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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156938
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】嵌合構造体
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/36 20060101AFI20231018BHJP
   B65D 47/10 20060101ALI20231018BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
B65D47/36 300
B65D47/10
B65D47/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066603
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本庄 美香
(72)【発明者】
【氏名】和田 潔
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084EA03
3E084EB01
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA03
3E084FB01
3E084FC04
3E084GA01
3E084GA06
3E084GB01
3E084GB06
3E084KA13
3E084KB01
3E084LA01
3E084LA17
3E084LA24
3E084LB02
3E084LB07
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】容器本体に対する中栓の回転を防止でき、かつ、中栓の打栓嵌合に要する力を低減できる嵌合構造を提供する。
【解決手段】容器本体と、天面部及び環状の嵌合部を有する中栓とを備え、容器本体の口部は、開放端を構成する第1の環状部と、第1の環状部に接続され、第1の環状部の外径より小さい外径を有する第2の環状部と、第2の環状部の外周面に設けられる複数の第1のリブとを有し、中栓の嵌合部は、天面部の外周縁に接続され、第1の環状部以上の内径を有する第3の環状部と、第3の環状部に接続され、第3の環状部と等しい内径を有し、嵌合部の開放端を構成する第4の環状部と、第4の環状部の内周面に設けられる複数の第2のリブとを有し、中栓が口部に嵌合した状態において、第3の環状部及び第4の環状部のそれぞれの内側に、第1の環状部及び第2の環状部が収容され、かつ、第1のリブと第2のリブとが嵌合する、嵌合構造体。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合構造体であって、
円筒形状の口部を有する容器本体と、
天面部と、前記天面部の外周縁に接続される環状の嵌合部とを有し、前記嵌合部が前記口部の開放端部分に嵌合して前記口部を閉鎖する中栓とを備え、
前記容器本体の前記口部は、
前記口部の開放端を構成する第1の環状部と、
前記第1の環状部に接続され、前記第1の環状部の外径より小さい外径を有する第2の環状部と、
前記第2の環状部の外周面に設けられ、前記口部の中心軸と平行な方向に伸びる複数の第1のリブとを有し、
前記中栓の前記嵌合部は、
前記天面部の外周縁に接続され、前記第1の環状部以上の内径を有する第3の環状部と、
前記第3の環状部に接続され、前記第3の環状部と等しい内径を有し、前記嵌合部の開放端を構成する第4の環状部と、
前記第4の環状部の内周面に設けられ、前記中栓の中心軸と平行な方向に伸びる複数の第2のリブとを有し、
前記第4の環状部の径方向における前記第2のリブの高さは、前記第3の環状部の内径と前記第1の環状部の外径との差より大きく、
前記中栓が前記容器本体の前記口部に嵌合した状態において、前記第3の環状部及び前記第4の環状部のそれぞれの内側に、前記第1の環状部及び前記第2の環状部が収容され、かつ、隣接する前記第1のリブの間の溝に前記第2のリブが嵌合する、嵌合構造体。
【請求項2】
前記第2のリブが前記第4の環状部の内周面の全周に一定ピッチで配置され、
前記第1のリブが前記第2の環状部の外周面の一部に前記第2のリブの配置ピッチに対応するピッチで配置される、請求項1に記載の嵌合構造体。
【請求項3】
前記第2のリブの前記天面部側の端部が球面状である、請求項1または2に記載の嵌合構造体。
【請求項4】
前記第2のリブは、隣接する前記第1のリブの間の溝と相補的な形状を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の嵌合構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体と、容器本体の口部を密閉する中栓とを備えた嵌合構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体を密閉する中栓とキャップを備え、キャップの回転により中栓を開栓できる包装容器が種々提案されている。例えば、特許文献1には、中栓の開口予定部とキャップとを螺合させ、オーバーキャップの開方向への回転動作により、開口予定部とキャップとの螺合を進行させて、中栓の開口予定部を切り取ることができる包装容器が記載されている。
【0003】
上記のような包装容器において、キャップの回転操作によって中栓の一部を切り取るために、キャップの回転と共に中栓が回転しないように、容器本体及び中栓に回転防止構造が設けられることが好ましい。
【0004】
図7及び図8は、従来の中栓と容器本体の嵌合構造の例を示す縦断面図である。
【0005】
図7に示す包装容器91は、容器本体92と、容器本体92の口部を封止する中栓93と、容器本体92と螺合すると共に、中栓93に係合するキャップ94とを備える。キャップ94の回転操作により、中栓93の隔壁100のうち、脆弱部99で囲まれた部分を切り取って、包装容器91を開栓することができる。図7に示す容器本体92は、口部の開放端部分にフランジ部95を有する。中栓93にはアンダーカット部96が設けられており、アンダーカット部96に容器本体92のフランジ部95が嵌合することにより、中栓93が容器本体92に取り付けられている。アンダーカット部96は、フランジ部95を収容するための環状部97と、環状部97より内径が小さい環状部98を有する。容器本体92及び中栓93の丸で囲んだ部分に、例えば互いに競り合う形状のリブからなる回転防止構造が設けられており、キャップ94の回転操作時における中栓93の回転が防止されている。
【0006】
また、図8に示す包装容器91’は、容器本体92’と、容器本体92’の口部を封止する中栓93’と、容器本体92’と螺合すると共に、中栓93’に係合するキャップ94とを備える。キャップ94の回転操作により、中栓93’の隔壁100のうち、脆弱部99で囲まれた部分を切り取って、包装容器91’を開栓することができる。図8に示す容器本体92’は、口部の開放端部分にフランジ部101を有する。中栓93’にはアンダーカット部102が設けられており、アンダーカット部102に容器本体92’のフランジ部101が嵌合することにより、中栓93’が容器本体92’に取り付けられている。アンダーカット部102は、フランジ部101を収容する環状部103と、環状部103より内径が小さい環状部104とを有する。容器本体92’及び中栓93’の丸で囲んだ部分に、例えば互いに競り合う形状のリブからなる回転防止構造が設けられており、キャップ94の回転操作時における中栓93’の回転が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2007/126062号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図7に示した中栓93においては、回転防止用のリブがアンダーカット部96内に設けられている。この構成の場合、成形時のアンダーカット部96の無理抜きによりリブの形状が崩れ、回転防止機能が低下しやすい。また、アンダーカット部96が環状部98を有するため、中栓93を容器本体92に嵌合させる際の打栓嵌合に要する力も大きくなる。
【0009】
図8に示した中栓93’においては、成形時のアンダーカット部102の無理抜きにより、回転防止用のリブが裾広がりの形状となる。このため、中栓93’のリブと容器本体92’側のリブとの係合が不十分となり、空転しやすいという問題がある。また、図8の中栓93’においても、アンダーカット部102を構成する環状部104があるため、打栓嵌合に要する力が大きくなる。
【0010】
それ故に、本発明は、容器本体に対する中栓の回転を防止でき、かつ、中栓の打栓嵌合に要する力を低減できる嵌合構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る嵌合構造体は、円筒形状の口部を有する容器本体と、天面部と、天面部の外周縁に接続される環状の嵌合部とを有し、嵌合部が口部の開放端部分に嵌合して口部を閉鎖する中栓とを備える。容器本体の口部は、口部の開放端を構成する第1の環状部と、第1の環状部に接続され、第1の環状部の外径より小さい外径を有する第2の環状部と、第2の環状部の外周面に設けられ、口部の中心軸と平行な方向に伸びる複数の第1のリブとを有する。中栓の嵌合部は、天面部の外周縁に接続され、第1の環状部以上の内径を有する第3の環状部と、第3の環状部に接続され、第3の環状部と等しい内径を有し、嵌合部の開放端を構成する第4の環状部と、第4の環状部の内周面に設けられ、中栓の中心軸と平行な方向に伸びる複数の第2のリブとを有する。第4の環状部の径方向における第2のリブの高さは、第3の環状部の内径と第1の環状部の外径との差より大きく、中栓が容器本体の口部に嵌合した状態において、第3の環状部及び第4の環状部のそれぞれの内側に、第1の環状部及び第2の環状部が収容され、かつ、隣接する第1のリブの間の溝に第2のリブが嵌合する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、容器本体に対する中栓の回転を防止でき、かつ、中栓の打栓嵌合に要する力を低減できる嵌合構造体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る包装容器の縦断面図
図2図1に示した容器本体の口部の正面図
図3図2に示したIII-IIIラインから見た端面図
図4図1に示した中栓の縦断面図
図5図4に示した”V”部分の拡大端面図
図6図1に示した中栓の裏面図
図7】従来の中栓と容器本体の嵌合構造の一例を示す縦断面図
図8】従来の中栓と容器本体の嵌合構造の他の一例を示す縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施形態に係る包装容器の縦断面図である。
【0015】
包装容器1は、円筒形状の口部8を有する容器本体2と、容器本体2の口部8を封止する中栓3と、容器本体2の口部8と螺合すると共に、中栓3に係合するキャップ4とを備える。キャップ4の回転操作により、中栓3の天面部12のうち、脆弱部13で囲まれた部分を切り取って、包装容器1を開栓することができる。容器本体2及び中栓3の丸で囲んだ部分に、例えば互いに競り合う形状のリブやローレットからなる回転防止構造が設けられており、キャップ4の回転操作時における中栓3の回転が防止されている。
【0016】
図2は、図1に示した容器本体の口部の正面図であり、図3は、図2に示したIII-IIIラインから見た端面図である。
【0017】
容器本体2は、外ネジを有する円筒形状の口部8を備えるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂でブロー成形されたボトルや、多層フィルムを成形したボトル、ガラス瓶、ラミネートチューブ等を使用することができる。
【0018】
口部8は、口部8の開放端(図2の上端)を含む第1の環状部31と、第1の環状部31に接続される第2の環状部32と、第2の環状部32の外周面に設けられる複数の第1のリブ41とを有する。第1の環状部31の外径はd1であり、第2の環状部の外径はd2(d2<d1)である。
【0019】
第1のリブ41の各々は、口部8の中心軸AXをと平行な方向に延びる凸条として形成されている。第1のリブ41の断面形状は特に限定されないが、本実施形態に係る第1のリブ41は、図3に示すように、平面視において、第2の環状部32から中心軸AX方向に凹む凹部で挟まれ、一部に直線状の外形線を有する凸条である。第1のリブ41は、第2の環状部32の外周面の一部(例えば、平面視において、口部8の中心軸AXを中心とする90度の角度範囲)と、当該一部と点対称な部分とに設けられている。第1のリブ41は、第2の環状部32の全周に設けても良い。ただし、容器本体2をブロー成形するための金型としては、図3に示す金型分割面で二分割したものを使用することが一般的であるため、このような一般的な金型を用いる場合は、第2の環状部32のうち、金型分割面と交差する部分及びその近傍にリブを設けることは難しい。そこで、一般的な金型を用いて容器本体2を成形する場合、第2の環状部32のうち、金型分割面と直交し、かつ、中心軸AXを通過する平面Pと第2の環状部32とが交差する部分を中心として、周方向の所定範囲に第1のリブ41を設けることが好ましい。第1のリブ41は、第2の環状部の周方向において、中栓3に設けられた第2のリブ42のピッチに対応するピッチで配置される。
【0020】
図4は、図1に示した中栓の縦断面図であり、図5は、図4に示した”V”部分の拡大端面図であり、図6は、図1に示した中栓の裏面図である。図6の裏面図は、図4に示す中栓を下方向から見た図に相当する
【0021】
中栓3は、天面部12と、嵌合部11と、脆弱部13と、突出部14と、フランジ部15と、インナーリング16とを備える。フランジ部15の外周面とこれに当接するキャップ4の係合部24の内周面、または、フランジ部15の天面とこれに当接する天板部21の内面には、リブやローレットからなる回転防止構造を設けることが好ましい。この回転防止構造により脆弱部13を切断する際に回転切断力が付与されて、容易に開封する事が可能になる。中栓3は、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)や直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、これらを混合した樹脂を用いて射出成形により一体成形することができる。
【0022】
天面部12は、環状の嵌合部11と連続して形成される略平板状の部分である。天面部12の一部は、嵌合部11の内側を閉鎖する隔壁として機能する。天面部12には、環状の脆弱部13が設けられる。脆弱部13は、天面部12の他の部分よりも相対的に強度が弱められた部分であり、例えば、他の部分よりも厚みを薄くすることにより形成することができる。
【0023】
嵌合部11は、天面部12の外周縁に接続される環状(筒状)の部分である。嵌合部11は、打栓により容器本体2の口部8に嵌合可能である。嵌合部11は、天面12部の外周縁に接続される第3の環状部33と、第3の環状部33に接続され、嵌合部11の開放端(図4の下端)を含む第4の環状部34と、第4の環状部34の内周面に設けられる複数の第2のリブ42とを有する。第3の環状部33及び第4の環状部34の内径はいずれもd3である。第3の環状部33及び第4の環状部34の内径d3は、図2に示した第1の環状部の外径d1以上(d3≧d1)である。更に、第3の環状部33及び第4の環状部34の内周面の半径d3/2と、第1の環状部31の外周面の半径d1/2との差は、第4の環状部34の周方向における第2のリブ42の高さh(図5参照)より小さい(d3/2-d1/2<h)。
【0024】
第2のリブ42の各々は、中栓3の中心軸AXと平行な方向に伸び、隣接する第1のリブ41の間に形成される溝と相補的な形状を有する凸条として形成されている。第2のリブ42の断面形状は特に限定されないが、本実施形態に係る第2のリブ42は、図6に示すように、平面視において、第4の環状部34から中心軸AX方向に突出し、円弧状の外形線を有する凸条である。第2のリブ42は、第4の環状部34の周方向の全周に渡って、一定のピッチで配置されている。ただし、第2のリブ42は、第1のリブ41と嵌合することが可能である限り、第4の環状部34の外周面の一部に設けられていても良い。
【0025】
また、図5に示すように、第2のリブ42の天面部12側の端部43は、球面状の外面を有するように形成されている。第2のリブ42の端部43が球面状であることにより、成型金型からの第2のリブ42を無理抜きする際の抵抗を低減し、第2のリブ42の形状崩れを抑制することができる。なお、図5では、第2のリブ42は、第4の環状部34の上下方向に亘って形成されている例を記載したが、これに限らず、例えば第4の環状部34の下端部等の一部で形成されていなくてもよい。
【0026】
突出部14は、天面部12のうち、脆弱部13で囲まれた部分に接続され、容器本体2の口部8と反対側(キャップ4側)に延びる部分である。突出部14の形状は特に限定されないが、本実施形態では、突出部14は円筒形状を有しており、天面部12に設けられた脆弱部13に沿って天面部12に接続されている。
【0027】
フランジ部15は、円筒形状の突出部14の上端に接続され、中栓3の中心軸(一点鎖線で示す)に対して直交する方向に広がるように形成されている。フランジ部15は、キャップ4の係合部24と係合させるための部分である。
【0028】
インナーリング16は、天面部12の容器本体2の内部側の面に設けられる環状の部材である。インナーリング16は、中栓3を容器本体2の口部8に嵌合させた状態において、口部8の開放端近傍の内周面に密着し、中栓3による密閉性を向上させる。
【0029】
再度図1を参照して、キャップ4は、平板形状を有する天板部21と、天板部21の外周縁に接続される筒状の周壁部23と、天板部21の内面側に設けられ、中栓3のフランジ部15の外周縁から所定範囲を挟み込んだ状態でフランジ部15と係合する係合部24とを備える。フランジ部15の外周面とこれに対向する係合部24の内周面とには、キャップ4に対する中栓3の回転を規制する回転防止構造が設けられている。回転防止構造は、例えば、ローレットやリブなど、互いに競り合う形状の凹凸により形成することができる。キャップ4は、例えば、ポリプロピレンや高密度ポリエチレン(HDPE)、LLDPEを用いて射出成形により一体成形することができる。
【0030】
中栓3は、内容物を充填した容器本体2の口部8に、打栓嵌合により取り付けられ、嵌合構造体を構成する。図1に示した包装容器1のように、中栓3とキャップ4とを係合させる構成の場合、中栓3を予めキャップ4にセットした状態としておき、内容物を充填した容器本体2の口部8に、キャップ4と一体化した中栓3を打栓嵌合により取り付けることが好ましい。
【0031】
本実施形態係る中栓3において、第3の環状部33と、第4の環状部34の内周面に設けられた第2のリブ42とが、図7及び図8に示したアンダーカット部96及び102と同様に機能する。ただし、図7及び図8に示した従来の嵌合構造においては、アンダーカット部96及び102を構成する内径が一定の環状部98及び104(内径が狭まった部分)によって、アンダーカット部96及び102の広がりが規制されるために、中栓を包装容器の口部に嵌合させるために強い力が必要となる。
【0032】
これに対して、本実施形態においては、アンダーカット機能を生じる部分に、図7及び図8に示した環状部98及び104のような、内径が一定の環状部が設けられておらず、第4の環状部34に設けられた第2のリブ42がアンダーカット部として機能する。第4の環状部34に設けられた第2のリブ42は、周方向に一定間隔を開けて間欠的に配置されているため、図7及び図8のような従来の構造と比べて、打栓嵌合時に嵌合部11の広がりに対する拘束が少なく、打栓嵌合に要する力を低減することができる。中栓3の打栓嵌合を従来と比べて小さい力で行うことができるため、打栓嵌合時に力を加える位置が制限される場合に有効である。例えば、本実施形態のように、脆弱部13が設けられた中栓3をキャップ4にセットした状態としてから、容器本体2に中栓3を打栓嵌合させる場合、嵌合部11に直接打栓の力を加えることができない。この場合、キャップ4の天板部21の押圧により打栓を行う必要があり、打栓により脆弱部13に力が加わりやすい。本実施形態に係る打栓構造体であれば、中栓3の打栓嵌合に要する力が従来と比べて低減されるため、脆弱部13の破断を抑制しつつ、打栓嵌合により効率的に容器本体2を封止することが可能となる。
【0033】
中栓3が容器本体2の口部8に嵌合した状態では、第1のリブ41及び第2のリブ42が嵌合することにより、容器本体2に対する中栓3の回転が規制される。本実施形態のように、キャップ4の回転操作に伴って中栓3を開封する機能を有する包装容器1においては、中栓3の天面部12の切り取りを容易とするため、容器本体2に対する中栓の回転が抑制されていることが好ましい。したがって、本実施形態に係る嵌合構造体は、このような開封機能を有する包装容器1に好適である。
【0034】
また、本実施形態に係る中栓3においては、嵌合部11の開放端を含む第4の環状部34に、アンダーカット部として機能する複数の第2のリブ42を設けている。このように構成した場合、中栓3の成形金型からの抜き出し時に嵌合部11の形状崩れが抑制されるため、中栓3を容器本体2に嵌合させた際の回転防止機能の低下を抑制できる。特に、図5に示したように、第2のリブ42の天面部12側の端部43を球面状にした場合、中栓3の成形金型からの抜き出し時の抵抗をより低減できるので、嵌合部11の形状崩れを更に抑制することができる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態によれば、容器本体2に対する中栓3の回転を防止でき、かつ、中栓3の打栓嵌合に要する力を低減できる嵌合構造体を実現することができる。
【0036】
尚、上記の実施形態では、第2のリブの断面形状の外形線を円弧状とした例を説明したが、第1のリブ及び第2のリブが嵌合し、周方向に競り合うことができる形状であれば、第1のリブ及び第2のリブの断面形状は特に限定されない。例えば、第1のリブ及び第2のリブの一方または両方の外形線を、楕円弧状や三角形状、台形状としても良い。
【0037】
また、上記の実施形態では、キャップの回転操作によって中栓の一部を切り取る構成の包装容器に、本発明に係る嵌合構造体を適用した例を説明したが、中栓の天面部(隔壁)に設けた環状の脆弱部にプルリングを接続し、中栓とキャップとを係合させない構成の包装容器に、本発明に係る嵌合構造体を適用しても良い。この場合、容器本体に対する中栓の回転を防止できるため、プルリングを引っ張ることによる中栓の脆弱部の破断がしやすくなる。
【0038】
また、上記の実施形態では、キャップの回転操作によって中栓の一部を切り取る構成の包装容器に本発明を適用する例を説明したが、上記中栓の一部を切り取る構成に代えて、中栓に予め包装容器の内容物を包装容器の外部に取り出す口部を備え、上記口部を閉鎖するねじ式のキャップを設けた構成であってもよい。さらに、例えば、中栓の外周部にキャップを螺合する構成とした場合、本発明によれば、容器本体に対する中栓の回転を防止できるため、キャップをより簡単に螺合することができる。
【0039】
また、上記突出部14の周壁部には開栓後に内容物の流路となる窓部を設けてもよい。この場合、キャップ4を、上部を開くように構成し、内容物を窓部を介して外部に取り出すことができるヒンジキャップとしてもよい。また、窓部を形成した場合には、キャップ4を閉め込んで脆弱部13を破断する際に、キャップ4にストッパーを設け、ストッパーが中栓3と当接することでキャップ4の下降を規制してもよい。このストッパーの形状は、特に限定されるものではなく、例えばキャップ4から垂下するリング状であってよい。ストッパーはリング状にすることより、中栓3と当接するため、内容物の外部への流出も防止することができる。
【0040】
また、上記の実施形態において、第1のリブ及び第2のリブの形状、第1のリブ及び第2のリブの高さ(環状部の外周面からの径方向の高さ)、第1のリブ及び第2のリブの数や長さは特に限定されるものではなく、中栓を容器本体に嵌合させるために必要な打栓強度や、嵌合後の嵌合強度等の種々の条件に応じて、適宜変更することができる。
【0041】
また、上記の実施形態において、容器本体の口部の径方向において、第1のリブの稜線は、第1の環状部の外周面よりも外側に位置していても良いし、第1の環状部の外周面よりも内側に位置していても良い。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、調味料容器等の包装容器を始め、容器本体に対する中栓の回転防止機能が要求される様々な容器に利用できる。
【符号の説明】
【0043】
1 包装容器
2 容器本体
3 中栓
8 口部
11 嵌合部
12 天面部
13 脆弱部
31 第1の環状部
32 第2の環状部
33 第3の環状部
34 第4の環状部
41 第1のリブ
42 第2のリブ
43 端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8