
図5図5(A)~(E)は本発明のゴルフボール用マーキング器具の凸部、立ち面及びクリアランスの例を示す断面図である。
図6図6は本発明のゴルフボール用マーキング器具によってラインを記入したゴルフボールの例を示す正面図である。
図7図7は本発明の他の実施形態のゴルフボール用マーキング器具の平面図である。
図8図8(A)~(C)は本発明の他の実施形態のゴルフボール用マーキング器具を示し、(A)はゴルフボール用マーキング器具の平面図、(B)はゴルフボール用マーキング器具の正面図、(C)はゴルフボール用マーキング器具の使用状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、「ゴルフボールを2等分する位置付近までのみ入れることができる深さを備えた半球面状部を有するホールド部材を2個備えたゴルフボール用マーキング器具であって、当該半球面状部は、ゴルフボールの外面と接するように、その内径がゴルフボールの直径とほぼ同一であり、ゴルフボールを2等分する位置の両側に前記2個のホールド部材を接近させて配置してゴルフボールを挟み込んで保持したり、当該2個のホールド部材を引き離して開きゴルフボールを出し入れすることができるように、当該2個のホールド部材を相対移動させることができる柄部を有し、前記2個のホールド部材を接近させた際に、前記半球面状部の開口部に形成される円環状の縁によって生じるマーキング用の隙間に沿ってゴルフボールを2等分し、途切れることなく全周に及ぶラインを記すことができるようにしたゴルフボール用マーキング器具」、又は、「ゴルフボールを2等分する位置付近までのみ入れることができる内径を備えた円環状の縁を有するホールド部材を2個備えたゴルフボール用マーキング器具であって、ゴルフボールを2等分する位置の両側に前記2個のホールド部材を接近させて配置してゴルフボールを挟み込んで保持したり、当該2個のホールド部材を引き離して開きゴルフボールを出し入れすることができるように、当該2個のホールド部材を相対移動させることができる柄部を有し、前記2個のホールド部材を接近させた際にそれらの円環状の縁によって生じるマーキング用の隙間に沿ってゴルフボールを2等分し、途切れることなく全周に及ぶラインを記すことができるようにしたことを特徴とするゴルフボール用マーキング器具」であって、以下において説明する実施形態などにより好適に具体化することができる。
【0014】
以下、ゴルフボールを2等分する位置付近までのみ入れることができる深さを備えた半球面状部を有する本発明のゴルフボール用マーキング器具を具体化した、一実施形態について図面に従って説明する。
【0015】
この実施形態のゴルフボール用マーキング器具Tは、図1図4に示すように、ゴルフボールGを2等分する位置付近までのみ入れることができる深さを備えた半球面状部fを有するホールド部材1を2個備えており、当該半球面状部fは、ゴルフボールGの外面と接するように、その内径がゴルフボールGの直径とほぼ同一となるように寸法が設定されている。
そして、当該半球面状部fの開口部によって本願発明の円環状の縁1aが構成される。
また、前記各ホールド部材1の前記半球面状部fには、互いに異なるパターンのマーキング用のスリットSが形成されている。
なお、このスリットSは、外側の開口が広く、内側の開口が狭くなる傾斜した透孔となっており、ペンPによってラインを記しやすくしている。
【0016】
前記各ホールド部材1の前記開口部付近には、板状の柄部2の一端部が開口部とほぼ同一平面上に沿うように固定されている。なお、前記柄部2の端部が開口部から離れ過ぎた位置に固定されていると、スリットSを設ける範囲が制限されてしまうことになる。
そして、前記各柄部2の他端部には、それらを相対移動可能に支持するための部分として、他方の柄部方向に向けて一対の支柱2aが突設されており、それら4本の支柱2aを貫通する軸3によって前記両柄部2が互いに回動可能に連結されている。
上記の構成により、前記各ホールド部材1の前記開口部が向き合った状態で、前記柄部2の先端側が各ホールド部材1に固定され、基端側が共通の回転中心にて互いに相対回動可能に軸支される。
さらに、前記柄部2の先端側を閉じる方向に常時付勢する付勢手段として、前記軸3にはコイルバネ4が巻装されている。
【0017】
従って、当該柄部2により、ゴルフボールGを2等分する位置の両側に前記2個のホールド部材1を接近させて配置してゴルフボールGを挟み込んで保持したり、当該2個のホールド部材1を引き離して開きゴルフボールGを出し入れすることができるように、当該2個のホールド部材1を相対移動(回動)させることができる(図4参照)。
そして、前記2個のホールド部材1を接近させた際に、前記2つの半球面状部fの開口部の円環状の縁1aの間にマーキング用の隙間Smを生じさせることができる。
前記2個のホールド部材1を接近させてゴルフボールGを挟み込んで保持した際に生じる前記マーキング用の隙間Smの幅は、1mm以上から3mm以内程度であるとよく、好適実施例においては、約2mmである。
【0018】
さらに、前記柄部2は、2個の前記ホールド部材1によってゴルフボールGを上下方向から挟み込んで保持した状態において、前記マーキング用の隙間Smを介してペンP(マーカー)のペン先PaがゴルフボールGに届くための空間5を確保できるように上下方向において互いに離間しており、かつ、それらを相対移動可能に支持する部分(即ち、支柱2a)が、ペンP及びそのペン先Paに干渉しないように、前記ホールド部材1の円環状の縁1aからも離間させるとよい(図1(B)における離間距離L参照)。この離間距離Lは、5mm以上あればよく、ペンの種類によっては最大30mm程度が望ましい。
また、前記柄部2は、各ホールド部材1に固定されている先端部の固定部と、各ホールド部材1を相対移動可能に支持するための前記支柱2aが形成された部分との間の外面に指と対応する円形の凹部2bを備えている。
【0019】
さらに、前記半球面状部fがゴルフボールGと接する内面には、前記スリットSの近傍に沿った凸部6が形成されている(図3(A)、(B)及び図5(A)参照)。この凸部6の高さは0.2mm~0.3mm程度が好ましい。
また、前記マーキング用の隙間Smに面する前記円環状の縁1aには、ペン先Paが沿うようにガイドするための立ち面7が形成されており、ゴルフボールGとの間にクリアランス8が形成されるようになっている。この立ち面7の幅は、1mm程度が好ましく、角が取れて手触りが柔らかくなる効果も得られる。
これらの凸部6、立ち面7及びクリアランス8により、ペンPによってゴルフボールGに記されるラインが滲むことを防止することができる(図5(A)、(B)など参照)。
【0020】
なお、前記柄部2の端部に透孔2cを設け、ペンPを繋ぎ止めるようにすると、ゴルフボール用マーキング器具Tの利便性を向上させることができる。その場合、赤色と黒色といった色の異なるペンPを用いるとよい(図3(B)参照)。
また、前記ホールド部材1と前記柄部2が固定されている部分に隣接する前記円環状の縁1aの厚みを薄くすると、前記円環状の縁1aとペンP及びペン先Paとの干渉を防ぎやすくなり、ラインをより一層綺麗に記すことができる(図1(C)参照)。
【0021】
上記の通り構成された本発明の上記実施形態のゴルフボール用マーキング器具Tは、公知の成形技術を用いて合成樹脂などから製造可能である。
ここで、透明なポリカーボネート、ポリスチレン、アクリルなどを用いれば、強度に優れると共に、ゴルフボールに当初から付されている文字や絵柄の位置を確認しながらラインを記すことができる。
【0022】
次に、上記実施形態のゴルフボール用マーキング器具Tの使用方法について説明する。
まず、図4に示すように、ゴルフボール用マーキング器具Tの柄部2を操作して2個のホールド部材1を開き、半球面状部fにゴルフボールGを入れ、そのゴルフボールGを挟むようにホールド部材1を閉じることで、前記マーキング用の隙間Sm内にゴルフボールGの赤道に相当する中心線付近が(半球面状部fの外部に)露出する状態とする。この場合、柄部2はコイルバネ4によって2個のホールド部材1を閉じる方向に常時付勢されているので、2個のホールド部材1によってゴルフボールGを挟んで固定した状態を簡単に維持することができる。
【0023】
さらに、前記柄部2の先端側における各ホールド部材1との固定部と、各ホールド部材1を相対移動可能に支持する部分(即ち、支柱2aの部分)との間の外面には、指先の膨らみと対応する凹部2bが形成されているため、指にて両柄部2を強く確実に押さえ付けることができ、ゴルフボールGの固定状態を確実なものとすることができる。
そこで、それらの2個の前記ホールド部材1の前記半球面状部fの開口部に形成される円環状の縁1aによって生じるマーキング用の隙間Smに沿って、ゴルフボールを2等分し途切れることなく全周に及ぶライン(赤道に相当する中心線)をペンP(マーカー)によって簡単かつ確実に記すことができる(図6の左上及び右上のゴルフボール参照)。
【0024】
さらに、ゴルフボールGに他のラインを記したい場合には、そのままの状態で前記ホールド部材1のマーキング用のスリットSを利用してペンPによって記すことができる。
なお、前記ゴルフボールGを2等分し途切れることなく全周に及ぶラインに代えて、マーキング用のスリットSを利用して他の各種ラインのみを記入することもできる(図6の他のゴルフボール参照)。
【0025】
次に、本発明のゴルフボール用マーキング器具を具体化した他の実施形態について説明する。
図7に示す実施形態のゴルフボール用マーキング器具T1においては、前記ホールド部材1の前記半球面状部fに形成されるマーキング用のスリットSのパターンを変更している。
この実施形態のゴルフボール用マーキング器具T1のように、前記半球面状部fに形成されるマーキング用のスリットSの形状及び配置は適宜変更可能であり、場合によってはマーキング用のスリットSを一方のホールド部材1に設けないで実施したり、両方のホールド部材1に設けないで実施することもできる。
【0026】
図8に示す実施形態のゴルフボール用マーキング器具T2においては、前記実施形態において説明したゴルフボール用マーキング器具Tの前記ホールド部材1の前記半球面状部fを省略し、ゴルフボールGを2等分する位置付近までのみ入れることができる内径を備えた円環状の縁1aを有するホールド部材10を2個備えたゴルフボール用マーキング器具T2としている。
このゴルフボール用マーキング器具T2の実施形態においても、前記実施形態と同様の使用方法により、ゴルフボールGを2等分する位置の両側に前記2個のホールド部材10を接近させて配置してゴルフボールGを挟み込んで保持したり、当該2個のホールド部材10を引き離して開きゴルフボールGを出し入れすることができる。
そして、前記2個のホールド部材10を接近させた際にそれらの円環状の縁1aによって生じるマーキング用の隙間Smに沿ってゴルフボールGを2等分し途切れることなく全周に及ぶラインを記すことができる。
【0027】
本発明は、柄部2の位置やそれらの連結方法を適宜変更して実施したり、その趣旨を逸脱しない範囲でホールド部材1や柄部2など各部の形状、寸法、角度、設置位置を変更したり、ホールド部材1を相対移動させたり回動可能に保持する構造などを適宜変更して実施してもよい。
さらに、例えば、(ア)2個のホールド部材に同じパターンのマーキング用のスリットSを設けて実施したり、(イ)マーキング用のスリットSの縁に図5(B)に示す前記立ち面7と同様の立ち面を設けたり、(ウ)コイルバネ4を省略して実施してもよい。
また、上記ゴルフボール用マーキング器具T,T1,T2のホールド部材1,10の一方については、上記ゴルフボール用マーキング器具T,T1,T2と同様に構成し、他方のホールド部材については、開口部を小さくするなどによってゴルフボールGを挟んで押さえ付ける機能のみを得られるようにして実施することもできる。
この場合、上記ゴルフボール用マーキング器具T,T1,T2と同様に構成した一方のホールド部材1,10により、ゴルフボールを2等分する位置付近までのみゴルフボールを入れることができる円環状の縁(即ち、他の実施形態における2個のホールド部材の間に生じるマーキング用の隙間と同等の作用効果を得ることができる構成)に沿ってゴルフボールを2等分し、途切れることなく全周に及ぶラインを記すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は、ゴルフボールの表面に直線などのラインを記すために使用されるゴルフボール用マーキング器具として産業上好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 ホールド部材
1a 円環状の縁
2 柄部
2a 支柱
2b 凹部
2c 透孔
3 軸
4 コイルバネ
5 空間
6 凸部
7 立ち面
8 クリアランス
10 ホールド部材
f 半球面状部
G ゴルフボール
L 離間距離
P ペン(マーカー)
Pa ペン先
S マーキング用のスリット
Sm マーキング用の隙間
T,T1,T2 ゴルフボール用マーキング器具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8