(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023157032
(43)【公開日】2023-10-26
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/427 20060101AFI20231019BHJP
B60N 2/64 20060101ALI20231019BHJP
【FI】
B60N2/427
B60N2/64
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066663
(22)【出願日】2022-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】矢動丸 裕介
(72)【発明者】
【氏名】植栗 友洋
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CD04
3B087CD05
(57)【要約】
【課題】後面衝突時における鞭打ち傷害を低減する。
【解決手段】車両用シート10では、クロスメンバ38に鞭打ち傷害低減機構50が設けられている。このため、後面衝突時に着座乗員Pが後側へ移動すると、後側への衝撃荷重Fがサポートプレート52を介してクロスメンバ38の長手方向中央部に入力され、クロスメンバ38が低剛性部38Aを起点に曲げ変形して、クロスメンバ38の長手方向中央部及びサポートプレート52が後側へ変位する。よって、着座乗員Pの腰部P2がクロスメンバ38を乗り上げることが抑制されて、着座乗員Pの腰部P2が後側へ変位した位置に維持される。したがって、着座乗員Pの上体がシートバック30に沿ってシートバック30の上端側へずり上がることを抑制できる。よって、着座乗員Pの上体がずり上がることによって生じる、着座乗員Pの上体の後側への反りを抑制できると共に、着座乗員Pの頸部の折れを抑制できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座乗員の背部を支持するシートバックと、
前記シートバックのシート幅方向両側部に設けられた一対のサイドフレームと、
シート幅方向に延在され、一対の前記サイドフレームに架け渡され、着座乗員の腰部を支持するクロスメンバと、
を備え、
前記クロスメンバは、
前記クロスメンバの長手方向両側部を構成し、前記クロスメンバの他の部分と比べて剛性の低い一対の低剛性部と、
シート前後方向を板厚方向とするプレート状に形成され、前記クロスメンバの前部に連結され、一対の前記低剛性部の間に配置されたサポート部と、
を有している車両用シート。
【請求項2】
前記サポート部は、前記クロスメンバに対してシート下側へ突出している請求項1に記載の車両用シート。
【請求項3】
前記クロスメンバが単一部材で構成されており、前記低剛性部の断面積が、前記クロスメンバの他の部分の断面積よりも小さい請求項1又は請求項2に記載の車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の車両用シートでは、胸部支持手段がシートバックの上部に設けられており、骨盤上部支持手段がシートバックの下部に設けられている。車両の後面衝突時には、着座乗員の腰部の後側への移動が骨盤上部支持手段によって制限され、胸部支持手段が後側へ移動することで、着座乗員の胸部の後側への移動が許容される。すなわち、車両の後面衝突時には、胸部支持手段のみが移動して、着座乗員の上体が骨盤部を支点として後傾する。これにより、後面衝突時における着座乗員の頭部の移動量が大きくすることができる。その結果、着座乗員の頭部とヘッドレストとの隙間を減少することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記車両用シートでは、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、上記車両用シートでは、上述のように、着座乗員の腰部の後側への移動が骨盤上部支持手段によって制限されて、着座乗員の上体が骨盤部を支点として後傾するようになる。このとき、着座乗員の上体が、後側へ反りながら、シートバックに沿って上側へずり上がり、着座乗員の頭部がヘッドレストよりも上側へ突出する可能性がある。この場合には、ヘッドレストによる着座乗員の頭部に対する支持機能が低下し、頭部重量により着座乗員の頸部が後方側へ曲げられて、着座乗員に対する鞭打ち傷害が発生する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、後面衝突時における鞭打ち傷害を低減することができる車両用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、着座乗員の背部を支持するシートバックと、前記シートバックのシート幅方向両側部に設けられた一対のサイドフレームと、シート幅方向に延在され、一対の前記サイドフレームに架け渡され、着座乗員の腰部を支持するクロスメンバと、を備え、前記クロスメンバは、前記クロスメンバの長手方向両側部を構成し、前記クロスメンバの他の部分と比べて剛性の低い一対の低剛性部と、シート前後方向を板厚方向とするプレート状に形成され、前記クロスメンバの前部に連結され、一対の前記低剛性部の間に配置されたサポート部と、を有している車両用シートである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、後面衝突時における鞭打ち傷害を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る車両用シートが適用された車両のキャビン内を模式的に示す車両右側から見た側面図である。
【
図2】
図1に示される車両用シートを示す車両前側から見た正面図である。
【
図3】
図2に示される右側の車両用シートを示す左側から見た側面図である。
【
図4】
図2に示される右側の車両用シートのシートバックの内部を示す上側から見た断面図(
図2の4-4線断面図)である。
【
図5】車両の後面衝突時における着座乗員の挙動を説明するための説明図である。
【
図6】車両の後面衝突時における鞭打ち傷害低減機構の動作を説明するための左側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、図面に適宜示される矢印FRは、車両用シート10のシート前側を示し、矢印UPはシート上側を示し、矢印RHはシート右側(シート幅方向一方側)を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、シート上下方向、シート前後方向、シート左右方向を示すものとする。また、シート上側、シート前側、シート右側は、車両用シート10が適用された車両(自動車)Vの車両上側、車両前側、車両右側にそれぞれ一致している。
【0010】
図1に示されるように、車両用シート10は、車両VのキャビンC内の後部に配置される後席用のシートとして構成されている。
図2に示されるように、車両用シート10は、キャビンCの後部の左部及び右部にそれぞれ配置されており、左右の車両用シート10は、左右対称に構成されている。
【0011】
車両用シート10は、着座乗員Pの尻部及び大腿部を支持するシートクッション20と、着座乗員Pの背部を支持するシートバック30と、着座乗員Pの頭部P1を支持するヘッドレスト40と、を含んで構成されている。
【0012】
図2及び
図3に示されるように、シートクッション20は、車両Vのフロアパネルの上側に配置されて、フロアパネルに固定されている。シートクッション20の内部には、シートクッション20の骨格を構成するシートクッションフレーム21が設けられている。シートクッションフレーム21は、左右一対のクッション側サイドフレーム22を有しており、クッション側サイドフレーム22は、シート幅方向を板厚方向とし前後方向に延在された略長尺板状に形成されて、シートクッション20のシート幅方向両側部に配置されている。一対のクッション側サイドフレーム22の前端部の間には、図示しないフロントフレームが架け渡されており、フロントフレームによってクッション側サイドフレーム22の前端部同士が連結されている。一対のクッション側サイドフレーム22の後端部は、上側へ延出されて、後述するバック側サイドフレーム32に連結されている。
【0013】
シートバック30は、シートクッション20の後端部の上側において、起立した状態で配置されている。シートバック30の内部には、シートバック30の骨格を構成するシートバックフレーム31が、設けられている。シートバックフレーム31は、左右一対のサイドフレームとしてのバック側サイドフレーム32と、ロアフレーム33と、アッパフレーム35と、クロスメンバ38と、を含んで構成されている。
【0014】
バック側サイドフレーム32は、シート幅方向を板厚方向とし且つ上下方向に延在された略長尺板状に形成されて、シートバック30の下部におけるシート幅方向両側部に配置されている。そして、前述したクッション側サイドフレーム22の後端部が、バック側サイドフレーム32の下端部に連結されている。ロアフレーム33は、パイプ材によって構成されており、シート幅方向に沿って延在されている。ロアフレーム33は、左右一対のバック側サイドフレーム32の下側に配置されており、ロアフレーム33の長手方向両端部が、サイドブラケット34によってバック側サイドフレーム32の下端部に連結されている。
【0015】
アッパフレーム35は、パイプ材によって構成されており、正面視で下側へ開放された略逆U字形状に屈曲されている。アッパフレーム35の長手方向両端部は、バック側サイドフレーム32の上端部のシート幅方向内側に配置されて、バック側サイドフレーム32に接合等によって連結されている。アッパフレーム35の上端部のシート幅方向中間部には、前側において、左右一対のサポートブラケット36が設けられている。サポートブラケット36は、上下方向を軸方向とする略矩形筒状に形成されており、サポートブラケット36の上端部が、アッパフレーム35の上端部に接合等によって連結されている。サポートブラケット36には、後述するヘッドレストを支持するヘッドレストサポート37が設けられている。
【0016】
クロスメンバ38は、シート幅方向に延在された略丸棒状に形成されている。クロスメンバ38は、ロアフレーム33の上側で且つ左右一対のバック側サイドフレーム32の間に配置されており、クロスメンバ38の長手方向両端部が、クッション側サイドフレーム22の上部に固定されている。クロスメンバ38は、着座乗員Pの腰部P2の後側に配置されている。具体的には、車両Vの後面衝突時に、着座乗員Pにおける骨盤部の上部がクロスメンバ38を後側へ押圧するように、上下方向におけるクロスメンバ38の位置が設定されている。なお、本実施の形態では、車両用シート10に着座する着座乗員Pを、AM50(米国人成人男性の50パーセンタイル)のダミー人形としている。
【0017】
ヘッドレスト40は、シートバック30の上端部のシート幅方向中央部に設けられており、シートバック30から上側へ突出している。ヘッドレスト40の内部には、略長尺棒状のステー41が設けられている。ステー41は、正面視で下側へ開放された略逆U字形状に屈曲されており、ステー41の長手方向両端部がヘッドレスト40から下側へ突出している。そして、ステー41の長手方向両端部が、シートバック30のヘッドレストサポート37内に上側から挿入されて、ヘッドレスト40がシートバック30に支持されている。
【0018】
図2~
図4に示されるように、前述したシートバック30のクロスメンバ38には、車両Vの後面衝突時に、着座乗員Pの頸部の負荷を軽減して、鞭打ち傷害を低減する、鞭打ち傷害低減機構50が設けられている。鞭打ち傷害低減機構50は、クロスメンバ38に形成された左右一対の低剛性部38Aと、サポート部としてのサポートプレート52と、を含んで構成されている。
【0019】
左右一対の低剛性部38Aは、クロスメンバ38における長手方向両側部分に設けられており、低剛性部38Aの断面積が、クロスメンバ38における低剛性部38A以外の部分(以下、この部分を一般部38Bという)の断面積と比べて小さく設定されている。具体的には、クロスメンバ38には、低剛性部38Aが設けられた部位おいて、切欠部38C(
図4参照)が形成されており、切欠部38Cは、前側へ開放された凹状に形成されると共に、平面視で略半円状に湾曲している。これにより、低剛性部38Aの剛性が、一般部38Bの剛性と比べて低く設定されている。低剛性部38Aは、着座乗員Pの骨盤部の幅方向両側部の後側に位置している。そして、車両Vの後面衝突時に後側への衝撃荷重が着座乗員Pからクロスメンバ38に入力されたときには、クロスメンバ38が低剛性部38Aを起点に曲げ変形して、クロスメンバ38の長手方向中央部が後側へ変位するように、低剛性部38Aの機械的強度が設定されている(
図4において2点鎖線にて示されたクロスメンバ38を参照)。
【0020】
サポートプレート52は、前後方向を板厚方向とする略矩形プレート状に形成されている。サポートプレート52は、クロスメンバ38の長手方向中央部の前側に配置されており、サポートプレート52の上端部が接合等によってクロスメンバ38に連結されている。すなわち、サポートプレート52は、左右一対の低剛性部38Aの間に配置されており、サポートプレート52の下部が、クロスメンバ38から下側へ突出している。そして、車両Vの後面衝突時に後側への衝撃荷重が着座乗員Pからサポートプレート52に入力されたときには、サポートプレート52によってクロスメンバ38の低剛性部38Aが捩じれ変形するように、低剛性部38Aの機械的強度が設定されている。
【0021】
(作用効果)
次に、車両Vの後面衝突時における着座乗員Pの挙動を説明しつつ、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0022】
図5の上段図に示されるように、着座乗員Pの着座姿勢では、着座乗員Pの上体が尻部の上側に位置しているため、着座乗員の重心位置が、着座乗員Pの尻部の上側付近に位置する。このため、体重による下側への荷重が、主として、着座乗員Pの尻部からシートクッション20の後部に作用する(
図5の上段図の矢印G参照)。そして、車両Vの後面衝突時には、慣性力によって着座乗員Pが車両用シート10に対して後側へ移動する。これにより、後面衝突の初期では、主として、後側への衝撃荷重Fが、着座乗員Pからシートバック30の下部に作用する。このため、着座乗員Pの腰部P2(骨盤部)からシートバック30の下端部に衝撃荷重Fが作用する。具体的には、衝撃荷重Fがシートバック30のクロスメンバ38に作用する。
【0023】
ここで、車両用シート10のクロスメンバ38において、仮に、鞭打ち傷害低減機構50(低剛性部38A及びサポートプレート52)を省略した場合には、クロスメンバ38の剛性が高くなる。このため、後側への衝撃荷重Fがクロスメンバ38に入力されても、クロスメンバ38の変形が抑制される。これにより、
図5の下段図に示されるように、着座乗員Pの腰部P2がクロスメンバ38を乗り上げて、着座乗員Pの上体がシートバック30に沿ってシートバック30の上端側へずり上がるようになる。具体的には、
図5の下端図の実線にて示される着座乗員Pの上体がずり上がり、2点鎖線にて示される着座乗員Pの上体に遷移する。また、着座乗員Pの上体がシートバック30の上端側へずり上がると、後側への衝撃荷重Fが着座乗員Pの上体からシートバック30の上部にも作用する。これにより、シートバック30がシートクッション20に対して後傾する。
【0024】
着座乗員Pの上体がシートバック30に沿ってシートバック30の上端側へ移動し、且つシートバック30が後傾すると、着座乗員Pの上体が後側へ反るようになる。これにより、着座乗員Pの頭部P1が頸部を中心に後側(
図5の下段図の矢印A方向側)へ回転するように変位する(
図5の下段図の1点鎖線にて示される着座乗員Pの頭部P1を参照)。すなわち、着座乗員Pの頭部P1が変位することで、着座乗員Pの頸部が折れ曲がるようになる。また、このときには、着座乗員Pの上体がシートバック30の上端側へずれているため、着座乗員Pの頭部がヘッドレスト40の上側へ変位するようになる。以上により、車両用シート10のクロスメンバ38において、仮に、低剛性部38A及びサポートプレート52を省略した場合には、車両Vの後面衝突時において、着座乗員Pの頭部に対するヘッドレスト40の支持機能が低下して、着座乗員Pに対して鞭打ち傷害が発生する可能性がある。
【0025】
これに対して、本実施形態の車両用シート10では、クロスメンバ38に鞭打ち傷害低減機構50が設けられている。このため、
図4及び
図6に示されるように、車両Vの後面衝突初期に慣性力によって着座乗員Pが後側へ移動すると、後側への衝撃荷重Fがサポートプレート52を介してクロスメンバ38の長手方向中央部に入力される。これにより、クロスメンバ38が低剛性部38Aを起点に曲げ変形して、クロスメンバ38の長手方向中央部及びサポートプレート52が、後側へ変位する(
図4及び
図6において2点鎖線にて示されるクロスメンバ38及びサポートプレート52参照)。
【0026】
また、サポートプレート52では、下端部がクロスメンバ38よりも下側へ突出している。このため、後側への衝撃荷重Fがサポートプレート52に入力されると、サポートプレート52が、左側から見て、クロスメンバ38を中心に反時計回り(
図6の矢印B方向側)に回動するように、低剛性部38Aが捩じれ変形する。これにより、サポートプレート52が側面視で下側へ向かうに従い後側へ傾斜するように傾くと共に(
図6において2点鎖線にて示されるサポートプレート52参照)、着座乗員Pの腰部P2の一部がクロスメンバ38の長手方向中央部の下側へ位置するように、着座乗員Pの腰部P2の角度が変更される。その結果、後側へ変位した着座乗員Pの腰部P2の位置がクロスメンバ38及びサポートプレート52によって維持される。
【0027】
以上により、本実施形態の車両用シート10によれば、後面衝突時おいて、後側へ変位した着座乗員Pの腰部P2をその位置に維持して、着座乗員Pの上体がシートバック30に沿ってシートバック30の上端側へずり上がることを抑制できる。これにより、着座乗員Pの上体がずり上がることによって生じる、着座乗員Pの上体の後側への反りを抑制できると共に、着座乗員Pの頸部の折れを抑制できる。また、このときには、着座乗員Pのずり上がりが抑制されるため、着座乗員Pの頭部P1がヘッドレスト40の前側に位置した状態が維持される。したがって、ヘッドレスト40によって着座乗員Pの頭部P1を後側から支持することができる。以上により、本実施形態の車両用シート10によれば、後面衝突時における鞭打ち傷害を低減することができる。
【0028】
また、本実施の形態では、上述のように、前後方向を板厚方向とする略矩形プレート状のサポートプレート52がクロスメンバ38の長手方向中央部に設けられている。これにより、後面衝突時に着座乗員Pの腰部P2をサポートプレート52によって効率よく受け止めて、着座乗員Pからシートバック30に作用する衝撃荷重Fをサポートプレート52によってクロスメンバ38の長手方向中央部に良好に伝達することができる。したがって、クロスメンバ38を低剛性部38Aの部位において良好に曲げ変形させて、クロスメンバ38の長手方向中央部を後側へ変位させることができる。
【0029】
また、サポートプレート52をクロスメンバ38の長手方向中央部に設けることで、サポートプレート52によってクロスメンバ38の長手方向中央部を補強することができる。これにより、後面衝突時に、クロスメンバ38の長手方向中央部が曲げ変形することを抑制し、クロスメンバ38を低剛性部38Aの部位において一層良好に曲げ変形させることができる。
【0030】
また、サポートプレート52は、クロスメンバ38から下側へ突出している。このため、後面衝突時に衝撃荷重Fがサポートプレート52に入力されると、サポートプレート52によって、クロスメンバ38の長手方向中央部に回転モーメントを発生させることができる。これにより、クロスメンバ38を捩じり変形させて、サポートプレート52を傾けることができる。具体的には、サポートプレート52が側面視で下側へ向かうに従い後側へ傾斜するように傾く。その結果、着座乗員Pの腰部P2の一部がクロスメンバ38の長手方向中央部の下側へ位置するように、着座乗員Pの腰部P2の角度が変更される。したがって、後側へ変位した着座乗員Pの腰部P2の位置をサポートプレート52によって効果的に維持することができる。その結果、着座乗員Pの上体がシートバック30に沿って上端側へずれることを効果的に抑制できる。
【0031】
また、クロスメンバ38は、単一部材で構成されており、低剛性部38Aの断面積が一般部38Bの断面積よりも小さく設定されている。すなわち、クロスメンバ38に切欠部38Cを形成することで、低剛性部38Aをクロスメンバ38に設けることができる。したがって、クロスメンバ38を簡易な構成にすることができると共に、車両用シート10のコストダウンに寄与することができる。
【0032】
なお、本実施の形態では、クロスメンバ38が単一部材によって構成されている。これに代えて、低剛性部38Aと一般部38Bとを別部材で構成して、両者を連結することで、クロスメンバ38を形成してもよい。
【0033】
また、本実施の形態では、鞭打ち傷害低減機構50が車両Vの後席用シートに適用された例を示したが、鞭打ち傷害低減機構50を車両Vの前席用シートに適用してもよい。
【符号の説明】
【0034】
10 車両用シート
30 シートバック
32 バック側サイドフレーム(サイドフレーム)
38 クロスメンバ
38A 低剛性部
52 サポートプレート(サポート部)