(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157002
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】ゴルフコースを評価する仮想ゴルフ装置
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20231018BHJP
A63B 71/06 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
A63B69/36 541W
A63B71/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023062514
(22)【出願日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】10-2022-0045679
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520330571
【氏名又は名称】エスジーエム・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SGM Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100096703
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 俊之
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウィボム
(72)【発明者】
【氏名】キム,ガプス
(57)【要約】
【課題】本発明は、ゴルフコースを評価する仮想ゴルフ装置を提供する。
【解決手段】上記仮想ゴルフ装置、仮想ゴルフコースを表示する表示部と、ユーザが実際のゴルフボールを打撃すると打撃された前記実際のゴルフボールの状態に基づいて前記仮想ゴルフコースにおいて前記実際のゴルフボールに対応する仮想ゴルフボールの動きを算出する算出部と、前記仮想ゴルフコースでのユーザのプレイ記録に基づいて前記仮想ゴルフコースに対するコース難易度を評価する評価過程を行う評価部とを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想ゴルフコースを表示する表示部と、
ユーザが実際のゴルフボールを打撃すると、打撃された前記実際のゴルフボールの状態に基づいて、前記仮想ゴルフコースにおいて前記実際のゴルフボールに対応する仮想ゴルフボールの動きを算出する算出部と、
前記仮想ゴルフコースでのユーザのプレイ記録に基づいて前記仮想ゴルフコースに対するコース難易度を評価する評価過程を行う評価部とを、
含む
仮想ゴルフ装置。
【請求項2】
前記評価部は前記評価過程を自動的に実行する人工知能を含み、
前記人工知能は、ユーザのプレイ記録が変更されると、前記変更されたユーザのプレイ記録を反映して前記評価過程を再実行する、請求項1に記載の仮想ゴルフ装置。
【請求項3】
前記評価部はユーザのプレイ記録に加えて追加情報を用いて前記評価過程を行い、
前記追加情報は、評価対象仮想ゴルフコースに対するユーザ評価、評価対象仮想ゴルフコースのコース情報、及び評価対象仮想ゴルフコースが実際ゴルフコースをモデルとする場合に前記実際ゴルフコースにおけるゴルファーのプレイ記録の中に少なくともいずれか1つを含む、請求項1に記載の仮想ゴルフ装置。
【請求項4】
ユーザは複数であり、
前記複数ユーザのそれぞれは自分のプレイ記録に基づいてレベルが算定され、
前記ユーザレベルにより前記評価過程において各ユーザのプレイ記録が反映される比重が異なる、請求項1から3の何れか1項に記載の仮想ゴルフ装置。
【請求項5】
ユーザが現在プレイしている仮想ゴルフコースのコース難易度および自分のレベルに関連する所定の条件を満たす場合、該当ユーザに補償またはペナルティを付与することができる、請求項4に記載の仮想ゴルフ装置。
【請求項6】
評価対象ゴルフコースでユーザーのプレイ記録が複数である場合、
前記評価過程において、各プレイ記録が発生した時点によって該当プレイ記録が反映される比重が変わったり、又は各プレイ記録と前記複数のプレイ記録の平均との差によって該当プレイ記録が反映される比重が変わったりする、請求項1から3の何れか1項に記載の仮想ゴルフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は仮想ゴルフ装置に関するものであり、より具体的には、ゴルフコースを評価してユーザに提供する仮想ゴルフ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、ゴルフの人気が高まりながらゴルフを楽しむ人口が増加している。ゴルフは屋外ゴルフ場でのゴルフだけでなく、仮想ゴルフ装置などを利用してゴルフをプレイすることができるスクリーンゴルフの人気も高まっている。スクリーンゴルフではスクリーンを介してゴルフ場の映像が表示されるので、屋外で実際の競技をしているような感じを与えることができる。また、屋外のフィールドで試合することに比べて時間とコストがセーブされるので、スクリーンゴルフは時間や経済的な理由などで実際の競技をプレイし難い現代人に人気が高い。
【0003】
しかし、スクリーンゴルフを利用する人々がますます増えながら、スクリーンゴルフに対するユーザの期待が高まっている。スクリーンゴルフと実際のゴルフとを比較すると、スクリーンゴルフは密閉された屋内空間でサービスされる特性上、オープンな屋外空間で行われる実際のゴルフで提供するのが難しい技術的サービスをユーザに提供することができるという利点がある。したがって、この利点を活用することで、スクリーンゴルフは様々な技術を通じてスクリーンゴルフプレイに対するユーザの興味を高める必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような事情を勘案して発明されたものであり、様々なデータに基づいてゴルフコースを評価することができる仮想ゴルフ装置を提供することをその目的とする。
また、本発明の他の目的は、以下の説明と添付した図面から明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するのために、本発明の実施例による仮想ゴルフ装置は、仮想ゴルフコースを表示する表示部と、ユーザが実際のゴルフボールを打撃すると、打撃された前記実際のゴルフボールの状態に基づいて前記仮想ゴルフコースにおいて前記実際のゴルフボールに対応する仮想ゴルフボールの動きを算出する算出部と、前記仮想ゴルフコースでのユーザのプレイ記録に基づいて前記仮想ゴルフコースに対するコース難易度を評価する評価過程を行う評価部とを含む。
【0006】
上記仮想ゴルフ装置において、前記評価部は前記評価過程を自動的に実行する人工知能を含み、前記人工知能は、ユーザのプレイ記録が変更されると、前記変更されたユーザのプレイ記録を反映して前記評価過程を再実行する。
上記仮想ゴルフ装置において、前記評価部はユーザのプレイ記録に加えて追加情報を用いて前記評価過程を行い、前記追加情報は、評価対象仮想ゴルフコースに対するユーザ評価、評価対象仮想ゴルフコースのコース情報、及び評価対象仮想ゴルフコースが実際ゴルフコースをモデルとする場合に前記実際ゴルフコースにおけるゴルファーのプレイ記録の中に少なくともいずれか1つを含む。
【0007】
上記仮想ゴルフ装置において、ユーザは複数であり、前記複数ユーザのそれぞれは自分のプレイ記録に基づいてレベルが算定され、前記ユーザレベルにより前記評価過程において各ユーザのプレイ記録が反映される比重が異なる。
上記仮想ゴルフ装置において、ユーザが現在プレイしている仮想ゴルフコースのコース難易度および自分のレベルに関連する所定の条件を満たす場合、該当ユーザに補償またはペナルティを付与することができる。
【0008】
上記仮想ゴルフ装置において、評価対象ゴルフコースでユーザーのプレイ記録が複数である場合、前記評価過程において、各プレイ記録が発生した時点によって該当プレイ記録が反映される比重が変わったり、又は各プレイ記録と前記複数のプレイ記録の平均との差によって該当プレイ記録が反映される比重が変わったりする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の仮想ゴルフ装置によれば、ゴルフコースを評価して評価結果をユーザに提供することにより、ユーザの興味を高めることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施例による仮想ゴルフ装置の概略的な構造を示す図である。
【
図2】人工知能を用いてゴルフコースを評価する方法を説明するための図である。
【
図3】ゴルフコースの評価に用いることができる判断資料を説明するための図である。
【
図4】ゴルフコースの評価に用いることができる判断資料を説明するための図である。
【
図5】ゴルフコースの評価に用いることができる判断資料を説明するための図である。
【
図6】ゴルフコースの評価結果を表示するスクリーン画面の一例を示す図である。
【
図7】ゴルフコースの評価結果を活用することができる方法に関する過程を示すフローチャートである。
【
図8】ユーザに補償又はペナルティを与える例を説明するための図である。
【
図9】ユーザに補償又はペナルティを与える例を説明するための図である。
【
図10】本発明の他の実施例による仮想ゴルフ装置の概略的な構造を示す図である。
【
図11】複数の仮想ゴルフ装置がネットワークに連結されているシステムの概略的な構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。本発明の目的、特徴、利点は以下の実施例から容易に理解できるであろう。本発明は、ここで説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化されることもできる。ここで紹介される実施例は、開示された内容が徹底的で完全なものとなるように、かつ本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に本発明の思想が十分に伝達されるようにするために提供されるものである。よって、以下の実施例により本発明が限定されてはならない。
【0012】
本明細書において、第1、第2などの用語が様々な要素(elements)を記述するために使用されたが、前記要素がこのような用語によって限定されてはならない。この用語は、単に前記要素を相互に区別するために使用されただけである。また、とある層(膜)が他の層(膜)または基板上にあると言及されている場合に、それは、他の層(膜)または基板上に直接形成されること、またはそれらの間に第3の層(膜)が介在することもできることを意味する。
【0013】
図面において、要素の大きさ、または要素間の相対的な大きさは、本発明に対するさらに明確な理解のために多少誇張して図示できる。また、図示した要素の形状が製造工程上の変異などによって多少変更できるであろう。したがって、本明細書で開示した実施例は、特別な記載がない限り、図示した形状に限定されてはならず、ある程度の変形を含むものと理解されるべきである。
【0014】
図1は本発明の実施例による仮想ゴルフ装置の概略的な構造を示す図である。
図1を参照すると、本発明の実施例による仮想ゴルフ装置は、打撃プレート(10)、制御部(20)、感知部(30)、入力部(40)、サウンド部(60)、表示部(60)を含む。
打撃プレート(10)はユーザがゴルフボールを打撃するために位置する領域であり、ユーザはゴルフボールを打撃プレート(10)に置いて打撃する。打撃プレート(10)は別途具備されているプレート状物体から構成されたり、又は別途の物体ではなく仮想ゴルフ装置が設置されている場所のフロアとしてユーザが位置する部分から構成されたりすることができる。図面には図示されていないが、打撃プレート(10)には上下に移動可能な構造のオートティーが設けられており、オートティーを通じてユーザに打撃用ゴルフボールが自動的に提供されることができる。
【0015】
制御部(20)は仮想ゴルフ装置の構成要素の間の全体的な動作を制御する。例えば、制御部(20)は打撃プレート(10)に設けられたオートティーを制御して、ユーザが打撃する時点に合わせてオートティーが打撃用ゴルフボールを提供するように動作する。またユーザが特定のゴルフコースを選択した場合、制御部(20)は該当ゴルフコースでプレイすることができるように関連動作を行う。すなわち、制御部(20)は映像を処理する映像処理手段を具備してユーザが選択した特定ゴルフコースの映像を形成した後、これを表示部(60)に伝達して表示させるように動作する。また制御部(20)は算出部(21)と評価部(22)と貯蔵部(23)とを備えている。算出部(21)はユーザが打撃したゴルフボールが実際のゴルフ場で打撃されたと仮定するときにどのような軌跡を有するかを算出する算出過程を行う。評価部(22)はユーザがプレイするゴルフコースについて評価する評価過程を行う。上記評価過程の詳細内容については後述する。貯蔵部(23)はメモリやハードディスクなどの記憶装置を含み、制御部(20)の動作に必要な各種データを貯蔵している。
【0016】
感知部(30)はゴルフクラブの動きやユーザが打撃したゴルフボールの動きなどを感知して打撃されたゴルフボールに関する物理的状態情報を把握するためのものであり、感知部(30)としてゴルフクラブやゴルフボールの動きを撮影することができるカメラや感知センサーなどのような感知手段を使用することができる。前記感知手段には、イメージセンシング、発光/受光センシング、レーザセンシングなど様々なセンシング方式を適用することができ、このようなセンシング方式でゴルフクラブやユーザが打撃したゴルフボールの状態情報を把握することができる。前記カメラや感知センサーなどは、単独に使用されたり又は一緒に使用されたりすることができ、一個のみが使用されたり又は複数個が使用されたりすることもできる。感知部(30)で感知された情報は制御部(20)に伝達され、制御部(20)の算出部(21)は感知部(30)からの情報に基づいて算出過程を行う。
【0017】
入力部(40)はユーザから各種情報を受けるためのものであり、キーボード、マウス、タッチスクリーンなどを使用することができる。スクリーンゴルフでは、ユーザがログインのために自分のIDやパスワードを入力する場合、ユーザがプレイしたいゴルフコースやプレイ難易度を選択する場合などのように、ユーザから情報の入力が必要な場合があり、このような場合のために入力部(40)が具備される。
サウンド部(50)はスピーカなどのような音響機器を含み、これによりユーザにゲームの進行状況を案内しゲームの進行による各種効果音を再生する。
【0018】
表示部(60)はプロジェクターとスクリーンなどのような機器を含む。プロジェクターはゴルフコースとゴルフボールがスクリーンに表示されるようにゴルフ関連映像をスクリーンに投射し、スクリーンは投射されたゴルフ関連映像を表示してユーザに提供する。本明細書では、スクリーンに表示される一部の対象に対して「仮想」という用語を付けて表現することができる。これは現実世界に存在する対象物との混同を避けるための目的であり、現実の世界に存在するものではなくスクリーンの中の映像に表示されるものであるという意味である。例えば、「仮想のゴルフコース」とはスクリーンに表示されるゴルフコースという意味であり、「仮想のゴルフボール」とはスクリーンに表示されるゴルフボールという意味である。
【0019】
仮想ゴルフ装置は、スクリーンゴルフ場に設置されてスクリーンゴルフをプレイすることができるようにする装置であり、ユーザがスクリーンゴルフをプレイする際の仮想ゴルフ装置の動作過程は次の通りである。ユーザがゴルフボールを打撃すると、感知部(30)はゴルフクラブの動きやユーザが打撃したゴルフボールの移動速度や移動方向などのような物理的状態を感知する。感知部(30)によって感知された情報は制御部(20)に伝達され、制御部(20)における算出部(21)は伝達された情報に基づいてゴルフボールの軌跡を算出する算出過程を行う。表示部(60)では算出過程によって算出された軌跡の通り仮想ゴルフボールが動く映像を表示し、このときに仮想ゴルフボールは算出された軌跡により移動した後にスクリーンに表示される仮想ゴルフコースの特定地点に着地し、ユーザは仮想のゴルフボールが着地した地点からネクスト打撃を継続する。ユーザのネクスト打撃では上記動作過程が繰り返される。
【0020】
上述したスクリーンゴルフのプレイ過程において、評価部(22)は仮想ゴルフコースに対する評価過程を行う。上記評価はプレイが容易であるか又は難しいかなどに関するコースの難易度評価を含む。ここで評価対象であるゴルフコースとは、「ゴルフ場」及び/又は一つのゴルフ場を構成する複数のホールにおける各ホールを意味することができる。ゴルフ場は一般にCC(Country Club)と呼ばれ、1つのCCは複数のコースで構成(通常18ホールで構成)される。本発明においてゴルフコースを評価するという意味は、複数のホールで構成されているCCについて評価するという意味であるか、またはCCを構成する個々のホールを1つのゴルフコースと認定してこれについて評価するという意味である。
【0021】
評価部(22)の評価過程は評価対象の仮想ゴルフコースにおけるユーザのプレイ記録に基づいて行われる。また評価過程には他の追加情報をさらに用いことも可能である。仮想ゴルフコースに対する評価結果はサウンド部(50)や表示部(60)などを介してユーザに提供することができる。以下では評価過程について図面を参照して説明する。
【0022】
図2は人工知能を用いてゴルフコースを評価する方法を説明するための図であり、
図3乃至
図5はゴルフコースの評価に用いることができる判断資料を説明するための図であり、
図6はゴルフコースの評価結果を表示するスクリーン画面の一例を示す図である。
図2を参照すると、ゴルフコースの評価過程は人工知能を使用して実行することができる。人工知能を用いる場合、
図2に図示されたように、入力データを人工知能に入力して人工知能によって出力データが得られるようにすることができる。上記人工知能は人間の知的能力を人工的に具現したプログラムであり、人工知能にはマシンラーニング技術などが適用されることができる。これは規則によって定められた結果値を導出する従来のプログラムとは異なり、マシンラーニング技術などを適用することにより人工知能は多い数の入力データを分析して自ら結果値を導出することができる。マシンラーニングなどのような人工知能モデルは複数の層と各層を構成する複数のノードとからなる人工ニューラルネットワークを含み、上記複数の層は入力層、隠匿層、出力層を含むことができる。入力層は分析対象データを入力する層であり、出力層は結果値が出力される層であり、隠匿層は入力層と出力層との間の中間層を意味する。
【0023】
人工知能を適用する際に、入力データはゴルフコースを評価するために使用することができる基礎資料である。入力データは一つ種類のデータ又は様々な種類の複数データを含む。例えば、入力データとして、ユーザが評価対象のコースで記録したプレイ記録、評価対象コースに対するユーザ評価、評価対象のコースの地形的特徴に関するコース情報などが有り得る。また、評価対象のゴルフコースが実際のゴルフコースをモデルとして作られた場合には、前記実際のゴルフコースにおけるゴルファーのプレイ記録も入力データとして用いることができる。出力データは人工知能によって算出されるゴルフコースに対する評価結果を含む。
【0024】
入力データにおいてユーザが評価対象コースで記録したプレイ記録については、貯蔵部(23)に貯蔵されている情報を用いることができる。ユーザのプレイ記録には様々なものがあり、そのうち評価対象のゴルフコースでユーザが記録したスコア(打数)の平均値を入力データとして用いることができる。一般的にゴルフコースは総18ホールで構成され、ゴルフは各ホールでゴルフボールをホールカップに入れるまで使用した打数(ゴルフボールを打撃した回数)の総合によって勝負が決定される。総18ホールで構成されるゴルフコースにおいて規定打数を全て加えると72打となり、プロゴルファーは60代の後半または70代の序盤の打数を記録し、一般人は80打以内であれば上級者と認められる。評価対象のゴルフコースにおいてユーザが記録した総打数の平均値が大きい場合、ホールインをするまでそれだけ多くの回数の打撃があったことであり、これは多くの打撃回数が必要になるほどコース難易度が高いことを意味する。逆に評価対象のゴルフコースにおいてユーザが記録した総打数の平均値が小さい場合、ホールインをするまでそれほど少ない回数の打撃があったことであり、これは多くの打撃回数が必要ではないほどコース難易度が低いことを意味する。このように、ユーザが記録した総打数の平均値はゴルフコースに対するプレイ難易度を評価する根拠資料となる。
【0025】
平均打数に加えて、入力データとして使用可能な他のプレイ記録が有り得る。例えば、フェアウェイ安着率、グリーン正確度、平均パッティング数などを入力データとして用いることができる。フェアウェイ安着率(ドライバ正確度(Driving Accuracy))は、ドライバによるティーショットがどの程度の割合で(ラフやバンカーに陥ることなく)フェアウェイに安着されるかを数値で示すものであり、18ホールのうちPar3ホール4個を除く14ホールでティーショットがフェアウェイに安着した回数を「パーセント(%)」で示す。例えば、14ホールでティーショットが9回フェアウェイに安着したとき、フェアウェイ安着率は64.28%(9/14=0.6428)となる。グリーン正確度は、グリーンにゴルフボールを規定打数の以下で安着した回数を「パーセント(%)」で示すものであり、フェアウェイ安着率と同様に算出される。グリーン正確度においてPar3ホールでは1打、Par4ホールでは2打、Par5ホールでは3打にグリーンにゴルフボールを安着させるときに規定打以内と認められる。例えば、18ホールのうち10回を規定打以内にゴルフボールをグリーンに安着した場合、グリーン正確度は55.56%(10/18=0.555)となる。平均パッティング数は、オングリーンの状態でホールインまでパッティングした回数の平均値を示す。平均パッティング数は18ホールプレイにおいて全パッティング数を18で割って計算される。例えば、18ホールプレイにおいて全体パッティング回数が30であれば、平均パット数は1.67(30/18=1.6666)となる。同一のユーザが異なるゴルフコースで記録したフェアウェイ安着率/グリーン正確度/平均パット数などに相当な差があると仮定すると、良い記録が出たゴルフコースは悪い記録が出たゴルフコースに比べてプレイ難易度が低いとすることができる。このように、フェアウェイ安着率/グリーン正確度/平均パッティング数などのような個人記録は、コース難易度を評価する根拠となる。したがって、評価対象のゴルフコースに対して複数のユーザが記録した様々な個人記録(平均打数/フェアウェイ安着率/グリーン正確度/平均パッティング数など)は、ゴルフコースを評価するための入力データとして用いることができる。
【0026】
上述したように、本発明において評価対象のゴルフコースは、複数のホールで構成されているCCを意味するかまたはCCを構成する個々のホールを意味する。ユーザのプレイ記録が個々のホールごとに別々に貯蔵されている場合、各ホール別のユーザのプレイ記録を用いて個々のホールに対するゴルフコースの評価を行うことができる。また、複数のホールからなるCCを評価したい場合には、対象CCを構成する個々のホールに対してゴルフコースの評価を行った後、これを総合することでCCに対する評価を行うことができる。
【0027】
入力データとしてユーザのプレイ記録に加えて他の追加情報をさらに使用することができる。追加情報として評価対象の仮想ゴルフコースに対するユーザの評価があり得る。ユーザの評価は一種のアンケート調査のようなものである。例えば、仮想ゴルフ装置が設置されているスクリーンゴルフ場でユーザが特定のゴルフコースを選択してプレイを完了した場合、そのユーザに今日プレイしたゴルフコースについて評価ように要請することができる。ユーザが前記要請に答えると、回答結果をゴルフコースの評価のための入力データとして使用することができる。ユーザのアンケートには、単にプレイしたゴルフコースの全体的な難易度を選択(例えば、「Very Hard/Hard/Normal/Easy/Very Easy」のうちに一つを選択)する簡単な調査、またはゴルフコースの全体的な難易度の評価以外にティーショット、アプローチ、パッティングなどのように具体的な打撃の詳細内容に対する回答を求める調査などが有り得る。
【0028】
入力データとして使用することができる追加情報として、評価対象のゴルフコースの地形的特徴に関するコース情報があり得る。前記地形的特徴は、CCを構成する個々のホールにおけるコース特徴を示す。例えば、
図3を参照すると、追加情報として使用することができるコース特徴としては、ティーショット位置(ティーボックス)からホールカップまでの距離(C1)、コースの全体輪郭(C2)、コースに存在するトラブル領域(ラフ、バンカーなどのように、該当位置にゴルフボールが置かれているときに打撃が容易でない領域を便宜上「トラブル領域」とする)の分布特性(C3)などがあり得る。
ティーショット位置からホールカップまでの距離(C1)に応じてホールカップにホールインするまでの打撃回数が変わり(距離が長いほど打撃回数が増加する可能性が高い)、また上記打撃回数はゴルフプレイのスコアと関係があるため、ティーショット位置からホールカップまでの距離(C1)はゴルフコースの難易度を評価する根拠になることができる。コースの全体的な輪郭(C2)もゴルフコースの難易度を左右する。例えば、全体の輪郭が直線形態(│)の場合と曲がり形態(〈)の場合とを比較すると、前者のコースでは直線方向にのみゴルフボールを打撃しても問題ないが、後者のコースでは打撃方向を変えながらゴルフボールを打撃しなければならずOB(Out of Bounds)が発生する可能性があるため、プレイ難易度が高くなる。コースに存在するトラブル領域の分布特性(C3)とは、トラブル領域として何があるか、何個あるか、どこに配置されているかなどを意味する。芝領域であるラフに比べて砂領域であるバンカーでの打撃が難しいため、トラブル領域の構成によってプレイ難易度が変わることができる。また、トラブル領域の数が増えるほどプレイ難易度が増加し、トラブル領域の位置も難易度に影響を与えることができる。例えば、バンカーがグリーン領域の近傍に位置する場合とグリーン領域から離隔している場合とを比較すると、前者が後者に比べてプレイ難易度が高いとすることができる。前者の場合には、ユーザがグリーン領域にゴルフボールを着地させようとする過程でゴルフボールがバンカーに落ちる可能性が高い反面、バンカーがグリーン領域から遠く離隔している場合には、バンカーを避けてショットをすることができるためである。
【0029】
以上、追加情報として用いることができるコース特徴として、ティーショット位置からホールカップまでの距離(C1)、コースの全体的な輪郭(C2)、コースに存在するトラブル領域の分布特性(C3)などを説明したが、これは例をあげて説明したものであり、ここで言及されていない様々な地形的特徴を追加情報として使用することができる。
【0030】
入力データとして使用することができる追加情報として、実際のゴルフにおけるゴルファーのプレイ記録があり得る。仮想ゴルフ装置でプレイされる仮想ゴルフコースは実際のゴルフ場をモデルとして作られた場合が多い。実際のゴルフ場をモデルとする場合には、実際のゴルフ場の各ホールのコースをほぼそのまま再現するため、このように作られた仮想ゴルフコースのプレイ難易度はそのベースに該当する実際のゴルフコースのプレイ難易度にある程度対応するとすることができる。したがって、仮想ゴルフコースを評価するために使用することができる評価資料として、仮想ゴルフコースのベースに該当する実際のゴルフコースに対する関連資料を使用することができる。例えば、ベースに該当する実際のゴルフコースで有名なプロゴルファーのゴルフ試合があって上記試合でのゴルファーが記録したスコアなどのようなプレイ記録がある場合、前記プレイ記録を該当実際のゴルフコースをモデルにして作られた仮想ゴルフコースを評価するための資料として使用することができる。
【0031】
上記のように様々な入力データを用いて仮想のゴルフコースを評価することができる。入力データとしてユーザのプレイ記録を使用する場合、ユーザのプレイ記録はユーザがプレイするたびに変わるので、仮想のゴルフコースに対する評価過程は1回だけ実行されず入力データが更新されるとそれに応じて再実行される。
以上、入力データとして使用可能な評価対象である仮想のゴルフコースでのユーザのプレイ記録と様々な追加情報について説明したが、ここで言及した項目の一部のみを用いてゴルフコースを評価することができ、又は言及されていない他の項目を入力データとしてさらに使用してゴルフコースを評価することもできる。様々な種類の入力データを使用する際には、入力データの種類により評価に反映される比重を等しくしたり、または互いに差をつけるようにしたりすることができる。例えば、入力データとして複数の項目A、B、Cがあり、対象ゴルフコースの最終評価点数PTが項目Aによる評価点数PAと項目Bによる評価点数PBと項目Cによる評価点数PCを総合して算出されると仮定すると、最終評価点数PTは下記の式(1)によって計算されるようにすることができる。
【0032】
PT = αPA + βPB + γPC --------- 式(1)
上記α、β、γの値を1に設定すれば、様々な種類の入力データを全て同一の比重で反映してゴルフコースを評価するになる。α、β、γに互いに異なる値を設定すると、様々な種類の入力データを互いに異なる比重で反映してゴルフコースを評価するになる。例えば、PAがユーザの仮想ゴルフコースでのプレイ記録による評価スコアであり、PBが評価対象ゴルフコースに対するユーザ評価による評価スコアであり、PCが評価対象ゴルフコースに関するコース特徴による評価スコアであるとすれば、PAはユーザのプレイ記録という客観的データに基づき、またユーザが多ければある程度信頼性がある豊富な量のデータが蓄積されるため、αがβやγに比べて大きな値を持つように設定することができる。 。具体的に、「α=5、β=1、γ=2」などのように加重値を設定することができる。
【0033】
上記式(1)は最終評価点数を合算する際に加重値を置く方式を示すが、入力データの各項目別評価点数を合算する際にも加重値を置く方式を適用することができる。例えば、ユーザのプレイ記録による評価点数PAを算出する時に、次のように加重値がある式(2)を適用することができる。
【0034】
PA = F(αPA1, βPA2, γPA3,...)--------- 式(2)
上記PA1、PA2、PA3はそれぞれユーザA1のプレイ記録、ユーザA2のプレイ記録、ユーザA3のプレイ記録を示し、α、β、γなどはそれぞれユーザA1、A2、A3のプレイ記録を反映する加重値を示す。Fは複数ユーザのプレイ記録から対象ゴルフコースのプレイ難易度を評価する関数を示す。または、PA1、PA2、PA3は、それぞれユーザAが第1時点に記録したプレイ記録とユーザAが第2時点に記録したプレイ記録とユーザAが第3時点に記録したプレイ記録を示し、α、β、γなどはそれぞれユーザAの第1、2、3時点でのプレイ記録を反映する加重値を示すとすることもできる。このようにユーザのプレイ記録を反映する際には、ユーザが誰であるかにより及び/又はユーザがいつ記録した記録であるかにより、当該記録を反映する比重が変わるようにすることができる。これはゴルフコースを評価する際の評価の客観性/信頼性を向上させるためである。
【0035】
図4を参照すると、特定の仮想ゴルフコースの難易度を評価するために、該当ゴルフコースでの第1、2、3ユーザのプレイ記録を使用すると仮定する。
図4に図示されたように、第1、2、3ユーザのプレイ記録が反映される基準を便宜上バー(Bar)の長さで表現するとすれば、第1ユーザ、第3ユーザ、第2ユーザの順に当該ユーザのプレイ記録が反映される比重が高い。プレイ記録の反映比重を決める基準は様々なものが有り得る。例えば、各ユーザのゴルフ実力に応じて上級者のプレイ記録を下級者のプレイ記録よりも高い割合で反映することができる。下級者の場合、上級者に比べてプレイ記録の一貫性と信頼性とが劣るとすることができるので、ゴルフコース評価の信頼性を高めるために上級者の記録を下級者の記録より高い割合で反映する。
【0036】
同一のユーザのプレイ記録が複数の場合、複数の記録それぞれが反映される比重に差をつけることも可能である。例えば、記録が作成された時期について最近記録が過去記録より反映比重が高くなるようにすることができる。また、記録がユーザ自身の平均にどれだけ近いかにより、平均に近い記録を便宜上「通常記録」とし平均からあるほど差異がある記録を「非通常記録」とすれば、通常記録が非通常記録より高い割合で反映させるようにすることができる(例えば、特定ユーザの記録の平均、標準偏差を計算して上記平均と標準偏差をM、SD とすれば、M-SDとM+SDとの間にある記録を通常記録、上記範囲外にある記録を非通常記録と設定する)。非通常記録はユーザの平均的な記録に比べてまれに発生した記録であって信頼性が劣るとすることができるので、ゴルフコース評価の信頼性を高めるために通常記録を非通常記録より高い比重で反映する。
【0037】
前に、ユーザのゴルフ実力によりユーザのプレイ記録が反映される比重が異なるようにするとしたが、このために貯蔵部(23)にはユーザのゴルフ実力に関する情報が貯蔵されるようにする。
【0038】
図5を参照すると、貯蔵部には、複数のユーザに対してユーザごとに異なるストレージが割り当てられ、各ユーザに割り当てられたストレージには様々な情報が貯蔵される。例えば、ユーザA,Bがあるとすれば、貯蔵部にはユーザAの情報を貯蔵するストレージ(P1)とユーザBの情報を貯蔵するストレージ(P2)が互いに区分されており、各ユーザのための領域にはユーザの個人情報、ユーザのプレイ情報、ユーザのレベル情報などが貯蔵されている。ユーザの個人情報はユーザの個人身上に関する情報であってログインステップなどに利用することができる。ユーザのプレイ情報はユーザがプレイした記録を含み、ユーザがプレイするたびに更新される。ユーザのレベル情報はユーザのゴルフ実力に対して評価した内容を含む。ユーザのレベルは固定されているものではなく、ユーザのプレイ記録が更新されるとそれに合わせて変更される。
ユーザのレベルはユーザのプレイ情報に貯蔵されたデータに基づいて算定される。ユーザのプレイ情報は、プレイ回数、プレイ時間、プレイ記録などを含む。プレイ回数やプレイ時間が大きければそれだけ他のユーザよりも多くプレイしたことであり、一般的にさらに多くプレイするほどその実力が向上されてレベルが高くなるとすることができる。ユーザのプレイ記録と関連しては、ユーザがプレイしたゴルフコースおよび該当ゴルフコースで記録したスコアやユーザのプレイ内容から算出される個人記録(平均打数、ドライバ飛距離、フェアウェイ安着率、平均パッティング数など)などのような情報が貯蔵され、これらのうちの少なくともいずれか一つがを用いてユーザのゴルフ実力に対するレベルを算定することができる。ユーザの個人記録は、ゴルフコースを評価するためのデータとして使用することもでき、またユーザのゴルフ実力を評価するためのデータとしても使用することができる。但し、ゴルフコースを評価する際には、ユーザのプレイ記録の中で評価対象ゴルフコースでプレイした記録が使用され、ユーザのゴルフ実力を評価する際には、ユーザがプレイした複数のゴルフコースでのプレイ記録が使用されるという点において差異がある。
【0039】
ゴルフコースの評価が完了すると、その結果がユーザに伝達される。評価結果はサウンド部(50)を用いて音声でユーザに提供されたり、表示部(60)を用いて視覚的にユーザに提供されたりすることができる。視覚的に評価結果を提供する場合には、スクリーン画面の全部又は一部に評価結果が表示されるようにする。例えば、ユーザがプレイを開始する前に複数のゴルフコース(ここでのゴルフコースはゴルフ場(CC)を意味)中に自分がプレイしたいゴルフコースを選択しようとするときに、
図6(a)に図示されたように、スクリーンには選択可能な複数のゴルフコースが表示されまた各ゴルフコースについて評価部(22)が評価したプレイ難易度が表示される。あるいは、
図6(b)に図示されたように、ユーザが特定のゴルフコース(CC)を選択してプレイしている間、スクリーンの一方のエッジ部分に現在プレイしているゴルフコース(CC)と進行中のホールが表示され、またゴルフコースとホールに対するプレイ難易度をそれぞれ別々に表示される。ゴルフコース(CC)は複数のホールで構成されるため、各ホールの難易度と全体のホールの難易度を総合したゴルフコース(CC)の難易度は互いに異なることができるので、ゴルフコース(CC)の難易度とプレイ進行中のホールの難易度を区別して表示することが好ましい。
【0040】
以上、ゴルフコースのプレイ難易度等を評価してユーザに提供する技術について説明した。ゴルフコースの評価結果はユーザの興味を高めることができるプレイ情報としてユーザに提供される。また、単純な情報伝達の役割だけでなくゴルフコースの評価結果を様々な方法で活用することができる。以下では評価結果を活用する例について図面を参照して説明する。
【0041】
図7はゴルフコースの評価結果を活用することができる方法に関する過程を示すフローチャートであり、
図8及び
図9はユーザに補償又はペナルティを与える例を説明するための図である。
【0042】
図7を参照すると、ゴルフコースの評価結果を活用する過程において、第1ステップ(S1)ではユーザが自分がプレイするゴルフコース(CC)を選択する。第2ステップ(S2)ではユーザがスクリーンゴルフをプレイする。第3ステップ(S3)では評価結果に関して特定条件が満たされているかをチェックし、第4ステップ(S4)では上記条件の充足の可否により補償又はペナルティが与えられる。第3段階(S3)において評価結果に関して特定条件が満たされることは、例えばプレイ難易度が高いと評価されたゴルフコースで善戦して良い成績が出る場合又はプレイ難易度が低いと評価されたゴルフコースで苦戦して意外に悪い成績が出る場合などが有り得る。高難易度のゴルフコースで良い成績が出る場合には、善戦したユーザを応援するために第4ステップ(S4)で補償を与えることができ、低難易度のゴルフコースで悪い成績がでる場合には、ユーザに注意を促すために第4ステップ(S4)でペナルティを与えることができる。
具体的には、ユーザが高難易度のゴルフコースにおいて特定ホールまで進行した時点で良い成績(例:アンダーPar)を出した場合又は初級者と評価されたユーザが中級以上のゴルフコースにおいて善戦する場合(例:自分の平均打数程度のスコアを維持する場合)などにユーザに補償することができる。また、ユーザが低難易度のゴルフコースにおいて特定ホールまで進行した時点で悪い成績(例:オーバーPar)を出した場合又は上級者と評価されたユーザが中級以下のゴルフコースにおいて苦戦する場合(例:自分の平均打数程度のスコアを維持する場合)などにユーザにペナルティを与えることができる。
【0043】
ユーザに付与される補償やペナルティはいろいろなものがあり得る。例えば、ユーザに提供されるプレイ情報に違いを与えることができる。
図8を参照すると、スクリーンゴルフにおけるパッティング段階ではユーザに様々なプレイ情報を提供し、このときアドバンテージを与えるためにさらに多くの情報を提供したり、ペナルティを与えるためにさらに少ない情報を提供したりすることができる。
図8に図示されたように、パッティング段階でスクリーンにゴルフボールと最終目標地点であるホールカップと間の距離情報(I1)、パッティングが行われるグリーン領域の地形情報(I2、I3)、仮想ゴルフボールと最終目標地点であるホールカップと間の高低差情報(I4)を表示することができる。グリーン領域の地形情報(I2、I3)として複数の横線と縦線からなるグリッド(I2)が表示され、また横線と縦線に沿って移動するインジケータ(I3)が表示される。インジケータ(I3)はグリッド(I2)を構成する横線と縦線において所定の速度で移動する。インジケータ(I3)の移動方向はグリーン領域の傾斜方向を示し、移動速度は傾斜度を示す。すなわち、インジケータ(I3)は高傾斜地点から低傾斜地点に移動し、傾斜が大きければ大きいほどその移動速度が増加する。したがって、グリッド(I2)とインジケータ(I3)とを提供する場合、ユーザはインジケータ(I3)の移動方向と移動速度を介してグリーン領域における傾斜方向と傾斜度を把握することができる。
【0044】
ユーザにペナルティを付与する場合、仮想ゴルフボールと最終目標地点であるホールカップとの間の距離情報(I1)、パッティングが行われるグリーン領域の地形情報(I2、I3)、仮想ゴルフボールと最終目標地点であるホールカップとの間の高低差情報(I4)の中に少なくともいずれか一つが提供されないようにすることができる。逆に、ユーザにアドバンテージを付与する場合、上記の情報に加えて追加情報を提供することができる。追加情報としてグリーン領域のパッティングライ情報(I5)、キャディの推薦距離情報(I6)などがあり得る。グリーン領域におけるパッティングライ情報(I5)は、現在のゴルフボールの位置からホールカップまでのグリーン領域の地形特性(例:傾斜)を考慮する際に、パッティング時にホールカップから水平にどの程度離隔されている地点をターゲットとするべきかに関する情報を示す。キャディの推薦距離情報(I6)はホールインに成功するためにゴルフボールが転がるべき距離の情報を示す。
図8においてゴルフボールとホールカップとの間の距離は8.87mであるが、ホールカップがゴルフボールより0.26mほど高いところに位置しであるため上り坂傾斜がある。この場合、8.87mの距離をターゲットとしてパッティングすると、ゴルフボールが上り坂傾斜を上がりながら動力が落ちてホールカップに到達しない可能性がある。このような場合にはホールカップの位置よりも遠い位置をターゲットにしてパッティングする必要があり、追加情報によりターゲットとすべき距離を11.6mという具体的な数値として提供するため、ユーザはパッティングに対する正確な戦略を立ててパッティングの成功可能性を高めることができる。
【0045】
上記のように情報量に差を与えることに加えて、他の方法でユーザにアドバンテージやペナルティを与えることができる。例えば、パッティングにおいてコンシードの範囲が異なるようにすることができる。コンシード(concede)とは、パッティングしたゴルフボールがホールカップから一定距離以内にあればホールイン(hole in)と認めることを意味する。例えば、コンシードを1mに設定した場合、ホールカップから半径1m以内に位置するゴルフボールはホールインとみなす。もしコンシードの範囲が広くなると、その分ホールカップから離れた地点までゴルフボールを転がしてもホールインが認められるのでユーザに有利である。逆にコンシードの範囲が減ると、ホールインと認められる範囲が減少してユーザに不利である。したがって、コンシードの範囲を増加させてユーザにアドバンテージを付与したり、コンシードの範囲を減少させてユーザにペナルティを付与したりすることができる。
【0046】
ユーザのプレイ結果に影響を与える可能性があるアドバンテージやペナルティの例について説明したが、ユーザのプレイ結果に直接的に影響を与えないアドバンテージやペナルティもある。例えば、スクリーンゴルフのサービスを利用するのにかかるサービスコストを減らしたり又は増やしたりすることで、ユーザにアドバンテージやペナルティを与えることができる。あるいは、スクリーンに表示される映像に特別なグラフィック効果を付与することで、ユーザにアドバンテージを与えることができる。ユーザが「Eagle(ゴルフボールをホールカップに入れるまでの打数が基準打数より2打少ないことを意味)」を達成したときに、
図9に図示されたように、Eagleの辞書的な意味である「イーグル」の鳥イメージに強烈な印象を与えることができる炎イメージを追加した火鳥のイメージを表示することで、ユーザが「Eagle」を達成したことに対して強いインパクトを与えて士気を高めることができる。
【0047】
図10は本発明の他の実施例による仮想ゴルフ装置の概略的な構造を示す図である。
図10を参照すると、本実施例による仮想ゴルフ装置は複数のブース(101、102、103)を含む。各ブース(101、102、103)はすべて同一に構成されている。例えば、最初のブース(101)は、打撃プレート(101a)、キオスク画面が具備されているシミュレータ機器(101b)、スクリーン(101c)などを備えており、他のブース(102、103)も同一のコンポーネントを持っている。図面に図示されていないが、各ブース(101、102、103)には打撃時にゴルフクラブ/ゴルフボールの動きを感知するためのカメラなどのような他の機器がさらに具備されている。各ブース(101、102、103)では多数のユーザが交互にゴルフをプレイすることができる。あるいは、各ブース(101、102、103)ではユーザ一人で他のブースのユーザと離隔している状態でソロでプレイすることができる。本実施例による仮想ゴルフ装置のシミュレータ機器(101b)は前述のゴルフコースを評価する機能を有する評価部を備えて、複数のゴルフコースに対するプレイ難易度を評価した後に評価結果をユーザに提供することができる。
【0048】
図11は複数の仮想ゴルフ装置がネットワークに連結されているシステムの概略的な構造を示す図である。
図11を参照すると、複数の仮想ゴルフ装置がネットワークに連結されているシステムは複数のスクリーンゴルフ場(1)とサーバユニット(2)とを含む。スクリーンゴルフ場(1)にはスクリーンゴルフをプレイすることができるように、
図1乃至
図10などに図示されたような仮想ゴルフ装置が具備されている。スクリーンゴルフ場(1)に具備された仮想ゴルフ装置はサーバユニット(2)と有無線通信網などを介して連結されている。各スクリーンゴルフ場(1)はログインが行われるとユーザにスクリーンゴルフのサービスを提供するサービス提供部の役割をする。サーバユニット(2)は複数のスクリーンゴルフ場(1)を運営するサービス業者が、複数のスクリーンゴルフ場(1)に具備されている仮想ゴルフ装置を管理するために使用する中央サーバを含む。スクリーンゴルフのサービスを利用しようとするユーザは上記サービスの提供を受けるためにまずログインを実行し、サーバーユニット(2)はログインをする際にユーザの身元を確認してログインの承認可否を決定する。サーバーユニット(2)にはユーザの身元を確認するための情報を貯蔵する貯蔵部(3)が具備されている。貯蔵部(3)には複数のユーザに関する情報が各ユーザごとに区分されて貯蔵されている。各ユーザの情報を貯蔵する貯蔵領域には、個人情報、プレイ情報、レベル情報などが貯蔵されている。ユーザの個人情報はユーザの個人身上に関する情報であってログインステップなどに利用することができる。ユーザのプレイ情報はユーザが過去プレイした結果及び/又は過去のプレイ結果から把握することができるユーザの個人記録(クラブ別平均飛距離、平均打数等)等を含む。ユーザのレベル情報はユーザのプレイ記録などを考慮して判定されたユーザのゴルフ実力に対する評価結果を示す。貯蔵部(3)は個人情報とプレイ情報とレベル情報とに加えて他の情報をさらに貯蔵することも可能である。例えば、貯蔵部(3)はユーザが設定した事項に関する設定情報を有していてもよい。上記設定情報はユーザが過去にプレイしたゴルフ場、プレイ難易度、プレイ方式、好みの動作条件などを含む。ユーザは毎回プレイするたびに様々な選択事項を入力することを面倒に考えることができるが、ユーザが前記選択事項を入力しなかった場合には、前記設定情報に基づいて選択事項を自動的に設定することができる。このように貯蔵部(3)に様々なユーザ情報が貯蔵されることにより、サーバユニット(2)に有線及び/又は無線で連結されている複数のスクリーンゴルフ場(1)の各仮想ゴルフ装置は貯蔵部(3)に貯蔵されている情報を利用することができ、各仮想ゴルフ装置はユーザの情報を別途貯蔵する必要がない。
【0049】
サーバユニット(2)には仮想のゴルフコースについて評価する機能を有する評価部(4)が具備されている。評価部(4)は前述の仮想ゴルフ装置に具備されている評価部と同一/類似の動作をすることができる。評価部(4)がサーバユニット(2)に設けられる場合、スクリーンゴルフ場(1)の仮想ゴルフ装置には評価部が別途具備されている必要がない。しかし、評価部(4)は必ずしもサーバユニット(2)にのみ設ける必要はなく、スクリーンゴルフ場(1)の各仮想ゴルフ装置ごとに個別に設けられるように構成してもよい。評価部(4)を介してユーザがプレイする仮想のゴルフコースについてプレイ難易度を評価し、その評価結果をユーザに提供することができる。
【0050】
以上、本発明の具体的な実施例について考察した。本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明が本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で変形した形態で具現できることを理解することができるであろう。したがって、開示された実施例は限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されるべきである。本発明の範囲は前述した説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等の範囲内にあるすべての差異点は本発明に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0051】
1:スクリーンゴルフ場
2:サーバユニット
10:打撃プレート
20:制御部
30:感知部
40:入力部
50:サウンド部
60:表示部