(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156961
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】家賃の支払いとともに資産の形成を可能にするためのコンピュータシステム、および、そのコンピュータシステムにおいて実行されるプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20120101AFI20231018BHJP
【FI】
G06Q50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130630
(22)【出願日】2022-08-18
(62)【分割の表示】P 2022066370の分割
【原出願日】2022-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】521466965
【氏名又は名称】SOMPO Light Vortex株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】上原 高志
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】家賃の支払いとともに資産の形成を可能にするためのコンピュータシステムを提供すること。
【解決手段】本発明のコンピュータシステムは、賃貸物件の借主が支払うべき家賃を、賃貸物件の居住品質と実質的に等しい居住品質を有する新築物件を住宅ローンで購入した場合のローンの費用に基づいて算出する手段と、家賃の少なくとも一部を有価代替物として蓄積する手段と、賃貸物件に関連する複数の選択肢を借主に提示する手段であって、複数の選択肢は、賃貸物件を購入するという第1の選択肢を少なくとも含み、借主が第1の選択肢を選択する場合には、蓄積された有価代替物の少なくとも一部は、賃貸物件の購入費用に充当されることが可能である、手段と、複数の選択肢のうちの1つを選択する入力を受信する手段と、入力に基づいて、選択された選択肢に応じた処理を実行する手段とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家賃の支払いとともに資産の形成を可能にするためのコンピュータシステム、および、そのコンピュータシステムにおいて実行されるプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅ローンが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】エヌ・ティ・ティレゾナント株式会社、“住宅ローンとは”、[online]、[令和4年4月7日検索]、インターネット<URL:https://house.goo.ne.jp/useful/guide/loan/knowledge/borrowing001.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
住宅ローンは、借金であるため、住宅ローンを支払い続けたとしても、資産を形成することはできない。
【0005】
本発明は、家賃の支払いとともに資産の形成を可能にするためのコンピュータシステム、および、そのコンピュータシステムにおいて実行されるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの局面において、本発明のコンピュータシステムは、家賃の支払いとともに資産の形成を可能にするためのコンピュータシステムであり、前記コンピュータシステムは、賃貸物件の借主が支払うべき家賃を、前記賃貸物件の居住品質と実質的に等しい居住品質を有する新築物件を住宅ローンで購入した場合のローンの費用に基づいて算出する手段と、前記家賃の少なくとも一部を有価代替物として蓄積する手段と、前記賃貸物件に関連する複数の選択肢を前記借主に提示する手段であって、前記複数の選択肢は、前記賃貸物件を購入するという第1の選択肢を少なくとも含み、前記借主が前記第1の選択肢を選択する場合には、前記蓄積された有価代替物の少なくとも一部は、前記賃貸物件の購入費用に充当されることが可能である、手段と、前記複数の選択肢のうちの1つを選択する入力を受信する手段と、前記入力に基づいて、前記選択された選択肢に応じた処理を実行する手段とを備える。
【0007】
本発明の1つの実施形態では、前記賃貸物件は、中古物件をリフォームしたものであり、前記家賃を算出する手段は、A×B×Cによって算出される価格の新築物件を住宅ローンで購入した場合の月次支払額に基づいて前記家賃を算出し、Aは、前記中古物件の購入に係る相場費用であり、Bは、前記中古物件のリフォームに関連付けられた係数であり、Cは、新築読替係数であってもよい。
【0008】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記入力が前記第1の選択肢の選択を示す場合に、前記賃貸物件の購入費用と前記蓄積された有価代替物を金額に換算した費用との間の差額を前記借主に提示する手段をさらに備え、前記選択された選択肢に応じた処理を実行する手段は、前記賃貸物件の賃貸借契約を終了し、前記賃貸物件を売却済み物件に切り替える処理を実行する手段を含んでいてもよい。
【0009】
本発明の1つの実施形態では、前記蓄積された有価代替物の少なくとも一部を前記賃貸物件の購入費用に充当するための処理を実行する手段をさらに備えていてもよい。
【0010】
本発明の1つの実施形態では、前記複数の選択肢は、前記賃貸物件とは別の賃貸物件に住み替えるという第2の選択肢をさらに含み、前記借主が前記第2の選択肢を選択する場合には、前記蓄積された有価代替物の少なくとも一部は、前記別の賃貸物件の賃貸借契約に起因して発生する費用に充当されることが可能であってもよい。
【0011】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記入力が前記第2の選択肢の選択を示す場合に、前記別の賃貸物件の賃貸借契約に起因して発生する費用と前記蓄積された有価代替物を金額に換算した費用との間の差額を前記借主に提示する手段をさらに備え、前記選択された選択肢に応じた処理を実行する手段は、前記賃貸物件の賃貸借契約を終了し、前記別の賃貸物件の賃貸借契約に関するデータを生成する手段を含んでいてもよい。
【0012】
本発明の1つの実施形態では、前記蓄積された有価代替物の少なくとも一部を、前記別の賃貸物件の賃貸借契約に起因して発生する費用に充当するための処理を実行する手段をさらに備えていてもよい。
【0013】
本発明の1つの局面において、本発明のプログラムは、家賃の支払いとともに資産の形成を可能にするためのコンピュータシステムにおいて実行されるプログラムであり、前記コンピュータシステムは、プロセッサ部を備え、前記プログラムは、前記プロセッサ部によって実行されると、賃貸物件の借主が支払うべき家賃を、前記賃貸物件の居住品質と実質的に等しい居住品質を有する新築物件を住宅ローンで購入した場合のローンの費用に基づいて算出することと、前記家賃の少なくとも一部を有価代替物として蓄積することと、前記賃貸物件に関連する複数の選択肢を前記借主に提示することであって、前記複数の選択肢は、前記賃貸物件を購入するという第1の選択肢を少なくとも含み、前記借主が前記第1の選択肢を選択する場合には、前記蓄積された有価代替物の少なくとも一部は、前記賃貸物件の購入費用に充当されることが可能である、ことと、前記複数の選択肢のうちの1つを選択する入力を受信することと、前記入力に基づいて、前記選択された選択肢に応じた処理を実行することとを前記プロセッサ部に少なくとも実行させる。
【0014】
本発明の1つの局面において、本発明のコンピュータシステムは、家賃の支払いとともに資産の形成を可能にするためのコンピュータシステムであり、前記コンピュータシステムは、賃貸物件の借主が支払った家賃の少なくとも一部を有価代替物として蓄積する手段と、前記賃貸物件に関連する複数の選択肢を前記借主に提示する手段であって、前記複数の選択肢は、前記賃貸物件を購入するという第1の選択肢を少なくとも含み、前記借主が前記第1の選択肢を選択する場合には、前記蓄積された有価代替物の少なくとも一部は、前記賃貸物件の購入費用に充当されることが可能である、手段と、前記複数の選択肢のうちの1つを選択する入力を受信する手段と、前記入力に基づいて、前記選択された選択肢に応じた処理を実行する手段とを備える。
【0015】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記入力が前記第1の選択肢の選択を示す場合に、前記賃貸物件の購入費用と前記蓄積された有価代替物を金額に換算した費用との間の差額を前記借主に提示する手段をさらに備え、前記選択された選択肢に応じた処理を実行する手段は、前記賃貸物件の賃貸借契約を終了し、前記賃貸物件を売却済み物件に切り替える処理を実行する手段を含んでいてもよい。
【0016】
本発明の1つの実施形態では、前記蓄積された有価代替物の少なくとも一部を前記賃貸物件の購入費用に充当するための処理を実行する手段をさらに備えていてもよい。
【0017】
本発明の1つの実施形態では、前記複数の選択肢は、前記賃貸物件とは別の賃貸物件に住み替えるという第2の選択肢をさらに含み、前記借主が前記第2の選択肢を選択する場合には、前記蓄積された有価代替物の少なくとも一部は、前記別の賃貸物件の賃貸借契約に起因して発生する費用に充当されることが可能であってもよい。
【0018】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記入力が前記第2の選択肢の選択を示す場合に、前記別の賃貸物件の賃貸借契約に起因して発生する費用と前記蓄積された有価代替物を金額に換算した費用との間の差額を前記借主に提示する手段をさらに備え、前記選択された選択肢に応じた処理を実行する手段は、前記賃貸物件の賃貸借契約を終了し、前記別の賃貸物件の賃貸借契約に関するデータを生成する手段を含んでいてもよい。
【0019】
本発明の1つの実施形態では、前記蓄積された有価代替物の少なくとも一部を、前記別の賃貸物件の賃貸借契約に起因して発生する費用に充当するための処理を実行する手段をさらに備えていてもよい。
【0020】
本発明の1つの実施形態では、前記複数の選択肢は、前記賃貸物件の賃貸借契約を完全に終了するという第3の選択肢をさらに含み、前記借主が前記第3の選択肢を選択する場合には、前記蓄積された有価代替物の少なくとも一部が現金化されることが可能であってもよい。
【0021】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記入力が前記第3の選択肢の選択を示す場合に、前記蓄積された有価代替物の少なくとも一部を金額に換算した費用を前記借主に支払うための処理を実行する手段をさらに備え、前記選択された選択肢に応じた処理を実行する手段は、前記賃貸物件の賃貸借契約を終了する手段を含んでいてもよい。
【0022】
本発明の1つの実施形態では、前記コンピュータシステムは、前記賃貸物件の居住品質と実質的に等しい居住品質を有する新築物件を住宅ローンで購入した場合のローンの費用に基づいて前記家賃を算出する手段をさらに備えていてもよい。
【0023】
本発明の1つの実施形態では、前記賃貸物件は、中古物件をリフォームしたものであり、前記家賃を算出する手段は、A×B×Cによって算出される価格の新築物件を住宅ローンで購入した場合の月次支払額に基づいて前記家賃を算出し、Aは、前記中古物件の購入に係る相場費用であり、Bは、前記中古物件のリフォームに関連付けられた係数であり、Cは、新築読替係数であってもよい。
【0024】
本発明の1つの局面において、本発明のプログラムは、家賃の支払いとともに資産の形成を可能にするためのコンピュータシステムにおいて実行されるプログラムであり、前記コンピュータシステムは、プロセッサ部を備え、前記プログラムは、前記プロセッサ部によって実行されると、賃貸物件の借主が支払った家賃の少なくとも一部を有価代替物として蓄積することと、前記賃貸物件に関連する複数の選択肢を前記借主に提示することであって、前記複数の選択肢は、前記賃貸物件を購入するという第1の選択肢を少なくとも含み、前記借主が前記第1の選択肢を選択する場合には、前記蓄積された有価代替物の少なくとも一部は、前記賃貸物件の購入費用に充当されることが可能である、ことと、前記複数の選択肢のうちの1つを選択する入力を受信することと、前記入力に基づいて、前記選択された選択肢に応じた処理を実行することとを前記プロセッサ部に少なくとも実行させる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、家賃の支払いとともに資産の形成を可能にするためのコンピュータシステム、および、そのコンピュータシステムにおいて実行されるプログラムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】「家賃を支払いながら資産を形成する」ことができる新たな仕組みの概略図
【
図2】「家賃を支払いながら資産を形成する」ことができる新たな仕組みを実現するためのシステム200の構成の一例を示す図
【
図3A】物件データベース部241に格納されている情報の構成の一例を示す図
【
図3B】ユーザデータベース部242に格納されている情報の構成に一例を示す図
【
図4】コンピュータシステム210において実行されるフローの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本明細書において用いられる用語を定義する。
【0028】
本明細書において「賃貸物件」とは、賃貸借契約に基づいて借主が借りている物件をいう。
【0029】
本明細書において「家賃」とは、賃貸物件の借主が賃貸物件に居住し続けるために支払うべきものをいう。
【0030】
本明細書において「購入物件」とは、購入契約に基づいて購入者によって購入された物件をいう。例えば、賃貸物件が購入された場合、その購入者は、賃貸物件の借主であり得る。
【0031】
本明細書において物件の「居住品質」とは、その物件がその物件に居住する居住者に提供することが可能なサービスの品質をいう。物件の「居住品質」は、その物件の物理的な構造(例えば、間取り、延床面積、土地面積、築年数など)によって単純に決まるものではなく、その物件に居住する居住者がその物件にどの程度快適に居住することができるかその快適さの度合いを表すものである。物件の「居住品質」には、例えば、その物件の断熱効果の度合い、その物件の風通しの度合い、その物件の日照の度合い、その物件の間取りの変更可能性の度合い、その物件の立地に基づく交通利便性の度合い・買い物利便性の度合い・通学利便性の度合い、その物件のネットワーク環境の充実の度合いなどが含まれる。例えば、最新の物理的な構造を有する新築物件の断熱効果と旧来の物理的な構造を有する中古住宅をリフォームして壁や天井に断熱材を追加した後の中古物件の断熱効果とが等しい場合には、両者の断熱効果は等しいものと評価される。その物件の「居住品質」は、例えば、その物件の風通しの度合い、その物件の日照の度合い、その物件の間取りの変更可能性の度合い、その物件の立地に基づく交通利便性の度合い・買い物利便性の度合い・通学利便性の度合い、その物件のネットワーク環境の充実の度合いなどのそれぞれを所定の基準に従って評価することによって総合的に評価される。総合的な評価結果は、ポイントによって表される。2つの物件の「居住品質」の総合的な評価が実質的に等しい場合に、2つの物件の「居住品質」が実質的に等しいという。ここで、「実質的に」等しいとは、総合的な評価を表すポイントの差が10%以内であることをいう。
【0032】
本明細書において「資産」とは、経済的価値を有する財産をいう。「資産」は、有形資産であってもよいし、無形資産であってもよい。
【0033】
本明細書において「有価代替物」とは、お金またはお金に相当するものまたはお金に換えることが可能なものをいう。「有価代替物」の一例は、法定通貨、仮想通貨、ポイント、クーポン、割引券などであるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書において「新築読替係数」とは、中古物件またはリフォーム後の中古物件を新築物件とみなすための、中古物件またはリフォーム後の中古物件の購入費用に対する新築物件の購入費用の割合を示す係数をいう。
【0035】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0036】
1.「家賃を支払いながら資産を形成する」ことができる新たな仕組みの提供
出願人は、「家賃を支払いながら資産を形成する」ことができる新たな仕組みを提案する。この新たな仕組みは、借主が支払った家賃の少なくとも一部を有価代替物(例えば、ポイント)として積み立てておくことによって、賃貸物件に住み続けるだけで資産を形成することができることを企図したものである。
【0037】
図1は、「家賃を支払いながら資産を形成する」ことができる新たな仕組みの概略図である。「家賃を支払いながら資産を形成する」ことができる新たな仕組みによれば、賃貸物件Aの管理会社は、借主が支払った家賃の少なくとも一部を有価代替物として積み立てて管理し、所定のタイミングで(例えば、定期的に(例えば、半年に1回のペースで、1年に1回のペースで)、借主の賃貸借契約の更新時に)またはランダムなタイミングで複数の選択肢を賃貸物件Aの借主に提示する。借主は、その複数の選択肢の中から、例えば、賃貸物件Aを購入するという選択肢を選択することが可能である。この場合、借主は、賃貸物件Aの購入に必要な費用と積み立てられた有価代替物との差額を支払うことによって、購入契約に基づいて賃貸物件Aを購入して購入物件にすることが可能である。あるいは、借主は、管理会社が管理する別の賃貸物件Bに住み替えるという選択肢を選択することも可能である。この場合、借主は、賃貸物件Bの賃貸借契約に起因して発生する費用と積み立てられた有価代替物との差額を支払うことによって、賃貸物件Bに住み替えることが可能である。あるいは、借主は、賃貸物件Aの賃貸借契約を終了するという選択肢を選択することも可能である。この場合、借主は、積み立てられた有価代替物の少なくとも一部に相当する金額を受け取ることが可能である。
【0038】
このように、「家賃を支払いながら資産を形成する」ことができる新たな仕組みでは、家賃を支払うことによって有価代替物を積み立てることが可能であるため、借主は、賃貸物件に住み続けた結果としてその賃貸物件を購入することを決断することが可能であり、賃貸物件の購入時には、積み立てられた有価代替物を賃貸物件の購入費用に充当することができる。また、積み立てられた有価代替物は、家賃を支払った借主の資産であるため、借主は、その賃貸物件の賃貸借契約を終了するときでさえ(例えば、その賃貸物件の賃貸借契約を終了して別の賃貸物件との賃貸借契約を締結するときでさえ)、積み立てられた有価代替物の少なくとも一部を現金で受け取ることが可能である。
【0039】
従来の住宅ローンは借金であるため、ローン返済のためにキャッシュを捻出する必要があり、故に、資産が削られ、家族が我慢を強いられることに繋がっていた。出願人は、幸せに生きるためには家族の安心・安全・健康が必要であり、そのためには住宅ローンに依存しない適切な住まいが必要であると考えた。従って、上記の新たな仕組みによってもたらされる「居住=資産形成」という新たな発想は、これまでの住宅のあり方や価値を刷新するものであり、住宅ローン等の借金に対して不安や不快感を抱くユーザにとって画期的なものとなり得る。
【0040】
2.「家賃を支払いながら資産を形成する」ことができる新たな仕組みを実現するためのシステム構成
図2は、「家賃を支払いながら資産を形成する」ことができる新たな仕組みを実現するためのシステム200の構成の一例を示す。
【0041】
図2に示される実施形態では、システム200は、複数の賃貸物件を管理する管理会社が運営・管理するコンピュータシステム210と、賃貸物件を借りている借主によって操作される複数のユーザ装置220
1~220
Nとを備える。コンピュータシステム210は、インターネット230を介して、複数のユーザ装置220
1~220
Nのそれぞれと通信することが可能なように構成されている。ここで、Nは、1以上の整数である。
【0042】
コンピュータシステム210は、複数の賃貸物件を管理する管理会社のための処理を実行する情報処理システムである。
図2に示される実施形態では、コンピュータシステム210は、インターフェース部211と、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサ部212と、メモリ部213とを含む。コンピュータシステム210のハードウェア構成は、その機能を実現できる限りにおいて特に限定されず、単一のマシンで構成されていてもよく、複数台のマシンを組み合わせて構成されたものであってもよい。
【0043】
インターフェース部211は、複数のユーザ装置2201~220Nのそれぞれとの通信を制御する。
【0044】
メモリ部213には、処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムを実行するために必要とされるデータ等が格納されている。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ部213に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ部213にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、インターネット340などのネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ部213にインストールされるようにしてもよいし、光ディスクやUSBなどの記憶媒体を介してメモリ部213にインストールされるようにしてもよい。
【0045】
プロセッサ部212は、コンピュータシステム210全体の動作を制御する。プロセッサ部212は、メモリ部213に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、コンピュータシステム210は、所望のステップを実行する装置として機能することが可能であり、コンピュータシステム210のプロセッサ部212は、所望の機能を達成する手段として動作することが可能である。
【0046】
コンピュータシステム210は、データベース部240に接続されている。データベース部260は、物件データベース部241と、ユーザデータベース部242とを含む。
【0047】
ユーザ装置2201~220Nのそれぞれは、インターネット230を介して、コンピュータシステム210と通信することが可能なように構成されている。ユーザ装置2201は、例えば、管理会社が管理する賃貸物件の借主のための処理を実行するように構成される。例えば、ユーザ装置2201~220Nのそれぞれは、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、スマートグラス(眼鏡型ウェアラブルデバイス)、スマートウォッチ端末等の携帯無線端末であってもよいし、デスクトップPC、ラップトップPC、ノートPC等のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0048】
なお、
図2に示される実施形態では、複数のユーザ装置220
1~220
Nのそれぞれがインターネット230を介してコンピュータシステム210と通信可能であると説明したが、本発明はこれに限定されない。インターネット230の代わりに任意のタイプのネットワークを用いることも可能である。なお、インターネット230およびその代わりの任意のネットワークを介することなく、ユーザ装置220
1~220
Nのそれぞれをコンピュータシステム210に電気的に結合した構成もまた本発明の範囲内である。さらに、ユーザ装置220
1~220
Nのそれぞれの機能およびコンピュータシステム210の機能の両方を一体的に組み込んだシステム(すなわち、スタンドアロン型のシステム)をコンピュータシステム210として構築してもよい。このようなスタンドアロン型のコンピュータシステム210もまた本発明の範囲内である。
【0049】
また、
図2に示される実施形態では、データベース部240は、コンピュータシステム210の外部に設けられているが、本発明はこれに限定されない。データベース部240をコンピュータシステム210の内部に設けることも可能である。データベース部240の構成は、特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、データベース部240は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。例えば、データベース部240は、コンピュータシステム210の単一の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよい。さらに、データベース部240に含まれる各データベース部の構成もまた特定のハードウェア構成には限定されない。例えば、データベース部240に含まれる各データベース部もまた、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。
【0050】
図3Aは、物件データベース部241に格納されている情報の構成の一例を示す。
【0051】
物件データベース部241には、管理会社が管理する物件に関する情報が格納されている。
図3Aに示される実施形態では、物件に関する情報は、物件を識別するための情報(物件ID)によって識別されることが可能である。物件に関する情報は、物件の名称、住所、間取り、周辺情報、リフォーム履歴、居住品質などを含む。物件が賃貸物件である場合には、物件に関する情報は、家賃、および、賃貸物件であることを示す賃貸識別子をさらに含んでいてもよい。また、物件が購入された物件である場合には、物件に関する情報は、購入物件であることを示す購入識別子をさらに含んでいてもよい。
【0052】
図3Bは、ユーザデータベース部242に格納されている情報の構成に一例を示す。
【0053】
ユーザデータベース部242には、ユーザに関する情報が格納されている。
図3Bに示される実施形態では、ユーザに関する情報は、ユーザを識別するための情報(ユーザID)によって識別されることが可能である。ユーザに関する情報は、ユーザの氏名、性別、生年月日、電話番号、Eメールアドレス、ユーザが居住している物件を識別するための情報(物件ID)、ユーザが締結している契約の内容(例えば、物件IDによって識別される物件が賃貸物件である場合には賃貸借契約の内容、物件IDによって識別される物件が購入物件である場合には購入契約の内容)、契約の更新時期を示す情報などを含む。ユーザが、賃貸借契約に基づいて賃貸物件を借りている借主である場合には、ユーザに関する情報は、ユーザが支払った家賃の支払い履歴、蓄積された有価代替物(例えば、ポイント)を示す情報などをさらに含む。
【0054】
4.コンピュータシステムの処理
図4は、コンピュータシステム210において実行されるフローの一例を示す。
図4に示される各ステップは、例えば、コンピュータシステム210のプロセッサ部211によって実行される。以下、
図4に示される各ステップを説明する。
【0055】
ステップS401:賃貸物件の借主が支払うべき家賃が算出される。家賃は、例えば、賃貸物件の居住品質と実質的に等しい居住品質を有する新築物件を住宅ローンを組んで購入した場合に支払うべき月次支払額に基づいて、算出される。家賃は、その月次支払額と同額であってもよいし、その月次支払額の数割増しの金額であってもよいし、その月次支払額の数割引きの金額であってもよい。
【0056】
例えば、賃貸物件は、中古物件をリフォームしたものである場合には、家賃は、A×B×Cによって算出される価格の新築物件を住宅ローンで購入した場合の月次支払額に基づいて、算出され得、ここで、Aは、その中古物件の購入に係る相場費用であり、Bは、その中古物件のリフォームに関連付けられた係数(例えば、リフォームによって上がった物件の価値の割合を示す係数)であり、Cは、新築読替係数である。すなわち、A×Bは、中古物件のリフォーム後の価格であり、A×B×Cは、リフォーム後の中古物件の居住品質と実質的に等しい居住品質を有する新築物件の価格である。中古物件の購入に係る相場費用は、中古物件の土地および/または周辺環境などに応じて決定されるものであり得、中古物件の購入に係る相場費用を示す情報が、データベース部240内に格納され得る。
【0057】
ステップS402:家賃が借主から支払われたか否かが判定される。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS403に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS404に進む。
【0058】
ステップS403:支払された家賃の少なくとも一部が、有価代替物(例えば、ポイント)として蓄積され、これにより、資産が形成される。家賃の支払いにより蓄積された有価代替物を示す情報は、例えば、ユーザデータベース部242に格納される。家賃の支払いにより蓄積された有価代替物を示す情報は、例えば、借主の家賃支払いを示す情報とともに借主のユーザ装置から受信されたユーザIDに関連付けられた状態で、ユーザデータベース部242に格納されてもよい。家賃の支払いにより蓄積された有価代替物に相当する額は、例えば、支払われた家賃に応じて変動する額であってもよいし、支払われた家賃に応じて変動しない一定の額であってもよい。
【0059】
ステップS404:借主に対して家賃の未払いを催促するための処理が実行される。この処理は、例えば、家賃の未払いに関連する警告を提示することを借主のユーザ装置に実行させることを含む。
【0060】
ステップS405:借主の賃貸借契約の更新時期が来たか否かが判定される。この処理は、例えば、ユーザデータベース部242を参照して実行され得る。判定結果が「Yes」の場合には、処理はステップS403に進み、判定結果が「No」の場合には、処理はステップS404に進む。
【0061】
なお、
図4に示される実施形態では、ステップ401において借主からの家賃の支払いを確認した後に、借主の賃貸借契約の更新時期が来たか否かを判定する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。借主の賃貸借契約の更新時期が来たか否かを判定することは、借主からの家賃の支払いを確認する前にまたは確認することなく、実行されてもよい。
【0062】
ステップS406:借主の賃貸物件に関連する複数の選択肢を借主に提示することを借主のユーザ装置に実行させる。複数の選択肢は、例えば、賃貸物件を購入するという第1の選択肢、借主の現在の賃貸物件とは別の賃貸物件に住み替えるという第2の選択肢、賃貸物件の賃貸借契約を完全に終了するという第3の選択肢、賃貸物件の賃貸借契約をこのまま継続するという第4の選択肢などを含むが、これらに限定されない。
【0063】
なお、
図4に示される実施形態では、借主の賃貸借契約の更新時期が来たことに応答して、借主の賃貸物件に関連する複数の選択肢が借主に提示される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。借主の賃貸物件に関連する複数の選択肢は、借主の賃貸借契約の更新時期に限らず、所定のタイミングで(例えば、定期的に(例えば、半年に1回のペースで、1年に1回のペースで))またはランダムなタイミングで、借主に提示されてもよい。あるいは、借主の賃貸物件に関連する複数の選択肢は、借主の賃貸物件に関連する複数の選択肢の提示を希望する借主からの要求をユーザ装置を介してコンピュータシステム210が受信したことに応答して、借主に提示されてもよい。
【0064】
ステップS407:ステップS406において提示された複数の選択肢のうちの1つを選択するユーザ入力が受信される。ユーザ入力は、例えば、借主のユーザ装置から送信されたものであり得る。
【0065】
ステップS408:借主によって選択された選択肢に応じた処理が実行される。この処理は、ステップS407において受信されたユーザ入力に基づいて実行される。
【0066】
ユーザ入力が、賃貸物件を購入するという第1の選択肢の選択を示す場合には、コンピュータシステム210(特に、コンピュータシステム210のプロセッサ部211)は、賃貸物件の購入費用と蓄積された有価代替物を金額に換算した費用との間の差額を借主に提示することを借主のユーザ装置に実行させ、(例えば、ユーザデータベース部242において)借主の現在の賃貸借契約を終了する処理を実行し、(例えば、物件データベース部241において)賃貸物件を売却済み物件(すなわち、購入物件)に切り替える処理を実行する。また、コンピュータシステム210は、蓄積された有価代替物の少なくとも一部を賃貸物件の購入費用に充当するための処理をさらに実行する。
【0067】
ユーザ入力が、借主の現在の賃貸物件とは別の賃貸物件に住み替えるという第2の選択肢の選択を示す場合には、コンピュータシステム210(特に、コンピュータシステム210のプロセッサ部211)は、別の賃貸物件の賃貸借契約に起因して発生する費用と蓄積された有価代替物を金額に換算した費用との間の差額を借主に提示することを借主のユーザ装置に実行させ、(例えば、ユーザデータベース部242において)借主の現在の賃貸借契約を終了する処理を実行し、(例えば、物件データベース部241において)別の賃貸物件の賃貸借契約に関するデータ(例えば、
図3Aに示されるような物件データベース部241内に格納されるべき別の賃貸物件に関する情報)を生成する処理を実行する。また、コンピュータシステム210は、別の賃貸物件の賃貸借契約に起因して発生する費用に充当するための処理をさらに実行する。
【0068】
ユーザ入力が、賃貸物件の賃貸借契約を完全に終了するという第3の選択肢の選択を示す場合には、コンピュータシステム210(特に、コンピュータシステム210のプロセッサ部211)は、蓄積された有価代替物の少なくとも一部を金額に換算した費用を借主に支払うための処理(例えば、蓄積された有価代替物の少なくとも一部を金額に換算した費用を借主の口座に口座振替する処理)を実行し、(例えば、ユーザデータベース部242において)借主の現在の賃貸物件の賃貸借契約を終了する処理を実行する。
【0069】
ユーザ入力が、賃貸物件の賃貸借契約をこのまま継続するという第4の選択肢の選択を示す場合には、コンピュータシステム210(特に、コンピュータシステム210のプロセッサ部211)は、(例えば、ユーザデータベース部242において)借主の賃貸物件の賃貸借契約の更新時期を延期する処理を実行する。
【0070】
なお、
図4に示される実施形態では、メモリ部に格納されたプログラムをプロセッサ部が実行することによって、
図4に示される各ステップの処理が実現される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
図4に示される各ステップのうちの少なくとも一部の処理が制御回路などのハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0071】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、家賃の支払いとともに資産の形成を可能にするためのコンピュータシステム、および、そのコンピュータシステムにおいて実行されるプログラム等を提供するものとして有用である。
【符号の説明】
【0073】
210 コンピュータシステム
2201~220N ユーザ装置
230 インターネット
240 データベース部