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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157016
(43)【公開日】2023-10-25
(54)【発明の名称】アンテナ、及びアンテナの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/00 20060101AFI20231018BHJP
   H01Q 19/02 20060101ALI20231018BHJP
【FI】
H01Q7/00
H01Q19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065925
(22)【出願日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】P 2022066244
(32)【優先日】2022-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522149577
【氏名又は名称】スカイパネル合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】高島 宏
【テーマコード(参考)】
5J020
【Fターム(参考)】
5J020AA03
5J020BA02
5J020BC10
5J020BD04
5J020DA02
5J020DA03
5J020DA04
(57)【要約】
【課題】 受信性能を向上したアンテナを提供する。
【解決手段】 本実施形態におけるアンテナ1は、導電性のある材料により輪状に形成された放射素子201で形成され、互いに間隔を空けて複数並べたアンテナ素子を含む給電素子200と、導電性のある材料により線状に形成され、アンテナ素子の並び方向において給電素子200に近接して設けた無給電素子210とを有し、給電素子200と無給電素子210とは、同一平面上に位置している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性のある材料により輪状に形成され、互いに間隔を空けて複数並べたアンテナ素子を含む給電素子と、
導電性のある材料により線状に形成され、前記アンテナ素子の並び方向において、前記給電素子に近接して設けた無給電素子と
を有し、
前記給電素子と前記無給電素子とは、同一平面上に位置している
アンテナ。
【請求項2】
前記アンテナ素子は、当該アンテナ素子の並び方向の長さより、当該アンテナ素子の並び方向と直交する方向の長さが長く、
無給電素子は、前記アンテナ素子における当該アンテナ素子の並び方向と直交する方向の長さの2倍以上3倍以下の長さである
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記給電素子は、
導電性のある材料により輪状に形成され、前記アンテナ素子の並び方向と同じ方向に互いに間隔を空けて複数並べた第2のアンテナ素子
をさらに備え、
前記アンテナ素子と前記第2のアンテナ素子とは、それぞれが互いに対向し、かつ、当該アンテナ素子の並び方向と直交する方向に位置しており、
前記無給電素子は、互いに対向する位置にある前記アンテナ素子から前記第2のアンテナ素子までの長さと同じ長さとなっている
請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記給電素子と前記無給電素子との離間間隔は、前記アンテナ素子の並び方向において、隣り合う2つの前記アンテナ素子の離間間隔と同じ間隔、又は、隣り合う2つの前記アンテナ素子の離間間隔より広い
請求項3に記載のアンテナ。
【請求項5】
導電性のある材料により線状に形成され、前記アンテナ素子の並び方向において、前記給電素子に近接して設けた第2の無給電素子
をさらに有し、
前記第2の無給電素子は、前記給電素子を挟んで前記無給電素子と反対側に設けられる
請求項1に記載のアンテナ。
【請求項6】
導電性のある材料により輪状に形成され、互いに間隔を空けて並んだ複数のアンテナ素子を含む給電素子を基材上に配置する工程と、
前記アンテナ素子の並び方向において、前記給電素子と近接し、導電性のある材料により線状に形成した無給電素子を基材上に配置する工程と
を有するアンテナの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ、及びアンテナの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、同一平面上に線対称的に配置され、導電性を有する材質でなるコの字状の形状を有する放射器と、放射器の線対称軸を挟んだ両側に線対称性を維持するように配置され、導電性を有する材質でなる長方形の閉じた枠形状の下辺を延長した基端が上記放射器の長辺に接続された旗形状を有する複数の素子と、放射器の両側辺の下端に線対称性を維持するように設けられる一対の給電部と、を有することを特徴とするアンテナが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、少なくとも1つのループアンテナを有する薄型アンテナであって、ループアンテナの近傍に、ループアンテナを構成するアンテナ導体に対して、独立した導体から構成される無給電素子を配置したことを特徴とする薄型アンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3323442号公報
【特許文献2】特許第2005-102183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、受信性能を向上したアンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアンテナは、導電性のある材料により輪状に形成され、互いに間隔を空けて複数並べたアンテナ素子を含む給電素子と、導電性のある材料により線状に形成され、前記アンテナ素子の並び方向において、前記給電素子に近接して設けた無給電素子とを有し、前記給電素子と前記無給電素子とは、同一平面上に位置している。
【0007】
好適には、前記アンテナ素子は、当該アンテナ素子の並び方向の長さより、当該アンテナ素子の並び方向と直交する方向の長さが長く、無給電素子は、前記アンテナ素子のにおける当該アンテナ素子の並び方向と直交する方向の長さの2倍以上3倍以下の長さである。
【0008】
好適には、前記給電素子は、導電性のある材料により輪状に形成され、前記アンテナ素子の並び方向と同じ方向に互いに間隔を空けて複数並べた第2のアンテナ素子をさらに有し、前記アンテナ素子と前記第2のアンテナ素子とは、それぞれが互いに対向し、かつ、当該アンテナ素子の並び方向と直交する方向に位置しており、前記無給電素子は、互いに対向する位置にある前記アンテナ素子から前記第2のアンテナ素子までの長さと同じ長さとなっている。
【0009】
好適には、前記給電素子と前記無給電素子との離間間隔は、前記アンテナ素子の並び方向において、隣り合う2つの前記アンテナ素子の離間間隔同じ間隔、又は、隣り合う2つの前記アンテナ素子の離間間隔より広い。
【0010】
好適には、導電性のある材料により線状に形成され、前記アンテナ素子の並び方向において、前記給電素子を挟んで反対側に近接して設けたさらなる無給電素子を有する。
【0011】
好適には、導電性のある材料により線状に形成され、前記アンテナ素子の並び方向において、前記給電素子に近接して設けた第2の無給電素子をさらに有し、前記第2の無給電素子は、前記給電素子を挟んで前記無給電素子と反対側に設けられる。
【0012】
また、本発明に係るアンテナの製造方法は、導電性のある材料により輪状に形成され、互いに間隔を空けて並んだ複数のアンテナ素子を含む給電素子を基材上に配置する工程と、前記アンテナ素子の並び方向において、前記給電素子と近接し、導電性のある材料により線状に形成した無給電素子を基材上に配置する工程とを有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、受信性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態におけるアンテナ1を例示する図である。
図2図1に例示したA部の拡大図である。
図3】本実施形態におけるアンテナ1の六面図である。
図4】アンテナ本体2の六面図である。
図5】アンテナシート20の大きさを例示する図である。
図6】アンテナ1の指向性を例示する図である。
図7】アンテナ1の製造方法(S10)を説明するフローチャートである。
図8】実施形態のアンテナ1のアンテナシート20における変形例1を例示する図である。
図9】実施形態のアンテナ1のアンテナシート20における変形例2を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明がなされた背景を説明する。
特許文献1に開示された平面アンテナにおいては、指向性が広く、小型、縮小化に適し、広帯域対応化されてはいるが、さらなる性能向上が求められているという問題があった。また、特許文献2に開示されたアンテナにおいては、ループアンテナの受信感度を高めるために無給電素子による性能向上を目指したものであるが、無給電素子の設置や形状が複雑な位置関係となるという問題があった。
そこで、上記事情を一着眼点にして本発明の実施形態を創作するに至った。本発明の実施形態によれば、小型化され受信性能が向上したアンテナを提供することができる。
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。ただし、本発明の範囲は、図示例に限定されるものではない。
【0016】
まず、本実施形態におけるアンテナ1の構成を説明する。
図1は、本実施形態におけるアンテナ1を例示する図である。
図2は、図1に例示したA部の拡大図であ
図3は、本実施形態におけるアンテナ1の六面図である。
図4は、アンテナ本体2の六面図である。
図1図4に例示するように、アンテナ1は、例えば地上デジタル放送、BC放送、及び、CS放送の少なくとも1つに対応した周波数を受信するアンテナであり、周波数300MHz以上3GHz以下の範囲の電波を受信する。なお、本例のアンテナ1は、地上デジタル放送に対応した470MHz~770MHz帯の周波数を受信する。
アンテナ1は、アンテナ本体2、ケーブル7、及び補強材10を有する。アンテナ本体2は、ケーブル7と電気的に接続し、ケーブル7は、一方をアンテナ本体2に接続し、他方を図示していないテレビチューナー、テレビチューナーを内蔵したテレビ、又は、増幅器に接続される。また補強材10は、アンテナ本体2とケーブル7との接続位置を覆うように配置される。
【0017】
アンテナ本体2は、シート状、又は、板状であり、所定の周波数帯の電波を受信するアンテナ1の主要部である。アンテナ本体2は、アンテナシート20と、保護シート22とを含む。アンテナ本体2は、アンテナシート20と、保護シート22とが積層し一体的に構成される。
アンテナシート20は、所定の周波数である電波と電流と相互に変換する変換部材である。アンテナシート20は、導電性のある材料により形成され、例えば、導体薄膜、ワイヤ、導電性インク、金属シート、金属箔、又は、金属板により形成される。なお本例のアンテナシート20は、銅板である。また、アンテナシート20の厚みは、例えば、0.01mm以上0.20mm以下であり、好ましくは0.05mm以上0.15mm以下であり、本例では0.1mmである。
【0018】
アンテナシート20は、給電素子200と、無給電素子210とを含む。給電素子200と無給電素子210とは、後述する保護シート22におけるシート面の同一平面上に位置している。
給電素子200は、導電性材質の材料で形成された放射素子201と、導電性のある材料により輪状に形成され、互いに間隔を空けて複数並べたフラッグ素子202及び203と、給電端子204とを含む。放射素子201、フラッグ素子202及び203、及び給電端子204は、互いに電気的に接続し一体となっている。フラッグ素子202及びフラッグ素子203の間に、放射素子201及び給電端子204が位置している。
【0019】
放射素子201は、導電性材質の材料で形成されたアンテナ素子であり、放射素子として機能する。放射素子201は、放射素子201a、放射素子201b、及び、接続素子201cを含み、放射素子201a、放射素子201b、及び、接続素子201cは、電気的に接続している。なお、放射素子201a及び放射素子201bは、実質的に同じ構成であるため、特に区別する必要のない場合は、放射素子201と称呼する。
放射素子201a及び放射素子201bは、後述するフラッグ素子202(202a~202d)又はフラッグ素子203(203a~203d)の並び方向(以下、上下方向)に長尺な線状(所定の幅のある線状を含む)であり、一方の端部において接続素子201cにより、互いに電気的に接続している。すなわち、放射素子201は、略コの字状の形状となっている。また、放射素子201は、外側において隅角を丸く形成している。
また、放射素子201は、放射素子201の上端2010と、フラッグ素子202aの上端2020及びフラッグ素子203aの上端2030とは、段差なく同一線上となる位置としてもよいし、放射素子201の上端2010がフラッグ素子202aの上端2020及びフラッグ素子203aの上端2030より少し突出した位置としてもよい。
【0020】
フラッグ素子202及びフラッグ素子203は、導電性のある材料により輪状に形成され、互いに間隔を空けて複数並べたアンテナ素子であり、導波素子として機能する。フラッグ素子202、及び、フラッグ素子203は、放射素子201に電気的に接続して配設される。フラッグ素子202、及び、フラッグ素子203は、それぞれが互いに対向し、かつ、フラッグ素子202(202a~202d)及びフラッグ素子203(203a~203d)の並び方向と直交する方向(以下、左右方向)にそれぞれ位置している。また、フラッグ素子202、及び、フラッグ素子203は、閉ループ形状であり、例えば、長方形、平行四辺形、又は台形を含む多角形、楕円形、又は円形に形成される。なお、本例のフラッグ素子202、及び、フラッグ素子203は、上下方向の長さより、左右方向の長さが長い閉ループ形状であり、具体的には、左右方向に対応して配設された長辺と、上下方向に対応して配設された短辺とにより形成された長方形の形状をした閉ループである。また、フラッグ素子202、及び、フラッグ素子203の長辺は、短辺の2倍以上3倍以下、具体的には2.4倍以上2.4倍以下、より具体的には2.5倍程度の長さを有する。本例のフラッグ素子202、及び、フラッグ素子203は、実質的に同じ構成であり、線対称な関係となっている。
【0021】
フラッグ素子202は、本発明に係るアンテナ素子の一例であり、複数のフラッグ素子を含む。例えば、フラッグ素子202は、2つ以上6つ以下のフラッグ素子を含み、本例のフラッグ素子202は、フラッグ素子202a、202b、202c、及び202dの4つのフラッグ素子で構成され、放射素子201a側に電気的に接続して配設されている。なお、フラッグ素子202a~202dは、実質的に同じ構成であるため、特に区別する必要のない場合は、フラッグ素子202と称呼する。また、フラッグ素子202は、それぞれが長方形のフラッグ形(旗形)で同一の形状を有し、上下方向に等間隔で配置されている。本例のフラッグ素子202は、上下方向が短辺に形成され、フラッグ素子202の並び方向と直交する方向(以下、左右方向)が長辺に形成されている。また、フラッグ素子202は、外側において隅角を丸く形成している。フラッグ素子202は、隅角を角張らすより丸くすることにより、ノイズが軽減する。
【0022】
フラッグ素子203は、本発明に係る第2のアンテナ素子の一例であり、複数のフラッグ素子を含む。例えば、フラッグ素子203は、2つ以上6つ以下のフラッグ素子を含み、本例のフラッグ素子203は、フラッグ素子203a、203b、203c、及び203dの4つのフラッグ素子で構成され、放射素子201b側に電気的に接続して配設されている。なお、フラッグ素子203a~203dは、実質的に同じ構成であるため、特に区別する必要のない場合は、フラッグ素子203と称呼する。また、フラッグ素子203は、それぞれが長方形のフラッグ形(旗形)の同一の形状を有し、上下方向に等間隔で配置されている。本例のフラッグ素子203は、上下方向が短辺に形成され、左右方向が長辺に形成されている。また、フラッグ素子203は、外側において隅角を丸く形成している。フラッグ素子202は、隅角を角張らすより丸くすることにより、ノイズが軽減する。
【0023】
給電端子204は、図2に例示したように、導電性のある材料により形成され、放射素子201の下端、すなわち、放射素子201のうち接続素子201cを設けた先端部の反対側に位置する基端部に配設された端子である。給電端子204は、給電端子204a及び204bを含み、給電端子204a及び204bは、ケーブル7の各配線が電気的に接続している。ケーブル7の給電端子204への接続において極性は、正極負極どちらが接続されてもよい。なお、給電端子204は、不図示のインピーダンス整合回路により周波数対定在波比(VSWR)が3以下となるよう調整されていてもよい。
【0024】
無給電素子210は、導電性のある材料により線状(所定の幅のある線状を含む)に形成された素子であり、反射素子として機能する。無給電素子210は、上下方向において、給電素子200に近接して設けられる。無給電素子210は、上下方向より左右方向に長い線状に配置される。無給電素子210は、フラッグ素子202又はフラッグ素子203における長辺の長さの2倍以上3倍以下、具体的には2.5倍以上3倍の長さである。無給電素子210の長さは、概ねフラッグ素子202d及びフラッグ素子203dと接続素子201cの長さを加えた長さであり、換言すると、フラッグ素子202の短辺うち、フラッグ素子203と対向していない位置にある短辺から、フラッグ素子203の短辺うち、フラッグ素子202と対向していない位置にある短辺までの外寸とする長さである。すなわち、無給電素子210は、互いに対向する位置にあるフラッグ素子202からフラッグ素子203からまでの長さと同じ長さとなっている。また、無給電素子210は、各フラッグ素子との相互結合の影響により無給電素子210に流れる高周波電流が最大となるよう配置してもよい。
【0025】
保護シート22は、絶縁性のある材料で形成されたシート部材であり、アンテナシート20を保護する。保護シート22は、2枚一組であり、2枚のシート材の間にアンテナシート20が位置するよう配置している。保護シート22は、例えば、PETシート、アクリル板、プリント基板で使用されるガラスエポキシ樹脂等の板材、又は、木材薄板である。保護シート22は、アンテナシート20を保護できるならば、透明であってもよいし、不透明であってもよく、有色又は無色であってもよい。また、保護シート22は、アンテナシート20を保護できるならば、可撓性があってもよいし、可撓性がなくてもよい。また、保護シート22は、四隅の隅角を角のある状態としてもよいし、角丸としてもよい。本例の保護シート22は、厚み3mm程の黒色のアクリル板であり、アンテナシート20を挟んだ状態で、2枚のアクリル板を互いに接着している。なお、本例の保護シートは、黒色であるため、アンテナシート20を視認することができないが、説明の便宜上、黒色の保護シート22を介してアンテナシート20を視認できるように図示している。
これにより、保護シート22は、アンテナシート20を保護し固定すると共に、アンテナ1の筐体として機能する。
【0026】
ケーブル7は、アンテナ本体2により受信した電波から変換した電流を、図示していないテレビチューナー、テレビチューナーを内蔵したテレビ、又は、増幅器に伝達するアンテナ用ケーブルである。ケーブル7は、給電端子204と電気的に接続している。
補強材10は、合成樹脂により形成され、ケーブル7とアンテナ本体2との接続部分を覆うように配置された部材である。補強材10は、ケーブル7とアンテナ本体2との接続部分の保護すると共に、アンテナ本体2からケーブル7が外れないように補強する。なお、補強材10は、アンテナ本体2とケーブル7とが外れない強度で固定されている場合省くことができる。
【0027】
図5は、アンテナシート20の大きさを例示する図である。
図5に例示するように、上下方向におけるアンテナシート20の長さLは、例えば、142mm以上147mm以下であり、本例では145mmである。また、左右方向におけるアンテナシート20の長さWは、例えば、167mm以上173mm以下であり、本例では170mmである。
また、上下方向における給電素子200の長さL1は、例えば、127mm以上133mm以下であり、本例では130mmである。また、左右方向における給電素子200の長さW1は、例えば、167mm以上173mm以下であり、本例では170mmである。
【0028】
また、給電素子200のうち、フラッグ素子202a~202dは、実質的に同様の大きさであり、またフラッグ素子203a~203dは、実質的に同様の大きさである。また、フラッグ素子202及びフラッグ素子203は、線対称ではあるが実質的に同様の大きさである。フラッグ素子202及びフラッグ素子203の大きさについて、フラッグ素子202aに着目して説明すると、フラッグ素子202aの短辺である長さAは、例えば、25mm以上31mm以下であり、本例では28mmである。また、フラッグ素子202aの長辺である長さBは、例えば、64mm以上70mm以下であり、本例では67mmとなっている。また、放射素子201、フラッグ素子202、及び、203を形成する導電性材料のパターン幅C1は、例えば、2mm以上6mm以下であり、本例では4mmである。また、無給電素子210を形成する導電性材料のパターン幅C2は、例えば、3mm以上10mm以下であり、好ましくは、3mm以上8mm以下であり、本例では7mmである。
そして放射素子201と各フラッグ素子202、203との離間間隔D1は、例えば、2mm以上6mm以下であり、本例では4mmである。隣り合う2つのフラッグ素子202同士の離間間隔、及び、フラッグ素子203同士の離間間隔D2は、例えば、4mm以上8mm以下であり、本例では6mmである。
また、フラッグ素子202d及び203dの長辺と無給電素子210との離間間隔D3は、例えば、3mm以上10mm以下であり、好ましくは、3mm以上8mm以下であり、本例では7mmである。つまり、本例の給電素子200と無給電素子210との離間間隔は、上下方向において、アンテナ素子202のうち隣り合う2つの素子同士の離間間隔、又は、アンテナ素子203のうち隣り合う2つの素子同士の離間間隔より広い。
また、放射素子201の上端2010の幅Eは、例えば、25mm以上31mm以下であり、本例では28mmである。
また、無給電素子210の長さW2は、例えば、167mm以上173mm以下であり、本例では170mmである。
このように、アンテナシート20は、上記寸法の範囲であることが好ましいが、発明の趣旨を逸脱しない範囲での若干の段差、誤差、ズレは充分に許容されるものであり、また、拡大若しくは縮小も可能である。
【0029】
図6は、アンテナ1の指向性を例示する図である。図6(A)は、水平方向に対してアンテナ1のシート面を向けて配置した場合の指向性を例示した図であり、図6(B)は、鉛直方向に対してアンテナ1のシート面を向けて配置した場合の指向性を例示する図である。
図6(A)に例示するように、アンテナ1は、水平方向に対してアンテナ1のシート面を向けて配置する、すなわち、立てた状態で配置した場合、8の字状である緩指向性パターンを示した。
また、図6(B)に例示するように、アンテナ1は、鉛直方向に対してアンテナ1のシート面を向けて配置する、すなわち、平置き状態で配置した場合、8の字状である緩指向性を示した。
このように、アンテナ1は、立てた状態、又は、平置き状態で配置した場合であっても8の字状であるの指向性パターンを示すことを確認できた。よって、アンテナ1は、配置する向きに制限することなく配置しても、十分に電波を受信することができる。
【0030】
図7は、アンテナ1の製造方法(S10)を説明するフローチャートである。
図7に例示するように、ステップ100(S100)において、作業者は、プレス機を用いて、アンテナシート20を形成する。具体的には、作業者は、給電素子200及び無給電素子210を打抜くための金型をセットしたプレス機に、導電性の材料として例えば厚さ0.1mmである銅板をセットし、セットした銅板を打ち抜く。銅板から打ち抜いた給電素子200は、放射素子201と、フラッグ素子202及び203と、給電端子204とが一体的に構成される。なお、給電素子200は、放射素子201と、フラッグ素子202及び203と、給電端子204とを別々に打ち抜き、これらを接続することで一体的に構成してもよい。また、作業者は、銅板から打ち抜いた給電素子200及び無給電素子210にバリがある場合は、バリを取り除く。
【0031】
ステップ102(S102)において、作業者は、2枚一組のシート材である保護シート22のうち、保護シート22の一方のシート材のシート面上に、給電素子200を配置する。
【0032】
ステップ104(S104)において、作業者は、給電素子200を配置した保護シート22の一方のシート材のシート面上において、無給電素子210を配置する。具体的には、作業者は、フラッグ素子202又はフラッグ素子203が並ぶ上下方向において、給電素子200と近接するように7mm離間する位置に無給電素子210を配置する。作業者は、給電素子200と無給電素子210との間の間隔を定規等で測りながら無給電素子210を配置する。
【0033】
ステップ106(S106)において、作業者は、給電素子200と無給電素子210とを配置した保護シート22の一方のシート材に対して、他方のシート材を重ね合せる。作業者は、一対の保護シート22で給電素子200と無給電素子210とを挟み込み接着剤にて接着する。これにより、アンテナ本体2を製造する。
【0034】
ステップ108(S108)において、作業者は、ケーブル7の配線を給電端子204に直接半田付けして電気的に接続する。なお、給電インピーダンスの整合回路(不図示)を給電端子204に接続したのちに、給電インピーダンスの整合回路へ接続してもよい。そして、作業者は、ケーブル7を接続したアンテナ本体2に補強材10を取り付ける。作業者は、ケーブル7とアンテナ本体2との接続部分を覆うように、補強材10で固定する。これにより、アンテナ本体2からケーブル7の配線が外れないように補強することができる。なお、アンテナ本体2とケーブル7とが強固に固定されている場合は、補強材10の取付を省略してもよい。
このように、作業者は、アンテナ1を製造することができる。
なお、本例では、S102~S106のように、アンテナシート20を保護シート22で挟み込みアンテナ1を製造したが、これに限定するものではなく、例えば、導電性のパターンを有するプリント基板やフレキシブルケーブルをエッチング加工してアンテナシート20における給電素子200および無給電素子210のパターンを形成してアンテナ本体2を製造してもよい。
【0035】
以上説明したように、本実施形態におけるアンテナ1によれば、放射素子201に接続されたフラッグ素子202および203に対し、無給電素子210を配置することにより、電波の受信性能を向上させることができる。
また、アンテナ1は、放射素子201に接続されたフラッグ素子202および203に対し、無給電素子210が電波を反射することによりアンテナ1の受信感度が10db~15db増加することが確認できた。
地上波デジタル放送では470MHzから710MHzのUHF帯域の電波が割り当てられている。その周波数の帯域に対する電波の波長は、
波長(m)=300/周波数(MHz)で計算される。
よって、地上波デジタル放送の電波の波長は、約0.64メートルから0.42メートルとなる。本アンテナはループアンテナと折り返しダイポールアンテナの特性を合わせ持っており、受信する電波の波長から図示されたサイズが最適な電波受信性能を発揮している。
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、これらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。
【0036】
次に、上記実施例における変形例を説明する。
なお、変形例では、上記実施例と実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[変形例1]
図8は、実施形態のアンテナ1のアンテナシート20における変形例1を例示する図である。
上記実施例では、給電素子200の給電端子204について、放射素子201の基端から上下方向に長尺にした給電端子204を対向して配設した場合を説明したが、これに限定するものではなく、図8(A)に例示するように、放射素子201の基端から左右方向に、突出した給電端子204を配設してもよい。また、図8(B)に例示するように、給電端子204は、左右方向において対向する位置に配設されているが、給電端子におけるインピーダンスにより、上下方向において対向する位置に配設してもよい。
【0037】
[変形例2]
図9は、実施形態のアンテナ1のアンテナシート20における変形例2を例示する図である。
上記実施例では、給電素子200に対して1つの無給電素子210を配設した場合を説明したが、これに限定するものではなく、2つの無給電素子210を配設してもよい。
図9に例示するように、本例のアンテナシート20は、給電素子200と、無給電素子210とに加えて、無給電素子212をさらに含む。給電素子200、無給電素子210、及び、無給電素子212は、保護シート22におけるシート面において同一平面上に位置している。
無給電素子212は、導電性のある材料により線状(所定の幅のある線状を含む)
に形成され、フラッグ素子202及びフラッグ素子203の並び方向において、給電素子200に近接し、かつ、給電素子200を挟んで無給電素子210と反対側に配設されている。なお、無給電素子212は、本発明に係る第2の無給電素子の一例であり、無給電素子210と実質的に同様の構成である。
無給電素子212は、上下方向より左右方向に長い線状となるよう配置される。無給電素子212は、放射素子201に接続されているフラッグ素子202aの上端2010およびフラッグ素子203aの上端2020の長辺に対して平行に配置されている。無給電素子212は、フラッグ素子202又はフラッグ素子203における長辺の長さの2倍以上2.5倍の長さである。無給電素子212の長さは、フラッグ素子202の短辺うち、フラッグ素子203と対向していない位置にある短辺から、フラッグ素子203の短辺うち、フラッグ素子202と対向していない位置にある短辺までの長さである。すなわち、無給電素子212は、互いに対向する位置にあるフラッグ素子202からフラッグ素子203からまでの長さと同じ長さとなっており、無給電素子210と同じ長さである。また、無給電素子212は、無給電素子210の幅と同じ幅である。
このように、本例のアンテナ1によれば、フラッグ素子202および203に対し、無給電素子210及び無給電素子212を近接して配置することにより、図6で例示した指向性をより安定させることができるため、指向性が特定の方向に左右されない受信性能をより発揮することができる。
【0038】
[変形例3]
上記実施形態のアンテナ1は、例えば地上デジタル放送等の電波を受信する受信用のアンテナとして使用する場合を説明したが、これに限定するものではなく、発信用のアンテナとして使用することもできる。
本例のアンテナ1は、例えば、山岳遭難事故や水難事故発生時に、遭難した遭難者の位置を検知する遭難者位置検知システムの発信用のアンテナとして使用することができる。ここで、遭難者位置検知システムは、GPSが内蔵され、位置情報を含む救助要請信号を発信する遭難者端末と、この遭難者端末から発信された救助要請信号を受信する検知端末とを有する。アンテナ1は、アンテナケーブルを介して遭難者端末に電気的に接続されており、位置情報を含む救助要請信号を発信するためのアンテナとして機能する。
以下、遭難者位置検知システムの一例として、山岳部て遭難した登山者の位置を検知する登山者位置検知システムを説明する。登山者位置検知システムは、登山者が保持する遭難者端末(以下、登山者端末)と、登山者端末から発信された救助要請信号を受信する検知端末とを有する。アンテナ1は、アンテナケーブルを介して登山者端末の発信用のアンテナとして機能する。
アンテナ1は、登山者端末と共にアンテナエレメントを備えた登山用リュックサックに具備される。アンテナ1は、上記実施形態で説明したアンテナシート20の大きさを拡大することで、例えば周波数140MHz以上160MHz以下の範囲の電波を発信することができる。本例のアンテナ1は、周波数140MHz以上150MHz以下の電波を発信する。具体的には、アンテナシート20は、図5で例示したアンテナシート20の長さL1を160mm、アンテナシート20の長さW(W1及びW2)を200mmとなるように図5で言う上下方向及び左右方向の長さ(以下、縦横比)を維持した状態で拡大する。なお、本例のアンテナシート20のうち、給電素子の線幅C及びC1と、無給電素子の線幅C2との幅は、上記実施形態で説明した幅と略同様の幅である。詳細には、給電素子の線幅C及びC1は、例えば、2mm以上6mm以下であり、本例では3mmである。また、無給電素子の線幅C2は、例えば、3mm以上10mm以下であり、好ましくは、3mm以上8mm以下であり、本例では7mmである。
このように、本例のアンテナ1は、図5で例示したアンテナシート20を縦横比を維持した状態で拡大することで、140MHz以上150MHz以下の電波を発信するアンテナとして機能させることができる。
以上より、実施形態、及び、変形例におけるアンテナ1によれば、電波を受信又は発信したい特定の周波数帯に対応した大きさとなるよう、図5で例示したアンテナシート20を縦横比を維持した状態で拡大又は縮小することで、特定の周波数帯である電波を受信又は発信するアンテナとして機能させることができる。なお、本例ではアンテナシート20を縦横比を維持した状態で拡大又は縮小する場合を説明したが、これに限定するものではなく、アンテナシート20を縦横比を維持せずに、図5で言う上下方向、及び、左右方向の少なくとも一方を拡大又は縮小してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 アンテナ
2 アンテナ本体
20 アンテナシート
200 給電素子
201 放射素子
202、203 フラッグ素子
204 給電端子
210、212 無給電素子
22 保護シート
7 ケーブル
10 補強材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9