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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156944
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】小規模揚水発電のための地下水脈の利用
(51)【国際特許分類】
   F03B 13/08 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
F03B13/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066622
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】716004604
【氏名又は名称】合同会社物理工学研究社
(72)【発明者】
【氏名】黒田和明
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA13
3H074BB09
3H074BB13
3H074CC36
3H074CC50
(57)【要約】
【課題】再生可能エネルギである風力や太陽光発電では電力供給の安定のために蓄電技術としての揚水発電技術があるが、一般に規模が大きいものしかなく一般的ではない。
【解決手段】揚水発電に必要な2つの貯水槽の中、水位の低い位置にある貯水槽を地下水脈に置き換える。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下水脈を揚水発電の貯水槽として利用する小規模揚水発電システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
大気中の二酸化炭素削減のための取り組みにおいて自然エネルギーとしての太陽光発電や風力発電などは重要な技術であるものの、火力・水力発電や原子力発電に代替できるには、十分な蓄電技術が重要であり、経済性の高い蓄電池の開発に力が注がれているが、ここでは揚水発電技術に注目する。
【背景技術】
【0002】
揚水発電は余剰電力を使って低い位置のため池から高い位置のため池に水をくみ上げ、電力事情が逼迫した際に上方のため池からの流水を用いて水力発電を行わせるものである。水の位置エネルギーを電気に変えるもので原理的に単純であり、水をくみ上げたり、流水を使って発電させる仕組みに特別に新しいものはなく、従来完成された技術の組み合わせにより、目的を達成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】揚水発電に関するシステムとしての特許は巨大な湖水の建設や水路の施設整備が伴なわざるを得ないことから公共的な性格を帯びるため、工業的な利用という発案は出にくいと考えられる。個別の機器や装置、建築物に関する特許はここでは取り上げない。
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】揚水発電の日本に置ける現状をまとめた文献として国立研究開発法人科学技術振興機構の低炭素社会戦略センターが平成31年1月に出した提案書(LCSーFY2018ーPPー08)を挙げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
揚水発電の技術を国家レベルの規模から家庭のレベルまで小さくして利用できれば太陽光や風力の稼働効率を高めるために貢献できる。家庭の屋上に設置するソーラーパネルの出力はせいぜい10kW未満であり、その余剰電力の一部を蓄えられれば実用化が可能である。揚水発電技術で10kWhの電力を蓄えるには10mの高低差で360トンの水が必要である。高低差10mでこの容量の水を貯める貯水池を確保するのは容易ではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
高低差のある2つの貯水槽を設置する問題を解決するために、低い位置の貯水槽として地下水脈を利用する。地下水の深さは設置場所に依存するが、その深さに合わせて地上に設置する貯水タンクの大きさを変えて対応すればシステム設計は可能である。地下水の汲み上げには地盤沈下の問題などから厳しい規制があるが、本揚水発電では汲み上げた水を元に戻すため、貯水槽の素材から出る可能性のある汚染物質を抑えられれば問題はないと考えられる。
【発明の効果】
【0007】
地上の貯水タンクは太陽光発電の場合にはソーラーパネルの下に設置すれば良い。もし、廃止された小中学校のプールが利用できれば、これを地上の貯水タンクとして用いることも可能である。都市部の戸建ての家では貯水槽の設置が困難であるかも知れないが、堅牢な建物の屋上にソーラーパネルを設置するような場合にはその下に貯水槽を置くことができ、建物の建設時に設計できれば問題が少ない。本揚水発電では、一つの貯水槽(池)だけで稼働が可能となるため、実用化の範囲が拡大できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
太陽光発電の余剰電力を蓄電する場合には、ソーラーパネルの下に貯水槽を設置し、地下水脈に至る井戸を開削し、水脈の水位レベルに発電機を接地する。汲み上げポンプは落差10m以下なら地上に設置できる。余剰電力の割合を勘案して水力発電の大きさを決めるが、毎日どれくらいの割合を揚水動力に回すかは天候は元より使用電力量を勘案して柔軟かつ適切に決定して行く必要がある。風力発電の場合についても地下水脈は必ず存在するので同じように設計可能である。
【実施例0009】
太陽光発電設備や風力発電設備に併設して蓄電設備として使う。その他の自然エネルギーの生成についても安定的な蓄電装置として利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0010】
地下水脈は日本ではどこでも利用できるため、地下水の取得に問題がなければどこでも応用できる。