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特開2023-156979OFF-ERI構造のmsect-4モレキュラーシーブ、その製造方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023156979
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】OFF-ERI構造のmsect-4モレキュラーシーブ、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C01B 39/48 20060101AFI20231018BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20231018BHJP
   B01J 29/80 20060101ALI20231018BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20231018BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20231018BHJP
   C07C 11/02 20060101ALN20231018BHJP
   C07C 1/20 20060101ALN20231018BHJP
【FI】
C01B39/48 ZAB
B01J37/08
B01J29/80 A
B01D53/94 222
B01J20/18 D
C07C11/02
C07C1/20
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022198404
(22)【出願日】2022-12-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-31
(31)【優先権主張番号】202210381426.0
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】519320446
【氏名又は名称】中国汽車技術研究中心有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522108459
【氏名又は名称】中汽研汽車検験中心(天津)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【弁理士】
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】李 振国
(72)【発明者】
【氏名】李 凱祥
(72)【発明者】
【氏名】呉 志新
(72)【発明者】
【氏名】任 暁寧
(72)【発明者】
【氏名】楊 正軍
(72)【発明者】
【氏名】朱 向雷
(72)【発明者】
【氏名】顔 燕
(72)【発明者】
【氏名】邵 元凱
(72)【発明者】
【氏名】呉 撼明
(72)【発明者】
【氏名】張 利
【テーマコード(参考)】
4D148
4G066
4G073
4G169
4H006
【Fターム(参考)】
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC03
4D148AC04
4D148BA11X
4D148BA18Y
4D148BA19Y
4D148BA23Y
4D148BA24Y
4D148BA25Y
4D148BA26X
4D148BA27X
4D148BA28X
4D148BA30X
4D148BA31Y
4D148BA32Y
4D148BA33X
4D148BA34X
4D148BA35X
4D148BA36X
4D148BA37Y
4D148BA38Y
4D148BB01
4D148DA03
4D148DA11
4D148EA04
4G066AA62B
4G066BA09
4G066CA28
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4G073BA05
4G073BA29
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4G073BA32
4G073BA36
4G073BA41
4G073BA45
4G073BA46
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4G073BA63
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4G073BA75
4G073BB03
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4G073BB48
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4G073BD21
4G073BD30
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4G073CZ17
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4G073CZ50
4G073DZ01
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4G073FB26
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4G073GB02
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4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169AA11
4G169BA02C
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA07C
4G169BA21C
4G169BA37
4G169BB05C
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4G169BB16C
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4G169BC58A
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4G169BC59B
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4G169BC62B
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4G169BC66B
4G169BC67A
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4G169BC70A
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4G169BD15C
4G169BE01C
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4G169CA03
4G169CA08
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4G169FB57
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4G169FC08
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4G169ZA07B
4G169ZA32A
4G169ZA32B
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4G169ZA45B
4G169ZB01
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4G169ZB03
4G169ZB08
4G169ZB09
4G169ZC02
4G169ZC04
4G169ZD01
4G169ZD06
4G169ZF05A
4G169ZF07A
4G169ZF07B
4H006AA02
4H006AB46
4H006AB84
4H006AC25
4H006BA71
4H006DA15
(57)【要約】
【課題】
水熱安定性に優れ、規則的な棒状構造の露出する吸着サイトが多く、比表面積が大きく、選択的接触還元、受動的吸着及び接触分解の複数の技術分野に適用可能なモレキュラーシーブ、その製造方法及び使用を提供する。
【解決手段】
8員環小孔モレキュラーシーブを原料とし、水相に分散させ、苛性カリ、アルミニウム源及び構造規定剤を加えてpHを10超に調整する。ケイ素源を加えて、Si/Al比を調整し、撹拌反応、熟成及び結晶化を経た後、濾過、洗浄、アンモウム交換反応、乾燥及び焼成を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モレキュラーシーブの製造方法であって、
前記モレキュラーシーブは、OFF構造とERI構造との連晶からなり、規則的な棒状の形態を呈し、
前記製造方法は、
8員環小孔モレキュラーシーブを原料として、水相中で撹拌しながら分散させ、苛性カリを加えてpHを10超に調整し、構造規定剤(OSDA)及びケイ素源を加えてSi/Al比を調整するステップと、撹拌反応、熟成及び結晶化反応を経た後、濾過、洗浄、アンモニウム交換反応、乾燥及び焼成を行うステップと、を含み、
前記モレキュラーシーブのKβ線を使用した粉末X線回析パターンにおいて、2θ=7.89±0.1°、11.9±0.1°、13.56±0.1°、14.23±0.1°、15.64±0.1°、16.26±0.1°、16.67±0.1°、19.62±0.1°、20.68±0.1°、21.51±0.1°、23.46±0.1°、23.86±0.1°、25.03±0.1°、26.32±0.1°、27.13±0.1°、27.4±0.1°、28.25±0.1°、28.51±0.1°、30.7±0.1°、31.4±0.1°、31.63±0.1°、31.96±0.1°、33.63±0.1°、36.09±0.1°、36.35±0.1°、39.49±0.1°、41.1±0.1°、42.89±0.1°、43.27±0.1°、43.65±0.1°、45.88±0.1°、46.53±0.1°、48.43±0.1°、49.181±0.1°、49.86±0.1°、50.67±0.1°、51.72±0.1°、52.52±0.1°、54.03±0.1°、55.73±0.1°、56.37±0.1°、58.34±0.1°、59.64±0.1°、61.23±0.1°、61.77±0.1°、63.7±0.1°、65.3±0.1°、65.72±0.1°、66.61±0.1°、67.97±0.1°、68.79±0.1°、70.43±0.1°、70.72±0.1°、72.38±0.1°、74.7±0.1°、75.321±0.1°、76.8±0.1°、78.56±0.1°にピークを有し、
前記モレキュラーシーブは、少なくともOFF及びERIの2種類の骨格構造を備え、Si/Alモル比は、1~200の範囲であることを特徴とするモレキュラーシーブの製造方法。
【請求項2】
8員環小孔モレキュラーシーブは、AEI、AFX、CHA、DDR、EEI、ESV、ERI、LEV、LTN、LTA、KFI、RHO、RTH、SAS及びSFWのうちから選択される一種又は複数を含み、
ケイ素源は、ケイ酸ソーダ、シリカゾル、ヒュームドシリカ、石炭脈石、メタケイ酸、ケイ酸カリウム及びオルトケイ酸エチルのうちから選択される一種又は複数であり、
OSDAは、N,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化コリン、1,6-ヘキサンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド及びN,N-ジメチルピペリジニウムヒドロキシドのうちから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のモレキュラーシーブの製造方法。
【請求項3】
前記アンモニウム交換反応におけるアンモニウム交換溶液は、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及び硫酸アンモニウムのうちから選択される少なくとも一種を含有し、
アンモニウム交換反応の時間は1~24hであり、アンモニウム交換反応の温度は120℃未満であることを特徴とする請求項1に記載のモレキュラーシーブの製造方法。
【請求項4】
原料モル比は、Al:SiO:OSDA:KO:HO=1:5~50:1~10:0.5~10:60~200であり、
前記撹拌反応の温度は100℃以下であり、熟成時間は5~100hであり、
前記結晶化は恒温結晶化であり、恒温結晶化温度は140~220℃であり、
恒温結晶化の反応時間は6~240hであり、焼成温度は450~550℃であり、焼成時間は3~9hであり、焼成雰囲気中の酸素含有量が20%を超えることを特徴とする請求項1に記載のモレキュラーシーブの製造方法。
【請求項5】
苛性カリ、アルミニウム源及びOSDAを加える際に、さらに促進剤を加えることを含み、促進剤は、低分子有機アルコール、フッ素、硝酸イオン、トリエチルアミン及びジエチルアミンのうちから選択される少なくとも一種を含み、低分子有機アルコールがメタノール、エタノール、エチレングリコール及びイソプロピルアルコールのうちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のモレキュラーシーブの製造方法。
【請求項6】
Cu、Fe、Co、Mo、Mn、La、Y、Ce、Sm、Pd、Pt、Rh、Au、Ag、Ru、Ni、Nb、Cr、Ag、Pr、Nd及びVから選択される少なくとも一種の活性金属元素を前記モレキュラーシーブに担持した触媒材料の、選択的接触還元技術、受動的吸着技術、メタノールによるオレフィン製造技術又は接触分解技術への使用であって、
触媒材料中の活性金属元素の質量含有率は0.05~35%であることを特徴とする請求項1に記載のモレキュラーシーブの製造方法で製造されたモレキュラーシーブの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モレキュラーシーブの合成に属し、特にOFF-ERI構造のmsect-4モレキュラーシーブ、その製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
2020年、中国の自動車の窒素酸化物(NOx)の排出量は626.3万トンに達した。そのうち、ディーゼルトラックの排出量が最も多かった。また、非道路移動発生源からの排出による空気質への影響も無視できず、排出されたNOxは、自動車に次いで478.2万トンに達した。選択的接触還元(SCR)技術は、最も効果的なNOx除去技術である。「大型ディーゼル車汚染物質排出制限値及び測定方法(第6段階)」の着実な実施に伴い、NH-SCR(アンモニア選択的接触還元)技術のコア触媒は、従来のバナジウムタングステンチタン系触媒からモレキュラーシーブ触媒に変わってきた。8員環小孔モレキュラーシーブは、第6段階におけるSCR触媒の担体材料の主流となっており、CHA、BEA、LTA、AFXなどがよく見られる骨格構造である。CN109999895Bでは、β型ゼオライト、ZSM-5、フェリエライト、SAPO-34、SSZ-13を含むNH-SCR技術に適用するモレキュラーシーブを開示している。CN112495429Bでは、CHA構造モレキュラーシーブをベースとするSCR触媒を開示している。CN104128200Bでは、BEA、MFI、CHA、AEI、FAU、LTA、AFX構造モレキュラーシーブを開示している。
【0003】
上記特許では、SCR触媒担体の多くは、単一構造又は複数の構造が混合されたモレキュラーシーブである。複数の構造が混合された形態を採用するのは、異なる骨格構造のモレキュラーシーブ触媒の構造活性の相補的な作用により、触媒の触媒活性、耐久性を向上させるからである。しかしながら、この技術的手段には、2種類の結晶が独立して存在して、それぞれ成長するため、製品の形態が不規則で、2種類の結晶相の比率が制御できず、製品の均質性が低いなどの欠点があり、最終的には分子骨格レベルでの共結晶化を実現できない。本発明は、ERI、OFF骨格のトポロジー構造の類似性に基づき、適切なアルカリ性環境を設計して、極めて短時間に規則的な棒状で高露出度のERI-OFF連晶構造のmsect-4モレキュラーシーブを合成し、選択的接触還元技術(Urea-SCR)、受動的窒素酸化物吸着技術(PNA)、メタノールによるオレフィン製造技術(MTO)及び接触分解技術(FCC)に適用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、以下の課題を解決するために、形態が高度に規則化された棒状のERI-OFF連晶構造のmsect-4モレキュラーシーブと、それを合成するための高速合成方法を提供する。本発明が解決しようとする一つ目の課題は、従来方法で合成周期が長いということである。二つ目の課題は、市販のモレキュラーシーブ触媒がDe-NO技術において低温特性に劣り、温度ウィンドウが狭いということである。三つ目の課題は、現在市販のSCR触媒のモレキュラーシーブの価格が高いということである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、棒状のOFF-ERI構造のモレキュラーシーブ及びその製造方法を提供する。N,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化コリン、1,6-ヘキサンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、N,N-ジメチルピペリジニウムヒドロキシドのうちから選択される少なくとも1種の構造規定剤を用いて、適切なアルカリ性環境(pH>10)で、6h水熱合成するだけでこの連晶モレキュラーシーブを生成することができる。このモレキュラーシーブを担体として製造した銅系触媒は、NH-SCR低温活性に優れ、温度ウィンドウが広い。
【0006】
本発明に係るERI-OFF連晶構造のmsect-4モレキュラーシーブの合成方法は、
(1)8員環小孔モレキュラーシーブを原料とし、水相に撹拌しながら分散させ、苛性カリを加えてpHを10超に調整し、構造規定剤(Organic Structure-Directing Agent:OSDA)を加え、さらに、ケイ素源を加えてSi/Al比を調整する。各原料の仕込み比(モル比)は、Al:SiO:OSDA:KO:HO=1:0.1~500:0.01~100:0.02~40:10~1000である。
(2)1~2h撹拌して反応させ、乳白色のゾル前駆体を形成し、その後、12h静置熟成させる。次に、水熱合成釜に移し、140~220℃の恒温で6~240h水熱反応させる。反応終了後、生成物を固液分離し、濾過ケーキを十分に洗浄し、水含有量が6wt%未満になるまで乾燥させ、450~550℃で3~9h焼成し、カリウム型msect-4(K-msect-4)を得る。
(3)アルカリ金属(K、Na)の含有量が1000ppm未満になるまでアンモニウム交換し、乾燥、焼成して水素型msect-4(H-msect-4)を得る。
【0007】
構造規定剤なしの第2の合成方法は、
(1)化学量論的モル比をAl:SiO:KO:HO=1:0.1~500:0.01~100:10~1000でとして、アルミニウム源、ケイ素源、苛性アルカリを脱イオン水に順次加え、十分に撹拌して溶解させる。1~2h撹拌して反応させ、乳白色のゾル前駆体を形成し、12h静置熟成させる。次に、水熱合成釜に移し、160~220℃の恒温で6~240h水熱反応させる。反応終了後、生成物を固液分離し、濾過ケーキを十分に洗浄し、水含有量が6wt%未満になるまで乾燥させ、450~550℃で3~9h焼成し、K型msect-4(K-msect-4)を得る。
(2)アルカリ金属(K、Na)の含有量が1000ppm未満になるまでアンモニウム交換し、乾燥、焼成して水素型msect-4(H-msect-4)を得る。
【0008】
上記の製造工程で使用される原料は、アルミニウム源、ケイ素源、構造規定剤、苛性カリ、脱イオン水であり、それぞれのモル比は、Al:SiO:OSDA:KO:HO=1:0.1~500:0.01~100:0.02~40:10~1000であり、好ましくは1:5~50:1~10:0.5~10:60~200である。
【0009】
上記の2種類の合成方法で使用されるケイ素源は、ケイ酸ソーダ、シリカゾル、ヒュームドシリカ、石炭脈石、メタケイ酸、ケイ酸カリウム、ホワイトカーボン及びオルトケイ酸エチルのうちから選択される一つ又は複数を含む。
【0010】
上記の合成方法で使用されるアルミニウム源は、8員環小孔モレキュラーシーブ、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、メタアルミン酸ナトリウム、擬ベーマイト及びアルミニウムイソプロポキシドのうちから選択される一つ又は複数を含み、8員環小孔モレキュラーシーブは、AEI、AFX、CHA、DDR、EEI、ESV、ERI、LEV、LTN、LTA、KFI、RHO、RTH、SAS及びSFWのうちから選択される一つ又は複数を含む。
【0011】
上記の合成方法で苛性カリを使用する一つ目の目的は、pH値を調整して、msect-4モレキュラーシーブに適切なアルカリ性溶液環境を作ることである。二つ目は、カリウム元素により、モレキュラーシーブの結晶骨格構造の急速な形成を促進し、合成時間を短縮することである。
【0012】
合成時間を短縮する方法は、種結晶を加えることをさらに含み、種結晶の種類は、CHA、ERI及びOFFのうちの少なくとも一つを含む。
【0013】
合成の際に結晶成長を促進する方法は、促進剤を加えることをさらに含み、促進剤は低分子有機アルコール、フッ素、硝酸イオン、トリエチルアミン及びジエチルアミンのうちの少なくとも一つを含む。低分子有機アルコールとは、分子量が100未満の水酸基含有有機物であり、メタノール、エタノール、エチレングリコール及びイソプロピルアルコールのうちの少なくとも1種であることが好ましい。
【0014】
上記の合成方法では、構造規定剤であるOSDAは、N,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化コリン、1,6-ヘキサンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド及びN,N-ジメチルピペリジニウムヒドロキシドのうちから選択される少なくとも一つを含む。
【0015】
上記の合成方法では、溶液のpHが10を超え、強アルカリ環境により原料中のケイ素-酸素結合、アルミニウム-酸素結合の開裂、及び生成物の骨格構造の規則的な構築を促進する。
上記の撹拌反応温度は100℃以下であり、均一なゲル状になるまで撹拌する。
その後の熟成時間は、5~100hである。熟成の目的は、モレキュラーシーブの骨格構造前駆体の構築に十分な時間を提供し、製造されたモレキュラーシーブをより規則的で、より均一な構造とすることである。
その後、恒温で結晶化する。恒温結晶化の温度は140~220℃で、好ましくは160~180℃であり、結晶化時間は6~240hで、好ましくは7~15hである。恒温で結晶化を行うことにより、msect-4モレキュラーシーブの結晶の核生成、成長、熟成が完成する。
恒温結晶化において、静置条件で製造されたmsect-4モレキュラーシーブの結晶粒径は、ミクロンオーダーに達するほど大きい。撹拌段階で製造されたmsect-4モレキュラーシーブの結晶粒径は、ナノメートルオーダーで小さい。
その後、乾燥、焼成を行う。焼成温度は450~550℃であることが好ましく、焼成時間は3~9hであることが好ましい。また、焼成は、酸素含有量が20%を超える酸素過剰雰囲気下で行われることが好ましい。これにより、構造規定剤の熱分解に十分な酸素を提供することができる。
【0016】
合成したmsect-4モレキュラーシーブは、その骨格構造中に少なくともOFFとERIとの2種類のトポロジー構造を同時に備える。得られたmsect-4モレキュラーシーブのKβ線を使用した粉末X線回析パターンにおいて、2θ=7.89±0.1°、11.9±0.1°、13.56±0.1°、14.23±0.1°、15.64±0.1°、16.26±0.1°、16.67±0.1°、19.62±0.1°、20.68±0.1°、21.51±0.1°、23.46±0.1°、23.86±0.1°、25.03±0.1°、26.32±0.1°、27.13±0.1°、27.4±0.1°、28.25±0.1°、28.51±0.1°、30.7±0.1°、31.4±0.1°、31.63±0.1°、31.96±0.1°、33.63±0.1°、36.09±0.1°、36.35±0.1°、39.49±0.1°、41.1±0.1°、42.89±0.1°、43.27±0.1°、43.65±0.1°、45.88±0.1°、46.53±0.1°、48.43±0.1°、49.181±0.1°、49.86±0.1°、50.67±0.1°、51.72±0.1°、52.52±0.1°、54.03±0.1°、55.73±0.1°、56.37±0.1°、58.34±0.1°、59.64±0.1°、61.23±0.1°、61.77±0.1°、63.7±0.1°、65.3±0.1°、65.72±0.1°、66.61±0.1°、67.97±0.1°、68.79±0.1°、70.43±0.1°、70.72±0.1°、72.38±0.1°、74.7±0.1°、75.321±0.1°、76.8±0.1°、78.56±0.1°にピークを有する。
【0017】
さらに、ケイ素源とアルミニウム源との比率を調整することにより、合成されるmsect-4モレキュラーシーブのSi/Alのモル比(Si/Al)の範囲を1~200とすることが好ましく、5~25とすることがさらに好ましい。
【0018】
msect-4モレキュラーシーブの製造方法としては、上記の2種類の合成方法の他に、上記の合成系にOSDAを加えず、160~220℃の恒温で2~15日かけて結晶化反応を進行させて、ERI-OFF構造のmsect-4モレキュラーシーブを製造するテンプレートフリー合成法も挙げられる。
【0019】
上記のアンモニウム交換では、アンモニウム交換溶液が、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及び硫酸アンモニウムのうちの少なくとも一種であり、アンモニウム交換反応時間は1~24hであることが好ましく、6~10hであることがより好ましく、アンモニウム交換温度は120℃未満であることが好ましい。
【0020】
本発明に係るmsect-4モレキュラーシーブ触媒材料は、ERI-OFF構造のmsect-4モレキュラーシーブを担体とし、活性成分元素を担持してなるものである。
上記活性成分元素は、Cu、Fe、Co、Mo、Mn、La、Y、Ce、Sm、Pd、Pt、Rh、Au、Ag、Ru、Ni、Nb、Cr、Ag、Pr、Nd及びVのうちから選択される少なくとも1種であり、好ましくはFe、Cu、Mn、Ce、Pd及びMoのうちから選択される少なくとも1種である。
【0021】
msect-4モレキュラーシーブ触媒材料の製造方法は、含浸法、イオン交換法、水蒸気アシスト交換法、原子層堆積法及び固相イオン交換法の少なくとも1種を含む。
【0022】
上記活性成分元素の触媒材料の総量に対する質量比は0.05%~35%であることが好ましく、2%~6%であることがより好ましい。
【0023】
msect-4モレキュラーシーブに銅、鉄、コバルト元素を担持して製造した触媒材料は、選択的接触還元技術(Urea-SCR)に使用することができる。
msect-4モレキュラーシーブに白金、パラジウム、金、銀元素を担持して製造した触媒材料は、受動的窒素酸化物吸着技術(PNA)に使用することができる。
msect-4モレキュラーシーブ触媒材料はさらに、接触分解技術(FCC)に使用することができる。
【発明の効果】
【0024】
従来技術に比べて、本発明に係るOFF-ERI構造のmsect-4モレキュラーシーブ、その製造方法及び使用は、以下の有益な効果を有する。
(1)本発明に係る棒状積層OFF-ERI構造のmsect-4モレキュラーシーブは、ERI-OFF連晶構造のモレキュラーシーブであり、水熱安定性に優れ、規則的な棒状構造の露出する吸着サイトが多く、比表面積が大きく、SCR、PNA及びFCCの複数の技術分野に適用可能で、幅広い分野への応用が期待される。
(2)本発明に係るmsect-4モレキュラーシーブの製造方法は、合成時間が極めて短く、6hで合成することができ、高温結晶化時の安全リスクを低減することができ、工業的規模の生産に適する。
(3)本発明に係るmsect-4モレキュラーシーブ触媒材料は、NH-SCR低温特性T50が142℃であり、活性温度ウィンドウT90が175℃~580℃に達し、窒素選択性は100%に近く、低温特性に優れ、温度ウィンドウが広く、窒素選択性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例1で製造されたERI-OFF連晶構造のH-msect-4モレキュラーシーブ生成物の走査型電子顕微鏡写真(倍率2000倍)であり、規則的な棒状構造を呈している。
図2】実施例1で製造されたH-msect-4モレキュラーシーブ生成物の走査型電子顕微鏡写真(倍率5000倍)である。
図3】実施例1で製造されたH-msect-4モレキュラーシーブ生成物のXRDパターンであり、ERI-OFF構造のモレキュラーシーブに特徴的な回折ピークが認められる。
図4】実施例1で製造されたH-msect-4モレキュラーシーブ生成物の窒素吸脱着等温線であり、等温線のヒステリシスループの特徴からマイクロポーラスマテリアルに属すると判断することができる。
図5】実施例2で製造されたmsect-4モレキュラーシーブ生成物の走査型電子顕微鏡写真(倍率20000倍)であり、シート状に積層されていることが認められる。
図6】実施例3で製造されたmsect-4モレキュラーシーブ生成物の走査型電子顕微鏡写真(倍率10000倍)であり、両端が太く、中央が細い特徴が観察される。
図7】実施例4で製造されたH-msect-4モレキュラーシーブ生成物の走査型電子顕微鏡写真(倍率100000倍)であり、端面が平坦で六角形の形状を呈している。
図8】NOx浄化率の曲線であり、窒素酸化物ライトオフ温度(T50)が142℃であり、活性温度ウィンドウ(T90)が170℃~580℃である。試験条件は、[NH]=[NO]=500ppm,[O]=10 vol.%、Nをバランスガスとし、総流量が1000ml/min、空間速度が30,000hー1である。
図9】副生成物生成量の曲線であり、NO生成量が10ppm未満であり、NOの高温での生成量が15ppm未満である。
図10】元素組成であり、銅含有量が3.26wt%である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の実施例で使用される技術用語は、特に定義しない限り、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下の実施例で使用される試験試薬は、特別に説明しない限り、いずれも通常の生化学試薬である。前記実験方法は、特別に説明しない限り、いずれも常法である。
【0027】
以下、図面を参照しながら実施例により本発明を詳細に説明する。
【0028】
本発明において、NH-SCR性能試験で用いられる模擬ガスの組成は、NO 500ppm、NH 500ppm、O 10%であり、Nをバランスガスとする。総流量は、1,000ml/min、反応空間速度は30,000hー1である。
【0029】
本発明において、低温特性の指数は、NOx浄化率が50%に達するときに対応する温度を示すT50であり、温度ウィンドウの指数は、NOx浄化率が90%を超えるときに対応する温度範囲を示すT90である。
【0030】
特に明記しない限り、温度、時間、及びスラリーの仕込み量(質量%)などの本発明の明細書及び特許請求の範囲に記載された全ての数値は、絶対的に正確な値として理解されるべきではなく、当業者によって理解されている、公知技術で許容される誤差範囲内の値である。
【0031】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明の保護範囲はこれらに限定されるものではない。
【0032】
msect-4モレキュラーシーブを合成する実施例は実施例1~5であり、対応する比較例は比較例1~3である。
【0033】
実施例1
3.28gのNaAlO及び2gのKOHをそれぞれ秤量して水20gに溶解させ、溶液が透明になるまで1h撹拌した。その後、N,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウムを20g加え、溶液が均一に混合されるまで2h撹拌し、pHが11.9を超える溶液を得た。次に、シリカゾルを60g加えて4時間撹拌し、均一なゾルを形成した。10h熟成してから160℃の恒温条件下で8hかけて結晶化した。次に、乾燥、焼成を行った。焼成温度は550℃であり、焼成時間は3hである。このようにして製造したモレキュラーシーブをK-msect-4と表記する。0.5MのNHNO溶液を用意し、5gのK-msect-4モレキュラーシーブと500mlの0.5MのNHNO溶液とを混合して12h撹拌した後、溶液を入れ替え再度混合した。この操作を3回繰り返してから乾燥、焼成を行った。焼成温度は550℃で、焼成時間は3hとした。このようにして製造したモレキュラーシーブをH-msect-4と表記する。
図1図2に示すように、実施例1で製造したERI-OFF連晶構造のH-msect-4モレキュラーシーブ生成物の走査型電子顕微鏡写真から、規則的な棒状構造であることが認められる。
図3は、実施例1で製造したH-msect-4モレキュラーシーブ生成物のXRDパターンであり、特徴的な回折ピークがERI-OFF構造のモレキュラーシーブの回折パターンと一致し、XRDによるキャラクタリゼーションの結果から、上記の固体生成物がERI-OFF連晶構造を有することが示された。また、SEM観察結果から、生成物が規則的な棒状の形態を有することが確認された。図4は、実施例1で製造されたH-msect-4モレキュラーシーブ生成物の窒素吸脱着等温線である。この等温線のヒステリシスループの特徴からマイクロポーラスマテリアルであると判断することができる。
【0034】
実施例2
本実施例の製造条件及び製造プロセスは、均一なゾルに少量のH-SSZ-13モレキュラーシーブを種結晶として加えること以外は、実施例1と同様とした。図5は、実施例2で製造されたmsect-4モレキュラーシーブ生成物の走査型電子顕微鏡写真であり、シート状に積層した構造であることが確認された。
【0035】
実施例3
本実施例の製造条件及び製造プロセスは、OSDAを加えないこと以外は、実施例1と同様とした。
図6に示すように、実施例3で製造したmsect-4モレキュラーシーブ生成物の走査型電子顕微鏡写真では、両端が太く、中央が細いという特徴が観察され、SEM観察の結果から、生成物が規則的な棒状の形態を有することが確認された。
【0036】
実施例4
5gのH-SSZ-13、2gのKOH、20gのHOを秤量し、N,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウム20gに加え、次に固形分含有量が30%のシリカゾルを10g加えて、均一に混合するまで3h撹拌し、12h静置して熟成させた。160℃の恒温下で8h結晶化反応させた。次に、乾燥、焼成を行った。焼成温度は550℃であり、焼成時間は6hである。このようにして、H-msect-4モレキュラーシーブを製造した。
図7に示すように、実施例4で製造されたmsect-4モレキュラーシーブ生成物の走査型電子顕微鏡写真では、端面が平坦で六角形の形状を有しており、SEM観察の結果から、生成物が規則的な棒状の形態を有することが確認された。
【0037】
実施例5
本実施例の製造条件及び製造プロセスは、H-SSZ-13モレキュラーシーブをYモレキュラーシーブに代替したこと以外は、実施例4と同様とした。
【0038】
比較例1
溶液のpHが10未満になるようにKOHで調整すること以外は、H-msect-4モレキュラーシーブを製造する実施例1の製造条件及び製造プロセスを参照した。
実験結果から分かるように、生成物は主に非晶質SiOであった。
【0039】
比較例2
恒温結晶化反応時間を4hとしたこと以外は、H-msect-4モレキュラーシーブを製造する実施例1の製造条件及び製造プロセスを参照した。
実験結果から分かるように、生成物は主に非晶質SiOであった。
【0040】
比較例3
恒温結晶化温度が100℃としたこと以外は、H-msect-4モレキュラーシーブを製造する実施例1の製造条件及び製造プロセスを参照した。
実験結果から分かるように、生成物は主に非晶質SiOであった。
【0041】
実施例1によるmsect-4モレキュラーシーブ触媒の製造
イオン交換法を用いて、0.5MのFe(NO溶液、Cu(NO溶液、Mn(NO溶液、(NHMoO溶液及び(NH24溶液をそれぞれ用意し、1gのH-msect-4を200mlの上記溶液にそれぞれ加えて、撹拌しながら80℃で12h加熱し、次に乾燥、焼成を行った。焼成温度は550℃とし、焼成時間は3hとした。製造した触媒を、それぞれFe/msect-4、Cu/msect-4、Mn/msect-4、Mo/msect-4、W/msect-4と表記する。
【0042】
実施例2によるmsect-4モレキュラーシーブ触媒の製造
含浸法を用いて、0.9gのFe(NO・9HO、0.47gのCu(NO・3HO、1.63gのMn(NO、0.18gの(NHMoO・6HO及び3.68gの(NH24・6HOをそれぞれ秤量し、1gのH-msect-4を上記の金属源とそれぞれ混合して、脱イオン水を粘稠になるまで滴下し、50℃で2h加熱超音波処理し、次に乾燥、焼成を行った。焼成温度は550℃とし、焼成時間は3hとした。製造した触媒を、それぞれFe/msect-4-2、Cu/msect-4-2、Mn/msect-4-2、Mo/msect-4-2、W/msect-4-2と表記する。
【0043】
実施例3によるmsect-4モレキュラーシーブ触媒の製造
0.9gのFe(NO・9HOと0.47gのCu(NO・3HOを同時に加えた以外は、msect-4モレキュラーシーブ触媒を製造する実施例2の製造条件及び製造プロセスと同様に触媒を製造した。得られた触媒をCu-Fe/msect-4-2と表記する。
【0044】
実施例4によるmsect-4モレキュラーシーブ触媒の製造
0.9gのFe(NO・9HO、0.47gのCu(NO・3HO、1.63gのMn(NO、0.18gの(NHMoO・6HO及び3.68gの(NH24・6HOをそれぞれ秤量し、金属源を500mlの脱イオン水に溶解して金属源溶液を得る。それぞれの溶液に1gのH-msect-4を前記金属源溶液に加えて混合して、70℃で回転し蒸発させ、次に丸口フラスコ中の試料を乾燥、焼成し、焼成温度が550℃であり、恒温時間が3hである。製造した触媒を、それぞれFe/msect-4-3、Cu/msect-4-3、Mn/msect-4-3、Mo/msect-4-3、W/msect-4-3と表記する。
【0045】
実施例5によるmsect-4モレキュラーシーブ触媒の製造
2.5gのPd(NO、2.5gのPt(NO及び2.5gのRh(NOをそれぞれ秤量し、5gのH-msect-4を上記の金属源とそれぞれ混合して、脱イオン水を粘稠になるまで滴下し、2h超音波処理し、次に乾燥、焼成を行った。焼成温度は550℃で、焼成時間は3hとした。製造した触媒を、それぞれPt-msect-4、Pd-msect-4及びRh-msect-4と表記する。
【0046】
触媒性能の検証
実施例1で製造したH-msect-4モレキュラーシーブ触媒の触媒試料Cu/msect-4を薄くして、篩を通して40~60メッシュの固体試料を得た。模擬ガスを用いて活性評価装置でNH-SCR反応性能試験を行った。使用した石英反応管のサイズは15mmであり、評価試験の昇温速度は5℃/minである。模擬ガスの組成は、NO 500ppm、NH 500ppm、O 10%であり、Nをバランスガスとした。総流量は1,000ml/min、反応空間速度は30,000hー1とした。試験結果を表8に示す。図9は、触媒性能の検証例であり、副生成物生成量の曲線であり、NO生成量は10ppm未満であり、NOの高温での生成量は15ppm未満であった。
図10は、触媒の元素組成であり、銅含有量は3.26wt%であった。
上記試験結果から分かるように、上記の触媒のNOxライトオフ温度T50は142℃であり、活性温度ウィンドウT90は175℃~580℃であった。
【0047】
以上の説明は、本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明を限定するためのものではない。本発明の技術的思想に基づいて行われるあらゆる修正、同等置換及び改良などは、いずれも本発明の保護範囲に含まれることは明らかである。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-12-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モレキュラーシーブの製造方法であって、
前記モレキュラーシーブは、OFF構造とERI構造との連晶からなり、規則的な棒状の形態を呈し、
前記製造方法は、
8員環小孔モレキュラーシーブを原料として、水相中で撹拌しながら分散させ、苛性カリを加えてpHを10超に調整し、構造規定剤(OSDA)及びケイ素源を加えてSi/Al比を調整するステップと、撹拌反応、熟成及び結晶化反応を経た後、濾過、洗浄、アンモニウム交換反応、乾燥及び焼成を行うステップと、を含み、
前記モレキュラーシーブのCuKα線を使用した粉末X線回析パターンにおいて、2θ=7.89±0.1°、11.9±0.1°、13.56±0.1°、14.23±0.1°、15.64±0.1°、16.26±0.1°、16.67±0.1°、19.62±0.1°、20.68±0.1°、21.51±0.1°、23.46±0.1°、23.86±0.1°、25.03±0.1°、26.32±0.1°、27.13±0.1°、27.4±0.1°、28.25±0.1°、28.51±0.1°、30.7±0.1°、31.4±0.1°、31.63±0.1°、31.96±0.1°、33.63±0.1°、36.09±0.1°、36.35±0.1°、39.49±0.1°、41.1±0.1°、42.89±0.1°、43.27±0.1°、43.65±0.1°、45.88±0.1°、46.53±0.1°、48.43±0.1°、49.181±0.1°、49.86±0.1°、50.67±0.1°、51.72±0.1°、52.52±0.1°、54.03±0.1°、55.73±0.1°、56.37±0.1°、58.34±0.1°、59.64±0.1°、61.23±0.1°、61.77±0.1°、63.7±0.1°、65.3±0.1°、65.72±0.1°、66.61±0.1°、67.97±0.1°、68.79±0.1°、70.43±0.1°、70.72±0.1°、72.38±0.1°、74.7±0.1°、75.321±0.1°、76.8±0.1°、78.56±0.1°にピークを有し、
前記モレキュラーシーブは、少なくともOFF及びERIの2種類の骨格構造を備え、Si/Alモル比は、1~200の範囲であることを特徴とするモレキュラーシーブの製造方法。
【請求項2】
8員環小孔モレキュラーシーブは、AEI、AFX、CHA、DDR、EEI、ESV、ERI、LEV、LTN、LTA、KFI、RHO、RTH、SAS及びSFWのうちから選択される一種又は複数を含み、
ケイ素源は、ケイ酸ソーダ、シリカゾル、ヒュームドシリカ、石炭脈石、メタケイ酸、ケイ酸カリウム及びオルトケイ酸エチルのうちから選択される一種又は複数であり、
OSDAは、N,N,N-トリメチルアダマンタンアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化コリン、1,6-ヘキサンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド及びN,N-ジメチルピペリジニウムヒドロキシドのうちから選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のモレキュラーシーブの製造方法。
【請求項3】
前記アンモニウム交換反応におけるアンモニウム交換溶液は、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム及び硫酸アンモニウムのうちから選択される少なくとも一種を含有し、
アンモニウム交換反応の時間は1~24hであり、アンモニウム交換反応の温度は120℃未満であることを特徴とする請求項1に記載のモレキュラーシーブの製造方法。
【請求項4】
原料モル比は、Al:SiO:OSDA:KO:HO=1:5~50:1~10:0.5~10:60~200であり、
前記撹拌反応の温度は100℃以下であり、熟成時間は5~100hであり、
前記結晶化は恒温結晶化であり、恒温結晶化温度は140~220℃であり、
恒温結晶化の反応時間は6~240hであり、焼成温度は450~550℃であり、焼成時間は3~9hであり、焼成雰囲気中の酸素含有量が20%を超えることを特徴とする請求項1に記載のモレキュラーシーブの製造方法。
【請求項5】
苛性カリ、アルミニウム源及びOSDAを加える際に、さらに促進剤を加えることを含み、促進剤は、低分子有機アルコール、フッ素、硝酸イオン、トリエチルアミン及びジエチルアミンのうちから選択される少なくとも一種を含み、低分子有機アルコールがメタノール、エタノール、エチレングリコール及びイソプロピルアルコールのうちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記載のモレキュラーシーブの製造方法。
【請求項6】
Cu、Fe、Co、Mo、Mn、La、Y、Ce、Sm、Pd、Pt、Rh、Au、Ag、Ru、Ni、Nb、Cr、Ag、Pr、Nd及びVから選択される少なくとも一種の活性金属元素を前記モレキュラーシーブに担持した触媒材料の、選択的接触還元技術、受動的吸着技術、メタノールによるオレフィン製造技術又は接触分解技術への使用であって、
触媒材料中の活性金属元素の質量含有率は0.05~35%であることを特徴とする請求項1に記載のモレキュラーシーブの製造方法で製造されたモレキュラーシーブの使用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
合成したmsect-4モレキュラーシーブは、その骨格構造中に少なくともOFFとERIとの2種類のトポロジー構造を同時に備える。得られたmsect-4モレキュラーシーブのCuKα線を使用した粉末X線回析パターンにおいて、2θ=7.89±0.1°、11.9±0.1°、13.56±0.1°、14.23±0.1°、15.64±0.1°、16.26±0.1°、16.67±0.1°、19.62±0.1°、20.68±0.1°、21.51±0.1°、23.46±0.1°、23.86±0.1°、25.03±0.1°、26.32±0.1°、27.13±0.1°、27.4±0.1°、28.25±0.1°、28.51±0.1°、30.7±0.1°、31.4±0.1°、31.63±0.1°、31.96±0.1°、33.63±0.1°、36.09±0.1°、36.35±0.1°、39.49±0.1°、41.1±0.1°、42.89±0.1°、43.27±0.1°、43.65±0.1°、45.88±0.1°、46.53±0.1°、48.43±0.1°、49.181±0.1°、49.86±0.1°、50.67±0.1°、51.72±0.1°、52.52±0.1°、54.03±0.1°、55.73±0.1°、56.37±0.1°、58.34±0.1°、59.64±0.1°、61.23±0.1°、61.77±0.1°、63.7±0.1°、65.3±0.1°、65.72±0.1°、66.61±0.1°、67.97±0.1°、68.79±0.1°、70.43±0.1°、70.72±0.1°、72.38±0.1°、74.7±0.1°、75.321±0.1°、76.8±0.1°、78.56±0.1°にピークを有する。