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特開2023-157011燃料タンク装置および燃料タンク装置を備えた車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157011
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】燃料タンク装置および燃料タンク装置を備えた車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 35/00 20060101AFI20231018BHJP
【FI】
B62J35/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023064767
(22)【出願日】2023-04-12
(31)【優先権主張番号】A 50242/2022
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(71)【出願人】
【識別番号】516256272
【氏名又は名称】ケーティーエム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】KTM AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ラインドル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】燃料タンクの構成空間を効率的に利用することができるようにする。
【解決手段】車両11、特に自動二輪車用の燃料タンク装置10であって、第1のタンクボディと、少なくとも1つの第2のタンクボディと、第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとの間に流体接続を生ぜしめかつ選択的に機械的な結合を生ぜしめる少なくとも1つの継手部材とを備えた、燃料タンク装置10において、第1のタンクボディは、少なくとも1つの第2のタンクボディから離間されており、これにより、第1のタンクボディと、少なくとも1つの第2のタンクボディと、場合により少なくとも1つの継手部材との間に、車両の少なくとも1つの別の構成コンポーネントを配置することができる自由空間が存在する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(11)、特に自動二輪車用の燃料タンク装置(10)であって、
第1のタンクボディ(1)と、
少なくとも1つの第2のタンクボディ(2)と、
前記第1のタンクボディ(1)と少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)との間に流体接続を生ぜしめかつ選択的に機械的な結合を生ぜしめる少なくとも1つの継手部材(3,4)と
を備えた、燃料タンク装置(10)において、
前記第1のタンクボディ(1)は、少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)から離間されており、これにより、前記第1のタンクボディ(1)と、少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)と、場合により少なくとも1つの前記継手部材(3,4)との間に、前記車両の少なくとも1つの別の構成コンポーネント(6,7,8,9)を配置することができる自由空間(5)が存在することを特徴とする、燃料タンク装置(10)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記別の構成コンポーネント(6,7,8,9)には、燃料蒸気を分離する装置(6)、制御装置(7)、ポンプ(8)および/またはリザーバ(9)のうちの少なくとも1つが含まれる、請求項1記載の燃料タンク装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)は、前記燃料タンク装置(10)が前記車両(11)に取り付けられた状態では、前記第1のタンクボディ(1)の下側に配置されている、請求項1または2記載の燃料タンク装置。
【請求項4】
前記自由空間(5)は、前記第1のタンクボディ(1)の第1の外面(12)と、少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)の少なくとも1つの第2の外面(13)との間に存在しており、
好適には、
前記第1の外面(12)と、少なくとも1つの前記第2の外面(13)とは実質的に互いに平行であり、かつ/または
前記第1の外面(12)は、前記燃料タンク装置(10)が前記車両(11)に取り付けられた状態では実質的に水平であり、かつ/または
少なくとも1つの前記第2の外面(13)は、前記燃料タンク装置(10)が前記車両(11)に取り付けられた状態では実質的に水平である、
請求項1から3までのいずれか1項記載の燃料タンク装置。
【請求項5】
前記第1のタンクボディ(1)は1つだけ設けられており、かつ/または前記第2のタンクボディ(2)は2つだけ設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の燃料タンク装置。
【請求項6】
前記第1のタンクボディ(1)は、前記燃料タンク装置(10)が前記車両(11)に取り付けられた状態では、好適には横方向において中心に配置されており、かつ/または少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)は、前記燃料タンク装置(10)が前記車両(11)に取り付けられた状態では側方に配置されており、好適には、1つの前記第2のタンクボディ(2)が左側に配置されており、1つの前記第2のタンクボディ(2)は右側に配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の燃料タンク装置。
【請求項7】
前記燃料タンク装置(10)は、少なくとも1つの取付け部材(14)を有しており、該取付け部材(14)を介して、前記燃料タンク装置(10)を前記車両(11)のシャシおよび/またはフレーム(15)に取り付けることができる、請求項1から6までのいずれか1項記載の燃料タンク装置。
【請求項8】
前記第1のタンクボディ(1)および/または少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)は、射出成形および/またはブロー成形により製造されており、かつ/または溶接された金属薄板タンクとして製造されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の燃料タンク装置。
【請求項9】
前記第1のタンクボディ(1)と少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)とを機械的に結合しかつ/または流体接続する少なくとも1つの前記継手部材(3,4)は、前記第1のタンクボディ(1)および/または前記第2のタンクボディ(2)の製造プロセスにおいて一緒に製造される、請求項8記載の燃料タンク装置。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項記載の燃料タンク装置(10)と、前記自由空間(5)内に配置された少なくとも1つの別の構成コンポーネント(6,7,8,9)、特に燃料蒸気を分離する装置(6)、制御装置(7)、ポンプ(8)および/またはリザーバ(9)とのユニット。
【請求項11】
少なくとも1つの前記別の構成コンポーネント(6,7,8,9)の寸法は、実質的に、前記第1のタンクボディ(1)と少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)との間の間隔に相当する、請求項10記載のユニット。
【請求項12】
少なくとも1つの前記別の構成コンポーネント(6,7,8,9)は、前記燃料タンク装置(10)に取り付けられており、好適には前記燃料タンク装置(10)だけに取り付けられている、請求項10または11記載のユニット。
【請求項13】
請求項10から12までのいずれか1項記載のユニットおよび/または請求項1から9までのいずれか1項記載の燃料タンク装置(10)を備えた車両(11)、特に自動二輪車。
【請求項14】
前記車両(11)は、運転者用のサドル(16)を有しており、前記燃料タンク装置(10)は、走行方向において前記サドル(16)の前方および/または後方に配置されている、請求項13記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の特徴を有する、車両、特に自動二輪車用の燃料タンク装置に関する。
【0002】
上位概念に記載の燃料タンク装置は、第1のタンクボディと、少なくとも1つの第2のタンクボディと、第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとの間に流体接続を生ぜしめかつ選択的に機械的な結合を生ぜしめる少なくとも1つの継手部材とを有している。
【0003】
自動二輪車の場合、複数のタンクボディを備えた燃料タンクが基本的に周知である。例えば欧州特許出願公開第3738813号明細書を参照されたい。
【0004】
複数のタンクボディを備える燃料タンクは複数の利点をもたらし、このことは、車両におけるタンクの配置のフレキシビリティと、燃料タンク装置の簡単な製造とに関係する。
【0005】
特に配置のフレキシビリティは、まさに自動二輪車の場合には、また別の車両の場合でも大きな利点である。それというのも、車両に供与されている構成空間が、極めて狭い範囲に限定されているからである。したがって、車両の開発時には、供与されている構成空間を可能な限り効率的に利用するために、かなりの手間が費やされる(いわゆる「パッケージング」)。
【0006】
本発明の課題は、従来技術による燃料タンク装置を改良して、構成空間を効率的に利用することができるようにすることにある。
【0007】
この課題は、請求項1記載の特徴により、つまり、第1のタンクボディが、少なくとも1つの第2のタンクボディから離間されており、これにより、第1のタンクボディと、少なくとも1つの第2のタンクボディと、場合により少なくとも1つの継手部材との間に、車両の少なくとも1つの別の構成コンポーネントを配置することができる自由空間が存在することにより、解決される。
【0008】
もちろん、このような形式の自由空間が2つ以上存在していてもよい。
【0009】
少なくとも1つの第2のタンクボディを第1のタンクボディから離間させ、これにより、実質的な自由空間を生ぜしめること自体は反直観的である。しかしながら本発明の基本的な観点は、この離間を意図的に導入し、車両の特定の構成コンポーネント、例えば燃料蒸気を分離する装置等を、本発明により生ぜしめられた自由空間内に、好適には実質的に正確に適合するように配置する、という点にある。
【0010】
少なくとも1つの別の構成コンポーネントには、好適には以下の:
-例えばいわゆる活性炭フィルタモジュール(略してAKFモジュール)の形態の、燃料蒸気を分離する装置、
-例えばエンジン機能および/または制動機能(例えばABSモジュール)を実現する制御装置、
-例えば燃料用のポンプ、特に外部燃料ポンプ、および/または
-例えば冷却液用のリザーバ
うちの少なくとも1つが含まれていてもよい。
【0011】
さらに、先行請求項のうちのいずれか1項記載の燃料タンク装置と、自由空間内に配置された少なくとも1つの別の構成コンポーネントとのユニットについて、保護を請求する。
【0012】
さらに、本発明による燃料タンク装置および/または本発明によるユニットを有する車両、特に自動二輪車について、保護を請求する。
【0013】
車両は、特に単車であってもよい。しかしもちろん、基本的には複車に本発明による燃料タンク装置を装備することもできる。
【0014】
別の車両の例は、全地形対応車(ATV)または四輪バイク(Quads)であろう。
【0015】
少なくとも1つの継手部材が第1のタンクボディおよび/または少なくとも1つの第2のタンクボディと一体に形成されている場合、第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとは基本的に、例えば少なくとも1つの継手部材を介して接触接続し得ることに留意されたい。
【0016】
ただし、自由空間を生ぜしめるための本発明による離間は、第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとの間に少なくとも部分的に、生じた自由空間が車両の別の構成コンポーネント-すなわち、第1のタンクボディと、少なくとも1つの第2のタンクボディと、少なくとも1つの継手部材とは別個の構成コンポーネントを配置するために技術的に有意に使用され得る程度の大きさの間隔が存在する場合にのみ、存在する。
【0017】
このために自由空間の領域における部分的な最小間隔は、例えば少なくとも1cm、好適には3cm、特に好適には5cmであってもよい。
【0018】
特に好適な実施形態では、自由空間の領域における最小間隔は、約7cmである。
【0019】
基本的に、少なくとも1つの継手部材は、第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとの間に配置されていてもよく、かつ/または第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとの間の中間室以外に配置されていてもよい。少なくとも1つの継手部材が第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとの間に位置している場合には、本発明による自由空間は大抵の場合、少なくとも1つの継手部材によっても画定される。
【0020】
第1のタンクボディは、好適には第1のタンク容積を有していてもよく、かつ/または少なくとも1つの第2のタンクボディは、好適には少なくとも1つの第2のタンク容積を有していてもよい。
【0021】
少なくとも1つの継手部材は、本発明に基づき、第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとの間に流体接続を生ぜしめており、これにより、燃料が第1のタンク容積から少なくとも1つの第2のタンク容積内へ流入することができるようになっている。
【0022】
少なくとも1つの継手部材は、選択的に、第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとの間に機械的な結合を生ぜしめており、これにより、第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとは、構造的に相接して取り付けられており、好適には例えば車両のフレームに共に取り付けられるべき1つの構成群を形成している。
【0023】
タンク内に保持されるべき燃料は、好適にはガソリンまたは混合物であってもよい。別の燃料、例えばディーゼル燃料または水素等も、もちろん原則的には考えられる。
【0024】
本発明の有利な改良は、各従属請求項において規定されている。
【0025】
少なくとも1つの第2のタンクボディは、燃料タンク装置が車両に取り付けられた状態では、第1のタンクボディの下側に配置されていてもよい。
【0026】
自由空間は、第1のタンクボディの第1の外面と、少なくとも1つの第2のタンクボディの少なくとも1つの第2の外面との間に存在していてもよく、この場合、
-第1の外面と、少なくとも1つの第2の外面とは実質的に互いに平行であり、かつ/または
-第1の外面は、燃料タンク装置が車両に取り付けられた状態では実質的に水平であり、かつ/または
-少なくとも1つの第2の外面は、燃料タンク装置が車両に取り付けられた状態では実質的に水平である。
【0027】
各外面が互いにかつ/または水平線に対して角度を成している実施形態も、もちろん同様に考えられる。
【0028】
もちろん、自由空間の幾何学形状は、好適には、少なくとも1つの別の構成コンポーネントに合わせられてもよい。
【0029】
好適には、第1のタンクボディは1つだけ設けられていてもよい。
【0030】
好適には、第2のタンクボディは2つだけ設けられていてもよい。
【0031】
第1のタンクボディは、燃料タンク装置が車両に取り付けられた状態では、好適には横方向において中心に配置されていてもよい。換言すると、燃料タンク装置が車両に取り付けられている場合、第1のタンクボディはその重心を、車両長手方向中心軸線上に有していてもよい。
【0032】
第1のタンクボディは、好適な実施形態では、車両長手方向中心軸線に対して実質的に鏡像対称に形成されていてもよい。
【0033】
少なくとも1つの第2のタンクボディは、燃料タンク装置が車両に取り付けられた状態では側方に配置されていてもよく、この場合、好適には、1つの第2のタンクボディが左側に配置されており、1つの第2のタンクボディは右側に配置されている。
【0034】
この場合、燃料タンク装置が車両に取り付けられている場合には、1つの第2のタンクボディが車両の駆動エンジンの左側に位置しており、1つの別の第2のタンクボディが車両の駆動エンジンの右側に位置していると、特に好適であり得る。
【0035】
燃料タンク装置は、少なくとも1つの取付け部材を有していてもよく、取付け部材を介して、燃料タンク装置を車両のシャシおよび/またはフレームに取り付けることができる。
【0036】
第1のタンクボディおよび/または少なくとも1つの第2のタンクボディは、好適には射出成形および/またはブロー成形により製造されていてもよく、かつ/または溶接された金属薄板タンクとして製造されていてもよい。
【0037】
溶接された金属薄板タンクの場合には、例えばアルミニウム薄板および/または鋼板が使用され得る。
【0038】
既に述べたように、少なくとも1つの継手部材は、第1のタンクボディおよび/または少なくとも1つの第2のタンクボディと一体に形成されていてもよい、または第1のタンクボディおよび/または少なくとも1つの第2のタンクボディとは別個に形成されていてもよい。
【0039】
第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとを機械的に結合しかつ/または流体接続する少なくとも1つの継手部材は、好適には、第1のタンクボディおよび/または第2のタンクボディの製造プロセスにおいて一緒に製造され得る。
【0040】
溶接された金属薄板タンクの場合、少なくとも1つの継手部材は別個に、例えば挿入部材として溶接かつ/または接合され得る。
【0041】
換言すると、少なくとも1つの継手部材は、第1のタンクボディおよび/または少なくとも1つの第2のタンクボディの製造と同時に製造され得る。
【0042】
このようにして、少なくとも1つの継手部材と、第1のタンクボディおよび/または少なくとも1つの第2のタンクボディとの一体的な構成が、特に簡単に実現され得る。
【0043】
少なくとも1つの別の構成コンポーネントの寸法は、好適には実質的に、第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとの間の間隔に相当していてもよい。換言すると、少なくとも1つの別の構成コンポーネントは、第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとの間の自由空間内に正確に適合して配置されていてもよい。
【0044】
少なくとも1つの別の構成コンポーネントの寸法が、第1のタンクボディと少なくとも1つの第2のタンクボディとの間の間隔に実質的に相当するとは、第1のタンクボディと別の構成コンポーネントとの間および/または別の構成コンポーネントと少なくとも1つの別のタンクボディとの間には、最早さほどの間隔が存在せず、好適には、遊びおよび残された中間室の製造誤差のみがもたらされるだけに過ぎない、ということを意味し得る。
【0045】
本発明の特に好適な実施形態では、少なくとも1つの別の構成コンポーネントは、燃料タンク装置に取り付けられていてもよく、好適には-例えば車両の別のコンポーネントにではなく-燃料タンク装置だけに取り付けられていてもよい。
【0046】
少なくとも1つの別の構成コンポーネントのこのような事前取付けは、車両の製造にとって特に有利であり得る。なぜならば、この場合は燃料タンク装置を、少なくとも1つの別の構成コンポーネントと一体的に取り付けることができるからである。
【0047】
この場合、例えば、少なくとも1つの別の構成コンポーネントを燃料タンク装置に接続するケーブルまたはホースが折れ曲がったり擦れたりしないように、特に容易に配置され得る。この利点は特に、タンクからの燃料蒸気を分離する装置において生じる。
【0048】
車両は、好適には運転者用のサドルを有していてもよく、この場合、燃料タンク装置は、走行方向においてサドルの前方および/または後方に配置されている。
【0049】
上述した、燃料蒸気を分離する装置は、好適には燃料タンク装置のタンク蓋の領域において、燃料タンク装置の内部空間に接続されていてもよく、これにより、燃料蒸気が装置に供給され得ると同時に、液状の燃料が装置内へ流入するという危険が最小化されている。
【0050】
装置内で分離された燃料は、例えば燃料タンク装置内へ戻されてもよい、または車両の駆動エンジンに供給されてもよい。
【0051】
燃料蒸気を分離する装置は、上述したように、活性炭フィルタモジュール(AKFモジュール)として形成されていてもよい。
【0052】
車両の駆動エンジンは、特に内燃機関であってもよい。
【0053】
本発明のその他の利点および詳細は、図面およびこれに関連する図面の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1】本発明による燃料タンク装置の1つの実施例を示す図である。
図2図1に示した実施例の側面図である。
図3】本発明による燃料タンク装置の1つの別の実施例を示す図である。
図4】この実施例の、図2と同様にフレーム部分に取り付けられた状態を示す図である。
図5】エンジン領域が示唆された、図4と同様の図である。
図6】本発明による燃料タンク装置を備えた車両の1つの実施例を示す図である。
図7】本発明による車両の1つの実施例を示す図である。
【0055】
図1には、第1のタンクボディ1と2つの第2のタンクボディ2とを備えた本発明による燃料タンク装置10の1つの実施例が示されている。
【0056】
第1のタンクボディ1と第2のタンクボディ2との間に流体接続を提供する複数の継手部材3が設けられている。
【0057】
タンク蓋17を介して第1のタンクボディ1に補給され得る燃料、例えばガソリンは、上述した流体接続を介して第2のタンクボディ2にも流入することができる。
【0058】
さらに、第1のタンクボディ1と第2のタンクボディ2との間に機械的な結合を生ぜしめる複数の継手部材4が設けられている。
【0059】
これにより、図1に示す構成は1つの共通の構造群として実現されているが、このことは本発明に必ずしも必須ではない。
【0060】
流体接続を提供する継手部材3が、機械的な結合機能をも十分に有している場合がある、ということに言及しておく。ただし本実施例では、継手部材3は機械的な結合機能を全くまたは極僅かにしか有していない。
【0061】
第1のタンクボディ1と、各第2のタンクボディ2と、継手部材3,4との間には、本発明に基づき、別の構成コンポーネントのために使用され得る自由空間5が存在する。
【0062】
本実施例では、第1のタンクボディ1と、図面右側の第2のタンクボディ2との間に、燃料蒸気を分離する装置6が設けられている。
【0063】
装置6は、本実施例ではAKFモジュールとして形成されている。
【0064】
装置6は、本実施例ではタンク蓋17の領域において燃料タンク装置10の内部空間、本実施例では例えば第1のタンクボディ1の内部空間(第1の容積)に接続されている。
【0065】
第1のタンクボディ1と、図1の左側に示す第2のタンクボディ2との間の自由空間5において認められるように、この自由空間5は、本実施例では空いたままである。
【0066】
自由空間5は、それぞれ第1のタンクボディ1の第1の外面12と、第2のタンクボディ2の第2の外面13とにより画定されていることが認められる。
【0067】
本実施例では、第1の外面12と第2の外面13とは互いに平行であり、このことは、車両11の別の構成コンポーネント用に良好に利用可能な有利な、実質的に直方体形の自由空間5を生ぜしめる。
【0068】
特に好適な構成では、自由空間は、少なくとも1つの別の構成コンポーネントの幾何学形状に適合させられている。すなわちこの場合、第1のタンクボディ1と少なくとも1つの第2のタンクボディ2とは、好適には実質的に、少なくとも1つの別の構成コンポーネントの輪郭のみを空けている。
【0069】
図1に示す燃料タンク装置10は、取付け部材14を介して、例えば車両11のフレーム15に取り付けられてもよい(これについては例えば図5図7を参照)。
【0070】
図2には、図1に示した実施例が側面図で示されている。
【0071】
図3には、図1に示した実施例と同様の実施例が示されており、この場合、第1のタンクボディ1と左側に示す第2のタンクボディ2との間の自由空間5内に少なくとも1つの別の構成コンポーネント、つまり、制御装置7および/またはポンプ8および/またはリザーバ9が配置されている。
【0072】
図4図2と同様の図であり、しかもこの場合、本実施例は、上述した取付け部材14を介して車両11のフレーム15のフレーム構成部材に取り付けられた状態で示されている。
【0073】
この例示的な構成では、フレーム構成部材は、駆動エンジンを保持しかつ前輪フォークを支持するように形成されている。
【0074】
図5図4と同様の図であり、この場合、追加的にエンジン領域18が略示されている。駆動エンジンは、このエンジン領域18内で少なくとも部分的に、2つの第2のタンクボディ2の間に配置され得る。
【0075】
図6には、本発明による燃料タンク装置10を備えた本発明による車両11の1つの実施例が単に概略的にのみ示されている。
【0076】
図6ではとりわけ、本発明による燃料タンク装置10の、車両11に取り付けられた状態において、第1の外面12と第2の外面13とは実質的に水平である、ということが認められる。
【0077】
既に述べたように、第1の外面12および/または第2の外面13は、互いに対してかつ/または水平線に対して角度を成していてもよく、この場合、このことは、第1のタンクボディ1内および少なくとも1つの第2のタンクボディ2内の燃料の配分に影響を及ぼすことができる。
【0078】
第1のタンクボディ1を、認識可能な第2のタンクボディ2から離間させることにより生じる自由空間5は、図9に示す図において良好に認められる。特に、自由空間5は、第1の外面12および第2の外面13の水平で平行な構成に基づき、実質的に直方体形である、ということが認められ、したがって自由空間5は、-より見やすくするためにここでは空けられているが-特に良好に利用可能である。
【0079】
図7には、この場合も自動二輪車である、本発明による車両11の1つの択一的な実施例が示されている。
【0080】
本発明による燃料タンク装置10は、ここでは燃料タンク装置10を保護するために、自動二輪車のパネルにより覆い隠されている。ただし燃料タンク装置10の位置は、符号により示唆されている。
【0081】
それゆえ、燃料タンク装置10は走行方向において、車両11のサドル16の前方に配置されていることが認められる。
【0082】
サドル16は、図4および図5に示したものと同様のフレーム構成部材に取り付けられていてもよい、ということに言及しておく。
【0083】
言及しておくと、継手部材3,4は必ずしも、本発明の各実施例におけるように第1のタンクボディ1と第2のタンクボディ2との間の中間室内にまたは中間室に接して位置していなくてもよい。継手部材3,4は、例えば大幅に離れて位置していてもよく、これにより、本発明による自由空間5は、例えば第1のタンクボディ1と、少なくとも1つの第2のタンクボディ2とによってのみ画定される。
【0084】
第1のタンクボディ1と少なくとも1つの第2のタンクボディ2との間に機械的な結合を生ぜしめる継手部材4は、本発明の枠内では不要不可欠ではない。例えば、第1のタンクボディ1と少なくとも1つの第2のタンクボディ2とは、車両11のフレーム15に、互いに別個に取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0085】
1 第1のタンクボディ
2 少なくとも1つの第2のタンクボディ
3 継手部材(流体接続)
4 継手部材(機械的な結合)
5 自由空間
6 燃料蒸気を分離する装置
7 制御装置
8 ポンプ
9 リザーバ
10 燃料タンク装置
11 車両
12 第1の外面
13 第2の外面
14 少なくとも1つの取付け部材
15 フレーム
16 サドル
17 タンク蓋
18 エンジン領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-05-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(11)、特に自動二輪車用の燃料タンク装置(10)であって、
第1のタンクボディ(1)と、
少なくとも1つの第2のタンクボディ(2)と、
前記第1のタンクボディ(1)と少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)との間に流体接続を生ぜしめかつ選択的に機械的な結合を生ぜしめる少なくとも1つの継手部材(3,4)と
を備えた、燃料タンク装置(10)において、
前記第1のタンクボディ(1)は、少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)から離間されており、これにより、前記第1のタンクボディ(1)と、少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)と、場合により少なくとも1つの前記継手部材(3,4)との間に、前記車両の少なくとも1つの別の構成コンポーネント(6,7,8,9)を配置することができる自由空間(5)が存在することを特徴とする、燃料タンク装置(10)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記別の構成コンポーネント(6,7,8,9)には、燃料蒸気を分離する装置(6)、制御装置(7)、ポンプ(8)および/またはリザーバ(9)のうちの少なくとも1つが含まれる、請求項1記載の燃料タンク装置。
【請求項3】
少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)は、前記燃料タンク装置(10)が前記車両(11)に取り付けられた状態では、前記第1のタンクボディ(1)の下側に配置されている、請求項1または2記載の燃料タンク装置。
【請求項4】
前記自由空間(5)は、前記第1のタンクボディ(1)の第1の外面(12)と、少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)の少なくとも1つの第2の外面(13)との間に存在しており、
好適には、
前記第1の外面(12)と、少なくとも1つの前記第2の外面(13)とは実質的に互いに平行であり、かつ/または
前記第1の外面(12)は、前記燃料タンク装置(10)が前記車両(11)に取り付けられた状態では実質的に水平であり、かつ/または
少なくとも1つの前記第2の外面(13)は、前記燃料タンク装置(10)が前記車両(11)に取り付けられた状態では実質的に水平である、
請求項1または2記載の燃料タンク装置。
【請求項5】
前記第1のタンクボディ(1)は1つだけ設けられており、かつ/または前記第2のタンクボディ(2)は2つだけ設けられている、請求項1または2記載の燃料タンク装置。
【請求項6】
前記第1のタンクボディ(1)は、前記燃料タンク装置(10)が前記車両(11)に取り付けられた状態では、好適には横方向において中心に配置されており、かつ/または少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)は、前記燃料タンク装置(10)が前記車両(11)に取り付けられた状態では側方に配置されており、好適には、1つの前記第2のタンクボディ(2)が左側に配置されており、1つの前記第2のタンクボディ(2)は右側に配置されている、請求項1または2記載の燃料タンク装置。
【請求項7】
前記燃料タンク装置(10)は、少なくとも1つの取付け部材(14)を有しており、該取付け部材(14)を介して、前記燃料タンク装置(10)を前記車両(11)のシャシおよび/またはフレーム(15)に取り付けることができる、請求項1または2記載の燃料タンク装置。
【請求項8】
前記第1のタンクボディ(1)および/または少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)は、射出成形および/またはブロー成形により製造されており、かつ/または溶接された金属薄板タンクとして製造されている、請求項1または2記載の燃料タンク装置。
【請求項9】
前記第1のタンクボディ(1)と少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)とを機械的に結合しかつ/または流体接続する少なくとも1つの前記継手部材(3,4)は、前記第1のタンクボディ(1)および/または前記第2のタンクボディ(2)の製造プロセスにおいて一緒に製造される、請求項8記載の燃料タンク装置。
【請求項10】
請求項記載の燃料タンク装置(10)と、前記自由空間(5)内に配置された少なくとも1つの別の構成コンポーネント(6,7,8,9)、特に燃料蒸気を分離する装置(6)、制御装置(7)、ポンプ(8)および/またはリザーバ(9)とのユニット。
【請求項11】
少なくとも1つの前記別の構成コンポーネント(6,7,8,9)の寸法は、実質的に、前記第1のタンクボディ(1)と少なくとも1つの前記第2のタンクボディ(2)との間の間隔に相当する、請求項10記載のユニット。
【請求項12】
少なくとも1つの前記別の構成コンポーネント(6,7,8,9)は、前記燃料タンク装置(10)に取り付けられており、好適には前記燃料タンク装置(10)だけに取り付けられている、請求項10または11記載のユニット。
【請求項13】
請求項10記載のユニットおよび/または請求項記載の燃料タンク装置(10)を備えた車両(11)、特に自動二輪車。
【請求項14】
前記車両(11)は、運転者用のサドル(16)を有しており、前記燃料タンク装置(10)は、走行方向において前記サドル(16)の前方および/または後方に配置されている、請求項13記載の車両。
【外国語明細書】