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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156951
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】3次元造形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/227 20170101AFI20231018BHJP
   B29C 64/245 20170101ALI20231018BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20231018BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20231018BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20231018BHJP
   B25J 11/00 20060101ALI20231018BHJP
   B29C 64/112 20170101ALI20231018BHJP
   B29C 64/118 20170101ALI20231018BHJP
【FI】
B29C64/227
B29C64/245
B29C64/393
B33Y30/00
B33Y50/02
B25J11/00 D
B29C64/112
B29C64/118
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066641
(22)【出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】722004089
【氏名又は名称】反保 紀昭
(72)【発明者】
【氏名】反保 紀昭
【テーマコード(参考)】
3C707
4F213
【Fターム(参考)】
3C707AS02
3C707AS12
3C707BS22
3C707BS24
3C707HS26
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT12
3C707HT20
3C707KS34
3C707KV06
3C707KW03
3C707LV19
4F213AM24
4F213AP19
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL74
4F213WL87
(57)【要約】
【課題】調整が容易で位置および姿勢を制御できる3Dプリンタを実現する。
【解決手段】3Dプリンタ(1)は、鉛直方向に動作する6個のリニア駆動軸(20)によって、第1ボールジョイント(30)を駆動することで、第1ボールジョイントとリンク(60)を介して接続された第2ボールショイント(50)を駆動し、6個の第2ボールジョイントによって材料を溶解させ吐出するヘッド(40)の位置および/または姿勢を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向に動作するN個(Nは5以上の自然数)のリニア駆動軸と、
前記リニア駆動軸にてそれぞれ駆動されるN個の第1ボールジョイントと、
材料を溶解させ吐出するヘッドと、
前記材料を積層する造形ステージと、
前記ヘッドに接続されたN個の第2ボールジョイントと、
前記第1ボールジョイントと前記第2ボールジョイントとをそれぞれ接続するN個のリンクと、を備える3次元造形装置。
【請求項2】
前記ヘッドは、ロードセルを備える、請求項1に記載の3次元造形装置。
【請求項3】
前記ヘッドと、前記造形ステージとの接触を検知するセンサを備える、請求項1に記載の3次元造形装置。
【請求項4】
前記第2ボールジョイントは、前記リンクの延伸方向を回転軸とする回転部を備える、請求項1に記載の3次元造形装置。
【請求項5】
前記第2ボールジョイントは、前記第2ボールジョイントの回転および揺動における中心点を通る軸を回転軸とする回転部を備える、請求項1に記載の3次元造形装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の3次元造形装置の調整方法であって、
ある位置における前記ヘッドを、鉛直方向下方に向けて動作させ、前記ヘッドが前記造形ステージに接触したときの前記リニア駆動軸の鉛直方向高さを取得する第1取得ステップと、
前記ある位置と異なる位置における前記ヘッドを、鉛直方向下方に向けて動作させ、前記ヘッドが前記造形ステージに接触したときの前記リニア駆動軸の鉛直方向高さを取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップにおける鉛直方向高さ、および前記第2取得ステップにおける鉛直方向高さ、を揃えるステップと、を含む調整方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項に記載の3次元造形装置の調整方法であって、
前記ヘッドが鉛直方向を向いた状況において、鉛直方向下方に向けて前記ヘッドを動作させ、前記ヘッドが前記造形ステージに接触したときの前記リニア駆動軸の鉛直方向高さを取得する基準取得ステップと、
前記ヘッドが鉛直方向から傾斜した状況において、鉛直方向下方に向けて前記ヘッドを動作させ、前記ヘッドが前記造形ステージに接触したときの前記リニア駆動軸の鉛直方向高さを取得する傾斜時取得ステップと、
前記基準ステップにおける鉛直方向高さ、および前記傾斜時取得ステップにおける鉛直方向高さ、を揃えるステップと、を含む調整方法。
【請求項8】
前記傾斜時取得ステップにおける前記ヘッドが鉛直方向から傾斜する角度は、5度以上30度以下である、請求項7に記載の調整方法。
【請求項9】
請求項1から5のいずれか1項に記載の3次元造形装置の調整方法であって、
全ての前記リニア駆動軸を鉛直方向上方に向けて動作させるステップと、
各前記リニア駆動軸が原点条件を満たした場合に、当該リニア駆動軸のみの動作を停止させるステップと、を含む調整方法。
【請求項10】
鉛直方向に動作するN個(Nは5以上の自然数)のリニア駆動軸と、
前記リニア駆動軸にてそれぞれ駆動されるN個の第1ボールジョイントと、
ツールを移動させるヘッドと、
前記ヘッドに接続されたN個の第2ボールジョイントと、
前記第1ボールジョイントと前記第2ボールジョイントとをそれぞれ接続するN個のリンクと、を備えるパラレルリンクロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元造形装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
3次元の造形物(立体物)を造形する装置として、樹脂製のフィラメントを加熱溶融させ、ヘッドにおけるノズルから吐出する熱溶解積層方式の3Dプリンタ(3次元造形装置)が広く普及している。熱溶解積層方式の3Dプリンタでは、造形用データを水平平面でスライス(水平スライス)し、鉛直方向に積層することが一般的である。
【0003】
ここで、水平スライスでは造形物の下方に積層物がない場合、吐出した材料が鉛直下方に落下してしまう。そのため、造形物のモデルが中空で印刷するようなものである場合は、造形物の下方にサポート材を積層する必要があることが知られている。
【0004】
近年、水平平面ではない、自由曲面でスライスし積層する非平面スライスが注目されている。非平面スライスでは、自由曲面で積層することができるため、鉛直方向下方に造形物がないモデルであっても、サポート材を用いずに印刷することができる。非平面スライスでは、非特許文献1に示すような5軸仕様の3Dプリンタを用いることが一般的である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Freddie Hong, SteCe Hodges, Connor Myant, DaCid Boyle, Open5x: Accessible 5-axis 3D printing and conformal slicing, arXiC:2022.11426C2, TBe, 29 Mar 2022 16:06:20 BTC, https://arxiC.org/abs/2202.11426
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非特許文献1では、一般的な位置であるX/Y/Zの3軸に加えて、造形物を回転および傾斜させ造形物の姿勢を制御する2軸を追加している。しかしながら、3+2軸の合計5軸の構成では、自由度が高いために装置の調整が困難である。
【0007】
本発明の目的は、調整が容易で位置および姿勢を制御できる3Dプリンタを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る3次元造形装置は、鉛直方向に動作するN個(Nは5以上の自然数)のリニア駆動軸と、前記リニア駆動軸にてそれぞれ駆動されるN個の第1ボールジョイントと、材料を溶解させ吐出するヘッドと、前記材料を積層する造形ステージと、前記ヘッドに接続されたN個の第2ボールジョイントと、前記第1ボールジョイントと前記第2ボールジョイントとをそれぞれ接続するN個のリンクと、を備える。
【0009】
上記の構成によれば、3次元造形装置の調整は、造形ステージのヘッドに対する高さを何点かで調整することによって、造形ステージの調整をすることができる。また、造形ステージの調整を行うだけで、所望の位置および姿勢にヘッドを制御することができる3次元造形装置を実現することができる。
【0010】
前記ヘッドは、ロードセルを備えてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、3次元造形装置の調整において、ロードセルを用いることができ、さらに容易に3次元造形装置の調整を行うことができる。
【0012】
前記ヘッドと、前記造形ステージとの接触を検知するセンサを備えてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、3次元造形装置の調整において、ヘッドと造形ステージとの接触を検知するセンサを用いることができ、さらに容易に3次元造形装置の調整を行うことができる。
【0014】
前記第2ボールジョイントは、前記リンクの延伸方向を回転軸とする回転部を備えてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、3次元造形装置が実現できる姿勢の範囲を拡張することができる。
【0016】
前記第2ボールジョイントは、前記第2ボールジョイントの回転および揺動における中心点を通る軸を回転軸とする回転部を備えてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、3次元造形装置が実現できる姿勢の範囲を拡張することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る3次元造形装置の調整方法は、ある位置における前記ヘッドを、鉛直方向下方に向けて動作させ、前記ヘッドが前記造形ステージに接触したときの前記リニア駆動軸の鉛直方向高さを取得する第1取得ステップと、前記ある位置と異なる位置における前記ヘッドを、鉛直方向下方に向けて動作させ、前記ヘッドが前記造形ステージに接触したときの前記リニア駆動軸の鉛直方向高さを取得する第2取得ステップと、前記第1取得ステップにおける鉛直方向高さ、および前記第2取得ステップにおける鉛直方向高さ、を揃えるステップと、を含む。
【0019】
上記の方法によれば、造形ステージの高さを調整することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る3次元造形装置の調整方法は、前記ヘッドが鉛直方向を向いた状況において、鉛直方向下方に向けて前記ヘッドを動作させ、前記ヘッドが前記造形ステージに接触したときの前記リニア駆動軸の鉛直方向高さを取得する基準取得ステップと、前記ヘッドが鉛直方向から傾斜した状況において、鉛直方向下方に向けて前記ヘッドを動作させ、前記ヘッドが前記造形ステージに接触したときの前記リニア駆動軸の鉛直方向高さを取得する傾斜時取得ステップと、前記基準ステップにおける鉛直方向高さ、および前記傾斜時取得ステップにおける鉛直方向高さ、を揃えるステップと、を含む。
【0021】
上記の方法によれば、ヘッドの高さを調整することができる。
【0022】
前記傾斜時取得ステップにおける前記ヘッドが鉛直方向から傾斜する角度は、5度以上30度以下であってもよい。
【0023】
本発明の一態様に係る3次元造形装置の調整方法は、全ての前記リニア駆動軸を鉛直方向上方に向けて動作させるステップと、各前記リニア駆動軸が原点条件を満たした場合に、当該リニア駆動軸のみの動作を停止させるステップと、を含む。
【0024】
上記の方法によれば、3次元造形装置を原点復帰することができる。
【0025】
本発明の一態様に係るパラレルリンクロボットは、鉛直方向に動作するN個(Nは5以上の自然数)のリニア駆動軸と、前記リニア駆動軸にてそれぞれ駆動されるN個の第1ボールジョイントと、ツールを移動させるヘッドと、前記ヘッドに接続されたN個の第2ボールジョイントと、前記第1ボールジョイントと前記第2ボールジョイントとをそれぞれ接続するN個のリンクと、を備える。
【0026】
上記の構成によれば、位置および/または姿勢を制御できるパラレルリンクロボットを実現することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様によれば、調整が容易で位置および姿勢を制御できる3Dプリンタを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】実施形態1に係る3Dプリンタの構成を示す斜視図である。
図2】ノズルのある姿勢を表す模式図である。
図3】ノズルの別の姿勢を表す模式図である。
図4】ノズルのさらに別の姿勢を表す模式図である。
図5】実施形態1に係る3Dプリンタの上面図である。
図6】3Dプリンタでの原点復帰における動作を示すフローチャートである。
図7】造形ステージの調整をロードセルによって行う場合の動作を示すフローチャートである。
図8】ヘッドの高さの調整をロードセルによって行う場合の動作を示すフローチャートである。
図9】実施形態3に係る第2ボールジョイントの構成を示すモデル図である。
図10】実施形態3に係る第2ボールジョイントを第1回転部の回転軸の方向から見たモデル図である。
図11】実施形態3に係る第2ボールジョイントを第2回転部の回転軸の方向から見たモデル図である。
図12】比較例に係る5軸3Dプリンタの構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔比較例〕
実施形態1の説明に先立ち、比較例に関して説明する。
【0030】
(比較例の構成)
【0031】
図12は、比較例に係る5軸3Dプリンタ100の構成の一例を示す斜視図である。図12に示すように、多くの5軸3Dプリンタでは、マシニングセンタで採用されているように、位置を制御するX/Y/Zの3軸に加え、姿勢を制御するB/C軸が追加されている。
【0032】
X/Y/Z軸は直動軸であり、B/C軸は回転軸である。材料を積層する造形ステージ70をC軸が回転駆動し、C軸は造形ステージ70を回転させる。B軸はC軸を回転駆動させ、結果的にB軸は造形ステージを傾斜させる。そのため、B/C軸が備わることで、材料を積層する造形ステージを回転および/または傾斜させることができ、つまり、造形ステージ70の姿勢を制御することができる。ここで、B軸はY軸に平行な軸を中心として回転し、C軸はZ軸に平行な軸を中心として回転する。
【0033】
したがって、材料を吐出するヘッド40の位置を制御するX/Y/Z軸に加え、造形ステージ70の姿勢を制御するB/C軸によって、任意の位置および姿勢で造形ステージ70に対して材料を吐出することができる。
【0034】
(比較例の原点調整)
比較例に係る3Dプリンタ100における原点調整は、B軸の回転中心軸とC軸の回転中心軸との交点に、X/Y/Z軸の原点を一致させる必要がある。仮に、B軸の回転中心軸とC軸の回転中心軸とが交差しない場合(B軸の回転中心軸とC軸の回転中心軸とが同一平面上に存在しない場合)、造形物を所望の位置および姿勢に制御することができない。同様に、B軸の回転中心軸とC軸の回転中心軸とのなす角度が直行していない場合も、造形物を所望の位置および姿勢に制御することができない。また、B軸の回転中心軸とC軸の回転中心軸との交点に、X/Y/Z軸の原点が一致しない場合も同様に所望の位置および姿勢にヘッド40を制御することができない。したがって、所望の位置および姿勢に造形ステージ70とヘッド40を制御して、所望の造形物を印刷するためには、B軸の回転中心軸とC軸の回転中心軸との交点に、X/Y/Z軸の原点を一致させる必要がある。
【0035】
しかしながら、これら5軸の関係性を調整することは、自由度が高いために調整に習熟しない場合、困難である。
【0036】
〔実施形態1〕
まず図1~8を参照して、本実施形態に係る3Dプリンタ1の構成、動作方法、および調整方法に関して説明する。説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、以降の各実施形態では、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。また、簡潔化のため、公知技術と同様の事項についても、説明を適宜省略する。
【0037】
(3Dプリンタ1の構成)
図1は、実施形態1に係る3Dプリンタ1の構成を示す斜視図である。3Dプリンタ1は、1組のフレーム10と、6個のリニア駆動軸20と、6個の第1ボールジョイント30と、1個のヘッド40と、6個の第2ボールジョイント50と、6個のリンク60と、1個の造形ステージ70と、制御部80と、を備える。
【0038】
フレーム10は、3Dプリンタ1の要部を固定する部材である。フレーム10は主に上部フレーム11と下部フレーム12に大別される。
【0039】
リニア駆動軸20は、上部フレーム11と下部フレーム12との間を繋ぐ直動運動をするアクチュエータである。リニア駆動軸20としては、リニアモータ、ボールねじ、またはタイミングベルトなどの任意の駆動形態をとることができる。また、本実施形態ではステッピングモータ(図示省略)とタイミングベルト(図示省略)を使用することとするが、使用するモータの種類も制限されない。
【0040】
また、実施形態1では、リニア駆動軸20が上部フレーム11と下部フレーム12とを接続するフレームおよびリニアガイドの機能をも兼ね備えるが、別に鉛直フレームおよびリニアガイドがあってもよい。6個のリニア駆動軸は鉛直方向に延伸し、互いに平行に設置される。リニア駆動軸20を区別する場合に、リニア駆動軸20a~20fと称する。
【0041】
第1ボールジョイント30は、リニア駆動軸20にて駆動されるボールジョイントである。第1ボールジョイント30は、回転、揺動する機構であれば何でもよく、例えばユニバーサルジョイントであってもよい。第1ボールジョイント30を区別する場合に、第1ボールジョイント30a~30fと称する。リニア駆動軸20は対応する添え字「a」~「f」の第1ボールジョイント30を駆動する。つまり、リニア駆動軸20aは第1ボールジョイント30aを駆動する。
【0042】
ヘッド40は、エクストルーダ(図示省略)から供給された材料を溶解し、ノズル41から吐出するヘッドである。3Dプリンタ1では、ヘッド40を回転および/または傾斜させることによって、ノズル41の先端41aの位置および姿勢を制御する。
【0043】
また、ヘッド40にはロードセル42(図示省略)が備わっていてもよい。ロードセル42は、ノズル41に加わった鉛直方向荷重を検出し、所定の閾値以上の場合、ノズル41が造形ステージ70に接触したと判定する。ロードセル42は、ロードセルに限定されず、ヘッド40またはノズル41に加わる荷重または、ノズル41への物体の接近を検出する何らかのセンサであればよい。
【0044】
第2ボールジョイント50は、ヘッド40に接続されるボールジョイントである。第2ボールジョイント50は、回転、揺動する機構であれば何でもよく、例えばユニバーサルジョイントであってもよい。第2ボールジョイント50を区別する場合に、第2ボールジョイント50a~50fと称する。
【0045】
リンク60は、第1ボールジョイント30と第2ボールジョイント50とを接続するリンクである。リンク60は、第1ボールジョイント30の揺動中心と、第2ボールジョイント50の揺動中心とを通る直線に対し延伸する。また、リンク60は、ロッドであってもよい。リンク60を区別する場合に、リンク60a~60fと称する。リンク60は対応する添え字「a」~「f」の第1ボールジョイント30と第2ボールジョイント50とを接続する。つまり、リンク60aは第1ボールジョイント30aと第2ボールジョイント50aとを接続する。また、リンク60a~60fの長さはそれぞれ等しい、つまり、第1ボールジョイント30から第2ボールジョイント50までの距離はそれぞれ等しい。
【0046】
造形ステージ70は、ノズル41から吐出された材料を積層し、造形物を保持するステージである。造形ステージ70は加熱できてもよい。造形ステージ70は、フレーム10に対して固定されている。また、造形ステージ70は水平平面上に設置されている。
【0047】
制御部80(図示省略)は、ヘッド40およびノズル41を所望の位置および/または姿勢にするために、リニア駆動軸20を制御する。また、ロードセル42によって、ノズル41が造形ステージ70に接触したことを検出する。つまり、制御部80は、3Dプリンタ1の各部を統括的に制御する。
【0048】
(3Dプリンタ1の位置および姿勢の定義)
ヘッド40の位置および姿勢は、ノズル41の位置および姿勢で定義することができ、ノズル41の先端41aの位置Pn(xn、yn、zn)およびノズル41の姿勢(φ、θ)である。位置(xn、yn、zn)は、造形ステージ70の中心が原点である。
【0049】
また、姿勢(φ、θ)は、ノズル41の姿勢に追従して動作する方向ベクトルで定義でき、φは当該方向ベクトルとZ軸とのなす角度であり、θは当該方向ベクトルのX/Y成分の角度である。つまり、φは傾斜角度であり、θは回転角度である。
【0050】
例えば、φ=0°でのノズル41の姿勢は図2であり、造形ステージ70に対し垂直(鉛直)である。φ>0°におけるθ=0°でのノズル41の姿勢は図3である。また、φ>0°におけるθ≠0°のノズル41の姿勢は図4である。
【0051】
(3Dプリンタ1の動作)
次に、3Dプリンタ1の動作の仕方を説明する。図5は、実施形態1に係る3Dプリンタ1の上面図である。図5に示すように、3Dプリンタ1のリニア駆動軸20は、略正三角形の頂点に、それぞれ2個ずつ配置されていることがわかる。つまり、上述した略正三角形の頂点近傍で、それぞれ2個ずつの第1ボールジョイント30が直動運動(鉛直運動)することがわかる。その結果、第1ボールジョイント30のX/Y座標は変化せず、Z座標のみが変化する。
【0052】
また、ヘッド40は上述した略正三角形の逆向きの略正三角形の頂点に、それぞれ2個ずつの第2ボールジョイント50が配置されている。つまり、第2ボールジョイント50はそれぞれ互いに対し相対的に固定されている。
【0053】
第1ボールジョイント30と第2ボールジョイント50との間の距離はリンク60によって一定なため、リニア駆動軸20によって第1ボールジョイント30の位置を制御することによって、第2ボールジョイント50の位置を制御することができ、結果として、ヘッド40およびノズル41の位置および/または姿勢を制御することができる。
【0054】
(3Dプリンタ1での原点復帰)
図6は、3Dプリンタ1での原点復帰における動作を示すフローチャートである。
【0055】
制御部80は、原点復帰に際し、全てのリニア駆動軸20を鉛直方向上方に向けて動作させる(S101)。各リニア駆動軸20は、原点条件を満たしているかを確認する(S102)。S102においてYesの場合、制御部80は当該リニア駆動軸20のみの動作を停止させる(S103)。S102においてNoの場合、S102に処理を戻す。
【0056】
制御部80は、全てのリニア駆動軸が原点条件を満たしているかを確認する(S104)。S104においてNoの場合、S102に処理を戻す。S104においてYesの場合、原点復帰を終了する。
【0057】
ここで、原点条件は、各リニア駆動軸20固有の原点センサであってもよいし、ハードリミットに対する押し当てであってもよい。
【0058】
(3Dプリンタ1の逆運動学)
ノズル41を任意の位置および/または姿勢にするためには、第1ボールジョイント30を制御する必要があることがわかった。そのため、まずは、ヘッド40およびノズル41を所望の位置および姿勢に制御するための第1ボールジョイント30のZ座標を求める逆運動学を解く。
【0059】
ここで、第1ボールジョイント30の座標はそれぞれ、Pti(xti、yti、zti)で表す。また、第2ボールジョイント50の座標はそれぞれ、Phi(xhi、yhi、zhi)で表す。ただし、iは添え字a~fに対応する。さらに、ノズル41の位置が原点であり、φ=0、θ=0における、第2ボールジョイント50の座標Pbi(xbi、ybi、zbi)をそれぞれあらかじめ求めておく。
【0060】
まず、φ=0、θ=0における造形ステージ70に対する方向ベクトル(0、0、1)をφ°傾斜させ、かつθ°回転させることで、造形ステージに対する任意の姿勢で必要な第1方向ベクトルを導出する。数1は、任意の姿勢における第1方向ベクトルである。
【0061】
【数1】
【0062】
3Dプリンタ1では、ノズル41の方向ベクトル(0、0、1)をX軸周りにα°、Y軸周りにβ°回転させることで、任意の姿勢を実現する。数2は任意の姿勢におけるノズル41の方向ベクトルである第2方向ベクトルである。
【0063】
【数2】
【0064】
ここで、第1方向ベクトルと、第2方向ベクトルは実質的に同じ姿勢を表すベクトルである。そのため、数3によってφ、θからα、βを導出する。
【0065】
【数3】
【0066】
次に、ノズル41の先端41aの位置Pn(xn、yn、zn)およびノズル41の姿勢α、βでの第2ボールジョイント50の座標Phi(xhi、yhi、zhi)を数4で求める。
【0067】
【数4】
【0068】
次に、リンク60の長さがLの場合、第1ボールジョイント30の座標Pti(xti、yti、zti)のうち、ztiは数2で求まる。ただし、xti、ytiは3Dプリンタ1固有の値なため変動しない。
【0069】
【数5】
【0070】
したがって、第1ボールジョイント30のそれぞれのz座標ztiを導出でき、当該座標に動かすように各リニア駆動軸20を動作させることで、任意の位置(xn、yn、zn)および姿勢(φ、θ)にノズル41の先端41aを制御することができる。
【0071】
(3Dプリンタ1の調整)
3Dプリンタ1は、6個の第1ボールジョイント30の位置に応じて、ノズル41の位置および姿勢が定まる。そのため、各リニア駆動軸20の原点を互いに合わせることで、3Dプリンタ1を調整することができる。これは、上述した原点復帰を行った状態で残る、造形ステージ70に対する各リニア駆動軸20のバラツキを合わせることである。
【0072】
各リニア駆動軸20の原点を合わせるためには、各リニア駆動軸20の垂直度を出すことと、造形ステージ70に対する高さを揃えることで、実現することができる。垂直度に関しては、フレーム10の製作および組み立て精度に依存する。
【0073】
高さに関しては、造形ステージ70とノズル41との垂直度に依存する。ここで、造形ステージ70が傾いている場合、当該高さは異なる位置で異なる高さになる。この高さを揃えることによって、造形ステージ70とノズル41の垂直度を出すことができる。
【0074】
(ロードセル42による調整)
造形ステージ70の調整を容易にするために、ロードセル42を用いる。ロードセル42によって、ノズル41の先端41aが造形ステージ70に接触した高さを、制御部80は取得する。
【0075】
ここで、3Dプリンタ1では順運動学を簡単な数式に整理することができない。そのため、ノズル41を鉛直方向下方に向けて動作させ始める前の各リニア駆動軸20の高さとパルス数を一時記憶しておく。その後、ノズル41が造形ステージ70に接触したことを、ロードセル42が検出した段階のパルス数を確認し、パルス数の変化分から、各リニア駆動軸20の高さの変化分を算出することで、制御部80はノズル41が造形ステージ70に接触した高さを取得する。この間、X/Y座標は変化させないように制御する。
【0076】
図7は、造形ステージ70の調整をロードセル42によって行う場合の動作を示すフローチャートである。
【0077】
制御部80は、ある位置におけるノズル41を、鉛直方向下方に向けて動作させる(S201)。制御部80は、ロードセル42によってノズル41が造形ステージに接触したかを判定する(S202)。S202においてNoの場合、S202に処理を戻す。S202においてYesの場合、ノズル41が造形ステージ70に接触したときのリニア駆動軸20の鉛直方向高さを、制御部80は取得し第1高さとする(S203)。
【0078】
制御部80は、別の位置にノズル41、すなわちヘッド40を動作させる(S204)。この際、ノズルは傾斜させない。制御部80は、別の位置におけるノズル41を、鉛直方向下方に向けて動作させる(S205)。制御部80は、ロードセル42によってノズル41が造形ステージに接触したかを判定する(S206)。S206においてNoの場合、S206に処理を戻す。S206においてYesの場合、ノズル41が造形ステージ70に接触したときのリニア駆動軸20の鉛直方向高さを、制御部80は取得し第2高さとする(S207)。
【0079】
制御部80は、第1高さと第2高さとを比較し、同じ高さであるか否かを判定する(S208)。S208においてNoの場合、第1高さと第2高さとが異なるため、造形ステージ70の高さを調整する(S209)。S208においてYesの場合、造形ステージ70の調整を終了する。
【0080】
図7においては、2か所の位置におけるリニア駆動軸20の高さを比較したが、2か所に制限されない。例えば、X/Y方向それぞれ2か所ずつ測定し、造形ステージ70の傾きを把握して、造形ステージ70を調整してもよい。
【0081】
(小括)
まず、3Dプリンタ1の構成を説明し、原点復帰の方法を説明した。次に、逆運動学を解き、任意の位置および姿勢に制御する方法を説明した。さらに、3Dプリンタ1の調整方法、特に造形ステージ70の調整方法を説明した。
【0082】
比較例における調整方法では、B軸の中心軸とC軸の中心軸との交点に、X/Y/Z軸の原点を一致させる必要があり、困難である。対して、実施形態1に係る3Dプリンタ1における調整方法では、各リニア駆動軸20の高さを揃えるだけでよい。また、各リニア駆動軸20の高さを揃えるに際し、ロードセル42によってノズル41が造形ステージ70に接触した高さを取得することができ、高さの違いを比較して容易に調整できる。
【0083】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、ノズル41が造形ステージ70に対して垂直(鉛直)な状態で先端41aが原点にある場合における、第2ボールジョイント50の高さzbiである、ヘッド40の高さH(zhi=H)を導出する。
【0084】
ヘッド40の高さHは、重要なパラメータである。ノズル41が傾斜および/または回転した場合における第2ボールジョイント50の座標Phi(xhi、yhi、zhi)は、ヘッド40の高さHによって計算結果が大きく変わる。そのため、当該高さHが間違っている場合、ノズル41の位置および/または姿勢は大きく異なることになる。
【0085】
(ヘッド40の高さHの調整)
図8は、ヘッド40の高さHの調整をロードセル42によって行う場合の動作を示すフローチャートである。
【0086】
制御部80は、ノズル41が鉛直な状況(ノズル41が造形ステージ70に対して垂直な状況)において、ある位置におけるノズル41を、鉛直方向下方に向けて動作させる(S301)。この際、ノズル41は傾斜させてはいけない。制御部80は、ロードセル42によってノズル41が造形ステージに接触したかを判定する(S302)。S302においてNoの場合、S302に処理を戻す。S302においてYesの場合、ノズル41が造形ステージ70に接触したときのリニア駆動軸20の鉛直方向高さを、制御部80は取得し、基準高さとする(S303)。
【0087】
制御部80は、ノズル41を傾斜させる(S304)。この際、ノズル41の傾斜角度は5°以上30°以下が好ましい。制御部80は、ノズル41が鉛直から傾斜した状況において、同じ位置におけるノズル41を、鉛直方向下方に向けて動作させる(S305)。制御部80は、ロードセル42によってノズル41が造形ステージに接触したかを判定する(S306)。S306においてNoの場合、S306に処理を戻す。S306においてYesの場合、ノズル41が造形ステージ70に接触したときのリニア駆動軸20の鉛直方向高さを、制御部80は取得し、傾斜時高さとする(S307)。
【0088】
制御部80は、基準高さと傾斜時高さとを比較し、同じ高さであるか否かを判定する(S308)。S308においてNoの場合、基準高さと傾斜時高さとが同じになるまで、ヘッド40の高さHを調整する(S309)。S308においてYesの場合、ヘッド40の高さHの調整を終了する。
【0089】
図8においては、ノズル41が鉛直な状況における基準高さに対して、1種類のヘッド40の高さHにおけるノズル41が鉛直から傾斜した状況における傾斜時高さを比較したが、1種類に限定されない。例えば、複数の高さHを順番に変えながらS304~S306の処理を繰り返し、最適なヘッド40の高さHを導出してもよい。
【0090】
(小括)
ノズル41が傾斜および/または回転するに際し、ヘッドの高さHが重要なパラメータであることを示した。その上で、当該高さHを、ロードセル42によって検出したノズル41が造形ステージ70に接触した高さを用いて、導出することができる。
【0091】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。本実施形態では、3Dプリンタ1の傾斜角度の限界に関して説明し、当該限界を改善する機構に関して説明する。
【0092】
(ボールジョイントにおける可動範囲)
ボールジョイントは一般的に、球状にくり抜かれ、一面が開口部になったソケットと、当該ソケットの中を摺動するボールと、ボールから突出し、ソケットの開口部の中を揺動するシャフトとを備える。
【0093】
ボールはシャフトの延伸方向を回転軸として、シャフトを回転させることができる。また、ボールは球状にくり抜かれたソケットの内部を摺動し、シャフトを揺動させることができる。
【0094】
ボールがソケットの中で摺動する際に、シャフトがソケットの開口部と当接し、ボールジョイントの可動範囲が制限される。ボールジョイントの開口部を大きくすることで、ボールジョイントの可動範囲は大きくなるが、ボールがソケットから脱落しないようにするために可動範囲に限界が生じる。
【0095】
(3Dプリンタ1における可動範囲)
3Dプリンタ1ではボールジョイントは第1ボールジョイント30と第2ボールジョイント50とがある。このうち、第2ボールジョイント50の先に傾斜するヘッド40が接続されている。ヘッド40を傾斜させることで、第2ボールジョイント50のシャフトはソケットに容易に当接する。対して、第1ボールジョイント30は、傾斜しないリニア駆動軸20に配置されているため、第1ボールジョイント30のシャフトは容易にソケットに当接しない。
【0096】
(第2ボールジョイント51の構成)
図9は、実施形態3に係る第2ボールジョイント51の構成を示すモデル図である。実施形態3に係る3Dプリンタでは、実施形態1における第2ボールジョイント50に代わり、第2ボールジョイント51を備える。第2ボールジョイント51は、第2ボールジョイント50と異なり、ソケット52と、ボール53と、シャフト54と、第1回転部55と、アーム56と、第2回転部57とを備える。
【0097】
ソケット52は、球状にくり抜かれ、一面が開口部52aになっている。ボール53は、ソケット52の中を摺動する。シャフト54は、ボール53から突出し、開口部52aの中を揺動する。
【0098】
ソケット52は、リンク60と接続されており、ソケット52とリンク60との接続面に第1回転部55が備わっている。第1回転部55は、リンク60の延伸方向を回転軸として回転することができる。つまり、第1ボールジョイント30と第2ボールジョイント51との揺動中心(実質的にボールの中心)を通る回転中心軸でもって、第1回転部55は回転することができる。第1回転部55には、例えばベアリング等を用いてもよい。
【0099】
アーム56は、シャフト54とヘッド50とを接続するアームである。アーム56の一例としては、L字型の形状としてもよいが、これに制限されない。アーム56とヘッド40との接続面が第2回転部57である。第2回転部57は、ボール53の中心を通る回転中心軸を中心にアーム56を回転させる。第2回転部57には、例えばベアリングを用いてもよい。
【0100】
(第2ボールジョイント51の動作)
第2ボールジョイント51は、ボール53においてシャフト54の延伸方向を回転中心軸として回転することと、第1回転部55においてリンク60の延伸方向を回転中心軸として回転することと、第2回転部57においてボール53の中心を通る回転中心軸を中心に回転することができる。したがって、第2ボールジョイント51は、ボール53の中心を通る異なる3本の回転中心軸を含む。
【0101】
そのため、シャフト54がソケット52の開口部52aに当接した場合に、いずれかの回転中心軸に対して回転することで当接を解除することができる。すなわち、シャフト54の揺動できる可動範囲が拡大することになる。これにより、ヘッド40を傾斜できる範囲を拡大することができる。
【0102】
具体的な事例を図10および図11を用いて説明する。図10は、実施形態3に係る第2ボールジョイント51を第1回転部55の回転中心軸の方向から見たモデル図である。図11は、実施形態3に係る第2ボールジョイント51を第2回転部57の回転中心軸の方向から見たモデル図である。
【0103】
図10および図11では、ともに左側の図において、ソケット52とシャフト54が開口部52aで当接している。そのため、第1回転部55および第2回転部57が存在しない場合、当接している方向にシャフト54は揺動することはできない。しかしながら、第1回転部55および第2回転部57が当接を解除する方向に回転することによってさらに先ほど当接していた方向に回転できる余地が生まれる。
【0104】
なお、第1回転部55および第2回転部57は、それぞれリンク60およびヘッド40に備わっていてもよい。また、第2ボールジョイント51は、ボール53に代えて、シャフト54の延伸方向を回転中心軸とする回転部(例えば、ベアリング)が備わっていてもよい。
【0105】
(開口部52aの形状)
開口部52aの形状は揺動範囲を一律にするために円形とすることが一般的であるが、これに制限されない。すなわち、リンク60またはヘッド40に対する第2ボールジョイント51の姿勢に応じた形状としてもよく、例えば楕円形状などである。
【0106】
(小括)
ヘッド40が傾斜できる範囲が第2ボールジョイント50によって制限されることを説明し、当該範囲を拡大するための第2ボールジョイント51の構造を説明した。
【0107】
〔変形例〕
(ロードセル42を用いない調整)
制御部80は、ロードセル42によってリニア駆動軸20の高さを取得することで、調整を容易に進められることを実施形態1および2で示した。ヘッド40はロードセル42を備えなくてもよい。
【0108】
この場合、ユーザが3Dプリンタ1を手動で制御し、鉛直方向下方にジョグ送りしながら、ノズル41の造形ステージ70への接触を確認する。この際に、造形ステージ70の上に紙を置き、当該紙を動かしながら、ノズル41と造形ステージ70のクリアランスを確認してもよい。また、紙は紙でなくてもよく、シックネスゲージなどであってもよい。
【0109】
(5軸における3Dプリンタ)
実施形態1から3では、6軸の3Dプリンタ1に関して説明した。3Dプリンタは、6軸には限定されず、少なくとも5軸以上の任意の軸数であってもよい。つまり、本発明における3Dプリンタは少なくとも5自由度を満たせばよい。
【0110】
例えば、5軸で3Dプリンタを構成し、5自由度とした場合、リニア駆動軸を正五角形で配置してもよい。また、実施形態1および2においても、6個のリニア駆動軸20の配置は、上述した事例に限定されず、任意の配置方法、例えば正六角形などに配置してもよい。
【0111】
(取り外し式センサの利用)
実施形態1および2では、ロードセル42によって、ノズル41が造形ステージ70に接触したことを検出した。本変形例では、3Dプリンタに内蔵されない、取り外し式の接触検知センサを、ノズル41に取り付けるか、または、ノズル41直下に配置してもよい。取り外し式の接触検知センサは、ロードセル42と同様の機能を果たし、ノズル41と造形ステージ70との接触を検出する。
【0112】
(パラレルリンクロボットにおける適用)
実施形態1から3では、3Dプリンタ(3次元造形装置)に関して記載したが、これに限定されない。例えば、3Dプリンタではなく、パラレルリンクロボットであってもよい。当該パラレルリンクロボットは、3Dプリンタ1におけるノズル41に代えてヘッド40はスピンドルを備えたフライス盤またはマシニングセンタであってもよいし、ノズル41に代えてヘッド40はレーザを備えたレーザ加工機であってもよい。また、ヘッド40はノズル41に代えてピッキングツールを備えてもよい。これらに限定されず任意のツールをヘッド40に備えてもよい。
【0113】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1、100 3Dプリンタ(3次元造形装置)
10 フレーム
11 上部フレーム
12 下部フレーム
20、20a~20f リニア駆動軸
30、30a~30f 第1ボールジョイント
40 ヘッド
41 ノズル
41a 先端
42 ロードセル
50、50a~50f、51 第2ボールジョイント
52 ソケット
53 ボール
54 シャフト
55 第1回転部
56 アーム
57 第2回転部
60、60a~60f リンク
70 造形ステージ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12