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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156937
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】キャップ構造体及び包装容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/22 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
B65D51/22 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066602
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本庄 美香
(72)【発明者】
【氏名】和田 潔
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084AA32
3E084AB01
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084EA03
3E084EB01
3E084EC03
3E084EC04
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】キャップの回転による中栓の開封機能を有し、容器本体に打栓により安定して取り付けが可能なキャップ構造体及びこれを用いた包装容器を提供する。
【解決手段】容器本体の口部に装着されるキャップ構造体であって、口部の開放端に嵌合する嵌合部、嵌合部の内側を閉鎖する隔壁、隔壁に設けられた環状の脆弱部、隔壁のうち、脆弱部に囲まれた部分に接続される突出部を有する中栓と、天板部、筒状の周壁部、天板部の内面側に設けられ、突出部と係合する係合部、一方端が天板部の内面側に接続された複数の柱状リブとを有し、キャップの閉方向への回転に伴う突出部の下降により脆弱部が破断すると共に、柱状リブが折れ曲がる、キャップ構造体。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着されるキャップ構造体であって、
前記口部を閉鎖する中栓と、
前記中栓に接続されると共に、前記口部に螺合するキャップとを備え、
前記中栓は、
前記口部の開放端に嵌合する環状の嵌合部と、
前記嵌合部に接続され、前記嵌合部の内側を閉鎖する隔壁と、
前記隔壁に設けられ、相対的に強度が弱められた環状の脆弱部と、
前記隔壁のうち、前記脆弱部に囲まれた部分に接続され、前記嵌合部の上方に向かって延びる突出部とを有し、
前記キャップは、
抽出口を有する平板状の天板部と、
前記天板部の外周縁に接続される筒状の周壁部と、
前記天板部の内面側に設けられ、前記突出部と係合する係合部と、
一方端が前記天板部の内面側に接続された複数の柱状リブとを有し、
前記中栓と前記容器本体との相対的な回転が規制されており、
前記キャップの閉方向への回転に伴う、前記突出部の下降により前記脆弱部が破断すると共に、前記柱状リブが折れ曲がる、キャップ構造体。
【請求項2】
前記柱状リブの前記一方端の近傍に相対的に強度が弱められた弱化部が設けられる、請求項1に記載のキャップ構造体。
【請求項3】
前記キャップの前記天板部の内面には、前記脆弱部を収容可能な環状のインナーリングが設けられており、
前記脆弱部が破断した後、前記キャップの閉方向への回転に伴って、前記嵌合部が前記インナーリング内に収容され、前記嵌合部の外周面と前記インナーリングの内周面とが密着する、請求項1または2に記載のキャップ構造体。
【請求項4】
前記中栓は、嵌合部の上面に設けられ、周方向に所定間隔を空けて配置される複数の凸部を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のキャップ構造体。
【請求項5】
前記柱状リブは、折れ曲がって前記複数の凸部の間の空間に収容される請求項4に記載のキャップ構造体。
【請求項6】
前記キャップの閉方向への回転に伴って、前記突出部及び前記脆弱部が前記隔壁に対して相対的に回転する、請求項1~5のいずれか1項に記載のキャップ構造体。
【請求項7】
円筒形状の口部を有する容器本体と、
前記口部を閉鎖する中栓と、
前記中栓に接続されると共に、前記口部に螺合するキャップとを備え、
前記中栓は、
前記口部の開放端に嵌合する環状の嵌合部と、
前記嵌合部に接続され、前記嵌合部の内側を閉鎖する隔壁と、
前記隔壁に設けられ、相対的に強度が弱められた環状の脆弱部と、
前記隔壁のうち、前記脆弱部に囲まれた部分に接続され、前記キャップに向かって延びる突出部とを有し、
前記キャップは、
抽出口を有する平板状の天板部と、
前記天板部の外周縁に接続される筒状の周壁部と、
前記天板部の内面側に設けられ、前記突出部と係合する係合部と、
一方端が前記天板部の内面側に接続された複数の柱状リブとを有し、
前記中栓と前記容器本体との相対的な回転が規制されており、
前記キャップの閉方向への回転に伴う、前記突出部の下降により前記脆弱部が破断すると共に、前記柱状リブが折れ曲がる、包装容器。
【請求項8】
前記容器本体の前記口部の外面に外ネジが設けられていると共に、前記キャップの前記周壁部の内面に前記外ネジと螺合する内ネジが設けられており、
前記内ネジの途中にネジ山の一部が切り欠かれた飛びネジ部が設けられ、
前記口部の外面の前記ネジ山と隣接する部分に、前記飛びネジ部と係合する係合リブが設けられ、
前記係合リブは、前記中栓の前記嵌合部が前記口部に嵌合し、かつ、前記脆弱部が破断していない状態と、前記脆弱部が破断するまで前記キャップを締め込んだ状態とのそれぞれにおいて、前記キャップの回転を規制する、請求項7に記載の包装容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口部を密閉するためのキャップ構造体及びこれを用いた包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体を密閉する中栓とキャップを備え、キャップの回転により中栓を開栓できる包装容器が種々提案されている。例えば、特許文献1には、中栓の開口予定部とオーバーキャップとを螺合させ、オーバーキャップの開方向への回転動作により、開口予定部とオーバーキャップとの螺合を進行させて、中栓の開口予定部を切り取ることができる包装容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/126062号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような開封機能を有する中栓は、予めキャップにセットした状態とし、内容物を充填した容器本体に対し、打栓により取り付けられる。しかしながら、中栓にはキャップの回転によって破断させる脆弱部が設けられているため、打栓により脆弱部が破断する可能性がある。
【0005】
それ故に、本発明は、キャップの回転による中栓の開封機能を有し、容器本体に打栓により安定して取り付けが可能なキャップ構造体及びこれを用いた包装容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るキャップ構造体は、容器本体の口部に装着されるキャップ構造体であって、口部を閉鎖する中栓と、中栓に接続されると共に、口部に螺合するキャップとを備える。中栓は、口部の開放端に嵌合する環状の嵌合部と、嵌合部に接続され、嵌合部の内側を閉鎖する隔壁と、隔壁に設けられ、相対的に強度が弱められた環状の脆弱部と、隔壁のうち、脆弱部に囲まれた部分に接続され、嵌合部の上方に向かって延びる突出部とを有する。キャップは、抽出口を有する平板状の天板部と、天板部の外周縁に接続される筒状の周壁部と、天板部の内面側に設けられ、突出部と係合する係合部と、一方端が天板部の内面側に接続された複数の柱状リブとを有する。中栓と容器本体との相対的な回転が規制されており、キャップの閉方向への回転に伴う、突出部の下降により脆弱部が破断すると共に、柱状リブが折れ曲がる。
【0007】
本発明に係る包装容器は、円筒形状の口部を有する容器本体と、口部を閉鎖する中栓と、中栓に接続されると共に、口部に螺合するキャップとを備える。中栓は、口部の開放端に嵌合する環状の嵌合部と、嵌合部に接続され、嵌合部の内側を閉鎖する隔壁と、隔壁に設けられ、相対的に強度が弱められた環状の脆弱部と、隔壁のうち、脆弱部に囲まれた部分に接続され、キャップに向かって延びる突出部とを有する。キャップは、抽出口を有する平板状の天板部と、天板部の外周縁に接続される筒状の周壁部と、天板部の内面側に設けられ、突出部と係合する係合部と、一方端が天板部の内面側に接続された複数の柱状リブとを有する。中栓と容器本体との相対的な回転が規制されており、キャップの閉方向への回転に伴う、突出部の下降により脆弱部が破断すると共に、柱状リブが折れ曲がる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、キャップの回転による中栓の開封機能を有し、容器本体に打栓により安定して取り付けが可能なキャップ構造体及びこれを用いた包装容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るキャップ構造体の縦断面図
図2】実施形態に係るキャップ構造体の断面図
図3】実施形態に係るキャップ構造体の断面図
図4】比較例に係るキャップ構造体の縦断面図
図5】キャップの回転に伴う柱状リブの変形を説明するための模式図
図6】容器本体の口部とキャップの内ネジとの位置関係を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、実施形態に係るキャップ構造体の縦断面図である。図2及び図3は、実施形態に係るキャップ構造体の断面図であって、それぞれ、図1(a)に示すII-IIラインから見た断面及びIII-IIIラインから見た断面に相当する図である。
【0011】
キャップ構造体1は、容器本体2の口部8を閉鎖するための中栓3と、口部8に螺合するキャップ4とを備える。
【0012】
容器本体2は、外ネジ6を有する円筒形状の口部8を備えるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂でブロー成形されたボトルや、多層フィルムを成形したボトル、ガラス瓶、ラミネートチューブ等を使用することができる。
【0013】
中栓3は、嵌合部11と、隔壁12と、脆弱部13と、突出部14と、複数の凸部16とを備える。中栓3は、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、これらを混合した樹脂を用いて射出成形により一体成形することができる。
【0014】
嵌合部11は、容器本体2の口部8の開放端に嵌合する環状の部分である。嵌合部11は、打栓により口部8に嵌合可能であり、図1(b)に示すように、口部8の開放端から所定範囲の部分を挟み込んだ状態で口部8に嵌合する。隔壁12は、環状の嵌合部11の内周縁に連続して形成されており、嵌合部11の内側を閉鎖する。隔壁12には、環状の脆弱部13が設けられる。脆弱部13は、隔壁12の他の部分よりも相対的に強度が弱められた部分であり、例えば、他の部分よりも厚みを薄くすることにより形成することができる。突出部14は、隔壁12のうち、脆弱部13で囲まれた部分に接続され、容器本体の口部と反対側(キャップ4の天板部21側)に延びる部分である。本実施形態では、突出部14は円筒形状を有しており、隔壁12に設けられた脆弱部13に沿って隔壁12に接続されている。突出部14は、これに限らず、例えば、脆弱部13の内側において隔壁12に接続されていてもよい。また、突出部14の周壁部には開栓後に内容物の流路となる窓部17が設けられ、突出部14の上端にはフランジ部15が設けられている。フランジ部15は、円筒形状の周壁部の上端に接続され、中栓3の中心軸(一点鎖線で示す)に対して直交する方向に広がるように形成されている。本実施形態では、フランジ部15は、後述するキャップ4の係合部24と係合させるための部分として設けられている。フランジ部15及び窓部17を設ける代わりに、突出部14に上下方向に延びる複数のスリットを設けても良い。凸部16は、図1(a)及び図3に示すように、嵌合部11の上面に設けられ、周方向に所定間隔を空けて間欠的に配置されている。凸部16は、キャップ4に設けられた柱状リブ25の変形のきっかけとなる部分であるが、詳細は後述する。
【0015】
キャップ4は、天板部21と、周壁部23と、係合部24と、複数の柱状リブ25とを備える。キャップ4は、例えば、ポリプロピレンや高密度ポリエチレン(HDPE)、LLDPEを用いて射出成形により一体成形することができる。
【0016】
天板部21は、平板形状を有する。天板部21には、注出口22を有するノズル27が設けられている。周壁部23は、天板部21の外周縁に接続される筒状の部分である。周壁部23の内周面には、口部8の外ネジ6と螺合する内ネジ7が設けられている。係合部24は、中栓3の突出部14と係合する部分である。より詳細には、係合部24は、中栓3のフランジ部15の外周縁から所定範囲の部分を挟み込んだ状態で、突出部14と係合している。キャップ4と中栓3との係合構造は、図1に示したものに限定されず、フランジ部15を設けず、突出部14の上端をキャップ4の係合部が挟み込んで係合する構造や、窓部17にキャップ4の係合部が係合する構造等を採用しても良い。柱状リブ25は、一方端が天板部21の内面側に接続され、キャップ4の中心軸(一点鎖線で示す)と平行な方向に延びるように形成されている。図2及び図3に示すように、複数の柱状リブ25は、周方向に所定間隔を空けて間欠的に配置されている。図1(a)に示す状態、すなわち、中栓3の突出部14がキャップ4の係合部24に係合し、かつ、未開栓(脆弱部13が破断していない)の状態において、柱状リブ25の他方端(図1における下端)は、中栓3の嵌合部11の上面に当接している。また、図1(b)に示す状態、すなわち、中栓3の嵌合部11が容器本体2の口部8に嵌合し、かつ、未開栓の状態において、柱状リブ25は、平面視において口部8の壁部と重なる位置に配置される。尚、本実施形態では、柱状リブ25の一方端は係合部24に接続されているが、柱状リブ25は、天板部21の他の部分と接続されていても良い。尚、図1(a)においては、柱状リブ25の他方端が嵌合部11の上面に当接している例を示したが、柱状リブ25は、打栓時に脆弱部13の破断を防止するようにキャップ4を支えればよく、柱状リブ25の他方端と、嵌合部11の上面との間に隙間があってもよい。このような隙間は、0.5mm以内であることが好ましい。
【0017】
本実施形態に係るキャップ構造体1には、キャップ4の注出口22を閉鎖するためのオーバーキャップ5が更に設けられている。オーバーキャップ5は、螺合または嵌合によりノズル27の外周面に着脱自在に取り付けられる。本実施形態のようにオーバーキャップ5を設けたキャップの構成に変えて、キャップ4の天板部21または周壁部23にヒンジを介して開閉可能な蓋を備えたヒンジキャップを採用することも可能である。また、キャップ4の天板部21に注出口が設けられていれば、ノズル27は必須ではなく、省略しても良い。また、ノズル27を設ける場合、ノズル27の形状も特に限定されない。
【0018】
図1(a)に示すように、中栓3は予めキャップ4にセットされる。本実施形態では、上述したように、中栓3の突出部14とキャップ4の係合部24とを係合させることにより、中栓3とキャップ4とを一体化したキャップ構造体1を構成することができる。
【0019】
キャップ構造体1の容器本体2への取り付け方法を説明する。
【0020】
本実施形態に係るキャップ構造体1は、予め内容物を充填した容器本体2に対し打栓により取り付けられる。打栓は、キャップ構造体1と容器本体2の口部8との位置合わせをした状態で、図1(a)に示す白抜き矢印の位置に力を加えることによって行う。本実施形態に係るキャップ構造体1においては、キャップ4に設けられた柱状リブ25の下端が、中栓3の嵌合部11の上面と当接している。尚、柱状リブ25の下端と、嵌合部11の上面とは、上記のように、打栓前に、例えば隙間0.5mm以内の位置関係にあってもよい。柱状リブ25は、キャップ4の天板部21と中栓3の嵌合部11とを掛け渡して天板部21を支持している。したがって、打栓時にキャップ4の天板部21に力(衝撃)が加えられても、柱状リブ25がキャップ4の天板部21を支持し、打栓時に加えられた力で脆弱部13が破断してしまうことを抑制できる。よって、本実施形態に係るキャップ構造体1であれば、打栓による効率的なキャッピングを可能としつつ、打栓による脆弱部13の破断を抑制することができる。また、柱状リブ25によってキャップ4の天板部21が支持されているため、落下時の衝撃で脆弱部13が破断することも抑制できる。さらに、打栓時に柱状リブ25の下端と、嵌合部11との上面とが当接しているため、柱状リブ25が中栓3を押し込み、より確実に中栓を口部8に装着することができる。
【0021】
図4は、比較例に係るキャップ構造体の縦断面図である。
【0022】
図4に示すキャップ構造体1’は、キャップ4’が図1に示した柱状リブ25を備えていない点と、中栓3’が図1に示した凸部16を備えていない点とを除き、図1に示したキャップ構造体1と同様に構成したものである。
【0023】
図4に示すキャップ構造体1’は、柱状リブを備えていないため、予め中栓3’をキャップ4’にセットした状態で打栓を行うと、打栓のためにキャップ4’に加えた力により中栓3’の脆弱部13が破断してしまう。このため、図4のキャップ構造体1’は、図4(a)及び図4(b)に示すように、打栓により中栓3’を容器本体2の口部8に取り付けてから、容器本体2にキャップ4’を螺合させる。このとき、中栓3’とキャップ4’とが係合する回転位置となるよう、容器本体2に対するキャップ4’の回転量を調整する必要があるため、キャップ構造体1’を用いた場合、容器本体2の密閉作業が非効率である。
【0024】
これに対して、本実施形態に係るキャップ構造体1であれば、打栓のみで容器本体2への取り付けが可能であり、図4の比較例のように、キャップ4の回転量の調整も不要であるので、容器本体2へのキャップ構造体1の取り付けを効率的に行うことができる。
【0025】
再度図1を参照して、キャップ構造体1の開栓方法を説明する。
【0026】
キャップ構造体1では、中栓3を口部8に嵌合させた状態において、中栓3と容器本体2との相対的な回転が規制されている。例えば、容器本体2の口部8のうち、嵌合部11によって挟み込まれる部分の外周面と、これに当接する嵌合部11の内周面には、回転止めのローレット(凹凸)が設けられている。また、キャップ構造体1では、中栓3とキャップ4とが係合した状態において、中栓3とキャップ4との相対的な回転が規制されている。例えば、中栓3のフランジ部15の外周面と、これに当接する係合部24の内周面、もしくは、中栓3のフランジ部15の上面と、これに当接する天板部21の下面には、回転止めのローレット(凹凸)が設けられている。特に、中栓3のフランジ部15の上面と、これに当接する天板部21の下面にローレットを設けた場合、中栓3とキャップ4との相対的な回転を規制しつつ、容易にキャップ4を降下させることができる。
【0027】
開栓時には、使用者がキャップ4を閉方向に締め込む回転操作を行う。キャップ4の閉方向への回転に伴って、キャップ4に接続された突出部14と、隔壁12のうち、脆弱部13に囲まれた部分とが回転し、脆弱部13が破断する。本実施形態では、中栓3の突出部14が筒状であり、突出部14の下方端が脆弱部13に沿って隔壁12に接続されているため、キャップ4の回転力を脆弱部13の周方向に働く力として脆弱部13に伝達することができる。キャップ4の回転に伴って生じる、隔壁12を容器本体2の内方へと押し下げる力に加え、脆弱部13の周方向に回転力を伝達させることにより、小さなトルクで脆弱部13を破断させることができる。尚、キャップ4の閉方向への回転に伴って、キャップ4に押されて突出部14が下降することにより脆弱部13が破断するようにしてもよい。また、上記では、突出部14の下方端が脆弱部13に沿っている例を挙げているが、これに限らず、例えば、突出部14の下方端が脆弱部13の内側に脆弱部13との間に所定の間隔を空けて接続されていてもよい。
【0028】
また、キャップ4の閉方向への回転に伴って、キャップ4に設けられた柱状リブ25が折れ曲がる。以下、柱状リブ25の折り曲げについて詳細を説明する。
【0029】
図5は、キャップの回転に伴う柱状リブの変形を説明するための模式図である。
【0030】
図5(a)は、キャップ4を回転させる前の初期状態を示す。本実施形態では、柱状リブ25とキャップ4の係合部24との接続部の近傍に、相対的に強度が弱められた弱化部26が設けられている。弱化部26は、例えば、柱状リブ25の一部を切り欠いたり、他の部分より厚みを小さくしたりすることによって形成することができる。また、図5(a)に示す柱状リブ25は、キャップ4の係合部24との接続部から下端に向けて厚みが減少するテーパー状に形成されている。柱状リブ25をテーパー状に形成することによって、脆弱部13を設けた場合でも、中栓3の成形時に金型からの抜き出しをしやすくすることができる。
【0031】
キャップ4を閉方向(図5に示す矢印の方向)に回転させると、図5(b)に示すように、柱状リブ25の下端が、中栓3の嵌合部11の上面に設けられた凸部16に当接し、柱状リブ25は、キャップ4の回転に伴って、キャップ4の係合部24との接続部近傍に設けられた弱化部26で折れ曲がり始める。キャップ4の回転角度が増加するにつれて、図5(c)に示すように、柱状リブ25の折れ曲がりが進行する。キャップ4の回転に伴って、隔壁12に設けられた脆弱部13が破断した後、キャップ4に接続された中栓3の突出部14は、容器本体2の内部へと押し込まれていく。尚、柱状リブ25がキャップ4の回転に伴う下降により倒れればよく、凸部16を形成しなくてもよい。
【0032】
図5(d)は、キャップ4の締め込みが完了した状態であって、図1(c)に示した状態に対応する。柱状リブ25は、折れ曲がり開始時に当接した凸部16を乗り越え、隣接する一対の凸部16と、嵌合部11の上面とキャップ4の係合部24(天板部21)とで囲まれた空間に折れ曲がった状態で収容される。
【0033】
このように、キャップ4に設けられた柱状リブ25は、キャップ構造体1の容器本体2への打栓時に脆弱部13の破断を抑制する機能を持つが、開栓時のキャップ4の回転操作により折れ曲がって、キャップ4と中栓との間の空間に収容される。したがって、柱状リブ25は、開栓後に邪魔にならず、内容物の注出にも影響しない。
【0034】
本実施形態では、柱状リブ25とキャップ4の係合部24との接続部の近傍に弱化部26を設けている。弱化部26により柱状リブ25が折れ曲がりやすいため、開栓時にキャップ4を回転させるために必要なトルクの増加を抑制できる。
【0035】
図1(c)に戻って、キャップ4の閉方向への回転に伴って、脆弱部13が破断すると共に、柱状リブ25が折れ曲がり、図1(c)に示すように、突出部14とこれに接続された隔壁12の一部とが口部8の内部に押し込まれる。突出部14の周壁部には窓部17が設けられているため、窓部17を介して容器本体2の内部と注出口22とが連通し、内容物の注出が可能な状態となる。
【0036】
また、本実施形態に係るキャップ4の天板部21の内面には、円筒形状のインナーリング28が設けられている。図1(c)に示すように、破断した隔壁12の一部及び突出部14が口部8内に押し込まれた状態において、インナーリング28に中栓3の嵌合部11が収容される。インナーリング28の内径は、中栓3の嵌合部11の外径と同じか僅かに小さく設定されており、インナーリング28に収容された嵌合部11の外周面と、インナーリング28の内周面が密着する。したがって、中栓3の開栓後は、嵌合部11とインナーリング28との密着により、キャップ4と中栓3との間を封止し、内容物の密閉性を高めることができる。
【0037】
以下、容器本体2に対してキャップ4の回転位置を規定する構造について説明する。
【0038】
図6は、容器本体の口部とキャップの内ネジとの位置関係を模式的に示す図である。図6は、キャップ4の周壁部23を透過して外ネジ6及び内ネジ7を見た図に相当する。また、図6においては、中栓3の記載を省略している。
【0039】
キャップ4の周壁部23の内面に設けられた内ネジ7の途中には、飛びネジ部9a及び9bが設けられている。飛びネジ部9a及び9bは、例えば、内ネジ7のネジ山を部分的に切り欠いたり、内ネジ7のネジ山の高さを部分的に低くしたりすることによって形成することができる。一方、容器本体2の口部8の外面には、外ネジ6のネジ山と隣接する部分に係合リブ10a~10cが設けられている。係合リブ10a~10cは、容器本体2の中心軸と平行に延び、外ネジ6のネジ山とほぼ同じ高さを有する凸条として形成することができる。
【0040】
図6(a)は、キャップ構造体1の開栓前の初期状態、すなわち、中栓3の嵌合部11が口部8に嵌合し、かつ、脆弱部13が破断していない状態を示す。この状態では、内ネジ7の飛びネジ部9a及び9bが、外ネジ6の係合リブ10a及び10bのそれぞれと係合することにより、キャップ4の回転が規制されている。これにより、キャップ構造体1を取り付けた包装容器の輸送時等に、キャップ4の予期しない回転を抑制し、未開栓状態を維持することができる。ただし、一定以上のトルクを加えてキャップ4を回転させると、飛びネジ部9a及び9bが係合リブ10a及び10bを乗り越えるため、キャップ4を閉方向に更に回転させることができる。
【0041】
図6(b)は、脆弱部13を破断させ、キャップ4を締め込んだ状態を示す。この状態では、内ネジ7の飛びネジ部9a及び9bが、外ネジ6の係合リブ10b及び10cのそれぞれと係合することにより、キャップ4の回転が規制されている。これにより、キャップ4の緩みが抑制されるので、嵌合部11から分離した中栓3の隔壁の一部及び突出部14の位置を、図1(c)に示した位置に維持し、内容物を安定して注出することが可能となる。また、開栓時にキャップ4を締め込んだ際に、飛びネジ部9a及び9bと、係合リブ10b及び10cとが非係合状態から係合状態に変化することでクリック感が生じ、回転操作の完了を使用者に知らせることができる。
【0042】
尚、図6の例では、内ネジ7に2つの飛びネジ部9a及び9bを設けた例を説明したが、飛びネジ部の数は、内ネジ7の条数に応じて適宜変更することができる。また、容器本体2の口部8に設ける係合リブ10a~10cは、口部8の周方向の1カ所に設けられているが、ネジの条数等に応じて、係合リブを口部8の周方向の複数カ所に設けても良い。また、係合リブ10aのみを、初期状態でのキャップ4の回転抑制のために設け、閉栓時の締め込み完了位置はフリー(任意)でも良い。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、キャップ4の回転による中栓3の開封機能を有しつつ、容器本体2に打栓により安定して取り付けが可能なキャップ構造体1及びこれを用いた包装容器を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、調味料容器等の包装容器に利用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 キャップ構造体
2 容器本体
3 中栓
4 キャップ
6 外ネジ
7 内ネジ
8 口部
9 飛びネジ部
11 嵌合部
12 隔壁
13 脆弱部
14 突出部
16 凸部
21 天板部
22 注出口
23 周壁部
24 係合部
25 柱状リブ
26 弱化部
28 インナーリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6