(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156919
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】電池スタック用プレート及び導電モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 50/284 20210101AFI20231018BHJP
H01M 50/202 20210101ALI20231018BHJP
【FI】
H01M50/284
H01M50/202 501P
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066579
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 滋
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】後藤 拓人
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA03
5H040AT04
5H040DD07
5H040DD08
5H040JJ03
(57)【要約】
【課題】ハウジングに対する導電性プレートの位置ズレを抑制できる電池スタック用プレート及び当該電池スタック用プレートを備えた導電モジュールを提供する。
【解決手段】板状のハウジング54には、積層される複数の蓄電モジュール2間にそれぞれ配置される導電性プレート4のフランジ部41に嵌合するための嵌合溝541が凹設される。係止突起546は、嵌合溝541に設けられ、導電性プレート4のフランジ部41に設けられた係止孔43に係止して、導電性プレート4が左方向に移動するのを規制する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層される複数の蓄電モジュール間にそれぞれ配置される導電性プレートの側縁部に嵌合するための嵌合溝が、板側面に凹設された板状のハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記嵌合溝に設けられ、前記導電性プレートの前記側縁部に設けられた被係止部に係止して、前記導電性プレートが嵌合解除方向に移動するのを規制する係止部を有する、
電池スタック用プレート。
【請求項2】
請求項1に記載の電池スタック用プレートにおいて、
前記係止部は、前記導電性プレートが前記嵌合溝内において前記嵌合解除方向及び板厚方向の双方に交差する交差方向への移動を規制するように設けられている、
電池スタック用プレート。
【請求項3】
請求項1に記載の電池スタック用プレートにおいて、
前記嵌合溝に嵌合された前記導電性プレートの前記側縁部に導通接続される電圧検知端子と、
前記電圧検知端子に導通接続される電線と、を備え、
前記ハウジングは、前記電圧検知端子が収容される端子収容凹部と、前記電線が収容される電線収容凹部と、前記電線収容凹部に収容された前記電線を前記ハウジング外に引き出す引出口と、を有する、
電池スタック用プレート。
【請求項4】
請求項3に記載の電池スタック用プレートにおいて、
前記係止部は、前記嵌合解除方向及び板厚方向の双方に交差する交差方向に複数並んで設けられ、
前記電圧検知端子において前記導電性プレートの前記側縁部との導通接続部は、前記係止部と前記係止部とに挟まれた位置に設けられる、
電池スタック用プレート。
【請求項5】
請求項1に記載の電池スタック用プレートにおいて、
前記ハウジングは、前記嵌合溝の板厚方向に対向する内壁面に凸設された一対の保護リブを有し、
前記一対の保護リブは、前記嵌合解除方向及び前記板厚方向の双方に交差する交差方向に並んで設けられ、
前記係止部は、前記一対の保護リブに挟まれた位置に設けられる、
電池スタック用プレート。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載の電池スタック用プレートと、
前記導電性プレートと、を備えた、
導電モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の導電モジュールにおいて、
前記導電性プレートの前記被係止部は、板厚方向に貫通する係止孔から構成され、
前記電池スタック用プレートの前記係止部は、前記係止孔に挿入される係止突起から構成される、
導電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池スタック用プレート及び導電モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から各種の蓄電装置が提案されており、例えば、特許文献1に開示された蓄電装置は、積層された複数の蓄電モジュールと、蓄電モジュールの間に配置された複数の板状部材(導電モジュール)とを備えている。複数の蓄電モジュール及び複数の板状部材は、一対の絶縁板の間に配置されると共に拘束具により拘束力が加えられることにより、略直方体形状に形成された積層体(電池スタック)を構成している。
【0003】
板状部材は、冷却板(導電性プレート)と、絶縁部分(ハウジング)と、を有する。冷却板は、絶縁部分と絶縁部分の間に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の板状部材は、冷却板の長さ方向両側を絶縁部材と絶縁部材とで挟んでいるだけの構造である。このため、絶縁部材に対して冷却板が動いてしまう、という問題があった。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハウジングに対する導電性プレートの位置ズレを抑制できる電池スタック用プレート及び当該電池スタック用プレートを備えた導電モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電池スタック用プレートは、下記を特徴としている。
積層される複数の蓄電モジュール間にそれぞれ配置される導電性プレートの側縁部に嵌合するための嵌合溝が、板側面に凹設された板状のハウジングを備え、
前記ハウジングは、前記嵌合溝に設けられ、前記導電性プレートの前記側縁部に設けられた被係止部に係止して、前記導電性プレートが嵌合解除方向に移動するのを規制する係止部を有する、
電池スタック用プレートであること。
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る導電モジュールは、下記を特徴としている。
上記電池スタック用プレートと、
上記導電性プレートと、を備えた
導電モジュールであること。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る電池スタック用プレート及び導電モジュールによれば、ハウジングに対する導電性プレートの位置ズレを抑制できる、との効果を奏する。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る電池スタック用プレートとしての電圧検知ユニット及び対向ユニットを含む積層型の電池スタックを、その一部を分解して示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す導電モジュールの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す電圧検知ユニットの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2に示す電圧検知ユニットを構成するハウジングの部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電池スタック用プレートとしての電圧検知ユニット及び対向ユニットを含む積層型の電池スタックについて説明する。
【0013】
以下、説明の便宜上、
図1等に示すように、「前後方向(FB」、「左右方向(RL方向)」、「上下方向(UD方向)」、「前(F)」、「後(B)」、「左(L)」、「右(R)」、「上(U)」、及び「下(D)」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
【0014】
電池スタック用プレートとしての電圧検知ユニット及び対向ユニットを備えた導電モジュール3は、典型的には、
図1に示す積層型の電池スタック1に使用される。電池スタック1は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール2と、隣接する蓄電モジュール2の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール3と、を上下方向に交互に積層して構成される。電池スタック1では、複数の蓄電モジュール2が導電モジュール3を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール2は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール2全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0015】
導電モジュール3は、
図1に示すように、矩形薄板状の導電性プレート4(なお、導電性プレート4は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電性プレート4の右側に連結された矩形薄板状の電池スタック用プレートとしての電圧検知ユニット5と、導電性プレート4の左側に連結された矩形薄板状の電池スタック用プレートとしての対向ユニット6とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。電圧検知ユニット5と、対向ユニット6と、の間に導電性プレート4を挟んで連結している。
【0016】
本明細書では、板状の導電性プレート4、電圧検知ユニット5及び対向ユニット6の板厚方向を上下方向、長手方向を前後方向、短手方向を左右方向としている。
【0017】
また、
図2に示すように、導電性プレート4と電圧検知ユニット5とは、導電性プレート4の右側縁部に設けられた前後方向に延びるフランジ部(側縁部)41と、電圧検知ユニット5の左板側面に凹設された前後方向に延びる嵌合溝541とが嵌合することで、互いに連結される。導電性プレート4と対向ユニット6とは、導電性プレート4の左側縁部に設けられた前後方向に延びるフランジ部42と、対向ユニット6の右板側面に凹設された前後方向に延びる嵌合溝61とが嵌合することで、互いに連結されている。
【0018】
電圧検知ユニット5に設けられた嵌合溝541は左方向が開口され、この開口からフランジ部41を嵌合溝541内に挿入する。そして、フランジ部41を右方向に向かって移動させて、嵌合溝541とフランジ部41とを嵌合させる。即ち、電圧検知ユニット5においては、右方向が嵌合方向となり、左方向が嵌合解除方向となる。また、対向ユニット6に設けられた嵌合溝61は右方向が開口され、この開口からフランジ部42を嵌合溝61内に挿入する。そして、フランジ部42を左方向に向かって移動させて、嵌合溝61とフランジ部42とを嵌合させる。即ち、対向ユニット6においては、左方向が嵌合方向となり、右方向が嵌合解除方向となる。
【0019】
上下に隣接する蓄電モジュール2の間に位置する個々の導電モジュール3において、導電性プレート4は、
図1に示すように、上下の蓄電モジュール2と直接接触している。このため、導電性プレート4は、上側の蓄電モジュール2の下面と下側の蓄電モジュール2の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール2から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0020】
上下に隣接する蓄電モジュール2の間に位置する個々の導電モジュール3において、電圧検知ユニット5は、導電性プレート4に接触する後述する電圧検知端子52(
図3等参照)を備える。電圧検知ユニット5は、この電圧検知端子52に接続された電線53(
図3等参照)を介して、蓄電モジュール2の電圧を示す信号を出力する機能を果たす。
【0021】
上下に隣接する蓄電モジュール2の間に位置する個々の導電モジュール3において、対向ユニット6としては、電池スタック1の仕様に応じて、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0022】
ダミーユニットが適用される場合、対向ユニット6として、
図2に示すように、前後方向に延びる嵌合溝61を有する単なる樹脂板(ハウジング)が使用される。この場合、対向ユニット6は、上下の蓄電モジュール2の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0023】
温度検知ユニットが適用される場合、対向ユニット6として、
図1に示すように、ダミーユニットとして使用される樹脂板(ハウジング)に温度センサ(サーミスタ)7が組み込まれた構造のものが使用される。この場合、対向ユニット6は、温度センサ7に接続された電線8(
図1参照)を介して、上下の蓄電モジュールの温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0024】
次に、本発明の実施形態に係る電圧検知ユニット5の具体的な構成について、
図3~
図5を参照しながら説明する。電圧検知ユニット5は、
図3に示すように、ハウジング54と、ハウジング54に収容される電圧検知端子52と、電圧検知端子52に接続され且つハウジング54に収容される電線53と、ハウジング54に装着されるカバー55と、を備える。
【0025】
ハウジング54は、前後方向に長尺な樹脂板から構成され、上述した嵌合溝541と、端子収容凹部542と、電線収容凹部543と、引出口544と、を有している。嵌合溝541は、このハウジング54の左側板部に設けられている。端子収容凹部542は、電圧検知端子52を収容するための凹部であり、樹脂板の上面に凹設されている。電線収容凹部543は、電線53を収容するための凹部であり、樹脂板の上面に凹設されている。本実施形態では、引出口544は、ハウジング54の後端面に設けられ、電線53は、ハウジング54の後端から引き出される。
【0026】
金属製の電圧検知端子52は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子52は、上方から、ハウジング54の端子収容凹部542に嵌め込まれて収容される。電圧検知端子52は、
図3に示すように、上方向から見て、L字形状に設けられている。ハウジング54は、電圧検知端子52において導電性プレート4との導通接続部521が下側から露出されるように一部切り欠いた切り欠き545が設けられる。これにより、ハウジング54に設けられた嵌合溝541と導電性プレート4に設けられたフランジ部41とを嵌合させると、ハウジング54に収容された電圧検知端子52の導通接続部521と導電性プレート4とが上下方向に重なって接触する。この導通接続部521を超音波接続などすることにより電圧検知端子52と導電性プレート4とを電気的に接続させる。
【0027】
カバー55は、樹脂成型品であり、右方からハウジング54に装着される。カバー55は、端子収容凹部542に収容された電圧検知端子52、電線収容凹部543に収容された電線53を上方から覆って保護する機能を果たす。
【0028】
次に、本実施形態の特徴であるハウジング54と導電性プレート4との係止構造について説明する。
図4及び
図5に示すように、ハウジング54の嵌合溝541内に導電性プレート4に係止する係止部としての係止突起546が設けられている。係止突起546は、
図5に示すように、嵌合溝541の上下方向に対向する一対の内壁面S1,S1のうち一方から上下方向に突出して設けられている。係止突起546の左端部には、左方向に向かうに従って高さが低くなるテーパ面546Aが設けられている。
【0029】
導電性プレート4のフランジ部41、42には、
図2に示すように、上下方向に貫通する被係止部としての係止孔43が設けられている。係止孔43は、上面視略矩形状に設けられている。係止孔43の左右方向の幅は、係止突起546の左右方向の幅とほぼ同じか少し大きく設けられている。係止孔43の前後方向の幅は、係止突起546の前後方向の幅とほぼ同じか少し大きく設けられている。
【0030】
以上の構成によれば、嵌合溝541の左側の開口からフランジ部41を挿入すると、フランジ部41の先端が、係止突起546のテーパ面546Aに達する。さらに、フランジ部41を挿入すると、テーパ面546Aに沿って一対の内壁面S1,S1の距離が離れるように嵌合溝541が変形する。さらに、フランジ部41を挿入すると、係止突起546が係止孔43に挿入され、嵌合溝541が復元する。このとき、係止孔43の右側内壁面と、係止突起546の右端面と、が係止して、導電性プレート4の左方向への移動を規制する。上記係止突起546の右端面は左右方向に対して垂直な垂直面から構成されている。また、係止孔43の前側内壁面、後側内壁面と、係止突起546の前端面、後端面と、が係止して、導電性プレート4の前後方向への移動を規制する。上記係止突起546の前端面、後端面は前後方向に対して垂直な垂直面から構成されている。また、導電性プレート4のフランジ部41は、嵌合溝541の一対の内壁面S1,S1によって上下方向に挟まれているため、上下方向にも移動が規制される。
【0031】
また、本実施形態では、
図2に示すように、係止孔43は、フランジ部41の前後方向に並んで3つ設けられている。これら係止孔43に係止される係止突起546も前後方向に並んで3つ設けられている。なお、本実施形態では、前後方向の一番後側の係止突起546は、下側の内壁面S1から突出し(
図5参照)、真ん中、一番前側の係止突起546は、上側の内壁面S1から突出する。
【0032】
また、本実施形態では、前後方向の一番後側の係止突起546は、電圧検知端子52の導通接続部521を露出するための切り欠き545よりも後側に設けられている。真ん中、一番前側の係止突起546は、切り欠き545よりも前側に設けられている。このため、電圧検知端子52の導通接続部521は、この係止突起546と係止突起546とに挟まれた位置に配置されている。
【0033】
さらに、本実施形態では、ハウジング54は、
図5に示すように、一対の内壁面S1,S1の一方に凸設された一対の保護リブ547,547と、一対の内壁面S1,S1の他方に凸設された一対の保護リブ548,548と、が設けられている。一対の保護リブ547,547、548,548は、前後方向に並んで設けられ、左右方向に延在して設けられている。一対の保護リブ547,547、548,548は、互いの間に係止突起546を挟む位置に設けられている。一対の保護リブ547,547と、一対の保護リブ548,548は、3つの係止突起546毎に設けられ、三対ずつ設けられている。
【0034】
また、導電性プレート4のフランジ部42にも、係止孔43が設けられている。フランジ部42の係止孔43も、前後方向に並んで3つ設けられている。対向ユニット6の樹脂板(ハウジング)にも、このフランジ部42に設けた係止孔43に係止する係止突起546と同様の係止突起(図示省略)が設けられている。これにより、導電性プレート4のフランジ部42を対向ユニット6の嵌合溝61に嵌合すると、係止孔43と係止突起(図示省略)と係止する。
【0035】
上述した実施形態によれば、電圧検知ユニット5のハウジング54は、嵌合溝541に設けられ、導電性プレート4のフランジ部41に設けられた係止孔43に係止して、導電性プレート4が左方向(嵌合解除方向)に移動するのを規制する係止突起546を有する。これにより、ハウジング54に対する導電性プレート4の左方向への位置ズレを抑制することができ、安定したヒートシンクとしての機能を確保できる。
【0036】
上述した実施形態によれば、係止突起546及び係止孔43は、導電性プレート4が嵌合溝541内において前後方向への移動を規制するように設けられている。これにより、ハウジング54に対する導電性プレート4の前後方向への位置ズレを抑制することができ、より一層、安定したヒートシンクとしての機能を確保できる。
【0037】
上述した実施形態によれば、電圧検知ユニット5のハウジング54は、電圧検知端子52が収容される端子収容凹部542と、電線53が収容される電線収容凹部543と、電線53をハウジング54外に引き出す引出口544と、を有する。これにより、電圧検知ユニット5のハウジング54に対する導電性プレート4の位置ズレを抑制することができ、安定した電圧検知機能を確保することができる。
【0038】
上述した実施形態によれば、係止突起546は、前後方向に複数(本実施形態では3つ)並んで設けられ、導電性プレート4のフランジ部41と電圧検知端子52との導通接続部521は、係止突起546と係止突起546とに挟まれた位置に設けられる。これにより、導通接続部521の周辺での導電性プレート4の位置ズレを抑制することができ、より一層、安定した電圧検知機能を確保することができる。
【0039】
上述した実施形態によれば、ハウジング54の内壁面S1,S1には一対の保護リブ547,547、548,548が設けられる。これにより、フランジ部41を嵌合溝541に圧入することができる。さらに、係止突起546は、一対の保護リブ547,547に挟まれた位置に設けられている。また、係止突起546は、一対の保護リブ548,659に挟まれた位置に設けられている。これにより、係止突起546での導電性プレート4の移動規制をより強化することができ、より一層、安定した電圧検知機能を確保することができる。
【0040】
上述した実施形態では、導電性プレート4の被係止部は、係止孔43から構成され、電圧検知ユニット5の係止部は、係止孔43に挿入される係止突起546から構成されている。これにより、金属製の導電性プレート4としては、前後方向に押出成形した後に係止孔43を打ち抜きによって形成することができ、容易に導電性プレート4に被係止部を設けることができる。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0042】
上述した実施形態では、導電性プレート4の右側には電圧検知ユニットを配置していたが、これに限ったものではない。導電性プレート4の右側に上述したダミーユニットや温度センサユニットを設け、これらダミーユニット、温度センサユニットと導電性プレート4を係止させるようにしてもよい。
【0043】
上述した実施形態によれば、係止突起546は、導電性プレート4の左方向及び前後方向への移動を規制するように設けていたが、これに限ったものではない。導電性プレートは、前後方向よりも左方向へ移動しやすいため、係止突起546は、前後方向に延びる形状に設け、導電性プレート4に前後方向に延びる係止凹部を設けることにより、導電性プレート4の左方向のみの移動を規制するように設けてもよい。
【0044】
上述した実施形態によれば、係止突起546及び係止孔43は、3つ設けられていたが、少なくとも1つ設けていればよい。
【0045】
上述した実施形態によれば、一対の保護リブ547,547、548,548を設けていたが、これに限ったものではない。一対の保護リブ547,547、548,548を設けることは必須ではなく、なくてもよい。
【0046】
上述した実施形態によれば、上下方向に対向する一対の内壁面S1,S1それぞれに一対の保護リブ547,547、548,548を設けていたが、これに限ったものではない。上下方向に対向する一対の内壁面S1,S1の何れか一方に保護リブ547,547、548,548を設けるようにしてもよい。
【0047】
上述した実施形態によれば、導電性プレート4の被係止部を係止孔43から構成し、電圧検知ユニット5の係止部を係止突起546から構成していたが、これに限ったものではない。導電性プレート4の被係止部を係止突起から構成し、電圧検知ユニット5の係止部を係止孔若しくは係止凹部から構成してもよい。
【0048】
ここで、上述した本発明に係る電池スタック用プレートの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[7]に簡潔に纏めて列記する。
【0049】
[1]
積層される複数の蓄電モジュール(2)間にそれぞれ配置される導電性プレート(4)の側縁部(41、42)に嵌合するための嵌合溝(541、61)が、板側面に凹設された板状のハウジング(54)を備え、
前記ハウジング(54)は、前記嵌合溝(541)に設けられ、前記導電性プレート(4)の前記側縁部(41)に設けられた被係止部(43)に係止して、前記導電性プレート(4)が嵌合解除方向(左方向)に移動するのを規制する係止部(546)を有する、
電池スタック用プレート(5)。
【0050】
上記[1]の構成の電池スタック用プレート(5)によれば、ハウジング(54)に対する導電性プレート(4)の嵌合解除方向(左方向)への位置ズレを抑制することができ、安定したヒートシンクとしての機能を確保できる。
【0051】
[2]
[1]に記載の電池スタック用プレート(5)において、
前記係止部(546)は、前記導電性プレート(4)が前記嵌合溝(541)内において前記嵌合解除方向(左方向)及び板厚方向(上下方向)の双方に交差する交差方向(前後方向)への移動を規制するように設けられている、
電池スタック用プレート(5)。
【0052】
上記[2]の構成の電池スタック用プレート(5)によれば、ハウジング(54)に対する導電性プレート(4)の交差方向(前後方向)への位置ズレを抑制することができ、より一層、安定したヒートシンクとしての機能を確保できる。
【0053】
[3]
[1]に記載の電池スタック用プレート(5)において、
前記嵌合溝(541)に嵌合された前記導電性プレート(4)の前記側縁部(41)に導通接続される電圧検知端子(52)と、
前記電圧検知端子(52)に導通接続される電線(53)と、を備え、
前記ハウジング(54)は、前記電圧検知端子(52)が収容される端子収容凹部(542)と、前記電線(53)が収容される電線収容凹部(543)と、前記電線収容凹部(543)に収容された前記電線(53)を前記ハウジング(54)外に引き出す引出口(544)と、を有する、
電池スタック用プレート(5)。
【0054】
上記[3]の構成の電池スタック用プレート(5)によれば、電圧を検知するための電池スタック用プレート(5)のハウジング(54)に対する導電性プレート(4)の位置ズレを抑制することができ、安定した電圧検知機能を確保することができる。
【0055】
[4]
[3]に記載の電池スタック用プレート(5)において、
前記係止部(546)は、前記嵌合解除方向(左方向)及び板厚方向(上下方向)の双方に交差する交差方向(前後方向)に複数並んで設けられ、
前記電圧検知端子(52)において前記導電性プレート(4)の前記側縁部(41)との導通接続部(521)は、前記係止部(546)と前記係止部(546)とに挟まれた位置に設けられる、
電池スタック用プレート(5)。
【0056】
上記[4]の構成の電池スタック用プレート(5)によれば、導通接続部(521)の周辺での導電性プレート(4)の位置ズレを抑制することができ、より一層、安定した電圧検知機能を確保することができる。
【0057】
[5]
[1]に記載の電池スタック用プレート(5)において、
前記ハウジング(54)は、前記嵌合溝(541)の板厚方向(上下方向)に対向する内壁面(S1)に凸設された一対の保護リブ(547,547)、(548,548)を有し、
前記一対の保護リブ(547,547)、(548,548)は、前記嵌合解除方向(左方向)及び前記板厚方向(上下方向)の双方に交差する交差方向(前後方向)に並んで設けられ、
前記係止部(546)は、前記一対の保護リブ(547,547)、(548,548)に挟まれた位置に設けられる、
電池スタック用プレート(5)。
【0058】
上記[5]の構成の電池スタック用プレート(5)によれば、一対の保護リブ(547,547)、(548,548)により導電性プレート(4)の側縁部(41)を嵌合溝(541)に圧入することができる。しかも、係止部(546)は、一対の保護リブ(547,547)、(548,548)に挟まれた位置に設けられるため、係止部(546)での導電性プレート(4)の移動規制をより強化することができ、より一層、安定した電圧検知機能を確保することができる。
【0059】
[6]
[1]~[5]の何れか1項に記載の電池スタック用プレート(5)と、
前記導電性プレート(4)と、を備えた、
導電モジュール(3)。
【0060】
上記[6]の構成の導電モジュール(3)によれば、ハウジング(54)に対する導電性プレート(4)の嵌合解除方向(左方向)への位置ズレを抑制することができ、安定したヒートシンクとしての機能を確保できる。
【0061】
[7]
[6]に記載の導電モジュール(3)において、
前記導電性プレート(4)の前記被係止部(43)は、板厚方向(上下方向)に貫通する係止孔(43)から構成され、
前記電池スタック用プレート(5)の前記係止部(546)は、前記係止孔(43)に挿入される係止突起(546)から構成される、
導電モジュール(3)。
【0062】
上記[7]の構成の導電モジュール(3)によれば、金属製の導電性プレート(4)としては、交差方向(前後方向)に押出成形した後に係止孔(43)を打ち抜きによって形成することができ、容易に導電性プレート(4)に被係止部(43)を設けることができる。
【符号の説明】
【0063】
2 蓄電モジュール
3 導電モジュール
4 導電性プレート
5 電圧検知ユニット(電池スタック用プレート)
6 対向ユニット(電池スタック用プレート)
41、42 フランジ部(側縁部)
43 係止孔(被係止部)
52 電圧検知端子
53 電線
54 ハウジング
61 嵌合溝
521 導通接続部
541 嵌合溝
542 端子収容凹部
543 電線収容凹部
544 引出口
546 係止突起(係止部)
547、548 保護リブ
S1 内壁面